(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】ダンパー開閉装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/10 20060101AFI20221114BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
F24F13/10 A
F24F13/14 H
(21)【出願番号】P 2021504969
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2020009162
(87)【国際公開番号】W WO2020184333
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2019047246
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】福原 基広
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】実公昭58-048513(JP,Y2)
【文献】米国特許第05533929(US,A)
【文献】実公昭59-041473(JP,Y2)
【文献】特開2001-227810(JP,A)
【文献】特開平05-277200(JP,A)
【文献】特開2014-213814(JP,A)
【文献】特開平02-010050(JP,A)
【文献】特開2008-039313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/10
F24F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用の開口(12)に設置されるダンパー開閉装置(10)であって、
開閉蓋(18)と、
電力供給が行われている期間に、前記開閉蓋(18)を保持して前記開口(12)を開状態とし、前記電力供給が停止した際に前記開閉蓋(18)の保持を開放して前記開口(12)を閉状態とする保持機構(20)と、
前記電力供給が行われている期間に、前記開閉蓋(18)が
前記閉状態である場合に、前記開閉蓋(18)を前記保持機構(20)による前記保持の状態に復帰する復帰機構(24)と、を有
し、
前記復帰機構(24)は、
第1ブレイク接点(78a)及び第2ブレイク接点(78b)と、
前記第1ブレイク接点(78a)及び前記第2ブレイク接点(78b)のうち、少なくとも1つの接点のオン状態に基づいて回転駆動するモータ(40)と、
前記モータ(40)の回転駆動に伴って、初期位置から前記開閉蓋(18)を開く方向に回転するアーム(42)と、を有し、
前記第1ブレイク接点(78a)は、前記開閉蓋(18)の開状態に基づいてオフ状態とされ、
前記第2ブレイク接点(78b)は、前記アーム(42)の前記初期位置への復帰に基づいてオフ状態とされ、
前記ダンパー開閉装置(10)は、
前記モータ(40)の駆動によって回転し、前記開閉蓋(18)を開く方向に前記アーム(42)を回転するクランクプレート(80)と、
前記モータ(40)の駆動によって前記クランクプレート(80)と共に回転するカムプレート(56)と、を更に有し、
前記カムプレート(56)は、前記アーム(42)の前記初期位置への復帰に基づいて、前記第2ブレイク接点(78b)をオフ状態にするカム面(56a)を有する、ダンパー開閉装置(10)。
【請求項2】
請求項1記載のダンパー開閉装置(10)において、
前記保持機構(20)は、前記開閉蓋(18)を電磁的に保持する電磁チャック(30)を有する、ダンパー開閉装置(10)。
【請求項3】
請求項1又は2記載のダンパー開閉装置(10)において、
前記保持機構(20)による前記開閉蓋(18)の保持が開放された際の前記開閉蓋(18)の動きは、前記開閉蓋(18)の自重によるものである、ダンパー開閉装置(10)。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載のダンパー開閉装置(10)において、
前記開閉蓋(18)の開状態は、前記開閉蓋(18)が前記保持機構(20)によって保持された状態であり、
前記第2
ブレイク接点(7
8b)は、前記第1
ブレイク接点(7
8a)がオフ状態となった後に、前記アーム(42)の前記初期位置への復帰に基づいてオフ状態とされる、ダンパー開閉装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパー開閉装置に関し、例えばコンテナ等に設置された給気口、排気口等の開閉に用いて好適なダンパー開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンパーの開閉を制御する装置として、例えば特開2006-187524号公報に記載のダンパー開閉装置がある。
【0003】
このダンパー開閉装置は、蓄電手段に電荷を蓄積する充電回路及び蓄電手段に蓄積された電荷を放出する放電回路が形成された開閉回路部と、開閉回路部及び外部電源の接続状態に応じ、充電回路及び放電回路のいずれか一方に切替える継電器とを具備する。
【0004】
継電器は、開閉回路部及び外部電源が電気的に接続した通電状態にあるとき、充電回路に切替え、蓄電手段に電荷を蓄積する。また、継電器は、開閉回路部及び外部電源が電気的に切断されたときに、放電回路によって蓄電手段に蓄積された電荷を放出してソレノイドに供給し、ソレノイドのプランジャを駆動させ、ダンパー開閉機構部をプランジャに連動して、ダンパーを開放状態から閉成状態にする。
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特開2006-187524号公報記載のダンパー開閉装置は、外部電源から給電されている期間に、蓄電手段に電荷を蓄積する必要がある。そのため、電荷を蓄積するための充電回路、電荷を蓄積するための蓄電手段、停電時に、蓄電手段から電荷を放電するための放電回路が必要となる。
【0006】
また、上述したダンパー開閉装置は、蓄電手段が1つの場合だと、当該蓄電手段が損傷を受けた場合に、ダンパーを閉成できなくなるため、複数の蓄電手段を並列に接続することで解決しているが、回路系が複雑になるおそれがある。
【0007】
また、蓄電手段に蓄積された電荷の量が少ないと、ダンパーを閉成するだけのエネルギーを確保できず、ダンパーを閉成できないおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、外部電源からの給電が絶たれても、蓄電手段等を用いることなく、給気口等を閉じることができ、しかも、外部電源からの給電が再開された場合に、初期の開状態に復帰することができるダンパー開閉装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の一態様に係るダンパー開閉装置は、空調用の開口に設置されるダンパー開閉装置であって、開閉蓋と、電力供給が行われている期間に、前記開閉蓋を保持して前記開口を開状態とし、前記電力供給が停止した際に前記開閉蓋の保持を開放して前記開口を閉状態とする保持機構と、前記電力供給が行われている期間に、前記開閉蓋が前記閉状態である場合に、前記開閉蓋を前記保持機構による前記保持の状態に復帰する復帰機構と、を有し、前記復帰機構は、第1ブレイク接点及び第2ブレイク接点と、前記第1ブレイク接点及び前記第2ブレイク接点のうち、少なくとも1つの接点のオン状態に基づいて回転駆動するモータと、前記モータの回転駆動に伴って、初期位置から前記開閉蓋を開く方向に回転するアームと、を有し、前記第1ブレイク接点は、前記開閉蓋の開状態に基づいてオフ状態とされ、前記第2ブレイク接点は、前記アームの前記初期位置への復帰に基づいてオフ状態とされ、前記ダンパー開閉装置は、前記モータの駆動によって回転し、前記開閉蓋を開く方向に前記アームを回転するクランクプレートと、前記モータの駆動によって前記クランクプレートと共に回転するカムプレートと、を更に有し、前記カムプレートは、前記アームの前記初期位置への復帰に基づいて、前記第2ブレイク接点をオフ状態にするカム面を有する。
【0010】
本発明に係るダンパー開閉装置によれば、外部電源からの給電が絶たれても、蓄電手段等を用いることなく、給気口等を閉じることができ、しかも、外部電源からの給電が再開された場合に、初期の開状態に復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るダンパー開閉装置を上面から見て示す平面図である。
【
図2】本実施形態に係るダンパー開閉装置を
図1における矢印IIの方向から見て示す側面図である。
【
図3】本実施形態に係るダンパー開閉装置を
図1における矢印IIIの方向から見て示す正面図である。
【
図4】復帰機構と保持機構を上面から見て示す平面図である。
【
図5】
図5Aはカムプレートとクランクプレートの組立体を正面から見て示す図であり、
図5Bは
図5AにおけるVB-VB線上の断面図である。
【
図6】回転制御部を含む回路系の一部を示す配線図である。
【
図7】本実施形態に係るダンパー開閉装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るダンパー開閉装置の実施形態例を
図1~
図7を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態に係るダンパー開閉装置10は、
図1~
図3に示すように、コンテナ等の床面に設置された例えば給気口等の開口12に設置される。
【0014】
このダンパー開閉装置10は、床面のうち、開口12を囲むように設置された枠部14を有する基台16と、基台16に対して回転自在に設置され、開口12を開閉する開閉蓋18と、基台16に固定された保持機構20と、復帰機構24とを有する。
【0015】
基台16は、上述した枠部14のほか、枠部14の1つの辺に隣接して設置された台座26を一体に有する。
【0016】
開閉蓋18は、例えば金属板にて、開口12を閉塞する大きさに形成される。
図1の例では、開口12の形状が上面から見て長方形状であることから、開口12と同様に長方形状とされている。もちろん、開閉蓋18の形状は、開口12の形状に応じて、円形状、楕円形状、トラック形状、多角形状等が挙げられる。なお、トラック形状とは、対向する2つの半円部と、これら半円部を接続する2つの平行な直線部とから構成される形状である。また、開閉蓋18の上部には、保持機構20によって係止固定される被係止金具27が設けられている。
【0017】
保持機構20は、外部電源等から電力供給が行われている期間に開閉蓋18を保持して開口12を開状態とし、電力供給が停止した際に開閉蓋18の保持を開放する。
【0018】
具体的には、
図2及び
図4に示すように、保持機構20は、モーターベース28と、モーターベース28の先端部分に固定された電磁チャック30と、を有する。モーターベース28は、基台16上に、上面から見てL字状に設置された2つの金属板(第1金属板32A及び第2金属板32B:
図4参照)を有する。第1金属板32A及び第2金属板32Bは、共に板面が垂直方向に沿うように、すなわち、板面が水平方向に向くように設置される。第1金属板32Aは基台16上に設置され、第2金属板32Bは、基台16から開閉蓋18の上方にかけて設置される。但し、第2金属板32Bは開閉蓋18には固定されていない。また、第2金属板32Bは、開閉蓋18の開動作を妨げないように、下部の一部が切除されている。
【0019】
そして、第2金属板32Bの板面に、電磁チャック30を取り付けるための断面コ字状の取付金具34が取り付けられ、この取付金具34の先端部分に電磁チャック30が取り付けられている。また、取付金具34には、保持金具36が支軸38によって回転自在に取り付けられている。この保持金具36は、電磁チャック30の吸着面と対向する被吸着部位36aと、該被吸着部位36aの先端に一体に設けられた例えば断面L字状の係止部位36bとを有する。
【0020】
そして、
図2の二点鎖線で示すように、取付金具34が電磁チャック30で保持(吸着)された状態において、係止部位36bに、開閉蓋18の上部に設けられた被係止金具27の一部が係止されることによって、開閉蓋18が開状態に保持される。電力供給が停止して、電磁チャック30による保持(吸着)が解除されると、開閉蓋18の自重によって保持金具36が支軸38を中心に回転することから、開閉蓋18の被係止金具27が保持金具36から外れる。その結果、開閉蓋18は、蝶番22を回転支点として回転(落下)し、開口12を閉状態とする(
図2の実線参照)。
【0021】
蝶番22は、基台16の枠部14のうち、台座26が設けられた部分と開閉蓋18の間に取り付けられている。これにより、先ず、保持機構20によって、開閉蓋18は、蝶番22を回転支点として、斜め上方に向けた状態で保持される。保持機構20による保持が開放されたときは、開閉蓋18は自重によって下方に落下することになるが、このとき、蝶番22を回転支点として下方に回転し、開口12を閉鎖する。なお、
図1の例では、開閉蓋18のうち、枠部14の台座26が設けられた部分に隣接する長辺の左右両側にそれぞれ蝶番22を取り付けた場合を示す。もちろん、蝶番22の取付位置や個数は、開閉蓋18の形状等に応じて適宜設定すればよい。
【0022】
図2に示すように、復帰機構24は、電力供給が再開すると、開閉蓋18を持ち上げて、開閉蓋18を保持機構20による保持の状態に復帰させる。また、電力供給中に、万一、電磁チャック30による保持が外れて開閉蓋18が閉状態になった場合も、開閉蓋18を持ち上げて、開閉蓋18を保持機構20による保持の状態に復帰させる。
【0023】
具体的には、
図1及び
図3に示すように、復帰機構24は、モータ40と、モータ40の回転に伴って開閉蓋18を上方に回転するアーム42と、モータ40の回転駆動を制御する回転制御部44(
図6参照)と、モータ40の回転力をアーム42に伝達する伝達機構46(
図2、
図5A、
図5B参照)とを有する。
【0024】
また、
図1に示すように、復帰機構24は、開閉蓋18の上面に設けられた把手48と、把手48に設けられたヒンジピン50とを有する。把手48は、蝶番22が取り付けられた辺から対向する辺に向かって共に延びる例えば2つのL字状の金属板52a及び52b(
図3参照)が対向することにより構成されている。ヒンジピン50は、2つの金属板52a及び52bの間に連結されている。
【0025】
モータ40は、台座26上に設置されるが、モータ40の出力軸54(回転軸)をモーターベース28の第2金属板32B(
図5B参照)に貫通させて設置される。
【0026】
伝達機構46は、
図5A及び
図5Bに示すように、第2金属板32Bを貫通したモータ40の出力軸54に取り付けられたカムプレート56を有する。カムプレート56は、円盤状の周面の一部が膨出して形成されたカム面56aを有する。
【0027】
回転制御部44は、
図6に示すように、電源ライン60と接地ライン62の間に接続されたダンパー内部回路64と、電源ライン60とダンパー内部回路64との間にそれぞれ接続された第1スイッチ66A及び第2スイッチ66Bとを有する。第1スイッチ66Aは、例えばノーマリオープン型のメーク接点68a(a接点)を有し、外部電源等からの電力供給が開始された際にオンとなる。これにより、電源ライン60を通じてダンパー内部回路64に電力が供給される。一方、第2スイッチ66Bは、例えばノーマリクローズ型のブレイク接点68b(b接点)を有し、通常は、外部電源等からの電力が電源ライン60を通じてダンパー内部回路64に供給される。
【0028】
ダンパー内部回路64は、例えば4つの接点(第1接点70a~第4接点70d)を有する。電源ライン60と第1接点70aとの間に上記第1スイッチ66Aが接続され、電源ライン60と第2接点70bとの間に上記第2スイッチ66Bが接続されている。第3接点70c及び第4接点70dは接地ライン62に接続されている。
【0029】
また、ダンパー内部回路64は、第1接点70aと第3接点70cとの間に接続されたモータ40と、第1接点70aとモータ40との間に並列接続された第1リミットスイッチ74A及び第2リミットスイッチ74Bと、第2接点70bと第4接点70dとの間に接続された電磁チャック30とを有する。
【0030】
第1リミットスイッチ74Aは、例えばノーマリクローズ型の第1ブレイク接点78aを有し、第2リミットスイッチ74Bは、例えばノーマリクローズ型の第2ブレイク接点78bを有する。従って、モータ40は、
図6からわかるように、第1ブレイク接点78a及び第2ブレイク接点78bのうち、少なくともいずれか一方がオン状態のときに回転駆動する。
【0031】
また、
図2に示すように、第1リミットスイッチ74Aは、例えば取付金具34と開閉蓋18の間に取り付けられる。好ましくは、第1リミットスイッチ74Aは、開閉蓋18が開状態に向かう段階で、開閉蓋18によって第1リミットスイッチ74Aの第1ブレイク接点78aがオフ状態となる位置に取り付けられる。もちろん、開閉蓋18が全開状態となった段階で、第1リミットスイッチ74Aの第1ブレイク接点78aがオフ状態となる位置に取り付けてもよい。
【0032】
第2リミットスイッチ74Bは、例えばモーターベース28の第2金属板32Bのうち、アーム42に対向する面であって、カムプレート56の上方に取り付けられる。好ましくは、第2リミットスイッチ74Bは、カムプレート56のカム面56aによって、第2ブレイク接点78bがオフ状態となる位置に取り付けられる。初期状態、すなわち、アーム42が初期位置にある状態では、
図2に示すように、クランクプレート80のピン80aが上限位置にあって、カムプレート56のカム面56aが第2リミットスイッチ74Bの第2ブレイク接点78bを押圧していることから、第2ブレイク接点78bはオフ状態となっている。なお、上限位置とは、これ以上、上方に移動することができない位置を指す。
【0033】
従って、モータ40の回転によってカムプレート56が回転すると、カム面56aが第2リミットスイッチ74Bの第2ブレイク接点78bを押圧している期間にわたって、第2ブレイク接点78bはオフ状態になる。カム面56aが第2ブレイク接点78bから離れると、第2ブレイク接点78bはオン状態になる。
【0034】
伝達機構46は、
図2、
図5A及び
図5Bに示すように、カムプレート56の外側であって、且つ、モータ40の出力軸54に取り付けられたクランクプレート80を有する。クランクプレート80は、カムプレート56側とは反対の面であって、且つ、偏心した位置に外方に突出するピン80aが設けられている。
【0035】
アーム42は、
図1及び
図2に示すように、基台16側から開閉蓋18側に延びる長尺の断面L字状の金具で構成されている。このアーム42は、
図2に示すように、中央部分に設けられた回転軸82と、基台16側に設けられ、且つ、クランクプレート80のピン80aが挿通される長孔84とを有する。長孔84は、その長軸がアーム42の長手方向に沿うように形成されている。
【0036】
モータ40の回転駆動によって、クランクプレート80が一方向(モータ40の出力軸54から見て反時計方向)に回転すると、クランクプレート80のピン80aが回転しながらアーム42の長孔84に沿って摺動する。これにより、アーム42は、回転軸82を中心に反時計方向に回転し、開閉蓋18側の先端部分42a(
図1参照)で把手48のヒンジピン50を引っ掛けて上方に持ち上げる。これにより、開閉蓋18は蝶番22を回転支点にして上方に回転し、電磁チャック30によって開状態に保持される。
【0037】
ここで、本実施形態に係るダンパー開閉装置10の動作について、
図7のタイムチャートも参照しながら説明する。
【0038】
先ず、時点t1において、外部電源等から電源ライン60に電力供給が行われると、第1スイッチ66AがONとなって、モータ40に電力が供給されると共に、第2スイッチ66Bを介して電磁チャック30に電力が供給される。例えば
図2に示すように、モータ40(
図3参照)への電力供給によって、カムプレート56及びクランクプレート80が反時計方向に回転し、それに伴って、カムプレート56のカム面56aが第2リミットスイッチ74Bの第2ブレイク接点78bから離間し、第2リミットスイッチ74BがONとなる(時点t2)。また、アーム42も回転軸82を中心に反時計方向に回転して、開閉蓋18を徐々に持ち上げる(
図2の二点鎖線参照)。これにより、開閉蓋18は、蝶番22を回転支点にして上方に回転する。
【0039】
そして、カムプレート56及びクランクプレート80の回転に伴って、クランクプレート80のピン80aが例えば下限位置、あるいはその付近に到達し、開閉蓋18が全開状態となった段階(例えば時点t3)で、開閉蓋18が電磁チャック30で保持される。なお、下限位置とは、これ以上、下方に移動することができない位置を指す。また、このとき、第1リミットスイッチ74Aは、第1ブレイク接点78aが開閉蓋18によって押圧されることからオフ状態となる。この段階では、第2リミットスイッチ74Bを介してモータ40に電力が供給されているため、カムプレート56及びクランクプレート80は反時計方向に回転し続ける。
【0040】
その後、カムプレート56及びクランクプレート80の回転に伴って、カムプレート56のカム面56aが第2リミットスイッチ74Bの第2ブレイク接点78bを押圧することによって、第2ブレイク接点78bはオフ状態になり(時点t4)、モータ40への電力供給が停止される。このとき、カムプレート56及びクランクプレート80は、ピン80aが上限位置、あるいはその付近に到達して回転停止するため、アーム42は初期状態(
図2の実線参照)に戻ることとなる。
【0041】
万一、開閉蓋18に対する電磁チャック30による保持が外れ、開閉蓋18が自重で閉状態となった場合、第1リミットスイッチ74Aの第1ブレイク接点78aがオン状態となるため(時点t5)、再びモータ40の回転駆動が開始(再開)され、上述した時点t2~t4での動作が繰り返されて、開閉蓋18は開状態に復帰される。この復帰動作は、基本的に開閉蓋18の常時開放(給気状態)を維持する必要があるため、開閉蓋18の開放駆動を優先していることに基づく。
【0042】
これに対して、非常時(燃焼ガス検知時等)では、電源ライン60への給電を停止することで、開閉蓋18を閉状態にしている。すなわち、例えば時点t6において、燃焼ガス検知があった場合、外部電源等から電源ライン60への電力供給を停止する。これによって、電磁チャック30及びモータ40への電力供給が停止され、開閉蓋18は閉状態となる。
【0043】
このように、本実施形態に係るダンパー開閉装置10は、保持機構20によって、開閉蓋18を、蝶番22を回転支点として、斜め上方に向けた状態で保持することで、開口12を開状態にすることができる。万一、電磁チャック30による保持が外れて開閉蓋18が閉状態になった場合でも、復帰機構24によって開閉蓋18を駆動して、開閉蓋18を保持機構20による保持の状態に復帰させることができる。特に、保持機構20によって、開閉蓋18を開状態に保持したとき、アーム42を初期位置に戻すようにしたので、復帰機構24による開閉蓋18の開状態への復帰をスムーズに行うことができる。
【0044】
一方、非常時等において、保持機構20に対する電力供給が停止すると、保持機構20による保持が開放され、開閉蓋18はその自重によって下方に落下することになる。このとき、蝶番22を回転支点として下方に回転し、開口12を閉鎖する。すなわち、開口12を閉状態にすることができる。外部電源からの給電が絶たれても、蓄電手段等の電気的手段を用いることなく、開口12を閉じることができ、消費電力(待機電力等)の低減を図ることができる。
【0045】
外部電源からの給電が再開された場合は、再び保持機構20によって、開閉蓋18を、蝶番22を回転支点として、斜め上方に向けた状態で保持することで、開口12を開状態にすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、モータ40の駆動によって回転し、開閉蓋18を開く方向にアーム42を回転するクランクプレート80と、モータ40の駆動によってクランクプレート80と共に回転するカムプレート56とを有する。カムプレート56は、アーム42の初期位置への復帰に基づいて、第2ブレイク接点78bをオフ状態にするカム面56aを有する。
【0047】
モータ40によって、クランクプレート80とカムプレート56とを共に回転させることで、クランクプレート80によって開閉蓋18を開く方向にアーム42を回転する動作と、アーム42の初期位置への復帰に基づいてカムプレート56のカム面56aで第2ブレイク接点78bをオフ状態にする動作とを1つのモータ40で行うことができ、構造の簡単化及び部品点数の削減を有効に図ることができる。
【0048】
上記実施形態をまとめると以下のようになる。
[1] ダンパー開閉装置10は、空調用の開口12に設置されるダンパー開閉装置であって、開閉蓋18と、電力供給が行われている期間に、開閉蓋18を保持して開口12を開状態とし、電力供給が停止した際に開閉蓋18の保持を開放して開口12を閉状態とする保持機構20と、電力供給が行われている期間に、開閉蓋18が閉状態である場合に、開閉蓋18を保持機構20による保持の状態に復帰する復帰機構24と、を有する。
【0049】
これにより、先ず、電力供給が行われている期間では、保持機構20は、開閉蓋18を保持して開口12を開状態とする。電力供給が停止すると、保持機構20は、開閉蓋18の保持を開放して、開口12を閉状態とする。このように、外部電源からの給電が絶たれても、蓄電手段等の電気的手段を用いることなく、開口12を閉じることができ、消費電力(待機電力等)の低減を図ることができる。そして、電力供給が行われている期間に、万一、保持機構20による保持が外れて開閉蓋18が閉状態となった場合であっても、復帰機構24によって、開閉蓋18を保持機構20による保持の状態に復帰させることができる。
【0050】
[2] 本実施形態において、保持機構20は、開閉蓋18を電磁的に保持する電磁チャック30であってもよい。電力供給によって開閉蓋18を開状態に保持することができる。
【0051】
[3] 本実施形態において、保持機構20による開閉蓋18の保持が開放された際の開閉蓋18の動きは、開閉蓋18の自重による。これにより、外部電源からの給電が絶たれても、蓄電手段等を用いることなく、開閉蓋18によって給気口等を閉じることができる。
【0052】
[4] 本実施形態において、復帰機構24は、第1ブレイク接点78a及び第2ブレイク接点78bと、第1ブレイク接点78a及び第2ブレイク接点78bのうち、少なくとも1つの接点のオン状態に基づいて回転駆動するモータ40と、モータ40の回転駆動に伴って、初期位置から開閉蓋18を開く方向に回転するアーム42とを有し、第1ブレイク接点78aは、開閉蓋18の開状態に基づいてオフ状態とされ、第2ブレイク接点78bは、アーム42の初期位置への復帰に基づいてオフ状態とされる。これにより、保持機構20によって、開閉蓋18を開状態に保持したとき、アーム42を初期位置に戻すようにしたので、復帰機構24による開閉蓋18の開状態への復帰をスムーズに行うことができる。
【0053】
[5] 本実施形態において、開閉蓋18の開状態は、開閉蓋18が保持機構20によって保持された状態であり、第2ブレイク接点78bは、第1ブレイク接点78aがオフ状態となった後に、アーム42の初期位置への復帰に基づいてオフ状態とされる。
【0054】
[6] 本実施形態において、モータ40の駆動によって回転し、開閉蓋18を開く方向にアーム42を回転するクランクプレート80と、モータ40の駆動によってクランクプレート80と共に回転するカムプレート56とを有し、カムプレート56は、アーム42の初期位置への復帰に基づいて、第2ブレイク接点78bをオフ状態にするカム面56aを有する。
【0055】
モータ40によって、クランクプレート80とカムプレート56とを共に回転させる。これにより、クランクプレート80によって開閉蓋18を開く方向にアーム42を回転する動作と、アーム42の初期位置への復帰に基づいてカムプレート56のカム面56aで第2ブレイク接点78bをオフ状態にする動作とを1つのモータで行うことができ、構造の簡単化及び部品点数の削減を有効に図ることができる。
【0056】
なお、本発明に係るダンパー開閉装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。