(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像検査システム、プログラムおよび画像検査方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20221115BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
(21)【出願番号】P 2022151527
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2022099773の分割
【原出願日】2018-10-23
【審査請求日】2022-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】松下 浩一郎
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-000876(JP,A)
【文献】特開2009-157858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0293732(US,A1)
【文献】特開2018-079581(JP,A)
【文献】特開2017-177358(JP,A)
【文献】特開2013-195350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷済の画像を読み取った読取画像を取得する取得手段と、
前記読取画像に基づき正解画像を生成する生成手段と、
前記読取画像を表示する表示手段と、
前記読取画像の中の検査対象に対応する内容と、前記内容に対応するデータベースに含まれるレコード値と、を比較することで、印刷物を検品する第1の検品処理と、
前記読取画像の中の検査対象と、前記正解画像の該当箇所と、を比較することで、印刷物を検品する第2の検品処理と、
を実行する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記読取画像に基づいた前記表示手段の表示画面に対するユーザの操作に基づいて、全ページで異なる画像に対応する第1のオブジェクトに対しては、前記第1の検品処理を実行し、全ページ中で繰り返し使用される画像に対応する第2のオブジェクトに対しては、前記第2の検品処理を実行するように、検品処理を設定可能とする、
ことを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記第2のオブジェクトは、全ページ中で複数の異なる画像が繰り返し使用される画像に対応することを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記第2のオブジェクトは、全ページに共通する画像が繰り返し使用される画像に対応することを特徴とする請求項1または2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記第1のオブジェクトは、固有の配置位置に配置されるオブジェクトであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
用紙上に形成された画像を読み取る読取部を有し、前記取得手段は、前記読取部から前記読取画像を取得する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記取得手段は、用紙上に形成された画像を読み取る読取部を含む装置から前記読取画像を取得する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像検査装置
【請求項7】
前記第1のオブジェクトおよび前記第2のオブジェクトは、所定のアプリケーションまたは前記アプリケーションが生成する印刷フォーマットから取得可能である、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記読取画像をプレビュー表示した前記表示画面に対するユーザの操作に基づいて前記検品処理を設定可能とする、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記検品処理の設定を手動で設定可能とする、ことを特徴とする請求項8に記載の画像検査装置。
【請求項10】
前記データベースはバリアブル印刷データの生成に用いられたデータベースであることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項11】
前記正解画像は前記読取画像に基づき登録された画像であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項12】
前記正解画像は使用者が前記読取画像で問題ないと判断した場合に前記正解画像として登録可能な画像であることを特徴とする請求項11に記載の画像検査装置。
【請求項13】
用紙に画像を印刷する画像形成部と前記用紙上に形成された画像を読み取る読取部の少なくとも一方と、請求項1~4および請求項7~12のいずれか1項に記載の画像検査装置と、を備えた画像検査システム。
【請求項14】
前記画像検査装置は前記読取部を含む、ことを特徴とする請求項13に記載の画像検査システム。
【請求項15】
前記画像検査装置の前記取得手段は前記読取部で読み取った読取画像を取得する、請求項13に記載の画像検査システム。
【請求項16】
印刷済の画像を読み取った読取画像に基づき、印刷物を検品する制御部で実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、
前記読取画像に基づき正解画像を生成させる生成処理と、
前記読取画像を表示部に表示させる表示処理と、
前記読取画像の中の検査対象に対応する内容と、前記内容に対応するデータベースに含まれるレコード値と、を比較することで、印刷物を検品する第1の検品処理と、
前記読取画像の中の検査対象と、前記正解画像の該当箇所と、を比較することで、印刷物を検品する第2の検品処理と、
を実行させる、とともに、
前記読取画像に基づいた前記表示部の表示画面に対するユーザの操作に基づいて、全ページで異なる画像に対応する第1のオブジェクトに対しては、前記第1の検品処理を実行し、全ページ中で繰り返し使用される画像に対応する第2のオブジェクトに対しては、前記第2の検品処理を実行するように、検品処理を設定可能とする設定処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項17】
印刷済の画像を読み取った読取画像に基づき、印刷物を検品する画像検査方法であって、
前記読取画像に基づき正解画像を生成させる生成ステップと、
前記読取画像を表示部に表示させる表示ステップと、
前記読取画像の中の検査対象に対応する内容と、前記内容に対応するデータベースに含まれるレコード値と、を比較することで、印刷物を検品する第1の検品処理と、
前記読取画像の中の検査対象と、前記正解画像の該当箇所と、を比較することで、印刷物を検品する第2の検品処理と、
を実行する検品ステップと、
前記読取画像に基づいた前記表示部の表示画面に対するユーザの操作に基づいて、全ページで異なる画像に対応する第1のオブジェクトに対しては、前記第1の検品処理を実行し、全ページ中で繰り返し使用される画像に対応する第2のオブジェクトに対しては、前記第2の検品処理を実行するように、検品処理を設定可能とする設定ステップと、
を含む画像検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像と、印刷済の画像を読み取った画像を比較することで、印刷物の異常を検品する画像検査装置、画像検査システム、プログラムおよび画像検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で印刷された用紙には、種々の理由で画像の汚れや傷などの異常が生じることがある。
異常を検知するために、印刷された直後の用紙をスキャナなどで読み取り、異常を検知する技術が存在する。同技術では最初に1部目の画像を印刷しスキャンしたものを正解画像として登録し、その後印刷出力された画像のスキャン結果と比較することで異常を検出する。
【0003】
一方で近年、データベース内に記録されているレコードの値に従って、レコード毎に異なる画像を生成するバリアブル印刷という技術が存在する。近年のPPMLやPDF/VTといったバリアブル印刷用フォーマットにおいてはオブジェクト毎に、再利用可能かどうかの情報が埋め込まれている。再利用オブジェクトは、ラスタライズ処理(RIP)後のデータを一時保管し、その後再利用オブジェクトの描画が行われる毎に、RIP済のデータを再利用することで、従来の印刷画像フォーマットと比較して処理時間を効率化することが可能である。このようなバリアブル印刷においても印刷物の異常を検品することが求められている。
しかし、バリアブル印刷では用紙毎に画像の一部が異なるため、上記の1部目の出力画像をスキャンした正解画像との比較ができず、画像異常検知処理が行えないという問題が存在する。
【0004】
これに対し、特許文献1では、バリアブル印刷における再利用オブジェクトを検出し、RIP後の画像を正解画像として記録し、その後使用される再利用オブジェクトのRIP結果と比較することで検品処理を行う。
また、特許文献2では、再利用(固定)オブジェクトと可変オブジェクトの情報から正解画像を生成するが、再利用オブジェクトは常に同じ場所に配置される固定オブジェクトとして扱っているため、再利用オブジェクトの配置がページ毎に異なる場合は可変オブジェクトとして扱われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-146253号公報
【文献】特開2012-000876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、バリアブル印刷において、種々のオブジェクト(上記「可変オブジェクト」「再利用オブジェクト」など)について検品処理を正しく設定し、検品しなければオブジェクトに対応する情報を精度良く検品できない。
【0007】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、バリアブル印刷ジョブの画像検品を高い精度で実現することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像検査装置のうち、第1の形態は、
印刷済の画像を読み取った読取画像を取得する取得手段と、
前記読取画像に基づき正解画像を生成する生成手段と、
前記読取画像を表示する表示手段と、
前記読取画像の中の検査対象に対応する内容と、前記内容に対応するデータベースに含まれるレコード値と、を比較することで、印刷物を検品する第1の検品処理と、
前記読取画像の中の検査対象と、前記正解画像の該当箇所と、を比較することで、印刷物を検品する第2の検品処理と、
を実行する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記読取画像に基づいた前記表示手段の表示画面に対するユーザの操作に基づいて、全ページで異なる画像に対応する第1のオブジェクトに対しては、前記第1の検品処理を実行し、全ページ中で繰り返し使用される画像に対応する第2のオブジェクトに対しては、前記第2の検品処理を実行するように、検品処理を設定可能とする、
ことを特徴とすることを特徴とする。
【0009】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記第2のオブジェクトは、全ページ中で複数の異なる画像が繰り返し使用される画像に対応することを特徴とする。
【0010】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記第2のオブジェクトは、全ページに共通する画像が繰り返し使用される画像に対応することを特徴とする。
【0011】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記第1のオブジェクトは、固有の配置位置に配置されるオブジェクトであることを特徴とする。
【0012】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、用紙上に形成された画像を読み取る読取部を有し、前記取得手段は、前記読取部から前記読取画像を取得することを特徴とする。
【0013】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記取得手段は、用紙上に形成された画像を読み取る読取部を含む装置から前記読取画像を取得することを特徴とする。
【0014】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記第1のオブジェクトおよび前記第2のオブジェクトは、所定のアプリケーションまたは前記アプリケーションが生成する印刷フォーマットから取得可能であることを特徴とする。
【0015】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記読取画像をプレビュー表示した前記表示画面に対するユーザの操作に基づいて前記検品処理を設定可能とすることを特徴とする。
【0016】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記検品処理の設定を手動で設定可能とすることを特徴とする。
【0017】
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記データベースはバリアブル印刷データの生成に用いられたデータベースであることを特徴とする。
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記正解画像は前記読取画像に基づき登録された画像であることを特徴とする。
他の形態の画像検査装置の発明は、前記形態の発明において、前記正解画像は使用者が前記読取画像で問題ないと判断した場合に前記正解画像として登録可能な画像であることを特徴とする。
本発明の画像形成システムは、
用紙に画像を印刷する画像形成部と前記用紙上に形成された画像を読み取る読取部の少なくとも一方と、前記形態の画像検査装置と、を備える。
他の形態の画像検査システムは、前記形態の画像検査システムの発明において、前記画像検査装置は前記読取部を含む、ことを特徴とする。
他の形態の画像検査システムは、前記形態の画像検査システムの発明において、 前記画像検査装置の前記取得手段は前記読取部で読み取った読取画像を取得する。
【0018】
本発明のプログラムは、
前記プログラムは、
前記読取画像に基づき正解画像を生成させる生成処理と、
前記読取画像を表示部に表示させる表示処理と、
前記読取画像の中の検査対象に対応する内容と、前記内容に対応するデータベースに含まれるレコード値と、を比較することで、印刷物を検品する第1の検品処理と、
前記読取画像の中の検査対象と、前記正解画像の該当箇所と、を比較することで、印刷物を検品する第2の検品処理と、
を実行させる、とともに、
前記読取画像に基づいた前記表示部の表示画面に対するユーザの操作に基づいて、全ページで異なる画像に対応する第1のオブジェクトに対しては、前記第1の検品処理を実行し、全ページ中で繰り返し使用される画像に対応する第2のオブジェクトに対しては、前記第2の検品処理を実行するように、検品処理を設定可能とする設定処理を実行させる、
ことを特徴とする。
【0019】
本発明の画像検査方法は、印刷済の画像を読み取った読取画像に基づき、印刷物を検品する画像検査方法であって、
前記読取画像に基づき正解画像を生成させる生成ステップと、
前記読取画像を表示部に表示させる表示ステップと、
前記読取画像の中の検査対象に対応する内容と、前記内容に対応するデータベースに含まれるレコード値と、を比較することで、印刷物を検品する第1の検品処理と、
前記読取画像の中の検査対象と、前記正解画像の該当箇所と、を比較することで、印刷物を検品する第2の検品処理と、
を実行する検品ステップと、
前記読取画像に基づいた前記表示部の表示画面に対するユーザの操作に基づいて、全ページで異なる画像に対応する第1のオブジェクトに対しては、前記第1の検品処理を実行し、全ページ中で繰り返し使用される画像に対応する第2のオブジェクトに対しては、前記第2の検品処理を実行するように、検品処理を設定可能とする設定ステップと、
を含む配置情報を読み取ることで前記正解画像を作成する工程を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、画像と、印刷済の画像をスキャンした画像を比較することで、印刷物の異常を検品する際に、バリアブル印刷ジョブの画像検品を高い精度で実現する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の画像検査装置を含む画像形成システムの概略を示す図である。
【
図2】同じく、画像検査装置を含む画像形成装置の制御ブロックを示す図である。
【
図4】バリアブル印刷を行った各ページの例を示す図である。
【
図5】
図4における正解画像の種類を示す図である。
【
図6】
図4の各ページの正解画像との関連を示すテーブルである。
【
図7】再利用オブジェクトを有する印刷例を示す図である。
【
図8】再利用オブジェクトを有する各ページの印刷例を示す図である。
【
図9】
図8における正解画像の種類を示す図である。
【
図10】再利用オブジェクトを複数有する各ページの印刷例を示す図である。
【
図12】
図10の各ページにおける正解画像との関連を示すテーブルである。
【
図13】両面印刷を想定した各ページの印刷例を示す図である。
【
図15】面付け印刷を想定した各ページの印刷例を示す図である。
【
図16】再利用オブジェクトと可変固有オブジェクトが重畳する印刷例を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態における検品処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
図1に示される画像形成システム1は、電子写真方式によって記録媒体に画像形成を行う画像形成装置10と、クライアント端末40、41と、通信回線30によって接続されている。この実施形態では、記録媒体には用紙が用いられている。記憶媒体は紙に限定されるものではなく、布やプラスチックなどからなるものであってもよく、材質が特定のものに限定されるものではない。
【0023】
通信回線30としては、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークを用いることができるが、本発明としては通信回線の内容が特に限定されるものではなく、シリアルケーブルなどからなるものであってもよい。
画像形成装置10には、用紙に画像を印刷する画像形成部150を有しており、画像形成部150の下流側に、出力物読取部190を含む画像検査装置20が内蔵されている。画像検査装置20では、記録媒体に印刷した画像をスキャンし、正解画像との比較を行うことで異常を検知する。
【0024】
なお、上記実施形態では、画像検査装置20に出力物読取部190を含むものとして説明したが、画像検査装置に出力物読取部を備えないものとして、出力物読取部の読み取り結果を画像検査装置で取得するものとしてもよい。
また、上記実施形態では、画像形成装置10に画像検査装置20が含まれているものとして説明しているが、画像形成装置とは関係なく画像検査装置を備えるものであってもよく、画像検査装置は、外部装置として備えるものでもよく、またクライアント端末やサーバなどに備えられているものであってよい。要は、画像検査装置は、印刷済の用紙の読み取り結果を得て、正解画像との比較を行えるものであればよく、設置個所が特に限定されるものではない。
【0025】
次に、画像形成装置10の制御ブロックを
図2に基づいて説明する。
画像形成装置10は、制御部100と、通信部102と、プリントコントローラ103と、記憶部104と、操作表示部105と、画像形成搬送部107と、センサ109と、原稿読取部110と、RIP処理部120と、データ記憶部130と、画像処理部140と、画像形成部150と、定着部160と、出力物読取部190と、を備えて構成されている。
【0026】
制御部100は、画像形成装置10内の各部を制御する。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などで構成することができ、ROMやHDDに記憶されたプログラムをRAMに展開し、CPUで実行する。また、HDDには、バリアブル印刷におけるオブジェクトの配置を規定するレイアウトデータとラスタライズ前の画像データなどを記憶するものとしてもよい。
【0027】
制御部100では、プログラムが実行され、その一部では本発明の画像検査プログラムが動作し、読み取った画像の異常の検品を行うことができる。したがって、この実施形態では、制御部100は、本発明の画像検査制御部として機能する。なお、この実施形態では、画像検査制御部の機能は、画像形成装置全体を制御する制御部100によって実行されるものとして説明しているが、画像検査制御部が、画像形成装置を制御する制御部とは異なるものとして用意されるものであってもよく、画像検査装置に備えられて画像検査のみに用いられるものであってもよく、さらにクライアント端末やサーバなどに備えられているものであってもよい。
【0028】
通信部102は、セットされている他の装置(外部機器等)と通信する。プリントコントローラ103は、外部機器からページ記述言語で記述されたジョブデータを受信して必要に応じて記憶する。
記憶部104は、各種設定やプログラムなどを記憶する。
操作表示部105は、利用者による操作入力の受け付けと画像形成装置10の状態表示とを行う。
画像形成搬送部107は、装置内で用紙を搬送する。センサ109は、画像形成と用紙搬送に関して用紙の各種状態を検知する。原稿読取部110は、撮像素子により原稿の画像を読み取って原稿画像データを生成する。
【0029】
RIP処理部120は、プリントコントローラ103が受信したページ記述言語で記述されたRIP処理前のジョブデータに対してRIP処理を実行し、画像形成可能なビットマップ形式の画像データに変換する。
データ記憶部130は、画像形成する際の画像データや各種データを記憶する。なお、データ記憶部130は、画像データを受け入れる読込用画像メモリと、受け入れた画像データを画像形成用に出力するプリント用画像メモリと、を備えて構成されている。読込用画像メモリでは、バリアブル印刷における再利用オブジェクトや可変固有オブジェクトなどの情報が格納されるものとしてもよい。また、データ記憶部130には、画像検査の際に比較に用いる正解画像を保存することができる。
【0030】
画像処理部140は、画像形成に必要な各種画像処理を実行する。画像形成部150は、画像形成命令と、データ記憶部130内のプリント用画像メモリに格納された画像データとに基づいて用紙上に画像を形成する。
定着部160は、用紙上に形成されたトナーによる画像を熱と圧力とで安定させる。
出力物読取部190は、用紙上の画像を読み取り、読み取り画像データを生成する。
【0031】
また、画像形成部150として複数色で画像形成を行うものとしてもよいが、これに限定されず、モノクロの画像形成を行う画像形成部150であっても良い。なお、給紙や画像形成や排紙に関しては各種の構造が考えられるため、
図1では画像形成システム、画像形成装置および画像検査装置の一例を示しており、この具体例に示される構成や形態に限定されるものではない。
【0032】
<実施形態1>
画像形成装置10で行われるバリアブル印刷について、
図3に基づいて説明する。
図3に本発明で使用されるバリアブル印刷物の例を示す。用紙Pは印刷済であり、各ページの画像は、再利用オブジェクト領域201と可変固有オブジェクト領域202から構成されている。再利用オブジェクトは、繰り返し利用されるオブジェクトであり、可変固有オブジェクトは、固有の配置位置で内容が可変となるオブジェクトである。
【0033】
図4に、
図3の例においてページ順に並べた出力結果の例を示す。
図3の再利用オブジェクトに該当する箇所は「A」「B」「C」の3種類の画像からなる再利用オブジェクト領域201A、201B、201Cの内、いずれかの画像が配置される。
図3における可変固有オブジェクトは前ページ中一度しか使用されない画像の可変固有オブジェクト領域202が適用される。
【0034】
図5は、
図4で示された印刷例における正解画像の例の種別を示している。
図4における再利用オブジェクトと可変固有オブジェクトの配置情報の組合せ数は3種類となるため、その数に応じた正解画像が生成される。
図4におけるジョブ中で1度しか使用されない可変固有オブジェクト領域212は正解画像においては可変固有オブジェクトである属性情報のみ有し、画像情報としては空欄となる。繰り返し利用される再利用オブジェクト領域211A、211B、211Cはそれぞれ画像情報と属性情報を有している。
検品処理時には、再利用オブジェクト領域201A、201B、201Cは、正解画像データを印刷後、スキャンした画像を正解画像の再利用オブジェクト領域211A、211B、211Cと比較し、差異が無いかを判定する。
可変固有オブジェクト領域においては再利用オブジェクト領域とは異なる検品処理が行われる。ここで言う異なる処理の例としては、スキャンした正解画像ではなくRIP済画像と比較する、バリアブル印刷ジョブ生成時に用いたデータベースに含まれるレコード値と比較する、検品処理を行わない、などの処理が挙げられる。
【0035】
図6に各ページに対応する正解画像の関連付けたテーブルを示す。同テーブルは画像形成装置内で記録し、各ページの画像出力時に対応する正解画像と比較することで検品処理を行う。
ページ毎で正解画像番号が異なっており、再利用オブジェクトの内容と、可変固有オブジェクトの内容とが、ページ毎に決定されている。
【0036】
<実施形態2>
図7に、
図3における再利用オブジェクト領域301と可変固有オブジェクト領域302に加え、全ページに共通して配置される再利用オブジェクト領域303が配置された例を示す。再利用オブジェクト領域301は、可変の領域となる。
図8に、
図3の例においてページ順に並べた出力結果の例を示す。再利用オブジェクト領域301は、可変の内容によって再利用オブジェクト領域301A、301B、301Cが示されている。
図9に、
図8の例における正解画像の例を示す。本実施形態では実施形態1の形態に加え、全ページに共通して配置される再利用オブジェクト領域313がページの下部に配置されているため、本実施形態の配置情報においては正解画像の枚数に影響を及ぼすことはなく、実施形態1と同じく3種類の正解画像が生成され、再利用オブジェクト領域311A、311B、311Cと可変固有オブジェクト領域312が配置される。
【0037】
<実施形態3>
図10に、複数の可変再利用オブジェクトが配置されたジョブの例を示す。ページ上部に実施形態1、2で示した「A」「B」「C」の3種類の可変の再利用オブジェクト領域401A、401B、401Cに加え、ページ下部に「あ」「い」の2種類の可変再利用オブジェクト領域404A、404Bが配置されており、その他に可変固有オブジェクト領域402、再利用オブジェクト領域403が配置されている。再利用オブジェクト領域403は、各ページに共通して用いられる領域である。
【0038】
図11に、
図10の例における正解画像の例を示す。2種類の可変再利用オブジェクトの組合せ数だけ正解画像を生成する。
図10では全12ページのジョブに対し、考えられる正解画像の数は3x2=6種類となるが、
図10において「C」と「い」の組合せは存在しないため同組合せを除外した5種類の組合せが正解画像として生成される。すなわち、正解画像では、可変再利用オブジェクト領域411A、411B、411Cと可変固定オブジェクト領域412、再利用オブジェクト領域413、可変再利用オブジェクト領域414A、414Bが配置されている。
図12に本実施例における各ページの出力画像と正解画像を関連付けたテーブルを示す。可変再利用オブジェクト領域411A、411B、411Cの数と可変再利用オブジェクト領域414A、414Bの数の組み合わせに応じた正解画像がある。
【0039】
<実施例4>
図13に、両面印刷を想定した、バリアブル印刷の例を示す。バリアブル印刷はダイレクトメール向けに用いられることが多く、その場合、表面に宛名、裏面に各個人に対して個別の広告が印刷される。つまり、奇数ページは宛名、偶数ページは広告といった様に、ページ毎にレイアウトが大幅に変わる。
各ページでは、奇数ページに可変固有オブジェクト領域501と再利用オブジェクト領域502が配置され、偶数ページに可変再利用オブジェクト領域503A、503B、503C、可変固有オブジェクト領域504、再利用オブジェクト領域505、可変再利用オブジェクト領域506A、506Bが配置されている。
【0040】
図14に、
図13の例における正解画像の例を示す。宛名ページ(
図13における奇数ページ)の正解画像は再利用オブジェクトの配置条件は変動しないため、1種類のみ存在する。すなわち、可変固有オブジェクト領域511と再利用オブジェクト領域512が配置されている。一方、広告ページ(
図13における偶数ページ)はページ毎に再利用オブジェクトの配置条件が変動するため、実施形態3と同様の考え方に従って4種類(
図13の偶数ページにけるオブジェクトの組合せのパターン数)の正解画像が生成される。前記の組合せ数を合わせ本実施形態における正解画像の数は5種類(1+4)となる。すなわち、可変再利用オブジェクト領域513A、513B、513C、可変固有オブジェクト領域514、再利用オブジェクト領域515、可変再利用オブジェクト領域516A、516Bが配置される。
【0041】
<実施例5>
図15に面付け出力時の正解画像の例を示す。バリアブル印刷は最終出力結果がダイレクトメールや広告など、比較的小サイズの用紙になる場合が多く、その際に大きな用紙に面付けされて出力された後、最後に断裁するといった運用が考えられる。本実施例においては、その際の面付パターンの数だけ正解画像を生成する。より具体的には、面付前の画像においては2種類の可変再利用オブジェクト(「A or B or C」と「あ or い」)が配置されている。ここで考えられる組合せパターンの最大数は6種類であり、本実施形態では1ページに対し4面付されているため、最大で24(=6x4)種類の組合せ数が考えられる。その中から実際に印刷される組合せパターンのみを抽出し、正解画像を生成する。各ページでは、再利用オブジェクト領域601A、601B、601C、可変固有オブジェクト領域602、再利用オブジェクト領域603A、603Bが配置される。
【0042】
<実施例6>
図16に、再利用オブジェクトと可変固有オブジェクトが重畳する例を示す。
本実施形態において各ページの全面に「A」「B」「C」の3種類の再利用オブジェクト領域701A、701B、701Cが配置されている。その上に重畳している破線で囲まれた空白のオブジェクト領域702は可変固有オブジェクトを示している。同破線領域の下には再利用オブジェクトの一部が配置されているが、同領域は全て可変固有オブジェクト領域として検品処理を行う。
【0043】
図17に本実施形態の処理の流れを示す。以下の処理は、画像検査制御部の制御によって実行される。
処理が開始されると、ページ単位の正解画像入力データを生成する(ステップs1)。
上記ステップでは、全ページのレイアウトデータを読み取り、再利用オブジェクトと可変固有オブジェクトの配置情報を抽出する。このレイアウトデータの読み取りはバリアブル印刷用レイアウト生成アプリケーションソフト上で行っても良いし、前記のアプリケーション上が生成するバリアブル印刷フォーマット(PPML,PDF/VTなど)を印刷装置(コントローラ)でRIPを行う直前のタイミングでも良い。
【0044】
これらの配置情報を基にページ単位の配置パターンを算出し、その配置パターン数だけ正解画像データを生成する。より具体的には各ページの同じオブジェクト領域に対し複数の画像が再利用オブジェクトとして配置される場合は、その配置される画像の数だけ正解画像データが生成される。前記領域が複数ある場合はその組合せ数だけ正解画像が生成される。一方で、各ページの同じオブジェクト領域に可変(固有)オブジェクトが配置される場合は正解画像の数に影響することはない。
【0045】
その後、バリアブル印刷用データを生成し、該当する正解画像入力データとの関連付けを行う(ステップs2)。すなわち、このステップでは、各ページに対してバリアブル印刷データ用生成処理(RIP)を行い、正解画像との関連付けを行う。
【0046】
なお、バリアブル印刷データの生成では、ユーザの印刷指示によりレイアウトを特定し、特定したレイアウトにそれぞれ画像を割り当てるために、顧客データベースなどからレコードを取り出し、レイアウト枠に適用する。次に、画像をレイアウトの指示されたフィールドにマッピングし、バリアブル印刷データを生成する。そして、この処理を1ページの合成が完了するまで繰り返す。
【0047】
1ページの合成が完了したら、印刷物を識別するための識別情報や各フィールドにマッピングした画像のファイル名などをバーコード化し、そのページに合成するようにバリアブル印刷データに追加する。そして、この処理を顧客データベースなどが終了するまで繰り返す。
バリアブル領域には、バリアブルオブジェクトとして登録された文字や画像が挿入され、固定文字領域には、再利用オブジェクトとして登録された文字が挿入され、固定画像領域には、再利用オブジェクトとして登録された画像が挿入され、その他の領域が余白領域となる。
【0048】
次に正解画像のみ印刷出力し、その結果をスキャンした結果を確認する(ステップs3)。次に、使用者の目で問題ないと判断できるまで正解画像の出力を繰り返す(ステップs4)。
使用者が印刷出力した画像で問題ないと判断した場合は正解画像として登録する(ステップs5)。
なお、正解画像の登録は、特定の方法に限定されるものではなく、例えば、既に印刷で用いられ、検品処理によって異常がなかった画像を用いるものであってもよい。
正解画像作成時にスキャンした画像のプレビューを表示し、その表示画面上で可変領域を手動で設定し、可変領域においては検品処理を行わないという設定を行うものとしてもよい。
【0049】
上記処理完了後、正式にバリアブル印刷の出力を開始する(ステップs6)。各ページ出力後に画像をスキャンし、予め関連付けられた正解画像と比較を行う(ステップs7)。
比較の結果、出力画像に問題があったかを判定する(ステップs8)。なお、出力画像に問題があるかは、適宜の判定方法で行うことができ、本発明としては特定の方法に限定されない。例えば、読取画像と正解画像とを比較して差分を検出し、差分の検出結果に基づいて用紙上の欠陥の有無を判定することができる。また、差分が検出された箇所を全て欠陥と判定するのではなく、ユーザが設定した閾値を超える差分を有する箇所を欠陥と判定することもできる。
【0050】
出力画像に問題がなければ(ステップs8、No)、全画像を出力したかを判定し(ステップs9)、全画像を出力していなければ(ステップs9、No)、ステップs6に移行して次ページの印刷を行う。異常が検出された場合(ステップs8、Yes)、ステップs6に移行して当該ページの再出力を行い、正常な出力が行われるまで繰り返す。
これらの処理を全ページ出力されるまで繰り返し、全頁の出力が済めば(ステップs9、Yes)、全ての処理を完了する。
【0051】
本実施形態では、上記の可変領域を自動で設定できるほか、繰り返し使用される可変オブジェクトに対しても印刷出力したスキャン画像と比較することで検品精度の向上を実現することができる。
バリアブル印刷に際し、同じ再利用オブジェクトを使用したとしても、印刷する紙の位置によって、トナーやインクの付着特性が変わる上、さらに正解画像を作成時におけるスキャナの光の当たり方によって僅かな差異が生じる。本実施形態では最初に印刷した結果を目視し、使用者が品質上問題ないと判断した画像を正解画像として保管し、比較するため、印刷時における異常も検知することが可能となる。
【0052】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲は、上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは、上記実施形態に対する適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
20 画像検査装置
30 通信回線
40 クライアント端末
41 クライアント端末
100 制御部
102 通信部
103 プリントコントローラ
104 記憶部
105 操作表示部
120 RIP処理部
130 データ記憶部
140 画像処理部
150 画像形成部
160 定着部
190 出力物読取部
201A 再利用オブジェクト領域
201B 再利用オブジェクト領域
202 可変固有オブジェクト領域
211A 再利用オブジェクト領域
211B 再利用オブジェクト領域
212 可変固有オブジェクト領域
301 再利用オブジェクト領域
301A 再利用オブジェクト領域
301B 再利用オブジェクト領域
302 可変固有オブジェクト領域
303 再利用オブジェクト領域
311A 再利用オブジェクト領域
311B 再利用オブジェクト領域
312 可変固有オブジェクト領域
313 再利用オブジェクト領域
401A 再利用オブジェクト領域
401B 再利用オブジェクト領域
402 可変固有オブジェクト領域
403 再利用オブジェクト領域
404A 可変再利用オブジェクト領域
404B 可変再利用オブジェクト領域
411A 可変再利用オブジェクト領域
411B 可変再利用オブジェクト領域
412 可変固定オブジェクト領域
413 再利用オブジェクト領域
414A 可変再利用領域
414B 可変再利用領域
501 可変固有オブジェクト領域
502 再利用オブジェクト領域
503A 可変再利用オブジェクト領域
503B 可変再利用オブジェクト領域
504 可変固有オブジェクト領域
505 再利用オブジェクト領域
506A 可変再利用オブジェクト領域
506B 可変再利用オブジェクト領域
511 可変固有オブジェクト領域
512 再利用オブジェクト領域
513A 可変再利用オブジェクト領域
513B 可変再利用オブジェクト領域
514 可変固有領域
515 再利用オブジェクト領域
516A 可変再利用オブジェクト領域
516B 可変再利用オブジェクト領域
601A 再利用オブジェクト領域
601B 再利用オブジェクト領域
602 可変固有オブジェクト領域
603A 再利用オブジェクト領域
603B 再利用オブジェクト領域
701A 再利用オブジェクト領域
701B 再利用オブジェクト領域
702 オブジェクト領域
【要約】
【課題】バリアブル印刷された印刷物の画像異常を正確に判定する。
【解決手段】画像検査装置は、印刷済の画像を読み取った読取画像を取得する取得手段と、読取画像に基づき正解画像を生成する生成手段と、読取画像を表示する表示手段と、読取画像の中の検査対象に対応する内容と、内容に対応するデータベースに含まれるレコード値を比較することで、印刷物を検品する第1の検品処理と読取画像の中の検査対象と正解画像の該当箇所を比較することで、印刷物を検品する第2の検品処理を実行する制御部を有し、制御部は読取画像に基づいた表示手段の表示画面に対するユーザの操作に基づいて、全ページで異なる画像に対応する第1のオブジェクトに対し第1の検品処理を実行し、全ページ中で繰り返し使用される画像に対応する第2のオブジェクトに対し第2の検品処理を実行するように検品処理を設定可能とする。
【選択図】
図17