IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図1
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図2
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図3
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図4
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図5
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図6
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図7
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図8
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図9
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図10
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図11
  • 特許-電子機器および電子機器の制御方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】電子機器および電子機器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G04R 20/04 20130101AFI20221115BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20221115BHJP
   G04G 21/02 20100101ALI20221115BHJP
【FI】
G04R20/04
G04G5/00 J
G04G21/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018049054
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019158799
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 教充
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-129551(JP,A)
【文献】特開2017-173042(JP,A)
【文献】特開2017-138160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04R 20/04
G04G 5/00
G04G 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星から衛星信号を受信する受信部と、
照射される光の照度に関する値を検出する照度検出部と、
前記照度検出部により検出された値に基づいて、前記照度が照度閾値以上となる高照度状態の継続時間が、時間閾値以上か否かを判定し、前記高照度状態の継続時間が前記時間閾値以上の場合、前記受信部を作動して受信処理を実行する受信制御部と、
設定可能な範囲において、最も長い時間に対応する上限値から、最も短い時間に対応する下限値までの間で前記時間閾値の値を設定する閾値設定部と、を備え、
前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗した場合は、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値、かつ、前記下限値よりも長い値に変更し、前記時間閾値が前記上限値よりも短い時間に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗した場合は、前記時間閾値をより長い値に変更し、前記時間閾値が前記下限値よりも長い時間に設定された状態で実行された前記受信処理が成功した場合は、前記時間閾値をより短い値に変更する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記上限値よりも短い値、かつ、前記下限値よりも長い値に設定された前記時間閾値の設定値を記憶する記憶部を有し、
前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗した場合は、前記時間閾値を前記設定値に変更する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記時間閾値と受信結果とを対応付けて記憶する記憶部を有し、
前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗した場合は、前記記憶部に記憶された受信結果に基づいて、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値、かつ、前記下限値よりも長い値に変更する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信
処理が所定回数連続して受信に失敗した場合は、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値、かつ、前記下限値よりも長い値に変更する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記時間閾値をより短い値に変更する処理は、所定回数連続して前記受信処理が成功した場合に実行される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が前記位置情報衛星を捕捉できずに受信に失敗した場合は、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値、かつ、前記下限値よりも長い値に変更し、前記時間閾値が前記上限値よりも短い時間に設定された状態で実行された前記受信処理が前記位置情報衛星を捕捉できずに受信に失敗した場合は、前記時間閾値をより長い値に変更する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電子機器において、
内部時刻を計時する計時部と、
前記受信した衛星信号に基づいて、前記内部時刻を修正する時刻修正部と、を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記閾値設定部が、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗し、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値、かつ、前記下限値よりも長い値に変更する場合に、前記照度閾値は維持される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
位置情報衛星から衛星信号を受信する受信部と、照射される光の照度に関する値を検出する照度検出部と、を備える電子機器の制御方法であって、
前記照度検出部により前記照度に関する値を検出するステップと、
前記検出するステップにより検出された値に基づいて、前記照度が照度閾値以上となる高照度状態の継続時間が、時間閾値以上か否かを判定し、前記高照度状態の継続時間が前記時間閾値以上の場合、前記受信部により位置情報衛星から衛星信号を受信する受信処理を実行するステップと、
前記受信部による前記受信処理が受信に失敗した場合、前記時間閾値が設定可能な範囲において最も長い時間に対応する上限値に設定されているか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにより、前記時間閾値が前記上限値に設定されていると判定された場合は、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値、かつ、設定可能な範囲において最も短い時間に対応する下限値よりも長い値に変更するステップと、
前記判定するステップにより、前記時間閾値が前記上限値に設定されていないと判定された場合は、前記時間閾値をより長い値に変更するステップと、
前記時間閾値が前記下限値よりも長い時間に設定された状態で実行された前記受信処理が成功した場合は、前記時間閾値をより短い値に変更するステップと、を備える
ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星信号を受信する電子機器および電子機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS衛星などの位置情報衛星から衛星信号を受信する電子機器において、受信処理を実行する受信開始条件を可変させることで受信成功率を向上させる電子機器が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0003】
特許文献1の電子機器は、ソーラーセルに当たる光の照度が照度閾値レベル以上となる高照度状態が時間閾値の時間継続した場合に、電子機器に屋外で太陽光が照射されていると判定し、衛星信号を受信する受信処理を実行する。そして、当該電子機器は、受信に失敗した場合、前記時間閾値を長くして、受信開始条件を厳しくする。
【0004】
また、特許文献2の電子機器は、特許文献1の電子機器と同様に、前記高照度状態が時間閾値の時間継続した場合に、衛星信号を受信する受信処理を実行する。この際、前記高照度状態が時間閾値だけ継続しない状態が所定時間経過した場合、つまり、衛星信号を受信する受信処理が所定時間実行されない場合、前記時間閾値を短くして、受信開始条件を緩くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-150047号公報
【文献】特開2012-150048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電子機器では、例えば、室内において強い照明光が電子機器に照射されたことで屋外と誤判定して受信に失敗した場合は、時間閾値を長くしても、強い照明光に照射されている時間が長くなれば、再度屋外と誤判定するため、受信成功率を向上できない可能性がある。また、この場合、衛星信号を受信する受信処理は実行されるため、特許文献2のように時間閾値が短くなることがない。そのため、電子機器は、このような状況に長期間放置されると、時間閾値が上限値で維持されることになる。
通常、時間閾値が上限値のように長い値に設定されているほど受信成功率は高くなるが、電子機器の使用状況によっては、かえって受信成功率が低くなってしまうことがある。例えば、電子機器を携帯したユーザーが、室内から屋外に移動し、屋外を一定時間移動した後、他の建物や地下道に入った場合などが想定される。このような場合、時間閾値が適正な範囲で短ければ、ユーザーが屋外を移動している一定時間に、高照度状態であることを判定し、且つ、受信処理を完了できる場合がある。一方、時間閾値が上限値のように長い値に設定されていると、高照度状態であることを判定するまでの時間が長くなってしまうので、高照度状態を判定後、受信を開始してから完了するまでに電子機器が屋外から室内に移動されてしまい、受信に失敗してしまう場合がある。すなわち、時間閾値が長すぎることによって、受信に失敗してしまう場合がある。
このように、受信処理が失敗した場合は受信開始条件を厳しくするようにし、受信処理が所定時間実行されない場合は受信開始条件を緩くするようにしても、使用状況によっては、受信成功率を向上できない場合があった。
【0007】
本発明の目的は、受信開始条件を電子機器の様々な使用状況に応じて設定でき、受信成功率を向上できる電子機器および電子機器の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、位置情報衛星から衛星信号を受信する受信部と、照射される光の照度に関する値を検出する照度検出部と、前記照度検出部により検出された値に基づいて、前記照度が照度閾値以上となる高照度状態の継続時間が、時間閾値以上か否かを判定し、前記高照度状態の継続時間が前記時間閾値以上の場合、前記受信部を作動して受信処理を実行する受信制御部と、前記時間閾値の値を設定する閾値設定部と、を備え、前記閾値設定部は、前記時間閾値が上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗した場合は、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値に変更し、前記時間閾値が前記上限値よりも短い時間に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗した場合は、前記時間閾値をより長い値に変更することを特徴とする。
【0009】
ここで、照度検出部は、照度センサーでもよいし、電子機器が太陽電池を備えている場合には、照度に関する値として、太陽電池の開放電圧を検出するものでもよい。
また、受信に失敗した場合とは、衛星信号に基づいて時刻情報や位置情報を取得できなかった場合を意図する。
時間閾値の上限値は、設定可能な範囲において、最も長い時間に対応する値である。
本発明では、光が電子機器に照射され、高照度状態の継続時間が時間閾値以上の場合、受信制御部は、受信部を作動して受信処理を実行する。
そして、閾値設定部は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が受信に失敗した場合は、時間閾値を上限値よりも短い時間に変更する。そのため、電子機器が室内において強い照明光が照射されるような環境に長期間放置される状況、すなわち、電子機器が繰り返し受信に失敗する状況においても、時間閾値が上限値で維持されることがない。そのため、電子機器が室内に長期間放置された後、当該電子機器を携帯したユーザーが屋外を一定時間移動した際などに、時間閾値が長すぎることによって、受信に失敗することを防ぐことができる。
また、閾値設定部は、時間閾値が上限値よりも短い時間に設定された状態で実行された受信処理が失敗した場合は、時間閾値をより長い値に変更する。すなわち、閾値設定部は受信を開始する条件を厳しくする。そのため、例えば、室内において、窓際などで電子機器に太陽光が瞬間的に照射したような場合に、受信処理が実行されてしまうことを防ぐことができる。
このように、本発明によれば、受信処理を実行する受信開始条件を、電子機器の様々な使用状況に応じて設定でき、受信成功率を向上できる。
【0010】
本発明の電子機器において、前記上限値よりも短く設定された前記時間閾値の設定値を記憶する記憶部を有し、前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗した場合は、前記時間閾値を前記設定値に変更することが好ましい。
時間閾値の設定値は、例えば、電子機器を工場出荷した際に設定された値などが想定され、統計的に受信成功率が高い値や設定可能な範囲における中央値などが例示される。
本発明によれば、閾値設定部は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が受信に失敗した場合は、記憶部に記憶された設定値に時間閾値を変更する。そのため、閾値設定部は、例えば、統計的に受信成功率が高い値に時間閾値を変更することができ、受信成功率を向上させることができる。
【0011】
本発明の電子機器において、前記時間閾値と受信結果とを対応付けて記憶する記憶部を有し、前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が受信に失敗した場合は、前記記憶部に記憶された受信結果に基づいて、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値に変更することが好ましい。
記憶部には受信結果として、例えば、時間閾値と、その時間閾値に設定された状態で実行された受信処理の受信成功回数とが対応付けられて記憶されている。また、受信結果は、電子機器の使用を開始してから累積して記憶されたものや、受信処理を開始する前の1ヶ月間や1年間といった一定期間に記憶されたものが例示される。
本発明によれば、閾値設定部は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が受信に失敗した場合、記憶部の受信結果に基づいて、時間閾値を上限値よりも短い値に変更する。この際、閾値設定部は、記憶部に記憶された受信結果に基づいて時間閾値を変更するので、例えば、ユーザーの使用状況に応じた受信成功数が最も多い時間閾値や受信成功回数が所定回数以上で最も短い時間閾値に変更することができる。そのため、閾値設定部は、ユーザーの使用状況に応じて、受信成功回数が最も多い時間閾値に変更することで受信成功率を向上させたり、所定回数以上で最も短い時間に変更することで受信処理が実行されるまでの時間を短縮させたりすることができる。
【0012】
本発明の電子機器において、前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が所定回数連続して受信に失敗した場合は、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値に変更することが好ましい。
受信処理で所定回数連続して受信を失敗する場合として、例えば、強い照明光が照射される室内に電子機器が長期間放置されているような場合が想定される。
このような場合において、閾値設定部は、所定回数連続して受信を失敗することを判定するので、受信開始条件以外の原因で受信に失敗した可能性が低い、すなわち、受信開始条件が適切でない可能性が高いと判断することができる。この場合、時間閾値を上限値で維持しても受信成功率は向上しないと判断できるので、閾値設定部が時間閾値をより短い値に変更することで、受信成功率を向上させることができる。
【0013】
本発明の電子機器において、前記閾値設定部は、所定回数連続して前記受信処理が成功した場合は、前記時間閾値をより短い値に変更することが好ましい。
受信処理で所定回数連続して受信に成功した場合、受信に成功しやすい使用状況にあると判断できる。このような場合、時間閾値を短くしても、すなわち、受信を開始する条件を緩くしても、ただちに受信に失敗する可能性は低いと判断できる。そのため、閾値設定部が時間閾値をより短い値に変更することで、受信開始条件に該当したか否かの判定に係る時間を短くでき、受信処理が実行されるまでの時間を短縮できる。
【0014】
本発明の電子機器において、前記閾値設定部は、前記時間閾値が前記上限値に設定された状態で実行された前記受信処理が前記位置情報衛星を捕捉できずに受信に失敗した場合は、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値に変更し、前記時間閾値が前記上限値よりも短い時間に設定された状態で実行された前記受信処理が前記位置情報衛星を捕捉できずに受信に失敗した場合は、前記時間閾値をより長い値に変更することが好ましい。
位置情報衛星を捕捉したが受信に失敗した場合は、屋外で受信を開始したものの、受信開始条件以外の原因で受信に失敗した可能性がある。このような場合は、受信開始条件を変更せず、現在の受信開始条件を維持することで、受信頻度を維持できる。
一方、受信処理で位置情報衛星を捕捉できなかった場合は、受信に失敗した原因が、例えば、屋内において照明光が電子機器に照射されたことで電子機器が受信処理を実行したことによるものである可能性があると判断できる。この場合、時間閾値を上限値で維持しても受信成功率は向上しないと判断できるので、閾値設定部は、時間閾値が上限値に設定されていれば、時間閾値をより短い時間に変更する。これにより、時間閾値が長すぎることによって受信が失敗してしまうことを防ぐことができる。
【0015】
本発明の電子機器において、内部時刻を計時する計時部と、前記受信した衛星信号に基づいて、前記内部時刻を修正する時刻修正部と、を有することが好ましい。
本発明の電子機器は、時刻修正部が受信した衛星信号から時刻情報を取得することができ、この時刻情報に基づいて内部時刻を修正することができるので、時刻表示精度の高い電子時計として利用できる。
【0016】
本発明は、位置情報衛星から衛星信号を受信する受信部と、照射される光の照度に関する値を検出する照度検出部と、を備える電子機器の制御方法であって、前記照度検出部により前記照度に関する値を検出するステップと、前記検出するステップにより検出された値に基づいて、前記照度が照度閾値以上となる高照度状態の継続時間が、時間閾値以上か否かを判定し、前記高照度状態の継続時間が前記時間閾値以上の場合、前記受信部により位置情報衛星から衛星信号を受信する受信処理を実行するステップと、前記受信部による前記受信処理が受信に失敗した場合、前記時間閾値が上限値に設定されているか否かを判定するステップと、前記判定するステップにより、前記時間閾値が前記上限値に設定されていると判定された場合は、前記時間閾値を前記上限値よりも短い値に変更するステップと、前記判定するステップにより、前記時間閾値が前記上限値に設定されていないと判定された場合は、前記時間閾値をより長い値に変更するステップと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、受信処理を実行する受信開始条件を、電子機器の様々な使用状況に応じて設定でき、受信成功率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る第1実施形態の電子時計を示す概略図。
図2】第1実施形態における電子時計の正面図。
図3】第1実施形態における電子時計の断面図。
図4】第1実施形態における電子時計の回路構成を示すブロック図。
図5】第1実施形態における制御回路での処理を示すフローチャート。
図6】充電状態検出、開放電圧検出、受信処理の作動タイミングを説明する図。
図7】電子時計のソーラーセルに当たる光の照度とソーラーセルの開放電圧との関係を示すグラフ。
図8】判定回数と時間閾値との関係を示す図。
図9】本発明に係る第2実施形態の制御回路での処理を示すフローチャート。
図10】本発明に係る第3実施形態の制御回路での処理を示すフローチャート。
図11】第3実施形態における判定回数と受信成功回数の関係を示す図。
図12】本発明に係る第4実施形態の制御回路での処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る電子時計1について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電子時計1を示す概略図である。
電子時計1は、電子機器の一例であり、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS(Global Positioning System)衛星100のうち、少なくとも1つのGPS衛星100から衛星信号を受信して時刻情報を取得し、少なくとも3つのGPS衛星100から衛星信号を受信して位置情報を算出して取得するように構成されている。なお、GPS衛星100は、位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30基のGPS衛星100が周回している。
【0019】
[電子時計の概略構成]
図2は、電子時計1の正面図であり、図3は、電子時計1の概略を示す断面図である。
電子時計1は、外装ケース30と、カバーガラス33と、裏蓋34とを備えている。外装ケース30は、金属で形成された円筒状のケース31(金属ケース)に、ベゼル32が嵌合されて構成されている。ベゼル32は金属で形成されていてもセラミックで形成されていても良い。セラミックであれば、非導電性であり導電率が低いので、電波をシールドしない。ベゼル32の内周側には、非導電性の樹脂で形成されたリング状のダイヤルリング35と、ポリカーボネートなどの非導電性部材にて円盤状に形成されている文字板11とが時刻表示部分として配置されている。
外装ケース30の側面には、文字板11の平面中心より、2時方向の位置にAボタン2と、4時方向の位置にBボタン3と、3時方向の位置にリューズ4とが設けられている。
【0020】
外装ケース30の2つの開口のうち、表面側の開口は、ベゼル32を介してカバーガラス33で塞がれており、裏面側の開口は金属で形成された裏蓋34で塞がれている。
外装ケース30の内側には、ベゼル32の内周に取り付けられているダイヤルリング35と、光透過性を有する文字板11と、指針21,22,23,24と、指針21~23が取り付けられる指針軸25(同軸上に設けられた3つの指針軸)と、指針24が取り付けられる指針軸26とが備えられている。さらに、太陽電池50と、GPSアンテナ110と、文字板受けリング126と、地板125と、日車127と、日車押さえ128と、指針21~24を駆動する駆動機構140などとが備えられている。
指針軸25は、外装ケース30の平面中心を通り、表裏方向に延在する中心軸に沿って設けられている。指針軸26は、前記中心から6時方向にずれた位置を通り、前記中心軸に沿って設けられている。
【0021】
ダイヤルリング35は、外周端が、ベゼル32の内周面に接触しているとともに、カバーガラス33と平行な平板部分と、文字板11側へ傾斜した傾斜部分とを備えている。
【0022】
文字板11は、外装ケース30の内側で時刻を表示する円形の板材であり、非導電性材料である樹脂などの光透過性を有する材料で形成され、カバーガラス33との間に指針21~24などを備え、ダイヤルリング35よりも裏面側に配置されている。
文字板11の表面側には、ロゴ12が設けられる。ロゴ12は、製品名やメーカー名を示す文字や数字やマークであり、樹脂などの非導電性部材または導電性部材によって形成される。ロゴ12は印刷で形成しても良い。ロゴ12は、太陽電池50の表面側にあると、太陽電池50に入射する光量が減少してしまうため、平面視において太陽電池50と重ならない位置に配置されることが望ましい。
ここで、文字板11に対して垂直な方向から電子時計1を構成する部材を見ることを、平面視と称する。
ロゴ12が、導電性の材料で形成され、かつ、平面視においてGPSアンテナ110と重なる場合は、ロゴ12は、電波の受信に影響のない位置に配置したり、当該影響のない大きさで形成したりすることが望ましい。
【0023】
文字板11の裏面側には、太陽電池50が備えられている。太陽電池50は、文字板11と地板125との間に配置されている。文字板11の表面側から文字板11を通して太陽電池50を見たときには、文字板11の光透過率は約30%以下程度に設定されるため、完全に文字板11が透けるということはないが、太陽電池50に部分的な色の違いがある場合は、その色の違いが識別されてしまう。太陽電池50の部分的な色の違いが僅かである場合は、色の違いは認識されない。また、文字板11の表面側から見たときの文字板11全体の質感が統一される。なお、文字板11を表面側から見たときに太陽電池50が透けにくくするため、文字板11と太陽電池50との間に、光の一部を透過し一部を反射する半透過性のシートを設けてもよい。
太陽電池50は、文字板11を透過して入射した光の光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する光発電を行う複数の図示略のソーラーセルを有する。また、太陽電池50は、光の検出機能も有している。太陽電池50の詳細については後述する。
文字板11は、太陽電池50によって多くの電気エネルギーを得るためには、光透過率を高くし、より装飾性を高めるため、太陽電池50が透けて見えにくくする場合には、光透過率を低くする。太陽電池50が透けて見えたとしても太陽電池50の全体の色が均一であれば、装飾性を損なうことがないので、光透過率を高めて太陽エネルギーを沢山得ることが可能となる。より沢山の太陽エネルギーを二次電池130(図4参照)に蓄える事ができるようになると電子時計1の電池寿命やGPS受信などの消費電流の多い機能を有効に使うことが可能となる。
なお、外装ケース30の内側には、太陽電池50を固定する案内板(図示略)が設けられている。案内板には、太陽電池50を位置決めする位置決め部が設けられている。案内板は、太陽電池50の裏面側に設けられ、当該案内板によって太陽電池50が補強され、反りが低減される。案内板は、非導電性材料であるポリカーボネートまたは金属板で形成される。金属板で形成される場合は、GPSアンテナ110が受信する電波をシールドしないよう、平面視でGPSアンテナ110と重ならない形状で形成される。
【0024】
図3に示すように、太陽電池50の裏面側には、電波を受信するGPSアンテナ110が備えられている。
GPS衛星100は、右旋円偏波で衛星信号を送信している。そのため、GPSアンテナ110は、円偏波特性に優れるパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナともいう)で構成されている。
【0025】
文字板11の裏面側には、さらに、文字板11を保持する文字板受けリング126が備えられている。文字板受けリング126は、樹脂で形成されている。文字板受けリング126は、外装ケース30の内周面に沿ったリング形状を有する。太陽電池50は、平面視において、文字板受けリング126の内周面の内側に配置されている。
【0026】
地板125と太陽電池50との間には、日車127と、日車127を保持する日車押さえ128とが備えられている。日車127および日車押さえ128は、非導電性の樹脂で形成されている。
【0027】
文字板11、太陽電池50、日車押さえ128および地板125には、指針軸25,26が貫通する孔が形成されている。また、文字板11および太陽電池50には、カレンダー小窓19(図2参照)の開口部が形成されている。
【0028】
地板125は、非導電性の樹脂で形成されており、駆動機構140の取り付け部を有している。駆動機構140は、地板125に取り付けられ、回路基板120で裏面側から覆われている。駆動機構140は、ステップモーターと歯車などの輪列とを有し、当該ステップモーターが当該輪列を介して指針軸25,26を回転させることにより、指針21~24が駆動する。
【0029】
回路基板120には、GPS受信回路45、制御回路47およびGPSアンテナ110が設けられている。また、回路基板120は、太陽電池50が発電した電力で充電されるリチウムイオン電池などの二次電池130(図4参照)に接続されている。
回路基板120の裏面側には、回路押え123が設けられている。
【0030】
[電子時計の表示機構]
図2に示すように、文字板11の外周部を囲むダイヤルリング35の内周側には、内周を60分割にする目盛が表記されている。この目盛を用いて、指針21は通常時に「秒」を表示し、指針22は「分」を表示し、指針23は「時」を表示する。
また、ダイヤルリング35には、12分位置にアルファベットの「Y」と、18分位置にアルファベットの「N」の英字が表記されている。この英字は、GPS衛星100から受信した衛星信号に基づく各種情報の受信(取得)結果(Y:受信(取得)成功、N:受信(取得)失敗)を示す。指針21は、「Y」および「N」のいずれか一方を指示し、衛星信号の受信結果を表示する。なお、受信結果の表示は、Aボタン2を1秒未満押すことで行われる。
【0031】
指針24は、文字板11の平面中心から6時方向の位置に設けられた指針軸26に取り付けられている。文字板11における指針24の回転領域の外側には、数字や英字や記号が設けられており、指針24は、これらを指示することで、電池残量や、曜日や、DSTのON/OFFや、太陽電池50による光検出等の情報を表示する。なお、指針24は、通常時は電池残量を表示している。
【0032】
カレンダー小窓19は、文字板11を矩形状に開口した開口部に設けられており、開口部から、日車127に表記された数字が視認可能となっている。この数字は、年月日の「日」を表す。なお、文字板11の開口部に合わせるように、太陽電池50にも矩形状に開口した開口部が設けられている。
【0033】
また、ダイヤルリング35には、内周側の目盛に沿って、協定世界時(UTC)との時差を表す時差情報36が、数字と数字以外の記号とで表記されている。数字の時差情報36は整数の時差であり、記号の時差情報36は整数以外の時差であることを表している。指針21~23で表示された時刻と、UTCとの時差は、Bボタン3を押すことにより指針21が指し示す時差情報36で確認することができる。
また、ダイヤルリング35の周囲に設けられているベゼル32には、ダイヤルリング35に表記されている時差情報36の時差に対応した標準時を使用しているタイムゾーンの代表都市名を表す都市情報37が、時差情報36に併記されている。ここで、時差情報36や都市情報37の表記をタイムゾーン表示という。本実施形態では、全世界で使用されているタイムゾーンの数と等しいタイムゾーン表示が表記されている。なお、図2に示す都市名の表記は一例であり、都市名は、タイムゾーンの変更に応じて適宜変更されることがある。
【0034】
[電子時計の回路構成]
図4は、電子時計1の回路構成を示すブロック図である。この図に示すように、電子時計1は、太陽電池50と、二次電池130と、GPS受信回路45と、時計部46と、制御回路47と、ダイオード41と、充電制御用スイッチ42と、充電状態検出回路43と、電圧検出回路44とを備えている。なお、太陽電池50、充電状態検出回路43および電圧検出回路44からなる構成は、本発明の照度検出部の一例である。
【0035】
ダイオード41は、太陽電池50と二次電池130とを電気的に接続する経路に設けられ、太陽電池50から二次電池130への電流(順方向電流)を遮断せずに、二次電池130から太陽電池50への電流(逆方向電流)を遮断する。なお、順方向電流が流れるのは、二次電池130の電圧よりも太陽電池50の電圧が高い場合、すなわち充電時に限られる。また、ダイオード41に代えて電界効果トランジスター(FET)を採用してもよい。
【0036】
充電制御用スイッチ42は、太陽電池50から二次電池130への電流の経路を接続および切断するものであり、太陽電池50と二次電池130とを電気的に接続する経路に設けられたスイッチング素子421を備えている。スイッチング素子421がオフ状態からオン状態に遷移するとオン(接続)し、スイッチング素子421がオン状態からオフ状態へ遷移するとオフ(切断)する。
例えば、過充電により電池特性が劣化する状態にならないよう、二次電池130の電池電圧が所定値以上となる場合には、制御回路47から出力される2値の制御信号CTL3に基づいて、充電制御用スイッチ42をオフする。なお、この場合、後述する電圧検出回路44は、制御回路47から出力される制御信号CTL2に基づいて動作が停止されている。
【0037】
スイッチング素子421は、pチャネル型のトランジスターであり、ゲート電圧Vg1がローレベルの場合にはオン状態となり、ハイレベルの場合にはオフ状態となる。ゲート電圧Vg1は、制御回路47に制御される。
【0038】
充電状態検出回路43は、制御回路47から出力される充電状態の検出タイミングを指定する2値の制御信号CTL1に基づいて作動し、太陽電池50から二次電池130への充電の状態(充電状態)を検出し、検出結果RS1を制御回路47へ出力する。充電状態は「充電中」または「非充電中」であり、その検出は電池電圧VCCと充電制御用スイッチ42がオンのときの太陽電池50のPVINとに基づいて行われる。例えば、ダイオード41の降下電圧をVthとし、スイッチング素子421のオン抵抗を無視したとき、PVIN-Vth>VCCの場合には「充電中」と判定し、PVIN-Vth≦VCCの場合には「非充電中」と判定することができる。
【0039】
本実施形態では、制御信号CTL1は、周期が5秒のパルス信号であり、充電状態検出回路43は、制御信号CTL1がハイレベルの期間において充電状態の検出を行う。つまり、充電状態検出回路43は、充電制御用スイッチ42を接続状態に維持したまま、充電状態の検出を5秒周期で繰り返し行う。
【0040】
なお、充電状態の検出を間欠的に行うのは、充電状態検出回路43の消費電力量を低減するためである。この低減が不要であれば、充電状態が連続的に検出されるようにしてもよい。充電状態検出回路43は、例えば、コンパレーター、A/Dコンバーター等を用いて構成することができる。
【0041】
電圧検出回路44は、制御回路47から出力される電圧の検出タイミングを指定する2値の制御信号CTL2に基づいて作動し、太陽電池50の端子電圧PVIN、すなわち、太陽電池50の開放電圧を検出する。なお、電圧検出回路44が開放電圧を検出している期間、制御回路47から出力される制御信号CTL3に基づいて、充電制御用スイッチ42はオフとされている。また、電圧検出回路44は、開放電圧の検出結果RS2を制御回路47へ出力する。
【0042】
受信部としてのGPS受信回路45は、GPSアンテナ110に接続され、GPSアンテナ110を介して受信した衛星信号を処理してGPS時刻情報や位置情報を取得する。
そして、GPS受信回路45は、図示を略すが、通常のGPS装置と同様に、GPS衛星100から送信される衛星信号を受信してデジタル信号に変換するRF(Radio Frequency)部と、受信信号の相関判定を実行して航法メッセージを復調するBB部(ベースバンド部)と、BB部で復調された航法メッセージ(衛星信号)からGPS時刻情報や位置情報(測位情報)を取得して出力する情報取得手段と、を備えている。なお、航法メッセージは既知であるため説明を省略する。
【0043】
時計部46は、計時部の一例であり、二次電池130に蓄積された電力で駆動されて計時処理を行う。計時処理では、内部時刻を計時する一方、駆動機構140を駆動させることで、内部時刻に応じた時刻(第1時刻および第2時刻)を電子時計1の表面に表示させる。
ここで、時計部46が計時する内部時刻は、GPS受信回路45が衛星信号を受信し、受信した衛星信号を処理することで取得したGPS時刻情報や位置情報に基づいて修正される。すなわち、時計部46は、時刻修正部の一例でもある。
【0044】
制御回路47は、電子時計1を制御するCPUで構成されている。制御回路47は記憶部48に接続され、当該記憶部48に格納された各種プログラムを実行することで、受信制御部471、閾値設定部472として機能する。
受信制御部471は、受信を実行する条件である受信開始条件に該当すると、GPS受信回路45を作動して受信処理を実行する。閾値設定部472は、受信開始条件を構成する後述する照度閾値および時間閾値を設定する。記憶部48には、後述する時間閾値の設定値などが記憶されている。なお、各機能については、以降の制御回路47の動作説明のなかで詳述する。
【0045】
[制御回路の動作]
このような電子時計1における制御回路47の動作について、図5のフローチャートに基づき説明する。なお、図5のフローチャートに示される制御回路47の動作は、本発明の電子時計1の制御方法の一例である。
制御回路47は、毎日0時0分0秒に制御を始める。まず、受信制御部471は、一定周期で充電状態検出回路43を作動する(SA1)。本実施形態では、図6に示すように、受信制御部471は、5秒間隔の制御信号CTL1を出力し、充電状態検出回路43を作動している。制御信号CTL1が入力されると、充電状態検出回路43は、充電状態であるか否かを示す検出結果RS1を制御回路47に出力する。このため、受信制御部471は、充電中であるか否かを判定する(SA2)。なお、充電制御用スイッチ42は、後述するように、電圧検出回路44が作動されるタイミングのみオフに切り替えられる。
【0046】
[非充電状態での制御]
電子時計1に当たる光が少なく、太陽電池50で発電が行われていない場合、充電状態検出回路43は「非充電中」の検出結果RS1を制御回路47に出力する。この場合、受信制御部471は、充電中ではない(SA2:No)と判定し、制御回路47からはローレベルの制御信号CTL2を出力する。
したがって、SA2でNoと判定された場合、受信制御部471は、電子時計1が屋外に配置されておらず、衛星信号の受信に適した場所に配置されていない可能性が高いと判断できる。
【0047】
[充電状態での制御]
一方、受信制御部471は、SA2で充電状態である(SA2:Yes)と判定された場合、電圧検出回路44を作動する(SA3)。この際、充電制御用スイッチ42は、受信制御部471によってオフ状態に切り替えられる。すなわち、受信制御部471は、充電状態検出回路43で充電中であることを検出すると、5秒間隔の制御信号CTL2を出力し、電圧検出回路44を作動する。この際、充電制御用スイッチ42は、制御回路47からの制御信号CTL3によってオフ状態に制御されるので、太陽電池50および電圧検出回路44は、二次電池130とは切り離される。このため、電圧検出回路44は、二次電池130の充電電圧の影響を受けることなく、太陽電池50に当たる光の照度に対応する開放電圧を検出できる。ここで、この開放電圧は、本発明の照度に関する値の一例である。
なお、充電制御用スイッチ42がオフ状態では充電状態検出回路43によって充電状態を検出できない。このため、受信制御部471は、充電状態検出回路43に対する制御信号CTL1の出力タイミングと、電圧検出回路44に対する制御信号CTL2の出力タイミングとが一致しないように、制御信号CTL1と制御信号CTL2の出力タイミングをずらしている。
【0048】
本実施形態では、電圧検出回路44で検出される開放電圧は、図7に示すように、太陽電池50における照度が高くなるほど高くなる。
また、太陽電池50の開放電圧の代わりに太陽電池50の短絡電流を、太陽電池50に当たる光の照度に対応する値として検出する構成を用いてもよい。なお、短絡電流を検出する構成においても、開放電圧を検出する構成と同様に、充電制御用スイッチ42をオフにして太陽電池50と二次電池130とを電気的に切断することで、二次電池130の影響を受けないようにする必要がある。
このような開放電圧および短絡電流は、太陽電池50における出力値と相関関係がある。そこで、本実施形態では、検出値として開放電圧や短絡電流を検出している。
なお、照度に関する値は、太陽電池50の開放電圧や短絡電流の検出値に限られるものではなく、例えば、照度センサーを別途設け、当該照度センサーにより検出された値であってもよい。
【0049】
受信制御部471は、電圧検出回路44から出力される検出結果RS2により、開放電圧に対応する検出レベルが閾レベル以上であることが、あらかじめ設定された判定回数連続して判定されたか否かを判定する(SA4)。
閾レベルは、あらかじめ設定された照度閾値に対応した値に設定されている。通常、蛍光灯下において太陽電池50に照射された場合の光の照度は通常500~1000ルクスであるのに対し、太陽光が太陽電池50に照射された場合の光の照度は通常3000ルクス以上となる。そこで、例えば、図7に示す開放電圧と照度との関係から、3000ルクス以上に相当する5.2V以上の開放電圧が検出された場合を高照度状態とし、この開放電圧に対応する検出レベルを閾レベルとして設定されている。
また、判定回数は、時間閾値に対応した値に設定されている。ここで、判定回数と時間閾値との関係は、例えば、図8に示すように記憶部48に記憶されている。なお、図8の関係は、5秒間隔で開放電圧を検出した場合を示している。例えば、時間閾値が10秒の場合は、判定回数は「2」に設定される。
本実施形態では、時間閾値は、5秒未満、5秒以上10秒未満、…25秒以上30秒未満の6段階に設定可能とされている。すなわち、判定回数は、「1」~「6」の6段階に設定可能とされている。つまり、時間閾値の上限値は、設定可能な範囲において、最も長い時間である26秒以上30秒未満に対応する判定回数「6」である。また、時間閾値の下限値は、設定可能な範囲において、最も短い時間である5秒未満に対応する判定回数「1」である。
すなわち、受信制御部471は、判定回数が連続して高照度状態と判定されたか否かを判定することで、高照度状態の継続時間が、時間閾値以上であるか否かを判定する。
なお、判定回数と時間閾値との関係は、図8に示す関係に限定されず、電圧検出の間隔に応じて変化する。例えば、2秒間隔で開放電圧を検出した場合には、判定回数が「5」であれば時間閾値は「9秒以上10秒未満」となる。
また、後述するように、判定回数は値が多くなったり少なくなったりするが、本実施形態では、11秒以上15秒未満に対応する判定回数である「3」が設定値として記憶部48に記憶されている。すなわち、記憶部48には、時間閾値の設定値として「3」が記憶されている。この記憶部48に記憶された設定値は、例えば、電子時計1を工場出荷した際の値や、ユーザーが生活スタイルに合わせて設定した値などであり、統計的に受信成功率が高い値やユーザーにとって利便性の高い値などが例示される。
【0050】
SA2,SA4のいずれかでNoと判定された場合には、受信制御部471は、現在の時刻が、制御回路47が制御を始めた日の23時59分55秒か否か判定する(SA5)。ここで、本実施形態では、図6に示すように、受信制御部471は、5秒間隔で充電状態の検出(SA1)および検出レベルの判定(SA4)を実行しており、これに合わせてSA5を実行する。すなわち、0時0分0秒から始まる24時間の期間において、内部時刻が0時0分0秒、0時0分5秒、0時0分10秒、0時0分15秒となるような5秒間隔のタイミングでSA5が実行される。これにより、受信制御部471は、その期間における5秒間隔の最後のタイミングである23時59分55秒か否かを判定する。このようにして、受信制御部471は、受信処理を行わずに、あらかじめ設定された所定期間が経過したか否か判定する。この場合、所定期間は、0時0分0秒からはじまる24時間の期間である。そして、SA5でNoと判定された場合は、SA1に戻り、一定周期で充電状態検出回路43を作動する。
【0051】
一方で、SA5でYesと判定された場合は処理を終了し、次に処理が開始される制御再開時間まで待機状態に移行する。ここで、制御再開時間は次の日の0時0分0秒である。
【0052】
次に、SA4でYesと判定された場合には、受信制御部471は、GPS受信回路45を作動してGPS衛星100から衛星信号を受信する受信処理を開始する(SA6)。
なお、SA6で開始される受信処理は、SA4でYesと判定された場合に自動的に行われる自動受信処理である。この自動受信処理では、測時モードでの受信処理が行われる。すなわち、測位モードでは、位置を検出するために3個以上のGPS衛星100から信号を受信しなければならず、受信処理時間も長くなる。このため、信号受信が終了するまで電子時計1を屋外に配置しておくことが好ましいが、自動受信処理ではユーザーが受信中であることに気がつかず、受信中であっても屋内に移動してしまうおそれもある。このため、測位モードでの受信は、ユーザーが意図して受信操作を行った場合のみ、つまり強制受信処理時のみ行うことが好ましい。
一方、測時モードでは、1つのGPS衛星100からの信号受信でも時刻情報を取得でき、受信処理時間も短くできる。したがって、ユーザーが意図しなくても、受信処理を実行することができ、自動受信処理に適している。
【0053】
閾値設定部472は、SA6で開始される受信処理により受信に成功したか否かを判定する(SA7)。
なお、GPS受信回路45では、まず、GPS衛星100の検索を行い、GPS受信回路45で衛星信号を検出する。そして、衛星信号を検出した場合(GPS衛星100を捕捉した場合)には、引き続き衛星信号の受信を継続し、時刻情報を受信する。このように時刻情報を受信できた場合には、受信に成功したと判定する。それ以外の場合、すなわち、GPS受信回路45で衛星信号が検出されない場合や、時刻情報を受信できなかった場合には、受信に失敗したと判定する。
そして、閾値設定部472は、受信に成功した(SA7:Yes)と判定された場合には、所定回数、連続して受信に成功しているか否かを判定する(SA8)。所定回数は、例えば3回である。ここで、本実施形態では、SA4でYesと判定された場合に、受信処理を1日に1回実行する。そのため、例えば、閾値設定部472は、1日に1回実行される受信処理が3日間連続して成功したか否かを判定する。この際、SA5でYesと判定された場合、すなわち、1日の間に受信処理が実行されない場合、閾値設定部472は受信成功回数をカウントしない。例えば、1、2日目に受信処理に成功すると、受信成功回数は2回となる。その後、3日目に受信処理が実行されない場合、受信成功回数は2回の状態で維持される。そして、4日目に受信処理に成功した場合、受信成功回数が3回となる。一方、4日目に受信処理に失敗した場合、受信成功回数は0回に戻る。
なお、所定回数は3回に限られるものではなく、例えば、2回であってもよく、また、4回以上であってもよい。
SA8でYesと判定された場合、閾値設定部472は、判定回数を1ダウン、つまり、判定回数が1回分少なくなるように設定し直す(SA9)。すなわち、閾値設定部472は、時間閾値をより短い値に変更する。そして、時計部46は、GPS受信回路45で受信した衛星信号に基づいて内部時刻を修正する(SA10)。
【0054】
SA8でNoと判定された場合、閾値設定部472は、判定回数が下限値か否かを判定する(SA11)。
そして、SA11でNoと判定された場合、閾値設定部472は、受信成功回数を1アップ、つまり、受信成功回数を1回分増加させ(SA12)、その後、SA10で内部時刻を修正する。
一方、SA11でYesと判定された場合、受信成功回数を変更することなく、SA10で内部時刻を修正する。つまり、判定回数が下限値「1」の場合は、受信成功回数が変更されないので、受信成功回数が所定回数である3回に到達することがなく、判定回数が下限値よりも少なくなるように設定されることがない。
【0055】
SA10で内部時刻が修正された後、制御回路47は処理を終了し、制御再開時間まで待機状態に移行する。
【0056】
一方で、受信に失敗した(SA7:No)と判定された場合には、閾値設定部472は、設定されている判定回数が上限値「6」であるか否かを判定する(SA13)。
SA13でNoと判定された場合、閾値設定部472は、判定回数を1アップ、つまり、判定回数が1回分多くなるように設定し直す(SA14)。すなわち、閾値設定部472は、時間閾値が上限値よりも短い時間に設定された状態で実行された受信処理が失敗した場合は、時間閾値をより長い値に変更する。
【0057】
一方、SA13でYesと判定された場合、閾値設定部472は、判定回数をあらかじめ設定された設定値である「3」に変更する(SA15)。すなわち、閾値設定部472は、受信に失敗した(SA7:No)と判定され、設定されている判定回数が上限値「6」である(S13:Yes)と判定された場合に、判定回数を記憶部48に記憶された設定値である「3」に変更する。ここで、設定値である「3」は、上限値である「6」よりも短い値である。すなわち、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が失敗した場合は、時間閾値を上限値よりも短い値に変更する。
SA14、または、SA15の後、閾値設定部472は、受信成功回数を「0」に戻す(SA16)。すなわち、受信成功回数は、連続して受信に成功した回数であり、1回でも受信に失敗した場合は、受信成功回数を「0」に戻す。そして、制御回路47は、処理を終了し、制御再開時間まで待機状態に移行する。
【0058】
[第1実施形態の作用効果]
このような本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行した受信処理が受信に失敗した場合は、時間閾値を上限値よりも短い時間に変更する。そのため、電子時計1が、室内において強い照明光が照射されるような環境に長期間放置される状況、すなわち、電子時計1が繰り返し受信に失敗する状況においても、時間閾値は上限値で維持されることがない。そのため、電子時計1が室内に長期間放置された後、電子時計1を携帯したユーザーが屋外を一定時間移動した際などに、時間閾値が長すぎることによって、受信に失敗することを防ぐことができる。
また、閾値設定部472は、時間閾値が上限よりも短い時間に設定された状態で実行された受信処理が失敗した場合は、時間閾値をより長い値に変更する。そのため、例えば、室内において、窓際などで電子時計1に太陽光が瞬間的に照射したような場合に、受信処理が実行されてしまうことを防ぐことができる。
このように、本実施形態よれば、受信処理を実行する受信開始条件を、電子時計1の様々な使用状況に応じて設定でき、受信成功率を向上できる。
【0059】
本実施形態では、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が受信に失敗した場合、時間閾値を記憶部48に記憶された設定値に変更する。この設定値は、統計的に受信成功率が高い値であり、工場出荷の際に設定された値である。そのため、受信成功率を向上させることができる。
【0060】
本実施形態では、閾値設定部472は、受信処理で所定回数連続して受信に成功した場合は、時間閾値をより短い値に変更する。
ここで、受信処理で所定回数連続して受信に成功した場合、受信に成功しやすい使用状況にあると判断できる。このような場合、時間閾値を短くしても、すなわち、受信を開始する条件を緩くしても、ただちに受信に失敗する可能性は低いと判断できる。そのため、閾値設定部472が時間閾値をより短い値に変更することで、受信開始条件に該当したか否かの判定に係る時間を短くでき、受信処理が実行されるまでの時間を短縮できる。
また、本実施形態では、SA4でYesと判定された場合、受信処理を1日に1回実行する。ここで、電子時計1のユーザーは、毎朝の出勤時に屋外を移動する生活パターンを有する場合が多い。このようなユーザーの場合、毎朝の出勤時に受信処理が実行されることが想定される。そうすると、同じような受信環境で受信処理が実行される可能性が高く、SA8で所定回数連続して成功する可能性が高い。そのため、閾値設定部472は、ユーザーの生活パターンに合わせて時間閾値を変更することができる。
【0061】
本実施形態では、時計部46が受信した衛星信号から時刻情報を取得することができ、この時刻情報に基づいて内部時刻を修正することができるので、時刻表示精度の高い電子時計1として利用できる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態の電子時計1の構造は、前記第1実施形態と同様であるから、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0063】
図9は、第2実施形態における制御回路47での処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、前記第1実施形態に対して、受信処理でGPS衛星100を捕捉したが受信に失敗した場合は、時間閾値を維持する点で異なる。なお、SB1~SB15の処理は、第1実施形態におけるSA1~SA15の処理と同様である。
【0064】
本実施形態では、受信に失敗したと判定された場合(SB7:No)、閾値設定部472は、受信成功回数を「0」に戻す(SB17)。
そして、閾値設定部472は、GPS衛星100が存在したか否か、すなわち、GPS衛星100を捕捉できたか否かを判定する(SB18)。
SB18でYesと判定された場合は、受信に成功できる可能性があると判断できるため、受信を開始する条件を厳しくする必要はないと判断し、閾値設定部472は時間閾値を維持する。
【0065】
一方、SB18でNoと判定された場合は、屋内においてはGPS衛星100を捕捉できないので、受信に失敗した原因が、室内において強い照明光が電子時計1に照射されたことで電子時計1が受信処理を実行したことによる可能性があると判断できる。この場合、閾値設定部472は、SB13~SB15の処理を行うことにより、第1実施形態と同様に時間閾値を変更する。すなわち、閾値設定部472は、時間閾値が上限値よりも短い時間に設定された状態で実行された受信処理がGPS衛星100を捕捉できずに受信に失敗した場合、時間閾値をより長い値に変更する(SB14)。また、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理がGPS衛星100を捕捉できずに受信に失敗した場合、時間閾値を設定値に変更する(SB15)。
【0066】
[第2実施形態の作用効果]
本実施形態では、GPS衛星100を捕捉したが受信に失敗した場合は、屋外で受信を開始したものの、受信開始条件以外の原因で受信に失敗した可能性がある。このような場合、閾値設定部472は、受信を開始する条件を変更せず、現在の受信開始条件を維持することで、受信頻度を維持できる。
一方、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理がGPS衛星100を捕捉できずに受信に失敗した場合、時間閾値を上限値よりも短い値に変更するので、前記第1実施形態と同様に、時間閾値が長すぎることによって受信が失敗してしまうことを防ぐことができる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態の電子時計1の構造は、前記第1、2実施形態と同様であるから、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0068】
図10は、第3実施形態における制御回路47での処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、前記第2実施形態に対して、時間閾値と受信結果とを記憶部48に記憶させる点と、記憶部48に記憶された受信結果に基づいて時間閾値を変更する点とにおいて異なる。なお、SC1~SC14,SC17,SC18の処理は、第2実施形態におけるSB1~SB14,SB17,SB18の処理と同様である。
【0069】
図11は、本実施形態における判定回数と受信成功回数との関係を示す図である。
本実施形態では、図10において、受信に成功したと判定された場合(SC7:Yes)、閾値設定部472は、受信に成功した際の判定回数に対応する受信成功回数を1回増加させ、記憶部48に記憶させる(SC19)。例えば、閾値設定部472は、図11において、判定回数が「3」に設定されている状態で実行された受信処理が成功したと判定された場合、判定回数「3」に対応する受信成功回数を「20」から「21」に増加させて、記憶部48に記憶させる。すなわち、受信成功回数は受信結果の一例である。
本実施形態では、記憶部48には、電子時計1の使用を開始してから累積の受信成功回数が、判定回数と対応付けて記憶されている。なお、記憶部48に記憶される受信成功回数は、電子時計1の使用を開始してからの累積の回数に限定するものではなく、例えば、受信処理を開始する前の1ヶ月間や1年間といった一定期間に受信を成功した回数が記憶されていてもよい。
【0070】
図10に戻って、本実施形態では、閾値設定部472は、設定されている判定回数が上限値であると判定された場合(SC13:Yes)、閾値設定部472は、図11に示すように、記憶部48に記憶された受信成功回数が最も多い判定回数である「3」に時間閾値を変更する(SC20)。すなわち、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が失敗した場合は、記憶部48に記憶された受信結果に基づいて、時間閾値を上限値よりも短い値に変更する。
【0071】
[第3実施形態の作用効果]
本実施形態では、閾値設定部472は、時間閾値が上限値の条件で実行された受信処理が受信に失敗した場合は、記憶部48に記憶された受信成功回数が最も多い判定回数である「3」に時間閾値を変更する。そのため、閾値設定部472は時間閾値を、前記第1、2実施形態のようにあらかじめ設定された値ではなく、ユーザーの使用状況に合わせて受信成功回数が最も多い値に変更することができる。したがって、受信処理を実行する条件を、電子時計1の様々な使用状況に応じて設定でき、受信成功率を向上できる。
【0072】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態の電子時計1の構造は、前記第1実施形態と同様であるから、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0073】
図12は、第4実施形態における制御回路47での処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、前記第1実施形態に対して、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が所定回数連続して受信に失敗した場合は、時間閾値を上限値よりも短い値に変更する点で異なる。なお、SD1~SD16の処理は、第1実施形態におけるSA1~SA16の処理と同様である。
【0074】
本実施形態では、閾値設定部472は、設定されている判定回数が上限値であると判定された場合(SD13:Yes)、所定回数、連続して受信に失敗しているか否かを判定する(SD21)。所定回数は、例えば3回である。なお、所定回数は3回に限られるものではなく、例えば、2回であってもよく、また、4回以上であってもよい。
SD21でYesと判定された場合、閾値設定部472は、判定回数をあらかじめ設定された設定値である「3」に変更する(SD15)。
一方、SD21でNoと判定された場合、閾値設定部472は、受信失敗回数を1アップ、つまり、受信失敗回数を1回分増加させる(SD22)。
【0075】
また、閾値設定部472は、受信に成功したと判定された場合(SD7:Yes)、受信失敗回数を「0」に戻す(SD23)。
【0076】
[第4実施形態の作用効果]
本実施形態では、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が所定回数連続して受信に失敗した場合に、時間閾値を上限値よりも短い値に変更する。
受信処理で所定回数連続して受信を失敗する場合として、例えば、電子時計1が強い照明光が照射される室内に長期間放置されているような場合が想定される。
このような場合において、閾値設定部472は、所定回数連続して受信を失敗することを判定するので、受信開始条件以外の原因で受信に失敗した可能性が低い、すなわち、受信開始条件が適切でない可能性が高いと判断することができる。この場合、時間閾値を上限値で維持しても受信成功率は向上しないと判断できるので、閾値設定部472が時間閾値をより短い値に変更することで、受信成功率を向上させることができる。
【0077】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0078】
前記第1、第2、第4実施形態では、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が失敗した場合は、時間閾値をあらかじめ設定された設定値に変更しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、閾値設定部472は、時間閾値を下限値や中央値に変更してもよく、また、上限値よりも1段階短い値に設定してもよく、上限値よりも短い値に変更すればよい。
同様に、前記第3実施形態では、閾値設定部472は、時間閾値が上限値に設定された状態で実行された受信処理が失敗した場合は、時間閾値を受信成功数が最も多い値に変更しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、閾値設定部472は、時間閾値を受信成功率が最も高い値や受信成功回数が所定回数以上で最も短い値に変更してもよく、上限値よりも短い値に変更すればよい。なお、閾値設定部472は、受信成功率に基づいて判定回数を変更する場合、記憶部48には受信成功回数と対応付けて受信開始回数が記憶される。
【0079】
前記各実施形態では、充電状態の検出を5秒間隔で行っていたが、この間隔に限定されず、例えば、1秒間隔、10秒間隔や1分間隔に設定してもよい。
前記各実施形態では、自動受信処理時には測時モードで受信し、測位モードでの受信は強制受信処理時のみに行う形態としたが、当然、測位モードでの受信を自動受信処理で行ってもよい。例えば、自動受信処理時の受信モードをユーザーが予め選択できるようにしておき、測位モードが選択された場合には自動受信処理時に測位モードで受信し、測時モードが選択された場合には自動受信処理時に測時モードで受信すればよい。
なお、自動受信処理を測位モードで行う場合は、位置情報の算出に必要な情報を取得できなかった場合に、受信に失敗したと判定してもよい。
【0080】
前記各実施形態では、受信処理が実行された場合、翌日の0時まで受信処理は実行されないが、本発明はこれに限定されない。例えば、受信処理が12時よりも前に実行された場合は、12時まで受信処理が実行されないようにし、受信処理が12時以降に実行された場合は、翌日の0時まで受信処理が実行されないようにしてもよい。
【0081】
前記各実施形態では、光の照度が3000ルクス以上に相当する5.2V以上の開放電圧が検出された場合に高照度状態としたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、高照度状態を検出する閾レベルに相当する開放電圧は、屋内における一般的な照明光による照度によって検出される値よりも高い値に設定されていればよい。
【0082】
前記各実施形態では、閾値設定部472は、所定回数、連続して受信に成功したと判定された場合に、時間閾値をより短い値に変更していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、閾値設定部は、受信を成功する毎に時間閾値を短い値に変更してもよい。また、閾値設定部は、所定期間の間、受信処理が実行されなかった場合に、時間閾値を短い値に変更してもよい。
【0083】
本発明の電子機器は、腕時計(電子時計)に限定されず、例えば、携帯電話、登山等に用いられる携帯型のGPS受信機等、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する装置に広く利用できる。
【0084】
前記各実施形態では、位置情報衛星の例として、GPS衛星100について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、位置情報衛星としては、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、Beidou(中国)などの他の全地球的公航法衛星システム(GNSS)で利用される衛星が適用できる。また、静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)などの静止衛星や、準天頂衛星等の特定の地域のみで検索できる地域的衛星測位システム(RNSS)などの衛星も適用できる。
また、電池としては、二次電池130に限らず、一次電池でもよい。この場合、光透過性を有する文字板を使用する必要がないので、文字板に装飾性の高いデザインを施すことができる。また、この場合、照度検出部として照度センサーを設け、照度センサーの検出値により高照度状態を判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…電子時計、100…GPS衛星、50…太陽電池、130…二次電池、41…ダイオード、42…充電制御用スイッチ、421…スイッチング素子、43…充電状態検出回路、44…電圧検出回路、45…GPS受信回路(受信部)、46…時計部(計時部、時刻修正部)、47…制御回路、471…受信制御部、472…閾値設定部、48…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12