(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】車両用サイドドア
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20221115BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B60J5/00 Q
B60J5/04 P
(21)【出願番号】P 2018135106
(22)【出願日】2018-07-18
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】土田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】梅田 義之
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-089769(JP,A)
【文献】特開2014-097714(JP,A)
【文献】特開2007-186092(JP,A)
【文献】特開平11-180144(JP,A)
【文献】特開2011-111810(JP,A)
【文献】特開平04-129829(JP,A)
【文献】特開2012-111380(JP,A)
【文献】実開平04-074119(JP,U)
【文献】特開2009-113566(JP,A)
【文献】特開2008-189038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を構成するアウタパネルと、該アウタパネルの内側に配置されて内面を構成するインナパネルとを含む車両用サイドドアにおいて、
前記インナパネルの上部に形成される窓用開口部と、
前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に配置され前記窓用開口部の下縁に沿って車両前後方向に延びて該アウタパネルおよび該インナパネルを補強する上側補強部材と、
前記アウタパネルに固定されるドアハンドルと、
前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に配置され前記ドアハンドルに接続されるドアラッチとを含み、
前記上側補強部材のうち、前記ドアハンドルおよび前記ドアラッチよりも車両前方側の位置には、周囲より脆弱な第1脆弱部が形成されてい
て、
当該車両用サイドドアは、前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に配置されそれらの下部で車両前後方向に延びて該アウタパネルおよびインナパネルを補強する下側補強部材を含み、
前記下側補強部材のうち、前記ドアハンドルおよび前記ドアラッチよりも車両前方側の位置には、周囲よりも脆弱な第2脆弱部が形成されていて、
前記第1脆弱部は、前記上側補強部材の車両前後方向の中央近傍に形成され、
前記第2脆弱部は、前記下側補強部材の車両前後方向の中央よりも前側に形成されていることを特徴とする車両用サイドドア。
【請求項2】
前記ドアハンドルは、当該車両用サイドドアの開閉時に、車両前後方向の回転軸のまわりを回動し、
前記インナパネルは、前記第1脆弱部の車両前方または車両後方の少なくとも一方に形成される孔を有し、
前記孔の前端または後端は、側面視において車両前後方向で前記第1脆弱部に近接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドドア。
【請求項3】
前記上側補強部材の上縁は車両前後方向に直線状に延びていて、
前記上側補強部材の下縁は、車両後方に向かうにしたがって下方に傾斜している傾斜部を有し、
前記第1脆弱部は、前記傾斜部の前端であることを特徴とする請求項1
または2に記載の車両用サイドドア。
【請求項4】
前記上側補強部材の下縁は、前記第1脆弱部に近接した位置で上方に向かって凹んだ凹部を有することを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の車両用サイドドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サイドドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ドアインナパネルとドアアウタパネルとからなるドア本体が開示されている。特許文献1では、ドアインナパネルとドアアウタパネル内に補強部材としてのインパクトバーを設けている。特許文献1のインパクトバーは、側突対応用のものであり、ドア前端からドア後端にわたって車両前後方向に延びると共にドア前端およびドア後端に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、インパクトバーによってドア本体の剛性を高めることが可能であると考えられる。しかしながら、特許文献1のインパクトバーは、形状に特段の工夫がなされていない。このため、側突時にドア本体に対して車両横方向から荷重がかかった際に、ドアの変形を安定させることができない。すなわち、ドアを所望の位置で変形させることができない。すると、ドアハンドルの上側の位置で折れが発生した場合、ハンドルが開放方向に回転し、ハンドルとラッチ間の距離が変わることで、ロック機構のロッドが作動してドアが開放してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、側突時におけるドアの所望の位置での変形を促進し、側突時のドアの開放を防止することが可能な車両用サイドドアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用サイドドアの代表的な構成は、外面を構成するアウタパネルと、アウタパネルの内側に配置されて内面を構成するインナパネルとを含む車両用サイドドアにおいて、インナパネルの上部に形成される窓用開口部と、アウタパネルとインナパネルとの間に配置され窓用開口部の下縁に沿って車両前後方向に延びてアウタパネルおよびインナパネルを補強する上側補強部材と、アウタパネルに固定されるドアハンドルと、アウタパネルとインナパネルとの間に配置されドアハンドルに接続されるドアラッチとを含み、上側補強部材のうち、ドアハンドルおよびドアラッチよりも車両前方側の位置には、周囲より脆弱な第1脆弱部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、側突時におけるドアの所望の位置での変形を促進し、側突時のドアの開放を防止することが可能な車両用サイドドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例にかかる車両用サイドドアを備える車両を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車両用サイドドアは、外面を構成するアウタパネルと、アウタパネルの内側に配置されて内面を構成するインナパネルとを含む車両用サイドドアにおいて、インナパネルの上部に形成される窓用開口部と、アウタパネルとインナパネルとの間に配置され窓用開口部の下縁に沿って車両前後方向に延びてアウタパネルおよびインナパネルを補強する上側補強部材と、アウタパネルに固定されるドアハンドルと、アウタパネルとインナパネルとの間に配置されドアハンドルに接続されるドアラッチとを含み、上側補強部材のうち、ドアハンドルおよびドアラッチよりも車両前方側の位置には、周囲より脆弱な第1脆弱部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、上側補強部材によって車両用サイドドア(以下、サイドドアと称する)の剛性を高めることができる。そして、上側補強部材に第1脆弱部が形成されていることにより、側突時に上側補強部材が第1脆弱部を起点として変形する。これにより、サイドドア全体も第1脆弱部近傍を起点として変形することになる。したがって、サイドドアの所望の位置における変形を促進することが可能となる。
【0011】
このとき、第1脆弱部がドアハンドルおよびドアラッチよりも車両前方側の位置に形成されていることにより、ドアハンドルおよびドアラッチ近傍における上側補強部材ひいてはサイドドアの変形を防ぐことができる。したがって、サイドドアの変形に起因するドアハンドルおよびドアラッチの位置の変化が生じることがなく、側突時のサイドドアの開放を防止することが可能となる。
【0012】
上記ドアハンドルは、当該車両用サイドドアの開閉時に、車両前後方向の回転軸のまわりを回動し、インナパネルは、第1脆弱部の車両前方または車両後方の少なくとも一方に形成される孔を有し、孔の前端または後端は、側面視において車両前後方向で第1脆弱部に近接する位置に配置されている。
【0013】
かかる構成によれば、インナパネルにおいて孔の前端または後端とその周囲の領域とで剛性差が生じる。このため、側突時にインナパネルひいてはサイドドア全体が車両上下方向に延びる折れ線に沿うように変形する。これにより、ドアハンドルの回転方向の荷重が生じることなくサイドドアが変形するため、ドアラッチが解除される変位の発生を抑制し、側突時のサイドドアの開放をより確実に防ぐことが可能となる。
【0014】
当該車両用サイドドアは、アウタパネルとインナパネルとの間に配置されそれらの下部で車両前後方向に延びてアウタパネルおよびインナパネルを補強する下側補強部材を含み、下側補強部材のうち、ドアハンドルおよびドアラッチよりも車両前方側の位置には、周囲よりも脆弱な第2脆弱部が形成されている。
【0015】
このように下側補強部材を設けることにより、サイドドアの剛性を更に高めることが可能となる。そして、下側補強部材においてもドアハンドルおよび前記ドアラッチよりも車両前方側の位置に第2脆弱部が形成されていることにより、下側補強部材もドアハンドルおよび前記ドアラッチよりも車両前方側で変形する。このとき、上側補強部材および下側補強部材のそれぞれに第1脆弱部および第2脆弱部が形成されていることにより、上述した縦方向での折れ線を確実に発生させることが可能となる。
【0016】
上記上側補強部材の上縁は車両前後方向に直線状に延びていて、上側補強部材の下縁は、車両後方に向かうにしたがって下方に傾斜している傾斜部を有し、第1脆弱部は、傾斜部の前端である。かかる構成によれば、第1脆弱部は上側補強部材の下縁に設けられる。これにより、上側補強部材は、下縁では形状の変化が大きくなり、上縁では形状の変化が小さくなる。したがって、上側補強部材の上縁近傍、すなわち上側補強部材が配置される窓用開口部の下縁近傍におけるパネルの変形やトリムの割れによるシャープエッジ(鋭利な変形)の形成を防ぎ、乗員の安全性を高めることが可能となる。
【0017】
上記上側補強部材の下縁は、第1脆弱部に近接した位置で上方に向かって凹んだ凹部を有する。これにより、凹部が第1脆弱部の近傍において脆弱部として機能するため、第1脆弱部を起点とした上側補強部材の変形をより効果的に促進することが可能となる。
【実施例】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
図1は、本実施例にかかる車両用サイドドア(以下、サイドドア100と称する。)を備える車両を説明する図であり、車両100aの右側を側方から観察した状態を図示している。
図1に示すように、車両の側部には、サイドドア100が配置される。なお、本実施例では、車両の右側に配置される2つのサイドドアのうち後方のサイドドア100を例示するが、これに限定するものではない。車両の右側の前方のサイドドアや、車両の左側に配置されるサイドドアであっても本発明を適用することが可能である。
【0020】
図2は、
図1のサイドドア100の詳細図であり、サイドドア100からアウタパネル110を取り外した状態を図示している。本実施例のサイドドア100は、
図1に示すアウタパネル110、
図2に示すインナパネル120を含んで構成される。アウタパネル110は、サイドドア100の外面を構成するパネルである。インナパネル120は、アウタパネル110の内側に配置されて内面を構成するパネルである。
図2に示すように、インナパネル120の上部には窓用開口部120aが形成されている。
【0021】
図1に示すように、アウタパネル110には、ドアの開閉に用いられるドアハンドル102が固定されている。ドアハンドル102は、サイドドア100の開閉時に、車両前後方向の回転軸のまわりを回動する。
図2に示すように、アウタパネル110とインナパネル120との間には、ドアハンドル102に接続されるドアラッチ104が配置される。本実施例では、ドアハンドル102およびドアラッチ104は、サイドドア100の後端近傍に配置されている。
【0022】
図2に示すように、サイドドア100は、アウタパネル110とインナパネル120との間に配置される上側補強部材130を備える。上側補強部材130は、窓用開口部120aの下縁に沿って車両前後方向に延び、アウタパネル110およびインナパネル120を補強する。これにより、上側補強部材130によってサイドドア100の剛性を高めることができる。
【0023】
図3は、
図2の上側補強部材130の詳細図であり、
図3(a)は、上側補強部材130の全体図であり、
図3(b)は、
図3(a)の部分拡大図である。本実施例の特徴として、
図2および
図3(a)に示すように、上側補強部材130のうち、ドアハンドル102およびドアラッチ104よりも車両前方側の位置には、周囲より脆弱な第1脆弱部132が形成されている。これにより、側突時に、上側補強部材130が第1脆弱部132を起点として変形し、サイドドア100が第1脆弱部132近傍を起点して変形する。したがって、サイドドア100の所望の位置における変形が促進される。
【0024】
このとき、第1脆弱部132がドアハンドル102およびドアラッチ104よりも車両前方側の位置に形成されていることにより、上側補強部材130ひいてはサイドドア100は、ドアハンドル102およびドアラッチ104から離れた位置において変形することとなる。これにより、変形した上側補強部材130ひいてはサイドドア100がドアハンドル102やドアラッチ104に接触することを抑制することができる。したがって、サイドドア100の変形に起因するドアハンドル102およびドアラッチ104の位置変化を防ぎ、側突時のサイドドア100の開放を防止することが可能となる。
【0025】
特に本実施例では、
図3(a)に示すように、上側補強部材130の上縁130aは車両前後方向に直線状に延びていて、上側補強部材130の下縁130bは、車両後方に向かうにしたがって下方に傾斜している傾斜部130cを有する。これにより、上側補強部材130は、車両後方に向かうにしたがって上下方向の幅が広くなる形状となっている。
【0026】
そして、第1脆弱部132は、上側補強部材130の下縁130bのうち、傾斜部130cの前端に配置される。これにより、上側補強部材130は、下縁130bでは形状の変化が大きくなり、上縁では形状の変化が小さくなる。したがって、上側補強部材130の上縁130a近傍、すなわち上側補強部材130が配置される窓用開口部120aの下縁近傍(
図2参照)におけるパネルの変形やトリムの割れによるシャープエッジ(鋭利な変形)の形成を防ぎ、乗員の安全性を高めることが可能となる。
【0027】
ここで、
図2に示すように、インナパネル120には、第1脆弱部132の車両前方および車両後方にそれぞれに孔(前側孔122aおよび後側孔122b)が形成されている。前側孔122aは、窓用開口部120aに配置されるガラス昇降用のウィンドレギュレータ106を取り付け作業するためのサービスホールである。後側孔122bは、ドアラッチ104やハンドルの取付作業するためのサービスホールである。
【0028】
本実施例では、前側孔122aの後端124aおよび後側孔122bの前端124bは、側面視において車両前後方向で第1脆弱部132に近接する位置に配置される。上述したようにインナパネルに孔(前側孔122aおよび後側孔122b)が形成されることにより、インナパネル120において孔の前端や後端とその周囲の領域とで剛性差が生じる。
【0029】
上記構成によれば、側突時にインナパネル120ひいてはサイドドア100全体が車両上下方向に延びる折れ線L1(
図3参照)に沿うように変形する。したがって、ドアハンドル102の回転方向の荷重が生じることなくサイドドア100を変形させることができ、ドアラッチ104が解除される変位の発生を抑制し、側突時のサイドドア100の開放をより確実に防ぐことが可能となる。
【0030】
また本実施例では、インナパネル120において、前側孔122aの後端124aおよび後側孔122bの前端124bとの間に、第1ビード形状126および第2ビード形状128を設けている。第1ビード形状126は、前側孔122aの後端124aおよび後側孔122bの前端124bとの間を上下方向に延びていて、第2ビード形状128は、前側孔122aの後端124aおよび後側孔122bの前端124bとの間を前後方向に斜めに延びている。
【0031】
上記のようにビード形状を設けることにより、インナパネル120の剛性を更に高めることが可能となる。そして、第1ビード形状126と第2ビード形状128の交点Pが前側孔122aと後側孔122bとの間に配置されることにより、インナパネル120をバランスよく補強することができる。
【0032】
なお、本実施例では、インナパネル120には、第1脆弱部132の車両前方および車両後方にそれぞれに孔(前側孔122aおよび後側孔122b)を形成する構成を例示したが、これに限定するものではない。組付作業上の不便がないのであれば、第1脆弱部132の車両前方および車両後方のいずれか一方のみに孔を形成する構成としてもよい。その場合、前側孔122aの後端124aまたは後側孔122bの前端124bのいずれかを第1脆弱部132に近接させることで上述した効果を得ることが可能である。
【0033】
図3に示すように、上側補強部材130の下縁130bには、下側リブ134が形成されていて、第1脆弱部132に近接した位置で、下側リブ134が上方に向かって凹んだ凹部136が形成される。これにより、凹部136が第1脆弱部132の近傍において脆弱部として機能する。したがって、第1脆弱部132を起点とした上側補強部材130の変形をより効果的に促進することが可能となる。
【0034】
再度、
図2を参照する。
図2に示すように、サイドドア100は、上述した上側補強部材130に加えて、アウタパネル110とインナパネル120との間に配置される下側補強部材140を備える。下側補強部材140は、アウタパネル110およびインナパネル120の下部で車両前後方向に延び、アウタパネル110およびインナパネル120を補強する。
【0035】
図4は、
図2の下側補強部材140の詳細図である。本実施例の特徴として、
図2および
図4に示すように、下側補強部材140のうち、ドアハンドル102およびドアラッチ104よりも車両前方側の位置には、周囲より脆弱な第2脆弱部142が形成されている。これにより、側突時に、下側補強部材140が第2脆弱部142を起点として変形し、サイドドア100が第2脆弱部142近傍を起点して変形する。したがって、サイドドア100の所望の位置における変形が促進される。
【0036】
特に本実施例では、上側補強部材130に第1脆弱部132を形成し、下側補強部材140に第2脆弱部142を形成している。これにより、側突時のインナパネル120ひいてはサイドドア100が折れ線L2に沿って変形する。したがって、上述した縦方向での折れ線を確実に発生させることが可能となる。
【0037】
また
図4に示すように、本実施例では、下側補強部材140においても、上縁140aは車両前後方向に直線状に延びていて、下縁140bは、車両後方に向かうにしたがって下方に傾斜している傾斜部140cを有する。そして、第2脆弱部142は、下側補強部材140の下縁140bのうち、傾斜部の140c前端に配置される。これにより、下側補強部材140においても上縁140a近傍でのパネルの変形やトリムの割れによるシャープエッジ(鋭利な変形)の形成を防ぎ、乗員の安全性を高めることが可能となる。
【0038】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、車両用サイドドアに利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
100…サイドドア、100a…車両、102…ドアハンドル、104…ドアラッチ、106…ウィンドレギュレータ、110…アウタパネル、120…インナパネル、120a…窓用開口部、122a…前側孔、122b…後側孔、124a…後端、124b…前端、126…第1ビード形状、128…第2ビード形状、130…上側補強部材、130a…上縁、130b…下縁、130c…傾斜部、132…第1脆弱部、134…下側リブ、136…凹部、140…下側補強部材、140a…上縁、140b…下縁、140c…傾斜部、142…第2脆弱部