(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】プロセスダイヤフラムシール
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
G01L19/06 A
(21)【出願番号】P 2021501052
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(86)【国際出願番号】 CN2018095583
(87)【国際公開番号】W WO2020010606
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】515231553
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】リー、パオカン
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-2644(JP,U)
【文献】特開平11-324834(JP,A)
【文献】特開2005-106467(JP,A)
【文献】米国特許第3072150(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを囲むフランジ
と、前記フランジから延在する部分と、を含むシール本体と;
前記キャビティを覆って延在する能動部分と前記能動部分を囲む周縁部分とを有するダイヤフラムと、
リング部材であって、前記リング部材は、前記ダイヤフラムの前記周縁部分
を前記フランジの外壁
に前記リング部材の内壁と前記フランジの前記外壁との間の締まりばめを介して締め、シールが前記ダイヤフラムの前記周縁部分と前記フランジの前記外壁との間に形成される、リング部材と、
を備
え、
前記シール本体の前記部分は、前記シール本体が前記締まりばめを覆うように前記リング部材の前記内壁の端部を超えて外側に延在する、
プロセスダイヤフラムシール。
【請求項2】
前記ダイヤフラムの前記能動部分は、中心軸に対して実質的に垂直に延在し;
前記ダイヤフラムの前記周縁部分は、前記中心軸に実質的に平行に延在し;
前記フランジの前記外壁及び前記リング部材の前記内壁は、前記中心軸に実質的に平行に延在する、
請求項1に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項3】
前記フランジの前記外壁及び前記リング部材の前記内壁は、円筒状である、
請求項2に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項4】
前記締まりばめは、前記フランジの前記外壁に対して前記ダイヤフラムの前記周縁部分を挟み込む、
請求項2に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項5】
前記フランジの前記外壁は、前記中心軸に対して実質的に垂直に延在する少なくとも1つの突起を含み、
前記締まりばめは、前記少なくとも1つの突起の回りに前記ダイヤフラムの前記周縁部分を変形させる、
請求項4に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの突起は、前記中心軸を囲む少なくとも1つの環状リッジを備える、
請求項5に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項7】
前記少なくとも1つの突起は、複数の突出部を備える、
請求項5に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項8】
前記ダイヤフラムは、ポリマーを含む、
請求項2に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項9】
前記ダイヤフラムは、金属を備える、
請求項2に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項10】
前記リング部材及び前記シール本体の前記フランジは、実質的に同じ材料で形成されている、
請求項2に記載のプロセスダイヤフラムシール。
【請求項11】
プロセスダイヤフラムシールを形成する方法であって、
リング部材とシール本体のフランジとの間に温度差を生成することであって、前記フランジは、前記シール本体のキャビティを囲
む、温度差を生成することと;
前記温度差を生成することに応答して前記フランジの外壁の外径と前記リング部材の内壁の内径との間に寸法ギャップを生成することと;
前記フランジを覆ってダイヤフラムを位置決めすることであって、前記ダイヤフラムの能動部分は前記キャビティを覆って延在し、前記ダイヤフラムの周縁部分は前記外壁に沿って延在
する、ダイヤフラムを位置決めすることと;
前記ダイヤフラムの前記周縁部分及び前記フランジの辺りに前記リング部材を置くことであって、前記周縁部分は、前記リング部材の前記内壁と前記フランジの前記外壁との間に
ある、前記リング部材を置くことと;
前記シール本体、前記ダイヤフラム及び前記リング部材
の温度を実質的に均一化することと;
前記リング部材の前記内壁と前記フランジの前記外壁との間に前記ダイヤフラムの前記周縁部分を締めると共に、前記温度を実質的に均一化することに応答して前記ダイヤフラムの前記周縁部分と前記フランジの前記外壁との間にシールを形成することと、
を備
え、
前記シール本体は、前記フランジから延在する部分を含み、前記シール本体の前記部分は、前記シール本体が、前記リング部材の前記内壁と前記フランジの前記外壁との間の締まりばめを覆うように前記リング部材の前記内壁の端部を超えて外側に延在する、
る方法。
【請求項12】
前記シール本体の前記フランジと前記リング部材との間の相対温度を変化させることは、前記リング部材を加熱する、及び前記フランジを冷却する、のうちの一方を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ダイヤフラムの前記能動部分は、中心軸に対して実質的に垂直に延在し;
前記ダイヤフラムの前記周縁部分は、前記中心軸に実質的に平行に延在し;
前記フランジの前記外壁及び前記リング部材の前記内壁は、前記中心軸に対して実質的に平行に延在し、
前記ダイヤフラムの前記周縁部分を締めることは、前記リング部材の前記内壁と前記フランジの前記外壁との間に前記ダイヤフラムに対して挟む力を加えることであって、前記挟む力は、前記中心軸に対して実質的に垂直な平面に沿って加えられる、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記フランジの前記外壁は、前記中心軸に対して垂直に延在する少なくとも1つの突起を含み、
前記ダイヤフラムの前記周縁部分を締めることは、前記少なくとも1つの突起の回りに前記ダイヤフラムの前記周縁部分を変形させることを含む
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの突起は、前記中心軸を囲む環状リッジ部及び突出部のうちの少なくとも一方を含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プロセス材料を含むプロセス容器と;
前記プロセス容器に取り付けられたプロセスダイヤフラムシールであって、前記プロセスダイヤフラムシールは
キャビティを囲むフランジ
、および前記フランジから延在する部分を含むと共に前記プロセス容器に接続されたシール本体と
、
前記キャビティにわたって広がる能動部分と、前記能動部分を囲む周縁部分とを有するダイヤフラムであって、前記能動部分は、前記プロセス材料に露出される第1側面と、前記キャビティに露出される第2側面とを有
する、ダイヤフラムと、
リング部材であって、前記リング部材は、前記ダイヤフラムの前記周縁部分を前記フランジの外壁に、前記リング部材の内壁と前記フランジの前記外壁との間の締まりばめを介して締め、前記ダイヤフラムの前記周縁部分と前記フランジの前記外壁との間にシールが形成される、リング部材と
、を含
む、
プロセスダイヤフラムシールと、
前記キャビティに連結された流体経路であって、前記キャビティ及び前記流体経路は、流体で満たされる、流体経路と;
前記ダイヤフラム及び前記流体を介して前記プロセス容器内の圧力を感知するように構成された圧力センサを含むプロセス伝送器と、
を備
え、
前記シール本体の前記部分は、前記シール本体が前記締まりばめを覆うように前記リング部材の前記内壁の端部を超えて外側に延在する、
工業プロセス制御システム。
【請求項17】
前記ダイヤフラムの前記能動部分は、中心軸に対して実質的に垂直に延在し;
前記ダイヤフラムの前記周縁部分は、前記中心軸に実質的に平行に延在し;
前記フランジの前記外壁及び前記リング部材の前記内壁は、前記中心軸に実質的に平行に延在する、
請求項16に記載の工業プロセス制御システム。
【請求項18】
前記締まりばめは、前記フランジの前記外壁に対して前記ダイヤフラムの前記周縁部分を挟み付ける、
請求項17に記載の工業プロセス制御システム。
【請求項19】
前記フランジの前記外壁は、前記中心軸に対して垂直に延在する少なくとも1つの突起を含み、
前記締まりばめは、前記少なくとも1つの突起の回りにおいて前記ダイヤフラムの前記周縁部分を変形させる、
請求項18に記載の工業プロセス制御システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの突起は、前記中心軸を囲む環状リッジ及び突出部のうちの少なくとも一方を含む、
請求項19に記載の工業プロセス制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、プロセス産業に関する。より具体的には、本開示の実施例は、工業プロセス測定器具を工業プロセスに結びつけるために使用されるタイプといった隔離ダイヤフラム又は「ダイヤフラムシール」に関しており、工業プロセスでは、ダイヤフラムは、締まりばめを用いてシール(seal)本体に接合される。
【背景技術】
【0002】
ある種のプロセス測定器、圧力伝送器(圧力トランスミッタ)といったものは、圧力センサを有し、該圧力センサは、典型的には、プロセスの圧力を測定するために使用される。隔離ダイヤフラムは、潜在的に損傷を与える(例えば、腐食性の)プロセス材料から圧力センサを保護するために圧力センサをプロセスから隔離し、一方、実質的に非圧縮性の充填流体を介してプロセスの圧力を伝えるために、典型的には、使用される。圧力伝送器は、プロセスに直接に結びつけられてもよく、充填流体からプロセスを分離する隔離ダイヤフラムを含んでもよい。或いは、圧力伝送器は、遠隔の隔離ダイヤフラムを介して該プロセスからさらに移されてもよく、該隔離ダイヤフラムは、該プロセスに直接に連結されると共に、充填流体を収容するチューブを通して該プロセスの圧力を該伝送器の隔離ダイヤフラムに伝え、隔離ダイヤフラムは、順に、伝送器のハウジング内に配置された充填流体を介して、感知された圧力を圧力センサに伝える。
【0003】
各隔離ダイヤフラムは、該ダイヤフラムの充填流体側から該ダイヤフラムのプロセス側をシールする「遠隔シール」又は「ダイヤフラムシール」と呼ばれるサブアセンブリの部分を含んでもよい。ダイヤフラムは、典型的には、シール本体に接合され、このシール本体は、該ダイヤフラムの能動領域の外周を支持すると共に、該プロセス流体における圧力変化に応答してダイヤフラムの能動内部部分がゆがむことを可能にする。ダイヤフラムは、シール本体内の充填流体をしっかりシールするために接着されることが重要である。
【0004】
金属ダイヤフラムが、ダイヤフラムをシール本体に溶接し又はろう付けすることによってシール本体に取り付けられる。溶接は、金属ダイヤフラムをシール本体に気密に接合できる。しかし、溶接部及び熱影響された区域は、腐食に敏感であり、腐食は、ダイヤフラムとシール本体との間のシール部を漏れやすくする。
【0005】
高分子ダイヤフラムは、機械的ボルト締め又は熱的ボンディング技術を介してシール本体に取り付けされることができる。機械的なボルト締め技術は、一般には、該シール本体とある部材との間の高分子ダイヤフラムといったダイヤフラムを締めることを伴い、該部材を介してプロセスの圧力がダイヤフラムに伝達されることができる。シールが、Oリングを用いてシール本体と部材との間に形成されている。ボルトが、シール本体及び該部材とOリングとを一緒に押し付けて、ダイヤフラムをしっかり固定すると共に充填液をシール本体内で密閉するために使用される。この機械的なボルト締結技術は、例えば、振動及び/又は温度変化からのボルトの緩み又は外れによる漏れに敏感である。
【0006】
シール本体への高分子ダイヤフラムの熱接合は、一般には、表面に微細構造を形成するために、シール本体の金属基材の表面がレーザ又は化学プロセスを用いて処理されることを必要とし、該微細構造は、高分子ダイヤフラムを把持できる。残念ながら、この熱接合プロセスは、レーザ装置類及び化学プロセスのため、高価である。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施は、プロセスダイヤフラムシール、該プロセスダイヤフラムシールを形成する方法、及びプロセスダイヤフラムシールを含む工業プロセス制御システムを指向する。プロセスダイヤフラムシールの一実施例は、シール本体、ダイヤフラム、及びリング部材を含む。シール本体は、キャビティを囲むフランジを含む。ダイヤフラムは、キャビティを覆って延在する能動部分と、該能動部分を取り囲む周辺部分とを含む。リング部材は、該フランジの外壁に該ダイヤフラムの周縁部分を、該リング部材の内壁と該フランジの該外壁との間の締まりばめを介して締める。シールが、該ダイヤフラムの該周縁部分と該フランジの該外壁との間に形成される。
【0008】
プロセスダイヤフラムシールを形成する方法のいくつかの実施では、温度差が、リング部材と、シール本体のフランジとの間に生成され、該フランジは、該シール本体のキャビティを取り囲む。寸法の間隙が、温度差の生成に応答して、該リング部材の内壁の内径と該フランジの外壁の外径との間に形成される。ダイヤフラムが該フランジを覆って配置される。該ダイヤフラムの能動部分は、キャビティを覆って延在し、該ダイヤフラムの周縁部分は、該外壁に沿って延在する。リング部材は、周縁部分が該リング部材の内壁及び該フランジの該外壁との間にあるように、該ダイヤフラムの周縁部分及び該フランジの辺りに配置される。該シール本体、該ダイヤフラム、及び該リング部材の温度は、等しくされている。該ダイヤフラムの周縁部分を、該温度の均一化に応答して、該リング部材の該内壁と該フランジの該外壁との間で締める。加えて、シールが、該温度の該均一化に応答して、該ダイヤフラムの該周縁部分と該フランジの該外壁との間に形成される。
【0009】
工業プロセス制御システムの一実施は、プロセス材料を収容するプロセス容器と、該プロセス容器に取り付けられるプロセスダイヤフラムシールとを含む。プロセスダイヤフラムシールは、シール本体、ダイヤフラム、及びリング部材を含む。シール本体は、プロセス容器に接続され、またキャビティを囲むフランジを含む。該ダイヤフラムは、キャビティを覆って延在する能動部分と、該能動部分を囲む周縁部分とを含む。該能動部分は、プロセス材料に露出される第1側面と、該キャビティに露出される第2側面とを有する。該リング部材は、ダイヤフラムの周縁部分を該フランジの外壁に、該リング部材の内壁と該フランジの該外壁との間の締まりばめを介してクランプで固定する。シールが、該ダイヤフラムの該周縁部分と該フランジの該外壁との間に形成される。流体経路が、キャビティに連結され、該キャビティ及び該流体経路は、流体で満たされる。該システムのプロセス伝送器は、圧力センサを含み、該圧力センサは、該ダイヤフラム及び該充填流体を介して、該プロセス容器内の圧力を感知するように構成される。
【0010】
本概要は、詳細な説明内にさらに後述される簡略化された形で概念の選択(もの)を導入するために提供される。本概要が、クレームされた主題の鍵となる特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、クレームされた主題の範囲を決定するに際して助けとして本概要が使用されることを意図していない。クレームされた主題は、背景技術に書き留められた何らかの又は全ての欠点を解決する実施に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施に従う、例示的な工業プロセス制御システムの簡略図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施に従う、ダイヤフラムシールの簡略化された底面図である。
【
図3】
図3は、概略的に3-3線に沿って取られた、
図2のダイヤフラムシールの単純化された組み立てられた断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のダイヤフラムシールの簡略化した分解断面図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施に従う、アセンブリの異なる段階中のシール本体110及びリング部材130の簡略化された側断面図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の実施に従う、アセンブリの異なる段階中のシール本体110及びリング部材130の簡略化された側断面図である。
【
図5C】
図5Cは、本開示の実施に従う、アセンブリの異なる段階中のシール本体110及びリング部材130の簡略化された側断面図である。
【
図5D】
図5Dは、本開示の実施に従う、アセンブリの異なる段階中のシール本体110及びリング部材130の簡略化された側断面図である。
【
図5E】
図5Eは、本開示の実施に従う、アセンブリの異なる段階中のシール本体110及びリング部材130の簡略化された側断面図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施に従う、アセンブリの異なる段階中における
図3の円6内のダイヤフラムシールの部分の側断面図である。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施に従う、アセンブリの異なる段階中における
図3の円6内のダイヤフラムシールの部分の側断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施に従う、シール本体の一部の正面部分断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施に従う、シール本体の一部の正面部分断面図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施に従う、プロセスダイヤフラムシールを形成する例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施例が、添付図面を参照して、以下により十分に説明される。同一又は類似の参照文字を用いて識別される要素は、同一又は類似の要素を指し示す。しかしながら、本開示の様々な実施は、様々な異なる形態で実施されてもよく、また本明細書に記載される実施に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施は、本開示が詳細かつ完全なものとなるように提供され、本開示の範囲を当業者に完全に伝えることになる。
【0013】
図1は、例示的な工業プロセス制御システム100を示しており、該工業プロセス制御システムは、本開示に従って形成されたプロセスダイヤフラムシール102を利用することができる。シール102は、工業プロセス104の圧力を、例えば関係づけることができ、このプロセスは、タンク又はパイプといったプロセス容器106内に含まれる液体、ガス、スラリー、又は他の材料といったプロセス材料105を含むことができる。シール102は、シール本体110に取り付けられたダイヤフラム108を含む。シール102のダイヤフラム108は、プロセス側112を検知側113から分離しており、プロセス側112は、プロセス材料105に露出されると共に、検知側113は、流体が充填されたチューブ116を介してプロセス伝送器114(例えば、圧力伝送器)に結合されていてもよい。上述のように、ダイヤフラム108は、容器106内に収容された材料105の圧力に応答して、曲がり(flex)又はゆがむ(deflect)。ダイヤフラムのこの動きは、チューブ116内の充填流体を通して伝送器114に伝えられ、一方、充填流体は、シール102によってプロセス材料105から隔離される。
【0014】
伝送器114は、従来のプロセス伝送器114に従って、圧力センサ120を用いて、別のダイヤフラムシール118を介して、伝えられたプロセス圧力を感知してもよい。ここに記載されるシール102の実施は、伝送器114のダイヤフラムシール118に等しく当てはまることが理解される。伝送器114内の回路類は、センサ120によって生成された信号を、2線式制御ループ124にわたって、制御室といった遠隔位置122への伝送のために助けとなる形成に変換できる。このような信号の例は、デジタル信号及びアナログ信号を含む。適切なアナログ信号は、4から20ミリアンペアの信号の形式をとることができ、この形式において、電流のレベルは、プロセス圧力といったプロセス変数の値を示す。制御ループ124にわたって供給された電流は、また、伝送器114に電力を供給することができる。例示的なデジタル通信信号は、HART(商標)通信規格に従ったものといった、2線式プロセス制御ループ124のアナログ電流レベル上へデジタル信号を変調することを含む。他の純粋なデジタル技術が、また、採用されても良く、フィールドバス(Fieldbus)及びプロフィバス(Profibus)の通信プロトコルを含む。他の通信技術、例えば無線通信技術といったものは、所望の位置へデータを通信するために、伝送器114によって採用されることもできる。
【0015】
シール102のダイヤフラム108は、締まりばめを介してシール本体110に取り付けられる。シール本体110へのダイヤフラム108の締まりばめ結合は、上述の溶接及び熱接合の技術に優る利点を提供する。例えば、金属及びポリマー(つまり、プラスチック)のダイヤフラム108をシール本体110にしっかり固定する能力に加えて、締まりばめ結合は、従来の溶接及び熱接合の技術と比較して組立プロセスを単純化し、従来の溶接技術に関連付けられた腐食の問題を回避し、また該熱接合技術に対するより経済的な解決策を提供する。
【0016】
本開示の実施に従う例示的なダイヤフラムシール102が、
図2から
図4に図示される。
図2は、ダイヤフラムシール102の簡略化された底面図であり、
図3は、概ね3-3線に沿って取られた
図2のダイヤフラムシール102の簡略化された組立断面図であり、
図4は、
図3のダイヤフラムシール102の簡略化された分解断面図である。
【0017】
ダイヤフラム108をシール本体110に接合する締まりばめ128は、リング部材又はフェルール130を用いて形成される。いくつかの実施においては、締まりばめは、該リング部材130と該シール本体110のフランジ132との間に形成され、該フランジ132は、
図3に示されるように、キャビティ134を囲む。
【0018】
リング部材130及びフランジ132又はシール本体110は、同一の又は異なる材料で形成されることができる。リング部材130及び/又はシール本体110を形成するために使用されることができる例示的な材料は、例えば、316Lステンレス鋼、C-276ステンレス鋼、2相2205ステンレス鋼、2相2507ステンレス鋼、又は所望の熱膨張又は収縮の特性を有する別の適当な材料を含む。
【0019】
いくつかの実施では、ダイヤフラム108は、カップ形状であり、また
図4に示されるように、能動部分136と、能動部分136を囲む周縁部分138とを含む。ダイヤフラム108の能動部分136は、キャビティ(空洞)134にわたって上に延在し、また
図3に示されるように、プロセス側112と検知側113との間の差圧における変化に応答して、中心軸140に沿って曲がり(flex)又はゆがむ(deflect)ように構成される。周縁部分138は、能動部分136から延びる。いくつかの実施では、能動部分は、軸140に対して実質的に垂直(例えば、±10°)に延在し、また周縁部分138は、
図4に示されるように、軸140に対して実質的に平行(例えば、±10°)に延在する。ダイヤフラム108の周縁部分138は、リング部材130の円筒状内壁142とフランジ部132の円筒状外壁143との間に延在し、また
図3に示すように、リング部材130とフランジ132との間の締まりばめ128によってシール本体110にクランプで固定される。これは、また、ダイヤフラム108の周縁部分138とフランジ132の外壁143との間にシールを形成し、これは、キャビティ134の検知側113をプロセス側112から密閉する。
【0020】
いくつかの実施においては、シール本体110は、ポート144を含み、ポート144は、中心軸140と同軸であってもよい。ポート144は、キャビティ134へ開いた端部145を含む。ポート144の他端は、チューブ116(
図1)のような流体経路に流体的に結合されてもよい。流体経路又はチューブ116は、プロセス伝送器114に結合されることもできる。キャビティ134、ポート144、及び流体経路又はチューブ116は、充填流体146で充填される。プロセス104における圧力変化に応答したダイヤフラム108の能動部分136の動きは、
図1を参照して上述されたように、充填流体146を介して伝送器114に伝えられてもよい。
【0021】
リング部材130とフランジ132との間に締まりばめ128を形成する技術は、
図5Aから
図5E、及び
図6Aから
図6Bを参照して説明されることになる。
図5Aから
図5Eは、アセンブリの異なる段階(stage)中のシール本体110及びリング部材130の単純化された側断面図である。構成要素及びダイヤフラム108の詳細は、図示を簡略化するために図示されていない。
図6Aから
図6Bは、組立の異なる段階における
図3の円6内のダイヤフラムシール102の部分の側断面図である。
【0022】
静止条件下では、この条件中にリング部材130及びフランジ132上に概略的には顕著な外力が作用しないと共にリング部材130及びフランジ132が各々実質的に同じ温度(例えば±5°)にあって、リング部材130は、
図5Aに例示されるように、フランジ132の外径148よりも短い内径147を有する。リング部材130及びフランジ132が軸140と同軸に整列されるとき、フランジ132は、幅149を有する環状リングにわたって内壁142を過ぎて延在する。その結果、これらの条件下において、リング部材130をダイヤフラムの周縁部分138及びフランジ132を超えて(over)スライドさせることができない。
【0023】
シール本体110及びリング部材130は、リング部材130の内径147がフランジ132の外径148よりも大きくなるように、相対的な内径147及び外径148を変更することによって組み立てのために準備される。これは、
図5Bに示すように、加熱デバイス150を用いてリング部材を加熱することによりリング部材130を熱膨張させることによって、及び/又は、
図5Cに示すように、冷却デバイス152を用いてフランジ132又はシール本体110全体を冷却することによりフランジ132を熱収縮させることによって達成される。これ故に、フランジ132及びダイヤフラム108の周縁部分138にわたるリング部材130の組立は、
図5Bに図示された加熱ステップ、
図5Cに図示された冷却ステップ、又は加熱ステップ及び冷却ステップの両方によって達成され得る。
【0024】
加熱デバイス150及び冷却デバイス152は、任意の適切な形態をとることができる。例示的な加熱デバイス150は、オーブン、誘導加熱デバイス、トーチ(torch)、又は別の適当な加熱デバイスを含む。例示的な冷却デバイス152は、液体窒素又はドライアイスを利用するものといった冷却器、又は別の適切な冷却デバイスを含む。
【0025】
リング部材130の熱膨張は、
図5Bに示されるように、(二点鎖線で示される)静止状態の直径147を拡張した直径147’へ増加させる。フランジ132の熱収縮は、
図5Cに示されるように、(二点鎖線で示される)静止状態の直径148を収縮した直径148’へ減少させる。リング部材130の十分な熱膨張及び/又はフランジ132の熱収縮の後に、
図5D及び
図6Aに示されるように、隙間154が、フランジ132の外壁143とリング部材130の内壁142との間に形成される。これにより、
図6Aに示すように、リング部材130を、フランジ132及びダイヤフラムの周縁部分138の辺りに配置することを可能にする。
【0026】
リング部材130とフランジ132又はシール本体110との間の相対温度が、リング部材130の温度の低下及び/又はフランジ132の温度の上昇のため低下すると、隙間154が、リング部材130の熱収縮及び/又はフランジ132の熱膨張のため減少する。組み立てられたダイヤフラムシールの温度が平衡に近づくにつれて、リング部材130及びフランジ132は、それらの静止直径147及び148に向かうリング部材130の更なる収縮及び/又はフランジ132の更なる膨張を防止するために、熱的な収縮及び膨張の力を釣り合わせる。これは、ダイヤフラム108の周縁部分138を本体110に締めるフランジ132の外壁143と、リング部材130の内壁142との間に強い半径方向の締付力又は挟み込み力を生成し、かつ、キャビティ134を密封するためにフランジの外壁143と周縁部分138との間にシールを形成する、
図3、
図5E及び
図6Bに示された締まりばめをもたらす。締付力又は挟み込み力は、一般には、中心軸140に対してほぼ垂直(例えば、±5°)の方向に沿って加えられる。
【0027】
フランジ132の外壁143のいくつかの実施は、一般には160として参照される1又は複数の突起(protrusion)を含み、該突起は、
図7及び
図8に図示されるように、軸140に対して実質的に垂直(例えば、±5°)に延在し、
図7及び
図8は、本開示の実施に従ったシール本体110の一部の部分的前断面図である。1又は複数の突起160は、任意の適切な形態をとることができる。
【0028】
いくつかの実施では、突起160は、
図7に示されるように、中心軸140を囲む少なくとも1つの環状リッジ部160Aを含む。いくつかの実施において、複数の環状リッジ部160Aは、
図7に示されるように、外壁143上に形成され、軸140に沿って互いに離される。
【0029】
いくつかの実施において、1又は複数の突起160は、
図8に示されるように、外壁143上において互いにずらされた1又は複数の突出部160Bを含む。外壁143上の突出部160Bは、
図8に示されるように、軸140に対して垂直に延びる軸に沿って整列されてもよく、及び/又は軸140に対して平行に延びる軸に沿って整列されてもよい。
【0030】
1又は複数の突出部160は、ダイヤフラム108の周縁部分138をフランジ132へしっかり固定することを助けることができる。例えば、ダイヤフラム108がポリマー又は他の変形可能な材料で形成される場合、リング部材130とフランジ132との間の締まりばめ128は、1又は複数の突起160に対してダイヤフラム108の周縁部分138を圧縮し、周縁部分138は、
図6Bに示されるように、1又は複数の突起160のまわりに周縁部分138を変形させる。これにより、更に、ダイヤフラム108の周縁部分138がフランジ132にしっかり固定される。加えて、周縁部分138の変形は、また、1又は複数の突起160が、例えば少なくとも1つの環状リッジ部160A(
図7)を含むといった場合、フランジ132の外壁143と周縁部分138との間に形成されたシールを改善できる。
【0031】
本開示のいくつかの実施は、プロセスダイヤフラムシール102を形成する方法を指向している。
図9は、本方法の例示的な実施を示すフローチャートである。本方法の170では、温度差が、シール本体110のフランジ132とリング部材130との間に生じる。
図5B及び
図5Cを参照して説明されたように、この温度差は、
図5Bに示されるように、加熱デバイス150を用いてリング部材130を加熱することによって、及び/又は
図5Cに示されるように、冷却デバイス152を用いてフランジ132又はシール本体110を冷却することによって生成されてもよい。
【0032】
本方法の172では、寸法ギャップが、ステップ170に応答してフランジ132の外壁143の外径と、リング部材の内壁142の内径147との間に形成される。これは、概略的に、
図5B及び
図5Cに示されており、
図5B及び
図5Cでは、静止直径147又は拡張直径147’が、静止直径148又は収縮直径148’に対して増加されるように、リング部材130の内径147がフランジ132の外径148に対して相対的に増加される。
【0033】
ダイヤフラム108は、本方法のステップ174において、フランジ132を覆って位置決めされる。いくつかの実施では、ダイヤフラム108の能動部分136は、フランジ132によって囲まれたキャビティ134を覆って延在しており、ダイヤフラム108の周縁部分138は、フランジ132の外壁143に沿って延在する。
【0034】
本方法の176では、リング部材は、
図5Dに示されるように、フランジ132及びダイヤフラム108の周縁部分138の辺りに置かれる。これは、ステップ172におけるギャップ154の形成によって可能にされる。これは、
図3及び
図6Aに示すように、リング部材130の内壁142とフランジ132の外壁143との間に周縁部分138を位置決めする。フランジ132又はシール本体110及びリング部材130の温度は、次いで、本方法の178において実質的に(例えば、互いに±5°以内に)等しくされる。これは、構成要素が、例えば室温に冷える、又は熱くなることを可能にすることによって達成されてもよい。
【0035】
180では、ダイヤフラム108の周縁部分138は、ステップ178におけるシール本体110及びリング部材130の温度の均一化に応答して、リング部材130の内壁142とフランジ132の外壁143との間に締めつけられて、締まりばめ128を形成する。これは、概略的には
図3、
図5E及び
図6Bに示されている。ダイヤフラム108の周縁部分138のこの締め付け(留め具による)は、また、フランジ132の外壁143と周縁部分138との間の密閉を形成し、この密閉は、キャビティ134からの充填流体146の漏出を防止し、また、プロセス材料105がキャビティ134に入ることを防止する。これにより、プロセスダイヤフラムシール102の形成が完了する。
【0036】
本開示の実施が好ましい実施例を参照して説明されたが、当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更が為されてよいことを認識することになる。