(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】画像出力システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20221115BHJP
G06T 15/00 20110101ALI20221115BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06T15/00 501
(21)【出願番号】P 2018200078
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹原 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】石川 克則
【審査官】山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-037010(JP,A)
【文献】特開2001-111951(JP,A)
【文献】特開2002-196922(JP,A)
【文献】特開2001-084121(JP,A)
【文献】特開2002-044539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06T 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングするリアルタイムレンダリング部と、
前記リアルタイムレンダリング中に、前記レンダリング情報を取得する取得部と、
少なくとも前記取得されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングするオフスクリーンレンダリング部と、
前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力する出力部と
を備え
、
前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像は、前記レンダリング情報が取得されたときのリアルタイムレンダリングとは異なる視野に基づく画像を含む画像出力システム。
【請求項2】
レンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングするリアルタイムレンダリング部と、
前記リアルタイムレンダリング中に、前記レンダリング情報を取得する取得部と、
少なくとも前記取得されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングするオフスクリーンレンダリング部と、
前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力する出力部と
を備え、
前記オフスクリーンレンダリング部は、レンダリング情報を変更するよう求める指示に応答して、前記取得されたレンダリング情報に変更を加えて、前記変更されたレンダリング情報に基づいて、前記高品質オフスクリーンレンダリングする画像出力システム。
【請求項3】
前記出力することは、前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を印刷すること、前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像のデータを出力すること、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1
または2に記載の画像出力システム。
【請求項4】
前記取得部は、要求装置から要求データを受信することに応答して、前記レンダリング情報を取得することを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の画像出力システム。
【請求項5】
レンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングするステップと、
前記リアルタイムレンダリング中に、前記レンダリング情報を取得するステップと、
少なくとも前記取得されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングするステップと、
前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力するステップと
を含
み、
前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像は、前記レンダリング情報が取得されたときのリアルタイムレンダリングとは異なる視野に基づく画像を含む方法。
【請求項6】
レンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングするステップと、
前記リアルタイムレンダリング中に、前記レンダリング情報を取得するステップと、
少なくとも前記取得されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングするステップと、
前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力するステップと
を含み、
前記高品質オフスクリーンレンダリングするステップにおいて、レンダリング情報を変更するよう求める指示に応答して、前記取得されたレンダリング情報に変更を加えて、前記変更されたレンダリング情報に基づいて、前記高品質オフスクリーンレンダリングする方法。
【請求項7】
請求項
5または6に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の出力に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元コンピュータグラフィックス(以下、3DCGともいう)の仮想の3次元空間(以下、仮想空間ともいう)を鑑賞することによってバーチャル・リアリティ(以下、VRともいう)を体験することができる技術が開発されている。鑑賞者は、仮想空間内をさまざまな位置やアングルから鑑賞することができる。このようなVRの体験中に、鑑賞者は特に印象に残ったシーンの画像を残しておくことを望むことがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、仮想のゲーム空間内において仮想のカメラで撮影された画像が表示装置に表示される。そして、ゲームのプレイ中に、プレイヤが入力装置を用いることにより、キャプチャ(撮影)指示が入力されると、ゲーム装置では、キャプチャ指示が入力されたときのゲーム画面がキャプチャ(撮影)される。その後、キャプチャされた画像(スクリーンショット)は、プレイ中のゲームのアプリケーション内または別のアプリケーションにおいて閲覧されたり、電子メールに添付して送信されたり、Webページにアップロードされる(特許文献1の明細書の段落[0054]および[0058]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表示装置上に表示されている画面をそのままスクリーンキャプチャ(スクリーンショットともいう)しただけでは、高解像度の印刷用や表示装置での観賞用の画像として十分な品質とはいえない。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鑑賞中の3DCGの仮想空間のシーンを高品質(例えば、高画質)で出力することができるシステム、方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための、本発明の第1の態様は、システムである。このシステムは、レンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングするリアルタイムレンダリング部と、前記リアルタイムレンダリング中に、前記レンダリング情報を取得する取得部と、少なくとも前記取得されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングするオフスクリーンレンダリング部と、前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力する出力部と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、方法である。この方法は、レンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングするステップと、前記リアルタイムレンダリング中に、前記レンダリング情報を取得するステップと、少なくとも前記取得されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングするステップと、前記高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力するステップと、を含む。
【0009】
本発明の第3の態様は、プログラムである。このプログラムは、コンピュータに第2の
態様の方法を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リアルタイムレンダリング中に取得されたレンダリング情報に基づいて高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる画像出力システムの全体の概要図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる画像出力装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる画像出力装置における処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、本明細書で利用する用語について説明する。
【0013】
・「ソースデータ」とは、レンダリングするための元となるデータである。例えば、ソースデータは、オブジェクトおよび光源が配置された仮想空間のデータである。例えば、ソースデータは、オブジェクトの形状や材質、光源の個数の情報などを含む。
【0014】
・「レンダリング(描画ともいう)」とは、仮想空間内の視点(仮想のカメラともいう)の位置および向きの情報と、仮想空間内のオブジェクトの情報と、仮想空間内の光源の情報と、に基づいて、ソースデータから画像を作り出すことをいう。つまり、仮想空間内に配置された仮想のカメラが撮影する画像がレンダリングされる。
【0015】
・「リアルタイムレンダリング」とは、スクリーンなど出力先のリフレッシュレートに合わせて毎フレーム(1/30秒、1/60秒など)の更新をすることができる処理速度でレンダリングすることである。例えば、レンダリングの対象となるオブジェクトの量が多いために処理速度が遅くなる場合には、レンダリングの対象となるオブジェクトの品質を下げたり、オブジェクトを減らしたり、ライティング計算を簡単化したりなどのチューニングが行われる。
【0016】
・「オフスクリーンレンダリング」とは、画面に描画する通常のレンダリングとは別にオフスクリーンに(画面裏に)レンダリングすることである。
【0017】
・「高品質オフスクリーンレンダリング」とは、リアルタイムでなくてもよいが(つまり、数秒かかってもよい)、リアルタイムレンダリングよりも高品質(例えば、高画質)な画像をオフスクリーンに(画面裏に)レンダリングすることである。なお、高品質な画像とは、リアルタイムレンダリングよりも高画質な画像に限らず、例えば、リアルタイムレンダリングとは異なる光源に基づく画像、リアルタイムレンダリングとは異なるオブジェクトに基づく画像、リアルタイムレンダリングとは異なる仮想のカメラの向きに基づく画像、リアルタイムレンダリングとは異なる仮想のカメラの画角に基づく画像などを含む。
【0018】
以下で説明する、本発明の一実施形態にかかる画像出力システム100は、レンダリング情報に基づいてリアルタイムレンダリングし、かつ、そのレンダリング情報に基づいて高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。
【0019】
・「レンダリング情報」とは、リアルタイムレンダリングおよび高品質オフスクリーンレンダリングするために必要な情報であり、どのような視点、オブジェクト、光源に基づいてレンダリングすべきかを示す情報である。例えば、レンダリング情報は、仮想空間内の視点の位置および向きの情報、仮想空間内のオブジェクトの情報(例えば、オブジェクトが配置されている位置や向きなど)および仮想空間内の光源の情報(例えば、光源が配置されている位置や向き、光の強度や色など)などである。
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像出力システム100の全体の概要図である。画像出力システム100は、画像出力装置101、リアルタイムレンダリング出力装置102、オフスクリーンレンダリング出力装置103、要求装置104を含むことができる。以下、それぞれについて説明する。
【0022】
画像出力装置101は、レンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングし、かつ、リアルタイムレンダリング中に取得されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングして、その高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力する装置である。後段で、
図2を参照しながら、画像出力装置101について詳細に説明する。
【0023】
リアルタイムレンダリング出力装置102は、画像出力装置101がリアルタイムレンダリングした画像を出力する装置である。例えば、リアルタイムレンダリング出力装置102は、1または複数の鑑賞者が同時に鑑賞できる巨大なスクリーン、ディスプレイ、モニタなどの表示装置である。また、例えば、リアルタイムレンダリング出力装置102は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、タブレット、スマートフォン、パソコン、ゲーム機などのコンピュータに内蔵された表示部、または、それらに接続された表示装置である。
【0024】
オフスクリーンレンダリング出力装置103は、画像出力装置101が高品質オフスクリーンレンダリングした画像を出力する装置である。例えば、オフスクリーンレンダリング出力装置103は、プリンタである。また、例えば、オフスクリーンレンダリング出力装置103は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)である。また、例えば、オフスクリーンレンダリング出力装置103は、タブレット、スマートフォン、パソコン、ゲーム機などのコンピュータに内蔵された表示部、または、それらに接続された表示装置である。
【0025】
要求装置104は、画像出力装置101に対して、その時にリアルタイムレンダリングされている画像を高品質(例えば、高画質)で出力するよう要求する装置である。例えば、要求装置104は、タブレットなどのコンピュータである。鑑賞者は、リアルタイムレンダリングされている画像の鑑賞中に、要求装置104にインストールされたアプリケーションソフト上で、鑑賞中の画像の高品質(例えば、高画質)での出力を要求することができる。なお、画像出力装置101が要求装置104の機能を有するようにしてもよい。
【0026】
なお、本明細書では、画像出力装置101、リアルタイムレンダリング出力装置102、オフスクリーンレンダリング出力装置103、要求装置104を別々の装置として説明するが、複数の装置の機能を1つの装置上で実装するようにしてもよい。また、本明細書の各装置の機能の一部または全部を他の装置上で実装するようにしてもよい。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態にかかる画像出力装置101の機能ブロック図である。画像出力装置101は、リアルタイムレンダリング部201、要求受信部202、取得部203、オフスクリーンレンダリング部204、出力部205を含むことができる。また、画像出力装置101は、リアルタイムレンダリング部201、要求受信部202、取得部203、オフスクリーンレンダリング部204、出力部205を動作させるためのプログラム、または、後述する処理フローを実行するためのプログラム、を格納した記憶媒体を含む。例えば、画像出力装置101は、プロセッサおよびメモリを含む1または複数のコンピュータである。また、リアルタイムレンダリング部201、要求受信部202、取得部203、オフスクリーンレンダリング部204、出力部205を動作させるためのプログラム、または、後述する処理フローを実行するためのプログラムがコンピュータによって実行される。
【0028】
リアルタイムレンダリング部201は、ソースデータおよびレンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングすることができる。具体的には、リアルタイムレンダリング部201は、レンダリング情報を指示するための装置(図示せず)から、レンダリング情報の少なくとも一部の情報を受信することができる。また、リアルタイムレンダリング部201は、受信した情報を含むレンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリング出力装置102のリフレッシュレートに合わせて毎フレームの更新をすることができる処理速度でレンダリングできるようにチューニング(以下、リアルタイムレンダリング・チューニングともいう)を行ってレンダリングすることができる。例えば、リアルタイムレンダリング部201は、レンダリング情報を指示するための装置から、仮想空間内の視点の位置および向きの情報を受信する。そして、リアルタイムレンダリング部201は、ソースデータ、受信した視点の位置および向きの情報、仮想空間内のオブジェクトの情報(例えば、オブジェクトが配置されている位置や向き)および仮想空間内の光源の情報(例えば、光源が配置されている位置や向き、光の強度や色など)に基づいて、リアルタイムレンダリング・チューニングを行ってレンダリングする。そして、リアルタイムレンダリング出力装置102用のバッファ(バッファ容量は、リアルタイムレンダリング出力装置102の解像度による。例えば、1920×3840×3(RGB)Byte)にピクセル情報が記録される。このようにリアルタイムレンダリング部201によってリアルタイムレンダリングされた画像が、上述のリアルタイムレンダリング出力装置102に出力される。
【0029】
要求受信部202は、要求装置104から、その時にリアルタイムレンダリングされている画像を高品質(例えば、高画質)で出力するよう求める要求データを受信することができる。また、要求受信部202は、要求データを受信すると、取得部203に対して、その時のレンダリング情報を取得させることができる。要求受信部202は、1または複数の要求データを受信することができる。また、要求受信部202は、1または複数の要求装置104から要求データを受信することができる。
【0030】
なお、画像出力装置101は、要求受信部202が要求装置104から要求データを受信した時にレンダリング情報を取得するようにしてもよいし、あるいは、予め定められた時(例えば、所定の時間になった時、仮想空間内の視点の位置が所定の場所に移動した時など)にレンダリング情報を取得するようにしてもよい(つまり、要求受信部202が要求装置104から要求データを受信する必要はない)。
【0031】
図2に戻る。取得部203は、リアルタイムレンダリング部201がリアルタイムレンダリングしているときに、レンダリング情報を取得することができる。具体的には、取得部203は、要求受信部202が要求データを受信した時、あるいは、予め定められた時(例えば、所定の時間になった時、仮想空間内の視点の位置が所定の場所に移動した時など)に、その時にリアルタイムレンダリング部201がリアルタイムレンダリングに使用しているレンダリング情報を取得することができる。また、取得部203は、取得したレンダリング情報を、オフスクリーンレンダリング部204が利用できるように、メモリ(図示せず)に記憶することができる。上述のとおり、レンダリング情報は、例えば、その時の仮想空間内の視点の位置および向きの情報、仮想空間内のオブジェクトの情報(例えば、オブジェクトが配置されている位置や向き)および仮想空間内の光源の情報(例えば、光源が配置されている位置や向き、光の強度や色など)などである。
【0032】
オフスクリーンレンダリング部204は、ソースデータ、および、取得部203が取得したレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。具体的には、オフスクリーンレンダリング部204は、取得部203が取得したレンダリング情報に基づいて、リアルタイムでなくてもよいが(つまり、数秒かかってもよい)、リアルタイムレンダリングよりも高品質(例えば、高画質)な画像をオフスクリーンにレンダリングできるようにチューニング(以下、オフスクリーンレンダリング・チューニングともいう)を行ってレンダリングすることができる。そして、オフスクリーンレンダリング出力装置103用のバッファ(バッファ容量は、数万×数万×3(RGB)Byteなどの超高解像度)にピクセル情報が記録される。また、オフスクリーンレンダリング部204は、高品質オフスクリーンレンダリングした画像を、出力部205が利用できるように、メモリ(図示せず)に記憶することができる。このようにオフスクリーンレンダリング部204によって高品質オフスクリーンレンダリングされた画像は、リアルタイムレンダリング出力装置102上には表示されず、メモリ(図示せず)に記憶される。
【0033】
なお、オフスクリーンレンダリング部204は、複数回レンダリングした後で、それらのレンダリングされた画像を合成することができる。そのため、オフスクリーンレンダリング部204は、画像出力装置101のビデオカードのレンダリング解像度の上限を上回る画像を作り出すことができる。
【0034】
ここで、リアルタイムレンダリング・チューニングと、オフスクリーンレンダリング・チューニングとの関係について説明する。リアルタイムレンダリング・チューニングとオフスクリーンレンダリング・チューニングは、どちらもレンダリングのためのチューニングであるが、両者は異なるチューニングである。例えば、リアルタイムレンダリング・チューニングを用いてレンダリングされた画像と、オフスクリーンレンダリング・チューニングを用いてレンダリングされた画像の解像度やフォーマットは異なる。オフスクリーンレンダリング・チューニングでは、例えば、高品質なライティングや高品質なアンチエイリアスを実現することができる。なお、チューニングではなく、リアルタイムレンダリングと高品質オフスクリーンレンダリングとで異なるアルゴリズムを用いるようにしてもよい。
【0035】
次に、リアルタイムレンダリング・チューニングを用いたレンダリング(つまり、リアルタイムレンダリング)と、オフスクリーンレンダリング・チューニングを用いたレンダリング(つまり、高品質オフスクリーンレンダリング)と、レンダリング情報との関係について説明する。画像出力装置101は、レンダリング情報に基づいてリアルタイムレンダリングし、かつ、そのレンダリング情報(つまり、リアルタイムレンダリングで使用されていたレンダリング情報と全く同じレンダリング情報)に基づいて高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。あるいは、画像出力装置101は、レンダリング情報に基づいてリアルタイムレンダリングし、かつ、そのレンダリング情報およびそのレンダリング情報以外のレンダリング情報(つまり、リアルタイムレンダリングで使用されていたレンダリング情報だけでなく、リアルタイムレンダリングでは使用されていなかったレンダリング情報も含む)に基づいて高品質オフスクリーンレンダリングすることができる(例えば、リアルタイムレンダリングでは使用されていなかった光源やオブジェクトが使用されることができる)。
【0036】
例えば、高品質オフスクリーンレンダリングにおいて、オフスクリーンレンダリング部204は、レンダリング情報の変更を指示するための装置(図示せず)からの指示に応答して、リアルタイムレンダリングにおけるレンダリング情報に変更を加えて、その変更されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。レンダリング情報の変更とは、例えば、光源に関する変更(例えば、昼と夜の変更などの時間帯の変更)、オブジェクトに関する変更(例えば、オブジェクトの追加、高品質なモデル(例えば、ポリゴン数が多いモデル、高解像度テクスチャを使用しているモデルなど)の使用)、視点(仮想のカメラ)の向きの変更、仮想のカメラの画角の変更などである。例えば、リアルタイムレンダリング中は昼であったが、夜の仮想空間を高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。また、例えば、リアルタイムレンダリング中には表示されていなかったオブジェクトを高品質オフスクリーンレンダリングでは印刷(または表示)することができる。また、例えば、リアルタイムレンダリング中とは異なる視点(仮想のカメラ)の向きで高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。また、例えば、リアルタイムレンダリング中とは異なる仮想のカメラの画角で高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。
【0037】
図2に戻る。出力部205は、オフスクリーンレンダリング部204が高品質オフスクリーンレンダリングした画像を出力することができる。具体的には、出力部205は、オフスクリーンレンダリング出力装置103に対して、オフスクリーンレンダリング部204が高品質オフスクリーンレンダリングした画像を出力させることができる。
【0038】
なお、高品質オフスクリーンレンダリングと出力は、任意の時に行われてよい。例えば、オフスクリーンレンダリング部204は、鑑賞者がリアルタイムレンダリングによるVRを体験中にまたはリアルタイムレンダリングによるVRの体験終了後に、高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。また、例えば、出力部205は、鑑賞者がリアルタイムレンダリングによるVRを体験中にまたはリアルタイムレンダリングによるVRの体験終了後に、出力することができる。
【0039】
以下、高品質オフスクリーンレンダリングされた画像のさまざまな出力形態を説明する。
【0040】
<印刷>
高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を印刷物として出力する実施形態について説明する。出力部205は、オフスクリーンレンダリング出力装置103(この実施形態では、プリンタ)に対して、オフスクリーンレンダリング部204が高品質オフスクリーンレンダリングした画像を紙などに印刷させることができる。
【0041】
<画像のデータ>
高品質オフスクリーンレンダリングされた画像をデータとして出力する実施形態について説明する。出力部205は、タブレット、スマートフォン、パソコン、ゲーム機などのコンピュータへ、高品質オフスクリーンレンダリングされた画像のデータを送信することができる。そして、それらのコンピュータに内蔵または接続されたオフスクリーンレンダリング出力装置103が、高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を表示することができる。
【0042】
高品質オフスクリーンレンダリングされた画像をデータとして出力する別の実施形態として、画像そのもののデータを送信するのではなく、画像を取得するために用いられる識別子のデータ(例えば、QRコード(登録商標))を送信するようにすることができる。
【0043】
上記の<印刷>の場合であっても<画像のデータ>の場合であっても、リアルタイムレンダリング部201がリアルタイムレンダリングしていたときの画角とは異なる画角の仮想のカメラで仮想空間内を撮影して、高品質オフスクリーンレンダリングできるようにすることができる。例えば、オフスクリーンレンダリング部204は、リアルタイムレンダリング部201がリアルタイムレンダリングしていたときの画角ではなく、上下左右全方位の360度の画角の仮想のカメラで仮想空間内を撮影して、高品質オフスクリーンレンダリングすることができる。そして、出力部205は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)へ、高品質オフスクリーンレンダリングされた画像のデータを送信することができる。そのため、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着した者は、リアルタイムレンダリングされた画像とは異なる視野に基づく画像(例えば、リアルタイムレンダリングされた画像とは異なる方位の仮想空間内の画像を含む全天周画像)を鑑賞することができる。
【0044】
上記の<印刷>の場合であっても<画像のデータ>の場合であっても、任意のコンピュータ(図示せず)を介して、高品質オフスクリーンレンダリングされた画像に文字やイラストを重畳したり、高品質オフスクリーンレンダリングされた画像をトリミングしたりなど、画像を加工できるようにすることができる。
【0045】
また、上記の<印刷>の場合であっても<画像のデータ>の場合であっても、取得部203がレンダリング情報を取得した仮想空間内での視点の位置および向きを、リアルタイムレンダリングされている仮想空間内で明示できるようにすることができる。
【0046】
図3は、本発明の一実施形態にかかる画像出力装置101における処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップ301(S301)において、画像出力装置101は、レンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリングし続けている。具体的には、画像出力装置101は、レンダリング情報を指示するための装置(図示せず)から、レンダリング情報の少なくとも一部の情報を受信する。その後、画像出力装置101は、受信した情報を含むレンダリング情報に基づいて、リアルタイムレンダリング・チューニングを行ってレンダリングする。
【0048】
ステップ302(S302)において、画像出力装置101は、S301のリアルタイムレンダリング中に、要求装置104から、その時にリアルタイムレンダリングされている画像を高品質(例えば、高画質)で出力するよう求める要求データを受信する。画像出力装置101は、高品質オフスクリーンレンダリングにおける光源に関する変更、オブジェクトに関する変更、視点(仮想のカメラ)の向きの変更、仮想のカメラの画角の変更などの指示を受けることもできる。なお、S302は省略されてもよい。
【0049】
ステップ303(S303)において、画像出力装置101は、S301のリアルタイムレンダリング中に、レンダリング情報を取得する。具体的には、画像出力装置101は、S302で要求データが受信された時、あるいは、予め定められた時(例えば、所定の時間になった時、所定の空間に移動した時など)に、その時にリアルタイムレンダリングに使用されているレンダリング情報を取得する。
【0050】
ステップ304(S304)において、画像出力装置101は、S303で取得されたレンダリング情報に基づいて、高品質オフスクリーンレンダリングする。具体的には、画像出力装置101は、S303で取得されたレンダリング情報に基づいて、オフスクリーンレンダリング・チューニングを行ってレンダリングする。
【0051】
ステップ305(S305)において、画像出力装置101は、S304で高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力する。具体的には、画像出力装置101は、オフスクリーンレンダリング出力装置103に対して、S304で高品質オフスクリーンレンダリングされた画像を出力させる。
【0052】
なお、S304およびS305は、S303に続けて行われてもよいし、S301のリアルタイムレンダリング終了後に行われてもよいし、任意の時に行われてよい。
【0053】
このように、リアルタイムレンダリングではリアルタイムにレンダリングしつつ、仮想空間内の高品質(例えば、高画質)な画像を高品質オフスクリーンレンダリングして印刷物などとして出力することができる。
【0054】
ここまで、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまで一例であり、本発明は上述した実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0055】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0056】
100 画像出力システム
101 画像出力装置
102 リアルタイムレンダリング出力装置
103 オフスクリーンレンダリング出力装置
104 要求装置
201 リアルタイムレンダリング部
202 要求受信部
203 取得部
204 オフスクリーンレンダリング部
205 出力部