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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20221115BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20221115BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20221115BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B60R13/02 A
B60R11/02 A
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021511991
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020013995
(87)【国際公開番号】W WO2020203758
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2019066550
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019066841
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰行
(72)【発明者】
【氏名】小原 一仁
(72)【発明者】
【氏名】大見 則親
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石河 伸一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 祐司
(72)【発明者】
【氏名】桑山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】山岸 傑
(72)【発明者】
【氏名】高野 豊久
(72)【発明者】
【氏名】三木 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】福永 貴徳
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-090229(JP,A)
【文献】特開2005-047354(JP,A)
【文献】特開2016-120759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60R 11/02
H01Q 1/22
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、
前記機能性シートに設けられた伝送部材と、
を備え、
前記機能性シートは、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択機能を奏する周波数選択層を含んで形成され、
前記伝送部材は、前記車両側に搭載された車両側機器と電気的に接続され、
前記伝送部材は、前記機能性シートにおいて前記屋根部分に搭載されるルーフ側機器に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されており、
前記周波数選択層は、複数のユニットセルを有し、当該複数のユニットセルの周波数特性に応じて前記第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第2周波数帯の電波を透過させる性質を有する層である、配線モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の配線モジュールであって、
前記機能性シートは、断熱機能及び防音機能のうちの少なくとも1つを奏する付加機能層をさらに含む配線モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の配線モジュールであって、
前記機能性シートは、下側から上側に向けて、断熱層、防音層及び前記周波数選択層が順に形成され、
前記伝送部材は、前記断熱層の下側に設けられる、配線モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記機能性シートに、前記第1周波数帯の電波を介して室内機器との間で通信を行う室内通信用アンテナが設けられ、
前記室内通信用アンテナは、前記周波数選択層よりも前記車両の内側に設けられる、配線モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記機能性シートに、前記第1周波数帯の電波を介して車外の機器との間で通信を行う外部通信用アンテナが設けられ、
前記外部通信用アンテナは、前記周波数選択層より前記車両の外側に設けられる、配線モジュール。
【請求項6】
車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、
前記機能性シートに設けられた伝送部材と、
を備え、
前記機能性シートは、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択機能を奏する周波数選択層を含んで形成され、
前記伝送部材は、前記車両側に搭載された車両側機器と電気的に接続され、
前記伝送部材は、前記機能性シートにおいて前記屋根部分に搭載されるルーフ側機器に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されており、
前記機能性シートは、断熱機能を奏する断熱層と、防音機能を奏する防音層とをさらに含み、
前記機能性シートは、下側から上側に向けて、前記断熱層、前記防音層及び前記周波数選択層が順に形成され、
前記伝送部材は、前記断熱層の下側に設けられる、配線モジュール。
【請求項7】
車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、
前記機能性シートに設けられた伝送部材と、
を備え、
前記機能性シートは、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択機能を奏する周波数選択層を含んで形成され、
前記伝送部材は、前記車両側に搭載された車両側機器と電気的に接続され、
前記伝送部材は、前記機能性シートにおいて前記屋根部分に搭載されるルーフ側機器に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されており、
前記機能性シートに、前記第1周波数帯の電波を介して室内機器との間で通信を行う室内通信用アンテナが設けられ、
前記室内通信用アンテナは、前記周波数選択層よりも前記車両の内側に設けられる、配線モジュール。
【請求項8】
車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、
前記機能性シートに設けられた伝送部材と、
を備え、
前記機能性シートは、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択機能を奏する周波数選択層を含んで形成され、
前記伝送部材は、前記車両側に搭載された車両側機器と電気的に接続され、
前記伝送部材は、前記機能性シートにおいて前記屋根部分に搭載されるルーフ側機器に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されており、
前記機能性シートに、前記第1周波数帯の電波を介して車外の機器との間で通信を行う外部通信用アンテナが設けられ、
前記外部通信用アンテナは、前記周波数選択層より前記車両の外側に設けられる、配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用保護部材を開示している。車両用保護部材は、車両の壁部に配設され、当該壁部に配索される1又は複数の電線をいずれかの間に挟むように積層される複数の積層部材を有する。前記複数の積層部材のうちの少なくとも1つの積層部材が、電磁ノイズ遮蔽材で構成されている。電磁ノイズ遮蔽材は、導電性フィルム、銅、アルミニウムなどの金属箔、金属箔を樹脂フィルムでラミネートした複合材、又は導電性の細線をシート状に編んだ編組などの電磁ノイズ遮蔽材で構成される。
【0003】
特許文献2は、筐体と、アンテナと、金属パネルと、モジュール基板とを備えたルーフモジュールを開示している。筐体は、アンテナ、金属パネル、及び、モジュール基板を収容する。金属パネルは、筐体内において、アンテナの車室内側に当該アンテナに沿って設けられる。金属パネルは、車室外側の通信環境と車室内側の通信環境との相互のノイズを抑制する遮蔽板(シールド部材)として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-120759号公報
【文献】特開2017-200086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、電磁ノイズ遮蔽材として、導電性フィルム、銅、アルミニウムなどの金属箔、金属箔を樹脂フィルムでラミネートした複合材、又は導電性の細線をシート状に編んだ編組等が用いられる。また、特許文献2では、金属パネルが遮蔽板として機能する。このため、通信に用いられる全ての電波が電磁ノイズ遮蔽材又は金属パネルにおいて遮蔽される。車両における通信環境に関してさらなる改善が望まれる。
【0006】
そこで、本開示は、車両における通信環境を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線モジュールは、車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、前記機能性シートに設けられた伝送部材と、を備え、前記機能性シートは、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択機能を奏する周波数選択層を含んで形成され、前記伝送部材は、前記車両側に搭載された車両側機器と電気的に接続され、前記伝送部材は、前記機能性シートにおいて、前記屋根部分に搭載されるルーフ側機器に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されている、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両における通信環境を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態1に係る車両を示す概略斜視図である。
図2図2は車両の一部を示す概略断面図である。
図3図3は実施形態2に係る機能性シートモジュールを示す分解斜視図である。
図4図4は機能性シートモジュールを示す斜視図である。
図5図5はシート部を示す側面図である。
図6図6は周波数選択膜の一例を示す図である。
図7図7は線状伝送部材が基材に溶着された状態を示す断面図である。
図8図8は機器がシート部に直接固定された状態を示す斜視図である。
図9図9は機器がシート部に機器ホルダを介して固定された状態を示す斜視図である。
図10図10は機器と機器ホルダを示す側面図である。
図11図11はルーフに組込まれた機能性シートモジュールを示す説明図である。
図12図12は変形例に係る機能性シートモジュールを示す概略斜視図である。
図13図13は他の変形例に係る機能性シートモジュールに係る機能ブロック図である。
図14図14は同上の変形例に係る機能性シートモジュールを示す概略斜視図である。
図15図15図14におけるXV-XV線断面図である。
図16図16は車両における機能性シートモジュールの位置を示す説明図である。
図17図17は実施形態3に係る内装部材を示す分解斜視図である。
図18図18は内装部材を示す斜視図である。
図19図19は周波数選択部材が一体化されたボディを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の配線モジュールは、次の通りである。
【0012】
(1)車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる機能性シートと、前記機能性シートに設けられた伝送部材と、を備え、前記機能性シートは、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択機能を奏する周波数選択層を含んで形成され、前記伝送部材は、前記車両側に搭載された車両側機器と電気的に接続され、前記伝送部材は、前記機能性シートにおいて前記屋根部分に搭載されるルーフ側機器に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されている、配線モジュールである。本配線モジュールによると、周波数選択部材としての周波数選択層は、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる特性を有する。また、周波数選択層を含む機能性シートは、車両の屋根部分を形成するルーフパネルと車室内の天井形状を形作る内装部材との間に配設され、前記ルーフパネルと前記内装部材とに対して面状に広がる。このため、機能性シートは、屋根部分の一部で、第1周波数帯数の電波を遮蔽することができる。また、第2周波数帯の電波は、周波数選択部材の周波数選択層を透過することができる。このため、車両における通信環境が改善される。
【0013】
(2)(1)の配線モジュールであって、前記機能性シートは、断熱機能及び防音機能のうちの少なくとも1つを奏する付加機能層をさらに含んでもよい。付加機能層によって、屋根部分に対して断熱機能及び防音機能のうちの少なくとも1つの機能が付与される。
【0014】
(3)(2)の配線モジュールであって、前記機能性シートは、下側から上側に向けて、断熱層、防音層及び前記周波数選択層が順に形成され、前記伝送部材は、前記断熱層の下側に設けられてもよい。伝送部材と周波数選択層とが、断熱層及び防音層によって離される。このため、伝送部材が周波数選択層における選択的な電波遮蔽機能に影響を与えることが抑制される。
【0015】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記機能性シートに、前記第1周波数帯の電波を介して室内機器との間で通信を行う室内通信用アンテナが設けられ、前記室内通信用アンテナは、前記周波数選択層よりも前記車両の内側に設けられてもよい。室内通信用アンテナと室内機器との通信用の電波が周波数選択部材によって遮蔽されるため、車外に漏れ難くなる。
【0016】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記機能性シートに、前記第1周波数帯の電波を介して車外の機器との間で通信を行う外部通信用アンテナが設けられ、前記外部通信用アンテナは、前記周波数選択層より前記車両の外側に設けられてもよい。第1周波数帯の電波を介して通信を行う外部通信用アンテナを介して、当該第1周波数帯の電波が車室内に伝播し難くなった状態で、周波数選択部材によって遮蔽されずに車外の機器との間で通信がなされる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の車両、機能性シートモジュール及び内装部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る車両について説明する。図1は実施形態1に係る車両10を示す概略斜視図であり、図2は車両10の一部を示す概略断面図である。
【0019】
車両10は、ボディ12と、周波数選択部材20とを備える。
【0020】
ボディ12は、車両10の外形をなす部分である。ボディ12は、モノコックボディであってもよいし、ラダーフレーム上に搭載されるボディであってもよい。ここでは、ボディ12は、乗員が乗り降りするための乗降用ドアパネル、荷物を出し入れするためのリアドアパネル等を含む。ボディ12は、金属によって形成されてもよいし、樹脂によって形成されてもよい。ボディ12は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ボディ12のうち車室の上方を覆う板状の部分がルーフパネル13である。つまり、ルーフパネル13は、車両10の屋根部分を形成する。ルーフパネル13は、ボディ12の外観形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。ルーフパネル13は、金属で形成されてもよいし、樹脂で形成されてもよい。ルーフパネル13は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。
【0021】
周波数選択部材20は、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択特性を有する部材である。周波数選択部材20は、面状に広がる形状を有している。ここで、第1周波数帯は、1つの周波数帯であってもよいし、複数の周波数帯であってもよい。周波数選択部材20は、面状に広がる領域において、上記周波数選択特性を発揮する。第1周波数帯の電波は、周波数選択部材20において反射又は吸収の少なくとも一方がなされればよい。周波数選択部材20が、第1周波数帯の電波を遮蔽する特性に関して、当該第1周波数帯の電波が完全に遮蔽される必要は無い。また、周波数選択部材20が第2周波数帯の電波を透過する特性に関して、当該第2周波数帯の電波が全て透過する必要は無い。つまり、周波数選択部材20は、第1周波数帯と第2周波数帯との間で、透過減衰特性が異なる周波数選択特性を有していればよい。
【0022】
かかる周波数選択部材20としては、周知の周波数選択膜(FSS: Frequency Selective Surfaces)が用いられてもよい。周波数選択膜は、樹脂等で形成されたベースフィルム上に金属箔等によってユニットセル(素子)を形成したものである。かかる周波数選択膜は、ユニットセル(素子)の周波数特性に応じて1つ又は複数の周波数帯の電波を選択的に遮蔽し、他の周波数帯の電波を通過させる性質を有する。周波数選択部材20は、いずれかの部材の一主面に、導電性ペースト等によってユニットセル(素子)を直接印刷等することによって形成されてもよい。
【0023】
周波数選択部材20は、ボディ12のうちの少なくとも一部に重なる領域に設けられている。図1では、周波数選択部材20がボディ12のうちルーフパネル13に重なる領域に設けられる例が示されている。周波数選択部材20は、例えば、ルーフパネル13に対して8割以上の面積に広がって配設されるとよい。また、例えば、周波数選択部材20は、車室内の複数の乗員席のヘッドレストの上方全体に広がるように配設されてもよい。周波数選択部材20は、ボディ12におけるその他の部位、例えば、乗降用ドア、リアドア等に重なる領域に設けられてもよい。
【0024】
周波数選択部材20をボディ12のうちの少なくとも一部に重なる領域に設けるための構成としては、種々の構成が想定される。例えば、周波数選択部材20が、ボディ12とボディ12に対して室内側に設けられる内装部材との間に設けられるシート状の部材とされる構成が想定される。この構成については、実施形態2においてより具体的に説明される。また、例えば、周波数選択部材20が、ボディ12に対して室内側に設けられる内装部材に一体化される構成が想定される。この構成については、実施形態3においてより具体的に説明される。また、例えば、周波数選択部材20が、ボディ12に一体化される構成が想定される。この構成については、実施形態4においてより具体的に説明される。
【0025】
上記第1周波数帯の電波を放射する室内側アンテナ30が、周波数選択部材20に対して車室内側に設けられていてもよい(図2参照)。室内側アンテナ30は、例えば、車室内の室内機器(スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ機器等)との間で無線通信を行うためのアンテナである。例えば、室内側アンテナ30は、Wi-Fi(登録商標)通信用のアンテナ、Bluetooth(登録商標)通信用のアンテナである。例えば、Wi-Fi通信のための周波数帯は2.4GHz又は5GHz帯であり、Bluetooth通信ための周波数帯は2.4GHzである。室内側アンテナ30は、車室内の室内機器に対して非接触で電力供給を行う非接触給電用のアンテナであってもよい。非接触給電用の周波数は規格等によって定められるものであり、特に限定されない。
【0026】
この場合、室内側アンテナ30が放射する電波は、周波数選択部材20によって遮蔽され、車外側には伝播され難くなる。一方、室内側アンテナ30が放射する電波は、室内側アンテナ30に対して周波数選択部材20とは反対側の車室内側には伝播される。このため、室内側アンテナ30を通じて、室内無線通信機器32との間で良好に無線通信を行うことができる。また、室内側アンテナ30が室内機器に対して非接触給電を行う場合には、車外に電波(電力)が漏れていかないため、効率的に非接触給電が行われる。
【0027】
第1周波数帯の伝播を放射する外部通信用アンテナ40が、周波数選択部材20に対して車外側に設けられていてもよい(図2参照)。外部通信用アンテナ40は、例えば、公衆通信回線又は専用通信回線における無線基地局との間で通信を行うアンテナ、車車間通信又は路車間通信のためのアンテナ、GPS信号受信のためのアンテナである。外部通信用アンテナ40は、車車間通信又は路車間通信のためのアンテナ、GPS信号受信のためのアンテナであることが好ましい。一般的に、公衆通信回線又は専用通信回線のための周波数帯は、各国の規定又は規格等によって定められる。また、車車間通信又は路車間通信のための周波数帯も、各国の規定又は規格等によって定められる。
【0028】
この場合、外部通信用アンテナ40が放射する電波は、周波数選択部材20によって遮蔽され、車室側には伝播され難くなる。一方、外部通信用アンテナ40に対して周波数選択部材20とは反対側に広がる車外には伝播される。このため、外部通信用アンテナ40を通じて車外の無線基地局42との間で良好に無線通信を行うことができる。また、車内側に電波が伝わらないため、電波の車外への放射効率が高くなる。この点からも、外部通信用アンテナ40を介した外部の無線基地局42等との無線通信が良好に行われる。
【0029】
上記外部通信用アンテナ40は、ボディ12に取付けられていてもよい。例えば、外部通信用アンテナ40は、ルーフパネル13の上面から突出した状態で、ルーフパネル13に取付けられていることが好ましい。これにより、外部通信用アンテナ40を外部に露出させた状態とし易い。外部通信用アンテナ40を通じて良好な外部通信が可能となる。外部通信用アンテナ40は、フィン(fin)状又はロッド状に形成されていてもよい。また、ルーフパネル13に埋込まれる薄いボックス状に形成されていてもよい。
【0030】
周波数選択部材20の上記第2周波数帯は、外部通信用の周波数帯に対して少なくとも一部で重なるように設定されてもよい。外部通信用の周波数帯は、例えば、室内の乗員が使用する可能性がある室内機器(スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ機器等)50が車外と通信するために利用される周波数帯である。例えば、室内機器50が利用する可能性がある公衆通信回線又は専用通信回線に利用される周波数帯である。
【0031】
この場合、室内機器50が放射する電波は、周波数選択部材20によっては遮蔽されず、車外に伝播することができる。同周波数帯の外部からの電波も周波数選択部材20によっては遮蔽されず、車室内に伝播する。このため、室内機器50は、公衆通信回線又は専用通信回線を利用して車外の無線基地局52との間で良好に無線通信することができる。
【0032】
本車両10によると、周波数選択部材20は、第1周波数帯の電波を遮断し、第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を通過させる周波数選択特性を有する。また、周波数選択部材20は、ボディ12のうちの少なくとも一部に重なる領域に設けられている。このため、周波数選択部材20は、ボディ12の少なくとも一部で、第1周波数帯数の電波を遮蔽することができる。また、第2周波数帯の電波は、周波数選択部材20を透過することができる。このため、車両10における通信環境を改善できる。
【0033】
特に、周波数選択部材20は、ルーフパネル13に重なる領域に設けられている。ルーフパネル13は、車両10の上側部分において比較的広く広がっている。かかるルーフパネル13に周波数選択部材20が重なることで、周波数選択部材20が、第1周波数帯の電波を効果的に遮蔽することができる。
【0034】
また、第1周波数帯の電波を放射する室内側アンテナ30が、周波数選択部材20に対して車室内側に設けられている。この場合、室内側アンテナ30から放射される電波が周波数選択部材20によって遮蔽され、車外に漏れ難くなる。これにより、情報セキュリティ性を向上させることができる。また、室内側アンテナ30から放射される電波が車外においてノイズとなることが抑制される。
【0035】
また、第1周波数帯の電波を放射する外部通信用アンテナ40が、周波数選択部材20に対して車外側に設けられる。この場合、外部通信用アンテナ40から放射される電波が周波数選択部材20によって遮蔽され、車内に透過し難くなり、車室内においてノイズ低減を図ることができる。
【0036】
また、外部通信用アンテナ40はボディ12に取付けられているため、外部通信用アンテナ40をなるべく外部に露出させた状態とし易い。これにより、良好な通信が可能となる。
【0037】
また、周波数選択部材20の第2周波数帯は、外部通信用の周波数帯に対して少なくとも一部で重なるように設定されている。このため、車室内の機器150は、外部通信用の周波数帯のうち第2周波数帯と重なる帯域の電波を利用して、外部との間で良好に通信することができる。
【0038】
[実施形態2]
実施形態2に係る配線モジュールとしての機能性シートモジュールについて説明する。実施形態2では、実施形態1において、周波数選択部材20が、ボディ12とボディ12に対して室内側に設けられる内装部材との間に設けられるシート状の部材とされた構成の一例を説明する。機能性シートモジュールが組込まれる車両10は、実施形態1で説明したのと同様のボディ12を備える構成である。車両10自体の説明は省略する。
【0039】
<機能性シートモジュールの全体構成について>
図3は機能性シートモジュール120を示す分解斜視図である。図4は同機能性シートモジュール120を示す斜視図である。図5はシート部130を示す側面図である。図3においては、ルーフ14が図示されている。ルーフ14としては、上記ルーフパネル13と内装部材116とが図示されている。内装部材116は、樹脂等で形成された板状部材である。内装部材116は、車室内の天井形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。内装部材116は、ルーフパネル13に対して下側に取付けられる。内装部材116は、車室内に露出する部分である。内装部材116は、ルーフライナ(roof liner)と呼ばれることもある。本実施形態では、機能性シートモジュール120は、ルーフパネル13と内装部材116との間に設けられる。
【0040】
機能性シートモジュール120は、車両10のボディ12と内装部材116との間に設けられる。この機能性シートモジュール120は、周波数選択層136を含むシート部130を備える。周波数選択層136は、上記周波数選択部材20と同様に、第1周波数帯の電波を遮蔽し、第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択特性を有する。シート部130は、機能性シートの一例である。
【0041】
ここでは、機能性シートモジュール120は、線状伝送部材140及び機器150を備えている。機能性シートモジュール120において、線状伝送部材140及び機器150の両方又は一方が省略されてもよい。機能性シートモジュール120は、機能性シートの一例であるシート部130と伝送部材の一例である線状伝送部材140とを備える配線モジュールの一例である。
【0042】
シート部130は、ルーフ14に対して面状に広がるように、当該ルーフ14に組込まれる。例えば、シート部130は、ルーフ14に対して8割以上の面積に広がって配設されてもよい。また、例えば、シート部130は、車室内の複数の乗員席のヘッドレストの上方全体に広がるように配設されてもよい。シート部130が持つ周波数選択機能を、ルーフ14に対してなるべく広い領域で、発揮することができる。
【0043】
ここでは、シート部130には、線状伝送部材140及び機器150が固定される。シート部130が上記のようにルーフ14に対して面状に広がっているため、ルーフ14に対してなるべく広い領域で、線状伝送部材140及び機器150の固定を行える。
【0044】
線状伝送部材140は、電気又は光等を伝送する線状の部材であり、伝送部材の一例である。例えば、線状伝送部材は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、裸導線、シールド線、電気ケーブル、エナメル線、ニクロム線、同軸線、光ファイバ等であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。また、線状伝送部材は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。伝送部材は、シート部に対する導電性塗料の塗布、銅箔に対するエッチング等によって形成されてもよい。
【0045】
線状伝送部材140は、シート部130に固定されている。線状伝送部材140がシート部130に対して一定の経路に沿って配設されるように固定されていればよく、固定のための具体的構成は特に限定されない。
【0046】
なお、伝送部材がシート部(機能性シート)に形成されるとは、電気を伝送する媒体がシート部において電気の経路をなすように形作られることをいう。このため、シート部130に形成された伝送部材とは、当該シート部130に対して導電性塗料の塗布、銅箔に対するエッチング等によって直接形成される伝送部材の他、シート部130とは別に製造された線状伝送部材が、シート部130のいずれか又は両方の主面等に沿って一定の経路をなすように形作った状態で取付けられた伝送部材を含む。
【0047】
例えば、線状伝送部材140は、シート部130の一主面に対して固定されていてもよい。例えば、線状伝送部材140は、シート部130の一主面に対して溶着(融着ともいう)されていてもよい。これにより形成された溶着部は、線状伝送部材140及びシート部130の少なくとも一方の一部が溶けて相互にくっついた状態となっている。線状伝送部材140とシート部130との溶着は、超音波溶着によってなされてもよいし、加熱溶着によってなされてもよい。また、線状伝送部材140とシート部130との少なくとも一方の表面が溶剤によって溶かされることで、線状伝送部材140とシート部130とが溶着されてもよい。また、例えば、線状伝送部材140は、シート部130に対して、接着剤、両面テープ等によって固定されていてもよい。また、例えば、線状伝送部材140は、縫糸等によって、シート部130に対して縫付けられていてもよい。また、例えば、線状伝送部材140がシート部130の一主面上に配設された状態で、シート部130の一主面側から線状伝送部材140を跨ぐように粘着テープが貼付けられることで、線状伝送部材140がシート部130の一主面に固定されていてもよい。線状伝送部材140は、シート部130の一主面のみに固定される必要は無い。線状伝送部材140は、シート部130の一方主面に固定される部分と、シート部130の他方主面に固定される部分とを併有していてもよい。この場合、線状伝送部材140は、シート部130の中間部又は端縁部において一方主面から他方主面に向けて通るように付設されてもよい。
【0048】
また、例えば、線状伝送部材140は、2つのシートの間に挟み込まれることで、シート部130に固定されていてもよい。例えば、シート部130が複数層を含む場合において、線状伝送部材140が各層を構成するシートの間に挟込まれていてもよい。また、シート部130に他のシートが重ね合される場合において、シート部130と当該他のシートとの間に、線状伝送部材140が挟込まれていてもよい。この場合において、線状伝送部材140を挟込む2つのシート同士は、溶着によって固定されてもよいし、接着剤又は両面テープによって固定されてもよい。
【0049】
後述する外部通信用アンテナ153a、153bとの関係では、線状伝送部材140は、シート部130のうち外部通信用アンテナ153a、153bが設けられる面とは反対側の面に設けられることが好ましい。シート部130の厚みに応じた距離分、外部通信用アンテナ153a、153bと線状伝送部材140とが隔てられ、相互間のノイズの影響が抑制されるからである。
【0050】
後述する室内側アンテナ150Bとの関係では、線状伝送部材140は、シート部130のうち室内側アンテナ150Bが設けられる面とは反対側の面に設けられることが好ましい(図12に示す例参照)。シート部130の厚みに応じた距離分、室内側アンテナ150Bと線状伝送部材140とが隔てられ、相互間のノイズの影響が抑制されるからである。
【0051】
線状伝送部材140は、機器150に接続されている。機器150は、線状伝送部材140を介して電気信号又は光信号を送信し又は受信する。または、機器150は、線状伝送部材140を介して電力供給を受けたり、電力を分配したりする。線状伝送部材140と機器150との接続は、コネクタを介して行われてもよい。線状伝送部材140が機器150内に直接導入され、機器150内の電気要素に直接に接続されていてもよい。
【0052】
機器150は、ルーフ14に配設され、線状伝送部材140の接続先となる機器である。機器150としては、例えば、電子制御ユニット、ランプ(特に室内ランプ)、スピーカ、室内カメラ、モニタ、投影機器、外部通信用アンテナ、室内側アンテナ等が想定される。
【0053】
機器150は、シート部130に対して固定されている。シート部130に対する機器150の固定位置は任意である。好ましくは、機器150は、シート部130に対して、機器150が果す役割に適した位置に固定される。例えば、機器150がマップランプである場合を想定すると、当該機器150は、シート部130のうち前席斜め上前方位置に配設されることになる部分に固定される。また、例えば、機器150が室内側アンテナである場合を想定すると、当該機器150は、シート部130のうち前席又は後席の上方位置に配設されることになる部分に固定される。
【0054】
ここでは、シート部130のうち一側寄りの前後方向中央位置にある機器150は、電子制御ユニット150Aであるとして説明する。この電子制御ユニット150Aは、車両10に設けられた他の電子制御ユニットと通信しつつ、ルーフ14に搭載される各機器150を制御する機器である。機器150のうち電子制御ユニット150Aを除き、屋根部分に搭載される機器は、ルーフ側機器の一例である。また、線状伝送部材140のうち電子制御ユニット150Aと他のルーフ側機器150とを接続する線状伝送部材140は、第1伝送部材の一例である。搭載とは、ルーフパネル13、内装部材16、シート部130を問わず、屋根部分において一定位置を保つように保持されていることをいう。
【0055】
また、シート部130のうち中央よりも前寄りの位置にある機器150は、室内側アンテナ150Bであるとして説明する。室内側アンテナ150Bは、例えば、車室内の室内機器(スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ機器等)との間で無線通信を行うためのアンテナである。例えば、室内側アンテナ150Bは、Wi-Fi(登録商標)通信用のアンテナ、Bluetooth(登録商標)通信用のアンテナである。
【0056】
室内側アンテナ150Bは、車室内の室内機器に対して非接触で電力供給を行う非接触給電用のアンテナであってもよい。非接触給電用の周波数は任意である。室内側アンテナ150Bとしては、例えば、基板上に導体箔等によってアンテナを形成したプリント基板アンテナを用いることができる。また、プリント基板はFPC(Flexible printed circuits)であってもよい。室内側アンテナ50Bが、プリント基板アンテナとして構成されていれば、室内側アンテナ50Bはシート部130に対して薄い占有スペースで取付けられる。プリント基板アンテナがFPCによって構成されていれば、占有スペースはより薄くなる。FPCアンテナ等のシート状のアンテナは、設置可能なスペースに応じた形状等にも容易に対応可能である。室内側アンテナ150Bは、その他、ロッドアンテナ等であってもよい。室内側アンテナ150Bは、車室内の室内機器に対して無線通信及び非接触給電の両方を行うアンテナであってもよい。
【0057】
また、シート部130のうち後ろ寄りの位置にある機器150は、外部通信用アンテナユニット150Cであるとして説明する。外部通信用アンテナユニット150Cは、車外の機器との間で無線通信を行うためのアンテナ153a、153bを含む。ここでは、外部通信用アンテナユニット150Cは、ベース部材152と、外部通信用アンテナ153a、153bと、カバー154とを備える。ベース部材152は、偏平な形状、ここでは、方形板状に形成されている。ベース部材152上に外部通信用アンテナ153a、153bが設けられている。外部通信用アンテナ153a、153bは、車外機器との間で通信を行うためのアンテナである。外部通信用アンテナ153a、153bは、例えば、公衆通信回線又は専用通信回線における無線基地局との間で通信を行うアンテナ、車車間通信又は路車間通信のためのアンテナ、GPS信号受信のためのアンテナである。ここでは、複数の外部通信用アンテナ153a、153bがベース部材152上に実装されている。これにより、複数の外部通信用アンテナ153a、153bが1つのまとまった形態として取扱われる。外部通信用アンテナユニットは、1つのアンテナのみを備えていてもよい。外部通信用アンテナユニットは、3つ以上のアンテナを備えていてもよい。カバー154は、樹脂等によって構成されており、外部通信用アンテナ153a、153bの上方及び周囲4方を覆っている。ルーフパネル13に形成されたアンテナ用孔113hは、カバー154の外周囲に応じた形状に形成されている。外部通信用アンテナユニット150Cのうちカバー154部分が、ルーフパネル13に形成されたアンテナ用孔113hに嵌め込まれる。これにより、ルーフパネル13が金属によって構成されていたとしても、外部通信用アンテナ153a、153bは、金属によって覆われず、外側を向くことができる。
【0058】
ここでは、外部通信用アンテナユニット150Cは、薄いボックス状に形成されている。外部通信用アンテナユニットは、フィン(fin)状又はロッド状に形成されていてもよい。この場合、フィン状又はロッド状に形成された外部通信用アンテナユニットは、ルーフパネルに形成された孔に挿入されて、当該ルーフパネルの外側に突出してもよい。外部通信用アンテナは、ルーフパネルの外側に位置するように、フィン状又はロッド状の外部通信用アンテナユニットに組込まれていることが好ましい。
【0059】
以下の説明において、電子制御ユニット150A、室内側アンテナ150B、外部通信用アンテナユニット150Cについて、区別する必要がある場合には、符号150A、150B、150Cを参照し、特に区別する必要が無い場合には、機器150と総称する場合がある。
【0060】
複数の線状伝送部材140は、電子制御ユニット150Aから前方に向かう経路と、電子制御ユニット150Aから機器150に向う複数の経路のそれぞれに沿って配設される。電子制御ユニット150Aから前方に向かう経路に沿う線状伝送部材140は、シート部130の領域内においては当該シート部130に固定されることで、一定の経路に沿って保持されている。電子制御ユニット150Aから前方に向かう経路に沿う線状伝送部材140は、シート部130の前部から外方に延出する。この線状伝送部材140は、例えば、車両におけるAピラー等に沿って配設されて、車両における他の電子制御ユニット、電源等に接続される。つまり、線状伝送部材140は、車両側に搭載された車両側機器に対して電気的に接続される。なお、線状伝送部材140が、車両側に搭載された車両側機器に対して電気的に接続されるとは、線状伝送部材140と車両側機器とが、電力伝送及び通信の少なくとも一方が可能な状態で接続されることをいう。このため、電子制御ユニット150Aが通信中継機能を有する場合、電源の分配機能を有する場合等のいずれにおいても、線状伝送部材140と車両側機器とは、電子制御ユニット150A及び配線140Eの少なくとも1つが介在したとしても、電気的に接続される関係にある。
【0061】
線状伝送部材140のうち電子制御ユニット150Aから車両における他の電子制御ユニット、電源等に接続される部分は、機能性シートモジュール(配線モジュール)120における伝送部材を構成せず、車両側に搭載された車両側機器から前記屋根部分まで敷設された別の配線140Eとして把握されてもよい。このような場合において、別の配線140Eは、シート部130のうち電子制御ユニット150Aが搭載される位置からシート部130の外部方向に延び、車両側機器と電気的に接続される第2伝送部材の一例である。配線140Eは、シート部130に取付けられている必要は無い。
【0062】
電子制御ユニット150Aから複数の機器150に向う複数の経路に沿う複数の線状伝送部材140は、シート部130に固定されることで、一定の経路に沿って保持されている。つまり、線状伝送部材140は、シート部130にルーフ側機器である機器150に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されている。線状伝送部材140は、各機器150に達するまで、シート部130に保持されていてもよいし、機器50に達する前の位置までシート部130に保持されていてもよい。この複数の線状伝送部材140の経路は、任意である。複数の線状伝送部材140の経路同士は、交差しないことが好ましい。複数の線状伝送部材140の経路同士が交差しなければ、その交差部によって配線モジュールの厚さが増えてしまうことが抑制される。また、信号のクロストーク等のノイズ問題が交差部で発生することが抑制される。
【0063】
線状伝送部材140のうち外部通信用アンテナ153a、153bを含む外部通信用アンテナユニット150Cに向う線状伝送部材140は、電子制御ユニット150A及び配線140Eを介して車両側機器と電気的に接続される。また、この線状伝送部材140は、シート部130に沿って外部通信用アンテナユニット150Cに向けて延び外部通信用アンテナ153a、153bにも電気的に接続される。このため、この線状伝送部材140は、車両側機器と前記外部通信用アンテナ153a、153bとを電気的に接続する伝送部材の一例である。同様に、線状伝送部材140のうち室内側アンテナ150Bに向う線状伝送部材140は、車両側機器と前記室内側アンテナ150Bとを電気的に接続する伝送部材の一例である。
【0064】
<機能性シートの一例について>
本実施形態では、シート部130は、断熱層132、防音層134及び周波数選択層136を含む。ここでは、シート部130は、下側から上側に向けて、断熱層132、防音層134及び周波数選択層136が重ね合された多層構造を有する。断熱層132、防音層134及び周波数選択層136の重ね合せ順は、任意である。断熱層132及び防音層134の両方又は一方が省略されてもよい。シート部130は、機能性シートの一例である。シート部130が複数の機能層を有する場合において、複数の機能層がシート部の厚み方向において重なって配置されていることは必須ではない。複数の機能層は、シート部が広がる領域内において、異なる領域に設けられていてもよい。例えば、複数の機能層が、シート部が広がる領域内において横並びで設けられていてもよい。断熱層132の下側に周波数選択層136が設けられてもよい。この場合、断熱層132により周波数選択層136に対する熱影響が低下する。これにより、周波数選択層136の基材の樹脂に耐熱性を持たせることが不要となり、低コスト化に貢献する。
【0065】
断熱層132は、シート部130の一方主面側及び他方主面側の間で、熱が伝わり難いようにする層である。断熱層132は、熱放射エネルギーを反射する層であってもよい。断熱層132は、他の層よりも熱伝導率が低い層であってもよい。具体的には、断熱層132としては、不織シート、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。断熱層132としては、断熱塗料、遮熱塗料が用いられてもよい。断熱層132は、金属箔であってもよい。この場合、シート部130において電波を透過したい領域においては、金属箔による断熱層132が設けられないようにするとよい。
【0066】
防音層134は、シート部130の一方主面側及び他方主面側の間で、音が伝わり難いようにする層である。防音層134は、音を反射するものであってもよいし、音のエネルギーを熱エネルギーとして吸収するものであってもよい。具体的には、防音層134としては、不織シート、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。防音層134としては、吸音塗料が用いられてもよい。
【0067】
周波数選択層136は、上記したように、第1周波数帯の電波を遮蔽し、第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる周波数選択特性を有する層である。上記したように、周波数選択層136としては、周知の周波数選択膜が用いられてもよい。周波数選択層136は、断熱層又は防音層に直接導電性ペースト等を印刷すること等によって形成されていてもよい。この場合、断熱層又は防音層は、上記電波遮蔽層を兼ねる層である。
【0068】
図6は周波数選択層136の一例を示す図である。周波数選択層136は、樹脂等で形成されたベースフィルム136a上に金属箔、導電インク等によってユニットセル(素子)136bを形成したものである。図5では、大きさが異なる2つの環状のユニットセル136bが同心円状に配置されており、この2つの環状のユニットセル136bが縦横に並ぶように形成された例が示される。
【0069】
室内側アンテナ150Bが放射する電波の周波数帯が、周波数選択層136が遮蔽する第1周波数帯に含まれれば、当該電波は周波数選択層136によって遮蔽される。外部通信用アンテナ153a、153bが放射するいずれかの電波の周波数帯が、周波数選択膜が遮蔽する第1周波数帯に含まれれば、当該外部通信用アンテナ153a、153bが放射するいずれかの電波が周波数選択層136によって遮蔽される。外部通信用アンテナ153a、153bが放射するいずれかの電波の周波数帯が、周波数選択膜が遮蔽する第1周波数帯の範囲外の第2周波数帯に含まれれば、外部通信用の電波は周波数選択層136を通過する。
【0070】
なお、各層は、単に重ね合されただけであってもよい。各層は、両面テープ、接着剤、溶着等によって固定されていてもよい。また、例えば、不織シートによって構成された層が、断熱層及び防音層としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0071】
また、シート部130が、周波数選択層136に加えて、断熱層132及び防音層134の全ての層を含むことは必須ではない。シート部130は、周波数選択層136のみを含んでいてもよい。つまり、シート部130は、少なくとも電波遮蔽機能を奏する層を含めばよい。また、シート部130が周波数選択層136に加えて付加機能層を含む場合。付加機能層は、断熱及び防音のうちの少なくとも1つの機能を奏すればよい。付加機能層は、上記したように、断熱層132及び防音層134の両方の層を含んでもよいし、断熱層132及び防音層134のうちの一方の層を含んでもよいし、断熱及び防音の機能を兼ねる1つの層を含んでもよい。例えば、不織シートによって構成された層は、断熱層及び防音層としての機能を兼ね備えることができる。
【0072】
周波数選択層136が選択的な電波遮蔽性を有する場合、線状伝送部材140と周波数選択層136とは離れていることが望ましい。線状伝送部材140が周波数選択層136における選択的な電波遮蔽性に影響を与える可能性があるからである。例えば、図5に示すように、シート部130が、一方の面から他方の面に向けて(図5では下面から上面に向けて)、断熱層132、防音層134及び周波数選択層136が重ね合された多層構造を有する場合、線状伝送部材140は、周波数選択層136から離れた側の面、即ち、前記一方の面(下方の面)に設けられることが好ましい。線状伝送部材140と周波数選択層136との間に他の付加機能層が介在していてもよい。シート部130の厚み方向において周波数選択層136が一方の面側に偏って配置されている場合に、線状伝送部材140は、シート部130の他方の面側に設けられてもよい。図5では、断面方形状に形成された線状伝送部材140Bも示されている。線状伝送部材140Bは、露出した導体であってもよいし、当該導体が絶縁樹脂等によって覆われた構成であってもよい。
【0073】
図7は線状伝送部材140がシート部130を構成する基材139に溶着された状態を示す断面図である。基材139は、シート部130を構成する層のうちのいずれを構成するものであってもよい。線状伝送部材140は、芯線140aと、被覆140bとを含む一般的な被覆電線である。被覆140bは、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリエチレン(PE)などの樹脂によって形成される。基材139を構成する材料は、被覆140bと溶着可能な材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記PVC、PEなどのほかポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂を含む材料であることが好ましく、絶縁被覆を構成する樹脂と同じ樹脂を含む材料であることがより好ましい。
【0074】
線状伝送部材140が上記基材139に超音波溶着等によって溶着されることによって、被覆140bが基材139に溶着される。基材139と被覆140bとは、いずれが溶けてもよいし、両方が溶けてもよい。
【0075】
<機能性シートに対する機器の固定構造>
シート部130に対する機器150の固定構造例について説明する。
【0076】
機器150は、シート部130に直接固定されていてもよい。機器150は、機器ホルダを介してシート部130に固定されていてもよい。
【0077】
図8は機器150がシート部130に直接固定された状態を示す斜視図である。なお、シート部130に直接固定された機器を直接固定機器250と称してもよい。
【0078】
図3図4及び図8に示すように、直接固定機器250はシート部130の一主面に直接固定されている。ここで、直接固定機器250がシート部130に直接固定されるとは、当該直接固定機器250が他の固定用のホルダ等を介さずに固定されていることをいう。
【0079】
例えば、直接固定機器250は、シート部130の一主面に対して溶着(融着ともいう)されていてもよい。これにより形成された溶着部は、直接固定機器250及びシート部130の少なくとも一方の一部が溶けて相互にくっついた状態となっている。直接固定機器250とシート部130との溶着は、超音波溶着によってなされてもよいし、加熱溶着によってなされてもよい。また、直接固定機器250とシート部130との少なくとも一方の表面が溶剤によって溶かされることで、直接固定機器250とシート部130とが溶着されてもよい。また、例えば、直接固定機器250は、シート部130に対して、接着剤、両面テープ等によって固定されていてもよい。また、例えば、直接固定機器250は、縫糸等によって、シート部130に対して縫付けられていてもよい。例えば、直接固定機器250の外部に縫付け用の突片が形成されていてもよい。突片には孔が形成されているとよい。この孔を利用して直接固定機器250がシート部130に縫付けられる。また、直接固定機器250と固定プレートとの間にシート部130が挟込まれることで、直接固定機器250がシート部130に固定されてもよい。例えば、シート部130の一方主面側に直接固定機器250が配設され、シート部130の他方主面側に板状の固定プレートが配設される。この状態で、シート部130を貫通するネジが直接固定機器250と固定プレートとを接近方向に締付ける。これにより、直接固定機器250と固定プレートとの間にシート部130が挟込まれる。
【0080】
直接固定機器250は、シート部130の一方主面及び他方主面のいずれに固定されてもよい。図8では、直接固定機器250がシート部130に対して下側(車室側)の面に固定されている。例えば、直接固定機器250は、直方体状に形成されている。その一主面がシート部130の下側の面に接触した状態で、直接固定機器250がシート部130の下側の面に直接固定されている。
【0081】
ここでは、直接固定機器250にはルーフ14への固定用の固定片251が突設されている。固定片251には、ネジ固定用のネジ挿通孔が形成されている。シート部130のうち固定片251に対応する位置には、開口131hが形成されている。このため、機能性シートモジュール120がルーフパネル13と内装部材116との間に配設された状態で、固定片251をルーフパネル13の下面側に重ね合せることができる。これにより、固定片251をルーフパネル13に対して容易にネジ固定することができる。
【0082】
本実施形態では、機器150の例である室内側アンテナ150B、外部通信用アンテナユニット150Cも、上記と同様に、シート部130に直接固定されている。
【0083】
図9は機器150がシート部130に機器ホルダ160を介して固定された状態を示す斜視図である。図10は機器150と機器ホルダ160を示す側面図である。なお、シート部130に機器ホルダ160を介して固定された機器を間接固定機器350と称してもよい。
【0084】
機器ホルダ160は、シート部130に固定された状態で、間接固定機器350を保持可能に構成されている。ここでは、機器ホルダ160は、ホルダ本体部162と、固定片164とを備える。
【0085】
ホルダ本体部162は、樹脂等によって、一端側が開口する直方体箱状に形成されている。ホルダ本体部162の内部には、間接固定機器350の一部又は全部を収容可能な空間が形成されている。ここでは、間接固定機器350は直方体状に形成されている。ホルダ本体部162の内部には、間接固定機器350の外形状に応じた直方体状の空間が形成されている。
【0086】
ホルダ本体部162には、間接固定機器350に引っ掛かり可能な引っ掛かり片163が形成されている。ここでは、間接固定機器350の外周に細長い溝状の凹部351が形成されている。ホルダ本体部162の開口部のうちの一部に引っ掛かり片163が形成されている。引っ掛かり片163の両側部は、ホルダ本体部162のうちの他の部分から分離されている。このため、引っ掛かり片163は、その基端部分を支持箇所として、ホルダ本体部162の内外方向に弾性変形することができる。引っ掛かり片163の先端部には、ホルダ本体部162の内側に向けて突出する凸部162aが形成されている。ホルダ本体部162内に間接固定機器350を挿入すると、凸部162aが間接固定機器350の外面に接触し、引っ掛かり片163が外向きに弾性変形する。凸部162aが凹部351に達するまで、間接固定機器350をホルダ本体部162内の奥に挿入すると、引っ掛かり片163が元の形状に弾性復帰し、凸部162aが凹部351に嵌り込む。これにより、間接固定機器350が抜け止された状態でホルダ本体部162内に保持される。ホルダ本体部162が引っ掛かり片163による引っ掛かり構造を有していることは必須ではない。例えば、コネクタ接続による保持力によって、間接固定機器350がホルダ本体部162内に保持されてもよい。間接固定機器350がホルダ本体部162に対してネジ止等で固定されてもよい。
【0087】
ホルダ本体部162には、ホルダ側コネクタ166が設けられている。ホルダ側コネクタ166は、ホルダ本体部162の奥側に設けられている。ホルダ側コネクタ166は、ホルダ本体部162の外側及び内側に露出している。線状伝送部材140は、ホルダ側コネクタ166の外向き部分からホルダ側コネクタ166内に導入されている。線状伝送部材140は、ホルダ側コネクタ166内において、当該ホルダ側コネクタ166内の端子に接続されている。ホルダ側コネクタ166内の端子は、ホルダ本体部162内で露出している。
【0088】
間接固定機器350のうちホルダ本体部162の奥側に挿入される部分には、ホルダ側コネクタ166とコネクタ接続可能な機器側コネクタ352が設けられている。上記したように、間接固定機器350をホルダ本体部162内に挿入すると、機器側コネクタ352とホルダ側コネクタ166とがコネクタ接続される。このため、機器ホルダ160は、機器150を、線状伝送部材140に電気的に接続した状態で保持する。
【0089】
ホルダ本体部162は、上記直接固定機器250と同様に、シート部130の一主面に直接固定されている。
【0090】
また、固定片164は、ホルダ本体部162に突設されている。固定片164は、直接固定機器250に設けられた固定片251と同様構成である。シート部130のうち固定片164に対応する位置には、開口131hが形成されている。このため、機能性シートモジュール120がルーフパネル13と内装部材116との間に配設された状態で、固定片164をルーフパネル13の下面側に重ね合せることができる。これにより、固定片164をルーフパネル13に対して容易にネジ固定することができる。なお、ホルダを用いた構成においても、間接固定機器自体がルーフパネル13等に固定されてもよい。
【0091】
機器150をシート部130に取付ける構成としては、直接固定機器250をシート部130に取付ける構成と、間接固定機器350を、機器ホルダ160を介してシート部130に取付ける構成とが混在していてもよい。例えば、室内側アンテナ150Bは、シート状に形成されているため、機器ホルダ160を介さず、シート部130に直接固定されていてもよい。
【0092】
機器150及び機器ホルダ160は、最終的にはルーフパネル13又は内装部材116等に固定されることが好ましい。機器150及び機器ホルダ160は、ルーフパネル13等に固定される前の状態で、シート部130に対して一定の位置を保ち得る程度の強度でシート部130に固定されていればよい。
【0093】
このように、機器ホルダ160を利用して、電子制御ユニット150A及びルーフ側機器150の少なくとも1つが線状伝送部材140に容易に電気的に接続される。
【0094】
なお、機器150がシート部130に固定されることは必須ではない。例えば、シート部130と線状伝送部材140とを備える配線モジュールが、機器150とは別に屋根部分に組込まれてもよい。
【0095】
<機能性シートに対する機器の配置関係>
シート部130の両面に対する機器150の配置例について説明する。図11はルーフ14に組込まれた機能性シートモジュール120を示す説明図である。
【0096】
同図において、ルーフパネル13に対して車室側には補強バー13aが設けられている。補強バー13aはステイと呼ばれることもある。機能性シートモジュール120の機器150は、補強バー13aに対してネジ止固定されている。機器150は、内装部材116に固定されていてもよい。機器150は、ルーフパネル13及び内装部材116に固定されていなくてもよい。機器150はその他の構造、例えば、接着剤、両面テープ、溶着、引っ掛け構造等によってルーフ14に固定されてもよい。
【0097】
機器150がモニタ等である場合、機器150は車室内に露出することが要請される。この場合、機器150は、内装部材116に形成された孔116hに嵌め込まれて、車室内に露出することができる。機器150が電子制御ユニット150A等である場合には、機器150は車室内に露出する必要は無く、内装部材116とルーフパネル13との間に収められていてもよい。
【0098】
シート部130は、内装部材116とルーフパネル13との間に配設される。シート部130は、内装部材116等に固定されていてもよいし、単に内装部材116の上に載置されるだけであってもよい。例えば、シート部130は、両面テープ、接着剤、溶着等によって内装部材116等に固定されてもよい。図11では、シート部130は、周波数選択層136と、付加機能層137とを含む層として例示されている。ここでは、周波数選択層136は、付加機能層137に対して上側に重ねられている。付加機能層137は、シート部130に対して、電波遮蔽機能とは別の機能を付加する層である。例えば、付加機能層137は、断熱機能及び防音機能のうちの少なくとも1つの機能を付加する層である。付加機能層137は、単層構造であってもよいし、複数層構造であってもよい。
【0099】
外部通信用アンテナ153a、153bを含む外部通信用アンテナユニット150Cは、周波数選択層136に対して車外側に設けられていることが好ましい。
【0100】
この場合において、第1周波数帯は、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される電波の全ての周波数帯を含む帯域に設定されていてもよい。これにより、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される全ての電波が、周波数選択層136によって遮蔽され、車室内側に伝播され難くなる。また、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される電波は周波数選択層136によって遮蔽されることなく外部に伝播される。このため、外部通信用アンテナ153a、153bを介した外部の機器210(基地局等)との無線通信は良好に行われる。また、車内側に電波が伝わらないため、電波の車外への放射効率が高くなる。この点からも、外部通信用アンテナ153a、153bを介した外部の機器210(基地局等)との無線通信が良好に行われる。
【0101】
また、第1周波数帯は、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される電波のうちの一部の周波数を含む帯域に設定されていてもよい。この場合、第2周波数帯は、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される電波のうちの残りの周波数を含む。
【0102】
これにより、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される電波のうち専ら車外通信に用いられる電波が、周波数選択層136によって遮蔽され、車室内側に伝播され難くできる。例えば、第1周波数帯を、車車間通信又は路車間通信のための電波の周波数帯を含む帯域に設定するとよい。これにより、車車間通信又は路車間通信のための電波が周波数選択膜によって遮蔽される。
【0103】
また、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される電波のうち車室内と車外との通信にも用いられる電波については、周波数選択層136によって遮蔽されず、車室内側に伝播され易くできる。例えば、第1周波数帯ではなく第2周波数帯が、車室内の乗員が使用する可能性がある室内機器(スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ機器等)と外部との公衆通信回線又は専用通信回線に利用される電波の周波数帯を含む帯域に設定されればよい。公衆通信回線又は専用通信回線に利用される電波の周波数帯は、外部通信用の周波数帯の一例である。
【0104】
なお、ルーフパネル13が金属等で形成されている場合、ルーフパネル13にアンテナ用孔113hを形成し、外部通信用アンテナ153a、153bを当該アンテナ用孔113hに対応する位置に配設するとよい。ここでは、外部通信用アンテナユニット150Cがアンテナ用孔113hに嵌め込まれている。これにより、アンテナ用孔113hを外側から見て、当該アンテナ用孔113h内に外部通信用アンテナ153a、153bが配置される。このため、外部通信用アンテナ153a、153bは、当該アンテナ用孔113hを介して車外を向くことができ、車外の通信機器210(基地局等)との間で良好に無線通信を行うことができる。
【0105】
ルーフパネル13が樹脂等で形成されている場合、外部通信用アンテナ153a、153bは、ルーフパネル13にアンテナ用孔113hを形成する必要は無い。外部通信用アンテナ153aは、樹脂等で形成されたルーフパネル13の内側に配設されていてもよい。
【0106】
ルーフパネル13が金属等で形成されている場合であっても、ルーフパネル13にサンルーフが形成されている場合には、外部通信用アンテナは、当該サンルーフ用の開口を通じて外部との間で無線通信を行ってもよい。
【0107】
なお、本実施形態では、シート部130に対して車室側に線状伝送部材140が固定されており、シート部130に対して車外側に外部通信用アンテナユニット150Cが固定されている。この場合、次のようにするとよい。まず、シート部130に表裏に貫通する貫通孔130bを形成する。シート部130に対して車室側に固定された線状伝送部材140の端部を貫通孔130bに通してシート部130に対して車外側の面に引出す。そして、線状伝送部材140の端部のコネクタを、シート部130に対して車外側の面の外側で外部通信用アンテナユニット150Cに対してコネクタ接続する。これにより、線状伝送部材140を、シート部130の両面のそれぞれで、機器150に接続することができる。
【0108】
また、室内側アンテナ150Bは、周波数選択層136に対して車室内側に設けられていることが好ましい。この場合、第1周波数帯は、室内側アンテナ150Bが放射する伝播の周波数を含む帯域に設定されるとよい。これにより、室内側アンテナ150B及び車室内の室内機器221から放射される電波が、周波数選択層136によって遮蔽され、車外側に伝播され難くなる。また、室内側アンテナ150Bが室内機器に対して非接触給電を行う場合には、車外に電波(電力)が漏れていかないため、効率的に室内機器に対して非接触給電が行われる。
【0109】
なお、例えば、スマートフォン等の室内機器221は、公衆通信回線又は専用通信回線を介して外部との間で無線通信を行う可能性がある。第2周波数帯は、かかる公衆通信回線又は専用通信回線において利用される電波の周波数帯を含む帯域に設定されれば、室内機器221は車外の通信機器(基地局等)222との間で良好に無線通信を行うことができる。
【0110】
上記したように、シート部130に対して車外側に外部通信用アンテナ153a、153bが設けられ、車室内側に室内側アンテナ150Bが設けられることを想定する。この場合、例えば、周波数選択層136が遮蔽する電波の第1周波数帯は、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される電波のうちの一部及び室内側アンテナ150Bから放射される電波を遮蔽するように設定されていてもよい。さらに、周波数選択層136が遮蔽する電波の周波数帯は、外部通信用アンテナ153a、153bから放射される電波のうちの残部の透過を許容するように設定されていてもよい。これにより、車室内通信用の電波についてはなるべく車外に漏れることが抑制される。また、車外通信用の電波の一部(車車間通信、車路完通信用等)については車室内に伝播し難いようにし、かつ、車外側の電波の残部(公衆通信回線用等)については車室内に伝播し易いようにすることができる。
【0111】
なお、室内側アンテナ150Bについては比較的薄くて軽量であるため、シート部130に固定されるのみで、内装部材116に固定されなくてもよい。
【0112】
機能性シートモジュール120が断熱層132を含むことを前提とすると、機器150は、断熱層132に対して車室内側に設けられた車室内側機器を含むことが好ましい。ここでは、複数の機器150のうち外部通信用アンテナユニット150Cを除く機器150が、車室内側機器であることが想定されている。
【0113】
ルーフ14は、太陽90からの光線が照射されることで温度上昇する可能性がある。太陽光線による熱は、断熱層132によって断たれるため、断熱層132に対して車室側は、車外側より温度上昇し難い。そこで、機器150が断熱層132に対して車室内側に設けられていれば、機器150の周辺温度の上昇を抑制することができる。結果、機器150として、耐熱温度が高いものを用いなくてもよくなる。
【0114】
同様に、断熱層132に対して車室側に線状伝送部材140が設けられていれば、線状伝送部材140の温度上昇を抑制することができる。このため、線状伝送部材140として、耐熱温度が高いものを用いなくてもよくなる。
【0115】
<実施形態の効果等>
本実施形態2によっても、上記実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0116】
また、本機能性シートモジュール120によると、ボディ12と内装部材116との間に、周波数選択層136を容易に組込むことができる。
【0117】
また、かかる機能性シートモジュール120に室内側アンテナ150Bが取付けられているため、周波数選択層136と共に室内側アンテナ150Bをボディ12に容易に組込むことができる。
【0118】
また、機能性シートモジュール120に外部通信用アンテナユニット150Cが取付けられているため、周波数選択層136と共に外部通信用アンテナユニット150Cをボディ12に容易に組込むことができる。
【0119】
また、機能性シートモジュール120に、線状伝送部材140が固定されているため、周波数選択層136と共に線状伝送部材140をボディ12に容易に組込むことができる。また、線状伝送部材140が周波数選択層136に対して車室側に設けられているため、車外からの電波のうち周波数選択層136によって遮蔽されるものは、線状伝送部材140に対するノイズとなり難い。また、車外からの電波のうち周波数選択層136によって遮蔽されるものは、周波数選択層136に対して室内側に設けられている機器150に対してノイズとなり難い。このため、外来ノイズに対してノイズ対策を図ることができる。
【0120】
また、シート部130は、防音層134及び断熱層132の少なくとも一方を備えるため、周波数選択層136をボディ12に組込むことで、防音層134及び断熱層132の少なくとも一方を容易に組込むことができる。
【0121】
なお、本実施形態において、線状伝送部材は、機能性シートに固定されない機器に接続されてもよい。例えば、ルーフパネルに外部通信用アンテナを含むアンテナユニットが固定されていてもよい。この場合、機能性シートに固定された線状伝送部材に、当該アンテナユニットに対してコネクタ接続されるコネクタが設けられていてもよい。そして、配線モジュールをルーフに組込む際に、線状伝送部材のコネクタがアンテナユニットにコネクタ接続されてもよい。
【0122】
また、電子制御ユニット150Aがシート部130に設けられているため、ルーフ側機器150を制御する電子制御ユニット150Aがシート部130と共に容易に屋根部分に組込まれる。
【0123】
また、機器150がシート部130に固定されていない場合においても、シート部130と線状伝送部材140とが屋根部分に組込まれた状態で、機器150に対して電力供給又は通信可能な位置まで形成されている線状伝送部材140は、容易に機器150に接続され得る。このため、この場合においても、上記と同様の効果を奏する。
【0124】
[実施形態2に関する変形例]
図12は変形例に係る機能性シートモジュール(配線モジュール)120Bを示す斜視図である。同図に示すように、線状伝送部材140及び機器150は、シート部130に対して上側、即ち、ルーフパネル13と内装部材16との間においてルーフパネル13側に設けられてもよい。なお、室内側アンテナ150Bについては、シート部130に対して下側、即ち、ルーフパネル13と内装部材16との間において内装部材16側に設けられてもよい。この場合、線状伝送部材140は、シート部130を貫通して室内側アンテナ150Bに接続されるとよい。
【0125】
また、外部通信用アンテナユニット150Cが省略されてもよい。この場合、線状伝送部材140のうち外部通信用アンテナユニットに接続される端部にコネクタ148が設けられるとよい。外部通信用アンテナユニットとしては、ルーフパネル等に取付けられる外部通信用アンテナユニット49(例えば、フィン状又はロッド状に形成された外部通信用アンテナユニット)であることが想定される。本機能性シートモジュール120Bが車両10におけるルーフに組込まれる際に、コネクタ148が当該外部通信用アンテナユニット149に接続されるとよい。これにより、外部通信用アンテナがシート部130とは別体とされてルーフパネル13に組込まれる場合においても、線状伝送部材140がコネクタ148を介して外部通信用アンテナに容易に接続される。
【0126】
他の変形例に係る機能性シートモジュール(配線モジュール)620について説明する。図13は機能性シートモジュール620に係る機能ブロック図である。なお、図13では、各機能部分の数に拘らず、代表的な機能部分が示されている。図14は機能性シートモジュール620を示す概略斜視図である。図14において示される第1伝送部材640及び第2伝送部材660は、概略的な経路を示しており、1本の線として描かれていても、複数の電線等を含む場合がある。
【0127】
機能性シートモジュール620は、機能性シートであるシート部130に設けられる複数の機器650と、第1伝送部材640とを備える。
【0128】
複数の機器650は、電子制御ユニット650A、室内側アンテナ650B、外部通信用アンテナ650C、ランプ650D、カメラ650E、スピーカ650Fを含む。複数の機器650のうち電子制御ユニット650Aを除く機器は、屋根部分に搭載されるルーフ側機器の一例である。外部通信用アンテナ650Cは、単一のアンテナであってもよいし、複数のアンテナが組合わされたアンテナユニットであってもよい。
【0129】
電子制御ユニット650Aは、プロセッサ、メモリ等を含むコンピュータであり、予め記憶されたプログラムに従って制御処理を実行する。電子制御ユニット650Aは、例えば、ルーフに設けられた各種機器を制御するエリアECU(Electronic Control Unit)であることが想定される。電子制御ユニット650Aは、車両側機器に対して第2伝送部材660を介して接続されている。車両側機器としては、他の電子制御ユニット(例えば、ボディECU、セントラルECU等)であることが想定される。車両側機器は、電源装置であってもよい。第2伝送部材660は、少なくとも通信線を含む。電子制御ユニット650Aは、第2伝送部材660を介して車両側機器との間で通信可能に接続される。
【0130】
電子制御ユニット650Aは、第1伝送部材640を介して、ルーフに設けられる他の機器、例えば、室内側アンテナ650B、外部通信用アンテナ650C、ランプ650D、カメラ650E、スピーカ650F等に通信可能に接続されている。第1伝送部材640は、少なくとも通信線を含む。電子制御ユニット650Aは、第1伝送部材640を介して、ルーフに設けられる他の機器650B、650C、650D、650E、650Fを制御することができる。なお、図14では、ランプ650Dは、マップランプ650Daと、他のランプ650Dbとに区別される。
【0131】
第1伝送部材640に電源線が含まれていてもよい。第2伝送部材660に電源線が含まれていてもよい。第1伝送部材640に含まれる電源線は、第2伝送部材に含まれる電源線に直接接続されてもよい。第1伝送部材640に含まれる電源線は、電源分岐ボックス等を介して、第2伝送部材に含まれる電源線に接続されてもよい。電源分岐ボックスは、バスバ等で構成される分岐回路、ヒューズ又は半導体素子等によって構成される回路遮断部品等が組込まれた装置である。電源分岐ボックスは、電子制御ユニット650Aに組込まれていてもよい。この場合、信号線及び電源線を含む第2伝送部材660は、電子制御ユニット650Aに一括して接続され、電子制御ユニット650Aにて各機器650B、650C、650D、650E、650F等に応じて分配される。電子制御ユニット650Aは、信号線及び電源線を含む第1伝送部材640を介して、各機器650B、650C、650D、650E、650Fに通信及び電力供給可能に接続される。第2伝送部材660は、シート部130に取付けられていなくてもよい。
【0132】
シート部130における各機器650、第1伝送部材640の位置は任意である。図14に示す例では、シート部130のうち前方寄りの領域における幅方向中央に電子制御ユニット650A及びマップランプ650Daが設けられる。マップランプ650Daは、電子制御ユニット650Aよりも前方に設けられる。シート部130のうち後方寄りの領域における幅方向中央に外部通信用アンテナ650Cが設けられる。なお、車両が進行する向きが前であり、その反対が後ろである。また、前を向いた状態を基準として左右が定る。電子制御ユニット650Aは、シート部130の右又は左に偏って設けられてもよい。
【0133】
機器650は、シート部130の左寄りの領域に設けられる機器と、シート部130の右寄りの領域に設けられる機器とを含む。
【0134】
例えば、複数(図14では4つ)のカメラ650Eが、シート部130の左寄りの領域及び右寄りの領域のそれぞれに分れて設けられる。左右それぞれの領域において、複数(図14では2つ)のカメラ650Eが前後に離れて設けられる。また、例えば、複数(図14では6つ)のスピーカ650Fが、シート部130の左寄りの領域及び右寄りの領域のそれぞれに分れて設けられる。左右それぞれの領域において、複数(図14では3つ)のスピーカ650Fが前後に離れて設けられる。さらに、例えば、複数(図14では6つ)のランプ650Dが、シート部130の左寄りの領域及び右寄りの領域のそれぞれに分れて設けられる。左右それぞれの領域において、複数(図14では3つ)のランプ650Dが前後に離れて設けられる。
【0135】
シート部130の左右それぞれの領域において、最も前側のスピーカ650Fの周りにカメラ650Eとランプ650Dとが設けられ、前後方向中間のスピーカ650Fの周りにランプ650Dが設けられ、最も後側のスピーカ650Fの周りにカメラ650Eとランプ650Dとが設けられる。
【0136】
また、複数の室内側アンテナ650Bが、シート部130に対して左右に分れて設けられる。ここでは、複数の室内側アンテナ650Bは、電子制御ユニット650Aよりも後方であって外部通信用アンテナ650Cよりも前方に設けられる。複数(図14では4つ)の室内側アンテナ650Bが、左右に分れて設けられ、さらに、前後にも分れて設けられる。より具体的には、複数の室内側アンテナ650Bは、座席に対応する領域、より具体的には、運転席、助手席、後部座席の左右着座箇所の上方位置に配置される。室内側アンテナ650Bは、例えば、非接触給電(Wi-Fi(登録商標)給電)等に用いられる。
【0137】
各機器650は、シート部130に対して、内装部材16側に設けられてもよいし、ルーフパネル13側に設けられてもよい。例えば、電子制御ユニット650A及び外部通信用アンテナ650Cは、シート部130に対してルーフパネル13側に設けられてもよい。室内側アンテナ650B、ランプ650D、カメラ650E、スピーカ650Fは、シート部130に対して内装部材16側に設けられてもよい。
【0138】
第1伝送部材640は、電子制御ユニット650Aから左右の2方向に分れた経路を通って各機器650に接続される。例えば、シート部130に対して左寄りの領域に着目すると、第1伝送部材640の一部が電子制御ユニット650Aから左方向に延びる。この一部の第1伝送部材640は、シート部130の左縁の手前で曲って当該左縁に沿って前方又は後方に延びて、シート部130の左寄りに設けられた各機器650に接続される。また、例えば、シート部130に対して右寄りの領域に着目すると、第1伝送部材640の他の一部が電子制御ユニット650Aから右方向に延びる。この他の一部の第1伝送部材640は、シート部130の右縁の手前で曲って当該右縁に沿って前方又は後方に延びて、シート部130の右寄りに設けられた各機器650に接続される。
【0139】
シート部130において、複数の機器650が集って設けられている場合、第1伝送部材640は、同一経路に沿ってシート部130に配設され、複数の機器650の集中エリアで分れて複数の機器650に接続されてもよい。例えば、図14に示す例において、前後方向中間部の右寄りの領域に、室内側アンテナ650B、カメラ650E、スピーカ650F、ランプ650Dbがその周囲よりも狭い間隔で密集する集中エリアEが存在する。この場合、第1伝送部材640を構成する複数の伝送部材が電子制御ユニット650Aからシート部130の右縁に沿って上記集中エリアEに向い、集中エリアE近くで複数に分岐して、各室内側アンテナ650B、カメラ650E、スピーカ650F、ランプ650Dbに接続されてもよい。この場合、第1伝送部材640を構成する複数の伝送部材を、束ねて、又は、集中させて並列状態で配索することができる。このため、シート部130上において、第1伝送部材640を構成する複数の伝送部材をコンパクトに配置できる。
【0140】
なお、シート部130の幅方向中央に設けられた機器650は、左右いずれの第1伝送部材640に接続されてもよい。第1伝送部材640は、シート部130の左右の縁に沿わない伝送部材を含んでいてもよい。
【0141】
第2伝送部材660は、電子制御ユニット650Aから前方に延びる。ここでは、第2伝送部材660は、電子制御ユニット650Aから左右に分れて、シート部130の左右の縁に沿って前方に延びる。第2伝送部材660は、例えば、Aピラーに沿って車体側に導かれる。第2伝送部材660は、電子制御ユニット650Aから直接引出されてもよいし、電子制御ユニット650Aに対してコネクタを介して接続されてもよい。第2伝送部材660は、シート部130に対して取付けられず、シート部130から分離した状態で、Aピラー等に向けて導かれてもよい。
【0142】
なお、上記したように、第1伝送部材640自体は、信号線を含んでおり、電源線を含んでいてもよい。シート部130に対して、第1伝送部材640と機器650とが異なる側に位置している場合には、第2伝送部材660がシート部130を貫通して機器650に接続されてもよい。
【0143】
図15図14におけるXV-XV線断面図である。図15はシート部130に室内側アンテナ650Bが取付けられた状態を示している。室内側アンテナ650Bは、例えば、金属等によって構成されたアンテナ素子650Baを、2つの絶縁フィルム650Bbで挟み込んだ構成とされる。アンテナ素子650Baに接続された線状導体650Bcもアンテナ素子650Baと共に2つの絶縁フィルム650Bbによって挟込まれていてもよい。2つの絶縁フィルム650Bbどうしは、自身が溶かされることによって溶着されていてもよいし、接着剤(粘着剤を含む)によって接着されていてもよい。各アンテナ素子650Ba及び線状導体650Bcが2つの絶縁フィルム650Bbによって挟まれた構成とされるため、保護性能及び防水性能が高められる。かかる室内側アンテナ650Bは、両面テープ、接着剤等によりシート部630に取付けられる。
【0144】
図16は車両10における機能性シートモジュール620の位置を示す説明図である。図16は左右方向に対して垂直な面における位置関係が示される。同図に示すように、機能性シートモジュール620が内装部材16とルーフパネル13との間に設けられる。車体側に車両側機器710、712が設けられる。車両側機器710、712は、例えば、ボディ12のうち内装部材16よりも下方に設けられる機器である。車両側機器710、712は、上記したように、ボディECU、セントラルECU等であり、電源装置であってもよい。第2伝送部材660が信号線及び電源線を含む場合、車両側機器710はECUであり、車両側機器712は電源装置である。車両側機器710、712から引出される第2伝送部材660は、Aピラー720等を通ってルーフパネル13と内装部材16との間に引出され、電子制御ユニット650Aに接続される。上記したように、第2伝送部材660は、電子制御ユニット650A内に直接導入されてもよいし、コネクタを介して接続されてもよい。
【0145】
機能性シートモジュール620をルーフパネル13に組付ける際は、例えば次のようにしてなされる。すなわち、作業者等が、機能性シートモジュール620を、ルーフパネル13の下方から持上げて、当該ルーフパネル13に取付ける。この作業は、作業者等が下方から見上げた状態で行われる作業となり得る。
【0146】
本変形例によっても、上記実施形態2と同様の効果が得られる。
【0147】
[実施形態3]
実施形態3に係る内装部材430について説明する。実施形態3では、実施形態1において、周波数選択部材20が、ボディ12に対して室内側に設けられる内装部材に一体化された構成の一例を説明する。機能性シートモジュールが組込まれる車両10は、実施形態1で説明したのと同様のボディ12を備える構成である。車両10自体の説明は省略する。また、機器150、線状伝送部材140等、実施形態2で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0148】
図17は内装部材430を示す分解斜視図である。図18は同内装部材430を示す斜視図である。図17においては、ルーフパネル13が図示されている。
【0149】
内装部材430は、ボディ12のうちルーフパネル13に対して車室側に設けられる部材である。内装部材430は、内装本体部416と、周波数選択部材420とを備える。
【0150】
内装本体部416は、実施形態2における内装部材116と同様に、車室側に面する板状部材である。内装本体部は、乗降用ドア、リアドアに対して車室側に設けられた部材であってもよい。
【0151】
周波数選択部材420は、実施形態1及び実施形態2で述べたように、周波数選択部材20と同様である。
【0152】
周波数選択部材420は、内装本体部416に一体化されている。つまり、周波数選択部材420は、内装本体部416と一体となって、内装部材430としてルーフパネル13に取付けるのに適した態様となっている。具体的には、例えば、周波数選択部材420は、内装本体部416に対して固定されている。固定は、実施形態1及び実施形態2で述べたのと同様の固定構造によってなされていてもよい。また、周波数選択部材の周波数選択層を含む実施形態2の配線モジュールを内装本体部416に一体化してもよい。
【0153】
周波数選択部材420は、内装本体部416の主面に、導電性ペースト等によってユニットセル(素子)を直接印刷等することによって形成されてもよい。
【0154】
また、本実施形態では、線状伝送部材140の端部に上記機器150が接続されている。機器150は、周波数選択部材420の一主面(上面)上に固定されていてもよい。機器150は、周波数選択部材420に固定されず、ルーフパネル13側に固定されていてもよい。機器150は、実施形態1及び実施形態2で述べたのと同様構成によって設けられてもよい。本実施形態によっても、実施形態1及び実施形態2で述べたように同様な作用効果を得ることができる。
【0155】
また、本実施形態において、内装本体部416に線状伝送部材140が固定されていてもよい。この場合、内装部材430をルーフパネル13に取付けることによって、線状伝送部材140が容易にボディ12に取付けられる。
【0156】
なお、線状伝送部材140が内装本体部416に固定されていることは必須ではない。線状伝送部材140は、内装部材430とは別にルーフ14に組込まれてもよい。
【0157】
[実施形態4]
実施形態4に係る車両10におけるボディ512について説明する。実施形態4では、実施形態1において、周波数選択部材20が、ボディ12に一体化された構成の一例を説明する。ボディ512は、実施形態1で説明したボディ12と同様である。実施形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0158】
図19は周波数選択部材520が一体化されたボディ512を示す概略断面図である。本実施形態では、ボディ512のうちルーフパネル513に周波数選択部材520が設けられている。ボディのうち乗降用ドア、リアドアに対して周波数選択部材が一体化されていてもよい。
【0159】
周波数選択部材520は、実施形態1及び実施形態2で述べたように、周波数選択部材20と同様である。
【0160】
周波数選択部材520は、ルーフパネル513に一体化されている。具体的には、例えば、周波数選択部材520は、ルーフパネル513に対して固定されている。周波数選択部材520とルーフパネル513との固定は、実施形態1から実施形態3で述べたのと同様の固定構造でなされていてもよい。
【0161】
周波数選択部材520は、ルーフパネル513の主面に、導電性ペースト等によってユニットセル(素子)を直接印刷等することによって形成されてもよい。
【0162】
周波数選択部材520に対して実施形態1から実施形態3で述べたように機器を設けてよい。本実施形態によって、別の部材を組込まなくても、通信環境が改善される。また、実施形態1から実施形態3で述べたのと同様な作用効果を得ることができる。
【0163】
[変形例]
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば,同じ車両における異なる箇所において、実施形態2、実施形態3,実施形態4のいずれかが任意に組合わされて適用されていてもよい。また、異なる周波数帯の遮蔽を目的として、車両における同じ箇所に、実施形態2、実施形態3,実施形態4が任意に組合わされて併用されていてもよい。
【0164】
[付記]
本明細書は、下記内容をも開示する。
【0165】
第1の態様は、ボディと、周波数選択部材と、を備え、前記周波数選択部材は、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる特性を有し、前記周波数選択部材は、前記ボディのうちの少なくとも一部に重なる領域に設けられている、車両である。本開示によると、前記周波数選択部材は、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる特性を有する。また、前記周波数選択部材は、前記車両用ボディのうちの少なくとも一部に重なる領域に設けられている。このため、周波数選択部材は、ボディの少なくとも一部で、第1周波数帯数の電波を遮蔽することができる。また、第2周波数帯の電波は、周波数選択部材を透過することができる。このため、車両における通信環境が改善される。
【0166】
第2の態様は、第1の態様に係る車両であって、前記周波数選択部材は、前記ボディのうちルーフパネルに重なる領域に設けられているものである。これにより、比較的広く広がるルーフパネルにおいて、周波数選択部材によって、第1周波数帯の電波を遮蔽することができる。
【0167】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る車両であって、前記周波数選択部材は、前記ボディと前記ボディに対して室内側に設けられる内装部材との間に設けられるシート状の部材とされているものである。これにより、ルーフパネルと内装部材との間の空間を利用して周波数選択部材が設けられる。
【0168】
第4の態様は、第1又は第2の態様に係る車両であって、前記周波数選択部材は、前記ボディに対して室内側に設けられる内装部材に一体化されているものである。第4の態様によると、周波数選択部材を内装部材に一体化できる。
【0169】
第5の態様は、第1又は第2の態様に係る車両であって、前記周波数選択部材は、前記ボディに一体化されているものである。これにより、周波数選択部材をルーフパネルに一体化できる。
【0170】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る車両であって、前記第1周波数帯の電波を放射する室内側アンテナが、前記周波数選択部材に対して車室内側に設けられているものである。室内側アンテナから放射される電波が周波数選択部材によって遮蔽されるため、車外に漏れ難くなる。
【0171】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る車両であって、前記第1周波数帯の電波を放射する外部通信用アンテナが、前記周波数選択部材に対して車外側に設けられているものである。周波数選択部材によって遮蔽されずに外部通信用アンテナを介した車外通信がなされる。
【0172】
第8の態様は、第7の態様に係る車両であって、前記外部通信用アンテナは前記ボディに取付けられているものである。外部通信用アンテナをなるべく外部に露出させた状態とし易い。
【0173】
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様に係る車両であって、前記第2周波数帯は、外部通信用の周波数帯に対して少なくとも一部で重なるように設定されているものである。車室内の機器は、外部通信用の周波数帯のうち第2周波数帯と重なる帯域の電波を利用して、外部との間で通信することができる。
【0174】
第10の態様は、車両のボディと前記ボディに対して室内側に設けられる内装部材との間に設けられる機能性シートモジュールであって、周波数選択層を含むシート部を備え、前記周波数選択層は、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる特性を有する、機能性シートモジュールである。本開示によると、機能性シートモジュールは、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる特性を有する周波数選択層を備える。また、前記機能性シートモジュールは、車両のボディと内装部材との間に設けられる。このため、機能性シートモジュールは、ボディの少なくとも一部で、第1周波数帯数の電波を遮蔽することができる。また、第2周波数帯の電波は、周波数選択部材を透過することができる。このため、車両における通信環境を改善できる。
【0175】
第11の態様は、第10の態様に係る機能性シートモジュールであて、前記シート部は、断熱層及び防音層の少なくとも一方をさらに備えているものである。機能性シートモジュールによって断熱及び防音の少なくとも一方を行うことができる。
【0176】
第12の態様は、第10又は第11の態様に係る機能性シートモジュールであって、前記シート部に固定された線状伝送部材をさらに備えているものである。機能性シートモジュールを車両に組込めば、線状伝送部材を車両に配設することができる。
【0177】
第13の態様は、第10から第12のいずれか1つの態様に係る機能性シートモジュールであって、前記第1周波数帯の電波を放射する室内側アンテナをさらに備え、前記室内側アンテナは、前記周波数選択層に対して車室内側に位置するように、前記シート部に固定されているものである。室内側アンテナから放射される電波が周波数選択膜によって遮蔽されるため、車外に漏れ難くなる。また、機能性シートを車両に組込むことで、室内側アンテナを車両に容易に組込むことができる。
【0178】
第14の態様は、第10から第13のいずれか1つの態様に係る機能性シートモジュールであって、前記第1周波数帯の電波を放射する外部通信用アンテナをさらに備え、前記外部通信用アンテナは、前記周波数選択層に対して車外側に位置するように、前記シート部に固定されているものである。外部通信用アンテナから放射される電波が車室内に透過し難くなり、車室内においてノイズ低減を図ることができる。また、機能性シートを車両に組込むことで、外部通信用アンテナを車両に容易に組込むことができる。
【0179】
本各機能性シートモジュールにおいて、前記機能性シートは、前記ボディのうちルーフパネルと前記内装部材との間に広がって設けられていてもよい。これにより、比較的広く広がるルーフパネルにおいて、周波数選択部材によって、第1周波数帯の電波を遮蔽することができる。
【0180】
また、前記外部通信用アンテナは前記ボディに取付けられていてもよい。これにより、ボディに取付けられた外部通信用アンテナ放射される電波が車室内に透過し難くなり、車室内においてノイズ低減を図ることができる。
【0181】
また、前記第2周波数帯は、外部通信用の周波数帯に対して少なくとも一部で重なるように設定されていてもよい。これにより、車室内の機器は、外部通信用の周波数帯のうち第2周波数帯と重なる帯域の電波を利用して、外部との間で通信することができる。
【0182】
第15の態様に係る内装部材は、車両のボディに対して車室側に設けられる内装部材であって、前記室内に面する内装本体部と、前記内装本体部に一体化された周波数選択部材と、を備え、前記周波数選択部材は、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる特性を有する、内装部材である。本開示によると、周波数選択部材は、第1周波数帯の電波を遮蔽し、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を透過させる特性を有する周波数選択層を備える。また、周波数選択部材を備える内装部材は、車両のボディに対して車室側に設けられる。このため、内装部材は、ボディの少なくとも一部で、第1周波数帯数の電波を遮蔽することができる。また、第2周波数帯の電波は、周波数選択部材を透過することができる。このため、車両における通信環境を改善できる。
【0183】
第16の態様は、第15の態様に係る内装部材であって、前記内装本体部に対して車外側に固定された線状伝送部材をさらに備えるものである。内装部材を車両に組込めば、線状伝送部材を車両に配設することができる。
【0184】
本各内装部材において、前記周波数選択部材は、前記ボディのうちルーフパネルに重なる領域に設けられていてもよい。比較的広く広がるルーフパネルにおいて、周波数選択部材によって、第1周波数帯の電波を遮蔽することができる。
【0185】
また、前記第1周波数帯の電波を放射する室内側アンテナが、前記周波数選択部材に対して車室内側に設けられていてもよい。室内側アンテナから放射される電波が周波数選択部材によって遮蔽されるため、車外に漏れ難くなる。
【0186】
また、前記第1周波数帯の電波を放射する外部通信用アンテナが、前記周波数選択部材に対して車外側に設けられていてもよい。外部通信用アンテナから放射される電波が車室内に透過し難くなり、車室内においてノイズ低減を図ることができる。
【0187】
また、前記外部通信用アンテナは前記ボディに取付けられるものであってもよい。ボディに取付けられた外部通信用アンテナ放射される電波が車室内に透過し難くなり、車室内においてノイズ低減を図ることができる。
【0188】
また、前記第2周波数帯は、外部通信用の周波数帯に対して少なくとも一部で重なるように設定されていてもよい。車室内の機器は、外部通信用の周波数帯のうち第2周波数帯と重なる帯域の電波を利用して、外部との間で通信することができる。
【符号の説明】
【0189】
10 車両
12、512 ボディ
13、513 ルーフパネル
13a 補強バー
14 ルーフ
16、116、430、516 内装部材
20、420、520 周波数選択部材
30、150B、530 室内側アンテナ
32 室内無線通信機器
40、150a、153b、540 外部通信用アンテナ
42、52 無線基地局
49、149、150C 外部通信用アンテナユニット
50、221、250 室内機器
50B、650B 室内側アンテナ
90 太陽
113h アンテナ用孔
116h、420h 孔
120、120B、620 機能性シートモジュール
130、630 シート部
130b 貫通孔
131h 開口
132 断熱層
134 防音層
136 周波数選択層
136a ベースフィルム
136b ユニットセル
137 付加機能層
139 基材
140、140B 線状伝送部材
140E 配線
140a 芯線
140b 被覆
148 コネクタ
150 ルーフ側機器
150A、650A 電子制御ユニット
152 ベース部材
154 カバー
160 機器ホルダ
162 ホルダ本体部
162a 凸部
163 引っ掛かり片
164、251 固定片
166 ホルダ側コネクタ
210 通信機器
350 間接固定機器
351 凹部
352 機器側コネクタ
416 内装本体部
640 第1伝送部材
650 機器
650Ba アンテナ素子
650Bb 絶縁フィルム
650Bc 線状導体
650C 機器(外部通信用アンテナ)
650D 機器(ランプ)
650Da マップランプ
650Db ランプ
650E 機器(カメラ)
650F 機器(スピーカ)
660 第2伝送部材
710、712 車両側機器
720 Aピラー
E 集中エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19