(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】パウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20221115BHJP
B65D 81/32 20060101ALI20221115BHJP
B65D 30/22 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D81/32 D
B65D30/22 F
B65D30/22 G
(21)【出願番号】P 2018123563
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】土田 雅子
(72)【発明者】
【氏名】加戸 卓
(72)【発明者】
【氏名】高垣 李子
(72)【発明者】
【氏名】仙頭 和佳子
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 靖也
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-284604(JP,A)
【文献】特開2015-006914(JP,A)
【文献】特開2005-350066(JP,A)
【文献】特開2012-250724(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02337978(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 81/32
B65D 30/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1延伸プラスチックフィルムとシーラントフィルムを備える包装材料により形成され、おもて面と裏面を有するパウチであって、
上縁と、上縁と対向する下縁と、上縁と下縁の間で延びる第1側縁と第2側縁を有し、
おもて面側に合掌部を備え、
前記合掌部は、前記第1側縁から前記第2側縁に亘って設けられており、
前記包装材料同士を接合するシール部を有し、
前記シール部は、収容部を形成するための外縁シール部と、合掌部に設けられている合掌シール部と、収容部の圧力の増加により剥離する蒸気抜けシール部と、収容部を2つに区画するための仕切りシール部を含み、
前記仕切りシール部は、前
記合掌部の基部の少なくとも一部を含む領域に設けられており、
前記蒸気抜けシール部は、前記合掌部に設けられており、
100℃のときのシール部のシール強度が23N以下である、
ことを特徴とするパウチ。
【請求項2】
前記包装材料は、1枚の連続する包装材料
であり、前記合掌部は、前記包装材料の端部同士を重ねて形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
上縁から下縁に向かう方向である第1方向における前記仕切りシール部の幅が、前記合掌シール部のうち前記合掌部の先端に沿って延びる第1合掌シール部の幅、および、前記外縁シール部の幅より小さい、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパウチ。
【請求項4】
25℃のときの前記シール部のシール強度が60N以下である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項5】
第1方向における前記シーラントフィルムの引張弾性率(MPa)と前記シーラントフィルムの厚み(μm)の積が、35000以上である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項6】
前記シーラントフィルムは、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分として含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項7】
前記シーラントフィルムは、主成分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体と、
α-オレフィン共重合体とを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載のパウチ。
【請求項8】
底部ガセット部をさらに有している、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項9】
前記収容部は、前記仕切りシール部と下縁の間に延びる第1収容部と、前記仕切りシール部と上縁の間を延びる第2収容部と、で構成されており、
前記第1収容部に第1の内容物が収容されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項10】
前記第2収容部に第2の内容物が収容されており、
前記第1の内容物と前記第2の内容物は異なるものである、
ことを特徴とする請求項9に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの収容部を有し、加熱調理することができるパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を容器に収容したまま電子レンジにより加熱調理することができる袋、容器等の包装体が知られている。また、収容部を2つ以上に区分し、それぞれに収容された内容物を混合して調理する包装袋も開発されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-284604号公報
【文献】特開2005-350066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装袋では、収容部同士の連通と外部への蒸気抜けの順序の調整が十分であるとはいえない。
【0005】
そこで、本発明は、加熱調理したときに、より高い確度で、収容部同士が連通し、その後蒸気抜け機構から蒸気を排出し易くすることができるパウチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、
少なくとも第1延伸プラスチックフィルムとシーラントフィルムを備える包装材料により形成され、おもて面と裏面を有するパウチであって、
上縁と、上縁と対向する下縁と、上縁と下縁の間で延びる第1側縁と第2側縁を有し、
おもて面側に合掌部を備え、
前記合掌部は、前記第1側縁から前記第2側縁に亘って設けられており、
前記包装材料同士を接合するシール部を有し、
前記シール部は、収容部を形成するための外縁シール部と、合掌部に設けられている合掌シール部と、収容部の圧力の増加により剥離する蒸気抜けシール部と、収容部を2つに区画するための仕切りシール部を含み、
前記仕切りシール部は、前記合掌部以外の領域、または合掌部の基部の少なくとも一部を含む領域に設けられており、
前記蒸気抜けシール部は、前記合掌部に設けられており、
100℃のときのシール部のシール強度が23N以下である、
パウチを提供する。
【0007】
また、本発明のパウチは、上縁から下縁に向かう方向である第1方向における前記仕切りシール部の幅が、前記合掌シール部のうち前記合掌部の先端に沿って延びる第1合掌シール部の幅、および、前記外縁シール部の幅より小さくてもよい。
【0008】
また、本発明のパウチは、前記包装材料は、1枚の連続する包装材料であってもよい。
【0009】
また、本発明のパウチは、25℃のときの前記シール部のシール強度が60N以下であってもよい。
【0010】
また、本発明のパウチは、第1方向における前記シーラントフィルムの引張弾性率(MPa)と前記シーラントフィルムの厚み(μm)の積が、35000以上であってもよい。
【0011】
また、本発明のパウチは、前記シーラントフィルムは、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分として含んでいてもよい。
【0012】
また、本発明のパウチは、前記シーラントフィルムは、主成分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体と、α-オレフィン共重合体とを含んでいてもよい。
【0013】
また、本発明のパウチは、底部ガセット部をさらに有していてもよい。
【0014】
また、本発明のパウチは、前記収容部は、前記仕切りシール部と下縁の間に延びる第1収容部と、前記仕切りシール部と上縁の間を延びる第2収容部と、で構成されており、前記第1収容部に第1の内容物が収容されていてもよい。
【0015】
また、本発明のパウチは、前記第2収容部に第2の内容物が収容されており、前記第1の内容物と前記第2の内容物は異なるものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加熱調理したときに、より高い確度で、収容部同士が連通し、その後蒸気抜け機構から蒸気を排出し易くすることができるパウチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパウチを示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るパウチを示す背面図である。
【
図3】
図1に示すA-A線に対応する断面図である。
【
図4】包装材料の層構成の一例を示す断面図である。
【
図5】内容物が収容され封止されたパウチを示す正面図である。
【
図6】引張試験機による引張試験の様子を示す図である。
【
図9】底部ガセット部を有さないパウチの変形例を示す正面図である。
【
図10】開閉機構を備えた変形例に係るパウチを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るパウチを示す正面図である。また、
図2は、本発明の一実施形態に係るパウチを示す背面図である。また、
図3は、
図1に示すA-A線に対応する断面図である。
図1~
図3に示した本実施形態のパウチは、内容物が充填される前の状態(内容物が充填されていない状態)のパウチを示したものである。なお、図示の都合上、
図1の正面図においては、合掌部7の先端7aが下方に向くように合掌部7を倒した状態を示しているが、
図3の断面図においては、合掌部7を立てた状態を示している。本実施形態のパウチは、おもて面1、裏面2、底面3を有しており、おもて面1側から見た正面視、裏面2側から見た背面視において長方形状である。本実施形態において、長方形とは、四隅が直角の長方形だけでなく、長方形の四隅が面取りされて、外に凸の円弧状または曲線状となったものも含む概念である。本発明において、パウチは、内容物が充填されていない状態のパウチに限らず、内容物が充填されている状態のパウチも含む概念である。本実施形態のパウチは、上縁16と、上縁16と対向する下縁17と、上縁16と下縁17の間で延びる第1側縁18と第2側縁19を有している。また、合掌部7が第1側縁18から第2側縁19に亘って設けられている。また、パウチを自立可能とするため、おもて面1、裏面2がそれぞれ底面3と重ねられた下方において、底部ガセット部9を形成している。なお、本明細書においては、
図1に示したy方向(
図1における上下方向)を第1方向とし、
図1に示したx方向(
図1における左右方向)を第2方向として説明する。
【0019】
<構成部材>
本実施形態のパウチは、
図3の断面図に示すように、連続する1枚の包装材料で構成されており、1枚の包装材料の端縁同士を合掌部7の先端7aとして、合掌部7の先端7aから合掌部7の基部7bまでを合掌部7として重ね合わせることにより、断面が綴じた形状としている。また、連続する1枚の包装材料は、上縁16、2箇所の下縁17、折込部3aで折り返されている。これらの折り返しにより、合掌部7が位置する側の上縁16から下縁17までをおもて面1、合掌部7が位置しない側の上縁16から下縁17までを裏面2、下縁17から折込部3aを経由して他方の下縁17までを底面3として区分している。
【0020】
<シール部>
図1、
図2に示す本実施形態のパウチは、内容物の充填前の状態を示している。内容物の充填前の本実施形態のパウチは、
図1に示すように、第1側部シール部5aと、第2側部シール部5bと、第1底部シール部6aと、第2底部シール部6bと、合掌シール部(第1合掌シール部7c、第2合掌シール部7d)と、蒸気抜けシール部7eと、仕切りシール部8と、を備えている。
図1、
図2においては、既にヒートシールが行われ、形成済みの各シール部を斜線で網掛けして示している。未形成の状態のシール部には、網掛けを施さず、二点鎖線で示している。第1側部シール部5a、第2側部シール部5bは、おもて面1となる包装材料と裏面2となる包装材料同士がシールされて接合されたものである。第1側部シール部5aは、第1側縁18(
図1における左端、
図2における右端)を含むように形成されており、第2側部シール部5bは、第2側縁19(
図1における右端、
図2における左端)を含むように形成されている。
【0021】
底部シール部6は、折込部3aより下側に形成されるシール部であり、第1底部シール部6aと、第2底部シール部6bで構成されている。第1底部シール部6a、第2底部シール部6bは、おもて面1となる包装材料と底面3となる包装材料の内面同士、裏面2となる包装材料と底面3となる包装材料の内面同士がシールされて接合されたシール部である。第1底部シール部6aは、第1側縁18と第2側縁19に沿って下縁17まで形成されている。第2底部シール部6bは、第1側縁18と折込部3aが交差する部分、第2側縁19と折込部3aが交差する部分、から斜め方向に下縁17まで形成されている。第1底部シール部6aにおいては、底面3となる包装材料の一部に切り欠きを設け、おもて面1となる包装材料と裏面2となる包装材料の内面同士を直接シールして接合しておくことにより、パウチに自立性を持たせることができる。本実施形態では、第1側部シール部5a、第2側部シール部5b、第1底部シール部6a、第2底部シール部6bのシール幅は全て等しく、W1としてある。シール幅とは、シール部が延びる方向に直交する方向の幅である。
【0022】
合掌シール部は、合掌部7において包装材料の内面同士をシールして接合したシール部であり、第1合掌シール部7cと、第2合掌シール部7dで構成されている。第1合掌シール部7cは、合掌部7の先端7aに沿って形成されるシール部である。第2合掌シール部7dは、合掌部7のうち、第1側部シール部5a、第2側部シール部5bと、重なる部分に形成されるシール部である。蒸気抜けシール部7eは、合掌部7において包装材料の内面同士をシールして接合したシール部であり、未シール部7fを挟むようにして第1合掌シール部7cに連続して形成されるシール部である。なお、本実施形態では、第1合掌シール部7cにおいて第1側部シール部5a、第2側部シール部5bに近い位置にも、それぞれ未シール部7gが形成されている。未シール部7f、7gは、シールが行われていない部分であり、未シール部7f、7gにおいては、包装材料の内面同士は接合されていない。第1合掌シール部7cと蒸気抜けシール部7eに挟まれた未シール部7fには、合掌部7を貫通する貫通孔7hが形成されている。なお、第1合掌シール部7cのシール幅はW2である。
【0023】
蒸気抜けシール部7e、未シール部7f、貫通孔7hにより、蒸気抜け機構が形成されている。未シール部7fは、電子レンジによる加熱に伴って発生する蒸気によってパウチ内の圧力が高まった際に、第1収容部11aと第2収容部11bが連通した後のパウチ内の蒸気を、貫通孔7hから外部へ逃がすために設けられている。未シール部7fは、第1合掌シール部7cの内縁から、合掌部7の基部7b側に張り出している。本実施形態の未シール部7fは、ヒートシールされずに重ねられた、おもて面1、裏面2からなる。
【0024】
蒸気抜けシール部7eは、未シール部7fと第1収容部11aを隔離するためにヒートシールされたシール部であり、本実施形態では、未シール部7fの右端より右側の第1合掌シール部7cと、未シール部7fの左端より左側の第1合掌シール部7cとを連接している。未シール部7fは、おもて面1と裏面2がシールされていない部分である。蒸気抜けシール部7eの内縁は、合掌部7の基部7b側に張り出しており、蒸気抜けシール部7eの外縁は、未シール部7fとの境界となっている。
【0025】
図1に示す例では、第1合掌シール部7cが延びる方向に直交する方向において、第1合掌シール部7cの内縁から蒸気抜けシール部7eの内縁までの距離L1は、3mm以上であることが好ましく、6mm以上であることがより好ましい。距離L1を3mm以上とすることにより、蒸気抜けシール部7e以外のシール部がシール後退することを抑制することができるため、安定して蒸気抜け機構から蒸気抜けさせることができる。
【0026】
本実施形態では、仕切りシール部8は、合掌部7以外の領域に設けられている。具体的には、合掌部7の基部7bより上縁16側の領域に設けられている。仕切りシール部8により、収容部11は、仕切りシール部8と下縁17の間に延びる第1収容部11aと、仕切りシール部8と上縁16の間に延びる第2収容部11bに区分されている。本実施形態では、仕切りシール部8は波線状に形成されている。ただし、仕切りシール部8の形状は波線状に限定されない。例えば、直線状であってもよい。仕切りシール部8のシール幅はW3である。仕切りシール部8のシール幅は、本実施形態のように波線状である場合、その最も狭い部分の幅を意味する。後述するように、仕切りシール部8は2方向から力を受けるため、仕切りシール部8の幅W3は、他のシール部の幅と同等、もしくは他のシール部の幅より大きくてもよいが、収容部11を画成する第1合掌シール部7cの幅W2および外縁シール部(第1側部シール部5a、第2側部シール部5b、第2底部シール部6b)の幅W1より小さいことが好ましい。他のシール部より先に仕切りシール部8が剥離し易くなるためである。
【0027】
図1、
図2に網掛けを施さずに示すように、内容物の充填前においては、第1側縁18側の第1側部シール部5a、第1底部シール部6a、第2底部シール部6bにシールが行われておらず、第1側縁18に開口部15a、15bを形成している。充填前に仕切りシール部8は第1側縁18から第2側縁19に亘ってシールされ、第1収容部11aと第2収容部11bの2室が形成されている。開口部15aは、第1収容部11aの開口部であり、開口部15bは、第2収容部11bの開口部である。なお、内容物の充填のための開口部15a、15bは、第1側縁18側に形成せず、第2側縁19側に形成してもよい。
【0028】
<底部ガセット部>
図3に示すように、底面3と、おもて面1の下縁17寄りの部分と、で第1ひだ部が形成され、そして、底面3と、裏面2の下縁17寄りの部分と、で第2ひだ部が形成されている。そして、第1ひだ部と第2ひだ部とで、底部ガセット部9が形成されている。
図1の正面図においては、折込部3aより下方において、第1ひだ部が見える状態となっている。
図2の背面図においては、折込部3aより下方において、第2ひだ部が見える状態となっている。
【0029】
<収容部>
後に、第1側縁18に形成された開口部15a、15bを介して内容物が収容された後、第1側縁18側の第1側部シール部5a、第1底部シール部6a、第2底部シール部6bがシール形成され、パウチが封止される。第1側部シール部5aは、上縁16から折込部3aに亘って形成される。第1底部シール部6a、第2底部シール部6bは、折込部3aから下縁17に亘って形成される。充填、シール後の収容部は、第1側部シール部5aの内縁と、第2側部シール部5bの内縁と、第2底部シール部6bの内縁と、で画成されることになる。
【0030】
収容部は、仕切りシール部8により第1収容部11aと第2収容部11bに区画される。第1収容部11aは、仕切りシール部8と、第2底部シール部6bおよび下縁17の間に形成され、第2収容部11bは、上縁16と仕切りシール部8の間に形成されることになる。第1収容部11aと第2収容部11bの大きさに特に制限はなく、どちらが大きくてもよいが、本実施形態では、第1収容部11aの方が第2収容部11bより大きい。
【0031】
<内容物>
内容物は、第1収容部11aに収容される第1の内容物と、第2収容部11bに収容される第2の内容物がある。第1内容物と第2内容物に特に制限はないが、第1内容物は、御飯や麺類などの主食、肉や魚などの主菜、野菜などの副菜である。第2内容物は、調味料である。
【0032】
<包装材料の詳細>
パウチのおもて面1、裏面2、底面3は、1枚の連続する積層フィルムである包装材料により構成することができる。本実施形態で用いる包装材料は、少なくとも、外側から、基材フィルム、シーラントフィルムを含む積層体である。基材フィルムとしては、一軸または二軸延伸された延伸プラスチックフィルムを2枚以上用いることが好ましい。例えば、包装材料は、外面側から順に、第1延伸プラスチックフィルム、第2延伸プラスチックフィルム、シーラントフィルムが順に積層されていることが好ましい。
【0033】
第1延伸プラスチックフィルム、第2延伸プラスチックフィルム、シーラントフィルムは、例えば接着剤を用いたドライラミネート法により接着剤層を形成して積層することができる。
図4は、包装材料の層構成の一例を示す断面図である。
図4においては、上側が外面側、下側が内面側(内容物と接する側)を示している。
図4に示すように、本実施形態で用いる包装材料30は、第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32、シーラントフィルム33が外面側から順に積層されている。第1延伸プラスチックフィルム31と第2延伸プラスチックフィルム32は、接着剤層34により接着され、第2延伸プラスチックフィルム32とシーラントフィルム33は、接着剤層35により接着されている。
【0034】
本実施形態のパウチは、熱に対する耐性を必要とされる。このため、第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32は、耐熱性をもつ材料からなることが好ましい。例えば、第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルムなどを用いることができる。厚みは、ともに10μm~50μm程度である。第1延伸プラスチックフィルム31と第2延伸プラスチックフィルム32としては、同じ材料を用いることもできるが、異なる材料を用いることが好ましい。第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32は、二軸延伸されていることが好ましい。
【0035】
シーラントフィルム33は、包装材料30のうち、製袋してパウチとするときの最も内方となる側に配置される。シーラントフィルム33の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂などが採用できる。シーラントフィルム33は未延伸であることが好ましい。
【0036】
好ましくは、シーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のフィルムである。例えば、シーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする単層の未延伸フィルムである。プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、シーラントフィルム33の耐衝撃性を高めることができ、落下時の衝撃によりパウチが破袋してしまうことを抑制することができる。また、包装材料30の耐突き刺し性を高めることができる。
【0037】
高温時、例えば100℃のときの、シーラントフィルム33によって構成されるシール部の強度を熱間シール強度とし、低温時、例えば25℃のときの、シーラントフィルム33によって構成されるシール部の強度を常温シール強度とする。プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、熱間シール強度が、常温シール強度に比べて小さくなる。熱間シール強度が低いことにより、電子レンジを用いてパウチを加熱する際、仕切りシール部8が剥離し易くなり、第1収容部11aと第2収容部11bが連通し易くなる。さらに、蒸気抜けシール部7eが剥離し易くなり、第1収容部11aと第2収容部11bが連通した後の、収容部11の蒸気がパウチの外部に抜け易くなる。このため、収容部11の内圧が過大になることを抑制することができ、これにより、加熱時に包装材料30にダメージが生じることを抑制することができる。
【0038】
パウチのシール部の、100℃のときの15mm幅における熱間シール強度は、好ましくは23N以下であり、より好ましくは20N以下であり、更に好ましくは15N以下である。また、パウチのシール部の熱間シール強度は、11N以下や10N以下であってもよい。なお、熱間シール強度が低すぎると、内容物が十分に加熱及び加圧されるよりも前に、仕切りシール部8が剥離して第1収容部11aと第2収容部11bが連通してしまい、意図した状態に調理を行うことができない惧れがある。さらに、内容物が十分に加熱及び加圧されるよりも前に、蒸気抜けシール部7eが剥離して収容部11の圧力及び温度が低下してしまうことが考えられる。この点を考慮すると、パウチのシール部の熱間シール強度は、好ましくは4N以上であり、より好ましくは5N以上である。
【0039】
また、パウチのシール部の、25℃のときの15mm幅における常温シール強度は、好ましくは60N以下であり、より好ましくは55N以下であり、50N以下であってもよい。常温シール強度が60N以下になるようシール部を形成することにより、シール部の熱間シール強度を23N以下にすることができる。また、パウチのシール部の、25℃のときの15mm幅における常温シール強度は、好ましくは35N以上であり、より好ましくは40N以上であり、45N以上又は50N以上であってもよい。常温シール強度が35N以上になるようシール部を形成することにより、搬送時などにパウチが受ける力に起因してパウチのシール部が剥離してしまうことを抑制することができる。また、常温シール強度が40N以上になるようシール部を形成することにより、シール温度のばらつきに起因して常温シール強度がばらついてしまうことを抑制することができる。
【0040】
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、例えば、ポリプロピレンからなる海成分と、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分と、を含む。海成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐ブロッキング性、耐熱性、剛性、シール強度などを高めることに寄与し得る。また、島成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、海成分と島成分の比率を調整することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含むシーラントフィルム33の機械特性を調整することができる。
【0041】
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の質量比率よりも高い。例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
【0042】
単層のシーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂に加えて、第2の熱可塑性樹脂を更に含んでいてもよい。第2の熱可塑性樹脂としては、α-オレフィン共重合体、ポリエチレンなどを挙げることができる。α-オレフィン共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。第2の熱可塑性樹脂は、シーラントフィルム33の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。
【0043】
シーラントフィルム33において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高い。シーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分として含んでいる。そのため、例えば、単層のシーラントフィルム33において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
【0044】
上述のように、第2の熱可塑性樹脂は、シーラントフィルム33の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、単層のシーラントフィルム33における、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率を調整することにより、シーラントフィルム33の機械特性を調整することができる。
【0045】
また、シーラントフィルム33は、熱可塑性エラストマーを更に含んでいてもよい。熱可塑性エラストマーを用いることにより、シーラントフィルム33の耐衝撃性や耐突き刺し性を更に高めることができる。
【0046】
シーラントフィルム33の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、シーラントフィルム33の厚みは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。
【0047】
以下、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラントフィルム33の好ましい機械特性について説明する。包装材料30の搬送方向である流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の、25℃における引張弾性率(MPa)は、好ましくは500MPa以上であり、より好ましくは600MPa以上であり、650MPa以上、又は700MPa以上であってもよい。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の引張弾性率(MPa)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上であり、より好ましくは38000以上であり、更に好ましくは45000以上である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルム33の、25℃における引張弾性率(MPa)は、好ましくは450MPa以上であり、より好ましくは500MPa以上であり、550MPa以上、又は600MPa以上であってもよい。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルム33の引張弾性率(MPa)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、好ましくは25000以上であり、より好ましくは30000以上であり、更に好ましくは35000以上であり、38000以上であってもよい。シーラントフィルム33が高い引張弾性率を有することにより、パウチを開封する際の引き裂き性を高めることができる。なお、本実施形態において、流れ方向(MD)は、パウチの上縁16から下縁17に向かう方向である第1方向に対応する。
【0048】
また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の、25℃における引張伸度(%)は、好ましくは1100(%)以下であり、より好ましくは1000(%)以下であり、900(%)以下、又は800(%)以下であってもよい。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の引張伸度(%)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、好ましくは55000以下であり、より好ましくは50000以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルム33の、25℃における引張伸度(%)は、好ましくは1200(%)以下であり、より好ましくは1100(%)以下であり、1000(%)以下、又は900(%)以下であってもよい。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルム33の引張伸度(%)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、好ましくは60000以下であり、より好ましくは55000以下である。引張弾性率及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の恒温槽付き引張試験機「RTC-1310A」を用いることができる。このようなシーラントフィルム33として、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム「ZK207」を用いることができる。
【0049】
なお、
図1、
図2に示すパウチにおいては、上縁16から下縁17に向かう方向である第1方向が、シーラントフィルム33などの、パウチを構成する包装材料30の流れ方向であり、第1側縁18から第2側縁19に向かう方向である第2方向が、シーラントフィルム33などの、パウチを構成する包装材料30の垂直方向である。上縁16から下縁17に向かう方向である第1方向が、包装材料30の垂直方向となり、第1側縁18から第2側縁19に向かう方向である第2方向が、包装材料30の流れ方向となるよう、パウチが構成されていてもよい。
【0050】
包装材料30は、印刷層や他の層を含んでいてもよい。印刷層は、商品内容を表示したり美感を付与したりカット部分を表示したりするために設けられる。印刷層は、バインダーと顔料を含む印刷インキにより形成される。
【0051】
他の層は、基材フィルム(第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32)の外側に設けられていてもよいし、基材フィルム間に設けられていてもよいし、基材フィルムとシーラントフィルム33の間に設けられていてもよい。他の層としては、水蒸気その他のガスバリア性、遮光性など、必要とされる機能に応じて、適切なものが選択される。例えば、他の層がガスバリア層の場合、アルミニウムなどの金属や酸化アルミニウムなどの金属酸化物や酸化珪素などの無機酸化物の蒸着層が設けられる。蒸着層は、基材フィルムに積層してもよいし、シーラントフィルム33に蒸着してもよい。あるいは、アルミニウムなどの金属箔を設けてもよい。その他にも、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)や、ナイロンMXD6などの芳香族ポリアミドなどの、ガスバリア性を有する樹脂層を設けてもよい。各層は、ドライラミネート法や溶融押し出し法などを用いて積層することができる。
【0052】
以下に、好ましい包装材料の具体例をいくつか示す。包装材料としては以下の具体例に限らず、他の構成を用いることもできる。
・ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/ポリアミドフィルム/接着剤層/CPP(無延伸ポリプロピレンフィルム)
・ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/ポリエステルフィルム/接着剤層/CPP
・ポリエステルフィルム/透明蒸着層/ガスバリア性塗布膜/印刷層/接着剤層/ポリアミドフィルム/接着剤層/CPP
・ポリエステルフィルム/透明蒸着層/ガスバリア性塗布膜/印刷層/接着剤層/ポリエステルフィルム/接着剤層/CPP
【0053】
包装材料としては、更に第3延伸プラスチックフィルム(図示省略)を備えていてもよい。また、第1延伸プラスチックフィルム31はポリエステルフィルムであることが好ましい。第2延伸プラスチックフィルム32や第3延伸プラスチックフィルムは、ポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムとすることができる。ポリエステルフィルムとしては、テレフタル酸とジオールとの重縮体を主成分とするフィルムを用いることができ、重縮体としては、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮体であるポリエチレンテレフタレートや、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールの重縮体であるポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。ポリアミドフィルムとしては、ナイロンフィルムを用いることができる。第1延伸プラスチックフィルム31ではなく、第2延伸プラスチックフィルム32に透明蒸着層とガスバリア性塗布膜を設けてもよい。
【0054】
<製造方法>
次に、上述の包装材料30を用いてパウチを製造する方法について説明する。まず、1枚の連続する包装材料30を準備する。そして、上縁16、下縁17、折込部3aで折り返し、包装材料30の端部同士を合掌部7の先端7a同士として合わせて、合掌部7の内面同士を重ね合わせた状態で、所定のシール温度でヒートシールして、第1合掌シール部7c、第2合掌シール部7d、蒸気抜けシール部7eを形成する。これにより、同時に未シール部7f、7gも形成される。続いて、未シール部7fにおいて、合掌部7を貫通する貫通孔7hを形成する。この段階で、
図3に示したような、筒状の状態が形成される。
【0055】
次に、おもて面1、裏面2、底面3の重ね合された内面同士を、第2側縁19側のみ所定のシール温度でヒートシールして、第2側部シール部5b、第1底部シール部6a、第2底部シール部6b、仕切りシール部8を形成する。ヒートシール処理の条件は、シール部の常温シール強度が60N以下になり、熱間シール強度が23N以下になるよう、シーラントフィルム33の材料に応じて設定される。
【0056】
続いて、ヒートシールによって互いに接合されたフィルムを適切な形状に切断して、
図1~
図3に示したようなパウチが得られる。続いて、第1側縁18側の開口部15a、開口部15bを介して内容物をパウチの第1収容部11a、第2収容部11bに充填する。第1収容部11aに収容する内容物は、例えば、御飯、麺類、肉、魚、野菜などの食品である。第2収容部11bに収容する内容物は、例えば、御飯、麺類、肉、魚、野菜などの食品に添加するための調味料である。
【0057】
その後、第1側縁18側において、おもて面1、裏面2、底面3の重ね合された内面同士を所定のシール温度でヒートシールして、開口部15a、15bを塞ぎ、第1側部シール部5a、第1底部シール部6a、第2底部シール部6bを形成する。これにより、
図5に示すように、内容物が収容され封止されたパウチを得ることができる。
図5においては、内容物の図示を省略している。その後、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理を、内容物が収容されたパウチに対して必要に応じて実施する。上記製造方法は、長尺の原反ロールの包装材料30を供給することにより、インラインでパウチの製造および内容物の充填まで行うことができる。
【0058】
<シール強度の測定方法>
次に、パウチのシール部のシール強度の測定方法について説明する。シール強度は、JIS Z1707 7.5に準拠して測定され得る。測定器としては、例えばオリエンテック社製の恒温槽付き引張試験機「RTC-1310A」を用いることができる。
【0059】
まず、シール部のシール強度を測定するための試験片Sを準備する。例えば、
図5において、一点鎖線の枠で示すように、パウチのおもて面1及び裏面2のうち第1側部シール部5aを含む部分を切り出して、第2方向に沿って延びる試験片Sを得る。第2方向に直交する第1方向における試験片Sの幅W4は、15mmである。
【0060】
そして、
図6に示すように、引張試験機により試験片Sの未シール部分を一対のチャック25で引っ張り、シール部が破断するまで引張荷重を加え、その間の最大荷重をシール強度とする。
図6において、試験片Sのうち網掛けが施されている部分がシール部に相当する。引張試験機としては、オリエンテック社製「恒温槽付き引張試験機RTC-1310A」を用い、チャック間距離L2は40mm、引張試験速度:300mm/分とした。
【0061】
<内容物の加熱>
次に、内容物が充填されたパウチの加熱について説明する。調理時には、まず、下縁17を下にしてパウチを自立させた状態で、パウチを電子レンジの内部に載置する。次に、電子レンジを利用して内容物が充填されたパウチを加熱する。これによって、内容物の温度が高くなり、内容物に含まれる水分が蒸発して第1収容部11aおよび第2収容部11bの圧力が増加する。
【0062】
第1収容部11aおよび第2収容部11bの圧力が増加すると、第1収容部11aおよび第2収容部11bから受ける力によっておもて面1及び裏面2が外側に膨らむ。この際、第1収容部11aにおいては、第1収容部11aを形成する第1側部シール部5a、第2側部シール部5b、第2底部シール部6b、第1合掌シール部7cに、第1収容部11aの中心から外側に向かう一方向のみからの力が加わる。また、第2収容部11bにおいては、第2収容部11bを形成する第1側部シール部5a、第2側部シール部5bに、第2収容部11bの中心から外側に向かう一方向のみからの力が加わる。これに対して、第1収容部11aと第2収容部11bを仕切る仕切りシール部8には、第1収容部11aの中心から(
図5における下から上)の力と、第2収容部11bの中心から(
図5における上から下)の力が加わる。
【0063】
すなわち、外縁シール部である第1側部シール部5a、第2側部シール部5b、第2底部シール部6bと、第1合掌シール部7cには、1方向からしか力が加わらないのに対し、仕切りシール部8には2方向から力が加わる。したがって、仕切りシール部8には、外縁シール部、第1合掌シール部7cより大きな力が加わることになり、仕切りシール部8が最初に剥離する。これにより、第1収容部11aと第2収容部11bが連通し、加熱された調味料と主食が混ざり合う。このようにして、電子レンジで加熱するだけで、2つの収容部に別々に充填された主食と調味料が調理される。
【0064】
この状態から、電子レンジによる加熱が続き、連通した第1収容部11aと第2収容部11bの圧力が高くなると、第1収容部11aと第2収容部11bから受ける力によって、おもて面1及び裏面2が外側にさらに膨らむ。ここで本実施形態においては、常温シール強度が60N以下であるようシール部が構成されている。これにより、23N以下の熱間シール部を有するシール部を備えるパウチを得ることができる。このため、パウチに収容されている内容物の温度が過剰に高くなったり、収容部内の圧力が過剰に高くなったりするよりも前に、蒸気抜けシール部7eを剥離させることができる。蒸気抜けシール部7eが剥離すると、貫通孔7hにより第1収容部11aと外部が連通し、水蒸気が外部へ放出される。このため、加熱の際にパウチの包装材料30に穴があいたり包装材料30にシワが形成されたりすることを抑制することができる。
【0065】
<変形例・仕切りシール部>
仕切りシール部の変形例について説明する。上記実施形態では、仕切りシール部8を、合掌部7よりも上縁16側(合掌部以外の領域)に形成するようにしたが、異なる態様とすることもできる。
図7は、仕切りシール部の変形例を示す図である。
図1と比較すると、
図7は、仕切りシール部8だけが異なっている。
図7に示す変形例では、仕切りシール部8が合掌部7の基部7bと重なる位置に形成されている。この変形例では、合掌部7の基部7bと重なる位置が、第1収容部11aと第2収容部11bを区分する位置となっている。
【0066】
<変形例・蒸気抜け機構>
蒸気抜け機構の変形例について説明する。上記実施形態では、蒸気抜け機構を、蒸気抜けシール部7e、未シール部7f、貫通孔7hにより、形成するようにしたが、異なる態様とすることもできる。
図8は、蒸気抜け機構の変形例を示す図である。
図8は、パウチを正面視した状態における合掌部7の蒸気抜け機構付近を拡大した図となっている。
図8(a)に示す変形例では、第1合掌シール部7cの内縁(合掌部7の基部7b側)に半円状の未シール部7iを設けている。未シール部7iを設ける位置は、第1側縁18、第2側縁19の中間となる位置である。未シール部7iは半円状でなくてもよく、第1側縁18、第2側縁19の中間となる位置において第1合掌シール部7cの第1方向における幅が、仕切りシール部8以外の他のシール部の幅より小さくなっていればよい。第1合掌シール部7cの第1方向における幅が、仕切りシール部8以外の他のシール部の幅より小さくなっていることにより、パウチの加熱時に、第1収容部11aと第2収容部11bが連通した後、他の外縁シール部より先に第1合掌シール部7cが剥離し、水蒸気を外部へ放出することができる。
【0067】
また、
図8(b)に示す変形例では、第1合掌シール部7cに、合掌部7を貫通する直線状の切り込み7jを設けている。切り込み7jを設ける位置は、第1側縁18、第2側縁19の中間となる位置である。切り込み7jは直線状でなくてもよく、円弧状等の曲線状であってもよい。
図8(b)の例では、第1方向における第1合掌シール部7cの中央に切り込み7jを形成しているが、切り込み7jの形成位置は、切り込み7jと第1合掌シール部7cの内縁の距離が、仕切りシール部8以外の他のシール部の幅より小さくなっていればよい。切り込み7jと第1合掌シール部7cの内縁の距離が、仕切りシール部8以外の他のシール部の幅より小さくなっていることにより、パウチの加熱時に、第1収容部11aと第2収容部11bが連通した後、他の外縁シール部より先に第1合掌シール部7cの切り込み7jより合掌部7の基部7b側の部分が剥離し、水蒸気を切り込み7jから外部へ放出することができる。
【0068】
<変形例・全体形態>
パウチの形態の変形例について説明する。上記実施形態では、パウチを、下縁を下にして自立させることが可能な底部ガセット部9を有する形態としたが、底部ガセット部9を有さないおもて面1、裏面2のみの形態としてもよい。
図9は、底部ガセット部9を有さない変形例を示す図である。
図9は、変形例のパウチの正面図である。
図5に示した実施形態のパウチと同様の箇所については同一符号を付して説明を省略する。なお、背面図も省略している。
図5と比較するとわかるように、
図9の変形例では、底面3と接合するための第2底部シール部6bが存在していない。底面3が存在していないためである。
図9のパウチの使用態様は、電子レンジ等に入れる際、通常、裏面2を下方にして載置して使用する。すなわち、
図9の紙面奥方向を下方にし、
図9の紙面手前側のおもて面1を上方として使用する。これは、
図5に示した実施形態のパウチが、下縁17を下方にし、上縁16を上方にして使用するのと異なっている。
【0069】
<変形例・開閉機構>
次に、第2収容部11bに開閉機構を備えた変形例について説明する。
図10、
図11は、開閉機構を備えた変形例を示す図である。
図10は、変形例に係るパウチを示す正面図である。
図11は、
図10に示すB-B線に対応する断面図である。
図10、
図11に示す変形例では、上縁16に沿って開封および再封が可能な開閉機構が形成されている。
図10に示すように、変形例のパウチは、第2収容部11bの上縁16付近に、相互に咬合する雄部材21と雌部材22とからなる開閉自在な咬合具20を開閉機構として備える。
図10に示すように、帯状の咬合具20は、上縁16側に第2方向(
図10における左右方向)に沿って設けられており、雄部材21は帯状の第一基部21aと、第一基部21aの一方の側に雄型咬合部21bを備え、第一基部21aの他方の側はおもて面1の内面にそれぞれ接合されている。雌部材22は帯状の第二基部22aと、第二基部22aの一方の側に雌型咬合部22bを備え、第二基部22aの他方の側は裏面2の内面にそれぞれ接合されている。
【0070】
このような第2方向に沿って形成された咬合具20は、いわゆるジッパーとして用いることができ、第2収容部11bを開封したり、再封したりすることが可能となる。なお、咬合具20は
図10、
図11に限定されるものではなく、第一基部21aは裏面2に接合され、第二基部22aはおもて面1に接合されていてもよい。
【0071】
咬合具20の材料としては、包装材料30のシーラントフィルム33と相溶性を有する樹脂を用いることができる。咬合具20は、
図11に示すように雄部材21と雌部材22からなり、雄部材21はおもて面1に、雌部材22は裏面2にヒートシールされる。このとき、雄部材21と雌部材22の間に遮熱板(図示省略)を介在させることにより、雄部材21と雌部材22の熱融着を防止する。
【0072】
図10の変形例では、第1側縁18、第2側縁19において、第1方向における上縁16と咬合具20の間に開封手段14が形成されている。開封手段14は、切り込みであり、第1側部シール部5aに設けられている。開封手段としては、開封手段14のような切り込みに限定されず、切り欠きであってもよく、包装材料の一部または全部を貫通する傷痕群であってもよい。これらの開封手段は、第1側部シール部5aおよび第2側部シール部5bのどちらか一方のみに設けるようにしてもよい。あるいは、開封手段は、第1側部シール部5aから第2側部シール部5bに向かって延びる易開封線であってもよい。易開封線は、基材フィルムを貫通し、且つ、シーラントフィルムを貫通しないハーフカット線としてもよい。ハーフカット線は、刃物を用いて形成してもよいし、レーザー加工により形成してもよい。また、ハーフカット線は、連続的に延びる線であってもよいし、断続的に延びる線であってもよい。また、ハーフカット線は、パウチの一方の側縁から他方の側縁に至るように設けてもよい。なお、開封手段は、形成されていることが好ましいが、必須のものではない。
【0073】
図10、
図11の変形例では、1枚の連続する包装材料30を用いて製造する場合、第1収容部11aに内容物の充填後、第1側部シール部5aで封止する。咬合具20の上部の第1側部シール部5aに形成された開封手段14から袋を開封することにより、第2収容部11bが咬合具20により開閉可能となり、利用者が、調味料を上縁16側に形成される開口から充填することも可能となる。
【0074】
上記のような仕切りシール部、蒸気抜け機構、全体形態、開閉機構等の変形例については、適宜組み合わせて用いることができる。
【0075】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態、変形例に限定されず、さらに種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、1枚の包装材料により、おもて面、裏面、底面を構成するようにしたが、おもて面、裏面、底面それぞれを2枚以上の個別の包装材料として用意し、シールすることにより、パウチを構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1・・・おもて面
2・・・裏面
3・・・底面
3a・・・折込部
5a・・・第1側部シール部
5b・・・第2側部シール部
6a・・・第1底部シール部
6b・・・第2底部シール部
7・・・合掌部
7a・・・先端
7b・・・基部
7c・・・第1合掌シール部
7d・・・第2合掌シール部
7e・・・蒸気抜けシール部
7f、7g・・・未シール部
7h・・・貫通孔
8・・・仕切りシール部
9・・・底部ガセット部
11a・・・第1収容部
11b・・・第2収容部
15a、15b・・・開口部
16・・・上縁
17・・・下縁
20・・・咬合具
21・・・雄部材
22・・・雌部材
L1・・・第1合掌シール部7cの内縁から蒸気抜けシール部7eの内縁までの距離
W1・・・第1側部シール部5a、第2側部シール部5b、第1底部シール部6a、第2底部シール部6bのシール幅
W2・・・第1合掌シール部7cのシール幅
W3・・・仕切りシール部8のシール幅