(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】エアロゾル前駆体組成物の貯蔵を改善させた電子喫煙物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20221114BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20221114BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021039928
(22)【出願日】2021-03-12
(62)【分割の表示】P 2019037235の分割
【原出願日】2015-01-12
【審査請求日】2021-03-22
(32)【優先日】2014-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレイディ・ランス・ドゥーリー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ベンソン・シアーズ
(72)【発明者】
【氏名】カレン・ブイ・ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ギャリー・エム・ダル
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・エル・ウォルム
(72)【発明者】
【氏名】ウェズリー・スティーブン・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・リー・アルダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エイ・ブリンクリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・グレイ・フリンチャム
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0000638(US,A1)
【文献】米国特許第05037459(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子喫煙物品を組み立てる方法であって、
エアロゾル前駆体流体を保持するように構成された液溜めであって、織布または不織布を備える、前記液溜めを提供することと、
中空の筐体内に前記液溜めを挿入することと、
該挿入の前または後に、前記液溜めに前記エアロゾル前駆体流体を加えることと、を含み、
前記組み立てが、約40%以下の周囲相対湿度下で行われる、方法。
【請求項2】
前記組み立てが不活性雰囲気下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不活性雰囲気がアルゴン雰囲気である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記織布または不織布が約120gsm以上の坪量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記不織布がアセチルセルロースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記液溜めが前記エアロゾル前駆体流体に対して約800重量%~約2,000重量%の飽和能を有し、前記液溜めの飽和能に対して前記液溜めによって保持されるエアロゾル前駆体流体の重量が約80%以下であるような量で、前記エアロゾル前駆体流体が加えられる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙物品などのエアロゾル送達デバイスに関し、より具体的には、かかるデバイスの状況の指示をそのユーザに提供するための手段に関する。本喫煙物品はタバコから作製され得るか、もしくはそれに由来し得るか、または他の方法でタバコを組み込み得る材料を加熱して、ヒトによる消費のための吸入可能な物質を形成するように構成され得る。
【背景技術】
【0002】
多くの喫煙デバイスが、使用のためにタバコの燃焼を必要とする喫煙製品に対する改良案または代替案として、長年に渡り提案されている。これらのデバイスの多くは、紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ喫煙に関連する知覚を、タバコの燃焼に起因する相当量の不完全燃焼及び熱分解生成物を送達することなく、提供するように意図的に設計されている。このために、電気エネルギーを利用して、揮発性材料を気化させるかまたは加熱する、あるいはタバコを顕著な程度まで燃焼させることなく、紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ喫煙の知覚を提供することを試みる、多数の喫煙製品、風味生成器、及び機械的吸入器が提案されてきた。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Robinsonらの米国特許第7,726,320号、2012年3月28日出願の米国特許出願第13/432,406号、2012年6月28日出願の米国特許出願第13/536,438号、2012年9月4日出願の米国特許出願第13/602,871号、及び2012年10月8日出願の米国特許出願第13/647,000号に記載されている背景技術において示されている、様々な代替の喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び熱生成源を参照されたい。
【0003】
煙またはエアロゾル形成用の熱を発生させるために電気エネルギーを用いるある特定のタバコ製品、及び具体的には電子タバコ製品と称されているある特定の製品は、世界中で市販されている。伝統的な種類の紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプの特性の多くに類似する代表的な製品は、Philip Morris Incorporated製のACCORD(登録商標)、InnoVapor LLC製のALPHA(商標)、JOYE 510(商標)、及びM4(商標)、White Cloud Cigarettes製のCIRRUS(商標)及びFLING(商標)、Epuffer(登録商標)International Inc.製のCOHITA(商標)、COLIBRI(商標)、ELITE CLASSIC(商標)、MAGNUM(商標)、PHANTOM(商標)、及びSENSE(商標)、Electronic Cigarettes,Inc.製のDUOPRO(商標)、STORM(商標)、及びVAPORKING(登録商標)、Egar Australia製のEGAR(商標)、Joyetech製のeGo-C(商標)及びeGo-T(商標)、Elusion UK Ltd製のELUSION(商標)、Eonsmoke LLC製のEONSMOKE(登録商標)、Green Smoke Inc.USA製のGREEN SMOKE(登録商標)、Greenarette LLC製のGREENARETTE(商標)、Smoke Stik(登録商標)製のHALLIGAN(商標)、HENDU(商標)、JET(商標)、MAXXQ(商標)、PINK(商標)、及びPITBULL(商標)、Philip Morris International,Inc.製のHEATBAR(商標)、Crown7製のHYDRO IMPERIAL(商標)、及びLXE(商標)、LOGIC Technology製のLOGIC(商標)及びTHE CUBAN(商標)、Luciano Smokes Inc.製のLUCI(登録商標)、Nicotek,LLC製のMETRO(登録商標)、Sottera,Inc.製のNJOY(登録商標)及びONEJOY(商標)、SS Choice LLC製のNO.7(商標)、PremiumEstore LLC製のPREMIUM ELECTRONIC CIGARETTE(商標)、Ruyan America,Inc.製のRAPP E-MYSTICK(商標)、Red Dragon Products,LLC製のRED DRAGON(商標)、Ruyan Group(Holdings)Ltd.製のRUYAN(登録商標)、The Smart Smoking Electronic Cigarette Company Ltd.製のSMART SMOKER(登録商標)、Coastline Products LLC製のSMOKE ASSIST(登録商標)、Smoking Everywhere,Inc.製のSMOKING EVERYWHERE(登録商標)、VMR Products LLC製のV2CIGS(商標)、VaporNine LLC製のVAPOR NINE(商標)、Vapor 4 Life,Inc.製のVAPOR4LIFE(登録商標)、E-CigaretteDirect,LLC製のVEPPO(商標)、ならびにR.J.Reynolds Vapor Company製のVUSE(登録商標)として販売されている。また他の電動エアロゾル送達デバイス、及び具体的にはいわゆる電子タバコとして特徴付けられているデバイスは、商品名、BLU(商標)、COOLER VISIONS(商標)、DIRECT E-CIG(商標)、DRAGONFLY(商標)、EMIST(商標)、EVERSMOKE(商標)、GAMUCCI(登録商標)、HYBRID FLAME(商標)、KNIGHT STICKS(商標)、ROYAL BLUES(商標)、SMOKETIP(登録商標)、及びSOUTH BEACH SMOKE(商標)として販売されている。
【0004】
タバコをいずれの顕著な程度にも燃焼させることなく、燃焼熱源の必要なく、また相当量の不完全燃焼及び熱分解生成物を必ずしも送達することなく、紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ喫煙の知覚を提供するために、電気エネルギーによって発生される熱を用いる喫煙物品を提供することが望ましいであろう。更に、電子喫煙物品製造に対する進歩が望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,726,320号明細書
【文献】米国特許出願第13/432,406号明細書
【文献】米国特許出願第13/536,438号明細書
【文献】米国特許出願第13/602,871号明細書
【文献】米国特許出願第13/647,000号明細書
【発明の概要】
【0006】
本開示は喫煙物品及び関連した構成要素ならびに製造及びパッケージ化方法を提供する。本開示は、具体的には、液溜めへ及び液溜めからの湿気の移動を制御できるデバイス及び方法、具体的にはアセチルセルロースまたは同様の繊維(複数可)から形成されるような、織布または不織布を備える液溜めを提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は電子喫煙物品を提供する。電子喫煙物品は、筐体と、エアロゾル前駆体流体を保持するように構成された筐体内の液溜めとを備えることができる。液溜めは、湿気吸収及び/もしくは吸着を制御する、または追加もしくは代替として湿気放出を制御することにおいて有用である特定の特質を提示する織布または不織布を備えることができる。湿気放出は、具体的には既知のデバイス内で、過剰な液体、具体的には水が、貯蔵または他の取り扱いの間に液溜めから放出され得る結露の形態で発生し得、かかる放出は関連付けられた発熱体の活性化を通じたエアロゾル化に関連しない。筐体内のかかる液体の放出は望ましくない場合があり、電子喫煙物品の1つ以上の構成要素への有害作用につながり得、及び/または筐体からパッケージ内へまたは消費者へなどの周辺環境への漏れにつながり得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、織布または不織布は、液体制御における有用な効果を提供し得る坪量を提示する点で有用であり得る。例えば、本開示に従った液溜めで使用される織布または不織布は、約120gsm以上、具体的には約130以上の坪量を有し得る。更に有用な坪量が、更に本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、織布、不織布、またはそれらの組み合わせの複数の層が利用されてもよく、これらの層の組み合わせは本明細書に記載される坪量を提示する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示に従った喫煙物品内の液溜めは、中空の内部を有する円筒(しかし、本明細書で他の方法で開示されるような、他の形状もまた包含される)として実質的に成形され得る。しかし多様な繊維が、本開示に従った織布または不織布の形成に使用され得、織布または不織布は具体的にはアセチルセルロースを含み得る。本開示に従った液溜めで使用される織布または不織布は、約1mm~約4mmの厚さ(例えば、円筒壁の厚さ)を有し得る。本明細書に記載されるような坪量を有する液溜め布を利用することは、毛管現象の損失を防ぐことに関して有用であり得る。例えば、液体が充填された布が別の材料にごく接近すると、液体は毛管作用を通してその布から他の材料へ流れ得る。液溜めと電子喫煙物品の壁との間などの、毛管現象の損失は、本開示に従って低減され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物(具体的には液体組成物)が限定された含有量で液溜めに適用されることが有用であり得る。液溜めに適用されるエアロゾル前駆体組成物の量は、液溜めの飽和能に関して定義され得る。例えば、本開示のいくつかの実施形態に従う液溜めの材料は、液溜めの最大約2,000重量%、具体的には約800重量%~約2,000重量%の飽和能を有し得る。液溜めの飽和能に対する液溜め内のエアロゾル前駆体流体の重量は、約80%以下または約60%以下であり得る。換言すれば、液溜めは液溜めの飽和能の約80%以下であるエアロゾル前駆体流体の重量で充填され得る。
【0011】
液溜めに加えられるエアロゾル前駆体組成物の含水量を限定することもまた有用であり得る。例えば、本開示に従って液溜めに加えられるエアロゾル前駆体組成物は、約0.1重量%超かつ約15重量%未満である量の水を含み得る。
【0012】
本開示に従った電子喫煙物品は、噴霧器を更に備え得る。いくつかの実施形態では、噴霧器は、2つの対向する端部を有する連続的な細長い芯と、芯と接続し、その略中心点に位置付けられる発熱体と、芯と物理的に接触し、発熱体と電気接続するように位置付けられる導電性端子と、を備え得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、組み合わされた筐体及び液溜めは、カートリッジ本体を画定し得る。したがって、本開示に従った喫煙物品は、電源及び/または制御器を含む第2の筐体を更に備え得る。第2の筐体はしたがって、制御体または電源体を画定し得る。制御体または電源体を画定する第2の筐体は、液溜め(すなわち、カートリッジ本体)を備える筐体に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0014】
更なる実施形態において、本開示に従った電子喫煙物品は、筐体内への空気の流入のために適合された空気入口と、形成されたエアロゾルの流出のために適合された空気出口とを有する筐体であって、入口及び出口がそれらの間に通気道を有する筐体を備え得る。喫煙物品はまた、エアロゾル前駆体流体を保持するように構成された筐体内の液溜めと、液溜めと流体連通している発熱体とを備えることができる。発熱体は、少なくとも部分的に通気道内に位置付けられ得る。更にまた、喫煙物品は空気入口に位置付けられた第1の逆止弁及び空気出口に位置付けられた第2の逆止弁を含むことができる。具体的には、第1の逆止弁及び第2の逆止弁は、空気入口から空気出口への気流の方向にのみ開くように適合され得る。具体的には、第1の逆止弁及び第2の逆止弁は、両方とも一方向逆止弁であり得る。具体的な実施形態において、第1の逆止弁及び第2の逆止弁のうちの少なくとも1つは、閉位置にあるとき液体及びエアロゾルに不透性である封止を形成することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示に従った喫煙物品は、エアロゾル前駆体流体を保持するように構成された液溜めを含む筐体を備え得る。喫煙物品はまた、液溜めから分離された吸収性材料を備えることができる。吸収性材料は、具体的には筐体の内側の壁上の内張りであり得る。いくつかの実施形態では、吸収性内張りは、筐体の第1の端部及び第2の端部の一方または両方にのみ配置され得る。吸収性材料は、筐体内の任意の自由液体、例えば液溜めから漏れ出す任意の液体、または筐体に流入し得る液体蒸気もしくは同様のものを吸収するように適合され得る。具体的には、吸収性材料は親水性の液体、具体的には水を優先的に吸収するように構成され得る。既にエアロゾル前駆体組成物で満たされた液溜めを有する筐体内の、実質的に乾燥した吸収性材料の存在は、筐体に流入する周囲の水蒸気が液溜めよりも吸収性材料によって優先的に吸収され得るという点で有益であり得る。更に、液溜めによる任意の結露は、筐体から漏れ出る、または筐体内で自由に動いて発熱体などの他の部品と接触し得るのではなく、吸収性材料によって吸収され得る。
【0016】
更なる実施形態において、本開示に従ったデバイス内で利用される液溜めは、デバイスの筐体内の層によって封入され得る。例えば、層は液体及び/または袋などの蒸気不透性の容器であり得る。容器は、容器の内側の液溜めから容器の外側の発熱体へ液体を送達するために、そこを通って液体輸送要素が延在することができる封止可能な開口部を含み得る。他の実施形態において、層は液体不透性であるが蒸気浸透性である材料で形成され得る。したがって、液体は、容器を通過することを妨げられ得るが、同伴空気は容器内へ流れることが可能にされ得、空気に同伴された蒸気(例えば、エアロゾル)が容器の外へ流れることが可能にされ得る。
【0017】
更に他の実施形態において、液溜めは、エアロゾル前駆体組成物が収容され、エアロゾル前駆体組成物の放出のために開くことができ、閉じることができる容器、タンク、または同様のものを備えることができる。例えば、弁はエアロゾル前駆体組成物の一定分量の流出を気化の直前にのみ可能にするように提供され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示は電子喫煙物品を組み立てる方法を更に提供することができる。例えば、方法は、エアロゾル前駆体流体を保持するように構成され、織布または不織布を備える液溜めを提供することと、中空の筐体内へ液溜めを挿入することと、該挿入の前または後にエアロゾル前駆体流体を液溜めに加えることとを含むことができる。ある特定の実施形態において、組み立ては規定値未満の周囲相対湿度下で行われ得る。例えば、組み立ては約40%以下の周囲相対湿度下で行われ得る。いくつかの実施形態では、組み立ては不活性雰囲気下で行われ得る。例えば、不活性雰囲気はアルゴン雰囲気などの希ガス雰囲気であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、組み立て方法は筐体の開口端部をキャップと係合することを含み得る。方法は具体的には、そこを通る液体(具体的には水)の通過を防ぐがそこを通るガスまたは蒸気の通過を可能にし得る、筐体とキャップとの間の非気密封止を確立するように、筐体をキャップと圧着することを含み得る。
【0020】
更に別の実施形態において、本開示は電子タバコまたはその構成要素(例えば、カートリッジ本体)のパッケージ化方法を提供する。例えば方法は、織布または不織布を備え、中にエアロゾル前駆体流体を有する液溜めを中に有するカートリッジを提供することと、水蒸気に実質的に不透性である材料で形成された非気密封止された陳列パッケージ内にカートリッジを位置付けることとを含むことができる。様々な実施形態において、パッケージ化方法は以下の条件:非気密封止された陳列パッケージ内のいずれの開口部も水密封止テープで覆われること、乾燥剤が非気密封止された陳列パッケージ内に含まれること、湿度制御デバイスが非気密封止された陳列パッケージ内に含まれ、湿度制御デバイスがパッケージ内の相対湿度を約5%~約50%に維持するように適合されること、及びカートリッジが、非気密封止された陳列パッケージ内に高分子障壁によって封入されること、のうちの少なくとも1つが満たされることを特徴とし得る。高分子障壁を含む実施形態において、障壁は非気密封止された陳列パッケージの内側の内張りであり得る。具体的な実施形態において、高分子障壁はカートリッジを包むブリスターパッケージであり得る。
【0021】
本発明は、以下の実施形態を含むが、これらに限定されない。
【0022】
実施形態1:筐体と、エアロゾル前駆体流体を保持するように構成された前記筐体内の液溜めであって、約120gsm以上の坪量を有する織布または不織布を備える、液溜めと、を備える電子喫煙物品。
【0023】
実施形態2:液溜めが、実質的に中空の内部を有する円筒として成形される、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0024】
実施形態3:織布または不織布がアセチルセルロースを含む、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0025】
実施形態4:液溜めがエアロゾル前駆体流体に対して約800重量%~約2,000重量%の飽和能を有する、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0026】
実施形態5:液溜めの飽和能に対する、液溜めによって保持されているエアロゾル前駆体流体の重量が約80%以下である、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0027】
実施形態6:液溜めの飽和能に対する、液溜めによって保持されているエアロゾル前駆体流体の重量が約60%以下である、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0028】
実施形態7:エアロゾル前駆体流体が約0.1重量%超かつ約15重量%未満である量の水を含む、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0029】
実施形態8:噴霧器を更に備える、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0030】
実施形態9:噴霧器が、2つの対向する端部を有する連続的な細長い芯と、芯と接続し、その略中心点に位置付けられる発熱体と、発熱体と電気接続している導電性端子とを備える、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0031】
実施形態10:織布または不織布が約1mm~約4mmの壁厚を有する、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0032】
実施形態11:電源を含む第2の筐体であって、液溜めを備える筐体に取り外し可能に取り付けられている第2の筐体を更に備える、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0033】
実施形態12:筐体内への空気の流入のために適合された空気入口と、形成されたエアロゾルの流出のために適合された空気出口とを有する筐体であって、入口及び出口がそれらの間に通気道を有する筐体と、エアロゾル前駆体流体を保持するように構成された筐体内の液溜めと、液溜めと流体連通している発熱体と、空気入口に位置付けられた第1の逆止弁及び空気出口に位置付けられた第2の逆止弁のうちの一方または両方とを備える、電子喫煙物品。
【0034】
実施形態13:第1の逆止弁及び第2の逆止弁が空気入口から空気出口への気流の方向にのみ開く、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0035】
実施形態14:第1の逆止弁及び第2の逆止弁が両方とも一方向逆止弁である、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0036】
実施形態15:第1の逆止弁及び第2の逆止弁のうちの少なくとも1つが、閉位置にあるとき液体不透性封止を形成する、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0037】
実施形態16:発熱体が通気道内に少なくとも部分的に位置付けられる、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0038】
実施形態17:筐体内に位置付けられる吸収性材料を更に備える、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0039】
実施形態18:吸収性材料が筐体の内壁の全てまたは一部に沿って内張りを形成する、任意の前述または後述の実施形態の電子喫煙物品。
【0040】
実施形態19:電子喫煙物品を組み立てる方法であって、方法は、エアロゾル前駆体流体を保持するように構成された液溜めを提供すること、織布または不織布を備える液溜めと、中空の筐体内に液溜めを挿入すること、該挿入の前または後エアロゾル前駆体流体を液溜めに加えること、組み立てが約40%以下の周囲相対湿度下で行われることを含む、電子喫煙物品を組み立てる方法。
【0041】
実施形態20:組み立てが不活性雰囲気下で行われる、任意の前述または後述の実施形態の方法。
【0042】
実施形態21:不活性雰囲気がアルゴン雰囲気である、任意の前述または後述の実施形態の方法。
【0043】
実施形態22:織布または不織布が約120gsm以上の坪量を有する、任意の前述または後述の実施形態の方法。
【0044】
実施形態23:不織布がアセチルセルロースを含む、任意の前述または後述の実施形態の方法。
【0045】
実施形態24:前記液溜めが前記エアロゾル前駆体流体に対して約800重量%~約2,000重量%の飽和能を有し、前記液溜めの飽和能に対して前記液溜めによって保持されるエアロゾル前駆体流体の重量が約80%以下であるような量で、前記エアロゾル前駆体流体が加えられる、任意の前述または後述の実施形態の方法。
【0046】
実施形態25:電子タバコのカートリッジのパッケージ化方法であって、方法は、その中に液溜めを有するカートリッジを提供することであって、液溜めがその中にエアロゾル前駆体流体を有する織布または不織布を備える、提供することと、水蒸気に実質的に不透性である材料で形成された非気密封止された陳列パッケージ内にカートリッジを位置付けることとを含み、以下のステップ:非気密封止された陳列パッケージ内の任意の開口部が水密封止テープで覆われるステップ、乾燥剤が非気密封止された陳列パッケージ内に含まれるステップ、湿度制御デバイスが非気密封止された陳列パッケージ内に含まれ、湿度制御デバイスがパッケージ内の相対湿度を約5%~約50%に維持するように適合され、カートリッジが非気密封止された陳列パッケージ内の高分子障壁によって封入されるステップのうちの少なくとも1つが行われる、電子タバコのカートリッジのパッケージ化方法。
【0047】
実施形態26:不織布がアセチルセルロースを含む、任意の前述または後述の実施形態の方法。
【0048】
実施形態27:高分子障壁が、前記非気密封止された陳列パッケージの内側の内張りである、任意の前述または後述の実施形態の方法。
【0049】
実施形態28:高分子障壁がカートリッジを包むブリスターパッケージである、任意の前述または後述の実施形態の方法。
【0050】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下で手短に説明する添付の図面と併せて以下の発明を実施するための形態を読むことから明らかとなるであろう。本発明は、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の任意の組み合わせ、及び本開示に記載されている任意の2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の特徴または要素の組み合わせを含み、これは、かかる特徴または要素が、本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされるか否かに関わらない。この開示は、開示される発明のいずれの分離可能な特徴または要素も、その様々な態様及び実施形態のいずれにおいても、文脈上そうではないことが明確に示されない限り、組み合わせ可能であることが意図されるものとして見られるべきであるように、総合的に読まれることが意図される。
【0051】
本開示を上述の一般用語で説明しているが、必ずしも原寸に比例して描写されていない添付の図面をこれから参照する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本開示の実施形態に従う喫煙物品の実施形態の断面図を示す。
【
図2】本開示の更なる実施形態に従う喫煙物品の実施形態の断面図を示す。
【
図3】本開示の実施形態に従う、液溜め、芯、及び発熱体を含む噴霧器の分解図を示す。
【
図4】本開示に従ったカートリッジの実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示は、これからその例示的な実施形態を参照しながら以下でより完全に説明される。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的及び完全であるように、また当業者に本開示の範囲を十分に伝えるように説明する。実際に、本開示は多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろこれらの実施形態は、本開示が適用できる法的要件を満たすように提供される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈がそうではないことを明確に示さない限り、複数形指示物を含む。
【0054】
本開示は、いわゆる「電子タバコ(e-cigarettes)」などのエアロゾル送達デバイスまたは喫煙物品の説明を提供し、機構、構成要素、特徴、及び方法は多くの異なる形態で具現化してもよく、また多様な物品と関連付けてもよいことが理解されるべきである。
【0055】
これに関連して、本開示は材料を加熱して(好ましくは、材料をいずれの顕著な程度にも熱分解または燃焼させることなく)吸入可能な物質を形成するために、電気エネルギーを使用するエアロゾル送達デバイスの説明を提供し、かかる物品は、「手持ち式」デバイスと見なすのに十分に小型であることが最も好ましい。エアロゾル送達デバイスは、その物品またはデバイスのいかなる構成要素のいかなる相当程度の熱分解または燃焼もなく紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプを喫煙することの知覚(例えば、吸入及び発散習慣、味または風味の種類、感覚刺激性効果、身体的感覚、使用習慣、可視のエアロゾルによって提供されるものなどの視覚的刺激、ならびに同様のもの)の一部または全てを提供し得る。エアロゾル送達デバイスは、タバコの燃焼または熱分解の副生成物に起因するエアロゾルという意味の煙を発生させるのではなく、むしろ、本物品またはデバイスは、本物品またはデバイスのある特定の構成要素の揮発または気化に起因する蒸気(煙様として説明されると見なされるかもしれない可視のエアロゾルと見なされ得るエアロゾル中の蒸気を含む)をもたらし得る。極めて好ましい実施形態では、エアロゾル送達デバイスは、タバコ及び/またはタバコ由来の構成要素を組み込み得る。
【0056】
本開示のエアロゾル送達デバイスはまた、蒸気発生物品、喫煙物品、または薬剤送達物品であることを特徴とし得る。故に、かかる物品またはデバイスは、1つ以上の物質(例えば、風味及び/または薬学的活性成分)を吸入可能な形態または状態で提供するように適合させることができる。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点より低い温度での気相中にある物質)であり得る。あるいは、吸入可能な物質は、エアロゾルの形態(すなわち、ガス中の固体微粒子または液滴の浮遊物)であり得る。簡潔性を目的として、用語「エアロゾル」は、本明細書で使用する場合、可視であるか否か、かつ煙様と見なされ得る形態であるか否かにかかわらず、ヒトの吸引に好適な形態または種類の蒸気、ガス、及びエアロゾルを含むことを意味する。
【0057】
使用中、本開示のエアロゾル送達デバイスは、伝統的な種類の喫煙物品(例えば、タバコに火をつけ吸入することによって用いられる紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ)の使用において個人が用いる物理的行為の多くに供され得る。例えば、本開示のエアロゾル送達デバイスのユーザは、伝統的な種類の喫煙物品に酷似したその物品を持つこと、その物品によって発生されるエアロゾルを吸引するためにその物品の一端を吸うこと、選択された間隔で排煙することなどが可能である。
【0058】
本開示のエアロゾル送達デバイスは、概して、外側本体またはシェル内に提供されるいくつかの構成要素を含む。外側本体またはシェルの全体的設計は様々であり得、エアロゾル送達デバイスの全体的なサイズ及び形状を画定し得る外側本体の形式または構成は様々であり得る。典型的には、紙巻きタバコまたは葉巻の形状に似た細長い本体は、単一の一体型シェルから形成され得るか、あるいは、細長い本体は、2つ以上の分離可能な部品で形成され得る。例えば、エアロゾル送達デバイスは、実質的に管形状であるために従来の紙巻きタバコまたは葉巻の形状に似ている場合がある、細長いシェルまたは本体を備えることができる。一実施形態では、エアロゾル送達デバイスの構成要素の全てが1つの外側本体またはシェル内に収容され得る。あるいは、エアロゾル送達デバイスは、接合され分離可能である2つ以上のシェルで構成され得る。例えば、エアロゾル送達デバイスは、1つ以上の再利用可能な構成要素(例えば、充電式電池、及びその物品の動作を制御するための様々な電子デバイス)を含む外側本体またはシェルを備える制御体を一端に保有し、もう一端では、使い捨ての部分(例えば、使い捨ての風味含有カートリッジ)を含む外側本体またはシェルが、それに取り外し可能に取り付けられ得る。単一シェル型のユニット内または多部品の分離可能なシェル型のユニット内における、構成要素のより具体的な形式、構成、及び配列は、本明細書で提供する更なる開示を踏まえれば明確となる。加えて、様々なエアロゾル送達デバイスの設計及び構成要素の配列は、本開示の背景技術の節に列挙した代表的な製品などの市販されている電子エアロゾル送達デバイスを考慮した上で理解することができる。
【0059】
本開示のエアロゾル送達デバイスは、電源(すなわち、電力源)、少なくとも1つの制御構成要素(例えば、電源から物品の他の構成要素、例えば、マイクロ制御器への電流を制御することなどによる、熱生成のための電力を始動、制御、調節、及び停止するための手段)、発熱体または熱生成構成要素(例えば、「噴霧器」と一般に称される電気抵抗発熱要素または構成要素)、及びエアロゾル前駆体組成物(例えば、「スモークジュース(smoke juice)」、「Eリキッド(e-liquid)」、及び「Eジュース(e-juice)」と一般に称される成分などの、十分な熱が加えられるとエアロゾルを生む能力のある液体)、ならびにエアロゾル吸入のためにエアロゾル送達デバイスを吸うことを可能にする吸い口領域または先端(例えば、画定された気流が、吸う際に、生成されたエアロゾルがそこから引き出されるように物品を通過する)のある組み合わせを備えることが最も好ましい。本開示に従って使用し得るエアロゾル前駆体材料のための例示的な配合は、Zhengらの米国特許公開第2013/0008457号に記載され、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
エアロゾル送達デバイス内の構成要素の整列は様々であり得る。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、ユーザへのエアロゾルの送達を最大化するようにユーザの口元に近接し得る物品の端部の近傍に(例えば、ある特定の状況では、交換可能及び使い捨てであり得るカートリッジ内に)配置され得る。しかしながら、他の構成例が排除されるわけではない。概して、発熱要素は、発熱要素からの熱がエアロゾル前駆体(ならびにユーザに送達するために同様に提供され得る1つ以上の風味剤、薬剤、または同様のもの)を揮発させて、ユーザに送達するためのエアロゾルを形成し得るように、エアロゾル前駆体組成物の十分に近傍に位置付け得る。発熱要素がエアロゾル前駆体組成物を加熱すると、消費者による吸入に好適な物理的形態でエアロゾルが形成、放出、または生成される。前述の用語は、放出する(release)、放出している(releasing)、放出する(releases)、または放出された(released)への言及が、形成する(form)または生成する(generate)、形成している(forming)または生成している(generating)、及び形成された(formed)または生成された(generated)を含むように、置き換え可能であることを意味することに留意すべきである。具体的には、吸入可能な物質は、蒸気もしくはエアロゾルまたはこれらの混合物の形態で放出される。加えて、様々なエアロゾル送達デバイスの構成要素の選択は、本開示の背景技術の節に列挙した代表的な製品などの市販されている電子エアロゾル送達デバイスを考慮した上で理解することができる。
【0061】
エアロゾル送達デバイスは、抵抗加熱、制御システムへの電力供給、インジケータへの電力供給、及び同様のものなど、物品に様々な機能性を提供するのに十分な電流を提供するための電池または他の電力源を組み込む。電源は様々な実施形態を呈し得る。好ましくは、電源は、発熱部材を迅速に加熱してエアロゾル形成を提供し、所望の使用期間中、物品に電力供給するのに十分な電力を送達することができる。電源は、エアロゾル送達デバイスを容易に取り扱うことができるように、エアロゾル送達デバイス内に簡便に納まるようにサイズ決定されることが好ましく、加えて、好ましい電源は、望ましい喫煙体験を損なうことがないように、十分に軽量なものである。
【0062】
エアロゾル送達デバイス100の1つの例示的な実施形態を
図1に提供する。その中で示される横断面に見られるように、エアロゾル送達デバイス100は、機能する関係で永久的または脱着可能に整列させ得る制御体102及びカートリッジ104を備え得る。ねじ式係合が
図1に示されるが、圧入係合、締まりばめ、磁気係合、または同様のものなどの、更なる係合の手段が用いられ得ることが理解される。
【0063】
特定の実施形態において、制御体102及びカートリッジ104の一方または両方は、使い捨てまたは再利用可能と称され得る。例えば、制御体は、交換可能な電池または再充電可能な電池を有してもよく、故に、典型的な電気コンセントへの接続、車の充電器(すなわち、シガーソケットレセプタクル)への接続、及びユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルなどを介したコンピュータへの接続を含む、任意の種類の再充電技術と組み合わせてもよい。例えば、一方の端部にあるUSB接続器及び対向する端部にある制御体接続器を備えるアダプタは、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月15日出願の国特許出願第13/840,264号で開示されている。更に、いくつかの実施形態では、カートリッジは単回使用カートリッジを備えてもよく、これは、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2012年9月5日出願の米国特許出願第13/603,612号に開示されている。
【0064】
例示された実施形態では、制御体102は可変的に整列され得る、制御構成要素106(例えば、マイクロ制御器)、フローセンサ108、及び電池110を含み、外側本体116の遠位端部114で複数のインジケータ112を含み得る。インジケータ112は、種々の数で提供することができ、また異なる形状をとることができ、更には外側本体内の開口部であってもよい(かかるインジケータが存在する場合に音を放つためなど)。例示された実施形態では、触覚フィードバック構成要素101は制御構成要素106に含まれる。したがって、触覚フィードバック構成要素は、振動または同様の使用または状況の触覚触知性指示をユーザに提供するために喫煙物品の1つ以上の構成要素と統合され得る。例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年7月19日出願の米国特許出願第13/946,309号の開示を参照されたい。
【0065】
空気取入口118は、制御体102の外側本体116内に位置付けられ得る。連結器120はまた、制御体102の近位取り付け端部122に含まれ、カートリッジ104が制御体に取り付けられるときに噴霧器または抵抗加熱要素(以下に記載)などのその構成要素との電気接続の容易さを可能にするように、制御体の突起124内に延在し得る。空気取入口118は外側本体116内に提供されているように示されるが、別の実施形態では空気取入口は、例えば、2013年3月15日出願の米国特許出願第13/841,233号で説明されるように、連結器内に提供され得る。
【0066】
カートリッジ104は、エアロゾル送達デバイス100を吸引している間、空気及び同伴蒸気(すなわち、吸入可能な形態にあるエアロゾル前駆体組成物の成分)のカートリッジから消費者への通過を可能にするように、その吸い口130に口側開口部128を有する外側本体126を含む。エアロゾル送達デバイス100は、いくつかの実施形態において実質的に棒状、または実質的に管形状、または実質的に円筒形状であり得る。他の実施形態において、更なる形状及び寸法、例えば長方形のまたは三角形の横断面または同様のもの、が包含される。
【0067】
カートリッジ104は、熱を発生させるように構成された抵抗加熱要素134(例えば、ワイヤコイル)及び液体を送達するように構成された液体輸送要素136(例えば、芯)を備える噴霧器132を更に含む。電流がそれを通して適用されるときに熱を発生させるように構成された材料の様々な実施形態を用いて、抵抗加熱要素134を形成することができる。ワイヤコイルを形成し得る例示的な材料としては、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二珪化モリブデン(MoSi2)、珪化モリブデン(MoSi)、アルミニウムでドープした二珪化モリブデン(Mo(Si,Al)2)、カーボングラファイト、及びセラミック(例えば、正の温度係数を有するセラミック)が挙げられる。上記に加えて、更なる代表的な発熱要素、及び内部で使用するための材料は、Countsらの米国特許第5,060,671号、Deeviらの米国特許第5,093,894号、Deeviらの米国特許第5,224,498号、Sprinkel Jr.らの米国特許第5,228,460号、Deeviらの米国特許第5,322,075号、Deeviらの米国特許第5,353,813号、Deeviらの米国特許第5,468,936号、Dasの米国特許第5,498,850号、Dasの米国特許第5,659,656号、Deeviらの米国特許第5,498,855号、Hajaligolの米国特許第5,530,225号、Hajaligolの米国特許第5,665,262号、Dasらの米国特許第5,573,692号、及びFleischhauerらの米国特許第5,591,368号に記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
発熱要素134の対向する両端にある導電性発熱体端子138(例えば、正及び負端子)は、カートリッジ104が制御体102に接続されるとき、直流が発熱要素を通って流れるように構成され、発熱要素と電池110の電気接続を形成するための適切な配線または回路(図示せず)への取り付けのために構成される。具体的には、プラグ140はカートリッジ104の遠位取り付け端部142に位置付けられ得る。カートリッジ104が制御体102に接続されるとき、電流が電池110から、連結器及びプラグを通って、発熱要素134へ制御可能に流れるように、電気接続を形成するためにプラグ140が連結器120に係合する。カートリッジ104の外側本体126は、カートリッジのこの端部が実質的にそこから突出しているプラグ140で閉じられるように、遠位取り付け端部142を渡り続けることができる。
【0069】
液溜めは、エアロゾル前駆体組成物をエアロゾル化ゾーンに送達するために、液体輸送要素を利用し得る。1つのかかる実施例が
図1に示される。そこで見られるように、この実施形態では、カートリッジ104はカートリッジの外側本体126の内側を取り巻く管の形状に形成された不織繊維の層を備える液溜め層144を含む。エアロゾル前駆体組成物は、液溜め層144内に維持される。液体構成要素は、例えば、液溜め層144によって吸着的に維持され得る。液溜め層144は、液体輸送要素136と流体接続している。液体輸送要素136は、液溜め層144内に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を、毛管作用を通してカートリッジ104のエアロゾル化ゾーン146に送達する。示されるように、液体輸送要素136は、この実施形態で金属製のワイヤコイルの形態である発熱要素134と直接接触している。
【0070】
本開示に従って製造され得るエアロゾル送達デバイスは、電子エアロゾル送達デバイスを形成することにおいて有用な構成要素の多様な組み合わせ包含することができることが理解される。例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる2012年6月28日出願の米国特許出願第13/536,438号に開示されている、電子喫煙物品における複数のエアロゾル化可能な材料の制御可能な送達のための液溜め及び発熱体システムを参照する。更に、2012年9月4日出願の米国特許出願第13/602,871号は、マイクロヒータを含む電子喫煙物品を開示しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
芯に巻き付けられ得る電気抵抗性メッシュ材料のリボンを開示する米国特許公開第2013/0213419号、及び芯の周囲の発熱体コイルを開示し、コイル巻線が各巻線の間に実質的に均一な間隔を有する米国特許公開第2013/0192619号も参照する。本開示に従ったある特定の実施形態において、発熱体は、芯などの液体輸送要素の周りに、種々のピッチで巻かれ得る金属製のワイヤを備え得る。本開示に従って使用され得る例示的な可変ピッチ発熱体は、2013年3月14日出願の米国特許出願第13/827,994号で開示され、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
米国特許公開第2013/0213418号で開示されるように、エラストマー材料で形成され、そこからの液体材料を送り込むために手動で圧縮されるように適合された液体供給液溜めも参照する。本開示に従ったある特定の実施形態において、液溜めは具体的には液体材料を吸収または吸着し得る繊維状のマットまたは管などの繊維質材料で形成され得る。
【0073】
別の実施形態では、カートリッジの実質的に全体が1つ以上の炭素材料から形成されてもよく、このことは、生分解性及びワイヤの欠如という観点で利点を提供し得る。これに関連して、発熱要素は泡状炭素を含んでもよく、液溜めは炭素化布帛を含んでもよく、また黒鉛を用いて電池及び制御器と電気接続を形成してもよい。かかる炭素カートリッジは、いくつかの実施形態でカートリッジの照明を提供するために、本明細書に記載されるような1つ以上の要素と組み合わされ得る。炭素系カートリッジの例示的な実施形態は、全体が参照により本明細書に組み込まれる2012年3月28日出願の米国特許出願第13/432,406号において提供されている。
【0074】
使用中、ユーザが物品100を吸うとき、発熱要素134が作動され(例えば、フローセンサなどを通じて)、エアロゾル前駆体組成物のための構成要素がエアロゾル化ゾーン146内で気化される。物品100の吸い口130を吸うことは、周囲空気が空気取入口118に流入し、連結器120内の中央開口部及びプラグ140内の中央開口部を通過させる。カートリッジ104において、吸われた空気は通気道管150内の通気道148を通過し、エアロゾルを形成するためにエアロゾル化ゾーン146内で形成された蒸気と組み合わされる。エアロゾルは、エアロゾル化ゾーン146から運び去られ、通気道管154内の通気道152を通過し、物品100の吸い口130内の口側開口部128から出る。
【0075】
本開示に従ったエアロゾル送達デバイスの様々な構成要素は、当該技術分野で説明され、市販されている構成要素から選択することができる。本開示に従って使用され得る電池の実施例は、米国特許出願公開第2010/0028766号で説明され、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
排煙起動能力を提供することができる例示的な機構としては、MicroSwitch division of Honeywell,Inc.,Freeport,III製造のModel 163PC01D36のシリコンセンサが挙げられる。本開示に従った発熱回路に用いてもよいデマンド作動式電気スイッチの更なる例は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Gerthらの米国特許第4,735,217号に記載されている。電流調整回路及び本エアロゾル送達デバイスにおいて有用であり得るマイクロ制御器を含む他の制御構成要素の更なる説明は、全てBrooksらの米国特許第4,922,901号、同第4,947,874号、及び同第4,947,875号、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号、及びNguyenらの米国特許第7,040,314号で提供されており、これらの全てはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
発熱体温度、発熱体を通り過ぎた気流、及び発熱体近くの材料を形成しているエアロゾルの存在などのデバイスの状況を監視する手段として、電源から発熱体要素に供給される電力を制御するように構成される制御器を説明する、国際公開第2013/098396号、国際公開第2013/098397号、及び国際公開第2013/098398号、も参照する。具体的な実施形態において、本開示は、制御体内のマイクロ制御器及びカートリッジ構成要素内のマイクロ制御器または他の電子構成要素の通信などを通して、状況インジケータを監視するように適合された多様な制御システムを提供する。
【0078】
エアロゾル前駆体組成物または蒸気前駆体組成物としても参照され得る、エアロゾル前駆体は、1つ以上の異なる構成要素を備え得る。例えばエアロゾル前駆体は、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはそれらの混合物)を含み得る。更なる代表的な種類のエアロゾル前駆体組成物は、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,793,365号、Jakobらの米国特許第5,101,839号、BiggsらのPCT国際公開第98/57556号、及びChemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco,R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体流体は、約0.1%超かつ約15重量%未満の量の水を含み得る。例えば、水は、約1重量%~約15重量%、約2重量%~約14重量%、または約5重量%~約13重量%の量で存在し得る。
【0079】
また更なる構成要素は、本開示のエアロゾル送達デバイス内で利用され得る。例えば、Sprinkelらの米国特許第5,154,192号は喫煙物品で使用され得るインジケータを開示し、Sprinkel,Jr.の米国特許第5,261,424号はデバイスの吸い口と関連付けられ、一吸いすることと関連付けられたユーザの唇の働きを検出し、次いで加熱を誘発し得る圧電センサを開示し、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号は、吸い口を介した圧力降下に応答して加熱負荷アレイへのエネルギー流を制御するための排煙センサを開示し、Harrisらの米国特許第5,967,148号は、挿入された構成要素の赤外線透過率の非均一性を検出する識別装置、及び構成要素がレセプタクルに挿入されると検出ルーチンを実行する制御器を含む喫煙デバイス内のレセプタクルを開示し、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号は、複数の差動移相を持つ規定の実行可能な電力サイクルを説明し、Watkinsらの米国特許第5,934,289号は、フォトニックオプトロニック構成要素を開示し、Countsらの米国特許第5,954,979号は、喫煙デバイスを通る吸引抵抗を改変するための手段を開示し、Blakeらの米国特許第6,803,545号は、喫煙デバイス内で使用するための特定の電池構成を開示し、Griffenらの米国特許第7,293,565号は、喫煙デバイスと共に使用するための様々な充電システムを開示し、Fernandoらの米国特許第8,402,976号は、充電を促進し、デバイスのコンピュータ制御を可能にする喫煙デバイスのためのコンピュータインターフェーシング手段を開示し、Fernandoらによる米国特許出願公開第2010/0163063号は、喫煙デバイスのための識別システムを開示し、Tuckerらの米国特許第2013/0213418号は、毛細管の加熱を通したエアロゾル生成のための手段を開示し、Flickの国際公開第2010/003480号は、エアロゾル生成システム内での排煙を示す流体流感知システムを開示し、Greimらの国際公開第2013/102612号は、電子喫煙物品のための充電デバイスを開示し、以上の開示の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。電子エアロゾル送達物品に関連し、本物品に使用され得る材料または構成要素を開示する、構成要素の更なる例としては、Gerthらの米国特許第4,735,217号、Morganらの米国特許第5,249,586号、Ingebrethsenの米国特許第5,388,574号、Higginsらの米国特許第5,666,977号、Adamsらの米国特許第6,053,176号、Whiteの米国第6,164,287号、Vogesの米国特許第6,196,218号、Felterらの米国特許第6,810,883号、Nicholsの米国特許第6,854,461号、Honの米国特許第7,832,410号、Kobayashiの米国特許第7,513,253号、Hamanoの米国特許第7,896,006号、Shayanの米国特許第6,772,756号、Honの米国特許第8,156,944号、Honの米国特許第8,365,742号、Honの米国特許第8,375,957号、Honの米国特許第8,393,331号、Honの米国特許出願公開第2006/0196518号及び同第2009/0188490号、Thorensらの米国特許出願公開第2009/0272379号、Monseesらの米国特許出願公開第2009/0260641号及び同第2009/0260642号、Oglesbyらの米国特許出願公開第2008/0149118号及び同第2010/0024834号、Wangの米国特許出願公開第2010/0307518号、Honの国際公開第2010/091593号、Fooの国際公開第2013/089551号、Dubiefらの国際公開第2013/083631号及び同第2013/083634号、Talonらの国際公開第2013/098396号、Greimらの国際公開第2013/102611号、Tuckerらの米国特許出願公開第2013/0192615号、Liらの米国特許出願公開第2013/0192621号、ならびに2013年3月15日出願の米国特許出願第13/841,233号が挙げられ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。上述の文書により開示された多様な材料は、様々な実施形態での本デバイスに組み込まれ、上述の開示の全てはそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
本物品の使用のこれまでの説明は、小規模の改変を通して本明細書に記載される様々な実施形態に適用することができ、これらは、本明細書で提供される更なる開示に照らせば、当業者にとって明らかであり得る。しかし、上記の使用の説明は、本物品の使用を制限することを意図するものではなく、本開示の全て必要な開示要件に従うために提供される。
【0081】
本開示に従った更なる例示的な喫煙物品200の実施形態は、
図2に示される。そこで示されるように制御体202は、制御構成要素206、フローセンサ208、電池210、及びLED212を備え得る筐体201で形成され得る。カートリッジ204は、吸い上げるように適合された、または他の方法で液溜め内に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を発熱体234に送達する、輸送要素236と流体連通する液溜め244を封入している筐体203で形成され得る。開口部228は、カートリッジ204から形成されたエアロゾルが出ていくことを可能にするために、カートリッジ筐体203内に存在し得る。かかる構成要素は、カートリッジ内に存在し得、本開示によって包含されるカートリッジ構成要素の範囲を限定するように意図されていない、構成要素の代表物である。カートリッジ204は、制御体の突起224とカートリッジレセプタクル240との間の圧入係合を通して制御体202に係合するように適合され得る。かかる係合は、制御体202とカートリッジ204との間の安定した接続を容易にし得、同様に電池210と制御体内の制御構成要素206とカートリッジ内の発熱体234との間の電気接続を確立する。カートリッジ204はまた、集積回路、メモリ構成要素、センサ、または同様のものを備え得る、1つ以上の電子構成要素250を備え得る。電子構成要素250は、制御構成要素206と通信するように適合され得る。
【0082】
様々な実施形態において、本開示は具体的には、液溜めが収容される、例えば喫煙物品(及び具体的にはそのカートリッジ)などの筐体への及び/または筐体からの流体の通過(具体的には水蒸気を含む水)の改善された制御を提供し得る。例えばいくつかの実施形態では、本開示は筐体内の、具体的にはその液溜め内のエアロゾル前駆体組成物の保持力の改善を提供し得、したがって筐体から出る液体の漏れを防ぐまたは低減する。いくつかの実施形態では、本開示は筐体内への湿気(例えば水蒸気)の侵入を、防ぐまたは低減することを提供し得る。いくつかの実施形態では、本開示は、空気からの水蒸気の吸収を通して発生し得るような、液溜め内のエアロゾル前駆体組成物の希釈を防ぐまたは低減することを提供し得る。かかる湿気制御は、喫煙物品それ自体の本質、喫煙物品の製造方法、喫煙物品のパッケージ化方法、及びそれらの組み合わせに関連し得る。
【0083】
図2に戻ると、カートリッジ204は実質的に管形状であり得る。したがって、液溜め244も同様に実質的に管形状(
図3を参照)であり得、液溜め壁245で形成され得る。液溜め244は実質的に棒状、または実質的に管形状または実質的に円筒形状であり得る。したがって、液溜め244は、液溜めがカートリッジ204を形成する筐体内に納まるように適合され得るような、直径を有し得る。液溜め244は、同中心のまたは重なり得る複数の組み合わされた層から形成され得る。例えば液溜め244は、中空の管を形成するように圧延される、材料の連続的なシートであり得る。液溜め244は、織られた材料または不織材料であり得る。例えば液溜め244は、不織材料のマットであり得る。他の実施形態において、液溜め244は実質的に一体型構成要素であり得る。例えば液溜め244は、その長さ及び厚さに渡る組成物内で実質的に連続的な、実質的に中空の管の形態の単一の要素であるように成形または成型され得る。液溜め244は硬質または半硬質であり得る。所望される場合、本開示に従った喫煙物品の1つ以上の追加の構成要素が、液溜め244の中または周りに収容され得る。液溜め244が
図2の喫煙物品のカートリッジ204部分に示されている一方で、当業者は、液溜めがその中に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物の貯蔵及び送達を妨げないように喫煙物品の任意の部分内に位置付けられ得ることを理解するであろう。
【0084】
ある特定の実施形態において、本開示に従った液溜めは、その中空の内側の少なくとも一部が喫煙物品の1つ以上の更なる構成要素を収容するように、成形される及び寸法決めされるような形態で提供され得る。いくつかの実施形態では、用語「成形される及び寸法決めされる」は、中空の内側の壁が、内側が実質的に平坦及び連続的である以外の形状を有する原因となる1つ以上の圧入または突出部を含むことを示し得る。他の実施形態において、液溜めの中空の本質は、空洞または突出部の形成の必要なしに喫煙物品の更なる構成要素の収容を可能にするために十分であり得る。これは具体的には、エアロゾル形成のための十分な空間を提供する一方で、喫煙物品の組み立てのし易さを容易にし得、液溜め体積を最大化し得る。
図3に見られるように、液溜め244の外側表面は、カートリッジ204を形成する筐体の内側表面に合うように適合され得る。液溜め244は、液溜めの中央の空洞246を画定する内表面を有し得る。いくつかの実施形態では、噴霧器の一部が液溜めと流体接続するように噴霧器は中央の空洞246と一緒に位置付けられ得るため、液溜めの内表面は噴霧器300をその中に収容するように成形される及び寸法決めされると特徴付けられ得る。
【0085】
噴霧器300は、発熱体、液体輸送要素、及び導電性端子(これはオプションであり得る)を備え得る。示された実施形態において、液体輸送要素は、連続的な細長い芯309であり、発熱体は、芯と接続し、かつ芯の略中心点に位置付けられている抵抗加熱コイル310である。抵抗加熱コイル310を越えて延在する芯309の一部は、芯の遠位アームとして参照され得る。噴霧器300の導電性端子311は、芯309と接触し抵抗加熱コイル310より遠位であるように位置付けられる。導電性端子311は具体的には、抵抗加熱コイル310より遠位の芯の1つ以上の部分で、芯309と接触していると特徴付けられ得る。示されるように、導電性端子311は芯309の両端を越えて延在する。かかる伸長は必ずしも必要とされない。中空の内部を有する液溜め244の本質を考慮して、噴霧器は喫煙物品の組み立ての間、液溜めの内側に容易に位置付けられ得る。同様に、中空の内側が噴霧器と嵌合するように成形及び寸法決めされ得るため、この組み合わせは容易に組み立てることができ、噴霧器は、芯を液溜めと流体接続するように配置しながら同時に、液溜めとぴったり嵌合し得る。
【0086】
液溜めは、例えばエアロゾル前駆体組成物、具体的にはエアロゾル前駆体流体などの液体製品を貯蔵する能力を維持する一方で、硬質または半硬質の中空の管に形成されることが可能な任意の材料から製造され得る。ある特定の実施形態において、エアロゾル前駆体組成物を維持する能力を提供するために、液溜め材料は吸収性、吸着性、あるいは多孔性であり得る。したがってエアロゾル前駆体組成物は、液溜め材料上で被覆されている、液溜め材料によって吸着される、液溜め材料内に吸収されるとして特徴付けられ得る。液溜めは、1つ以上の輸送要素(例えば芯)と実質的に接触するように喫煙物品内に位置付けられ得る。液溜めは、エアロゾル前駆体組成物を維持し(例えば、吸収、吸着、または同様のものを通して)、抵抗加熱要素への送達のための前駆体組成物の吸い上げを可能にするために好適な任意の材料から製造され得る。
【0087】
液溜め材料は、実質的に管形状などの、適切な構造を形成する及び持続させることに対し、及び喫煙物品の好適な構成要素をその中に収容するために好適である。液溜め材料は、少なくとも抵抗加熱要素によって提供される加熱温度に近接する位置に受容される温度においてその構造的一体性を維持する、例えば低下しない、ように耐熱性であり得る。液溜めのサイズ及び強度は、対応する電子喫煙物品の特徴及び要件に従って様々であり得る。具体的な実施形態において液溜めは、高速の、自動化された製造工程のために好適な材料から製造され得る。ある特定の実施形態において液溜めは、圧延され得るまたは他の方法で管または中空の円筒形状へ形成され得る、織られた繊維状または不織繊維状のマットを備え得る。他の実施形態において、液溜めは成形管または中空の円筒であり得る。
【0088】
1つの実施形態に従って、液溜めは中空のアセテート管を形成するために加工され得るアセチルセルローストウから製造され得る。アセチルセルローストウは、当業者に既知である様々な工程に従って調製され得る。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Yabuneの米国特許第4,439,605号、Nielsenらの米国特許第5,167,764号、及びOzakiの米国特許第6,803,458号に示される工程を参照されたい。典型的には、アセチルセルロースは、木材パルプから精製したセルロースを硫酸の存在下で酢酸及び無水酢酸と反応させることによって、セルロースから得られる。結果として生じる製品は、次いで、制御された部分的な加水分解にかけられ、硬質または半硬質の中空の管を最終的に形成する能力があるアセチルセルロースのための必要とされる特質を発生させるために、硫酸塩及び十分な数の酢酸塩基を除去する。アセチルセルロースは次いで押し出され、回転され、トウへと整えられ得る。アセチルセルロース繊維は、開かれた、圧着された、または連続的なフィラメントであり得る。
【0089】
更なる実施形態においてアセチルセルロースは、紙巻きタバコのためのタバコ煙フィルタを提供するために用いられ得る種類の任意の酢酸塩材料であり得る。好ましくは、アセチルセルローストウまたは集められたアセチルセルロースウェブなどの、伝統的な紙巻きタバコフィルタ材料が使用される。アセチルセルロースの代わりとして使用され得る材料の実施例は、ポリプロピレントウ、集められた紙、再構成されたタバコの成分、または同様のものを含む。好適なフィルタロッド及びしたがって好適な中空の管の液溜めを提供し得る1つのフィルタ材料は、フィラメント当たり3デニール及び40,000総デニールを有するアセチルセルローストウである。別の実施例として、フィラメント当たり3デニール及び35,000総デニールを有するアセチルセルローストウが使用され得る。別の実施例として、フィラメント当たり8デニール及び40,000総デニールを有するアセチルセルローストウが使用され得る。更なる実施例のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Neurathの米国特許第3,424,172号、Cohenらの米国特許第4,811,745号、Hillらの米国特許第4,925,602号、Takegawaらの米国特許第5,225,277号及びArzonicoらの米国特許第5,271,419号に記載されているフィルタ材料の種類を参照されたい。
【0090】
アセチルセルロース繊維は、セルロース、ビスコース、綿、酢酸酪酸セルロース、セルロースプロピオネート、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、活性炭、ガラス繊維、金属繊維、木材繊維、及び同様のものなどの、他の材料と混合され得る。紡糸口金から出てくるアセチルセルローストウの繊維は、本明細書で説明されるような管への後続の加工のため梱に集められ得る「原料のままのトウ」を形成するために、束にされ得る。本開示に従った液溜めでの使用に好適であり得る繊維材料の追加の実施例は、Sebastianらの米国特許公開第2013/0025610号に記載されており、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
アセチルセルロースは、従来のフィルタトウ加工手段を使用して管へと加工及び形成され得る。例えば、中空のアセテート管を生成するために、水蒸気接着処理(steam bonding process)が使用され得る。アセチルセルロースの管を形成するための例示的な工程は、Beardらの米国特許公開第2012/0255569号に見出される。更なる実施形態において、アセチルセルロースは従来のフィルタトウ処理装置を使用して処理され得る。例えば、フィルタトウはバッセルジェット手法またはねじ式ロール(threaded roll)手法を使用してコーティングされ得る。例示的なトウ処理装置は、Arjay Equipment Corp.、Winston-Salem、N.C、により供給されE-60として市販されている。他の例示的なトウ処理装置は、Hauni-Werke Korber & Co.KGからAF-2、AF-3、及びAF-4として、及びInternational Tobacco MachineryからCandor-ITM Tow Processorとして、市販されている。当業者に既知であるような、市販されているトウ処理設備の他の種類が使用され得る。集められた紙、不織ポリプロピレンウェブ、または寸断されたウェブの集められた成分などの、中空の管の液溜めを形成するための代わりの材料は、Pryorらの米国特許第4,807,809号及びRakerの米国特許第5,025,814号に記載されている材料、設備及び技術の種類を使用して提供され得る。加えて、フィルタ材料供給装置及びフィルタ製作装置を動作させるための代表的な様式及び方法は、Bynreの米国特許第4,281,671号、Green,Jr.らの米国特許第4,850,301号、Green,Jr.らの米国特許第4,862,905号、Siemsらの米国特許第5,060,664号、Riversらの米国特許第5,387,285号、及びLanier,Jr.らの米国特許第7,074,170号に記載されている。
【0092】
本明細書に記載されているような中空のアセテート管は、驚くほど能率的な液体の貯蔵容量のために具体的に有用であり得る。1つの実施形態に従って、アセチルセルローストウは、フィラメント当たり約0.5デニール(dpf)以上、約1dpf以上、または約2dpf以上の線形質量密度を有し得る。他の実施形態において、アセチルセルローストウは、約0.5dpf~約20dpf、約0.75dpf~約15dpf、約1dpf~約10dpf、または約2dpf~約6dpfの線形質量密度を有し得る。本開示に従って使用されるアセチルセルロースは、短繊維を含み得る。短繊維は、約0.1インチ~約6インチ、約0.2インチ~約5インチ、または約0.25インチ~約3インチの平均長を有し得る。
【0093】
アセチルセルロースを含む液溜めは、様々な組成物及び様々な様式で形成され得る。具体的な実施形態において、液溜めはアセチルセルロース繊維を含み得る。所望の場合、液溜めは結合剤を含み得る。充填剤(例えば、セルロース)及び異なる材料で形成された繊維もまた使用され得る。液溜めは約70重量%~約99重量%のアセチルセルロース繊維を含み得、本明細書で述べられる重量は乾燥重量基準(すなわち、その中のいかなるエアロゾル前駆体または他の流体なしで)で測定される。より具体的には、液溜めは約75重量%~約98重量%、約80重量%~約97.5重量%、または約90重量%~約97重量%のアセチルセルロース繊維を含み得る。液溜め約1重量%~約30重量%の結合剤を含み得る。より具体的には、液溜めは約2重量%~約25重量%、約2.5重量%~約20重量%、または約3重量%~約10重量%の結合剤を含み得る。特定の実施形態において、本開示に従った液溜めは、約95重量%~約97重量%のアセチルセルロース繊維及び約3重量%~約5重量%の結合剤を含み得る。他の特定の実施形態において、本開示に従った液溜めは、約80重量%~約85重量%のアセチルセルロース繊維及び約15重量%~約20重量%の結合剤を含み得る。結合剤は、開示された液溜めの形成に使用される繊維へ凝集効果を加える材料であることが理解される。例えば結合剤は、繊維が、互いにまたは織られた液溜めもしくは不織液溜め内に含まれる更なる繊維質材料に結合するように、アセチルセルロース繊維を部分的に可溶化する材料であり得る。使用され得る例示的な結合剤は、酢酸ビニル樹脂(PVA)結合剤、デンプン、及びトリアセチンを含む。紙巻きタバコフィルタ製造の当業者は、トリアセチンをかかるフィルタのための可塑剤であると認識し得る。したがって、本開示に従った有用な結合剤の集合と更なる技術分野において可塑剤として認識され得る材料との間に重なりがありうることが理解される。その結果、使用され、結合剤として本明細書に記載される凝集剤は、他の分野で可塑剤であるとして認識され得る材料を包含し得る。更に、紙巻きタバコフィルタの分野でアセチルセルロースのための可塑剤として認識される材料は、結合剤という用語の使用によって本明細書に包含され得る。アセチルセルロース繊維は、様々な断面形状、例えば、丸い、細長い、または複葉(multi-lobal)形状を有し得る。特定の実施形態において、3葉形またはY字形の断面形状を有するアセチルセルロースが使用され得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示に従った不織繊維状のマット液溜めは湿式処理によってまたは乾式処理によって形成され得る。湿式処理を使用するとき、より短い長さ、例えば約0.25インチ~約2インチの範囲内の長さを有するアセチルセルロース繊維を使用するのに有益であり得る。乾式処理を使用するとき、より長い長さ、例えば、約2.5インチ~約3インチの範囲内の長さを有するアセチルセルロース繊維を使用するのに有益であり得る。それぞれの場合、アセチルセルロース繊維を含む結果として生じるマットは、約1mm~約4mm、約1.25mm~約3.5mm、または約1.5mm~約3mmの厚さであり得る。アセチルセルロースマットは、所望の幅にサイズ決定され得る。様々な実施形態において、幅は約10mm~約25mm、約15mm~約24mm、または約20mm~約23mmであり得る。アセチルセルロースマットは、本明細書に記載されるような喫煙物品内への挿入のために好適な外径を有する及び本開示に従ったその中への噴霧器の挿入を可能にするのに好適な内径を有する管へと圧延されるのに好適な長さに切断され得る。圧延されたマットの両端は、突合せ継手を形成し得、または重なり得る。更なる実施形態において、アセチルセルロース組成物は、実質的に管状である形成された形状に成型され得る。成形された中空のアセテート管は、上述の直径方向に対向した溝などの、その内壁へと形成される1つ以上の形状を有し得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、形成されたマットの繊維はからまり得る。例えば、水流絡合法(hydroentangling)及びニードルパンチ法(needle punching)は、それぞれ別々にまたは組み合わせて使用され得る。特定の実施形態において、ニードルパンチ法は、平方インチあたり、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも1,000、または少なくとも1,500ニードルパンチ(NPPSI)で使用され得る。具体的には、約250~約2,500、約500~約2,000、または約750~約1,500NPPSIが使用され得る。
【0096】
1つの実施形態に従って、液溜めは繊維の異なる種類の混合物を含み得る。かかる混合物の形成のために好適な繊維は、アセチルセルロースから形成された繊維、木材パルプ、羊毛、絹、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、及び同様のものを含むが、これらに限定されない。
【0097】
親水性の繊維、具体的にはアセチルセルロースが、エアロゾル前駆体組成物、具体的にはグリセリンなどの多価アルコールを用いて優位に形成される組成物のための液溜めを形成するのに具体的には有用であり得ることが、本開示に従って見出されている。かかる液溜めは、エアロゾル前駆体組成物の改善された貯蔵及び放出を提供し得る。例えばかかる液溜めは、エアロゾル前駆体組成物のより速い充填、喫煙物品の使用中に芯などによって吸われたときのエアロゾル前駆体組成物のより均質な放出、及び液溜め内に充填される必要があるエアロゾル前駆体組成物の総体積の低減を提供し得る。
【0098】
様々な実施形態において、本開示に従った電子喫煙物品によって与えられる改善された湿気制御は、デバイスの本質及びその構造、構造内で使用される材料、及びデバイスを構築する方法に起因し得る。例えば、布が規定の重量基準で提供されるとき、織布または不織布を備える液溜めが、その中に吸収されたまたはその上に吸着された流体の改善された保持力を提供し得ることが見出されている。非限定的な実施形態において、本開示に従った液溜め内で有用な織布または不織布は、約120グラム毎平方メートル(gsm)以上、約125gsm以上、または約130gsm以上の坪量を有し得る。更なる実施形態において、織布または不織布は、約120gsm~約220gsm、約125gsm~約200gsm、または約130gsm~約180gsmの坪量を有し得る。
【0099】
電子喫煙物品内での使用のための液溜めは、具体的には貯蔵の間に水蒸気が周囲空気から取り込まれ得、したがって既にその中に提供されたエアロゾル前駆体組成物を希釈する点で、その固有の吸収性または吸着性の特質に悩まされ得ることが見出されている。いくつかの例において、液溜めによって捕らえる水蒸気の量はその保持容量を超え得、「結露」が、液体が液溜めから喫煙物品を形成する筐体の内側へと放出されるところで発生し得る。デバイスを通した液体のこの動きは、腐食及び起こり得る干渉またはデバイスの電子構成要素との他の相互作用に関する有害作用を有し得る。筐体の本質により、液溜めによって放出された液体は筐体から出ることができ、それは消費者にとって都合の悪いことであり得る。
【0100】
電子喫煙物品内の液溜めのための共通の考慮すべき事柄は、所望の量のエアロゾルを形成するために十分な体積のエアロゾル前駆体組成物を保持する液溜めの能力である。多くの電子喫煙物品の比較的小さいサイズを考慮して、液溜めを含む構成要素のサイズを、絶対的に必要な最大の寸法(例えば長さ及び直径)のみに限定することが典型的に望ましい。本開示に従って認識されているが、しかし、電子喫煙物品の液溜め内の高い坪量の織布または不織布の使用は、液溜めからデバイスの開いた筐体へのエアロゾル前駆体液の損失を防ぐまたは低減するために効果的であり得る。増加した坪量は、液溜めの絶対的な寸法(例えば長さ及び直径)の著しい増加の必要性なしに、より優れた保持容量を提供し得る。
【0101】
加えてまたは増加した坪量の代替として、液体形態にエアロゾル前駆体組成物を維持するための液溜めの能力は、液溜めの表面処理を通じて改善され得る。例えば、液溜めの1つ以上の表面は、そこを通る液体の通過を低減または防ぐために処理され得る。例えば、疎水性の材料が使用され得る。したがって、液体輸送要素は、液溜めからの任意の液体の通過のための唯一のまたは主要な導管を提供し得る。
【0102】
他の実施形態において、液溜めの結露は、織布または不織布に適用されるエアロゾル前駆体組成物の総量を限定することによって低減または除かれ得る。具体的には、液溜め内に貯蔵されるエアロゾル前駆体流体の重量が液溜めの飽和能に対する既定の重量を超えないように、物品は限定され得る。吸収性または吸着性の液溜めは、既定の組成物の液溜めによって維持され得る液体の質量及びそれ以上の量の液体をもはや吸収または吸着できない液溜めを超える質量として定義され得る、飽和能を提示し得る。
【0103】
本開示に従った液溜めとして有用な材料は、本開示に従った有用なエアロゾル前駆体組成物に対して、最大で約2,000重量%、最大で約1,900重量%、または最大で約1,800重量%の飽和能を有し得る。更なる実施形態において、液溜めは約800重量%~約2,000重量%、約900重量%~約1,800重量%、約1,000重量%~約1,700重量%、または約1,200重量%~約1,600重量%の飽和能を有し得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、液溜めの飽和能に対して液溜め内のエアロゾル前駆体流体の重量は約80%以下である。例えば、5gの重量及びエアロゾル前駆体組成物に対して約1,500重量%の飽和能を有する布の液溜めは、最大で約75gのエアロゾル前駆体組成物を保持し得る。飽和能の約80%以下で充填されたかかる液溜めは、約48g以下のエアロゾル前駆体組成物で充填されるであろう。更なる実施形態において、液溜めの飽和能に対して液溜め内のエアロゾル前駆体流体の重量は約60%以下である。したがって、当初は液溜め内に充填されたエアロゾル前駆体流体の重量を限定することによって、貯蔵の間に取り込まれ得る水蒸気の量は、その飽和能に十分に近くまたは越えて液溜めを充填するために不十分であり得、結露または液溜めからの液体の同様の放出の原因となる。
【0105】
本開示に従った芯で使用されるフィラメントは、エアロゾル前駆体組成物の1つ以上の構成要素をフィラメントの長さに沿って送達するために十分な吸い上げ作用を提供する任意の材料で形成され得る。非限定的な実施例は、綿、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸、ガラス繊維、それらの組み合わせ、及び同様のものなどの天然及び合成繊維を含む。芯内で使用され得る他の例示的な材料は、金属、セラミック、及び炭素化フィラメント(例えば、材料の非炭素構成要素を追い払うために焼成を経ている炭素質の材料で形成される材料)を含む。本開示に従って芯として使用され得る例示的な材料は、2013年3月13日出願の米国特許出願第13/802,950号に記載されており、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
具体的な実施形態において、液体送達構成要素として有用な芯は編まれた芯である。編まれた芯は、少なくとも3つの別々の繊維または糸から形成され得る。更に、編まれた芯は、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、または少なくとも16個の別々の繊維または糸で構成され得る。別々の繊維または糸のそれぞれは、組成物内で同一であり得る。あるいは、別々の繊維または糸は、2つ以上の異なる組成物(例えば、綿の糸で編まれた繊維ガラスの糸)で形成される繊維または糸を含み得る。したがって編まれた芯は、複数の合成繊維または糸、複数の天然繊維または糸、少なくとも1つの合成繊維または糸及び少なくとも1つの天然繊維または糸の組み合わせで形成され得る。ある特定の実施形態において、Eガラスが使用され得る。いくつかの実施形態では、Cガラスが使用され得る。
【0107】
編まれた芯は、具体的には鞘芯糸の構成要素として提供され得る。具体的には、第1の芯材料は糸芯を形成し得、及び第2の芯材料は芯を取り囲んで糸鞘を形成し得る。糸鞘及び糸芯は、物理構造の少なくとも1つ及びそこから糸が形成される材料において異なり得る。好ましい実施例において、撚糸は糸芯を備え得、編まれた糸は糸鞘を形成し得る。
【0108】
本開示に従ったデバイスは、湿気の制御において有用な更なる要素を備え得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の機械要素はそのカートリッジなどの電子喫煙物品に含まれ得、障壁を渡る流体の通過を防ぐように適合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示に従った電子喫煙物品は、筐体内への空気の流入のために適合された空気入口と、形成されたエアロゾルの流出のために適合された空気出口を有する筐体であって、入口及び出口がそれらの間に通気道を有する筐体を備え得る。喫煙物品はエアロゾル前駆体流体を保持するように構成された筐体内の液溜め及び液溜めと流体連通している発熱体を更に備え得る。更にまた、喫煙物品は障壁を渡る流体の通過を防ぐように適合され得る1つ以上の弁を含み得る。例えば、第1の逆止弁は空気入口に位置付けられ得、第2の逆止弁は空気出口に位置付けられ得る。
【0109】
本開示に従った、カートリッジ404の一実施形態が
図4に示される。その中に見られるようにカートリッジ404は、制御体の突起(例えば、
図2の要素224を参照されたい)と相互接続するように適合されたその第1の端部で、筐体レセプタクル440を有する筐体403を備える。1つ以上の切欠きが、その第1の端部で空気入口418を形成するために、筐体403内に形成され得る。複数の空気入口418(例えば、1~5つ)が含まれ得る。少なくとも1つの気出口428が、筐体403の第2の対向する端部で提供され得る。示されるように、筐体403は本明細書で他の方法で開示されるような構造を有し得る液溜め444を更に含む。いくつかの実施形態における液溜めは、実質的に円筒であり得る。
図4に見られるように、通気道480は、空気入口418及び空気出口428と相互接続し、円筒の液溜め444の内側開口部を通過する。カートリッジ404はまた、筐体レセプタクル440に隣接して形成され、その端子台を形成する第1の末端壁460を含み得る。第1の末端壁460内には、第1の逆止弁465が形成される。第2の末端壁470は、筐体403の第2の端部の近くに含まれる。第2の末端壁470内には、第2の逆止弁475が形成される。示されるような第1の逆止弁465及び第2の逆止弁475内で、デバイスを通過する気流を指し示す、開位置にある単純なフラップ弁が示される。しかし、ボール弁及び心臓弁などの様々な弁が利用され得る。
【0110】
第1の末端壁460及び第2の末端壁470は、全ての液体(例えば、製造の間に同伴されたエアロゾル前駆体組成物または周囲の水蒸気)をその中に維持するように適合され得るチャンバ490を形成し得る。第1の逆止弁465及び第2の逆止弁475は、具体的には、閉位置にあるとき実質的に液体不透性(具体的には水及び蒸気)である封止を形成するように適合され得る。したがって、液溜め444からの液体の任意の結露または他の損失は、筐体403の第1の端部(例えば、筐体レセプタクル440)または第2の端部(例えば、吸い口430)を通る任意の漏れを禁じるように、チャンバ490内に完全に維持され得る。
【0111】
第1の逆止弁及び第2の逆止弁は、空気入口から空気出口への気流(気流は
図4内で破線矢印で示されている)の方向にのみ開くように適合され得る。したがって、いくつかの実施形態では、第1の逆止弁及び第2の逆止弁のうちの一方または両方は、一方向逆止弁であり得る。更なる実施形態において、第1の逆止弁及び第2の逆止弁のうちの一方または両方は、所望の場合、二方向逆止弁であり得る。本明細書に記載されるようなデバイス内に含めるように好適にサイズ決定される任意の逆止弁が使用され得る。
【0112】
図4に示されるように、カートリッジ404はまた、液体をはかせるように適合される輸送要素436で形成される噴霧器を備え得、または他の方法で液溜め444内に貯蔵されるエアロゾル前駆体組成物を、エアロゾル前駆体組成物を加熱及び気化し、通気道480を流れる空気と混合されたときエアロゾルを形成する発熱体434に送達する。いくつかの実施形態では、発熱体は少なくとも部分的に通気道内に位置付けられ得る。
【0113】
図4に示されるような逆止弁の包含と別にまたは組み合わせて、本開示に従った喫煙物品は吸収性材料を含み得る。好ましくは、吸収性材料は実質的に液溜め444からのエアロゾル前駆体組成物のいずれかを引き出すことなく、任意の自由液体を筐体403内に吸収するように適合される。吸収性材料は、例えば、天然及び/または合成繊維で形成される繊維質材料であり得る。多孔質セラミック及び同様のものがまた、使用され得る。吸収性材料は、筐体403の内側の壁の全てまたは一部上の内張りとして提供され得る。いくつかの実施形態では、
図4に示されるように、吸収性材料は筐体403の第1の端部及び第2の端部のうちの一方または両方にのみ配置され得る。
図4において吸収性材料495は、各々の両端に、しかし第1の末端壁460及び第2の末端壁470の内側に、すなわちチャンバ490内に配置される。
【0114】
本開示は電子喫煙物品の製作方法を更に提供する。いくつかの実施形態では、方法は、織布または不織布を備え得、中空の内部を有する円筒形状で提供され得る液溜めを提供することを含み得る。中空の内側の少なくとも一部分は、喫煙物品の1つ以上の更なる構成要素を収容するように成形される及び寸法決めされ得る。方法は、液溜めの中空の内側に噴霧器を挿入するステップを更に含み得る。噴霧器は、液体輸送要素、発熱体、及び電気的接触を備え得る。方法は、中空のシェル内へ円筒及び噴霧器を挿入するステップ、及び噴霧器を電源に接続するステップを更に含み得る。電源は電池であり得る。液体輸送要素の一部は、液溜めからのエアロゾル前駆体組成物の送達を可能にする流体接続を形成するために、液溜め内に取り付けまたは埋め込まれ得る。噴霧器は、2つの対向する端部を有する連続的な細長い芯を備え得る。芯は、具体的には編まれた芯であり得、及び/またはCガラスを含み得る。噴霧器は、芯と接続し、その略中心点に位置付けられている発熱体を更に備え得る。噴霧器はまた、芯と物理的に接触し、いくつかの実施形態では抵抗加熱要素であり得る発熱体と電気的接触するように位置付けられた導電性端子を備え得る。
【0115】
本開示に従った電子喫煙物品を調製する方法は、湿気制御を改善するように適合され得る。具体的には方法は、液溜めによる空気からの水蒸気(または他の蒸気)の吸収または吸着を、防ぐまたは低減するように適合され得る。かかる方法は、したがって、喫煙物品の使用中に形成されたエアロゾルが、加工の間に液溜めに適用されるエアロゾル前駆体組成物と、組成物内で実質的に同一であることを確実にし得る。それは、吸収されたまたは製造及び輸送を含む加工の間に液溜めによって吸着された過剰な水を用いた、形成されたエアロゾルの希釈を実質的に防ぎ得る。
【0116】
本開示に従ったいくつかの実施形態の方法は、本明細書に記載されるような液溜めを提供することを含み得る。液溜めは具体的にはエアロゾル前駆体流体を保持するように構成され得、液溜めは織布または不織布を備え得る。方法は、中空の筐体内に液溜めを挿入すること、及びエアロゾル前駆体流体を液溜めに加えることを更に含み得る。エアロゾル前駆体組成物は、中空の筐体内に液溜めを挿入する前または後の一方または両方で、液溜めに加えられ得る。筐体はカートリッジ筐体(制御体筐体から分離され得る)であり得る。あるいは筐体は、液溜め及び電源ならびに制御構成要素の一方または両方、の両方を封入する単一の筐体であり得る。好ましくは、本明細書に記載される組み立てステップは、既定の百分率未満に維持される周囲相対湿度下で行われ得る。例えば組み立ては、約40%以下、約35%以下、約30%以下、または約20%以下の周囲相対湿度下で行われ得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、電子喫煙物品またはその構成要素(具体的には液溜めを含むカートリッジ構成要素)の組み立ては、組み立ての間の任意の水蒸気の吸収または吸着を実質的に防ぐように適合された状態下で行われ得る。実質的に吸収または吸着を防ぐことは、液溜めが、液溜めの乾燥重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の、雰囲気からの水を吸収または吸着することを指し示し得る。組み立ての間に任意の水蒸気の吸収または吸着を実質的に防ぐように適合された状態は、不活性雰囲気下で組み立てを行うことを含み得る。非限定的な実施例として、不活性雰囲気はアルゴン雰囲気(または、更なる希ガスなどのような同様のガス)であり得る。
【0118】
更なる実施形態において、湿気制御はデバイスの組み立てのある特定のステップに関して提供され得る。例えばいくつかの実施形態では、本開示に従ったデバイスの組み立ては、中空の筐体の開口端部をキャップ要素または同様の端部部品と係合させることを含み得る。方法は具体的には、筐体端部とキャップの特定の圧着を提供するように適合され得、圧着は、封止の周りへのガスの移動を可能にするが封止の周りで液体、具体的には親水性の液体の通過は防ぐ非気密封止を形成するように適合されている。かかる圧着は、具体的には電子喫煙物品の筐体からの任意の自由液体の漏れを防ぐことにおいて有用であり得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、湿気制御は電子喫煙物品またはその構成要素のパッケージに関して提供され得る。かかるパッケージ化方法は、具体的にはエアロゾル前駆体組成物を貯蔵するように適合される液溜めを備える電子喫煙物品の任意の構成要素に関し得る。例えばパッケージ化方法は具体的には、例えば筐体液溜めを含み、制御体及び/または電源と着脱可能に係合されるように適合されている、電子喫煙物品のカートリッジのパッケージに関し得る。
【0120】
非限定的な実施例において、本開示に従ったパッケージ化方法は、中に液溜めを有するカートリッジ(または他の電子喫煙物品またはその構成要素)を提供することを含み得る。液溜めは、具体的には織布または不織布を備え得、その中にエアロゾル前駆体流体を有し得る。方法は、非気密封止された陳列パッケージ内にカートリッジを位置付けることを更に含み得る。陳列パッケージは、具体的には高分子材料(例えば、熱可塑性材料)、例えばポリカーボネート、ポリエステル、または同様のものなどの、水蒸気に実質的に不透性である材料で形成され得る。非気密封止された陳列パッケージは、パッケージの外側から可視である様式で、喫煙物品を貯蔵するように適合されたパッケージであり得る。パッケージは互いに着脱可能に係合する少なくとも2つの部品を備え、係合は限定されたガスの移動を可能にするがそこを通る液体(具体的には水)の通過は実質的に防ぐように適合される点で、パッケージは非気密封止され得る。
【0121】
パッケージ化方法は更に、湿気制御を提供するように適合された追加のステップを含み得る。例えばいくつかの実施形態では、方法は更に、非気密封止された陳列パッケージ内の任意の開口部を、水密封止テープを用いて覆うことを含み得る。具体的には、水密封止テープは、液体または蒸気の形態での水の移動を防ぐように適合され得る。封止テープは、例えば陳列パッケージを形成する2つの部品の係合によって形成される継手を超えて、適用され得る。本明細書に記載されるような方法で利用され得る例示的な陳列容器が、2013年3月7日出願の米国特許出願第29/447,898号に記載され、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
更なる実施例において、パッケージ化方法は、非気密封止された陳列パッケージ内の挿入を含むことを含み得る。挿入は、パッケージ内の湿気を制御するように適合される材料を含み得る。例えば乾燥剤は、優先的に水蒸気を吸収し、電子喫煙物品の液溜めによる水蒸気の吸収または吸着を実質的に防ぐために挿入に含まれ得る。別の非限定的な実施例において、挿入は所望の範囲内であるパッケージ内の相対湿度を維持するように適合される湿度制御デバイスを備え得る。湿度制御デバイスの実施例はHUMIDIPAK(登録商標)またはBOVEDA(登録商標)の商品名で市販されているものを含む。いくつかの実施形態では、湿度制御デバイスは、パッケージ内の相対湿度を約5%~約50%、約10%~約45%、または約15%~約40%に維持するように適合され得る。
【0123】
更なる実施例において、パッケージ化方法は2重障壁パッケージを提供することを含む。具体的には、電子喫煙物品は非気密封止された陳列パッケージ内の高分子障壁によって封入され得る。例えば、蒸気不透性フィルムなどの高分子障壁は、非気密封止された陳列パッケージの内側を裏打ちし得る。あるいは電子喫煙物品は、高分子の袋の中に包まれまたは他の方法で封止され、非気密封止された陳列パッケージの内側に置かれ得る。また更に、電子喫煙物品はブリスターパッケージによって包まれ、非気密封止された陳列パッケージの内側に置かれ得る。ブリスターパック及び関連するパッケージの実施例は、Seeleyの米国特許第3,610,410号、Hellstromの米国特許第3,689,458号、Geldmacherらの米国特許第3,732,663号、Mahaffyらの米国特許第3,792,181号、Zahuranecらの米国特許第3,812,963号、Hellstromの米国特許第3,948,394号、Driscollらの米国特許第3,967,730号、Kotyukの米国特許第4,120,400号、Woodの米国特許第4,169,531号、Lordahlらの米国特許第4,383,607号、Artusiの米国特許第4,535,890号、Hsiaoの米国特許第5,009,894号、Wyserの米国特許第5,033,616号、Hartmanの米国特許第5,147,035号、Gouldの米国特許第5,154,293号、Parkerらの米国特許第5,878,887号、及びFuchsらの米国特許第6,520,329号に見出すことができ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
前述の実施形態のうちのいずれも、電子タバコ内の望まれない液体の通過を低減するまたは防ぐために有用な他の方法及び材料と組み合わせられ得る。例えば、Thorensらの米国特許出願公開第2013/0306064号及び同第2013/0306065号は漏れ防止具を開示し、及びこれらの文書の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
本開示が関連する当業者であれば、これまでの説明及び関連する図面に提示された教示の助けを借りて、本開示の多数の改変及び他の実施形態を想到するであろう。したがって、本開示は、本明細書に開示した特定の実施形態に限定されず、改変及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲の適用範囲内に含まれるように意図される。本明細書において特定の用語が用いられるが、それらは単に一般的かつ説明的な意味において使用され、限定を目的としない。