(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】補助接点ユニット
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20221115BHJP
H01H 50/02 20060101ALI20221115BHJP
H01H 50/04 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01H50/54 C
H01H50/02 B
H01H50/04 C
(21)【出願番号】P 2021558156
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2020007123
(87)【国際公開番号】W WO2021100216
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2019208013
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 耕明
(72)【発明者】
【氏名】関谷 優志
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-232341(JP,A)
【文献】特開2018-163761(JP,A)
【文献】実開昭61-093956(JP,U)
【文献】中国実用新案第207074628(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の固定接触子と、
前記一対の固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子と、
前記可動接触子を保持し、電磁接触器の開閉動作に連動して移動する補助接点支えと、
第1ケース部材及び第2ケース部材の各々の合わせ部を互いに向かい合わせて形成される収納部内に、前記一対の固定接触子、前記可動接触子、及び前記補助接点支えを収納し、かつ前記電磁接触器の本体ケースの外側に配置されるユニットケースと、
を備え、
前記第1及び第2ケース部材の各々の合わせ部は、気密接合されていることを特徴とする補助接点ユニット。
【請求項4】
前記補助接点支えは、軸方向の両側にそれぞれ摺動ガイド片を有し、
前記ユニットケースは、前記摺動ガイド片が摺動するガイドレールを有し、
前記摺動ガイド片及び前記ガイドレールの少なくとも何れか一方は、導電性材料で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の補助接点ユニット。
【請求項6】
一対の固定接触子と、
前記一対の固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子と、
前記可動接触子を保持し、電磁接触器の開閉動作に連動して移動する補助接点支えと、
第1ケース部材及び第2ケース部材の各々の合わせ部を互いに向かい合わせて形成される収納部内に、前記一対の固定接触子、前記可動接触子、及び前記補助接点支えを収納し、かつ前記電磁接触器の本体ケースの外側に配置されるユニットケースと、
前記補助接点支えを覆うようにして前記第1及び第2ケース部材の少なくとも何れか一方に固定されたカバー部材と、を備えていることを特徴とする補助接点ユニット。
【請求項7】
前記補助接点支えは、軸方向の両側にそれぞれ摺動ガイド片を有し、
前記ユニットケースは、前記摺動ガイド片が摺動するガイドレールを有し、
前記摺動ガイド片及び前記ガイドレールの少なくとも何れか一方は、導電性材料で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の補助接点ユニット。
【請求項8】
前記第1及び第2ケース部材は、絶縁樹脂で形成されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の補助接点ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助接点ユニットに関し、特に、電磁接触器の側面に取り付けられる補助接点ユニットに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器の付属品(オプション品)として補助接点ユニットがある。この補助接点ユニットは、電磁接触器の開閉動作(投入,遮断動作)に連動する補助接点の信号を外部の電子制御回路などに出力するもので、その形式として電磁接触器の本体頂部に外付するヘッドオンタイプと、電磁接触器の本体側面に外付けして使用するサイドオンタイプとがある。
【0003】
サイドオンタイプの補助接点ユニットは、一対の固定接触子と、この一対の固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子と、この可動接触子を保持し、かつ電磁接触器の開閉動作に連動して移動する補助接点支えと、第1ケース部材及び第2ケース部材で形成された収納部内に、一対の固定接触子、可動接触子及び補助接点支えを収納するユニットケースと、を備えている。
なお、サイドオンタイプの補助接点ユニットについては、下記の特許文献1及び2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-141963号公報
【文献】特開2012-038644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、補助接点ユニットのユニットケースは、第1及び第2ケース部材の各々の合わせ部を互いに向かい合わせた状態でネジ等の締結部材による締結力によって第1及び第2ケース部材の各々の合わせ部を圧接している。
しかしながら、第1及び第2ケース部材は、成形金型に絶縁性樹脂を注入して形成される成形品であることから、各々の合わせ部が必ずしも平坦ではなく、第1及び第2ケース部材の各々の合わせ部を向かい合わせた時に隙間が生じることがあった。この隙間は、外部からユニットケースの収納部内に埃や塵などの異物が侵入するパス経路となり、侵入した絶縁性の異物が固定接触子の固定接点又は可動接触子の可動接点に付着すると接触不良を招く要因となるため、信頼性の観点から改良の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、補助接点ユニットの信頼性を高めることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る補助接点ユニットは、一対の固定接触子と、一対の固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子と、可動接触子を保持し、かつ電磁接触器の開閉動作に連動して移動する補助接点支えと、第1ケース部材及び第2ケース部材の各々の合わせ部を互いに向かい合わせて形成される収納部内に、一対の固定接触子、可動接触子、及び補助接点支えを収納し、かつ電磁接触器の本体ケースの外側に配置されるユニットケースと、を備えている。そして、第1及び第2ケース部材の各々の合わせ部は気密接合されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、補助接点ユニットの信頼性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る補助接点ユニットを電磁接触器の側面に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】電磁接触器の釈放状態の内部構造を示す断面図である。
【
図3】電磁接触器の釈放状態の内部構造及び補助接点ユニットの内部構造を示す断面図である。
【
図4】電磁接触器の釈放状態において、補助接点ユニットの内部構造を示す断面図である。
【
図5】電磁接触器の投入状態の内部構造及び補助接点ユニットの内部構造を示す断面図である。
【
図6】電磁接触器の投入状態の内部構造及び補助接点ユニットの内部構造を示す断面図である。
【
図7】電磁接触器の投入状態において、補助接点ユニットの内部構造を示す断面図である。
【
図12】補助接点ユニットに組み込まれる補助接点支えの斜視図である。
【
図15】本発明の第1実施形態の変形例を示す要部断面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る補助接点ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
また、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものではない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
また、以下の実施形態では、空間内で互に直交する三方向において、同一平面内で互に直交する第1の方向及び第2の方向をそれぞれX方向、Y方向とし、第1の方向及び第2の方向のそれぞれと直交する第3の方向をZ方向とする。以下の実施形態では、補助接点ユニットの補助接点支えが移動する方向をZ方向と定義して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
この第1実施形態では、サイドオンタイプの補助接点ユニットに本発明を適用した一例について説明する。
【0013】
〔補助接点ユニットの取り付け位置〕
まず、本発明の第1実施形態に係る補助接点ユニット1の取り付け位置について、
図1及び
図8を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る補助接点ユニット1は、電磁接触器50の本体ケース51の側面に着脱自在に取付けられる。補助接点ユニット1の取り付けは、電磁接触器50の本体ケース51に設けられた被係合部(図示せず)に、補助接点ユニット1のユニットケース20のフック18に設けられた係合部19(
図8参照)を係合させることによって行われる。
【0014】
〔電磁接触器の構成〕
次に、電磁接触器50の構成について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1から
図3に示すように、電磁接触器50は、本体ケース51と、電路の開閉を行う接点ユニット60と、この接点ユニット60を駆動する電磁石ユニット70と、を備えている。接点ユニット60及び電磁石ユニット70は、Z方向に直列配置で本体ケース51内に収納されている。この電磁接触器50は、三相交流の電路を開閉するものである。
図2に示すように、接点ユニット60は、一対の固定接触子61及び62と、この一対の固定接触子61及び62に対して接離可能に配置された橋連形の可動接触子63と、この可動接触子63を保持する可動接点支え64と、を有する。
【0015】
一対の固定接触子61及び62は、X方向に延伸し、一端側に固定接点が設けられ、他端側に外部端子部が設けられている。そして、一対の固定接触子61及び62は、各々の一端側が向かい合い、かつX方向に離間した状態で本体ケース51に固定されている。
可動接触子63は、X方向に延伸し、一端側及び他端側にそれぞれ可動接点が設けられている。可動接触子63の一端側の可動接点と一方の固定接触子61の固定接点とは、互に対向して配置されている。可動接触子63の他端側の可動接点と他方の固定接触子62の固定接点とは、互に対向して配置されている。可動接触子63は可動接点支え64に保持されている。一対の固定接触子61及び62、並びに可動接触子63は接点部を構成し、この接点部は三相交流の電路に対応してY方向に3つ並んで配置されている。
【0016】
図2及び
図3に示すように、電磁石ユニット70は、固定鉄心71及び可動鉄心72と、電磁コイル73と、復帰バネ76と、を有する。固定鉄心71及び可動鉄心72は、各々の接極面が互いに向かい合うようにして配置されている。
電磁コイル73は、電磁力によって固定鉄心71と可動鉄心72とを吸着させる磁界を発生する。電磁コイル73は、巻線74及びボビン75を有している。巻線74は、固定鉄心71及び可動鉄心72の各々の中央脚部と外側脚部との間を通って中央脚部の周囲を周回する。ボビン75は、この巻線74が巻き付けられたものである。ボビン75は、その内径側に固定鉄心71及び可動鉄心72の各々の中央脚部が挿入され、その外径側に巻線74が巻き付けられる円筒部を有している。また、ボビン75には、この円筒部の両端部から外径側にフランジ状に張り出したフランジ部が設けられている。
【0017】
復帰バネ76は、可動鉄心72を固定鉄心71から離間する方向に付勢する付勢手段である。復帰バネ76は、例えば、電磁コイル73のボビン75の上面と可動鉄心72との間に亘って設けられたコイルバネである。
一対の固定接触子61及び62と可動接触子63とは、相互に接触、離間することによって回路の接続、遮断を切り換える電気接点である。
【0018】
図2に示すように、可動接触子63は、可動接点支え64のZ方向の一端側に固定されている。そして、可動接点支え64のZ方向の他端側は、可動鉄心72の脚部側とは反対側の背面部に固定されている。可動接触子63は、可動鉄心72のZ方向の移動に連動してZ方向に移動する。すなわち、一対の固定接触子61及び62と可動接触子63とは、一対の固定鉄心71と可動鉄心72とが相互に離間した釈放状態では離間し、固定鉄心71と可動鉄心72とが接触した投入状態では接触する。
可動接触子63の可動鉄心72側とは反対側には接触バネ77が設けられている。
【0019】
〔補助接点ユニットの構成〕
次に、本発明の第1実施形態に係る補助接点ユニット1の構成について、
図4、
図8から
図13を参照して説明する。
図4に示すように、補助接点ユニット1は、第1接点部2A及び第2接点部2Bを備えている。第1接点部2Aは、一対の固定接触子3A及び4Aと、この一対の固定接触子3A及び4Aに対して接離可能に配置された橋連形の可動接触子5Aと、を有する。同様に、第2接点部2Bも、一対の固定接触子3B及び4Bと、この一対の固定接触子3B及び4Bに対して接離可能に配置された可動接触子5Bと、を有する。
【0020】
また、
図4、
図9及び
図10に示すように、補助接点ユニット1は、第1接点部2Aの可動接触子5A、及び第2接点部2Bの可動接触子5Bを保持し、かつ電磁接触器50の開閉動作に連動してZ方向に移動する補助接点支え(補助接点ホルダ)10を備えている。
また、
図4、
図8から
図10に示すように、補助接点ユニット1は、第1ケース部材21及び第2ケース部材22を有し、この第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22bを互に向かい合わせて形成される収納部24に、第1接点部2A、第2接点部2B、及び補助接点支え10等を収納するユニットケース20を備えている。
【0021】
図4に示すように、第1接点部2A及び第2接点部2Bは、補助接点支え10の移動方向(Z方向)に二段で配置されている。第1接点部2Aは、第2接点部2Bの上方に配置されている。
第1接点部2Aにおいて、
図4に示すように、一対の固定接触子3A及び4Aは、X方向に延伸し、一端側に固定接点が設けられ、他端側に外部端子部が設けられている。そして、一対の固定接触子3A及び4Aは、各々の一端側が向かい合い、かつX方向に離間した状態でユニットケース20に固定されている。可動接触子5Aは、X方向に延伸し、一端側及び他端側にそれぞれ可動接点が設けられている。可動接触子5Aの一端側の可動接点と一方の固定接触子3Aの固定接点とは、互に対向して配置されている。可動接触子5Aの他端側の可動接点と他方の固定接触子4Aの固定接点とは、互に対向して配置されている。
【0022】
第2接点部2Bにおいて、
図4に示すように、一対の固定接触子3B及び4Bは、X方向に延伸し、一端側に固定接点が設けられ、他端側に外部端子部が設けられている。そして、一対の固定接触子3B及び4Bは、各々の一端側が向かい合い、かつX方向に離間した状態でユニットケース20に固定されている。可動接触子5Bは、X方向に延伸し、一端側及び他端側にそれぞれ可動接点が設けられている。可動接触子5Bの一端側の可動接点と一方の固定接触子3Bの固定接点とは、互に対向して配置されている。可動接触子5Bの他端側の可動接点と他方の固定接触子4Bの固定接点とは、互に対向して配置されている。
一対の固定接触子3A及び4A、可動接触子5A、一対の固定接触子3B及び4B、並びに可動接触子5Bは、例えば平板状の金属製導電板で形成されている。
【0023】
図12に示すように、補助接点支え10は、第1接点部2Aの可動接触子5A及び第2接点部2Bの可動接触子5Bを保持した本体部11と、本体部11の側面に一体に設けられ、かつ本体部11の側面からY方向に突出する連結突起12と、を有する。また、補助接点支え10は、本体部11の長手方向(Z方向)の両側にそれぞれ連結して設けられ、かつ本体部11の長手方向に延伸する棒状の第1摺動ガイド片13及び第2摺動ガイド片14を有する。本体部11及び連結突起12は例えばエポキシ系の熱硬化性絶縁樹脂で形成され、第1摺動ガイド片13及び第2摺動ガイド片14は導電性材料で形成されている。導電性材料としては、これに限定されないが、例えばアルミニウム、銅などの金属材が挙げられる。
【0024】
図8から
図10に示すように、連結突起12は、ユニットケース20の第2ケース部材22に設けられた長孔22bを挿通して外部に突出し、この長孔22bを挿通した状態で補助接点支え10の移動方向に移動する。補助接点支え10の連結突起12は、
図3に示すように、電磁接触器50の本体ケース51の側面に補助接点ユニット1を取り付けたときに、電磁接触器50の可動接点支え64に設けられた凹部64aに挿入され、可動接点支え64と連結される。すなわち、補助接点ユニット1の補助接点支え10は、電磁接触器50の開閉動作に連動してZ方向に移動する。
【0025】
図10及び
図11に示すように、第1ケース部材21の合わせ部21a及び第2ケース部材22の合わせ部22aは、補助接点支え10の移動方向(Z方向)と直交する方向(Y方向)において互いに向かい合っている。そして、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aは気密接合されている。この第1実施形態では、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aは、溶着によって気密接合されている。したがって、
図11に示すように、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aには、溶着部23が形成されている。溶着による気密接合としては、レーザ照射によって各々の合わせ部21a,22aを溶着する方法や、熱圧着によって合わせ部を溶着する方法等がある。この第1実施形態では、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aを熱圧着法で気密接合している。
【0026】
ユニットケース20は、別々の第1ケース部材21及び第2ケース部材22を組み合わせることによって形成される。具体的には、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aを向かい合わせた状態で第1ケース部材21及び第2ケース部材22を例えば締結部材によって締結固定する。そして、締結固定した状態で第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aを例えば溶着によって気密接合する。第1及び第2ケース部材21,22は、成形金型に例えばエポキシ系の熱硬化性絶縁樹脂を注入して別々に形成される成形品である。
第1ケース部材21は、平板部と、この平板部の一面側に設けられたリブ部とを有する。一方、第2ケース部材22は平板で形成されている。第1ケース部材21の合わせ部21aはリブ部で構成され、第2ケース部材21の合わせ部22aは、第1ケース部材21のリブ部と対向する平板の一部で構成される。
【0027】
図10、
図13及び
図14に示すように、ユニットケース20は、補助接点支え10の第1摺動ガイド片13及び第2摺動ガイド片14が個別に摺動する筒状のガイドレール25を更に2つ有する。第1摺動ガイド片13は、一方のガイドレール25の内周面を一方のガイドレール25の長手方向(Z方向)に摺動し、第2摺動ガイド片14は他方のガイドレール25の内周面を他方のガイドレール25の長手方向(Z方向)に摺動する。
【0028】
2つのガイドレール25の各々は、長手方向と直交する短手方向に2分割された2つの分割片25a,25bで構成されており、一方の分割片25aは第1ケース部材21に固定され、他方の分割片25bは第2ケース部材22に固定されている。そして、この2つの分割片25a,25bは、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aを組み合わせることによってガイドレール25を構築する。
補助接点支え10は、第1及び第2摺動ガイド片13,14がそれぞれ筒状のガイドレール25に摺動自在に支持され、本体部11が第1ケース部材21及び第2ケース部材22から離間した状態でユニットケース20の収納部24に収納されている。
【0029】
〔電磁接触器及び補助接点ユニットの動作〕
次に、
図2から
図7を参照しながら、電磁接触器50の本体ケース側面に取付けられた補助接点ユニット1の動作を電磁接触器50の動作とともに説明する。
まず、電磁接触器50の電磁コイル73が非通電状態(非励磁状態)であって、電磁接触器50が非動作状態にあるものとする(
図2から
図4参照)。この非通電状態では、固定鉄心71の脚部は吸引力を発生していないので、可動接点支え64が復帰バネ76によって固定鉄心71から離れる後方(上方向)に付勢されている。このため、各接点部において可動接触子63が一対の固定接触子61及び62から後方に離間した位置となり、電磁接触器50が釈放状態となる。
【0030】
この電磁接触器50の釈放状態では、
図4に示すように、補助接点ユニット1の第1接点部2Aは、可動接触子5Aが一対の固定接触子3A及び4Aの各々に接触した閉極状態(b接点状態)であり、補助接点ユニット1の第2接点部2Bは、可動接触子5Bが一対の固定接触子3B及び4Bの各々から離間した開極状態(a接点状態)である。
電磁接触器50の釈放状態から、電磁接触器50の電磁コイル73に通電して動作状態とすると、固定鉄心71の脚部及び接極面に電磁吸引力が発生する。この電磁吸引力によって可動鉄心72が復帰バネ76に抗して固定鉄心71に吸引されて可動接点支え64が固定鉄心71に向かって前進移動し、可動接点支え64に保持された可動接触子63が一対の固定接触子61及び62に向かって前進移動する。
【0031】
そして、
図5に示すように、可動接触子63が一対の固定接触子61及び62に接触して投入状態となると、可動接触子63の前進移動は停止するが可動接点支え64の前進移動は維持される。このため、接触バネ77は圧縮される。
その後、可動鉄心72が固定鉄心71の接極面に吸着されると、可動接点支え64の前進移動が停止する。この状態で、可動接触子63が接触バネ77によって一対の固定接触子61及び62に所定の接触圧で接触する完全投入状態となる。そして、可動鉄心72と固定鉄心71との吸引力によって完全投入状態が保持される。
【0032】
この電磁接触器50の釈放状態から完全投入状態への移行において、補助接点ユニット1では、電磁接触器50の可動接点支え64の前進移動に連動して補助接点支え10が下方に向かって前進移動し、補助接点支え10に保持された可動接触子5Aが一対の固定接触子3A及び4Aから離れる方向に移動するとともに、補助接点支え10に保持された可動接触子5Bが一対の固定接触子3B及び4Bに向かって近づく方向に移動する。このときの補助接点支え10の移動は、第1摺動ガイド片13及び第2摺動ガイド片14の各々がガイドレール25を摺動することによって行われる。
【0033】
そして、電磁接触器50の可動接点支え64の前進移動が停止すると、補助接点ユニット1の第1接点部2Aは、
図7に示すように、可動接触子5Aが一対の固定接触子3A及び4Aの各々から離間した開極状態(a接点状態)となり、補助接点ユニット1の第2接点部2Bは、可動接触子5Bが一対の固定接触子3B及び4Bの各々に接触した閉極状態(b接点状態)となる。この第1接点部2Aの開極状態及び第2接点部2Bの閉極状態は、電磁接触器50の完全投入状態の保持によって保持される。
【0034】
完全投入状態から電磁接触器50の電磁コイル73の通電を遮断すると、電磁接触器50の固定鉄心71から吸引力が消失することにより、可動接点支え64が復帰バネ76の弾発力によって固定鉄心71から離れる方向に後退移動する。このため、可動接触子63が一対の固定接触子61及び62から後方に離間して釈放状態に復帰する。このとき、補助接点ユニット1では、電磁接触器50の可動接点支え64の後退移動に連動して補助接点支え10が上方に向かって後退移動し、補助接点支え10に保持された可動接触子5Aが一対の固定接触子3A及び4Aに向かって近づく方向に移動するとともに、補助接点支え10に保持された可動接触子5Bが一対の固定接触子3B及び4Bから離れる方向に移動する。このときの補助接点支え10の移動は、第1摺動ガイド片13及び第2摺動ガイド片14の各々がガイドレール25を摺動することによって行われる。
【0035】
そして、電磁接触器50の可動接点支え64の後退移動が停止すると、補助接点ユニット1の第1接点部2Aは、可動接触子5Aが一対の固定接触子3A及び4Aの各々に接触した閉極状態(b接点状態)に復帰し、補助接点ユニット1の第2接点部2Bは、可動接触子5Bが一対の固定接触子3B及び4Bの各々から離間した開極状態(a接点状態)に復帰する(
図4参照)。
【0036】
〔第1実施形態の効果〕
次に、この第1実施形態の主な効果について説明する。
従来の補助接点ユニットのユニットケースは、第1及び第2ケース部材の各々の合わせ部を互いに向かい合わせた状態で第1及び第2ケース部材の各々をネジ等の締結部材による締結力によって圧接している。そして、第1及び第2ケース部材は、成形金型に絶縁性樹脂を注入して個別に形成される成形品であり、第1及び第2ケース部材の各々の合わせ部は必ずしも平坦ではない。このため、第1及び第2ケース部材の各々の合わせ部を向かい合わせた時に隙間が生じることがあった。この隙間は、外部からユニットケースの収納部に埃や塵などの異物が侵入するパス経路となり、侵入した絶縁性の異物が固定接触子又は可動接触子の接点部に付着すると接触不良を招く要因となる。
【0037】
これに対し、この第1実施形態の補助接点ユニット1は、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,21bが溶着によって気密接合されている。このため、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aを向かい合わせた時に間隙が生じても、この隙間は気密接合によって塞がれているので、1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aを通して外部からユニットケース20の収納部24に埃や塵などの異物が侵入するのを防止することができる。この結果、外部からユニットケース20の収納部24内に侵入した絶縁性異物が固定接触子3A,4A,3B,4Bの固定接点や可動接触子5A,5Bの可動接点に付着することにより、第1接点部2Aの一対の固定接触子3A及び4Aと可動接触子5Aとの間で生じる接触不良、並びに第2接点部2Bの一対の固定接触子3B及び4Bと可動接触子5Bとの間で生じる接触不良を抑制することができる。したがって、この第1実施形態によれば、従来の補助接点ユニットと比較して信頼性の高い補助接点ユニット1を提供することができる。
【0038】
また、従来の補助接点ユニットでは、第1及び第2ケース部材の各々に対向して成形されたガイド部を補助接点支えの本体部が摺動する構成になっている。そして、第1及び第2ケース部材の各々のガイド部、並びに補助接点支えの本体部は絶縁性樹脂で形成されている。このため、補助接点支えの本体部を回数動かすと、ケース部材のガイド部や補助接点支えの本体部が摩耗し、その摩耗片が絶縁性の異物として固定接触子の固定接点や可動接触子の可動接点に付着し、固定接触子と可動接触子との接触不良を招く要因となる。
【0039】
これに対し、この第1実施形態の補助接点ユニット1では、補助接点支え10の第1及び第2摺動ガイド片13,14と、2つのガイドレール25とが導電性材料で形成されている。このため、補助接点支え10の第1及び第2摺動ガイド片13,14を回数動かして、補助接点支え10の第1及び第2摺動ガイド片13,14の摩耗や2つのガイドレール25の摩耗で生じる摩耗片は導電性の異物であり、この導電性の異物が固定接触子3A,4A,3B,4Bの固定接点や可動接触子5A,5Bの可動接点に付着しても、第1接点部2Aの一対の固定接触子3A及び4Aと可動接触子5Aとの接触不良、並びに第2接点部2Bの一対の固定接触子3B及び4Bと可動接触子5Bとの接触不良を招く要因を少なくすることができる。したがって、この第1実施形態の補助接点ユニット1によれば、ユニットケース20の収納部24内で生じた異物に起因する、第1接点部2Aの一対の固定接触子3A及び4Aと可動接触子5Aとの接触不良、並びに第2接点部2Bの一対の固定接触子3B及び4Bと可動接触子5Bとの接触不良を抑制することができる。
【0040】
(変形例)
上述の第1実施形態では、第1ケース部材21及び第2ケース部材22の各々の合わせ部21a,22aを溶着によって気密接合した構成について説明した。しかしながら、本発明は、この溶着による気密接合に限定されるものではない。例えば、
図15に示すように、第1ケース部材21及び第2ケース部材
22の各々の合わせ部
21a,22aを接着材26によって気密接合してもよい。
【0041】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る補助接点ユニット1Aは、基本的に上述の第1実施形態に係る補助接点ユニット1と同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
すなわち、
図16に示すように、第2実施形態の補助接点ユニット1Aは、ユニットケース20の収納部24内に、補助接点支え10を覆うようにして第1ケース部材21に固定されたカバー部材27を備えている。カバー部材27は、補助接点支え10の連結突起12が貫通する長孔27aを有する。そして、第2ケース部材22は、第1実施形態の長孔22bに替えてカバー部材27の一部が挿入される十字形状の貫通孔22cを有する。そして、補助接点支え10の連結突起12は、カバー部材27の長孔27a及び第2ケース部材22の貫通孔22cを挿通してユニットケース20の外部に突出する。
【0042】
この第2実施形態の補助接点ユニット1Aは、上述したように、カバー部材27を備えている。したがって、この第2実施形態に係る補助接点ユニット1Aによれば、外部からユニットケース20の収納部24内に侵入した異物が固定接触子(3A,4A,3B,4B)の固定接点や可動接触子5A,5Bの可動接点に付着するのをカバー部材で抑制することができる。この第2実施形態によれば、従来の補助接点ユニットと比較して信頼性の高い補助接点ユニット1を提供することができる。
なお、この第2実施形態は、上述の第1実施形態のように第1ケース部材21と第2ケース部材22の気密接合を行わずとも信頼性の高い補助接点ユニット1を得ることができるが、上述の第1実施形態のように第1ケース部材21と第2ケース部材22の気密接合を行うことで、更に信頼性を高めることもできる。
【0043】
また、カバー部材27及び第1ケース部材21の各々の合わせ部は気密接合しなくてもよいが、上述の第1実施形態の様に溶着によって気密接合してもよく、また、上述の変形例の様に接着材によって気密接合してもよい。
なお、上述の第2実施形態では、第1ケース部材21にカバー部材27を固定した構成について説明した。しかしながら、本発明はこの第1ケース部材21の固定に限定される
ものではない。例えば、カバー部材27は第2ケース部材22に固定してもよく、また、第1ケース部材21及び第2ケース部材2の両方に固定してもよい。要するに、カバー部材27は、補助接点支え10を覆うようにして第1及び第2ケース部材21,22の少なくとも何れか一方に固定されていればよい。
【0044】
また、上述の第1及び第2実施形態では、第1及び第2摺動ガイド片13,14と、2つのガイドレール25とを導電性材料で形成した場合について説明した。しかしながら、本発明は、この摺動ガイド片(13,14)及びガイドレール25の両方を導電性材料で形成した場合に限定されるものではない。例えば、摺動ガイド片(13,14)及びガイドレール25の少なくとも何れか一方を導電性材料で形成してもよい。また、第1及び第2摺動ガイド片13,14の何れか一方を導電性材料で形成してもよく、また、2つのガイドレール25の何れか一方を導電性材料で形成してもよい。要は、ユニットケース20の収納部24内における絶縁性異物の発生が従来よりも少なくなればよい。
【0045】
また、上述の第1及び第2実施形態では、第1ケース部材21にリブを設けた構成について説明したが、本発明は第1ケース部材21にリブを設けた構成に限定されるものではない。本発明は、第2ケース部材22にリブを設けた構成や、第1及び第2ケース部材の両方にリブを設けた構成にも適用することができる。
近年、過酷な環境での電磁接触器の使用が増えてきており、電磁接触器の付属品である補助接点ユニットにおいても過酷な環境での使用に耐え得る耐環境性能(防塵)が求められるようになってきている。従って、本発明の補助接点ユニットは、過酷な環境での使用に有用である。
【0046】
以上、本発明を上記実施形態及び変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1,1A…補助接点ユニット
2A…第1接点部
2B…第2接点部
3A,3B,4A,4B…固定接触子
5A,5B…可動接触子
10…補助接点支え
11…本体部
12…連結突起
13…第1摺動ガイド片
14…第2摺動ガイド片
20…ユニットケース
21…第1ケース部材
21a…合わせ部
22…第2ケース部材
22a…合わせ部
22b…長孔
23…溶着部
24…収納部
25…ガイドレール
26…接着材
27…カバー部材
50…電磁接触器
51…本体ケース
60…接点ユニット
61,62…固定接触子
63…可動接触子
64…可動接点支え
70…電磁石ユニット
71…固定鉄心
72…可動鉄心
73…電磁コイル
74…巻線
75…ボビン
76…復帰バネ
77…接触バネ