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特許7176189プログラム、文書表示制御装置及び文書表示制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】プログラム、文書表示制御装置及び文書表示制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20221115BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20221115BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20221115BHJP
   G06F 21/84 20130101ALI20221115BHJP
【FI】
H04L67/00
G06F3/01 510
G06F3/0481
G06F21/84
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018008976
(22)【出願日】2018-01-23
(65)【公開番号】P2019128718
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】猪股 浩司郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 政幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓海
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-052655(JP,A)
【文献】特開2007-288771(JP,A)
【文献】特開2000-322358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
G06F 3/01
G06F 3/0481
G06F 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置とサーバとが接続されることにより構成された文書表示制御システムの何れかの端末装置における文書表示制御装置に、
文書を表示するように表示装置を制御する機能と、
前記表示装置に前記文書が表示された状態で、当該文書を閲覧する権限を有しない者が当該文書を閲覧可能となることを示す予め定められた事象が前記複数の端末装置の何れかで発生したかどうかを、前記文書表示制御装置の常駐プログラムが前記サーバから当該予め定められた事象が当該複数の端末装置の何れかで発生した旨の情報を受信したかどうかに基づいて、監視する機能と、
前記予め定められた事象が発生したことが前記監視する機能により把握された場合に、当該文書を非表示とするように前記表示装置を制御する機能と
を実現させるためのプログラム。
【請求項2】
前記予め定められた事象は、前記文書を閲覧する権限を有しない者が、前記表示装置が存在する空間内に移動することである、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記予め定められた事象は、前記文書を閲覧する権限を有しない者が、当該文書を前記表示装置に表示するシステムにログインすることである、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記予め定められた事象は、前記文書を閲覧する権限を有しない者が、前記表示装置に近付いていることである、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記予め定められた事象は、前記文書を閲覧する権限を有しない者が、当該文書を表示しようとすることである、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記文書を表示するように制御する機能は、前記表示装置で当該文書が非表示となった状態で、当該文書を閲覧する権限を有しない者が前記表示装置から遠退いていることを示す予め定められた事象が発生した場合に、当該文書を再び表示するように前記表示装置を制御する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記文書を非表示とするように制御する機能は、前記表示装置を複数備える場合において、当該複数の表示装置で前記文書を表示している場合に、一の表示装置で当該文書を閲覧する権限を有しない者が当該文書を閲覧可能となることを示す前記予め定められた事象が発生したことが把握された場合に、当該文書を非表示とするように当該一の表示装置以外の他の表示装置を制御する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記文書を表示するように制御する機能は、前記他の表示装置で当該文書が非表示となった状態で、何れかの表示装置から、当該文書を表示するように指示を受け付けた場合に、当該文書を再び表示するように当該他の表示装置を制御する、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
複数の端末装置とサーバとが接続されることにより構成された文書表示制御システムの何れかの端末装置における文書表示制御装置であって、
文書を表示するように表示装置を制御する表示制御手段と、
前記表示装置に前記文書が表示された状態で、当該文書を閲覧する権限を有しない者が当該文書を閲覧可能となることを示す予め定められた事象が前記複数の端末装置の何れかで発生したかどうかを、前記文書表示制御装置の常駐プログラムが前記サーバから当該予め定められた事象が当該複数の端末装置の何れかで発生した旨の情報を受信したかどうかに基づいて、監視する監視手段と、
前記予め定められた事象が発生したことが前記監視手段により把握された場合に、当該文書を非表示とするように前記表示装置を制御する非表示制御手段と
を備えたことを特徴とする文書表示制御装置。
【請求項10】
複数の端末装置とサーバとが接続されることにより構成された文書表示制御システムであって、
文書を表示するための表示手段と、
前記文書を表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段と、
前記表示手段に前記文書が表示された状態で、当該文書を閲覧する権限を有しない者が当該文書を閲覧可能となることを示す予め定められた事象が前記複数の端末装置の何れかで発生したかどうかを、前記文書表示制御システムの何れかの端末装置における文書表示制御装置の常駐プログラムが前記サーバから当該予め定められた事象が当該複数の端末装置の何れかで発生した旨の情報を受信したかどうかに基づいて、監視する監視手段と、
前記予め定められた事象が発生したことが前記監視手段により把握された場合に、当該文書を非表示とするように前記表示手段を制御する非表示制御手段と
を備えたことを特徴とする文書表示制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、文書表示制御装置及び文書表示制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
朝礼が開始された後、リーダーが予め用意しておいた資料を見せるときに、画面の共有を開始すると、メンバは共有状態に遷移し、リーダーのデスクトップ画面を各自のPC上でリアルタイムに閲覧できるようになり、リーダーが特に資料なしで話をする場合、次に見せる資料やメールを探す場合、デスクトップ上でメンバに見せたくない操作をする場合は、画面共有を停止し、画面共有を停止すると、メンバは非共有状態に遷移し、デスクトップ画面上には「朝礼」という文字だけが表示されるようになる画面共有システムは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-234072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、文書を表示している者の明示的な指示により文書を非表示とする構成を採用した場合には、文書を閲覧する権限を有しない者が、例えば、文書を表示している者に気付かれずに文書が表示された表示装置に近付くことができれば、文書を閲覧することができてしまう。従って、文書を閲覧する権限を有しない者に文書を閲覧される危険性が高まる。
【0005】
本発明の目的は、文書を表示している者の明示的な指示により文書を非表示とするよう構成された場合に比較して、文書を閲覧する権限を有しない者に文書が閲覧される危険性を低下させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数の端末装置とサーバとが接続されることにより構成された文書表示制御システムの何れかの端末装置における文書表示制御装置に、文書を表示するように表示装置を制御する機能と、前記表示装置に前記文書が表示された状態で、当該文書を閲覧する権限を有しない者が当該文書を閲覧可能となることを示す予め定められた事象が前記複数の端末装置の何れかで発生したかどうかを、前記文書表示制御装置の常駐プログラムが前記サーバから当該予め定められた事象が当該複数の端末装置の何れかで発生した旨の情報を受信したかどうかに基づいて、監視する機能と、前記予め定められた事象が発生したことが前記監視する機能により把握された場合に、当該文書を非表示とするように前記表示装置を制御する機能とを実現させるためのプログラムである。
請求項2に記載の発明は、前記予め定められた事象は、前記文書を閲覧する権限を有しない者が、前記表示装置が存在する空間内に移動することである、請求項1に記載のプログラムである。
請求項3に記載の発明は、前記予め定められた事象は、前記文書を閲覧する権限を有しない者が、当該文書を前記表示装置に表示するシステムにログインすることである、請求項1に記載のプログラムである。
請求項4に記載の発明は、前記予め定められた事象は、前記文書を閲覧する権限を有しない者が、前記表示装置に近付いていることである、請求項1に記載のプログラムである。
請求項5に記載の発明は、前記予め定められた事象は、前記文書を閲覧する権限を有しない者が、当該文書を表示しようとすることである、請求項1に記載のプログラムである。
請求項6に記載の発明は、前記文書を表示するように制御する機能は、前記表示装置で当該文書が非表示となった状態で、当該文書を閲覧する権限を有しない者が前記表示装置から遠退いていることを示す予め定められた事象が発生した場合に、当該文書を再び表示するように前記表示装置を制御する、請求項1に記載のプログラムである。
請求項7に記載の発明は、前記文書を非表示とするように制御する機能は、前記表示装置を複数備える場合において、当該複数の表示装置で前記文書を表示している場合に、一の表示装置で当該文書を閲覧する権限を有しない者が当該文書を閲覧可能となることを示す前記予め定められた事象が発生したことが把握された場合に、当該文書を非表示とするように当該一の表示装置以外の他の表示装置を制御する、請求項1に記載のプログラムである。
請求項8に記載の発明は、前記文書を表示するように制御する機能は、前記他の表示装置で当該文書が非表示となった状態で、何れかの表示装置から、当該文書を表示するように指示を受け付けた場合に、当該文書を再び表示するように当該他の表示装置を制御する、請求項7に記載のプログラムである。
請求項9に記載の発明は、複数の端末装置とサーバとが接続されることにより構成された文書表示制御システムの何れかの端末装置における文書表示制御装置であって、文書を表示するように表示装置を制御する表示制御手段と、前記表示装置に前記文書が表示された状態で、当該文書を閲覧する権限を有しない者が当該文書を閲覧可能となることを示す予め定められた事象が前記複数の端末装置の何れかで発生したかどうかを、前記文書表示制御装置の常駐プログラムが前記サーバから当該予め定められた事象が当該複数の端末装置の何れかで発生した旨の情報を受信したかどうかに基づいて、監視する監視手段と、前記予め定められた事象が発生したことが前記監視手段により把握された場合に、当該文書を非表示とするように前記表示装置を制御する非表示制御手段とを備えたことを特徴とする文書表示制御装置である。
請求項10に記載の発明は、複数の端末装置とサーバとが接続されることにより構成された文書表示制御システムであって、文書を表示するための表示手段と、前記文書を表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段と、前記表示手段に前記文書が表示された状態で、当該文書を閲覧する権限を有しない者が当該文書を閲覧可能となることを示す予め定められた事象が前記複数の端末装置の何れかで発生したかどうかを、前記文書表示制御システムの何れかの端末装置における文書表示制御装置の常駐プログラムが前記サーバから当該予め定められた事象が当該複数の端末装置の何れかで発生した旨の情報を受信したかどうかに基づいて、監視する監視手段と、前記予め定められた事象が発生したことが前記監視手段により把握された場合に、当該文書を非表示とするように前記表示手段を制御する非表示制御手段とを備えたことを特徴とする文書表示制御システムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、請求項4及び請求項5の発明によれば、文書を表示している者の明示的な指示により文書を非表示とするよう構成された場合に比較して、文書を閲覧する権限を有しない者に文書が閲覧される危険性が低下する。
請求項2の発明によれば、文書を閲覧する権限を有しない者のシステムへのログインにより文書を非表示とするよう構成された場合に比較して、文書を閲覧する権限を有しない者に文書が閲覧される危険性を精度よく低下させることができる。
請求項3の発明によれば、文書を閲覧する権限を有しない者の文書が表示された空間への移動により文書を非表示とするよう構成された場合に比較して、文書を閲覧する権限を有しない者に文書が閲覧される危険性を簡易な方法で低下させることができる。
請求項6の発明によれば、文書を閲覧する権限を有しない者が遠退けば、文書を再び閲覧することができる。
請求項7の発明によれば、文書を表示している者の明示的な指示により文書を非表示とするよう構成された場合に比較して、複数の表示装置において、文書を表示している場合に、文書を閲覧する権限を有しない者に対して、文書が閲覧される危険性を低下させることができる。
請求項8の発明によれば、複数の表示装置の何れかから、表示の指示があれば、文書を再び閲覧することができる。
請求項9の発明によれば、文書を表示している者の明示的な指示により文書を非表示とするよう構成された場合に比較して、文書を閲覧する権限を有しない者に文書が閲覧される危険性が低下する。
請求項10の発明によれば、文書を表示している者の明示的な指示により文書を非表示とするよう構成された場合に比較して、文書を閲覧する権限を有しない者に文書が閲覧される危険性が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態が適用される電子会議システムの全体構成例を示した図である。
図2】本発明の実施の形態におけるサーバ、マスタ端末、スレーブ端末のハードウェア構成例を示した図である。
図3】本発明の実施の形態における電子会議システムの機能構成例を示したブロック図である。
図4】本発明の実施の形態における電子会議システムの会議を開始して資料を表示する際の動作例を示したシーケンス図である。
図5】本発明の実施の形態における電子会議システムの閲覧不許可者の接近又は離遠を検知して資料を非表示状態又は表示状態にする際の動作例を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
[電子会議システムの全体構成]
図1は、本実施の形態が適用される電子会議システムの全体構成例を示した図である。図示するように、この電子会議システムは、マスタ端末10と、スレーブ端末30a,30bと、サーバ50とが通信回線80に接続されることにより構成されている。尚、図では、スレーブ端末30a,30bを示したが、これらを区別する必要がない場合は、スレーブ端末30と称することもある。また、図には、2つのスレーブ端末30しか示していないが、3つ以上のスレーブ端末30を設けてもよい。
【0011】
マスタ端末10は、マスタが使用する端末装置である。ここで、マスタとは、会議における発表者のことである。マスタ端末10は、マスタが発表で参照する資料のデータ(以下、単に「資料」という)を表示する。そして、マスタが資料に対し、図形やテキストの編集、ページめくり等の操作を行うと、スレーブ端末30で資料が同期して表示されるように、操作の内容を示す操作情報をサーバ50に送信する。
【0012】
スレーブ端末30は、スレーブが使用する端末装置である。ここで、スレーブとは、会議における参加者のことである。スレーブは、マスタに交代を依頼してマスタに承認されると、マスタになることもできる。スレーブ端末30は、マスタが発表で参照する資料を表示する。その際、表示する資料がマスタ端末10に表示される資料に同期するように、サーバ50から操作情報を受信する。
【0013】
サーバ50は、マスタが発表で参照する資料を格納しており、この資料をマスタ端末10及びスレーブ端末30に送信する。また、マスタ端末10から操作情報を受信し、この操作情報をスレーブ端末30に送信することにより、スレーブ端末30に表示された資料がマスタ端末10に表示された資料に同期するように制御する。本実施の形態では、文書表示制御装置の一例として、サーバ50を設けている。
【0014】
通信回線80は、マスタ端末10とサーバ50との間、及び、スレーブ端末30とサーバ50との間の情報通信に用いられる通信手段である。通信回線80としては、例えばLAN(Local Area Network)やインターネットを用いるとよい。
【0015】
[サーバ、マスタ端末、スレーブ端末のハードウェア構成]
図2は、本実施の形態におけるサーバ50のハードウェア構成例を示した図である。図示するように、サーバ50は、演算手段であるCPU51と、記憶手段であるメインメモリ52及びHDD(Hard Disk Drive)53とを備える。ここで、CPU51は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、後述する各機能を実現する。また、メインメモリ52は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD53は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。更に、サーバ50は、外部との通信を行うための通信I/F54と、ディスプレイ等の表示デバイス55と、キーボードやマウス等の入力デバイス56とを備える。
【0016】
また、図2に示したハードウェア構成は、マスタ端末10及びスレーブ端末30のハードウェア構成としても捉えられる。但し、マスタ端末10について述べるときは、図2のCPU51、メインメモリ52、HDD53、通信I/F54、表示デバイス55、入力デバイス56をそれぞれ、CPU11、メインメモリ12、HDD13、通信I/F14、表示デバイス15、入力デバイス16と表記するものとし、スレーブ端末30について述べるときは、図2のCPU51、メインメモリ52、HDD53、通信I/F54、表示デバイス55、入力デバイス56をそれぞれ、CPU31、メインメモリ32、HDD33、通信I/F34、表示デバイス35、入力デバイス36と表記するものとする。
【0017】
尚、本実施の形態では、表示装置又は表示手段の一例として、表示デバイス15及び表示デバイス35を設けている。
【0018】
[本実施の形態の概要]
本実施の形態では、このような電子会議システムにおいて、会議開始後に会議室へ入室した者や電子会議システムへログインした者を検知し、これらの者を資料の閲覧を許可されていない者(以下、「閲覧不許可者」という)として、マスタ端末10又はスレーブ端末30で表示中の資料を非表示にして閲覧できない状態とする。また、資料を閲覧できないようにした後、閲覧不許可者が検知されなくなれば、再び資料を表示して閲覧できる状態へと変更する。尚、閲覧不許可者は、文書を閲覧する権限を有しない者の一例である。
【0019】
[電子会議システムの機能構成]
図3は、本実施の形態における電子会議システムを構成する各装置の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、本実施の形態における電子会議システムは、マスタ端末10と、スレーブ端末30と、サーバ50とを含む。上述したように、スレーブ端末30は2つ以上あってもよいが、ここでは1つのみを示している。
【0020】
まず、マスタ端末10の機能構成例について説明する。図示するように、マスタ端末10は、送信部21と、受信部22と、操作受付部23と、表示制御部24と、常駐プログラム部25とを備える。
【0021】
送信部21は、会議を開始する際には、会議を開始することを示す会議開始情報をサーバ50に送信する。また、マスタ端末10に資料を表示する際には、資料IDをサーバ50に送信する。
【0022】
受信部22は、マスタ端末10に資料を表示する際には、資料をサーバ50から受信する。また、閲覧不許可者の接近が検知された際には、表示中の資料を非表示状態にすることを指示する非表示指示情報をサーバ50から受信する。更に、閲覧不許可者の離遠(遠ざかること)が検知された際には、資料の非表示状態を解除することを指示する非表示解除指示情報をサーバ50から受信する。
【0023】
操作受付部23は、会議を開始する際には、会議を開始する操作を受け付ける。また、マスタ端末10に資料を表示する際には、資料IDを入力する操作を受け付ける。
【0024】
表示制御部24は、マスタ端末10に資料を表示する際には、資料を表示するように表示デバイス15を制御する。また、閲覧不許可者の接近が検知された際には、表示中の資料を非表示状態にするように表示デバイス15を制御する。例えば、資料をウェブブラウザによりJPEG形式等の画像で表示する場合には、白紙の画像を表示することにより非表示状態とすればよい。また、表示中の全資料や全アプリケーションを強制的に一時的に閉じることにより非表示状態としたり、特定のブラウザ等の特定のアプリケーションを強制的に全画面表示するように起動させて表示中の資料を隠した状態にすることで非表示状態としたりしてもよい。更に、閲覧不許可者の離遠が検知された際には、資料の非表示状態を解除するように表示デバイス15を制御する。
【0025】
常駐プログラム部25は、会議開始後に会議室へ入室した者や電子会議システムへログインした者がいる等の予め定められた事象が発生したかどうか監視する。例えば、後述するサーバ50の接近検知部68から事象が発生した旨の情報を受信した場合に、表示中の資料を非表示状態にするように表示デバイス15を制御する。
【0026】
次に、スレーブ端末30の機能構成例について説明する。図示するように、スレーブ端末30は、送信部41と、受信部42と、操作受付部43と、表示制御部44と、常駐プログラム部45とを備える。
【0027】
送信部41は、閲覧不許可者の接近又は離遠により資料の表示状態を変更する際には特に機能しないが、その他の場面で各種操作を示す操作情報をサーバ50に送信する。
【0028】
受信部42は、スレーブ端末30に資料を表示する際には、資料をサーバ50から受信する。また、閲覧不許可者の接近が検知された際には、表示中の資料を非表示状態にすることを指示する非表示指示情報をサーバ50から受信する。更に、閲覧不許可者の離遠(遠ざかること)が検知された際には、資料の非表示状態を解除することを指示する非表示解除指示情報をサーバ50から受信する。
【0029】
操作受付部43は、閲覧不許可者の接近又は離遠により資料の表示状態を変更する際には特に機能しないが、その他の場面で各種操作を受け付ける。
【0030】
表示制御部44は、スレーブ端末30に資料を表示する際には、資料を表示するように表示デバイス35を制御する。また、閲覧不許可者の接近が検知された際には、表示中の資料を非表示状態にするように表示デバイス35を制御する。例えば、資料をウェブブラウザによりJPEG形式等の画像で表示する場合には、白紙の画像を表示することにより非表示状態とすればよい。また、表示中の全資料や全アプリケーションを強制的に一時的に閉じることにより非表示状態としたり、特定のブラウザ等の特定のアプリケーションを強制的に全画面表示するように起動させて表示中の資料を隠した状態にすることで非表示状態としたりしてもよい。更に、閲覧不許可者の離遠が検知された際には、資料の非表示状態を解除するように表示デバイス35を制御する。
【0031】
常駐プログラム部45は、会議開始後に会議室へ入室した者や電子会議システムへログインした者がいる等の予め定められた事象が発生したかどうか監視する。例えば、後述するサーバ50の接近検知部68から事象が発生した旨の情報を受信した場合に、表示中の資料を非表示状態にするように表示デバイス35を制御する。また、上述のマスタ端末10の常駐プログラム部25から事象が発生した旨の情報を受信した場合に、表示中の資料を非表示状態にするように表示デバイス35を制御してもよい。
【0032】
次に、サーバ50の機能構成例について説明する。図示するように、サーバ50は、送信部61と、受信部62と、資料記憶部65と、資料管理部66と、会議管理部67と、接近検知部68と、離遠検知部69とを備える。
【0033】
送信部61は、マスタ端末10に資料を表示する際には、資料をマスタ端末10に送信し、スレーブ端末30に資料を表示する際には、資料をスレーブ端末30にも送信する。また、閲覧不許可者の接近が検知された際には、表示中の資料を非表示状態にすることを指示する非表示指示情報をマスタ端末10及びスレーブ端末30に送信する。更に、閲覧不許可者の離遠が検知された際には、資料の非表示状態を解除することを指示する非表示解除指示情報をマスタ端末10及びスレーブ端末30に送信する。本実施の形態では、文書を表示するように表示装置又は表示手段を制御する表示制御手段の一例として、また、文書を非表示とするように表示装置又は表示手段を制御する非表示制御手段の一例として、送信部61を設けている。
【0034】
受信部62は、会議を開始する際には、会議を開始することを示す会議開始情報をマスタ端末10から受信する。また、マスタ端末10に資料を表示する際には、資料IDをマスタ端末10から受信する。
【0035】
資料記憶部65は、サーバ50に登録された資料を記憶する。
【0036】
資料管理部66は、マスタ端末10に資料を表示する際には、受信部62から受け取った資料IDで識別される資料を資料記憶部65から取得する。
【0037】
会議管理部67は、会議が開始された際には、会議中である状態(以下、「会議中状態」という)を記憶する。また、接近検知部68からの問い合わせに対して、会議中状態が記憶されているかどうか、つまり、会議開始後であるかどうかを返す。
【0038】
接近検知部68は、会議管理部67に問い合わせて会議開始後である旨の応答が返された場合に、マスタ端末10又はスレーブ端末30に接近している者を閲覧不許可者として検知する。例えば、会議室に物理センサを設置してこれを通信回線でサーバ50に接続し、会議開始後に会議室に入室した者を検知した旨が物理センサから通知された場合に、その者を閲覧不許可者としてその接近を検知すればよい。また、会議室近くのアクセスポイントを通信回線でサーバ50に接続し、会議開始後にノートPC等から閾値以上の強度の電波を受信した旨がアクセスポイントから通知された場合に、そのノートPC等を所有する者を閲覧不許可者としてその接近を検知してもよい。或いは、会議開始後に電子会議システムにログインした者がいた場合に、その者を閲覧不許可者としてその接近を検知してもよい。これは、会議開始後に会議室に入室しようとする者は、例えば、会議室に向かう途中でノートPC等から電子会議システムにログインする場合があることを想定したものである。更に、接近検知部68は、接近していることを検知した閲覧不許可者の情報を離遠検知部69に渡しておくものとする。
【0039】
離遠検知部69は、閲覧不許可者がマスタ端末10又はスレーブ端末30から離遠した(遠ざかった)ことを検知する。例えば、接近検知部68で検知された閲覧不許可者が会議室から退室したことを検知した旨が物理センサから通知された場合に、閲覧不許可者の離遠を検知すればよい。また、接近検知部68で検知された閲覧不許可者が所有するノートPC等から閾値以下の強度の電波を受信した旨がアクセスポイントから通知された場合に、閲覧不許可者の離遠を検知してもよい。或いは、接近検知部68で検知された閲覧不許可者が電子会議システムからログアウトした場合に、閲覧不許可者の離遠を検知してもよい。
【0040】
[電子会議システムの動作]
図4は、本実施の形態における電子会議システムの会議を開始して資料を表示する際の動作例を示したシーケンス図である。
【0041】
図示するように、マスタ端末10では、マスタが会議を開始する操作を行うと、操作受付部23がこの操作を受け付ける(ステップ101)。そして、送信部21が、会議を開始することを示す会議開始情報をサーバ50に送信する(ステップ102)。
【0042】
すると、サーバ50では、受信部62が、会議開始情報をマスタ端末10から受信する(ステップ501)。そして、会議管理部67が、会議中状態を記憶する(ステップ502)。
【0043】
その後、マスタ端末10では、マスタが資料IDを選択する操作を行うと、操作受付部23が、この操作を受け付ける(ステップ103)。このとき、資料IDを選択する操作は、例えば、マスタ端末10に表示された資料IDを含む一覧上で資料IDを指定することにより行えばよい。そして、送信部21が、選択された資料IDをサーバ50に送信する(ステップ104)。
【0044】
すると、サーバ50では、受信部62が、資料IDをマスタ端末10から受信する(ステップ503)。そして、資料管理部66が、その資料IDに対応する資料を資料記憶部65から取得する(ステップ504)。その後、送信部61が、その資料をマスタ端末10及びスレーブ端末30に送信する(ステップ505)。
【0045】
これにより、マスタ端末10では、受信部22が、その資料を受信する(ステップ105)。そして、表示制御部24が、資料を表示するように表示デバイス15を制御する(ステップ106)。
【0046】
また、スレーブ端末30では、受信部42が、その資料を受信する(ステップ301)。そして、表示制御部44が、資料を表示するように表示デバイス35を制御する(ステップ302)。
【0047】
図5は、本実施の形態における電子会議システムの閲覧不許可者の接近又は離遠を検知して資料を非表示状態又は表示状態にする際の動作例を示したシーケンス図である。
【0048】
図示するように、サーバ50では、接近検知部68が、閲覧不許可者のマスタ端末10又はスレーブ端末30への接近を検知する(ステップ521)。例えば、サーバ50に新たな端末が接続した場合に、会議管理部67に問い合わせて会議開始後である旨の応答が返されれば、その端末の所有者を閲覧不許可者として検知する。すると、送信部61が、表示中の資料を非表示状態にすることを指示する非表示指示情報をマスタ端末10及びスレーブ端末30に送信する(ステップ522)。
【0049】
これにより、マスタ端末10では、受信部22が、非表示指示情報をサーバ50から受信する(ステップ121)。そして、表示制御部24が、表示中の資料を非表示状態にするように表示デバイス15を制御する(ステップ122)。
【0050】
また、スレーブ端末30では、受信部42が、非表示指示情報をサーバ50から受信する(ステップ321)。そして、表示制御部44が、表示中の資料を非表示状態にするように表示デバイス35を制御する(ステップ322)。
【0051】
一方で、サーバ50では、離遠検知部69が、閲覧不許可者のマスタ端末10又はスレーブ端末30からの離遠を検知する(ステップ523)。すると、送信部61が、資料の非表示状態を解除することを指示する非表示解除指示情報をマスタ端末10及びスレーブ端末30に送信する(ステップ524)。
【0052】
これにより、マスタ端末10では、受信部22が、非表示解除指示情報をサーバ50から受信する(ステップ123)。そして、表示制御部24が、資料の非表示状態を解除するように表示デバイス15を制御する(ステップ124)。
【0053】
また、スレーブ端末30では、受信部42が、非表示解除指示情報をサーバ50から受信する(ステップ323)。そして、表示制御部44が、資料の非表示状態を解除するように表示デバイス35を制御する(ステップ324)。
【0054】
尚、この動作例では、会議開始後に会議室へ入室した者やシステムへログインした者を例外なく閲覧不許可者として検知するようにしたが、この限りではない。閲覧不許可者として検知する対象から除外する人を事前に登録させ、その人を検知した際には資料を非表示状態としないように制御してもよい。これは、会議中の参加者の入退室時に資料が必要以上に非表示状態となるのを防ぐためである。
【0055】
ところで、本実施の形態では、会議開始後に会議室へ入室した者がいること又は会議開始後にシステムへログインした者がいることを検知した場合に、表示中の資料を非表示状態とするようにしたが、この限りではない。マスタ端末10又はスレーブ端末30に近付いていることを示す他の事象が発生したことを検知した場合に、表示中の資料を非表示状態とするようにしてもよい。このような意味で、会議開始後に会議室へ入室した者がいること又は会議開始後にシステムへログインした者がいることは、文書を閲覧する権限を有しない者が表示装置に近付いていることを示す予め定められた事象の一例である。そして、会議室は、表示装置が存在する空間の一例である。
【0056】
或いは、文書を閲覧する権限を有しない者が表示装置に近付いていることに代えて、文書を閲覧する権限を有しない者が文書を表示しようとすることを、予め定められた事象として用いてもよい。この場合、文書を閲覧する権限を有しない者が文書を表示しようとすることを検知した場合に、表示中の文書を非表示状態とすることになる。例えば、ユーザA,B,Cの3人でチャットしていた際にユーザDが同じチャットに入ってきたときに、一旦これまでのチャット履歴を非表示にする、ということが考えられる。更には、文書を閲覧する権限を有しない者における他の事象が発生したことを検知した場合に、表示中の資料を非表示状態とするようにしてもよい。このような意味で、文書を閲覧する権限を有しない者が表示装置に近付いていること又は文書を閲覧する権限を有しない者が文書を表示しようとすることは、文書を閲覧する権限を有しない者における予め定められた事象の一例である。
【0057】
また、本実施の形態では、閲覧不許可者が会議室から退室したこと又はシステムからログアウトしたことを検知した場合に、非表示状態となっている資料を再び表示するようにしたが、この限りではない。マスタ端末10又はスレーブ端末30から遠退いていることを示す他の事象が発生したことを検知した場合に、非表示状態となっている資料を再び表示するようにしてもよい。このような意味で、閲覧不許可者が会議室から退室したこと又はシステムからログアウトしたことは、文書を閲覧する権限を有しない者が表示装置から遠退いていることを示す予め定められた事象の一例である。
【0058】
また、本実施の形態では、主にスレーブ端末30を1つとして説明したが、複数のスレーブ端末30で資料を共有表示する構成も考えられる。このような構成においては、事象の発生を検知すると全てのスレーブ端末30で資料を非表示状態にしてもよい。或いは、マスタ端末10及び全てのスレーブ端末30で資料を非表示状態にしてもよい。そして、資料が非表示状態とされた後、マスタ端末10及び複数のスレーブ端末30の何れかで文書の表示を許可する旨の指示が入力された場合には、非表示状態を解除して資料を再び表示させるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、会議開始後も会議室へ入室できるようにした上で、会議室へ入室した者を検知した場合に、マスタ端末10又はスレーブ端末30で表示中の資料を非表示状態にしたが、この限りではない。会議開始後は、会議室へ入室できないようにしてもよい。例えば、IDカードでの入退室管理システムを設け、電子会議システムと連携し、会議開始後は入退室管理システムで入室を禁止する等の制御を行うことが考えられる。
【0060】
また、本実施の形態では、会議開始後もシステムへログインできるようにした上で、システムへログインした者を検知した場合に、マスタ端末10又はスレーブ端末30で表示中の資料を非表示状態にしたが、この限りではない。会議開始後は、システムへログインできないようにしてもよい。
【0061】
更に、本実施の形態では、本発明を電子会議システムに適用した場合について述べたが、電子会議システム以外のシステムに適用してもよい。電子会議システム以外のシステムとしては、例えば、学校等における講義システムが考えられる。このようなシステムにおいて、マスタは教師であり、スレーブは生徒である。また、このようなシステムにおいて、表示及び非表示を制御する対象は、資料でなく、教材としてもよい。或いは、電子会議システム以外のシステム一般を想定すると、表示及び非表示を制御する対象は文書としてもよい。ここで、文書には、上記で例として挙げたように、複数の表示装置間で文字等の入力を介して行われたチャット等のコミュニケーションの結果を示す文字等の履歴情報も含まれるものとする。
【0062】
更にまた、本実施の形態では、サーバ50が、閲覧不許可者の接近又は離遠を検知して文書の表示及び非表示を制御する機能を備えるものとしたが、この限りではない。例えば、マスタ端末10がこのような機能を備えていてもよい。その場合は、マスタ端末10が文書表示制御装置の一例となり、常駐プログラム部25が監視手段の一例となる。そして、表示デバイス15が表示装置又は表示手段の一例であるときの表示制御手段及び非表示制御手段の一例として、表示制御部24を設けており、表示デバイス35が表示装置又は表示手段の一例であるときの表示制御手段及び非表示制御手段の一例として、送信部21を設けていることになる。或いは、スレーブ端末30がこのような機能を備えていてもよい。その場合は、スレーブ端末30が文書表示制御装置の一例となり、常駐プログラム部45が監視手段の一例となる。そして、表示デバイス35が表示装置又は表示手段の一例であるときの表示制御手段及び非表示制御手段の一例として、表示制御部44を設けており、表示デバイス15が表示装置又は表示手段の一例であるときの表示制御手段及び非表示制御手段の一例として、送信部41を設けていることになる。
【0063】
[プログラム]
本実施の形態におけるサーバ50が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
【0064】
即ち、本実施の形態を実現するプログラムは、コンピュータに、文書を表示するように表示装置を制御する機能と、表示装置に文書が表示された状態で、文書を閲覧する権限を有しない者における予め定められた事象が発生したかどうかを監視する機能と、予め定められた事象が発生したことが監視する機能により把握された場合に、文書を非表示とするように表示装置を制御する機能とを実現させるためのプログラムとして捉えられる。
【0065】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
10…マスタ端末、21,41,61…送信部、22,42,62…受信部、23,43…操作受付部、24,44…表示制御部、25,45…常駐プログラム部、30…スレーブ端末、50…サーバ、65…資料記憶部、66…資料管理部、67…会議管理部、68…接近検知部、69…離遠検知部、80…通信回線
図1
図2
図3
図4
図5