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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】養液の硝化抑制方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20221115BHJP
【FI】
A01G31/00 601A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018214143
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020080648
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】山田 義裕
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-57830(JP,A)
【文献】特開2017-143779(JP,A)
【文献】特開2001-17011(JP,A)
【文献】特開2011-70(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103007311(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00 - 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養液を用いて植物を栽培するにあたり、
循環していない養液の原液と原水を混合するための養液タンク内を、該養液タンク内のpHが低下した時に殺菌して、亜硝酸菌による養液の硝化を抑制することを特徴とする養液の硝化抑制方法。
【請求項2】
前記養液タンク内の殺菌を、該養液タンク内に殺菌剤を注入し撹拌することにより行い、殺菌後の洗浄水を前記養液タンク外に排出することを特徴とする請求項1に記載の養液の硝化抑制方法。
【請求項3】
循環していない養液の原液と原水を混合するための養液タンクと、
該養液タンク内のpHを検出するpHセンサーと、
該養液タンク内のpHが低下した時に殺菌剤を該養液タンク内に注入する手段と、
該養液タンク内の養液を撹拌する手段と、
撹拌・殺菌後の洗浄水を前記養液タンク外に排出する手段と、
を備え、
前記養液タンク内を殺菌して、亜硝酸菌による養液の硝化を抑制するようにされていることを特徴とする養液の硝化抑制装置。
【請求項4】
循環していない養液の原液と原水を混合するための養液タンクと、
養液タンク内のpHを検出するpHセンサーと、
該養液タンク内のpHが低下した時に該養液タンク内の養液が導入される殺菌タンクと、
該殺菌タンク内の養液を撹拌する手段と、
該殺菌タンク内で殺菌された養液を前記養液タンクに戻す手段と、
を備え
前記養液タンク内を殺菌して、亜硝酸菌による養液の硝化を抑制するようにされていることを特徴とする養液の硝化抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養液の硝化抑制方法及び装置に係り、特に、養液タンク内での亜硝酸菌の増殖や亜硝酸イオンの蓄積により植物の根等に生理障害が発生するのを防止することが可能な養液の硝化抑制方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌を用いることなく養液を用いて植物を栽培する養液栽培(水耕栽培とも称する)が実用化されている。この養液栽培では、土耕栽培と比べて、肥料、光、空気、温度などの各種の条件について極めて厳密な制御を行えることから、平準化された品質規格の生産物を得ることができ、工業的生産が可能になっている。
【0003】
この養液栽培では、養液が一旦腐敗したり病原菌が発生すると、急速に同系統の容器の植物に蔓延するため、原水に植物に有害な病原菌が含まれている恐れがある場合や、養液を循環利用する場合などに病害を防ぐための殺菌装置が利用される。
【0004】
殺菌方法は、金属イオンやオゾンを用いるものが知られており、例えば特許文献1には、架橋構造を有する高分子電解質に各種金属を塩結合の形式で含有するか、配位結合の形式で含有する組成体を、養液の植物栽培床への供給口や、水道水、農業用水あるいは井戸水などの原水の給水口、養液タンク又は植物栽培床に投入して有害生物を防除する方法が記載されている。
【0005】
又、特許文献2には、植物の水耕栽培用培養液中に、連続的又は間欠的にオゾン気相を通気することにより、養液の腐敗や病原菌の発生がなく、しかも、植物の根や茎葉部の発育を良好にするようにすることが提案されている。
【0006】
又、特許文献3には、殺菌表面処理又は光触媒表面処理をした振動羽根又は固定板を備えた振動撹拌装置により用水の殺菌及び活性化を行うようにすることが記載されている。
【0007】
又、特許文献4には、養液に供給される水に銀イオンを添加することにより、養液に供給される水を殺菌することが記載されている。
【0008】
一方、病原菌ではないが、水槽内での生物濾過に必要不可欠な存在である硝化菌(アンモニアを亜硝酸に酸化させるアンモニア酸化細菌(亜硝酸菌)と、亜硝酸を硝酸塩に酸化させる亜硝酸酸化細菌(硝酸菌)の総称で、硝化細菌とも称する)が知られている。代表的な亜硝酸菌はニトロソモナス属の細菌であり、代表的な硝酸菌はニトロバクター属の細菌である。この硝化菌は、アンモニウムイオンや亜硝酸イオンを酸化することにより生命の維持や増殖に必要なエネルギーを得ている。土壌や河川、湖沼などに広く存在し、下水処理場で環境汚染の原因となる窒素化合物を生物的に除去する際に重要な役割を果たしており、環境問題の解決のために有用な微生物である。
【0009】
植物の栽培でも、硝化菌の硝化作用で液肥中のアンモニア態窒素を硝酸態窒素に変えたり(特許文献5)、土壌中の硝化細菌の活性状態を制御して、植物の生育状態を制御するのに利用すること(特許文献6)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開昭60-120922号公報
【文献】特開平4-121123号公報
【文献】特開2003-339270号公報
【文献】特許第6178940号公報
【文献】特開2004-97093号公報
【文献】特開2002-325511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明者は、養液栽培において、養液タンクの容量が1日の潅水量に比べて大きい場合、肥料成分中のアンモニアが硝化され、pHが低下すると共に亜硝酸イオンが増加し、植物の根に障害を生じることを発見した。従来、この問題は認識されていなかったが、実際に小規模な圃場では、養液のpHの低下や亜硝酸イオンの蓄積、植物への生理障害が起きていることを確認した。特に有機物からなる資材を養液に投入した場合に、この問題が生じやすい。
【0012】
例えば、有機物からなる資材を添加した条件で、1日の潅水量が養液タンク容量の1.5倍の圃場では亜硝酸イオンが蓄積し、1日の潅水量が養液タンク容量の2倍の圃場では亜硝酸イオンが蓄積しなかった。なお、潅水量と養液タンク容量の比がどの程度で問題を生じるかは、1回の潅水量や潅水頻度、液温など様々な条件で変化すると考えられる。
【0013】
又、栽培に必要な添加資材の中には有機物を成分とするものがあるが、これを養液に添加すると腐敗し、潅水チューブを詰まらせたり植物の根に障害を与える。そのため、有機物を成分とする資材は葉面散布によってしか植物に与えることができず、手間がかかっていた。
【0014】
しかしながら、従来の殺菌装置は、いずれも病原菌を対象としたものであり、養液を変性させる硝化菌を対象としたものではなかった。
【0015】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、循環していない養液の原液と原水を混合するための養液タンク内での亜硝酸菌の増殖や亜硝酸イオンの蓄積により植物の根等に生理障害が発生するのを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明においては、養液タンクに殺菌設備を設置し、例えばpHの低下を検知して殺菌を行う。
【0017】
亜硝酸菌は養液中だけでなく、養液タンクの内壁及び内壁への付着物に定着し増殖していると考えられるため、養液だけでなく養液タンク内、特に内壁を殺菌することが必要である。そのため養液タンクの上流や下流ではなく、養液タンク内もしくは養液タンクに出入りする経路を設けて殺菌設備を設置する。
【0018】
亜硝酸菌の増殖と亜硝酸イオンの蓄積は、亜硝酸濃度を実測するだけでなく、養液のpHの低下によっても検出できる。これは、次式に示す如く、アンモニウムイオンNH4 +が酸化されると亜硝酸イオンNO2 -と水素イオンH+が発生し、水素イオン濃度が上昇してpHが低下するためである。
NH4 + + 3/2O2 → NO2 - + 2H+ + H2O …(1)
【0019】
養液タンク内の殺菌は、水溶性の殺菌剤を添加して撹拌するのが効果的であり、殺菌剤としては、次亜塩素酸、過酸化水素、過炭酸塩、オゾンなどが考えられる。これらの殺菌剤及び殺菌剤の分解生成物の一部には植物に有害なものがあり、その場合、殺菌後の洗浄水が植物に供給されないように、肥料成分を含まない原水を養液タンク内に供給し、撹拌してすすいでから排水路へ排水することが望ましい。
【0020】
亜硝酸菌は植物の病原菌に比べて殺菌剤への耐性が低く、病原菌を殺菌することを目的とした従来の殺菌手法よりも温和な条件で殺菌できる。例えば、次亜塩素酸は通常の養液栽培では有効塩素濃度200-1000ppmで使用するが、亜硝酸菌による硝化は2-3ppmで抑えられることが知られている。オゾンは病原菌の殺菌には3-5ppmの濃度が必要であるが、亜硝酸菌による硝化は0.3ppmで抑えられる。そのため、本発明による殺菌設備は、従来の殺菌設備よりも簡易且つ低コストにできる。
【0021】
他に、超音波などの装置を用いた殺菌方法も考えられるが、この場合も亜硝酸菌による硝化は病原菌よりも温和な条件で抑えられるため、従来の殺菌設備よりも簡易かつ低コストにできる。
【0022】
又、本発明により養液に有機物を含む資材を投入することによる弊害が生じにくくなる。即ち、有機物による養液の腐敗は、主に養液タンク内に付着した有機物を様々な種類の細菌が腐敗させることが原因であるが、細菌は植物に病気をもたらす糸状菌に比べて温和な条件で殺菌できる。そのため、本発明のように養液タンク内を殺菌すれば、有機物資材を手間のかかる葉面散布ではなく省力的な養液への添加によって植物に与えることができる。なお、有機物の腐敗によっても有機酸が発生するので、pHの低下により有機物の腐敗を検出することで、有機物資材により植物に被害が生ずるのを防ぐことができる。
【0023】
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、養液を用いて植物を栽培するにあたり、循環していない養液の原液と原水を混合するための養液タンク内を、該養液タンク内のpHが低下した時に殺菌して、亜硝酸菌による養液の硝化を抑制することを特徴とする養液の硝化抑制方法により、前記課題を解決するものである。
【0025】
ここで、前記養液タンク内の殺菌を、該養液タンク内に殺菌剤を注入し撹拌することにより行い、殺菌後の洗浄水を前記養液タンク外に排出することができる。
【0026】
本発明は、又、循環していない養液の原液と原水を混合するための養液タンクと、該養液タンク内のpHを検出するpHセンサーと、該養液タンク内のpHが低下した時に殺菌剤を該養液タンク内に注入する手段と、該養液タンク内の養液を撹拌する手段と、撹拌・殺菌後の洗浄水を前記養液タンク外に排出する手段と、を備え、前記養液タンク内を殺菌して、亜硝酸菌による養液の硝化を抑制するようにされていることを特徴とする養液の硝化抑制装置により、同様に前記課題を解決するものである。
【0028】
本発明は、又、循環していない養液の原液と原水を混合するための養液タンクと、該養液タンク内のpHを検出するpHセンサーと、該養液タンク内のpHが低下した時に該養液タンク内の養液が導入される殺菌タンクと、該殺菌タンク内の養液を撹拌する手段と、該殺菌タンク内で殺菌された養液を前記養液タンクに戻す手段と、を備え、前記養液タンク内を殺菌して、亜硝酸菌による養液の硝化を抑制するようにされていることを特徴とする養液の硝化抑制装置により、同様に前記課題を解決するものである
【発明の効果】
【0029】
養液中の亜硝酸の生成は亜硝酸菌が原因である。本発明によれば、養液を変成させる亜硝酸菌を、循環していない養液の原液と原水を混合するための養液タンク内で効果的に殺菌することができる。従って、養液循環の有無にかかわらず、亜硝酸イオンの蓄積により植物の根等に生理障害が発生するのを防止することが可能となる。亜硝酸菌は通常の環境に常在しており根絶は不可能であるが、作物に害を及ぼすのは大量に増殖した場合である。そのため本発明により、大量に増殖する前に殺菌することで、植物への害を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態の全体構成を示す管路図
図2】同じく殺菌手順を示す流れ図
図3】本発明の第2実施形態の全体構成を示す管路図
図4】同じく殺菌手順を示す流れ図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0032】
本発明の第1実施形態は、図1に示す如く、養液タンク10と、給液ライン20と、圃場30とを主に備えている。
【0033】
前記養液タンク10には、給液口12から養液(原液)が供給されると共に吸水口14から水(原水)が供給され、撹拌装置16で撹拌されて養液18が生成される。
【0034】
この養液タンク10内の養液18は、給液ライン20のポンプ22、バルブ24及び潅水チューブ26を経由して圃場30に供給される。
【0035】
圃場30では栽培ベッド32の栽培用培地(ロックウール等)34に植物36が植えられており、これに給液ライン20の潅水チューブ26から養液18が供給される。栽培ベッド32に流出した養液18は、規制に合うように処理された後、廃棄されるか、又は、回収されて前記養液タンク10に戻され循環される。
【0036】
前記養液タンク10には、本発明に係るpHセンサー40が設けられると共に殺菌剤タンク42が併設されており、pHセンサー40でpHの低下を検出した時にこの殺菌剤タンク42の注入口44から養液タンク10内に殺菌剤が注入される。図において、46は、洗浄水および後述のすすぎ水を排出するための排出口、48は、そのポンプである。
【0037】
以下、図2を参照して第1実施形態における殺菌手順を説明する。
【0038】
まずステップ100で、前記pHセンサー40により養液タンク10内の養液18のpHが低下したことを検知した場合には、ステップ110で、ポンプ22を停止すると共にバルブ24を閉じて給液ライン20への給水を停止して、潅水チューブ26からの潅水を停止する。
【0039】
次いでステップ120に進み、殺菌剤タンク42から注入口44を経由して殺菌剤を養液タンク10内に注入する。
【0040】
次いでステップ130に進み、撹拌装置16で養液タンク10内を撹拌する。なお、殺菌時の撹拌は通常時の撹拌よりも強い力で行うことが望ましいので、通常時の撹拌装置16と別体の撹拌装置を設けることもできる。
【0041】
次いでステップ140に進み、ポンプ48を稼働して排出口46から洗浄水を排出する。
【0042】
次いでステップ150に進み、吸水口14から水のみを養液タンク10内に導入する。
【0043】
ステップ120から150までの処理は、殺菌効果を高めるために複数回繰り返してもよいし、何らかの方法で殺菌の結果を確認してから次のステップに進むようにしてもよい。
【0044】
次いでステップ160で、撹拌装置16を動かして養液タンク10内をすすぐ。
【0045】
次いでステップ170で、ポンプ48を駆動して排出口46からすすぎ水を排出する。
【0046】
ステップ160から170までの処理は、殺菌剤の排出が1回で困難な場合には複数回繰り返してもよいし、何らかの方法で殺菌剤の排出を確認してから次のステップに進むようにしてもよい。
【0047】
次いでステップ180に進み、給液口12と吸水口14から養液18と水を養液タンク10内に導入する。
【0048】
次いでステップ190で、撹拌装置16により水と養液18を撹拌し、ステップ200で、ポンプ22を駆動すると共にバルブ24を開いて給液ライン20の潅水チューブ26への養液18の供給を再開し、潅水を再開する。
【0049】
この第1実施形態によれば、養液タンク10内に殺菌剤を注入しているので、養液タンク10の内壁を確実に殺菌できる。なお、養液タンク10は殺菌剤を用いる代わりに超音波を照射して殺菌することもできる。
【0050】
次に、養液タンク10の外側に設けた殺菌タンクで養液タンク10内を殺菌するようにした本発明の第2実施形態を図3を参照して説明する。
【0051】
本実施形態は、養液タンク10の外側に殺菌タンク50と、該殺菌タンク50内に殺菌剤を注入するための注入口52と、養液タンク10内の養液18を殺菌タンク50内に導入するための給液管54、ポンプ56及びバルブ58と、殺菌タンク50内に導入された養液18と殺菌剤を撹拌するための撹拌装置60と、殺菌後の養液18を再び養液タンク10に戻すための給液管62、ポンプ64及びバルブ66と、第1実施形態と同様のpHセンサー40に基づいてこれらを制御する制御装置70とを備えている。
【0052】
他の構成については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0053】
以下、図4を参照して第2実施形態における殺菌手順を説明する。
【0054】
第1実施形態と同様のステップ100、110で、潅水を停止した後、ステップ320に進み、養液タンク10内の養液18を給液管54、ポンプ56及びバルブ58を用いて殺菌タンク50に移動する。
【0055】
次いでステップ330で、撹拌装置60により殺菌タンク50内を撹拌する。
【0056】
次いでステップ340で、殺菌が終わった養液18を給液管62、ポンプ64及びバルブ66により養液タンク10に戻す。
【0057】
次いでステップ350で、撹拌装置16により養液タンク10内を撹拌して養液タンク10内を殺菌する。
【0058】
その後のステップ140から200までの処理は第1実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明は省略する。
【0059】
なお、前記実施形態のいずれにおいても、殺菌剤の毒性が低く、洗浄水を排出する必要がない場合には、排出口46、ポンプ48、及び、ステップ140から170までの処理を省略することができる。特に第1実施形態で超音波を用いた場合には、洗浄水を排出する必要はない。
【0060】
又、前記実施形態においては、いずれもpHセンサー40を設けてpH低下により亜硝酸菌の増殖と亜硝酸イオンの蓄積を検出していたが、養液18のpHの低下ではなく亜硝酸濃度を実測することにより養液タンク10内の殺菌を行うことも可能である。
【0061】
あるいは、亜硝酸濃度やpHを測定することなく、定期的に養液タンク10内の殺菌を行うことも可能である。例えば、夏は週に数回、冬は1回等の頻度で行うことができる。この周期は、養液18中のアンモニアの濃度によって変えることができる。亜硝酸菌を含む可能性が低い雨水や水道水を用いる場合には、河川水や井戸水を用いる場合よりも頻度を下げることができる。
【符号の説明】
【0062】
10…養液タンク
16、60…撹拌装置
18…養液
20…給液ライン
26…潅水チューブ
30…圃場
32…栽培ベッド
34…栽培用培地
36…植物
40…pHセンサー
42…殺菌剤タンク
50…殺菌タンク
70…制御装置
図1
図2
図3
図4