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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/26 20060101AFI20221115BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G01N30/26 E
G01N30/86 V
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021504638
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2019009671
(87)【国際公開番号】W WO2020183564
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 早紀
(72)【発明者】
【氏名】成松 道正
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-277451(JP,A)
【文献】国際公開第2018/211584(WO,A1)
【文献】特開2015-059895(JP,A)
【文献】特開2007-040811(JP,A)
【文献】特開平10-215494(JP,A)
【文献】特開2004-286663(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0182396(US,A1)
【文献】特開2009-300127(JP,A)
【文献】特開2006-313093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 - 30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入された試料をカラムで分離して試料成分を検出する液体クロマトグラフであって、
前記カラムに送る移動相を収容する複数の移動相容器に収容されている移動相の重量をそれぞれ計測し、計測した重量から移動相の液量をそれぞれ算出する液量計と、
前記複数の移動相容器に収容されている移動相を前記カラムに送る移動相送液部とを備え、
前記移動相送液部は、
移動相を前記カラムに送る送液ポンプと、
前記複数の移動相容器につながるそれぞれの移動相流路と前記送液ポンプとの間に設けられ、前記移動相流路の1つを選択する流路切換バルブと、
前記流路切換バルブにより前記移動相流路とつながっている移動相容器について前記液量計で算出された移動相の液量が、あらかじめ定められた液量の閾値以下となった場合に、前記流路切換バルブを制御して前記移動相流路につながる移動相容器を切換える制御部とを含む、
前記制御部は、同種の移動相が収容されている前記複数の移動相容器がある場合、一の移動相容器について前記液量計で算出された移動相の液量が前記閾値以下となると、前記流路切換バルブを制御して同種の移動相が収容されている別の移動相容器に順次切換え、
前記液量計は、同種の移動相が収容されている前記複数の移動相容器を1つの仮想容器として、同種の移動相が収容されている前記複数の移動相容器の合計容量と、前記複数の移動相容器に収容されている同種の移動相の合計液量の情報とを外部に通知する通知部を有する、液体クロマトグラフ。
【請求項2】
前記液量計は、前記液量計で算出された移動相の液量が前記閾値以下となった旨の情報を前記通知部から外部に通知する、請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項3】
前記制御部は、前記流路切換バルブを制御して前記移動相流路につながる移動相容器を切換える順序を設定し、
前記流路切換バルブにより前記移動相流路とつながっている移動相容器について前記液量計で算出された移動相の液量が、あらかじめ定められた液量の閾値以下となった場合に、前記流路切換バルブを制御して、設定されている移動相容器を切換える順序に従って、前記移動相流路につながる移動相容器を切り換える、請求項1または請求項2に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項4】
前記通知部は、携帯端末装置に情報を通知することが可能である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフは、ポンプ、カラムオーブン、検出器、及びオートサンプラ等の複数の分析ユニットから構成されている。近年、液体クロマトグラフにおいて、各分析ユニットを統括的に制御したり採取されたデータを処理したりするために、パーソナルコンピュータに所定の制御/処理プログラムをインストールした制御装置が広く利用されている。こうした制御装置では、複数回の分析について、その実行順序と、各分析の分析条件を記述したバッチテーブルを予め作成しておき、制御装置に該バッチテーブルに従って各分析ユニットを制御させることにより、複数回分析を連続的に行う連続分析が可能となっている。
【0003】
このような連続分析では、移動相を多量に消費するため、途中で移動相が不足して分析が中断するおそれがある。こうした事態を防ぐため、従来、移動相の残量を自動的に算出して分析担当者(オペレータ)に通知する機能を備えた液体クロマトグラフがある(例えば、特許文献1(特開2015-194434号公報)を参照)。このような液体クロマトグラフでは、連続分析の実行中に、ポンプの送液流量などに基づいて、移動相毎の総送液量を計算し、これを、オペレータによって予め設定された移動相総量から差し引くことによって、各移動相の残量が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-194434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1(特開2015-194434号公報)に示す液体クロマトグラフでは、移動相の残量を把握することはできる。しかし、液体クロマトグラフによる分析で特定の移動相を大量に使用する場合、容量の大きい移動相容器で移動相を用意するか、移動相容器にある移動相の残量からオペレータが移動相を継ぎ足すタイミングを判断して、手動で移動相容器を切換える必要があり、作業が煩雑であった。また、移動相を継ぎ足すタイミングを誤ると、カラムに送る移動相が不足する。
【0006】
さらに、容量の大きい移動相容器をオペレータが扱う場合、移動相容器の重量が大きいためオペレータの負担が大きく、取り扱いの危険性が高くなる。また、容量の大きい移動相容器を用いた場合、移動相の消費に時間を要することがあり、移動相が劣化するリスクもあった。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、カラムに送る移動相が不足するリスクを低減することができる液体クロマトグラフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、導入された試料をカラムで分離して試料成分を検出する液体クロマトグラフである。液体クロマトグラフは、カラムに送る移動相を収容する複数の移動相容器に収容されている移動相の重量をそれぞれ計測し、計測した重量から移動相の液量をそれぞれ算出する液量計と、複数の移動相容器に収容されている移動相をカラムに送る移動相送液部とを備えている。移動相送液部は、移動相をカラムに送る送液ポンプと、複数の移動相容器につながるそれぞれの移動相流路と送液ポンプとの間に設けられ、移動相流路の1つを選択する流路切換バルブと、流路切換バルブを制御する制御部とを含む。制御部は、流路切換バルブにより移動相流路とつながっている移動相容器について液量計で算出された移動相の液量が、あらかじめ定められた液量の閾値以下となった場合に、流路切換バルブを制御して移動相流路につながる移動相容器を切換える。制御部は、同種の移動相が収容されている複数の移動相容器がある場合、一の移動相容器について液量計で算出された移動相の液量が閾値以下となると、流路切換バルブを制御して同種の移動相が収容されている別の移動相容器に順次切換える。液量計は、同種の移動相が収容されている複数の移動相容器を1つの仮想容器として、同種の移動相が収容されている複数の移動相容器の合計容量と、複数の移動相容器に収容されている同種の移動相の合計液量の情報とを外部に通知する通知部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る液体クロマトグラフによれば、あらかじめ定められた液量の閾値以下となった場合に、流路切換バルブを制御して移動相流路につながる移動相容器を切換えるので、移動相の継ぎ足しを自動で行うことができ、カラムに送る移動相が不足するリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態1に係る液体クロマトグラフの構成を示すブロック図である。
図2】記憶部に記憶されている検量線を示す概略図である。
図3】検量線A~検量線Cを説明するためのグラフである。
図4】検量線を用いて移動相の液量(残量)を計測する処理を示すフローチャートである。
図5】本実施の形態1に係る液体クロマトグラフのシステムを説明するための概略図である。
図6】本実施の形態2に係る液体クロマトグラフにおいて移動相を送液する移動相容器を自動で切換える動作を説明するフローチャートである。
図7】ボトルホルダに種類の異なる移動相が収容された移動相容器が6本セットされた場合の切換順を説明するための図である。
図8】複数の移動相容器を仮想的に一つの移動相容器として扱い、移動相容器の液量を表示した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本実施の形態に係る液体クロマトグラフについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る液体クロマトグラフの構成を示すブロック図である。液体クロマトグラフは、移動相容器20a~20c中の移動相を吸引する送液ポンプ2と、送液ポンプ2により移動相を送る移動相送液部4の下流に分析流路6が接続されている。分析流路6には移動相の流れの上流から下流に向かって、分析流路6に試料を導入する自動試料導入部8、導入された試料を分離するカラム10、およびカラム10で分離された試料成分を検出する検出器14が配置されている。ここで、検出器14としては、例えば、質量分析計または吸光度検出器等を用いることができる。また、カラム10はカラムオーブン12に収容されている。
【0013】
移動相送液部4は、複数の移動相容器20a~20cにつながる各々の移動相流路と送液ポンプ2との間に設けられ、各々の移動相流路の1つを選択する流路切換バルブ26を含んでいる。本実施の形態では、流路切換バルブ26が1つで階層構成をもっていないが、流路切換バルブを2つ設けて2段階の階層構成をもたせてもよい。
【0014】
図1に示す流路切換バルブ26では、3つの移動相容器20a~20cと移動相流路を介してつながっているため、例えば、種類が異なる移動相が収容された移動相容器を切換えて、移動相の種類を選択して分析流路6に送液できる。または、流路切換バルブ26では、例えば、種類が同じ移動相が収容された複数の移動相容器を切換えて、大量の移動相を分析流路6に送液できる。
【0015】
液体クロマトグラフでは、分析動作を制御するために、プログラム制御部28と送液制御部30を備えている。さらに、液体クロマトグラフでは、複数の移動相容器20a~20cの各々の移動相の残量を計測するための液量計5が設けられている。液量計5は、液体クロマトグラフに一体として設けられる構成でもよいし、液体クロマトグラフに対して後から追加して設けられる構成でもよい。例えば、液量計5は、移動相送液部4に対して着脱可能に取り付けられている。プログラム制御部28は分析プログラムを記憶しており、液体クロマトグラフの各部の動作を制御する。その分析プログラムには、液量計5からの移動相の残量情報に基づいて移動相送液部4に移動相を送液する移動相容器20a~20cを切換える動作を制御させたり、移動相送液部4に送液する移動相の種類と送液ポンプ2による単位時間当たりの送液量とを制御させたりするプログラムも含むことができる。
【0016】
送液制御部30はプログラム制御部28からの指示に基づいて移動相送液部4の動作を制御するように構成されている。また、プログラム制御部28は、液量計5からの移動相の残量情報を受信可能に構成されている。送液制御部30は移動相送液部4とは別の構成要素として構成することもできるが、本実施の形態では移動相送液部4と一体となっている。
【0017】
液量計5は、ボトルホルダ22にセットした複数の移動相容器20a~20cの各々の底面側に設けたロードセル(重量センサ)21a~21cと接続され、各々の移動相容器20a~20cの重量を計測する計測部51と、移動相の種類ごとに検量線を記憶する記憶部52と、検量線に基づいて計測部51で計測した計測値から移動相の液量を算出する演算部53とを備えている。
【0018】
計測部51は、各々のロードセル21a~21cから得られた出力値から各々の移動相容器20a~20cの重量を求め、演算部53に出力する。本実施の形態では、重量センサとしてロードセルを用いることを説明したが、移動相容器の重量を計測することができればロードセル以外の他の重量センサでもよい。ここで、移動相容器の重量とは、移動相容器に収容された移動相の重量を含む重量である。そのため、移動相の残量が0(ゼロ)の場合、移動相容器の重量は、移動相容器のみの重量となる。
【0019】
記憶部52は、計測部51で計測した計測値と移動相容器20a~20cに収容されている移動相の液量との関係を示す検量線を、移動相の種類ごとに記憶している。移動相の種類によって比重が異なるため、移動相の種類によって移動相容器の重量と移動相の液量との関係を示す検量線が異なってくる。検量線は、後述するように空の移動相容器の重量と、既知の液量の移動相が収容された移動相容器の重量とを計測部51で計測して、演算部53で求めている。もちろん、既に知られている種類の移動相の検量線については、あらかじめ記憶部52に記憶させておいてもよい。
【0020】
演算部53は、移動相容器に収容されている移動相の種類に対応する検量線を記憶部52から読み出し、読み出した検量線に基づいて計測部51で計測した計測値から移動相の液量を算出する。移動相の種類の指定は、オペレータが移動相容器をセットした際に液量計5で行うものとする。もちろん、記憶部52に指定する移動相の種類がなければ、新たに検量線を求めて記憶部52に記憶させる必要がある。
【0021】
液量計5には、当該液量計5で計測された1つ以上の移動相容器の各々における移動相の液量を外部に通知する通知部をさらに備えている。これにより、オペレータが携帯している携帯端末(例えば、スマートフォンなど)に移動相の残量を移動相容器20a~20c毎に通知することができる。もちろん、液量計5が外部に移動相の液量を通知する必要がなければ通知部を設けなくてもよい。また、液量計5は、送液制御部30またはプログラム制御部28に対して移動相の液量を出力しているので、送液制御部30またはプログラム制御部28から外部に移動相の液量を通知してもよい。
【0022】
プログラム制御部28はコンピュータであり、この液体クロマトグラフに専用のコンピュータまたは汎用のパーソナルコンピュータにより実現することができる。専用のコンピュータの例はシステムコントローラである。システムコントローラとして実現した場合には、外部の汎用のパーソナルコンピュータ44に接続することができる。パーソナルコンピュータ44は、液体クロマトグラフにのみ接続される場合もあるし、ネットワークを介してこの液体クロマトグラフを含む複数の分析装置またはその他の装置に接続される場合もある。
【0023】
検出器14には検出信号を処理してクロマトグラムを作成したり、検量線データを保持して分析成分の定量を行ったりするデータ処理部16が接続されている。データ処理部16はプログラム制御部28の一部として実現することができ、またはパーソナルコンピュータ44により実現することもできる。
【0024】
液量計5を含む液体クロマトグラフの設定または変更は、ディスプレイ29に設定または変更を指示する画面を表示し、その画面上で行うようにすることができる。ディスプレイ29は、プログラム制御部28に接続されている。またはパーソナルコンピュータ44のディスプレイに設定または変更を指示する画面を表示し、その画面上で行うようにしてもよい。
【0025】
また、プログラム制御部28がシステムコントローラとなっていて単独のパーソナルコンピュータ44またはネットワーク上にあるパーソナルコンピュータ44に接続されている場合は、パーソナルコンピュータ44にインストールされたWebブラウザを介してシステムコントローラに接続されたディスプレイ29の設定画面にアクセスし、液量計5を含む液体クロマトグラフの設定または変更を行うように構成することもできる。
【0026】
次に、記憶部52に記憶されている検量線について説明する。図2は、記憶部52に記憶されている検量線を示す概略図である。図2に示すように記憶部52には、移動相の種類に対応して検量線がそれぞれ記憶されている。たとえば、移動相の種類が「純水」の場合、検量線には「検量線A」が記憶され、移動相の種類が「エタノール」の場合、検量線には「検量線B」が記憶され、移動相の種類が「アセトニトリル」の場合、検量線には「検量線C」が記憶されている。
【0027】
図3は、検量線A~検量線Cを説明するためのグラフである。図3に示す横軸に移動相の液量(L)を、縦軸に移動相容器の重量(kg)をそれぞれ割り当ててある。移動相容器の重量Wは、移動相の残量が0(ゼロ)で移動相容器のみの重量である。検量線A~検量線Cは、それぞれ移動相の液量(L)の増加に応じて、移動相容器の重量が増加する一次関数として表すことができる。そのため、記憶部52には、検量線A~検量線Cをそれぞれ一次関数の形式で記憶してもよい。もちろん、検量線A~検量線Cを、例えば0L~10Lまでの0.1Lごとの移動相容器の重量の数値データの形式で記憶部52に保存してもよい。図2に示すテーブルには、3種類の移動相について検量線が記憶されていると説明したが、他の移動相の種類についても検量線が記憶されている。また、図2では、異なる検量線を移動相の物質名で分けて移動相の種類としてラベリングした例を示したが、異なる検量線を分析用途ごと、オペレータごとなどで分けて移動相の種類としてラベリングしてもよい。もちろん、移動相の物質名、分析用途、オペレータなどの項目を組み合わせて移動相の種類としてラベリングしてもよい。
【0028】
次に、検量線を用いて移動相の液量(残量)を計測する処理について説明する。図4は、検量線を用いて移動相の液量(残量)を計測する処理を示すフローチャートである。まず、液量計5は、移動相の種類を受け付ける(ステップS10)。具体的に、液量計5には、図示していないが移動相の種類を入力する入力部が設けてあり、移動相容器20a~20cをボトルホルダ22にセットした際に移動相容器20a~20cの各々に対して移動相の種類をオペレータが入力する。もちろん、液量計5は、入力部を設けずにプログラム制御部28またはパーソナルコンピュータ44から移動相の種類を入力することができるようにしてもよい。
【0029】
液量計5は、ステップS10で受け付けた移動相の種類に対応する検量線が記憶部52に記憶されているか否かを判断する(ステップS11)。記憶部52に受け付けた移動相の種類に対応する検量線が記憶されている場合(ステップS11でYES)、液量計5は、記憶部52に記憶されている検量線に基づき、ロードセル21a~21cで計測した移動相容器20a~20cの重量の計測値から移動相の液量を算出する(ステップS12)。具体的に、液量計5は、移動相容器20aの移動相の種類が純水の場合、検量線Aを用いて移動相容器20aの重量から移動相の液量を算出する。液量計5は、移動相容器20bの移動相の種類がエタノールの場合、検量線Bを用いて移動相容器20bの重量から移動相の液量を算出する。液量計5は、移動相容器20cの移動相の種類がアセトニトリルの場合、検量線Bを用いて移動相容器20cの重量から移動相の液量を算出する。
【0030】
液量計5は、ステップS12で算出した移動相容器20a~20cの各々の移動相の液量を出力する(ステップS13)。具体的に、液量計5は、通知部54を介して外部の携帯端末に移動相容器20a~20cの各々の移動相の液量を通知したり、送液制御部30またはプログラム制御部28に対して移動相容器20a~20cの各々の移動相の液量を出力したりする。液量計5は、ステップS13で移動相の液量を出力した後、処理を終了する。なお、液量計5は、説明を簡単にするためステップS13で移動相の液量を出力した後、処理を終了しているが、実際の計測では液体クロマトグラフが稼動している間、所定の間隔(例えば、1秒間隔)で移動相の液量の算出(ステップS12)と出力(ステップS13)を繰り返す。また、移動相の種類を受け付け処理(ステップS10)は、移動相容器を変更する毎に行うものとする。
【0031】
ステップS11に戻って、記憶部52に受け付けた移動相の種類に対応する検量線が記憶されていない場合(ステップS11でNO)、液量計5は、新たに検量線を算出して記憶部52に記憶する処理を開始する。まず、液量計5は、空の移動相容器の重量を計測する(ステップS14)。次に、液量計5は、既知の液量の移動相が収容された移動相容器の重量を計測する(ステップS15)。液量計5は、ステップS14で計測した空の移動相容器の重量と、ステップS15で計測した既知の液量の移動相が収容された移動相容器の重量とに基づいて検量線を算出する(ステップS16)。具体的に、液量計5は、空の移動相容器の重量と既知の液量の移動相が収容された移動相容器の重量との2点から一次関数を求め、当該関数を新たな検量線とする。
【0032】
液量計5は、ステップS1で算出した検量線を記憶部52に記憶する。液量計5は、算出した検量線を記憶部52に記憶する際に、ステップS10で受け付けた移動相の種類の名前をラベリングして検量線を記憶部52に記憶する(ステップS17)。そのため、液量計5は、次回以降、ステップS1で記憶させた移動相の種類をステップS10で受け付けた場合、ステップS14~ステップS17の処理が不要となる。なお、液量計5は、ステップS17で検量線を記憶部52に記憶する場合に、ラベリングする移動相の種類の名前を入力できるようにしてもよい。
【0033】
次に、液量計5の含む液体クロマトグラフのシステムについて説明する。図5は、本実施の形態1に係る液体クロマトグラフのシステムを説明するための概略図である。液体クロマトグラフのシステムには、液量計5と、プログラム制御部28とを含んでいる。液量計5は、ボトルホルダ22の底部に設けたロードセル21の各々と接続しており、各々のロードセル21からの出力値を取得している。液量計5は、ロードセル21からの出力値から算出した移動相の液量の情報をプログラム制御部28、パーソナルコンピュータ44に出力できる。
【0034】
さらに、液量計5は、無線通信部110を介してスマートフォンなどの携帯端末装置100に移動相の液量の情報を出力することができる。そのため、携帯端末装置100を所持しているオペレータは、液体クロマトグラフから離れた位置にいても携帯端末装置100で移動相の液量をリアルタイムでモニタすることができる。また、液量計5は、ゲートウェイ201を介してクラウド200と接続して、クラウド200に移動相の液量の情報を出力することができる。これにより、移動相の液量の履歴情報をクラウド200に保存することが可能となり、過去の分析において移動相の液量がどのように変化していたのかを検証することが可能となる。
【0035】
以上のように、本実施の形態に係る液体クロマトグラフでは、カラム10に送る移動相を収容する1つ以上の移動相容器20a~20cと、1つ以上の移動相容器20a~20cに収容されている移動相の液量を計測する液量計5と、1つ以上の移動相容器20a~20cに収容されている移動相をカラム10に送る移動相送液部4とを備えている。液量計5は、移動相容器20a~20cに収容されている移動相の液量に基づく計測値を計測する計測部51と、計測部51で計測した計測値と移動相容器20a~20cに収容されている移動相の液量との関係を示す検量線を、移動相の種類ごとに記憶する記憶部52と、移動相容器20a~20cに収容されている移動相の種類に対応する検量線を記憶部52から読み出し、読み出した検量線に基づいて計測部51で計測した計測値から移動相の液量を算出する演算部53とを含む。
【0036】
これにより、本実施の形態1に係る液体クロマトグラフでは、移動相容器20a~20cに収容されている移動相の種類に対応する検量線に基づいて計測部で計測した計測値から移動相の液量を算出するので、移動相の種類によらず移動相の液量(残量)管理を容易に行うことができる。また、本実施の形態に係る液体クロマトグラフでは、使用する移動相の種類を一時的に変更したとしても、記憶部52に記憶した検量線を読み出せば、事前設定なしに変更した移動相を使用することができる。
【0037】
液量計5は、移動相容器20a~20cに収容されている移動相の種類に対応する検量線が記憶部52に記憶されていない場合、新たに検量線を作成してもよい。これにより、液量計5は、新たに検量線を作成すれば、移動相の種類によらず移動相の液量を算出できる。
【0038】
演算部53は、移動相が収容されていない移動相容器の計測値と、既知の液量の移動相が収容されている移動相容器の計測値とに基づいて新たに検量線を作成してもよい。これにより、演算部53は、異なるサイズ、種類の移動相容器を使用しても検量線を作成することができる。なお、移動相容器のサイズ、種類を一種類に指定した場合、計測部51で移動相が収容されていない移動相容器の計測値を計測する必要がなくなる。または、複数種類の移動相が収容されていない移動相容器の計測値をあらかじめ記憶部52に記憶しておき、演算部53で新たに検量線を作成する際に、記憶部52から当該測定値を読み出してもよい。
【0039】
液量計5で計測された1つ以上の移動相容器の各々における移動相の液量を外部に通知する通知部54をさらに備えてもよい。これにより、液量計5で計測された移動相の液量を外部でモニタすることが可能となる。
【0040】
通知部54は、携帯端末装置100に情報を通知することが可能であるとしてもよい。これにより、携帯端末装置100を所持するオペレータが、液体クロマトグラフの近くにいなくても移動相の液量をモニタすることが可能となる。
【0041】
計測部51は、移動相容器の重量を計測するとしてもよい。これにより、計測部51は、容易に移動相の液量(残量)を把握することができる。
【0042】
計測部51は、1つ以上の移動相容器20a~20cのそれぞれに、重量を計測する重量センサ(ロードセル21a~21c)を設けてもよい。これにより、計測部51は、各々の移動相容器20a~20cの重量を精度よく計測することが可能となる。
【0043】
液量計5は、液体クロマトグラフに対して着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。これにより、液量計5は、液体クロマトグラフに取り付け可能となる。
【0044】
(実施の形態2)
実施の形態1では、移動相の種類によらず移動相の液量をリアルタイムでモニタすることが可能な液量計について説明した。本実施の形態2では、移動相の液量をリアルタイムでモニタし、一の移動相容器の液量が不足した場合に自動で同種の移動相が入った他の移動相容器からの送液に切換える液体クロマトグラフについて説明する。本実施の形態2の形態にかかる液体クロマトグラフの構成は、図1に示した液体クロマトグラフの構成と同じであるため詳細な説明を繰り返さない。
【0045】
図1に示した液体クロマトグラフでは、同種の移動相が収容された移動相容器20a~20cが、流路切換バルブ26に各々の移動相流路を介してつながっている。液体クロマトグラフは、まず移動相容器20aから移動相を分析流路6へ送液できるように流路切換バルブ26を切換える。流路切換バルブ26は、移動相容器20aの移動相流路と分析流路6とを接続するようにバルブを切換える。送液制御部30は、移動相容器20aの移動相流路と分析流路6とが接続されている状態で送液ポンプ2を動作させて、移動相容器20aの移動相をカラム10に送液する。
【0046】
液体クロマトグラフは、液量計5で移動相容器20aの移動相の液量をリアルタイムでモニタしているので、移動相容器20aが空になる前(例えば、移動相の液量が閾値以下)に移動相容器20bから移動相を分析流路6へ送液できるように流路切換バルブ26を切換える。流路切換バルブ26は、移動相容器20bの移動相流路と分析流路6とを接続するようにバルブを切換える。液体クロマトグラフは、送液する移動相を移動相容器20aの移動相から移動相容器20bの移動相に切換えた場合でも、カラム10に空気が送られないように連続して移動相を送液する必要がある。そのため、液体クロマトグラフでは、移動相容器20bの移動相に切換える前に移動相容器20bの移動相流路から空気を除くエアパージ(air purge)を行っている。
【0047】
液体クロマトグラフは、同じように移動相容器20bが空になる前(例えば、移動相の液量が閾値以下)に移動相容器20cから移動相を分析流路6へ送液できるように流路切換バルブ26を切換える。図1に示す液体クロマトグラフでは、3本の移動相容器20a~20cが流路切換バルブ26に各々の移動相流路を介してつながっているが、さらに多くの移動相容器が流路切換バルブ26に各々の移動相流路を介してつながっていてもよい。また、液体クロマトグラフは、3本の移動相容器20a~20cの移動相を使い切った時点で分析を停止するようにしてもよいし、移動相容器20cの移動相を送液している間に移動相容器20a,20bを交換することで分析を継続できるようにしてもよい。
【0048】
次に、移動相を送液する移動相容器を自動で切換える液体クロマトグラフの動作を、フローチャートを用いて説明する。図6は、本実施の形態2に係る液体クロマトグラフにおいて移動相を送液する移動相容器を自動で切換える動作を説明するフローチャートである。まず、液体クロマトグラフは、液量計5で移動相を送液している移動相容器の液量を計測する(ステップS20)。移動相容器の液量の計測は、実施の形態1で説明したように液量計5で検量線を用いて行う。また、液量計5は、液体クロマトグラフで分析が行われている間、リアルタイムで移動相容器の液量をモニタしている。
【0049】
液体クロマトグラフは、液量計5で計測した移動相容器の液量が閾値以下か否かを判断する(ステップS21)。液量計5で計測した移動相容器の液量が閾値より多い場合(ステップS21でNO)、液体クロマトグラフは、処理をステップS20に戻して移動相容器の液量の計測を継続する。ここで、閾値は、移動相容器を切換えている間に、移動相を送液している移動相容器の液量が空にならない程度の液量に設定する。例えば、10ml程度の液量があれば移動相容器を切換えることができるのであれば、液体クロマトグラフは、閾値を予め10mlと設定しておく。
【0050】
液量計5で計測した移動相容器の液量が閾値以下の場合(ステップS21でYES)、液体クロマトグラフは、切換順の移動相容器が有るか否かを判断する(ステップS22)。図1に示した液体クロマトグラフでは、3本の移動相容器20a~20cがセットさせており、移動相容器20a、移動相容器20b、移動相容器20cの順で使用されることが予め設定されている。そのため、当該液体クロマトグラフでは、移動相容器20aの液量が閾値以下の場合、切換順の移動相容器20bがあると判断する。
【0051】
ボトルホルダ22は、3本の移動相容器がセットできるものに限られず、また同種の移動相が収容された移動相容器がセットされるもの限定されない。図7は、ボトルホルダ22に種類の異なる移動相が収容された移動相容器が6本セットされた場合の切換順を説明するための図である。ボトルホルダ22には、移動相容器をセットする容器番号が予め1~6まで付与されている。図7に示す例では、容器番号「1」に純水の移動相が収容された移動相容器を、容器番号「2」~「4」にエタノールの移動相が収容された移動相容器を、容器番号「5」,「6」にアセトニトリルの移動相が収容された移動相容器をそれぞれセットされている。
【0052】
さらに、図7に示す例では、エタノールを移動相に使用する順として、容器番号「2」の移動相容器に切換順「A」を、容器番号「3」の移動相容器に切換順「B」を、容器番号「4」の移動相容器に切換順「」をそれぞれ設定している。また、図7に示す例では、アセトニトリルを移動相に使用する順として、容器番号「5」の移動相容器に切換順「a」を、容器番号「6」の移動相容器に切換順「b」をそれぞれ設定しれている。そのため、液体クロマトグラフでは、エタノールを移動相に使用する場合、容器番号「2」,「3」,「4」の順で使用され、アセトニトリルを移動相に使用する場合、容器番号「5」,「6」の順で使用される。このように、移動相容器に切換順を予め設定しておくことで、ボトルホルダ22にセットされた移動相容器から任意の順で移動相を使用することが可能となる。もちろん、液体クロマトグラフは、切換順を予め設定せずに移動相容器を使用する順を容器番号順としてもよい。
【0053】
図6に戻って、切換順の移動相容器が有る場合(ステップS22でYES)、液体クロマトグラフは、移動相を送液している移動相容器を切換順の移動相容器に切換える(ステップS23)。液体クロマトグラフは、例えば図7に示す例において、移動相を送液している移動相容器の容器番号が「2」の場合、容器番号が「3」の移動相容器に切換える。液体クロマトグラフは、ステップS23の処理で移動相容器を切換えた場合、処理をステップS20に戻す。
【0054】
切換順の移動相容器がない場合(ステップS22でNO)、液体クロマトグラフは、通知部54からオペレータに移動相容器の交換を促す警告を通知する(ステップS24)。液体クロマトグラフは、ステップS24で警告を通知後、移動相容器が交換されない場合、処理を終了する。なお、液体クロマトグラフは、ステップS24で警告を通知後、移動相容器を交換した場合、処理をステップS20に戻してもよい。
【0055】
液体クロマトグラフでは、ボトルホルダ22に移動相容器を複数セットした場合、各々の移動相容器の液量を別々にディスプレイ29や携帯端末装置100に表示させる。液体クロマトグラフは、例えば、容器番号「2」の移動相容器の液量が2L(容量5L)、容器番号「3」の移動相容器の液量が5L(容量5L)、容器番号「4」の移動相容器の液量が5L(容量5L)などとディスプレイ29や携帯端末装置100に表示する。
【0056】
しかし、容器番号「2」~「4」の移動相が同種(例えば、エタノール)の場合、液体クロマトグラフは、容器番号「2」~「4」の移動相容器を仮想的に一つの移動相容器として扱い、容器番号「2」~「4」の移動相容器の液量を合算してディスプレイ29や携帯端末装置100に表示してもよい。図8は、複数の移動相容器を仮想的に一つの移動相容器として扱い、移動相容器の液量を表示した一例を示す図である。
【0057】
図8では、オペレータが所持している携帯端末装置100に仮想的に一つの移動相容器とした場合の仮想容器の液量を表示している。具体的に、携帯端末装置100では、容器番号「2」の移動相容器の液量が2L(容量5L)、容器番号「3」の移動相容器の液量が5L(容量5L)、容器番号「4」の移動相容器の液量が5L(容量5L)の場合、容量15Lの仮想容器101に12Lの液量があると表示する。これにより、液体クロマトグラフにセットした同種の移動相の液量を、オペレータが一元的に把握することができる。
【0058】
なお、液体クロマトグラフは、仮想容器の液量が閾値以下となった場合に警告を通知するようにしても、各々の移動相容器が閾値以下となった場合に警告を通知するようにしてもよい。また、液体クロマトグラフは、仮想容器の液量を表示している場合でも、各々の移動相容器が切換わった旨の通知をオペレータに対して行ってもよい。これにより、各々の移動相容器が切換わるタイミングをオペレータが把握することができる。
【0059】
以上のように、本実施の形態2に係る液体クロマトグラフは、カラム10に送る移動相を収容する複数の移動相容器20a~20cと、複数の移動相容器20a~20cに収容されている移動相の液量をそれぞれ計測する液量計5と、複数の移動相容器20a~20cに収容されている移動相をカラム10に送る移動相送液部4とを備えている。移動相送液部4は、移動相をカラム10に送る送液ポンプ2と、複数の移動相容器につながるそれぞれの移動相流路と送液ポンプ2との間に設けられ、移動相流路の1つを選択する流路切換バルブ26と、流路切換バルブ26により移動相流路とつながっている移動相容器について液量計5で計測された移動相の液量が、あらかじめ定められた液量の閾値以下となった場合に、流路切換バルブ26を制御して移動相流路につながる移動相容器を切換える送液制御部30とを含む。
【0060】
これにより、本実施の形態2に係る液体クロマトグラフは、移動相の継ぎ足しを自動で行うことができ、カラム10に送る移動相が不足するリスクを低減することができる。また、当該液体クロマトグラフでは、大きな容量の移動相容器の代わりに、扱いやすい小さい容量の移動相容器を複数用いることで、移動相容器をセットするオペレータの負担を軽減するとともに、移動相を小分けにすることで、移動相が劣化するリスクを低減することができる。
【0061】
送液制御部30は、同種の移動相が収容されている複数の移動相容器20a~20cがある場合、一の移動相容器について液量計5で計測された移動相の液量が閾値以下となると、流路切換バルブ26を制御して別の移動相容器に順次切換える。これにより、液体クロマトグラフは、移動相の不足を生じさせることなく移動相の継ぎ足しを自動で行い、連続した分析が可能となる。
【0062】
液量計5は、液量計5で計測された移動相の液量が閾値以下となった旨の情報を外部に通知する通知部54を有してもよい。これにより、液量計5で計測された移動相の液量が閾値以下となったことを外部でモニタすることが可能となる。
【0063】
液量計5は、同種の移動相が収容されている複数の移動相容器を1つの仮想容器として、複数の移動相容器に収容されている移動相の液量の情報を外部に通知する通知部54を有してもよい。これにより、液体クロマトグラフにセットした同種の移動相の液量を、オペレータが一元的に把握することができる。
【0064】
送液制御部30は、流路切換バルブ26を制御して移動相流路につながる移動相容器を切換える順序を設定することが可能であってもよい。これにより、ボトルホルダ22にセットされた移動相容器から任意の順で移動相を使用することが可能となる。
【0065】
通知部54は、携帯端末装置100に情報を通知することが可能であってもよい。これにより、携帯端末装置100を所持するオペレータが、液体クロマトグラフの近くにいなくても移動相の液量をモニタすることが可能となる。
【0066】
(変形例)
(1)前述の実施の形態では、移動相容器の重量を計測することで移動相容器に収容されている移動相の液量との関係を示す検量線を作成していたが、当該検量線を作成する計測値として移動相容器の重量に限定されない。つまり、移動相容器に収容されている移動相の液量に基づく計測値であれば、移動相容器の重量でなくてもよく、例えば移動相容器の液面位置を計測値としてもよい。計測部51が移動相容器の液面位置を計測するには、例えば移動相容器の上部に光学式の液面計を設け、当該液面計の出力値から移動相容器の液面位置を求める。移動相の液量に基づく計測値として移動相容器の液面位置とした場合、検量線は、移動相容器の液面位置と移動相容器に収容されている移動相の液量との関係で表される。
【0067】
(2)実施の形態2では、使用する液量計を実施の形態1で説明した液量計5であるとして説明したが、これに限定されない。移動相の液量をリアルタイムにモニタできる液量計であれば検量線を用いない液量計であってもよい。
【0068】
(3)前述の実施の形態では、移動相容器を切換えている間に、移動相を送液している移動相容器の液量が空にならない程度の液量に閾値を設定すると説明したが、これに限定されない。例えば、移動相容器の液量が閾値以下となり、オペレータに警告を通知してから移動相容器を交換するまでの時間を確保することができる液量を閾値として設定してもよい。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
2 送液ポンプ、4 移動相送液部、5 液量計、6 分析流路、8 自動試料導入部、10 カラム、12 カラムオーブン、14 検出器、16 データ処理部、20a,20b,20c 移動相容器、21,21a,21c ロードセル、22 ボトルホルダ、26 流路切換バルブ、28 プログラム制御部、29 ディスプレイ、30 送液制御部、44 パーソナルコンピュータ、51 計測部、52 記憶部、53 演算部、54 通知部、100 携帯端末装置、101 仮想容器、110 無線通信部、200 クラウド、201 ゲートウェイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8