(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20221115BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20221115BHJP
H01F 38/14 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F27/28 104
H01F27/28 147
H01F38/14
(21)【出願番号】P 2018133102
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2017218104
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】金子 滋
(72)【発明者】
【氏名】友成 寿緒
(72)【発明者】
【氏名】葉山 純平
(72)【発明者】
【氏名】森木 朋大
(72)【発明者】
【氏名】千代 憲隆
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-280230(JP,A)
【文献】特開平11-307367(JP,A)
【文献】特開2006-173163(JP,A)
【文献】特開平06-236821(JP,A)
【文献】特開2002-260934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0044034(US,A1)
【文献】特開2004-047849(JP,A)
【文献】特開2000-228584(JP,A)
【文献】実開昭59-083073(JP,U)
【文献】特開平11-135327(JP,A)
【文献】特開2019-075458(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0133877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 17/04
H01F 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第1のコイル部と、
複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第2のコイル部と、を備え、
前記第1のコイル部は、最内周に位置する第1のターンと、前記第1のターンよりも外周に位置する第2のターンを含み、
前記第2のコイル部は、最内周に位置する第3のターンと、前記第3のターンよりも外周に位置する第4のターンを含み、
前記第1のターンと前記第4のターンが互いに接続され、前記第2のターンと前記第3のターンが互いに接続され
、
前記第1のコイル部の前記第1のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1、第2、第5及び第6のラインを含み、
前記第2のコイル部の前記第3のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1、第2、第5及び第6のラインを含み、
前記第1のコイル部の前記第1のターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第3及び第4のラインを含み、
前記第2のコイル部の前記第3のターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第3及び第4のラインを含むことを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記第3のラインは前記第4のラインよりも外周側に位置し、
前記第1、前記第5、前記第6及び前記第2のラインは、外周側から内周側へ向かってこの順に配置され、
前記第1のターンの前記第3のラインは、前記第2のターンの前記第1のラインから連続するターンであり、
前記第1のターンの前記第4のラインは、前記第2のターンの前記第5のラインから連続するターンであり、
前記第3のターンの前記第3のラインは、前記第4のターンの前記第1のラインから連続するターンであり、
前記第3のターンの前記第4のラインは、前記第4のターンの前記第5のラインから連続するターンであることを特徴とする請求項
1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1のターンの前記第3のラインは、前記第4のターンの前記第2のラインに接続され、
前記第1のターンの前記第4のラインは、前記第4のターンの前記第6のラインに接続され、
前記第3のターンの前記第3のラインは、前記第2のターンの前記第2のラインに接続され、
前記第3のターンの前記第4のラインは、前記第2のターンの前記第6のラインに接続されることを特徴とする請求項
2に記載のコイル部品。
【請求項4】
複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第1のコイル部と、
複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第2のコイル部と、を備え、
前記第1のコイル部は、最内周に位置する第1のターンと、前記第1のターンよりも外周に位置する第2のターンを含み、
前記第2のコイル部は、最内周に位置する第3のターンと、前記第3のターンよりも外周に位置する第4のターンを含み、
前記第1のターンと前記第4のターンが互いに接続され、前記第2のターンと前記第3のターンが互いに接続され、
前記第1のコイル部の前記第1のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1、第2及び第3のラインを含み、
前記第2のコイル部の前記第3のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第4、第5及び第6のラインを含み、
前記第1のコイル部の前記第1のターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1及び第2のラインを含み、
前記第2のコイル部の前記第3のターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第4及び第5のラインを含み、
前記第1のターンの前記第1のラインは、前記第2のターンの前記第1のラインから連続するターンであり、
前記第1のターンの前記第2のラインは、前記第2のターンの前記第2のラインから連続するターンであり、
前記第3のターンの前記第4のラインは、前記第4のターンの前記第4のラインから連続するターンであり、
前記第3のターンの前記第5のラインは、前記第4のターンの前記第5のラインから連続するターンであり、
前記第1のターンの前記第1のラインは、前記第4のターンの前記第6のラインに接続され、
前記第1のターンの前記第2のラインは、前記第4のターンの前記第5のラインに接続され、
前記第2のターンの前記第2のラインは、前記第3のターンの前記第5のラインに接続され、
前記第2のターンの前記第3のラインは、前記第3のターンの前記第4のラインに接続されることを特徴とす
るコイル部品。
【請求項5】
前記第1のターンの前記第2のラインの導体幅及び前記第3のターンの前記第5のラインの導体幅は、前記第1のターンの前記第1のラインの導体幅及び前記第3のターンの前記第4のラインの導体幅よりも細いことを特徴とする請求項
4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1及び第3のターンを構成する各ラインの導体幅は、前記第2及び第4のターンを構成する各ラインの導体幅よりも細いことを特徴とする請求項
4又は5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1のコイル部は絶縁基板の一方の表面に形成され、前記第2のコイル部は前記絶縁基板の他方の表面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記絶縁基板は、透明又は半透明であることを特徴とする請求項
7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1及び第2のコイル部を構成する前記複数ターンのそれぞれは、径方向における位置が変化しない円周領域と、径方向における位置が遷移する遷移領域を有し、
前記第1のコイル部を構成する前記複数ターンの前記円周領域と、前記第2のコイル部を構成する前記複数ターンの前記円周領域は、平面位置が互いに一致していることを特徴とする請求項
8に記載のコイル部品。
【請求項10】
複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第1のコイル部と、
複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第2のコイル部と、を備え、
前記第1のコイル部は、第1の内周端と第1の接続部を繋ぐ区間を有し、
前記第2のコイル部は、第2の内周端と第2の接続部を繋ぐ区間を有し、
前記第1の内周端と前記第2の接続部は互いに接続され、
前記第2の内周端と前記第1の接続部は互いに接続され
、
前記第1のコイル部は、スパイラル状のスリットによって、第1のラインと、前記第1のラインよりも内周側に位置する第2のラインと、前記第2のラインよりも内周側に位置する第3のラインとを含む複数のラインに分割され、
前記第2のコイル部は、スパイラル状のスリットによって、第4のラインと、前記第4のラインよりも内周側に位置する第5のラインと、前記第5のラインよりも内周側に位置する第6のラインとを含む複数のラインに分割され、
前記第1のコイル部の最内周ターンは、第1のラインと第2のラインからなり、
前記第2のコイル部の最内周ターンは、第4のラインと第5のラインからなり、
前記第1のラインの最内周ターンの終点と前記第6のラインの最内周ターンの終点が互いに接続され、
前記第3のラインの最内周ターンの終点と前記第4のラインの最内周ターンの終点が互いに接続され、
前記第2のラインの最内周ターンの終点である前記第1の内周端と前記第5のラインに存在する前記第2の接続部が互いに接続され、
前記第5のラインの最内周ターンの終点である前記第2の内周端と前記第2のラインに存在する前記第1の接続部が互いに接続され、
前記第1の接続部は、前記第2のラインの最内周ターンの始点に位置し、
前記第2の接続部は、前記第5のラインの最内周ターンの始点に位置することを特徴とするコイル部品。
【請求項11】
前記第2のラインの最内周ターンのパターン幅は、前記第1のラインの最内周ターンのパターン幅よりも細く、
前記第5のラインの最内周ターンのパターン幅は、前記第4のラインの最内周ターンのパターン幅よりも細いことを特徴とする請求項
10に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関し、特に、スパイラル状の平面導体を有するコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器に用いられるコイル部品としては、磁性コアにワイヤ(被覆導線)を巻回したタイプのコイル部品の他、絶縁層の表面にスパイラル状の平面導体を複数ターンに亘って形成したタイプのコイル部品が知られている。例えば、特許文献1には、複数の絶縁層にそれぞれスパイラル状のコイル部を形成し、その内周端同士を接続した構成を有するコイル部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたコイル部品においては、各絶縁層に形成されたコイル部のターン数が整数であれば、合計ターン数は必ず偶数ターンとなる。つまり、合計ターン数を奇数ターンに設定することができないため、インダクタンスや抵抗値などのパラメータを微調整が困難であるという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、各コイル部のターン数が整数であっても、合計ターン数を奇数ターンとすることが可能なコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によるコイル部品は、複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第1のコイル部と、複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第2のコイル部とを備え、第1のコイル部は、最内周に位置する第1のターンと、第1のターンよりも外周に位置する第2のターンを含み、第2のコイル部は、最内周に位置する第3のターンと、第3のターンよりも外周に位置する第4のターンを含み、第1のターンと第4のターンが互いに接続され、第2のターンと第3のターンが互いに接続されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1及び第4のターンを互いに接続し、第2及び第3のターンを互いに接続していることから、各コイル部のターン数が整数であっても、合計ターン数を奇数ターンとすることができる。これにより、インダクタンスや抵抗値などのパラメータを微調整することが可能となる。
【0008】
本発明において、第1のターンの導体幅は第2のターンの導体幅よりも細く、第3のターンの導体幅は第4のターンの導体幅よりも細くても構わない。これによれば、各ターンの実効的な導体幅のばらつきを低減することが可能となる。ここで「導体幅」とは、当該ターンが複数のラインに分割されている場合には、これらラインの導体幅を足した合計導体幅を指す。
【0009】
本発明において、第1のコイル部の第1のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1及び第2のラインを含み、第2のコイル部の第3のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1及び第2のラインを含んでいても構わない。これによれば、電流密度分布が均一化されることから、直流抵抗や交流抵抗を低減することが可能となる。
【0010】
本発明において、第1のラインは第2のラインよりも外周側に位置し、第1のコイル部の第1のターンは、第2のターンの第1のラインから連続するターンであり、第2のコイル部の第3のターンは、第4のターンの第1のラインから連続するターンであっても構わない。これによれば、第1又は第3のターンに繋がる導体のターン数を第2のラインのターン数よりも1ターン分だけ増やすことが可能となる。
【0011】
本発明において、第1のコイル部の第1のターンは、第4のターンの第2のラインに接続され、第2のコイル部の第3のターンは、第2のターンの第2のラインに接続されるものであっても構わない。これによれば、第1のコイル部の第1のラインが第2のコイル部の第2のラインに接続され、第1のコイル部の第2のラインが第2のコイル部の第1のラインに接続されることから、内外周差が相殺される。これにより、並列接続される2本の導体の電気長の差が低減されることから、直流抵抗や交流抵抗をより低減することが可能となる。
【0012】
本発明において、第1のコイル部の第1のターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第3及び第4のラインを含み、第2のコイル部の第3のターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第3及び第4のラインを含み、第1のコイル部の第1のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1、第2、第5及び第6のラインを含み、第2のコイル部の第3のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1、第2、第5及び第6のラインを含むものであっても構わない。これによれば、電流密度分布がより均一化されることから、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することが可能となる。
【0013】
本発明において、第3のラインは第4のラインよりも外周側に位置し、第1、第5、第6及び第2のラインは、外周側から内周側へ向かってこの順に配置され、第1のターンの第3のラインは、第2のターンの第1のラインから連続するターンであり、第1のターンの第4のラインは、第2のターンの第5のラインから連続するターンであり、第3のターンの第3のラインは、第4のターンの第1のラインから連続するターンであり、第3のターンの第4のラインは、第4のターンの第5のラインから連続するターンであっても構わない。これによれば、第3又は第4のラインに繋がる導体のターン数を第2又は第6のラインのターン数よりも1ターン分だけ増やすことが可能となる。
【0014】
本発明において、第1のターンの第3のラインは、第4のターンの第2のラインに接続され、第1のターンの第4のラインは、第4のターンの第6のラインに接続され、第3のターンの第3のラインは、第2のターンの第2のラインに接続され、第3のターンの第4のラインは、第2のターンの第6のラインに接続されるものであっても構わない。これによれば、周方向における位置関係が第1のコイル部と第2のコイル部で完全に入れ替わることから、内外周差がより正確に相殺される。これにより、電気長の差が低減されるされることから、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することが可能となる。
【0015】
本発明において、第1のコイル部の第1のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1、第2及び第3のラインを含み、第2のコイル部の第3のターンを除く各ターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第4、第5及び第6のラインを含み、第1のコイル部の第1のターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第1及び第2のラインを含み、第2のコイル部の第3のターンは、スパイラル状のスリットによって径方向に分離された第4及び第5のラインを含み、第1のターンの第1のラインは、第2のターンの第1のラインから連続するターンであり、第1のターンの第2のラインは、第2のターンの第2のラインから連続するターンであり、第3のターンの第4のラインは、第4のターンの第4のラインから連続するターンであり、第3のターンの第5のラインは、第4のターンの第5のラインから連続するターンであり、第1のターンの第1のラインは、第4のターンの第6のラインに接続され、第1のターンの第2のラインは、第4のターンの第5のラインに接続され、第2のターンの第2のラインは、第3のターンの第5のラインに接続され、第2のターンの第3のラインは、第3のターンの第4のラインに接続されるものであっても構わない。これによれば、最内周ターンを除く各ターンが3分割されることから、電流密度分布が均一化され、直流抵抗や交流抵抗を低減することが可能となる。しかも、周方向における位置関係が第1のコイル部と第2のコイル部で完全に入れ替わることから、内外周差がより正確に相殺される。
【0016】
本発明において、第1のターンの第2のラインの導体幅及び第3のターンの第5のラインの導体幅は、第1のターンの第1のラインの導体幅及び第3のターンの第4のラインの導体幅よりも細くても構わない。これによれば、並列接続される区間における局所的な抵抗値の低下を抑えることが可能となる。
【0017】
本発明において、第1及び第3のターンを構成する各ラインの導体幅は、第2及び第4のターンを構成する各ラインの導体幅よりも細くても構わない。これによれば、磁束の強い最内周ターンにおいて発生する渦電流が低減されるため、発熱による損失を低減することが可能となる。
【0018】
本発明において、第1のコイル部は絶縁基板の一方の表面に形成され、第2のコイル部は絶縁基板の他方の表面に形成されていても構わない。これによれば、1枚の絶縁基板の表裏に第1及び第2のコイル部を形成することによって、本発明によるコイル部品を作製することが可能となる。
【0019】
本発明において、第1及び第2のコイル部を構成する複数ターンのそれぞれは、径方向における位置が変化しない円周領域と、径方向における位置が遷移する遷移領域を有し、第1のコイル部を構成する複数ターンの円周領域と、第2のコイル部を構成する複数ターンの円周領域は、平面位置が互いに一致していても構わない。これによれば、絶縁基板が透明又は半透明である場合に、外観検査が容易となる。
【0020】
本発明の他の側面によるコイル部品は、複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第1のコイル部と、複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された第2のコイル部とを備え、第1のコイル部は、第1の内周端と第1の接続部を繋ぐ区間を有し、第2のコイル部は、第2の内周端と第2の接続部を繋ぐ区間を有し、第1の内周端と第2の接続部は互いに接続され、第2の内周端と第1の接続部は互いに接続されることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、第1の内周端と第1の接続部を繋ぐ区間と、第2の内周端と第2の接続部を繋ぐ区間が並列に接続されることから、例えば、上記の各区間がそれぞれ1ターンである場合、合計で1ターンと見なすことが可能となる。これにより、合計ターン数を奇数ターンとするなど、ターン数の微調整が可能となる。
【0022】
本発明において、第1のコイル部は、スパイラル状のスリットによって、第1のラインと、第1のラインよりも内周側に位置する第2のラインと、第2のラインよりも内周側に位置する第3のラインとを含む複数のラインに分割され、第2のコイル部は、スパイラル状のスリットによって、第4のラインと、第4のラインよりも内周側に位置する第5のラインと、第5のラインよりも内周側に位置する第6のラインとを含む複数のラインに分割され、第1のコイル部の最内周ターンは、第1のラインと第2のラインからなり、第2のコイル部の最内周ターンは、第4のラインと第5のラインからなり、第1のラインの最内周ターンの終点と第6のラインの最内周ターンの終点が互いに接続され、第3のラインの最内周ターンの終点と第4のラインの最内周ターンの終点が互いに接続され、第2のラインの最内周ターンの終点である第1の内周端と第5のラインに存在する第2の接続部が互いに接続され、第5のラインの最内周ターンの終点である第2の内周端と第2のラインに存在する第1の接続部が互いに接続されるものであっても構わない。これによれば、第1及び第2のコイル部を構成する各ターンを奇数ラインに分割しつつ、各ラインの実効的なターン数を一致させることが可能となる。しかも、周方向における位置関係が第1のコイル部と第2のコイル部で完全に入れ替わることから、内外周差が正確に相殺される。
【0023】
本発明において、第1の接続部は、第2のラインの最内周ターンの始点に位置し、第2の接続部は、第5のラインの最内周ターンの始点に位置しても構わない。これによれば、第1の内周端と第1の接続部を繋ぐ区間と、第2の内周端と第2の接続部を繋ぐ区間が合計で1ターンとなるため、第1及び第2のコイル部のターン数が整数であっても、合計ターン数を奇数とすることが可能となる。
【0024】
本発明において、第2のラインの最内周ターンのパターン幅は、第1のラインの最内周ターンのパターン幅よりも細く、第5のラインの最内周ターンのパターン幅は、第4のラインの最内周ターンのパターン幅よりも細くても構わない。これによれば、並列接続される区間における局所的な抵抗値の低下を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明によれば、各コイル部のターン数が整数であっても、合計ターン数を奇数ターンとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるコイル部品の構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1のコイル部100のパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。
【
図3】
図3は、第2のコイル部200のパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の他方の表面11b側から見た状態を示している。
【
図4】
図4は、第1及び第2のコイル部100,200の重なり方を説明するための透過平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。
【
図5】
図5は、第1の実施形態によるコイル部品の等価回路図である。
【
図6】
図6は、第1のコイル部100Aのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。
【
図7】
図7は、第2のコイル部200Aのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の他方の表面11b側から見た状態を示している。
【
図8】
図8は、第2の実施形態によるコイル部品の等価回路図である。
【
図9】
図9は、第1のコイル部100Bのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。
【
図10】
図10は、第2のコイル部200Bのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の他方の表面11b側から見た状態を示している。
【
図11】
図11は、第3の実施形態によるコイル部品の等価回路図である。
【
図12】
図12は、第1のコイル部100Cのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。
【
図13】
図13は、第2のコイル部200Cのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の他方の表面11b側から見た状態を示している。
【
図14】
図14は、第4の実施形態によるコイル部品の等価回路図である。
【
図16】
図16(a),(b)は、変形例によるラインL2又はL5の接続部THa12Aの近傍の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0028】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態によるコイル部品の構成を示す断面図である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態によるコイル部品は、絶縁基板11と、絶縁基板11の一方の表面11aに形成された第1のコイル部100と、絶縁基板11の他方の表面11bに形成された第2のコイル部200とを備えている。詳細については後述するが、第1のコイル部100の内周端と第2のコイル部200の内周端は、絶縁基板11を貫通して設けられた接続部を介して互いに接続されている。
【0030】
絶縁基板11の材料については特に限定されないが、PET樹脂などの透明又は半透明なフレキシブル材料を用いることができる。また、絶縁基板11は、ガラスクロスにエポキシ系樹脂が含浸されたフレキシブル基板であっても構わない。絶縁基板11が透明又は半透明である場合、平面視で第1のコイル部100と第2のコイル部200が重なって見えることから、これらの重なり方によっては検査装置を用いた外観検査が困難となる。詳細については後述するが、本実施形態によるコイル部品は、検査装置を用いた外観検査を正しく実行できるよう、第1のコイル部100と第2のコイル部200の大部分が平面視で重なる位置に配置されている。
【0031】
図2は、第1のコイル部100のパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。
【0032】
図2に示すように、第1のコイル部100は、複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回された平面導体によって構成される。
図2に示す例では、第1のコイル部100がターン110~ターン160からなる6ターン構成であり、ターン110が最外周に位置し、ターン160が最内周に位置する。第1のコイル部100の外周端は、径方向に延在する引き出しパターン191を介して、端子電極E1aに接続される。また、引き出しパターン191に対して周方向に隣接する位置には、径方向に延在する引き出しパターン192が設けられており、その先端部は端子電極E2bに接続される。
【0033】
最内周に位置するターン160は、他のターン110~150よりも導体幅が細く設計されている。好ましくは、ターン160の導体幅は、他のターン110~150の導体幅の半分である。さらに、2番目に内周側に位置するターン150は、内周端部分において2分岐しており、その一方は接続部THa1に接続され、他方はそのまま連続的に巻回されてターン160を構成する。ターン160の内周端は接続部THa2に接続される。
【0034】
第1のコイル部100を構成する各ターン110~160は、径方向における位置が変化しない円周領域A1と、径方向における位置が遷移する遷移領域B1を有しており、この遷移領域B1を境界としてターン110~ターン160からなる6ターンが定義される。
図2に示すように、本実施形態においては第1のコイル部100の外周端及び内周端がいずれも遷移領域B1に位置している。さらに、第1のコイル部100の中心点Cから放射状に延在し、引き出しパターン191と引き出しパターン192の間を通過する仮想線L0を引いた場合、遷移領域B1は仮想線L0上に位置している。また、接続部THa1と接続部THa2は、仮想線L0を軸として互いに対称となる位置に配置されている。
【0035】
図3は、第2のコイル部200のパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の他方の表面11b側から見た状態を示している。
【0036】
図3に示すように、第2のコイル部200のパターン形状は、第1のコイル部100のパターン形状と同一である。したがって、第1のコイル部100と第2のコイル部200は、同一のマスクを用いて作製することが可能であり、これによって製造コストを大幅に削減することが可能となる。第2のコイル部200は、ターン210~ターン260からなる6ターン構成であり、ターン210が最外周に位置し、ターン260が最内周に位置する。第2のコイル部200の外周端は、径方向に延在する引き出しパターン292を介して、端子電極E2aに接続される。また、引き出しパターン292に対して周方向に隣接する位置には、径方向に延在する引き出しパターン291が設けられており、その先端部は端子電極E1bに接続される。
【0037】
上述の通り、第1のコイル部100と第2のコイル部200は同一の平面形状を有しているため、最内周に位置するターン260は、他のターン210~250よりも導体幅が細い。さらに、2番目に内周側に位置するターン250は内周端部分において2分岐しており、その一方は接続部THa2に接続され、他方はそのまま連続的に巻回されてターン260を構成する。ターン260の内周端は接続部THa1に接続される。
【0038】
第2のコイル部200を構成する各ターン210~260は、径方向における位置が変化しない円周領域A2と、径方向における位置が遷移する遷移領域B2を有している。第1のコイル部100と第2のコイル部200は同一の平面形状を有しているため、仮想線L0は、第1のコイル部100の外周端と第2のコイル部200の外周端の間を通過することになる。
【0039】
このような構成を有する第1及び第2のコイル部100,200は、それぞれ絶縁基板11の一方の表面11a及び他方の表面11bに形成される。
【0040】
図4は、第1及び第2のコイル部100,200の重なり方を説明するための透過平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。
【0041】
図4に示すように、第1のコイル部100と第2のコイル部200は、それぞれの中心点Cが一致し、且つ、端子電極E1a,E1bが重なり、端子電極E2a,E2bが重なるよう、絶縁基板11の表裏に形成される。これにより、第1のコイル部100のターン110~160の円周領域A1と、第2のコイル部200のターン210~260の円周領域A2は、その大部分が平面視で重なることになる。また、第1のコイル部100のターン150の内周端と第2のコイル部200のターン260の内周端は、絶縁基板11を貫通して設けられた接続部THa1を介して接続される。さらに、第1のコイル部100のターン160の内周端と第2のコイル部200のターン250の内周端は、絶縁基板11を貫通して設けられた接続部THa2を介して接続される。
【0042】
また、引き出しパターン191と引き出しパターン291は、絶縁基板11を貫通して設けられた接続部THbを介して接続される。同様に、引き出しパターン192と引き出しパターン292は、絶縁基板11を貫通して設けられた接続部THcを介して接続される。これにより、端子電極E1a,E1bが短絡され、端子電極E2a,E2bが短絡されることになる。本実施形態においては、接続部THa1,THa2をそれぞれ1個設け、接続部THb,THcをそれぞれ3個設けているが、これら接続部の個数については特に限定されるものではない。
【0043】
図5は、本実施形態によるコイル部品の等価回路図である。
【0044】
図5に示すように、第1のコイル部100と第2のコイル部200は、基本的に、端子電極E1a,E1bからなる端子電極E1と、端子電極E2a,E2bからなる端子電極E2の間に直列接続される。しかしながら、最内周に位置するターン160とターン260については並列に接続されるため、ターン160とターン260は等価的に1ターンを構成することになる。その結果、本実施形態によるコイル部品は、合計で11ターンとなり、第1及び第2のコイル部100,200のターン数がいずれも整数(6ターン)であるにも関わらず、合計ターン数を奇数ターンとすることが可能となる。
【0045】
ここで、ターン160とターン260は並列に接続されるものの、その導体幅は他のターンよりも細く設計されており、好ましくは他のターンの半分の導体幅に設計されていることから、その電気特性は他のターンと同一視することができる。
【0046】
また、本実施形態によるコイル部品は、互いに同じ平面形状を有する第1のコイル部100と第2のコイル部200によって構成されていることから、同じパターン形状を有するマスクを用いて第1のコイル部100と第2のコイル部200を作製することができ、製造コストを削減することができる。しかも、遷移領域B1,B2と重なる部分を除き、第1のコイル部100と第2のコイル部200の大部分が平面視で重なることから、絶縁基板11が透明又は半透明である場合であっても、第1のコイル部100と第2のコイル部200の視覚的な干渉を最小限に抑えることができる。つまり、第1のコイル部100を外観検査する際に第2のコイル部200が視覚的な障害とならず、逆に、第2のコイル部200を外観検査する際に第1のコイル部200が視覚的な障害とならない。これにより、検査装置を用いた外観検査を正しく実行することが可能となる。
【0047】
さらに、本実施形態によるコイル部品は、第1及び第2のコイル部100,200の外周端及び内周端を遷移領域B1,B2に配置していることから、第1のコイル部100の外周端と第2のコイル部200の外周端を互いに隣接する位置に配置しているにもかかわらず、円周領域A1,A2の増大によるコイル部の外形の大型化や、コイルの内径領域の減少を防止することが可能となる。
【0048】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態によるコイル部品について説明する。第2の実施形態によるコイル部品は、上述した第1及び第2のコイル部100,200が第1及び第2のコイル部100A,200Aに置き換えられている点において、第1の実施形態によるコイル部品と相違している。その他の基本的な構成は、第1の実施形態によるコイル部品と同一であることから、同一の要素には同一の部号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
図6は、第1のコイル部100Aのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。また、
図7は、第2のコイル部200Aのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の他方の表面11b側から見た状態を示している。本実施形態においても、第1のコイル部100Aと第2のコイル部200Aのパターン形状は同一である。
【0050】
図6に示すように、第1のコイル部100Aは、ターン110~160からなる6ターン構成であり、このうち、ターン110~150は、スパイラル状のスリットによって径方向に分離されている。つまり、ターン110はライン111,112に2分割され、ターン120はライン121,122に2分割され、ターン130はライン131,132に2分割され、ターン140はライン141,142に2分割され、ターン150はライン151,152に2分割される。ここで、ライン111,121,131,141,151は、それぞれライン112,122,132,142,152よりも外周側に位置する。
【0051】
ターン150を構成するライン151,152のうち、内周側に位置するライン152の内周端は終端しており、接続部THa3に接続される。これに対し、外周側に位置するライン151は、そのまま連続的に巻回されてターン160を構成する。ターン160の内周端は接続部THa4に接続される。ターン160の導体幅は、ターン110~150を構成する各ラインと同じ導体幅を有している。したがって、ターン160の導体幅は、他のターン110~150の実効的な導体幅の半分である。また、本実施形態では、接続部THa3,THa4をそれぞれ2個設けているが、これら接続部の個数については特に限定されるものではない。
【0052】
第2のコイル部200Aのパターン形状も同様である。つまり、第2のコイル部200Aもターン210~260からなる6ターン構成であり、このうち、ターン210~250は、スパイラル状のスリットによって径方向に分離されている。つまり、ターン210はライン211,212に2分割され、ターン220はライン221,222に2分割され、ターン230はライン231,232に2分割され、ターン240はライン241,242に2分割され、ターン250はライン251,252に2分割される。ここで、ライン211,221,231,241,251は、それぞれライン212,222,232,242,252よりも外周側に位置する。
【0053】
そして、ターン250を構成するライン251,252のうち、内周側に位置するライン252の内周端は終端しており、接続部THa4に接続される。これに対し、外周側に位置するライン251は、そのまま連続的に巻回されてターン260を構成する。ターン260の内周端は接続部THa3に接続される。
【0054】
図6及び
図7に示すように、接続部THa3と接続部THa4は、仮想線L0に対して対称となる位置に配置されている。かかる構成により、絶縁基板11を介して第1のコイル部100Aと第2のコイル部200Aを重ねると、接続部THa3を介して第1のコイル部100Aのライン152の内周端と第2のコイル部200Aのターン260の内周端が接続され、接続部THa4を介して第1のコイル部100Aのターン160の内周端と第2のコイル部200Aのライン252の内周端が接続される。
【0055】
図8は、本実施形態によるコイル部品の等価回路図である。
【0056】
図8に示すように、本実施形態においては、端子電極E1と端子電極E2の間に2本の導体が並列に接続される。一方の導体は、ライン111,121,131,141,151、ターン160及びライン252,242,232,222,212からなる11ターン構成である。他方の導体は、ライン112,122,132,142,152、ターン260及びライン251,241,231,221,211からなる11ターン構成である。つまり、11ターン構成のコイルが並列に2個接続された状態が実現される。
【0057】
これにより、第1の実施形態と同様、第1及び第2のコイル部100A,200Aのターン数がいずれも整数(6ターン)であるにも関わらず、合計ターン数を奇数ターンとすることが可能となる。しかも、本実施形態によるコイル部品は、最内周に位置するターン160,260を除く各ターンがスパイラル状のスリットによって径方向に分離されていることから、第1の実施形態と比べて、電流密度の偏りが低減される。その結果、直流抵抗や交流抵抗を低減することができる。しかも、第1のコイル部100Aにおいて外周側に位置するライン111,121,131,141,151が第2のコイル部200Aにおいて内周側に位置するライン212,222,232,242,252に接続され、第1のコイル部100Aにおいて内周側に位置するライン112,122,132,142,152が第2のコイル部200Aにおいて外周側に位置するライン211,221,231,241,251に接続されることから、内外周差が相殺される。これにより、電流密度分布がより均一化されることから、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態においては、第1の実施形態と比べて、端子電極E1a,E1bと端子電極E2a,E2bの位置が入れ替わっている。このように、本発明において端子電極E1a,E1bと端子電極E2a,E2bの位置関係は任意である。
【0059】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態によるコイル部品について説明する。第3の実施形態によるコイル部品は、上述した第1及び第2のコイル部100A,200Aが第1及び第2のコイル部100B,200Bに置き換えられている点において、第2の実施形態によるコイル部品と相違している。その他の基本的な構成は、第2の実施形態によるコイル部品と同一であることから、同一の要素には同一の部号を付し、重複する説明は省略する。
【0060】
図9は、第1のコイル部100Bのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。また、
図10は、第2のコイル部200Bのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の他方の表面11b側から見た状態を示している。本実施形態においても、第1のコイル部100Bと第2のコイル部200Bのパターン形状は同一である。
【0061】
図9に示すように、第1のコイル部100Bは、ターン110~160からなる6ターン構成であり、このうち、ターン110~150はスパイラル状のスリットによって径方向に4分割され、最内周に位置するターン160はスパイラル状のスリットによって径方向に2分割されている。つまり、ターン110はライン111,115,116,112にこの順に4分割され、ターン120はライン121,125,126,122にこの順に4分割され、ターン130はライン131,135,136,132にこの順に4分割され、ターン140はライン141,145,146,142にこの順に4分割され、ターン150はライン151,155,156,152にこの順に4分割され、ターン160はライン163,164にこの順に2分割される。
【0062】
ここで、ターン150を構成するライン151,155,156,152のうち、最内周に位置するライン152の内周端は終端しており、接続部THa5に接続される。また、2番目に内周側に位置するライン156の内周端は終端しており、接続部THa6に接続される。これに対し、最外周に位置するライン151の内周端は、そのまま連続的に巻回されてターン163を構成する。また、2番目に外周側に位置するライン155は、そのまま連続的に巻回されてターン164を構成する。ターン163,164の内周端は、それぞれ接続部THa7,THa8に接続される。ターン163,164の導体幅は、ターン110~150を構成する各ラインと同じ導体幅を有している。したがって、ターン160の実効的な導体幅は、他のターン110~150の実効的な導体幅の半分である。また、本実施形態では、接続部THa5~THa8をそれぞれ1個設けているが、これら接続部の個数については特に限定されるものではない。
【0063】
第2のコイル部200Bのパターン形状も同様である。つまり、第2のコイル部200Bもターン210~260からなる6ターン構成であり、このうち、ターン210~250はスパイラル状のスリットによって径方向に4分割され、最内周に位置するターン260はスパイラル状のスリットによって径方向に2分割されている。つまり、ターン210はライン211,215,216,212にこの順に4分割され、ターン220はライン221,225,226,222にこの順に4分割され、ターン230はライン231,235,236,232にこの順に4分割され、ターン240はライン241,245,246,242にこの順に4分割され、ターン250はライン251,255,256,252にこの順に4分割され、ターン260はライン263,264にこの順に2分割される。
【0064】
そして、ターン250を構成するライン251,255,256,252のうち、最内周に位置するライン252の内周端は終端しており、接続部THa7に接続される。また、2番目に内周側に位置するライン256の内周端は終端しており、接続部THa8に接続される。これに対し、最外周に位置するライン251の内周端は、そのまま連続的に巻回されてターン263を構成する。また、2番目に外周側に位置するライン255は、そのまま連続的に巻回されてターン264を構成する。ターン263,264の内周端は、それぞれ接続部THa5,THa6に接続される。
【0065】
図9及び
図10に示すように、接続部THa5と接続部THa7は仮想線L0に対して対称となる位置に配置され、接続部THa6と接続部THa8は仮想線L0に対して対称となる位置に配置されている。かかる構成により、絶縁基板11を介して第1のコイル部100Bと第2のコイル部200Bを重ねると、接続部THa5を介して第1のコイル部100Bのライン152の内周端と第2のコイル部200Bのライン263の内周端が接続され、接続部THa6を介して第1のコイル部100Bのライン156の内周端と第2のコイル部200Bのライン264の内周端が接続され、接続部THa7を介して第1のコイル部100Bのライン163の内周端と第2のコイル部200Bのライン252の内周端が接続され、接続部THa8を介して第1のコイル部100Bのライン164の内周端と第2のコイル部200Bのライン256の内周端が接続される。
【0066】
図11は、本実施形態によるコイル部品の等価回路図である。
【0067】
図11に示すように、本実施形態においては、端子電極E1と端子電極E2の間に4本の導体が並列に接続される。第1の導体は、ライン111,121,131,141,151,163,252,242,232,222,212からなる11ターン構成である。第2の導体は、ライン115,125,135,145,155,164,256,246,236,226,216からなる11ターン構成である。第3の導体は、ライン116,126,136,146,156,264,255,245,235,225,215からなる11ターン構成である。第4の導体は、ライン112,122,132,142,152,263,251,241,231,221,211からなる11ターン構成である。つまり、11ターン構成のコイルが並列に4個接続された状態が実現される。
【0068】
これにより、第1及び第2の実施形態と同様、第1及び第2のコイル部100B,200Bのターン数がいずれも整数(6ターン)であるにも関わらず、合計ターン数を奇数ターンとすることが可能となる。しかも、本実施形態によるコイル部品は、最内周に位置するターン160,260を除く各ターンがスパイラル状のスリットによって径方向に4分割され、最内周に位置するターン160,260がスパイラル状のスリットによって径方向に2分割されていることから、第2の実施形態と比べて、さらに電流密度の偏りが低減される。その結果、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することができる。しかも、第1のコイル部100Bにおいて最も外周側に位置するライン111,121,131,141,151が第2のコイル部200Bにおいて最も内周側に位置するライン212,222,232,242,252に接続され、第1のコイル部100Bにおいて2番目に外周側に位置するライン115,125,135,145,155が第2のコイル部200Bにおいて2番目に内周側に位置するライン216,226,236,246,256に接続され、第1のコイル部100Bにおいて2番目に内周側に位置するライン116,126,136,146,156が第2のコイル部200Bにおいて2番目に外周側に位置するライン215,225,235,245,255に接続され、第1のコイル部100Bにおいて最も内周側に位置するライン112,122,132,142,152が第2のコイル部200Bにおいて最も外周側に位置するライン211,221,231,241,251に接続されることから、内外周差が正確に相殺される。これにより、電流密度分布がよりいっそう均一化されることから、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することが可能となる。
【0069】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態によるコイル部品について説明する。第4の実施形態によるコイル部品は、上述した第1のコイル部100A,100Bが第1のコイル部100Cに置き換えられ、上述した第2のコイル部200A,200Bが第2のコイル部200Cに置き換えられている点において、第2及び第3の実施形態によるコイル部品と相違している。その他の基本的な構成は、第2及び第3の実施形態によるコイル部品と同一であることから、同一の要素には同一の部号を付し、重複する説明は省略する。
【0070】
図12は、第1のコイル部100Cのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の一方の表面11a側から見た状態を示している。また、
図13は、第2のコイル部200Cのパターン形状を説明するための平面図であり、絶縁基板11の他方の表面11b側から見た状態を示している。本実施形態においても、第1のコイル部100Cと第2のコイル部200Cのパターン形状は同一である。
【0071】
図12に示すように、第1のコイル部100Cは、ターン110~160からなる6ターン構成であり、このうち、ターン110~150はスパイラル状のスリットによって径方向に3分割され、最内周に位置するターン160はスパイラル状のスリットによって径方向に2分割されている。つまり、ターン110~150はいずれもラインL1~L3にこの順に3分割され、ターン160はラインL1,L2にこの順に2分割される。
【0072】
ここで、ターン150を構成するラインL1~L3のうち、最内周に位置するラインL3の内周端は終端しており、接続部THa13に接続される。これに対し、ターン150を構成するラインL1~L3のうち、最外周に位置するラインL1の内周端は、そのまま連続的に巻回されてターン160のラインL1を構成し、その内周端は接続部THa11に接続される。また、ターン150を構成するラインL1~L3のうち、ラインL1とラインL3に挟まれたラインL2の内周端は、2分岐し、一方は接続部THa12Aに接続され、他方はそのまま連続的に巻回されてターン160のラインL2を構成し、その内周端は接続部THa12Bに接続される。
【0073】
このように、ラインL2は異なる2つの接続部THa12A及びTHa12Bに接続されており、ターン160のラインL2は、これら2つの接続部THa12A及びTHa12Bを繋ぐ区間を構成する。本実施形態においては、接続部THa12Aはターン160のラインL2の始点(つまり、ターン150のラインL2の終点)に位置しているが、ターン160のラインL2の途中、或いは、ターン150のラインL2の途中に位置していても構わない。
【0074】
第2のコイル部200Bのパターン形状も同様である。つまり、第2のコイル部200Cもターン210~260からなる6ターン構成であり、このうち、ターン210~250はスパイラル状のスリットによって径方向に3分割され、最内周に位置するターン260はスパイラル状のスリットによって径方向に2分割されている。つまり、ターン210~250はいずれもラインL4~L6にこの順に3分割され、ターン260はラインL4,L5にこの順に2分割される。
【0075】
そして、ターン250を構成するラインL4~L6のうち、最内周に位置するラインL6の内周端は終端しており、接続部THa11に接続される。これに対し、ターン250を構成するラインL4~L6のうち、最外周に位置するラインL4の内周端は、そのまま連続的に巻回されてターン260のラインL4を構成し、その内周端は接続部THa13に接続される。また、ターン250を構成するラインL4~L6のうち、ラインL4とラインL6に挟まれたラインL5の内周端は、2分岐し、一方は接続部THa12Bに接続され、他方はそのまま連続的に巻回されてターン260のラインL5を構成し、その内周端は接続部THa12Aに接続される。
【0076】
このように、ラインL5は異なる2つの接続部THa12A及びTHa12Bに接続されており、ターン260のラインL5は、これら2つの接続部THa12A及びTHa12Bを繋ぐ区間を構成する。本実施形態においては、接続部THa12Bはターン260のラインL5の始点(つまり、ターン250のラインL5の終点)に位置しているが、ターン260のラインL2の途中、或いは、ターン250のラインL2の途中に位置していても構わない。
【0077】
図12及び
図13に示すように、接続部THa11と接続部THa13は仮想線L0に対して対称となる位置に配置され、接続部THa12Aと接続部THa12Bは仮想線L0に対して対称となる位置に配置されている。かかる構成により、絶縁基板11を介して第1のコイル部100Cと第2のコイル部200Cを重ねると、接続部THa11を介してターン160のラインL1の内周端とターン250のラインL6の内周端が接続され、接続部THa13を介してターン150のラインL3の内周端とターン260のラインL4の内周端が接続され、接続部THa12Aを介してターン150のラインL2の内周端とターン260のラインL5の内周端が接続され、接続部THa12Bを介してターン160のラインL2の内周端とターン250のラインL5の内周端が接続される。
【0078】
図14は、本実施形態によるコイル部品の等価回路図である。
【0079】
図14に示すように、本実施形態においては、端子電極E1と端子電極E2の間に3本の導体が並列に接続される。第1の導体は、ラインL1とラインL6からなる11ターン構成である。第2の導体は、ラインL2とラインL5からなる11ターン構成である。第3の導体は、ラインL3とラインL4からなる11ターン構成である。つまり、11ターン構成のコイルが並列に3個接続された状態が実現される。
【0080】
これにより、第1~第3の実施形態と同様、第1及び第2のコイル部100C,200Cのターン数がいずれも整数(6ターン)であるにも関わらず、合計ターン数を奇数ターンとすることが可能となる。しかも、本実施形態によるコイル部品は、最内周に位置するターン160,260を除く各ターンがスパイラル状のスリットによって径方向に3分割され、最内周に位置するターン160,260がスパイラル状のスリットによって径方向に2分割されていることから、第2の実施形態と比べて、さらに電流密度の偏りが低減される。その結果、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することができる。しかも、第1のコイル部100Cにおいて最も外周側に位置するラインL1が第2のコイル部200Cにおいて最も内周側に位置するラインL6に接続され、第1のコイル部100Cにおいて最も内周側に位置するラインL3が第2のコイル部200Cにおいて最も外周側に位置するラインL4に接続され、第1のコイル部100CにおいてラインL1とラインL3の間に位置するラインL2が第2のコイル部200CにおいてラインL4とラインL6の間に位置するラインL5に接続されることから、内外周差が正確に相殺される。これにより、電流密度分布がよりいっそう均一化されることから、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することが可能となる。
【0081】
また、第1のコイル部100Cのターン160にはラインL2が含まれ、第2のコイル部200Cのターン260にはラインL5が含まれ、これらが並列に接続されていることから、これらを1ターンと見なすことができる。本来、1ターンを実現するためには、ターン160のラインL2とターン260のラインL5の一方のみが存在すれば足りるが、ターン160のラインL2とターン260のラインL5の一方を削除すると、第1のコイル部100Cと第2のコイル部200Cのパターン形状が異なってしまい、同じパターン形状を有するマスクを用いて第1のコイル部100Cと第2のコイル部200Cを作製することができなくなってしまう。この点に鑑み、本実施形態においては、ターン160のラインL2とターン260のラインL5の両方を用い、これらを並列接続することによって、第1のコイル部100Cと第2のコイル部200Cのパターン形状を同一としつつ、1ターンを実現している。
【0082】
このように、合計ターン数を奇数とし、且つ、各ターンの分割数を奇数とした場合、径方向における中間に位置するライン(本実施形態においてはラインL2又はラインL5)をどのように取り扱うかが問題となるが、本実施形態のように中間に位置するラインの最内周ターンを並列接続することにより、表裏のパターン形状を同一としつつ、合計ターン数を奇数とすることが可能となる。したがって、本実施形態は、各ターンが3ラインに分割されているケースだけでなく、5ラインに分割されているケースや、7ラインに分割されているケースなど、各ターンの分割数を奇数である全てのケースに応用することができる。
【0083】
本実施形態においては、ラインL2の最内周ターンとラインL5の最内周ターンが並列に接続されているため、導体幅を一定とした場合、この部分において局所的に抵抗値が低くなり、ライン間のバランスが崩れるおそれがある。これを防止するためには、ラインL2の最内周ターンとラインL5の最内周ターンの導体幅を他のラインよりも細くすることが好ましい。一例として、ラインL2の最内周ターンとラインL5の最内周ターンの導体幅を他のラインの半分とすれば、ライン間のバランスを一定に保つことが可能となる。或いは、ラインL2及びラインL5の導体幅をラインL1,L3,L4,L6の導体幅よりも全体的に僅かに細くすることによっても、ライン間のバランスを保つことが可能である。
【0084】
【0085】
図15に示す例では、第1及び第2のコイルパターン100C,200Cの径方向におけるパターン幅が一定ではなく、内周側及び外周側においてパターン幅が狭く、中心側においてパターン幅が広いという特徴を有している。
【0086】
より具体的に説明すると、最内周に位置するターン160,260の内周側に位置するラインL2,L5のパターン幅をW1、最外周に位置するターン110,210の最も外周に位置するラインL1,L4のパターン幅をW2、略中間に位置するターンのパターン幅をW5とした場合、
W1,W2<W5
を満たしており、好ましくは、
W1<W2<W5
を満たしている。
【0087】
最内周ターン及び最外周ターンのパターン幅W1,W2を縮小しているのは、この部分における磁界が強く、渦電流による発熱によって大きな損失が発生するからである。つまり、最内周ターン及び最外周ターンのパターン幅W1,W2を縮小することにより、最内周ターン及び最外周ターンと干渉する磁束が減少することから、発生する渦電流を低減することができる。特に、最内周ターンは最も磁束が強い領域に位置するため、この部分のパターン幅W1をより狭くすることが好ましい。但し、最内周ターンのパターン幅W1は、コイルパターン100C,200Cのパターン厚よりも大きいことが好ましい。これによれば、コイルパターン100C,200Cに流れる渦電流が導体パターンの径方向における両側に集中することから、コイルパターン100C,200Cのパターン幅を狭くすることによる損失の低減効果を顕著に得ることが可能となる。
【0088】
しかも、上述の通り、最内周に位置するターン160,260のラインL2,L5は並列に接続されることから、このパターン幅W1を縮小することにより、ライン間のバランスを保つことが可能となる。
【0089】
各ラインのパターン幅は、最内周及び最外周から、略中間に位置するターンに向かって徐々に又は段階的に広くすることが好ましい。例えば、ターン160,260のラインL1,L4のパターン幅をW3、ターン150,250の各ラインL1~L6のパターン幅をW4とした場合、
W1<W3<W4<W5
を満たすことが好ましい。
【0090】
同じターンを構成する3つのラインのパターン幅は、互いに同じであっても構わないが、中間に位置するラインL2,L5のパターン幅だけを細くすることにより、ライン間のバランスを確保することも可能である。
【0091】
さらに、導体パターンのパターン厚は、最外周ターンよりも最内周ターンの方が薄くても構わない。特に、最外周ターンから最内周ターンに向かって、パターン厚が徐々に又は段階的に薄くなる構成とすることが好ましい。これによれば、渦電流の影響をより強く受ける内周側において、パターン幅を狭くすることによる損失の低減効果が顕著となる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態によるコイル部品は、第1のコイル部100Cに含まれるラインL2と、第2のコイル部200Cに含まれるラインL5を、2つの接続部THa12A及びTHa12Bを用いて接続している。これにより、第1のコイル部100Cと第2のコイル部200Cのパターン形状が同一であり、ターン数が整数であり、且つ、各ターンの分割数が奇数であるにもかかわらず、合計ターン数を奇数とすることが可能となる。
【0093】
尚、
図12及び
図13に示した例では、最内周ターンの始点部分においてラインL2,L5を2分岐させているが、このような分岐構造を採ることは必須でない。例えば、
図16(a),(b)に示す例のように、ラインL2,L5の一部のパターン幅を拡大し、この部分に接続部THa12Aを形成しても構わない。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0095】
例えば、上記の各実施形態においては、2つのコイル部を絶縁基板の表裏に形成しているが、本発明においてこの点は必須でない。また、上記の各実施形態においては、2つのコイル部のパターン形状が互いに同一であるが、本発明においてこの点も必須ではない。
【0096】
また、第2の実施形態においては、第1及び第2のコイル部100A,200Aを構成する各ターンを径方向に2分割し、第3の実施形態においては、第1及び第2のコイル部100B,200Bを構成する各ターンを径方向に4分割し、第4の実施形態においては、第1及び第2のコイル部100C,200Cを構成する各ターンを径方向に3分割しているが、分割数については特に限定されない。分割数は、大きくなるほど電流密度分布が均一化する一方、分割数が多くなると、その分、スリットの専有面積が増大するため、1ターン当たりの導体面積が減少し、直流抵抗が増大する傾向がある。この点を考慮すれば、分割数を3~8に設定することが好ましい。実際の分割数は、当該コイル部品に流れる電流の周波数によって決定すればよく、周波数帯が低いほど分割数を小さくし、周波数帯が高いほど分割数を大きくすることが好ましい。特に、本発明によるコイル部品をワイヤレス電力伝送システムの受電コイルとして使用する場合、受信する交流電力の周波数は30~150kHzであり、この場合、分割数は3又は4が最適である。また、第1の実施形態のように、第1及び第2のコイル部100,200を構成する各ターンを分割しない場合、電流密度分布の分散効果は得られないものの、スリットによる導体幅の減少が生じないことから、直流抵抗を最も低抵抗化することが可能となる。
【符号の説明】
【0097】
11 絶縁基板
11a 絶縁基板の一方の表面
11b 絶縁基板の他方の表面
100,100A,100B,100C 第1のコイル部
200,200A,200B,200C 第2のコイル部
160 第1のターン
150 第2のターン
260 第3のターン
250 第4のターン
151,251,L1 第1のライン
152,252,L2 第2のライン
163,263,L3 第3のライン
164,264,L4 第4のライン
155,255,L5 第5のライン
156,256,L6 第6のライン
191,192,291,292 引き出しパターン
A1,A2 円周領域
B1,B2 遷移領域
C 中心点
E1,E1a,E1b,E2,E2a,E2b 端子電極
L0 仮想線
THa1~THa8,THa11,THa12A,THa12B,THa13,THb,THc 接続部