(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】部品実装ライン
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20221114BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2021125333
(22)【出願日】2021-07-30
(62)【分割の表示】P 2019185585の分割
【原出願日】2015-08-25
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】飯阪 淳
(72)【発明者】
【氏名】川合 英俊
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-190664(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010084(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給ユニットを取り付け可能な部品供給エリアを有し、前記部品供給ユニットから供給された部品を実装対象物に実装する部品実装機と、
前記部品供給ユニットを複数取り付け可能な保管エリアを有するユニット保管庫と、
前記部品実装機と前記ユニット保管庫との間で移動可能で、前記部品供給エリアと前記保管エリア
に対して前記部品供給ユニットを取り外し及び取り付け可能なユニット交換装置と、
部品実装ライン外から前記部品供給エリアまたは前記保管エリアに前記部品供給ユニットを自動で搬送可能な
、床上走行式の自動搬送装置と、
を備えた部品実装ライン。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装ラインであって、
前記自動搬送装置は、部品実装ラインのうち前記保管エリアにのみ前記部品供給ユニットを搬入出する部品実装ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の部品が収容された部品供給ユニットから部品を採取して基板に実装する部品実装機において、部品供給ユニットを自動で交換可能なものが提案されている。例えば、特許文献1には、部品実装機による部品採取が可能に部品供給ユニットが載置される供給ステーションと、部品実装機に隣接して設けられ複数の部品供給ユニットを保管する保管庫と、保管庫と供給ステーションとの間で部品供給ユニットを入れ替えるローダとを備える構成が開示されている。この構成では、部品切れとなった空の部品供給ユニットが発生すると、空の部品供給ユニットと保管庫内の部品供給ユニットとをローダが入れ替えることで、部品供給ユニットを自動で交換するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装機を複数並べて構成した部品実装ラインに、特許文献1に記載の技術を適用した場合、各部品実装機のそれぞれに対応する保管庫が各部品実装機に隣接して設けられることになる。このため、部品実装ラインの全長が想定以上に長くなってしまう場合がある。また、各部品実装機にそれぞれに対応する保管庫が設けられる場合、各保管庫に対して部品供給ユニットを補給したり回収したりする必要がある。このように、各部品実装機のそれぞれに保管庫が隣接する構成では、却って使い勝手が悪くなることがある。
【0005】
本発明は、部品供給ユニットの保管庫として使い勝手のよいものを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の部品実装ラインは、部品供給ユニットが着脱可能にセットされ前記部品供給ユニットが供給した部品を実装対象物に実装する部品実装機を前記実装対象物の搬送方向に沿って複数並べて構成した部品実装ラインであって、前記部品供給ユニットを複数保管するユニット保管庫と、前記複数の部品実装機に取り付けられている前記部品供給ユニットと前記ユニット保管庫に保管されている前記部品供給ユニットとを交換可能なユニット交換装置と、前記ユニット交換装置を制御する制御装置とを備え、前記ユニット保管庫は、前記複数の部品実装機と同じ並びに設置され、前記制御装置は、前記搬送方向に沿った所定の移動範囲を移動して前記部品供給ユニットの交換を行うよう前記ユニット交換装置を制御することを要旨とする。
【0008】
本発明の部品実装ラインは、部品供給ユニットを複数保管するユニット保管庫が複数の部品実装機と同じ並びに設置されおり、実装対象物の搬送方向に沿った所定の移動範囲を移動して部品供給ユニットの交換を行うようユニット交換装置を制御する。これにより、いずれの部品実装機で使用される部品供給ユニットであっても、部品供給ユニットの補給や回収などの搬入出をユニット保管庫で行えばよい。また、ユニット交換装置がユニット保管庫前面の所定範囲外にあれば、任意のタイミングで部品供給ユニットを搬入出することができる。この結果、使い勝手のよいユニット保管庫を提供することができる。
【0009】
また、本発明の部品実装ラインにおいて、前記ユニット保管庫は、前記複数の部品実装機の並び方向で最も上流側の部品実装機よりも上流位置または最も下流側の部品実装機よりも下流位置に設置されるものとすることもできる。このようにすれば、複数の部品実装機の並びの端となる位置にユニット保管庫が設置されるから、ユニット保管庫への部品供給ユニットの搬入出をさらに容易なものとすることができる。
【0010】
この態様の本発明の部品実装ラインにおいて、前記ユニット保管庫は、前記上流位置または前記下流位置に加えて、前記複数の部品実装機の並びにおける途中の位置にも設置されるものとすることもできる。このようにすれば、部品実装ラインが数多くの部品実装機から構成された長いラインとなっても、ユニット交換装置がユニット保管庫と部品実装機との間で移動する距離が必要以上に長くなるのを防止することができる。
【0011】
また、本発明の部品実装ラインにおいて、前記ユニット保管庫は、前記実装対象物を前記搬送方向に搬送する搬送装置を備えるものとすることもできる。このようにすれば、ユニット保管庫を複数の部品実装機と同じ並びの位置に容易に設置することが可能となる。
【0012】
また、本発明の部品実装ラインにおいて、前記ユニット保管庫は、前記部品実装機に前記部品供給ユニットが着脱可能にセットされる構成と共通の構成を有し、前記ユニット交換装置は、前記部品実装機での前記部品供給ユニットの着脱と前記ユニット保管庫での前記部品供給ユニットの着脱とを同じ機構を用いた共通の動作で行うものとすることもできる。こうすれば、ユニット交換装置の構成が複雑なものとなるのを防止して、部品供給ユニットの着脱を効率よく行うことができる。
【0013】
また、本発明の部品実装ラインにおいて、前記ユニット保管庫は、作業者により前記部品供給ユニットを搬入出可能とされ、前記移動範囲のうち前記ユニット保管庫の正面を含む所定範囲内の作業者の有無を検出する検出器を備え、前記制御装置は、前記検出器が作業者を検出している場合には、前記所定範囲内で移動しないよう前記ユニット交換装置を制御するものとすることもできる。こうすれば、部品供給ユニットの搬入出を行う作業者の安全を確保することができる。
【0014】
この態様の本発明の部品実装ラインにおいて、前記制御装置は、前記検出器が作業者を検出している場合には、前記検出器が作業者を検出していない場合よりも遅い速度で前記所定範囲を除く前記移動範囲内を移動するよう前記ユニット交換装置を制御することもできる。こうすれば、作業者の安全を阻害しない範囲でユニット交換装置を移動させることができる。
【0015】
また、本発明の部品実装ラインにおいて、前記ユニット保管庫は、前記部品実装ラインの外から前記部品供給ユニットを自動搬送する自動搬送装置により前記部品供給ユニットを搬入出可能とされるものとすることもできる。こうすれば、部品供給ユニットの搬入出を自動化して効率のよいものとすることができる。
【0016】
また、本発明の部品実装ラインにおいて、前記部品実装機の実装に関する管理を行う管理装置を、前記ユニット保管庫の設置スペースに配置することもできる。こうすれば、部品実装ライン内のスペースを効率よく利用することができる。
【0017】
また、本発明の部品実装ラインにおいて、前記部品供給ユニットは、前記部品を収容する収容部材を送り出すことにより前記部品を前記部品実装機に供給し、前記部品供給ユニットから前記部品実装機に前記部品が供給された後の前記収容部材の廃材を前記ユニット保管庫の設置スペースまで搬送する廃材搬送装置とを備え、前記ユニット保管庫の設置スペースには、前記廃材搬送装置が搬送した前記廃材を回収する回収容器を配置可能であるものとすることもできる。こうすれば、部品実装ライン内のスペースを効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】部品実装ライン10の構成の概略を示す構成図。
【
図4】交換ロボット50の構成の概略を示す構成図。
【
図5】フィーダ保管庫60の構成の概略を示す構成図。
【
図7】保管エリア情報更新処理の一例を示すフローチャート。
【
図9】フィーダ交換処理の一例を示すフローチャート。
【
図10】交換ロボット移動処理の一例を示すフローチャート。
【
図11】変形例の部品実装ラインの構成の概略を示す構成図。
【
図12】変形例の部品実装ラインの構成の概略を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は部品実装ライン10の構成の概略を示す構成図であり、
図2は部品実装機20の構成の概略を示す構成図であり、
図3はフィーダ30の構成の概略を示す構成図である。また、
図4は交換ロボット50の構成の概略を示す構成図であり、
図5はフィーダ保管庫60の構成の概略を示す構成図であり、
図6は部品実装ライン10の制御に関する構成図である。なお、
図1の左右方向がX方向であり、前後方向がY方向であり、上下方向がZ方向である。
【0020】
部品実装ライン10は、
図1に示すように、基板上にはんだを印刷する印刷機12と、印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査機14と、フィーダ30から供給された部品を基板に実装する複数の部品実装機20と、部品の実装状態を検査する実装検査機(図示省略)と、複数のフィーダ30を保管可能なフィーダ保管庫60と、ライン全体を管理する管理装置80などを備える。部品実装ライン10では、印刷機12と印刷検査機14と複数の部品実装機20とが、この順番で基板の搬送方向(X方向)に並べて設置されている。また、フィーダ保管庫60は、部品実装ライン10のライン内に組み込まれており、複数の部品実装機20のうち基板の搬送方向の最も上流側の部品実装機20と印刷検査機14との間に設置されている。即ち、フィーダ保管庫60は、最も上流側の部品実装機20よりも上流位置に設置されている。本実施形態では、作業者がフィーダ保管庫60にフィーダ30を補給したり、フィーダ保管庫60からフィーダ30を回収したりする。フィーダ保管庫60に対するフィーダ30の補給や回収を、フィーダ30の搬入出ともいう。
【0021】
また、部品実装ライン10は、複数の部品実装機20とフィーダ保管庫60との間でフィーダ30の自動交換を行う交換ロボット50を備える。交換ロボット50は、複数の部品実装機20の前面およびフィーダ保管庫60の前面に基板の搬送方向(X方向)に対して平行に設けられたX軸レール18に沿って移動可能となっている。なお、
図2や
図5では、X軸レール18の図示を省略した。本実施形態では、フィーダ保管庫60および複数の部品実装機20の前方の範囲を3つの範囲に分けて説明する。各範囲は、搬送方向上流側から順に、フィーダ保管庫60の正面とフィーダ保管庫60に隣接する部品実装機20の正面とを含む保管庫前範囲11aと、保管庫前範囲11aに隣接する隣接範囲11bと、隣接範囲11bに隣接して保管庫前範囲11aに隣接しない非隣接範囲11cとする。
【0022】
部品実装機20は、
図2に示すように、基板SをX方向に搬送する基板搬送装置21と、フィーダ30が供給した部品を吸着する吸着ノズルを有するヘッド22と、ヘッド22をXY方向に移動させるヘッド移動機構23と、装置全体を制御する実装制御装置28(
図6参照)とを備える。実装制御装置28は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、基板搬送装置21やヘッド22、ヘッド移動機構23などに駆動信号を出力する。
【0023】
フィーダ30は、部品を所定ピッチで収容するテープを送り出すテープフィーダとして構成されている。フィーダ30は、
図3に示すように、テープが巻回されたテープリール32と、テープリール32からテープを引き出して送り出すテープ送り機構33と、突出する2本の位置決めピン34を有するコネクタ35と、下端に設けられたレール部材37と、フィーダ全体の制御を行うフィーダ制御装置39(
図6参照)と、を備える。フィーダ制御装置39は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、テープ送り機構33に駆動信号を出力する。また、フィーダ制御装置39は、コネクタ35を介してフィーダ30の取付先の制御部(実装制御装置28や管理装置80など)と通信可能となる。
【0024】
部品実装機20は、
図2に示すように、前方にフィーダ30を取り付け可能な上下2つのエリアを有する。上のエリアはフィーダ30が部品を供給可能な部品供給エリア20Aであり、下のエリアはフィーダ30をストック可能なストックエリア20Bである。供給エリア20Aとストックエリア20Bには、それぞれ複数のフィーダ30が取り付けられるフィーダ台40が設けられる。フィーダ台40は、側面視がL字状の台であり、フィーダ30のレール部材37が挿入可能な間隔でX方向に複数配列されたスロット42と、フィーダ30の2本の位置決めピン34が挿入可能な2つの位置決め穴44と、2つの位置決め穴44の間に設けられコネクタ35が接続されるコネクタ45とを備える。
【0025】
また、部品実装機20は、フィーダ30が部品を供給した後のテープを下方へ送るテープダクト24と、テープダクト24を通過したテープを細かく切断するテープカッタ25と、テープカッタ25により切断された廃テープが落下するテープシュート26と、テープシュート26の下方に配置された廃テープ搬送装置27とを備える。本実施形態の廃テープ搬送装置27は、X方向の右側から左側に向かってコンベアベルトにより廃テープを搬送するベルトコンベア装置として構成されている。廃テープ搬送装置27は、コンベアベルトがX方向の右側から左側に向かって上り勾配となるよう傾いた状態で固定される。また、廃テープ搬送装置27は、部品実装機20の左側からコンベアベルトの左端部がはみ出て、左側(搬送方向上流側)に隣接する部品実装機20の廃テープ搬送装置27(コンベアベルト)の右端部の上方に位置するように、部品実装機20のX方向の幅を超える長さとなっている。このため、隣接する部品実装機20の廃テープ搬送装置27は、互いにオーバーラップして廃テープを受け渡し可能となり、各部品実装機20の廃テープ搬送装置27が基板Sの搬送方向と逆方向に一の廃テープ搬送ラインを構成するものとなる。
【0026】
交換ロボット50は、
図4に示すように、X軸レール18に沿って交換ロボット50を移動させるロボット移動機構51と、フィーダ30を部品実装機20やフィーダ保管庫60に移載するフィーダ移載機構53と、ロボット全体を制御するロボット制御装置59(
図6参照)とを備える。ロボット移動機構51は、交換ロボット50を移動させるための駆動用ベルトを駆動するサーボモータなどのX軸モータ52aと、X軸レール18に沿った交換ロボット50の移動をガイドするガイドローラ52bなどを備える。フィーダ移載機構53は、フィーダ30をクランプするクランプ部54およびクランプ部54をY軸ガイドレール55bに沿って移動させるY軸モータ55aとを搭載するY軸スライダ55と、Y軸スライダ55をZ軸ガイドレール56bに沿って移動させるZ軸モータ56aとを備える。交換ロボット50は、この他に、X方向の移動位置を検出するエンコーダ57(
図6参照)と、左右の障害物(作業者)の有無を監視する赤外線センサなどの左右の監視センサ(左側監視センサ58a,右側監視センサ58b,
図6参照)などを備える。
【0027】
フィーダ移載機構53のY軸スライダ55は、Z軸モータ56aの駆動により部品実装機20の供給エリア20Aに対向する上部移載エリア50Aと、部品実装機20のストックエリア20Bに対向する下部移載エリア50Bとに移動する。ロボット制御装置59は、クランプ部54によりフィーダ30をクランプしているY軸スライダ55を、Y軸モータ55aの駆動により上部移載エリア50Aから供給エリア20Aに移動させてフィーダ30のレール部材37をフィーダ台40のスロット42に挿入させ、クランプ部54のクランプを解除することにより、フィーダ30を供給エリア20Aのフィーダ台40に取り付ける。また、ロボット制御装置59は、供給エリア20Aのフィーダ台40に取り付けられているフィーダ30をクランプ部54によりクランプして、Y軸モータ55aの駆動によりY軸スライダ55を供給エリア20Aから上部移載エリア50Aに移動させることにより、フィーダ30を供給エリア20Aのフィーダ台40から取り外す(上部移載エリア50Aに引き込む)。ロボット制御装置59は、ストックエリア20Bのフィーダ台40へのフィーダ30の取り付けやストックエリア20Bのフィーダ台40からのフィーダ30の取り外しは、Z軸モータ56aの駆動によりY軸スライダ55を下部移載エリア50Bに移動させて、上部移載エリア50Aに代えて下部移載エリア50Bで行う以外は同様の処理を行うため、説明は省略する。
【0028】
フィーダ保管庫60は、
図5に示すように、筐体61の前方右側の上部にフィーダ30を取り付け可能な保管エリア60Aを有する。保管エリア60Aは、部品実装機20の供給エリア20Aやストックエリア20Bに設けられるフィーダ台40と同じ構成のフィーダ台40が設けられる。また、保管エリア60Aのフィーダ台40は、供給エリア20Aのフィーダ台40と同じ高さ(Z方向位置)に設けられる。このため、交換ロボット50のロボット制御装置59は、クランプ部54によりフィーダ30をクランプしているY軸スライダ55を、Y軸モータ55aの駆動により上部移載エリア50Aから保管エリア60Aに移動させてフィーダ30のレール部材37をフィーダ台40のスロット42に挿入させ、クランプ部54のクランプを解除することにより、フィーダ30を保管エリア60Aのフィーダ台40に取り付けることができる。また、ロボット制御装置59は、保管エリア60Aのフィーダ台40に取り付けられているフィーダ30をクランプ部54によりクランプして、Y軸モータ55aの駆動によりY軸スライダ55を保管エリア60Aから上部移載エリア50Aに移動させることにより、フィーダ30を保管エリア60Aのフィーダ台40から取り外す(上部移載エリア50Aに引き込む)ことができる。即ち、交換ロボット50は、部品実装機20の供給エリア20Aのフィーダ台40にフィーダ30を着脱するのと同じ動作で、フィーダ保管庫60の保管エリア60Aのフィーダ台40にフィーダ30を着脱することができる。なお、フィーダ保管庫60の保管エリア60Aと部品実装機20のストックエリア20Bには、いずれも使用中でない(部品供給中でない)フィーダ30を収納可能である。例えば、ストックエリア20Bは、残り部品があるフィーダ30や使用予定時期が比較的近いフィーダ30を収納し、保管エリア60Aは、残り部品がない使用済みのフィーダ30を収納するものなどとすることができる。
【0029】
また、フィーダ保管庫60は、筐体61の後方上部に、基板SをX方向に搬送する基板搬送装置62を備える。この基板搬送装置62は、印刷検査機14の図示しない基板搬送装置および隣接する部品実装機20の基板搬送装置21と、前後方向および上下方向の位置が同じ位置となっている。このため、基板搬送装置62は、印刷検査機14の基板搬送装置から受け取った基板Sを搬送して隣接する部品実装機20の基板搬送装置21に受け渡すことが可能となっている。
【0030】
フィーダ保管庫60の筐体61の後方下部の下部スペース63Aには、廃テープ搬送ラインにより搬送された廃テープを回収する回収容器64が配置されている。前述したように、各部品実装機20の廃テープ搬送装置27は各部品実装機20の左側から左端部がはみ出るから、フィーダ保管庫60に隣接する部品実装機20の廃テープ搬送装置27も左側がはみ出て筐体61内に侵入することになる。回収容器64は、筐体61内に侵入した廃テープ搬送装置27の左端部の下方に配置されることで、廃テープを回収可能となっている。また、筐体61の前方右側の下部には、下部スペース63Aに連通し回収容器64の高さ及び左右の幅よりも大きく開口した開口63Bが形成されている。このため、作業者は、開口63Bから回収容器64を出し入れして、回収容器64(廃テープ)を回収することができる。なお、フィーダ保管庫60が保管エリア60Aの下部にもフィーダ30を取り付け可能なエリアを有するものとして、開口63Bが形成されないものとしてもよい、その場合、回収容器64を筐体61の後方から出し入れ可能に構成してもよい。
【0031】
また、フィーダ保管庫60の筐体61の前方左側には、下部に直方体状に開口した収納部65Aが形成され、上部に水平面を有する置き台65Bが形成されている。収納部65Aは、管理装置80の本体よりも一回り大きなサイズに形成され、
図1に示すように、管理装置80の本体が収納される。また、上部の置き台65Bには、
図1に示すように、ディスプレイ82と入力デバイス84とが載置される。このように、フィーダ保管庫60の設置スペースは、回収容器64や管理装置80の配置スペースとしても利用される。
【0032】
管理装置80は、
図6に示すように、周知のCPU80aやROM80b、HDD80c、RAM80dなどで構成され、LCDなどのディスプレイ82と、キーボードやマウスなどの入力デバイス84とを備える。管理装置80は、基板Sの生産プログラムなどを記憶している。基板Sの生産プログラムは、どの基板Sにどの部品を実装するか、また、そのように実装した基板Sを何枚作製するかなどを定めたプログラムをいう。管理装置80は、実装制御装置28と有線により通信可能に接続されると共にロボット制御装置59と無線により通信可能に接続される他、印刷機12や印刷検査機14、実装検査機の各制御装置と通信可能に接続される。管理装置80は、実装制御装置28から部品実装機20の実装状況に関する情報を受信したり、ロボット制御装置59から交換ロボット50の駆動状況に関する情報を受信したりする。また、本実施形態の管理装置80は、フィーダ保管庫60の管理も行う。管理装置80は、保管エリア60Aのフィーダ台40に取り付けられたフィーダ30のフィーダ制御装置39とコネクタ35,45を介して通信可能に接続される。また、管理装置80は、フィーダ保管庫60の基板搬送装置62に駆動信号を出力して基板搬送装置62に基板Sを搬送させる。また、管理装置80は、保管庫前範囲11a内の作業者の存在を監視する赤外線センサなどの保管庫前監視センサ86からの検知信号が入力される。
【0033】
以下は、部品実装ライン10の管理装置80が行う処理の説明である。
図7は保管エリア情報更新処理の一例を示すフローチャートである。なお、保管エリア情報は、保管エリア60Aのフィーダ台40にセットされているフィーダ30の取付位置やID情報、収容部品に関する情報でありHDD80cに記憶される。保管エリア情報更新処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、保管エリア60Aのフィーダ台40にフィーダ30が新たに取り付けられたか否かを判定する(S100)。CPU80aは、フィーダ30が新たに取り付けられたと判定すると、取り付けられたコネクタ45の位置に基づいて取付位置の位置情報を取得すると共に(S105)、取り付けられたフィーダ30のフィーダ制御装置39からフィーダ30のID情報や収容されている部品種や部品量などのフィーダ情報を取得する(S110)。そして、CPU80aは、位置情報に対応付けてフィーダ情報を登録することで保管エリア情報を更新して(S115)、次のS120の処理に進む。また、CPU80aは、S100でフィーダ30が新たに取り付けられてないと判定すると、S105~S115の処理をスキップして、次のS120の処理に進む。
【0034】
次に、管理装置80のCPU80aは、保管エリア60Aのフィーダ台40からフィーダ30が取り外されたか否かを判定し(S120)、フィーダ30が取り外されてないと判定すると、保管エリア情報更新処理を終了する。一方、CPU80aは、フィーダ30が取り外されたと判定すると、取り外されたコネクタ45の位置に基づいて取外位置の位置情報を取得すると共に(S125)、位置情報に対応付けられたフィーダ情報を削除することで保管エリア情報を更新して(S130)、保管エリア情報更新処理を終了する。
【0035】
ここで、
図8は保管エリア情報の一例を示す説明図である。保管エリア情報には、フィーダ30の取付位置の位置情報に対応付けて、フィーダ30のID情報や部品種の情報、部品量の情報などが記憶される。なお、位置情報は、フィーダ台40の複数のスロット42のうち基準スロット(例えば左端のスロット42)を先頭位置「001」として順に定められている。
図8の例では、位置情報が「001」や「002」の位置には、部品種が「A-001」で部品量が「Full」(作業者が補給してから未使用)のフィーダ30が取り付けられていることを示す。また、位置情報が「003」の位置には、フィーダ30が取り付けられていないことを示す。また、位置情報が「004」や「005」の位置には、部品種が「B-005」で部品量が「Empty」(既に部品実装機20で使用済み)のフィーダ30が取り付けられていることを示す。「Empty」のフィーダ30が予め決められた数を超えると、作業者に対し、音声で報知される。なお、保管エリア情報は、部品量に「Full」か「Empty」かを記憶するものに限られず、部品の残数の値を記憶するものなどとしてもよい。また、管理装置80は、作業者の要求に基づいてディスプレイ82に保管エリア情報を視認可能に表示してもよい。なお、各部品実装機20の実装制御装置28は、保管エリア情報と同様に、供給エリア20A内の位置情報とフィーダ情報とを対応付けた供給エリア情報やストックエリア20B内の位置情報とフィーダ情報とを対応付けたストックエリア情報を記憶する。
【0036】
図9はフィーダ交換処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、フィーダ保管庫60の保管エリア60A内のフィーダ30と、部品実装機20の供給エリア20A内(あるいはストックエリア20B内)のフィーダ30とを交換する場合に実行される。フィーダ30の交換は、管理装置80が基板Sの生産プログラムに基づいて、次の実装処理に必要な部品を収容したフィーダ30を保管エリア60Aから取り外して各部品実装機20の供給エリア20Aに取り付けたり、次の実装処理に不要な部品を収容したフィーダ30を供給エリア20Aから取り外してストックエリア20Bや保管エリア60Aに取り付けたりすることにより行われる。あるいは、フィーダ30の交換は、供給エリア20Aに取り付けられているフィーダ30内の部品残数が値0となって部品実装機20から送信される部品切れ情報を受信したときに、その使用済みのフィーダ30を供給エリア20Aから取り外して保管エリア60Aに取り付けたり、同じ種類の部品を収容したフィーダ30を保管エリア60Aから取り外して供給エリア20Aやストックエリア20Bに取り付けたりすることにより行われる。このように、フィーダ30の交換処理は、フィーダ保管庫60(保管エリア60A)でフィーダ30を着脱する場合と、部品実装機20(供給エリア20A,ストックエリア20B)でフィーダ30を着脱する場合とがある。
【0037】
フィーダ交換処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、フィーダ保管庫60(保管エリア60A)でフィーダ30を着脱する着脱タイミングであるか否かを判定し(S200)、着脱タイミングでないと判定すると次のS225の処理に進む。一方、CPU80aは、着脱タイミングであると判定すると、保管エリア情報に基づいてフィーダ30を着脱する位置である処理対象位置を設定する(S205)。また、CPU80aは、その処理対象位置でフィーダ30を着脱するために交換ロボット50が移動すべき位置を目標位置に設定する(S210)。例えば、フィーダ保管庫60(保管エリア60A)のフィーダ30を取り外す場合、そのフィーダ30が取り付けられているスロット42の位置(取付位置)が処理対象位置となり、その処理対象位置からフィーダ30の取り外しが可能となる交換ロボット50の位置が目標位置となる。また、使用済みのフィーダ30をフィーダ保管庫60(保管エリア60A)に取り付ける場合、そのフィーダ30を取り付け可能な空きスロット42の位置が処理対象位置となり、その処理対象位置でフィーダ30の取り付けが可能となる交換ロボット50の位置が目標位置となる。CPU80aは、目標位置を設定すると、交換ロボット50を目標位置に移動させる交換ロボット移動処理を実行し(S215)、目標位置で交換ロボット50を駆動制御してフィーダ保管庫60(保管エリア60A)の処理対象位置に対するフィーダ30の着脱処理を行って(S220)、次のS225の処理に進む。
【0038】
次に、CPU80aは、部品実装機20(供給エリア20A,ストックエリア20B)でフィーダ30を着脱する着脱タイミングであるか否かを判定し(S225)、着脱タイミングでないと判定するとフィーダ交換処理を終了する。一方、CPU80aは、着脱タイミングであると判定すると、処理対象の部品実装機20を特定し(S230)、特定した部品実装機20の供給エリア情報やストックエリア情報に基づいて処理対象位置を設定すると共に(S235)、交換ロボット50の目標位置を設定する(S240)。例えば、部品実装機20(供給エリア20A,ストックエリア20B)のフィーダ30を取り外す場合、そのフィーダ30が取り付けられているスロット42の位置(取付位置)が処理対象位置となり、その処理対象位置でフィーダ30の取り外しが可能となる交換ロボット50の位置が目標位置となる。また、フィーダ30を部品実装機20(供給エリア20A,ストックエリア20B)に取り付ける場合、そのフィーダ30を取り付け可能な空きスロット42の位置が処理対象位置となり、その処理対象位置でフィーダ30の取り付けが可能となる交換ロボット50の位置が目標位置となる。CPU80aは、目標位置を設定すると、交換ロボット50を目標位置に移動させる交換ロボット移動処理を実行し(S245)、目標位置で交換ロボット50を駆動制御して部品実装機20(供給エリア20A,ストックエリア20B)の処理対象位置に対するフィーダ30の着脱処理を行って(S250)、フィーダ交換処理を終了する。なお、S235~S250の処理では、供給エリア20Aとストックエリア20Bとの間でフィーダ30を入れ替える作業を行うものとしてもよい。以下、S215,S245の交換ロボット移動処理を説明する。
図10は、交換ロボット移動処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理装置80からの駆動指令に基づいてロボット制御装置59のCPUが行う。
【0039】
この交換ロボット移動処理では、ロボット制御装置59は、まず、交換ロボット50の進行方向側(目標位置に向かう側)のセンサが作業者(障害物)を検知しているか否かを判定する(S300)。S300の処理は、進行方向が左方向であれば左側監視センサ58aからの検知信号に基づいて行われ、進行方向が右方向であれば右側監視センサ58bからの検知信号に基づいて行われる。ロボット制御装置59は、進行方向側のセンサが作業者を検知していると判定すると、交換ロボット50を停止して(S305)、S300の判定を繰り返す。S305の処理は、交換ロボット50が移動中であれば移動を終了させることにより行われ、交換ロボット50が停止中であればその状態を維持することにより行われる。
【0040】
一方、ロボット制御装置59は、進行方向側のセンサが作業者を検知していないと判定すると、交換ロボット50の進行方向がフィーダ保管庫60側(本実施形態では、部品実装ライン10の上流側)であるか否かを判定する(S310)。ロボット制御装置59は、交換ロボット50の進行方向がフィーダ保管庫60側でない(部品実装ライン10の下流側である)と判定すると、所定速度で交換ロボット50を移動させて(S315)、S360の処理に進む。また、ロボット制御装置59は、交換ロボット50の進行方向がフィーダ保管庫60側であると判定すると、保管庫前監視センサ86からの検知信号に基づいて保管庫前範囲11aに作業者がいるか否かを判定する(S320)。ロボット制御装置59は、保管庫前範囲11aに作業者がいると判定すると、エンコーダ57の検出位置に基づいて交換ロボット50の現在位置が隣接範囲11b内であるか否かを判定する(S325)。ロボット制御装置59は、保管庫前範囲11aに作業者がいないと判定したり、保管庫前範囲11aに作業者がいると判定しても交換ロボット50が隣接範囲11b内でない(本実施形態では、非隣接範囲11c内である)と判定したりすると、所定速度で交換ロボット50を移動させる(S330)。また、ロボット制御装置59は、保管庫前範囲11aに作業者がいると判定し、且つ、交換ロボット50が隣接範囲11b内であると判定すると、所定速度よりも遅い低速で交換ロボット50を移動させる(S335)。このように、交換ロボット50が保管庫前範囲11aにいる作業者に近付いていく場合、交換ロボット50を隣接範囲11b内で低速移動させるから、作業者に安全に作業を行わせつつ、交換ロボット50の移動が必要以上に制限されるのを防止することができる。
【0041】
次に、ロボット制御装置59は、エンコーダ57の検出位置に基づいて交換ロボット50が隣接範囲11bと保管庫前範囲11aとの境界位置に到達したか否かを判定し(S340)、到達してないと判定するとS360の処理に進む。ロボット制御装置59は、交換ロボット50が境界位置に到達したと判定すると、保管庫前監視センサ86からの検知信号に基づいて保管庫前範囲11aに作業者がいるか否かを判定し(S345)、保管庫前範囲11aに作業者がいると判定すると、交換ロボット50を停止して(S350)、S345の判定を繰り返す。S350の処理は、交換ロボット50が移動中であれば移動を終了させることにより行われ、交換ロボット50が停止中であればその状態を維持することにより行われる。このように、保管庫前範囲11aに作業者がいれば、交換ロボット50を隣接範囲11bから保管庫前範囲11aに進入させず、交換ロボット50を保管庫前範囲11aで移動させないようにするから、フィーダ保管庫60にフィーダ30を搬入出する作業者の安全を確保することができる。ここで、例えば、ロボット制御装置50の監視センサ(左側監視センサ58a)の検知範囲は、保管庫前範囲11aを監視する保管庫前監視センサ86の検知範囲よりも狭いものとする。このため、保管庫前監視センサ86からの検知信号に基づいて、保管庫前範囲11aの作業者の安全を適切に確保することができる。また、保管庫前範囲11aは、フィーダ保管庫60の正面の範囲だけでなく隣接する部品実装機20の正面の範囲も含むから、作業者の安全をより確保し易いものとすることができる。
【0042】
S345で、ロボット制御装置59は保管庫前範囲11aに作業者がいないと判定すると、交換ロボット50を所定速度で移動させて保管庫前範囲11aに進入させて(S355)、S360の処理に進む。なお、ロボット制御装置59は、S350で交換ロボット50を停止させた後に、S345で保管庫前監視センサ86が作業者を検知しないと判定した場合、所定時間が経過するまで待機してから交換ロボット50を移動させてもよい。そして、ロボット制御装置59は、交換ロボット50が目標位置に到達したか否かを判定する(S360)。ロボット制御装置59は、交換ロボット50が目標位置に到達してないと判定するとS300に戻り処理を繰り返し、交換ロボット50が目標位置に到達したと判定すると交換ロボット50を停止して(S365)、交換ロボット移動処理を終了する。なお、交換ロボット50が保管庫前範囲11aに進入した後、目標位置に到達する前に作業者を検知すると、S305で移動を停止することになる。
【0043】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフィーダ30が部品供給ユニットに相当し、部品実装機20が部品実装機に相当し、部品実装ライン10が部品実装ラインに相当し、フィーダ保管庫60がユニット保管庫に相当し、交換ロボット50がユニット交換装置に相当し、
図9のフィーダ交換処理を実行する管理装置80と
図10の交換ロボット移動処理を実行するロボット制御装置59とが制御装置に相当する。また、基板搬送装置62が搬送装置に相当し、保管庫前監視センサ86が検出器に相当し、管理装置80が管理装置に相当し、廃材搬送装置26が廃材搬送装置に相当する。
【0044】
以上説明した部品実装ライン10は、基板の搬送方向に沿って並んだ複数の部品実装機20と、部品実装機20に着脱可能なフィーダ30を複数保管するフィーダ保管庫60と、フィーダ保管庫60と各部品実装機20との間でフィーダ30を交換可能な交換ロボット50とを備え、フィーダ保管庫60が複数の部品実装機20と同じ並びに設置されており、交換ロボット50が基板の搬送方向に沿って移動してフィーダ30を交換する。これにより、作業者はフィーダ保管庫60にフィーダ30を補給しておくだけで、部品実装ライン10の各部品実装機20にフィーダ30を補給することができる。また、各部品実装機20から使用済みのフィーダ30をフィーダ保管庫60に自動で集めることができるため、作業者はフィーダ保管庫60からフィーダ30をまとめて回収することができる。即ち、作業者は、いずれの部品実装機20で使用されるフィーダ30であってもフィーダ保管庫60で補給や回収を行うことができる。また、交換ロボット50がフィーダ保管庫60の前になければ任意のタイミングでフィーダ30の補給や回収を行うことができる。また、作業者が各部品実装機20にフィーダ30を供給するものに比べて、移動中の交換ロボット50が頻繁に停止されるのを防止することができる。この結果、使い勝手のよいフィーダ保管庫60を提供することができる。また、フィーダ保管庫60におけるフィーダ30の保管(収納)本数が、部品実装ライン10で実装される部品の数や部品種に応じて適切な数となるようフィーダ保管庫60を構成することで、フィーダ保管庫60をインライン型の部品倉庫として適切に機能させることができる。
【0045】
また、フィーダ保管庫60は基板搬送装置62を備えるから、フィーダ保管庫60を複数の部品実装機20と同じ並びとなる位置に容易に設置することができる。部品実装ライン10は、フィーダ保管庫60を最も上流側の部品実装機20よりも上流位置に設置するから、フィーダ保管庫60にフィーダ30を搬入出する際に交換ロボット50の移動と干渉するのを抑えることができる。また、部品実装ライン10は、フィーダ保管庫60と部品実装機20とで共通のフィーダ台40を同じ高さ位置に備えており、交換ロボット50は、同じフィーダ移載機構53を用いた共通の動作によりフィーダ保管庫60と部品実装機20とでフィーダ30の着脱を効率よく行うことができる。
【0046】
また、部品実装ライン10は、保管庫前監視センサ86が作業者を検知していると、保管庫前範囲11aに交換ロボット50を進入させないから、作業者の安全を確保することができる。また、保管庫前監視センサ86が作業者を検知していると、隣接範囲11b内をフィーダ保管庫60側に向かう交換ロボット50を低速で移動させるから、作業者の安全を阻害しない範囲で交換ロボット50を移動させることができる。また、部品実装ライン10は、フィーダ保管庫60の設置スペース内に管理装置80や回収容器64を配置するから、スペースを効率よく利用することができる。
【0047】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、最も上流側の部品実装機20よりも上流位置にフィーダ保管庫60を設置したが、これに限られず、複数の部品実装機20の並び方向で最も下流側の部品実装機20よりも下流位置にフィーダ保管庫60を設置してもよい。あるいは、複数の部品実装機20の並び方向の途中の位置(部品実装機20に挟まれる位置)にフィーダ保管庫60を設置してもよい。また、フィーダ保管庫60は、部品実装ライン10内に1つのみ設置したが、複数設置してもよい。
図11は、変形例の部品実装ライン10Bの構成の概略を示す構成図である。図示するように、変形例の部品実装ライン10Bでは、最も上流側の部品実装機20よりも上流位置と、複数の部品実装機20の並び方向の途中の位置(略中間位置)とに、計2つのフィーダ保管庫60が設置されている。この場合、上流側のフィーダ保管庫60と中間位置のフィーダ保管庫60との間の部品実装機20で用いられるフィーダ30は、主に上流側のフィーダ保管庫60で補給や回収し、中間位置のフィーダ保管庫60よりも下流側の部品実装機20で用いられるフィーダ30は、主に中間位置のフィーダ保管庫60で補給や回収するものなどとすることができる。これにより、複数の部品実装機20として多くの部品実装機20が並び、部品実装ライン10Bの全長が長くなる場合でも、交換ロボット50の移動距離が必要以上に長くなるのを防止して、フィーダ30の自動交換の作業効率が低下するのを抑制することができる。なお、フィーダ保管庫60だけでなく、交換ロボット50を複数設置するものとしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、作業者がフィーダ保管庫60にフィーダ30を搬入出するものとしたが、これに限られず、部品実装機10のライン外からフィーダ30を自動で搬送可能な自動搬送装置を用いてフィーダ保管庫60にフィーダ30を搬入出するものとしてもよい。
図12は、変形例の部品実装ライン10C,10Dの構成の概略を示す構成図である。自動搬送装置としては、例えば、
図12(a)に示すように、OHT(天井走行式の無人搬送車)90を用いることができる。OHT90によるフィーダ30の搬入出は、搬入出先の上部が開放していることが必要であるが、部品実装機20は、ヘッド22を移動させる構造上、上部を開放するよう構成するのは困難である。フィーダ保管庫60は、そのような制約がなく保管エリア60Aの上部を開放することができるため、OHT90によるフィーダ30の自動搬入出を可能とすることができる。また、自動搬送装置としては、
図12(b)に示すように、AGV(床上走行式の無人搬送車)100を用いることができる。AGVが各部品実装機20にフィーダ30を搬入出するものとすると、AGVの移動と交換ロボット50の移動との干渉の問題が頻発することがある。また、AGVによるフィーダ30の搬入出をスムーズなものとするには、AGVの停止位置合わせのガイドを設けることが望ましいが、AGVが各部品実装機20にフィーダ30を搬入出するものとすると各部品実装機20にガイドを設けることになってスペースの問題が生じることがある。変形例のように、AGV100がフィーダ保管庫60にのみフィーダ30を搬入出するものとすることで、保管庫前範囲11aでのみAGV100の移動と交換ロボット50の移動との干渉を防止したり、フィーダ保管庫60にのみガイドを設けたりすればよいから、それらの問題が生じるのを防止することができる。
【0050】
上述した実施形態では、フィーダ保管庫60の設置スペース内に管理装置80と回収容器64とを配置したが、これに限られず、管理装置80と回収容器64とのうち一方あるいは両方を配置しないものとしてもよい。なお、回収容器64は、廃テープを回収するものに限られず、部品を収容する収容部材(例えばトレイ状の部材)の廃材を回収するものであってもよい。
【0051】
上述した実施形態では、保管庫前範囲11aに作業者がいる場合には、隣接範囲11b内をフィーダ保管庫60側に向かう交換ロボット50を所定速度よりも遅い低速で移動させたが、これに限られず、交換ロボット50を所定速度で移動させてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、保管庫前監視センサ86が保管庫前範囲11aの作業者の有無を検知(監視)したが、これに限られるものではない。例えば、フィーダ保管庫60と隣接する部品実装機20との間に、作業者により引き出し可能な安全柵を設けておき、安全柵が引き出されているか否かを検知するものなどとしてもよい。
【0053】
上述した実施形態では、保管庫前範囲11aに作業者がいれば交換ロボット50を保管庫前範囲11aに進入させずに停止させたが、このような処理に限られるものではない。例えば、フィーダ交換処理において、保管庫前範囲11aに作業者がいることが検知された場合、保管庫前範囲11a以外の範囲で実行可能な処理を先に行うよう交換ロボット50を制御するものなどとしてもよい。
【0054】
上述した実施形態では、交換ロボット50の移動制御において、保管庫前監視センサ86と交換ロボット50の左右の監視センサ58a,58bとを用いたが、これに限られず、交換ロボット50の左右の監視センサ58a,58bのみを用いるものとしてもよい。この場合、左右の監視センサ58a,58bを、それぞれ、第1検知範囲と、第1検知範囲よりも広い第2検知範囲とを有する複数のセンサなどで構成し、第2検知範囲で作業者を検知すると低速で移動し、第1検知範囲で作業者を検知すると停止するものなどとしてもよい。あるいは、保管庫前監視センサ86のみを用いて交換ロボット50の移動制御を行っても、保管庫前範囲11aで作業者が安全に作業することは可能である。
【0055】
上述した実施形態において、作業者は、フィーダ保管庫60にフィーダ30を一つずつ搬入出してもよいし、フィーダ30を複数まとめて搬入出してもよい。例えば、フィーダ保管庫60の保管エリア60Aには、複数のフィーダ30を一括で着脱可能なマガジンをセット可能に構成しておく。そして、作業者は、マガジンに新しいフィーダ30を複数取り付けて保管エリア60Aに補給したり、保管エリア60Aのマガジンに使用済みのフィーダ30が複数取り付けられるとそのマガジンを回収したりする。この場合、作業者はマガジンを搭載可能な台車を用いて補給や回収を行ってもよい。また、フィーダ保管庫60の保管エリア60Aには、そのようなマガジンが搭載された台車をセット可能に構成し、作業車が台車毎(台車上のマガジン内のフィーダ30を含む)交換してもよい。
【0056】
上述した実施形態では、部品実装機20がフィーダストックエリア20Bを備えたが、これを備えないものとしてもよい。この場合、交換ロボット50が下部移載エリア50Bを備えないものとしたり、下部移載エリア50Bを交換ロボット50内のフィーダ30のストックエリアとして使用したりしてもよい。また、交換ロボット50は、複数のフィーダ30を収容して複数のフィーダ30をまとめて交換可能に構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、部品実装ラインの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10,10B,10C,10D 部品実装ライン、11a 保管庫前範囲、11b 隣接範囲、11c 非隣接範囲、12 印刷機、14 印刷検査機、18 X軸レール、20 部品実装機、20A 供給エリア、20B ストックエリア、21 基板搬送装置、22 ヘッド、23 ヘッド移動機構、24 テープダクト、25 テープカッタ、26 テープシュート、27 廃テープ搬送装置、28 実装制御装置、30 フィーダ、32 テープリール、33 テープ送り機構、34 位置決めピン、35 コネクタ、37 レール部材、39 フィーダ制御装置、40 フィーダ台、42 スロット、44 位置決め穴、45 コネクタ、50 交換ロボット、50A 上部移載エリア、50B 下部移載エリア、51 ロボット移動機構、52a X軸モータ、52b ガイドローラ、53 フィーダ移載機構、54 クランプ部、55 Y軸スライダ、55a Y軸モータ、55b Y軸ガイドレール、56a Z軸モータ、56b Z軸ガイドレール、57 エンコーダ、58a 左側監視センサ、58b 右側監視センサ、59 ロボット制御装置、60 フィーダ保管庫、60A 保管エリア、61 筐体、62 基板搬送装置、63A 下部スペース、63B 開口、64 回収容器、65A 収納部、65B 置き台、80 管理装置、80a CPU、80b ROM、80c HDD、80d RAM、82 ディスプレイ、84 入力デバイス、86 保管庫前監視センサ、90 OHT、100 AGV、S 基板。