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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/15 20060101AFI20221115BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01R13/15 A
H01R13/11 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018220891
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020087717
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆吉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 誠治
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-334973(JP,A)
【文献】特開2014-160545(JP,A)
【文献】特開平07-220791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/15
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子が挿入される挿入用開口部を有すると共に筒軸方向に延設される筒状に形成され、導電性の素材からなる本体部と、
前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、前記本体部の内部において前記筒軸方向に延設され、導電性の素材からなり、前記相手端子が接触する弾性板と、
を備え、
前記弾性板は、第1の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分に重ねられている第2の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分とを連結する連結部と、を有し、
前記第1の板バネ部分、前記第2の板バネ部分及び前記連結部は、1枚の導電性の板より形成されている、端子。
【請求項2】
前記弾性板は、前記挿入用開口部を形成する部分に接続されている基端側の第2端部を有し、
前記連結部は、前記第2端部に形成されている、請求項に記載の端子。
【請求項3】
前記弾性板は、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の一方に形成され、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との位置ズレを規制する規制部を有する、請求項1又は2に記載の端子。
【請求項4】
前記規制部は、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の他方を挟む一対の突部である、請求項3に記載の端子。
【請求項5】
前記一対の突部は、一方の板バネ部分の両側の側端面から突出して折り返されて形成されている、請求項4に記載の端子。
【請求項6】
前記本体部には、前記一対の突部を前記本体部から外部に露出させる露出用開口部が形成されている、請求項4又は5に記載の端子。
【請求項7】
相手端子が挿入される挿入用開口部を有すると共に筒軸方向に延設される筒状に形成され、導電性の素材からなる本体部と、
前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、前記本体部の内部において前記筒軸方向に延設され、導電性の素材からなり、前記相手端子が接触する弾性板と、
を備え、
前記弾性板は、第1の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分に重ねられている第2の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の一方に形成され、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との位置ズレを規制する規制部と、を有し、
前記規制部は、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の他方を挟む一対の突部であり、
前記本体部には、前記一対の突部を前記本体部から外部に露出させる露出用開口部が形成されている、端子。
【請求項8】
前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との一方には、孔、窪み又は切欠きが形成され、
前記規制部は、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との他方に形成され、前記孔、前記窪み又は前記切欠きに嵌め込まれる突部である、請求項3に記載の端子。
【請求項9】
相手端子が挿入される挿入用開口部を有すると共に筒軸方向に延設される筒状に形成され、導電性の素材からなる本体部と、
前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、前記本体部の内部において前記筒軸方向に延設され、導電性の素材からなり、前記相手端子が接触する弾性板と、
を備え、
前記弾性板は、第1の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分に重ねられている第2の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の一方に形成され、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との位置ズレを規制する規制部と、を有し、
前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との一方には、孔、窪み又は切欠きが形成され、
前記規制部は、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との他方に形成され、前記孔、前記窪み又は前記切欠きに嵌め込まれる突部である、端子。
【請求項10】
前記突部は、他方の板バネ部分において、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との対向面とは反対側の面から押圧されることにより形成されている、請求項8又は9に記載の端子。
【請求項11】
前記突部は、他方の板バネ部分の一部が切り起こされることにより形成されている、請求項8又は9に記載の端子。
【請求項12】
前記弾性板は、前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて延設された先端側の第1端部を有し、
前記規制部は、前記第1端部に形成されている、請求項から11のいずれか一項に記載の端子。
【請求項13】
相手端子が挿入される挿入用開口部を有すると共に筒軸方向に延設される筒状に形成され、導電性の素材からなる本体部と、
前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、前記本体部の内部において前記筒軸方向に延設され、導電性の素材からなり、前記相手端子が接触する弾性板と、
を備え、
前記弾性板は、第1の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分に重ねられている第2の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の一方に形成され、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との位置ズレを規制する規制部と、を有し、
前記弾性板は、前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて延設された先端側の第1端部を有し、
前記規制部は、前記第1端部に形成されている、端子。
【請求項14】
前記規制部は、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との前記筒軸方向以外の相対的なスライド移動を規制するように構成されている、請求項3から13のいずれか一項に記載の端子。
【請求項15】
前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分とは、別体の導電性の板によりそれぞれ形成されている、請求項7、9、13のいずれか一項に記載の端子。
【請求項16】
前記第2の板バネ部分の板厚は、前記第1の板バネ部分の板厚よりも薄い、請求項1から15のいずれか一項に記載の端子。
【請求項17】
前記第1の板バネ部分は、前記相手端子が接触する接点部を有し、
前記第2の板バネ部分は、前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されている前記第1の板バネ部分の内側に配置されている、請求項16に記載の端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、箱形本体部の内部において折り返して形成され、箱形本体部の内部に挿入された雄側の相手端子と接触する弾性接触片と、弾性接触片の裏側に配置された補助弾性片と、を備えた雌側の端子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3388170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の端子においては、弾性接触片は、箱形本体部の長手方向に平行な軸線を中心に折り返されている。このため、本体部に対して挿入された相手端子は、長手方向に直交する左右方向のバランスが不安定な状態で弾性接触片に接触する。この結果、相手端子と端子との接触信頼性が不十分となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、相手端子に対する端子の接触信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る端子は、
相手端子が挿入される挿入用開口部を有すると共に筒軸方向に延設される筒状に形成され、導電性の素材からなる本体部と、
前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、前記本体部の内部において前記筒軸方向に延設され、導電性の素材からなり、前記相手端子が接触する弾性板と、
を備え、
前記弾性板は、第1の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分に重ねられている第2の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分とを連結する連結部と、を有し、
前記第1の板バネ部分、前記第2の板バネ部分及び前記連結部は、1枚の導電性の板より形成されている。
【0007】
前記弾性板は、前記挿入用開口部を形成する部分に接続されている基端側の第2端部を有し、
前記連結部は、前記第2端部に形成されていてもよい。
【0008】
前記弾性板は、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の一方に形成され、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との位置ズレを規制する規制部を有していてもよい。
【0009】
前記規制部は、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の他方を挟む一対の突部であってもよい。
【0010】
前記一対の突部は、一方の板バネ部分の両側の側端面から突出して折り返されて形成されていてもよい。
【0011】
前記本体部には、前記一対の突部を前記本体部から外部に露出させる露出用開口部が形成されていてもよい。
本発明の第2の観点に係る端子は、
相手端子が挿入される挿入用開口部を有すると共に筒軸方向に延設される筒状に形成され、導電性の素材からなる本体部と、
前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、前記本体部の内部において前記筒軸方向に延設され、導電性の素材からなり、前記相手端子が接触する弾性板と、
を備え、
前記弾性板は、第1の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分に重ねられている第2の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の一方に形成され、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との位置ズレを規制する規制部と、を有し、
前記規制部は、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の他方を挟む一対の突部であり、
前記本体部には、前記一対の突部を前記本体部から外部に露出させる露出用開口部が形成されている。
【0012】
前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との一方には、孔、窪み又は切欠きが形成され、
前記規制部は、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との他方に形成され、前記孔、前記窪み又は前記切欠きに嵌め込まれる突部であってもよい。
本発明の第3の観点に係る端子は、
相手端子が挿入される挿入用開口部を有すると共に筒軸方向に延設される筒状に形成され、導電性の素材からなる本体部と、
前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、前記本体部の内部において前記筒軸方向に延設され、導電性の素材からなり、前記相手端子が接触する弾性板と、
を備え、
前記弾性板は、第1の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分に重ねられている第2の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の一方に形成され、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との位置ズレを規制する規制部と、を有し、
前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との一方には、孔、窪み又は切欠きが形成され、
前記規制部は、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との他方に形成され、前記孔、前記窪み又は前記切欠きに嵌め込まれる突部である。
【0013】
前記突部は、他方の板バネ部分において、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との対向面とは反対側の面から押圧されることにより形成されていてもよい。
【0014】
前記突部は、他方の板バネ部分の一部が切り起こされることにより形成されていてもよい。
【0015】
前記弾性板は、前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて延設された先端側の第1端部を有し、
前記規制部は、前記第1端部に形成されていてもよい。
【0016】
本発明の第4の観点に係る端子は、
相手端子が挿入される挿入用開口部を有すると共に筒軸方向に延設される筒状に形成され、導電性の素材からなる本体部と、
前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、前記本体部の内部において前記筒軸方向に延設され、導電性の素材からなり、前記相手端子が接触する弾性板と、
を備え、
前記弾性板は、第1の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分に重ねられている第2の板バネ部分と、前記第1の板バネ部分及び前記第2の板バネ部分の一方に形成され、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との位置ズレを規制する規制部と、を有し、
前記弾性板は、前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて延設された先端側の第1端部を有し、
前記規制部は、前記第1端部に形成されている。
【0017】
前記規制部は、前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分との前記筒軸方向以外の相対的なスライド移動を規制するように構成されていてもよい。
【0018】
前記第1の板バネ部分と前記第2の板バネ部分とは、別体の導電性の板によりそれぞれ形成されていてもよい。
【0019】
前記第2の板バネ部分の板厚は、前記第1の板バネ部分の板厚よりも薄くてもよい。
【0020】
前記第1の板バネ部分は、前記相手端子が接触する接点部を有し、
前記第2の板バネ部分は、前記挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されている前記第1の板バネ部分の内側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、弾性板は、挿入用開口部にアーチ部分が向くよう折り返されて、本体部の内部において筒軸方向に延設されている。このため、挿入用開口部から挿入された相手端子は、筒軸方向に直交する左右方向のバランスが安定した状態で弾性板に接触する。この結果、相手端子に対する端子の接触信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1に係る端子の斜視図(その1)である。
図2】実施の形態1に係る端子の斜視図(その2)である。
図3】実施の形態1に係る端子の展開図である。
図4】実施の形態1に係る端子の正面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6】(A)は、実施の形態1に係る弾性板の斜視図(その1)である。(B)は、実施の形態1に係る弾性板の斜視図(その2)である。
図7】(A)は、実施の形態1に係る弾性板の側面図である。(B)は、図7(A)のB-B断面図である。
図8】(A)は、図5のC-C断面図である。(B)は、比較例に係る端子の断面図である。
図9】(A)は、相手端子が接触する前の実施の形態1に係る弾性板の側面図である。(B)は、相手端子が接触した後の実施の形態1に係る弾性板の側面図である。
図10図5のD-D断面図である。
図11】実施の形態2に係る端子の斜視図である。
図12】実施の形態2に係る弾性板の斜視図である。
図13】実施の形態2に係る端子の展開図である。
図14】(A)は、実施の形態3に係る弾性板の断面図である。(B)は、実施の形態3に係る弾性板の端部の拡大斜視図である。
図15】(A)は、実施の形態4に係る弾性板の断面図である。(B)は、実施の形態4に係る弾性板の端部の拡大斜視図である。
図16】(A)は、実施の形態5に係る弾性板の断面図である。(B)は、実施の形態5に係る弾性板の端部の拡大斜視図である。
図17】実施の形態6に係る弾性板の側面図である。
図18】実施の形態7に係る弾性板の側面図である。
図19】実施の形態7に係る端子の展開図である。
図20】(A)は、実施の形態8に係る弾性板の側面図である。(B)は、実施の形態9に係る弾性板の側面図である。
図21】(A)は、実施の形態10に係る弾性板の斜視図である。(B)は、実施の形態11に係る弾性板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る端子1について、図1図10を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。XYZ座標のY軸方向は、図1及び図2に示すように、端子1と相手端子100とを接続するために、相手端子100を端子1に挿入する挿入方向D1と同一の方向である。X軸方向及びZ軸方向は、挿入方向D1に直交する方向である。
【0024】
端子1は、例えば、自動車部品に装備される電子回路部品としてのコネクタに用いられるものである。端子1は、Y軸方向に延在する形状の雌端子である。端子1は、実施の形態1においては、図3に示すように、キャリア40から切断された一枚の導電性の板1-1が折り曲げられることにより形成されている。この端子1は、図4及び図5に示すように、本体部10と、弾性板20と、圧着部30とを備える。
【0025】
本体部10は、銅、銅合金等の導電性の素材から形成されていると共に、弾性板20を内部で支持する部材である。本体部10は、天板10A、10Bと、底板10Cと、側壁板10R、10Lとを有し、筒軸方向A1に延設される角筒状に形成されている。2枚の天板10A、10Bは重ね合わされている。本体部10の側壁板10Rと側壁板10Lとの間には、弾性板20が底板10Cに対向して配置されている。また、本体部10は、挿入用開口部11と、露出用開口部12と、ランス係止部13と、逆挿入防止突部14とを有する。
【0026】
挿入用開口部11は、相手端子100が挿入される開口部である。挿入用開口部11は、本体部10の-Y側の端部に設けられている。
【0027】
露出用開口部12は、図1及び図2に示すように、弾性板20の後述する規制部23を、本体部10から外部に露出させるための開口部である。露出用開口部12は、本体部10の側壁板10R、10Lそれぞれに設けられている。
【0028】
ランス係止部13は、図5に示すように、図示しないコネクタハウジングのランスに係止されることで、端子1を引抜き不可能な状態でコネクタハウジングに保持するために形成されている。ランス係止部13は、底板10Cに設けられている。
【0029】
逆挿入防止突部14は、底板10Cから-Z方向に突出して形成されている。逆挿入防止突部14は、作業者が端子1をコネクタハウジングの端子収容室に挿入する際に、端子1の上下方向を逆にして挿入してしまうことを防止するためのものである。
【0030】
弾性板20は、銅、銅合金等からなる弾性と導電性とを有する一枚の板材から形成されている。弾性板20は、図1及び図2に示すように、X軸方向に平行な軸線を中心に折り返されてアーチ部分を挿入用開口部11に向け、本体部10の内部において筒軸方向A1に延設されている。弾性板20は、図5に示すように、+Z側に向けて突出し、なだらかな円弧状に形成された凸部分を有する。この弾性板20は、図1及び図2に示すように、第1の板バネ部分21と、第1の板バネ部分21に重ねられている第2の板バネ部分22と、2枚の板バネ部分21、22の位置ズレを抑制又は規制する規制部23と、連結部24とを有する。
【0031】
第1の板バネ部分21は、図6及び図7に示すように、本体部10から延設されると共に、X軸方向に平行な軸線C1を中心に折り返されている外バネである。この第1の板バネ部分21は、相手端子100が接触する接点部26を有する。
【0032】
第2の板バネ部分22は、折り返されている第1の板バネ部分21の内側に配置されている内バネである。なお、本実施の形態1においては、第2の板バネ部分22は、その板厚t2が、第1の板バネ部分21の板厚t1よりも薄く形成されている。また、第1の板バネ部分21は、その板厚t1が、本体部10の板厚t3に等しく形成されている。
【0033】
規制部23は、第1の板バネ部分21と第2の板バネ部分22との筒軸方向A1(Y軸方向に平行な方向)以外の相対的なスライド移動を規制する。具体的には、規制部23は、2枚の板バネ部分21、22の左右方向A2(X軸方向に平行な方向)のスライド移動を規制するように構成されている。本実施の形態1においては、規制部23は、第1の板バネ部分21の両側の側端面21bから突出して折り返されて形成されて、第2の板バネ部分22を挟む一対の突部23Aである。また、規制部23は、挿入用開口部11にアーチ部分が向くよう折り返されて延設された弾性板20の先端側の第1端部20-1に設けられている。図1及び図2に示すように、この一対の突部23Aは、露出用開口部12から外部に露出する。
【0034】
連結部24は、図2及び図6に示すように、2枚の板バネ部分21、22を連結する。連結部24は、挿入用開口部11を形成する部分に接続されている弾性板20の基端側の第2端部20-2に設けられている。この連結部24は、図6(B)に示すように、Y軸方向に平行な軸線C2を中心に折り曲げられている。
【0035】
圧着部30は、図1及び図2に示すように、導体かしめ部31と被覆固定部32とを備える。導体かしめ部31は、かしめにより、電線200の導電性の芯線201に圧着され、電気的に接続される。被覆固定部32は、かしめにより、電線200の絶縁性の被覆部202の端部を押さえて、引抜き力から導体かしめ部31と芯線201との接続を保護する。
【0036】
以上、説明したように、本実施の形態1においては、図1及び図2に示すように、弾性板20は、挿入用開口部11にアーチ部分が向くよう折り返されて、本体部10の内部において筒軸方向A1に延設されている。このため、図8(A)に示すように、挿入用開口部11から挿入された相手端子100は、その左右方向A2のバランスが安定した状態で弾性板20に接触する。
【0037】
これに対して、図8(B)に示す比較例に係る端子1Aにおいては、弾性板20は、屈曲部25により、Y軸方向に平行に折り返されている。このため、挿入用開口部11から挿入された相手端子100は、その左右方向A2のバランスが不安定な状態で弾性板20に接触する。この結果、相手端子100と端子1Aとの接触信頼性が不十分となるおそれがある。
【0038】
しかしながら、本実施の形態1においては、図5及び図8を参照するとわかるように、弾性板20は、挿入用開口部11にアーチ部分が向くよう、X軸方向に平行な軸線C1を中心に折り返されている。このため、挿入用開口部11から挿入された相手端子100は、その左右方向A2のバランスが安定した状態で弾性板20に接触する。この結果、端子1は、相手端子100に対する接触信頼性を向上させることができる。
【0039】
また、本実施の形態1においては、弾性板20は、図6及び図7に示すように、規制部23を有する。これにより、2枚の板バネ部分21、22に位置ズレが生じることを抑制することができる。この結果、端子1は、相手端子100に対する接触信頼性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施の形態1においては、規制部23は、2枚の板バネ部分21、22の左右方向A2の相対的なスライド移動を規制するように構成されている。このため、図9に示すように、2枚の板バネ部分21、22の筒軸方向A1の相対的なスライド移動が許容されつつ、左右方向の相対的なスライド移動が規制される。これにより、端子1は、相手端子100が挿入される際、2枚の板バネ部分21、22のスライドを筒軸方向A1に規制するので、相手端子100を保持する圧力を安定させることができる。この結果、端子1は、相手端子100に対する接触信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施の形態1において、本体部10には、図10に示すように、一対の突部23Aを本体部10から外部に露出させる露出用開口部12が形成されている。このため、端子1は、規制部23を除いた弾性板20の幅W2(X軸方向の長さ)を大きく確保して、弾性板20の弾性力を向上させつつ、本体部10の幅W1(X軸方向の長さ)を小さくすることができる。これにより、端子1は、全体の小型化を実現しつつ、相手端子100に対する接触信頼性を向上させることができる。
【0042】
なお、本実施の形態1においては、規制部23(突部23A)は、第1の板バネ部分21に形成されていると共に、第2の板バネ部分22を挟む。しかしながら、これに限られない。規制部23(突部23A)は、第2の板バネ部分22に形成されていると共に、第1の板バネ部分21を挟むようにしてもよい。
【0043】
実施の形態2.
本発明の実施の形態1に係る端子1では、図6(B)に示すように、弾性板20の連結部24は、Y軸方向に平行な軸線C2を中心に折り曲げられている。しかしながら、これに限られない。図11及び図12に示す実施の形態2に係る端子2のように、連結部24は、X軸方向に平行な軸線C3を中心に折り曲げられていてもよい。この場合、連結部24は、弾性板20の先端側の第1端部20-1に設けられ、規制部23は、挿入用開口部11に接続されている基端側の第2端部20-2に設けられる。この端子2においても、端子1と同等の効果を奏することができる。ただし、端子2においては、図13に示すように、端子2を形成する板2-1を打ち抜く前の板材の長さL1を、端子1を形成する板1-1(図3参照)を打ち抜く前の板材の長さよりも大きくしなければならない。また、板2-1を打ち抜く前の板材には、端子2の形成に不要なスペースSが生じる。このため、材料のコストの観点からは、実施の形態1に係る端子1の形状の方が好ましい。
【0044】
実施の形態3.
本発明の実施の形態1に係る端子1では、図6及び図7に示すように、規制部23は、第2の板バネ部分22を挟む一対の突部23Aである。しかしながら、これに限られない。規制部23は、2枚の板バネ部分21、22の左右方向A2の相対的なスライド移動を規制するように構成されていれば、突部23A以外の形状のものであってもよい。例えば、図14に示す実施の形態3に係る端子3のように、規制部23は、第1の板バネ部分21に形成されている孔21aに嵌め込まれる突部23Bであってもよい。この突部23Bは、例えば、第2の板バネ部分22の裏面(-Z側の面)から+Z方向にパンチで押圧することにより形成される。また、孔21aは、2枚の板バネ部分21、22の筒軸方向A1の相対的なスライド移動が許容されるように、例えば、Y軸方向を長手方向とする長孔に形成することが望ましい。
【0045】
なお、本実施の形態3においては、規制部23(突部23B)は、第2の板バネ部分22に形成され、孔21aは、第1の板バネ部分21に形成されている。しかしながら、これに限られない。規制部23(突部23B)は、第1の板バネ部分21に形成され、孔21aは、第2の板バネ部分22に形成されていてもよい。
【0046】
また、本実施の形態3においては、孔21aは、第1の板バネ部分21を板厚方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔である。しかしながら、これに限られない。突部23Bを嵌め込むことができる形状であれば、孔21aでなくてもよい。例えば、板厚方向に貫通しない窪みであってもよいし、切欠きであってもよい。
【0047】
実施の形態4.
規制部23は、2枚の板バネ部分21、22の左右方向A2の相対的なスライド移動を規制するように構成されていれば、実施の形態1、3の突部23A、23B以外の形状のものであってもよい。例えば、図15に示す実施の形態4に係る端子4のように、規制部23は、第1の板バネ部分21に形成されている切欠き21cに嵌め込まれる突部23Cであってもよい。この突部23Cは、例えば、第2の板バネ部分22の一部が切り起こされることにより形成されている。
【0048】
なお、本実施の形態4においては、規制部23(突部23C)は、第2の板バネ部分22に形成され、切欠き21cは、第1の板バネ部分21に形成されている。しかしながら、これに限られない。規制部23(突部23C)は、第1の板バネ部分21に形成され、切欠き21cは、第2の板バネ部分22に形成されていてもよい。
【0049】
また、本実施の形態4においては、突部23Cが嵌め込まれる対象は、切欠き21cである。しかしながら、これに限られない。当該対象は、突部23Cが嵌め込まれることができる形状であれば、切欠き21cでなくてもよい。例えば、当該対象は、孔であってもよいし、窪みであってもよい。
【0050】
実施の形態5.
実施の形態4に係る端子4においては、突部23Cは、先端近傍に切り込みが入れられた第2の板バネ部分22の一部を、Y軸方向に平行な軸線を中心に折り返されることにより形成されている。しかしながら、これに限られない。図16に示す実施の形態5に係る端子5のように、突部23Dは、両方の角部が切り取られた第2の板バネ部分22の先端を、X軸方向に平行な軸線を中心に折り返すことにより形成されていてもよい。
【0051】
なお、本実施の形態5においては、規制部23(突部23D)は、第2の板バネ部分22に形成され、切欠き21cは、第1の板バネ部分21に形成されている。しかしながら、これに限られない。規制部23(突部23D)は、第1の板バネ部分21に形成され、切欠き21cは、第2の板バネ部分22に形成されていてもよい。
【0052】
また、本実施の形態5においては、突部23Dが嵌め込まれる対象は、切欠き21cである。しかしながら、これに限られない。当該対象は、突部23Dが嵌め込まれることができる形状であれば、切欠き21cでなくてもよい。例えば、当該対象は、孔であってもよいし、窪みであってもよい。
【0053】
その他の実施の形態
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態1によって限定されるものではない。例えば、図6及び図7に示すように、上記実施の形態1においては、第2の板バネ部分22の板厚t2は、第1の板バネ部分21の板厚t1よりも薄い。しかしながら、これに限られない。第2の板バネ部分22の板厚t2は、第1の板バネ部分21の板厚t1と同一であってもよいし、図17に示す端子6のように、第2の板バネ部分22の板厚t2は、第1の板バネ部分21の板厚t1よりも厚くてもよい。第2の板バネ部分22は、弾性板20が相手端子100を保持する圧力を増加させることを目的として設けられたものであり、板厚t2を変更することによって上記圧力を調整することができる。ただし、第2の板バネ部分22は、X軸方向に平行な軸線C1を中心に折り返されたアーチ部分の曲げ半径を大きくして応力集中を緩和するため、上記実施の形態1のように、板厚t2は、板厚t1よりも薄いことが好ましい。
【0054】
上記実施の形態1~5においては、図7(A)に示すように、第1の板バネ部分21の板厚t1は、本体部10の板厚t3に等しく、第2の板バネ部分22の板厚t2は、第1の板バネ部分21の板厚t1よりも薄い(t3=t1>t2)。しかしながら、これに限られない。図18に示す端子7のように、第1の板バネ部分21の板厚t1を、第2の板バネ部分22の板厚t2に等しくすると共に、これらの板厚t1、t2を本体部10の板厚t3よりも薄くしてもよい(t3>t1=t2)。この場合、図19に示すように、一枚の導電性の板7-1において、弾性板20を構成する部分の板厚を減厚してから(薄くしてから)、板7-1を折り曲げて、端子7を形成する。
【0055】
また、端子7においては、第1の板バネ部分21の板厚t1は、第2の板バネ部分22の板厚t2に等しいが、これに限られない。図20(A)に示す端子8のように、第1の板バネ部分21の板厚t1を、本体部10の板厚t3よりも薄くし、かつ、第2の板バネ部分22の板厚t2を、第1の板バネ部分21の板厚t1よりも薄くしてもよい(t3>t1>t2)。
【0056】
また、図20(B)に示す端子9のように、第2の板バネ部分22の板厚t2を、本体部10の板厚t3と等しくし、第1の板バネ部分21の板厚t1を、第2の板バネ部分22の板厚t2よりも薄くしてもよい(t3=t2>t1)。すなわち、第1の板バネ部分21の板厚t1のみを減厚してもよい。
【0057】
上記実施の形態1~5においては、図6(B)に示すように、弾性板20は1枚の板材から形成されている。しかしながら、これに限られず、図21(A)に示す端子51のように、2枚の板バネ部分21、22を別体にして、それらを重ね合わせるようにしてもよい。この場合、連結部24を不要とすることができる。
【0058】
上記実施の形態1~5においては、図6に示すように、規制部23は、弾性板20の先端側の第1端部20-1又は基端側の第2端部20-2に設けられている。しかしながら、これに限られず、図21(B)に示す端子52のように、規制部23は、第1端部20-1及び第2端部20-2以外の箇所に設けられていてもよい。ただし、規制部23が、第1端部20-1及び第2端部20-2以外の箇所に設けられると、弾性板20の弾性力が低下するため、規制部23は、第1端部20-1及び第2端部20-2のいずれかに設けられている方が好ましい。
【0059】
同様に、連結部24は、弾性板20の先端側の第1端部20-1又は基端側の第2端部20-2に設けられている。しかしながら、これに限られず、図21(B)に示すように、連結部24は、第1端部20-1及び第2端部20-2以外の箇所に設けられていてもよい。ただし、連結部24が、第1端部20-1及び第2端部20-2以外の箇所に設けられると、弾性板20の弾性力が低下するため、連結部24は、第1端部20-1及び第2端部20-2のいずれかに設けられている方が好ましい。
【0060】
上記実施の形態1~5においては、図6に示すように、規制部23は、弾性板20に一つ設けられている。しかしながら、これに限られず、規制部23は、二つ以上設けられていてもよい。同様に、連結部24は、弾性板20に一つ設けられている。しかしながら、これに限られず、連結部24は、二つ以上設けられていてもよい。
【0061】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,2,3,4,5,6,7,8,9,51,52:端子、1-1,2-1,7-1:板、10:本体部、10A,10B:天板、10C:底板、10R,10L:側壁板、11:挿入用開口部、12:露出用開口部、13:ランス係止部、14:逆挿入防止突部、20:弾性板、20-1:第1端部、20-2:第2端部、21:第1の板バネ部分、21a:孔、21b:(第1の板バネ部分の)側端面、21c:切欠き、22:第2の板バネ部分、23:規制部、23A,23B,23C,23D:突部、24:連結部、25:屈曲部、26:接点部、30:圧着部、31:導体かしめ部、32:被覆固定部、40:キャリア、100:相手端子、200:電線、201:芯線、202:被覆部、A1:筒軸方向、A2:左右方向、C1,C2,C3:軸線、D1:挿入方向、S:スペース、W1,W2:幅、L1:長さ、t1,t2,t3:板厚。
図1
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