(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】画像表示装置、画像表示システム及び画像表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20221115BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20221115BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20221115BHJP
G03B 21/12 20060101ALI20221115BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221115BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20221115BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20221115BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20221115BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20221115BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20221115BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20221115BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20221115BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
H04N9/31 470
H04N9/31 850
G03B21/00 D
G03B21/12
G09G5/00 555D
G09G5/00 510H
G09G5/00 550B
G09G5/10 Z
G09G5/02 Z
G09G5/00 X
G09G5/00 510V
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 641T
G09G3/20 642B
G09G3/20 670H
G09G3/20 680C
G09G3/20 680E
G09G3/20 633Q
G02F1/13 505
G02F1/133 535
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2018010297
(22)【出願日】2018-01-25
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小澤 孝明
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-274816(JP,A)
【文献】特開2006-165949(JP,A)
【文献】特開2018-010109(JP,A)
【文献】特開2009-216857(JP,A)
【文献】特開2017-129731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 9/31
G03B 21/00
G09G 5/00
G09G 3/36
G09G 3/34
G09G 3/20
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に基づく画像を表示する表示部と、
他の画像表示装置と通信を行う通信部と、
前記画像の表示に関わる第1の調整を行うための操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記第1の調整を行う調整部と、
前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記他の画像表示装置に前記第1の調整
を行わせる制御情報を、前記通信部から前記他の画像表示装置に送信させる制御部と、
時刻情報を生成する計時部と、
前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記調整部に前記第1の調整を行わせる
スケジュールが規定された第1のスケジュール情報を生成するスケジュール生成部と、
前記時刻情報及び前記第1のスケジュール情報に基づいて、前記調整部に前記第1の調
整を行わせるスケジュール制御部と、を備え、
前記制御部は、前記制御情報として前記第1のスケジュール情報を前記通信部から前記
他の画像表示装置に送信させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記制御情報には、前記他の画像表示装置に設定されている第2のスケジュール情報を
初期化して、前記第1のスケジュール情報に置き換えさせる指示が含まれていることを特
徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像表示装置であって、
前記操作部は、前記制御情報を前記他の画像表示装置に送信させるか否かを設定する設
定操作を受け付け、
前記制御部は、前記制御情報を送信させる設定操作を前記操作部が受け付けた場合に、
前記他の画像表示装置に前記制御情報を送信させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記表示部は、光源と、前記光源から射出された光を変調して前記画像を形成する光変
調装置と、を含み、
前記第1の調整は、前記光源から射出される光の明るさ及び色の少なくとも一方の調整
を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像表示装置であって、
前記調整部は、前記第1の調整の後で、前記画像表示装置が表示する画像と前記他の画
像表示装置が表示する画像との間における明るさ及び色の少なくとも一方の差異を補正す
るための調整を行うことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
第1の画像表示装置及び第2の画像表示装置を備えた画像表示システムであって、
前記第1の画像表示装置は、
画像情報に基づく画像を表示する表示部と、
前記第2の画像表示装置と通信を行う通信部と、
前記画像の表示に関わる第1の調整を行うための操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記第1の調整を行う調整部と、
前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記第2の画像表示装置に前記第1の調
整を行わせる制御情報を、前記通信部から前記第2の画像表示装置に送信させる制御部と
、
時刻情報を生成する計時部と、
前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記調整部に前記第1の調整を行わせる
スケジュールが規定された第1のスケジュール情報を生成するスケジュール生成部と、
前記時刻情報及び前記第1のスケジュール情報に基づいて、前記調整部に前記第1の調
整を行わせるスケジュール制御部と、を備え、
前記制御部は、前記制御情報として前記第1のスケジュール情報を前記通信部から前記
第2の画像表示装置に送信させることを特徴とする画像表示システム。
【請求項7】
画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記画像の表示に関わる第1の調整を行うための操作を受け付け、
受け付けた前記操作に基づいて、前記第1の調整を行い、
受け付けた前記操作に基づいて、他の画像表示装置に前記第1の調整を行わせる制御情
報を、前記他の画像表示装置に送信し、
時刻情報を生成し、
前記操作に基づいて、前記第1の調整を行うスケジュールが規定された第1のスケジュ
ール情報を生成し、
前記時刻情報及び前記第1のスケジュール情報に基づいて、前記第1の調整を行い、
前記制御情報として前記第1のスケジュール情報を前記他の画像表示装置に送信するこ
とを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示システム及び画像表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
予め設定されたスケジュール情報に従って自動的に動作を行う画像表示装置(例えば、プロジェクター)が知られている。特許文献1に記載のプロジェクターは、格納されているスケジュール情報に従って各種動作要求を生成するスケジュール制御回路を備えている。スケジュール制御回路は、クロックから入力される時刻情報に対してスケジュール情報が設定されている場合に、設定されているスケジュール情報に従って動作要求を生成し、プロジェクターに様々な動作を行わせる。特許文献1には、スケジュール情報に従ってプロジェクターに行わせる動作の例として、電源のオン・オフやコンテンツ取得先の切り換え等に加えて、画像の表示に関する調整動作(コンテンツの投写明度の変更)が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の画像表示装置が協働して1つの画像を表示する態様を想定すると、画像の表示に関する調整が、一部の画像表示装置にのみ施された状態では、他の画像表示装置との間で表示状態に差異が生じ、画像全体の表示品位が損なわれてしまうことが起こり得る。このため、表示の調整に関してスケジュールを設定する場合には、すべての画像表示装置に対して、ほぼ同じタイミングで調整が行われるようにスケジュールの設定を行う必要があり、設定作業が煩雑になってしまうという問題を有している。また、スケジュールの設定を行わずに、表示の調整を手動で行う場合であっても、すべての画像表示装置に対して、調整を行わせるための操作が必要となるため、作業が煩雑になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る画像表示装置は、画像情報に基づく画像を表示する表示部と、他の画像表示装置と通信を行う通信部と、前記画像の表示に関わる第1の調整を行うための操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記第1の調整を行う調整部と、前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記他の画像表示装置に前記第1の調整を行わせる制御情報を、前記通信部から前記他の画像表示装置に送信させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この画像表示装置によれば、操作部に対して第1の調整を行うための操作がなされると、調整部が第1の調整を行うとともに、制御部が第1の調整を行わせるための制御情報を他の画像表示装置に送信させる。このため、1つの画像表示装置に対する操作で、複数の画像表示装置に第1の調整を行わせることが可能となり、調整のための操作を簡略化することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る画像表示装置において、時刻情報を生成する計時部と、前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記調整部に前記第1の調整を行わせるスケジュールが規定された第1のスケジュール情報を生成するスケジュール生成部と、前記時刻情報及び前記第1のスケジュール情報に基づいて、前記調整部に前記第1の調整を行わせるスケジュール制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記制御情報として前記第1のスケジュール情報を前記通信部から前記他の画像表示装置に送信させることが望ましい。
【0009】
この画像表示装置によれば、操作部になされた操作に基づいて、第1の調整を行うための第1のスケジュール情報が生成されると、制御部は、この第1のスケジュール情報を他の画像表示装置に送信させる。つまり、1つの画像表示装置に対して第1の調整のスケジュールを設定することにより、複数の画像表示装置が共通のスケジュールで第1の調整を行うことが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係る画像表示装置において、前記制御情報には、前記他の画像表示装置に設定されている第2のスケジュール情報を初期化して、前記第1のスケジュール情報に置き換えさせる指示が含まれていることが望ましい。
【0011】
この画像表示装置によれば、他の画像表示装置に設定されている第2のスケジュール情報を初期化するため、別々に設定された第1のスケジュール情報及び第2のスケジュール情報が併存することによって生じ得る不整合を回避することが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係る画像表示装置において、前記操作部は、前記制御情報を前記他の画像表示装置に送信させるか否かを設定する設定操作を受け付け、前記制御部は、前記制御情報を送信させる設定操作を前記操作部が受け付けた場合に、前記他の画像表示装置に前記制御情報を送信させることが望ましい。
【0013】
この画像表示装置によれば、操作部が受け付けた設定操作に応じて制御情報を送信するのか否かを選択できるため、複数の画像表示装置を協働させて使用する場合には、制御情報を送信させ、画像表示装置を単独で使用する場合には、制御情報を送信しないようにする等、使用状況に応じて適切な設定を行うことが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係る画像表示装置において、前記表示部は、光源と、前記光源から射出された光を変調して前記画像を形成する光変調装置と、を含み、前記第1の調整は、前記光源から射出される光の明るさ及び色の少なくとも一方の調整を含むことが望ましい。
【0015】
この画像表示装置によれば、1つの画像表示装置に対する操作で、複数の画像表示装置に光源の調整を行わせることが可能となるため、光源の調整を行うための操作を簡略化することができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例に係る画像表示装置において、前記調整部は、前記第1の調整の後で、前記画像表示装置が表示する画像と前記他の画像表示装置が表示する画像との間における明るさ及び色の少なくとも一方の差異を補正するための調整を行うことが望ましい。
【0017】
この画像表示装置によれば、光源の調整の後で、複数の画像表示装置の表示状態(明るさ及び色の少なくとも一方)の差異を補正する調整が行われるため、複数の画像表示装置で1つの画像を表示する際の画像の均一性を維持することが可能となる。
【0018】
[適用例7]本適用例に係る画像表示システムは、第1の画像表示装置及び第2の画像表示装置を備えた画像表示システムであって、前記第1の画像表示装置は、画像情報に基づく画像を表示する表示部と、前記第2の画像表示装置と通信を行う通信部と、前記画像の表示に関わる第1の調整を行うための操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記第1の調整を行う調整部と、前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて、前記第2の画像表示装置に前記第1の調整を行わせる制御情報を、前記通信部から前記第2の画像表示装置に送信させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
この画像表示システムによれば、第1の画像表示装置の操作部に対して第1の調整を行うための操作がなされると、調整部が第1の調整を行うとともに、制御部が第1の調整を行わせるための制御情報を第2の画像表示装置に送信させる。このため、1つの画像表示装置に対する操作で、複数の画像表示装置に第1の調整を行わせることが可能となり、調整のための操作を簡略化することが可能となる。
【0020】
[適用例8]本適用例に係る画像表示装置の制御方法は、画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、前記画像の表示に関わる第1の調整を行うための操作を受け付け、受け付けた前記操作に基づいて、前記第1の調整を行い、受け付けた前記操作に基づいて、他の画像表示装置に前記第1の調整を行わせる制御情報を、前記他の画像表示装置に送信することを特徴とする。
【0021】
この画像表示装置の制御方法によれば、第1の調整を行うための操作がなされると、第1の調整がなされるとともに、第1の調整を行わせるための制御情報が他の画像表示装置に送信される。このため、1つの画像表示装置に対する操作で、複数の画像表示装置に第1の調整を行わせることが可能となり、調整のための操作を簡略化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】プロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【
図3】スケジュールの設定を行う際のプロジェクターの動作を示すフローチャート。
【
図6】スケジュール情報が送信された際の他のプロジェクターの動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態の画像投写システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の画像投写システム100を示す説明図である。
図1に示すように、画像表示システムとしての画像投写システム100は、画像表示装置としての4つのプロジェクター1(プロジェクター1a,1b,1c,1d)を備えている。各プロジェクター1は、HUB(ハブ)2を介して互いに接続されており、スクリーンや壁面等の投写面Spに画像を投写(表示)する。4つのプロジェクター1は、それぞれが協働して1つの大きな画像(以降、「投写画像Ia」とも呼ぶ)を表示できるように、各プロジェクター1から投写される画像(以降、「部分画像Id」とも呼ぶ。)が隣り合って並ぶように設置されている。また、各プロジェクター1は、それぞれの部分画像Idの一部が他のプロジェクター1の部分画像Idの一部と重なり合うように設置されている。このため、部分画像Id間に隙間がなく、各部分画像Idをスムーズに連結することが可能になっている。なお、これ以降、複数のプロジェクター1が協働して1つの投写画像Iaを表示することを「マルチプロジェクション」とも呼び、部分画像Id同士が重なり合っている領域Aoのことを「重畳領域Ao」とも呼ぶ。
【0024】
また、
図1では省略しているが、各プロジェクター1により投写画像Iaとして所望のコンテンツ画像を表示させる際には、各プロジェクター1は、外部の画像供給装置3(
図2参照)に接続され、画像供給装置3からコンテンツ画像に対応する画像情報の供給を受ける。
【0025】
図2は、プロジェクター1の概略構成を示すブロック図である。なお、
図2では、4つのうちの1つのプロジェクター1aを例にして説明するが、他のプロジェクター1b,1c,1dについても同一の構成である。
【0026】
図2に示すように、プロジェクター1は、制御部10と、記憶部11と、操作部としての入力操作部12と、通信部13と、撮像部14と、スケジュール制御部15と、画像情報入力部16と、画像情報処理部17と、表示部としての画像投写部18と、光センサー19と、光源色調整部20とを一体的に備えて構成されている。プロジェクター1は、画像情報入力部16に入力される画像情報に基づいて、画像投写部18から投写面Spに画像を投写する。
【0027】
制御部10は、1つ又は複数のプロセッサーを備えて構成され、記憶部11に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。
【0028】
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリーを備えて構成される。RAMは、各種データ等の一時記憶に用いられ、ROMは、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや制御データ等を記憶する。また、図示は省略しているが、本実施形態の記憶部11には、協働してマルチプロジェクションを実現する複数のプロジェクター1に関する情報が記憶されている。具体的には、記憶部11には、各プロジェクター1に接続するための接続情報(例えば、IPアドレス等)や、各プロジェクター1が部分画像Idを投写する投写画像Ia上の位置を表すレイアウト情報等が記憶されている。これらの情報は、ユーザーによって設定された情報、又は自動で検出された情報である。
【0029】
入力操作部12は、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作部12が備える操作キーとしては、電源のオンとオフ(スタンバイ)とを切り替えるための「電源キー」、各種設定を行うための設定メニューを表示させる「メニューキー」、設定メニューの項目を選択するための「方向キー」、選択された項目を確定させる「決定キー」等がある。ユーザーが入力操作部12の各種操作キーを操作すると、入力操作部12は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部10に出力する。なお、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を、入力操作部12として用いる構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発信し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部10に伝達する。
【0030】
通信部13は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して外部の装置と通信を行う通信デバイスを備えて構成される。本実施形態の通信部13は、外部の装置である他のプロジェクター1とHUB2を介して接続され、制御部10の制御に基づいて、他のプロジェクター1との間で情報の送受信を行う。なお、通信部13と外部の装置との接続は、有線接続に限られず、無線による接続であってもよい。
【0031】
撮像部14は、CCD(Charge Coupled Device)センサー、或いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等の撮像素子(図示せず)を備えたカメラである。撮像部14は、制御部10の制御に基づいて投写面Spを撮像し、その撮像結果である画像情報(撮像画像情報)を制御部10に出力する。撮像部14は、少なくとも画像投写部18から画像(部分画像Id)が投写される範囲を撮像する。このため、
図1に示したように、複数の部分画像Idの一部が重畳するようにプロジェクター1が設置されている場合には、撮像部14は、隣り合う部分画像Idのうち、少なくとも重畳領域Aoに含まれる領域についても撮像することができる。
【0032】
スケジュール制御部15は、プロセッサー及びメモリー等を備えて構成され、メモリー等に予め格納されているスケジュール情報に従って制御部10に対する各種動作要求を生成する。スケジュール制御部15には、時刻情報を生成する計時部としてのクロック15aが接続されており、スケジュール制御部15は、クロック15aから入力される時刻情報を常に監視している。そして、入力された時刻情報に対してスケジュールが設定されている場合には、スケジュール制御部15は、設定されているスケジュールに従って動作要求を生成し、制御部10に送出する。制御部10は、受け取った動作要求に基づいて、プロジェクター1の動作を制御する。
【0033】
画像情報入力部16は、画像再生装置等の外部の画像供給装置3に接続され、画像供給装置3からコンテンツ画像に対応する画像情報の供給を受ける。また、画像情報入力部16は、制御部10から、記憶部11に記憶されている画像情報や、制御部10が生成した画像情報の供給を受けることができる。画像情報入力部16は、入力された画像情報を画像情報処理部17に出力する。
【0034】
画像情報処理部17は、制御部10の制御に基づいて、画像情報入力部16から入力される画像情報に対して様々な処理を施し、処理後の画像情報を画像投写部18のライトバルブ駆動部24に出力する。例えば、画像情報処理部17は、画像の明るさや色合いを補正する処理や、画像の形状の歪みを補正する処理、コンテンツ画像上にメニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳する処理等を必要に応じて画像情報に施す。
【0035】
なお、画像情報入力部16及び画像情報処理部17は、1つ又は複数のプロセッサー等によって構成されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の専用の処理装置によって構成されてもよい。
【0036】
画像投写部18は、照明光学系21、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ22R,22G,22B、投写光学系23、ライトバルブ駆動部24等を備えて構成されている。画像投写部18は、照明光学系21から射出された光を、液晶ライトバルブ22R,22G,22Bで変調して画像光を形成し、レンズ及びミラーの少なくとも一方を含む投写光学系23からこの画像光を投写して投写面Spに画像を表示する。
【0037】
本実施形態の照明光学系21は、固体光源であるLD(レーザーダイオード)アレイを備えて構成される。詳細な説明及び図示は省略するが、例えば、照明光学系21に備わるLDアレイは、青色に相当する波長帯の光(これ以降「青色光」ともいう。)を出力する。LDアレイは、例えば、S偏光の青色光を出力するが、位相差板を透過することによって一部がP偏光に変換される。その後、青色光は、偏光分離素子によってS偏光とP偏光に分離され、このうちS偏光は、蛍光体に入射する。蛍光体は、青色光によって励起され、黄色に相当する波長帯の光(これ以降「黄色光」ともいう。)を出力する。偏光分離素子で分離された青色光は、蛍光体から出力された黄色光と最終的に合成され、複数波長帯の成分を含む白色光として照明光学系21の外部に出力される。なお、照明光学系21は、光源としてLDアレイを備えた構成に限定されず、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の放電型の光源ランプや、他の固体光源(発光ダイオード等)を含んで構成されてもよい。
【0038】
照明光学系21から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ22R,22G,22Bに入射する。
【0039】
液晶ライトバルブ22R,22G,22Bは、それぞれ一対の透明基板間に液晶が封入された透過型の液晶パネル等によって構成される。各液晶パネルには、マトリクス状に配列された複数の画素からなる矩形の画素領域22iが形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。
【0040】
ライトバルブ駆動部24は、液晶ライトバルブ22R,22G,22Bの画素領域22iに画像を形成する。具体的には、ライトバルブ駆動部24は、画像情報処理部17から入力される画像情報に応じた駆動電圧を、画素領域22iの各画素に印加し、各画素を画像情報に応じた光透過率に設定する。照明光学系21から射出された光は、液晶ライトバルブ22R,22G,22Bの画素領域22iを透過することによって画素毎に変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像を表す画像光となり、投写光学系23によって投写面Spに拡大投写される。この結果、投写面Sp上には、画像情報入力部16に入力された画像情報に基づく画像が表示される。
【0041】
光センサー19は、照明光学系21から射出された光のうち、色分離光学系で分離された赤色光の照度を検出する赤色光センサー19Rと、色分離光学系で分離された青色光の照度を検出する青色光センサー19Bとを含んで構成される。光センサー19は、検出した赤色光の照度及び青色光の照度を制御部10に出力する。
【0042】
光源色調整部20は、制御部10の制御に基づいて、照明光学系21から射出される白色光の色バランスを調整する。例えば、照明光学系21が、上述したようなLDアレイを備えた構成の場合には、光源色調整部20は、S偏光の一部をP偏光に変換する位相差板の回転角を調整することによって、青色光と黄色光の比率、即ち色バランスを調整する。LDアレイから出力された青色光のうちP偏光に変換される割合、即ちS偏光とP偏光との割合は、入射光に対する位相差板の角度に応じて変わる。このため、位相差板をモーター等で駆動して、入射光に対する位相差板の角度を調整することにより、色バランスが調整される。この例では、位相差板を回転駆動するモーターが光源色調整部20に相当する。
【0043】
制御部10は、制御プログラムによって実現される機能ブロックとして、光源色調整制御部31と、個体差補正制御部32とを有している。
【0044】
光源色調整制御部31は、光センサー19から、その検出結果、即ち赤色光センサー19Rで検出された赤色光の照度と、青色光センサー19Bで検出された青色光の照度とを取得し、それぞれの照度に基づいて、光源色調整部20に光源色の調整を行わせる。具体的には、ユーザーによる入力操作部12の操作、又はスケジュール制御部15の制御により、光源色調整処理の実行が指示されると、光源色調整制御部31は、照明光学系21から射出される光源光の色バランスを初期状態(例えば、工場出荷時の状態)に戻す処理を行う。光源光の色バランスは、時間の経過に伴って変化してしまうため、光源色調整処理を定期的又は不定期に実行することによって、色バランスの変化に伴う画質の低下を抑制することができる。
【0045】
上述した例では、照明光学系21から射出される光源光(白色光)の色バランスは、青色光と黄色光の比率によって定まり、このうち、青色光は、青色光センサー19Bによって検出される。また、黄色光から分離された赤色光が赤色光センサー19Rによって検出されるため、光源色調整制御部31は、赤色光センサー19Rの検出結果と、青色光センサー19Bの検出結果との比率に基づいて、光源光の色バランスの変化を検知することができる。初期状態における赤色光と青色光の照度の比率については、記憶部11に記憶されており、光源色調整制御部31は、光センサー19の検出結果に基づいて、光源光の色バランスが初期状態に戻るよう、光源色調整部20に光源色の調整を行わせる。
【0046】
個体差補正制御部32は、マルチプロジェクションを行う複数のプロジェクター1のそれぞれが投写する部分画像Idに関し、明るさや色合いの個体差を補正する処理を制御する。ユーザーによる入力操作部12の操作、又はスケジュール制御部15の制御により、個体差補正処理の実行が指示されると、個体差補正制御部32は、マルチプロジェクションを行う他のプロジェクター1と協働して個体差補正処理を実行する。
【0047】
例えば、プロジェクター1aに対して個体差補正処理の実行が指示された場合には、プロジェクター1aの個体差補正制御部32は、所定のテスト画像(例えば、全面が黒色の画像)に対応する画像情報を画像情報入力部16に出力し、画像投写部18からテスト画像を投写させるとともに、テスト画像の投写を指示する制御情報を、通信部13から他のプロジェクター1b,1c,1dに送信させる。そして、プロジェクター1b,1c,1dの個体差補正制御部32は、それぞれの通信部13がこの制御情報を受信すると、画像情報入力部16にテスト画像用の画像情報を出力し、画像投写部18からテスト画像を投写させる。
【0048】
すべてのプロジェクター1からテスト画像が投写されると、プロジェクター1aの個体差補正制御部32は、投写されたテスト画像を撮像部14に撮像させるとともに、テスト画像の撮像を指示する制御情報を、通信部13から他のプロジェクター1b,1c,1dに送信させる。そして、プロジェクター1b,1c,1dの個体差補正制御部32は、それぞれの通信部13がこの制御情報を受信すると、撮像部14にテスト画像の撮像を行わせ、撮像結果(撮像画像)を通信部13からプロジェクター1aに送信させる。
【0049】
その後、プロジェクター1aの個体差補正制御部32は、それぞれのプロジェクター1で撮像された撮像画像に基づいて、各プロジェクター1が投写したテスト画像の明るさや色合いが統一されるように、プロジェクター1毎の補正情報を生成し、対応するプロジェクター1に送信する。これ以降、各プロジェクター1の画像情報処理部17が、生成された補正情報に基づいて画像情報を補正することにより、プロジェクター1の個体差が抑制された状態で投写画像Iaが投写される。ここで、プロジェクター1の個体差を適切に補正するために、個体差補正処理は、すべてのプロジェクター1の光源光の色バランスが調整された状態、即ちすべてのプロジェクター1で光源色調整処理がなされた後で、実行されることが望ましい。
【0050】
なお、各プロジェクター1の撮像部14にも個体差が存在し得る。このため、各プロジェクター1から投写されたテスト画像をそれぞれの撮像部14で撮像した撮像画像を用いても、明るさや色合いを正確に統一することは困難である。しかしながら、上述したように、各プロジェクター1の撮像部14で撮像された撮像画像には、それぞれの画像投写部18から投写された部分画像Idが含まれ、さらにその中には、隣接する部分画像Idと重畳されている重畳領域Aoが含まれている。つまり、各重畳領域Aoは、複数のプロジェクター1の撮像部14で撮像される。このため、共通の重畳領域Aoを撮像した複数のプロジェクター1の撮像結果を比較することにより、撮像部14の個体差を補正することができる。
【0051】
次に、画像投写システム100の動作について説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、指定した日時に所望の動作を実行させるスケジュール機能を有している。
図3は、スケジュール機能によりスケジュールの設定を行う際のプロジェクター1の動作を示すフローチャートである。また、
図4及び
図5は、スケジュールの設定を行う際に表示されるスケジュール設定画面を示す説明図である。
ユーザーが入力操作部12によりスケジュールの設定を行うための操作を行うと、制御部10は、
図3に示すフローに従って動作する。
【0052】
図3に示すように、ステップS101では、制御部10は、画像情報処理部17に指示をして、スケジュール設定画面WをOSD画像として重畳表示させる。そして、続くステップS102では、制御部10は、入力操作部12によってスケジュール設定画面Wに対してなされた入力操作(例えば、方向キーや決定キーの操作)に応じて、各種処理を実行する。
【0053】
図4に示すように、スケジュール設定画面Wには、その上部に「新規追加」と記された追加ボタンB1が配置され、画面の下部にタイムテーブルTが配置されている。タイムテーブルTは、横方向に日付が割り当てられ、縦方向に時刻が割り当てられたテーブルであり、本実施形態のスケジュール設定画面Wでは、1週間分のスケジュールを視認できるようになっている。ユーザーは、方向キーで追加ボタンB1を選択した状態で決定キーを操作すること(以降、追加ボタンB1の操作ともいう。)により、スケジュールの追加(登録)を行うことができる。
【0054】
追加ボタンB1をユーザーが操作すると、スケジュール内容を指定するための入力画面(図示せず)が表示され、ユーザーは、実行する動作とその日時を指定したり、単発で実行するのか定期的に実行するのかを指定したりすることができる。また、ユーザーは、上記の動作を繰り返すことにより、複数のスケジュールを登録することもできる。入力画面で指定可能な動作としては、電源のオンとオフ、入力ソースの切り替え等の他、上述した光源色調整処理、個体差補正処理を指定することができる。上述したように、光源光の色バランスは、時間の経過とともに変化することが想定されるため、これらの処理は、スケジュール機能によって定期的に(数日~数週間に一度程度の頻度で)実行されることが望ましい。
【0055】
図5のスケジュール設定画面Wは、複数のスケジュールが登録された状態を示しており、タイムテーブルT上には、スケジュールが登録されている日時の位置に、矩形のマークMが配置されている。また、ユーザーがタイムテーブルT上の所望の日付を方向キーで選択すると、追加ボタンB1の下側に、その日に実行予定のスケジュールの一覧Lが表示される。実行予定のスケジュールが多く、所定の行数に収まらない場合には、一覧Lの横にスクロールバーSが表示され、一覧Lには一部のスケジュールのみが表示されていることを認識可能になっている。ユーザーは、方向キーを操作することにより、表示されていないスケジュールを表示させることができる。
【0056】
スケジュール設定画面Wの下側には、「スケジュールの共有」と記されたチェックボックスCと、「設定完了」と記された完了ボタンB2とが配置されている。チェックボックスCは、1つのプロジェクター1で設定されたスケジュールを他のプロジェクター1と共有したい場合にチェックされるチェックボックスであり、ユーザーは、方向キーでこのチェックボックスCを選択した状態で決定キーを操作することにより、チェックボックスCへのチェックやその解除を行うことができる。また、ユーザーは、完了ボタンB2を操作することにより、スケジュールの設定作業を完了することができる。
【0057】
図3に戻って、ステップS103では、制御部10は、ユーザーにより完了ボタンB2が操作されたか否かを判断する。そして、完了ボタンB2が操作された場合には、制御部10は、ステップS104に処理を移し、完了ボタンB2が操作されていない場合には、ステップS102に処理を戻す。なお、完了ボタンB2が操作された際に、確認のためのダイアログボックス(図示せず)をOSD画像として表示するようにしてもよい。例えば、ダイアログボックスには、「スケジュールを登録しますか?」という確認メッセージが含まれるとともに、「はい」、「いいえ」、「キャンセル」の3つのボタンが配置される。そして、制御部10は、「はい」のボタンが操作された場合には、ステップS104に処理を移し、「キャンセル」のボタンが操作された場合には、ステップS102に処理を戻す。また、「いいえ」のボタンが操作された場合には、制御部10は、それまでの入力内容を破棄して、処理を終了する。
【0058】
ステップS104に処理が移行した場合には、制御部10は、スケジュール設定画面Wで設定された内容に基づいてスケジュール情報を生成し、スケジュール制御部15に格納する。つまり、スケジュール情報は、スケジュール設定画面Wで設定されたスケジュールが規定された情報である。これ以降、スケジュール制御部15は、格納されたスケジュール情報に従って制御部10が動作できるように、指定された日時に指定された動作要求を生成し、制御部10に出力する。
【0059】
ステップS105では、制御部10は、スケジュールを共有する設定がなされたか否か、即ちスケジュール設定画面WのチェックボックスCにチェックがなされたか否かを判断する。そして、制御部10は、チェックボックスCにチェックがなされてスケジュールを共有する場合には、ステップS106に処理を移し、チェックボックスCにチェックがなされずにスケジュールを共有しない場合には、処理を終了する。
【0060】
ステップS106に処理が移行した場合には、制御部10は、生成したスケジュール情報を含む制御情報を、通信部13から他のすべてのプロジェクター1に向けて送信させる。この制御情報には、スケジュール情報の他に、既存のスケジュール情報を初期化して、送信するスケジュール情報に置き換えることを指示する指示情報が含まれている。
【0061】
図6は、スケジュール情報が送信された際の他のプロジェクター1の動作を説明するフローチャートである。ここでは、プロジェクター1aから、他のプロジェクター1b,1c,1dにスケジュール情報が送信された場合を例にして説明する。
図6に示すように、他のプロジェクター1(プロジェクター1b,1c,1d)は、送信された制御情報を通信部13で受信する(ステップS201)。制御部10は、受信した制御情報に基づいて、それぞれのスケジュール制御部15に格納されている既存のスケジュール情報を初期化して、スケジュールが何も設定されていない状態とし(ステップS202)、その後、初期化したスケジュール情報に対して、受信したスケジュール情報の内容をコピーする(ステップS203)。言い換えれば、制御部10は、スケジュール制御部15に格納されているスケジュール情報を、受信したスケジュール情報に置き換える処理を行う。そして、制御部10は、スケジュール情報のコピー(置き換え)が正常に完了したことを示す応答情報をプロジェクター1aに送信して(ステップS204)、処理を終了する。
【0062】
図3に戻って、ステップS107では、制御部10は、他のすべてのプロジェクター1から応答情報が送信されたか否か、即ち送信したスケジュール情報が他のすべてのプロジェクター1で正常に反映されたか否かを判断する。そして、制御部10は、スケジュール情報が正常に置き換えられたことを示す応答情報を他のすべてのプロジェクター1から受信した場合にはステップS108に処理を移す。一方、他のプロジェクター1との通信に異常が生じた場合等、少なくとも1つのプロジェクター1から応答情報を受信できなかった場合には、制御部10は、ステップS109に処理を移す。
【0063】
スケジュール情報が正しく反映されてステップS108に処理が移行した場合には、制御部10は、画像情報処理部17に指示をして、スケジュールの共有に成功したことを報知するメッセージ画像をOSD画像として重畳表示させて処理を終了する。
【0064】
一方、スケジュール情報が正しく反映されずにステップS109に処理が移行した場合には、制御部10は、画像情報処理部17に指示をして、スケジュールの共有に失敗したことを報知するメッセージ画像をOSD画像として重畳表示させて処理を終了する。
【0065】
本実施形態のプロジェクター1は、上記のように動作するため、ユーザーが、1つのプロジェクター1(第1の画像表示装置)に対して、光源色調整処理を実行するスケジュールを設定すると、このスケジュールが他のプロジェクター1(第2の画像表示装置)にも共有される。つまり、1つのプロジェクター1に光源色調整処理を実行させる操作を行うことにより、マルチプロジェクションを行うすべてのプロジェクター1が、同じタイミングで光源色調整処理を実行する。このため、複数のプロジェクター1間における光源光の色バランスの差異を抑制して、マルチプロジェクションにおける画質を向上させることを、簡単な操作で実現することが可能となる。
【0066】
なお、電源のオンやオフ、光源色調整処理等は、各プロジェクター1が個別に実行可能な動作であるのに対し、個体差補正処理は、複数のプロジェクター1で協働して行うことを前提とした処理である。上述したように、1つのプロジェクター1で個体差補正処理が開始されると、このプロジェクター1が他のプロジェクター1の動作を制御して、所定のテスト画像を投写させたり、投写されたテスト画像を撮像部14に撮像させたりすることにより、プロジェクター1間の個体差を補正する。つまり、スケジュール機能を用いて個体差補正処理を行う場合には、1つのプロジェクター1で個体差補正処理を開始すれば、他のプロジェクター1に個体差補正処理を開始させる必要はない。このため、他のプロジェクター1に送信するスケジュール情報に個体差補正処理が含まれている場合には、制御部10は、ステップS106でスケジュール情報を送信する際に、個体差補正処理の項目を除去してから送信する。なお、送信側のプロジェクター1が個体差補正処理を除去する代わりに、スケジュール情報を受信した他のプロジェクター1が、スケジュール情報に含まれる個体差補正処理を無視するようにしてもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の画像投写システム100、プロジェクター1及びそれらの制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0068】
(1)本実施形態によれば、スケジュール設定画面Wにて光源色調整処理を行うためのスケジュールが設定されて、スケジュール情報が生成されると、制御部10は、このスケジュール情報を通信部13から他のプロジェクター1に送信させる。つまり、1つのプロジェクター1に対して光源色調整処理のスケジュールを設定することにより、複数のプロジェクター1が共通のスケジュールで光源色調整処理を行うことが可能となる。
【0069】
(2)本実施形態によれば、他のプロジェクター1にスケジュール情報を送信する際に、他のプロジェクター1に格納されている既存のスケジュール情報を初期化させるため、別々に設定されたスケジュール情報が併存することによって生じ得る不整合を回避することが可能となる。
【0070】
(3)本実施形態によれば、スケジュール設定画面WのチェックボックスCへのチェックの有無に応じて、他のプロジェクター1に制御情報(スケジュール情報)を送信するのか否かを選択できる。このため、複数のプロジェクター1を協働させて使用する場合には、制御情報を送信させ、プロジェクター1を単独で使用する場合には、制御情報を送信しないようにする等、使用状況に応じて適切な設定を行うことが可能となる。
【0071】
なお、上記実施形態において、光源色調整処理が第1の調整に相当し、光源色調整部20及び光源色調整制御部31が調整部に相当する。また、撮像部14の撮像画像に基づいて個体差を補正するための補正情報を生成する個体差補正制御部32、及び生成された補正情報に基づいて画像情報を補正する画像情報処理部17も調整部に相当する。また、スケジュール設定画面Wで設定されたスケジュールに従ってスケジュール情報を生成する際の制御部10がスケジュール生成部に相当する。また、他のプロジェクター1に送信されるスケジュール情報が第1のスケジュール情報に相当し、他のプロジェクター1に格納されている既存のスケジュール情報が第2のスケジュール情報に相当する。また、スケジュール設定画面WのチェックボックスCにチェックをする操作が、制御情報(スケジュール情報)を他の画像表示装置に送信させるか否かを設定する設定操作に相当する。
【0072】
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0073】
上記実施形態では、スケジュール機能によって光源色調整処理等を自動で実行する例を示したが、この態様に限定されず、入力操作部12の操作により手動で実行させる態様とすることも可能である。例えば、ユーザーが入力操作部12を操作して、プロジェクター1aに対して光源色調整処理の実行を指示した場合に、プロジェクター1aの制御部10は、光源色調整制御部31の制御により光源色調整処理を実行するとともに、光源色調整処理を行わせるための制御情報を通信部13から他のプロジェクター1b,1c,1dに送信させる。プロジェクター1b,1c,1dの制御部10は、それぞれの通信部13がこの制御情報を受信した場合に、それぞれの光源色調整制御部31の制御により光源色調整処理を実行する。この態様の場合にも、マルチプロジェクションにおける画質の向上を簡単な操作で実現することが可能となる。なお、1つのプロジェクター1に処理の実行が指示された場合に、他のプロジェクター1でも同じ処理を実行させるか否かについては、指示の都度、ユーザーに問い合わせるようにしてもよいし、予め設定しておくようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態において、すべてのプロジェクター1で光源色調整処理が実行された後に、ユーザーの指示の有無及びスケジュールの設定状況に拘らず、個体差補正処理を実行するようにしてもよい。この態様によれば、光源色調整処理の後に個体差補正処理が行われるため、複数のプロジェクター1で1つの画像を表示する際の画像の均一性を維持することが可能となる。
【0075】
上記実施形態において、光源色調整処理は、光源光の明るさ及び色の少なくとも一方を調整する処理であればよい。また、個体差補正処理は、各プロジェクター1が表示する画像の明るさ及び色の少なくとも一方の差異を補正する処理であればよい。
【0076】
上記実施形態では、1つのプロジェクター1に対する操作によってすべてのプロジェクター1で光源色調整処理を実行する例を説明したが、すべてのプロジェクター1で実行すべき調整処理は、光源色調整処理に限定されない。例えば、画像の形状を矩形に補正する幾何学補正処理等であってもよい。具体的には、マルチプロジェクションで表示する投写画像Ia全体の形状を矩形に補正する際に、それに先立って個々のプロジェクター1が投写する部分画像Idを矩形に補正したい場合がある。この場合には、1つのプロジェクター1に対する操作によってすべてのプロジェクター1で幾何学補正処理が実行されれば、各部分画像Idの幾何学補正を簡単な操作で実現することが可能となる。
【0077】
上記実施形態では、4つのプロジェクター1からの部分画像Idが、2×2のマトリクス状に配列される例を示したが、プロジェクター1の数や配列の態様はこれに限定されない。例えば、複数の部分画像Idを縦一列又は横一列に配列させる態様であってもよい。
【0078】
上記実施形態では、各プロジェクター1が撮像部14を有し、この撮像部14でそれぞれのテスト画像を撮像する構成を示したが、この構成に限定されない。例えば、プロジェクター1とは独立した撮像装置で投写画像Iaの全体を撮像する構成としてもよい。
【0079】
上記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ22R,22G,22Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、照明光学系21から射出された光を変調するデジタルミラーデバイス等を用いることもできる。また、色光別に複数の光変調装置を備える構成に限定されず、1つの光変調装置で複数の色光を時分割で変調する構成としてもよい。
【0080】
上記実施形態では、画像表示装置の一例として、プロジェクター1について説明しているが、画像表示装置はプロジェクター1に限定されず、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等、他の画像表示装置であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,1a,1b,1c,1d…プロジェクター、2…HUB、3…画像供給装置、10…制御部、11…記憶部、12…入力操作部、13…通信部、14…撮像部、15…スケジュール制御部、15a…クロック、16…画像情報入力部、17…画像情報処理部、18…画像投写部、19…光センサー、19R…赤色光センサー、19B…青色光センサー、20…光源色調整部、21…照明光学系、22R,22G,22B…液晶ライトバルブ、22i…画素領域、23…投写光学系、24…ライトバルブ駆動部、31…光源色調整制御部、32…個体差補正制御部、100…画像投写システム、Ia…投写画像、Id…部分画像、Ao…重畳領域、W…スケジュール設定画面、B1…追加ボタン、B2…完了ボタン、C…チェックボックス、L…一覧、M…マーク、S…スクロールバー、T…タイムテーブル、Sp…投写面。