(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】コンデンサ、コンデンサおよびバスバーを含むアセンブリ、ならびにそのコンデンサの製造方法。
(51)【国際特許分類】
H01G 9/008 20060101AFI20221114BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20221114BHJP
H01G 9/08 20060101ALI20221114BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H01G9/008 301
H01G2/02 101E
H01G9/08 D
H01G9/00 290J
(21)【出願番号】P 2020567812
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2019064217
(87)【国際公開番号】W WO2019233898
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】102018113342.1
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーバーン, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ベセ, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ラウチ, デジェー
(72)【発明者】
【氏名】エレケシュ, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】クラグ, オットー
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-012907(JP,A)
【文献】独国実用新案第000029921146(DE,U1)
【文献】特開平08-097089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/008
H01G 2/02
H01G 9/08
H01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取素子と、
第1材料の第1部分(2)および第2材料の第2部分(3)を含む端子(11、12)と、を備えるコンデンサであって、
前記第2材料は前記第1材料とは異なり、前記端子(11、12)の前記第1部分(2)は、前記巻取素子と電気的に接触しており、前記端子(11、12)の前記第2部分(3)は、前記コンデンサの外部接点を提供するように構成さ
れ、
前記第2部分(3)はセルフタッピングねじ(5)を備え、前記第2部分(3)は前記セルフタッピングねじ(5)により前記第1部分(2)に機械的に結合される、コンデンサ。
【請求項2】
前記第1部分(2)は開口部(2a)を備え、
前記第2部分(3)は前記第1部分(2)の前記開口部(2a)に配置される、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第2部分(3)は前記第1部分(2)の前記開口部(2a)の内部に螺入される、請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記巻取素子は前記第2部分(3)に当接しない、請求項
1から3までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第2部分(3)はバスバー(8、13)に接触するように構成される雌ねじ(4)を備える、請求項
1から4までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第2材料は前記第1材料よりも高いヤング率を有する、請求項
1から5までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第1材料はアルミニウムを含む、請求項
1から6までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第2材料は銅または銅合金を含む、請求項
1から7までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記第2材料は被膜により被覆されている、請求項
1から8までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記第2部分(3)は前記第1部分(2)に対して可動であるので、前記端子(11、12)の高さは調整可能である、請求項
1から9までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記コンデンサは、前記第1材料の第1部分(2)および前記第2材料の第2部分(3)を含む第2端子(12)を備え、
前記端子(11、12)の各々は、前記巻取素子から離れる方向を向く上面を含み、前記端子(11、12)の前記上面のそれぞれは同一平面上にある、請求項
1から10までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記コンデンサはカバーディスク(1)を備え、前記端子(11、12)の各々は、前記カバーディスク(1)の開口部に配置される、請求項
1から11までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記カバーディスク(1)は、前記コンデンサのハウジングの一部を形成する、請求項
12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
請求項
1から12までのいずれか1項に記載のコンデンサとバスバーを備え、
前記バスバーは、前記端子(11、12)の前記第2部分(3)に機械的に固定され電気的に接触する、アセンブリ。
【請求項15】
コンデンサを製造する方法であって、
a.巻取素子を、端子(11、12)の、第1材料を含む第1部分(2)に電気的に接触させ機械的に結合するステップと
b.前記巻取素子および前記端子(11、12)の前記第1部分(2)を含浸するステップと、
c.前記端子(11、12)の、前記第1材料とは異なる第2材料を含む第2部分を、前記端子(11、12)の第1部分(2)に電気的に接触し機械的に結合するステップと、を備
え、
前記第2部分(3)はセルフタッピングねじ(5)を備え、前記第2部分(3)は前記セルフタッピングねじ(5)により前記第1部分(2)に機械的に結合される、コンデンサの製造方法。
【請求項16】
前記コンデンサは2つ以上の端子(11、12)を備え、各端子(11、12)は、第1部分(2)と前記第1部分(2)に固定された第2部分(3)とを備え、前記第2部分(3)の各々は、前記巻取素子から離れる方向を向く上面を備え、
d.前記第2部分の前記上面が前記第1部分と同一平面をなすように、前記第2部分の各々の位置を調整するステップ、を備える請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサ、当該コンデンサおよびバスバーを含むアセンブリ、ならびにそのコンデンサの製造方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサの端子とバスバーの間の表面接触の設計、品質、および耐久性は、特に容積電力密度を増加させる回路設計における、アルミニウム電解コンデンサのリプル電流定格の主要な制限因子として注目されている。湿式アルミニウム電解コンデンサの電気化学的性質により、端子の内部接点の材質が決定される。湿式アルミニウム電解コンデンサの場合、端子は高純度アルミニウムで構成される必要がある。ただし、この材料は、機械的強度が低く、その表面粗さが低く、気候に起因する酸化及び表面腐食に対する脆弱性があるため、外部接点には適していない。
【0003】
更に、他のタイプのコンデンサでは、巻取素子への端子の内部接点と、バスバーに接続されるように構成された端子の外部接点と、についても異なる要件があります。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、改良されたコンデンサ、例えば、これらの要件を少なくとも部分的に満たすように構成されたコンデンサを提供することである。本発明のさらなる目的は、コンデンサの改良された製造方法を提供することである。
【0005】
前述の目的は、独立請求項の主題によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンデンサは巻取素子と端子とを備える。端子は、第1材料の第1部分と、第2材料の第2部分とを含み、第2材料は第1材料と異なる。端子の第1部分は巻取素子に電気的に接触しており、端子の第2部分はコンデンサの外部接点を提供するように構成される。
【0007】
第1部分は、第1材料を含み得るか、または第1部分は、第1材料からなり得る。第2部分は、第2材料を含み得るか、または第2部分は、第2材料からなり得る。
【0008】
第1部分の第1材料は、巻取素子への内部接続のために最適化した選択をすることができる。特に、コンデンサは、アルミニウム電解コンデンサ、より具体的には湿式アルミニウム電解コンデンサであり得る。この場合、第1材料はアルミニウムであり、好ましくは、99.5%を超える純度のアルミニウムを含み得る高純度アルミニウムである。
【0009】
第2部分の第2材料は、外部接点の要件に合わせて最適化できる。特に、第2部分の材料は、より高い機械的強度を有することができ、従って、より大きい取り付けトルクに耐えることができる。バスバーを端子にねじ止めで固定する場合、この接続部の強度は、適用される締め付けトルクによって決まる。第1材料は、比較的小さな締め付けトルクにしか耐えられない場合がある。しかし、第2材料は、より大きな締め付けトルクに耐えることができ、それによって、バスバーを端子により強く固定することができる。ねじ締めトルクが大きいほど、バスバーと端子間の接触抵抗が減少する。接触抵抗が減少すると、コンデンサのリプル電流能力が向上する。
【0010】
機械的に柔らかい材料を外部接点に用いると、ねじ山の寸法を制限し、そして許容締め付けトルクを制限する。硬質の第2材料を提供することによって、この欠点を克服することができる。
【0011】
単一材料からなる端子は、端子材料が内部接点に適した材料、特にアルミニウム電解コンデンサ用の高純度アルミニウムに限定される。本発明によるコンデンサは、バスバーへの接点の要件、例えば、最大許容リプル電流負荷を増加させることを考慮して、第2材料を選択して提供することを可能にする。
【0012】
第2材料は、その高精度な機械加工により、第1材料と比較して表面粗さを低減することができる。
【0013】
さらに、第2材料は、例えば、湿度、高pHまたは低pHなどの様々な気候条件において、第1材料よりも表面腐食を受けにくい材料とすることができる。酸化性腐食プロセスは、コンデンサの耐用年数の間に接触面に到達し貫通する可能性があり、これは、コンデンサの許容されるリプル電流能力をさらに悪化させ得る。第2材料を適切に選択することにより、接触面における酸化性腐食プロセスを防止することができる。第1部分および第2部分は、互いに電気的に接触され、機械的に接続され得る。
【0014】
コンデンサの端子は、外部のバスバーとコンデンサとの電気的接触を提供するように構成され得る。バスバーは、コンデンサがバスバーに組み付けられるときに、端子の第2部分に直接当接することができる。バスバーは、通常、銅を含む。第2材料は、銅のバスバーの表面に接触したときに良好な特性を提供するように選択することができる。銅とアルミニウムとの表面接触は、アルミニウムが酸化する傾向にあるため、接触抵抗が高くなるなどの様々な短所をもたらす。更に、アルミニウムは機械的強度が低く、その結果、バスバーへの表面接触においても問題が生じる。
【0015】
巻取素子は、第1部分と直接機械的に接触してもよい。特に、第1部分は、巻取素子のタブに固定されてもよい。
【0016】
第1部分は、開口部を含み得る。第2部分は、第1部分の開口部に配置され得る。
【0017】
例えば、第1部分は、第2部分を挿入するように構成されたソケットとして形成することができる。また、第1部分の開口部は、ボアホールであり得る。第1部分は、コンデンサの製造工程における含浸工程の前に、巻取素子に固定されるように構成され得る。第2部分は、コンデンサの最終組立工程において第1部分の開口部に配置されるように構成され得る。第2部分は、最終組立工程の後、特に含浸工程の十分に後で、第1部分の開口部に配置されるように構成されてもよい。開口部を含む第1部分を設けることによって、最終製造工程において、第2部分を開口部内に配置することが可能となることは、容易に理解することができる。これは、予め発生して不可避であるコンデンサの端子の共平面性の歪みを、第2部分によりバランスさせて再調整できるという利点を提供する。仮に、端子が予め組み付けられている場合、第2部分を第1部分に対して位置を調整することによって製造公差をバランスさせることはできない。
【0018】
第2部分は、差し込みであり得る。差し込みは、最終組立工程において第1部分の開口部に配置され得る。
【0019】
第2部分は、第1部分の開口部に螺合し得る。第2部分が第1部分にねじ込まれる深さを調整することによって、端子の高さを補正可能であり、これにより、端子の高さを調整し得る。端子の高さは、端子がコンデンサのハウジングから突出する距離として定義され得る。端子の高さは、ターミナルが配置されるハウジングの表面に垂直な方向で測定される。
【0020】
第2部分は、セルフタッピングねじを含み得る。第2部分は、セルフタッピングねじによって第1部分に機械的に接続される。セルフタッピングねじは、第2部分の雄ねじであってもよい。
【0021】
セルフタッピングねじは、第1部分への非常に緊密な接続を提供することができる。第2材料は、第2部分を第1部分に固定するときに、第1材料にねじ溝を切ることができる。これにより、第2材料と第1材料との間に非常に緊密な接続を形成することができ、その結果、第1材料が酸化されにくい。これにより、第1材料の表面に厚い酸化物層が形成されることを防止することができる。
【0022】
セルフタッピング装置は、接触抵抗が小さくなるように非常に緊密な接触を提供することができる。特に、業界標準のM5/M6ねじのスチールねじとアルミニウム端子のねじとの間の接触抵抗よりも、著しく小さい接触抵抗を提供することができる。
【0023】
巻取素子は、第2部分に当接しなくてもよい。第2部分は外部接点としての用途に最適化される。したがって、巻取素子と第2部分との間の直接的な機械的接続は防止されるべきである。
【0024】
第2部分は、バスバーに接続されるように構成された雌ねじを含み得る。特に、雌ねじは、ねじ、好ましくは業界標準のM5/M6ねじのスチールねじを螺合するように構成し得る。バスバーは、銅を含み得る。第2材料は、銅との表面接触に理想的に適している。
【0025】
第2材料は、第1材料よりも高いヤング率を有し得る。したがって、第2材料は、機械的により硬くてもよい。それゆえ、第2材料は、より大きな締め付けトルクに耐えることができる。したがって、バスバーを端子の第2部分に非常に強固に固定することで、低い接触抵抗を提供することができる。
【0026】
第1材料は、アルミニウムを含み得る。第1材料は、高純度アルミニウムであり得る。第1材料は、99.5%を超える純度を有するアルミニウムであり得る。コンデンサは、湿式アルミニウム電解コンデンサであってよい。このようなコンデンサの場合、端子の内部接点は、コンデンサの電気化学的性質から、高純度アルミニウムでなければならない。
【0027】
第2材料は、銅または銅を主成分とする合金からなるか、または含み得る。銅は、アルミニウムよりも著しく強い機械的強度を有する。従って、銅又は銅を主成分とする合金は、アルミニウムと比較すると、接触面におけるバスバーとのより高いリプル電流能力、より高い機械的強度、取り付けトルクの増強及び表面腐食の減少を可能にする。さらに、銅はアルミニウムよりも低い表面粗さで製造することができる。これらの長所は、コンデンサのより低い接触抵抗及びより高いリプル電流能力を有する改良されたコンデンサを提供する。
【0028】
第2部分は、被膜によって覆われ得る。被膜は、第1部分および第2部分の接触面の酸化を防止し得る。被膜は、例えばニッケルを含み得る。被膜は、電解めっきにより形成し得る。第1部分および第2部分は、被膜が省略可能となるほど強く締め付けることができ、その第1部分と第2部分との強い接触により、接触面は酸化されにくくなる。
【0029】
代替的に又は追加的に、第2部分は、補助封入材によって覆われ得る。封入材は、第1部分と第2部分との間の接続をさらに封止する接着剤のような成分であり得る。補助封入材は、第1部分および第2部分の接触面への水分または湿気の侵入を防止することができる。
【0030】
第2部分は、端子の高さが調整可能であるように、第1部分に対して移動可能であり得る。例えば、第2部分を第1部分にねじで固定する場合、端子の高さが所望の値に設定されるように、ねじ接続の深さを調整可能である。第2部分は、組立工程中にのみ、第1部分に対して移動可能であり得る。あるいは、十分に高いトルクが第2部分に加えられた場合、第2部分は、コンデンサに組み付けられた状態で第1部分に対して移動可能であり得る。しかしながら、第1部分および第2部分は、この十分に大きなトルクが非常に強いので、第1部分に対する第2部分の偶発的な動きがないように適応させることができる。
【0031】
コンデンサは、第1材料の第1部分と第2材料の第2部分とを含む第2端子を含み得る。第2端子は、以下で「第1端子」と呼ばれる前述の端子と同じように構成することができる。したがって、第1端子に関して説明したあらゆる機能的および構造的特徴は、第2端子にも適用され得る。第1端子はコンデンサのプラス端子であり得、第2端子はコンデンサのマイナス端子であり得る。また、コンデンサは、上記第1端子と同様に構成される端子をさらに備えてもよい。
【0032】
端子の各々は、端子の上面が同一平面上にある巻取素子とは離れる方向を向く上面を備え得る。各端子の上面は、それぞれの第2部分によって形成され得る。例えば、上面は、第2部分の一部であるプレートによって形成され得る。端子の共平面性は、コンデンサのバスバーへの適正な機械的接続に不可欠である。
【0033】
本発明の第2の態様は、コンデンサおよびバスバーを備えるアセンブリに関する。このコンデンサは、前述のコンデンサであり得る。したがって、前述のコンデンサに関して、または図に関連して記載されたあらゆる構造的および機能的特徴は、アセンブリのコンデンサにも適用され得る。バスバーは、機械的に固定され、コンデンサの端子の第2部分に電気的に接触される。バスバーは、第2部分と直接機械的に接触してもよく、特に、バスバーは、ねじおよびワッシャによって第2部分に固定されてよい。バスバーは、第1部分に当接しなくてもよい。したがって、バスバーと第1材料との間の表面接触は生じず、第1材料は、バスバーに対するコンデンサの接触抵抗を悪化させない。
【0034】
別の態様によれば、本発明は、コンデンサの製造方法に関する。このコンデンサは、前述のコンデンサであってもよい。
【0035】
コンデンサを製造する方法は、
a.巻取素子を、端子(11、12)の、第1材料を含む第1部分(2)に電気的に接触させ機械的に結合するステップと
b.前記巻取素子および前記端子(11、12)の前記第1部分(2)を含浸するステップと、
c.前記端子(11、12)の、前記第1材料とは異なる第2材料を含む第2部分を、前記端子(11、12)の第1部分(2)に電気的に接触し機械的に結合するステップと、を備える。
【0036】
ステップb.は、ステップa.の後に実行され得る。ステップc.は、ステップb.の後に実行され得る。
【0037】
第1部分は、開口部を含み得る。第2部分は、開口部内に配置され得る。第2部分が最終組立工程において開口部内に配置されるので、第2部分は、不可避である製造公差に適応することができる。コンデンサは、複数の端子を備えることができ、各端子は、第1部分と、第1部分に固定された第2部分と、を備える。第2部分の各々は、巻取素子とは離れる方向を向いた上面を備え得る。この方法は、第2部分の上面が同一平面上になるように、第1部分に対する第2部分の各々の位置を調整するステップd.をさらに含むことができる。このステップは、ステップc.と同時に、またはステップc.の後に実行され得る。
【0038】
第2部分は、セルフタッピングねじを備えることができ、第2部分は、セルフタッピングねじによって第1部分に機械的に接続される。セルフタッピングねじは、酸化しにくい非常に緊密な接続を提供することができる。
【0039】
以下、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、最終組立工程の前のコンデンサの一部分を示す。
【
図2】
図2は、コンデンサの端子の第2部分を示す。
【
図4】
図4は、最終組立工程の後のコンデンサの一部分を示す。
【
図5】
図5は、コンデンサと2つのバスバーを含むアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1にコンデンサの一部分を示す。特に、
図1は、最終組立工程の前のコンデンサの製造工程中のコンデンサの一部分を示す。
【0042】
コンデンサは、コンデンサのハウジングの一部を形成するカバーディスク1を備える。さらに、コンデンサは、2つの端子11、12を備え、端子11、12の各々は、カバーディスク1の開口部に配置される。端子11、12は、コンデンサのハウジングの内側に配置された巻取素子を、コンデンサの一部ではない外部のバスバー8、13に電気的に接触させるように構成される。一方の端子11はプラス端子であり、他方の端子12はマイナス端子である。
【0043】
端子11、12の各々は、第1部分2と第2部分3とを備えている。第2部分3は、
図1に示すように、最終組立工程の前には、コンデンサにまだ組み付けられていない。
【0044】
第1部分2は、ソケットを形成する。第1部分2は、開口部2aを含む。特に、開口部2aはボアホールである。第1部分2の開口部2aは、第2部分3を取り付けるように構成されている。第1部分2は、コンデンサのハウジングの内側に面するペン型の突起14をさらに備える。突起14は、巻取素子のタブ15に直接接触するように構成される。
【0045】
第1部分2は、第1材料を含む。第1材料は、低いヤング率を有する。第1材料は、コンデンサの電気化学的性質によって決定される。例えば、湿式アルミニウム電解コンデンサは、高純度アルミニウム、例えば、少なくとも99.5%の純度を有するアルミニウムの内部接点を必要とする。第1材料はアルミニウムである。特に、第1材料は、少なくとも99.5%の純度を有するアルミニウムである。
【0046】
図2は、第1部分2の開口部2aに取り付けられるように構成された第2部分3を示す。第2部分3は、開口部2a内に挿入可能な差し込みである。
図3に、第2部分3の一部分の拡大図を示す。この部分は、
図2において円で示されている。
【0047】
第2部分3は、第1材料よりも高いヤング率を有する第2材料で形成される。第2部分3は、コンデンサの外部接点をバスバー8、13に提供するように構成される。また、組み立てられたコンデンサにおいて、第2部分3は、第1部分2に機械的に固定されて電気的に接続されている。
【0048】
第2部分3はスリーブを形成する。第2部分3は、雌ねじ4と雄ねじ5とを含む。雌ねじ4は、ねじ9を螺合するように構成されており、ここで、第2部分3は、ねじ9およびワッシャ10によってバスバー8、13に固定することができる。
【0049】
雄ねじ5は、第2部分3を端子の第1部分2に機械的に接続するように構成される。雄ねじ5は、セルフタッピングねじである。コンデンサの最終組立工程で、第2部分3は、第1部分2にねじ込まれる。第2材料が第1材料よりも硬いので、第2部分3のセルフタッピングねじ5は、溝7又は第1部分2の内面にねじ山を切る。
【0050】
さらに、第2部分3は、端子の第1部分2とは離れる方向に向く第2部分3の上面を画定する上部プレート3aを備える。第2部分3の上部プレート3aは、コンデンサがバスバー8、13に組み付けられるとき、バスバー8、13に当接する。上部プレート3aは穴を備える。端子がねじ9によってバスバー8、13に固定されると、ねじ9は穴を通り抜けることができる。
【0051】
雌ねじ4と雄ねじ5と上部プレート3aとを有するスリーブの各々は、第2材料を含む。第2材料は、第1材料よりも硬い。第2材料は、第1材料よりも高いヤング率を有する。第2材料は、好ましくは銅であるか、または銅を含む。第2材料は、銅を主成分とする合金であり得る。または、銅を主成分とする合金を含み得る。
【0052】
第2部分3は、コンデンサの外部接点、すなわちバスバー8、13への接点を提供する。第2材料を使用することにより、アルミニウムの外部接点の様々な欠点を克服することができる。
【0053】
バスバー8、13は、通常、銅を含む。第2材料とバスバー8、13の接触面は、バスバー8、13とアルミニウムとの接続よりも高いリプル電流能力を有する。例えば、第2材料が銅または銅を主成分とする合金である場合、銅対銅または銅対銅を主成分とする合金のいずれかの接触面が提供される。これらは、いずれも銅対アルミニウムの接触面のリプル電流能力よりも著しく高いリプル電流能力をもたらし、いずれも銅対アルミニウムの接触面の接触抵抗よりも1桁以上小さい接触抵抗をもたらす。
【0054】
さらに、アルミニウムは非常に酸化されやすい。したがって、厚い酸化物層が、アルミニウムで形成された部品の表面に形成される。第2材料として、酸化しにくい材料が選択される。例えば、銅および銅を主成分とする合金は、アルミニウムと比較して酸化しにくい。したがって、第2材料を用いることにより、端子11、12とバスバー8、13との接触面に厚い酸化物層が形成されることを防止することができる。このような厚い酸化物層は許容リプル電流能力を劣化させると考えられる。第2材料の第2部分3は、アルミニウムに比べて表面腐食が減少することを示している。
【0055】
さらに、第2材料として、アルミニウムよりも高い機械的強度を有する、例えば、アルミニウムよりも高いヤング率を有する材料が選択される。したがって、第2部分3のバスバー8、13への接続は、より高い機械的強度を有し、アルミニウム部品によるバスバー8、13の接続と比較して、大きな取り付けトルクを許容することができる。
【0056】
第2材料は、アルミニウムの表面粗さと比較して表面粗さが減少している。アルミニウム端子の表面粗さは、例えば冷間成形のような最先端の製造方法で作成しても、機械加工により形成した第2材料の表面と比較して劣る。
【0057】
また、第2部分3は、雄ねじ5によって端子の第1部分2に固定されている。雄ねじ5がセルフタッピングであるので、第2部分3を第1部分2へ組み付けるときに、第2部分3と第1部分2との間の非常に緊密な接続を形成することができる。したがって、第2部分3と第1部分2との接触面は、酸化しにくい。第1部分2および第2部分3の接触面には、酸化物層が形成されないか、または少なくとも厚い酸化物層が形成されないので、接触抵抗が著しく増大することはない。
【0058】
第2部分3と第1部分2との接続は、自己密封性があると見なすことができるほど緊密である。換言すれば、第2部分3と第1部分2との接触面の腐食や接触面への水分の侵入を防止する。
【0059】
図4は、コンデンサの最終組立工程が完了した後の、
図1に示されるコンデンサの一部分を示す。第2部分3は、第1部分2の開口部2aの内側に配置されている。
【0060】
図4において、2つの第2部分3は、それぞれの上部プレート3aが同一平面上にあるように配置される。第2部分3を第1部分2に配置することにより、端子の第1部分2の製造公差に応じて調整することができる。例えば、製造公差に適合させるために、一方の第2部分3を他方の第2部分3よりもそれぞれの第1部分2に深くねじ込むことができる。したがって、第2部分3は、端子11、12の共平面性を向上させることを可能にする。第2部分3は、予め生成される、端子11、12の共平面性の避けられない歪みのバランスをとり、再調整することを可能にする。
【0061】
換言すれば、端子11、12は同じ高さを有する。
図4において、端子11の高さはH11として示され、端子12の高さはH12として示される。
【0062】
図5は、前述のコンデンサと2つのバスバー8、13とを備えるアセンブリを示す。バスバー8の一方は、周知のねじ9とワッシャ10によって第1端子11に固定され、ここで、ねじ9は第2部分3の雌ねじ4に螺合される。他方のバスバー13は、第2のねじ9によって他方の端子12に固定されている。バスバー8、13は、第2部分3の上部プレート3a、すなわち第2材料にのみ直接接触している。2つのバスバー8、13は、絶縁体16によって分離されている。
【0063】
さらに、
図5は、巻取素子の一部を示す。特に、巻取素子は、端子の第1部分2の突起14に固定されるタブ15を備える。タブ15は開口を備え、突起14がその開口の内側に配置される。その後、突起14をタブ15にリベット止めし、タブ15を端子11、12に恒久的に固定する。巻取素子、すなわちタブ15は、第1部分2、すなわち第1材料のみに直接接触する。
【符号の説明】
【0064】
1 カバーディスク
2 第1部分
2a 開口部
3 第2部分
3a 上部プレート
4 雌ねじ
5 雄ねじ
7 溝
8 バスバー
9 ねじ
10 ワッシャ
11 端子
12 端子
13 バスバー
14 突起
15 タブ
16 絶縁体
H11 高さ
H12 高さ