(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像読取方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20221115BHJP
H04N 1/203 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/203
(21)【出願番号】P 2018192348
(22)【出願日】2018-10-11
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】清水 智一
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-155550(JP,A)
【文献】特開2011-244169(JP,A)
【文献】特開平09-083751(JP,A)
【文献】特開平04-339459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の両面を同時読取可能な画像読取装置であって、
前記原稿の第1面をライン単位で読み取る第1読取部と、
前記原稿の前記第1面の逆の面である第2面をライン単位で読み取る第2読取部と、
前記第1読取部を制御する第1制御部と、
前記第1制御部からの指示に従って前記第2読取部を制御する第2制御部と、を備え、
前記第1制御部は、前記原稿の読取を停止すると判断した場合、前記第1読取部による
読取を停止する前の最後の1ラインを前記第1読取部に読み取らせた上で前記第1読取部
による読取を停止させ、かつ、前記第1読取部による前記最後の1ラインの読取のタイミ
ングよりも、前記第1制御部と前記第2制御部との間の通信に生じる遅延に対応する時間
差分早く、読取停止の指示を前記第2制御部へ送信し、
前記第2制御部は、前記読取停止の指示を受けたことに応じて、
前記第1面の前記最後
の1ラインの読取色と同じとなる前記第2面の1ラインを
、前記第2読取部に読み取らせ
た上で前記第2読取部による読取を停止させる、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記第1読取部に、赤、緑、青のうちの第1の色のライン単位の画
像データである第1ラインデータと、赤、緑、青のうちの第2の色のライン単位の画像デ
ータである第2ラインデータと、赤、緑、青のうちの第3の色のライン単位の画像データ
である第3ラインデータとを、前記第1面から前記第1ラインデータ、前記第2ラインデ
ータ、前記第3ラインデータの順で繰り返し読み取らせることにより、前記第1ラインデ
ータ、前記第2ラインデータおよび前記第3ラインデータからなる1セットの画像データ
を繰り返し取得し、
前記第2制御部は、前記第2読取部に、前記第1ラインデータと、前記第2ラインデー
タと、前記第3ラインデータとを、前記第2面から前記第1ラインデータ、前記第2ライ
ンデータ、前記第3ラインデータの順で繰り返し読み取らせることにより、前記第1ライ
ンデータ、前記第2ラインデータおよび前記第3ラインデータからなる1セットの画像デ
ータを繰り返し取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記原稿の読取を停止すると判断したタイミングが、前記第1読取
部による前記第1ラインデータまたは前記第2ラインデータの読取のタイミングである場
合、前記原稿の読取を停止すると判断したタイミングに前記第1読取部による読取のタイ
ミングが対応する前記第1ラインデータまたは前記第2ラインデータと共通
のセットを構
成する前記第3ラインデータを、前記第1読取部による読取を停止する前の最後の1ライ
ンとして前記第1読取部に読み取らせる、ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装
置。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記原稿の読取を停止すると判断したタイミングが、前記第1読取
部による前記第3ラインデータの読取のタイミングである場合、前記原稿の読取を停止す
ると判断したタイミングに前記第1読取部による読取のタイミングが対応する前記第3ラ
インデータを含
むセットの次
のセットを構成する前記第3ラインデータを、前記第1読取
部による読取を停止する前の最後の1ラインとして前記第1読取部に読み取らせる、こと
を特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1読取部が読み取ったデータを記憶する第1記憶部と、
前記第2読取部が読み取ったデータを記憶する第2記憶部と、
前記原稿を搬送する搬送部と、を備え、
前記第1制御部は、前記第1記憶部および前記第2記憶部の少なくとも一方が、空き容
量が所定量以下であるニアフル状態に該当する場合に、前記搬送部による前記原稿の搬送
を停止させ、前記原稿の搬送が停止したことをもって、前記原稿の読取を停止すると判断
する、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
原稿の両面を同時読取可能な画像読取方法であって、
第1読取部による前記原稿の第1面に対するライン単位の読取と、第2読取部による前
記原稿の前記第1面の逆の面である第2面に対するライン単位の読取とを、並行実施させ
る読取制御工程と、
前記原稿の読取を停止する場合に、前記第1読取部による読取を停止する前の最後の1
ラインを前記第1読取部に読み取らせた上で前記第1読取部による読取を停止させ、かつ
、前記第1読取部による前記最後の1ラインの読取のタイミングよりも、前記第1読取部
を制御する第1制御部と前記第2読取部を制御する第2制御部との間の通信に生じる遅延
に対応する時間差分早く、読取停止の指示を前記第1制御部から前記第2制御部へ送信す
る第1停止制御工程と、
前記第2制御部が、前記読取停止の指示を受けたことに応じて
、前記第1面の前記最後
の1ラインの読取色と同じとなる前記第2面の1ラインを
前記第2読取部に読み取らせた
上で前記第2読取部による読取を停止させる第2停止制御工程と、を備えることを特徴と
する画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
読み取った画像データをパーソナルコンピュター等のホストに転送するために一時的に格納するバッファが、フルに近づいたとき、給紙モーターを停止させて読取を停止する画像読取装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読取装置においては、原稿の両面を同時に読み取り可能な構成が採用されることがある。両面同時読取のための構成には、原稿の一方の面を読み取るためのセンサー、原稿の他方の面を読み取るためのセンサー、各センサーを夫々制御するための2つの制御部、が含まれる。これら2つの制御部は、それぞれにCPU等を含んでいる。原稿の読取を停止するために、一方の制御部から他方の制御部に対して読取停止の指示を送信する場合、制御部間の通信に起因して、一方のセンサーによる読取の停止と、他方のセンサーによる読取の停止とのタイミングがずれてしまう。このようなずれは、原稿両面の読取結果における画質に影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
原稿の両面を同時読取可能な画像読取装置であって、前記原稿の第1面をライン単位で読み取る第1読取部と、前記原稿の前記第1面の逆の面である第2面をライン単位で読み取る第2読取部と、前記第1読取部を制御する第1制御部と、前記第1制御部からの指示に従って前記第2読取部を制御する第2制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記原稿の読取を停止すると判断した場合、前記第1読取部による読取を停止する前の最後の1ラインを前記第1読取部に読み取らせた上で前記第1読取部による読取を停止させ、かつ、前記第1読取部による前記最後の1ラインの読取のタイミングよりも、前記第1制御部と前記第2制御部との間の通信に生じる遅延に対応する時間差分早く、読取停止の指示を前記第2制御部へ送信し、前記第2制御部は、前記読取停止の指示を受けたことに応じて、前記第2読取部に1ラインを読み取らせた上で前記第2読取部による読取を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】画像読取装置の構成を簡易的に示すブロック図。
【
図3】読取停止制御処理の具体例1を説明するためのタイミングチャート。
【
図4】読取停止制御処理の具体例2を説明するためのタイミングチャート。
【
図5】読取停止制御処理の具体例3を説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。
【0008】
1.画像読取装置の概略構成:
図1は、本実施形態にかかる画像読取装置100の構成を簡易的に示している。画像読取装置100は、原稿の両面を同時読取可能なスキャナーである。原稿の両面を同時に読み取るとは、原稿の一方の面を読み取る期間と原稿の他方の面を読み取る期間とが一致している場合だけでなく、原稿の一方の面を読み取る期間と原稿の他方の面を読み取る期間との一部が重なる場合を含む意味である。原稿の一方の面を第1面と呼び、原稿の他方の面を第2面と呼ぶ。
【0009】
画像読取装置100は、不図示の原稿を搬送する搬送部30と、原稿の第1面を読み取るための第1読取部32と、原稿の第1面を照射する第1光源33と、搬送部30と第1読取部32と第1光源33とを制御する第1制御部10と、を備える。また、画像読取装置100は、原稿の第2面を読み取るための第2読取部60と、原稿の第2面を照射する第2光源61と、第2読取部60と第2光源61とを制御する第2制御部40と、を備える。
【0010】
原稿の第1面の読取は、第1制御部10による制御下で行われ、原稿の第2面の読取は、第2制御部40による制御下で行われる。ただし、第1制御部10と第2制御部40とは対等な関係ではなく、第2制御部40は、第1制御部10からの指示に従って第2読取部60等を制御する。従って、第1制御部10をマスター制御部、第2制御部40をスレーブ制御部、と呼ぶことが出来る。画像読取装置100は、スキャナーとしての機能に加え、プリンター等の複数機能を兼ね備えた複合機であってもよい。
【0011】
搬送部30は、原稿を搬送の上流から下流に向かって搬送するための機構であり、例えば、原稿を搬送するためのローラーや、ローラーを回転させるためのDCモーター31等を含んでいる。搬送部30によって搬送される原稿は、第1読取部32および第2読取部60によって読み取られる。従って、画像読取装置100は、シートフィードスキャナーに該当する。搬送部30を、ADF(Auto Document Feeder)と呼んでもよい。DCモーター31には、ローラーの回転量、すなわち原稿の搬送量に応じてパルスを出力するエンコーダーが備えられている。
【0012】
第1光源33は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。第1光源33は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の光を、第1の色、第2の色、第3の色という所定の順序で発生させる。第1光源33は、例えば、RGBの順序で発光する。従って本実施形態では、RGBのうちRが第1の色、Gが第2の色、Bが第3の色、に該当する。具体的には、第1光源33は、光源として赤色LED、緑色LED、青色LEDを有し、これら赤色LED、緑色LED、青色LEDを前記順序で繰り返し点灯させる。
【0013】
第1読取部32は、モノクロイメージセンサーであり、第1光源33が照射する原稿の第1面からの反射光を受光し、受光量に応じた電荷を蓄積し、画像データとして、第1制御部10に送る。第1読取部32は、主走査方向に並んだ複数のセンサーチップからなる。主走査方向とは、搬送部30による原稿の搬送方向に対して交差する方向である。ここで言う交差とは、直交を意味するが、厳密な直交だけでなく、実際の部品取り付け精度等に起因して生じる程度の誤差を含む意味であってもよい。つまり、第1読取部32は、主走査方向における原稿の幅をカバー可能な長さを有するラインセンサーである。
【0014】
第1読取部32を構成する各センサーチップは、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーと同様の構成を備えている。すなわち、各センサーチップは、光電変換素子と、シフトゲートと、シフトレジスターと、を備える。そして、光電変換素子に蓄積された電荷を、シフトゲートを開通させてシフトレジスターへ転送し、シフトレジスターにより電荷を順次移動させながら出力する。
【0015】
シフトゲートの開通(電荷の転送)は、後述する第1制御ASIC(Application Specific Integrated Circuit)11からの制御信号であるシフトパルスの印加に応答して行われる。光電変換素子は、常時、光の受光量に応じて電荷を蓄積しているため、電荷のシフトレジスターへの転送タイミングが、次の発光色の光についての電荷を蓄積する開始タイミングとなる。シフトレジスターに転送された電荷は、シフトレジスターの末端の出力部より、アナログデータに変換されて、第1制御部10の第1AFE(Analog Front End)20に送られる。
【0016】
本実施形態では、ラインセンサーを構成する各センサーチップが1度で読み取ったライン単位の画像データを、便宜上、ラインデータと呼ぶ。また、第1の色のラインデータを第1ラインデータ、第2の色のラインデータを第2ラインデータ、第3の色のラインデータを第3ラインデータ、と呼ぶ。上述のように、Rが第1の色、Gが第2の色、Bが第3の色であれば、赤色LEDを点灯させて各センサーチップの光電変換素子に蓄積されシフトレジスターに転送された電荷が、第1ラインデータに該当する。同様に、緑色LEDを点灯させて各センサーチップの光電変換素子に蓄積されシフトレジスターに転送された電荷が第2ラインデータに該当する。青色LEDを点灯させて各センサーチップの光電変換素子に蓄積されシフトレジスターに転送された電荷が第3ラインデータに該当する。
【0017】
第1制御部10は、例えば、主たる制御を行うCPUや、プログラム等が記憶されたROMや、メインメモリーとしてデータ等を一時的に格納するRAMや、各種処理を専用に行うように設計されたASICや、その他の電子回路部品を含んで構成されている。第1制御部10は、SoC(System on a Chip)化されたコントローラーであってもよい。
【0018】
第1制御部10は、第1制御ASIC11、第1AFE20、第1画像処理部21、第1記憶部22、出力部23を有する。また、第1制御ASIC11は、PID割り込み部12、モーター制御部13、第1読取制御部14、第1シフト制御部15、第1光源駆動部16を有する。
【0019】
PID割り込み部12は、モーター制御部13による搬送部30のDCモーター31のPID制御において、所定の周期で割り込み、DCモーター31が目標速度となるように種々の計算を行う。例えば、PID割り込み部12は、前記エンコーダーの出力に基づき、DCモーター31の目標速度と実際の速度との間の速度偏差を算出し、その偏差に基づいて比例要素、積分要素、及び、微分要素の計算を行う。そして、その計算結果に基づいて、DCモーター31の実際の速度が目標速度となるように制御値(Duty比)を決定し、モーター制御部13に通知する。
【0020】
モーター制御部13は、通知された制御値に基づいてDCモーター31をPID制御して、搬送部30に原稿を搬送させる。モーター制御部13は、DCモーター31を「定速駆動」、「減速駆動」、「停止制御」、「駆動終了制御」、「駆動準備制御」、「加速駆動」することができる。「定速駆動」とは、DCモーター31を一定速度で回転させる駆動を指す。「減速駆動」とは、DCモーター31の回転速度を徐々に減速させる駆動を指す。「停止制御」とは、DCモーター31が回転しないように停止した状態を維持させる制御を指す。「駆動終了制御」とは、DCモーター31への電力供給を遮断する制御を指す。「駆動準備制御」とは、DCモーター31への電力供給を開始あるいは再開する制御を指す。「加速駆動」とは、DCモーター31の回転速度を徐々に加速させる駆動を指す。
【0021】
第1読取制御部14は、第1読取部32による読取を制御する。具体的には、第1読取制御部14は、第1読取部32に対してトリガーとしてのシフトパルスを送信し、光電変換素子に蓄積された電荷のシフトレジスターへの転送を制御する。また、第1読取制御部14は、第1読取部32のシフトレジスターに格納されている電荷の第1AFE20への出力を制御する。さらに第1読取制御部14は、第1画像処理部21に指示を通知して、第1画像処理部21が各種補正等を施したデジタルデータを、第1記憶部22に格納させる。
【0022】
第1シフト制御部15は、シフトパルスを生成し、シフトパルスに基づいて第1制御ASIC11の各部を制御する。第1シフト制御部15は、第1読取制御部14が第1読取部32に対して送信するシフトパルスを生成する。例えば、第1シフト制御部15は、DCモーター31の駆動開始後に第1読取部32が初めて行う読取の開始のトリガーとなるシフトパルスを生成する。また、第1シフト制御部15は、第1読取部32の光電変換素子に蓄積された電荷をシフトレジスターへ転送させるトリガーとなるシフトパルスを生成する。
【0023】
また、第1シフト制御部15は、第1光源33が有する赤色LED、緑色LED、青色LEDを順次点灯させるトリガーとなるシフトパルスを生成する。第1光源駆動部16は、第1シフト制御部15によって生成されたシフトパルスに基づき、第1読取部32の読取動作に合わせて、第1光源33の点灯を制御する。具体的には、第1光源駆動部16は、第1読取制御部14からシフトパルスが第1読取部32に供給されるタイミングで、第1光源33が有する赤色LED、緑色LED、青色LEDを順次点灯させる。なお、各色のLEDの発光時間は色毎に予め定められており、点灯してからその定められた時間が経過したときに消灯する。
【0024】
第1AFE20は、第1読取部32から出力されたアナログデータをデジタルデータに変換する。第1画像処理部21は、第1AFE20から出力されたデジタルデータに対してシェーディング補正などの各種補正や所定の変換を施して出力する。また、第1画像処理部21は、第1読取部32から第1AFE20を介して順に出力されるデジタルデータである第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータに基づいて、原稿の1つのラスターラインに相当する画像データを生成する。つまり、順番に出力される第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータを1セットとし、1セットのラインデータを合成したりRGB値を補間したりして、RGB毎のデジタル値を有する画素が主走査方向に並んだ画素列である画像データを生成する。
【0025】
このような構成によれば、第1制御部10は、第1読取部32に原稿の第1面から第1ラインデータ、第2ラインデータ、第3ラインデータの順で繰り返し読み取らせることにより、第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータからなる1セットの画像データを繰り返し取得する、と言える。また、第2制御部40については後述するが、第2制御部40も同様に、第2読取部60に原稿の第2面から第1ラインデータ、第2ラインデータ、第3ラインデータの順で繰り返し読み取らせることにより、第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータからなる1セットの画像データを繰り返し取得する。
【0026】
第1記憶部22は、第1画像処理部21による処理途中あるいは処理後のデジタルデータを一時的に格納するバッファとして機能する。第1記憶部22は、先入れ先出しのFIFO形式で、一時的に記憶したデジタルデータを出力部23に送る。
【0027】
第2制御部40は、例えば、主たる制御を行うCPUや、プログラム等が記憶されたROMや、メインメモリーとしてデータ等を一時的に格納するRAMや、各種処理を専用に行うように設計されたASICや、その他の電子回路部品を含んで構成されている。第2制御部40は、SoC化されたコントローラーであってもよい。
【0028】
第2制御部40は、第2制御ASIC41、第2AFE50、第2画像処理部51、第2記憶部52を有する。また、第2制御ASIC41は、第2読取制御部42、第2シフト制御部43、第2光源駆動部44を有する。原稿の第2面を読み取るための構成である、第2読取部60、第2光源61、第2制御部40の第2制御ASIC41(第2読取制御部42、第2シフト制御部43、第2光源駆動部44)、第2AFE50、第2画像処理部51、第2記憶部52についての説明は、原稿の第1面を読み取るための構成である、第1読取部32、第1光源33、第1制御部10の第1制御ASIC11(第1読取制御部14、第1シフト制御部15、第1光源駆動部16)、第1AFE20、第1画像処理部21、第1記憶部22についての前記説明を、準用すればよい。
【0029】
第1制御部10は、前記エンコーダーから出力されるパルス、つまりDCモーター31の駆動状況に応じて、第1光源33の点灯や第1読取部32による読取動作の開始、停止等を制御する。一方、スレーブとしての第2制御部40は、マスターである第1制御部10からの指示に基づいて、第2光源61の点灯や第2読取部60による読取動作の開始、停止等を制御する。第1制御部10と第2制御部40との間の通信は、第1制御部10と第2制御部40とを繋ぐ結線70を介して行われる。
図1の構成であれば、第1制御部10から第2制御部40の第2シフト制御部43へ、上述したようなシフトパルスの生成開始が指示されることで、第2制御部40においても、第1制御部10が第1光源33や第1読取部32を制御するのと同様に、第2光源61や第2読取部60を制御することが可能となる。
【0030】
第2記憶部52は、第2画像処理部51による処理途中あるいは処理後のデジタルデータを一時的に格納するバッファとして機能する。第2記憶部52は、先入れ先出しのFIFO形式で、一時的に記憶したデジタルデータを、結線70を介して、第1制御部10の出力部23に送る。
【0031】
出力部23は、第1記憶部22や第2記憶部52から入力されたデジタルデータを、外部の情報処理装置、例えば不図示のパーソナルコンピューター等のホストに送信する。出力部23は、ネットワーク接続やUSB(Universal Serial Bus)接続を行うためのインターフェイスにより実現される。出力部23は、ホストの処理能力に応じた転送速度で、第1記憶部22や第2記憶部52に記憶されていたデータを前記ホストに送信する。
【0032】
第1読取部32と第2読取部60とは、搬送部30によって搬送される原稿が通過する画像読取装置100内の搬送経路を挟んで、相対する位置に設けられている。ただし、第1読取部32と第2読取部60とは、搬送経路を挟んで、かつ、搬送経路に沿ってずれて配設されていてもよい。例えば、第1読取部32は、第2読取部60と比べて搬送経路の上流側に配設される。第1読取部32が第2読取部60と比べて搬送経路の上流側に配設された構成においては、搬送部30により搬送される原稿に対して、第1読取部32による第1面の読取が開始された後、原稿が第2読取部60の位置に到達してから第2読取部60による第2面の読取が開始される。そして、搬送部30により搬送される原稿に対して、第1読取部32による第1面の読取が終了した後、原稿が第2読取部60の位置を通過し終えたとき、第2読取部60による第2面の読取が終了する。
【0033】
2.読取停止制御:
本実施形態では、上述した画像読取装置100の構成において、原稿の第1面の読取の停止と第2面の読取の停止との同時性を確保するための処理について説明する。
図2は、第1制御部10が実行する読取停止制御処理を、フローチャートにより示している。第1制御部10は、両面読取制御処理の開始後に、読取停止制御処理を開始する。両面読取制御処理とは、搬送部30による原稿の搬送開始から、搬送終了つまり当該原稿の画像読取装置100外への排出完了までの通常の処理である。両面読取制御処理によれば、原稿の搬送開始から搬送終了までの期間に、第1読取部32による第1面の読取および第2読取部60による第2面の読取が完了する。なお、読取停止制御処理の開始時点では、モーター制御部13は、DCモーター31を定速駆動させているとする。
【0034】
読取停止制御処理の開始後、ステップS200において、第1制御部10は、第1記憶部22または第2記憶部52の少なくとも一方が、空き容量が所定量以下であるニアフル状態であるか否かを判定する。第1制御部10は、第1記憶部22または第2記憶部52の少なくとも一方がニアフル状態である場合、ステップS200で“Yes”と判定し、ステップS210へ処理を進める。第1記憶部22および第2記憶部52のいずれもニアフル状態に該当しない状況が継続し、ステップS200で“No”の判定が維持されたまま両面読取制御処理が終了した場合は、読取停止制御処理も終了する。
【0035】
第1記憶部22のニアフル状態とは、例えば、第1記憶部22の記憶可能な空き容量が、DCモーター31の減速駆動が開始されてから第1読取部32による読取が停止されるまでに第1読取部32によって読み取られるデータの最大量を記憶可能な容量(所定量)まで減少した状態を指す。また、第2記憶部52のニアフル状態とは、例えば、第2記憶部52の記憶可能な空き容量が、DCモーター31の減速駆動が開始されてから第2読取部60による読取が停止されるまでに第2読取部60によって読み取られるデータの最大量を記憶可能な容量(所定量)まで減少した状態を指す。第1記憶部22は、ニアフル状態であることを検出すると、ニアフル状態である旨の検出結果を第1シフト制御部15に通知する。また、第2記憶部52は、ニアフル状態であることを検出すると、ニアフル状態である旨の検出結果を第1シフト制御部15に通知する。従って、第1シフト制御部15は、第1記憶部22または第2記憶部52からニアフル状態である旨の検出結果の通知を受けたときに、ステップS200で“Yes”と判定する。
【0036】
ステップS210では、第1シフト制御部15は、モーター制御部13に対して、DCモーター31の駆動を、定速駆動から減速駆動に切り替えることを指示する。この指示に応じて、モーター制御部13は、DCモーター31を減速駆動させる。減速駆動に切り替えた後は、モーター制御部13は、DCモーター31のエンコーダーから出力されるパルスに基づき、DCモーター31の回転停止を判定する。モーター制御部13は、DCモーター31の回転が停止したと判定した場合、ステップS220において“Yes”の判定からステップS230へ処理を進める。なお、モーター制御部13は、DCモーター31の回転が停止したと判定した場合は、DCモーター31の制御を、減速駆動から停止制御に切り替え、DCモーター31が回転しないように停止した状態を維持する。
【0037】
DCモーター31の回転停止は、搬送部30による原稿の搬送停止を意味する。DCモーター31の回転が停止したことが、原稿の読取を停止する条件となる。つまり、本実施形態では、ステップS220において“Yes”の判定したことが、第1制御部10が原稿の読取を停止すると判断したことと同義である。
ステップS230では、第1シフト制御部15は、第1読取部32による第1面の読取を停止する前の第1読取部32の最終読取タイミングを決定する。
【0038】
第1シフト制御部15は、原稿の読取を停止すると判断したタイミング、つまりステップS220で“Yes”と判定したタイミングに応じて、最終読取タイミングを決定する。具体的には、第1シフト制御部15は、原稿の読取を停止すると判断したタイミングが、第1読取部32による第1ラインデータまたは第2ラインデータの読取のタイミングである場合、この第1ラインデータまたは第2ラインデータと共通のセットを構成する第3ラインデータを読み取るタイミングを、最終読取タイミングに決定する。一方、第1シフト制御部15は、原稿の読取を停止すると判断したタイミングが、第1読取部32による第3ラインデータの読取のタイミングである場合、この第3ラインデータを含むセットの次のセットを構成する第3ラインデータを読み取るタイミングを、最終読取タイミングに決定する。
【0039】
第1シフト制御部15は、ステップS230で決定した最終読取タイミングよりも1タイミング前に、第2制御部40へ読取停止指示を送信する(ステップS240)。ここで言う「1タイミング前」とは、第1制御部10と第2制御部40との結線70を介した通信に生じる遅延に対応する所定の時間差分早く、という意味である。第1制御部10と第2制御部40との間の通信、例えば、上述したような2つのSoC間の通信には、いくらかの遅延が生じる。このような遅延を0にすることは困難である。そのため本実施形態では、このような遅延が発生することを前提とし、第1制御部10から第2制御部40への結線70を介した通信に、敢えて前記遅延を含む前記「所定の時間差」が生じるような回路設計としている。
【0040】
ステップS240の後、第1シフト制御部15は、ステップS230で決定した最終読取タイミングで第1読取制御部14に、第1読取部32による読取停止前の最後の1ラインの第1読取部32による読取を実行させた上で、第1読取部32による読取を停止させる(ステップS250)。
【0041】
図2には、第2制御部40が実行する一部の処理を、ステップS310として記載している。第1制御部10がステップS240で送信した読取停止指示を受信した第2制御部40では、第2シフト制御部43が、第2読取制御部42に、第2読取部60による1ラインの読取を実行させた上で、第2読取部60による読取を停止させる(ステップS310)。言うまでもなく、ステップS250に至るまで第1読取部32によるライン単位の読取は繰り返し実行され、ステップS310に至るまで第2読取部60によるライン単位の読取は繰り返し実行されている。
【0042】
上述したように、第1制御部10から第2制御部40への読取停止指示の送信は、ステップS230で決定した最終読取タイミングよりも1タイミング前に実行される。また、第1制御部10との関係でスレーブとなる第2制御部40は、第1制御部10から受けた指示に従い、即座に処理を実行する。第1制御部10がステップS240で送信した読取停止指示を第2制御部40が受信するのは、ステップS230で決定した最終読取タイミング、つまりステップS250と同じタイミングである。従って、ステップS250とステップS310とは、結果的に同時に実行される。このような読取停止制御処理により、ステップS250およびステップS310が実行された場合には、両面読取制御処理が中断したことになる。
【0043】
図3は、読取停止制御処理の具体例1を説明するためのタイミングチャートである。
図3においては、左から右に向かって時間が進んでいる。
図3における「第1光源点灯色」は、第1光源駆動部16が第1光源33の赤色(R)LED、緑色(G)LED、青色(B)LEDを順に点灯させるタイミングを示している。同様に、「第2光源点灯色」は、第2光源駆動部44が第2光源61の赤色(R)LED、緑色(G)LED、青色(B)LEDを順に点灯させるタイミングを示している。
図3における「第1読取部読取色」は、第1読取制御部14が第1読取部32にRGBそれぞれのラインデータ、つまり第1ラインデータ、第2ラインデータ、第3ラインデータを順に読み取らせるタイミングを示している。同様に、「第2読取部読取色」は、第2読取制御部42が第2読取部60にRGBそれぞれのラインデータを順に読み取らせるタイミングを示している。
図3では、Rに対応するタイミングを黒で塗りつぶした矩形により、Gに対応するタイミングを横縞を施した矩形により、Bに対応するタイミングを斜線を施した矩形により、それぞれ示している。
【0044】
本実施形態において、第1読取部32によるラインデータの読取とは、端的には、第1読取制御部14が第1読取部32へシフトパルスを与えることにより、光電変換素子に蓄積された電荷をシフトレジスターへ転送させることを指す。同様に、第2読取部60によるラインデータの読取とは、第2読取制御部42が第2読取部60へシフトパルスを与えることにより、光電変換素子に蓄積された電荷をシフトレジスターへ転送することを指す。
【0045】
図3に示す例では、「第1光源点灯色」と「第1読取部読取色」との関係、および「第2光源点灯色」と「第2読取部読取色」との関係の夫々から判るように、点灯色がRであることにより光電変換素子に蓄積された電荷(第1ラインデータ)は、点灯色がGのタイミングでシフトレジスターへ転送される。同様に、点灯色がGであることにより光電変換素子に蓄積された電荷(第2ラインデータ)は、点灯色がBのタイミングでシフトレジスターへ転送される。同様に、点灯色がBであることにより光電変換素子に蓄積された電荷(第3ラインデータ)は、点灯色がRのタイミングでシフトレジスターへ転送される。
図3において、符号SDは、順に読み取ら得るRGBの各ラインデータ、つまり第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータからなる1セットの画像データSDを指している。
【0046】
図3に示すように、第1光源33による発光色RGBそれぞれの点灯のタイミングと、第2光源61による発光色RGBそれぞれの点灯のタイミングとは同期している。また、
図3に示すように、第1読取部32が第1ラインデータ、第2ラインデータ、第3ラインデータを読み取るタイミングと、第2読取部60が第1ラインデータ、第2ラインデータ、第3ラインデータを読み取るタイミングとは同期している。これは、第1制御部10が、前記所定の時間差に基づいて第2制御部40への指示をすることで実現される。つまり、第1制御部10は、両面読取制御処理を開始したり再開したりする場合、第2光源61、第2読取部60の駆動を開始させる指示を第2制御部40へ送信するタイミングを、第1光源33、第1読取部32の駆動を開始させるタイミングに対して前記所定の時間差分早めることで、
図3に示すような同期性を確保する。
【0047】
図3における「停止判定」は、第1シフト制御部15が、原稿の読取を停止すると判断したタイミング、つまりステップS220で“Yes”と判定したタイミングである。
第1シフト制御部15は、停止判定のタイミングが、
図3に示すようにRのデータラインである第1ラインデータの読取のタイミングに該当する場合、ステップS230では、この第1ラインデータと共通のセットを構成するBのデータラインである第3ラインデータを読み取るタイミングを、最終読取タイミングに決定する。なお、第1ラインデータの読取のタイミングとは、例えば、第1ラインデータの1つ前の第3ラインデータの読取が終了してから第1ラインデータの読取が終了するまでの期間である。同様に、第2ラインデータの読取のタイミングとは、例えば、第2ラインデータの1つ前の第1ラインデータの読取が終了してから第2ラインデータの読取が終了するまでの期間である。同様に、第3ラインデータの読取のタイミングとは、例えば、第3ラインデータの1つ前の第2ラインデータの読取が終了してから第3ラインデータの読取が終了するまでの期間である。
【0048】
そして、
図3の例では、第1シフト制御部15は、停止判定のタイミングに読取のタイミングが対応する第1ラインデータと共通のセットを構成するGのラインデータである第2ラインデータの読取のタイミングで、第2制御部40へ読取停止指示SSを送信する(ステップS240)。つまり
図3の例では、第1読取部32、第2読取部60それぞれにおけるライン単位の読取の間隔、言い換えると、第1読取制御部14が第1読取部32へシフトパルスを与える間隔(=第2読取制御部42が第2読取部60へシフトパルスを与える間隔)が、前記所定の時間差に相当する。
図3において符号T1は、前記所定の時間差を示している。
【0049】
図3の例によれば、ステップS250では第1シフト制御部15は、第1読取制御部14に、停止判定のタイミングに読取のタイミングが対応する第1ラインデータと共通のセットを構成するBのラインデータである第3ラインデータを第1読取部32に読み取らせた上で、第1読取部32による読取を停止させる。具体的には、第1読取制御部14は、最終読取タイミングで第3ラインデータを第1読取部32に読み取らせるためのシフトパルスの送信後、第1読取部32へのシフトパルスの送信を停止する。また、第1読取制御部14は、最終読取タイミングでシフトレジスタ―へ転送させた電荷としての第3ラインデータの、シフトレジスターから第1AFE20への出力が完了した時点で、第1読取部32のシフトレジスターが格納する電荷の第1AFE20への出力を停止する。
図3の「第1読取部読取」は、レベルHからレベルLへの変位により、第1読取部32による読取が第1読取制御部14により停止されたことを示している。また、
図3の「第1光源駆動」のレベルHからレベルLへの変位が示すように、ステップS250の読取停止に伴って、第1シフト制御部15は、第1光源駆動部16に、第1光源33の駆動を停止させる。つまり、第1光源33を消灯させる。
【0050】
図3の例によれば、ステップS240で第1制御部10から送信された読取停止指示SSは、ステップS230で決定された最終読取タイミング、つまり第2制御部40がBのラインデータである第3ラインデータを第2読取部60に読み取らせるタイミングで第2制御部40に受信される。ステップS310では第2シフト制御部43は、読取停止指示SSを受信したことに応じて、第2読取制御部42に1ライン分のデータ、この場合はBのラインデータである第3ラインデータを第2読取部60に読み取らせた上で、第2読取部60による読取を停止させる。具体的には、第2読取制御部42は、第3ラインデータを第2読取部60に読み取らせるためのシフトパルスの送信後、第2読取部60へのシフトパルスの送信を停止する。また、第2読取制御部42は、このような最後の読取でシフトレジスタ―へ転送させた電荷としての第3ラインデータの、シフトレジスターから第2AFE50への出力が完了した時点で、第2読取部60のシフトレジスターが格納する電荷の第2AFE50への出力を停止する。
図3の「第2読取部読取」は、レベルHからレベルLへの変位により、第2読取部60による読取が第2読取制御部42により停止されたことを示している。また、
図3の「第2光源駆動」のレベルHからレベルLへの変位が示すように、ステップS310の読取停止に伴って、第2シフト制御部43は、第2光源駆動部44に、第2光源61の駆動を停止させる。つまり、第2光源61を消灯させる。
【0051】
図4は、読取停止制御処理の具体例2を説明するためのタイミングチャートである。図の見方は、
図3,4いずれも同じである。
図4は、
図3と比較すると「停止判定」のタイミングが異なるだけである。
第1シフト制御部15は、停止判定のタイミングが、
図4に示すようにGのデータラインである第2ラインデータの読取のタイミングに該当する場合、ステップS230では、この第2ラインデータと共通のセットを構成するBのデータラインである第3ラインデータを読み取るタイミングを、最終読取タイミングに決定する。そして
図4の例では、第1シフト制御部15は、停止判定のタイミングが該当するGのラインデータである第2ラインデータの読取のタイミングで、第2制御部40へ読取停止指示SSを送信する(ステップS240)。
【0052】
図4の例によれば、ステップS250では第1シフト制御部15は、第1読取制御部14に、停止判定のタイミングに読取のタイミングが対応する第2ラインデータと共通のセットを構成するBのラインデータである第3ラインデータを第1読取部32に読み取らせた上で、第1読取部32による読取を停止させる。また、
図4の例によれば、ステップS240で第1制御部10から送信された読取停止指示SSは、ステップS230で決定された最終読取タイミング、つまり第2制御部40がBのラインデータである第3ラインデータを第2読取部60に読み取らせるタイミングで第2制御部40に受信される。ステップS310では第2シフト制御部43は、読取停止指示SSを受信したことに応じて、第2読取制御部42に1ライン分のデータ、この場合はBのラインデータである第3ラインデータを第2読取部60に読み取らせた上で、第2読取部60による読取を停止させる。
【0053】
図5は、読取停止制御処理の具体例3を説明するためのタイミングチャートである。図の見方は、
図3,4,5いずれも同じである。
図5は、
図3,4と比較すると、先ず「停止判定」のタイミングが異なる。
第1シフト制御部15は、停止判定のタイミングが、
図5に示すようにBのデータラインである第3ラインデータの読取のタイミングに該当する場合、ステップS230では、この第3ラインデータを含むセットの次のセットを構成する第3ラインデータを読み取るタイミングを、最終読取タイミングに決定する。そして、
図5の例では、第1シフト制御部15は、停止判定のタイミングに読取のタイミングが対応する第3ラインデータを含むセットの次のセットを構成するGのラインデータである第2ラインデータの読取のタイミングで、第2制御部40へ読取停止指示SSを送信する(ステップS240)。
【0054】
図5の例によれば、ステップS250では第1シフト制御部15は、第1読取制御部14に、停止判定のタイミングに読取のタイミングが対応する第3ラインデータを含むセットの次のセットを構成するBのラインデータである第3ラインデータを第1読取部32に読み取らせた上で、第1読取部32による読取を停止させる。また、
図5の例によれば、ステップS240で第1制御部10から送信された読取停止指示SSは、ステップS230で決定された最終読取タイミング、つまり第2制御部40がBのラインデータである第3ラインデータを第2読取部60に読み取らせるタイミングで第2制御部40に受信される。ステップS310では第2シフト制御部43は、読取停止指示SSを受信したことに応じて、第2読取制御部42に1ライン分のデータ、この場合はBのラインデータである第3ラインデータを第2読取部60に読み取らせた上で、第2読取部60による読取を停止させる。
【0055】
図3,4,5の例によれば、第1読取部32の読取停止と第2読取部60の読取停止とのタイミングが一致する。また、
図3,4,5の例によれば、第1読取部32による読取および第2読取部60による読取はいずれも、1セットの画像データSDを構成するための第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータのうち、読取順が最後の第3ラインデータまで読み取った上で停止される。
【0056】
第1制御部10は、読取停止制御処理により中断した両面読取制御処理を再開することができる。読取停止制御処理の結果、第1読取部32による読取および第2読取部60による読取が停止した後は、出力部23によるホストへのデータ送信の進捗に応じて、第1記憶部22や第2記憶部52の空き容量が増える。そのため、第1制御部10の第1シフト制御部15は、両面読取制御処理の中断後、第1記憶部22、第2記憶部52それぞれを監視し、第1記憶部22および第2記憶部52の両方において空き容量が所定のしきい値以上に確保されたことを確認できた場合に、両面読取制御処理を再開する。所定のしきい値以上の空き容量とは、当然、前記ニアフル状態の空き容量よりも多い値である。この場合、第1シフト制御部15は、モーター制御部13、第1光源駆動部16、第1読取制御部14を制御して、DCモーター31の駆動、第1光源33の駆動、第1読取部32による読取、を再開させる。また、第1シフト制御部15は、第2制御部40に指示を送信して、第2光源61の駆動、第2読取部60による読取、を再開させる。また、第1制御部10は、両面読取制御処理の再開後、読取停止制御処理を再び開始する。
【0057】
3.まとめ:
このように本実施形態によれば、原稿の両面を同時読取可能な画像読取装置100は、原稿の第1面をライン単位で読み取る第1読取部32と、原稿の第1面の逆の面である第2面をライン単位で読み取る第2読取部60と、第1読取部32を制御する第1制御部10と、第1制御部10からの指示に従って第2読取部60を制御する第2制御部40と、を備える。そして、第1制御部10は、原稿の読取を停止すると判断した場合、第1読取部32による読取を停止する前の最後の1ラインを第1読取部32に読み取らせた上で第1読取部32による読取を停止させる。また、第1制御部10は、第1読取部32による前記最後の1ラインの読取のタイミングよりも、第1制御部10と第2制御部40との間の通信に生じる遅延に対応する時間差分早く、読取停止の指示を第2制御部40へ送信する。第2制御部40は、前記読取停止の指示を受けたことに応じて、第2読取部60に1ラインを読み取らせた上で第2読取部60による読取を停止させる。
【0058】
前記構成によれば、第1制御部10は、原稿の読取を停止すると判断した場合、第1読取部32の読取停止前の最後の1ラインの読取のタイミングよりも前記時間差分早く、読取停止の指示を第2制御部40へ送信する。この結果、第1読取部32の読取停止と第2読取部60の読取停止とを、タイミングを合わせることができる。よって、第1制御部10が原稿の読取を停止すると判断した後で、第2読取部60が、第1読取部32よりも多くのラインを読み取ってしまう事態を、回避することができる。原稿の読取を停止すると判断した後で読取を停止するまでに読み取ったライン数が、第1読取部32と第2読取部60とで異なると、読取停止前に読み取ったデータと読取再開後に読み取ったデータとの繋ぎ部分の画質が、第1読取部32による読取結果(第1面の読取結果)と、第2読取部60による読取結果(第2面の読取結果)とで相違し、ユーザーに両面読取品質の劣化として認識される。本実施形態では、前記繋ぎ部分の画質を、第1読取部32による読取結果(第1面の読取結果)と、第2読取部60による読取結果(第2面の読取結果)とで、相違が無い、或いは相違が少ないものとすることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、第1制御部10は、第1読取部32にRGBのうちの第1の色のライン単位の画像データである第1ラインデータと、RGBのうちの第2の色のライン単位の画像データである第2ラインデータと、RGBのうちの第3の色のライン単位の画像データである第3ラインデータとを、原稿の第1面から第1ラインデータ、第2ラインデータ、第3ラインデータの順で繰り返し読み取らせることにより、第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータからなる1セットの画像データを繰り返し取得する。同様に、第2制御部40は、第2読取部60に、第1ラインデータと、第2ラインデータと、第3ラインデータとを、原稿の第2面から第1ラインデータ、第2ラインデータ、第3ラインデータの順で繰り返し読み取らせることにより、第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータからなる1セットの画像データを繰り返し取得する。
【0060】
そして、第1制御部10は、原稿の読取を停止すると判断したタイミングが、第1読取部32による第1ラインデータまたは第2ラインデータの読取のタイミングである場合、原稿の読取を停止すると判断したタイミングに第1読取部32による読取のタイミングが対応する第1ラインデータまたは第2ラインデータと共通の前記セットを構成する第3ラインデータを、第1読取部32による読取を停止する前の最後の1ラインとして第1読取部32に読み取らせる。また、第1制御部10は、原稿の読取を停止すると判断したタイミングが、第1読取部32による第3ラインデータの読取のタイミングである場合、原稿の読取を停止すると判断したタイミングに第1読取部32による読取のタイミングが対応する第3ラインデータを含む前記セットの次の前記セットを構成する第3ラインデータを、第1読取部32による読取を停止する前の最後の1ラインとして第1読取部32に読み取らせる。
【0061】
このような構成によれば、第1読取部32の読取停止と第2読取部60の読取停止とのタイミングを合わせることができ、かつ、第1読取部32による読取および第2読取部60による読取を、1セットの画像データを構成するための第1ラインデータ、第2ラインデータおよび第3ラインデータのうち読取順が最後の第3ラインデータまで読み取った上で停止させることができる。第1読取部32による読取および第2読取部60による読取を、いずれも第3ラインデータを読み取った上で停止させることで、前記繋ぎ部分の画質に関する、第1読取部32による読取結果(第1面の読取結果)と、第2読取部60による読取結果(第2面の読取結果)との差を、より少なくすることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、画像読取装置100は、第1読取部32が読み取ったデータを記憶する第1記憶部22と、第2読取部60が読み取ったデータを記憶する第2記憶部52と、原稿を搬送する搬送部30と、を備える。そして、第1制御部10は、第1記憶部22および第2記憶部52の少なくとも一方が、空き容量が所定量以下であるニアフル状態に該当する場合に、搬送部30による原稿の搬送を停止させ、原稿の搬送が停止したことをもって、原稿の読取を停止すると判断する。
前記構成によれば、第1記憶部22及び又は第2記憶部52がニアフル状態である場合に、原稿の搬送を停止させ、原稿の搬送を停止させた後の、第1読取部32の読取停止のタイミングと、第2読取部60の読取停止のタイミングとを合わせることができる。従って、原稿の搬送が止まった状態で第1読取部32と第2読取部60とが各々読み取るライン数を一致させることができる。これにより、前記繋ぎ部分の画質に関する、第1読取部32による読取結果(第1面の読取結果)と、第2読取部60による読取結果(第2面の読取結果)との差を、より少なくすることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、画像読取装置100が実行する画像読取方法を開示する。つまり、画像読取方法は、第1読取部32による原稿の第1面に対するライン単位の読取と、第2読取部60による原稿の第2面に対するライン単位の読取とを、並行実施させる読取制御工程と、原稿の読取を停止する場合に、第1読取部32による読取を停止する前の最後の1ラインを第1読取部32に読み取らせた上で第1読取部32による読取を停止させ、かつ、第1読取部32による前記最後の1ラインの読取のタイミングよりも、第1読取部32を制御する第1制御部10と第2読取部60を制御する第2制御部40との間の通信に生じる遅延に対応する時間差分早く、読取停止の指示を第1制御部10から第2制御部40へ送信する第1停止制御工程と、第2制御部40が、前記読取停止の指示を受けたことに応じて第2読取部60に1ラインを読み取らせた上で第2読取部60による読取を停止させる第2停止制御工程と、を備える。
【0064】
4.その他の実施形態:
図2の読取停止制御処理において、DCモーター31を停止させる理由は、第1記憶部22と第2記憶部52とのいずれかがニアフル状態になったこと以外であってもよい。例えば、第1制御部10は、DCモーター31の温度を不図示の温度センサーを通じて監視し、DCモーター31の温度が、温度に関する所定のしきい値以上となった場合に、ステップS210の処理へ進むとしてもよい。また、第1制御部10は、搬送部30による原稿の搬送に、紙ジャム等の搬送異常が発生したときに、DCモーター31を停止させ、DCモーター31の停止後、ステップS230以下の処理に進んでもよい。
【0065】
図2のステップS220で“Yes”と判定してから、ステップS250で第1読取部32の読取を停止するまでに第1読取部32により読み取られたライン数と、ステップS310で第2読取部60の読取を停止するまでに第2読取部60により読み取られたライン数とが相違する場合、相違する分のラインデータを、記憶部において消去してもよい。例えば、ステップS220で“Yes”と判定してから、ステップS250で第1読取部32の読取を停止するまでに第1読取部32により読み取られたラインデータの数より、ステップS220で“Yes”と判定してから、ステップS310で第2読取部60の読取を停止するまでに第2読取部60により読み取られたラインデータの数が1多いとする。この場合、第1制御部10は、第2制御部40に対して、第2読取部60の停止前に第2読取部60が最後に読み取ることで第2記憶部52に記憶された1つのラインデータの消去を指示する。第2制御部40は、当該指示に応じて、第2読取部60の停止前に第2読取部60が最後に読み取ることで第2記憶部52に記憶された1つのラインデータを、消去する。かかる構成によれば、第1制御部10が原稿の読取を停止すると判断した後で読取停止までに読み取られたライン数が、第1読取部32と第2読取部60とで異なるという事態を、事後的に解消することができる。
【0066】
ラインセンサーとしての第1読取部32および第2読取部60は、モノクロイメージセンサーに限定されず、ライン単位の読取によりRGB等の複数の色情報を有するデータを出力可能なカラーイメージセンサーであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…第1制御部、11…第1制御ASIC、12…PID割り込み部、13…モーター制御部、14…第1読取制御部、15…第1シフト制御部、16…第1光源駆動部、20…第1AFE、21…第1画像処理部、22…第1記憶部、23…出力部、30…搬送部、31…DCモーター、32…第1読取部、33…第1光源、40…第2制御部、41…第2制御ASIC、42…第2読取制御部、43…第2シフト制御部、44…第2光源駆動部、50…第2AFE、51…第2画像処理部、52…第2記憶部、60…第2読取部、61…第2光源、70…結線、100…画像読取装置