(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20221115BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221115BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20221115BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B60R13/02 A
B60R11/02 A
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
(21)【出願番号】P 2021511981
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020013957
(87)【国際公開番号】W WO2020203742
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2019066550
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019066841
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰行
(72)【発明者】
【氏名】小原 一仁
(72)【発明者】
【氏名】大見 則親
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石河 伸一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 祐司
(72)【発明者】
【氏名】桑山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】山岸 傑
(72)【発明者】
【氏名】高野 豊久
(72)【発明者】
【氏名】三木 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】福永 貴徳
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-090229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0171137(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0346156(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60R 11/02
H01Q 1/22
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材の上表面との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、
前記機能性シートに設けられたアンテナと、
前記機能性シートに形成された伝送部材と、
を備え、
前記機能性シート
は、電波遮蔽機
能を奏する層を含んで形成され、
前記伝送部材は、前記車両に搭載された車載機器と前記アンテナとを電気的に接続する、配線モジュール。
【請求項2】
車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材の上表面との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、
前記機能性シートに設けられたアンテナと、
前記機能性シートに形成された伝送部材と、
を備え、
前記機能性シートは、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含んで形成され、
前記伝送部材は、前記車両に搭載された車載機器と前記アンテナとを電気的に接続し、
前記アンテナは、前記機能性シートの一方の面に設けられ、
前記伝送部材は、前記機能性シートの他方の面に設けられ、
前記機能性シートに、前記伝送部材が通る貫通部が設けられる配線モジュール。
【請求項3】
車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材の上表面との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、
前記機能性シートに設けられたアンテナと、
前記機能性シートに形成された伝送部材と、
を備え、
前記機能性シートは、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含んで形成され、
前記伝送部材は、前記車両に搭載された車載機器と前記アンテナとを電気的に接続し、
前記アンテナは、前記ルーフパネルに形成された孔に対応する機能性シートの位置に設けられる通信用アンテナを含む、配線モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の配線モジュールであって、
前記アンテナは、前記車室内の機器との間で無線通信を行う室内側アンテナを含み、
前記室内側アンテナが、電波遮蔽機能を奏する電波遮蔽層を含む前記機能性シートに対して前記電波遮蔽層よりも前記車室側に位置するように設けられる配線モジュール。
【請求項5】
請求項1又は請求項4に記載の配線モジュールであって、
前記アンテナは、車外の機器との間で通信を行う外部通信用アンテナを含み、
前記外部通信用アンテナが、電波遮蔽機能を奏する電波遮蔽層を含む前記機能性シートに対して前記電波遮蔽層よりも前記車外側に位置するように設けられる配線モジュール。
【請求項6】
車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材の上表面との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、
前記機能性シートに設けられたアンテナと、
前記機能性シートに形成された伝送部材と、
を備え、
前記機能性シートは、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含んで形成され、
前記伝送部材は、前記車両に搭載された車載機器と前記アンテナとを電気的に接続し、
前記アンテナは、前記車室内の機器に非接触給電を行う室内側アンテナを含み、
前記室内側アンテナは、前記機能性シートに対して前記車室側に設けられる、配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両のボディに組付けられるワイヤハーネス組付体を開示している。ワイヤハーネス組付体は、シート状の防音材と、防音材に重ねられたシート状の保護材と、防音材と保護材との間に配索された少なくとも一本の電線を有するワイヤハーネスとを備える。
【0003】
特許文献2は、パネル部材と、配線モジュールと、パネル周辺部品とを備える配線モジュールの敷設構造を開示している。配線モジュールは、シート状部材と少なくとも1つの電線とを含む。シート状部材は、パネル部材の主面上に敷設される。少なくとも1つの電線は、シート状部材がパネル部材の主面上に敷設された状態で所定の配線経路に沿って配設されるようにシート状部材に固定されている。パネル周辺部品は、パネル部材に対して一定位置に設けられ、配線モジュールをパネル部材に対して位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-090229号公報
【文献】特開2018-207625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両には、アンテナとアンテナに接続される伝送部材とが組込まれる。自動車のボディに、シート状の防音部材等のシートとアンテナと伝送部材とを容易に組込むことが要請される。
【0006】
そこで、車両に機能性シートとアンテナと伝送部材とを容易に組込むことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線モジュールは、屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、前記機能性シートに設けられたアンテナと、前記機能性シートに形成された伝送部材と、を備え、前記機能性シートは、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含んで形成され、前記伝送部材は、前記車両に搭載された車載機器と前記アンテナとを電気的に接続する、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両に機能性シートとアンテナと伝送部材とを容易に組込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は配線モジュールが組込まれた車両を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は配線モジュールを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は機能性シートの一例を示す概略側面図である。
【
図6】
図6は線状伝送部材が基材に溶着された状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は機器が機能性シートに直接固定された状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は機器が機能性シートに機器ホルダを介して固定された状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は機器と機器ホルダを示す側面図である。
【
図10】
図10はルーフに組込まれた配線モジュールを示す説明図である。
【
図11】
図11は変形例に係る配線モジュールを示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は配線モジュールに係る機能ブロック図である。
【
図15】
図15は車両における配線モジュールの位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の配線モジュールは、次の通りである。
【0012】
(1)車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、前記機能性シートに設けられたアンテナと、前記機能性シートに形成された伝送部材と、を備え、前記機能性シートは、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含んで形成され、前記伝送部材は、前記車両に搭載された車載機器と前記アンテナとを電気的に接続する、配線モジュールである。本配線モジュールによると、機能性シートと、当該機能性シートに設けられたアンテナと伝送部材とが車両の屋根部分に容易に組込まれる。
【0013】
なお、ここにおいて、伝送部材が、前記車両に搭載された車載機器と前記アンテナとを電気的に接続するとは、伝送部材が直接車載機器に接続される場合、及び、伝送部材が車載機器から屋根部分まで敷設された配線を介して車載機器に電気的に接続される場合を含む。また、車載機器は、車両に搭載された機器ならば特に限定することはなく、例えば、機能性シートに設けられた機器や、機能性シートではないが屋根に設けられた機器、車両側に設けられた機器などが含まれる。
【0014】
(2)(1)の配線モジュールであって、前記アンテナは、前記機能性シートの一方の面に設けられ、前記伝送部材は、前記機能性シートの他方の面に設けられ、前記機能性シートに、前記伝送部材が通る貫通部が設けられてもよい。伝送部材とアンテナとの間に機能性シートの厚みに応じた距離が隔てられる。これにより、相互間のノイズの影響が抑制される。
【0015】
(3)(1)又は(2)の配線モジュールであって、前記アンテナは、前記ルーフパネルに形成された孔に対応する機能性シートの位置に設けられる通信用アンテナを含んでもよい。例えば、ルーフパネルが金属によって構成されていたとしても、通信用アンテナが金属によって覆われない状態とすることができ、より良好な通信ができる。
【0016】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記アンテナは、前記車室内の機器との間で無線通信を行う室内側アンテナを含み、前記室内側アンテナが、電波遮蔽機能を奏する電波遮蔽層を含む前記機能性シートに対して前記電波遮蔽層よりも前記車室側に位置するように設けられてもよい。車室内の機器に対して良好に通信できる。
【0017】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記アンテナは、車外の機器との間で通信を行う外部通信用アンテナを含み、前記外部通信用アンテナが、電波遮蔽機能を奏する電波遮蔽層を含む前記機能性シートに対して前記電波遮蔽層よりも前記車外側に位置するように設けられてもよい。車外の機器との間で良好に通信できる。
【0018】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記アンテナは、前記車室内の機器に非接触給電を行う室内側アンテナを含み、前記室内側アンテナは、前記機能性シートに対して前記車室側に設けられてもよい。室内側アンテナから車室内の機器に対して効率的に非接触給電がなされる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る配線モジュールについて説明する。
【0021】
<配線モジュールが組込まれる車両について>
図1は配線モジュール20が組込まれた車両10を示す概略斜視図である。車両10は、ボディ12を備える。ボディ12は、車両10の外形をなす部分である。ボディ12は、モノコックボディであってもよいし、ラダーフレーム上に搭載されるボディであってもよい。ここでは、ボディ12は、車室を囲む側方パネル、ルーフパネル13、さらには、乗員が乗り降りするための乗降用ドアパネル、荷物を出し入れするためのリアドアパネル等を含む。ボディ12は、金属によって形成されてもよいし、樹脂によって形成されてもよい。ボディ12は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ボディ12のうち車室の上方を覆う板状の部分がルーフパネル13である。つまり、ルーフパネル13は、車両10の屋根部分を形成する。ルーフパネル13は、ボディ12の外観形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。ルーフパネル13は、金属で形成されてもよいし、樹脂で形成されてもよい.ルーフパネル13は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ここでは、ルーフパネル13には、アンテナ用孔13hが形成されている(
図2参照)。
【0022】
配線モジュール20は、車両10に組込まれる。本実施形態では、配線モジュール20が、ルーフパネル13を含むルーフ14に組込まれる例が説明される。配線モジュール20は、車両10におけるその他の部位、例えば、乗降用ドア、リアドア、インストルメントパネル等に組込まれてもよい。
【0023】
図2は配線モジュール20を示す分解斜視図である。
図3は同配線モジュール20を示す斜視図である。
図2においては、ルーフ14が図示されている。ルーフ14としては、上記ルーフパネル13と内装部材16とが図示されている。内装部材16は、樹脂等で形成された板状部材である。内装部材16は、車室内の天井形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。内装部材16は、ルーフパネル13に対して下側に取付けられる。内装部材16は、車室内に露出する部分である。内装部材16は、ルーフライナ(roof liner)と呼ばれることもある。本実施形態では、配線モジュール20は、ルーフパネル13と内装部材16との間に設けられる。
【0024】
<配線モジュールの全体構造について>
配線モジュール20は、機能性シート30と、線状伝送部材40と、機器50とを備える。
【0025】
機能性シート30は、線状伝送部材40及び機器50が固定される以外の他の機能を持つシート状の部材である。機能性シート30の機能の例としては、断熱機能、防音機能、電波遮蔽機能等が挙げられる。これらの機能を持つ機能性シート30の具体例については後で説明する。
【0026】
機能性シート30は、ルーフ14に対して面状に広がるように、当該ルーフ14に組込まれる。例えば、機能性シート30は、ルーフ14に対して8割以上の面積に広がって配設されてもよい。また、例えば、機能性シート30は、車室内の複数の乗員席のヘッドレストの上方全体に広がるように配設されてもよい。機能性シート30がルーフ14に対して広がって配設されることで、ルーフ14に対してなるべく広い領域で、線状伝送部材40及び機器50の固定を行える。また、機能性シート30が持つ機能を、ルーフ14に対してなるべく広い領域で、発揮することができる。
【0027】
線状伝送部材40は、電気又は光等を伝送する線状の部材であり、伝送部材の一例である。例えば、線状伝送部材は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、裸導線、シールド線、電気ケーブル、エナメル線、ニクロム線、同軸線、光ファイバ等であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。また、線状伝送部材は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。伝送部材は、機能性シートに対する導電性塗料の塗布、銅箔に対するエッチング等によって形成されてもよい。
【0028】
線状伝送部材40は、機能性シート30に固定されている。線状伝送部材40が機能性シート30に対して一定の経路に沿って配設されるように固定されていればよく、固定のための具体的構成は特に限定されない。
【0029】
なお、伝送部材が機能性シートに形成されるとは、電気を伝送する媒体が機能性シートにおいて電気の経路をなすように形作られることをいう。このため、機能性シート30に形成された伝送部材とは、当該機能性シート30に対して導電性塗料の塗布、銅箔に対するエッチング等によって直接形成される伝送部材の他、機能性シート30とは別に製造された線状伝送部材40が、機能性シート30のいずれか又は両方の主面等に沿って一定の経路をなすように形作った状態で取付けられた伝送部材を含む。
【0030】
例えば、線状伝送部材40は、機能性シート30の一主面に対して固定されていてもよい。例えば、線状伝送部材40は、機能性シート30の一主面に対して溶着(融着ともいう)されていてもよい。これにより形成された溶着部は、線状伝送部材40及び機能性シート30の少なくとも一方の一部が溶けて相互にくっついた状態となっている。線状伝送部材40と機能性シート30との溶着は、超音波溶着によってなされてもよいし、加熱溶着によってなされてもよい。また、線状伝送部材40と機能性シート30との少なくとも一方の表面が溶剤によって溶かされることで、線状伝送部材40と機能性シート30とが溶着されてもよい。また、例えば、線状伝送部材40は、機能性シート30に対して、接着剤、両面テープ等によって固定されていてもよい。また、例えば、線状伝送部材40は、縫糸等によって、機能性シート30に対して縫付けられていてもよい。また、例えば、線状伝送部材40が機能性シート30の一主面上に配設された状態で、機能性シート30の一主面側から線状伝送部材40を跨ぐように粘着テープが貼付けられることで、線状伝送部材40が機能性シート30の一主面に固定されていてもよい。線状伝送部材40は、機能性シート30の一主面のみに固定される必要は無い。線状伝送部材40は、機能性シート30の一方主面に固定される部分と、機能性シート30の他方主面に固定される部分とを併有していてもよい。この場合、線状伝送部材40は、機能性シート30の中間部又は端縁部において一方主面から他方主面に向けて通るように付設されてもよい。
【0031】
また、例えば、線状伝送部材40は、2つのシートの間に挟み込まれることで、機能性シート30に固定されていてもよい。例えば、機能性シート30が複数層を含む場合において、線状伝送部材40が各層を構成するシートの間に挟込まれていてもよい。また、機能性シート30に他のシートが重ね合される場合において、機能性シート30と当該他のシートとの間に、線状伝送部材40が挟込まれていてもよい。この場合において、線状伝送部材40を挟込む2つのシート同士は、溶着によって固定されてもよいし、接着剤又は両面テープによって固定されてもよい。
【0032】
外部通信用アンテナ53a、53bとの関係では、伝送部材40は、機能性シート30のうち外部通信用アンテナ53a、53bが設けられる面とは反対側の面に設けられることが好ましい。機能性シート30の厚みに応じた距離分、外部通信用アンテナ53a、53bと線状伝送部材40とが隔てられ、相互間のノイズの影響が抑制されるからである。
【0033】
室内側アンテナ50Bでは、伝送部材40は、機能性シート30のうち室内側アンテナ50Bが設けられる面とは反対側の面に設けられることが好ましい(
図11に示す例参照)。機能性シート30の厚みに応じた距離分、室内側アンテナ50Bと線状伝送部材40とが隔てられ、相互間のノイズの影響が抑制されるからである。
【0034】
線状伝送部材40は、機器50に接続されている。機器50は、線状伝送部材40を介して電気信号又は光信号を送信し又は受信する。または、機器50は、線状伝送部材40を介して電力供給を受けたり、電力を分配したりする。線状伝送部材40と機器50との接続は、コネクタを介して行われてもよい。線状伝送部材40が機器50内に直接導入され、機器50内の電気要素に直接に接続されていてもよい。
【0035】
機器50は、ルーフ14に配設され、線状伝送部材40の接続先となる機器である。機器50としては、例えば、電子制御ユニット、ランプ(特にマップランプ、室内ランプ)、スピーカ、室内カメラ、モニタ、投影機器、外部通信用アンテナ、室内側アンテナ等が想定される。
【0036】
機器50は、機能性シート30に対して固定されている。機能性シート30に対する機器50の固定位置は任意である。好ましくは、機器50は、機能性シート30に対して、機器50が果す役割に適した位置に固定される。例えば、機器50がマップランプである場合を想定すると、当該機器50は、機能性シート30のうち前席斜め上前方位置に配設されることになる部分に固定される。また、例えば、機器50が室内側アンテナである場合を想定すると、当該機器50は、機能性シート30のうち前席又は後席の上方位置に配設されることになる部分に固定される。
【0037】
ここでは、機能性シート30のうち一側寄りの前後方向中央位置にある機器50は、電子制御ユニット50Aであるとして説明する。この電子制御ユニット50Aは、車両10に設けられた他の電子制御ユニットと通信しつつ、ルーフ14に搭載される各機器50を制御する機器である。機器50のうち電子制御ユニット50Aを除き、屋根部分に搭載される機器は、ルーフ側機器の一例である。また、線状伝送部材40のうち電子制御ユニット50Aと他のルーフ側機器50とを接続する線状伝送部材40は、第1伝送部材の一例である。搭載とは、ルーフパネル13、内装部材16、機能性シート30を問わず、屋根部分において一定位置を保つように保持されていることをいう。
【0038】
また、機能性シート30のうち中央よりも前寄りの位置にある機器50は、室内側アンテナ50Bであるとして説明する。室内側アンテナ50Bは、例えば、車室内の室内機器(スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ機器等)との間で無線通信を行うためのアンテナである。例えば、室内側アンテナ50Bは、Wi-Fi(登録商標)通信用のアンテナ、Bluetooth(登録商標)通信用のアンテナである。例えば、Wi-Fi通信のための周波数帯は2.4GHz又は5GHz帯であり、Bluetooth通信ための周波数帯は2.4GHzである。
【0039】
室内側アンテナ50Bは、車室内の室内機器に対して非接触で電力供給を行う非接触給電用のアンテナであってもよい。室内側アンテナ50Bは、車室内の室内機器に対して無線通信及び非接触給電の両方を行うアンテナであってもよい。非接触給電用の周波数は特に限定されず、例えば、規格等によって定められる。室内側アンテナ50Bとしては、例えば、基板上に導体箔等によってアンテナを形成したプリント基板アンテナを用いることができる。また、プリント基板はFPC(Flexible printed circuits)であってもよい。室内側アンテナ50Bが、プリント基板アンテナとして構成されていれば、室内側アンテナ50Bは機能性シート30に対して薄い占有スペースで取付けられる。プリント基板アンテナがFPCによって構成されていれば、占有スペースはより薄くなる。FPCアンテナ等のシート状のアンテナは、設置可能なスペースに応じた形状等にも容易に追従変形可能である。室内側アンテナ50Bは、その他、ロッドアンテナ等であってもよい。
【0040】
また、機能性シート30のうち後ろ寄りの位置にある機器50は、外部通信用アンテナユニット50Cであるとして説明する。外部通信用アンテナユニット50Cは、車外の機器との間で無線通信を行うためのアンテナ53a、53bを含む。ここでは、外部通信用アンテナユニット50Cは、ベース部材52と、外部通信用アンテナ53a、53bと、カバー54とを備える。ベース部材52は、偏平な形状、ここでは、方形板状に形成されている。ベース部材52上に外部通信用アンテナ53a、53bが設けられている。外部通信用アンテナ53a、53bは、車外機器との間で通信を行うためのアンテナである。外部通信用アンテナ53a、53bは、例えば、公衆通信回線又は専用通信回線における無線基地局との間で通信を行うアンテナ、車車間通信又は路車間通信のためのアンテナ、GPS信号受信のためのアンテナである。外部通信用アンテナ53a、53bは、車車間通信又は路車間通信のためのアンテナ、GPS信号受信のためのアンテナであることが好ましい。一般的に、公衆通信回線又は専用通信回線のための周波数帯は、各国の規定又は規格等によって定められる。また、車車間通信又は路車間通信のための周波数帯も、各国の規定又は規格等によって定められる。ここでは、複数の外部通信用アンテナ53a、53bがベース部材52上に実装されている。これにより、複数の外部通信用アンテナ53a、53bが1つのまとまった形態として取扱われる。外部通信用アンテナユニットは、1つのアンテナのみを備えていてもよい。外部通信用アンテナユニットは、3つ以上のアンテナを備えていてもよい。カバー54は、樹脂等によって構成されており、外部通信用アンテナ53a、53bの上方及び周囲4方を覆っている。ルーフパネル13に形成されたアンテナ用孔13hは、カバー54の外周囲に応じた形状に形成されている。外部通信用アンテナユニット50Cのうちカバー54部分が、ルーフパネル13に形成されたアンテナ用孔13hに嵌め込まれる。これにより、ルーフパネル13が金属によって構成されていたとしても、外部通信用アンテナ53a、53bは、金属によって覆われず、外側を向くことができる。これにより、より良好な通信ができる。
【0041】
ここでは、外部通信用アンテナユニット50Cは、薄いボックス状に形成されている。外部通信用アンテナユニットは、フィン(fin)状又はロッド状に形成されていてもよい。この場合、フィン(fin)状又はロッド状に形成された外部通信用アンテナユニットは、ルーフパネルに形成された孔に挿入されて、当該ルーフパネルの外側に突出してもよい。これにより、外部通信用アンテナを外部に露出させた状態とし易く、外部通信用アンテナ53a、53bを通じて良好な外部通信が可能となる。外部通信用アンテナは、ルーフパネルの外側に位置するように、フィン状又はロッド状の外部通信用アンテナユニットに組込まれていることが好ましい。外部通信用アンテナは、機能性シートに設けられていればよく、外部通信用アンテナユニットは、ルーフパネル13やボディ12に取付けられていてもよい。
【0042】
以下の説明において、電子制御ユニット50A、室内側アンテナ50B、外部通信用アンテナユニット50Cについて、区別する必要がある場合には、符号50A、50B、50Cを参照し、特に区別する必要が無い場合には、機器50と総称する場合がある。
【0043】
複数の線状伝送部材40は、電子制御ユニット50Aから前方に向かう経路と、電子制御ユニット50Aから機器50に向う複数の経路のそれぞれに沿って配設される。電子制御ユニット50Aから前方に向かう経路に沿う線状伝送部材40は、機能性シート30の領域内においては当該機能性シート30に固定されることで、一定の経路に沿って保持されている。電子制御ユニット50Aから前方に向かう経路に沿う線状伝送部材40は、機能性シート30の前部から外方に延出する。この線状伝送部材40は、例えば、車両におけるAピラー等に沿って配設されて、車両における他の電子制御ユニット、電源等に接続される。つまり、線状伝送部材40は、例えば、車載機器の一つとして車両側に搭載された車両側機器に対して電気的に接続される。ここで、線状伝送部材40が、車両側に搭載された車両側機器に対して電気的に接続されるとは、線状伝送部材40と車両側機器とが、電力伝送及び通信の少なくとも一方が可能な状態で接続されることをいう。このため、電子制御ユニット50Aが通信中継機能を有する場合、電源の分配機能を有する場合等のいずれにおいても、線状伝送部材40と車両側機器とは、電子制御ユニット50A及び配線40Eの少なくとも1つが介在したとしても、電気的に接続される関係にある。
【0044】
線状伝送部材40のうち電子制御ユニット50Aから車両における他の電子制御ユニット、電源等に接続される部分は、配線モジュール20における伝送部材を構成せず、車両側に搭載された車両側機器から前記屋根部分まで敷設された別の配線40Eとして把握されてもよい。このような場合において、別の配線40Eは、機能性シート30のうち電子制御ユニット50Aが搭載される位置から機能性シート30の外部方向に延び、車両側機器と電気的に接続される第2伝送部材の一例である。配線40Eは、機能性シート30に取付けられている必要は無い。
【0045】
電子制御ユニット50Aから複数の機器50に向う複数の経路に沿う複数の線状伝送部材40は、機能性シート30に固定されることで、一定の経路に沿って保持されている。つまり、線状伝送部材40は、ルーフ側機器である機器50に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されている。線状伝送部材40は、各機器50に達するまで、機能性シート30に保持されていてもよいし、機器50に達する前の位置まで機能性シート30に保持されていてもよい。複数の線状伝送部材40の経路は、任意である。複数の線状伝送部材40の経路同士は、交差しないことが好ましい。複数の線状伝送部材40の経路同士が交差しなければ、その交差部によって配線モジュールの厚さが増えてしまうことが抑制される。また、信号のクロストーク等のノイズ問題が交差部で発生することが抑制される。
【0046】
線状伝送部材40のうち外部通信用アンテナ53a、53bを含む外部通信用アンテナユニット50Cに向う線状伝送部材40は、電子制御ユニット50A及び配線40Eを介して車両側機器と電気的に接続される。また、この線状伝送部材40は、機能性シート30に沿って外部通信用アンテナユニット50Cに向けて延び外部通信用アンテナ53a、53bにも電気的に接続される。このため、この線状伝送部材40は、車両側機器と前記外部通信用アンテナ53a、53bとを電気的に接続する伝送部材の一例である。同様に、線状伝送部材40のうち室内側アンテナ50Bに向う線状伝送部材40は、車両側機器と前記室内側アンテナ50Bとを電気的に接続する伝送部材の一例である。
【0047】
<機能性シートの一例について>
図4は機能性シート30の一例を示す概略側面図である。機能性シート30は、断熱層32、防音層34及び電波遮蔽層36を含む。ここでは、機能性シート30は、下側から上側に向けて、断熱層32、防音層34及び電波遮蔽層36が重ね合された多層構造を有する。断熱層32、防音層34及び電波遮蔽層36の重ね合せ順は、任意である。機能性シートが複数の機能層を有する場合において、複数の機能層が機能性シートの厚み方向において重なって配置されていることは必須ではない。複数の機能層は、機能性シートが広がる領域内において、異なる領域に設けられていてもよい。例えば、複数の機能層が、機能性シートが広がる領域内において横並びで設けられていてもよい。断熱層32の下側に電波遮蔽層36が設けられてもよい。この場合、断熱層32により電波遮蔽層36に対する熱影響が低下する。これにより、電波遮蔽層36の基材の樹脂に耐熱性を持たせることが不要となり、低コスト化に貢献する。
【0048】
断熱層32は、機能性シート30の一方主面側及び他方主面側の間で、熱が伝わり難いようにする層である。断熱層32は、熱放射エネルギーを反射する層であってもよい。断熱層32は、他の層よりも熱伝導率が低い層であってもよい。具体的には、断熱層32としては、不織シート、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。断熱層32としては、断熱塗料、遮熱塗料が用いられてもよい。断熱層32は、金属箔であってもよい。この場合、機能性シート30において電波を透過したい領域においては、金属箔による断熱層32が設けられないようにする。
【0049】
防音層34は、機能性シート30の一方主面側及び他方主面側の間で、音が伝わり難いようにする層である。防音層34は、音を反射するものであってもよいし、音のエネルギーを熱エネルギーとして吸収するものであってもよい。具体的には、防音層34としては、不織シート、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。防音層34としては、吸音塗料が用いられてもよい。
【0050】
電波遮蔽層36は、機能性シート30の一方主面側及び他方主面側の間で、電波が伝わり難いようにする層である。電波遮蔽層36は、全ての周波数に対して電波遮蔽性を有していてもよい。電波遮蔽層36は、一部の周波数帯に対して選択的な電波遮蔽性を有していてもよい。この場合、一部の周波数帯の電波は、電波遮蔽層において反射又は吸収の少なくとも一方がなされればよい。電波遮蔽層36は、アルミニウム、鉄等の金属で形成された層であってもよい。選択的な電波遮蔽性を有する電波遮蔽層36としては、周知の周波数選択膜(FSS: Frequency Selective Surface)が用いられてもよい。
図5は周波数選択膜の一例を示す図である。周波数選択膜は、樹脂等で形成されたベースフィルム36a上に金属箔等によってユニットセル(素子)36bを形成したものである。
図5では、大きさが異なる2つの環状のユニットセル36bが同心円状に配置されており、この2つの環状のユニットセル36bが縦横に並ぶように形成された例が示される。かかる周波数選択膜は、ユニットセル(素子)36bの周波数特性に応じて1つ又は複数の周波数帯の電波を選択的に遮蔽し、他の周波数帯の電波を通過させる性質を有する。選択的な電波遮蔽性を有する電波遮蔽層は、断熱層又は防音層に直接導電性ペースト等を印刷することによって形成されていてもよい。この場合、断熱層又は防音層は、上記電波遮蔽層を兼ねる層である。
【0051】
室内側アンテナ50Bが放射する電波の周波数帯が、周波数選択膜が遮蔽する周波数帯に含まれれば、当該電波は周波数選択膜によって遮蔽される。外部通信用アンテナ53a、53bが放射するいずれかの電波の周波数帯が、周波数選択膜が遮蔽する周波数帯に含まれれば、当該外部通信用アンテナ53a、53bが放射するいずれかの電波が周波数選択膜によって遮蔽される。外部通信用アンテナ53a、53bが放射するいずれかの電波の周波数帯が、周波数選択膜が遮蔽する周波数帯の範囲外であれば、外部通信用の電波は周波数選択膜を通過する。また、外部通信用の電波が、周波数選択膜が遮蔽する周波数帯の範囲外であれば、当該外部通信用の電波は周波数選択膜を通過する。かかる外部通信用の電波は、車室内機器と外部との間の無線通信に適する。
【0052】
電波遮蔽層36が一部の周波数帯に対して選択的な電波遮蔽性を有する場合、電波遮蔽層36は、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択特性を有する部材であると把握されてもよい。ここで、第1周波数帯は、1つの周波数帯であってもよいし、複数の周波数帯であってもよい。電波遮蔽層36は、面状に広がる領域において、上記周波数選択特性を発揮する。電波遮蔽層36が、第1周波数帯の電波を遮蔽する特性に関して、当該第1周波数帯の電波が完全に遮蔽される必要は無い。また、電波遮蔽層36が第2周波数帯の電波を透過する特性に関して、当該第2周波数帯の電波が全て透過する必要は無い。つまり、電波遮蔽層36は、第1周波数帯と第2周波数帯との間で、透過減衰特性が異なる周波数選択特性を有していればよい。以下の説明において、電波遮蔽層36が一部の周波数帯に対して選択的な電波遮蔽性を有することに関する記載を行う場合、上記第1周波数帯、第2周波数帯が参照される場合がある。
【0053】
なお、各層は、単に重ね合されただけであってもよい。各層は、両面テープ、接着剤、溶着等によって固定されていてもよい。
【0054】
また、機能性シート30が、断熱層32、防音層34及び電波遮蔽層36の全ての層を含むことは必須ではない。機能性シート30は、断熱層32、防音層34及び電波遮蔽層36のうちの一部の層を含んでいてもよい。つまり、機能性シート30は、断熱機能、防音機能及び電波遮蔽機能のうちの少なくとも1つを奏する層を含めばよい。また、1つの層が、複数の機能を兼ね備えていてもよい。例えば、不織シートによって構成された層は、断熱層及び防音層としての機能を兼ね備えることができる。
【0055】
電波遮蔽層36が選択的な電波遮蔽性を有する場合、線状伝送部材40と電波遮蔽層36とは離れていることが望ましい。線状伝送部材40が電波遮蔽層36における選択的な電波遮蔽性に影響を与える可能性があるからである。例えば、
図4に示すように、機能性シート30が、一方の面から他方の面に向けて(
図4では下面から上面に向けて)、断熱層32、防音層34及び電波遮蔽層36が重ね合された多層構造を有する場合、線状伝送部材40は、電波遮蔽層36から離れた側の面、即ち、前記一方の面に設けられることが好ましい。線状伝送部材40と電波遮蔽層36との間に他の付加機能層が介在していてもよい。機能性シート30の厚み方向において電波遮蔽層36が一方の面側に偏って配置されている場合に、線状伝送部材40は、機能性シート30の他方の面側に設けられてもよい。
図4では、断面方形状に形成された線状伝送部材40Bも示されている。線状伝送部材40Bは、露出した導体であってもよいし、当該導体が絶縁樹脂等によって覆われた構成であってもよい。
【0056】
図6は線状伝送部材40が機能性シート30を構成する基材39に溶着された状態を示す断面図である。基材39は、機能性シート30を構成する層のうちのいずれを構成するものであってもよい。線状伝送部材40は、芯線40aと、被覆40bとを含む一般的な被覆電線である。被覆40bは、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリエチレン(PE)などの樹脂によって形成される。基材39を構成する材料は、被覆40bと溶着可能な材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記PVC、PEなどのほかポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂を含む材料であることが好ましく、絶縁被覆を構成する樹脂と同じ樹脂を含む材料であることがより好ましい。
【0057】
線状伝送部材40が上記基材39に超音波溶着等によって溶着されることによって、被覆40bが基材39に溶着される。基材39と被覆40bとは、いずれが溶けてもよいし、両方が溶けてもよい。
【0058】
<機能性シートに対する機器の固定構造>
機能性シート30に対する機器50の固定構造例について説明する。
【0059】
機器50は、機能性シート30に直接固定されていてもよい。機器50は、機器ホルダを介して機能性シート30に固定されていてもよい。
【0060】
図7は機器50が機能性シート30に直接固定された状態を示す斜視図である。なお、機能性シート30に直接固定された機器を直接固定機器150と称してもよい。
【0061】
図3及び
図7に示すように、直接固定機器150は機能性シート30の一主面に直接固定されている。ここで、直接固定機器150が機能性シート30に直接固定されるとは、当該直接固定機器150が他の固定用のホルダ等を介さずに固定されていることをいう。
【0062】
例えば、直接固定機器150は、機能性シート30の一主面に対して溶着(融着ともいう)されていてもよい。これにより形成された溶着部は、直接固定機器150及び機能性シート30の少なくとも一方の一部が溶けて相互にくっついた状態となっている。直接固定機器150と機能性シート30との溶着は、超音波溶着によってなされてもよいし、加熱溶着によってなされてもよい。また、直接固定機器150と機能性シート30との少なくとも一方の表面が溶剤によって溶かされることで、直接固定機器150と機能性シート30とが溶着されてもよい。また、例えば、直接固定機器150は、機能性シート30に対して、接着剤、両面テープ等によって固定されていてもよい。また、例えば、直接固定機器150は、縫糸等によって、機能性シート30に対して縫付けられていてもよい。例えば、直接固定機器150の外部に縫付け用の突片が形成されていてもよい。突片には孔が形成されているとよい。この孔を利用して直接固定機器150が機能性シート30に縫付けられる。また、直接固定機器150と固定プレートとの間に機能性シート30が挟込まれることで、直接固定機器150が機能性シート30に固定されてもよい。例えば、機能性シート30の一方主面側に直接固定機器150が配設され、機能性シート30の他方主面側に板状の固定プレートが配設される。この状態で、機能性シート30を貫通するネジが直接固定機器150と固定プレートとを接近方向に締付ける。これにより、直接固定機器150と固定プレートとの間に機能性シート30が挟込まれる。
【0063】
直接固定機器150は、機能性シート30の一方主面及び他方主面のいずれに固定されてもよい。
図7では、直接固定機器150が機能性シート30に対して下側(車室側)の面に固定されている。例えば、直接固定機器150は、直方体状に形成されている。その一主面が機能性シート30の下側の面に接触した状態で、直接固定機器150が機能性シート30の下側の面に直接固定されている。
【0064】
ここでは、直接固定機器150にはルーフ14への固定用の固定片51が突設されている。固定片51には、ネジ固定用のネジ挿通孔が形成されている。機能性シート30のうち固定片51に対応する位置には、開口31hが形成されている。このため、配線モジュール20がルーフパネル13と内装部材16との間に配設された状態で、固定片51をルーフパネル13の下面側に重ね合せることができる。これにより、固定片51をルーフパネル13に対して容易にネジ止め等によって固定することができる。
【0065】
本実施形態では、機器50の例である室内側アンテナ50B、外部通信用アンテナユニット50Cも、上記と同様に、機能性シート30に直接固定されている。なお、外部通信用アンテナユニット50Cは、機能性シート30の上面に固定されている。
【0066】
図8は機器50が機能性シート30に機器ホルダ60を介して固定された状態を示す斜視図である。
図9は機器50と機器ホルダ60を示す側面図である。なお、機能性シート30に機器ホルダ60を介して固定された機器を間接固定機器250と称してもよい。
【0067】
機器ホルダ60は、機能性シート30に固定された状態で、間接固定機器250を保持可能に構成されている。ここでは、機器ホルダ60は、ホルダ本体部62と、固定片64とを備える。
【0068】
ホルダ本体部62は、樹脂等によって、一端側が開口する直方体箱状に形成されている。ホルダ本体部62の内部には、間接固定機器250の一部又は全部を収容可能な空間が形成されている。ここでは、間接固定機器250は直方体状に形成されている。ホルダ本体部62の内部には、間接固定機器250の外形状に応じた直方体状の空間が形成されている。
【0069】
ホルダ本体部62には、間接固定機器250に引っ掛かり可能な引っ掛かり片63が形成されている。ここでは、間接固定機器250の外周に細長い溝状の凹部251が形成されている。ホルダ本体部62の開口部のうちの一部に引っ掛かり片63が形成されている。引っ掛かり片63の両側部は、ホルダ本体部62のうちの他の部分から分離されている。このため、引っ掛かり片63は、その基端部分を支持箇所として、ホルダ本体部62の内外方向に弾性変形することができる。引っ掛かり片63の先端部には、ホルダ本体部62の内側に向けて突出する凸部62aが形成されている。ホルダ本体部62内に間接固定機器250を挿入すると、凸部62aが間接固定機器250の外面に接触し、引っ掛かり片63が外向きに弾性変形する。凸部62aが凹部251に達するまで、間接固定機器250をホルダ本体部62内の奥に挿入すると、引っ掛かり片63が元の形状に弾性復帰し、凸部62aが凹部251に嵌り込む。これにより、間接固定機器250が抜け止された状態でホルダ本体部62内に保持される。ホルダ本体部62が引っ掛かり片63による引っ掛かり構造を有していることは必須ではない。例えば、コネクタ接続による保持力によって、間接固定機器250がホルダ本体部62内に保持されてもよい。間接固定機器250がホルダ本体部62に対してネジ止等で固定されてもよい。
【0070】
ホルダ本体部62には、ホルダ側コネクタ66が設けられている。ホルダ側コネクタ66は、ホルダ本体部62の奥側に設けられている。ホルダ側コネクタ66は、ホルダ本体部62の外側及び内側に露出している。線状伝送部材40は、ホルダ側コネクタ66の外向き部分からホルダ側コネクタ66内に導入されている。線状伝送部材40は、ホルダ側コネクタ66内において、当該ホルダ側コネクタ66内の端子に接続されている。ホルダ側コネクタ66内の端子は、ホルダ本体部62内で露出している。
【0071】
間接固定機器250のうちホルダ本体部62の奥側に挿入される部分には、ホルダ側コネクタ66とコネクタ接続可能な機器側コネクタ252が設けられている。上記したように、間接固定機器250をホルダ本体部62内に挿入すると、機器側コネクタ252とホルダ側コネクタ66とがコネクタ接続される。このため、機器ホルダ60は、機器50を、線状伝送部材40に電気的に接続した状態で保持する。
【0072】
ホルダ本体部62は、上記直接固定機器150と同様に、機能性シート30の一主面に直接固定されている。
【0073】
また、固定片64は、ホルダ本体部62に突設されている。固定片64は、直接固定機器150に設けられた固定片51と同様構成である。機能性シート30のうち固定片64に対応する位置には、開口31hが形成されている。このため、配線モジュール20がルーフパネル13と内装部材16との間に配設された状態で、固定片64をルーフパネル13の下面側に重ね合せることができる。これにより、固定片64をルーフパネル13に対して容易にネジ固定することができる。なお、ホルダを用いた構成においても、間接固定機器自体がルーフパネル13等に固定されてもよい。
【0074】
機器50を機能性シート30に取付ける構成としては、直接固定機器150を機能性シート30に取付ける構成と、間接固定機器250を、機器ホルダ60を介して機能性シート30に取付ける構成とが混在していてもよい。例えば、室内側アンテナ50Bは、シート状に形成されているため、機器ホルダ60を介さず、機能性シート30に直接固定されていてもよい。
【0075】
機器50及び機器ホルダ60は、最終的にはルーフパネル13又は内装部材16等に固定されることが好ましい。このため、機器50及び機器ホルダ60は、ルーフパネル13等に固定される前の状態で、機能性シート30に対して一定の位置を保ち得る程度の強度で機能性シート30に固定されていればよい。
【0076】
なお、機器50が機能性シート30に固定されることは必須ではない。例えば、機能性シート30と線状伝送部材40とを備える配線モジュールが、機器50とは別に屋根部分に組込まれてもよい。
【0077】
<機能性シートに対する機器の配置関係>
機能性シート30の両面に対する機器50の配置例について説明する。
図10はルーフ14に組込まれた配線モジュール20を示す説明図である。
【0078】
同図において、ルーフパネル13に対して車室側には補強バー13aが設けられている。補強バー13aはステイと呼ばれることもある。配線モジュール20の機器50は、補強バー13aに対してネジ止固定されている。機器50は、内装部材16に固定されていてもよい。機器50は、ルーフパネル13及び内装部材16に固定されていなくてもよい。機器50はその他の構造、例えば、接着剤、両面テープ、溶着、引っ掛け構造等によってルーフ14に固定されてもよい。
【0079】
機器50がモニタ等である場合、機器50は車室内に露出することが要請される。この場合、機器50は、内装部材16に形成された孔16hに嵌め込まれて、車室内に露出することができる。機器50が電子制御ユニット50A等である場合には、機器50は車室内に露出する必要は無く、内装部材16とルーフパネル13との間に収められていてもよい。
【0080】
機能性シート30は、内装部材16とルーフパネル13との間に配設される。機能性シート30は、内装部材16等に固定されていてもよいし、単に内装部材16の上に載置されるだけであってもよい。例えば、機能性シート30は、両面テープ、接着剤、溶着等によって内装部材16等に固定されてもよい。
図10では、機能性シート30は、電波遮蔽層36と、付加機能層37とを含む層として例示されている。ここでは、電波遮蔽層36は、付加機能層37に対して上側に重ねられている。付加機能層37は、機能性シート30に対して、電波遮蔽機能とは別の機能を付加する層である。例えば、付加機能層37は、断熱機能及び防音機能のうちの少なくとも1つの機能を付加する層である。付加機能層37は、単層構造であってもよいし、複数層構造であってもよい。
【0081】
配線モジュール20が電波遮蔽層36を含むことを前提とすると、外部通信用アンテナ53a、53bを含む外部通信用アンテナユニット50Cは、電波遮蔽層36に対して車外側に設けられていることが好ましい。すなわち、第1周波数帯の伝播を放射する外部通信用アンテナ53a、53bが、電波遮蔽層36に対して車外側に設けられていてもよい。これにより、外部通信用アンテナ53a、53bから放射される電波が、電波遮蔽層36によって遮蔽され、車室内側に伝播され難くなる。また、外部通信用アンテナ53a、53bから放射される電波は電波遮蔽層36によって遮蔽されることなく外部に伝播される。このため、外部通信用アンテナ53a、53bを介した外部の機器210(基地局等)との無線通信は良好に行われる。また、車内側に電波が伝わらないため、電波の車外への放射効率が高くなる。この点からも、外部通信用アンテナ53a、53bを介した外部の機器210(基地局等)との無線通信が良好に行われる。
【0082】
この場合において、電波遮蔽層36は、外部通信用アンテナ53a、53bから放射される電波のうちの一部を遮蔽する周波数選択膜であってもよい。これにより、外部通信用アンテナ53a、53bから放射される電波のうち専ら車外通信に用いられる電波が、電波遮蔽層36によって遮蔽され、車室内側に伝播され難くなる。例えば、車車間通信又は路車間通信のための周波数帯の電波が周波数選択膜によって遮蔽されるようにするとよい。
【0083】
また、外部通信用アンテナ53a、53bから放射される電波のうち車室内と車外との通信にも用いられる電波については、電波遮蔽層36によって遮蔽されず、車室内側に伝播され易くなる。すなわち、電波遮蔽層36によって遮蔽されない上記第2周波数帯は、外部通信用の周波数帯に対して少なくとも一部で重なるように設定されてもよい。例えば、車室内の乗員が使用する可能性がある室内機器(スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ機器等)と外部との公衆通信回線又は専用通信回線に利用される電波の周波数帯については、周波数選択膜によって遮蔽される周波数帯外とされればよい。
【0084】
この場合、室内機器が放射する電波は、電波遮蔽層36によっては遮蔽されず、車外に伝播することができる。同周波数帯の外部からの電波も電波遮蔽層36によっては遮蔽されず、車室内に伝播する。このため、室内機器は、公衆通信回線又は専用通信回線を利用して車外の無線基地局との間で良好に無線通信することができる。
【0085】
なお、ルーフパネル13が金属等で形成されている場合、ルーフパネル13にアンテナ用孔13hが形成され、外部通信用アンテナ53a、53bが当該アンテナ用孔13hに対応する位置に配設されるとよい。ここでは、外部通信用アンテナユニット50Cがアンテナ用孔13hに嵌め込まれている。これにより、アンテナ用孔13hを外側から見て、当該アンテナ用孔13h内に外部通信用アンテナ53a、53bが配置される。このため、外部通信用アンテナ53a、53bは、当該アンテナ用孔13hを介して車外を向くことができ、車外の通信機器110(基地局等)との間で良好に無線通信を行うことができる。
【0086】
ルーフパネル13が樹脂等で形成されている場合、外部通信用アンテナ53a、53bは、ルーフパネル13にアンテナ用孔13hを形成する必要は無い。外部通信用アンテナ53aは、樹脂等で形成されたルーフパネル13の内側に配設されていてもよい。
【0087】
ルーフパネル13が金属等で形成されている場合であっても、ルーフパネル13にサンルーフが形成されている場合には、外部通信用アンテナは、当該サンルーフ用の開口を通じて外部との間で無線通信を行ってもよい。
【0088】
なお、本実施形態では、機能性シート30に対して車室側に線状伝送部材40が固定されており、機能性シート30に対して車外側に外部通信用アンテナユニット50Cが固定されている。この場合、次のように構成されてもよい。まず、機能性シート30に表裏に貫通する貫通孔30bを形成する。機能性シート30に対して車室側に固定された線状伝送部材40の端部を貫通部の一例である貫通孔30bに通して機能性シート30に対して車外側の面に引出す。そして、線状伝送部材40の端部のコネクタを、機能性シート30に対して車外側の面の外側で外部通信用アンテナユニット50Cに対してコネクタ接続する。これにより、線状伝送部材40を、機能性シート30の両面のそれぞれで、機器50に接続することができる。
【0089】
また、配線モジュール20が電波遮蔽層36を含むことを前提とすると、室内側アンテナ50Bは、電波遮蔽層36に対して車室内側に設けられていることが好ましい。これにより、室内側アンテナ50B及び車室内の室内機器120から放射される電波が、電波遮蔽層36によって遮蔽され、車外側に伝播され難くなる。この場合において、電波遮蔽層36は、室内側アンテナ50Bから放射される電波を遮蔽する周波数選択膜であってもよい。換言すれば、電波遮蔽層36が第1周波数帯を遮蔽する周波数選択特性を有する場合、遮蔽される第1周波数帯の電波を放射する室内側アンテナ50Bが、電波遮蔽層36に対して車室内側に設けられていてもよい。
【0090】
これにより、室内側アンテナ50Bが無線通信を行う電波が、電波遮蔽層36によって遮蔽され、車外側に伝播され難くなる。一方、室内側アンテナ50Bが放射する電波は、室内側アンテナ50Bに対して電波遮蔽層36とは反対側の車室内側には伝播される。このため、室内側アンテナ50Bを通じて、室内機器120との間で良好に無線通信を行うことができる。また、室内側アンテナ50Bが室内機器に対して非接触給電を行う場合には、車外に電波(電力)が漏れていかないため、効率的に非接触給電が行われる。また、例えば、スマートフォン等の室内機器120は、公衆通信回線又は専用通信回線を介して外部との間で無線通信を行う可能性がある。かかる公衆通信回線又は専用通信回線において利用される電波の周波数帯が、周波数選択膜によって遮蔽される周波数帯外であれば、室内機器120は車外の通信機器(基地局等)との間で良好に無線通信を行うことができる。
【0091】
上記したように、機能性シート30に対して車外側に外部通信用アンテナ53a、53bが設けられ、車室内側に室内側アンテナ50Bが設けられることを想定する。この場合、例えば、周波数選択膜が遮蔽する電波の周波数帯は、外部通信用アンテナ53a、53bから放射される電波のうちの一部及び室内側アンテナ50Bから放射される電波を遮蔽するように設定されていてもよい。さらに、周波数選択膜が遮蔽する電波の周波数帯は、外部通信用アンテナ53a、53bから放射される電波のうちの残部の透過を許容するように設定されていてもよい。これにより、車室内通信用の電波についてはなるべく車外に漏れることが抑制される。また、車外通信用の電波の一部(車車間通信、車路完通信用等)については車室内に伝播し難いようにし、かつ、車外側の電波の残部(公衆通信回線用等)については車室内に伝播し易いようにすることができる。
【0092】
なお、室内側アンテナ50Bについては比較的薄くて軽量であるため、機能性シート30に固定されるのみで、内装部材16に固定されなくてもよい。
【0093】
配線モジュール20が断熱層32を含むことを前提とすると、機器50は、断熱層32に対して車室内側に設けられた車室内側機器を含むことが好ましい。ここでは、複数の機器50のうち外部通信用アンテナユニット50Cを除く機器50が、車室内側機器であることが想定されている。
【0094】
ルーフ14は、太陽90からの光線が照射されることで温度上昇する可能性がある。太陽光線による熱は、断熱層32によって断たれるため、断熱層32に対して車室側は、車外側より温度上昇し難い。そこで、機器50が断熱層32に対して車室内側に設けられていれば、機器50の周辺温度の上昇を抑制することができる。結果、機器50として、耐熱温度が高いものを用いなくてもよくなる。
【0095】
同様に、断熱層32に対して車室側に線状伝送部材40が設けられていれば、線状伝送部材40の温度上昇を抑制することができる。このため、線状伝送部材40として、耐熱温度が高いものを用いなくてもよくなる。
【0096】
<実施形態の効果等>
このように構成された配線モジュール20によると、機能性シート30と、線状伝送部材40と、機器50とを一括して車両に容易に組込むことができる。また、機能性シート30に対して、線状伝送部材40及び機器50が面状に広がった状態で一体化されるため、配線モジュール20を薄型化できる。これにより、室内空間の拡大に貢献することができる。また、機能性シート30に固定される機器50の変更、追加、削除、線状伝送部材40の変更(経路変更を含む)、追加、削除等は比較的容易である。このため、車両に組込まれる機器の変更等に容易に対応することができる。
【0097】
特に、機能性シート30と、アンテナ(外部通信用アンテナ53a、53bを外部通信用アンテナユニット50C、室内側アンテナ50B等)と線状伝送部材40とが車両の屋根部分に容易に組込まれる。
【0098】
特に、機器50は、機能性シート30に対して所定の配設位置に固定され、線状伝送部材40は、各機器50を接続可能な経路に沿って機能性シート30に固定されている。このため、配線モジュール20を車両10に組込むと、各機器50を所定位置に配設し、かつ、線状伝送部材40を、各機器50を接続可能な経路に沿って配設することができる。このため、各機器50を1つずつ所定位置に配設する作業、及び、線状伝送部材40を車両に沿って配設する作業が不要となる。
【0099】
また、ルーフ14は車両10において比較的大きく広がる部位である。かかるルーフ14に対して機能性シート30を配設することで、機能性シート30と、線状伝送部材40と、機器50とを一括して容易に組込むことができる。
【0100】
また、アンテナ(外部通信用アンテナ53a、53bを外部通信用アンテナユニット50C、室内側アンテナ50B等)と線状伝送部材40とが、機能性シート30に対して互いに反対側の面に設けられていれば、両者間に機能性シート30の厚みに応じた距離が隔てられ、相互間のノイズの影響が抑制される。
【0101】
また、直接固定機器150は、機能性シート30に対して直接固定されている。このため、直接固定機器150を、機能性シート30に対してホルダ等の他の部材を用いずに、簡易に固定できる。
【0102】
また、間接固定機器250は、機器ホルダ60を介して機能性シート30に固定される。このため、機器ホルダ60に対して間接固定機器250を脱着することで、間接固定機器250の交換、メンテナンス等を容易に行える。また、機器ホルダ60に対しては間接固定機器250を後から追加することも容易である。
【0103】
また、機能性シート30には、機器50として、室内側アンテナ50B、外部通信用アンテナ53a、53bを含む外部通信用アンテナユニット50Cが固定されている。このため、アンテナ50B、53a、53bを車両10(ここではルーフ14)に容易に組込むことができる。外部通信用アンテナユニット50Cが機能性シート30に固定されているため、外部通信用アンテナユニット50Cをルーフパネル13に組込むことも容易となる。
【0104】
また、外部通信用アンテナ53a、53bを含む外部通信用アンテナユニット50Cは、ボディ12の一部であるルーフパネル13に形成されたアンテナ用孔13hに嵌め込まれる。これにより、外部通信用アンテナ53a、53bがアンテナ用孔13hに対応する位置に配設される。このため、ルーフパネル13の外側を向くように、外部通信用アンテナ53a、53bが容易にルーフ14に組込まれる。
【0105】
また、機能性シート30が、断熱層32、防音層34及び電波遮蔽層36のうちの少なくとも1つを含むため、機能性シート30によって断熱、防音、電波遮蔽のうちの少なくとも1つの機能が実現される。
【0106】
特に、機能性シート30が電波遮蔽層36を含むと、車室の内外で電波が遮蔽される。これにより、車室内の電波が車外に伝播し難くなり、情報セキュリティ性を向上させることができる。また、車外の電波が車室内に伝播し難くなり、室内においてノイズを少なくすることができる。また、線状伝送部材40が電波遮蔽層36に対して車室内側に設けられていれば、線状伝送部材40において室外からのノイズの影響を低減できる。なお、電波遮蔽層36は、ルーフパネル13が樹脂等で形成されている場合に特に有効である。ルーフパネル13が金属で形成されている場合であっても、ルーフパネル13に形成された外部通信用アンテナを装着するための孔、サンルーフ用の孔等、電波が漏れる孔が形成されている場合があるため、上記のように電波を遮蔽する機能は有効である。
【0107】
また、室内側アンテナ50Bが電波遮蔽層36に対して車室側に設けられていると、室内側アンテナ50Bからの電波が車外に漏れ難い。室内側アンテナ50Bは、車室内に対しては問題無く電波を放射することができる。
【0108】
また、外部通信用アンテナ53a、53bが電波遮蔽層36に対して車外側に設けられていると、外部通信用アンテナ53a、53bからの電波は、電波遮蔽層によって遮れず、車外に放射される。
【0109】
また、断熱層32に対して車室内側に車室側機器が存在するため、車外から照りつける太陽光線等によって車室側機器が温度上昇することが防がれる。また、断熱層32によって外部と室内との間で熱が伝わりに難くなる。これにより、エアコンディショナーを効果的に動作させることができ、車両のバッテリ消費が抑制される。車両10がバッテリの電力で駆動されるものである場合、電費を向上させることができる。
【0110】
また、電波遮蔽層36が周波数選択性を有する場合、かかる電波遮蔽層36は、第1周波数帯数の電波を遮蔽することができる。また、第2周波数帯の電波は、電波遮蔽層36を透過することができる。このため、車両10における通信環境を改善できる。
【0111】
特に、電波遮蔽層36は、ルーフパネル13に重なる領域に設けられている。ルーフパネル13は、車両10の上側部分において比較的広く広がっている。かかるルーフパネル13に電波遮蔽層36が重なることで、電波遮蔽層36が、第1周波数帯の電波を効果的に遮蔽することができる。
【0112】
また、第1周波数帯の電波を放射する室内側アンテナ50Bが、電波遮蔽層36に対して車室内側に設けられている。この場合、室内側アンテナ50Bから放射される電波が電波遮蔽層36によって遮蔽され、車外に漏れ難くなる。これにより、情報セキュリティ性を向上させることができる。また、室内側アンテナ50Bから放射される電波が車外においてノイズとなることが抑制される。
【0113】
また、第1周波数帯の電波を放射する外部通信用アンテナ53a、53bが、電波遮蔽層36に対して車外側に設けられる。この場合、外部通信用アンテナ53a、53bから放射される電波の少なくとも一部が電波遮蔽層36によって遮蔽され、車内に透過し難くなり、車室内においてノイズ低減を図ることができる。
【0114】
また、電波遮蔽層36により遮蔽されない第2周波数帯は、外部通信用の周波数帯に対して少なくとも一部で重なるように設定されている。このため、車室内の機器は、外部通信用の周波数帯のうち第2周波数帯と重なる帯域の電波を利用して、外部との間で良好に通信することができる。
【0115】
図11は変形例に係る配線モジュール20Bを示す概略斜視図である。同図に示すように、線状伝送部材40及び機器50は、機能性シート30に対して上側、即ち、ルーフパネル13と内装部材16との間においてルーフパネル13側に設けられてもよい。なお、室内側アンテナ50Bについては、機能性シート30に対して下側、即ち、ルーフパネル13と内装部材16との間において内装部材16側に設けられてもよい。この場合、線状伝送部材40は、機能性シート30を貫通して室内側アンテナ50Bに接続されるとよい。
【0116】
また、外部通信用アンテナユニット50Cが省略されてもよい。この場合、線状伝送部材40のうち外部通信用アンテナユニットに接続される端部にコネクタ48が設けられるとよい。外部通信用アンテナユニットとしては、ルーフパネル等に取付けられる外部通信用アンテナユニット49(例えば、フィン状又はロッド状に形成された外部通信用アンテナユニット)であることが想定される。本配線モジュール20Bが車両10におけるルーフに組込まれる際に、コネクタ48が当該外部通信用アンテナユニット49に接続されるとよい。
【0117】
[実施形態2]
実施形態2に係る配線モジュール320について説明する。なお、本実施形態2の説明において、実施形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図12は配線モジュール320に係る機能ブロック図である。なお、
図12では、各機能部分の数に拘らず、代表的な機能部分が示されている。
図13は配線モジュール320を示す概略斜視図である。
図13において示される第1伝送部材340及び第2伝送部材360は、概略的な経路を示しており、1本の線として描かれていても、複数の電線等を含む場合がある。
【0118】
配線モジュール320は、機能性シート30に設けられる複数の機器350と、第1伝送部材340とを備える。
【0119】
複数の機器350は、電子制御ユニット350A、室内側アンテナ350B、外部通信用アンテナ350C、ランプ350D、カメラ350E、スピーカ350Fを含む。複数の機器350のうち電子制御ユニット350Aを除く機器は、屋根部分に搭載されるルーフ側機器の一例である。外部通信用アンテナ350Cは、単一のアンテナであってもよいし、複数のアンテナが組合わされたアンテナユニットであってもよい。
【0120】
電子制御ユニット350Aは、プロセッサ、メモリ等を含むコンピュータであり、予め記憶されたプログラムに従って制御処理を実行する。電子制御ユニット350Aは、例えば、ルーフに設けられた各種機器を制御するエリアECU(Electronic Control Unit)であることが想定される。電子制御ユニット350Aは、車両側機器に対して第2伝送部材360を介して接続されている。車両側機器としては、他の電子制御ユニット(例えば、ボディECU、セントラルECU等)であることが想定される。車両側機器は、電源装置であってもよい。第2伝送部材360は、少なくとも通信線を含む。電子制御ユニット350Aは、第2伝送部材360を介して車両側機器との間で通信可能に接続される。
【0121】
電子制御ユニット350Aは、第1伝送部材340を介して、ルーフに設けられる他の機器、例えば、室内側アンテナ350B、外部通信用アンテナ350C、ランプ350D、カメラ350E、スピーカ350F等に通信可能に接続されている。第1伝送部材340は、少なくとも通信線を含む。電子制御ユニット350Aは、第1伝送部材340を介して、ルーフに設けられる他の機器350B、350C、350D、350E、350Fを制御することができる。なお、
図13では、ランプ350Dは、マップランプ350Daと、他のランプ350Dbとに区別される。
【0122】
第1伝送部材340に電源線が含まれていてもよい。第2伝送部材360に電源線が含まれていてもよい。第1伝送部材340に含まれる電源線は、第2伝送部材に含まれる電源線に直接接続されてもよい。第1伝送部材340に含まれる電源線は、電源分岐ボックス等を介して、第2伝送部材に含まれる電源線に接続されてもよい。電源分岐ボックスは、バスバ等で構成される分岐回路、ヒューズ又は半導体素子等によって構成される回路遮断部品等が組込まれた装置である。電源分岐ボックスは、電子制御ユニット350Aに組込まれていてもよい。この場合、信号線及び電源線を含む第2伝送部材360は、電子制御ユニット350Aに一括して接続され、電子制御ユニット350Aにて各機器350B、350C、350D、350E、350F等に応じて分配される。電子制御ユニット350Aは、信号線及び電源線を含む第1伝送部材340を介して、各機器350B、350C、350D、350E、350Fに通信及び電力供給可能に接続される。第2伝送部材360は、機能性シート30に取付けられていなくてもよい。
【0123】
機能性シート30における各機器350、第1伝送部材340の位置は任意である。
図13に示す例では、機能性シート30のうち前方寄りの領域における幅方向中央に電子制御ユニット350A及びマップランプ350Daが設けられる。マップランプ350Daは、電子制御ユニット350Aよりも前方に設けられる。機能性シート30のうち後方寄りの領域における幅方向中央に外部通信用アンテナ350Cが設けられる。なお、車両が進行する向きが前であり、その反対が後ろである。また、前を向いた状態で、左右が定る。電子制御ユニット350Aは、機能性シート30の右又は左に偏って設けられてもよい。
【0124】
機器350は、機能性シート30の左寄りの領域に設けられる機器と、機能性シート30の右寄りの領域に設けられる機器とを含む。
【0125】
例えば、複数(
図13では4つ)のカメラ350Eが、機能性シート30の左寄りの領域及び右寄りの領域のそれぞれに分れて設けられる。左右それぞれの領域において、複数(
図13では2つ)のカメラ350Eが前後に離れて設けられる。また、例えば、複数(
図13では6つ)のスピーカ350Fが、機能性シート30の左寄りの領域及び右寄りの領域のそれぞれに分れて設けられる。左右それぞれの領域において、複数(
図13では3つ)のスピーカ350Fが前後に離れて設けられる。さらに、例えば、複数(
図13では6つ)のランプ350Dが、機能性シート30の左寄りの領域及び右寄りの領域のそれぞれに分れて設けられる。左右それぞれの領域において、複数(
図13では3つ)のランプ350Dが前後に離れて設けられる。
【0126】
機能性シート30の左右それぞれの領域において、最も前側のスピーカ350Fの周りにカメラ350Eとランプ350Dとが設けられ、前後方向中間のスピーカ350Fの周りにランプ350Dが設けられ、最も後側のスピーカ350Fの周りにカメラ350Eとランプ350Dとが設けられる。
【0127】
また、複数の室内側アンテナ350Bが、機能性シート30に対して左右に分れて設けられる。ここでは、複数の室内側アンテナ350Bは、電子制御ユニット350Aよりも後方であって外部通信用アンテナ350Cよりも前方に設けられる。複数(
図13では4つ)の室内側アンテナ350Bが、左右に分れて設けられ、さらに、前後にも分れて設けられる。より具体的には、複数の室内側アンテナ350Bは、座席に対応する領域、より具体的には、運転席、助手席、後部座席の左右着座箇所の上方位置に配置される。室内側アンテナ350Bは、例えば、非接触給電(Wi-Fi(登録商標)給電)等に用いられる。
【0128】
各機器350は、機能性シート30に対して、内装部材16側に設けられてもよいし、ルーフパネル13側に設けられてもよい。例えば、電子制御ユニット350A及び外部通信用アンテナ350Cは、機能性シート30に対してルーフパネル13側に設けられてもよい。室内側アンテナ350B、ランプ350D、カメラ350E、スピーカ350Fは、機能性シート30に対して内装部材16側に設けられてもよい。
【0129】
第1伝送部材340は、電子制御ユニット350Aから左右の2方向に分れた経路を通って各機器350に接続される。例えば、機能性シート30に対して左寄りの領域に着目すると、第1伝送部材340の一部が電子制御ユニット350Aから左方向に延びる。この一部の第1伝送部材340は、機能性シート30の左縁の手前で曲って当該左縁に沿って前方又は後方に延びて、機能性シート30の左寄りに設けられた各機器350に接続される。また、例えば、機能性シート30に対して右寄りの領域に着目すると、第1伝送部材340の他の一部が電子制御ユニット350Aから右方向に延びる。この他の一部の第1伝送部材340は、機能性シート30の右縁の手前で曲って当該右縁に沿って前方又は後方に延びて、機能性シート30の右寄りに設けられた各機器350に接続される。
【0130】
機能性シート30において、複数の機器350が集って設けられている場合、第1伝送部材340は、同一経路に沿って機能性シート30に配設され、複数の機器350の集中エリアで分れて複数の機器350に接続されてもよい。例えば、
図13に示す例において、前後方向中間部の右寄りの領域に、室内側アンテナ350B、カメラ350E、スピーカ350F、ランプ350Dbがその周囲よりも狭い間隔で密集する集中エリアEが存在する。この場合、第1伝送部材340を構成する複数の伝送部材が電子制御ユニット350Aから機能性シート30の右縁に沿って上記集中エリアEに向い、集中エリアE近くで複数に分岐して、各室内側アンテナ350B、カメラ350E、スピーカ350F、ランプ350Dbに接続されてもよい。この場合、第1伝送部材340を構成する複数の伝送部材を、束ねて、又は、集中させて並列状態で配索することができる。このため、機能性シート30上において、第1伝送部材340を構成する複数の伝送部材をコンパクトに配置できる。
【0131】
なお、機能性シート30の幅方向中央に設けられた機器350は、左右いずれの第1伝送部材340に接続されてもよい。第1伝送部材340は、機能性シート30の左右の縁に沿わない伝送部材を含んでいてもよい。
【0132】
第2伝送部材360は、電子制御ユニット350Aから前方に延びる。ここでは、第2伝送部材360は、電子制御ユニット350Aから左右に分れて、機能性シート30の左右の縁に沿って前方に延びる。第2伝送部材360は、例えば、Aピラーに沿って車体側に導かれる。第2伝送部材360は、電子制御ユニット350Aから直接引出されてもよいし、電子制御ユニット350Aに対してコネクタを介して接続されてもよい。第2伝送部材360は、機能性シート30に対して取付けられず、機能性シート30から分離した状態で、Aピラー等に向けて導かれてもよい。
【0133】
なお、上記したように、第1伝送部材340自体は、信号線を含んでおり、電源線を含んでいてもよい。機能性シート30に対して、第1伝送部材340と機器350とが異なる側に位置している場合には、第2伝送部材360が機能性シート30を貫通して機器350に接続されてもよい。
【0134】
図14は
図13におけるXIV-XIV線断面図である。
図14は機能性シート30に室内側アンテナ350Bが取付けられた状態を示している。室内側アンテナ350Bは、例えば、金属等によって構成されたアンテナ素子350Baを、2つの絶縁フィルム350Bbで挟み込んだ構成とされる。アンテナ素子350Baに接続された線状導体350Bcもアンテナ素子350Baと共に2つの絶縁フィルム350Bbによって挟込まれていてもよい。2つの絶縁フィルム350Bbどうしは、自身が溶かされることによって溶着されていてもよいし、接着剤(粘着剤を含む)によって接着されていてもよい。各アンテナ素子350Ba及び線状導体350Bcが2つの絶縁フィルム350Bbによって挟まれた構成とされるため、保護性能及び防水性能が高められる。かかる室内側アンテナ350Bは、両面テープ、接着剤等により機能性シート30に取付けられる。
【0135】
図15は車両10における配線モジュール320の位置を示す説明図である。
図15は左右方向に対して垂直な面における位置関係が示される。同図に示すように、配線モジュール320が内装部材16とルーフパネル13との間に設けられる。車体側に車両側機器410、412が設けられる。車両側機器410、412は、例えば、ボディ12のうち内装部材16よりも下方に設けられる機器である。車両側機器410、412は、上記したように、ボディECU、セントラルECU等であり、電源装置であってもよい。第2伝送部材360が信号線及び電源線を含む場合、車両側機器410はECUであり、車両側機器412は電源装置である。車両側機器410、412から引出される第2伝送部材360は、Aピラー420等を通ってルーフパネル13と内装部材16との間に引出され、電子制御ユニット350Aに接続される。上記したように、第2伝送部材360は、電子制御ユニット350A内に直接導入されてもよいし、コネクタを介して接続されてもよい。
【0136】
配線モジュール320をルーフパネル13に組付ける際は、例えば次のようにしてなされる。すなわち、作業者等が、配線モジュール320を、ルーフパネル13の下方から持上げられて、当該ルーフパネル13に取付ける。この作業は、作業者等が下方から見上げた状態で行われる作業となり得る。
【0137】
本実施形態2によっても、上記実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0138】
[変形例]
なお、上記各実施形態において、線状伝送部材は、機能性シートに固定されない機器に接続されてもよい。例えば、ルーフパネルに外部通信用アンテナを含むアンテナユニットが固定されていてもよい。この場合、機能性シートに固定された線状伝送部材に、当該アンテナユニットに対してコネクタ接続されるコネクタが設けられていてもよい。そして、配線モジュールをルーフに組込む際に、線状伝送部材のコネクタがアンテナユニットにコネクタ接続されてもよい。
【0139】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0140】
[付記]
本明細書は、下記内容をも開示する。
【0141】
第1の態様は、機能性シートと、前記機能性シートに固定された線状伝送部材と、前記線状伝送部材が接続された機器と、を備え、前記機器は、前記機能性シートに固定されている、配線モジュールである。これにより、機能性シートと、線状伝送部材と、機器とを一括して車両に容易に組込むことができる。
【0142】
第2の態様は、第1の態様に係る配線モジュールであって、前記機能性シートは、ルーフに組込まれるシートとされているものである。これにより、比較的大きく広がるルーフに対して、機能性シートと、線状伝送部材と、機器とを一括して容易に組込むことができる。
【0143】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る配線モジュールであって、前記機器は、前記機能性シートに直接固定された直接固定機器を含むものである。これにより、直接固定機器を機能性シートに対して他の部材を用いずに固定できる。
【0144】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記機能性シートに機器ホルダが固定され、前記機器は、前記機器ホルダを介して前記機能性シートに固定された間接固定機器を含むものである。これにより、間接固定機器を、機器ホルダを介して機能性シートに固定することができる。
【0145】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記機器は、アンテナを含むものである。これにより、アンテナを車両に容易に組込むことができる。
【0146】
第6の態様は、第5の態様に係る配線モジュールであって、前記アンテナは、ボディに形成された孔に対応する位置に配設される外部通信用アンテナを含むものである。これにより、外部通信用アンテナが孔を通じてボディの外側を向くように、外部通信用アンテナを車両に組込める。
【0147】
第7の態様は、第5又は第6の態様に係る配線モジュールであって、前記機能性シートは、電波遮蔽層を含むものである。これにより、車室の内外で電波が遮蔽される。
【0148】
第8の態様は、第7の態様に係る配線モジュールであって、前記アンテナは、前記電波遮蔽層に対して車室内側に設けられた室内側アンテナを含むものである。これにより、室内側アンテナからの電波が車外側に漏れ難くすることができる。
【0149】
第9の態様は、第7又は第8の態様に係る配線モジュールであって、前記アンテナは、前記電波遮蔽層に対して車外側に設けられた外部通信用アンテナを含むものである。これにより、外部通信用アンテナからの電波は、電波遮蔽層によって遮れず、車外に放射される。
【0150】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記機能性シートは、断熱層を含み、前記機器は、前記断熱層に対して車室内側に設けられた車室側機器を含むものである。断熱層に対して車室内側に車室側機器があるため、車外から照りつける太陽光線等によって車室側機器が温度上昇することを防ぐことができる。
【0151】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記機能性シートは、断熱層、防音層、電波遮蔽層のうちの少なくとも1つの層を含むものである。機能性シートが、断熱、防音、電波遮蔽のうちの少なくとも1つの機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0152】
10 車両
12 ボディ
13 ルーフパネル
13a 補強バー
13h アンテナ用孔
14 ルーフ
16 内装部材
16h 孔
20、20B、320 配線モジュール
30 機能性シート
30b 貫通孔
31h 開口
32 断熱層
34 防音層
36 電波遮蔽層
36a ベースフィルム
36b ユニットセル
37 付加機能層
39 基材
40、40B 線状伝送部材(伝送部材)
40E 配線
40a 芯線
40b 被覆
48 コネクタ
49 外部通信用アンテナユニット
50、210、350 機器
50A、350A 電子制御ユニット
50B、350B 室内側アンテナ
50C 外部通信用アンテナユニット
51 固定片
52 ベース部材
53a、53b 外部通信用アンテナ
54 カバー
60 機器ホルダ
62 ホルダ本体部
62a 凸部
63 引っ掛かり片
64 固定片
66 ホルダ側コネクタ
90 太陽
110 通信機器
120 室内機器
150 固定機器
250 間接固定機器
251 凹部
252 機器側コネクタ
340 第1伝送部材
350Ba アンテナ素子
350Bb 絶縁フィルム
350Bc 絶縁フィルム
350Bc 線状導体
350C 外部通信用アンテナ
350D、350Db ランプ
350Da マップランプ
350E カメラ
350F スピーカ
360 第2伝送部材
410、412 車両側機器
420 Aピラー
E 集中エリア