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特許7176230投薬管理装置、投薬管理方法及び投薬管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】投薬管理装置、投薬管理方法及び投薬管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20221115BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018102327
(22)【出願日】2018-05-29
(65)【公開番号】P2019207537
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博則
(72)【発明者】
【氏名】中村 文彦
(72)【発明者】
【氏名】野崎 大輔
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531334(JP,A)
【文献】特開2002-56099(JP,A)
【文献】特開2015-60509(JP,A)
【文献】特開2013-105302(JP,A)
【文献】特開2014-71592(JP,A)
【文献】特開2003-323497(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0058035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象者に関する薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報を取得する取得部と、
複数の単位投薬期間を設定する設定部と、
前記取得された薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報と、前記設定された単位投薬期間とに基づいて、前記単位投薬期間ごとの薬別の服薬率を算出する算出部と、
前記取得された薬別の投薬情報と前記算出された薬別の服薬率とを前記単位投薬期間ごとに関連付けて表す管理画面データを生成する生成部と、
を備え、
前記投薬情報は、薬特定情報、薬別の規定服薬量を含み、前記薬特定情報及び前記薬別の規定服薬量のうち少なくとも1つが前記単位投薬期間ごとに異なる、
投薬管理装置。
【請求項2】
前記投薬管理装置は、高血圧疾患を有する管理対象者に対する治療において投薬管理を行う、請求項1に記載の投薬管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記投薬情報として、前記薬特定情報、前記薬別の規定服薬量、薬別の投薬開始日及び投薬終了日を取得する、請求項1に記載の投薬管理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記服薬情報として、少なくとも前記薬特定情報及び薬別の服薬日を取得する、請求項1に記載の投薬管理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記服薬情報に基づいて、前記管理対象者が服薬を行ったか否かを薬別に判断する、請求項4に記載の投薬管理装置。
【請求項6】
前記取得部は、更に、投薬開始日及び投薬終了日を取得し、
前記設定部は、前記投薬開始日を前記単位投薬期間の開始日として設定し、前記投薬終了日を前記単位投薬期間の終了日として設定する、請求項1に記載の投薬管理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記投薬開始日として第1通院日を取得し、前記投薬終了日として前記第1通院日の次の通院日である第2通院日を取得する、請求項6に記載の投薬管理装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記薬別の前記服薬率として、前記単位投薬期間において前記薬別に規定された服薬回数に対する実際の服薬回数の割合を算出する、請求項1に記載の投薬管理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記服薬情報として、少なくとも薬別の服薬日及び服薬時間を取得し、 前記生成部は、前記単位投薬期間内に複数の規定服薬時間を設定し、前記取得された薬別の服薬日および服薬時間に基づいて、前記薬別の投薬情報及び前記薬別の服薬率を前記規定服薬時間ごとに関連付けて表す管理画面データを生成する、請求項1に記載の投薬管理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の投薬管理装置が備える各部の機能をプロセッサに実行させる、投薬管理プログラム。
【請求項11】
ハードウェアプロセッサとメモリとを有する装置が実行する投薬管理方法であって、
前記ハードウェアプロセッサが、管理対象者に関する薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報を取得し、取得した前記薬別の投薬情報及び前記薬別の服薬情報を前記メモリに記憶させる過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、複数の単位投薬期間を設定し、設定した前記単位投薬期間を前記メモリに記憶させる過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記薬別の投薬情報、前記薬別の服薬情報、及び前記単位投薬期間に基づいて、前記単位投薬期間ごとの薬別の服薬率を算出し、算出した前記薬別の服薬率を前記メモリに記憶させる過程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記薬別の投薬情報と前記薬別の服薬率とを前記単位投薬期間ごとに関連付けて表す管理画面データを生成する過程と、
を備え、
前記投薬情報は、薬特定情報及び薬別の規定服薬量を含み、前記薬特定情報及び前記薬別の規定服薬量のうち少なくとも1つが前記単位投薬期間ごとに異なる、
投薬管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、家庭や職場等における投薬が必要な疾病を有する管理対象者に対する治療において投薬管理を行う、投薬管理装置、投薬管理方法及び投薬管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、治験における投薬管理を行う治療支援装置が開示されている。この治療支援装置では、管理対象者から送信されてきた生体情報を取得することにより、被験者に対する投薬管理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6040112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の治療支援装置では、管理対象者から送信されてきた生体情報に基づいて、副作用の発症の有無を判断する。そして、副作用の発症状況に基づいて、投薬の有効性を判断する。このような投薬管理方法では、薬を変更した場合に、どの薬が管理対象者にとって飲みにくいのか、又は、管理対象者にとって飲み忘れが多くなる薬はどの薬なのかを把握することが難しい。
【0005】
本発明は、上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、例えば、管理対象者の服薬状況を薬別に把握できるようにし、これにより的確な投薬管理を可能にする投薬管理装置、投薬管理方法及び投薬管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、例えば以下の対策を講じている。
【0007】
すなわち、本開示の一例に係る投薬管理装置は、管理対象者に関する薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報を取得する取得部と、少なくとも一つの単位投薬期間を設定する設定部と、前記取得された薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報と、前記設定された単位投薬期間とに基づいて、前記単位投薬期間ごとの薬別の服薬率を算出する算出部と、前記取得された薬別の投薬情報と前記算出された薬別の服薬率とを前記単位投薬期間ごとに関連付けて表す管理画面データを生成する生成部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、医師または薬剤師などの投薬管理者は、家庭や職場で投薬管理が必要な疾病を有する管理対象者に対する治療において、管理画面データにより、薬別の投薬情報及び薬別の服薬率を単位投薬期間ごとに確認することが可能となる。例えば、投薬管理者は、服薬率管理画面において、投薬の指示に対する服薬の結果を単位投薬期間ごとにかつ薬別に比較することにより、管理対象者に対してアドヒアランス(治療への積極性)を低下させない投薬がどのような投薬であるのか、つまり、管理対象者にとって、飲みやすく、飲み忘れが少ない薬がどの薬であるのかを、判断することができる。
【0009】
上記一例に係る投薬管理装置は、高血圧疾患を有する管理対象者に対する治療において投薬管理を行う。
【0010】
上記一例に係る投薬管理装置において、前記投薬情報として、薬特定情報、薬別の規定服薬量、薬別の投薬開始日及び投薬終了日を取得する。
【0011】
上記一例に係る投薬管理装置において、前記取得部は、前記服薬情報として、少なくとも薬の特定情報及び薬別の服薬日を取得する。
【0012】
ここで、前記取得部は、前記服薬情報に基づいて、前記管理対象者が服薬を行ったか否かを薬別に判断する。
【0013】
上記一例に係る投薬管理装置において、前記取得部は、更に、投薬開始日及び投薬終了日を取得し、前記設定部は、前記投薬開始日を前記単位投薬期間の開始日として設定し、前記投薬終了日を前記単位投薬期間の終了日として設定する。
【0014】
ここで、前記取得部は、前記投薬開始日として第1通院日を取得し、前記投薬終了日として前記第1通院日の次の通院日である第2通院日を取得する。
【0015】
上記一例に係る投薬管理装置において、前記算出部は、前記薬ごとの前記服薬率として、前記単位投薬期間において前記薬ごとに規定された服薬回数に対する実際の服薬回数の割合を算出する。
【0016】
上記一例に係る投薬管理装置において、前記取得部は、前記服薬情報として、少なくとも薬別の服薬日及び服薬時間を取得し、前記生成部は、前記単位投薬期間内に複数の規定服薬時間を設定し、前記取得された薬別の服薬日および服薬時間に基づいて、前記薬別の投薬情報及び前記薬別の服薬率を前記規定服薬時間ごとに関連付けて表す管理画面データを生成する。
【0017】
ここで、前記取得部は、服薬するべき薬が複数種類存在する場合、前記服薬情報として、更に薬特定情報を取得する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、家庭で投薬管理が必要な疾病の治療において、患者等の管理対象者にとって、飲みやすく、飲み忘れが少ない薬がどの薬であるのかを容易に把握できる、投薬管理装置、投薬管理方法及び投薬管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、適用例に係る投薬管理装置の機能構成を例示するブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る投薬管理装置を含む投薬管理システムの構成を例示する模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る血圧測定装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係る医師端末のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図6図6は、第1実施形態に係るサーバのハードウェア構成を例示するブロック図である。
図7図7は、第1実施形態に係る投薬管理装置の一例としての投薬管理回路の機能構成を例示するブロック図である。
図8図8は、第1実施形態に係る投薬管理装置の一例としての投薬管理回路を含む投薬管理システムによる投薬管理の処理手順を例示するフローチャートである。
図9図9は、第1実施形態に係る投薬管理装置の一例としての投薬管理回路における副作用管理処理の手順を例示するフローチャートである。
図10図10は、第1実施形態に係る投薬管理装置の一例としての投薬管理回路における服薬率管理処理の手順を例示するフローチャートである。
図11図11は、第1実施形態に係る投薬管理装置の一例としての投薬管理回路の副作用管理処理によって生成された出力画面データに基づいて表示された副作用管理画面を例示する図である。
図12図12は、第1実施形態に係る投薬管理装置の一例としての投薬管理回路の服薬率管理処理によって生成された出力画面データに基づいて表示された服薬率管理画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、共通する参照符号を有する複数の構成要素を区別する場合、当該共通する参照符号に後続する追加符号を更に付して区別する。なお、複数の構成要素について特に区別を要さない場合、当該複数の構成要素には、共通する参照符号のみが付され、追加符号は付さない。
【0021】
1.適用例
まず、図1を用いて、本発明が適用される投薬管理装置の一例について説明する。
【0022】
投薬管理装置1は、家庭で投薬管理が必要な疾病を有する管理対象者に対する治療における、管理者による投薬管理に用いられる。管理者は、例えば、医師である。管理対象者は、例えば、対象の疾病を有する患者である。投薬管理装置1は、診断画面生成プログラムに基づいて、診断画面生成処理を実行する。診断画面生成プログラムは、投薬管理プログラムの一例である。図1に示すように、投薬管理装置1は、取得部2と、設定部3と、算出部4と、生成部5と、出力部6と、を備える。
【0023】
取得部2は、管理対象者に関する管理情報を取得する。管理情報は、投薬情報及び服薬情報を含む。取得部2は、取得した管理情報を、設定部3に伝達する。
【0024】
投薬情報は、投薬において指定された薬に関する情報である。投薬情報は、例えば、投薬において指定された薬のそれぞれについて、投薬開始日、投薬終了日、薬特定情報、規定服薬量を含む。薬特定情報は、薬名を含み得る。
【0025】
服薬情報は、管理対象者の実際の服薬に関する情報である。服薬情報は、少なくとも、薬特定情報と、薬ごとの服薬日時を含む。服薬情報は、服薬日時に加えて、服薬量等を薬ごとに含むことができる。薬特定情報は、例えば、薬名である。
【0026】
設定部3は、例えば、投薬情報に基づいて、少なくとも一つの単位投薬期間を設定する。単位投薬期間の開始日は、例えば、投薬の開始日と一致し、単位投薬期間の終了日は、例えば、投薬終了日と一致する。投薬開始日及び投薬終了日は、例えば、服薬情報に含まれても良い。それぞれの単位投薬期間内では、投薬において指定された薬特定情報(例えば薬名)、規定服薬量が同じである。単位投薬期間は、1日であってもよく、数日間であってもよい。また、単位投薬期間の長さは、互いに対して異なっていてもよい。設定部は、単位投薬期間の設定情報を、算出部4に伝達する。
【0027】
算出部4は、投薬情報、服薬情報及び単位投薬期間の設定情報に基づいて、単位投薬期間ごとに、かつ、薬ごとに、服薬率を算出する。特定の単位投薬期間における特定の薬についての服薬率は、特定の単位投薬期間内において規定された特定の薬の服薬回数に対する、実際に服薬された回数の割合である。算出部4は、算出した服薬率を、生成部5に伝達する。
【0028】
生成部5は、服薬率管理画面生成処理を実行することにより、投薬情報、単位投薬期間の設定情報、及び、算出部4で算出された服薬率に基づいて、管理対象者に関する服薬率管理画面データを生成する。服薬率管理画面データは、表示装置の表示画面に服薬率管理画面を表示させるための表示データである。服薬率管理画面では、例えば、投薬情報及び服薬率が、単位投薬期間ごとに対応させて、かつ、薬ごとに対応させて配置される。生成部5は、生成した服薬率管理画面データを、出力画面データとして、出力部6に伝達する。
【0029】
出力部6は、生成部5で生成された服薬率管理画面データを、出力画面データとして、表示装置等に出力する。
【0030】
上述のような構成であれば、家庭で投薬管理が必要な疾病を有する診断対象者に対する治療において、管理対象者に関する投薬情報及び服薬率が単位投薬期間ごとにかつ薬ごとに表示された服薬率管理画面を、管理者が利用する表示装置の表示画面に表示することができる。管理者は、服薬率管理画面において各情報を単位投薬期間ごとに比較することにより、管理対象者に対してアドヒアランスを低下させない投薬がどのような投薬であるのかを容易に判断することができる。また、管理者は、服薬率管理画面において各情報を薬ごとに比較することにより、管理対象者に対してアドヒアランスを低下させない薬がどのような薬であるのかを容易に判断することができる。このため、高血圧疾患などの家庭で投薬管理が必要な疾病の治療において、医師などの管理者は、患者等の管理対象者にとって、飲みやすく、飲み忘れが少ない薬がどの薬であるのかを把握することができる。
【0031】
2.第1実施形態
上述の適用例に係る投薬管理装置の第1実施形態について、以下に説明する。以下では、投薬管理回路を有するサーバを含む、投薬管理システムについて説明する。投薬管理回路は、投薬管理装置の一例である。
【0032】
2.1 全体構成例
図2は、本実施形態に係る投薬管理システムの適用場面の一例を模式的に例示する図である。本実施形態に係る投薬管理システムは、高血圧疾患を有する管理対象者に対する投薬を管理するシステムである。高血圧疾患は、生活習慣病の一例である。また、生活習慣病は、家庭で投薬管理が必要な疾病の一例である。
【0033】
図2の例では、投薬管理システムは、医師端末50とサーバ70とを備える。医師端末50とサーバ70とは、インターネットなどのネットワークNWを介して、接続され得る。医師端末50は、複数設けられてもよい。医師端末50とサーバ70の間の通信は、ネットワークNWを介さない、近距離無線通信又は有線通信が適用されてもよい。図2の例では、投薬管理システムは、更に、血圧測定装置10と、携帯端末30と、を備える。血圧測定装置10及び携帯端末30のそれぞれは、複数設けられてもよい。この場合、血圧測定装置10と携帯端末30とは、近距離無線通信、又は有線通信により、接続される。携帯端末30は、ネットワークNWを経由して、サーバ70と接続することができる。携帯端末30は、更に、ネットワークNWを経由して、医師端末50と接続されてもよい。これにより、血圧測定装置10は、携帯端末30を介して、サーバ70(及び医師端末50)と接続され得る。即ち、血圧測定装置10は、携帯端末30を介して、サーバ70(及び医師端末50)と通信可能である。
【0034】
血圧測定装置10は、任意の測定箇所(例えば、手首)に装着可能な装置である。血圧測定装置10は、測定箇所における管理対象者の血圧値を測定する。血圧測定装置10は、血圧値の測定結果等を含む血圧情報を、携帯端末30に送信することができる。また、血圧測定装置10は、管理対象者の脈拍情報を取得することができる。脈拍情報は、脈拍値及び脈波を含む。血圧測定装置10は、脈拍情報を、携帯端末30に送信することができる。血圧測定装置10は、時計機能を備えており、血圧情報及び脈拍情報を測定日時と関連付けて携帯端末30に送信することができる。
【0035】
携帯端末30は、例えば、管理対象者が携帯可能な端末である。携帯端末30は、血圧測定装置10から血圧情報及び脈拍情報を受信する。携帯端末30は、例えば、受信した血圧情報及び脈拍情報を、血圧情報及び脈拍情報の測定日時と共に保存することができる。また、携帯端末30は、保存した血圧情報及び脈拍情報を、測定日時と関連付けて、適宜サーバ70に転送することができる。例えば、血圧情報は、起床後の朝一番の測定結果(最高血圧値と最低血圧値)と、測定結果の平均値などの代表情報とを含むことができる。また、携帯端末30では、管理対象者の服薬情報及び副作用情報が入力されることができる。携帯端末30は、服薬情報及び副作用情報を、サーバ70に転送することができる。
【0036】
医師端末50は、医師などの管理者が操作可能な端末である。医師などの管理者は、例えば、管理対象者を診察し、検査データなどに基づいて管理対象者の病状を診断する。医師端末50は、病院内の図示しない検査装置などから検査データを受信して、管理者に提示することができる。医師端末50からは、管理者の操作により、管理対象者に関する診断情報が入力される。また、医師端末50では、管理者の操作により、管理対象者の投薬情報が入力される。医師端末50は、診断情報及び投薬情報を、サーバ70に送信することができる。
【0037】
サーバ70は、携帯端末30及び医師端末50等から送信された情報を蓄積するサーバコンピュータである。蓄積された情報は、例えば、電子カルテとして記憶される。
【0038】
サーバ70は、投薬管理回路80を備える。投薬管理回路80は、管理対象者に関する管理情報を取得し、取得した管理情報に基づいて、管理対象者に関する管理画面データを生成する。管理画面データは、副作用管理画面データ及び服薬率管理画面データ等を含む。サーバ70は、生成した管理画面データを、出力データとして、医師端末50に送信することができる。なお、サーバ70は、管理画面データの一部を簡易画面データとして生成し、これを携帯端末30用の出力データとして携帯端末30に送信するようにしてもよい。また、投薬管理回路80は、投薬管理装置の一例である。投薬管理回路80の一部又は全部は、例えば医師端末50などに設けられてもよい。
【0039】
医師端末50は、投薬管理回路80で生成された出力データを受信し、受信した出力データに基づいて、副作用管理画面及び服薬率管理画面を表示することができる。医師端末50は、表示装置の一例である。
【0040】
2.2 ハードウェア構成例
本実施形態に係る投薬管理システムにおける各装置のハードウェア構成の一例について説明する。
【0041】
2.2.1 血圧測定装置のハードウェア構成例
まず、本実施形態に係る血圧測定装置10のハードウェア構成例について説明する。図3は、本実施形態に係る血圧測定装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る血圧測定装置10は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15、及び、血圧センサ16を備える。血圧測定装置10は、更に、加速度センサ17及び温湿度センサ18の少なくとも1つを備えてもよい。
【0042】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。また、制御部11は、図示しないクロックを含み、現在の日時を取得する機能を有する。制御部11は、取得した日時を表示部15に表示する機能を有してもよい。
【0043】
制御部11は、血圧センサ16、加速度センサ17、温湿度センサ18による測定結果に基づき、血圧情報、脈拍情報、活動情報、及び、環境情報を生成する。血圧情報及び脈拍情報は、例えば、血圧センサ16による管理対象者の血圧値及び脈拍値、脈波の測定結果等を含む。活動情報は、加速度センサ17による測定に基づく、管理対象者の活動量、歩数、及び睡眠状態を含む。環境情報は、温湿度センサ18による測定に基づく、管理対象者の周辺の温度、及び湿度を含む。血圧情報、脈拍情報、活動情報、及び環境情報の各々は、クロックにより取得した現在日時に基づく測定日時と関連付けられる。また、血圧情報、脈拍情報、活動情報、及び環境情報の各々は、血圧測定装置10を一意に識別する機器IDと更に関連付けられてもよい。
【0044】
記憶部12は、例えば、ソリッドステイトドライブ等の補助記憶装置である。血圧測定装置10が、時計型のような小型機器では無く或る程度大きな機器として構成される場合には、記憶部12は、ハードディスクドライブであってもよい。記憶部12は、制御部11で実行されるプログラム、血圧情報、脈拍情報、活動情報、及び環境情報等を記憶する。
【0045】
通信部13は、携帯端末30との通信を司る通信インタフェースである。通信部13は、例えば、血圧情報、脈拍情報、活動情報、及び環境情報等を携帯端末30へ送信する。本実施形態では、通信部13による携帯端末30との通信は、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信が適用可能であるが、これに限定されない。通信部13による通信は、例えば、LAN(Local Area Network)のようなネットワークNWを介する通信、又は通信ケーブルを用いた有線の通信が適用されてもよい。
【0046】
操作部14は、例えば、タッチパネル及び操作ボタン等のユーザインタフェースを含む。操作部14は、当該ユーザインタフェースを介して管理対象者による操作を検出し、当該操作の内容を示す信号を制御部11に出力する。
【0047】
表示部15は、例えば、表示画面(例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又はEL(Electroluminescence)ディスプレイ等)及びインジケータ等を含む。表示部15は、制御部11からの信号にしたがって情報を表示し、管理対象者へ通知する。表示部15は、例えば、記憶部12に記憶された血圧情報、脈拍情報、活動情報、及び環境情報等を表示することができる。
【0048】
血圧センサ16は、管理対象者の血圧値を測定する。血圧値は、例えば、最高血圧及び最低血圧等の代表的な指数を含む。
【0049】
血圧センサ16は、例えば、管理対象者の血圧を、心拍の一拍ごと(連続的)に測定可能な連続測定型でもよく、所定の時期についてスポット(非連続的)で測定可能な非連続測定型でもよい。連続測定型の血圧センサ16には、例えば、脈波伝播時間(PTT;Pulse Transmit Time)に基づいて管理対象者の血圧を連続的に測定する手法、及び圧脈波に基づいて血圧を連続的に測定する手法(トノメトリ法)等が適用可能である。なお、連続的に血圧を測定する手法は、上述の例に限らず、発光素子を用いて脈波を検出する手法等が適宜適用可能である。非連続測定型の血圧センサ16には、例えば、カフを圧力センサとして用いて血管を圧迫することで脈波を検出する手法(オシロメトリック法)が適用可能である。よって、血圧センサ16は、脈拍情報を取得することが可能である。
【0050】
加速度センサ17は、血圧測定装置10の装着箇所において生じる管理対象者の加速度を、3軸成分の組として検出する。また、加速度センサ17は、ジャイロセンサを更に含んでもよく、加速度に加えて、角速度を3軸成分の組として更に検出してもよい。
【0051】
温湿度センサ18は、管理対象者の周辺の温度及び湿度を測定する。
【0052】
2.2.2 携帯端末のハードウェア構成例
次に、携帯端末30のハードウェア構成例について説明する。図4は、本実施形態に係る携帯端末30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態に係る携帯端末30は、制御部31、記憶部32、通信部33、操作部34、表示部35、及び、GPS(Global Positioning System)受信機36を備える。
【0053】
制御部31及び記憶部32はそれぞれ、血圧測定装置10の制御部11及び記憶部12と同様である。携帯端末30の記憶部32は、制御部31の制御の下、血圧測定装置10から受信した情報及びGPS受信機36によって生成される位置情報を記憶する。血圧測定装置10から受信した情報は、血圧情報、脈拍情報、活動情報、環境情報等を含む。また、記憶部32は、制御部31の制御の下、操作部34において入力された服薬情報及び副作用情報等を記憶する。なお、記憶部32に血圧情報、脈拍情報、活動情報、環境情報、服薬情報及び副作用情報などを記憶する際には、情報の取得日時を合わせて記憶することができる。
【0054】
通信部33は、血圧測定装置10、サーバ70(及び医師端末50)との通信を司る通信インタフェースである。通信部33は、例えば、血圧情報、脈拍情報、活動情報、及び環境情報等を、血圧測定装置10から受信する。また、通信部33は、血圧情報、脈拍情報、活動情報、環境情報、位置情報等をサーバ70に送信する。また、通信部33は、サーバ70から簡易的な管理画面データ等を受信することもできる。
【0055】
操作部34及び表示部35はそれぞれ、血圧測定装置10の操作部14及び表示部15と同様である。表示部35は、服薬情報及び副作用情報の入力画面を表示することができる。操作部34では、服薬情報及び副作用情報が入力される。例えば、副作用情報として、良好(Feel good)、空咳(Dry cough)、頭痛(Headache)、眩暈(Dizziness)、動悸(Palpitation)、ほてり(Hot flash)、むくみ(Swollenness)等が入力可能となっている。
【0056】
GPS受信機36は、携帯端末30の位置を測位し、位置情報を生成する。位置情報は、例えば、測位日時、並びに測位日時における携帯端末30の緯度、及び経度を含む。GPS受信機36による測位は、例えば、血圧測定装置10の血圧センサ16の測定と同期して行うことが可能である。
【0057】
2.2.3 医師端末のハードウェア構成例
次に、医師端末50のハードウェア構成例について説明する。図5は、本実施形態に係る医師端末50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態に係る医師端末50は、制御部51、記憶部52、通信部53、操作部54、及び、表示部55を備える。
【0058】
制御部51及び記憶部52はそれぞれ、血圧測定装置10の制御部11及び記憶部12と同様である。医師端末50の制御部51は、管理対象者に関する診断情報や投薬情報等を生成する。
【0059】
医師端末50の記憶部52は、制御部51が生成した管理対象者に関する診断情報や投薬情報等を記憶する。また、記憶部52は、サーバ70から受信した管理画面データ等を記憶する。
【0060】
通信部53は、サーバ70(及び携帯端末30)との通信を司る通信インタフェースである。通信部53は、管理対象者に関する診断情報や投薬情報等をサーバ70に送信する。また、通信部53は、サーバ70から管理画面データ等を受信することができる。
【0061】
操作部54及び表示部55はそれぞれ、血圧測定装置10の操作部14及び表示部15と同様である。操作部54では、投薬情報、及び、各種検査装置によって取得した検査情報等を入力することができる。投薬情報及び検査情報は、院内LAN等のネットワークを介して、サーバ70に記録されてもよい。また、表示部55は、投薬管理回路80で生成された管理画面データに基づいて、副作用管理画面及び服薬率管理画面を表示することができる。表示部55は、表示画面の一例である。
【0062】
2.2.4 サーバのハードウェア構成例
次に、サーバ70のハードウェア構成例について説明する。図6は、本実施形態に係るサーバ70のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、本実施形態に係るサーバ70は、制御部71、記憶部72、通信部73、及び、投薬管理回路80を備える。
【0063】
制御部71及び記憶部72はそれぞれ、血圧測定装置10の制御部11及び記憶部12と同様である。サーバ70の記憶部72は、携帯端末30及び医師端末50から送信された情報、及び、投薬管理回路80によって生成された管理画面データ等を記憶してもよい。
【0064】
通信部73は、携帯端末30及び医師端末50との通信を司る通信インタフェースである。通信部73は、例えば、血圧情報、脈拍情報、活動情報、及び環境情報等を、携帯端末30から受信する。通信部73は、管理対象者に関する検査情報、診断情報及び投薬情報等を、医師端末50から受信する。通信部73は、記憶部72に記憶した情報を、携帯端末30及び医師端末50に送信することができる。
【0065】
投薬管理回路80は、例えばプロセッサ80aとメモリ80bとを備える。投薬管理回路80は、プロセッサ80aがメモリ80bに記憶されたプログラムを実行することにより、各種の動作制御およびデータ処理などを実現する。また、投薬管理回路80は、図示しないクロックを有し、現在の日時を計時することができる。
【0066】
プロセッサ80aは、例えば演算回路を含むCPUやMPU(Micro Processing Unit)などである。プロセッサ80aは、メモリ80bまたは記憶部72が記憶するプログラムを実行することにより各部の制御およびデータ処理が実行可能である。
【0067】
メモリ80bは、例えば、プロセッサ80aが実行するプログラムを記憶する不揮発性のメモリ、及び、ワーキングメモリとして使用するRAMなどの揮発性メモリを含む。
【0068】
投薬管理回路80は、副作用管理プログラムに基づいて、副作用管理処理を実行する。副作用管理プログラムは、投薬管理プログラムの一例である。投薬管理回路80による副作用管理処理については、後述する。副作用管理プログラムは、副作用管理処理を投薬管理回路80に実行させるためのプログラムである。副作用管理プログラムは、メモリ80bに記憶されていてもよく、記憶部72に記憶されていてもよい。
【0069】
また、投薬管理回路80は、服薬率管理プログラムに基づいて、服薬率管理処理を実行する。服薬率管理プログラムは、投薬管理プログラムの一例である。投薬管理回路80による服薬率管理処理については、後述する。服薬率管理プログラムは、服薬率管理処理を投薬管理回路80に実行させるためのプログラムである。服薬率管理プログラムは、メモリ80bに記憶されていてもよく、記憶部72に記憶されていてもよい。
【0070】
なお、制御部71が投薬管理回路80として機能してもよい。即ち、制御部71が投薬管理回路80を兼用してもよい。この場合、制御部71のCPUが投薬管理回路80のプロセッサ80aとなり、制御部71のROMが投薬管理回路80のメモリ80bの不揮発性メモリとなり、制御部71のRAMが投薬管理回路80のメモリ80bの揮発性メモリとなる。
【0071】
2.3 機能構成例
次に、本実施形態に係る投薬管理システムの機能構成の一例について説明する。
【0072】
2.3.1 投薬管理回路の機能構成例
図7は、本実施形態に係る投薬管理システムの投薬管理回路80の機能構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0073】
投薬管理回路80のプロセッサ80aは、メモリ80bの不揮発性メモリに記憶された投薬管理プログラムをメモリ80bの揮発性メモリに展開する。そして、プロセッサ80aは、揮発性メモリに展開された投薬管理プログラムを解釈及び実行することで、取得部82、副作用管理部83、服薬率管理部84、及び、出力部85として機能する。
【0074】
メモリ80bの揮発性メモリは、生体情報記憶部86a、診断情報記憶部86b、投薬情報記憶部86c、服薬実行情報記憶部86d、副作用情報記憶部86e、設定情報記憶部86f、服薬率情報記憶部86g、及び、出力データ記憶部86hとして機能する。
【0075】
生体情報記憶部86aには、各管理対象者に関する生体情報が記憶される。生体情報は、管理対象者の生体パラメータに関する情報である。生体情報は、年齢、性別、血圧情報及び脈拍情報等を含む。血圧情報は、生体情報の一例である。
【0076】
血圧情報は、血圧値を含む。血圧値は、最高血圧、最低血圧、又はその他の指数である。また、血圧情報は、各血圧値についての測定日時及び測定場所を含むことができる。脈拍情報は、脈拍値及び脈波を含む。脈拍情報は、脈拍値及び脈波のそれぞれについての測定日時及び測定場所を含むことができる。測定日時は、例えば、測定日、測定時間等を含む。測定時間は、例えば、朝、夜等である。測定場所は、例えば、家庭、職場、病院等である。
【0077】
診断情報記憶部86bには、各管理対象者に関する診断情報が記憶される。診断情報は、通院日及び診断結果を含むことができる。診断結果は、病名、及び、不規則な脈波に関する情報等を含むことができる。不規則な脈波に関する情報は、例えば、脈拍情報に基づく診断結果である。不規則な脈波に関する情報は、不規則な脈波の検出日等を含む。
【0078】
投薬情報記憶部86cには、各管理対象者に関する投薬情報が記憶される。投薬情報は、投薬において指定された薬に関する情報である。投薬情報は、服薬情報の一部として用いられる。服薬情報は、管理対象者の実際の服薬に関する情報である。投薬情報は、投薬において指定された薬のそれぞれについて、投薬開始日、投薬終了日、薬名、薬のクラス名、規定服薬時間、規定服薬量等を含む。投薬開始日及び投薬終了日は、例えば、通院日と一致する。規定服薬時間は、例えば、朝、夜等である。規定服薬時間及び規定服薬量は、投薬において定められている。
【0079】
薬のクラス名は、薬の分類名の一例である。薬のクラス名は、例えば、高血圧治療ガイドラインにおいて規定された降圧薬の分類名である。クラス名は、例えば、CCB(カルシウム拮抗約)、ACE(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)、ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬等である。
【0080】
服薬実行情報記憶部86dには、各管理対象者に関する服薬実行情報が記憶される。服薬実行情報は、服薬情報の一部として用いられる。服薬実行情報は、実際に服薬した薬のそれぞれについて、薬名、及び服薬日時を含む。服薬日時は、服薬日、服薬時間等を含む。服薬時間は、例えば、朝、夜等である。また、実際の服薬の有無を含んでも良い。
【0081】
副作用情報記憶部86eには、各管理対象者に関する副作用情報が記憶される。副作用情報は、副作用の症状の発症に関する情報である。副作用情報は、症状情報を含む。また、副作用情報は、各症状情報についての発症日を含む。症状情報は、副作用の症状に関する情報である。症状情報は、良好、空咳、頭痛、眩暈、動悸、ほてり、むくみ等を含む。
【0082】
設定情報記憶部86fには、設定情報が記憶される。設定情報は、単位投薬期間に関する情報を含む。単位投薬期間は、単位投薬期間の一例である。単位投薬期間に関する情報は、複数の単位投薬期間のそれぞれについて、開始日時及び終了日時等を含む。
【0083】
服薬率情報記憶部86gには、各管理対象者に関する服薬率情報が記憶される。服薬率情報は、服薬率管理部84で算出された服薬率に関する情報である。服薬率情報は、複数の単位投薬期間のそれぞれについての服薬率を含む。また、服薬率情報は、指定された薬のそれぞれについての服薬率を含む。服薬率は、単位投薬期間において、投薬によって規定された服薬回数のうち、実際に服薬が行われた回数の割合である。
【0084】
出力データ記憶部86hには、外部の表示装置等に出力される管理画面データが出力データとして一時的に記憶される。管理画面データは、副作用管理画面データ、服薬率管理画面データ等を含む。副作用管理画面データは、表示装置の表示画面に副作用管理画面を表示させるための画像データである。服薬率管理画面データは、表示装置の表示画面に服薬率管理画面を表示させるための画像データである。副作用管理画面及び服薬率管理画面については、後述する。
【0085】
なお、ここでは、各情報記憶部のそれぞれに、各管理対象者の情報が記憶される例を説明したがこの限りでない。例えば、各管理対象者に対する複数の記憶部を備えてもよい。
【0086】
取得部82は、各管理対象者に関する管理情報を取得する。取得部82は、例えば、通信部73又は記憶部72から、管理情報を取得する。管理情報は、例えば、生体情報、診断情報、投薬情報、服薬情報、副作用情報等を含む。取得部82は、取得した管理情報を、メモリ80bに記憶する。
【0087】
副作用管理部83は、副作用管理処理を実行することにより、メモリ80bに記憶した管理情報に基づいて、各管理対象者に関する副作用管理画面データを生成する。副作用管理処理については、後述する。副作用管理画面データは、表示装置の表示画面に副作用管理画面を表示させるための表示データである。副作用管理画面データが表示画面に表示されることにより、副作用管理画面において、毎日の診断用表示データが並べて配置される。1日は、単位診断期間の一例である。表示装置は、例えば、医師端末50であり、表示画面は、例えば、表示部55である。表示装置は、例えば、携帯端末30の表示部35であってもよい。副作用管理部83は、生成した投薬管理画面データを、メモリ80bの出力データ記憶部86hに記憶する。
【0088】
副作用管理部83は、処理部83aと、配置設定部83bと、生成部83cとを備える。処理部83aは、メモリ80bに記憶した管理情報に基づいて、複数の診断用表示データを生成する。診断用表示データのそれぞれは、副作用管理画面において所定の位置に配置される。診断用表示データは、日時表示データ、血圧表示データ、脈拍表示データ、脈波表示データ、通院表示データ、服薬表示データ、及び、副作用表示データ等を含む。診断用表示データのそれぞれは、メモリ80bの出力データ記憶部86hに記憶される。
【0089】
日時表示データは、日時に関する情報を示す。日時表示データは、例えば、日付を1日ごとに示す。日時表示データは、日付に加えて、時間に関する情報を1日ごとに表示してもよい。時間に関する情報は、例えば、朝、夜などである。
【0090】
血圧表示データは、血圧に関する情報を示す。血圧表示データは、例えば、生体情報記憶部86aに記憶された血圧情報に基づいて、生成される。血圧表示データは、例えば、1日ごとの、朝の最高血圧と最低血圧、及び、夜の最高血圧と最低血圧を示す。夜の最高血圧及び最低血圧は、例えば、1日の測定値の平均値である。また、管理対象者が通院した日においては、血圧表示データは、病院で測定された最高血圧と最低血圧を含むことができる。血圧表示データは、例えば、血圧の変動を示すグラフである。
【0091】
脈拍表示データは、脈拍値に関する情報を示す。脈拍表示データは、例えば、生体情報記憶部86aに記憶された脈拍情報に基づいて、生成される。脈拍表示データは、例えば、1日ごとの脈拍値の変動を示すグラフである。脈拍表示データについても、血圧表示データと同様に、朝と夜の脈拍値及び病院で測定された脈拍値を含むことができる。
【0092】
脈波表示データは、不規則な脈波に関する情報を示す。脈波表示データは、例えば、生体情報記憶部86aに記憶された脈拍情報に基づいて、生成される。脈波表示データは、例えば、不規則な脈波が検出されたことを示すアイコンである。
【0093】
通院表示データは、通院に関する情報を示す。通院表示データは、例えば、診断情報記憶部86bに記憶された診断情報に基づいて、生成される。通院表示データは、例えば、通院したことを示すアイコンである。
【0094】
服薬表示データは、実際の服薬に関する情報を示す。服薬表示データは、例えば、服薬実行情報記憶部86dに記憶された服薬情報に基づいて、生成される。服薬表示データは、例えば、薬名、服薬日時、服薬量等を示す。服薬表示データは、投薬表示データと服薬実行表示データを含む。
【0095】
投薬表示データは、指定された投薬に関する情報を示す。投薬表示データは、例えば、投薬情報記憶部86cに記憶された投薬情報に基づいて、生成される。投薬表示データは、例えば、薬名、薬のクラス名、規定服薬日時、規定服薬量等を示す。
【0096】
服薬実行表示データは、指定された投薬に基づいて実際に服薬を行ったか否かに関する情報を示す。服薬実行表示データは、例えば、服薬実行情報記憶部86dに記憶された服薬実行情報に基づいて、生成される。服薬実行表示データは、例えば、投薬表示データに示された投薬に基づいて実際に服薬を行ったことを示すアイコンである。
【0097】
副作用表示データは、副作用に関する情報を示す。副作用表示データは、例えば、副作用情報記憶部86eに記憶された副作用情報に基づいて、生成される。副作用表示データは、例えば、副作用の症状が発症したこと、及び、発症した症状を示すアイコンである。
【0098】
配置設定部83bは、設定情報記憶部86fに記憶された設定情報に基づいて、診断用表示データのそれぞれが含む各要素について、配置用情報を設定し、メモリ80bの出力データ記憶部86hに記憶する。配置用情報は、副作用管理画面における診断用表示データ間の位置関係を決定するために用いられる情報であり、各診断用表示データの各要素の対応日時に関する情報である。配置用情報は、副作用管理画面に表示されない。例えば、配置設定部83bは、血圧表示データが含む各要素について、測定日及び測定時間を、配置用情報として設定する。また、配置設定部83bは、脈拍表示データが含む各要素について測定日を、脈波表示データが含む各要素について不規則な脈波の検出日を、通院表示データが含む各要素について通院日を、投薬表示データが含む各要素について規定日及び規定時間を、服薬実行表示データが含む各要素について服薬日及び服薬時間を、副作用表示データが含む各要素について発症日を、配置用情報として設定する。
【0099】
生成部83cは、診断用表示データ及び配置用情報に基づいて、副作用管理画面データを生成する。具体的には、生成部83cは、副作用管理画面において、診断用表示データのそれぞれが含む各要素を、日付ごとに対応させて配置する。これにより、副作用管理画面データは、表示画面に表示されることにより、毎日の診断用表示データの各要素を並べて表示することができる。「1日」は、単位診断期間の一例である。
【0100】
服薬率管理部84は、服薬率管理処理を実行することにより、投薬情報及び服薬情報と単位投薬期間とに基づいて、管理対象者についての服薬率を算出し、服薬率管理画面データを生成する。服薬率管理処理については、後述する。服薬率管理画面データは、表示装置の表示画面に服薬率管理画面を表示させるための表示データである。服薬率管理画面データが表示画面に表示されることにより、服薬率管理画面において、投薬情報及び服薬率が単位投薬期間ごとに、かつ、薬ごとに表示される。表示装置は、例えば、医師端末50であり、表示画面は、例えば、表示部55である。服薬率管理部84は、生成した服薬率管理画面データを、メモリ80bの出力データ記憶部86hに記憶する。
【0101】
服薬率管理部84は、例えば、設定部84aと、算出部84bと、生成部84cとを備える。設定部84aは、投薬情報記憶部86cに記憶された投薬情報に基づいて、少なくとも一つの単位投薬期間を設定する。単位投薬期間の開始日は、例えば、投薬の開始日と一致し、単位投薬期間の終了日は、例えば、投薬終了日と一致する。また、単位投薬期間は、例えば、通院日から次の通院日までの期間と一致する。次の通院日が特定できない場合には、単位投薬期間の終了日は、例えば、取得した服薬情報における最終日としてよい。あるいは、単位投薬期間の終了日は、例えば、管理者が任意に指定できるようにしてもよい。それぞれの単位投薬期間内では、投薬において指定された薬特定情報(例えば薬名)、規定服薬時間、規定服薬量等が同じである。単位投薬期間は、1日であってもよく、数日間であってもよい。また、単位投薬期間の長さは、互いに対して異なっていてもよい。設定された単位投薬期間は、設定情報として、メモリ80bの設定情報記憶部86fに記憶される。
【0102】
算出部84bは、投薬情報、服薬実行情報及び設定情報に基づいて、単位投薬期間ごとに、かつ、薬ごとに服薬率を算出する。特定の単位投薬期間における特定の薬の服薬率は、特定の単位投薬期間内において規定された特定の薬の服薬回数に対する、実際に特定の薬を服薬した回数の割合である。算出された服薬率は、服薬率情報として、メモリ80bの服薬率情報記憶部86gに記憶される。
【0103】
なお、算出部84bは、特定の単位投薬期間における服薬率の算出において、特定の単位投薬期間における投薬において1日の中で複数の規定服薬時間が規定されている場合、規定服薬時間ごとの服薬率をさらに算出する。特定の規定服薬時間における服薬率は、特定の単位投薬期間内の特定の規定服薬時間において、規定された服薬回数に対する実際に服薬した回数の割合である。
【0104】
生成部84cは、投薬情報及び服薬率情報に基づいて、服薬率管理画面データを生成する。生成部84cは、服薬率管理画面において、投薬情報及び服薬率情報を、単位投薬期間ごとに対応させて配置する。服薬率管理画面データは、表示画面に表示されることにより、投薬情報及び服薬率情報を、単位投薬期間ごとに表示する。生成された服薬率管理画面データは、メモリ80bの出力データ記憶部86hに記憶される。
【0105】
出力部85は、副作用管理部83または服薬率管理部84からの指示に応じて、副作用管理部83で生成されてメモリ80bの出力データ記憶部86hに記憶された副作用管理画面データ、または、服薬率管理部84で生成されてメモリ80bの出力データ記憶部86hに記憶された服薬率管理画面データを、医師端末50に出力することができる。
【0106】
2.4 動作例
次に、本実施形態に係る投薬管理システムの動作例について説明する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0107】
2.4.1 投薬管理システムの動作例
図8は、本実施形態に係る投薬管理システムを用いた投薬管理における、サーバ70の制御部71及び投薬管理回路80のプロセッサ80aによる処理の手順の一例を示すフローチャートである。投薬管理システムを用いた投薬管理処理は、例えば、医師などの管理者によって実行される。投薬管理処理では、後述のS101~S108の処理が、繰り返される。
【0108】
投薬管理処理では、サーバ70の制御部71は、新たな管理情報が受信されたか否かを判断する(S101)。管理情報は、例えば、携帯端末30又は医師端末50から送信され、サーバ70の通信部73で受信される。新たな管理情報が受信された場合(S101-Yes)、制御部71は、新たに取得した管理情報を、記憶部72に記憶する(S102)。これにより、例えば電子カルテにおいて管理対象者に関する情報が追加で保存又は更新される。新たな管理情報が受信されていない場合(S101-No)、処理はS103に進む。
【0109】
S103の処理では、サーバ70の制御部71は、副作用表示要求を受信したか否かを判断する。副作用表示要求は、副作用管理画面を表示装置に表示させる指示が入力されたことを示す情報である。副作用管理画面を表示装置に表示させる指示は、例えば、医師端末50の操作部54において入力される。そして、医師端末50から送信された、副作用管理画面を表示装置に表示させる指示が入力されたことを示す情報が、サーバ70の通信部73で受信される。副作用表示要求が受信されていない場合(S103-No)、処理はS106に進む。
【0110】
副作用表示要求が受信された場合(S103-Yes)、制御部71は、副作用表示要求が受信されたことを示す情報を投薬管理回路80のプロセッサ80aに伝達する。プロセッサ80aは、副作用表示要求が受信されたことを示す情報を取得したことに基づいて、副作用管理処理を実行する(S104)。副作用管理処理については、後述する。サーバ70は、副作用管理処理において投薬管理回路80から出力された副作用管理画面データを管理画面データとして医師端末50に出力する。医師端末50の制御部51は、受信した副作用管理画面データに基づいて、表示部55に副作用管理画面を表示させる(S105)。
【0111】
S106の処理では、サーバ70の制御部71は、服薬率表示要求を受信したか否かを判断する。服薬率表示要求は、服薬率管理画面を表示装置に表示させる指示が入力されたことを示す情報である。服薬率管理画面を表示装置に表示させる指示は、例えば、医師端末50の操作部54において入力される。そして、医師端末50から送信された服薬率管理画面を表示装置に表示させる指示が入力されたことを示す情報が、サーバ70の通信部73で受信される。服薬率表示要求が受信されていない場合(S106-No)、処理はS101に戻る。
【0112】
服薬率表示要求が受信された場合(S106-Yes)、制御部71は、服薬率表示要求が受信されたことを示す情報を投薬管理回路80のプロセッサ80aに伝達する。プロセッサ80aは、服薬率表示要求が受信されたことを示す情報を取得したことに基づいて、服薬率管理処理を実行する(S107)。服薬率管理処理については、後述する。サーバ70は、服薬率管理処理において投薬管理回路80から出力された服薬率管理画面データを管理画面データとして医師端末50に出力する。医師端末50の制御部51は、受信した服薬率管理画面データに基づいて、表示部55に服薬率管理画面を表示させる(S108)。
【0113】
2.4.2 副作用管理処理における投薬管理回路の動作例
図9は、本実施形態に係る投薬管理回路80のプロセッサ80aにおける、副作用管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。プロセッサ80aは、例えば、医師端末50において操作入力が行われたことに基づいて、副作用管理処理を開始する。
【0114】
副作用管理処理では、プロセッサ80aは、まず、例えばサーバ70の記憶部72から、管理対象者に関する管理情報を取得する(S111)。管理情報は、生体情報、診断情報、投薬情報、服薬情報及び副作用情報を含む。
【0115】
次に、プロセッサ80aは、管理情報に基づいて、診断用表示データを生成する(S112)。診断用表示データは、例えば、日時表示データ、血圧表示データ、脈拍表示データ、脈波表示データ、通院表示データ、投薬表示データ、服薬実行表示データ、及び、副作用表示データといった各要素を含む。
【0116】
次に、プロセッサ80aは、管理情報に基づいて、診断用表示データのそれぞれが含む各要素について、配置用情報を設定する(S113)。
【0117】
次に、プロセッサ80aは、診断用表示データ及び配置用情報に基づいて、副作用管理画面データを生成する(S114)。これにより、プロセッサ80aは、副作用管理画面において、診断用表示データのそれぞれが含む各要素を、日付ごとに対応させて配置する。
【0118】
次に、プロセッサ80aは、副作用管理画面データを、管理画面データとして、外部に出力する(S115)。プロセッサ80aは、副作用管理画面データを、例えば、医師端末50に出力する。プロセッサ80aは、副作用管理画面データを、携帯端末30に出力してもよい。
【0119】
2.4.3 服薬率管理処理における投薬管理回路の動作例
図10は、本実施形態に係る投薬管理回路80のプロセッサ80aにおける、服薬率管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。プロセッサ80aは、例えば、医師端末50において操作入力が行われたことに基づいて、服薬率管理処理を開始する。
【0120】
服薬率管理処理では、プロセッサ80aは、まず、例えばサーバ70の記憶部72から、管理対象者に関する管理情報を取得する(S121)。管理情報は、投薬情報及び服薬情報を含む。
【0121】
次に、プロセッサ80aは、単位投薬期間を設定する(S122)。プロセッサ80aは、例えば、通院情報に基づいて、単位投薬期間を複数設定する。
【0122】
次に、プロセッサ80aは、投薬情報、服薬情報及び単位投薬期間の設定情報に基づいて、服薬率を単位投薬期間ごとに、かつ、薬ごとに算出する(S123)。プロセッサ80aは、単位投薬期間における服薬率の算出処理を、設定された全ての単位投薬期間について、また、指定された全ての薬について行う。特定の単位投薬期間における特定の薬についての服薬率の算出では、プロセッサ80aは、まず、算出部84bにおいて、投薬情報に含まれる投薬開始日及び投薬終了日に基づいて、特定の単位投薬期間内の規定服薬回数を算出する。次に、プロセッサ80aは、特定の薬についての服薬情報に含まれる服薬日時に基づいて、特定の単位投薬期間内における特定の薬についての実際の服薬回数を算出する。そして、プロセッサ80aは、規定服薬回数に対する実際の服薬回数の割合を、特定の単位投薬期間における特定の薬についての服薬率として算出する。
【0123】
次に、プロセッサ80aは、投薬情報及び服薬率情報に基づいて、服薬率管理画面データを生成する(S124)。これにより、プロセッサ80aは、服薬率管理画面において、投薬情報及び服薬率情報を、単位投薬期間ごとに対応させて、かつ、薬ごとに対応させて配置する。
【0124】
次に、プロセッサ80aは、服薬率管理画面データを、管理画面データとして、外部に出力する(S125)。プロセッサ80aは、服薬率管理画面データを、例えば、医師端末50に出力する。
【0125】
2.5 作用・効果
次に、本実施形態に係る投薬管理システムの作用及び効果の一例について説明する。
【0126】
2.5.1 副作用管理画面の表示例
図11は、投薬管理回路80の副作用管理処理によって生成された副作用管理画面の表示例を示す。副作用管理画面91は、副作用管理画面の一例である。副作用管理画面91は、例えば、医師端末50の表示部55に表示され、管理者による管理対象者に関する診断に用いられる。管理対象者は、例えば、高血圧患者である。管理者は、例えば、医師である。副作用管理画面91は、例えば、管理対象者の携帯端末30の表示部35に表示されてもよい。
【0127】
副作用管理画面91は、代表情報表示部92と、診断用情報表示部93と、表示切替え部94とを備える。代表情報表示部92では、個人情報及び代表情報が表示されている。個人情報は、管理対象者について個人を特定するための情報である。個人情報は、管理番号、性別、年齢、等を含む。個人情報は、さらに、名前等を含んでもよい。代表情報は、例えば、直近の数日間における、最高血圧、最低血圧及び脈拍等の代表値を含む。
【0128】
診断用情報表示部93では、診断用表示データが配置される。診断用情報表示部93は、日付表示部93aと、血圧表示部93bと、脈拍表示部93cと、脈波表示部93dと、通院表示部93eと、投薬表示部93fと、服薬実行表示部93gと、副作用表示部93hを備える。
【0129】
日付表示部93aでは、日時表示データが表示される。日付表示部93aでは、日時表示データとして、日付が1日ごとに表示されている。「1日」は、単位診断期間の一例である。
【0130】
血圧表示部93bでは、血圧表示データが表示される。血圧表示部93bでは、血圧表示データとして、血圧の変動を示す血圧グラフが表示されている。血圧グラフは、縦棒グラフである。血圧グラフでは、縦軸に血圧値(BLOOD PRESSURE)を用い、横軸に日付表示部93aの日付を利用している。血圧グラフは、各要素として、複数の測定値を含む。測定値は、家庭での測定による最高血圧及び最低血圧、及び、通院時の測定による最高血圧及び最低血圧等である。また、血圧グラフは、最高血圧を上端とし、最低血圧を下端とした縦棒グラフである。血圧表示部93bは、各測定値の測定日が日付表示部93aの日付に対応するように配置されている。また、各測定値は、朝における測定値と夜における測定値に分類されて、表示されている。
【0131】
脈拍表示部93cでは、脈拍表示データが表示される。脈拍表示部93cでは、脈拍表示データとして、脈拍値の変動を示す脈拍グラフが表示されている。脈拍グラフは、折れ線グラフである。脈拍グラフでは、縦軸に脈拍値(PULSE RATE)を用い、横軸に日付表示部93aの日付を利用している。脈拍グラフは、各要素として、複数の測定値を含む。脈拍表示部93cは、各測定値の測定日が日付表示部93aの日付に対応するように配置されている。
【0132】
脈波表示部93dでは、脈波表示データが表示される。脈波表示部93dでは、脈波表示データの各要素として、不規則脈波(IHB)が検出されたことを示すアイコンが表示されている。脈波表示部93dは、各アイコンの検出日が日付表示部93aの日付に対応するように配置されている。
【0133】
通院表示部93eでは、通院表示データが表示される。通院表示部93eでは、通院表示データの各要素として、通院したことを示すアイコンが表示されている。通院表示部93eは、各アイコンの通院日が日付表示部93aの日付に対応するように配置されている。
【0134】
投薬表示部93fでは、投薬表示データが表示される。投薬表示部93fでは、投薬表示データとして、薬名、規定服薬時間を示すアイコン、及び、規定服薬量が、薬ごとに表示されている。規定服薬時間を示すアイコンは、例えば、朝日の絵が表示され、規定服薬時間が朝であることを示す。または、規定服薬時間を示すアイコンは、例えば、三日月の絵が表示され、規定服薬時間が夜であることを示す。投薬表示部93fでは、薬名として、薬#1~#3のいずれかが表示されている。薬#1~#3は、高血圧治療薬である。また、高血圧治療薬は、家庭管理が必要な疾病に対する治療薬の一例である。ここでは、薬#1及び薬#3は、クラス1に分類され、薬#2は、クラス2に分類されている。各投薬表示データは、薬のクラスに分類されて、表示されている。投薬表示部93fは、各投薬表示データの規定服薬日が日付表示部93aの日付に対応するように配置されている。
【0135】
服薬実行表示部93gでは、服薬実行表示データが表示される。服薬実行表示部93gでは、服薬実行表示データの各要素として、服薬したことを示すアイコンが表示されている。服薬実行表示部93gは、各アイコンの服薬日が日付表示部93aの日付に対応するように配置されている。各アイコンは、朝の服薬と夜の服薬に分類されて、表示されている。各アイコンは、日付表示部93aの対応する日付において、投薬表示部93fに表示された投薬に基づいて、服薬が行われたことを示す。すなわち、服薬実行表示部93gの各アイコンは、投薬表示部93fでの表示と合わせて用いることにより、服薬した薬名、服薬した薬のクラス名、実際の服薬日時、実際の服薬量等を、服薬情報として、示している。
【0136】
副作用表示部93hでは、副作用表示データが表示される。副作用表示部93hでは、副作用表示データの各要素として、副作用の症状が発症したことを示すアイコンが表示されている。副作用表示部93hは、各アイコンの発症日が日付表示部93aの日付に対応するように配置されている。副作用表示部93hでは、各アイコンを選択することにより、副作用の症状を示すアイコンが表示される。副作用の症状を示すアイコンは、空咳(Dry cough)、頭痛(Headache)、眩暈(Dizziness)、動悸(Palpitation)、ほてり(Hot flash)、むくみ(Swollenness)等の症状のうちのいずれか1つを示す。例えば、図11の一例では、3月21日に、空咳(Dry cough)及び頭痛(Headache)の症状が発症したことを示す。
【0137】
表示切替え部94では、選択されることにより副作用管理画面から服薬率管理画面に表示を切り替えるためのアイコンが表示される。例えば医師端末50の操作部54での操作によって表示切替え部94のアイコンが選択されることにより、服薬率管理画面を表示させる操作が入力される。
【0138】
2.5.2 副作用管理画面を用いた診断例
図11の一例では、副作用管理画面91では、3月3日から4月2日までの管理情報が反映されている。ここで、3月4日から3月10日までの期間を第1診断期間P1とする。また、3月10日から3月17日までの期間を第2診断期間P2とし、3月17日から3月24日までの期間を第3診断期間P3とし、3月24日から3月31日までの期間を第4診断期間P4とし、3月31日から次の通院日までの期間を第5診断期間P5とする。診断期間P1~P5のそれぞれでは、開始日及び終了日は、通院日と一致する。したがって、診断期間P1~P5のそれぞれは、通院日から次の通院日までの期間となる。診断期間P1~P5の開始日及び終了日は、投薬の変更日と一致している。診断期間P1~P5のそれぞれは、単位診断期間の一例である。単位診断期間は、通院日の翌日から次の通院日までの期間であってもよく、1日であってもよい。
【0139】
管理者は、日付表示部93a、投薬表示部93f及び服薬実行表示部93gでの表示に基づいて、診断期間P1~P5のそれぞれにおいて、管理対象者が実際に服薬した薬の名前及び実際の服薬量を取得する。
【0140】
例えば、第1診断期間P1では、投薬表示部93fに示すように、薬#1が指定されている。また、第1診断期間P1の投薬では、薬#1の規定服薬量は10mgであり、薬#1の規定服薬時間は、朝である。管理者は、服薬実行表示部93gにアイコンが表示されている日付及び時間について、管理対象者は投薬において指定された薬を規定量だけ服薬したと判断する。ここで、服薬実行表示部93gに示すように、第1診断期間P1では、全ての日付において、朝に規定された服薬を行ったことを示すアイコンが表示されている。したがって管理者は、第1診断期間P1では、管理対象者が朝において薬#1を10mg服薬したと判断する。
【0141】
また、管理者は、日付表示部93a及び血圧表示部93bでの表示に基づいて、診断期間P1~P5のそれぞれにおいて、管理対象者の血圧が高血圧の基準値を超えているか否かを判断する。血圧は、生体情報の一例である。
【0142】
例えば、第1診断期間P1では、血圧表示部93bに示すように、最高血圧が135mmHgより大きく、また、最低血圧が85mmHg上より大きい。ここで、135mmHgは、最高血圧に関する高血圧の基準値である。また、85mmHgは、最低血圧に関する高血圧の基準値である。したがって、管理者は、第1診断期間P1において、最高血圧及び最低血圧が、高血圧の基準値を超えていると判断する。
【0143】
また、管理者は、日付表示部93a及び副作用表示部93hでの表示に基づいて、診断期間P1~P5のそれぞれにおいて、管理対象者に副作用の発症状況を取得する。
【0144】
例えば、第2診断期間P2では、副作用表示部93hに示すように、副作用が発症したことを示すアイコンが多く表示されている。したがって、管理者は、第2診断期間P2において、管理対象者に副作用が頻繁に発症したと判断する。
【0145】
管理者は、日付表示部93a、投薬表示部93f、服薬実行表示部93g及び副作用表示部93hでの表示に基づいて、管理対象者に対して有効な投薬及び有効な高血圧薬を判断するために必要な情報を取得する。
【0146】
例えば、第2診断期間P2では、最高血圧及び最低血圧のそれぞれが高血圧の基準値と略同じであり、かつ、副作用が頻繁に発症している。このため、管理者は、第2診断期間P2における投薬について、管理対象者に対して適切な投薬でないと判断する。したがって、管理者は、薬#1について、管理対象者に対して適切な薬でないと判断する。
【0147】
第3診断期間P3の朝では、最高血圧及び最低血圧のそれぞれは高血圧の基準値と略同じである。また、第3診断期間P3の夜では、最高血圧及び最低血圧のそれぞれは高血圧の基準値よりも小さい。また、第3診断期間P3では、副作用は発症していない。したがって、管理者は、第3診断期間P3の投薬について、第1診断期間P1の投薬及び第2診断期間P2の投薬よりも、管理対象者に対して適切な投薬であると判断する。
【0148】
ここで、第3診断期間P3では、第2診断期間P2に比べて、全体の服薬量の中の一部が、薬#1から薬#2に変更されている。したがって、管理者は、薬#2について、薬#1よりも、管理対象者に対して適切な薬であると判断する。また、薬#1はクラス1に分類され、薬#2はクラス2に分類されている。したがって、管理者は、クラス2に分類される薬について、クラス1に分類される薬よりも、管理対象者に対して適切な薬であると判断する。
【0149】
第4診断期間P4の朝では、最高血圧及び最低血圧のそれぞれは高血圧の基準値よりも小さい。また、第4診断期間P4の夜では、最高血圧及び最低血圧のそれぞれは高血圧の基準値よりも小さい。また、第4診断期間P4では、副作用はほとんど発症していない。したがって、管理者は、第4診断期間P4の投薬について、第1診断期間P1乃至第3診断期間P3の投薬よりも、管理対象者に対して適切な投薬であると判断する。
【0150】
2.5.3 服薬率管理画面の表示例
図12は、投薬管理回路80の服薬率管理処理によって生成された服薬率管理画面の表示例を示す。服薬率管理画面96は、管理対象者についての服薬率を設定された単位投薬期間ごとに表示している。服薬率管理画面96は、服薬率管理画面の一例である。服薬率管理画面96は、例えば、医師端末50の表示部55に表示され、管理対象者についての管理者による診断に用いられる。管理対象者は、例えば、高血圧患者である。管理者は、例えば、医師である。
【0151】
服薬率管理画面96は、代表情報表示部92と、表示切替え部95と、期間情報表示部97と、投薬情報表示部98と、服薬率表示部99と、を備える。代表情報表示部92では、個人情報及び代表情報が表示されている。個人情報は、管理対象者について個人を特定するための情報である。個人情報は、管理番号、性別、年齢、等を含む。個人情報は、さらに、名前等を含んでもよい。代表情報は、例えば、直近の数日間における、最高血圧、最低血圧及び脈拍等の代表値を含む。
【0152】
表示切替え部95では、選択されることにより服薬率管理画面から副作用管理画面に表示を切り替えるためのアイコンが表示される。例えば医師端末50の操作部54での操作によって表示切替え部95のアイコンが選択されることにより、副作用管理画面を表示させる操作が入力される。
【0153】
期間情報表示部97では、単位投薬期間に関する情報が表示される。期間情報表示部97は、期間表示部97aと、時間表示部97bとを備える。期間表示部97aでは、例えば、単位投薬期間のそれぞれの開始日が表示されている。
【0154】
時間表示部97bでは、規定服薬時間(Dosing Time)に関する情報が、単位投薬期間ごとに表示される。時間表示部97bでは、例えば、「Morning」及び「Evening」のいずれかが表示されている。時間表示部97bにおいて「Morning」が表示されている場合、規定服薬時間が朝であることを示す。時間表示部97bにおいて「Evening」が表示されている場合、規定服薬時間が夜であることを示す。
【0155】
投薬情報表示部98では、単位投薬期間ごとに投薬情報が表示される。投薬情報表示部98で表示される投薬情報は、例えば、薬特定情報、規定服薬量等を含む。投薬情報表示部98は、薬特定情報表示部98aと、服薬量表示部98bと、を備える。
【0156】
薬特定情報表示部98aでは、単位投薬期間の規定服薬時間ごとに、薬特定情報として薬名(Medicine)が表示される。図12の例では、薬特定情報表示部98aに、薬名として、薬#1~#3のいずれかが表示されている。薬#1~#3は、例えば、高血圧治療薬の薬名である。また、高血圧治療薬は、家庭管理が必要な疾病に対する治療薬の一例である。
【0157】
服薬量表示部98bでは、単位投薬期間の規定服薬時間ごとに、かつ、薬ごとに、規定服薬量(Dosage)が表示される。
【0158】
服薬率表示部99では、単位投薬期間の規定服薬時間ごとに、かつ、薬ごとに、服薬率(Adherence)が表示される。
【0159】
2.5.4 服薬率表示画面を用いた診断例
図12の一例では、投薬期間T1~T5が設定されている。投薬期間T1~T5のそれぞれの開始日は、投薬開始日と一致する。投薬期間T1~T5のそれぞれの終了日は、投薬の終了日と一致する。投薬期間T5の終了日は、例えば、服薬情報の最終取得日としている。また、投薬期間T1~T5のそれぞれでは、開始日及び終了日は、通院日と一致している。投薬期間T1~T5の開始日及び終了日は、投薬の変更日と一致している。また、投薬期間T5の開始日も、通院日と一致している。投薬期間T1~T5のそれぞれは、単位投薬期間の一例である。本実施形態では、投薬期間T1~T5のそれぞれは、診断期間P1~P5と一致している。すなわち、第1投薬期間T1は、3月4日から3月10日までの期間である。また、第2投薬期間T2は、3月10日から3月17日までの期間である。第3投薬期間T3は、3月17日から3月24日までの期間である。第4投薬期間T4は、3月24日から3月31日までの期間である。第5投薬期間T5は、3月31日から服薬情報の最終取得日である4月2日までの期間である。
【0160】
また、投薬情報表示部98に示すように、第4投薬期間T4及び第5投薬期間T5のそれぞれでは、複数の規定服薬期間が設定されている。第4投薬期間T4及び第5投薬期間T5のそれぞれでは、第1規定服薬時間として、朝(Morning)が設定され、第2規定服薬時間として、夜(Evening)が設定されている。
【0161】
管理者は、投薬情報表示部98及び服薬率表示部99での表示に基づいて、管理対象者のアドヒアランス(治療への積極性)に対する薬の影響度について評価する。
【0162】
例えば、第1投薬期間T1における服薬率は100%であり、第2投薬期間T2における服薬率は86%である。したがって、管理者は、第2投薬期間T2の投薬について、第1投薬期間T1の投薬よりも、管理対象者の服薬率を下降させる投薬であると判断する。これにより、管理者は、第2投薬期間T2の投薬について、第1投薬期間T1の投薬よりも、管理対象者のアドヒアランス(治療への積極性)を低下させるものであると判断する。
【0163】
この例では、第2投薬期間T2における投薬では、同じ薬#1であるが、第1投薬期間T1における投薬に比べて、規定服薬量が増量されている。したがって、管理者は、薬#1について、服薬量が多くなったことが管理対象者の服薬率を下降させる原因であると判断することができる。これにより、管理者は、第3投薬期間T3における投薬では、薬#1の規定服薬量を第1投薬期間T1と同じ量に戻し、別の薬#2を追加するという判断を行っている。
【0164】
第3投薬期間T3では、薬#1の服薬率は86%であり、薬#2の服薬率は100%である。したがって、管理者は、薬#2について、薬#1よりも、管理対象者の服薬率を下降させない薬であると判断する。これにより、管理者は、薬#2について、薬#1よりも、管理対象者のアドヒアランス(治療への積極性)を低下させないものであると判断する。管理者は、薬#2について、管理対象者の服薬率を低下させず、飲みやすく、飲み忘れが少ない薬であると判断することができる。
【0165】
2.6 効果
本実施形態では、例えば高血圧疾患の治療において、管理対象者に関する血圧情報、服薬情報及び副作用情報を含む各情報が1日ごとに表示された副作用管理画面を、管理者が利用する表示装置の表示画面に表示することができる。管理者は、副作用管理画面において各情報を1日ごとに比較することにより、管理対象者に対して、薬の効果が充分に発揮され、かつ、副作用が少ない投薬がどのような投薬であるのかを容易に判断することができる。このため、本実施形態によれば、高血圧疾患などの家庭で投薬管理が必要な疾病の治療において、医師などの管理者は、患者などの管理対象者に対する投薬の有効性及び副作用について、容易に判断することができる。
【0166】
また、本実施形態では、例えば高血圧の治療において、管理対象者に関する投薬情報及び服薬率情報を含む各情報が単位投薬期間ごとにかつ薬ごとに表示された服薬率管理画面を、管理者が利用する表示装置の表示画面に表示することができる。管理者は、服薬率管理画面において各情報を単位投薬期間ごとにかつ薬ごとに比較することにより、管理対象者に対してアドヒアランスを低下させない薬がどのような薬であるのかを容易に判断することができる。このため、本実施形態によれば、高血圧疾患などの家庭で投薬管理が必要な疾病の治療において、医師などの管理者は、患者などの管理対象者のアドヒアランス(治療への積極性)に対する薬ごとの影響度について容易に判断することができる。
【0167】
また、前述の副作用管理画面と服薬率管理画面を切替えて利用することにより、管理者は、管理対象者に対して、薬の効果が充分に発揮され、かつ、副作用が少なく、かつ、アドヒアランスを低下させない投薬がどのような投薬であるのかを容易に判断することができる。なお、副作用管理画面と服薬率管理画面は、切り替え表示されるのではなく、並べて表示できるようにしてもよい。
【0168】
例えば、図11及び図12の一例では、前述のように、服薬率管理画面96を用いて、第2投薬期間T2において服薬量が多くなったことにより服薬率が下降したことが分かる。また、副作用管理画面91を用いて、第2投薬期間T2に対応する第2診断期間P2において、管理対象者に副作用が頻繁に発症したことが分かる。したがって、管理者は、副作用管理画面91及び服薬率管理画面96の両方を用いることにより、第2投薬期間T2及び第2診断期間P2に対応する期間において服薬量が多くなったことに加えて副作用が頻繁に発症したことが、管理対象者の服薬率を下降させた原因であると判断することができる。
【0169】
また、副作用管理部83は、副作用管理画面に単位投薬期間ごとの服薬率をさらに表示させることもできる。この場合、副作用管理部83は、服薬率情報記憶部86gから服薬率情報を取得し、取得した服薬率情報に基づいて、服薬率表示データを生成する。服薬率表示データとして、例えば、単位投薬期間ごとの服薬率の変動を示すグラフが生成される。そして、副作用管理部83は、副作用管理画面において、単位投薬期間が日付などの単位診断期間に対応するように服薬率表示データを配置する。
【0170】
なお、服薬率管理部84によって生成される服薬率管理画面において、副作用の発症頻度などを示す情報が、単位投薬期間ごとに表示されてもよい。
【0171】
2.7 変形例
本実施形態の投薬管理装置として、高血圧疾患を有する患者を管理対象者とする投薬管理を例として説明したがこれに限るものではない。投薬管理装置は、例えば、高血圧疾患以外の生活習慣病を有する患者を管理対象者とする投薬管理に用いられてもよい。この場合、例えば、血糖値及びコレステロール値などが生体情報として用いられ、副作用管理画面に表示される。
【0172】
また、投薬管理装置は、例えば、喘息などの、家庭において投薬管理を必要とする疾病を有する患者を管理対象者とする投薬管理に用いられてもよい。この場合、例えば、喘息の症状に関する情報などが生体情報として用いられ、副作用管理画面に表示される。
【0173】
3. 実施形態等の共通構成
投薬管理装置(1:80)は、管理対象者に関する薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報を取得する取得部(2:82)と、少なくとも一つの単位投薬期間を設定する設定部(3:84a)と、前記取得された薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報と、前記設定された単位投薬期間とに基づいて、前記単位投薬期間ごとの薬別の服薬率を算出する算出部(4:84b)と、前記取得された薬別の投薬情報と前記算出された薬別の服薬率とを前記単位投薬期間ごとに関連付けて表す管理画面データを生成する生成部(5:84c)と、を備える。
【0174】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0175】
[付記]
前記実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下の付記に示すように記載することも可能であるが、これに限られない。
【0176】
(付記1)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有する投薬管理装置であって、
前記ハードウェアプロセッサは、
管理対象者に関する薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報を取得し、取得した前記薬別の投薬情報及び前記薬別の服薬情報を前記メモリに記憶させ、
少なくとも一つの単位投薬期間を設定し、設定した前記単位投薬期間を前記メモリに記憶させ、
前記メモリに記憶された前記薬別の投薬情報及び前記薬別の服薬情報と前記単位投薬期間とに基づいて、前記単位投薬期間ごとの薬別の服薬率を算出し、算出した前記薬別の服薬率を前記メモリに記憶させ、
前記メモリに記憶された前記薬別の投薬情報と前記薬別の服薬率とを前記単位投薬期間ごとに関連付けて表す管理画面データを生成する、
投薬管理装置。
【0177】
(付記2)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有する装置が実行する投薬管理方法であって、
前記ハードウェアプロセッサが、管理対象者に関する薬別の投薬情報及び薬別の服薬情報を取得し、取得した前記薬別の投薬情報及び前記薬別の服薬情報を前記メモリに記憶させる工程と、
前記ハードウェアプロセッサが、少なくとも一つの単位投薬期間を設定し、設定した前記単位投薬期間を前記メモリに記憶させる工程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記薬別の投薬情報及び前記薬別の服薬情報と前記単位投薬期間とに基づいて、前記単位投薬期間ごとの薬別の服薬率を算出し、算出した前記薬別の服薬率を前記メモリに記憶させる工程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記薬別の投薬情報と前記薬別の服薬率とを前記単位投薬期間ごとに関連付けて表す管理画面データを生成する工程と、
を具備する投薬管理方法。
【符号の説明】
【0178】
1…投薬管理装置、2…取得部、3…設定部、4…算出部、5…生成部、6…出力部、10…血圧測定装置、11…制御部、12…記憶部、13…通信部、14…操作部、15…表示部、16…血圧センサ、17…加速度センサ、18…温湿度センサ、30…携帯端末、31…制御部、32…記憶部、33…通信部、34…操作部、35…表示部、36…GPS受信機、50…医師端末、51…制御部、52…記憶部、53…通信部、54…操作部、55…表示部、70…サーバ、71…制御部、72…記憶部、73…通信部、80…投薬管理回路、80a…プロセッサ、80b…メモリ、82…取得部、83…副作用管理部、83a…処理部、83b…配置設定部、83c…生成部、84…服薬率管理部、84a…設定部、84b…算出部、84c…生成部、85…出力部、86a…生体情報記憶部、86b…診断情報記憶部、86c…投薬情報記憶部、86d…服薬実行情報記憶部、86e…副作用情報記憶部、86f…設定情報記憶部、86g…服薬率情報記憶部、86h…出力データ記憶部、91…副作用管理画面、92…代表情報表示部、93…診断用情報表示部、93a…日付表示部、93b…血圧表示部、93c…脈拍表示部、93d…脈波表示部、93e…通院表示部、93f…投薬表示部、93g…服薬実行表示部、93h…副作用表示部、94、95…表示切替え部、96…服薬率管理画面、97…期間情報表示部、97a…期間表示部、97b…時間表示部、98…投薬情報表示部、98a…薬特定情報表示部、98b…服薬量表示部、99…服薬率表示部、P1~P5…診断期間、T1~T5…投薬期間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12