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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】湯水混合水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/044 20060101AFI20221115BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E03C1/044
E03C1/042 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018150876
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020026643
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 稔
(72)【発明者】
【氏名】窪園 幸徳
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-037318(JP,A)
【文献】特開2016-173165(JP,A)
【文献】特開2017-031689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/044
E03C 1/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部流路が形成された内部流路ユニットと、
前記内部流路ユニットが挿入され、前記内部流路ユニットの挿入方向に直交する断面が円形である内周壁を有する外郭部材と、
水と湯との混合水、または前記水を外部に吐水する吐水管と、
前記内周壁に形成された挿入孔に挿入され、前記内部流路ユニットと前記吐水管とを接続する接続部材と
を備え、
前記接続部材は、
前記挿入孔を形成する挿入壁との間には隙間が形成されており、前記外郭部材に対して前記内部流路ユニットが移動するような外力が前記吐水管に加わった場合に、前記外郭部材に当接する
ことを特徴とする湯水混合水栓。
【請求項2】
前記挿入方向に対して交差する方向から前記内部流路ユニットに挿入される挿入部材を更に備え、
前記接続部材と前記外郭部材との間に形成される隙間は、
前記挿入部材と前記外郭部材との間に形成される隙間よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の湯水混合水栓。
【請求項3】
前記接続部材の内周壁と、前記接続部材の内周壁と向かい合う前記内部流路ユニットとの間に設けられたシール部材
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の湯水混合水栓。
【請求項4】
前記内部流路ユニットは、前記内部流路ユニット内部で流路が完結しており、前記内部流路ユニットと前記外郭部材との間にシールが介在していない
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の湯水混合水栓。
【請求項5】
前記接続部材は、
前記内部流路ユニット側の端に面取り部
を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の湯水混合水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、湯水混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐水流路を有する流路ユニットを管状の外郭部材に挿入し、例えば、湯と水とを混合した混合水を吐水する湯水混合水栓が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-228040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記する湯水混合水栓では、外郭部材が管状であり曲面であるため、直接吐水管をろうづけすることが出来ない。そこで、例えば、バーリング加工を行うことで接続部を形成した外郭部材に吐水管をろう付けすることで、吐水管が外郭部材に取り付けられていた。バーリング加工を行い、吐水管を外郭部材にろう付けすると湯水混合水栓を製造するためのコストが高くなる。
【0005】
これに対し、流路ユニットに直接吐水管を接続する方法が考えられる。しかし、流路ユニットに吐水管を接続する湯水混合水栓では、例えば、吐水管に外力が加わった場合に、外力が流路ユニットに伝達され、流路ユニットが損傷するおそれがある。
【0006】
実施形態の一態様は、吐水管にかかる外力を内部流路ユニットへ伝達せず、内部流路ユニットの損傷を抑制する湯水混合水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る湯水混合水栓は、内部流路が形成された内部流路ユニットと、前記内部流路ユニットが挿入され、前記内部流路ユニットの挿入方向に直交する断面が円形である内周壁を有する外郭部材と、水と湯との混合水、または前記水を外部に吐水する吐水管と、前記内周壁に形成された挿入孔に挿入され、前記内部流路ユニットと前記吐水管とを接続する接続部材とを備え、前記接続部材は、前記吐水管に外力が加わった場合に、前記外郭部材に当接することを特徴する。
【0008】
吐水管に外力が加わった場合に、内部流路ユニットと吐水管とを接続する接続部材が、外郭部材に当接することで、吐水管にかかる外力が内部流路ユニットへ伝達されず、内部流路ユニットが損傷することを抑制することができる。
【0009】
また、湯水混合水栓は、前記挿入方向に対して交差する方向から前記内部流路ユニットに挿入される挿入部材を更に備え、前記接続部材と前記外郭部材との間に形成される隙間は、前記挿入部材と前記外郭部材との間に形成される隙間よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
接続部材と外郭部材との間に形成される隙間を、挿入部材と外郭部材との間に形成される隙間よりも小さくすることで、吐水管に外力が加わった場合に、接続部材の移動を外郭部材で規制し、外力を外郭部材で受けることができる。そのため、内部流路ユニットに外力が伝達されず、内部流路ユニットが損傷することを抑制することができる。
【0011】
また、前記接続部材の内周壁と、前記接続部材の内周壁と向かい合う前記内部流路ユニットとの間に設けられたシール部材を備えることを特徴とする。
【0012】
接続部材の内周壁と、内部流路ユニットとの間にシール部材を設けることで、接続部材と内部流路ユニットとの接続状態が緩んだ場合でも、シール性を保持することができ、水などが漏れることを抑制することができる。
【0013】
また、前記内部流路ユニットは、前記内部流路ユニット内部で流路が完結しており、前記内部流路ユニットと前記外郭部材との間にシールが介在していないことを特徴とする。
【0014】
内部流路ユニット内部で流路が完結し、外郭部材と内部流路ユニットとの間にシールを用いずに、内部流路ユニットを外郭部材に挿入することができるため、作業性を向上させることができる。また、内部流路ユニットを外郭部材に挿入する際に、外郭部材に対する内部流路ユニットの周方向の位置がずれた場合でも、容易に位置を合わせることができ、作業性を向上させることができる。
【0015】
また、前記接続部材は、前記内部流路ユニット側の端に面取り部を備えることを特徴とする。
【0016】
接続部材に面取り部を設けることで、接続部材を外郭部材に容易に挿入することができる。また、接続部材と内部流路ユニットとの接触を抑制することができ、内部流路ユニットの損傷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
実施形態の一態様によれば、内部流路ユニットの損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、吐水装置の斜視図である。
図2図2は、吐水装置の正面図である。
図3図3は、吐水装置の平面図である。
図4図4は、図2のIV-IV断面図である。
図5図5は、内部流路ユニットの一部の分解斜視図である。
図6図6は、図3のVI-VI断面図である。
図7図7は、図6の第3接続部材の上端側を拡大した模式図である。
図8図8は、図3のVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する吐水装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
吐水装置1は、湯と水とを混合可能な湯水混合水栓である。吐水装置1について、図1図4を参照し説明する。図1は、吐水装置1の斜視図である。図2は、吐水装置1の正面図である。図3は、吐水装置1の平面図である。図4は、図2のIV-IV断面図である。
【0021】
図1図4では、説明の便宜上、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。なお、直交座標系は、他の図においても図示している。
【0022】
直交座標系は、X軸の正方向を「左方」と規定し、X軸の負方向を「右方」と規定している。また、直交座標系は、Y軸の正方向を「前方」と規定し、Y軸の負方向を「後方」と規定している。また、直交座標系は、Z軸の正方向を「上方」と規定し、Z軸の負方向を「下方」と規定している。このため、以下の説明では、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という場合がある。
【0023】
吐水装置1は、水栓本体2と、温度調整ハンドル3と、流量調整ハンドル4と、内部流路ユニット5と、吐水管6と、ハンドシャワー(不図示)とを備える。吐水装置1は、吐水管6、またはハンドシャワーから、水と湯とを混合した混合水、または水を吐水する。
【0024】
水栓本体2は、円筒状であり、左右方向に延設される。水栓本体2は、金属部材で構成される。水栓本体2には、左右方向に直交する断面が円形である内周壁2aが形成される。水栓本体2の軸方向は、左右方向に一致する。なお、水栓本体2の外形は、円筒状に限られず、例えば、矩形状であってもよい。水栓本体2は、外郭部材を構成する。
【0025】
水栓本体2には、内部流路ユニット5が左右方向に挿入される。すなわち、内部流路ユニット5の挿入方向は、左右方向に一致する。水栓本体2には、下方から第3接続部材50を介して吐水管6を内部流路ユニット5に取り付けるための第1挿入孔2eが左右方向における中央付近に形成される。水栓本体2には、後方からシャワーホース7を内部流路ユニット5に取り付けるための第2挿入孔2bが左右方向における中央付近に形成される。
【0026】
水栓本体2の左方端付近には、継ぎ手10を介して後方から給湯管8が取り付けられ、第3挿入孔2cが形成される。第3挿入孔2cには、給湯管8から湯を供給する第1接続部材18が挿入される。水栓本体2の右方端付近には、継ぎ手11を介して後方から給水管9が取り付けられ、第4挿入孔2dが形成される。第4挿入孔2dには、給水管9から水を供給する第2接続部材19が挿入される。
【0027】
水栓本体2の左方端には、温度調整ハンドル3が取り付けられる。水栓本体2の右方端には、流量調整ハンドル4が取り付けられる。
【0028】
温度調整ハンドル3は、水栓本体2に対して回動可能に取り付けられる。温度調整ハンドル3は、回動位置に応じて吐水管6、またはハンドシャワーから吐水される流体の種類を、水、または混合水に切り替える。具体的には、温度調整ハンドル3は、水に湯を混合するか否かを切り替える。また、温度調整ハンドル3は、吐水管6、またはハンドシャワーから混合水を吐水する場合に、回動位置に応じて混合水の温度を設定する。
【0029】
流量調整ハンドル4は、水栓本体2に対して回動可能に取り付けられる。流量調整ハンドル4は、回動位置に応じて、水、または混合水の吐水先を、吐水管6、またはハンドシャワーに切り替える。また、流量調整ハンドル4は、回動位置に応じて、吐水管6、またはハンドシャワーから吐水される水、または混合水の流量を調整する。
【0030】
ここで、内部流路ユニット5について、図4、および図5を参照し説明する。図5は、内部流路ユニット5の一部の分解斜視図である。
【0031】
内部流路ユニット5は、水栓本体2と内部流路ユニット5との間に、給水管9から供給される水を流入させずに流すユニットである。すなわち、内部流路ユニット5は、内部で流路が完結するユニットである。そのため、内部流路ユニット5と水栓本体2との間にシールが介在していない。内部流路ユニット5は、内部ケース15と、温度調整機構16と、流量調整機構17とを備える。
【0032】
内部ケース15は、温度調整機構16、および流量調整機構17を収容する。内部ケース15は、水栓本体2の内周壁2aに合わせて、略円筒状に形成される。内部ケース15は、樹脂部材で構成される。
【0033】
内部ケース15には、左後方に第1挿入孔15aが形成される。第1挿入孔15aには、給湯管8から湯を供給する第1接続部材18が挿入される。内部ケース15には、右後方に第2挿入孔15bが形成される。第2挿入孔15bには、給水管9から水を供給する第2接続部材19が挿入される。
【0034】
内部ケース15には、水、湯、または混合水が流れる内部流路20が形成される。内部流路20は、内部流路ユニット5と水栓本体2との間に水を流さずに、吐水管6、またはハンドシャワーから水、または混合水を吐水させる流路である。内部流路20は、湯流通流路21と、水流通流路22と、吐水流路23とによって構成される。
【0035】
湯流通流路21は、第1接続部材18を介して給湯管8から供給された湯が流れる。湯流通流路21は、内部ケース15と、温度調整機構16の第2支持ケース36と、温度調整機構16の弁体30と、隔離壁37とによって形成される。
【0036】
水流通流路22は、第2接続部材19を介して給水管9から供給された水が流れる。水流通流路22は、第1流路22aと、第2流路22bと、第3流路22cとによって構成される。
【0037】
第1流路22aは、内部ケース15と、流量調整機構17の支持ケース42とによって形成され、第2接続部材19から水が流入する。
【0038】
第2流路22bは、第1流路22a、および第3流路22cに連通する。第2流路22bは、内部ケース15の前方の中央付近に形成された凹部15cと、凹部15cを覆う蓋部15dとによって形成される。蓋部15dと凹部15cとの間には、シール部材60が設けられる。
【0039】
蓋部15dは、内部流路ユニット5が水栓本体2に挿入された状態では、水栓本体2の内周壁2aによって押さえられている。そのため、第2流路22bに水が流入し、第2流路22b内の水圧が大きくなった場合であっても、蓋部15dは、内周壁2aによって前方への移動が規制される。従って、第2流路22bからの漏水の発生を防止することができる。
【0040】
第2流路22bは、右方に形成された第1流通孔15eを介して第1流路22aに連通し、第1流路22aから水が流入する。また、第2流路22bは、左方に形成された第2流通孔15fを介して第3流路22cに連通し、第3流路22cに水を流入させる。
【0041】
第3流路22cは、内部ケース15と、温度調整機構16の第1支持ケース35と、温度調整機構16の弁体30と、隔離壁37とによって形成される。第3流路22cは、左右方向において隔離壁37を挟んで湯流通流路21と隣り合うように形成される。
【0042】
吐水流路23は、湯流通流路21や、水流通流路22よりも内部ケース15の径方向内側に、温度調整機構16の第1支持ケース35、第2支持ケース36などによって形成される。吐水流路23は、水流通流路22の第3流路22cに連通し、第3流路22cから水が流入する。
【0043】
また、吐水流路23は、温度調整ハンドル3の回動に応じた温度調整機構16の弁体30の移動によって湯流通流路21に連通可能である。吐水流路23は、湯流通流路21に連通し、湯流通流路21から湯が流入した場合には、水と湯とを混合し、混合水を生成する。
【0044】
吐水流路23は、左右方向の中央付近で内部ケース15に形成された第1吐水口15h(図6参照)を介して吐水管6に連通可能である。また、吐水流路23は、左右方向の中央付近で内部ケース15に形成された第2吐水口15gを介してシャワーホース7に連通可能である。吐水流路23には、第1吐水口15hや、第2吐水口15gを開閉する流量調整機構17の切替弁41が設けられる。
【0045】
なお、湯流通流路21、水流通流路22、および吐水流路23を構成する部材には、各流路21~23から水などが漏れないようにシール部材が設けられている。
【0046】
このように、内部流路ユニット5は、水流通流路22を有しており、給水管9から供給される水を内部流路ユニット5の外部、具体的には、内部流路ユニット5と水栓本体2との間を流すことなく、吐水流路23に流すことができる。
【0047】
温度調整機構16は、弁体30と、感温ばね31と、バイアスばね32と、ライナ33と、スピンドル34とを備える。
【0048】
感温ばね31は、左右方向の中央側に設けられた第1支持ケース35に収容される。感温ばね31は、吐水流路23に設けられる。感温ばね31は、温度に応じてばね定数が変化するばねであり、例えば、形状記憶合金によって構成される。感温ばね31は、弁体30を左方に向けて付勢する。
【0049】
バイアスばね32は、第1支持ケース35よりも左方に設けられた第2支持ケース36に収容される。バイアスばね32は、吐水流路23に設けられる。バイアスばね32は、温度に対してばね定数がほぼ一定のばねである。バイアスばね32は、弁体30を右方に向けて付勢する。
【0050】
弁体30は、第1支持ケース35と、第2支持ケース36との間に設けられる。弁体30は、左右方向に移動可能となるように隔離壁37を介して内部ケース15に支持される。隔離壁37は、左右方向において湯流通流路21と、水流通流路22の第3流路22cとを隔離する。弁体30には、左右方向に貫通する貫通孔(不図示)が形成され、水や、混合水を左右方向に流通させることができる。
【0051】
弁体30は、バイアスばね32の付勢力と、感温ばね31の付勢力と応じて左右方向に移動し、湯流通流路21と吐水流路23との連通状態を調整する。
【0052】
具体的には、弁体30は、感温ばね31の付勢力がバイアスばね32の付勢力よりも大きい場合には、左方に移動する。弁体30が左方に移動し、第2支持ケース36に当接すると、湯流通流路21と吐水流路23との連通が遮断される。この場合、湯は吐水流路23に流入しない。
【0053】
また、弁体30は、バイアスばね32の付勢力が感温ばね31の付勢力よりも大きい場合には、右方に移動する。例えば、弁体30が第2支持ケース36に当接した状態から、バイアスばね32の付勢力が大きくなり、第2支持ケース36から離間すると、湯流通流路21と吐水流路23とが連通する。これにより、湯が吐水流路23に流入する。
【0054】
弁体30は、第2支持ケース36から離間した状態では、バイアスばね32の付勢力と、感温ばね31の付勢力とが釣り合う位置に保持される。弁体30と第2支持ケース36との距離が長くなるほど、吐水流路23に流入する湯量が多くなる。また、弁体30と第2支持ケース36との距離が長くなるほど、弁体30と第1支持ケース35との距離が短くなり、吐水流路23に流入する水量が少なくなる。
【0055】
ライナ33は、弁体30とは反対側のバイアスばね32の端に当接し、スピンドル34を介して温度調整ハンドル3に接続される。スピンドル34は、第2支持ケース36に回動可能に支持され、温度調整ハンドル3の回動運動をライナ33の左右方向における直進運動に変換する。そのため、ライナ33は、温度調整ハンドル3の回動に応じて、左右方向に移動する。
【0056】
温度調整機構16では、温度調整ハンドル3の回動位置に合わせて、ライナ33が左右方向に移動し、バイアスばね32の左方端の位置が変更される。そのため、温度調整機構16は、温度調整ハンドル3の回動位置に合わせて、バイアスばね32の付勢力と、感温ばね31の付勢力とが釣り合う弁体30の位置を変更することができる。従って、温度調整機構16は、混合水を吐水する場合に、混合水の温度を、温度調整ハンドル3の回動位置に応じた設定温度とすることができる。
【0057】
また、混合水を吐水する場合に、例えば、湯の温度が変わり混合水の温度が変化すると、混合水の温度に応じて感温ばね31が伸縮し、弁体30が左右方向に移動し、弁体30の釣り合い位置が自動的に変更される。これにより、吐水流路23に流入する湯量、および水量が調整され、混合水の温度が自動的に調整される。
【0058】
流量調整機構17は、回動軸40と、切替弁41とを備える。回動軸40は、支持ケース42に回動可能に支持される。回動軸40の一方の端は、流量調整ハンドル4に接続され、もう一方の端は、切替弁41に接続される。
【0059】
切替弁41は、吐水流路23に設けられる。切替弁41は、有底の円筒状であり、流量調整ハンドル4の回動に合わせて回動軸40とともに回動する。切替弁41には、連通口41aが形成される。切替弁41は、内部ケース15に形成された第1吐水口15h、および第2吐水口15gと向かい合うように設けられる。切替弁41は、流量調整ハンドル4の回動に合わせて回動することで、連通口41aと、第1吐水口15h、および第2吐水口15gとの連通状態を切り替える。
【0060】
具体的には、流量調整ハンドル4が所定の止水位置にある場合には、連通口41aは、第1吐水口15h、および第2吐水口15gとは連通しない。そのため、流量調整ハンドル4が所定の止水位置にある場合には、水、または混合水は、吐水管6、およびハンドシャワーから吐水されない。
【0061】
流量調整ハンドル4が、止水位置から後方に向けて回動した場合には、例えば、連通口41aが第2吐水口15gと連通する。これにより、水、または混合水は、第2吐水口15gからシャワーホース7に流入し、ハンドシャワーから吐水される。
【0062】
また、流量調整ハンドル4が、止水位置から前方に向けて回動した場合には、例えば、連通口41aが第1吐水口15hと連通する。これにより、水、または混合水は、第1吐水口15hから吐水管6に流入し、吐水管6から吐水される。
【0063】
切替弁41は、流量調整ハンドル4の回動位置に応じて連通口41aと、第1吐水口15h、または第2吐水口15gとが連通する面積を変更することができる。すなわち、流量調整機構17は、流量調整ハンドル4の回動位置に合わせて吐水管6、またはハンドシャワーから吐水される水、または混合水の流量を調整することができる。
【0064】
次に、第3接続部材50について図6を参照し説明する。図6は、図3のVI-VI断面図である。第3接続部材50は、水栓本体2に形成された第1挿入孔2eに挿入される。第3接続部材50は、内部流路ユニット5と吐水管6とを接続し、第1吐水口15hから水、または混合水を吐水管6に流入させる。
【0065】
第3接続部材50は、金属部材で構成される。第3接続部材50は、本体部51と、取付部52とを備える。第3接続部材50は、接続部材を構成する。
【0066】
本体部51は、円筒状である。本体部51の上端側は、水栓本体2に形成された第1挿入孔2eに挿入される。本体部51の上端には、面取り部51aが形成される。面取り部51aが形成されることで、本体部51の上端を第1挿入孔2eに容易に挿入することができる。また、面取り部51aが形成されることで、例えば、吐水管6の外力が加わった場合に、第3接続部材50の本体部51の上端が内部流路ユニット5の内部ケース15と当接することを抑制し、内部流路ユニット5の損傷を抑制することができる。
【0067】
本体部51の上端側の内周壁51bと、内周壁51bと向かい合う内部流路ユニット5の内部ケース15の外周壁15iとの間には、シール部材61が設けられる。
【0068】
シール部材61は、内部流路ユニット5に対して第3接続部材50が上下方向に移動した場合、例えば、第3接続部材50と内部流路ユニット5との接続状態が緩んだ場合でも、水や、混合水が漏れることを防止する軸シールである。すなわち、第3接続部材50は、シール部材61によって内部流路ユニット5に水密に接続されている。
【0069】
本体部51には、吐水管6の挿入部6aが挿入される。本体部51は、下端側がナット62によって締め付けられることで、挿入部6aと接続される。
【0070】
取付部52は、本体部51の内周壁51bから本体部51の径方向内側に向けて突出する。取付部52は、ネジ63が内部流路ユニット5に取り付けられることで、ネジ63の頭部63aと内部流路ユニット5とによって挟持される。これにより、第3接続部材50は、内部流路ユニット5に取り付けられる。
【0071】
上記構成の第3接続部材50では、図7に示すように、水栓本体2の第1挿入孔2eを形成する挿入壁2fと、本体部51との間に所定隙間(隙間)dが形成される。図7は、図6の第3接続部材50の上端側を拡大した模式図である。所定隙間dは、吐水管6に外力が加わった場合に内部流路ユニット5の移動を規制可能な他の部材間に形成される隙間よりも小さい。他の部材は、挿入方向に対して交差する方向から内部流路ユニット5に挿入される挿入部材であり、例えば、第1接続部材18や、第2接続部材19である。すなわち、所定隙間dは、挿入部材と水栓本体2との間に形成される隙間よりも小さい。所定隙間dは、例えば、図8に示す第2接続部材19と継ぎ手11との間に形成される隙間や、第2接続部材19と水栓本体2との間に形成される隙間よりも小さい。図8は、図3のVIII-VIII断面図である。
【0072】
吐水装置1では、水栓本体2と内部流路ユニット5の間に水流通流路22が形成されておらず、水栓本体2と内部流路ユニット5との間には、シール部材などが設けられていない。そのため、吐水装置1では、水栓本体2に対して内部流路ユニット5が、固定されておらず、例えば、左右方向や、水栓本体2の周方向に移動可能である。
【0073】
そのため、吐水管6に外力が加わった場合に、第3接続部材50を介して吐水管6が接続される内部流路ユニット5が移動することがある。
【0074】
このような場合に、他の部材同士が当接するよりも早く第3接続部材50と水栓本体2とが当接するように所定隙間dが設けられる。これにより、吐水装置1は、吐水管6に外力が加わった場合に、外力を水栓本体2で受け、内部流路ユニット5に外力を伝達しない。
【0075】
吐水装置1は、吐水管6に外力が加わった場合に、第3接続部材50が水栓本体2に当接する。これにより、吐水装置1は、吐水管6に外力が加わった場合に、内部流路ユニット5に外力を伝達せず、内部流路ユニット5が損傷することを抑制することができる。
【0076】
吐水装置1は、第3接続部材50と水栓本体2との間に形成される所定隙間dを、挿入方向に対して交差する方向から内部流路ユニット5に挿入される挿入部材(例えば、第2接続部材19)と水栓本体2との間に形成される隙間よりも小さくする。
【0077】
これにより、吐水装置1は、吐水管6に外力が加わった場合に、第3接続部材50の移動を水栓本体2で規制し、外力を水栓本体2で受けることができる。そのため、吐水装置1は、内部流路ユニット5に外力を伝達せず、内部流路ユニット5が損傷することを抑制することができる。
【0078】
吐水装置1は、第3接続部材50の本体部51の内周壁51bと、内部流路ユニット5の外周壁15iとの間にシール部材61を備える。これにより、吐水装置1は、内部流路ユニット5に対する第3接続部材50の接続状態が緩んだ場合でも、シール性を保持し、水や、混合水が漏れることを抑制することができる。
【0079】
吐水装置1は、給水管9から水を流入する水流通流路22を内部流路ユニット5に備え、内部流路ユニット5内部で流路が完結し、内部流路ユニット5と水栓本体2との間にシールが介在しない。そのため、吐水装置1は、内部流路ユニット5を水栓本体2に容易に挿入することができ、作業性を向上させることができる。また、吐水装置1は、内部流路ユニット5を水栓本体2に挿入する際に、水栓本体2に対する内部流路ユニット5の周方向の位置がずれた場合でも、水栓本体2に対する内部流路ユニット5の位置合わせを容易に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0080】
吐水装置1は、第3接続部材50の本体部51の上端に面取り部51aを備える。これにより、吐水装置1は、第3接続部材50を水栓本体2に容易に挿入することができる。また、吐水装置1は、第3接続部材50が内部流路ユニット5に接触することを抑制することができ、内部流路ユニット5が損傷することを抑制することができる。
【0081】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 吐水装置(湯水混合水栓)
2 水栓本体(外郭部材)
2a 内周壁
5 内部流路ユニット
6 吐水管
18 第1接続部材(挿入部材)
19 第2接続部材(挿入部材)
20 内部流路
22 水流通流路
50 第3接続部材(接続部材)
51 本体部
51a 面取り部
51b 内周壁
52 取付部
61 シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8