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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20221115BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20221115BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221115BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B60L3/00 N
B60L15/20 J
B60R16/02 640K
B60K35/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018160223
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2019075975
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2017199506
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 英理
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/178331(WO,A1)
【文献】特開2017-177874(JP,A)
【文献】特開2013-158082(JP,A)
【文献】国際公開第2012/124045(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 15/20
B60R 16/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を備える電動車両に用いられる表示装置であって、
前記電動機のトルクを示す第1領域と、
当該第1領域に隣接して設けられて前記電動機に含まれるコイルのコイル温度を示す第2領域と、
前記トルクが抑制される領域を示す第3領域と、を備え、
前記表示装置は、前記第3領域の領域を走行モードに応じて変更可能な領域制御部を備え、
前記電動車両は、走行モードとして、ドライバの運転操作の自由度を高めるスポーツモードと、前記電動車両の駆動源である電池の消費電力を抑制するエコモードとを有し、
前記領域制御部は、前記スポーツモードの設定時は前記第3領域を狭くし、前記エコモードの設定時は前記第3領域を広くする、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第3領域は、前記第2領域内に含まれる、
ことを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、表示面が円形状で構成され、前記表示面がドライバに対向するように前記電動車両に配設されており、
前記第1領域と、前記第2領域とは、前記円形状の中心と頂点位置とを結ぶ直線で区画されている、
ことを特徴とする請求1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
電動機を備える電動車両に用いられ、表示面が円形状で構成され、前記表示面がドライバに対向するように電動車両に配設される表示装置であって、
前記電動機のトルクを示す第1領域と、
当該第1領域に隣接して設けられて前記電動機に含まれるコイルのコイル温度を示す第2領域と、
前記トルクが抑制される領域を示す第3領域と、を備え、
前記第3領域は、前記第2領域のうち前記コイル温度の最大値を有する側の領域に含まれ、かつ前記第1領域のうち前記トルクの最大値を有する側の領域に対し前記円形状の中心を通る直線を境界として隣接する、
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の状態を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の分野において、固定子の飽和温度に関する情報であって、少なくとも回転電機の回転数およびトルクをパラメータとした情報を記憶し、検出された回転数およびトルクならびに記憶された飽和温度に関する情報に基づいて、固定子温度を推定する技術が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-245412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、エンジンを搭載する車両には、車両の状態を表示する表示装置が設けられている。例えば、水温計により検出するエンジンの冷却水の温度を表示する表示装置が設けられている。この表示装置に表示される水温計の温度によりエンジンの加熱状態をドライバが視認することができ、ドライバは車両の状態を把握することが可能になる。
【0005】
ところで、電動機を駆動源とする電動車両の特徴の一つは、最大トルクで始動することが可能なことにある。しかしながら、従来の電動車両ではトルクの状態を表示する表示装置が設けられておらず、ドライバは電動車両の状態を視認することができなかった。これでは、例えば、電動車両の始動時にエンジンを搭載する車両では得られない加速感があってもドライバはその状態を数字として視認することができなかった。さらに、電動車両はモータ内のコイルのショートや磁石の磁力低下を防止するためにコイル温度が上昇したときにトルクの上昇を抑制するトルク抑制処理が実行されているものがある。この種の電動車両においては、ドライバはトルクの状態だけでなくコイルの温度もわからないため、トルクが抑制されている場合はアクセルペダルを踏み込んでも電動車両の加速感が悪くなり、ドライバが違和感を生じる場合があった。ここで、特許文献1に記載の技術は、固定子温度を推定する技術であり、固定子温度をドライバに対して表示するものではない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ドライバに電動車両の状態を認識させることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示装置は、電動機を備える電動車両に用いられる表示装置であって、前記電動機のトルクを示す第1領域と、当該第1領域に隣接して設けられて前記電動機に含まれるコイルのコイル温度を示す第2領域と、を備える。このように構成された表示装置は、トルクとコイル温度とを同時にドライバが視認できるため、コイル温度を認識しつつトルク抑制を予め予測することができ、仮に、電動車両に突如トルク抑制がかかり加速感が悪くなっても違和感を生じずに済む。
本発明の表示装置は、電動機を備える電動車両に用いられ、表示面が円形状で構成され、前記表示面がドライバに対向するように電動車両に配設される表示装置であって、前記電動機のトルクを示す第1領域と、当該第1領域に隣接して設けられて前記電動機に含まれるコイルのコイル温度を示す第2領域と、前記トルクが抑制される領域を示す第3領域と、を備え、前記第3領域は、前記第2領域のうち前記コイル温度の最大値を有する側の領域に含まれ、かつ前記第1領域のうち前記トルクの最大値を有する側の領域に対し前記円形状の中心を通る直線を境界として隣接する。このように構成された表示装置は、トルク制限のかかる状態をドライバが一義的ないし瞬時に目視可能すなわち第1~3領域が見やすくなる。
【0008】
なお、上記「第1領域に隣接して設けられて」という構成は、第1領域と第2領域とが隙間無く隣り合っている場合に限らず、双方の間に別の表示形態が介在している場合も含む。すなわち、本発明においては、第1領域と第2領域とはユーザーが視覚的に隣り合っていると認識できればよい。
【0009】
また、表示装置は、前記トルクが抑制される領域を示す第3領域を備えるようにしてもよい。これにより、トルク抑制がかかることを予めドライバに視認させることができる。さらに、前記第3領域は、前記第2領域内に含まれるようにしてもよい。これにより、ドライバに視認させる箇所を別途設けずに済み、ドライバは第2領域と第3領域とを同時に把握することができる。
【0010】
さらに、前記表示装置は、前記第3領域の領域を走行モードに応じて変更可能な領域制御部を備えてもよい。これにより、走行モードに応じて第3領域を変更することが可能になる。例えば、電動車両が走行モードとして、ドライバの運転操作の自由度を高めるスポーツモードと、前記電動車両の駆動源となる電池の消費電力を抑制するエコモードとを有する場合、前記スポーツモード設定時は前記第3領域を狭くし、前記エコモード設定時は前記第3領域を広くするようにしてもよい。このように、スポーツモードのときは第3領域を狭くすることでアクセル全開走行できる領域を擬似的に広くし、エコモードのときは第3領域を広くすることでトルク抑制がかからない領域にマージンを持たせることができドライバに違和感を生じさせないようにすることができる。
【0011】
また、前記表示装置は、表示面が円形状で構成され、前記表示面がドライバに対向するように前記電動車両に配設されており、前記第1領域と、前記第2領域とは、前記円形状の中心と頂点位置とを結ぶ直線で区画されているようにしてもよい。これにより、トルクとコイル温度とをドライバが視認しやすくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドライバに電動車両の状態を認識させることができる表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係るモータメータの一例を示す図。
図2】同実施形態に係るモータメータを含む電動車両の構成の一例を示す図。
図3】同実施形態に係るトルクとモータの回転数との関係の一例を示す図。
図4】同実施形態に係るコイル温度と、算出されるトルクとの関係の一例を示す図。
図5】同実施形態に係るトルク抑制処理の一例を示す図。
図6】同実施形態に係るモータメータの作動処理の一例を示すフローチャート。
図7】本発明の第2の実施形態に係るモータメータを含む電動車両の一例を示す図。
図8】同実施形態に係る第3領域変更処理の一例を示すフローチャート。
図9】同実施形態に係るモータメータの一例を示す図。
図10】同実施形態のモータメータの一例を示す図。
図11】各実施形態の変形例に係るモータメータの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、モータメータ(表示装置)10の一例を示す図である。モータメータ10は、表示面が円形状で構成され、その表示面がドライバに対向するように電動車両内に配設される。このため、ドライバは、モータメータ10を容易に視認可能になっている。なお、電動車両は、本実施形態では電気自動車の場合で説明するが、モータ(電動機)を駆動源とする車両であればよく、例えば、ハイブリッド自動車が含まれる。
【0015】
図1に示すように、モータメータ10の表示面には、モータのトルクを示すトルク領域(第1領域)11と、モータに含まれるコイルのコイル温度を示すコイル温度領域(第2領域)12とが設けられている。トルク領域11と、コイル温度領域12とは、円形状の中心Cと頂点位置(12時位置)Tとを結ぶ直線で区画されている。トルク領域11は、トルクの量として、-100から300までが表示されており、0から300までが加速時のトルクを示し、0から-100までが回生時のトルクを示す。コイル温度としては、コイル温度領域12に0℃から140℃が表示されている。
【0016】
コイル温度領域12には、さらに、トルクが抑制される領域を示すトルク抑制領域(第3領域)13が設けられている。トルク抑制領域13は、約120度から最大温度までであり、コイル温度領域12と異なる色で表示される。例えば、トルク抑制領域13が赤色であれば、トルク抑制領域13以外のコイル温度領域12は白色となる。このようにトルク抑制領域13を他のコイル温度領域12と異なる色にすることにより、コイル温度がトルク抑制領域の温度であることをドライバに報知することが可能になる。電動車両においては、モータ内のコイル温度が高くなるとコイルを被覆する被覆材が溶解し、ショートや発火を生じる可能性がある。また、コイルの発熱が固定子内部の磁石温度を上昇させ、磁力低下である減磁を引き起こす可能性もある。このため、コイルの温度が一定温度以上になるとトルクの上昇を抑制してコイル温度のさらなる上昇を防止する必要が生じるのでトルク抑制処理が実行される。この原理については、後述する。なお、本実施形態では、トルク抑制領域13がコイル温度領域12内に設けられている場合で説明するが、これに限らず、トルク抑制領域13をコイル温度領域12の外、例えば、トルク抑制状態であることを示すランプを設けるようにしてもよい。
【0017】
また、円形状の中心Cを支点として、トルク領域11を回動するトルク針(第1針)21、及びコイル温度領域12を回動するコイル温度針(第2針)22が設けられている。トルク針21が示す位置によりトルクを具体的にドライバに報知し、コイル温度針22が示す位置によりコイル温度を具体的にドライバに報知する。
【0018】
図2は、モータメータ10を含む電動車両1の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、電動車両1は、ECU(Electronic Control Unit)31、モータ制御部32、モータ33、コイル温度検出センサ34、アクセルペダル35、アクセルペダル検出センサ36、電池37、及びモータメータ10を備える。なお、電動車両1は、電動車両としての機能を実現するための他の構成も有しているが、これらについては図示及び説明を省略する。
【0019】
ECU31は、マイクロプロセッサ、その周辺回路、及びROM、RAM等のメモリからなり、RAM(図示省略)をワークエリアとしてROM(図示省略)などに格納された制御プログラムを実行して、電動車両1としての各種機能を実現する。
【0020】
モータ制御部32は、ECU31からの指示に基づいて、モータ33を作動させる。モータ33が作動することにより、その動力が車輪(図示省略)に伝わり、電動車両1を走行させる。モータ33は、従来からあるモータと同様の構成であり、例えば、固定子、回転子、コイル(銅線)等を含み構成される。コイル温度検出センサ34は、モータ33内のコイルの温度(以下、コイル温度という。)を検出するサーミスタである。コイル温度検出センサ34は、検出したコイル温度をECU31に出力する。
【0021】
アクセルペダル35は、ドライバが電動車両1を加速させる際に踏み込むペダルである。アクセルペダル検出センサ36は、ドライバが踏み込んだアクセルペダル35の踏量を検出し、その検出した踏量をECU31に送信する。
【0022】
電池37は、電動車両1の駆動源である。電池37は、モータ制御部32とPN線で接続されており、通常の走行時においては、モータ制御部32を介してモータ33に電力を供給する。また、電池37は、回生時においては、モータ33からの回生エネルギーを受け取り、回生エネルギーを蓄電する。
【0023】
モータメータ10は、トルク針制御部41、トルク針21、コイル温度針制御部42、及びコイル温度針22を有している。トルク針制御部41は、ECU31からの指示に基づいて、トルク領域11内でトルク針21を作動させ、トルク針21の位置によりドライバにモータ33のトルクの状態を報知する。また、コイル温度針制御部42は、ECU31からの指示に基づいて、コイル温度領域12内でコイル温度針22を作動させ、コイル温度針22の位置によりドライバにコイル温度の状態を報知する。
【0024】
また、ECU31は、トルク算出部51及びモータメータ制御部52を含んでいる。
トルク算出部51は、アクセルペダル検出センサ36から入力されるアクセルペダル35の踏量に応じて、モータ33に出力させるトルクを算出する。本実施形態では、トルク算出部51は、コイル温度検出センサ34から受信するコイル温度に応じて算出するトルクを抑制する。トルク抑制については、図4図5を参照して後述する。
【0025】
モータメータ制御部52は、トルク算出部51により算出されたトルクに基づいて、トルク針制御部41にトルク針21を作動させる指示を送信し、コイル温度検出センサ34から受信するコイル温度に基づいて、コイル温度針制御部42にコイル温度針22を作動させる指示を送信する。
【0026】
図3は、トルクと、モータの回転数との関係の一例を示す図である。縦軸がトルク(N・m)、横軸が回転数(rpm)である。グラフg1に示すように、トルクが高いときは回転数が低く、トルクが低いほど回転数が高くなっている。トルクと電流値とは比例し、発熱量は電流値の二乗に比例するため、高トルクで運転するほど、モータ33内のコイルが発熱し、コイル温度が上昇する。このため、高トルクで運転を続けると、既述のようにコイルの被覆材等が溶解し、ショート、発火等が生じる可能性があるため、コイル温度が高くなっているときは、トルクを抑制する必要が生じる。したがって、電動車両1においては、コイル温度が高いときはトルクを抑制する処理を行うようになっている。
【0027】
図4は、コイル温度と、算出されるトルクとの関係の一例を示す図である。縦軸がトルク、横軸がコイル温度である。グラフg2に示すように、コイル温度T1まではトルクが100%(つまり、抑制されない値)になっているが、コイル温度がコイル温度T1を超えるとトルクの抑制が開始され、コイル温度T2から抑制率が一定になる。このようにトルクが抑制されるため、アクセルペダル35の踏量が同じでもトルク抑止時は電動車両1の加速が悪くなる。
【0028】
図5は、トルク抑制処理の一例を示す図である。縦軸が最大トルク、横軸がアクセルペダル35の踏量である。グラフg3,g4に示すように、抑制前の最大トルク(g3)より抑制後の最大トルク(g4)の方が、最大トルクが低くなるように抑制される。なお、トルク抑制の処理は、これに限るものではない。
【0029】
次に、モータメータ10の制御について説明する。図6は、トルク算出部51及びモータメータ制御部52により実行されるモータメータ10の制御の一例を示すフローチャートである。この処理は、電動車両1の走行中は常時実行される。
【0030】
図6に示すように、モータメータ制御部52は、コイル温度を取得する(ST101)。つまり、モータメータ制御部52は、コイル温度検出センサ34からモータ33内のコイルのコイル温度を取得する。次に、モータメータ制御部52は、取得したコイル温度に基づいて、コイル温度針22を制御する(ST102)。具体的には、モータメータ制御部52は、取得したコイル温度をコイル温度針22が指すようにコイル温度針制御部42に指示を送信する。これにより、コイル温度が上昇すればコイル温度針22が頂点位置T(温度が高い)側に移動され、コイル温度が低下すればコイル温度針22が頂点位置Tから反対(温度が低い)側に移動される。このため、ドライバは電動車両1の走行中のコイル温度をコイル温度領域12内のコイル温度針22の位置により、常に把握することができる。
【0031】
次に、トルク算出部51は、取得したコイル温度が抑制温度以上か否かを判定する(ST103)。ここで、抑制温度は、モータ33内のコイルを被覆する被覆材が溶解し、コイルがショート、発火する可能性がある温度もしくは、磁力低下が起こる磁石温度である。例えば、既述の図1の場合は約120℃であり、既述の図4の場合はコイル温度T1である。抑制温度は、コイルを被覆する被覆材や磁石の材料等に応じて任意に設定可能である。
【0032】
次に、抑制温度以上であると判定した場合(ST103:YES)、トルク算出部51は、第1トルク算出処理を実行する(ST104)。第1トルク算出処理は、既述したトルク抑制処理であり、アクセルペダル35の踏量に応じて最大トルクを算出した後、コイル温度に応じたゲインがかかり、最大トルクを抑制する処理である(参照:図4図5)。また、抑制温度以上でないと判定した場合(ST103:NO)、トルク算出部51は、第2トルク算出処理を実行する(ST105)。第2トルク算出処理は、踏量に応じてトルクを算出する処理である。
【0033】
第1トルク算出処理(ST104)、又は第2トルク算出処理(ST105)が終了すると、モータメータ制御部52は、トルク算出部51が算出したトルクに基づいて、トルク針21を制御する(ST106)。具体的には、モータメータ制御部52は、算出されたトルクをトルク針21が指すようにトルク針制御部41に指示を送信する。これにより、トルクが上昇すればトルク針21が頂点位置T(トルクが大きい)側に移動され、トルクが低下すればトルク針21が頂点位置Tから反対(温度が低い)側に移動される。このため、ドライバは電動車両1の走行中のトルクをトルク領域11内のトルク針21の位置により、常に把握することができる。そして処理は、リターンとなる。
【0034】
以上のように構成されたモータメータ10によると、電動車両1のトルクとコイル温度を同時にドライバが視認できるため、コイル温度を認識しつつトルク抑制を予め予測することができ、仮に、電動車両1に突如トルク抑制がかかり加速感が悪くなっても違和感を生じずに済む。
【0035】
また、モータメータ10は、トルクが抑制される領域を示すトルク抑制領域13を有しているため、トルク抑制がかかることを予めドライバに視認させることができる。さらに、トルク抑制領域13は、コイル温度領域12に含まれため、ドライバに視認させる箇所を別途設けずに済み、ドライバはコイル温度領域12とトルク抑制領域13とを同時に把握することができる。
【0036】
また、モータメータ10は、表示面が円形状で構成され、その表示面がドライバに対向するように電動車両1に配設されており、トルク領域11と、コイル温度領域12とは、円形状の中心と頂点位置とを結ぶ直線で区画されているため、トルクとコイル温度とをドライバが視認しやすくなる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態は、電動車両の走行モードによってトルク抑制領域13の表示領域が変化するようになっている点が第1実施形態と異なっているため、以下では、この点について詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、これらについては詳細な説明を省略する。
【0038】
図7は、モータメータ10aを含む電動車両1の構成の一例を示す図である。図2を参照して説明した構成に加えて、トルク領域制御部61、トルク領域11a、コイル温度領域制御部62、及びコイル温度領域12aが設けられている。また、コイル温度領域12a内には、トルク抑制領域13aが設けられている。なお、本実施形態ではトルク抑制領域13aは、コイル温度領域12a内に設けられる場合で説明するが、コイル温度領域12aとは別に設けるようにしてもよいのは第1実施形態と同様である。
【0039】
トルク領域11a、コイル温度領域12a、及びトルク抑制領域13aは、例えば、液晶ディスプレイで構成されており、モータメータ制御部52の指示に基づいて、表示色を変更できるようになっている。トルク領域11aはトルクを示す領域であり、コイル温度領域12aはコイル温度を示す領域であり、トルク抑制領域13aはトルク抑制領域を示す領域であるのは、第1の実施形態と同様である。なお、トルク領域11a、コイル温度領域12a、及びトルク抑制領域13aは、液晶ディスプレイに限らず、他のディスプレイ、例えば有機ELディスプレイで構成されてもよい。
【0040】
トルク領域制御部61は、トルク領域11aの表示を制御する。また、コイル温度領域制御部62は、コイル温度領域12aとトルク抑制領域13aの表示を制御する。コイル温度領域制御部62は、さらに、モータメータ制御部52の指示に基づいて、コイル温度領域12a内のトルク抑制領域13aを変更(広く、又は狭く)することができるようになっている。
【0041】
走行モードは、ドライバによりモードスイッチで設定されるようになっており、本第2の実施形態では、スポーツモードスイッチ63と、エコモードスイッチ64とが設けられている。スポーツモードスイッチ63は、電動車両1をスポーツモードで走行させるスイッチである。スポーツモードは、ドライバの運転操作の自由度を高め、電動車両1をスポーツカーのように操作することを可能にするため、制限されている各設定値を緩和するモードである。また、エコモードスイッチ64は、電動車両1の走行時に電池37の消費電力を抑制するモードである。なお、スポーツモードスイッチ63、及びエコモードスイッチ64以外の走行モードを設定するスイッチを設けてもよい。
【0042】
次に、トルク抑制領域13aを変更する処理について説明する。図8は、モータメータ制御部52が実行するトルク抑制領域変更処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
モータメータ制御部52は、モードスイッチが入力されたか否かを判定する(ST201)。モードスイッチが入力されたと判定した場合(ST201:YES)、モータメータ制御部52は、モードスイッチの入力がスポーツモードの入力か、つまり、スポーツモードスイッチ63が入力されたか否かを判定する(ST202)。スポーツモードであると判定した場合(ST202:YES)、モータメータ制御部52は、トルク抑制領域13aの縮小処理を実行する(ST203)。トルク抑制領域13aの縮小処理は、モータメータ制御部52がコイル温度領域制御部62に指示を送信し、トルク抑制領域13aの表示領域を頂点位置T側に縮小させる処理である。例えば、図9のモータメータ10aに示すように、トルク抑制領域131は、走行モードが設定されていない場合と比較して頂点位置T側に縮小して表示される。つまり、トルク抑制領域13aよりトルク領域131が狭くなり、トルク抑制領域131はスポーツモードが設定される前より高い温度から最大温度までになる。そして、この処理は終了する。
【0044】
また、スポーツモードの入力でないと判定した場合(ST202:NO)、モータメータ制御部52は、モードスイッチの入力がエコモードの入力か、つまり、エコモードスイッチ64が入力されたか否かを判定する(ST204)。エコモードであると判定した場合(ST204:YES)、モータメータ制御部52は、トルク抑制領域13aの拡大処理を実行する(ST205)。トルク抑制領域13aの拡大処理は、モータメータ制御部52がコイル温度領域制御部62に指示を送信し、トルク抑制領域13aの表示領域を頂点位置Tと反対側に拡大させる処理である。例えば、図10のモータメータ10aに示すように、トルク抑制領域132は、走行モードが設定されていない場合と比較して頂点位置Tと反対側に拡大して表示される。つまり、トルク抑制領域13aよりトルク抑制領域132が広くなり、トルク抑制領域132はエコモードが設定される前より低い温度から最大温度までになる。そして、この処理は終了する。
【0045】
一方、ステップST201において、モードスイッチが入力されたと判定しなかった場合(ST201:NO)、又は、ステップST204において、エコモードでないと判定した場合(ST204:NO)、この処理は終了する。
【0046】
以上のように構成されたモータメータ10aによると、コイル温度領域制御部62を備えているため、ドライバにより設定される走行モードに応じてトルク抑制領域13aを変更することが可能になる。
【0047】
具体的には、スポーツモード設定時はコイル温度領域12a内のトルク抑制領域13aを頂点位置T側に狭くしたトルク抑制領域131とし(参照:図9)、エコモード設定時はコイル温度領域12a内のトルク抑制領域13aを頂点位置Tと反対側に広くしたトルク領域132(参照:図10)とすることができる。このように、スポーツモードのときはトルク抑制領域13aを狭くすることでアクセル全開走行できる領域を擬似的に広くし、エコモードのときはトルク抑制領域13aを広くすることでトルク抑制がかからない領域にマージンを持たせることができドライバに違和感を生じさせないようにすることができる。
【0048】
なお、上記各実施形態においては、算出されるトルクに応じてトルク針制御部41がトルク針21を作動させ、取得するコイル温度に応じてコイル温度針制御部42がコイル温度針22を作動させることにより、トルク及びコイル温度をドライバに報知する場合で説明したが、トルク及びコイル温度を報知する構成は、これに限るものではない。例えば、トルク領域11、コイル温度領域12にそれぞれゲージのような複数の表示部設け、この複数の表示部のそれぞれをトルク及びコイル温度に応じて点灯/消灯制御することにより、ドライバにトルク及びコイル温度を報知するようにしてもよい。
【0049】
また、上記各実施形態では、モータメータ10,10aにおいて、トルク領域11、及びコイル温度領域12がそれぞれ具体的な数字を示す場合で説明しているが、これに限るものはない。例えば、図11のモータメータ10bに示すように、トルク領域11のみ数字を用いて、コイル温度領域12についてはLimit,High,Lowのように程度を表示するようにしてもよい。
【0050】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…電動車両、10,10a,10b…モータメータ、11,11a…トルク領域、12,12a…コイル温度領域、13,13a,131,132…トルク抑制領域、21…トルク針、22…コイル温度針、31…ECU、34…コイル温度検出センサ、36…アクセルペダル検出センサ、41…トルク針制御部、42…コイル温度針制御部、51…トルク算出部、52…モータメータ制御部、61…トルク領域制御部、62…コイル温度領域制御部、63…スポーツモードスイッチ、64…エコモードスイッチ、C…中心、T…頂点位置
図1
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図9
図10
図11