(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】光学式気化システムを有する電子タバコ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20221114BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20221114BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2020560467
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2019065543
(87)【国際公開番号】W WO2020001997
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-10
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100169100
【氏名又は名称】辰川 肇
(72)【発明者】
【氏名】シュミドリン, モーリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ルソ, ダミール
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/182554(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0134582(KR,A)
【文献】国際公開第2018/109611(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0008332(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0119057(US,A1)
【文献】国際公開第2016/150019(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タバコであって、
気化用光源を備える本体と、
前記本体に取り外し可能に取り付けられるカートリッジと、ここで、前記カートリッジは、気化可能媒体を貯蔵する液体貯蔵部と、前記気化可能媒体を気化するために前記気化用光源によって放出される放射線によって加熱される吸収体と、マウスピースと、前記吸収体で気化された前記気化可能媒体が前記マウスピースへ輸送される流路と、を含み、前記吸収体は前記流路の横断面にわたって配置されており、
前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときのみ、前記気化用光源から前記吸収体への放射線の伝播を可能にし、それにより、前記カートリッジが前記本体から取り外されているときには前記気化用光源が前記電子タバコの外側に光を伝播できないように構成された有効化デバイスと、を備え、前記有効化デバイスは、前記カートリッジに接続された光ガイドを備え、前記本体と前記カートリッジとが共に取り付けられているときに、前記光ガイドが、前記気化用光源によって放出された放射線を前記吸収体に向けて導くように配置されており、
前記気化用光源は、前記吸収体から逸れる方向に向けられており、前記光ガイドは、前記カートリッジが前記本体に取り付けられたときに前記本体の内部に挿入され、前記カートリッジが前記本体に取り付けられているとき、該本体の内部の位置において、前記気化用光源によって放出された放射線を前記吸収体に向けて反射する表面を有する、
電子タバコ。
【請求項2】
前記気化用光源は、前記電子タバコの長手方向軸に直交する方向に放射線を放出するように向けられている、請求項1
に記載の電子タバコ。
【請求項3】
電子タバコであって、
気化用光源を備える本体と、
前記本体に取り外し可能に取り付けられるカートリッジと、ここで、前記カートリッジは、気化可能媒体を貯蔵する液体貯蔵部と、前記気化可能媒体を気化するために前記気化用光源によって放出される放射線によって加熱される吸収体と、マウスピースと、前記吸収体で気化された前記気化可能媒体が前記マウスピースへ輸送される流路と、を含み、前記吸収体は前記流路の横断面にわたって配置されており、
前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときのみ、前記気化用光源から前記吸収体への放射線の伝播を可能にし、それにより、前記カートリッジが前記本体から取り外されているときには前記気化用光源が前記電子タバコの外側に光を伝播できないように構成された有効化デバイスと、を備え、前記有効化デバイスは、前記カートリッジに接続された光ガイドを備え、前記本体と前記カートリッジとが共に取り付けられているときに、前記光ガイドが、前記気化用光源によって放出された放射線を前記吸収体に向けて導くように配置されており、
前記本体は、
前記カートリッジが前記本体に取り付けられたときに前記光ガイドを収容する収容部と、
放射線を吸収するビームダンプと、を有し、
前記気化用光源と前記ビームダンプとは、前記収容部を挟んで互いに対向する位置に配置され、前記気化用光源は、前記ビームダンプに向けて配置されており、
前記光ガイドは、前記気化用光源によって放出された放射線を前記吸収体に向けて反射する表面を有し、
前記光ガイドは、前記カートリッジが前記本体に取り付けられているとき、前記表面が、前記収容部の中で前記気化用光源と前記ビームダンプとの間に位置するように配置されている、
電子タバコ。
【請求項4】
前記有効化デバイスは、前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときに、前記カートリッジの存在を検出するように構成された、前記本体内に取り付けられたセンサを更に備え、前記有効化デバイスは、前記センサから受信した信号に基づいて前記気化用光源による放射線の放出を有効化または阻止するように構成された制御エレクトロニクスを更に備える、請求項1から請求項
3のうちいずれか1項に記載の電子タバコ。
【請求項5】
前記カートリッジは、前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときに前記センサによって読み取られうる符号化された認証情報を有し、前記制御エレクトロニクスは、前記符号化された認証情報を認証し、それにより、前記気化用光源による放射線の放出を有効化または阻止する、請求項
4に記載の電子タバコ。
【請求項6】
前記センサは、前記カートリッジの存在または不存在を検出する光学センサである、請求項
4に記載の電子タバコ。
【請求項7】
前記本体は、検知用光源と光検出器を含み、前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときに、前記検知用光源によって射出された光が前記光検出器にのみ向けられ、前記カートリッジが前記本体から取り外されているときは、前記検知用光源からの光が前記光検出器から逸れるように向けられる、請求項
6に記載の電子タバコ。
【請求項8】
前記センサは、前記カートリッジ上の対応する構成要素の存在または不存在を検出する、静電容量センサ、アンテナ、またはホール効果センサのうちの1つである、請求項
4に記載の電子タバコ。
【請求項9】
前記センサは、前記本体が前記カートリッジに取り付けられているか前記カートリッジから取り外されているかに応じてオープンまたはクローズにされる電気回路を備える、請求項
4または請求項
5に記載の電子タバコ。
【請求項10】
電子タバコであって、
気化用光源を備える本体と、
前記本体に取り外し可能に取り付けられるカートリッジと、ここで、前記カートリッジは、気化可能媒体を貯蔵する液体貯蔵部と、前記気化可能媒体を気化するために前記気化用光源によって放出される放射線によって加熱される吸収体と、マウスピースと、前記吸収体で気化された前記気化可能媒体が前記マウスピースへ輸送される流路と、を含み、前記吸収体は前記流路の横断面にわたって配置されており、
前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときのみ、前記気化用光源から前記吸収体への放射線の伝播を可能にし、それにより、前記カートリッジが前記本体から取り外されているときには前記気化用光源が前記電子タバコの外側に光を伝播できないように構成された有効化デバイスと、を備え、前記有効化デバイスは、前記カートリッジに接続された光ガイドを備え、前記本体と前記カートリッジとが共に取り付けられているときに、前記光ガイドが、前記気化用光源によって放出された放射線を前記吸収体に向けて導くように配置されており、
前記有効化デバイスは、前記本体内に配置されたゲートを更に備え、前記ゲートは、前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときにオープンし、前記カートリッジが前記本体から取り外されているときにクローズし、クローズされた前記ゲートは、前記気化用光源から前記吸収体への放射線の伝播を遮断するために配置される、
電子タバコ。
【請求項11】
前記ゲートは、前記カートリッジに接続された前記光ガイドによってオープンにされる、請求項
10に記載の電子タバコ。
【請求項12】
前記気化用光源はレーザーである、請求項1から請求項
11のうちいずれか1項に記載の電子タバコ。
【請求項13】
電子タバコで使用するためのカートリッジであって、
液体貯蔵部と、
気化可能媒体を気化するために、前記電子タバコの本体内において気化用光源によって放出される放射線によって加熱される吸収体と、
マウスピースと、
前記吸収体で気化された前記気化可能媒体が前記マウスピースへ輸送される流路と、ここで、前記吸収体は、前記流路の横断面にわたって配置されており、
前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときに、前記気化用光源から前記吸収体への放射線の伝播を可能にし、前記カートリッジが前記本体から取り外されているときには、前記気化用光源から前記吸収体への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスと、を備え、前記有効化デバイスは、光ガイドを備え、前記光ガイドは、光エミッタと光学的に結合する光入射面と、前記吸収体と光学的に結合する出射面とを有
し、
前記気化用光源は、前記吸収体から逸れる方向に向けられており、前記光ガイドは、前記カートリッジが前記本体に取り付けられたときに前記本体の内部に挿入され、前記カートリッジが前記本体に取り付けられているとき、該本体の内部の位置において、前記気化用光源によって放出された放射線を前記吸収体に向けて反射する表面を有する、カートリッジ。
【請求項14】
前記光入射面はテーパ角を有する、請求項
13に記載のカートリッジ。
【請求項15】
電子タバコの本体であって、
気化可能媒体を気化させるために、カートリッジ内の吸収体に向けて放射線を放出する気化用光源と、
前記カートリッジが前記本体に取り付けられているときに、前記気化用光源から前記吸収体への放射線の伝播を可能にし、前記カートリッジが前記本体から取り外されているときには、前記気化用光源から前記吸収体への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスと、
前記カートリッジが前記本体に取り付けられたときに前記カートリッジから延びる光ガイドを収容する収容部と、
放射線を吸収するビームダンプと、
を備え、
前記気化用光源と前記ビームダンプとは、前記収容部を挟んで互いに対向する位置に配置され、前記気化用光源は、前記ビームダンプに向けて配置されており、
前記光ガイドは、前記気化用光源によって放出された放射線を前記吸収体に向けて反射する表面を有し、
前記本体は、前記カートリッジが前記本体に取り付けられたとき、前記表面が、前記収容部の中で前記気化用光源と前記ビームダンプとの間に位置するように構成されている、本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーなどの光源を使用して気化可能液体を気化させるモジュール式電子タバコに関する。モジュール式電子タバコは、本体と、気化可能液体用の液体貯蔵部を有するカートリッジとを含む。カートリッジは、本体から取り外し交換できる。
【背景技術】
【0002】
電子タバコは、ますます人気のある消費者向けデバイスになっている。一部の電子タバコは、ヒーターとウィックとを備える気化器(vaporiser)を使用して、液体貯蔵部から液体を気化させるように構成されている。液体リザーバから、霧化器(atomiser)と呼ばれることもある気化器への流路が設けられている。多くの場合、霧化器には、リザーバからの液体を吸収できる吸収体と、吸収体が受け取った液体を気化させることができる加熱コイルとが備えられている。ヒーターは、多くの場合、吸収体の周りに巻かれた電気抵抗線として提供される加熱コイルの形体をしている。
【0003】
液体を気化させるための別の技術は、レーザーの使用を伴う。このための技術の1つが、国際公開第2017/182554号に記載されている。この構成では、レーザーエミッタが光ガイドの中に光を射出し、光ガイドは光を結合させてターゲットに向ける。この例におけるターゲットには、液体リザーバの中に延びる複数の吸収体が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザがレーザー放射に暴露される可能性を回避する又は低減させるように、レーザーを使用する気化器に高い安全性を提供する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、これらの問題のいくつかに対処し且つこれらを克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、電子タバコであって、気化用光源を備える本体と、本体に取り外し可能に取り付けられるカートリッジと、ここで、カートリッジは、気化可能媒体を貯蔵する液体貯蔵部と、気化可能媒体を気化するために気化用光源によって放出される放射線によって加熱される吸収体とを含み、カートリッジが本体に取り付けられているときのみ、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を可能にし、それにより、カートリッジが本体から取り外されているときには光源が電子タバコの外側に光を伝播できないように構成された有効化デバイスと、を備え、有効化デバイスは、カートリッジに接続された光ガイドを備え、本体とカートリッジが共に取り付けられているときに、光ガイドが、気化用光源によって放出された放射線を吸収体に向けて導くように配置されている、電子タバコが提供される。
【0007】
このようにして、電子タバコの安全性が改善される。カートリッジを本体から取り外しているときに気化用光源から放出される放射線からユーザが保護されるため、これが達成される。好ましくは、有効化デバイスは、カートリッジが本体から取り外されているときに、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を阻止するように構成されている。カートリッジは、ほんの数例として、スナップロック、バヨネット取り付け(bayonet-fit)、ねじ接続、あるいは磁気結合を使用して、本体に取り付けられうる。
【0008】
気化可能液体が液体貯蔵部から吸収体に向かって流れるための流路が、好ましくは設けられる。気化可能液体は、ユーザによる吸入のために気化できるように、気化可能光源によって加熱された時に吸収体から熱を受け取ることができる。
【0009】
説明したように、有効化デバイスは、カートリッジに接続された光ガイドを備える。本体とカートリッジとが共に取り付けられているとき、光ガイドは、好ましくは、気化用光源によって放出される放射線を吸収体に向けて導くように配置される。カートリッジが本体から取り外されているとき、光ガイドが存在しないことは、好ましくは、気化用光源からの光が吸収体に向けて導かれていないことを意味する。このように、本体をカートリッジに取り付けることにより、気化用光源によって放出される放射線を光ガイドが捕捉し、それを吸収体に向けて方向転換することを可能にする位置に光ガイドを置くことができる。これにより、カートリッジが本体から切り離されているときに、気化用光が本体の外側に伝播することを幾何学的に防止する機械的保護構成が構築される。この構成は、他の有効化デバイスと一緒に使用することができる。これには、他の有効化デバイスが光源を電気的に有効化及び無効化でき、これに対して、光ガイドは追加的な安全性の強化として信頼性の高い構成を構築できるという利点がある。第1及びカートリッジが取り外されているとき、光ガイドが存在しない状態で、気化用光源から放出される放射線を受け取るためのビームダンプを設けてもよい。
【0010】
気化用光源は、吸収体から逸れる方向に向けられ、光ガイドは、気化用光源によって放出された放射線を吸収体に向けて反射する表面を有しうる。一構成では、気化用光源は、電子タバコの長手方向軸に直交する方向に放射線を放出するように向けられていてもよい。気化用光源は、好ましくは、カートリッジが本体から取り外されているときに、放出された光が本体から逃げないように向けられている。光ガイドは、反射された放射線が吸収体に向かって長手方向軸に平行な方向に伝播するように、放出された放射線を90°などの角度で反射させることができる。
【0011】
別の実施形態では、有効化デバイスは、カートリッジが本体に取り付けられているときに、カートリッジの存在を検出するように構成された、本体内に取り付けられたセンサを備える。有効化デバイスは、センサから受信した信号に基づいて気化用光源による放射線の放出を有効化または阻止するように構成された制御エレクトロニクスを含みうる。これにより、気化用光源に対する電子ロックがかけられ、カートリッジが本体から取り外されているときには気化用光源がいかなる放射線も放出することが防止される。これは、モジュール式電子タバコにおける安全性を改善する点において有利である。したがって、気化用光源から吸収体に向かう放射線の伝播を可能にするために、2段階の制御プロセスを提供してもよい。第1に、幾何学的な光路を設けるために光ガイドが必要となる場合がある。第2に、センサは、カートリッジが本体に正しく取り付けられていることが検出された場合にのみ、気化用の放射線の放出を電子的に制御することができる。
【0012】
カートリッジは、カートリッジが本体に取り付けられているときにセンサによって読み取られうる符号化された認証情報を有しうる。制御エレクトロニクスは、符号化された認証情報を認証し、それにより、気化用光源による放射線の放出を有効化または阻止する。認証情報が有効な場合、通常使用のために気化用光源を有効にすることができる。他方、認証情報が有効でない場合には、認証プロセスは失敗し、気化用光源による放射線の放出が阻止されうる。これは、適切な認証情報の検出によって検証されるような真正のカートリッジでのみ本体が使用されることを確実にするために、カートリッジが本体に正常に取り付けられている場合であっても生じうる。これにより、消費者に、偽造品からの保護を提供することができる。
【0013】
符号化された認証情報は、光学コードおよびマイクロチップのうちの1つに記憶されてもよい。一例では、符号化された情報は、本体内のRFIDセンサによって読み取られうるRFIDチップに記憶されてもよい。別の例では、カートリッジ内のマイクロチップから符号化された情報を抽出することができる電気接点が本体内に設けられてもよい。別の例では、光学コードは、バーコードまたはQRコードとして提供されてもよい。
【0014】
センサは、カートリッジの存在または不存在を検出する光学センサであってもよい。光学コードを提供することができ、それにより、カートリッジが本体に接続されているときにのみ、LEDまたは他のエミッタからの光の存在をセンサによって捕捉することができる。
【0015】
本体は、検知用光源および光検出器を含みうる。カートリッジが本体に取り付けられているときに、検知用光源によって放出された光が光検出器に向けられうる。一例において、カートリッジが取り外されているとき、センサは周囲光に暴露されている場合があり、気化可能光源の動作を阻止するために、この周囲光が検出されてもよい。他方、カートリッジが本体に取り付けられているときセンサが覆われている場合があり、気化用光源による放射線の放出を可能にするために、いかなる検出光も存在しないことが検出されてもよい。
【0016】
一実施形態において、検知用光源によって放出された光を光検出器に向けて反射することができるミラーがカートリッジ上に設けられてもよい。これにより、カートリッジが本体に取り付けられているのか、あるいは本体から取り外されているのかを確実に示すことができる。光検出器は、いくつかの実施形態ではフォトダイオードであってもよい。好ましくは、検知用光源は、気化用光源とは異なる特性を有する。例えば、検知用光源は、可視波長において動作するLEDであってもよく、これに対して気化用光源は、赤外線波長において動作するレーザーであってもよい。
【0017】
一実施形態において、センサは、カートリッジ内の磁石の存在または不存在を検出するホール効果センサである。他の実施形態において、センサは、カートリッジ上の対応する構成要素の存在または不存在を検出する、静電容量センサまたはアンテナのうちの1つである。
【0018】
一例において、アンテナは、カートリッジ内のRFIDチップなどの非接触チップの存在または不存在を検出するように構成されうる。静電容量センサは、静電容量センサの近傍で検知された電界の変化に基づいて、カートリッジ内の金属または誘電体の構成要素の近接を検出する近接センサとして構成されてもよい。
【0019】
センサは、本体がカートリッジに取り付けられているかカートリッジから取り外されているかに応じてオープンまたはクローズにされる電気回路を備えうる。例えば、センサは電気スイッチを備えてもよい。電気スイッチは、本体上における2つの接点の間に形成され、2つの接点は、カートリッジが本体に取り付けられているときに、カートリッジ上の導体によって電気的に接続されうる。代替として、スイッチは、カートリッジが本体から取り外されている時にクローズにされ、カートリッジが本体に取り付けられているときにオープンにされうる。
【0020】
一構成において、カートリッジが本体に取り付けられているときに、吸収体が電気回路の一部を形成してもよい。このように、電気回路を流れる電流を監視することができ、吸収体内の液体の量を示すことができる。この吸収体を、液体貯蔵部に残っている液体の量を測定するための間接センサとして使用してもよい。
【0021】
電気回路はまた、吸収体の温度を監視することができる温度検知要素を含みうる。これを使用して、気化用光源によって提供される加熱の量を制御し、吸収体の過熱または燃焼を防止することができる。これはまた、液体貯蔵部に残っている液体の量の間接的な測定値を提供し得る。なぜなら、過熱は、通常は気化可能液体によって提供されるであろう冷却効果が存在しないことを示す場合があるからである。
【0022】
一実施形態において、有効化デバイスは、本体内に配置されたゲートを備える。ゲートは、カートリッジが本体に取り付けられているときオープンし、カートリッジが本体から取り外されているときクローズするように構成されうる。クローズされたゲートは、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を遮断するために配置されうる。
【0023】
ゲートは、カートリッジ内の光ガイドによってオープンされるように構成されうる。したがって、ゲートは、気化用光源から吸収体に向かって伝播する光を防止する光学的遮蔽体を提供してもよい。ゲートは、好ましくは機械的に動作可能である。
【0024】
光ガイドおよび/またはゲートは、テーパ状のエッジを有し、(電子タバコの長手方向軸に対して)光ガイドが長手方向にゲートを過ぎて移動するときに、ゲートを横方向に移動させてもよい。ゲートは、好ましくは、クローズ位置に向かって付勢されている。これは、板ばねなどのばねを設けることにより実現されうる。
【0025】
カートリッジは、好ましくは取り外し可能なカートリッジである。使用済みのカートリッジは取り外されて、新しいカートリッジと交換することができる。本体は、交換することが意図されていない、電子タバコの主要部分でりうる。
【0026】
カートリッジは、好ましくは、空気流チャネルに接続されたマウスピースを備える。気化可能液体が気化可能光源によって気化されたとき、ユーザは、カートリッジ内のマウスピースを通して気化された液体を吸入することができる。
【0027】
液体貯蔵部内に残っている液体の量を検出するために、カートリッジ内にセンサが設けられてもよい。液体貯蔵部が枯渇したときに気化用光源による光の放出が阻止されるように、センサは本体の制御エレクトロニクスに接続されてもよい。これにより、気化用光源が、乾燥した吸収体を過度に加熱し、場合によっては燃焼することを防止することができる。
【0028】
気化可能光源は、好ましくはレーザーである。レーザーは、液体を気化させることに好適な特定の波長の光線を提供することができる。レーザーは、赤外線波長にて放出するように構成されたレーザーダイオードであってもよい。一代替形態において、気化可能光源は、高出力LEDであってもよい。
【0029】
本発明の範囲内で、2段階の有効化プロセスを提供することができる。有効化デバイスは、気化用光源から吸収体へと向かう放射線の伝播を光学的または機械的に可能にすることができる光ガイドを含む。これにより、「フェイルセーフ」である機械的保護構成を構築することができる。この構成は、カートリッジが本体から取り外されているときに、気化用光が本体の外側の物体を照射することを幾何学的に回避する。特許請求の範囲の従属関係によっても示されるように、この構成は、本発明の電子タバコの他の実施形態による有効化デバイスと共に使用することができる点で有利である。よって、第2の有効化デバイスを、光源を電気的に有効化および無効化することによって照射を防止するように構成することができる。すなわち、第2の有効化デバイスは、カートリッジが本体に接続されているときに光源を有効にし、カートリッジが本体から取り外されているときに光源を無効にするように構成される。
【0030】
これには、他の有効化デバイスが光源を電気的に有効化および無効化できる一方で、光ガイドは追加の安全性の強化としてフェイルセーフ構成を構築するという利点がある。第2の有効化デバイスによって光源を電気的に有効化することにより、カートリッジが取り外されているときの照射を回避することによって電力を節約することもできる。
【0031】
本発明の別の態様によれば、気化用光源を備える本体と、気化可能媒体を気化させるために気化用光源によって放出される放射線によって加熱されるように構成された吸収体を含むカートリッジとを有する電子タバコを組み立てる方法が提供され、方法は、本体をカートリッジに取り付けるステップと、カートリッジが本体に取り付けられているときに、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を可能するステップと、カートリッジが本体から取り外されているときに、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を阻止するステップと、を含む。
【0032】
本発明の別の態様によれば、カートリッジを本体から取り外すステップを含む、電子タバコを取り外す方法が提供される。
【0033】
本発明の更に別の態様によれば、電子タバコで使用するカートリッジが提供され、カートリッジは、液体貯蔵部と、気化可能媒体を気化するために、電子タバコの本体内において気化用光源によって放出される放射線によって加熱される吸収体と、カートリッジが本体に取り付けられているときに、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を可能にし、カートリッジが本体から取り外されているときには、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスと、を備える。有効化デバイスは、光エミッタと光学的に結合された光入射面と、吸収体と光学的に結合された出射面とを有する光ガイドである。光入射面は、好ましくはテーパ角を有する。
【0034】
本発明の更に別の態様によれば、電子タバコの本体が提供され、本体は、気化可能媒体を気化させるために、カートリッジ内の吸収体に向けて放射線を放出する気化用光源と、カートリッジが本体に取り付けられているときに、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を可能にし、カートリッジが本体から取り外されているときには、気化用光源から吸収体への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0035】
ここでは、図面を参照して、例示として、本発明の実施形態について説明する。
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態における電子タバコの分解図である。
【
図2】本発明の一実施形態における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図3a】本開示の一態様における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図3b】本発明の別の実施形態における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図4a】本開示の一態様における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図4b】本発明の別の実施形態における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図5a】本開示の一態様における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図5b】本発明の別の実施形態における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図6a】本開示の一態様における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図6b】本発明の別の実施形態における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図7a】本開示の一態様における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図7b】本発明の別の実施形態における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【
図8】本発明の別の実施形態における電子タバコのカートリッジおよび本体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書で使用する場合、「吸入器 (inhaler)」又は「電子タバコ (electronic cigarette)」という用語は、喫煙用のエアロゾルを含む、エアロゾルをユーザに送り込むように構成されている電子タバコを含みうる。喫煙用のエアロゾルは、0.5~7マイクロメートルの粒径のエアロゾルを指しうる。粒径は、10または7マイクロメートル未満であってもよい。電子タバコは携帯可能でありうる。
【0038】
図1を参照すると、電子タバコ2が示されている。電子タバコ2は、刻みタバコを含む従来のタバコの代替品として使用されうる。図で分かるように、電子タバコ2は細長い本体4を備える。交換可能なカートリッジ20は、本体4の遠位端部に接続可能なように構成されている。したがって、カートリッジ20は使い捨てユニットとして構成され、一方の本体4は再利用可能なように構成されうる。
【0039】
カートリッジ20は、マウスピース6と、気化可能液体を貯蔵するためのリザーバ8とを備える。気化可能液体は、可視蒸気を生成することができるプロピレングリコールまたはグリセリンを含みうる。気化可能液体は、ニコチンおよび香料などの他の物質を更に含みうる。リザーバ8は、気化チャンバ12からマウスピース6まで延びる中央空気流ボア9の周りに形成された環状形状を有しうる。マウスピース6は、蒸気出口31を有し、ユーザの口の人間工学に対応する先端形状を有しうる。
【0040】
電子タバコ2の本体4は、電池などの電源5、電子制御回路、および気化用光源14を含む。光源14は、例えば、レーザー14または高出力LEDでありうる。光源14は、電池5に電気的に接続されている。一実施形態において、レーザーダイオードが設けられてもよい。これらは、コンパクトな寸法において高効率を提供できるため選択されている。放出される光の典型的な波長は、785nm~1064nmの範囲にある。マルチモードレーザーは、より高い出力を提供でき、典型的には低コストで利用可能であるため好ましい。しかしながら、シングルモードレーザーを使用することもできる。
【0041】
レーザーの代替として、発光ダイオード(LED)を使用することが可能である。高出力LEDは、近赤外線(850nm)および紫外線(405nm)であることが知られている。LEDは通常、レーザーと比較して広い放出角度に対処するために、ビーム成形用の光学構成要素の追加を必要とする。
【0042】
カートリッジ20は、電子タバコ2内において交換可能なように構成されている。使用中、本体4上の突起17がカートリッジ20内の収容部分36内に収容されるように構成されている。カートリッジ20は、ほんの数例として、スナップロック、バヨネット取り付け(bayonet-fit)、ねじ接続、あるいは磁気結合を使用して、本体4に取り付けられうる。
【0043】
交換可能なカートリッジ20は、好ましくは単一の構成要素として作られた外部ハウジング26を有する。ハウジング26の材料は、例えば、単一のユニットとして成形するのが容易な金属、ガラス、またはプラスチックでありうる。外部ハウジング26は一般に、透明な部分を有し、ユーザがリザーバ8内に残っている液体の量を見ることを可能にしている。
【0044】
カートリッジ20内の収容部分36は、本体の突起17を収容するように構成されている。収容部分36は、好ましくは突起17の外周形状に対応する形状を有する。突起17は、摩擦嵌めによって収容部分36内にぴったりと保持されうる。代替として、突起17と収容部分36との間のねじ込み嵌合によって、それらの間の固定した取り付けが提供されてもよい。
【0045】
突起17は、収容部分36の内側表面に対して封止される。シール(図示せず)は、アトマイザハウジング26に沿って液体が漏れることを防止する。少なくとも1つの環状シールを、収容部分36の内側円周上に設けることができる。環状シールは、少なくとも1つのOリングとして設けることができる。
【0046】
図2~
図8で分かるように、電子タバコ2は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときのみ、気化用光源14から吸収体10への放射線の伝播を可能にするように構成された有効化デバイスを更に備える。
【0047】
図2、
図3b、
図4b、
図5b、
図6b、
図7b、および
図8で分かるように、有効化デバイスは、光源14からの光を吸収体10に結合させるように構成された光ガイド16を備える。
図8を除く全ての図で分かるように、光源(レーザー14)は、カートリッジ20と本体4とが互いに接続されているときのみ、電子タバコ2の軸方向に光を伝達する。
図8に示す実施形態では、有効化デバイスは光ガイド16も備えるが、光源14は、電子タバコ2の軸方向に光を伝達することができる。ただし、別個のゲート64が設けられる。ゲート64は、カートリッジ20が接続されていないときに、光の伝達を回避するための遮蔽体として機能しうる。
【0048】
図2で分かるように、有効化デバイスは、光源14から水平方向に入射する光を受け取るように構成された光ガイド16のみを備えることができ、光ガイド16の軸方向に吸収体10に向けて光を反射することができる。光ガイド16に加えて又は代替として、
図3~
図7で分かるように、有効化デバイスは、カートリッジ20が本体4から取り外されているときに、気化用光源14を電気的に無効化するように構成された認証デバイスまたはスイッチデバイスを備えることができる。
【0049】
図2を参照すると、カートリッジ20は、リザーバ8に流体的に接続された気化チャンバ12を含む。リザーバ8内の液体は、吸収体10に向かって流れうる。この例示的な実施形態では、吸収体10は、部分的にリザーバ8内に位置しているが、吸収体10を別個に設け、液体チャネルによって流体的に接続されてもよい。気化可能液体は、毛細管効果によって吸収体10に向かって流れるように構成されうる。重力が気化可能液体の流れを促進してもよく、および/またはポンプ(図示せず)が存在してもよい。
【0050】
吸収体10は、気化チャンバ12内において光ガイド16の端面18上に設けられている。吸収体10は、この構成において2つの独立した機能を実行することができる。第1に、吸収体10は、リザーバ8からの液体を吸収することができる。第2に、吸収体10は、レーザー14によって放出された放射線を吸収することができ、それにより、吸収体10の材料が加熱される。吸収体10から気化可能液体へと熱を移動させることができ、それにより気化可能液体が気化される。光吸収特性を有するが液体吸収特性を有しない吸収体10、例えば金属メッシュまたは多孔質金属ディスクが設けられてもよい。
【0051】
カートリッジ20は、気化チャンバ12内に位置する、空気入口と空気出口との間に延びる空気チャネルを更に備える。好ましくは、気化チャンバ12内の少なくとも1つの空気出口は、吸収体10の上方に位置している。空気入口(図示せず)が設けられ、蒸気出口31は、マウスピース6の中央の穴として設けられる。
【0052】
カートリッジ20は中央ボア9を含み、その中に光ガイド16が部分的に収容される。光ガイド16は、約1.5の屈折率を有する、ガラスなどの光学的に透明な材料で作られている。光ガイド16は、カートリッジ20の基部22の下に突出するように構成されている。
【0053】
光ガイド16は、カートリッジ20の長手方向軸および電子タバコ2の長手方向軸Aと一致する主軸を有する。光ガイド16は、レーザー14からの光を結合させて光ガイド16の中へと入れるように構成された下側結合面19を有する。光ガイド16の端面18は、光を結合させて吸収体10に向けるように構成された上側結合面である。光ガイド16の端面18は、カートリッジ20内の気化チャンバ12の基部を効果的に封止する。好ましくは、光ガイド16は、細長い円筒形状を有する。
【0054】
レーザー14は、本体4内の制御エレクトロニクス21に接続され、制御エレクトロニクスは、レーザーの動作を制御することができる。レーザー14は、電子タバコ2の長手方向軸に直交する方向に放射線を放出するように向けられている。
【0055】
カートリッジ20が交換されるとき、カートリッジ20は本体4から取り外されうる。カートリッジ20は手で取り外すことができる。次いで、新しいカートリッジ20または補給されたカートリッジ20が、その場所に挿入されうる。吸収体10は、光ガイド16と共にカートリッジ20内に組み込まれているので、交換作業中に、これらの構成要素の一方が他方に損傷を与えるリスクはない。
【0056】
カートリッジ20が本体4から取り外されているとき、レーザー14は、放出された放射線を吸収するように構成されたビームダンプ23に向けられている。接続されたカートリッジ20が存在しない状態でレーザー14を作動させた場合、放出された放射線は安全に吸収されうる。レーザー14によって放出された潜在的に有害な放射線にユーザが曝される可能性のある経路は存在しない。したがって、レーザー14は、電子タバコ2の長手方向軸と整列していない方向に光を放出するように構成されている。これは、電子タバコ2の安全性を改善させる点において有利である。
【0057】
カートリッジ20が本体4に取り付けられているとき、光ガイド16はレーザー14に隣接して配置される。レーザー14によって放出された放射線は、電子タバコ2の長手方向軸に平行な下側結合面19を通して伝達される。光ガイド16の下側端部には、電子タバコ2の長手方向軸に対して45度の角度をなす角度付き反射面15が設けられている。レーザー14からの放射線は、角度付き反射面によって反射され、電子タバコ2の長手方向軸に平行な方向に方向転換される。このようにして、光ガイド16は、レーザー14によって放出された放射線を吸収体10に向けて導くことができる。この意味で、光ガイド16は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を可能にし、カートリッジ20が本体4から取り外されているときにはレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスとして機能することができる。
【0058】
使用中、光はレーザー14によって放出される。レーザー光は、透明な光ガイド16内で受け取られ、角度付き反射面15によって吸収体10に向かって反射される。吸収体10は、レーザー14からの光を吸収し、熱を発生させる。同時に、吸収体10は、リザーバ8から気化可能液体を受け取る。吸収体10内の液体は、レーザー光によって生成された熱により気化する。気化チャンバ12内で生成された蒸気は、空気流で運ばれてマウスピース6の中央蒸気出口31から出て、ユーザによって吸入されうる。
【0059】
吸収体10にて使用するための、いくつかの材料が選択されうる。一般に、吸収体10の材料は、レーザー光に対する放射線吸収体として選択される。レーザー光は、吸収体10内のレーザー光によって吸収され、これによって、気化可能液体を気化させる加熱が引き起されうる。気化可能液体は一般に光学的に透明である。一例において、吸収体10は、多孔質金属ディスクとして提供される。
【0060】
図3aは、本開示の一態様における電子タバコ2の断面図である。この例では、レーザー14は、電子タバコ2の長手方向軸に平行な方向に放射線を放出するように向けられている。カートリッジ20は、その円筒状の収容部分36内にマイクロチップ40を含む。マイクロチップ40の位置に隣接する、本体4の上部には、アンテナ42が設けられている。こうして、カートリッジ20が本体4に取り付けられているとき、アンテナ42はマイクロチップ40に近接している。
【0061】
アンテナ42は、マイクロチップ40の存在または不存在を検出することができる、本体2の制御エレクトロニクス21に接続されている。一例において、マイクロチップ40はRFIDチップとして具体化することができ、これは、アンテナ42に極めて近接しているときにアンテナ42によって検出されうる。制御エレクトロニクス21は、レーザー14による放射線の放出を制御するように構成されている。アンテナ42がマイクロチップ40の存在を検出してカートリッジ20が本体4に取り付けられていることが示されたとき、レーザー14による放射線の放出が有効になる。アンテナ42がマイクロチップ40の不存在を検出してカートリッジ20が本体4から取り外されていることが示されたときは、レーザー14による放射線の放出は無効にされる。この意味で、アンテナ42およびマイクロチップ40は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を可能にし、カートリッジ20が本体4から取り外されているときにはレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスとして機能することができる。これにより、カートリッジ20が本体4に適切に取り付けられていない限り放射線の放出を阻止することにより、電子タバコ4の操作の安全性を改善することができる。
【0062】
マイクロチップ40は、認証情報を記憶することができ、アンテナ42に近接しているときに、この認証情報をアンテナ42を介して通信することができる。制御エレクトロニクス21は、レーザー14による放射線の放出を可能にする前に、要件を満足する認証情報の通信を要求することができる。これにより、アンテナ42による適切な認証情報の検出によって検証されるような真正のカートリッジでのみ本体4が使用されることを確実にすることができる。これにより、消費者に、偽造品からの保護を提供することができる。
【0063】
図3bは、本発明の一実施形態における電子タバコ2の断面図である。
図3bの構成は、カートリッジ20が、
図2の実施形態と同様の方法で吸収体10に光学的に結合された光ガイド16を含むことを除いて、
図3aの構成と同様である。レーザー14は、電子タバコ2の長手方向軸に垂直な方向に向けられている。カートリッジ20が本体4に取り付けられているとき、光ガイド16はアンテナ42にある穴を通って延び、レーザー14に隣接して配置される。レーザー14によって放出された放射線は、電子タバコ2の長手方向軸に平行な下側結合面19を通して伝達される。光ガイド16の下側端部には、電子タバコ2の長手方向軸に対して45度の角度をなして角度付き反射面15が設けられている。レーザー14からの放射線は、角度付き反射面によって反射され、電子タバコ2の長手方向軸に平行な方向に方向転換される。このようにして、光ガイド16は、レーザー14によって放出された放射線を吸収体10に向けて導くことができる。この意味で、光ガイド16は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を可能にし、カートリッジ20が本体4から取り外されているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスとして機能することができる。
【0064】
この構成において、光ガイド16は第1の有効化デバイスとして機能することができ、アンテナ42およびマイクロチップ40は第2の有効化デバイスとして機能することができる。レーザー14から吸収体への放射線の伝播は、カートリッジ20が本体4に適切に取り付けられ、両方の有効化デバイスの条件が満たされた場合にのみ有効になる。
【0065】
図4aは、本開示の一態様における電子タバコ2の断面図である。この例において、レーザー14は、電子タバコ2の長手方向軸に平行な方向に放射線を放出するように向けられている。カートリッジ20は、その円筒状の収容部分36内に永久磁石44を含む。磁石44の位置に隣接する、本体4の上部には、ホール効果センサ (Hall Effect sensor) 46が設けられている。このように、カートリッジ20が本体4に取り付けられているとき、ホール効果センサ46は磁石44に近接している。
【0066】
ホール効果センサ46は、本体2の制御エレクトロニクス21に接続され、磁石44の存在または不存在を検出することができる。ホール効果センサ46が磁石44の存在を検出して、カートリッジ20が本体4に取り付けられていることが示されたとき、レーザー14による放射線の放出が制御エレクトロニクス21により有効になる。ホール効果センサ46が磁石44の不存在を検出して、カートリッジ20が本体4から取り外されていることが示されたとき、レーザー14による放射線の放出は無効にされる。この意味で、ホール効果センサ46および磁石44は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を可能にし、カートリッジ20が本体4から取り外されているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスとして機能することができる。
【0067】
図4bは、本発明の一実施形態における電子タバコ2の断面図である。
図4bの構成は、カートリッジ20が
図2の実施形態と同様の方法で吸収体10に光学的に結合された光ガイド16を含むことを除いて、
図4aの構成と同様である。
【0068】
図5aは、本開示の一態様における電子タバコ2の断面図である。
図5aの実施形態は、ホール効果センサ46の代わりに静電容量センサ54が設けられ、磁石44の代わりに静電容量ターゲット56が提供されることを除いて、
図4aの実施形態と同様である。静電容量センサ54は、本体2内の制御エレクトロニクス21に接続され、静電容量ターゲット56の近接度に基づいてその存在または不存在を検出することができる。
【0069】
図5bは、本発明の一実施形態における電子タバコ2の断面図である。
図5bの構成は、カートリッジ20が
図2の実施形態と同様の方法で吸収体10に光学的に結合された光ガイド16を含むことを除いて、
図5aの構成と同様である。
【0070】
図6aは、本開示の一態様における電子タバコ2の断面図である。この例では、レーザー14は、電子タバコ2の長手方向軸に平行な方向に放射線を放出するように向けられている。本体4の上部は、電子タバコ2の長手方向軸に平行な方向に放射線を射出するように構成されたLED48などの光源48を含む。カートリッジ20の収容部分36には、LEDによって放出された光を本体4のフォトダイオード50に向けて反射するように配置されたミラー52が設けられている。
【0071】
LED48によって放出された光がミラー52で反射されその光の存在がフォトダイオード50によって検出され、カートリッジ20が本体4に取り付けられていることが示されたとき、レーザー14による放射線の放出が制御エレクトロニクス21によって有効になる。LED48によって放出された光がフォトダイオード50によって検出されず、カートリッジ20が本体4から取り外されていることが示されたときには、レーザー14による放射線の放出は無効にされる。この意味で、LED48、ミラー52、およびフォトダイオード50は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を可能にし、カートリッジ20が本体4から取り外されているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスとして機能することができる。LED48およびフォトダイオード50は、電子タバコ2上で起動している時にのみ選択的に有効にすることができる。起動時にのみLED48及びフォトダイオード50を起動させることにより、有効化デバイスは短時間だけ電池の電力を消費する。
【0072】
別の構成において、有効化デバイスは、単にフォトダイオード50を含むだけであってもよい。カートリッジ20が本体4に取り付けられているとき、フォトダイオード50は暗部内に囲まれていてもよい。逆に、カートリッジ20が取り外されているときには、フォトダイオード50は周囲光を検出しうる。制御エレクトロニクス21は、これらの入力を使用して、レーザー14の好適な制御を提供し、フォトダイオード50が周囲光の不存在を検出した場合にのみ放出を可能にしてもよい。
【0073】
この実施形態において、認証情報は、光学コード中に符号化されてカートリッジ20によって提供されてもよい。一構成において、ミラー52は、LED48からの光を反射および変調するように構成されていてもよい。反射光への変調は認証情報を含むことができ、次いで認証情報はフォトダイオード50で検出されうる。認証情報は制御エレクトロニクス21によって使用されて、本体4が真正のカートリッジ20でのみ使用されることを確実にすることができる。代替の構成では、光学コードは、バーコードまたはQRコードとして提供されうる。
【0074】
図6bは、本発明の一実施形態における電子タバコ2の断面図である。
図6bの構成は、カートリッジ20が
図2の実施形態と同様の方法で吸収体10に光学的に結合された光ガイド16を含むことを除いて、
図6aの構成と同様である。光ガイド16は、フォトダイオード50とLED48との間の光路と干渉しないように配置されている。
【0075】
図7aは、本開示の一態様における電子タバコ2の断面図である。この構成では、一対の電気接点ピン58、60が本体4の上部に設けられている。各電気接点ピン58、60は、ピン58、60を本体4の残部から電気的に絶縁するための電気絶縁体である絶縁材料61によって取り囲まれている。カートリッジ20は、導電性の金属板62を含む。電気ピン58、60は、制御エレクトロニクス21に接続された回路内で開放接点を提供する。金属板62は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときのみ、電気ピン58、60の間に電気的接続を提供することによって回路をクローズする。電気ピン58、60および金属板62は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときにクローズし、それ以外の時にはオープンする電気スイッチの構成要素と考えることができる。制御エレクトロニクス21は、スイッチがオープンかクローズかを検出することができ、これを使用して、レーザー14による放射線の放出を制御することができる。
【0076】
スイッチがクローズされ、金属板62が電気接点58、60を共に接続して、カートリッジ20が本体4に取り付けられていることが示されたとき、レーザー14による放射線の放出が制御エレクトロニクス21によって有効になる。スイッチがオープンされ、カートリッジ20が本体4から取り外されていることが示されたときには、レーザー14による放射線の放出は無効にされる。この意味で、電気接点58、60および金属板62は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を可能にし、カートリッジ20が本体4から取り外されているときにはレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスとして機能することができる。
【0077】
別の実施形態において、有効化デバイスは、電気スイッチがオープンである場合にレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を可能にし、電気スイッチがクローズされているときにはレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を阻止するように構成されてもよい。
【0078】
吸収体10が電気回路の一部を形成するように、金属板62が吸収体10に接続されてもよい。電気回路の導電率は、吸収体10内の液体の量に関係してもよい。このようにして、制御エレクトロニクス21は、液体貯蔵部8に残っている液体の量を測定するための間接センサとして、電気回路を流れる電流を監視することができる。
【0079】
電気回路はまた、吸収体10の温度を監視することができる温度検知要素(図示せず)を含みうる。この温度検知要素を制御エレクトロニクス21で使用して、レーザー14によって放出される放射線の量および吸収体10に提供される加熱の量を制御することができる。これは、吸収体10の過熱または燃焼を防止することができる点において有利である。これはまた、液体貯蔵部8に残っている液体の量の間接的な測定値を提供しうる。なぜなら、過熱は、通常は気化可能液体によって提供される冷却効果が存在しないことを示している可能性があるからである。
【0080】
図7bは、本発明の一実施形態における電子タバコ2の断面図である。
図7bの構成は、カートリッジ20が
図2の実施形態と同様の方法で吸収体10に光学的に結合された光ガイド16を含むことを除いて、
図7aの構成と同様である。光ガイド16は、金属板62を貫通して延びている。
【0081】
図8は、本発明の別の実施形態における電子タバコ2の断面図である。この例では、レーザー14は、電子タバコ2の長手方向軸に平行な方向に放射線を放出するように向けられている。レーザー14に隣接してゲート64が設けられている。板ばね66がゲート64に接続され、ばね66はゲート64をクローズ位置に付勢している。クローズ位置では、ゲート64は、放出された放射線から吸収体10を遮蔽するために、レーザー14からの出力を実質的に覆っている。したがって、カートリッジ20が本体4から取り外されているときは、ゲート64はレーザー14を覆うように構成され、それにより、ユーザは潜在的に有害な放射から遮蔽される。
【0082】
この実施形態での光ガイド16は、テーパ状の下側端部を有する。カートリッジ20が本体4に取り付けられているとき、光ガイド16のテーパ状の下側端部は、ゲート64の2つの側面を横方向に移動させてオープン位置にするようにゲート64にあるギャップと係合する。オープン位置では、レーザー14によって放出された放射線を結合させて吸収体10に向けるために、光ガイド16のテーパ状の下側端部はレーザー14からの出力に隣接して配置される。この意味で、光ガイド16およびゲート64は、カートリッジ20が本体4に取り付けられているときにレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を可能にし、カートリッジ20が本体4から取り外されているときにはレーザー14から吸収体10への放射線の伝播を阻止するように構成された有効化デバイスとして機能することができる。
【0083】
代替の構成では、ゲート64は、光ガイド16の形体によって係合することができるテーパ状のエッジを有していてもよい。両方の構成において、カートリッジ20が本体4に取り付けられている間に、光ガイド16が電子タバコ2の長手方向軸に沿って軸方向に移動するにつれて、ゲート64がオープン位置に移動されることが望ましい。
【0084】
上述した任意の実施形態の特徴は、当業者が思いつくであろう任意の組み合わせで、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせることが可能である。