(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221115BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221115BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221115BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20221115BHJP
B65H 1/00 20060101ALI20221115BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20221115BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H04N1/00 567L
B41J29/38 202
G03G21/00 370
B65H3/44 342
B65H3/44 340Z
B65H1/00 501A
B65H7/02
G03G15/00 403
(21)【出願番号】P 2018126293
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】小牧 優士
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-222031(JP,A)
【文献】特開平09-297437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
B65H 1/00- 1/30
B65H 3/44
B65H 7/02- 7/14
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定手段と、
前記対象格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備え、
前記対象決定手段は、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定し、
前記搬送手段は、前記対象決定手段により前記優先格納手段が前記対象格納手段に決定される場合、複数の媒体種別それぞれに対して定められる搬送速度のうち最も遅い搬送速度で記録媒体を搬送し、
前記画像形成手段は、前記媒体検出手段が前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出することに応じて、前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体に前記媒体検出手段により検出された媒体種別に対応する画像形成条件で画像形成する、画像形成装置。
【請求項2】
前記対象決定手段は、ユーザーにより入力されるユーザー操作として前記画像形成手段に画像を形成させる実行指示操作を検出する前に、前記ユーザー操作として複数の前記格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の前記格納手段のうち前記格納操作が検出された前記格納手段を前記優先格納手段に決定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定手段と、を備え、
前記対象決定手段は、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定し、
ユーザーにより入力されるユーザー操作として前記画像形成手段に画像を形成させる実行指示操作を検出する前に、前記ユーザー操作として複数の前記格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の前記格納手段のうち前記格納操作が検出された前記格納手段を前記優先格納手段に決定し、
前記ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、前記優先格納手段を決定しない、画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定手段と、を備え、
前記対象決定手段は、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定し、
ユーザーのログインを検出してからログアウトを検出するまでの間に、複数の前記格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の前記格納手段のうち前記格納操作が検出された前記格納手段を前記優先格納手段に決定し、
前記格納操作が検出されてから所定の時間が経過した場合は、前記優先格納手段を決定しない、画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定手段と、を備え、
前記対象決定手段は、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定し、
前記対象格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、
前記媒体検出手段が前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出する場合、前記媒体検出手段により検出された媒体種別を、前記優先格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別として決定する種別決定手段と、をさらに備えた画像形成装置。
【請求項6】
複数の前記格納手段それぞれを、前記格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別と関連付ける関連付手段を、さらに備え、
前記関連付手段は、前記媒体検出手段が前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出する場合、前記優先格納手段に前記媒体検出手段により検出された媒体種別を関連付ける、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記対象決定手段は、複数の前記格納手段のいずれかの開閉を検出する場合に、前記格納操作を検出する、請求項
2~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の前記格納手段それぞれを、前記格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別と関連付ける関連付手段と、
記録媒体の複数の媒体種別に対して予め定められた優先順位に従って、複数の前記格納手段のうちから優先順位が最も高い媒体種別に関連付けられた前記格納手段を候補格納手段に決定する候補決定手段と、をさらに備え、
前記対象決定手段は、前記優先格納手段が決定されない場合は前記候補格納手段を前記対象格納手段に決定し、前記優先格納手段が決定される場合は前記優先格納手段を前記対象格納手段に決定する、請求項1~7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、
前記画像形成手段による画像を形成する動作を定めるジョブの種別を示す複数のジョブ種ごとに、記録媒体の複数の媒体種別に対して前記優先順位を関連付けるジョブ関連付手段と、を、さらに備え、
前記候補決定手段は、前記ジョブ受付手段により受け付けられたジョブのジョブ種と、前記ジョブ関連付手段により関連付けられた前記優先順位を決定する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、
複数のユーザーごとに、記録媒体の複数の媒体種別に対して前記優先順位を関連付けるユーザー関連付手段と、をさらに備え、
前記候補決定手段は、前記ジョブ受付手段により受け付けられたジョブの実行を指示したユーザーと、前記ユーザー関連付手段により関連付けられた前記優先順位を決定する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成手段が画像形成の対象とする記録媒体の媒体種別に対して定まる画像形成条件で、前記画像形成手段に画像を形成させる画像形成制御手段を、さらに備えた請求項1~10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
複数の前記格納手段に格納される記録媒体のサイズを検出するサイズ検出手段を、さらに備え、
前記画像形成制御手段は、前記画像形成手段が画像形成の対象とする記録媒体のサイズに基づいて画像形成条件を決定する、請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
複数の前記格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備えており、
前記搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出ステップと、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップと、
前記対象決定ステップにおいて、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段が前記対象格納手段に決定される場合、複数の媒体種別それぞれに対して定められる搬送速度のうち最も遅い搬送速度で記録媒体を前記搬送手段に搬送させる搬送制御ステップと、
前記媒体検出手段が前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出することに応じて、前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体に前記媒体検出手段により検出された媒体種別に対応する画像形成条件で前記画像形成手段に画像形成させる画像形成ステップと、を含む、画像形成方法。
【請求項14】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えており、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップを、含み、
前記対象決定ステップは、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定するステップと、
ユーザーにより入力されるユーザー操作として前記画像形成手段に画像を形成させる実行指示操作を検出する前に、前記ユーザー操作として複数の前記格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の前記格納手段のうち前記格納操作が検出された前記格納手段を前記優先格納手段に決定するステップと、
前記ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、前記優先格納手段を決定しないステップと、を含む、画像形成方法。
【請求項15】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えており、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップを、含み、
前記対象決定ステップは、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定するステップと、
ユーザーのログインを検出してからログアウトを検出するまでの間に、複数の前記格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の前記格納手段のうち前記格納操作が検出された前記格納手段を前記優先格納手段に決定するステップと、
前記格納操作が検出されてから所定の時間が経過した場合は、前記優先格納手段を決定しないステップと、を含む画像形成方法。
【請求項16】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備えており、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップと、
前記対象決定ステップは、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定するステップを含み、
前記媒体検出手段が前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出する場合、前記媒体検出手段により検出された媒体種別を、前記優先格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別として決定する種別決定ステップと、を含む画像形成方法。
【請求項17】
画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
複数の前記格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備えており、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップと、
前記対象決定ステップにおいて、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段が前記対象格納手段に決定される場合、複数の媒体種別それぞれに対して定められる搬送速度のうち最も遅い搬送速度で記録媒体を前記搬送手段に搬送させる搬送制御ステップと、
前記媒体検出手段が前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出すことに応じて、前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体に前記媒体検出手段により検出された媒体種別に対応する画像形成条件で前記画像形成手段に画像形成させる画像形成ステップと、を前記コンピューターに実行させる、画像形成プログラム。
【請求項18】
画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えており、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップを、前記コンピューターに実行させ、
前記対象決定ステップは、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定するステップと、
ユーザーにより入力されるユーザー操作として前記画像形成手段に画像を形成させる実行指示操作を検出する前に、前記ユーザー操作として複数の前記格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の前記格納手段のうち前記格納操作が検出された前記格納手段を前記優先格納手段に決定するステップと、
前記ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、前記優先格納手段を決定しないステップと、を含む、画像形成プログラム。
【請求項19】
画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えており、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップを、前記コンピューターに実行させ、
前記対象決定ステップは、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定するステップと、
ユーザーのログインを検出してからログアウトを検出するまでの間に、複数の前記格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の前記格納手段のうち前記格納操作が検出された前記格納手段を前記優先格納手段に決定するステップと、
前記格納操作が検出されてから所定の時間が経過した場合は、前記優先格納手段を決定しないステップと、を含む画像形成プログラム。
【請求項20】
画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備えており、
複数の前記格納手段のうちから前記画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する前記格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップと、
前記対象決定ステップは、複数の前記格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を前記対象格納手段に決定するステップを含み、
前記媒体検出手段が前記搬送手段により前記優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出する場合、前記媒体検出手段により検出された媒体種別を、前記優先格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別として決定する種別決定ステップと、を前記コンピューターに実行させる画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムに関し、特に、媒体種別の異なる記録媒体に画像を形成可能な画像形成装置、その画像形成装置で実行される画像形成方法およびその画像形成方法を画像形成装置を制御するコンピューターに実行させる画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置においては、用紙のサイズに従って画像形成条件が定まり、その画像形成条件に従って用紙に画像が形成される。用紙は、給紙トレイに格納されるため、MFPにおいて、給紙カセットに予め用紙のサイズが設定されている。この設定を容易にする技術として、例えば、特開2014-133656号公報がある。特開2014-133656号公報には、画像形成に用いる用紙のタイプを指定する入力部と、用紙を収納し、収納する用紙のタイプが設定される用紙カセットと、用紙のタイプを記憶する記憶部と、画像形成の要求を受ける毎に前記記憶部に前記用紙カセットに設定の用紙タイプが記憶されているか判断し、前記記憶部に用紙タイプが記憶されていると判断すると前記入力部より指定された用紙のタイプと前記記憶部に記憶された用紙のタイプとが一致するか否かを判断し、前記入力部より指定された用紙のタイプと前記記憶部に記憶された用紙のタイプとが一致する場合は画像形成の指示を行い、前記入力部より指定された用紙のタイプと前記記憶部に記憶された用紙のタイプが一致しない場合は画像形成の指示を行わずユーザーに前記判断結果の通知を行う、他方、画像形成の要求を受ける毎に行う、用紙タイプが前記記憶部に記憶されているか否かの前記判断において、前記記憶部に用紙タイプが記憶されていないと判断すると、画像形成の指示を行い、この画像形成の結果に基づいて、前記記憶部に前記用紙カセットに設定される用紙のタイプを記憶するかの判断を行う制御部と、を具備することを特徴とする画像形成装置が記載されている。
【0003】
さらに、用紙の坪量等の媒体種別の違いが、用紙に形成される画像の画質に影響する。このため、MFPは、用紙の媒体種別によって、画像形成条件を異ならせる場合がある。このために、従来のMFPは、用紙を格納する給紙カセットに、用紙のサイズに加えて、媒体種別が設定されており、その給紙カセットに格納された用紙のサイズおよび媒体種別に対応する画像形成条件で、その用紙に画像を形成する。このように、従来のMFPは、使用を予定している用紙のサイズおよび媒体種別を給紙カセットに関連付けているので、MFPを使用するユーザーは、使用を予定している用紙が格納された給紙カセットを指定すればよい。しかしながら、ユーザーは、複数の給紙カセットそれぞれに格納される用紙のサイズおよび媒体種別を確認してから給紙カセットを指定しなければならず、MFPに画像を形成させるための設定操作が煩雑であるといった問題がある。
【文献】特開2014-133656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の一つは、設定操作を容易にした画像形成装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、設定操作を容易にした画像形成方法を提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、設定操作を容易にした画像形成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、この発明のある局面によれば、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定手段と、対象格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備え、対象決定手段は、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定し、搬送手段は、対象決定手段により優先格納手段が対象格納手段に決定される場合、複数の媒体種別それぞれに対して定められる搬送速度のうち最も遅い搬送速度で記録媒体を搬送し、画像形成手段は、媒体検出手段が搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出することに応じて、搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体に媒体検出手段により検出された媒体種別に対応する画像形成条件で画像形成する。
【0008】
この局面に従えば、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段に格納された記録媒体に画像を形成する。このため、ユーザーが格納した記録媒体に画像を形成するので、ユーザーは、複数の格納手段のいずれを用いるかを設定する必要がない。その結果、設定操作を容易にした画像形成装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、対象決定手段は、ユーザーにより入力されるユーザー操作として画像形成手段に画像を形成させる実行指示操作を検出する前に、ユーザー操作として複数の格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の格納手段のうち格納操作が検出された格納手段を優先格納手段に決定する。
【0010】
この局面に従えば、ユーザー操作を検出してから実行指示操作を検出するまでの間に記録媒体を格納する格納操作が検出された格納手段が優先格納手段に決定される。このため、優先格納手段を決定する場合を、実行指示操作を入力したユーザーと、記録媒体を格納したユーザーとが同一である確率が高い場合に制限することができる。
【0011】
この発明の他の局面によれば、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定手段と、を備え、対象決定手段は、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定し、ユーザーにより入力されるユーザー操作として画像形成手段に画像を形成させる実行指示操作を検出する前に、ユーザー操作として複数の格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の格納手段のうち格納操作が検出された格納手段を優先格納手段に決定し、ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、優先格納手段を決定しない。
【0012】
この局面に従えば、ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、優先格納手段を決定しないので、操作の途中でユーザーが入れ代わった確率が高い場合に、優先格納手段が決定されないようにすることができる。
【0015】
この発明の他の局面によれば、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定手段と、を備え、対象決定手段は、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定し、ユーザーのログインを検出してからログアウトを検出するまでの間に、複数の格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の格納手段のうち格納操作が検出された格納手段を優先格納手段に決定し、格納操作が検出されてから所定の時間が経過した場合は、優先格納手段を決定しない。
【0016】
この局面に従えば、格納操作が検出されてから所定の時間が経過した場合は、優先格納手段を決定しないので、ログインしたユーザーが使用しない記録媒体を格納した確率が高い場合に、優先格納手段が決定されないようにすることができる。
【0019】
この発明の他の局面によれば、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定手段と、を備え、対象決定手段は、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定し、対象格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、媒体検出手段が搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出する場合、媒体検出手段により検出された媒体種別を、優先格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別として決定する種別決定手段と、をさらに備える。
【0020】
この局面に従えば、優先格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別を決定することができる。
【0021】
好ましくは、複数の格納手段それぞれを、格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別と関連付ける関連付手段を、さらに備え、関連付手段は、媒体検出手段が搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出する場合、優先格納手段に媒体検出手段により検出された媒体種別を関連付ける。
【0022】
この局面に従えば、優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別が検出される場合、優先格納手段に媒体種別が関連付けられるので、優先格納手段に記録媒体が格納される場合に、優先格納手段に記録媒体の媒体種別を関連付けることができる。
好ましくは、対象決定手段は、複数の格納手段のいずれかの開閉を検出する場合に、格納操作を検出する。
この局面に従えば、格納手段の開閉を検出する場合に、格納手段に記録媒体を格納する操作を検出するので、記録媒体を格納する操作を容易に検出することができる。
【0023】
好ましくは、複数の格納手段それぞれを、格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別と関連付ける関連付手段と、記録媒体の複数の媒体種別に対して予め定められた優先順位に従って、複数の格納手段のうちから優先順位が最も高い媒体種別に関連付けられた格納手段を候補格納手段に決定する候補決定手段と、をさらに備え、対象決定手段は、優先格納手段が決定されない場合は候補格納手段を対象格納手段に決定し、優先格納手段が決定される場合は優先格納手段を対象格納手段に決定する。
【0024】
この局面に従えば、記録媒体の複数の媒体種別に対して予め定められた優先順位が最も高い媒体種別の記録媒体を格納する格納手段が候補格納手段に決定され、優先格納手段が決定されない場合は候補格納手段に格納された記録媒体に画像が形成され、優先格納手段が決定される場合は優先格納手段に格納された記録媒体に画像が形成される。このため、記録媒体がユーザーにより格納されない場合は、予め定められた優先順位の高い媒体種別の記録媒体に画像が形成されるので、設定操作を容易にすることができる。
【0027】
好ましくは、ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、画像形成手段による画像を形成する動作を定めるジョブの種別を示す複数のジョブ種ごとに、記録媒体の複数の媒体種別に対して優先順位を関連付けるジョブ関連付手段と、を、さらに備え、候補決定手段は、ジョブ受付手段により受け付けられたジョブのジョブ種と、ジョブ関連付手段により関連付けられた優先順位を決定する。
【0028】
この局面に従えば、複数のジョブ種ごとに、記録媒体の複数の媒体種別に対して優先順位が関連付けられ、受け付けられたジョブのジョブ種と関連付けられた優先順位を決定するので、ジョブに対して適切な媒体種別の記録媒体に画像を形成することができる。
【0029】
好ましくは、ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、複数のユーザーごとに、記録媒体の複数の媒体種別に対して優先順位を関連付けるユーザー関連付手段と、をさらに備え、候補決定手段は、ジョブ受付手段により受け付けられたジョブの実行を指示したユーザーと、ユーザー関連付手段により関連付けられた優先順位を決定する。
【0030】
この局面に従えば、複数のユーザーごとに、記録媒体の複数の媒体種別に対して優先順位が関連付けられ、ジョブの実行を指示したユーザーと関連付けられた優先順位を決定するので、ユーザーに対して適切な媒体種別の記録媒体に画像を形成することができる。
【0031】
好ましくは、画像形成手段が画像形成の対象とする記録媒体の媒体種別に対して定まる画像形成条件で、画像形成手段に画像を形成させる画像形成制御手段を、さらに備える。
【0032】
この局面に従えば、記録媒体の媒体種別に対して定まる画像形成条件で、その記録媒体に画像が形成されるので、媒体種別に対して適切な画質で画像を形成することができる。
【0033】
好ましくは、複数の格納手段に格納される記録媒体のサイズを検出するサイズ検出手段を、さらに備え、画像形成制御手段は、画像形成手段が画像形成の対象とする記録媒体のサイズに基づいて画像形成条件を決定する。
【0034】
この局面に従えば、記録媒体のサイズに基づいて決定される画像形成条件で、その記録媒体に画像が形成されるので、記録媒体のサイズに対して適切な画像を形成することができる。
【0035】
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成方法は、画像形成装置で実行される画像形成方法であって、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、複数の格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備えており、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出ステップと、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップと、対象決定ステップにおいて、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段が対象格納手段に決定される場合、複数の媒体種別それぞれに対して定められる搬送速度のうち最も遅い搬送速度で記録媒体を搬送手段に搬送させる搬送制御ステップと、媒体検出手段が搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出することに応じて、搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体に媒体検出手段により検出された媒体種別に対応する画像形成条件で画像形成手段に画像形成させる画像形成ステップと、を含む。
【0036】
この局面に従えば、設定操作を容易にした画像形成方法を提供することができる。
【0037】
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成方法は、画像形成装置で実行される画像形成方法であって、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えており、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップを、含み、対象決定ステップは、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定するステップと、ユーザーにより入力されるユーザー操作として画像形成手段に画像を形成させる実行指示操作を検出する前に、ユーザー操作として複数の格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の格納手段のうち格納操作が検出された格納手段を優先格納手段に決定するステップと、ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、優先格納手段を決定しないステップと、を含む。
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成方法は、画像形成装置で実行される画像形成方法であって、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えており、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップを、含み、対象決定ステップは、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定するステップと、ユーザーのログインを検出してからログアウトを検出するまでの間に、複数の格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の格納手段のうち格納操作が検出された格納手段を優先格納手段に決定するステップと、格納操作が検出されてから所定の時間が経過した場合は、優先格納手段を決定しないステップと、を含む。
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成方法は、画像形成装置で実行される画像形成方法であって、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備えており、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップと、対象決定ステップは、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定するステップを含み、媒体検出手段が搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出する場合、媒体検出手段により検出された媒体種別を、優先格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別として決定する種別決定ステップと、を含む。
【0039】
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成プログラムは、画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、複数の格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備えており、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップと、対象決定ステップにおいて、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段が対象格納手段に決定される場合、複数の媒体種別それぞれに対して定められる搬送速度のうち最も遅い搬送速度で記録媒体を搬送手段に搬送させる搬送制御ステップと、媒体検出手段が搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出すことに応じて、搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体に媒体検出手段により検出された媒体種別に対応する画像形成条件で画像形成手段に画像形成させる画像形成ステップと、をコンピューターに実行させる。
【0040】
この局面に従えば、設定操作を容易にした画像形成プログラムを提供することができる。
【0041】
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成プログラムは、画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えており、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップを、コンピューターに実行させ、対象決定ステップは、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定するステップと、ユーザーにより入力されるユーザー操作として画像形成手段に画像を形成させる実行指示操作を検出する前に、ユーザー操作として複数の格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の格納手段のうち格納操作が検出された格納手段を優先格納手段に決定するステップと、ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、優先格納手段を決定しないステップと、を含む。
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成プログラムは、画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えており、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップを、コンピューターに実行させ、対象決定ステップは、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定するステップと、ユーザーのログインを検出してからログアウトを検出するまでの間に、複数の格納手段のいずれかに記録媒体を格納する格納操作が検出される場合、複数の格納手段のうち格納操作が検出された格納手段を優先格納手段に決定するステップと、格納操作が検出されてから所定の時間が経過した場合は、優先格納手段を決定しないステップと、を含む。
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成プログラムは、画像形成装置を制御するコンピューターで実行される画像形成プログラムであって、画像形成装置は、記録媒体が格納される複数の格納手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、格納手段に格納された記録媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の媒体種別を検出する媒体検出手段と、を備えており、複数の格納手段のうちから画像形成手段に画像形成させる記録媒体を格納する格納手段を対象格納手段に決定する対象決定ステップと、対象決定ステップは、複数の格納手段のうち最後に記録媒体が格納された優先格納手段を対象格納手段に決定するステップを含み、媒体検出手段が搬送手段により優先格納手段から搬送される記録媒体の媒体種別を検出する場合、媒体検出手段により検出された媒体種別を、優先格納手段に格納されている記録媒体の媒体種別として決定する種別決定ステップと、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】第1の実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態におけるMFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態におけるMFPが備える画像形成部および給紙部の一部の内部構成を示す模式的側面図である。
【
図4】第1の実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図6】ジョブ優先順位テーブルの一例を示す図である。
【
図7】ユーザー優先順位テーブルの一例を示す図である。
【
図8】第1の実施の形態における画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施の形態における候補カセット決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施の形態における指定カセット決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1の実施の形態における対象カセット決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】第1の実施の形態における画像形成制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】第2の実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図14】第2の実施の形態における画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】第2の実施の形態における対象カセット決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】第2の実施の形態における画像形成制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。また、以下の説明においては、画像形成装置の一例としてMFPを説明する。さらに、以下に説明するMFPは、画像を形成する対象となる記録媒体として、媒体種別の異なる複数種類の記録媒体のいずれにも画像を形成することが可能である。本実施の形態においては、記録媒体の一例として用紙を用い、媒体種別を普通紙、上質紙、または厚紙としている。媒体種別が異なる記録媒体は、坪量が異なる。したがって、用紙の坪量を検出することによりその用紙の媒体種別を決定することができる。なお、媒体種別を、坪量に加えて、また、坪量とは別に用紙の色、または厚さから検出するようにしてもよい。
【0045】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。
図2は、第1の実施の形態におけるMFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。
図1および
図2を参照して、MFP100は、画像形成装置の一例であり、メイン回路110と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、画像データに基づいて用紙に画像を形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
【0046】
自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ125上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部130の原稿読み取り位置まで搬送し、原稿読取部130により原稿に形成された画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイ127上に排出する。自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ125に載置される原稿を検出する原稿検出センサを備える。
【0047】
原稿読取部130は、原稿を読み取るための矩形状の読取面を有する。読取面は、例えばプラテンガラスにより形成される。自動原稿搬送装置120は、読取面の1つの辺に平行な軸を中心に回転可能にMFP100の本体に接続され、開閉可能である。自動原稿搬送装置120の下方に、原稿読取部130が配置されており、自動原稿搬送装置120が回転して開いた開状態で、原稿読取部130の読取面が露出する。このため、ユーザーは、原稿読取部130の読取面に原稿を載置可能である。自動原稿搬送装置120は、原稿読取部130の読み取り面が露出する開状態と、読み取り面を覆う閉状態とに状態を変化可能である。自動原稿搬送装置120は、自動原稿搬送装置120の開状態を検出する状態検出センサを備える。
【0048】
原稿読取部130は、光を照射する光源と、光を受光する光電変換素子とを含み、読取面に載置された原稿に形成されている画像を走査する。読取領域に原稿が載置されている場合、光源から照射された光は原稿で反射し、反射した光が光電変換素子で結像する。光電変換素子は、原稿で反射した光を受光すると、受光した光を電気信号に変換した画像データを生成する。原稿読取部130は、画像データをメイン回路110が備えるCPU111に出力する。
【0049】
給紙部150は、後述する第1~第3の給紙カセットおよび手差しカセットに収納された用紙を画像形成部140に搬送する。給紙部150は、画像形成部140に搬送される用紙に関する情報を媒体情報として検出する。本実施の形態においては、媒体情報は、用紙の坪量である。給紙部150において媒体情報を検出するための構成および動作の詳細は後述する。
【0050】
画像形成部140は、CPU111により制御され、周知の電子写真方式により画像を形成するものである。本実施の形態では、画像形成部140は、CPU111から入力される画像データと、用紙の媒体種別に対応する画像形成条件で、給紙部150により搬送される用紙に画像を形成する。画像が形成された用紙は排紙トレイ159に排出される。CPU111が画像形成部140に出力する画像データは、原稿読取部130から入力される画像データの他、外部から受信されるプリントデータ等の画像データを含む。
【0051】
メイン回路110は、MFP100の全体を制御するCPU(中央演算処理装置)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、ファクシミリ部116と、外部記憶装置118と、を含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0052】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる画像データを一時的に記憶する。
【0053】
操作パネル160は、MFP100の上部に設けられる。操作パネル160は、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、例えば、液晶表示装置(LCD)であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。なお、LCDに代えて、画像を表示する装置であれば、例えば、有機EL(electroluminescence)ディスプレイを用いることができる。
【0054】
操作部163は、タッチパネル165と、ハードキー部167とを含む。タッチパネル165は、静電容量方式である。なお、タッチパネル165は、静電容量方式に限らず、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等の他の方式を用いることができる。
【0055】
タッチパネル165は、その検出面が表示部161の上面または下面に表示部161に重畳して設けられる。ここでは、タッチパネル165の検出面のサイズと、表示部161の表示面のサイズとを同じにしている。このため、表示面の座標系と検出面の座標系は同じである。タッチパネル165は、ユーザーが、表示部161の表示面を指示する位置を検出面で検出し、検出した位置の座標をCPU111に出力する。表示面の座標系と検出面の座標系は同じなので、タッチパネル165が出力する座標を、表示面の座標に置き換えることができる。
【0056】
ハードキー部167は、複数のハードキーを含む。ハードキーは、例えば接点スイッチである。タッチパネル165は、表示部161の表示面中でユーザーにより指示された位置を検出する。ユーザーがMFP100を操作する場合は直立した姿勢となる場合が多いので、表示部161の表示面、タッチパネル165の操作面およびハードキー部167は、上方を向いて配置される。ユーザーが表示部161の表示面を容易に視認することができ、ユーザーが指で操作部163を容易に指示することができるようにするためである。
【0057】
通信I/F部112は、ネットワークにMFP100を接続するためのインターフェースである。通信I/F部112は、TCP(Transmission Control Protocol)またはFTP(File Transfer Protocol)等の通信プロトコルで、ネットワークに接続された他のコンピューターまたはデータ処理装置と通信する。通信I/F部112が接続されるネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。また、ネットワークは、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
【0058】
ファクシミリ部116は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部116は、受信したファクシミリデータを、HDD115に記憶するとともに、画像形成部140でプリント可能なプリントデータに変換して、画像形成部140に出力する。これにより、画像形成部140は、ファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータの画像を用紙に形成する。また、ファクシミリ部116は、HDD115に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0059】
外部記憶装置118は、CPU111により制御され、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)118A、または半導体メモリが装着される。本実施の形態においては、CPU111は、ROM113に記憶されたプログラムを実行する例を説明するが、CPU111は、外部記憶装置118を制御して、CD-ROM118AからCPU111が実行するためのプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAM114に記憶し、実行するようにしてもよい。
【0060】
なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD-ROM118Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がネットワークに接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてHDD115に記憶する、または、ネットワークに接続されたコンピューターがプログラムをHDD115に書込みするようにして、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードしてCPU111で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0061】
図3は、第1の実施の形態におけるMFPが備える画像形成部および給紙部の一部の内部構成を示す模式的側面図である。
図3を参照して、MFP100の内部には、太い点線で示される主搬送経路41が基本的に上下方向に延びるように形成されている。主搬送経路41は、給紙部150から搬送される用紙を、画像形成部140を通して排紙トレイ159へ導くための経路である。本例の主搬送経路41においては、画像形成部140よりも上方に位置する上端部13の反対側の下端部30が給紙部150から用紙を受ける搬入口を構成する。また、主搬送経路41の上端部13が、画像形成後の用紙を排紙トレイ159に排出する排出口を構成する。主搬送経路41の上端部13には、排紙ローラー15が設けられている。主搬送経路41の下端部30は、後述する給紙部150の複数の副搬送経路SP1,SP2,SP3に接続される。用紙の搬送方向は、給紙部150から排紙トレイ159に向かう方向である。
【0062】
給紙部150は、記録媒体である用紙を格納するための、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154を含む。3つの給紙カセット151,152,153は、この順で上方から下方に向かって並ぶように積層配置されている。3つの給紙カセット151,152,153それぞれは、通常は閉状態にあるが、ユーザーによりMFP100の正面側に引き出されることにより、開状態となる。3つの給紙カセット151,152,153それぞれは、閉状態においてMFP100の本体の内部に位置し、開状態において、上側が開放する。3つの給紙カセット151,152,153それぞれが開状態において、ユーザーは、用紙を補充することができる。給紙カセット151に対応して、開閉センサ151pおよびサイズセンサ151sが配置される。開閉センサ151pは、給紙カセット151が閉状態でONとなり、給紙カセット151が開状態でOFFとなり、給紙カセット151の開閉を検出する。サイズセンサ151sは、給紙カセット151に格納される記録媒体である用紙のサイズを検出する。例えば、サイズセンサ151sは、給紙カセット151に設けられた仕切り板の位置を検出する。同様に、給紙カセット152に対応して、開閉センサ152pおよびサイズセンサ152sが配置され、給紙カセット153に対応して、開閉センサ153pおよびサイズセンサ153sが配置される。開閉センサ152pは、給紙カセット152の開閉を検出し、サイズセンサ152sは、給紙カセット152に格納される記録媒体である用紙のサイズを検出する。開閉センサ153pは、給紙カセット153の開閉を検出し、サイズセンサ153sは、給紙カセット153に格納される記録媒体である用紙のサイズを検出する。
【0063】
手差しカセット154は、MFP100の側壁101に設けられ、画像形成部140よりも下方に位置する。手差しカセット154は、側壁101と平行な位置の閉状態と、側壁101と所定の角度を形成する位置の開状態とに状態を変化させる。手差しカセット154は、開状態において、上側が開放するので、ユーザーが、用紙を補充することができる。手差しカセット154に対応して、開閉センサ154pおよびサイズセンサ154sが配置される。開閉センサ154pは、手差しカセット154が閉状態でONとなり、手差しカセット154が開状態でOFFとなり、手差しカセット154の開閉を検出する。サイズセンサ154sは、手差しカセット154に格納される記録媒体である用紙のサイズを検出する。例えば、サイズセンサ154sは、手差しカセット154に設けられた仕切り板の位置を検出する。
【0064】
開閉センサ151p~154pおよびサイズセンサ151s~154sは、有体物を検出可能なセンサである。開閉センサ151p~154pおよびサイズセンサ151s~154sとして、限定するものではないが、例えば、光電センサ、圧力センサ等を用いることができる。
【0065】
図3に太い一点鎖線で示すように、給紙部150においては、3つの給紙カセット151,152,153のうち上段に位置する給紙カセット151から主搬送経路41の下端部30へ延びるように副搬送経路SP1が形成されている。また、手差しカセット154から主搬送経路41の下端部30へ延びるように副搬送経路SP2が形成されている。さらに、3つの給紙カセット151,152,153のうち中段および下段に位置する給紙カセット152,153それぞれから主搬送経路41の下端部30に延びる2つの搬送経路152a,153aが形成されている。2つの搬送経路152a,153aそれぞれの主搬送経路41の下端部30から所定の長さの部分は、2つの搬送経路152a,153aで共用される副搬送経路SP3である。
【0066】
副搬送経路SP1には、給紙カセット151に収納された用紙を主搬送経路41へ供給するための給紙ローラー151rが設けられている。副搬送経路SP2には、手差しカセット154に収納された用紙を主搬送経路41へ供給するための給紙ローラー154rが設けられている。搬送経路152aには、給紙カセット152に収納された用紙を副搬送経路SP3を通して主搬送経路41へ供給するための給紙ローラー152rが設けられている。さらに、搬送経路153aには、給紙カセット153に収納された用紙を副搬送経路SP3を通して主搬送経路41へ供給するための給紙ローラー153rが設けられている。
【0067】
MFP100においては、用紙への画像形成時に、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちから画像形成されるべき用紙が収納されたカセットが対象カセットとして選択される。3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち対象カセットとして選択されたカセットに対応する給紙ローラーが動作することにより、対象カセットとして選択されたカセットから副搬送経路SP1,SP2,SP3のいずれかを通して主搬送経路41に画像形成されるべき用紙が供給される。
【0068】
画像形成部140は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックそれぞれの画像形成ユニット51Y,51M,51C,51Kを備える。画像形成ユニット51Y,51M,51C,51Kの少なくとも1つが駆動されることにより、画像が形成される。画像形成ユニット51Y,51M,51C,51Kのすべてが駆動されると、フルカラーの画像を形成する。画像形成ユニット51Y,51M,51C,51Kには、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの印字用データがそれぞれ入力される。画像形成ユニット51Y,51M,51C,51Kは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなので、ここでは、イエローの画像を形成するための画像形成ユニット51Yについて説明する。
【0069】
画像形成ユニット51Yは、イエローの印字用データが入力される露光ヘッドと、感光体ドラム(像担持体)と、帯電チャージャと、現像器と、転写ローラー53Yとを備える。露光ヘッドは、受取った印字用データ(電気信号)に応じてレーザ光を発光する。発光されたレーザ光は露光ヘッドが備えるポリゴンミラーにより1次元走査され、感光体ドラムを露光する。感光体ドラムを1次元走査する方向は、主走査方向である。感光体ドラムは、帯電チャージャによって帯電された後、露光ヘッドが発光するレーザ光が照射される。これにより、感光体ドラムに静電潜像が形成される。続いて、現像器により、静電潜像上にトナーが載せられてトナー像が形成される。感光体ドラム上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト57上に、転写ローラー53Yにより転写される。
【0070】
一方、中間転写ベルト57は、駆動ローラー55とローラー55Aとにより弛まないように懸架されている。駆動ローラー55が図中で反時計回りに回転すると、中間転写ベルト57が所定の速度で図中反時計回りに回転する。中間転写ベルト57の回転に伴って、ローラー55Aが、反時計回りに回転する。
【0071】
これにより、画像形成ユニット51Y,51M,51C,51Kが、順に中間転写ベルト57上にトナー像を転写する。画像形成ユニット51Y,51M,51C,51Kそれぞれが、中間転写ベルト57上にトナー像を転写するタイミングは、中間転写ベルト57に付された基準マークを検出することにより、調整される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト57上に重畳される。
【0072】
上記の主搬送経路41には、下端部30から上端部13にかけて、タイミングローラー45、転写ローラー47および定着ローラー49がこの順で間隔をおいて配置されている。給紙部150から主搬送経路41へ供給された用紙はタイミングローラー45へ送られる。
【0073】
タイミングローラー45は、中間転写ベルト57に形成されたトナー像が転写ローラー47に到達するタイミングで用紙が転写ローラー47に到達するように、主搬送経路41における用紙の搬送状態を調整する。タイミングローラー45により搬送される用紙は、転写ローラー47により中間転写ベルト57に押し当てられ、転写ローラー47を帯電させることにより、中間転写ベルト57上に重畳して形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が用紙に転写される。転写ローラー47の帯電量は、用紙の坪量に適した値となるように、転写ローラー47に印加される電圧がCPU111によって制御される。
【0074】
トナー像が転写された用紙は、定着ローラー49に搬送され、定着ローラー49により加熱される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、画像形成後の用紙は、排紙ローラー15によって主搬送経路41の上端部13から排紙トレイ159上に排出される。定着ローラー49の温度は、用紙の坪量に適した値となるように、CPU111によって制御される。
【0075】
本実施の形態におけるMFP100には、主搬送経路41内に検出領域を有する検出装置59が設けられている。検出装置59は、投光部59aおよび受光部59bを含み、主搬送経路41の下端部30とタイミングローラー45との間の位置で投光部59aおよび受光部59bが主搬送経路41を挟んで互いに対向するように配置されている。投光部59aは、例えば発光ダイオード等の発光素子、発光素子の駆動回路、および光学系を含み、その光軸に沿って光を出射する。投光部59aの光軸に沿う主搬送経路41内の領域が検出領域となる。受光部59bは、フォトダイオード等の受光素子を含み、受光素子が受ける光の受光量に対応する信号を出力する。検出装置59の検出領域は、投光部59aと受光部59bとの間の領域である。
【0076】
検出装置59においては、投光部59aから検出領域に予め定められた光量の光が出射される。この状態で、用紙が検出領域を横切るように移動することにより、移動中の用紙の一部に光が照射される。このとき、用紙に照射された光の一部は当該用紙を透過し、光の残りは用紙に吸収されるかまたは用紙から反射される。受光部59bは、用紙を透過した光を受光し、その受光量に応じた信号をCPU111に出力する。
【0077】
CPU111においては、受光部59bの出力信号に基づいて、検出領域を移動する用紙の媒体種別を決定する。具体的には、投光部59aが出射した光の光量に対する受光部59bが受光した光の光量の割合を透過率として算出し、透過率に対する坪量を決定する。さらに、予め実験等することにより複数の媒体種別それぞれに対する坪量を求めておき、坪量から媒体種別を決定する。ここでは、媒体種別を普通紙、上質紙、および厚紙としている。CPU111は、取得された媒体種別に基づいて、当該用紙の画像形成条件を設定する。用紙の画像形成条件には、中間転写ベルト57に形成されたトナー像を用紙に適切に転写させるために必要とされる転写ローラー47に印加する電圧、および、用紙に転写されたトナー像を用紙に適切に定着させるために必要とされる定着ローラー49の温度が含まれる。例えば、坪量が大きい場合には、転写ローラー47の帯電量が、坪量が小さい場合よりも高く設定され、定着ローラー49の温度が、坪量が小さい場合より高く設定される。一方、用紙の坪量が小さい場合には、転写ローラー47の帯電量が、坪量が大きい場合よりも低く設定され、定着ローラー49の温度が、坪量が大きい場合より低く設定される。また、用紙の画像形成条件は、トナー像を用紙に転写および定着させるために必要とされる用紙の搬送速度を含む。例えば、坪量が大きい用紙の搬送速度は、坪量が小さい用紙の搬送速度より遅く設定される。また、坪量が小さい用紙の搬送速度は、坪量が大きい用紙の搬送速度より早く設定される。なお、用紙の搬送速度は、タイミングローラー45、転写ローラー47、定着ローラー49および排紙ローラー15の回転速度を制御することにより調整することができる。
【0078】
図4は、第1の実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図4に示す機能は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された画像形成プログラムを実行することにより、CPU111に形成される機能である。
【0079】
ここでは、給紙カセット151に、媒体種別が「普通紙」の用紙が格納されており、給紙カセット152に、媒体種別が「上質紙」の用紙が格納されており、給紙カセット153に、媒体種別が「厚紙」の用紙が格納されており、手差しカセット154に、用紙が格納されていない場合を例に説明する。
【0080】
図4を参照して、CPU111は、操作検出部61と、対象決定部63と、画像形成制御部65と、種別決定部67と、関連付部69と、優先順位関連付部71と、候補決定部73と、サイズ検出部75と、を含む。
【0081】
サイズ検出部75は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれに格納されている用紙のサイズを検出する。具体的には、サイズセンサ151s,152s,153s,154sそれぞれの出力に基づいて、用紙のサイズを検出する。サイズ検出部75は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれに格納されている用紙のサイズを、画像形成制御部65および関連付部69に出力する。
【0082】
関連付部69は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれに、そのカセットに収納されている用紙のサイズおよび媒体種別を関連付ける。具体的には、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれを識別するためのカセット識別情報と、そのカセットに収納されている用紙のサイズおよび媒体種別とを含む関連付レコードを含む関連付テーブルを、HDD115に記憶する。関連付部69は、サイズ検出部75から3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれに格納されている用紙のサイズが入力される場合、それらと関連付テーブルに記憶されているサイズとが異なる場合、関連付テーブルを更新する。
【0083】
優先順位関連付部71は、用紙の複数の媒体種別に対して優先順位を予め定める。優先順位関連付部71は、ジョブ関連付部81と、ユーザー関連付部83とを含む。ジョブ関連付部81は、プリントジョブの種別を示す複数のジョブ種ごとに、用紙の複数の媒体種別に対して優先順位を関連付ける。具体的には、複数のジョブ種ごとに、用紙の複数の媒体種別それぞれに優先順位を付加したジョブ優先順位テーブルを、HDD115に記憶する。プリントジョブは、ジョブ種別と、画像形成条件と、を含む。画像形成条件は、画像形成部140が画像を形成するために実行する動作を定める。ジョブ種別は、限定するものではないが、例えば、用途、セキュリティの程度を区別する情報である。用途の種別は、例えば、社内配布用、社外配布用など印刷媒体を使用する用途を示す。セキュリティの程度を示す種別は、社外秘、部外秘などのセキュリティの程度を示す。ここでは、プリントジョブの種別を、用途の種別とする場合を例に説明する。
【0084】
ユーザー関連付部83は、ユーザーごとに、用紙の複数の媒体種別に対して優先順位を関連付ける。具体的には、複数のユーザーごとに、用紙の複数の媒体種別それぞれに優先順位を付加したユーザー優先順位テーブルを、HDD115に記憶する。
【0085】
図5は、関連付テーブルの一例を示す図である。
図5を参照して、給紙カセット151を識別するためのカセット識別情報「上段カセット」に、媒体種別「普通紙」およびサイズ「A4」が関連付けられ、給紙カセット152のカセット識別情報「中断カセット」に媒体種別「上質紙」およびサイズ「A4」が関連付けられ、給紙カセット153のカセット識別情報「下段カセット」に媒体種別「厚紙」およびサイズ「A4」が関連付けられる。また、手差しカセット154のカセット識別情報「手差しカセット」に媒体種別「なし」およびサイズ「なし」が関連付けられ、手差しカセット154に用紙が格納されていないことが示される。
【0086】
図6は、ジョブ優先順位テーブルの一例を示す図である。
図6を参照して、プリントジョブの種別が社外配布用に対して、媒体種別「普通紙」に優先順位「2」を付与し、媒体種別「上質紙」に優先順位「1」を付与し、媒体種別「厚紙」に優先順位「3」を付与している。また、プリントジョブの種別が社内配布用に対して、媒体種別「普通紙」に優先順位「1」を付与し、媒体種別「上質紙」に優先順位「3」を付加し、媒体種別「厚紙」に優先順位「2」を付与している。
【0087】
図7は、ユーザー優先順位テーブルの一例を示す図である。
図7を参照して、ユーザーAに対して、媒体種別「普通紙」に優先順位「2」を付与し、媒体種別「上質紙」に優先順位「1」を付与し、媒体種別「厚紙」に優先順位「3」を付与している。また、ユーザーBに対して、媒体種別「普通紙」に優先順位「1」を付与し、媒体種別「上質紙」に優先順位「3」を付与し、媒体種別「厚紙」に優先順位「2」を付与している。
【0088】
図3に戻って、候補決定部73は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちから候補カセットを決定する。候補カセットは、後述する対象カセットの候補となるカセットである。候補決定部73は、候補カセットを決定する場合、候補カセットを識別するためのカセット識別情報を対象決定部63に出力する。候補決定部73は、ジョブ基準決定部85と、ユーザー基準決定部87とを含む。
【0089】
ジョブ基準決定部85は、プリントジョブを受け付ける場合、そのプリントジョブがジョブ種を定めていれば、そのジョブ種に基づいて、候補カセットを決定する。ジョブ基準決定部85は、通信I/F部112が外部からプリントジョブを受信する場合、プリントジョブを受け付ける。また、操作部163を操作するユーザーが、プリントジョブに加えてジョブ種を入力する場合に、プリントジョブおよびジョブ種を受け付ける。ジョブ基準決定部85は、ジョブ関連付部81によりHDD115に記憶されているジョブ優先順位テーブルを参照して、プリントジョブのジョブ種に対応する複数の媒体種別それぞれの優先順位を取得する。ジョブ基準決定部85は、関連付部69によりHDD115に記憶された関連付テーブルを参照して、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちから優先順位が最も高い媒体種別の用紙を格納するカセットを候補カセットに決定する。
【0090】
ユーザー基準決定部87は、ユーザーが操作部163を操作してログインする場合、ログインしたユーザーに基づいて、候補カセットを決定する。ユーザー基準決定部87は、ユーザー関連付部83によりHDD115に記憶されているユーザー優先順位テーブルを参照して、ログインしたユーザーに対応する複数の媒体種別それぞれの優先順位を取得する。ユーザー基準決定部87は、関連付部69によりHDD115に記憶された関連付テーブルを参照して、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちから優先順位が最も高い媒体種別の用紙を格納するカセットを候補カセットに決定する。
【0091】
候補決定部73は、ユーザー基準決定部87およびジョブ基準決定部85のいずれかにより決定された候補カセットを、対象決定部63に出力する。例えば、ユーザー基準決定部87およびジョブ基準決定部85それぞれで候補カセットが決定され、それらが異なる場合、ジョブ基準決定部85により決定される候補カセットを、ユーザー基準決定部87により決定された候補カセットよりも優先すればよい。また、ユーザー基準決定部87およびジョブ基準決定部85それぞれで決定された候補カセットが異なる場合、ユーザー基準決定部87により決定された候補カセットを、ジョブ基準決定部85により決定される候補カセットよりも優先してもよい。
【0092】
操作検出部61は、ユーザーにより入力されるユーザー操作を検出する。操作検出部61は、3つの給紙カセット151,152,153のいずれかに記録媒体を格納する格納操作を、ユーザー操作の1つとして検出する。操作検出部61は、ユーザーが、3つの給紙カセット151,152,153のいずれかを開閉する場合、開閉センサ151p、152p、153pの出力に基づいて、格納操作を検出する。例えば、操作検出部61は、開閉センサ151pがONからOFFへの変化を検出することにより給紙カセット151を開ける操作をユーザー操作として検出し、開閉センサ151pがOFFからONへの変化を検出することにより給紙カセット151を閉じる操作をユーザー操作として検出する。操作検出部61は、給紙カセット151を開ける操作を検出した後に、給紙カセット151を閉じる操作を検出する場合に、給紙カセット151に記録媒体を格納する格納操作を検出する。また、ユーザーが、手差しカセット154を開閉する場合、開閉センサ154pの出力に基づいて、手差しカセット154に記録媒体を格納する格納操作を検出する。なお、開閉センサ151p~154pに加えて、格納されている記録媒体の有無、または枚数を検出するセンサを設けるようにし、記録媒体が無しの状態からありの状態への変化、または、格納されている記録媒体の枚数の増加を検出する場合に、格納操作を検出するようにしてもよい。
【0093】
また、操作検出部61は、ユーザーが操作部163に入力する操作をユーザー操作の1つとして受け付ける。操作検出部61は、操作部163がユーザーにより入力される操作を受け付ける場合、操作部163により受け付けられた操作をユーザー操作として検出する。
【0094】
対象決定部63は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちから対象カセットを決定する。対象決定部63は、決定された対象カセットのカセット識別情報を画像形成制御部65に出力する。対象カセットは、画像形成部140に画像形成させる用紙を格納するカセットである。対象決定部63は、優先決定部89を含む。優先決定部89は、実行指示操作が検出される前に、操作検出部61により格納操作が検出される場合、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち格納操作が検出されたカセットを優先カセットに決定する。対象決定部63は、格納操作が複数回検出される場合には、最後の格納操作が検出されたカセットを優先カセットに決定する。
【0095】
ただし、優先決定部89は、操作検出部61によりユーザー操作が検出されてから実行指示操作が検出されるまでの間に、ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、優先カセットを決定しない。ユーザー操作は、格納操作を含む。したがって、優先決定部89は、格納操作が検出されてから実行指示操作が検出されるまでの間に、ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、優先カセットを決定しない。格納操作は、最初に入力されるユーザー操作であってもよいし、2番目以降に入力されるユーザー操作であってもよい。ユーザーがユーザー操作を入力することなく、所定時間が経過する場合には、所定時間経過する前に検出されたユーザー操作を入力したユーザーと、所定時間経過した後に検出されるユーザー操作を入力したユーザーとが同一である確率が低いからである。このため、優先決定部89は、ユーザーがユーザー操作を入力することなく所定時間が経過する場合には、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかに用紙を格納したユーザーと、実行指示操作を入力したユーザーとが同一でないと判断し、優先カセットを決定しない。
【0096】
対象決定部63は、MFP100に、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかがデフォルトのカセットとして設定されている場合、デフォルトに設定されたカセットを対象カセットに決定する。
【0097】
対象決定部63は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかがデフォルトのカセットとして設定されている場合であっても、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかがユーザーにより指定される場合、ユーザーにより指定された指定カセットを対象カセットに決定する。指定カセットがユーザーにより指定される場合の一例としては、例えば、ユーザーにより用紙のサイズが指定される場合、または、ユーザーにより3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかが指定される場合である。
【0098】
対象決定部63は、ユーザーが操作部163に用紙のサイズを指定するユーザー操作を入力する場合、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちでユーザーにより指定されたサイズの用紙を格納するカセットを指定カセットに決定する。また、対象決定部63は、ユーザーが操作部163に3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかを指定するユーザー操作を入力する場合、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちユーザーにより指定されたカセットを指定カセットに決定する。
【0099】
対象決定部63は、デフォルトのカセットが設定されている場合、または指定カセットがユーザーにより指定されている場合であっても、候補決定部73により候補カセットが決定されている場合、候補カセットを対象カセットに決定する。対象決定部63は、デフォルトのカセットが設定されている場合、指定カセットがユーザーにより指定されている場合、または候補決定部73により候補カセットが決定されている場合であっても、優先決定部89により優先カセットが決定される場合、優先カセットを対象カセットに決定する。ユーザーが3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかに用紙を格納する場合は、画像を形成する対象となる用紙を格納する確率が高いからである。
【0100】
画像形成制御部65は、対象決定部63から対象カセットのカセット識別情報が入力される。画像形成制御部65は、給紙部150を制御して、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち対象カセットから用紙を搬送させ、画像形成部140に画像を形成させる。画像形成制御部65は、画像形成部140に、対象カセットに格納されている用紙の媒体種別に対応した画像形成条件で用紙に画像を形成させる。
【0101】
対象決定部63によって、優先カセットが対象カセットに決定される場合、対象カセットにユーザーにより用紙が格納されるので、関連付部69によって対象カセットに関連付けられている媒体種別とは異なる媒体種別の用紙が対象カセットに格納される場合がある。このため、対象カセットに格納されている用紙の媒体種別は不明である。対象決定部63は、優先カセットを対象カセットに決定する場合、種別決定部67に決定指示を出力する。
【0102】
画像形成制御部65は、対象決定部63によって優先カセットが対象カセットに決定される場合、給紙部150を制御して、優先カセットから用紙をタイミングローラー45まで搬送させる。例えば、画像形成制御部65は、優先カセットが給紙カセット151の場合に給紙ローラー151rを回転させ、優先カセットが給紙カセット152の場合に給紙ローラー152rを回転させ、優先カセットが給紙カセット153の場合に給紙ローラー153rを回転させ、優先カセットが手差しカセット154の場合に給紙ローラー154rを回転させる。この場合の用紙の搬送速度は、複数の媒体種別それぞれに対して定められる搬送速度のうち最も遅い搬送速度である。搬送速度を最も遅い速度で搬送するので、坪量の最も大きな媒体種別に対する搬送速度で搬送される。坪量の最も大きな媒体種別の用紙を、それに対する搬送速度よりも速い搬送速度で搬送する場合、タイミングローラー45などに用紙が当接する場合に、タイミングローラー45が損傷する場合がある。このため、坪量の最も大きな媒体種別に対する搬送速度で搬送することにより、タイミングローラー45等の搬送経路に配置される部材が損傷しないようにすることができる。
【0103】
用紙が優先カセットからタイミングローラー45まで搬送されるまでの間に、用紙が検出装置59の検出領域を通過する。種別決定部67は、検出装置59を制御し、検出領域に用紙が存在するときに、検出装置59の受光部59bの出力信号を取得し、変換情報によって、出力信号に対応する坪量を決定する。変換情報は、検出装置59の出力信号で示される透過率と用紙の坪量との関係を定めた情報であり、テーブルまたは変換式である。種別決定部67は、決定された坪量に対応する媒体種別を画像形成制御部65および関連付部69に出力する。
【0104】
関連付部69は、種別決定部67から媒体種別が入力される場合、関連付テーブルを更新する。具体的には、優先カセットに関連付けられている媒体種別を、種別決定部67から入力される媒体種別で更新する。次に、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかに用紙が格納されるまで、関連付テーブルを変更しないようにすれば効率的である。
【0105】
画像形成制御部65は、種別決定部67から媒体種別が入力される場合、用紙のサイズおよび媒体種別に対応する画像形成条件を決定し、画像形成部140を制御して、決定された画像形成条件で用紙に画像を形成させる。
【0106】
画像形成条件には、印字用データの生成条件、転写ローラー47に印加する電圧、定着ローラー49の温度、および用紙の搬送速度を含む。画像形成制御部65は、サイズ検出部75から入力される用紙のサイズに基づいて、対象カセットに格納されている用紙のサイズを決定し、用紙のサイズを用いて印字用データの生成条件を決定し、生成条件に従って、印字用データを生成する。印字用データは、画像形成部140が画像を形成するために用いるデータであり、例えば、ビットマップ形式のデータである。印字用データは、画像形成の対象となる用紙のサイズに対応し、用紙中に形成される予定の画像を複数の画素値で定める。印字用データは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれに対応する4つのデータを含む。画像形成制御部65は、タイミングローラー45まで搬送された用紙を、媒体種別によって決定された搬送速度で搬送し、媒体種別によって決定された電圧を転写ローラー47に印加し、定着ローラー49を媒体種別によって決定された温度に制御する。
【0107】
<優先決定部89の変形例>
変形例における優先決定部89は、MFP100を操作するユーザーを認証する場合、ユーザーがログインしてからログアウトするまでの間に、格納操作が検出される場合、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち最後に格納操作が検出されたカセットを優先カセットに決定する。ただし、優先決定部89は、格納操作が検出されてから所定時間が経過する場合は、優先カセットを決定しない。ログインしたユーザーが、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかに用紙を格納する格納操作をしてから所定時間が経過する場合には、ユーザーは、用紙を格納したカセットに収納された用紙を利用する確率が低いからである。
【0108】
図8は、第1の実施の形態における画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像形成処理は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された画像形成プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。
図8を参照して、MFP100が備えるCPU111は、プリントジョブを受信したか否かを判断する(ステップS01)。通信I/F部112がプリントジョブを受信したならば処理をステップS10に進めるが、そうでなければ処理をステップS02に進める。
【0109】
ステップS02においては、ユーザーがMFP100に入力するユーザー操作を受け付けたか否かを判断する。ユーザー操作を受け付けたならば処理をステップS03に進めるが、そうでなければ処理をステップS06に進める。ユーザーが操作部163を操作する場合、ユーザーにより操作部163に入力される操作をユーザー操作として受け付ける。また、スマートフォン等の携帯装置によってMFP100が遠隔操作される場合、通信I/F部112が携帯装置と通信する。この場合、通信I/F部112が携帯装置から遠隔操作を受信すると、ユーザーが入力する操作をユーザー操作として受け付ける。また、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかが開状態または閉状態に状態が変化する場合、格納操作をユーザー操作として受け付ける。
【0110】
ステップS03においては、タイマーTの経時を開始し、処理をステップS04に進める。タイマーTは、ユーザー操作を受け付けてから経過する時間を計時する。ステップS04においては、ステップS02において受け付けられたユーザー操作が、ジョブの実行を指示する実行指示操作か否かを判断する。実行指示操作を受け付けたならば処理をステップS05に進めるが、そうでなければ処理をステップS06に進める。ステップS05においては、プリントジョブを生成し、処理をステップS13に進める。
【0111】
ステップS06においては、ステップS02において受け付けられたユーザー操作が、格納操作か否かを判断する。格納操作を受け付けたならば処理をステップS07に進めるが、そうでなければ処理をステップS10に進める。ステップS10においては、ステップS02において受け付けられたユーザー操作に従って、画像形成条件を設定し、処理をステップS01に戻す。
【0112】
ステップS07においては、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち、ステップS02において受け付けられた格納操作が検出されたカセットを優先カセットに設定し、処理をステップS08に進める。次のステップS08においては、優先カセットに格納された用紙のサイズを検出し、処理をステップS09に進める。そして、HDD115に記憶されている関連付テーブルを更新し、処理をステップS01に戻す。具体的には、関連付テーブルにおいて、優先カセットに関連付けられている用紙のサイズを、検出された用紙のサイズで更新する。
【0113】
ステップS11においては、タイマーTの値がしきい値TH以上か否かを判断する。タイマーTの値がしきい値TH以上ならば処理をステップS12に進めるが、そうでなければ処理をステップS01に戻す。ステップS12においては、優先フラグをOFFに設定し、処理をステップS01に戻す。優先フラグは、後述する優先カセットを有効または無効を示すフラグである。優先フラグがONの場合に優先カセットが有効であることを示し、優先フラグがOFFの場合に優先カセットが無効であることを示す。したがって、ユーザー操作を受け付けてから次にユーザー操作を受け付ける前に所定時間経過すると、優先カセットが無効に設定される。また、ステップS11を、ステップS06において格納操作が検出された後に実行してもよい。これにより、ユーザーが、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかを開閉した後に、ユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合に、優先カセットを無効に設定することができる。
【0114】
処理がステップS13に進む場合、処理対象となるプリントジョブが決定されている。処理がステップS01からステップS13に進む場合は、ステップS01において外部から受信されたプリントジョブが処理対象に決定されており、処理がステップS05からステップS13に進む場合は、ステップS05において生成されたプリントジョブが処理対象に決定されている。ステップS13においては、候補カセット決定処理を実行し、処理をステップS14に進める。ステップS14においては、指定カセット決定処理を実行し、処理をステップS15に進める。ステップS15においては、対象カセット決定処理を実行し処理をステップS16に進める。候補カセット決定処理、指定カセット決定処理についての詳細は後述するが、候補カセット決定処理が実行されることにより候補カセットが決定される場合があり、指定カセット決定処理が実行されることにより指定カセットが決定される場合がある。また、対象カセット決定処理が実行されることにより、対象カセットが決定される。対象カセットは、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち画像を形成する用紙を格納したカセットである。次のステップS16においては、優先フラグをONに設定し、処理をステップS17に進める。ステップS17においては、画像形成制御処理を実行し、処理を終了する。
【0115】
図9は、第1の実施の形態における候補カセット決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。候補カセット決定処理は、画像形成処理のステップS13において実行される処理である。候補カセット決定処理が実行される前の段階で、処理対象となるプリントジョブが決定されている。
図9を参照して、CPU111は、プリントジョブにジョブ種が設定されているか否かを判断する(ステップS21)。ジョブ種が設定されているならば処理をステップS22に進めるが、そうでなければステップS22をスキップして処理をステップS23に進める。プリントジョブが外部から受信される場合、そのプリントジョブにジョブ種が設定されている場合がある。また、プリントジョブとともにジョブ種が受信される場合がある。プリントジョブが、ユーザーが操作部163を操作することにより生成される場合、ユーザーによりジョブ種が設定される場合がある。ステップS22においては、プリントジョブのジョブ種を特定し、処理をステップS23に進める。
【0116】
ステップS23においては、プリントジョブの実行を指示したユーザーを特定することが可能か否かを判断する。ユーザーを特定可能ならば処理をステップS24に進めるが、そうでなければステップS24をスキップして、処理をステップS25に進める。プリントジョブが外部から受信される場合、そのプリントジョブが、ユーザーを識別するためのユーザー識別情報を含む場合がある。また、プリントジョブとともにユーザー識別情報が受信される場合がある。プリントジョブが、ユーザーが操作部163を操作することにより生成される場合、操作部163を操作するユーザーを認証している場合がある。ステップS24においては、プリントジョブの実行を指示したユーザーを特定し、処理をステップS25に進める。プリントジョブが外部から受信される場合は、プリントジョブに含まれるユーザー識別情報、またはプリントジョブとともに受信されるユーザー識別情報で識別されるユーザーを特定し、プリントジョブが、ユーザーが操作部163を操作することにより生成される場合は、認証されたログインユーザーを特定する。
【0117】
ステップS25においては、ジョブ種が特定されたか否かを判断する。ステップS22においてジョブ種が特定されたならば処理をステップS26に進めるが、そうでなければ処理をステップS28に進める。ステップS26においては、ジョブ優先順位テーブルを参照する。具体的には、HDD115に記憶されたジョブ優先順位テーブルを読み出す。そして、ジョブ優先順位テーブルによって、ステップS22において特定されたジョブ種に対して定められた複数の媒体種別ごとの優先順位を決定し、処理をステップS31に進める。
【0118】
ステップS28においては、ユーザーが特定されたか否かを判断する。ステップS24においてユーザーが特定されたならば処理をステップS29に進めるが、そうでなければ処理を画像形成処理に戻す。ステップS29においては、ユーザー優先順位テーブルを参照する。具体的には、HDD115に記憶されたユーザー優先順位テーブルを読み出す。そして、ステップS24において特定されたユーザーに対して、ユーザー優先順位テーブルで定められた複数の媒体種別ごとの優先順位を決定し、処理をステップS31に進める。
【0119】
ステップS31においては、優先順位が最高の媒体種別を決定し、処理をステップS32に進める。処理がステップS27から進む場合には、ステップS27において決定された優先順位に従って媒体種別を決定し、処理がステップS30から進む場合には、ステップS30において決定された優先順位に従って媒体種別を決定する。HDD115に記憶された関連付テーブルを参照して、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれに格納された用紙の媒体種別のうちから優先順位が最高の媒体種別を決定する。ステップS32においては、ステップS31において決定された媒体種別の用紙を格納するカセットを、候補カセットに決定し、処理を画像形成処理に戻す。
【0120】
図10は、第1の実施の形態における指定カセット決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。指定カセット決定処理は、画像形成処理のステップS14において実行される処理である。
図10を参照して、CPU111は、ユーザーにより用紙サイズの指定を受け付けたか否かを判断する(ステップS41)。操作部163が用紙サイズを指定するユーザー操作を受け付けたならば処理をステップS42に進めるが、そうでなければ処理をステップS43に進める。ステップS42においては、ユーザーにより指定されたサイズの用紙を格納するカセットを指定カセットに決定し、処理を画像形成処理に戻す。HDD115に記憶されている関連付テーブルを参照して、指定カセットを決定する。
【0121】
ステップS43においては、ユーザーにより3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかが指定されたか否かを判断する。操作部163が、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかを指定するユーザー操作を受け付けたならば処理をステップS44に進めるが、そうでなければ処理を画像形成処理に戻す。ステップS44においては、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちユーザーにより指定されたカセットを指定カセットに決定し、処理を画像形成処理に戻す。
【0122】
図11は、第1の実施の形態における対象カセット決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。対象カセット決定処理が実行される前の段階で、候補カセット、指定カセットおよび優先カセットの少なくとも1つが決定されている場合がある。
図11を参照して、CPU111は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちで、デフォルトに設定されているカセットを対象カセットに設定し(ステップS51)、処理をステップS52に進める。
【0123】
ステップS52においては、指定カセットが決定されているか否かを判断する。指定カセットが決定されているならば処理をステップS53に進めるが、そうでなければステップS53をスキップして処理をステップS54に進める。ステップS53においては、対象カセットを指定カセットで更新し、処理をステップS54に進める。
【0124】
ステップS54においては、候補カセットが決定されているか否かを判断する。候補カセットが決定されているならば処理をステップS55に進めるが、そうでなければステップS55をスキップして処理をステップS56に進める。ステップS55においては、対象カセットを候補カセットで更新し、処理をステップS56に進める。
【0125】
ステップS56においては、優先カセットが決定されているか否かを判断する。優先カセットが決定されているならば処理をステップS57に進めるが、そうでなければ処理を画像形成処理に戻す。ステップS57においては、優先フラグがONに設定されているか否かを判断する。優先フラグがONに設定されているならば処理をステップS58に進めるが、そうでなければ処理を画像形成処理に戻す。ステップS58においては、対象カセットを優先カセットで更新し、処理を画像形成処理に戻す。
【0126】
図12は、第1の実施の形態における画像形成制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像形成制御処理は、画像形成処理のステップS17において実行される処理である。
図12を参照して、CPU111は、対象カセットが優先カセットか否かを判断する。対象カセットが優先カセットならば処理をステップS62に進めるが、そうでなければ処理をステップS68に進める。ステップS68においては、その時点で決定されている画像形成条件で画像形成を開始し、処理をステップS67に進める。
【0127】
ステップS62においては、最も遅い搬送速度でタイミングローラー45まで用紙の搬送を開始し、処理をステップS63に進める。具体的には、給紙部150を制御して、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち優先カセットに格納された用紙をタイミングローラー45まで、最も遅い搬送速度で搬送させる。MFP100において画像形成可能な複数種類の媒体種別それぞれに対して搬送速度が予め決定されている。用紙を最も遅い搬送速度で搬送するので、坪量の最も大きな媒体種別に対する搬送速度で搬送される。坪量の最も大きな媒体種別の用紙を、それに対する搬送速度よりも速い搬送速度で搬送する場合、タイミングローラー45などに用紙が当接する場合に、タイミングローラー45が損傷する場合がある。このため、坪量の最も大きな媒体種別に対する搬送速度で搬送することにより、タイミングローラー45等の搬送経路に配置される部材が損傷しないようにすることができる。
【0128】
用紙がタイミングローラー45まで搬送される間に、用紙が検出装置59の検出領域を通過する。ステップS63においては、用紙の媒体種別を決定したか否かを判断する。用紙の媒体種別を決定するまで待機状態となり(ステップS63でNO)、用紙の媒体種別を決定したならば(ステップS63でYES)、処理をステップS64に進める。ステップS64においては、HDD115に記憶されている関連付テーブルを更新し、処理をステップS65に進める。関連付テーブルにおいて、優先カセットに関連付けられている媒体種別を、ステップS63において決定された媒体種別で更新する。
【0129】
ステップS65においては、ステップS63において決定された媒体種別に対応する画像形成条件を決定し、処理をステップS66に進める。具体的には、画像形成条件の一部である転写ローラー47に印加する電圧、定着ローラー49の温度、および用紙の搬送速度それぞれを、媒体種別に対して定められた値に設定する。ステップS66においては、画像形成部140を制御して、ステップS65において決定された画像形成条件で画像を形成させる。次のステップS67においては、プリントジョブが終了したか否かを判断する。プリントジョブが終了するまで待機状態となり、プリントジョブが終了したならば処理を画像形成処理に戻す。
【0130】
以上説明したように、第1の実施の形態におけるMFP100は、画像形成装置として機能し、記録媒体である用紙を格納可能な3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち最後に用紙が格納された優先カセットを対象カセットに決定し、対象カセットに格納された用紙に画像形成する。このため、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかにユーザーが最後に格納した用紙に画像を形成するので、ユーザーは、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれを用いるかを設定する必要がない。したがって、設定操作を容易にすることができる。
【0131】
また、MFP100は、ユーザーにより入力されるユーザー操作を検出してから実行指示操作を検出するまでの間に、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちで、用紙を格納する格納操作が検出されたカセットを優先カセットに決定するので、優先カセットを決定する場合を、実行指示操作を入力したユーザーと、用紙を格納したユーザーとが同一である確率が高い場合に制限することができる。
【0132】
また、MFP100は、ユーザーによるユーザー操作を検出しない時間が所定時間以上となる場合は、優先カセットを決定しないので、操作の途中でユーザーが入れ代わった確率が高い場合に、優先カセットが決定されないようにすることができる。
【0133】
また、MFP100は、ユーザーのログインを検出してからログアウトを検出するまでの間に、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちで、用紙を格納する操作が検出されたカセットを優先カセットに決定するので、優先カセットを決定する場合を、ログインしたユーザーと、用紙を格納したユーザーとが同一である確率が高い場合に制限することができる。
【0134】
また、MFP100は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかに用紙を格納する格納操作が検出されてから所定の時間が経過した場合は、優先カセットを決定しないので、ログインしたユーザーが使用しない用紙を格納した確率が高い場合に、優先カセットが決定されないようにすることができる。
【0135】
また、MFP100は、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかの開閉を検出する場合に、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち開閉されたカセットに用紙を格納する格納操作を検出する。このため、用紙を格納する操作を容易に検出することができる。
【0136】
また、MFP100は、検出装置59が給紙部150により優先カセットから搬送される用紙の媒体種別を検出する場合、検出装置59により検出された媒体種別を、優先カセットに格納されている用紙の媒体種別として決定する。このため、優先カセットに格納されている用紙の媒体種別を決定することができる。
【0137】
また、MFP100は、優先カセットから搬送される用紙の媒体種別が検出される場合、関連付テーブルを更新するので、優先カセットにユーザーにより用紙が格納される場合に、優先カセットに用紙の媒体種別を関連付けることができる。
【0138】
また、MFP100は、ジョブ優先順位テーブルまたはユーザー優先順位テーブルを参照して、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちから、優先順位が最も高い媒体種別の用紙を格納するカセットを候補カセットに決定し、優先カセットが決定されない場合は候補カセットに格納された用紙に画像を形成し、優先カセットが決定される場合は優先カセットに格納された用紙に画像を形成する。このため、用紙がユーザーにより格納されない場合は、予め定められた優先順位の高い媒体種別の記録媒体に画像が形成されるので、設定操作を容易にすることができる。
【0139】
また、ジョブ優先順位テーブルは、複数のジョブ種ごとに、用紙の複数の媒体種別に対して優先順位を関連付け、受け付けられたジョブのジョブ種と関連付けられた優先順位を決定するので、ジョブに対して適切な媒体種別の用紙に画像を形成することができる。
【0140】
また、ユーザー優先順位テーブルは、複数のユーザーごとに、用紙の複数の媒体種別に対して優先順位を関連付け、受け付けられたジョブの実行を指示したユーザーと関連付けられた優先順位を決定するので、ユーザーに対して適切な媒体種別の用紙に画像を形成することができる。
【0141】
また、MFP100は、用紙の媒体種別に対して定まる画像形成条件で、その用紙に画像を形成するので、媒体種別に対して適切な画質で画像を形成することができる。
【0142】
また、MFP100は、用紙のサイズに基づいて決定される画像形成条件で、その用紙に画像を形成するので、用紙のサイズに対して適切な画像を形成することができる。
【0143】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態におけるMFP100は、優先カセットを決定した。第2の実施の形態におけるMFP100は、優先カセットを決定しない点で、第1の実施の啓太におけるMFP100と異なる。以下、第2の実施の形態におけるMFP100について、第1の実施の形態におけるMFP100と異なる点を主に説明する。
【0144】
第2の実施の形態におけるMFP100の外観およびハードウェア構成は、
図1および
図2に示した第1の実施の形態におけるMFP100の外観およびハードウェア構成と同じである。第2の実施の形態におけるMFP100の内部構成は、検出装置59をそなえない点を除き、
図3に示した第1の実施の形態におけるMFP100の内部構成と同じである。
【0145】
図13は、第2の実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図13に示す機能が、
図5に示した機能と異なる点は、種別決定部67が削除された点、対象決定部63、画像形成制御部65および関連付部69が、対象決定部63A、画像形成制御部65Aおよび関連付部69Aにそれぞれ変更された点である。その他の機能は
図13に示した機能と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
【0146】
第2の実施の形態におけるMFP100は、HDD115に、
図5に示した関連付テーブル、
図6に示したジョブ優先順位テーブルおよび
図7に示したユーザー優先順位テーブルを記憶している。
【0147】
関連付部69Aは、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれに、そのカセットに収納されている用紙のサイズおよび媒体種別を関連付ける。具体的には、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれを識別するためのカセット識別情報と、そのカセットに収納されている用紙のサイズおよび媒体種別とを含む関連付レコードを含む関連付テーブルを、HDD115に記憶する。関連付部69Aは、サイズ検出部75から3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154それぞれに格納されている用紙のサイズが入力される場合、それらと関連付テーブルに記憶されているサイズとが異なる場合、関連付テーブルを更新する。
【0148】
対象決定部63Aは、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちから対象カセットを決定する。対象決定部63Aは、決定された対象カセットのカセット識別情報を画像形成制御部65Aに出力する。対象決定部63Aは、MFP100に、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかがデフォルトのカセットとして設定されている場合、デフォルトに設定されたカセットを対象カセットに決定する。対象決定部63Aは、デフォルトのカセットが設定されている場合であっても、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のいずれかがユーザーにより指定される場合、ユーザーにより指定された指定カセットを対象カセットに決定する。
【0149】
対象決定部63Aは、デフォルトのカセットが設定されている場合、または指定カセットがユーザーにより指定されている場合であっても、候補決定部73により候補カセットが決定されている場合、候補カセットを対象カセットに決定する。
【0150】
画像形成制御部65Aは、対象決定部63Aから対象カセットのカセット識別情報が入力される。画像形成制御部65Aは、給紙部150を制御して、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうち対象カセットから用紙を搬送させ、画像形成部140に画像を形成させる。画像形成制御部65Aは、画像形成部140に、対象カセットに格納されている用紙の媒体種別に対応した画像形成条件で用紙に画像を形成させる。
【0151】
図14は、第2の実施の形態における画像形成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14を参照して、
図8に示した第2の実施の形態における画像形成処理と異なる点は、ステップS03、ステップS06~ステップS09、ステップS11、ステップS12およびステップS16が削除された点、ステップS15およびステップS16がステップS15AおよびステップS16Aに変更された点である。その他の処理は、
図8に示した処理と同じなのでここでは説明を繰り返さない。ステップS02において、操作が受け付けられると、次のステップS04において、受け付けられたユーザー操作が実行指示操作か否かを判断する。実行指示操作を受け付けたならば処理をステップS05に進め、そうでなければ処理をステップS10に進める。
【0152】
図15は、第2の実施の形態における対象カセット決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2の実施の形態における対象カセット決定処理は、第2の実施の形態における画像形成処理のステップS15Aにおいて実行される処理である。
図11に示した第1の実施の形態における対象カセット決定処理と異なる点は、ステップS56~ステップS58が削除された点である。その他の処理は
図11に示した処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
【0153】
図16は、第2の実施の形態における画像形成制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2の実施の形態における画像形成制御処理は、第2の実施の形態における画像形成処理のステップS17Aにおいて実行される処理である。
図12に示した第1の実施の形態における画像形成制御処理と異なる点は、ステップS61~ステップS66が削除された点である。その他の処理は
図12に示した処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
【0154】
以上説明したように、第2の実施の形態におけるMFP100は、ジョブ優先順位テーブルまたはユーザー優先順位テーブルを参照して、3つの給紙カセット151,152,153および手差しカセット154のうちから、優先順位が最も高い媒体種別の用紙を格納するカセットを候補カセットに決定し、候補カセットに格納されている用紙に画像を形成する。このため、予め定められた優先順位の高い媒体種別の用紙に画像が形成されるので、ユーザーは用紙を選択する必要がなく、設定操作を容易にすることができる。
【0155】
また、ジョブ優先順位テーブルは、複数のジョブ種ごとに、用紙の複数の媒体種別に対して優先順位を関連付け、受け付けられたジョブのジョブ種と関連付けられた優先順位を決定するので、ジョブに対して適切な媒体種別の用紙に画像を形成することができる。
【0156】
また、ユーザー優先順位テーブルは、複数のユーザーごとに、用紙の複数の媒体種別に対して優先順位を関連付け、受け付けられたジョブの実行を指示したユーザーと関連付けられた優先順位を決定するので、ユーザーに対して適切な媒体種別の用紙に画像を形成することができる。
【0157】
また、MFP100は、用紙の媒体種別に対して定まる画像形成条件で、その用紙に画像を形成するので、媒体種別に対して適切な画質で画像を形成することができる。
【0158】
また、MFP100は、用紙のサイズに基づいて決定される画像形成条件で、その用紙に画像を形成するので、用紙のサイズに対して適切な画像を形成することができる。
【0159】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0160】
100 MFP、59 検出装置、59a 投光部、59b 受光部、15 排紙ローラー、41 主搬送経路、45 タイミングローラー、47,53Y 転写ローラー、49 定着ローラー、51Y,51M,51C,51K 画像形成ユニット、55 駆動ローラー、55A ローラー、 57 中間転写ベルト、101 側壁、110 メイン回路、111 CPU、112 通信インターフェース(I/F)部、113 ROM、114 RAM、115 HDD、116 ファクシミリ部、118 外部記憶装置、118A CD-ROM、120 自動原稿搬送装置、125 原稿トレイ、127 原稿排紙トレイ、130 原稿読取部、140 画像形成部、150 給紙部、151,152,153 給紙カセット、151p~154p 開閉センサ、151s~154s サイズセンサ、151r~154r 給紙ローラー、152a,153a 搬送経路、154 手差しカセット、159 排紙トレイ、160 操作パネル、161 表示部、163 操作部、165 タッチパネル、167 ハードキー部、61 操作検出部、63,63A 対象決定部、65,65A 画像形成制御部、67 種別決定部、69,69A 関連付部、71 優先順位関連付部、73 候補決定部、75 サイズ検出部、81 ジョブ関連付部、83 ユーザー関連付部、85 ジョブ基準決定部、87 ユーザー基準決定部、89 優先決定部。