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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】車両用内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20221115BHJP
   F02F 1/00 20060101ALI20221115BHJP
   F02F 1/42 20060101ALI20221115BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
F01N3/28 301V
F02F1/00 N
F02F1/42 G
F01N3/24 T
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019011669
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020118129
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 拓也
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-148280(JP,A)
【文献】特開2016-44550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
F02F 1/00
F02F 1/42
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を有するシリンダブロックと、前記シリンダブロックの上部に取付けられ、前記気筒から排出される排気ガスを集合する排気マニホールドが内部に形成されたシリンダヘッドと、前記シリンダブロックの下部に取付けられたオイルパンとを備え、
前記シリンダヘッドが、前記気筒の配列方向の中央部に形成され、前記排気マニホールドから排気ガスを排出する排気ガス出口と、前記排気ガス出口の周囲に設けられ、過給機の排気導入部が取付けられる取付面とを有し、
前記過給機の排気ガス排出部に、排気浄化装置が接続された車両用内燃機関であって、
前記排気浄化装置は、上側ブラケットにより前記シリンダブロックの上部に連結されるとともに、下側ブラケットにより前記シリンダブロックの下部または前記オイルパンに連結されており、
前記気筒の配列方向と直交する水平方向から前記車両用内燃機関を見た場合に、前記上側ブラケットは、前記取付面と前記気筒の配列方向と重なるように設置されていることを特徴とする車両用内燃機関。
【請求項2】
前記上側ブラケットは、前記排気浄化装置が取付けられる排気浄化装置側取付部を有し、
前記気筒の配列方向と直交する水平方向から前記車両用内燃機関を見た場合に、前記排気浄化装置側取付部は、前記シリンダヘッドと前記シリンダブロックとを跨ぎ、前記取付面と前記気筒の配列方向で重なる位置に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用内燃機関。
【請求項3】
前記上側ブラケットは、前記シリンダブロックに取付けられるシリンダブロック側取付部を有し、
前記シリンダブロック側取付部は、前記取付面と前記気筒の配列方向で重なる位置に設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用内燃機関。
【請求項4】
前記シリンダブロックは、前記過給機および前記排気浄化装置が設置される第1の側面に、前記シリンダブロックから膨出する膨出部を有し、
前記膨出部は、前記第1の側面と反対側の前記シリンダブロックの第2の側面に向かって湾曲し、前記排気浄化装置の外周部の一部が収容される凹部を有し、
前記シリンダブロック側取付部は、前記膨出部に連結されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用内燃機関。
【請求項5】
前記第1の側面に、前記第1の側面から外方に突出するオイルクーラ取付部が設けられており、
前記膨出部は、前記第1の側面に設けられたリブを介して前記オイルクーラ取付部に連結されており、
前記シリンダブロック側取付部は、前記リブ上に設置されていること特徴とする請求項4に記載の車両用内燃機関。
【請求項6】
前記リブの下方において前記第1の側面に、前記オイルクーラ取付部を横切る筒状のメインギャラリが設けられており、
前記シリンダブロック側取付部は、前記膨出部と前記リブと前記オイルクーラ取付部と前記メインギャラリとに囲まれていることを特徴とする請求項5に記載の車両用内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される内燃機関として、シリンダブロックの上部に取付けられたシリンダヘッドの内部に、複数の排気ポートと、複数の排気ポートを集合する排気集合部とが形成されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この内燃機関は、シリンダヘッドの排気側側面の気筒の配列方向の中央部に排気集合ポートの排気出口が形成されており、排気出口に過給機のタービンハウジングが取付けられている。
【0004】
過給機のタービンハウジングの排気導出口には排気浄化装置の排気導出管が接続されており、排気浄化装置は、気筒の配列方向の中央部に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6096518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の内燃機関にあっては、排気浄化装置をシリンダブロックに固定する構造になっていないので、過給機の振動が排気浄化装置に伝達されて排気浄化装置が大きく振動する。このため、過給機の振動を抑制できず、過給機の振動がシリンダブロックに伝達され、内燃機関の振動が増大するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、過給機の振動を抑制することができ、車両用内燃機関の振動を抑制できる車両用内燃機関を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の気筒を有するシリンダブロックと、前記シリンダブロックの上部に取付けられ、前記気筒から排出される排気ガスを集合する排気マニホールドが内部に形成されたシリンダヘッドと、前記シリンダブロックの下部に取付けられたオイルパンとを備え、前記シリンダヘッドが、前記気筒の配列方向の中央部に形成され、前記排気マニホールドから排気ガスを排出する排気ガス出口と、前記排気ガス出口の周囲に設けられ、過給機の排気導入部が取付けられる取付面とを有し、前記過給機の排気ガス排出部に、排気浄化装置が接続された車両用内燃機関であって、前記排気浄化装置は、上側ブラケットにより前記シリンダブロックの上部に連結されるとともに、下側ブラケットにより前記シリンダブロックの下部または前記オイルパンに連結されており、前記気筒の配列方向と直交する水平方向から前記車両用内燃機関を見た場合に、前記上側ブラケットは、前記取付面と前記気筒の配列方向と重なるように設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように上記の本発明によれば、過給機の振動を抑制することができ、車両用内燃機関の振動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関を備えたパワーユニットの正面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関の正面図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関の左側面図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関の正面図であり、過給機と排気浄化装置を取り外した状態を示している。
図5図5は、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関の正面図であり、排気浄化装置を取り外した状態を示している。
図6図6は、図2のVI-VI方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係る車両用内燃機関は、複数の気筒を有するシリンダブロックと、シリンダブロックの上部に取付けられ、気筒から排出される排気ガスを集合する排気マニホールドが内部に形成されたシリンダヘッドと、シリンダブロックの下部に取付けられたオイルパンとを備え、シリンダヘッドが、気筒の配列方向の中央部に形成され、排気マニホールドから排気ガスを排出する排気ガス出口と、排気ガス出口の周囲に設けられ、過給機の排気導入部が取付けられる取付面とを有し、過給機の排気ガス排出部に、排気浄化装置が接続された車両用内燃機関であって、排気浄化装置は、上側ブラケットによりシリンダブロックの上部に連結されるとともに、下側ブラケットによりシリンダブロックの下部またはオイルパンに連結されており、気筒の配列方向と直交する水平方向から車両用内燃機関を見た場合に、上側ブラケットは、取付面と気筒の配列方向と重なるように設置されている。
【0012】
これにより、本発明の一実施の形態に係る車両用内燃機関は、過給機の振動を抑制することができ、車両用内燃機関の振動を抑制できる。
【実施例
【0013】
以下、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関について、図面を用いて説明する。
図1から図6は、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関を示す図である。図1から図6において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の車両用内燃機関の上下前後左右方向とし、前後方向に対して直交する方向が左右方向、車両用内燃機関の高さ方向が上下方向である。
【0014】
まず、構成を説明する。
図1において、車両1は、左サイドフレーム2Lおよび右サイドフレーム2Rを備えており、左サイドフレーム2Lおよび右サイドフレーム2Rは、車両1の幅方向に離隔し、車両1の前後方向に延びている。
【0015】
車両1にはパワーユニット3が設けられている。パワーユニット3は、熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する車両用内燃機関としてのエンジン4と、エンジン4の回転速度を変速して出力する変速機5とを含んで構成されている。
【0016】
エンジン4は、シリンダブロック11、シリンダヘッド12、シリンダヘッドカバー13よび潤滑用のオイルが貯留されるオイルパン14を備えている。
【0017】
シリンダブロック11には複数の気筒11A(図6参照)が設けられている。本実施例のエンジン4は、4つの気筒11Aを有する4気筒エンジンから構成されているが、4気筒エンジンに限定されるものではない。
【0018】
気筒11Aには図示しないピストンが収納されており、ピストンは、気筒11Aに対して上下方向に往復運動する。ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介してクランク軸11S(図3参照)に連結されており、ピストンの往復運動は、コネクティングロッドを介してクランク軸11Sの回転運動に変換される。
【0019】
シリンダブロック11の気筒11Aの配列方向(以下、気筒列方向Lという)の左端部にはフランジ部11Fが設けられている。図3に示すように、フランジ部11Fは、シリンダブロック11の左端部からクランク軸11Sの放射方向外方に延びている。
【0020】
図1において、変速機5は、変速機ケース5Aを備えており、変速機ケース5Aの右端部にはフランジ部5Fが設けられている。フランジ部5Fは、フランジ部11Fに合致するようにフランジ部5Fと同一形状に形成されている。エンジン4は、フランジ部5Fが図示しないボルトによってフランジ部11Fに締結されることにより、変速機5に連結されている。
【0021】
シリンダブロック11の気筒列方向Lの右端部にはフランジ部11Rが設けられており、フランジ部11Rには図示しないボルトによってチェーンケース7が締結されている。
【0022】
エンジン4は、右マウント装置6Rを介して右サイドフレーム2Rに弾性的に支持されており、変速機5は、左マウント装置6Lを介して左サイドフレーム2Lに弾性的に支持されている。
【0023】
シリンダヘッド12にはいずれも図示しない複数の吸気ポート、吸気ポートを開閉する複数の吸気バルブ、複数の排気ポートおよび排気ポートを開閉する複数の排気バルブなどが設けられている。
【0024】
シリンダヘッド12の後面には図示しない吸気マニホールドが設けられており、吸気マニホールドは、吸入空気を、吸気ポートを通して気筒11Aに導入する。
【0025】
シリンダヘッド12の内部には排気マニホールド16(図4参照)が形成されており、排気マニホールド16は、気筒11Aに連通される複数の排気ポート16Aを有し、気筒11Aから排出される排気ガスを集合する。
【0026】
図4において、排気マニホールド16は、排気ガス出口17を有する。排気ガス出口17は、気筒列方向Lの中央部においてシリンダヘッド12の前面12aに開口している。
【0027】
気筒11Aから排出される排気ガスは、排気マニホールド16で集合された後、排気ガス出口17からシリンダヘッド12の外部に排出される。
【0028】
排気ガス出口17の周囲においてシリンダヘッド12の前面12aには取付面12Aが設けられており、取付面12Aには過給機21(図2参照)が取付けられている。
【0029】
図2において、過給機21は、シリンダブロック11の前面11a側に設置されており、タービンハウジング22およびコンプレッサハウジング23を有する。タービンハウジング22は、4つのボルト18Aによって取付面12Aに取付けられ、排気ガス出口17から排気ガスが導入される排気ガス導入部22Aを備えている。
【0030】
タービンハウジング22には図示しないタービンホイールが回転自在に設けられており、タービンホイールは、排気ガス出口17から排気ガス導入部22Aを通してタービンハウジング22に導入された排気ガスによって回転駆動される。
【0031】
コンプレッサハウジング23には吸気導入部23Aおよび吸気排出部23Bが設けられている。吸気導入部23Aは、図示しないターボインレット配管に連結されており、吸気排出部23Bは、図示しないターボアウトレット配管を介して図示しないインタクーラに接続されている。
【0032】
コンプレッサハウジング23には図示しないコンプレッサホイールが回転自在に設けられており、コンプレッサホイールは、タービンホイールと一体で回転する。
【0033】
過給機21において、タービンホイールが排気流によって回転されると、コンプレッサホイールがタービンホイールと一体で高速で回転される。コンプレッサホイールが回転されると、ターボインレット配管からコンプレッサハウジング23に導入された空気がターボアウトレット配管を介してインタクーラに過給される。
【0034】
インタクーラは、過給機21によって過給された圧縮空気を冷却して空気の密度を高め、圧縮空気を図示しないインタクーラアウトレット配管を介して吸気マニホールドに導入する。
【0035】
タービンハウジング22には排気ガス排出部22Bが設けられている。排気ガス排出部22Bは、変速機5側に開口しており、排気ガス排出部22Bには排気浄化装置24が接続されている。
【0036】
図2において、排気浄化装置24は、触媒ケース25と、触媒ケース25の上流側に設けられ、排気ガス排出部22Bと触媒ケース25とを接続する上流管部26と、触媒ケース25の下流側に設けられた下流管部27とを有する。ここで、上流、下流とは、排気ガスの流れる方向に対して上流と下流とをいう。
【0037】
触媒ケース25には三元触媒25Aとパティキュレートフィルタ25Bとが収容されている。三元触媒25Aは、排気ガス中に含まれるHC、CO、NOxを酸化還元反応により同時に浄化処理する。
【0038】
パティキュレートフィルタ25Bは、三元触媒25Aの下流側に設置されており、排気ガス中の粒子状物質であるPM(パティキュレートマター)として、黒鉛、燃料の燃え残り(SOF:可燃性有機成分)、エンジンオイルの燃え滓(オイルアッシュ)などを捕集する。
【0039】
上流管部26の上流端は、排気ガス排出部22B側に開口しており、排気ガス排出部22Bに接続されている。これにより、排気ガス出口17からタービンハウジング22に排出された排気ガスは、排気ガス排出部22Bから上流管部26を介して触媒ケース25に導入され、触媒ケース25の内部を通過する過程で三元触媒25Aおよびパティキュレートフィルタ25Bによって浄化される。
【0040】
下流管部27は、図示しない排気管に接続されており、触媒ケース25を流れる排気ガスは、下流管部27から排気管を通して外部に排出される。
【0041】
排気ガス排出部22Bは、その下端22bがその上端22aよりも気筒列方向Lで排気ガス出口17に近づくように傾斜している。すなわち、排気ガス排出部22Bは、上端22aから下端22bに向かってチェーンケース7側(右方)に傾斜している。
【0042】
触媒ケース25は、その下端25bがその上端25aよりも排気ガス出口17に近づくように傾斜している。すなわち、触媒ケース25は、上端25aから下端25bに向かってチェーンケース7側(右方)に傾斜している。
【0043】
触媒ケース25は、上端25aがフランジ部11Fよりも上方に位置してフランジ部11Fと気筒列方向Lで重なり(図3参照)、下端25bが排気ガス出口17と気筒列方向Lで重なるように傾斜している(図2参照)。
【0044】
図5において、エンジン4には上側ブラケット31と下側ブラケット32とが設けられている。
【0045】
上側ブラケット31は、シリンダブロック11の上部に設置されており、上側ブラケット31の下部には取付部31Aが設けられている。取付部31Aは、ボルト18Bによってシリンダブロック11に締結されており、取付面12Aと気筒列方向Lで重なる位置に設置されている。本実施例の取付部31Aは、本発明のシリンダブロック側取付部を構成する。
【0046】
上側ブラケット31は、湾曲保持部31Bを備えている。湾曲保持部31Bは、弾性変形自在であって、触媒ケース25の外形形状に沿って湾曲しており、触媒ケース25を抱え込むようにして保持している。
【0047】
図2に示すように、気筒列方向Lと直交する水平方向からエンジン4を見た場合に、湾曲保持部31Bの気筒列方向Lの右端部31aは、シリンダヘッド12とシリンダブロック11とを跨ぎ、取付面12Aと気筒列方向Lで重なるように設置されている。本実施例の湾曲保持部31Bは、本発明の排気浄化装置側取付部を構成する。
【0048】
下側ブラケット32は、第1のブラケット部32Aと第2のブラケット部32Bとを有する。第1のブラケット部32Aは、ボルト18Cによってオイルパン14に締結されている。
【0049】
第2のブラケット部32Bは、ボルト18Dによって第1のブラケット部32Aに締結されている。第2のブラケット部32Bには筒状の嵌合部32cが設けられており、下流管部27は、嵌合部32cに嵌合される。
【0050】
このように、触媒ケース25は、上側ブラケット31によりシリンダブロック11の上部に連結され、下側ブラケット32によりオイルパン14に連結されている。なお、下側ブラケット32は、オイルパン14ではなく、シリンダブロック11の下部に設けられてもよい。
【0051】
図2に示すように、気筒列方向Lと直交する水平方向からエンジン4を見た場合に、過給機21は、排気ガス出口17と気筒列方向Lで重なる位置に設置されている。具体的には、過給機21のタービンハウジング22は、排気ガス出口17と気筒列方向Lで重なる位置に設置されている。
【0052】
図2に示すように、気筒列方向Lと直交する水平方向からエンジン4を見た場合に、排気ガス排出部22Bの上端22aと下端22bとを通る仮想線L1が気筒列方向Lで排気ガス出口17に重なっている。
【0053】
図2に示すように、気筒列方向Lと直交する水平方向からエンジン4を見た場合に、気筒11Aの軸線L2、いわゆる気筒軸に対して気筒列方向Lに傾斜する触媒ケース25の傾斜角度θ1は、気筒11Aの軸線L2に対して気筒列方向Lに傾斜する排気ガス排出部22Bの傾斜角度θ2よりも小さい傾斜角度となっている。
【0054】
なお、気筒11Aの軸線L2に対して気筒列方向Lに傾斜する触媒ケース25の傾斜角度θ1は、気筒11Aの軸線L2に対する触媒ケース25の軸線L3の傾斜角度θ1である。
【0055】
図4図6において、過給機21および触媒ケース25が設置されるシリンダブロック11の前面11aには膨出部11Gが設けられており、膨出部11Gは、シリンダブロック11の前面11aから前方に膨出し、フランジ部11Fに連結されている。
【0056】
具体的には、膨出部11Gは、シリンダブロック11の前面11aからフランジ部11Fに向かうにつれて前方に膨出している。図5に示すように、上側ブラケット31の取付部31Aの下端は、膨出部11Gの上端に連結されている。
【0057】
図6に示すように、膨出部11Gには凹部11gが設けられており、凹部11gは、シリンダブロック11の前面11aから後面11bに向かって湾曲している。触媒ケース25の外周部の一部(後部)は、凹部11gに収容されている。
【0058】
本実施例のシリンダブロック11の前面11aは、本発明の第1の側面を構成し、シリンダブロック11の後面11bは、本発明の第2の側面を構成する。
【0059】
図2において、触媒ケース25の上端25aから下端25bまでの軸方向長さL4は、シリンダブロック11の高さT1よりも長く形成されている。
【0060】
第1のブラケット部32Aの気筒列方向の右端部32aは、排気ガス出口17と気筒列方向Lで重なっており、第1のブラケット部32Aの気筒列方向Lの左端部32bは、第1のブラケット部32Aの右端部32aよりもフランジ部11F側に設置されている。
【0061】
本実施例の下側ブラケット32は、本発明の連結部を構成する。第1のブラケット部32Aの右端部32aは、本発明の連結部の気筒の配列方向の一端部を構成し、第1のブラケット部32Aの左端部32bは、本発明の連結部の気筒の配列方向の他端部を構成する。
【0062】
図4において、シリンダブロック11の前面11aにはオイルクーラ取付部11Hが設けられており、オイルクーラ取付部11Hは、シリンダブロック11の前面11aから後面11bと反対側である前方に突出している。
【0063】
オイルクーラ取付部11Hには図示しないオイルクーラが取付けられている。オイルクーラは、シリンダブロック11の内部を流れる冷却水が流通する冷却水通路と、シリンダブロック11の内部を流れるオイルが流通するオイル通路とを有し、オイルと冷却水とを熱交換することにより、オイルを冷却する。
【0064】
シリンダブロック11の前面11aにはリブ11iが設けられている。リブ11iは、フランジ部11Fからフランジ部11Rに向かって直線状に延びており、オイルクーラ取付部11Hに連結されている。
【0065】
図4に示すように、リブ11iの下方においてシリンダブロック11の前面11aには筒状のメインギャラリ11jが設けられており、メインギャラリ11jは、オイルクーラ取付部11Hを横切るように膨出部11Gからフランジ部11Rに向かって直線状に延びている。
【0066】
メインギャラリ11jにはオイルポンプから吐出されたオイルが供給され、メインギャラリ11jを通してエンジン4の潤滑部位や図示しない油圧回路にオイルが供給される。オイルクーラにはメインギャラリ11jを流れるオイルが導入され、オイルクーラで冷却されたオイルは、メインギャラリ11jを通してエンジン4の潤滑部位や油圧回路に供給される。
【0067】
図5において、上側ブラケット31の取付部31Aは、リブ11i上に設置されており、膨出部11Gとリブ11iとオイルクーラ取付部11Hとメインギャラリ11jとに囲まれている。
【0068】
以上、本実施例のエンジン4によれば、シリンダヘッド12は、気筒列方向Lの中央部に設けられ、排気マニホールド16から排気ガスを排出する排気ガス出口17と、排気ガス出口17の周囲に設けられ、過給機21の排気導入部が取付けられる取付面12Aとを有する。
【0069】
過給機21の排気ガス排出部22Bに排気浄化装置24が接続されており、排気浄化装置24は、上側ブラケット31によりシリンダブロック11の上部に連結され、下側ブラケット32によりオイルパン14に連結されている。
【0070】
これにより、触媒ケース25を上側ブラケット31と下側ブラケット32とによってエンジン4に固定でき、エンジン4に対する排気浄化装置24の取付強度を高くできる。このため、過給機21の振動を排気浄化装置24によって受け止めることができ、過給機21の振動を抑制できる。
【0071】
また、気筒列方向Lと直交する水平方向からエンジン4を見た場合に、上側ブラケット31は、取付面12Aと気筒列方向Lで重なるように設置されている。すなわち、上側ブラケット31を過給機21の排気ガス排出部22Bの近くに設置できるので、エンジン4に対する排気浄化装置24の取付強度を高くできる。このため、過給機21の振動を排気浄化装置24によってより効果的に抑制でき、エンジン4の振動をより効果的に抑制できる。
【0072】
また、本実施例のエンジン4によれば、上側ブラケット31は、触媒ケース25が取付けられる湾曲保持部31Bを有し、気筒列方向Lと直交する水平方向からエンジン4を見た場合に、湾曲保持部31Bは、シリンダヘッド12とシリンダブロック11とを跨ぎ、取付面12Aと気筒列方向Lで重なる位置に設置されている。
【0073】
これにより、湾曲保持部31Bを排気ガス出口17の取付面12Aに近づけて設置でき、上側ブラケット31を過給機21の排気ガス排出部22Bの近くに設置できる。このため、エンジン4に対する排気浄化装置24の取付強度をより一層高くできる。この結果、過給機21の振動を排気浄化装置24によってより効果的に抑制でき、エンジン4の振動をより効果的に抑制できる。
【0074】
また、本実施例のエンジン4によれば、上側ブラケット31は、シリンダブロック11に取付けられる取付部31Aを有し、取付部31Aは、取付面12Aと気筒列方向Lで重なる位置に設置されている。
【0075】
これにより、上側ブラケット31を取付面12Aの近くに設置でき、エンジン4に対する排気浄化装置24の取付強度をより一層高くできる。このため、排気浄化装置24によって過給機21の振動をより効果的に抑制でき、エンジン4の振動をより効果的に抑制できる。
【0076】
また、本実施例のエンジン4によれば、シリンダブロック11は、過給機21および触媒ケース25が設置される前面11aに、シリンダブロック11から膨出する膨出部11Gを有する。
【0077】
膨出部11Gは、前面11aと反対側のシリンダブロック11の後面11bに向かって湾曲し、触媒ケース25の外周部の一部が収容される凹部11gを有し、取付部31Aは、膨出部11Gに連結されている。
【0078】
これにより、剛性の高い膨出部11Gに上側ブラケット31の取付部31Aを連結できる。これに加えて、剛性の高い膨出部11Gの凹部11gに触媒ケース25を配置することにより、触媒ケース25をエンジン4に近づけて設置できる。
【0079】
このため、エンジン4に対する排気浄化装置24の取付強度をより一層高くできる。このため、排気浄化装置24によって過給機21の振動をより効果的に抑制でき、エンジン4の振動をより効果的に抑制できる。
【0080】
また、本実施例のエンジン4によれば、シリンダブロック11の前面11aに、前面11aから外方に突出するオイルクーラ取付部11Hが設けられている。
【0081】
膨出部11Gは、シリンダブロック11の前面11aに設けられたリブ11iを介してオイルクーラ取付部11Hに連結されており、上側ブラケット31の取付部31Aは、リブ11i上に設置されている。
【0082】
このように、いずれも剛性の高いオイルクーラ取付部11Hとリブ11iとを連結することにより、リブ11iをオイルクーラ取付部11Hで補強してリブ11iの剛性をより一層高くできる。さらに、より一層剛性の高いリブ11iに取付部31Aを設置することにより、シリンダブロック11に対する上側ブラケット31の取付強度をより一層高くできる。
【0083】
このため、エンジン4に対する排気浄化装置24の取付強度をより一層高くできる。この結果、排気浄化装置24によって過給機21の振動をより効果的に抑制でき、エンジン4の振動をより効果的に抑制できる。
【0084】
また、本実施例のエンジン4によれば、リブ11iの下方においてシリンダブロック11の前面11aに、オイルクーラ取付部11Hを横切る筒状のメインギャラリ11jが設けられており、取付部31Aは、膨出部11Gとリブ11iとオイルクーラ取付部11Hとメインギャラリ11jとに囲まれている。
【0085】
これにより、いずれも剛性の高い膨出部11Gとリブ11iとオイルクーラ取付部11Hとメインギャラリ11jとに囲まれた剛性の高いシリンダブロック11の領域に取付部31Aを設置でき、シリンダブロック11に対する上側ブラケット31の取付強度をより一層高くできる。
【0086】
このため、エンジン4に対する排気浄化装置24の取付強度をより一層高くできる。この結果、排気浄化装置24によって過給機21の振動をより効果的に抑制でき、エンジン4の振動をより効果的に抑制できる。
【0087】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0088】
1...車両、4...エンジン(車両用内燃機関)、11...シリンダブロック、11A...気筒、11G...膨出部、11a...前面(第1の側面)、11b...後面(第2の側面)、11g...凹部、11i...リブ、11j...メインギャラリ、12...シリンダヘッド、12A...取付面、14...オイルパン、16...排気マニホールド、17...排気ガス出口、21...過給機、22A...排気ガス導入部、22B...排気ガス排出部、24...排気浄化装置、31...上側ブラケット、31A...取付部(シリンダブロック側取付部)、31B...湾曲保持部(排気浄化装置側取付部)、32...下側ブラケット、
図1
図2
図3
図4
図5
図6