IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

特許7176076無端フィラメントから成る不織布を製造するための装置及び方法
<>
  • 特許-無端フィラメントから成る不織布を製造するための装置及び方法 図1
  • 特許-無端フィラメントから成る不織布を製造するための装置及び方法 図2
  • 特許-無端フィラメントから成る不織布を製造するための装置及び方法 図3
  • 特許-無端フィラメントから成る不織布を製造するための装置及び方法 図4
  • 特許-無端フィラメントから成る不織布を製造するための装置及び方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】無端フィラメントから成る不織布を製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
D04H3/16
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021170481
(22)【出願日】2021-10-18
(62)【分割の表示】P 2017089661の分割
【原出願日】2017-04-28
(65)【公開番号】P2022009216
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】16167804.0
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ゾンマー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】ゲーロルト・リンケ
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-223214(JP,A)
【文献】特表2003-507586(JP,A)
【文献】特表平08-509786(JP,A)
【文献】特開2008-144344(JP,A)
【文献】特表2006-512490(JP,A)
【文献】特開平04-327255(JP,A)
【文献】特開2004-197296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
D01D 1/00-13/02
D03D 1/00-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端紡糸フィラメントから不織布を製造する方法において、
少なくも1つの紡糸口金を提供することと、
前記紡糸口金を用いて前記無端紡糸フィラメントを紡糸することと、
前記紡糸口金の下流で、前記フィラメントを冷却及び延伸することと、
堆積装置を提供することと、
前記堆積装置上で、延伸されたフィラメントを不織布へ堆積させることであって、前記堆積装置が、フィルタベルトの表面にわたって分配された多数のフィルタベルト開口を有するフィルタベルトである、堆積させることと、
前記フィルタベルトの下に配置された少なくとも1つの吸引ブロアを用いて、前記フィルタベルト開口を経る空気を流すことと、を備え、
前記フィルタベルト開口の一部がシール材によって閉鎖されることにより、部分的に閉鎖されたフィルタベルトが形成され、
閉鎖されていないフィルタベルトの透気度が、300~1100cfmであり、
前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度が、150~700cfmであり、
前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度は不均質であり、
前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度に対する前記閉鎖されていないフィルタベルトの透気度の比が、1.2~4であり、
前記シール材が、前記フィルタベルト内及び/又はその下に配置され、かつ最大1.5mmだけ前記フィルタベルトの表面から突出すること、を特徴とする方法。
【請求項2】
前記閉鎖されていないフィルタベルトの透気度が、350~1050cfmであり、前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度が、250~600cfmであること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シール材が、プラスチック又はポリマーを含むこと、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シール材が、感光性であること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルタベルトが、前記フィルタベルト開口を画成する経糸と緯糸から成る織布を備えること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルタベルトの織布が、20~75経糸数/25mmと、10~50緯糸数/25mmの織り密度を備えること、を特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルタベルト開口の少なくとも25%が閉鎖されていること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度に対する前記閉鎖されていないフィルタベルトの透気度の比が、1.3~3.5であること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
閉鎖箇所が、規則的なパターンで、前記フィルタベルトにわたって配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フィラメントを冷却するための少なくとも1つの冷却装置を提供することと、
冷却された前記フィラメントを延伸するための少なくとも1つの延伸装置を提供することであって、前記冷却装置と前記延伸装置から成るユニットが、閉じたユニットとして形成される、前記延伸装置を提供することと、
前記冷却装置内での冷却空気の供給以外に、前記閉じたユニットへの別の空気供給は行なわれないことと、を更に備えたこと、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのディフューザを提供すること、を更に備え、前記ディフューザは、延伸装置と前記堆積装置との間に配置される、こと、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記堆積装置での前記フィラメントの堆積の前に、前記ディフューザを経て前記フィラメントを案内すること、を更に備えたこと、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記堆積装置に近接して圧縮ロールを提供することと、
前記圧縮ロールを加熱することと、
前記圧縮ロールを用いて、前記フィルタベルト上に堆積された不織布を予備硬化することと、を更に備えたこと、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記シール材が、前記フィルタベルト内及びその下に配置され、かつ最大1.5mmだけ前記フィルタベルトの表面から突出すること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
無端紡糸フィラメントから不織布を製造する方法において、
少なくも1つの紡糸口金を提供することと、
前記紡糸口金を用いて前記無端紡糸フィラメントを紡糸することと、
前記紡糸口金の下流で、前記フィラメントを冷却及び延伸することと、
堆積装置を提供することと、
前記堆積装置上で、延伸されたフィラメントを不織布へ堆積させることであって、前記堆積装置が、フィルタベルトの表面にわたって分配された多数のフィルタベルト開口を有するフィルタベルトである、堆積させることと、
前記フィルタベルトの下に配置された少なくとも1つの吸引ブロアを用いて、前記フィルタベルト開口を経る空気を流すことと、を備え、
前記フィルタベルト開口の一部がシール材によって閉鎖されることにより、部分的に閉鎖されたフィルタベルトが形成され、
閉鎖されていないフィルタベルトの透気度が、300~1100cfmであり、
前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度が、150~700cfmであり、
前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度は不均質であり、
前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度に対する前記閉鎖されていないフィルタベルトの透気度の比が、1.2~4であり、
前記シール材が、前記フィルタベルト内及び/又はその下に配置され、かつ前記フィルタベルトの表面から突出し、
前記方法は、
前記堆積装置に近接して圧縮ロールを提供することと、
前記圧縮ロールを加熱することと、
前記圧縮ロールを用いて、前記フィルタベルト上に堆積された不織布を予備硬化することと、を更に備えたこと、を特徴とする方法。
【請求項16】
前記シール材が、前記フィルタベルト内及び/又はその下に配置され、かつ最大1.5mmだけ前記フィルタベルトの表面から突出すること、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記閉鎖されていないフィルタベルトの透気度が、350~1050cfmであり、前記部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度が、250~600cfmであること、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記シール材が、プラスチック又はポリマーを含むこと、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記シール材が、感光性であること、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルタベルトが、前記フィルタベルト開口を画成する経糸と緯糸から成る織布を備えること、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記フィルタベルトの織布が、20~75経糸数/25mmと、10~50緯糸数/25mmの織り密度を備えること、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端フィラメントが、特に熱可塑性のプラスチックから成り、フィラメントを紡糸するための少なくとも1つの紡糸装置が存在し、フィラメントが、冷却及び延伸され、延伸されたフィラメントを堆積させるための堆積装置が設けられている、無端フィラメントから成る不織布を製造するための装置に関する。本発明は、更に、無端フィラメントから成る不織布を製造するための方法に関する。加えて、本発明は、無端フィラメントから成る不織布に関する。無端フィラメントは、そのいわば無限の長さに基づいて、例えば10mm~60mmの短い長さを備えるステープルファイバーとは異なる。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べた形式の不織布を製造するための装置及び方法は、実務から知られている。変化する局所的な厚さもしくは多孔性を有する“3D構造”を備えた構造化された不織布もしくはスパンボンド布を製造することは、しばしば望ましい。このためまた、実務から種々の措置が知られている。従って、相応の不織布構造を、不織布のエンボス加工又は機械的な2次成形によって発生させることが、既に知られている。この場合、不織布の変形性は、通常は、プラスチックの軟化領域までの不織布ウェブの予熱によるしか得ることができない。その場合、変形は、結果として圧縮も伴い、不織布ウェブは、全体的に平らになり、これは、不織布ウェブの所望のソフトな手触りを阻害する。
【0003】
更に、特に短繊維もしくはステープルファイバーに対して、短繊維堆積体を、例えば圧縮空気によって再編成し、次いで熱風硬化を行なうことが知られている。しかしながら、これは、不織布用の材料選択に限界を与える。何故なら、多くのポリマーから成る繊維が、問題なく熱風硬化され得るわけではないからである。その他、無端フィラメントの場合、これらの措置は、だめなことがわかった。
【0004】
他の方法は、構造化された部分的に透気性を有する堆積ベルトの使用に基づく(欧州特許第0 696 333号明細書)。堆積ベルトは、透気性を有する閉鎖箇所を備え、これら閉鎖箇所は、フィルタベルト表面から突出する突出部を備える。堆積されたフィラメントは、堆積ベルト上で接着剤によって予備硬化、例えば熱風硬化され、それから、不織布が、剥がされる。不織布の構造は、いわば、堆積ベルト表面から突出する閉鎖箇所突出部のモールディングによって得られる。これらの措置は、干渉を受けやすく及び欠陥を生じやすく、実際にだめなことがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第0 696 333号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対して、本発明の根底にある技術的課題は、3D構造を有する不織布が簡単かつ効率的に製造でき、この不織布が、美的に申し分のない、再現可能な3D構造によって際立っており、加えて十分にソフトな手触りを備える、冒頭で述べた形式の装置を提供することである。更に、本発明の根底にある技術的課題は、不織布を製造するための相応に方法と相応の不織布とである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するために、本発明は、無端フィラメントが、特に熱可塑性のプラスチックから成るもしくは実質的に成り、フィラメントを紡糸するための少なくとも1つの紡糸装置が存在し、フィラメントが、冷却及び延伸され、延伸されたフィラメントを不織布へ堆積させるための堆積装置が設けられている、無端フィラメントから不織布を製造するための装置において、
堆積装置が、フィルタベルト表面にわたって分配された多数のフィルタベルト開口を有するフィルタベルトの形態で形成され、空気が、フィルタベルト表面もしくはフィルタベルト開口を経て吸引可能であり、そのため好ましくは少なくとも1つの吸引ブロアがフィルタベルトの下に配置されており、フィルタベルト開口の一部が、閉鎖されて形成されている構成を有するものを教示する。
【0008】
本発明の特に好適な実施形態によれば、本発明による装置は、スパンボンド装置であり、フィラメントを冷却するための冷却装置と、フィラメントを延伸するための延伸装置とが設けられている。本発明の他の実施形態は、本発明による装置が、メルトブローン装置であること、を特徴とする。
【0009】
本発明の範囲内には、閉鎖されてないフィルタベルトの透気度が、300~1100cfm、好ましくは350~1050cfm、好適には400~1000cfmであり、部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度が、150~700cfm、好ましくは200~600cfm、好適には250~500cfmであること、がある。部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度は、特に好適には、300~500cfmに、全く特に好適には350~500cfmに達する。閉鎖されてないフィルタベルトは、本発明の意味では、単に開放したもしくは閉鎖されてないフィルタベルト開口を有する、本発明により使用されるフィルタベルトを意味する。その点で、閉鎖されてないフィルタベルトは、ここでは基準としてしか使用されない。何故なら、本発明によれば、部分的に閉鎖されたフィルタベルともしくは部分的に閉鎖されたフィルタベルト開口を有するフィルタベルトが、使用されるからである。閉鎖されてないフィルタベルトの透気度が、部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度よりも高いことがわかる。
【0010】
透気度は、ここではcfm(立方フィート毎分)で表記される。透気度の測定は、好ましくは38.3cm2の円面積で125Paの圧力差において行なわれる。合目的に、複数の個々の測定、有利には10回の個々の測定が実施され、それから、透気度が、個々の測定の平均化によって得られる。本発明の範囲内には、透気度がASTM D 737に従って測定されること、がある。更に、本発明の範囲内には、フィルタベルトが、交差する糸から成る織布を備えること、がある。合目的にフィルタベルトの糸は、プラスチック糸、特にものフィラメント及び/又は金属フィラメントとして形成去れている。この場合、横断面が円形の糸及び/又は横断面が円形でない糸を使用することができる。フィルタベルトの織布は、単層又は複層で形成することもできる。ここで、複層の織布の場合、フィルタベルト表面とは、織布の最上の層の表面であると理解する。好適の実施形態によれば、フィルタベルトは、1つの織布の1つの層しか備えない。
【0011】
本発明による装置の有利な実施形態は、フィルタベルトが、フィルタベルト開口を画成する経糸と緯糸から成る織布を備えること、を特徴とする。フィルタベルトの織布が、20~75経糸数/25mm、好ましくは30~55経糸数/25mmと、10~50緯糸数/25mm、好適には10~40緯糸数/25mmの織り密度を備えるのが良い。
【0012】
本発明の範囲内には、複数もしくは多数の開放したフィルタベルト開口がフィルタベルト表面にわたって配置されていること、及び、同様に複数もしくは多数の閉鎖したフィルタベルト開口がフィルタベルト表面にわたって配置されていること、がある。1つの閉鎖したフィルタベルト開口又は複数の互いに隣接する閉鎖したフィルタベルト開口が、フィルタベルトの閉鎖箇所を構成する。フィルタベルトの閉鎖箇所の直径dもしくは最小直径dが、少なくとも1.5mm、好ましくは少なくとも2mmで、最大8mm、好適には最大9mm、特に最大10mmであるのが良い。合目的に、部分的に閉鎖されたフィルタベルトの透気度に対する閉鎖されてないフィルタベルトの透気度の比は、1.2~4、好ましくは1.3~3.5、好適には1.5~3、特に好適には1.8~2.8に達する。
【0013】
閉鎖されたフィルタベルト開口もしくは閉鎖箇所は、フィルタベルトが、閉鎖されてないフィルタベルトとは違って均質の透気度をもはや備えないことを惹起する。その点で、本発明の根底にある認識は、閉鎖箇所が、フィルタベルトに流入する空気に、フィルタベルトの直ぐ上で横方向の運動を強制することである。この空気流に含まれた堆積させるべきフィラメントは、この横方向の空気移動に少なくとも部分的に従い、これにより、好適に、フィルタベルトの開放したもしくは閉鎖されてない領域に堆積される。このようにして、異なった局所的な単位面積重量を有するもしくは所定の3D構造を有する不織布が生じる。
【0014】
本発明の特に有利な実施形態によれば、閉鎖されたフィルタベルト開口もしくは閉鎖箇所が、規則的なパターンで、フィルタベルトにわたって配置されている。この場合、有利には、フィルタベルト開口もしくは閉鎖箇所は、少なくとも1つの方向に一定の互いの間隔を備える。本発明の好適な実施形態によれば、閉鎖箇所は、点状に形成されている。ここで、点状は、特に、1つの閉鎖箇所の直径が、全ての方向に同様もしくは比較可能または実質的に等しいことを意味する。実証された実施バリエーションは、点状の閉鎖箇所が、規則的な間隔でフィルタベルトもしくはフィルタベルト表面にわたって配置されていることによって際立っている。合目的に、これら点状の閉鎖箇所の最小直径dは、少なくとも2mm、好適には少なくとも2.5mm、特に好適には少なくとも3mmで、最大8mm、公的には最大9mm、非常に好適には最大10mmである。
【0015】
本発明の別の好適な実施形態によれば、閉鎖箇所が、線状に形成されている。この場合、本発明の範囲内には、線状の閉鎖箇所が、通常は正確に真直ぐもしくは線形に形成されているのではないこと、及び、通常は、特に線状の閉鎖箇所の周縁が、正確に真直ぐもしくは線形に形成されているのではないこと、がある。実証された実施バリエーションに応じて、線状の閉鎖箇所は、互いに一定の間隔もしくは実質的に一定の間隔を有する。合目的に、線状の閉鎖箇所は、互いに平行もしくは実質的に平行に配置されている。本発明の範囲内には、線状の閉鎖箇所が、それぞれ中断された線として形成され、この場合、1つの線上に線状の閉鎖箇所部分と、これら部分を結合する線状の開放したフィルタベルト領域が配置されていること、がある。本発明の1つの実施形態によれば、線状の閉鎖箇所が交差し、好ましくは、1つの方向に延在する線状の閉鎖箇所が互いに平行に配置され、合目的に第2の方向に延在する線状の閉鎖箇所が(同様に)互いに平行に配置されている。
本発明の範囲内には、フィルタベルトの線状の閉鎖箇所が、フィルタベルトもしくはフィルタベルト表面の異なる方向に異なる密度を備える及び/又は異なる幅(最小直径d)を備えること、もある。線状の閉鎖箇所は、湾曲させたもしくは曲げられた線状の閉鎖箇所でもあり得る。線状の閉鎖箇所の幅(最小直径d)は、好ましくは少なくとも1.5mm、好適には少なくとも2mmで、有利には最大8mm、特に最大9mmである。
【0016】
本発明の1つの実施バリエーションによれば、点状及び線状の閉鎖箇所は、互いに組み合わせることができる。基本的に、閉鎖箇所に対して異なる幾何学的な形成が考えられ、これら異なる形成は、互いに組み合わせることもできる。開放させたフィルタベルト領域は、閉鎖箇所もしくは閉鎖されたフィルタベルト領域によって包囲すること又はその逆もできる。
【0017】
本発明の範囲内には、閉鎖されたフィルタベルト開口を発生させるためもしくは閉鎖箇所を発生させるために、プラスチックもしくはポリマーから成るシール材が使用されること、がある。閉鎖箇所を発生させるため、合目的に、融液状もしくは液状のプラスチックが、フィルタベルトの織布へ導入されるもしくはフィルタベルトのフィルタベルト開口へ導入される。シール材は、1つの実施バリエーションによれば、感光性プラスチック、もしくは、まずフィルタベルトの織布へ導入され、その後硬化、特に光の作用下で、好ましくは紫外線の作用下で硬化される感光性の多成分系であり得る。本発明の範囲内には、シール材が、フィルタベルト織布のフィルタベルト開口へ侵入すること、及び、構成される閉鎖箇所パターンが、織り形式及び織り密度に依存すること、がある。合目的に、フィルタベルト織布は、0.2~0.9mm、好ましくは0.3~0.7mmの直径を有するモノフィラメントから構成されている。有利には、閉鎖箇所は、少なくとも2本の経糸及び/又は緯糸の間、好適には少なくとも3本の経糸及び/又は緯糸の間/にわたるフィルタベルト開口を閉鎖することによって生じる。
【0018】
本発明の特に有利な実施形態は、閉鎖箇所のシール材が、フィルタベルト表面内及び/又はその下だけに配置され、フィルタベルト表面から突出しないこと、を特徴とする。この場合、1つの実施バリエーションによれば、シール材は、フィルタベルトもしくはフィルタベルト織布の厚さ全体もしくは実質的に厚さ全体にわたって延在する。他の実施バリエーションに応じて、閉鎖箇所もしくは閉鎖されたフィルタベルト開口のシール材は、フィルタベルト織布の厚さの一部にわたって延在する。好ましくは、閉鎖されたフィルタベルト開口もしくは閉鎖箇所のシール材は、フィルタベルト表面から下に向かって延在し、その際、シール材は、前で説明したように、フィルタベルトの厚さ全体にわたってか、フィルタベルトの厚さの一部だけにわたってのどちらかで延在することができる。合目的に、シール材は、フィルタベルトもしくはフィルタベルト織布の厚さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも33%にわたって配置され、シール材は、前で述べたように、好適にはフィルタベルト表面から下に向かって延在する。
【0019】
本発明の特に有利な実施形態によれば、本発明の範囲内で使用されるフィルタベルトの
フィルタベルト開口の少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%が閉鎖されて形成
されている。合目的にフィルタベルトのフィルタベルト開口の最大67%、好適には最大
60%が、閉鎖されて形成されている。
【0020】
本発明の1つの実施形態は、閉鎖されたフィルタベルト開口もしくは閉鎖箇所のシール材が、フィルタベルト表面から突出し、しかも好ましくは最大1.5mm、合目的に最大1.0mm、好適には最大0.8mm、非常に好適には最大0.6mmだけ突出する。特に好適には、閉鎖されたフィルタベルト開口もしくは閉鎖箇所のシール材は、最大0.3~0.6mmだけフィルタベルト表面から突出する。本発明の特に有利な実施形態は、シール材が、フィルタベルトのフィルタベルト表面内及び/又はその下に配置され、フィルタベルト表面から突出しないこと、を特徴とする。
【0021】
閉鎖箇所が、フィルタベルトを経て流れる空気の横への空気運動を生じさせること、及び、この横への運動に基づいて、空気流内に含まれたフィラメントが、流れに従い、従って好適には、開放したフィルタベルト領域上に堆積される。本発明の根底にある認識は、閉鎖箇所のシール材が、フィルタベルト表面から上に向かって突出する場合に、この移動が効果的に強化され得ることである。これにより生じる頂部を介して、堆積されたフィラメントは、隣接する開放したフィルタベルト領域へ滑り込むことができ、これにより、フィラメント密度もしくは単位面積重量における違いは、更に強く示めされ得る。更に、本発明の根底にある認識は、フィルタベルトから突出する領域の高さが、限界を与えられていることである。何故なら、非常に高く突出する領域は、フィラメント堆積体の安定性の低減と結びついているからである。最後に、本発明の根底にある認識は、フィルタベルト表面から突出する領域が、好適には最大0.6mm、非常に好適には最大0.5mmだけフィルタベルト表面から突出すべきことである。
【0022】
本発明による装置は、無端フィラメントを紡糸する少なくとも1つの紡糸装置もしくは紡糸口金を備える。本発明の特に好適な実施形態によれば、本発明による装置によって、スパンボンド不織布が製造され、その点で、装置は、スパンボンド装置として設計されている。この場合、単成分フィラメント及び/又は多成分フィラメントもしくは二成分フィラメントが、無端フィラメントとして発生される。多成分フィラメントもしくは二成分フィラメントは、コア-シース-構成を有する無端フィラメント又は捲縮性、例えばサイド-サイド-構成を有する無端フィラメントであり得る。本発明の特に好適な実施形態によれば、本発明による装置もしくは本発明による方法によって製造される無端フィラメントは、少なくとも1つのポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンから成る。
【0023】
スパンボンド装置の形態の本発明による装置は、フィラメントを冷却するための少なくとも1つの冷却装置と、フィラメントを延伸するための少なくとも1つの延伸装置を備える。
【0024】
本発明の範囲内で全く特に重要である特に有利な実施形態によれば、冷却装置と延伸装置から成るユニットは、閉じたユニットとして形成され、冷却装置内での冷却空気の供給以外に、この閉じたユニットへの別の空気供給は行なわれない。本発明による装置のこの閉じた形成は、本発明により使用されるフィルタベルトと関係して特に有効であることが分かった。
【0025】
更に、本発明の有利な実施形態は、延伸装置と堆積装置もしくはフィルタベルトの間に、少なくとも1つのディフューザが配置されていること、を特徴とする。延伸装置から流出する無端フィラメントは、ディフューザを経て案内され、それから堆積装置もしくはフィルタベルト上に堆積される。
【0026】
本発明の特別な実施バリエーションは、延伸装置とフィルタベルトの間に少なくとも2つのディフューザ、好適には2つのディフューザが、フィラメント流れ方向に相前後して配置されていることによって際立っている。合目的に、両ディフューザの間に、周囲空気の流入用2次空気流入ギャップが設けられている。少なくとも1つのディフューザもしくは少なくとも2つのディフューザ及び2次空気流入ギャップを有する実施形態は、本発明のフィルタベルトとの組み合わせで特に有効であることがわかった。
【0027】
本発明による装置の場合もしくは本発明による方法の範囲内で、空気は、フィルタベルトを経て吸引されるもしくはフィラメント流れ方向にフィルタベルトを経て吸引される。このため、合目的に、少なくとも1つの吸引ブロワが、フィルタベルトの下に設けられている。合目的に、フィルタベルトの移送方向に、少なくとも2つ、好適には少なくとも3つ、好ましくは3つの互いに分離された吸引領域が相前後して配置されている。この場合、無端フィラメントもしくは不織布の堆積領域に、好適には、主吸引領域が設けられ、この主吸引領域で、空気は、少なくとも1つの別の吸引領域もしくは2つの別の吸引領域よりも高い吸引速度で吸引される。合目的に、主吸引領域で、空気は、5~30m/sの吸引速度で、フィルタベルトを経て吸引される。これは、フィルタベルト面に関して平均の吸引速度である。本発明の有効であることがわかった実施形態は、フィルタベルトの移送方向で主吸引領域の下流に別の吸引領域が配置され、この別の吸引領域で吸引される空気の吸引速度が、主吸引領域内の吸引速度よりも低いことによって際立っている。第1の吸引領域が、フィルタベルトの移送方向に関して主吸引領域の前に配置され、第2の吸引領域が、フィルタベルトの移送方向で主吸引領域の後に配置されているのが良い。合目的に、主吸引領域もしくは不織布の堆積領域内の吸引速度は、別の両吸引領域内の吸引速度よりも高いように調整されている。第1及び/又は第2の吸引領域内の吸引速度は、本発明の1つの実施形態によれば2~10m/s、特に2~5m/sである。
【0028】
本発明の有利な実施形態は、フィルタベルト上に堆積された不織布が、予備硬化され、特に好適には、予備硬化装置としての少なくとも1つの圧縮ロールによって予備硬化されること、を特徴とする。合目的に、この少なくとも1つの圧縮ロールは、加熱されるように形成されている。本発明の他の実施バリエーションによれば、不織布の予備硬化は、フィルタベルト上で熱風硬化として行なうこともできる。
【0029】
本発明の範囲内には、本発明により製造される不織布の最終硬化が実施されること、がある。基本的に、最終硬化は、フィルタベルト上で行なうこともできる。しかしながら、以下で説明する公的な実施形態によれば、フィルタベルトから除去され、次いで最終硬化を受けさせられる。
【0030】
フィルタベルト上に堆積された不織布ウェブは、フィルタベルトから再び分離もしくは除去されなければならないことがわかる。合目的に、フィルタベルトからの不織布ウェブのこの分離は、予備硬化の後で、好適には最終硬化の前に行なわれる。本発明の全く特に公的な実施形態は、フィルタベルトから不織布を分離するために、空気(剥離空気)が、下からもしくは不織布の下側の方向にフィルタベルトを経て吹き付けられること、を特徴とする。このため、好ましくは、別個のブロワが設けられ、有利には、空気の吹き込みは、フィルタベルトの移送方向に関して少なくとも1つの吸引領域に後もしくはそれぞれの吸引領域の後で、特に不織布の堆積領域の後で行なわれる。本発明の範囲内で、不織布の分離部もしくはフィルタベルトから不織布を分離するためのブロワの配置部が、少なくとも1つの予備硬化装置の後で、特に少なくとも1つの圧縮ロールの後に配置されていることが、特に有効であることが分かった。合目的に、剥離空気の吹込みは、不織布ベルトの移送方向で、いずれにしてもフィラメント堆積体がフィルタベルトから除去される位置の直前で行なわれる。本発明の有利な実施形態によれば、空気もしくは剥離空気は、不織布を分離するために1~40m/sの空気速度で吹き込まれる。好ましくは、付加的にフィルタベルトの上に、剥離空気の作用を受ける不織布用の少なくとも1つの支持面が設けられている。1つの実施形態によれば、1つの実施バリエーションにより能動的に吸引される透気性のもしくは透過性の支持面が問題となる。支持面として、例えば、その表面が公的には金属織布によって構成される共に回転する透過性のドラムを使用することができる。付加的又は選択的に、フィルタベルトの上に配置された共に走行する補助フィルタベルトを、支持面として設けることができる。本発明の範囲内には、支持面、例えばドラム又は補助フィルタベルトとして形成された支持面が、吸引、好ましくは上から吸引され、これにより、下から吹き込まれる剥離空気が、支持面を経て吸引されること、がある。
【0031】
フィルタベルトから不織布ウェブを分離するための剥離空気を吹き込むために、フィルタベルトの下に、フィルタベルトの移送方向に対して横に配置された少なくとも1つの吹き込みギャップを配置することができる。この場合、ギャップ幅は、330mmで良い。本発明の範囲内には、フィルタベルト上に堆積された不織布が、不織布を分離するために直線的に持ち上げられ、その際に破壊されることがないように、吹き込みギャップのギャップ幅が調整されること、がある。
【0032】
本発明の範囲内には、不織布が、好適には予備硬化の後で、好ましくはフィルタベルトから分離した後に、最終硬化されること、がある。最終硬化は、特に少なくとも1つのカレンダもしくは少なくとも1つの加熱されたカレンダによって行なうことができる。基本的に、最終硬化は、他の方式で、例えばウォータジェット硬化、機械的なニードリング又は熱風硬化として、実施することができる。
【0033】
本発明の1つの実施形態は、本発明による装置によって、スパンボンド不織布及びメルトブローン不織布から成る積層体が製造可能であることによって際立っている。従って、本発明の範囲内には、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド-装置、即ちSMS-装置を使用すること、がある。このような装置の場合、個々の不織布を紡糸するために、2つのスパンボンドバーと1つのメルトブローンバーが使用される。このような組合せのために、本発明による装置及び本発明による方法は、特に有効であることがわかった。
【0034】
本発明の対象は、無端フィラメントが、好ましくは熱可塑性のプラスチックから成るもしくは実質的に成り、不織布が、特に本発明による装置及び/又は本発明による方法によって製造されている、無端フィラメントから成る不織布でもある。本発明の範囲内には、この不織布の無端フィラメントが、0.9~10デニールのタイターを備えること、がある。フィラメントは、0.5~5μmの直径を備えることもできる。不織布は、スパンボンド不織布又はメルトブローン不織布であり得る。スパンボンド不織布が、特に好ましい。
【0035】
本発明の根底にある認識は、本発明による装置及び本発明による方法によって、簡単かつコスト効率よく局所的に異なる単位面積重量を有する構造化されたスパンボンド不織布が製造され得ることである。本発明の範囲内で、機能的に信頼性の高いかつ僅かにしか労力を要しない方式で、別のプラスの特性の制限を甘受する必要がないこのような不織布を製造することが可能である。特に、従来技術と比べて、簡単かつ再現可能な方式でソフトな手触りを有する3D的に構造化された不織布を発生させることができる。この場合、不織布の特性は、適切かつ問題なく、要求に応じて変化させることができる。結果として、本発明による装置及び本発明による方法は、僅かなコスト、僅かな労力及び機能的に信頼性の高いことによって際立っている。
【0036】
以下で、本発明を、ただ1つの実施例を図示した図面によって詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による装置の垂直断面図
図2図1の部分Aの拡大図
図3】本発明により使用されるフィルタベルトの平面図(但し、3a)は第1の実施形態、3b)は第2の実施形態、3c)は第3の実施形態、3d)は第4の実施形態)
図4】第1の実施形態の図1の部分の拡大図
図5】第2の実施形態の図4の部分
【発明を実施するための形態】
【0038】
それぞれの図は、無端フィラメント2から成る不織布1を製造するための本発明による装置を示す。特に好適な実施形態によれば及びこの実施例では、これは、スパンボンド不織布1を製造するためのスパンボンド装置である。無端フィラメント2は、好適には熱可塑性のプラスチックもしくは実質的に熱可塑性のプラスチックから成る。本発明による装置の場合、無端フィラメント2は、紡糸口金3として形成された紡糸装置によって紡糸される。これに続き、無端フィラメント2は、冷却装置4内で冷却される。この冷却装置4は、好適には及びこの実施例では上下にもしくはフィラメント流れ方向に相前後して配置された2つのキャビン部分4a,4bを備え、これらキャビン部分から、異なる温度の冷却空気が、フィラメント流動空間内へ導入される。フィラメント流れ方向で冷却装置4の下流に、延伸装置5が配置され、この延伸装置5は、好ましくは及びこの実施例では、無端フィラメント2の流れ方向に収斂する中間通路6とこれに続く延伸通路7とを備える。有利には及びこの実施例では、冷却装置4と延伸装置5から成るユニットが、閉じたシステムとして形成されている。この閉じたシステム内で、冷却装置4内での冷却空気もしくはプロセス空気の供給以外に、別の空気供給は行なわれない。
【0039】
本発明の好適な実施形態によれば及びこの実施例では、フィラメント流れ方向で延伸装置5に少なくとも1つのディフューザ8,9が続く。合目的に及びこの実施例では、異なるもしくは相前後して配置された2つのディフューザ8,9が設けられている。両ディフューザ8,9の間に、周囲空気の流入用の周囲空気流入ギャップ10が設けられているのが良い。本発明の範囲内には、無端フィラメント2が、ディフューザ8,9に続いてフィルタベルト11の形態の体積装置上に堆積されること、がある。更に、本発明の範囲内には、これが無限回転式のフィルタベルトであること、がある。
【0040】
フィルタベルト11、フィルタベルト表面12にわたって分配された多数のフィルタベルト開口13を有するフィルタベルト表面12を備える。本発明によれば、空気が、フィルタベルト表面12もしくは(開放した)フィルタベルト開口13を経て吸引される。このため、図に詳細には図示してない少なくとも1つの吸引ブロワが、フィルタベルト11の下に配置されている。好適には及びこの実施例では、フィルタベルトの移送方向に、互いに分離された3つの吸引領域14,15,16が相前後して配置されている。この場合、無端フィラメント2の体積領域17に、好適には主吸引領域15が設けられ、この主吸引領域内で、空気が、例えば5~30m/sの吸引速度もしくは平均吸引速度でフィルタベルト11を経て吸引される。合目的に、主吸引領域15内の吸引速度は、別の吸引領域14及び16内の吸引速度よりも高いように調整されている。この場合、第1の吸引領域14は、主吸引領域15の上流に配置され、第2の吸引領域16は、主吸引領域15の下流に配置されている。合目的に及びこの実施例では、第2の吸引領域16の上に、不織布1の圧縮もしくは予備硬化用の2つの圧縮ロール19,20を有する圧縮装置18が設けられている。有利には及びこの実施例では、圧縮ロール19,20の少なくとも一方は、加熱される圧縮ロール19,20として形成されている。
【0041】
本発明によれば、フィルタベルト11のフィルタベルト開口13の一部が閉鎖されて形成されている。その点で、閉鎖されたフィルタベルト開口21もしくは閉鎖箇所22がフィルタベルトに生じ、閉鎖箇所22は、1つの閉鎖されたフィルタベルト開口21又は互いに隣接する複数の閉鎖されたフィルタベルト開口21から構成される。閉鎖されてないフィルタベルト11(開放したフィルタベルト開口13のみ)の透気度が、閉鎖されたフィルタベルト開口21を備えるフィルタベルト11の透気度よりも高いこと、がわかる。例えば、閉鎖されてないフィルタベルトの透気度は、600cfmであり、ヘイササレタフィルタベルト11の透気度、即ち部分的に閉鎖されたフィルタベルト開口21を有するフィルタベルト11の透気度は、350cfmに過ぎない。部分的に閉鎖されたフィルタベルト11の透気度に対する閉鎖されてないフィルタベルト11の透気度の比は、好ましくは1.2~3である。この場合、透気度は、38.3cm2の円面積で125Paの圧力差において特にフィルタベルト表面12に対して横に測定される。
【0042】
好ましくは及びこの実施例では、フィルタベルト11は、フィルタベルト開口13を制限する経糸23及び緯糸24から成る織布を備える。フィルタベルト開口13の直径Dもしくは最小直径Dは、この実施例では0.5mmで良い。合目的に、これは、フィルタベルト/フィルタベルト織布の表面にもしくは表面層内に配置された糸もしくは織られた糸に関する直径Dである。有利には、フィルタベルト11の織布は、20~75経糸数/25mmと10~50緯糸数/25mmの織り密度を備える。
【0043】
本発明の好適な実施形態によれば、フィルタベルト11内の閉鎖箇所22は、点状及び/又は線状に形成されている。図3a)は、フィルタベルト11内の閉鎖箇所22の点状の形成を示す。このような点状の閉鎖箇所22の(最小)直径dは、この実施例では2mmで良い。図3b)による実施例では、線状の閉鎖箇所22が図示されている。線状の閉鎖箇所22の最小幅bは、この実施例では、同様に2mmで良い。図3c)は、中断された線状の閉鎖箇所22を有する別の実施例を示す。その他、線状の閉鎖箇所22は、図示してない方式で湾曲させた又は弧状の線として形成することができる。図3d)には、交差した線状の閉鎖箇所22を有する付加的な実施例が図示されている。この実施形態も、有効であることがわかった。その他、図3a)、3b)及び3d)は、閉鎖箇所22が、フィルタベルト11の長手方向もしくは移送方向に関して対称に形成されている実施形態を示す。フィルタベルト11の移送方向Fは、図3a)~3d)に矢印によって示されている。これに対して、図3c)による実施形態は、フィルタベルト11の長手方向もしくは移送方向Fに関して非対称である。長手方向もしくは移送方向Fに関して対称の実施形態は、本発明の範囲内で好適である。
【0044】
図4には、本発明による装置の特に有利な実施形態が図示されている。ディフューザ9から流出する無端フィラメント2は、フィルタベルト11の堆積領域17内でフィルタベルト表面12上に堆積される。堆積領域17の下に、フィルタベルト11もしくはフィルタベルト表面12を経てプロセス空気を吸引するための主吸引領域15が存在する。主吸引領域15に続いて、プロセス空気が主吸引領域15に比べて低い空気速度で吸引される第2の吸引領域16が配置されている。第2の吸引領域16の上に、両圧縮ロール19,20を有する圧縮装置18が設けられている。不織布1の移送方向で下流に、剥離領域25が配置されている。この剥離領域25で、不織布1もしくは予備硬化された不織布1が、フィルタベルト11もしくはフィルタベルト表面12から剥離/分離される。このため、空気が、下からもしくは不織布1の下側の方向にフィルタベルト11を経て吹き付けられる。これは、図4及び5では、相応の矢印26によって明らかにされている。有利な実施形態によれば及び図4による実施例では、剥離空気の作用を受ける不織布1は、フィルタベルト11の移送方向に共に回転する透気性のもしくは透過性のドラム27によって支持される。ドラムは、例えば0.5~5mmの間隔を置いてフィルタベルト表面12の上に配置することができる。この場合、ドラム27の表面は、例えば金属織布の形態で形成することができる。ドラムの代わりに、フィルタベルト11の移送方向に共に回転する補助フィルタベルト(図示してない)を使用することもできる。
【0045】
図5は、剥離空気の作用を受ける不織布1を支持するために設けられたドラム27の別の実施形態を示す。この実施例の場合、ドラム27は、剥離空気を収容するための吸引領域28を備え、ここでは付加的に、無端フィラメント2もしくは不織布1がドラム27に付着したままになることを回避するために、フィルタベルト11の方向もしくは不織布1の方向に支持空気が吹き込まれる。支持空気は、図5では矢印29によって象徴化されている。
【符号の説明】
【0046】
1 スパンボンド不織布
2 無端フィラメント
3 紡糸口金
4 冷却装置
4a キャビン部分
4b キャビン部分
5 延伸装置
6 中間通路
7 延伸通路
8 ディフューザ
9 ディフューザ
10 周囲空気流入ギャップ
11 フィルタベルト
12 フィルタベルト表面
13 フィルタベルト開口
14 吸引領域、第1の吸引領域
15 吸引領域、主吸引領域
16 吸引領域、第2の吸引領域
17 堆積領域
18 圧縮装置
19 圧縮ロール
20 圧縮ロール
21 閉鎖されたフィルタベルト開口
22 閉鎖箇所
23 経糸
24 緯糸
25 剥離領域
26 矢印
27 ドラム
28 吸引領域
29 矢印
図1
図2
図3
図4
図5