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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】ブースター
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/08 20060101AFI20221114BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H04B1/08 E
H05K5/02 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021187645
(22)【出願日】2021-11-18
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 将和
(72)【発明者】
【氏名】中野 聡志
【審査官】浦口 幸宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-251812(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161962(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/08
H04B 1/38
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定部材に取り付けられるブースターであって、
高周波信号を増幅して出力する増幅部と、
前記増幅部に電力を供給する電源部と、
前記増幅部および前記電源部を収容する筐体と、
前記所定部材に取り付け可能なスライド部材と、を備え、
前記筐体は、前記スライド部材を介して、前記所定部材と第1方向に対向するよう前記所定部材に取り付けられ、
前記スライド部材は、前記所定部材に取り付けられる取付部を前記第1方向と直交する第2方向の一方側の端部に有するとともに、前記取付部よりも前記第2方向の他方側の部分であって前記筐体に対して前記第2方向にスライド可能に支持される基台部を有し、
前記取付部は、前記スライド部材が前記筐体に対して前記第2方向にスライドすることにより、第1位置と、前記第1位置よりも前記筐体から前記第2方向の一方側に離れた位置である第2位置と、の間を移動し、前記第1位置と前記第2位置との前記第2方向間の領域内に選択的に配置され
前記筐体に固定される本体取付部を備え、
前記取付部は、前記第1方向に貫通する取付孔を有し、
前記本体取付部は、前記第1方向に貫通する本体取付孔を有し、
前記取付部が前記第1位置にあるとき、前記取付部と前記本体取付部とが前記第1方向に重なり、前記取付孔と前記本体取付孔とが前記第1方向に重なる、ブースター。
【請求項2】
前記取付部が前記第1位置にあるとき、前記基台部は、前記筐体と前記第1方向に重なる位置に配置される、請求項1に記載のブースター。
【請求項3】
前記取付部は、前記本体取付部と前記第1方向に一部で重なり、
前記取付部のうち前記本体取付部と重なる部分は、前記第1方向の一方側に凹み、
前記取付部が前記第1位置にあるとき、
前記取付部のうち前記本体取付部と重なる部分は、前記本体取付部よりも前記第1方向の一方側に配置され、
前記基台部は、前記筐体よりも前記第1方向の他方側に配置される、請求項1または2に記載のブースター。
【請求項4】
前記基台部は、前記第2方向へのスライド時に前記本体取付部と前記第1方向に対向する対向領域に開口部を有し、
前記基台部は、前記第1方向の一方側に凹む固定補助部を前記第2方向の他方側の端部に有し、
前記固定補助部は、前記第2方向の一方に向かって突出して前記対向領域に配置される第1突出部を有し、
前記取付部が前記第2位置にあるとき、前記第1突出部は、前記本体取付部よりも前記第1方向の一方側に配置され、前記本体取付部と前記第1方向に重なる、請求項1~3のいずれか1項に記載のブースター。
【請求項5】
前記固定補助部は、前記第2方向の他方に向かって突出する第2突出部を有し、
前記筐体は、前記取付部が前記第1位置にあるときに前記第2突出部が挿入される挿入部を有する、請求項に記載のブースター。
【請求項6】
前記開口部は、前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向に互いに対向し、かつ、前記第2方向に平行に延びる一対の内側面を有し、
前記本体取付部は、前記一対の内側面の前記第3方向間に配置され、
前記本体取付部は、前記一対の内側面のそれぞれと前記第3方向に対向する一対の外側面を有する、請求項またはに記載のブースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブースターは、増幅部および電源部を備える。増幅部および電源部は、筐体(収納ボックス)に収容される。このようなブースターは、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
ブースターは、情報分電盤などに取り付けられる。たとえば、情報分電盤には、ネジ穴が設けられる。ブースターの筐体には、ネジ部材が挿入される取付孔が設けられる。情報分電盤に対するブースターの取り付けは、筐体の取付孔に挿入したネジ部材を情報分電盤のネジ穴に螺合させることによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-111273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブースターの取付先に設けられるネジ穴の位置(取付ピッチ)は様々である。仮に、取付先の取付ピッチがブースター側の取付ピッチよりも大きい場合には、ブースター側の取付ピッチを取付先に合わせるため、筐体のサイズを大きくする必要がある。すなわち、筐体が大型化してしまう。
【0006】
本発明は、筐体を大型化することなく、ブースターの取付先に合わせてブースター側の取付ピッチを調整可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によるブースターは、所定部材に取り付けられるブースターであって、高周波信号を増幅して出力する増幅部と、増幅部に電力を供給する電源部と、増幅部および電源部を収容する筐体と、所定部材に取り付け可能なスライド部材と、を備える。筐体は、スライド部材を介して、所定部材と第1方向に対向するよう所定部材に取り付けられる。スライド部材は、所定部材に取り付けられる取付部を第1方向と直交する第2方向の一方側の端部に有するとともに、取付部よりも第2方向の他方側の部分であって筐体に対して第2方向にスライド可能に支持される基台部を有する。取付部は、スライド部材が筐体に対して第2方向にスライドすることにより、第1位置と、第1位置よりも筐体から第2方向の一方側に離れた位置である第2位置と、の間を移動し、第1位置と第2位置との第2方向間の領域内に選択的に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成では、筐体を大型化することなく、ブースターの取付先に合わせてブースター側の取付ピッチを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るブースターの斜視図である。
図2】実施形態に係るブースターの前面カバーを省略した斜視図である。
図3】実施形態に係るブースターの電源カバーを省略した斜視図である。
図4】実施形態に係るブースターの筐体の分解斜視図である。
図5】実施形態に係るブースターの取付金具の斜視図である。
図6】実施形態に係るブースターの取付金具の平面図である。
図7】実施形態に係るブースターの取付部が第1位置にあるときの斜視図である。
図8】実施形態に係るブースターの取付部が第2位置にあるときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図8を参照し、本実施形態のブースター100について説明する。以下の説明では、図中のX方向を左右方向と定義し、Y方向を上下方向と定義し、Z方向を前後方向と定義する。また、X方向のうち、+X方向を右方(一方)と定義し、-X方向を左方(他方)と定義する。Y方向のうち、+Y方向を上方(一方)と定義し、-Y方向を下方(他方)と定義する。Z方向のうち、+Z方向を前方(一方)と定義し、-Z方向を後方(他方)と定義する。なお、X方向は「第3方向」に相当し、Y方向は「第2方向」に相当し、Z方向は「第1方向」に相当する。
【0011】
<ブースターの概略構成>
図1図3に示すように、ブースター100は、増幅部1および電源部2を備える。また、ブースター100は、筐体3を備える。筐体3は、板金製の部材および金属ダイカスト製の部材などで構成される。増幅部1および電源部2は、筐体3の内部に収容される。
【0012】
増幅部1は、テレビアンテナで受信した高周波信号(テレビ信号)を増幅する。増幅部1は、増幅回路を含む増幅基板11を備える。増幅基板11には、入力端子および出力端子を含む複数の端子12が接続される。複数の端子12は、筐体3の内部から、筐体3の外部に突出する。複数の端子12は、下向きに突出する。すなわち、複数の端子12の突出方向は、上下方向である。
【0013】
電源部2は、増幅部1に電力を供給する。電源部2は、電源回路を含む電源基板21を備える。電源基板21は、交流電源(商用電源)から供給される電力を直流に変換し、増幅部1への供給電力を生成する。
【0014】
また、電源部2は、電源ケーブル20を有する。電源ケーブル20の一方端は、電源基板21に接続される。図示しないが、電源ケーブル20は、他方端にプラグを有する。電源ケーブル20のプラグは、コンセントに差し込まれる。すなわち、電源ケーブル20の他方端は、交流電源(商用電源)に接続される。電源基板21は、電源ケーブル20を介して供給される電力を直流に変換する。
【0015】
<筐体の構成>
図4に示すように、筐体3は、筐体本体30を含む。また、筐体3は、前面カバー31および電源カバー32を含む。前面カバー31および電源カバー32は、筐体本体30に取り付けられる。前面カバー31は、筐体本体30の前面側に配置される。電源カバー32は、筐体本体30の後面側に配置される。
【0016】
筐体本体30は、ベース部310を有する。ベース部310は、前後方向から見て、略矩形状に形成され、ベース部310の長手方向が左右方向となり、ベース部310の短手方向が上下方向となる。
【0017】
増幅部1および電源部2は、ベース部310を挟んで前後方向に重なる。具体的には、増幅部1は、ベース部310の前面側に配置され、電源部2は、ベース部310の後面側に配置される(図2および図3参照)。すなわち、増幅基板11は、ベース部310の前面側に配置され、電源基板21は、ベース部310の後面側に配置される。
【0018】
ベース部310の前面側には、前面カバー31が取り付けられる。ベース部310の前面側は、前面カバー31で覆われる。増幅基板11は、前面カバー31により、筐体3の外部に露出しないように覆われる。
【0019】
ベース部310の後面側には、電源カバー32が取り付けられる。ベース部310の後面側は、少なくとも一部が電源カバー32で覆われる。少なくとも電源基板21は、電源カバー32により、筐体3の外部に露出しないように覆われる。
【0020】
なお、筐体本体30は、ベース部310の外縁から後方に立設する外壁部を有する。筐体本体30の外壁部で囲われた領域が電源部2の収容領域となる。電源ケーブル20は、筐体本体30の外壁部で囲われた領域から、筐体3の外部に引き出される。
【0021】
以下の説明では、筐体本体30の外壁部のうち、左右方向に延びる上方側の壁部に符号311を付して第1壁部311と称し、左右方向に延びる下方側の壁部に符号312を付して第2壁部312と称する。
【0022】
ここで、ブースター100は、上方側の端部に本体取付部33を備える。本体取付部33は、筐体3に固定される。たとえば、本体取付部33は、筐体本体30に一体的に形成される。本体取付部33は、筐体本体30に後付けされてもよい。また、本体取付部33は、電源カバー32に一体的に形成されてもよいし、電源カバー32に後付けされてもよい。
【0023】
本体取付部33は、筐体3のうち上方側の端部から上方に向けて突出して配置される。具体的には、本体取付部33は、第1壁部311から上方に向けて突出して配置される。本体取付部33は、第1壁部311の左右方向の中央部分であって、第1壁部311の後方側の端部から上方に延びる。本体取付部33は、前後方向を板厚方向とする板状に形成され、前後方向に貫通する本体取付孔331を有する。本体取付孔331には、ブースター100の所定部材1000(情報分電盤など)への取り付けに使用されるネジ部材などの締結部材が挿入可能である。
【0024】
なお、筐体3のうち本体取付部33が固定される部分には、上下方向に貫通する貫通部314が形成される。貫通部314は、第1壁部311に形成される。たとえば、第1壁部311は、前後方向の後方側から前方側に向かって矩形状に切り欠かれ、かつ、上下方向に貫通する切り欠きを有する。そして、その第1壁部311の切り欠きが貫通部314とされる。
【0025】
また、ブースター100は、下方側の端部に下側取付部34を備える(図3参照)。下側取付部34は、筐体3に固定される。たとえば、下側取付部34は、筐体本体30に一体的に形成される。下側取付部34は、筐体本体30に後付けされてもよい。また、下側取付部34は、電源カバー32に一体的に形成されてもよいし、電源カバー32に後付けされてもい。
【0026】
下側取付部34は、筐体3のうち下方側の端部から下方に向けて突出して配置される。具体的には、下側取付部34は、第2壁部312から下方に向けて突出して配置される。また、下側取付部34は、第2壁部312の後方側の端部から後方に延びる。下側取付部34は、前後方向を板厚方向とする板状に形成され、前後方向に貫通する下側取付孔341を有する。下側取付孔341の個数は複数である。下側取付孔341には、ブースター100の所定部材1000(情報分電盤など)への取り付けに使用されるネジ部材などの締結部材が挿入可能である。
【0027】
下側取付部34と第2壁部312との境界部分には、上下方向に貫通する挿入部340が形成される。挿入部340は、後述する第2突出部412が挿入される貫通孔である。
【0028】
<取付金具の構成>
ブースター100は、情報分電盤などの所定部材1000に取り付けて使用される(図1参照)。このため、ブースター100は、所定部材1000に取り付け可能な取付金具4を筐体3の後方側に備える(図1参照)。なお、取付金具4は「スライド部材」に相当する。
【0029】
筐体3は、取付金具4を介して、所定部材1000と前後方向に対向するよう所定部材1000に取り付けられる。ブースター100が所定部材1000に取り付けられた状態では、前面カバー31の前面が使用者に向けられる。すなわち、前面カバー31の前面が正面となる。
【0030】
取付金具4は、図5および図6に示すような形状を有する。なお、図5および図6において、筐体3は、紙面手前側に配置される。
【0031】
取付金具4は、筐体3に対して上下方向にスライド可能に支持される基台部41を有する。また、取付金具4は、所定部材1000に取り付けられる取付部42を上方側の端部に有する。基台部41は、取付金具4のうち取付部42よりも下方側の部分である。
【0032】
基台部41は、前後方向に貫通し、かつ、上下方向に延びるガイド孔400を有する。ガイド孔400は、基台部41の右側部分および左側部分に1ずつ形成される。ガイド孔400には、ネジ部材5(図7および図8参照)が前後方向に挿入される。
【0033】
基台部41には、開口部40が形成される。基台部41は、筐体3に対する取付金具4の上下方向へのスライド時において、本体取付部33と前後方向に対向する対向領域4Aに開口部40を有する。対向領域4Aを図6に示す。図6では、対向領域4Aを破線で囲う。なお、対向領域4Aは、2つのガイド孔400の左右方向間に存在する。このため、開口部40は、2つのガイド孔400の左右方向間に位置する。具体的には、開口部40は、左右方向の中央領域に位置する。
【0034】
また、基台部41は、下方側の端部であって左右方向の中央部分に固定補助部410を有する。固定補助部410は、取付金具4に対する筐体3の固定を補助する部分である。言い換えると、固定補助部410は、取付金具4に対する筐体3のがたつきを抑制する部分である。
【0035】
固定補助部410は、開口部40の下方側の縁を成す部分を有する。なお、基台部41の左右方向の中央部分は、右側部分および左側部分よりも、前方側に凹む。すなわち、固定補助部410は、前方側に凹む部分である。
【0036】
固定補助部410は、上方に向かって突出して対向領域4Aに配置される第1突出部411を有する。また、固定補助部410は、下方に向かって突出する第2突出部412を有する。
【0037】
取付部42は、左右方向の中央部分に中央取付孔420を1つ有する。中央取付孔420は「取付孔」に相当する。また、取付部42は、右側部分および左側部分に1つずつサイド取付孔421を有する。中央取付孔420およびサイド取付孔421は、前後方向に貫通する貫通孔であり、ネジ部材などの締結部材の挿入が可能である。
【0038】
中央取付孔420は、開口部40と連通する。言い換えると、開口部40は、基台部41から取付部42に突出する領域を有する。そして、開口部40のうち取付部42に突出した領域が中央取付孔420となる。なお、開口部40と中央取付孔420とが分断されてもよい。
【0039】
また、取付部42のうち左右方向の中央部分は、固定補助部410と同様、前方側に凹む。たとえば、取付金具4となる金属板に対するプレス加工により、一方向(上下方向となる方向)に延びる凹部が形成され、当該凹部の底面の一部が開口部40の形状となるよう抜き取られる。
【0040】
この場合、当該凹部のうち底面が抜き取られて得られる領域(開口部40となる領域)の縁には、一方向と直交する他方向(左右方向となる方向)に互いに対向し、かつ、一方向に平行に延びる一対の内側面が残る。すなわち、開口部40は、左右方向に互いに対向し、かつ、上下方向に平行に延びる一対の内側面401を有する。
【0041】
なお、金属板に対するプレス加工で形成された凹部のうち、一方向(上下方向となる方向)の一方側の部分は、取付部42のうち中央取付孔420を有する部分となる。金属板に対するプレス加工で形成された凹部のうち、一方向の他方側の部分は、固定補助部410となる。
【0042】
<取付金具の筐体に対する取付構造>
筐体3に対する取付金具4の取り付けでは、図7および図8に示すように、ネジ部材5が使用される。ネジ部材5の種類は特に限定されない。ボルトの使用も可能である。
【0043】
取付金具4の取り付けにネジ部材5を使用するため、筐体本体30は、雌ネジが形成されたネジボス313(図3参照)をベース部310に有する。ネジボス313は、ベース部310の後面から後方に向かって突出する。ネジボス313は、ベース部310の右側部分および左側部分に1つずつ配置される。言い換えると、ネジボス313は、筐体3に取付金具4が取り付けられた状態において、ガイド孔400と前後方向に重なる位置に配置される。
【0044】
さらに、電源カバー32は、前後方向に貫通する貫通孔321(図4参照)を有する。貫通孔321の個数は、ネジボス313と同数の2つである。貫通孔321は、ネジボス313と前後方向に重なる位置に配置される。言い換えると、貫通孔321は、筐体3に取付金具4が取り付けられた状態において、ガイド孔400と前後方向に重なる位置に配置される。
【0045】
ネジ部材5は、取付金具4の後方から、ガイド孔400に挿入される。また、ネジ部材5は、電源カバー32の貫通孔321を介して、筐体3の内部(筐体本体30の内部)に突出する。そして、その状態で、ネジ部材5は、ネジボス313の雌ネジに螺合する。これにより、取付金具4は、筐体3に対し、ネジ部材5によりねじ止めされた状態となる。すなわち、取付金具4は、筐体3に固定された状態となる。なお、図7および図8に示す状態は、いずれも、取付金具4が筐体3に固定された状態である。
【0046】
取付金具4は、筐体3が取り付けられた状態で、情報分電盤などの所定部材1000に取り付けられる。すなわち、筐体3は、取付金具4を介して、所定部材1000に取り付けられる。具体的には、中央取付孔420およびサイド取付孔421のうち、少なくとも一方に挿入された締結部材により、所定部材1000に取り付けられる。所定部材1000に対する取り付けでは、1つの中央取付孔420だけが使用される場合もあるし、2つのサイド取付孔421だけが使用される場合もあるし、1つの中央取付孔420および2つのサイド取付孔421の全てが使用される場合もある。
【0047】
さらに、下側取付部34の下側取付孔341に締結部材が挿入され、当該締結部材が所定部材1000に締結される。すなわち、筐体3の上方側では、所定部材1000への取り付けにおいて取付金具4が介在するが、筐体3の下方側では、筐体3が所定部材1000に対して直接的に取り付けられる。
【0048】
<取付金具のスライド>
取付金具4は、筐体3に対して上下方向にスライド可能である。このため、筐体3に対する取付部42の上下方向の位置を任意に変更できる。すなわち、筐体3の下側取付孔341と取付金具4の中央取付孔420およびサイド取付孔421との間の上下方向のピッチを任意に変更できる。
【0049】
取付金具4は、ネジ部材5により筐体3にねじ止めされており、それによって筐体3に固定される。この構成では、筐体3に対する取付金具4のネジ部材5によるネジ止めを解除する、すなわち、当該ネジ止めを緩めることにより、取付金具4を上下方向にスライドさせることが可能となる。
【0050】
なお、取付金具4を上下方向にスライドさせるとき、ネジ部材5を筐体3(ネジボス313)から完全に取り外す必要はない。筐体3に対する取付金具4のネジ部材5によるネジ止めが緩められていれば、ネジ部材5がネジボス313に螺合していてもよい。筐体3に対する取付金具4のネジ部材5によるネジ止めが緩められた状態であって、ネジ部材5がネジボス313に螺合した状態であれば、ガイド孔400にネジ部材5が挿入された状態が維持され、取付金具4の上下方向のスライドがガイドされる。言い換えると、取付金具4を上下方向にスライドさせるとき、取付金具4が傾くことを抑制できる。
【0051】
取付部42は、第1位置と第2位置との間を移動する。そして、取付部42は、第1位置と第2位置との上下方向間の領域内に選択的に配置される。
【0052】
取付部42が第1位置にあるときの状態を図7に示す。たとえば、ブースター100の梱包時やブースター100を持ち運ぶとき、取付部42が第1位置に配置されるよう取付金具4が固定される。
【0053】
取付部42が第1位置にあるとき、取付部42は、筐体3のうち上方側の端部から上方に向けて突出する。具体的には、取付部42は、筐体本体30の第1壁部311よりも上方に突出する。そして、取付部42は、その左右方向の中央部分が本体取付部33と前後方向に重なる。このとき、中央取付孔420は、本体取付孔331と前後方向に重なる。
【0054】
取付部42が第1位置にあるとき、基台部41は、筐体3と前後方向に重なる位置に配置される。言い換えると、基台部41の略全部分が筐体3と前後方向に重なる。さらに言い換えると、基台部41が筐体3に収納された状態となる。
【0055】
また、取付部42が第1位置にあるとき、取付部42のうち本体取付部33と前後方向に重なる左右方向の中央部分(ここでは、単に中央部分と称する)は、本体取付部33よりも前方側に配置される。取付部42の中央部分は、その右側部分および左側部分よりも前方側に凹む。これにより、取付部42の中央部分を本体取付部33よりも前方側に配置できる。なお、取付部42が第1位置にあるとき、基台部41は、筐体3よりも後方側に配置される。
【0056】
さらに、取付部42が第1位置にあるとき、第2突出部412が挿入部340に挿入される。第2突出部412が挿入部340に挿入されることにより、筐体3のうち下方側の端部の前後方向および左右方向への移動が規制される。
【0057】
取付部42が第2位置にあるときの状態を図8に示す。取付部42が第2位置にあるとき、本体取付部33と取付部42とは前後方向に重ならない。具体的には、第2位置は、第1位置よりも筐体3から上下方向の上方側に離れた位置である。取付部42が第1位置にある状態から、取付金具4を筐体3に対して上方側にスライドさせることにより、取付部42を第2位置に配置できる。
【0058】
また、取付部42が第2位置にあるとき、第1突出部411は、本体取付部33よりも前方側に配置され、本体取付部33と前後方向に重なる。なお、第1突出部411は、下方側から貫通部314に挿入され、上方側に引き出される。これにより、第1突出部411を本体取付部33の前方側に配置できる。
【0059】
ここで、本体取付部33は、開口部40の一対の内側面401(図5および図6参照)の左右方向間に配置される。また、本体取付部33は、一対の内側面401のそれぞれと左右方向に対向する一対の外側面330(図3および図4参照)を有する。これにより、筐体3のうち上方側の端部の左右方向への傾きが規制される。
【0060】
<取付ピッチの調整>
取付金具4の取付部42は、取付金具4が筐体3に対して上下方向にスライドすることにより、第1位置と第2位置との間を移動する。この構成では、取付金具4の取付部42は、第1位置と第2位置との上下方向間の領域内に選択的に配置される。
【0061】
ここで、所定部材1000としての情報分電盤などに設けられるネジ穴の位置は様々である。情報分電盤のメーカーによってネジ穴の位置が変わる。たとえば、ネジ穴の上下方向のピッチがメーカーによって、第1距離になったり、第1距離よりも長い第2距離になったりする。また、第1距離と第2距離との間の距離になる場合もある。
【0062】
たとえば、下側取付孔341と本体取付孔331との上下方向のピッチが第1距離である。このため、情報分電盤に設けられるネジ穴の上下方向のピッチが第1距離である場合には、筐体3の本体取付孔331を使用できる。言い換えると、本体取付孔331に挿入した締結部材で筐体3を情報分電盤に取り付けることができる。しかし、情報分電盤に設けられるネジ穴の上下方向のピッチが第1距離よりも大きい場合において、下側取付孔341を使用すると、本体取付孔331は使用できない。
【0063】
このような場合には、筐体3に対して取付金具4を上方側にスライドさせ、筐体3の本体取付孔331に代えて、取付金具4の取付部42を使用すればよい。これにより、情報分電盤に設けられるネジ穴の上下方向のピッチが第1距離よりも大きくても、ブースター100を情報分電盤に取り付けることができる。
【0064】
本実施形態では、上記のように、筐体3に対して上下方向にスライド可能な取付金具4を設けることにより、筐体3のサイズを取付先(情報分電盤などの所定部材1000)の取付ピッチに合わせる必要はない。たとえば、取付先の取付ピッチが大きくても(本体取付孔331が使用できなくても)、筐体3をより大きいサイズに変更する必要はない。すなわち、筐体3を大型化することなく、ブースター100の取付先に合わせてブースター100側の取付ピッチを調整できる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、取付部42が第1位置にあるとき、基台部41は、筐体3と前後方向に重なる位置に配置される。すなわち、基台部41が筐体3に収納された状態になる。これにより、筐体3に取付金具4が取り付けられいても、筐体3からの取付金具4の突出を最小限に抑えることができる。このため、ブースター100の梱包や持ち運びが容易となる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、取付部42が第1位置にあるとき、取付部42と本体取付部33とが前後方向に重なり、中央取付孔420と本体取付孔331とが前後方向に重なる。この構成では、取付先の取付ピッチが第1距離(第1位置における中央取付孔420と下側取付孔341との上下方向のピッチに相当する距離)である場合には、取付金具4を省略できる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、取付部42が第1位置にあるとき、取付部42のうち本体取付部33と重なる部分は、本体取付部33よりも前方側に配置される。基台部41は、筐体3よりも後方側に配置される。これにより、取付部42が第1位置にあるとき、筐体3のうち上方側の端部の前方への移動(位置ずれ)を規制できる。言い換えると、取付部42が第1位置にあるとき、筐体3のうち上方側の端部の前方への傾倒を抑制できる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、取付部42が第2位置にあるとき、固定補助部410の第1突出部411は、本体取付部33よりも前方側に配置され、本体取付部33と前後方向に重なる。これにより、取付部42が第2位置にあるとき、筐体3のうち上方側の端部の前方への移動(位置ずれ)を規制できる。言い換えると、取付部42が第2位置にあるとき、筐体3のうち上方側の端部の前方への傾倒を抑制できる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、筐体3は、取付部42が第1位置にあるときに固定補助部410の第2突出部412が挿入される挿入部340を有する。これにより、取付部42が第1位置にあるとき、筐体3ががたつくことをより抑制できる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、開口部40は、左右方向に互いに対向し、かつ、上下方向に平行に延びる一対の内側面401を有する。本体取付部33は、一対の内側面401の左右方向間に配置される。また、本体取付部33は、一対の内側面401のそれぞれと左右方向に対向する一対の外側面330を有する。これにより、筐体3のうち上方側の端部の左右方向への傾きを抑制できる。
【0071】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 増幅部
2 電源部
3 筐体
4 取付金具(スライド部材)
4A 対向領域
33 本体取付部
40 開口部
41 基台部
42 取付部
100 ブースター
330 外側面
331 本体取付孔
340 挿入部
401 内側面
410 固定補助部
411 第1突出部
412 第2突出部
420 中央取付孔(取付孔)
【要約】
【課題】筐体を大型化することなく、ブースターの取付先に合わせてブースター側の取付ピッチを調整可能にする。
【解決手段】ブースターは、増幅部と、電源部と、筐体と、スライド部材と、を備え、筐体は、スライド部材を介して、所定部材と第1方向に対向するよう所定部材に取り付けられ、スライド部材は、所定部材に取り付けられる取付部を第2方向の一方側の端部に有するとともに、取付部よりも第2方向の他方側の部分であって筐体に対して第2方向にスライド可能に支持される基台部を有し、取付部は、スライド部材が筐体に対して第2方向にスライドすることにより、第1位置と第2位置との間を移動し、第1位置と第2位置との第2方向間の領域内に選択的に配置される。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8