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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】商品補充装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
A47F5/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018063327
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019170745
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176201
【弁理士】
【氏名又は名称】小久保 篤史
(72)【発明者】
【氏名】星出 薫
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-064501(JP,A)
【文献】特開2003-118813(JP,A)
【文献】特開2009-268743(JP,A)
【文献】特許第6202702(JP,B1)
【文献】特開平06-156615(JP,A)
【文献】特開2011-042438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の商品棚に対して設置可能な商品補充装置であって、
互いに平行に第1方向に延在する二本の第1フレーム部材と、該第1方向とは異なる第2方向に互いに平行に延在する二本の第2フレーム部材とを含む複数のフレーム部材を有し、該二本の第1フレーム部材および該二本の第2フレーム部材によって、前記商品棚において所定の商品が配置される商品配置領域を囲むように、ユーザが該所定の商品にアクセスする該商品棚の正面とは反対側の該商品棚の背面側に設置されることで、該商品棚の背面に沿った補充空間を形成するフレーム部と、
前記商品棚に補充される前記所定の商品を運ぶ搬送体と
前記搬送体を移動可能に支持する搬送軸であって、前記二本の第2フレーム部材と平行に延在し、且つ、前記二本の第1フレーム部材それぞれに両端部が移動可能に接続された搬送軸と、
前記搬送軸を前記第1フレーム部材に対して相対的に移動させるとともに、前記搬送体を前記搬送軸に対して相対的に移動させることで、前記補充空間内において、前記第1方向および前記第2方向に前記搬送体を移動させ、それによって、前記商品補充装置の外部から前記所定の商品を受け入れる受入位置と、前記商品配置領域内における該所定の商品が補充されるべき位置に対応する補充位置との間で、前記搬送体を移動させる移動制御部と、
を備える、商品補充装置。
【請求項2】
前記第2方向が前記第1方向と直交する方向であって、
互いに平行に前記第1方向に延在する二本の前記第1フレーム部材の各端部と、互いに平行に前記第2方向に延在する二本の前記第2フレーム部材の各端部とが連結されることで、前記フレーム部が四角形状に形成されている請求項1に記載の商品補充装置。
【請求項3】
前記フレーム部における前記第1フレーム部材または前記第2フレーム部材の少なくともいずれか一方の内部に、前記搬送体を移動させるための駆動機構が内蔵されている請求項1または2に記載の商品補充装置。
【請求項4】
前記フレーム部が、前記複数のフレーム部材によって、前記商品配置領域に加えて、前記商品棚の背面から側方に突出した領域であって、前記商品補充装置の外部から前記所定
の商品を受け入れる受入領域を更に囲むように、前記商品棚の背面側に設置される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の商品補充装置。
【請求項5】
前記フレーム部が、二つの前記商品棚に挟まれて配置され、
該フレーム部によって形成される前記補充空間は、前記二つの商品棚のうち第1の商品棚の背面側であって、且つ該二つの商品棚のうち第2の商品棚の背面側に形成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の商品補充装置。
【請求項6】
前記商品棚の前記商品配置領域内における前記所定の商品が補充されるべき位置にユーザがアクセス可能である場合には、前記移動制御部による、前記受入位置から前記補充位置までの前記搬送体の移動が禁止される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の商品補充装置。
【請求項7】
前記商品棚の前記商品配置領域内における前記所定の商品が補充されるべき位置にユーザがアクセス可能である場合には、前記移動制御部によって前記受入位置から前記補充位置まで前記搬送体が移動された後における、該搬送体から該商品棚への該所定の商品の移動が禁止される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の商品補充装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品棚に商品を補充する商品補充装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においては、様々な商品が陳列された商品棚が設置されている。そして、ユーザ(店舗利用者)は、目当ての商品を商品棚から取り上げて、該商品を購入する。そのため、店舗においては、ユーザがある商品を購入することで、商品棚に陳列されている該商品の数が減少したり、または、商品棚から該商品がなくなったりした場合、該商品を該商品棚に補充する必要がある。
【0003】
一方、近年においては、ユーザの利便性向上等を目的として、店舗における商品の自動販売システムに関する様々な技術が開発されている。例えば、特許文献1には、店舗において、ユーザが購入を希望する商品のコードをリーダで読み取るとともに、読み取られたコードに対応する商品を商品棚(収納ケース)から取り出した上で、商品引渡機まで該商品を搬送する自動販売システムに関する技術が開示されている。また、この特許文献1に記載のシステムでは、商品棚から商品を取り出すための商品取出装置が該商品棚の正面に設置されている。この商品取出装置は、商品棚に対して縦方向および横方向に移動可能であり、ホストコンピュータによって指定された商品を商品棚から取り出す。さらに、この商品取出装置は、ホストコンピュータからの指令に基づき、商品棚に対する商品の補充も逐次行う。このとき、商品取出装置は、補充用の商品が置かれている商品補充ケースの棚から商品を取り出して、該商品を商品棚に補充する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-161406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、店舗に設置されている商品棚には、適切なタイミングで商品を補充する必要がある。ここで、通常、商品を購入するユーザは、商品棚に陳列されている商品に対して該商品棚の正面からアクセスする。そのため、例えば、店舗の店員が商品棚に対して正面から商品の補充作業を行った場合、該店員が、該商品を該装品棚から取り出して購入しようとしたユーザの邪魔になる虞がある。
【0006】
また、商品棚への商品の補充を、店員に代えて、ロボット等の商品補充装置を用いて行うことが考えられる。しかしながら、このような商品補充装置を用いる場合においても、該装置の配置に必要なスペースを考慮すると、既存の店舗設計では、やはり、商品の補充作業は商品棚に対して正面から行わざるを得ないのが一般的である。そうなると、店員が補充作業を行う場合と同様に、商品補充装置がユーザの邪魔になる虞がある。さらに、このような商品補充装置を採用した場合において、店舗内におけるユーザの動線上に該装置が配置されると、該ユーザに対する安全性の確保を図るのが困難となる虞もある。
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであって、商品棚に対する商品の補充をより好適に行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る商品補充装置は、
既設の商品棚に対して設置可能な商品補充装置であって、
第1方向に延在する第1フレーム部材と、該第1方向とは異なる第2方向に延在する第2フレーム部材とを含む複数のフレーム部材を有し、該複数のフレーム部材によって、前記商品棚において所定の商品が配置される商品配置領域を囲むように、ユーザが該所定の商品にアクセスする該商品棚の正面とは反対側の該商品棚の背面側に設置されることで、該商品棚の背面に沿った補充空間を形成するフレーム部と、
前記商品棚に補充される前記所定の商品を運ぶ搬送体であって、前記フレーム部によって該商品棚の背面に形成された前記補充空間内を前記第1方向および前記第2方向に移動可能な搬送体と、
前記補充空間内において、前記商品補充装置の外部から前記所定の商品を受け入れる受入位置と、前記商品配置領域内における該所定の商品が補充されるべき位置に対応する補充位置との間で、前記搬送体を移動させる移動制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、商品棚に対する商品の補充をより好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る商品補充装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】実施例1に係る商品補充装置が商品棚に設置されたときの様子を示す図である。
図3】第1フレーム部材に内蔵された駆動機構の概略構成を示す図である。
図4】搬送体から商品棚に商品を移動させるための機構について説明するための図である。
図5】実施例1の変形例3において、商品補充装置が二つの商品棚に対して設置されたときの様子を示す図である。
図6】実施例1の変形例4に係る商品補充装置の概略構成を示す斜視図である。
図7】実施例2に係る、商品補充装置における、制御装置および監視装置の機能を説明するためのブロック図である。
図8】実施例2に係る補充禁止制御のフローを示すフローチャートである。
図9】実施例2の変形例に係る補充禁止制御のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る商品補充装置は、既設の商品棚に対して設置可能である。そして、本発明に係る商品補充装置は、商品棚における、ユーザが所定の商品にアクセスする該正面とは反対側の背面側に設置されるフレーム部を備えている。フレーム部は、第1方向に延在する第1フレーム部材と、該第1方向とは異なる第2方向に延在する第2フレーム部材とを含む複数のフレーム部材を有している。そして、複数のフレーム部材によって、商品棚において所定の商品が配置される商品配置領域が囲まれている。複数のフレーム部材がこのように配置されることで、商品棚の背面に、商品棚における商品配置領域に所定の商品を補充するために用いられる補充空間が形成される。つまり、補充空間は、商品棚の背面側においてフレーム部によって囲まれた空間である。
【0012】
また、本発明に係る商品補充装置は、商品棚に補充される所定の商品を運ぶ搬送体を備えている。この搬送体は、商品棚の背面側に形成された補充空間内を、第1フレーム部材が延在する方向である第1方向、および、第2フレーム部材が延在する第2方向に移動可能に構成されている。つまり、搬送体は補充空間内を二次元の方向に移動可能である。したがって、搬送体は、商品棚の背面側において、商品配置領域内における所定の商品が補充されるべき位置に対応する位置に移動することができる。
【0013】
そして、本発明に係る商品補充装置では、移動制御部によって搬送体の移動が制御される。ここで、商品棚に所定の商品を補充する際には、商品補充装置の外部から補充用の商品が該商品補充装置に運び込まれる。このとき、商品補充装置の外部から所定の商品を受け入れる補充空間内の位置を受入位置とする。また、商品配置領域内における所定の商品が補充されるべき位置に対応する補充空間内の位置を補充位置とする。そして、移動制御部は、補充空間内において、搬送体を受入位置と補充位置との間で移動させる。つまり、受入位置において補充用の商品を搬送体上に受け入れた後、移動制御部は、該搬送体を該補充用の商品とともに補充位置に移動させる。これによって、所定の商品が搬送体によって運ばれることになる。また、移動制御部は、補充位置において補充用の商品を搬送体から商品棚に移動させて補充した後、該搬送体を受入位置に移動させる。
【0014】
本発明に係る商品補充装置は、既設の商品棚の背面側にフレーム部を配置するスペースがあれば、該商品棚に対して設置することができる。そして、フレーム部を商品棚の背面側に設置することで、該商品棚の背面側に補充空間を形成することができる。さらに、商品棚の背面側に形成された補充空間内において搬送体を移動させることで、該補充空間から商品棚における所望の位置に所定の商品を補充することができる。したがって、ユーザの邪魔になることなく、且つ、ユーザに対する安全性を確保しつつ、商品棚に対して商品を補充することが可能となる。
【0015】
以下、本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
<実施例1>
本実施例に係る商品補充装置の概略構成について図1から図4に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る商品補充装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、本実施例に係る商品補充装置が商品棚に設置されたときの様子を示す図である。商品補充装置1は、店舗において、所定の商品を陳列する商品棚Aに対して該所定の商品を補充するための装置である。商品補充装置1は、フレーム部10と、搬送装置20とを備えている。
【0017】
(フレーム部)
フレーム部10は、互いに平行に水平方向に延在する二本の第1フレーム部材11a,11bと、互いに平行に垂直方向に延在する二本の第2フレーム部材12a,12bと、を有している。つまり、フレーム部10を形成する第1フレーム部材11a,11bと第2フレーム部材12a,12bとは互いに直交する方向に延在している。そして、フレーム部10は、一方の第1フレーム部材11aの一端部と一方の第2フレーム部材12aの一端部とが連結され、一方の第1フレーム部材11aの他端部と他方の第2フレーム部材12bの一端部とが連結されるとともに、他方の第1フレーム部材11bの一端部と一方の第2フレーム部材12aの他端部とが連結され、他方の第1フレーム部材11bの他端部と他方の第2フレーム部材12bの他端部とが連結されることで、四角形状に形成されている。なお、本実施例では、二本の第1フレーム部材11a,11bのうち、第1フレーム部材11aが上方側に配置されており、第1フレーム部材11bが下方側に配置されている。また、二本の第2フレーム部材12a,12bのうち、第2フレーム部材12aが、商品棚Aの背面に向って左側に配置されており、第2フレーム部材12bが、商品棚Aの背面に向って右側に配置されている。
【0018】
店舗においては、商品棚Aに陳列された所定の商品に対してユーザ(店舗利用者)がその正面から該所定の商品にアクセスするように、該商品棚Aが設置されている。そして、商品補充装置1が商品棚Aに対して設置される場合、フレーム部10が該商品棚Aの背面
側に設置される。また、フレーム部10は、商品棚Aの背面側に設置された際に、該商品棚Aにおいて所定の商品が配置される領域である商品配置領域、および、商品棚Aの背面から側方に突出した領域である受入領域を、二本の第1フレーム部材11a,11bおよび二本の第2フレーム部材12a,12bによって囲むように形成されている。ここで、受入領域は、商品棚Aに補充する補充用の商品を商品補充装置1の外部から受け入れるための領域である。
【0019】
上記のように、商品棚Aの背面側において、商品配置領域および受入領域を囲むようにフレーム部10が設置されることで、該フレーム部10によって囲まれた空間であって、商品棚Aの背面に沿った空間である補充空間が形成される。商品補充装置1は、この補充空間を介して、商品棚Aにおける商品補充領域に所定の商品を補充する。
【0020】
なお、図2においては、商品棚Aの全ての領域が商品配置領域となっている。そのため、商品棚Aの背面全面がフレーム部10によって囲まれている。しかしながら、必ずしも、商品棚Aの背面全面がフレーム部10によって囲まれる必要はない。つまり、所定の商品が配置される商品配置領域が商品棚Aの一部の領域である場合は、該商品棚Aの背面において該一部の領域がフレーム部10によって囲まれていればよい。
【0021】
(搬送装置)
搬送装置20は、商品棚Aに補充すべき所定の商品を搬送するための装置である。搬送装置20は、一対の搬送軸21および搬送体22を有している。搬送軸21は、搬送体22を支持するとともに、該搬送体22を移動させるための部材である。各搬送軸21は、フレーム部10によって囲まれた空間内において、第2フレーム部材12a,12bに平行に延在している(つまり、各搬送軸21は垂直方向に延在している。)。そして、各搬送軸21の一端部(上方側端部)が一方の第1フレーム部材11aに移動可能に接続されており、各搬送軸21の他端部(下方側端部)が他方の第1フレーム部材11bに移動可能に接続されている。また、搬送体22は、商品棚Aにおいて所定の商品を補充すべき位置まで補充用の商品を運ぶための部材である。搬送体22は、一対の搬送軸21に挟み込まれて、該一対の搬送軸21に対して相対的に移動可能に支持されている。
【0022】
搬送装置20が上記のように構成されることで、搬送軸21が第1フレーム部材11a,11bに対して相対的に移動すると、フレーム部10によって囲まれた補充空間内を搬送体22が水平方向に移動することになる。また、搬送軸21に対して搬送体22が相対的に移動すると、フレーム部10によって囲まれた補充空間内を該搬送体22が垂直方向に移動することになる。つまり、商品補充装置1においては、補充空間内を搬送体22が二次元の方向に移動可能となっている。
【0023】
(駆動機構)
また、第1フレーム部材11bの内部には、搬送軸21を第1フレーム部材11a,11bに対して相対的に移動させるための駆動機構100が内蔵されている。図3は、第1フレーム部材11bに内蔵された駆動機構100の概略構成を示す図である。駆動機構100には、ボールねじ式の駆動システムが採用されている。駆動機構100は、ボールねじユニット110、案内装置120、テーブル103、モータ101、およびエンコーダ102を備えている。
【0024】
ボールねじユニット110は、ねじ軸111、ナット部材112、およびサポート軸受113a,113bを有している。ねじ軸111は、第1フレーム部材11bの長手方向に延びている。また、ねじ軸111は、一対のサポート軸受113a,113bに回転可能に支持されている。各サポート軸受113a,113bは第1フレーム部材11bの内壁に固定されている。また、ねじ軸111には、ナット部材112が、該ねじ軸111の
軸方向に移動可能に嵌合されている。ねじ軸111の外周面にはボール転動溝が形成されている。そして、このボール転動溝を転動する複数のボール(図示略)が間に介在した状態でねじ軸111にナット部材112が嵌められている。ナット部材112の内部にはボール戻し通路が形成されている。そして、ねじ軸111に形成されたボール転動溝とナット部材112に形成されたボール戻し通路とによって、複数のボールが循環する無限循環通路が形成される。ねじ軸111の軸方向にナット部材112が移動する際には、この無限循環通路内を複数のボールが循環する。
【0025】
また、ボールねじユニット110のナット部材112にはテーブル103が取り付けられている。そして、テーブル103に、搬送装置20の搬送軸21の下端部が取り付けられている。したがって、ねじ軸111の軸方向へナット部材112およびテーブル103が移動すると、それに伴って、搬送軸21が第1フレーム部材11a,11bに対して相対的に移動することになる。
【0026】
また、案内装置120は、テーブル103を支持しつつ、ねじ軸111の軸方向へのナット部材112の移動に応じた該テーブル103の移動を案内するための装置である。案内装置120は、二本のレール121a,121bと、四つのブロック122a,122b,122c,122dとを有している。二本のレール121a,121bは、それぞれ、ねじ軸111の軸方向(すなわち、第1フレーム部材11bの長手方向)に延び、該ねじ軸111を挟んで互いに平行に配置されている。なお、各レール121a,121bは、第1フレーム部材11bの内壁に固定されている。そして、一方のレール121aには、ブロック122a,122bが複数のボール(図示略)が間に介在した状態で取り付けられている。また、他方のレール121bには、ブロック122c,122dが複数のボール(図示略)が間に介在した状態で取り付けられている。
【0027】
これにより、ブロック122a,122bがレール121aの軸方向に移動可能であり、且つ、ブロック122c,122dがレール121bの軸方向に移動可能なように案内装置120が構成されている。そして、各ブロック122a,122b,122c,122dにテーブル103が固定されている。これにより、ねじ軸111の軸方向へのナット部材112の移動に応じてテーブル103が移動すると、ブロック122a,122b,122c,122dがレール121a,121bの軸方向に移動することで該テーブル103の移動を案内する。
【0028】
また、駆動機構100においては、ボールねじユニット110のねじ軸111の一方の端部がモータ101の回転軸にカップリング部材(図示略)を介して接続されており、該モータ101によって該ねじ軸111が回転駆動される。そして、ねじ軸111が回転駆動することで該ねじ軸111の軸方向にナット部材112が移動する。さらに、モータ101には、ねじ軸111の回転状態に関する状態量(例えば、ねじ軸111の回転位置や回転速度)を検出するエンコーダ102が設けられている。
【0029】
また、本実施例に係る商品補充装置1は、補充空間内における搬送体22の移動を制御するための制御装置30を備えている。制御装置30は、各種のプログラムを実行することで搬送体22の移動を制御するコンピュータである。制御装置30には、駆動機構100のモータ101およびエンコーダ102が電気的に接続されている。そして、エンコーダ102によって検出された、ねじ軸111の回転状態に関する状態量の検出値が制御装置30に入力される。エンコーダ102から入力された検出値に基づいて、制御装置30がモータ101の駆動を制御する。これにより、第1フレーム部材11a,11bに対する搬送軸21の移動が制御される。
【0030】
さらに、二本の搬送軸21のうちの一方の内部には、搬送体22を搬送軸21に対して
相対的に移動させるための駆動機構(図示略)が内蔵されている。この搬送体22の移動用の駆動機構としても、上述した搬送軸21の移動用の駆動機構100と同様のボールねじ式の駆動システムが採用されている。そして、制御装置30によって、搬送軸21に対する搬送体22の移動が制御される。
【0031】
なお、上記のように、本実施例においては、搬送軸21および搬送体22の移動のための駆動機構としてボールねじ式の駆動システムが採用されているが、該駆動機構としては、ボールねじ式の駆動システム以外の公知の機構(例えば、リニアモータ式の駆動システム)を採用することもできる。
【0032】
上述したように、本実施例に係る商品補充装置1においては、第1フレーム部材11a,11bに対する搬送軸21の移動、および、搬送軸21に対する搬送体22の移動を制御することで、制御装置30が、補充空間内における搬送体22の移動を制御する。そして、制御装置30は、商品棚Aに所定の商品を補充する場合、補充空間内において、搬送体22を受入位置と補充位置との間で移動させる。ここで、商品棚Aに所定の商品を補充する際には、商品補充装置1の外部から補充用の商品が該商品補充装置1に運び込まれる。このとき、商品補充装置1の外部から補充用の商品を受け入れる補充空間内の位置が受入位置である。ここで、上述したように、本実施例では、商品棚Aの背面から側方に突出した領域として受入領域が形成されている。そして、補充空間における、この受入領域の範囲内に受入位置が設定されている。また、商品配置領域内における所定の商品が補充されるべき位置に対応する補充空間内の位置が補充位置である。
【0033】
図2に示すように、制御装置30は、商品補充装置1の外部から補充用の商品を受け入れる際には、補充空間内における受入位置に搬送体22を配置させる。そして、受入位置において補充用の商品を搬送体22上に受け入れた後、制御装置30は、該搬送体22を、該補充用の商品とともに、補充空間内における補充位置に移動させる。これにより、補充用の商品が搬送体22によって補充位置に運ばれる。このとき、制御装置30は、搬送軸21を第1フレーム部材11a,11bに対して相対的に移動させることで、搬送体22を水平方向に移動させる。さらに、制御装置30は、搬送体22を搬送軸21に対して相対的に移動させることで、該搬送体22を垂直方向に移動させる(図2においては、白抜き矢印が搬送体22の移動を表している)。なお、第1フレーム部材11a,11bに対する搬送軸21の移動、および、搬送軸21に対する搬送体22の移動を同時に行うことで、補充空間内を斜めの方向に該搬送体22を移動させることもできる。
【0034】
(搬送体)
制御装置30は、補充用の商品とともに搬送体22を補充位置まで移動させた後、該商品を該搬送体22から商品棚Aに移動させる。図4は、搬送体22から商品棚Aに商品を移動させるための機構について説明するための図である。図4に示すように、搬送体22は、載置部22aおよび押出部22bを有している。載置部22aには、補充用の商品が載置される。そして、押出部22bが、載置部22a上を前後方向に移動可能に該載置部22aに取り付けられている。なお、この押出部22bを移動させるための駆動機構としては、公知のどのような機構を用いてもよい。また、本実施例1では、搬送体22における載置部22a上の押出部22bの移動も制御装置30によって制御される。そして、制御装置30は、図4の白抜き矢印で示すように、補充位置において、押出部22bを前方に移動させることで、載置部22aに載置されていた補充用の商品を該押出部22bによって押し出して、該商品を該載置部22aから商品棚Aに移動させる。これによって、商品棚Aにおける商品配置領域内に所定の商品を補充することができる。
【0035】
また、制御装置30は、補充位置において、上記のように補充用の商品を搬送体22から移動させて該商品棚Aに補充した後、該搬送体22を受入位置に移動させる。
【0036】
本実施例に係る商品補充装置1は、既設の商品棚の背面側にフレーム部10を配置するスペースがあれば、該商品棚に対して設置することができる。そして、フレーム部10を商品棚の背面側に設置することで、該商品棚の背面側に補充空間を形成することができる。また、補充空間内において、搬送体22を二次元の方向に移動させることができるため、商品棚の商品配置領域内における所定の商品が補充されるべき位置に、補充用の商品を補充することが可能となる。つまり、商品棚の背面側に形成された補充空間から、商品棚における所望の位置に所定の商品を補充することができる。したがって、ユーザの邪魔になることなく、且つ、ユーザに対する安全性を確保しつつ、商品棚に対して商品を補充することが可能となる。
【0037】
(変形例1)
上記実施例1では、フレーム部10の形状を、水平方向に延在する二本の第1フレーム部材11a,11b、および、垂直方向に延在する二本の第2フレーム部材12a,12bによって形成される四角形状とした。しかしながら、フレーム部10の形状はこれに限られるものではない。つまり、第1フレーム部材11a,11bが延在する方向は水平方向に限られるものではなく、また、第2フレーム部材12a,12bが延在する方向も垂直方向に限られるものではない。すなわち、フレーム部10が、第1方向に延在する第1フレーム部材と、第1方向とは異なる第2方向に延在する第2フレーム部材とを含んで構成されていればよい。そして、第1フレーム部材および第2フレーム部材によって囲まれることで形成される補充空間内を搬送体22が第1方向および第2方向に移動可能なように構成されていればよい。このように構成されることで、補充空間内を搬送体22が二次元の方向に移動することが可能となる。
【0038】
ただし、店舗に設置されている商品棚の構造は、四角形状の外枠に対して複数段の棚が設けられている構造が一般的である。そのため、フレーム部10の形状を、上記実施例1のような第1フレーム部材11a,11bおよび第2フレーム部材12a,12bによって形成される四角形状とすることで、一般的な商品棚の背面全面に対応した補充空間が形成されるように、商品補充装置1を設置することがより容易となる。例えば、このような一般的な商品棚が、水平面となっていない床面に設置されている場合においても、該商品棚の外枠に合わせてフレーム部10をその背面側に取り付けることで、該商品棚の背面全面に対応した補充空間を形成することができる。また、フレーム部10をこのように取り付けることで、商品棚が設置されている床面が水平面となってない場合であっても、搬送体22を、水平方向および垂直方向に移動させることが可能となる。
【0039】
(変形例2)
また、上記実施例1では、図2に示すように、商品棚Aにおける商品配置領域のみならず、商品棚Aの背面から側方に突出した領域であって、補充用の商品を外部から受け入れるための受入領域をも囲むように、フレーム部10が構成されている。しかしながら、必ずしも、フレーム部10を、このような受入領域をも囲むような構成とする必要はない。つまり、フレーム部10の構成を、商品棚の背面の範囲内において、該商品棚における商品配置領域のみを囲むような構成としてもよい。この場合、フレーム部10を、商品棚の背面の範囲内に収まるように設置することが可能となる。ただし、この場合、補充空間における受入位置も商品棚の背面の範囲内に位置することになる。そのため、商品棚の背面側に、商品補充装置1に対して、その外部から補充用の商品を運び込むためのスペースを設ける必要が生じる。これに対し、上記実施例1のように、フレーム部10の構成を、商品配置領域のみならず、商品棚の背面から側方に突出した受入領域をも囲むような構成とすることで、補充空間における受入位置を該受入領域内に設定することができる。そして、補充空間における受入位置を該受入領域内に設定することで、商品棚の側方において、補充用の商品を補充空間内に受け入れることが可能となる。したがって、商品棚の背面側
に、補充用の商品を運び込むためのスペースを設ける必要がなくなる。
【0040】
(変形例3)
図5は、本変形例において、商品補充装置1が二つの商品棚A,Bに対して設置されたときの様子を示す図である。図5に示すように、商品補充装置1が二つの商品棚A,Bに対して設置される場合、フレーム部10が商品棚Aの背面と商品棚Bの背面とに挟まれるように設置されてもよい。このとき、フレーム部10は、商品棚Aにおける商品補充領域、および、商品棚Bにおける商品補充領域を囲むように配置される。これによれば、フレーム部10によって囲まれることで形成される補充空間が、商品棚Aの背面側であって、且つ商品棚Bの背面側に形成されることになる。
【0041】
このように、二つの商品棚A,Bに対して、商品棚Aの背面側であって、且つ商品棚Bの背面側に補充空間が形成されるようにフレーム部10が配置されることで、一つの商品補充装置1を用いて、該二つの商品棚A,Bに商品を補充することが可能となる。また、この場合も、ユーザの邪魔になることなく、且つ、ユーザに対する安全性を確保しつつ、二つの商品棚A,Bに商品を補充することができる。
【0042】
(変形例4)
図6は、本変形例に係る商品補充装置の概略構成を示す斜視図である。本変形例では、搬送装置20における一対の搬送軸21が、フレーム部10によって囲まれた空間内において、第1フレーム部材11a,11bに平行に延在している(つまり、各搬送軸21は水平方向に延在している。)。そして、各搬送軸21の一端部が一方の第2フレーム部材12aに移動可能に接続されており、各搬送軸21の他端部が他方の第2フレーム部材12bに移動可能に接続されている。また、搬送体22は、上記実施例1と同様、一対の搬送軸21に挟み込まれて、該一対の搬送軸21に対して相対的に移動可能に支持されている。
【0043】
さらに、本変形例では、一方の第2フレーム部材12aの内部に、搬送軸21を第2フレーム部材12a,12bに対して相対的に移動させるための駆動機構が内蔵されている。また、上記実施例1と同様、二本の搬送軸21のうちの一方の内部には、搬送体22を搬送軸21に対して相対的に移動させるための駆動機構が内蔵されている。これらの駆動機構の構成は実施例1に係る駆動機構と同様である。また、本変形例においても、これらの駆動機構におけるモータの駆動がが制御装置30によって制御される。
【0044】
本変形例に係る構成によれば、搬送軸21が第2フレーム部材12a,12bに対して相対的に移動すると、フレーム部10によって囲まれた補充空間内を搬送体22が垂直方向に移動することになる。また、搬送軸21に対して搬送体22が相対的に移動すると、フレーム部10によって囲まれた補充空間内を搬送体22が水平方向に移動することになる。つまり、本変形例に係る構成であっても、商品補充装置1において、補充空間内を搬送体22が二次元の方向に移動可能となる。したがって、商品補充装置1を本変形例に係る構成とした場合でも、補充空間内において、搬送体22を受入位置と補充位置との間で移動させることができる。そのため、商品棚の商品配置領域内における所定の商品が補充されるべき位置に、補充用の商品を補充することができる。
【0045】
<実施例2>
本実施例においては、商品補充装置が監視装置を備えている。図7は、本実施例に係る、商品補充装置1における、制御装置30および監視装置40の機能を説明するためのブロック図である。なお、本実施例においても、商品補充装置1における監視装置40以外の構成は実施例1と同様である。
【0046】
監視装置40は、商品棚の商品配置領域内における所定の商品が補充されるべき位置(以下、「目標補充位置」と称する場合もある。)にユーザがアクセス可能か否かを監視するための装置である。監視装置40は、例えば、商品棚の正面を撮影するカメラを有していてもよい。そして、商品棚の正面側における、商品棚の目標補充位置にアクセス可能な所定の範囲(以下、「アクセス可能範囲」と称する場合もある。)内にユーザが存在するか否かを、カメラによって撮影された画像に基づいて検知してもよい。また、監視装置40は、カメラ以外のセンサによって、アクセス可能範囲内にユーザが存在するか否かを検知してもよい。そして、アクセス可能範囲内にユーザが存在していた場合、監視装置40は、商品棚における目標補充位置にユーザがアクセス可能と判定してもよい。また、商品棚の正面に扉が設置されている場合、監視装置40は、目標補充位置に対応する扉が開いたか否かを検知してもよい。そして、目標補充位置に対応する扉が開いた場合、監視装置40は、商品棚における目標補充位置にユーザがアクセス可能と判定してもよい。
【0047】
ここで、上述したように、商品補充装置1は、商品棚の背面側から該商品棚における目標補充位置に所定の商品を補充する。このとき、商品棚の正面側から目標補充位置にユーザがアクセスしているタイミングで、該目標補充位置に所定の商品が補充されると、補充された商品とユーザとが接触することで、ユーザが負傷したり、商品が破損したりする虞がある。そこで、本実施例では、監視装置40が、商品棚における目標補充位置にユーザがアクセス可能と判定した場合、目標補充位置への所定の商品の補充を禁止するための補充禁止信号を該監視装置40が制御装置30に送信する。そして、監視装置40から補充禁止信号を受信した場合、制御装置30は、商品補充装置1による目標補充位置への所定の商品の補充を禁止する。
【0048】
図8は、制御装置30によって実行される、目標補充位置への所定の商品の補充を禁止するための補充禁止制御のフローを示すフローチャートである。本フローは、商品補充装置1に対して、商品棚への所定の商品の補充が要求されているときに、制御装置30によって所定の間隔で繰り返し実行される。
【0049】
本フローでは、S101において、監視装置40から補充禁止信号を受信したか否かが判別される。このS101において否定判定された場合、本フローの実行が一旦終了される。この場合、目標補充位置へ所定の商品の補充するための制御が実行される。一方、S101において肯定判定された場合、次にS102において、搬送体22の受入位置からの移動が禁止される。これにより、補充用の商品が載置された搬送体22の補充位置への移動が禁止される。その結果、目標補充位置への所定の商品の補充が禁止されることになる。
【0050】
上記のような補充禁止制御によれば、商品棚における目標補充位置にユーザがアクセス可能な状況下においては、商品補充装置1による目標補充位置への所定の商品の補充が禁止される。そのため、商品棚における目標補充位置にユーザがアクセスしているタイミングで該目標補充位置に所定の商品が補充されることが抑制される。その結果、商品棚に補充された商品とユーザとが接触することを抑制することができる。
【0051】
(変形例)
図9は、本実施例の変形例に係る補充禁止制御のフローを示すフローチャートである。本フローは、図8に示すフローと同様、商品補充装置1に対して、商品棚への所定の商品の補充が要求されているときに、制御装置30によって所定の間隔で繰り返し実行される。
【0052】
本フローにおいても、S101で実行される処理は、図8に示すフローと同様である。そして、S101において肯定判定された場合、次にS202において、搬送体22にお
ける、載置部22aに載置されている補充用の商品に対する押出部22bによる押し出しが禁止される。つまり、本変形例では、制御装置30が監視装置40から補充禁止信号を受信した場合でも、搬送体22の受入位置から補充位置への移動は許容される。ただし、この場合、補充位置における、搬送体22から商品棚への商品の移動が禁止される。その結果、図8に示すフローを実行した場合と同様、目標補充位置への所定の商品の補充が禁止されることになる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・商品補充装置、10・・・フレーム部、11a,11b・・・第1フレーム部材
、12a,12b・・・第2フレーム部材、20・・・搬送装置、21・・・搬送軸、2
2・・・搬送体、22a・・・載置部、22b・・・押出部、30・・・制御装置、40・・・監視装置、100・・・駆動機構、102・・・モータ、103・・・エンコーダ、104・・・テーブル、110・・・ボールねじユニット、120・・・案内装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9