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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】開閉器用操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/40 20060101AFI20221114BHJP
   H01H 5/06 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H01H33/40 C
H01H33/40 Z
H01H5/06 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021529577
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2019026157
(87)【国際公開番号】W WO2021001901
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】色見 晃輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 正治
(72)【発明者】
【氏名】丸島 敬
(72)【発明者】
【氏名】網田 芳明
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-43733(JP,A)
【文献】実開昭61-126170(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/40
H01H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉器の固定電極に接触する投入位置と前記固定電極から離間する遮断位置との間で移動可能な前記開閉器の可動電極を前記投入位置に移動させるための付勢力を発生させる、所定方向に並列に配列された一対の圧縮ばねと、
前記一対の圧縮ばねそれぞれの第1端部を可動端としてまとめて支持する第1支持部材、前記一対の圧縮ばねそれぞれの第2端部を固定端として支持する第2支持部材、および前記一対の圧縮ばねの伸縮方向に延びる少なくとも1つのガイド溝が形成されたばね収容部を有する圧縮ばね支持機構と、
前記第1支持部材に支持されるとともに前記少なくとも1つのガイド溝内で前記伸縮方向に並んで配置され、前記少なくとも1つのガイド溝の縁に接触可能な第1接触部材および第2接触部材を有する少なくとも1つの被ガイド部と、
を備え、
前記第1接触部材および前記第2接触部材のうち少なくともいずれか一方は、前記少なくとも1つのガイド溝内を前記伸縮方向に変位可能に設けられ、前記少なくとも1つのガイド溝の縁に転動または摺動可能なローラを備える、
開閉器用操作装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガイド溝は、
前記一対の圧縮ばねに対して前記所定方向の第1側に形成された第1ガイド溝と、
前記一対の圧縮ばねに対して前記所定方向の第2側に形成された第2ガイド溝と、
を備え、
前記少なくとも1つの被ガイド部は、
前記第1ガイド溝に対応して設けられた第1被ガイド部と、
前記第2ガイド溝に対応して設けられた第2被ガイド部と、
を備える、
請求項に記載の開閉器用操作装置。
【請求項3】
前記第1接触部材および前記第2接触部材は、それぞれ前記少なくとも1つのガイド溝の縁に対して、前記伸縮方向および前記所定方向に直交する方向に接触する、
請求項または請求項に記載の開閉器用操作装置。
【請求項4】
前記第1接触部材および前記第2接触部材は、それぞれ前記少なくとも1つのガイド溝の縁に対して前記所定方向への変位が規制されるように係止可能に形成されている、
請求項に記載の開閉器用操作装置。
【請求項5】
開閉器の固定電極に接触する投入位置と前記固定電極から離間する遮断位置との間で移動可能な前記開閉器の可動電極を前記投入位置に移動させるための付勢力を発生させる、所定方向に並列に配列された一対の圧縮ばねと、
前記一対の圧縮ばねそれぞれの第1端部を可動端としてまとめて支持する第1支持部材、前記一対の圧縮ばねそれぞれの第2端部を固定端として支持する第2支持部材、および前記一対の圧縮ばねの伸縮方向に延びる少なくとも1つのガイド溝が形成されたばね収容部を有する圧縮ばね支持機構と、
前記第1支持部材に支持されるとともに前記少なくとも1つのガイド溝内で前記伸縮方向に並んで配置され、前記少なくとも1つのガイド溝の縁に接触可能な第1接触部材および第2接触部材を有する少なくとも1つの被ガイド部と、
を備え、
前記一対の圧縮ばね、並びに前記第1支持部材および前記第2支持部材のうち少なくともいずれか一方の支持部材、のうち少なくとも一方に設けられ、前記一方の支持部材に対する前記一対の圧縮ばねの巻方向の回転を規制する回転規制構造を備える、
開閉器用操作装置。
【請求項6】
開閉器の固定電極に接触する投入位置と前記固定電極から離間する遮断位置との間で移動可能な前記開閉器の可動電極を前記投入位置に移動させるための付勢力を発生させる、所定方向に並列に配列された一対の圧縮ばねと、
前記一対の圧縮ばねそれぞれの第1端部を可動端として支持する第1支持部材、および前記一対の圧縮ばねそれぞれの第2端部を固定端として支持する第2支持部材を有する圧縮ばね支持機構と、
前記一対の圧縮ばね、並びに前記第1支持部材および前記第2支持部材のうち少なくともいずれか一方の支持部材、のうち少なくとも一方に設けられ、前記一方の支持部材に対する前記一対の圧縮ばねの巻方向の回転を規制する回転規制構造と、
を備える開閉器用操作装置。
【請求項7】
前記一対の圧縮ばねは、第1圧縮ばねおよび第2圧縮ばねを有し、
前記回転規制構造は、前記一方の支持部材に設けられた第1凸部および第2凸部を有し、
前記第1凸部は、前記一方の支持部材から前記第1圧縮ばね側に突出し、前記第1圧縮ばねの素線の端部に接触可能に形成され、
前記第2凸部は、前記一方の支持部材から前記第2圧縮ばね側に突出し、前記第2圧縮ばねの素線の端部に接触可能に形成されている、
請求項または請求項に記載の開閉器用操作装置。
【請求項8】
前記回転規制構造は、前記一方の支持部材と前記一対の圧縮ばねそれぞれとの接触部に設けられた粗面部を有する、
請求項または請求項に記載の開閉器用操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、開閉器用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発電所、変電所および開閉所には、ガス遮断器等の高電圧仕様の開閉器、および開閉器を開閉操作する開閉器用操作装置が設置されている。近年では、開閉用操作装置は、ばね操作機構を採用するものが主流になっている。ばね操作機構は、開閉器の固定電極に接触可能な可動電極を、開路位置である遮断位置と、閉路位置である投入位置と、の間で高速に移動させる必要がある。開閉器を開極状態から閉極状態へ移行させるのに要する閉極時間、および閉極状態から開極状態へ移行させるのに要する開極時間は、開閉器ごとに仕様上の規定値が定められている。
【0003】
可動電極を遮断位置から投入位置に移動させるための動力源には、並列に配列された一対の圧縮ばねを利用する場合がある。この場合、一対の圧縮ばねは、単一の支持部材にそれぞれ回転自在に当接し、支持部材を介して蓄勢用のモータ等により同時に圧縮されることで付勢力を得る。
【0004】
ところで、一対の圧縮ばねは、少なくとも一方が座屈した状態、または規定位置から回転した状態で収縮していると、一対の圧縮ばね間でばね力(弾性エネルギー)の放勢に要する時間のばらつきが生じる可能性がある。例えば、圧縮ばねが座屈すると、圧縮ばねが圧縮ばねの周辺の部材に接触して、圧縮ばねの復元(伸張)がスムーズに行われない場合がある。すると、投入動作が不安定になり、閉極時間が規格内に収まらないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2012-43733号公報
【文献】日本国特開2017-91830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、円滑な投入動作が可能な開閉器用操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の開閉器用操作装置は、一対の圧縮ばねと、圧縮ばね支持機構と、少なくとも1つの被ガイド部と、を持つ。一対の圧縮ばねは、開閉器の固定電極に接触する投入位置と固定電極から離間する遮断位置との間で移動可能な開閉器の可動電極を投入位置に移動させるための付勢力を発生させる。一対の圧縮ばねは、所定方向に並列に配列されている。圧縮ばね支持機構は、第1支持部材と、第2支持部材と、ばね収容部と、を持つ。第1支持部材は、一対の圧縮ばねそれぞれの第1端部を可動端としてまとめて支持する。第2支持部材は、一対の圧縮ばねそれぞれの第2端部を固定端として支持する。ばね収容部には、一対の圧縮ばねの伸縮方向に延びる少なくとも1つのガイド溝が形成されている。少なくとも1つの被ガイド部は、第1接触部材および第2接触部材を有する。第1接触部材および第2接触部材は、第1支持部材に支持されている。第1接触部材および第2接触部材は、少なくとも1つのガイド溝内で一対の圧縮ばねの伸縮方向に並んで配置されている。第1接触部材および第2接触部材は、少なくとも1つのガイド溝の縁に接触可能になっている。第1接触部材および第2接触部材のうち少なくともいずれか一方は、ローラを持つ。ローラは、少なくとも1つのガイド溝内を伸縮方向に変位可能に設けられている。ローラは、少なくとも1つのガイド溝の縁に転動または摺動可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る開閉器用操作装置を示す正面図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3】第1の実施形態に係る一対の投入ばねを示す底面図。
図4図2のIV-IV線における断面図。
図5】第1の実施形態に係る投入ばね部を示す斜視図。
図6】第1の実施形態に係る被ガイド部を示す斜視図。
図7図2のVII-VII線における断面図。
図8】第1の実施形態に係る投入ばねの上端部近傍を示す正面図。
図9】第2の実施形態に係る投入ばねの上端部近傍を示す正面図。
図10】第2の実施形態に係る投入ばねの下端部近傍を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の開閉器用操作装置を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る開閉器用操作装置を示す正面図である。
図1に示すように、開閉器用操作装置1は、ガス遮断器等の開閉器100を開閉操作する操作装置である。開閉器100は、固定電極101と、固定電極101に接触可能な可動電極102と、を備える。開閉器用操作装置1は、可動電極102が固定電極101から離間して開閉器100を開極する遮断位置と、可動電極102が固定電極101に接触して開閉器100を閉極する投入位置と、の間で可動電極102を移動させる。開閉器用操作装置1は、フレーム2と、遮断ばね部3と、遮断リンク機構4と、投入ばね部5と、投入リンク機構6と、蓄勢機構7(図2参照)と、駆動ロッド8と、を備える。
【0011】
フレーム2は、開閉器用操作装置1の筐体として設けられている。遮断ばね部3は、開閉器100の可動電極102を投入位置から遮断位置へ移動させるための付勢力を発生させる。遮断リンク機構4は、遮断ばね部3と駆動ロッド8とを連係している。投入ばね部5は、開閉器100の可動電極102を遮断位置から投入位置へ移動させる付勢力を発生させる。投入リンク機構6は、投入ばね部5と駆動ロッド8とを連係している。蓄勢機構7(図2参照)は、投入ばね部5のばね力(弾性エネルギー)を蓄勢する。駆動ロッド8は、可動電極102と遮断リンク機構4および投入リンク機構6とを連係している。
【0012】
ここで、説明の便宜上、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向、および-Z方向について定義する。-X方向は、+X方向とは反対方向である。+X方向と-X方向とを区別しない場合は、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは直交する方向である。-Y方向は、+Y方向とは反対方向である。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合は、単に「Y方向」と称する。+Z方向および-Z方向は、X方向およびY方向とは直交する方向である。-Z方向は、+Z方向とは反対方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合は、単に「Z方向」と称する。本実施形態では、Z方向は鉛直方向であり、X方向およびY方向は水平方向である。また、本実施形態では、+Z方向は鉛直上方であり、-Z方向は鉛直下方である。
【0013】
フレーム2は、遮断リンク機構4および投入リンク機構6それぞれの主要部分を収容している。フレーム2は、遮断ばね部3および投入ばね部5を下方から支持している。フレーム2は、開閉器100のタンク等に固定されている。
【0014】
遮断ばね部3は、フレーム2の+Z方向に配置されている。遮断ばね部3は、圧縮コイルばねである遮断ばね11を主に備える。遮断ばね11は、伸縮方向がZ方向に一致するように配置されている。遮断ばね11の下端部は、固定端としてフレーム2に支持されている。遮断ばね11の上端部は、可動端として設けられている。
【0015】
遮断リンク機構4は、遮断ばねロッド21と、メインレバー22と、を備える。遮断ばねロッド21は、遮断ばね11の内側に挿通されている。遮断ばねロッド21の第1端部は、遮断ばね11の上端部に連結されている。遮断ばねロッド21の第2端部は、メインレバー22に連結されている。メインレバー22は、フレーム2に回転可能に支持されている。メインレバー22には、駆動ロッド8が直接、または間接的に連結されている。駆動ロッド8については後述する。
【0016】
遮断ばねロッド21は、遮断ばね11の伸縮に連動してZ方向に変位する。具体的に、遮断ばねロッド21は、遮断ばね11の伸張時に+Z方向へ変位し、遮断ばね11の収縮時に-Z方向へ変位する。メインレバー22は、遮断ばねロッド21のZ方向の変位に連動して、矢印A1方向および矢印A2方向に回転する。具体的に、メインレバー22は、遮断ばねロッド21の+Z方向への変位時に矢印A1方向に回転し、遮断ばねロッド21の-Z方向への変位時に矢印A2方向に回転する。
【0017】
図2は、図1のII-II線における断面図である。
図2に示すように、投入ばね部5は、フレーム2の+Z方向に配置されている。投入ばね部5は、一対の投入ばね31(圧縮ばね)と、投入ばね支持機構40(圧縮ばね支持機構)と、一対の被ガイド部70と、を備える。
【0018】
図3は、第1の実施形態に係る一対の投入ばねを示す底面図である。
図2および図3に示すように、一対の投入ばね31は、それぞれ圧縮コイルばねである。一対の投入ばね31は、同一の諸元を有する。具体的に、一対の投入ばね31は、巻数、自然長、コイル内外径、巻方向およびばね定数が互いに等しくなっている。各投入ばね31は、伸縮方向がZ方向に一致するように配置されている。一対の投入ばね31は、X方向に並列に配列されている。具体的に、一対の投入ばね31は、それぞれの中心軸線が互いに平行、かつそれぞれの両端部がX方向から見て重なるように配置されている。一対の投入ばね31は、それぞれの中心軸線に平行な仮想線に対して線対称に配置されている。一対の投入ばね31それぞれの下端部は、固定端として設けられている。一対の投入ばね31の上端部は、可動端として設けられている。
【0019】
投入ばね31の両端部には、伸縮方向の垂直面に沿う座面32が形成されている。座面32は、投入ばね31を形成する素線を研削することによって形成された平滑面である。なお、投入ばね31は、クローズドエンドのコイルばねであってもよいし、オープンエンドのコイルばねであってもよい。
【0020】
図2に示すように、投入ばね支持機構40は、上部支持部材41(第1支持部材)と、下部支持部材51(第2支持部材)と、ばね収容部61と、を備える。
【0021】
上部支持部材41は、一対の投入ばね31それぞれの上端部をまとめて支持している。上部支持部材41は、上部支え板42と、一対の上部位置決めスペーサ43と、一対の上部ガイドスペーサ44と、シャフト45と、を備える。
【0022】
上部支え板42は、一対の投入ばね31の+Z方向に配置されている。上部支え板42は、表裏面がZ方向を向く平板状に形成されている。上部支え板42は、Z方向から見てX方向を長手方向とする矩形状に形成されている。上部支え板42は、Z方向から見て一対の投入ばね31の全体に重なっている。
【0023】
一対の上部位置決めスペーサ43は、各投入ばね31に対して1つずつ設けられている。一対の上部位置決めスペーサ43は、互いに略同じ構成を有する。上部位置決めスペーサ43は、それぞれ上部支え板42から投入ばね31側(-Z方向)に突出している。上部位置決めスペーサ43は、投入ばね31の上端部の内側に挿入されている。上部位置決めスペーサ43は、投入ばね31と同軸の円筒状に形成されている。上部位置決めスペーサ43の外径は、投入ばね31の内径よりも僅かに小さい。上部位置決めスペーサ43は、外周面を投入ばね31に内側から接触させることによって、投入ばね31の上端部を径方向に位置決めしている。なお、上部位置決めスペーサ43は、円柱状に形成されていてもよい。
【0024】
一対の上部ガイドスペーサ44は、各投入ばね31に対して1つずつ設けられている。一対の上部ガイドスペーサ44は、互いに略同じ構成を有する。上部ガイドスペーサ44は、上部支え板42の投入ばね31側に配置されている。上部ガイドスペーサ44は、投入ばね31と上部支え板42との間に介在している。上部ガイドスペーサ44は、表裏面がZ方向を向く平板状に形成されている。上部ガイドスペーサ44の全体は、Z方向から見て上部支え板42に重なっている。
【0025】
上部ガイドスペーサ44には、貫通孔44aが形成されている。上部ガイドスペーサ44の貫通孔44aには、上部位置決めスペーサ43が挿通される。貫通孔44aは、上部位置決めスペーサ43の外形に対応する形状に形成されている。具体的に、貫通孔44aは、上部位置決めスペーサ43と同軸、かつ上部位置決めスペーサ43の外径と略等しい内径の円形状に形成されている。上部ガイドスペーサ44の上面は、上部支え板42の下面に対向している。上部ガイドスペーサ44は、上部支え板42に固定されている。例えば、上部ガイドスペーサ44は、上部支え板42に締結されている。上部ガイドスペーサ44の下面は、投入ばね31の上端部の座面32に面接触している。
【0026】
シャフト45は、上部支え板42の+Z方向に配置されている。シャフト45は、円柱状に形成されてX方向に延びている。シャフト45は、一対の投入ばね31、および上部支え板42よりもX方向の両側に突出している。シャフト45は、中心軸線が一対の投入ばね31の中心軸線に交差するように配置されている。シャフト45は、上部支え板42に固定されている。例えば、シャフト45は、上部支え板42の上面に溶接されている。
【0027】
下部支持部材51は、一対の投入ばね31それぞれの下端部を固定端として支持する。下部支持部材51は、一対の下部位置決めスペーサ52と、一対の下部ガイドスペーサ53と、を備える。
【0028】
一対の下部位置決めスペーサ52は、各投入ばね31に対して1つずつ設けられている。一対の下部位置決めスペーサ52は、互いに略同じ構成を有する。下部位置決めスペーサ52は、フレーム2の上面から投入ばね31側(+Z方向)に突出している。下部位置決めスペーサ52は、投入ばね31の下端部の内側に挿入されている。下部位置決めスペーサ52は、投入ばね31と同軸の円筒状に形成されている。下部位置決めスペーサ52の外径は、投入ばね31の内径よりも僅かに小さい。下部位置決めスペーサ52は、外周面を投入ばね31に内側から接触させることによって、投入ばね31の下端部を径方向に位置決めしている。なお、下部位置決めスペーサ52は、円柱状に形成されていてもよい。
【0029】
一対の下部ガイドスペーサ53は、各投入ばね31に対して1つずつ設けられている。一対の下部ガイドスペーサ53は、互いに略同じ構成を有する。下部ガイドスペーサ53は、フレーム2の投入ばね31側に配置されている。下部ガイドスペーサ53は、投入ばね31とフレーム2との間に介在している。下部ガイドスペーサ53は、表裏面がZ方向を向く平板状に形成されている。
【0030】
下部ガイドスペーサ53には、貫通孔53aが形成されている。下部ガイドスペーサ53の貫通孔53aには、下部位置決めスペーサ52が挿通される。貫通孔53aは、下部位置決めスペーサ52の外形に対応する形状に形成されている。具体的に、貫通孔53aは、下部位置決めスペーサ52と同軸、かつ下部位置決めスペーサ52の外径と略等しい内径の円形状に形成されている。下部ガイドスペーサ53の下面は、フレーム2の上面に対向している。例えば、下部ガイドスペーサ53は、フレーム2に直接載置されている。下部ガイドスペーサ53の上面は、投入ばね31の下端部の座面32に面接触している。
【0031】
図4は、図2のIV-IV線における断面図である。
図4に示すように、下部ガイドスペーサ53の外縁は、円弧部54と、円弧部54よりも径方向の外方に突出した突出部55と、を備える。円弧部54は、下部位置決めスペーサ52の中心軸線を中心として延びている。円弧部54は、180°以上の角度範囲にわたって延びている。突出部55は、円弧部54の両端に連なっている。突出部55は、X方向に沿って突出している。具体的に、突出部55は、一対の下部ガイドスペーサ53が互いに離間する方向に突出している。突出部55は、矩形状に形成されている。
【0032】
図5は、第1の実施形態に係る投入ばね部を示す斜視図である。
図5に示すように、ばね収容部61は、一対の投入ばね31を収容する。ばね収容部61は、一対のガイド壁62を備える。一対のガイド壁62は、一対の投入ばね31をX方向で挟むように配置されている。一対のガイド壁62は、仮想YZ面に対して互いに面対称に形成されている。各ガイド壁62は、フレーム2の上面に起立している。各ガイド壁62は、フレーム2に固定されている。例えば、各ガイド壁62は、フレーム2に溶接されている。
【0033】
ガイド壁62は、主壁部63と、主壁部63から延びる一対の側壁部64と、を備える。主壁部63は、表裏面がX方向を向く平板状に形成されている。主壁部63は、X方向から見て一定の幅でフレーム2の上面から+Z方向に延びている。一対の側壁部64は、主壁部63におけるY方向の両側縁から一対の投入ばね31側に延びている。一対の側壁部64は、主壁部63の両側縁の全体から延びている。一対の側壁部64は、主壁部63に対して直交して延びている。
【0034】
ガイド壁62は、上部支え板42におけるX方向の端部を囲うように配置されている。主壁部63は、Z方向から見て上部支え板42における短辺の全体に対向している。一対の側壁部64は、Z方向から見て上部支え板42における長辺の端部に対向している。ガイド壁62は、上部支え板42のZ方向の移動を許容しつつX方向およびY方向の移動を規制している。また、ガイド壁62の下端部は、下部ガイドスペーサ53の外縁の突出部55を囲うように配置されている(図4も併せて参照)。ガイド壁62は、下部ガイドスペーサ53の外縁の突出部55に係止されることで、下部ガイドスペーサ53の回転を規制している。
【0035】
主壁部63には、Z方向に延びるガイド溝65が形成されている。ガイド溝65は、X方向から見て一定の幅で延びている。つまり、ガイド溝65のY方向両側の縁66は、互いに平行に直線状に延びている。ガイド溝65の一対の縁66は、X方向から見て一対の投入ばね31の中心軸線に対してY方向に互いに等しい間隔をあけて延びている。ガイド溝65の一対の縁66は、Y方向から見て互いに重なっている。ガイド溝65は、主壁部63の上端縁において+Z方向に開口している。ガイド溝65には、上部支持部材41のシャフト45が挿通されている。
【0036】
一対の被ガイド部70は、一対のガイド壁62それぞれのガイド溝65に対して1つずつ設けられている。一対の被ガイド部70は、互いに略同じ構成を有する。被ガイド部70は、上部支持部材41に対して相対変位不能な位置に配置されている。被ガイド部70は、ガイド溝65内でZ方向に並んで配置された下側ローラ71(第1接触部材)および上側ローラ72(第2接触部材)を備える。
【0037】
下側ローラ71は、ガイド溝65内をZ方向に変位可能に設けられている。下側ローラ71は、シャフト45の端部に回転可能に支持されている。下側ローラ71は、ベアリングを介してシャフト45に取り付けられている。下側ローラ71は、X方向の延びる軸線回りに回転可能に設けられている。下側ローラ71は、ガイド溝65の縁66に転動または摺動可能になっている。下側ローラ71は、ガイド溝65の縁66に対してY方向に接触する。
【0038】
図6は、第1の実施形態に係る被ガイド部を示す斜視図である。
図5および図6に示すように、下側ローラ71の外周面には、括れ部73が形成されている。括れ部73は、下側ローラ71の全周にわたって延びている。括れ部73の底部の外径は、ガイド溝65の幅よりも小さく形成されている。括れ部73の内側には、ガイド溝65の縁66がY方向の両側から入り込んでいる。これにより、下側ローラ71は、ガイド溝65の縁66に対してX方向に係止可能に形成されている。なお、括れ部73の底部の外径がガイド溝65の幅に一致し、下側ローラ71がガイド溝65の一対の縁66に常時接触するように形成されていてもよい。
【0039】
図5に示すように、上側ローラ72は、ガイド溝65内をZ方向に変位可能に設けられている。上側ローラ72は、下側ローラ71の上方に配置されている。例えば、上側ローラ72は、下側ローラ71に対して下側ローラ71の半径よりも小さい間隔をあけて配置されている。上側ローラ72は、ブラケット74を介してシャフト45に回転可能に支持されている。上側ローラ72は、ベアリングを介してブラケット74に取り付けられている。ブラケット74は、シャフト45の上部に固定されている。例えば、ブラケット74は、シャフト45に着脱可能に締結されている。上側ローラ72は、X方向の延びる軸線回りに回転可能に設けられている。上側ローラ72は、ガイド溝65の縁66に転動または摺動可能になっている。上側ローラ72は、ガイド溝65の縁66に対してY方向に接触する。
【0040】
図5および図6に示すように、上側ローラ72は、下側ローラ71と同様に形成されている。すなわち、上側ローラ72の括れ部73の底部の外径は、下側ローラ71の括れ部73の外径に一致している。上側ローラ72は、下側ローラ71と同様に、ガイド溝65の縁66に対してX方向に係止可能に形成されている。
【0041】
図7は、図2のVII-VII線における断面図である。
図4および図7に示すように、投入ばね部5は、回転規制構造80をさらに備える。回転規制構造80は、上部支持部材41に対する投入ばね31の巻方向の回転を規制する上部回転規制構造81と、下部支持部材51に対する投入ばね31の巻方向の回転を規制する下部回転規制構造82と、を備える。なお、本実施形態で用いる「ばねの巻方向」の用語は、ばねの中心軸線回りを周回する両方向である。
【0042】
図7に示すように、上部回転規制構造81は、上部支持部材41から投入ばね31側に突出した一対の上部ピン83(第1凸部および第2凸部)を備える。一対の上部ピン83は、各投入ばね31に対して1つずつ設けられている。一対の上部ピン83は、互いに略同じ構成を有する。上部ピン83は、上部ガイドスペーサ44の下面から-Z方向に突出している。例えば、上部ピン83は、上部ガイドスペーサ44とは別部材として設けられ、上部ガイドスペーサ44に圧入されている。上部ピン83は、円柱状に形成されている。例えば、上部ピン83の高さは、投入ばね31の素線の外径の半分以下になっている。上部ピン83は、Z方向から見て投入ばね31の素線に重なる位置に配置されている。上部ピン83は、投入ばね31の素線の端部33に接触可能とされている。上部ピン83は、投入ばね31の素線の端部33に接触することで、投入ばね31の巻方向の回転を規制する。
【0043】
図4に示すように、下部回転規制構造82は、下部支持部材51から投入ばね31側に突出した一対の下部ピン84(第1凸部および第2凸部)を備える。一対の下部ピン84は、各投入ばね31に対して1つずつ設けられている。一対の下部ピン84は、互いに略同じ構成を有する。下部ピン84は、下部ガイドスペーサ53の上面から+Z方向に突出している。例えば、下部ピン84は、下部ガイドスペーサ53とは別部材として設けられ、下部ガイドスペーサ53に圧入されている。下部ピン84は、円柱状に形成されている。例えば、下部ピン84の高さは、投入ばね31の素線の外径の半分以下になっている。下部ピン84は、Z方向から見て投入ばね31の素線に重なる位置に配置されている。下部ピン84は、投入ばね31の素線の端部33に接触可能とされている。下部ピン84は、投入ばね31の素線の端部33に接触することで、投入ばね31の巻方向の回転を規制する。
【0044】
図1および図2に示すように、投入リンク機構6は、一対の投入リンク91と、一対の投入レバー92と、カムシャフト93と、投入カム94と、を備える。一対の投入リンク91は、上部支持部材41のシャフト45の各端部に対して1つずつ設けられている。一対の投入リンク91は、互いに略同じ構成を有する。例えば、投入リンク91は、フレーム2およびばね収容部61の外側に配置されている。投入リンク91の第1端部は、シャフト45の端部に連結されている。投入リンク91の第2端部は、投入レバー92に連結されている。一対の投入レバー92は、各投入リンク91に対して1つずつ設けられている。一対の投入レバー92は、互いに略同じ構成を有する。例えば、投入レバー92は、フレーム2およびばね収容部61の外側に配置されている。一対の投入レバー92は、カムシャフト93の両端部に固定的に支持されている。カムシャフト93は、軸受等を介してフレーム2に回転可能に支持されている。カムシャフト93の中間部には、投入カム94が固定されている。投入カム94には、駆動ロッド8が連結されている。
【0045】
図1に示すように、投入リンク91の第1端部は、上部支持部材41のZ方向の変位に連動して、上下動する。具体的に、投入リンク91の第1端部は、一対の投入ばね31の伸張に伴う上部支持部材41の+Z方向への変位時に+Z方向へ変位し、一対の投入ばね31の収縮に伴う上部支持部材41の-Z方向への変位時に-Z方向へ変位する。投入レバー92は、投入リンク91の第1端部のZ方向の変位に連動して、矢印B1方向および矢印B2方向に回転する。具体的に、投入レバー92は、投入リンク91の第1端部の+Z方向への変位時に矢印B1方向に回転し、投入リンク91の第1端部の-Z方向への変位時に矢印B2方向に回転する。投入カム94は、投入レバー92の回転に連動して、投入レバー92と同一方向に回転する。
【0046】
駆動ロッド8は、第1端部において可動電極102に連結され、第1端部よりも第2端部側においてメインレバー22および投入カム94に連結されている。駆動ロッド8は、メインレバー22に常時連結され、投入カム94に離脱可能に連結されている。駆動ロッド8は、メインレバー22が矢印A1方向に回転する際に、可動電極102を投入位置から遮断位置に向けて移動させる。この際、駆動ロッド8と投入カム94の連結は解除され、投入カム94は回転しない。駆動ロッド8は、投入カム94が矢印B1方向に回転する際に、可動電極102を遮断位置から投入位置に向けて移動させる。この際、駆動ロッド8は、メインレバー22を矢印A2方向に回転させて、遮断ばね11のばね力を蓄勢する。
【0047】
図2に示すように、蓄勢機構7は、一対の投入ばね31のばね力を蓄勢する駆動源である。蓄勢機構7は、例えばモータやチェーン等を備える。蓄勢機構7は、直接または間接的に投入リンク機構6のカムシャフト93に連結されている。蓄勢機構7は、開閉器100等からの指令に基づいて、投入レバー92を矢印B2方向(図1参照)に回転させる方向にカムシャフト93を回転させる。蓄勢機構7は、投入レバー92を矢印B2方向に回転させることで、投入リンク91および上部支持部材41を介して一対の投入ばね31を圧縮し、一対の投入ばね31のばね力を蓄勢する。
【0048】
なお、図示しないが遮断ばね部3または遮断リンク機構4には、遮断ばね11を収縮状態でロックする遮断用のロック機構が連係されている。また、投入ばね部5または投入リンク機構6には、一対の投入ばね31を収縮状態でロックする投入用のロック機構が連係されている。遮断用のロック機構、および投入用のロック機構は、例えばソレノイドを備え、開閉器100等からの指令に基づいてロックを解除する。
【0049】
本実施形態の開閉器用操作装置1の動作について説明する。
遮断動作について説明する。開閉器用操作装置1の投入状態において、開閉器100から遮断指令が発せられると、遮断用のロック機構がロックを解除する。これに伴い、蓄勢された遮断ばね11のばね力が放勢され、遮断リンク機構4および駆動ロッド8を介して可動電極102に伝わる。これにより、可動電極102が遮断位置に移動して開閉器100が開極状態になる。
【0050】
遮断動作後における投入ばね31のばね力の蓄勢動作について説明する。上述した遮断動作が完了すると、蓄勢機構7が駆動され、投入リンク機構6を介して一対の投入ばね31のばね力が蓄勢される。具体的に、一対の投入リンク91の第1端部が下方へ変位することで、投入ばね支持機構40の上部支持部材41が下方へ平行移動し、一対の投入ばね31が同時に圧縮される。これにより、開閉器用操作装置1は遮断状態となる。なお、投入ばね31のばね力の蓄勢動作時には、駆動ロッド8と投入レバー92の連結は解除され、駆動ロッド8、遮断リンク機構4および遮断ばね11は動作しない。
【0051】
投入動作について説明する。開閉器用操作装置1の遮断状態において、開閉器100から投入指令が発せられると、投入用のロック機構がロックを解除する。これに伴い、蓄勢された一対の投入ばね31のばね力が放勢され、投入リンク機構6および駆動ロッド8を介して可動電極102に伝わる。これにより、可動電極102が投入位置に移動して開閉器100が閉極状態になる。また、放勢された一対の投入ばね31のばね力は、投入リンク機構6および駆動ロッド8を介して遮断リンク機構4に伝わる。これにより、遮断ばね11のばね力が蓄勢される。
【0052】
本実施形態の開閉器用操作装置1の作用および効果について説明する。
本実施形態では、上部支持部材41に支持された被ガイド部70の下側ローラ71および上側ローラ72の両方がガイド溝65の縁66に接触可能となっている。この構成によれば、下側ローラ71および上側ローラ72が常にガイド溝65の延びる方向(すなわちZ方向)に並んだ状態が維持される。これにより、投入ばね31のばね力の蓄勢動作時における一対の投入ばね31の圧縮時に、上部支持部材41が傾くことを抑制される。よって、一対の投入ばね31が座屈することなく均等に収縮するので、一対の投入ばね31間でばね力の放勢に要する時間が均等になる。したがって、円滑な投入動作が可能な開閉器用操作装置1を提供できる。また、投入ばね31が座屈してばね収容部61に繰り返し接触することで投入ばね31が破断に至ることを抑制できる。
【0053】
また、下側ローラ71および上側ローラ72は、ガイド溝65の縁66に転動または摺動可能になっている。これ構成によれば、被ガイド部70がガイド溝65の縁66にZ方向の2点で接触する。このため、被ガイド部とガイド溝の縁との接触部がZ方向に延在する構成と比較して、被ガイド部70とガイド溝65の縁66との摺動抵抗を低減させることができる。よって、被ガイド部70をばね収容部61に対してスムーズに変位させることができるので、ばね力を放勢する際の一対の投入ばね31の変位を安定させることができる。したがって、開閉器用操作装置1の投入動作の安定化を図ることができる。
【0054】
また、一対のガイド溝65は、投入ばね31に対してX方向の両側に設けられている。被ガイド部70は、各ガイド溝65に対して1つずつ設けられている。この構成によれば、一対の投入ばね31それぞれにおける座屈しようとする力を、一対の被ガイド部70によって均等に受け止めることができる。したがって、一対の投入ばね31の座屈をより確実に抑制できる。
【0055】
また、下側ローラ71および上側ローラ72は、ガイド溝65の縁66に対してY方向に接触する。この構成によれば、上側ローラ72が下側ローラ71に対してY方向に変位することを抑制できる。よって、X方向から見て上部支持部材41が傾くことを抑制される。特に本実施形態では、上部支持部材41(シャフト45)が一対の投入ばね31に対するX方向の両側で投入リンク91に連結されている。このため、上部支持部材41のY方向から見た場合の傾きは、X方向から見た場合の傾きよりも生じにくい。換言すると、上部支持部材41は、X方向から見て傾きやすくなっている。よって、X方向から見て上部支持部材41が傾くことを抑制することで、一対の投入ばね31の座屈を効果的に抑制できる。
【0056】
さらに、下側ローラ71および上側ローラ72は、ガイド溝65の縁66に対してX方向に係止可能に形成されている。この構成によれば、下側ローラ71および上側ローラ72のX方向への変位が規制されるので、上部支持部材41のX方向へのブレを抑制できる。よって、ばね力を放勢する際の一対の投入ばね31の変位を安定させることができる。したがって、開閉器用操作装置1の投入動作の安定化を図ることができる。
【0057】
また、一対の投入ばね31は、それぞれの中心軸線に平行な仮想線に対して線対称に配置されている。この構成によれば、上部支持部材41にかかる一対の投入ばね31の荷重の分布に回転対称性を持たせることができる。これにより、上部支持部材41がばね収容部61に対して傾き、一対の投入ばね31のうち少なくともいずれか一方が座屈することを抑制できる。したがって、開閉器用操作装置1の投入動作の安定化を図ることができる。
【0058】
ところで、投入ばね31と上部支持部材41との間には、摩擦力、および投入ばね31の素線のねじり変形に伴う巻方向の力が作用している。投入ばね31および上部支持部材41は、摩擦力とねじり変形の力とが釣り合うことで互いに固定されている。仮に最大静止摩擦力がねじり変形の力を下回ると、投入ばね31の上端部が上部支持部材41に対して巻方向に回転する。特に投入動作時においては、上部支持部材41の慣性等により投入ばね31と上部支持部材41との面圧が減少に転じる瞬間が生じ、最大静止摩擦力がねじり変形の力を下回る場合がある。投入ばね31の上端部が上部支持部材41に対して巻方向に回転すると、一対の投入ばね31それぞれと上部支持部材41との接触部が変位する。その結果、上部支持部材41にかかる一対の投入ばね31の荷重の分布の対称性が崩れる場合がある。
【0059】
本実施形態では、上部支持部材41に設けられ、上部支持部材41に対する投入ばね31の巻方向の回転を規制する上部回転規制構造81を備える。この構成によれば、一対の投入ばね31それぞれと上部支持部材41との接触部が変位することを抑制できる。このため、上部支持部材41にかかる一対の投入ばね31の荷重の分布が変化することを抑制できる。よって、上部支持部材41がばね収容部61に対して傾き、一対の投入ばね31のうち少なくともいずれか一方が座屈することを抑制できる。したがって、開閉器用操作装置1の投入動作の安定化を図ることができる。
【0060】
また、上部回転規制構造81は、上部支持部材41から投入ばね31側に突出し、投入ばね31の素線の端部33に接触可能に形成された上部ピン83を備える。この構成によれば、上部ピン83に投入ばね31の素線の端部33を接触させることで、上部支持部材41に対する投入ばね31の上端部の回転を規制できる。特にコイルばねは伸張するに従い巻数を増加させる方向にねじり変形しようとするので、投入ばね31の素線の端部33に上部ピン83を接触させることで、投入動作時において投入ばね31の上端部の回転をより確実に規制できる。
【0061】
また、仮に投入ばね31の端部が上部支持部材41から浮いた場合でも、上部ピン83が上部支持部材41から突出しているので、上部ピン83に投入ばね31の素線の端部33を接触させることができる。よって、上部支持部材41に対する投入ばね31の上端部の回転をより確実に規制できる。
【0062】
また、素線の端部33が上部ピン83から離間する方向に投入ばね31の上端部が回転しても、図8に示すように素線の外周面に上部ピン83が上部ガイドスペーサ44側から圧接する。このため、投入ばね31の上端部の回転を規制できる。特にコイルばねは収縮するに従い巻数を減少させる方向にねじり変形しようとする。このため、投入ばね31を圧縮する際に素線の端部33が上部ピン83から離間しやすいので、上述した効果を得やすい。
【0063】
本実施形態では、被ガイド部70によっても一対の投入ばね31の座屈が抑制されているので、投入ばね31の座屈に伴ってねじり変形の力が急激に増大する事象の発生が抑制されている。よって、上部ピン83を上部ガイドスペーサ44に圧入して固定するような構造でも、上部ピン83によって投入ばね31の巻方向の回転を十分に規制することができる。
【0064】
なお、以上では上部回転規制構造81の作用効果について説明したが、下部回転規制構造82についても同様の作用効果を奏する。
【0065】
なお本実施形態では、投入ばね部5は一対の投入ばね31を備える。投入ばね部5は、開閉器100を閉極するエネルギーに加え、遮断ばね11のばね力を蓄勢するエネルギーを必要とする。仮に投入ばね部が単一の投入ばねを備える場合、必要なエネルギーを確保するために投入ばねが大型化して占有スペースが増大する。また、投入ばねは、大型化するに従い製造が困難になるとともに汎用性が低下する。よって、本実施形態によれば、投入ばね31として汎用的なばねを使用できるとともに、投入ばね部5の占有スペースの削減を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上部ピン83が上部ガイドスペーサ44から突出しているが、例えば上部位置決めスペーサ43から突出していてもよい。下部ピン84についても同様である。
【0067】
また、本実施形態では、回転規制構造80が上部回転規制構造81および下部回転規制構造82を備えているが、上部回転規制構造81および下部回転規制構造82のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0068】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る投入ばねの上端部近傍を示す正面図である。図10は、第2の実施形態に係る投入ばねの下端部近傍を示す正面図である。
第1の実施形態では、上部回転規制構造81は、投入ばね31の素線の端部33に接触可能な上部ピン83を備えている。また、下部回転規制構造82は、投入ばね31の素線の端部33に接触可能な下部ピン84を備えている。これに対して第2の実施形態では、上部回転規制構造81Aは、上部支持部材41と投入ばね31との接触部に設けられた粗面部85を備え、下部回転規制構造82Aは下部支持部材51と投入ばね31との接触部に設けられた粗面部86を備える点で、第1の実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0069】
図9に示すように、上部回転規制構造81Aは、投入ばね31、および上部支持部材41の両方に設けられている。上部回転規制構造81Aは、投入ばね31と上部支持部材41との接触部に設けられた粗面部85を有する。粗面部85は、投入ばね31の上端部の座面32と、上部支持部材41の上部44ガイドスペーサの下面と、に設けられている。粗面部85は、平滑面よりも表面粗さの大きい面である。例えば、粗面部85は、鏡面よりも表面粗さの大きい面である。例えば、粗面部85は、シボ加工された面である。なお、粗面部85の表面粗さは、投入ばね31の上端部の座面32と、上部支持部材41の上部ガイドスペーサ44の下面と、で異なっていてもよい。
【0070】
図10に示すように、下部回転規制構造82Aは、投入ばね31、および下部支持部材51の両方に設けられている。下部回転規制構造82Aは、投入ばね31と下部支持部材51との接触部に設けられた粗面部86を有する。粗面部86は、投入ばね31の下端部の座面32と、下部支持部材51の下部ガイドスペーサ53の上面と、に設けられている。下部回転規制構造82Aの粗面部86は、上部回転規制構造81Aの粗面部85と同様に形成されている。
【0071】
本実施形態では、投入ばね31および上部支持部材41に設けられ、上部支持部材41に対する投入ばね31の巻方向の回転を規制する上部回転規制構造81Aを備える。この構成によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0072】
また、上部回転規制構造81Aは、投入ばね31と上部支持部材41との接触部に設けられた粗面部85を有する。この構成によれば、投入ばねと上部支持部材との接触部が平滑面の構成と比較して、投入ばね31と上部支持部材41との摩擦力を大きくすることができる。よって、上部支持部材41に対する投入ばね31の上端部の回転を規制できる。したがって、開閉器用操作装置1の投入動作の安定化を図ることができる。
【0073】
しかも、投入ばね31および上部支持部材41の一方の粗面部85が他方に接触していれば、上部支持部材41に対する投入ばね31の上端部の回転を規制できる。よって、仮に投入ばね31と上部支持部材41との接触位置が規定の位置から位置ずれしても、上部支持部材41に対する投入ばね31の上端部の回転を規制できる。したがって、開閉器用操作装置1の投入動作の安定化を図ることができる。
【0074】
なお、以上では上部回転規制構造81Aの作用効果について説明したが、下部回転規制構造82Aについても同様の作用効果を奏する。
【0075】
なお、本実施形態では、上部回転規制構造81Aにおいて粗面部85が投入ばね31および上部支持部材41の両方に設けられている。しかしながらこれに限定されない。粗面部は、投入ばね31および上部支持部材41のいずれか一方のみに設けられていてもよい。下部回転規制構造82Aの粗面部86についても同様である。
【0076】
また、上記各実施形態では、被ガイド部70が回転可能な下側ローラ71および上側ローラ72を備えている。しかしながら、被ガイド部は、下側ローラ71および上側ローラ72のうち少なくともいずれか一方に代えて、ガイド溝65の縁66に接触可能かつ回転不能な軸部材を備えてもよい。
【0077】
また、上記各実施形態では、被ガイド部70が一対の投入ばね31に対するX方向の両側に設けられている。しかしながらこれに限定されず、被ガイド部70は、一対の投入ばね31に対するX方向の一方のみに設けられていてもよい。すなわち、一方の下側ローラ71の上方のみに上側ローラ72が設けられていてもよい。
【0078】
また、上記各実施形態では、フレーム2を下部支持部材51とは別の構成要素として説明したが、フレーム2を下部支持部材の構成要素に含めてもよい。また、上部支持部材41の上部ガイドスペーサ44、および下部支持部材51の下部ガイドスペーサ53は、設置を省略されてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態では、上部支持部材41が一対の上部ガイドスペーサ44を備えるが、一対の上部ガイドスペーサ44は一体化していてもよい。下部支持部材51の一対の下部ガイドスペーサ53も同様である。
【0080】
また、上記第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせてもよい。例えば、上部回転規制構造が上部ピン83および粗面部85の両方を備えていてもいい。
【0081】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、開閉器用操作装置は、上部支持部材に支持されるとともにガイド溝内で並んで配置され、ガイド溝の縁に接触可能な下側ローラおよび上側ローラを有する被ガイド部を備える。この構成によれば、一対の投入ばねのばね力の蓄勢動作時における一対の投入ばねの圧縮時に、上部支持部材が傾くことを抑制される。よって、一対の投入ばねが座屈することなく均等に収縮するので、一対の投入ばね間でばね力の放勢に要する時間が均等になる。したがって、円滑な投入動作が可能な開閉器用操作装置を提供できる。
【0082】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、開閉器用操作装置は、上部支持部材および下部支持部材のうち少なくともいずれか一方の支持部材に対する一対の投入ばねの巻方向の回転を規制する回転規制構造を備える。この構成によれば、一対の投入ばねそれぞれと支持部材との接触部が変位することを抑制できる。このため、支持部材にかかる一対の投入ばねの荷重の分布が変化することを抑制できる。よって、支持部材が傾き、一対の投入ばねのうち少なくともいずれか一方が座屈することを抑制できる。したがって、開閉器用操作装置の投入動作の安定化を図ることができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10