IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ランパク コーポレーションの特許一覧

特許7176124ダンネージ変換機用のコイラーおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】ダンネージ変換機用のコイラーおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/24 20060101AFI20221114BHJP
   B31D 1/00 20170101ALI20221114BHJP
   B65H 18/10 20060101ALI20221114BHJP
   B65H 18/06 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
B65H75/24
B31D1/00
B65H18/10
B65H18/06
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021543227
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020013897
(87)【国際公開番号】W WO2020154172
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】62/796,970
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513206315
【氏名又は名称】ランパク コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダール カープ ヨーディ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス ロン ハー.イェー.
(72)【発明者】
【氏名】ブルラス ルード エー.イェー.
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第01073781(GB,A)
【文献】特表2016-510294(JP,A)
【文献】特開2004-149233(JP,A)
【文献】特開平01-133877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/24
B31D 1/00
B65H 18/10
B65H 18/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護包装に用いるためのダンネージの帯をコイリングするためのコイラー(24)であって、
共通の方向に延出し、ダンネージの帯(34)を巻き付けてコイル(38)にするために、共通の軸を中心に回転可能な一対の可動ピン(66)と、
前記可動ピン(66)の一方を支持して、帯受け取り位置と前記帯受け取り位置に対して半径方向内側に設けられたコイリング位置との間を移動させるための、少なくとも1つのピンマウント(90)と、を備えるコイラー(24)。
【請求項2】
前記ピンマウント(90)と前記可動ピン(66)とを案内し移動させるためのカム(82)をさらに備える、請求項1に記載のコイラー(24)。
【請求項3】
前記カム(82)および前記ピンマウント(90)と協働するガイドプレート(80)をさらに備え、前記可動ピン(66)の移動を制御する、請求項2に記載のコイラー(24)。
【請求項4】
前記ガイドプレート(80)は前記可動ピン(66)が貫通して延出するスロット(88)を備え、前記可動ピン(66)の移動を案内する、請求項3に記載のコイラー(24)。
【請求項5】
前記ピンマウント(90)は、一定の枢動点において前記ガイドプレート(80)に接続されている、請求項3または請求項4に記載のコイラー(24)。
【請求項6】
前記ガイドプレート(80)は、モータ(86)に連結されて回転する、請求項3~5の何れか1項に記載のコイラー(24)。
【請求項7】
前記共通の軸は、前記可動ピン(66)が延出する方向に平行である、請求項1~6の何れか1項に記載のコイラー(24)。
【請求項8】
前記カム(82)は、前記カム(82)が前記ピンマウント(90)に対して回転するのに伴って前記ピンマウント(90)が乗り上げる、湾曲した軸受面を備える、請求項2~の何れか1項に記載のコイラー(24)。
【請求項9】
前記湾曲した軸受面は溝付きスパイラル面(94)を備える、請求項8に記載のコイラー(24)。
【請求項10】
前記溝付きスパイラル面(94)は、変化する深さを有する溝によって画定され、前記ピンマウント(90)の移動を止める複数の傾斜端(96)を備えることによって前記可動ピン(66)を前記コイリング位置に配置する、請求項9に記載のコイラー(24)。
【請求項11】
ストック材(30)をコイリングされる前記ダンネージの帯(34)に変換するダンネージ変換機(22)であって、前記ダンネージの帯(34)を出口(36)から供給するダンネージ変換機(22)との組合せにおける、請求項1~10の何れか1項に記載のコイラー(24)。
【請求項12】
前記ダンネージ変換機(22)の前記出口(36)と前記コイラー(24)との間に設けられたガイド面(68)をさらに備え、前記ダンネージの帯(34)を前記コイラー(24)へと案内する、請求項11に記載のコイラー(24)
【請求項13】
比較的低密度のダンネージ製品へと変換するために、ストック材(30)の供給部(32)をさらに備える、請求項11または請求項12に記載のコイラー(24)
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載のコイラー(24)を提供するステップと、
前記ダンネージの帯(34)を前記一対の可動ピン(66)の間で受け取るステップと、
前記ピンマウント(90)と前記一対の可動ピン(66)とを案内し移動させるためのカム(82)、および前記ピンマウント(90)、と協働するガイドプレート(80)を回転させることによって、前記一対の可動ピン(66)を前記帯受け取り位置から前記コイリング位置へと移動させるステップと、
前記一対の可動ピン(66)を回転させることによって、前記ダンネージの帯(34)を巻き付けてコイル(38)にするステップとを備える、ダンネージの帯のコイリング方法。
【請求項15】
前記提供するステップは、
シートストック材(30)をダンネージ変換機(22)へと供給することと、
前記シートストック材(30)を比較的低密度のダンネージの帯(34)へと変換することと、
前記ダンネージの帯(34)を前記ダンネージ変換機(22)から供給することと、を備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記移動させるステップを、前記ダンネージの帯(34)の前端が前記一対の可動ピン(66)の間を通過した後に開始する、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記巻き付けるステップが完了した後に、コイリングされた状態の前記コイル(38)を前記一対の可動ピン(66)から取り除くことをさらに備える、請求項14~16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記一対の可動ピン(66)のそれぞれを前記コイリング位置から前記帯受け取り位置へと戻すように案内することをさらに備える、請求項14~17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記帯受け取り位置において、前記一対の可動ピン(66)を前記ダンネージの帯(34)の経路を横切る線に沿って回転可能に一列に並べることをさらに備える、請求項14~18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記コイラー(24)の速度を、前記コイラー(24)に供給される前記ダンネージの帯(34)の速度および前記コイル(38)の所望のサイズに応じて制御することをさらに備える、請求項14~19の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、ダンネージ変換機用のコイラー、ならびにダンネージの帯の製造およびコイリング方法に関する。
【0002】
[発明の背景]
1つまたは複数の物品をある場所から別の場所に輸送するプロセスにおいて、梱包業者は通常、ある種のダンネージ材を、輸送される1つまたは複数の物品とともに段ボール箱等の輸送コンテナに入れる。ダンネージ材は、輸送プロセス中に損傷する可能性のある物品が動くのを防止する、または最小限に抑える。一般的に使用されるダンネージ材には、プラスチック製エアバッグや加工紙製のダンネージ材等がある。
【0003】
連続運転を促進するため、多くのダンネージ変換機は、エアバッグまたは紙製のダンネージ材を製造しているかにかかわらず、所望の長さのダンネージの切片を提供するために切断または切り離し可能なダンネージの帯を生産する。輸送中にダンネージ材を使用して比較的大きなまたは重い物を押さえたりまたは固定したりする場合、ダンネージの帯をコイルの形状に巻き上げてもよい。そして、ダンネージのコイルを、輸送コンテナ内の輸送される大きなまたは重い物の横、上、または下に配置してもよい。ダンネージ材のコイルは手作業で製造可能であるが、そのような作業にはかなりの時間またはスペースが費やされ、また、手動のコイリング(coiling:巻取り)ではコイルの特性にばらつきが生じる可能性がある。そのため、これらおよびその他の問題の1つまたは複数に対処するべく、自動コイリング機構が開発された。
【0004】
国際特許出願公開第WO99/21702号には、緩衝材変換機によって製造されたダンネージの帯をコイリングするためのシステムが記載されている。ロールから供給されたシートストック材が、比較的低密度の緩衝材の帯に変換され、その後、回転するフォークに巻き付けられてコイリングされた形状となる。
【0005】
[発明の概要]
輸送される物のサイズ、形状、および重量に応じて、ユーザがコイリングされたダンネージの帯の密度またはサイズを調整したい場合がある。自動コイリング機構は知られているが、均質のコイルを製造するための自動システムを提供しつつ、コイルの密度またはサイズのカスタマイズを可能にするダンネージシステムおよび方法が依然として必要とされている。
【0006】
本発明は、複数のフォークピンを動かしてコイルの密度およびサイズを調整可能な、自動コイラーフォークを有するコイラー(coiler:巻取器)を提供する。具体的には、複数のフォークピンは、ピンの間でダンネージの帯の前端を受け取った後、内側に移動して、固定式のコイラーフォークピンを有するコイラーによって提供されるものよりも、小さいコイルまたはより密なコイルを形成可能である。
【0007】
したがって、例示的なコイラーは、一対の可動ピンを備える。また、コイラーは少なくとも1つのピンマウントを有していてもよく、ピンの移動を案内するためのカムを備えていてもよい。一対の可動ピンは共通の方向に延出し、ダンネージの帯を巻き付けてコイルにするために、共通の軸を中心に回転可能である。少なくとも1つのピンマウントは、可動ピンの一方を支持して、帯受け取り位置と当該帯受け取り位置に対して半径方向内側に設けられたコイリング位置との間を移動させる。カムはピンマウントと可動ピンとを案内し移動させる。その代わりに、ピンマウントはピンからオフセットされた軸を中心に回転してもよい。
【0008】
コイラーは、カムおよびピンマウントと協働するガイドプレートをさらに備え、可動ピンの移動を制御してもよい。ガイドプレートはピンが槓子して延出するスロットを備え、可動ピンの移動を案内してもよい。
【0009】
ピンマウントは、一定の枢動点においてガイドプレートに接続されていてもよい。
ガイドプレートは、モータに連結されて回転してもよい。
共通の軸は、可動ピンが延出する方向に平行であってもよい。
【0010】
カムは、カムがピンマウントに対して回転するのに伴ってピンマウントが乗り上げる、湾曲した軸受面を備えていてもよい。湾曲した軸受面は、溝付きスパイラル面を備えていてもよい。溝付きスパイラル面は、ピンマウントの移動を止める複数の傾斜端を有することによって、可動ピンをコイリング位置に配置してもよい。
【0011】
コイラーは、ストック材をコイリングされるダンネージの帯に変換するダンネージ変換機であって、ダンネージの帯を出口から供給するダンネージ変換機との組み合わせで提供されてもよい。当該組み合せは、比較的低密度のダンネージ製品へと変換するために、ストック材の供給部をさらに備えていてもよい。ストック材は、シート状の紙およびシート状のクラフト紙の一方または複数を含んでいてもよい。
【0012】
ダンネージ変換機の出口とコイラーとの間に設けられたガイド面を備え、ダンネージの帯をコイラーへと案内してもよい。
本発明は、ダンネージの帯のコイリング方法も提供する。当該方法は、(a)本明細書中に記載のようなコイラーを提供するステップと、(b)ダンネージの帯を一対の可動ピンの間で受け取るステップと、(c)ガイドプレートを回転させることによって、一対の可動ピンを帯受け取り位置からコイリング位置へと移動させるステップと、(d)可動ピンを回転させることによって、ダンネージの帯を巻き付けてコイルにするステップと、を備える。
【0013】
提供するステップ(a)は、(i)シートストック材、好ましくは紙、をダンネージ変換機へと供給することと、(ii)シートストック材を比較的低密度のダンネージの帯へと変換することと、(iii)ダンネージの帯をダンネージ変換機から供給することとを備えていてもよい。
【0014】
移動させるステップ(c)を、ダンネージの帯の前端が一対の可動ピンの間を通過した後に開始してもよい。
当該方法は、巻き付けるステップ(d)が完了した後に、コイリングされた状態のコイルを一対の可動ピンから取り除くステップを備えていてもよい。
【0015】
当該方法は、一対の可動ピンのそれぞれをコイリング位置から帯受け取り位置へと戻すように案内するステップを備えていてもよい。
当該方法は、一対の可動ピンをダンネージの帯の経路を横切る線に沿って回転可能に一列に並べるステップを備えていてもよい。
【0016】
最後に、当該方法は、コイラーの速度を、コイラーに供給されるダンネージの帯の速度およびコイルの所望のサイズに応じて制御するステップを備えていてもよい。
前述のおよびその他の特徴は、以下に充分に説明され、特に請求項、以下の説明、および特定の実施例を詳細に記載した添付の図面に示されるが、これらの実施例は、本発明の原理が採用され得る様々な方法のうち、ほんの一部を示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示的なダンネージ変換システムの概略図である。
図2】コイラーを使用した、例示的なダンネージ変換システムの斜視図である。
図3図2のダンネージ変換システムの断面図である。
図4図2のコイラーの斜視図である。
図5図2のコイラーの別の斜視図である。
図6】ガイドプレートを取り外した状態の図2のコイラーの部分断面図である。
図7図2のコイラーのガイドプレートの平面図である。
図8図2のコイラーのカムの斜視図である。
図9】一対の可動ピンが帯受け取り位置にある、図6のコイラーの斜視図である。
図10】一対の可動ピンがコイリング位置にある、図6のコイラーの斜視図である。
図11】ダンネージ変換システムの別のコイラーの斜視図である。
図12図11のコイラーの分解図である。
図13A】帯受け取り位置にある、図11のコイラーの正面図である。
図13B図13Aのコイラーの背面図である。
図14A】帯受け取り位置から回転した、図13Aのコイラーの正面図である。
図14B図14Aのコイラーの背面図である。
図15A】帯受け取り位置からさらに回転した、図14Aのコイラーの正面図である。
図15B図15Aのコイラーの背面図である。
図16A】帯受け取り位置からさらに回転した、図15Aのコイラーの正面図である。
図16B図16Aのコイラーの背面図である。
図17A】さらにコイリング位置まで回転した、図16Aのコイラーの正面図である。
図17B図17Aのコイラーの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[発明の詳細な説明]
ここで図面を詳細に参照する。まず図1~3の、ダンネージ変換機22(「コンバータ」と呼ばれることもある)等のダンネージの帯の供給部と、ダンネージの帯を選択的にコイリングして、所望の密度またはサイズのコイルを提供するためのコイリング機構24を備える、例示的なダンネージ変換システム20を参照する。当該システム20は、テーピング機構26と排出機構28とをさらに備えていてもよい。ダンネージ変換機22は、供給部32から引き出されたシートストック材30を、比較的低密度のダンネージの帯34に変換する。帯34は、変換機22の出口36を出て、コイリング機構24によって巻かれて、または巻き付けられてコイル38となる。コイリングされたダンネージの帯の後端は、テーピング機構26によって自動的にコイル38に固定されてもよい。完成したコイル38は、コイル排出機構28によってコイリング機構24から自動的に排出されてもよい。
【0019】
例示的なストック材30の供給部32は、シートストック材30の1本または複数本のロール44を支持可能で横方向に間隔をあけて配置された、一対または複数対のアーム42を有する、移動カート40を備える。例示的なシートストック材30はクラフト紙であり、当該クラフト紙は、図示されるように、ロールに巻き付けた状態で供給されるか、または扇形に折り畳まれた層状で提供されてもよい。紙はリサイクル可能で再利用可能であり、再生可能な資源で構成されているため、ストック材として環境に配慮した選択肢となっている。
【0020】
例示的なダンネージ変換機が図2および図3に示されている。変換プロセスにおいて、ダンネージ変換機22は、シートストック材30を成形して、製造材料であるシートストック材30よりも比較的低密度のダンネージの帯を作成する。図示のダンネージ変換機22では、シートストック材30は、下流方向に集まるシュート48を備える成形機構46を通って、シュート入口50から相対的に小さいシュート出口52へと進み、当該シュート48は、シートストック材がシュート48を通って進むにつれて、端部を内側に回転させシートストック材をランダムにしわ寄せする。そして、しわ寄せされたストック材は、成形機構46の下流の供給/接合機構54を通過する。当該供給/接合機構54は、シートストック材を変換機22を通して供給するとともに、シートストック材の重なり合う層をつなぎ合わせて、完成したダンネージの帯の形状を維持するのに役立つ。所望の長さのダンネージができると、供給/接合機構54の下流の分離機構56が、完成したダンネージの帯をシートストック材30の供給部32から分離する。図示のダンネージ変換機22は、システム20で使用可能な唯一のタイプのダンネージ変換機ではなく、シートストック材を比較的低密度のダンネージの長さまたは帯に変換する任意のダンネージ変換機を、当該システム20で使用してもよい。ダンネージ変換機を備えていないダンネージの帯の供給部も、利用可能な代替手段であり得る。
【0021】
図示のダンネージ変換機22は、移動可能とするための車輪60を有するスタンド58に取り付けられている。しかし、コイル38を製造するのに十分な高さで変換機22およびコイリング機構24を支持する必要がある場合は、任意のタイプのダンネージ変換機22のための支持部が設けられていてもよい。
【0022】
コイラーとも呼ばれるコイリング機構24は、ダンネージ変換機22の下流に位置し、図示の実施形態では、ダンネージ変換機22のフレームまたはスタンド58に取り付けられたフレーム延長部62によって支持されている。コイラー24は、実質的に平行で移動可能な一対のコイリングピン66(フォークピンまたは単にピンとも呼ばれる)を有する、回転可能なコイリングフォーク64を備える。コイリングフォーク64および可動ピン66は、コイリング中心軸の周りを回転する。コイリングフォーク64およびフォークピン66の回転は、モータまたは他の駆動機構によって駆動されてもよく、モータは、フレーム延長部62に取り付けられていてもよい。ガイド面68は、ダンネージ変換機22の出口36からコイリング機構24に向かって延在し、ダンネージの帯を出口36からコイリングフォーク64へと案内する。
【0023】
開始時の向きにおいて、コイリングフォーク64および可動ピン66は、ガイド面68によって案内されてきたダンネージの帯を受け取るように構成されている。コイリングフォーク64の可動ピン66は、概ねガイド面68およびコイリング軸を横切る軸または他の線に沿って、好ましくはガイド面68に垂直に配置され、ピン66の間のダンネージの帯の前端を受け取る。一対の可動ピン66はそれぞれ、ダンネージの帯を横切る線に沿って一列に並べられている。ダンネージの帯の前端がフォーク64の可動ピン66の間を通過すると、ダンネージの帯ができるにつれて、フォーク64が回転しダンネージの帯を巻き付けてコイルにすることが可能である。例示的なダンネージ変換機およびコイラーのさらなる説明は、上で参照した国際公開第WO99/21702を参照することができる。
【0024】
ダンネージの帯は、ダンネージ変換機22または他の供給部からコイリング機構24へと一定の速度で製造されるが、コイリングフォーク64の回転速度をコイルのサイズに応じて変えて、コイルの密度、均質性、およびその他の性質を変えることが可能である。
【0025】
図4~8にさらに詳細に示されているコイラーは、フォークピンを動かしてコイルの密度およびサイズを調整することが可能な、自動コイラーフォークを備える。コイラー24は、ガイドプレート80と、一対の平行な可動ピン66と、カム82とを備える。ガイドプレート80は、両側が実質的に平坦であり、モータ86の駆動シャフト84に連結されて回転する。ギアボックス85は、コイラーフォークとモータ86との間に取り付けられ、コイリング軸を中心とした回転の速度を調整する。ガイドプレート80は半径方向に延出する湾曲した複数のスロット88を備え、ピン66を半径方向にずれた内側位置と外側位置との間で案内する。
【0026】
可動ピン66は、ガイドプレート80にほぼ垂直な共通の方向に延出する。一対の可動ピン66は、ダンネージの帯を巻き付けてコイルにするために、共通のコイリング軸を中心に回転可能である。コイリング軸は、ピン66が延出する方向にほぼ平行である。可動ピン66は、それぞれのスロット88を貫通して延出し、それぞれU字形のピンマウント90にU字形のほぼ中央で連結されている。各ピンマウント90の一端は、ガイドプレート80の外縁に近接する位置において、ガイドプレート80に接続されている。
【0027】
カム82は、ガイドプレート80と、ピンマウント90と、可動ピン66とがその内側に収められる、突出した外縁92を備える。カム82は、外縁92の前面から凹んだ、いくつかの湾曲した制御面または軸受面を備える。ピンマウント90は、カム82の表面の特徴に倣う。このピンマウント90とカム82との相互作用により、平行ピン66は、ガイドプレート80の半径方向に延びる湾曲したスロット88に沿って、帯受け取り位置から帯受け取り位置に対して半径方向内側にあるコイリング位置に移動する。ピン66およびは、コイリング位置において、帯受け取り位置よりも相対的に互いに近い間隔で配置されている。制御面は、ガイドプレート80がカム82に対して回転するのに伴ってピンマウント90の一部が乗り上げる、溝付きスパイラル面94を備える。溝付きスパイラル面94は、カム82に設けられた変化する深さを有する溝によって画定され、ピンマウント90の移動を止める複数の傾斜端96を備えることによって、ピン66をコイリング位置に配置する。
【0028】
ここで図9を参照すると、ダンネージ変換機22(図2および3)の動作中、ダンネージの帯(図示せず)の前端は、帯受け取り位置に配置された一対の可動ピン66の間を前進する。ダンネージの帯を可動ピン66の間で受け取ると、モータ86(図4~6)は、コイリング軸(図4および5)を中心としたガイドプレート80の回転を(例えば、時計回りに)駆動する。ピンマウント90はカム82の制御面をたどり、図10に示すように、一対のピン66を帯受け取り位置から、帯受け取り位置に対して半径方向内側にあるコイリング位置に移動させる。ピンマウント90がカム82の溝付きスパイラル面94(図8)の端部96に到達すると、コイリング軸を中心としたコイリングフォーク64の回転によって、ダンネージの帯が巻き付けられてコイルとなる。
【0029】
上記のように、ピン66は、帯受け取り位置に配置されたときよりも、コイリング位置に配置されたときに、互いにより近接して配置される。ピン66を互いに近づけると、出来上がったコイルの中心の密度が増し、また、同じ回転数であっても、出来上がったコイルの外径も小さくなる。ダンネージの帯固有の弾力のある性質により、コイラーは帯をよりきつく巻いて、コイルの密度をダンネージの帯の密度よりも高くすることができる。
【0030】
所望の長さのダンネージの帯ができると、ダンネージ変換機における分離機構56(図3)が、ダンネージの帯を残りのストック材から切り離す。自動テーピング機構26(図2および3)は、ダンネージの帯の後端にテープを貼り付けて、帯の後端を隣接するコイルの巻きに接着することによって、ダンネージの帯をコイル状の形状に保持するようにしてもよい。コイル排出機構28は、完成したコイルをピン66から軸方向に押し出し可能な排出プレートを備える。その後、操作者はコイリングされたダンネージの帯を、梱包のための箱または他の容器に入れてもよい。
【0031】
コイルがピン66から押し出された後、コイリング機構24は、コイリングとは反対の方向に(例えば、反時計回りに)回転して、ピンマウント90をカム82の制御面に沿って移動させ、一対のピン66をコイリング位置から帯受け取り位置へと戻してもよい。また、コイリング機構24は、コイリングフォーク64をコイリング軸を中心に帯受け取り位置まで回転させ、ダンネージ変換機22を出てガイド面68によってコイリング機構24へと案内されるダンネージの帯の経路を横切る軸に沿って、ピン66を一列に並べる。
【0032】
要約すると、本発明は、カム82を使用してフォークピン66をダンネージ受け取り位置からより間隔の狭いコイリング位置へと内側に移動させ、より密なまたはより小さなダンネージのコイルを製造するためのコイラー24を提供する。平行なフォークピン66をダンネージ受け取り位置とコイリング位置との間で移動させるため、フォークピン66は、カム82、およびガイドプレート80のスロット88と協働するピンマウント90に連結されている。フォークピン66は、ガイドプレート80に対して垂直に且つガイドプレート80を貫通して延出するようにダンネージの経路の両側に取り付けられ、ダンネージの帯34を捕捉し巻き付けてコイル38にする。
【0033】
ここで、別の実施形態に目を向ける。図11および12は、図2に示されるようなダンネージ変換システムで使用するための、別の例示的なコイリング機構124を示す。外見上、コイリング機構124は、前述のコイリング機構24と同様に見え、同じ駆動機構によって駆動され、ガイド面68の端部に隣接して配置され、前述のコイル排出機構28と連動する。また、このコイリング機構124は、コイリング軸128を中心に回転可能なコイリングフォーク126を用いる。コイリングフォーク126は、間隔を空けて配置されているが平行である一対のコイリングピン66を備え、当該コイリングピン66は共通の方向に延出し、同じくコイリングピン66に平行である共通のコイリング軸128を中心に回転するように取り付けられている。少なくとも1本のコイリングピン66は、さらにコイリングピンマウント130に取り付けられており、それぞれのコイリングピン66およびコイリング軸128の両方に平行であるが、これらからオフセットされているコイリングピン軸132を中心に回転する。したがって、コイリングピン66の一方または両方は、コイリング軸128およびそれぞれのコイリングピン軸132の両方を中心に回転可能である。図示の実施形態では、両方のコイリングピン66が、それぞれのコイリングピンマウント130に取り付けられている。
【0034】
前の実施形態と同様に、コイリング機構124は、コイリングピン66と同じ方向を向いた平坦な面を有するガイドプレート134を備える。コイリングピンマウント130は、ダンネージの帯がコイリングピン66の間に供給される際に連続した面を提供するよう、ガイドプレート134の表面と同一平面であってもよい。ガイドプレート134の前面は、コイリングピンマウント130および関連する構成要素を収容し支持するためのハウジングの一部を形成していてもよい。図示の実施形態では、コイリングピンマウント130は、円盤状の形状を有し、ガイドプレート130の円形の開口部に収容されたベアリング136に取り付けられている。ベアリング136は、それぞれのコイリングピン軸132を中心に回転し、コイリングピン66は、コイリングピン軸132からオフセットされているがコイリングピン軸132に平行に、それぞれのコイリングピンマウント130に取り付けられている。ハウジング、具体的には、図示の実施形態におけるガイドプレート134の裏側は、バックプレート138で囲まれていてもよい。
【0035】
前の実施形態と同様に、コイリングピン66は間隔を空けて配置され、ガイド面68に対して帯受け取り位置にあるコイリングピン66間でダンネージの帯の前端を受け取る向きに配置されている。しかし動作中には、コイリングピン66は、コイリングピン66がコイリング軸128を中心に回転するのに伴って、帯受け取り位置とコイリング位置との間を移動可能である。コイリングピン66間の間隔は、コイリング位置では帯受け取り位置に比べて小さい。コイリングピン66は、コイリング軸128を中心に回転し、コイリングピン66の少なくとも一方およびそのコイリングピンマウント130は、コイリング軸128からオフセットされているがコイリング軸128に平行であるコイリングピン軸132を中心に回転する。
【0036】
しかし、前の実施形態のカムの配置とは対照的に、コイリングピン軸132がそれぞれのコイリングピン66および中央のコイリング軸128からオフセットされているという性質によって、同様の効果を得るためにより単純な構造がもたらされる。コイリングピン66およびコイリングピンマウント130は、どのような態様であれ自由に回転することはできない。ガイドプレート134とバックプレート138との間に形成されたハウジング内に配置された、ばねまたは弾性要素等の付勢部材140が、帯受け取り位置に向かってピンマウント130を付勢する。図示の実施形態では、付勢部材140はコイルばね(1つのみを図示)である。コイルばね140は、一端がピンマウント130に接続され、反対側の端部はガイドプレート134に接続されている。ピンマウント130が回転すると、コイルばね140は、ガイドプレート134の裏側に形成されたばねガイド面142の周りに引き伸ばされる。ばねガイド面142は、図示の実施形態では湾曲している。ばねガイド面142は、ガイドプレート134の背面に形成されたストップ144で終わる。ストップ144は、コイルばね140の伸びの最遠点を定め、また、ピンマウント130の回転を制限してもよい。
【0037】
次に、コイリング機構124の動作を、図13A~17Bのコイリング機構の連続した正面図および背面図を参照して説明する。図13Aおよび13Bに示されるように、コイリングフォーク126は帯受け取り位置を始点とし、コイリングピン66は、ダンネージ変換機22(図2)等の供給部からガイド面68によってコイリング機構124へと案内されるダンネージの帯150(破線で図示)の経路に対して、垂直に一列に並べられている。帯受け取り位置においてコイリングピン66が比較的広い間隔で配置されていることによって、ダンネージの帯150の前端がそれらの間を通過しやすくなっている。
【0038】
図14Aおよび14Bにおいて、コイリング機構124は、コイリングフォーク125のコイリング軸を中心とした回転を始め、コイリングピン66は、ダンネージの帯150の前端に係合する。コイリングフォーク126が回転を続けコイリングピン66の外周でダンネージの帯を引っ張るにしたがって、ダンネージの帯の前端は、コイリングピン66とダンネージの帯150の外側の巻きとの間でさらに捕捉される。同時に、コイリングピン66は、それぞれのコイリングピン軸132(図11)を中心にコイリング位置に向かって回転しながら内側に移動し、コイリング軸128を中心とした回転方向とは反対の方向に回転する。図14Aに示されるように、図示の実施形態では、コイリングフォーク126はコイリング軸128を中心に時計回りに回転し、コイリングピン66はそれぞれ各コイリングピン軸132を中心に反時計回りに回転する。
【0039】
コイリング位置では、コイリングピン66は、帯受け取り位置よりも互いに接近している。ダンネージの帯が弾力のある性質を有するということは、コイリングピン66がコイリング位置においてダンネージの帯150を、そのクッション性を過度に損なうことなく圧縮可能であることを意味する。そして、コイリングピン66を互いに近づけることによって、コイリング機構124は、ダンネージの帯150を巻き付けて比較的にコンパクトな中心を有するコイルにすることが可能である。
【0040】
前述の説明から明らかなように、コイリングピン66をそれぞれのコイルピン軸132を中心に回転させるのに、動力要素は必要ない。コイリング軸128を中心としたコイリングフォーク125の回転速度とダンネージの帯150がコイリング機構124に供給される速度との相互作用によって、ピンマウント130はコイルばね140によって加えられる力に逆らって、ストップ144に到達するまで回転する。このときコイリングピン66は、ストップ144がコイリングピン66の間の最小距離を定め、ひいては出来上がったダンネージのコイルのコアのコンパクトさを定めるようなコイリング位置にある。
【0041】
完成したコイルをコイリングピン66から取り除くと、コイルばね140はピンマウント130、ひいてはそれぞれのコイルピン66を帯受け取り位置に戻す。コイリングフォーク126はコイリング軸128を中心に回転して、コイリングピン66をダンネージの帯150の経路に垂直に一列に並べ、コイリング機構124をダンネージの別の帯の前端を受け取る準備ができている状態にする。
【0042】
本発明は、特定の例示的な1つのまたは複数の実施形態に関して示され説明されてきたが、当業者が本明細書および添付の図面を読み理解すれば、同等の変更および改良に思い至るであろう。特に、上記の完全体(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、構成等)によって実行されるさまざまな機能に関して、そのような完全体を説明するために用いられる用語(「手段」への参照を含む)は、特に明記しない限り、本明細書に例示された本発明の1つまたは複数の実施形態における機能を実行する開示された構造と構造的に同等ではないにしても、特定の機能を実行する(すなわち機能的に同等な)任意の完全体に対応することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B