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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】連結梁
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20221115BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20221115BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E04B1/348 N
E04B1/58 509E
E04B1/58 503F
E04B1/24 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018165153
(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公開番号】P2020037802
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】一志 将人
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-242385(JP,A)
【文献】特開平11-140989(JP,A)
【文献】特開2008-240248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04B 1/58
E04B 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合いかつ互いに離間された建物ユニット同士の間に設けられていると共に、長手方向の一端側が一方側の前記建物ユニットに結合されかつ長手方向の他端側が他方側の前記建物ユニットに対して離間されている第1連結梁と、
隣り合う前記建物ユニット同士の間かつ前記第1連結梁と対向して設けられていると共に、長手方向の一端側が他方側の前記建物ユニットに結合され長手方向の他端側が一方側の前記建物ユニットに対して離間されている第2連結梁と、
対向する前記第1連結梁と前記第2連結梁との間に設けられていると共に、弾性部材により構成されている緩衝部材と、
有し、
前記第1連結梁と前記第2連結梁とは、それぞれ長手方向に直交する断面形状がウェブとフランジとを有する略コ字形に形成されていると共に、
前記第2連結梁の少なくとも一部の前記ウェブと前記フランジとが、前記第1連結梁の前記ウェブと前記フランジとを板厚方向にて覆っており、
前記緩衝部材は、前記第2連結梁が前記第1連結梁を覆う部位における前記第1連結梁と前記第2連結梁との前記ウェブ同士の間と前記フランジ同士の間とにそれぞれ設けられている、
連結梁。
【請求項2】
前記第1連結梁と前記第2連結梁とは、前記第1連結梁、前記第2連結梁及び前記緩衝部材内を挿通された締結具により連結されている、
請求項1記載の連結梁。
【請求項3】
前記第1連結梁と前記第2連結梁とは、接着剤により前記第1連結梁及び前記第2連結梁に接合された前記緩衝部材を介して連結されている、
請求項1又は請求項2記載の連結梁。
【請求項4】
前記第1連結梁と前記第2連結梁とは、係合爪により前記第1連結梁及び前記第2連結梁に係合された前記緩衝部材を介して連結されている、
請求項1~請求項のいずれか一項に記載の連結梁。
【請求項5】
前記第1連結梁と前記第2連結梁とには、被係合部が形成されており、
前記緩衝部材に形成された係合部が前記被係合部に嵌合されている、
請求項1~請求項のいずれか一項に記載の連結梁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結梁に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ユニット式建物に関する発明が開示されている。このユニット式建物は、隣接する建物ユニットの間に隙間を設けて配置しており、この隙間を調整することで敷地の建ぺい率に違反しない範囲で建築面積を少しでも広く確保することができる。この隙間には、隣接する一方の建物ユニットと他方の建物ユニットとを連結する連結梁が設けられており、これによって隣接する建物ユニット同士を強固に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-23665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された構成では、連結梁が一方の建物ユニットと他方の建物ユニットとにそれぞれ複数のボルト及びナットによって締結されている。したがって、建物ユニットと連結梁とを締結するために、連結梁及び建物ユニットの位置調整に時間が必要となる可能性があり、建物ユニットの据付工数が増加する可能性がある。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
【0005】
本発明は上記問題を考慮し、建物ユニットとの連結時に作業工数を削減することができる連結梁を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る連結梁は、隣り合いかつ互いに離間された建物ユニット同士の間に設けられていると共に、長手方向の一端側が一方側の前記建物ユニットに結合されかつ長手方向の他端側が他方側の前記建物ユニットに対して離間されている第1連結梁と、隣り合う前記建物ユニット同士の間かつ前記第1連結梁と対向して設けられていると共に、長手方向の一端側が他方側の前記建物ユニットに結合され長手方向の他端側が一方側の前記建物ユニットに対して離間されている第2連結梁と、対向する前記第1連結梁と前記第2連結梁との間に設けられていると共に、弾性部材により構成されている緩衝部材と、を有している。
【0007】
第2の態様に係る連結梁は、第1の態様に係る発明において、前記第1連結梁と前記第2連結梁とは、それぞれ長手方向に直交する断面形状がウェブとフランジとを有する略コ字形に形成されていると共に、前記第2連結梁の少なくとも一部の前記ウェブと前記フランジとが、前記第1連結梁の前記ウェブと前記フランジとを板厚方向にて覆っており、前記緩衝部材は、前記第2連結梁が前記第1連結梁を覆う部位における前記第1連結梁と前記第2連結梁との前記ウェブ同士の間と前記フランジ同士の間とにそれぞれ設けられている。
【0008】
第3の態様に係る連結梁は、第1又は第2の態様に係る発明において、前記第1連結梁と前記第2連結梁とは、前記第1連結梁、前記第2連結梁及び前記緩衝部材内を挿通された締結具により連結されている。
【0009】
第4の態様に係る連結梁は、第1~第3のいずれか一つの態様に係る発明において、前記第1連結梁と前記第2連結梁とは、接着剤により前記第1連結梁及び前記第2連結梁に接合された前記緩衝部材を介して連結されている。
【0010】
第5の態様に係る連結梁は、第1~第4のいずれか一つの態様に係る発明において、前記第1連結梁と前記第2連結梁とは、係合爪により前記第1連結梁及び前記第2連結梁に係合された前記緩衝部材を介して連結されている。
【0011】
第6の態様に係る連結梁は、第1~第5のいずれか一つの態様に係る発明において、前記第1連結梁と前記第2連結梁とには、被係合部が形成されており、前記緩衝部材に形成された係合部が前記被係合部に嵌合されている。
【0012】
第1の態様によれば、隣り合いかつ互いに離間された建物ユニットの間には、第1連結梁と第2連結梁とが設けられている。この第1連結梁の一端側は、一方側の建物ユニットに結合されており、長手方向の他端側が他方側の建物ユニットに対して離間されている。また、第2連結梁の長手方向の一端側は、他方側の建物ユニットに結合されており、長手方向の他端側が一方側の建物ユニットに対して離間されている。つまり、一方側の建物ユニットには第1連結梁のみが結合されており、他方側の建物ユニットには第2連結梁のみが結合されている。そして、第1連結梁と第2連結梁とは対向されており、第1連結梁と第2連結梁との間には、緩衝部材が設けられており、この緩衝部材は、弾性部材により構成されている。したがって、第1連結梁と第2連結梁との間に位置ずれが発生した場合でも、緩衝部材によって位置ずれを吸収することができる。つまり、連結梁及び建物ユニットを取り付ける際に予め設定された位置に対するずれをある程度許容することができるため、位置調整を短時間ですることができる。
【0013】
第2の態様によれば、第1連結梁と第2連結梁とは、それぞれ長手方向に直交する断面形状がウェブとフランジとを有する略コ字形に形成されている。そして、第2連結梁の少なくとも一部のウェブとフランジとが、第1連結梁のウェブとフランジとを板厚方向にて覆っている。この第2連結梁が第1連結梁を覆う部位における第1連結梁及び第2連結梁のウェブ同士とフランジ同士との間には、それぞれ緩衝部材が設けられている。つまり、板厚方向が異なるウェブとフランジとにそれぞれ緩衝部材が設けられているため、第1連結梁と第2連結梁との間に発生する様々な方向への位置ずれを効果的に吸収することができる。
【0014】
第3の態様によれば、第1連結梁と第2連結梁とは、第1連結梁、第2連結梁及び緩衝部材内を挿通された締結具により係合されていることから、第1連結梁と第2連結梁との間の位置ずれを緩衝部材が吸収しながら第1連結梁と第2連結梁とを連結させて隣り合う建物ユニット同士を締結具により連結させることができる。
【0015】
第4の態様によれば、第1連結梁と第2連結梁とは、接着剤により第1連結梁及び第2連結梁に接合された緩衝部材を介して連結されていることから、第1連結梁と第2連結梁における緩衝部材が取り付けられる部位の加工が不要となる。したがって、緩衝部材を介して第1連結梁と第2連結梁とを容易に連結することができる。これにより、より作業工数を削減することができる。
【0016】
第5の態様によれば、第1連結梁と第2連結梁とは、係合爪により第1連結梁と第2連結梁とに係合された緩衝部材を介して連結されていることから、第1連結梁と第2連結梁との連結時に締結具の締結作業が不要となる。したがって、緩衝部材を介して第1連結梁と第2連結梁とを連結させる作業が容易となる。これにより、さらに作業工数を削減することができる。
【0017】
第6の態様によれば、第1連結梁と第2連結梁とに形成された被係合部には、緩衝部材に形成された係合部が嵌合されている。したがって、第1連結梁及び第2連結梁に対する緩衝部材の位置決めが容易となると共に、緩衝部材を介して第1連結梁と第2連結梁とを連結させる作業が容易となる。これにより、一層作業工数を削減することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る連結梁は、建物ユニットとの連結時に作業工数を削減することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る連結梁を有する建物ユニットを示す概略斜視図である。
図2】第1実施形態に係る連結梁を示す分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係る連結梁を示す図2とは異なる角度から見た状態を示す分解斜視図である。
図4図2におけるA-A線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る連結梁における締結具を切断した状態を示す断面図である。
図6】第2実施形態に係る連結梁の一部を示す断面図である。
図7】第3実施形態に係る連結梁の一部を示す断面図である。
図8】第4実施形態に係る連結梁の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、図1~5を用いて、本発明に係る連結梁の第1実施形態について説明する。
【0021】
(建物の全体構成)
図1に示されるように、建物10の一部を構成する建物ユニット12は、複数設けられており、いずれの建物ユニット12も、4本の柱14と、互いに平行に配置された長短二組の天井梁16、18と、これらの天井梁16,18に対して上下に平行に配置された長短二組の床梁17,19とを備えており、梁の端部を天井と床の仕口に溶接することによりラーメン構造として構成されている。
【0022】
建物10は、一方側の建物ユニット12Aと、これに隣り合う他方側の建物ユニット12Bとが離間して配置されている。一方側の建物ユニット12Aと他方側の建物ユニット12Bとの間の隙間を調整することで、敷地に応じかつ建ぺい率内に納まる範囲で建築面積を少しでも広く確保することができる。
【0023】
(連結梁)
一方側の建物ユニット12Aと他方側の建物ユニット12Bとの間には、連結梁20が設けられている。具体的には、連結梁20は、一例として、一方側の建物ユニット12Aにおける一方の天井梁16と、他方側の建物ユニット12Bにおける一方の天井梁16との間を架け渡すように天井梁16の長手方向に沿って延設されている。同様の構成とされた連結梁20が、他方側の天井梁16同士の間にも設けられている。換言すると、連結梁20は建物ユニット12の妻方向に一対設けられている。
【0024】
図3に示されるように、連結梁20は、第1連結梁20Aと、第2連結梁20Bと、緩衝部材22、24とを有している。第1連結梁20Aは、一例として、建物上下方向に一対のフランジとしての上側壁部20AD及び下側壁部20AEと、上側壁部20AD及び下側壁部20AEの端部同士を連結するウェブとしての連結壁部20AFとで断面コ字形のチャンネル鋼(溝形鋼)により構成されており、長手方向の一端側としての一端部20AAには締結壁20ABが結合されている。この締結壁20ABは、第1連結梁20Aの長手方向を板厚方向としており、板厚方向視にて建物上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。また、締結壁20ABには、板厚方向に貫通された複数の貫通孔20ACが形成されており、この貫通孔20ACは一方側の建物ユニット12Aにおける柱14に取り付けられた後述するブラケット14Aに形成された締結孔14Bに対応している(図2参照)。なお、締結壁20ABは、第1連結梁20Aの上側壁部20AD、下側壁部20AE及び連結壁部20AFに対してそれぞれの面直方向に突出するサイズに設定されている。
【0025】
第2連結梁20Bは、第1連結梁20Aと同様に、一例として、建物上下方向に一対のフランジとしての上側壁部20BD及び下側壁部20BEと、上側壁部20BD及び下側壁部20BEの端部同士を連結するウェブとしての連結壁部20BFとで断面コ字形のチャンネル鋼(溝形鋼)により構成されており、長手方向の一端側としての一端部20BAには締結壁20BBが結合されている。この締結壁20BBは、第2連結梁20Bの長手方向を板厚方向としており、板厚方向視にて建物上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。また、締結壁20BBには、板厚方向に貫通された複数の貫通孔20BCが形成されており、この貫通孔20BCは他方側の建物ユニット12Bにおける柱14に取り付けられた後述するブラケット14Aに形成された締結孔14Bに対応している(図2参照)。なお、締結壁20BBは、第2連結梁20Bの上側壁部20BD、下側壁部20BE及び連結壁部20BFのそれぞれの長手方向の端部に当接するサイズに設定されている。また、第2連結梁20Bの上側壁部20BD及び連結壁部20BFには、板厚方向に貫通された貫通孔20BG、20BHが第2連結梁20Bの長手方向に離間してそれぞれ複数(本実施形態では2つ)形成されている。さらに、図示はしないが、下側壁部20BEにも板厚方向に貫通された貫通孔が上側壁部20BDの貫通孔20BGに対応した位置に形成されている。
【0026】
第1連結梁20Aの上側壁部20ADには、緩衝部材22が設けられている。緩衝部材22は、上側壁部20ADの板厚方向視にて上側壁部20ADと略相似形の矩形板状に形成されている。緩衝部材22は、弾性部材により構成されており、一例としてゴムにより構成されている。また、緩衝部材22には、板厚方向に貫通された貫通孔22Aが形成されており、この貫通孔22Aは第2連結梁20Bの上側壁部20BDに形成された貫通孔20BGに対応した位置に設けられている。さらに、第1連結梁20Aの下側壁部20AEにも、上側壁部20ADと同様に緩衝部材22が設けられている(図4参照)。つまり、緩衝部材22は、建物上下方向に一対設けられている。なお、第1連結梁20Aの上側壁部20AD及び下側壁部20AEには、緩衝部材22の貫通孔20BGに対応した位置に板厚方向に貫通された貫通孔(いずれも不図示)が形成されている。
【0027】
第1連結梁20Aの連結壁部20AFには、緩衝部材24が設けられている。緩衝部材24は、連結壁部20AFの板厚方向視にて連結壁部20AFと略相似形の矩形板状に形成されている。緩衝部材24は、弾性部材により構成されており、一例としてゴムにより構成されている。また、緩衝部材24には、板厚方向に貫通された貫通孔24Aが形成されており、この貫通孔24Aは第2連結梁20Bの連結壁部20BFに形成された貫通孔20BHに対応した位置に設けられている。なお、第1連結梁20Aの連結壁部20AFには、緩衝部材24の貫通孔24Aに対応した位置に板厚方向に貫通された貫通孔20AH(図5参照)が形成されている。つまり、連結壁部20AFと、連結壁部20AFに対し板厚方向が異なる上側壁部20AD及び下側壁部20AEとにそれぞれ緩衝部材24及び緩衝部材22が取り付けられた構成とされている。換言すると、連結梁20は、板厚方向が異なる緩衝部材22、24がそれぞれ設けられている。
【0028】
第1連結梁20Aの外方側には、第2連結梁20Bが設けられている。具体的に第2連結梁20Bは、第1連結梁20Aを板厚方向の外方側から覆うように設けられており、この第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは緩衝部材22、24の板厚分離間されている(図4参照)。第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは、複数の締結具としてのボルト26及びナット28(図5参照)によって締結されている。このボルト26は、第2連結梁20Bの外方側から貫通孔20BG、緩衝部材22の貫通孔22A、第1連結梁20Aの貫通孔の順に挿通されている。同様に、図5に示されるように、第2連結梁20Bの外方側から貫通孔20BH、緩衝部材24の貫通孔24A、第1連結梁20Aの貫通孔20AHの順にも挿通されている。つまり、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは、第1連結梁20A、第2連結梁20B及び緩衝部材22、24内を挿通されたボルト26及びナット28を介して締結されている。なお、緩衝部材24の貫通孔24A、第1連結梁20Aの貫通孔20AHは、径寸法がボルト26のねじ部外径よりも大きくかつナット28の外径よりも小さく設定されている。同様に、図示はしないが、緩衝部材22の貫通孔22A、第1連結梁20Aの上側壁部20AD、下側壁部20AEに形成された貫通孔も、径寸法がボルト26のねじ部外径よりも大きくかつナット28の外径よりも小さく設定されている。これにより、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとの連結状態を維持しながら第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとの相対移動が若干許容されている。
【0029】
また、1本のボルト26は、2つのナット28に締結されているが、この2つのナット28はいわばダブルナットとして作用させており、これによりボルト26の緩みを抑制している。さらに、第2連結梁20Bの上側壁部20BDと、これに対向する第1連結梁20Aの上側壁部20ADとは、ずれに対する追従性を考慮すると、2本以下のボルト26によって連結するのが望ましい。同様に、第2連結梁20Bの下側壁部20BE及びこれに対向する第1連結梁20Aの下側壁部20AEと、第2連結梁20Bの連結壁部20BF及びこれに対向する第1連結梁20Aの連結壁部20AFとは、それぞれ2本以下のボルト26によって連結するのが望ましい。
【0030】
図2に示されるように、柱14における連結梁20に対応した部位には、ブラケット14Aが取り付けられている。このブラケット14Aは、柱14における隣接する建物ユニット12と対向する側の側面14Cに一対取り付けられており、この側面14Cと略平行かつ離間しているブラケット締結壁部14AAと、ブラケット締結壁部14AAの建物上下方向と直交方向での両端部14ABから側面14Cに向けて延設された一対のブラケット側面14ACとで建物平面視にて略コ字形に形成されている。一対のブラケット側面14ACと側面14Cとは、一例として溶接により接合されている。
【0031】
ブラケット締結壁部14AAには、板厚方向に貫通された複数(本実施形態では2つ)の締結孔14Bが形成されている。そして、第2連結梁20Bの締結壁20BBに形成された貫通孔20BCと、一方のブラケット14Aの締結孔14Bには、第2連結梁20Bの他端側としての他端部20BJから一端部20BA側へ向けてボルト29が挿通され図示しないナットに締結されている。これにより、第2連結梁20Bがブラケット14Aひいては建物ユニット12に固定されている。同様に、第1連結梁20Aの締結壁20ABに形成された貫通孔20ACと、他方のブラケット14Aの締結孔14Bには、第1連結梁20Aの他端側としての他端部20AGから一端部20AA側へ向けてボルト29が挿通され図示しないナットに締結されている。これにより、第1連結梁20Aがブラケット14Aひいては建物ユニット12に固定されている。
【0032】
(第1実施形態の作用・効果)
次に、第1実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0033】
本実施形態によれば、図1に示されるように、隣り合いかつ互いに離間された建物ユニット12の間には、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとが設けられている。この第1連結梁20Aの一端部20AAは、一方側の建物ユニット12Aに結合されており、長手方向の他端部20AGが他方側の建物ユニット12Bに対して離間されている。また、第2連結梁20Bの長手方向の一端部20BAは、他方側の建物ユニット12Bに結合されており、長手方向の他端部20BJが一方側の建物ユニット12に対して離間されている。つまり、一方側の建物ユニット12には第1連結梁20Aのみが結合されており、他方側の建物ユニット12Bには第2連結梁20Bのみが結合されている。そして、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは対向されており、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとの間には、緩衝部材22、24が設けられており、この緩衝部材22、24は、弾性部材により構成されている。したがって、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとの間に位置ずれが発生した場合でも、緩衝部材22、24によって位置ずれを吸収することができる。つまり、連結梁20及び建物ユニット12を取り付ける際に予め設定された位置に対するずれをある程度許容することができるため、位置調整を短時間ですることができる。これにより、連結梁20と建物ユニット12との連結時に作業工数を削減することができる。
【0034】
また、第1連結梁20Aは、長手方向に直交する断面形状が連結壁部20AF、上側壁部20AD及び下側壁部20AEを有する略コ字形に形成されている。同様に、第2連結梁20Bは、長手方向に直交する断面形状が連結壁部20BF、上側壁部20BD及び下側壁部20BEを有する略コ字形に形成されている。そして、第2連結梁20Bの連結壁部20BF、上側壁部20BD及び下側壁部20BEが、第1連結梁20Aの連結壁部20AF、上側壁部20AD及び下側壁部20AEを板厚方向にて覆っている。この第2連結梁20Bが第1連結梁20Aを覆う部位における第1連結梁20A及び第2連結梁20Bの連結壁部20AF、20BF同士と、上側壁部20AD、20BA同士と、下側壁部20AE、20BE同士との間には、それぞれ緩衝部材22、24が設けられている。つまり、板厚方向が異なる連結壁部20AF、20BFと上側壁部20AD、20BAと下側壁部20AE、20BEとにそれぞれ緩衝部材22、24が設けられているため、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとの間に発生する様々な方向への位置ずれを効果的に吸収することができる。
【0035】
さらに、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは、第1連結梁20A、第2連結梁20B及び緩衝部材22、24内を挿通されたボルト26とナット28により係合されていることから、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとの間の位置ずれを緩衝部材22、24が吸収しながら第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとを連結させて隣り合う建物ユニット12同士をボルト26とナット28により連結させることができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、図6を用いて、本発明の第2実施形態に係る連結梁について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0037】
この第2実施形態に係る連結梁30は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとが接着剤32により接合された緩衝部材22、24(図3参照)を介して連結されている点に特徴がある。
【0038】
すなわち、図6に示されるように、連結梁30は、第1連結梁20Aと、第2連結梁20Bとを有している。第2連結梁20Bは、第1連結梁20Aを外方側から覆うように設けられており、この第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは緩衝部材22、24(図3参照)の板厚分離間されている。そして、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは、緩衝部材22、24にそれぞれ接着剤32を介して接合されている(緩衝部材22と緩衝部材24周辺は、同一構造のため、図6では緩衝部材24のみ図示)。
【0039】
(第2実施形態の作用・効果)
次に、第2実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0040】
上記構成によっても、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとが接着剤32により接合された緩衝部材22、24を介して連結されている点以外は第1実施形態の連結梁20と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは、接着剤32により第1連結梁20A及び第2連結梁20Bに接合された緩衝部材22、24を介して連結されていることから、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bにおける緩衝部材22、24が取り付けられる部位の加工が不要となる。したがって、緩衝部材22、24を介して第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとを容易に連結することができる。これにより、より作業工数を削減することができる。
【0041】
(第3実施形態)
次に、図7を用いて、本発明の第3実施形態に係る連結梁について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0042】
この第3実施形態に係る連結梁40は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとが係合爪42により係合された緩衝部材44を介して連結されている点に特徴がある。
【0043】
すなわち、図7に示されるように、連結梁40は、第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとを有している。第2連結梁40Bは、第1連結梁40Aを外方側から覆うように設けられており、この第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとは緩衝部材44の板厚分、離間されている。
【0044】
第1連結梁40Aには、係合爪42が形成されている。この係合爪42は、板厚方向にて第2連結梁40B側に屈曲されている。一方、緩衝部材44における第1連結梁40Aの係合爪42に対応した部位には、被係合部46が形成されており、この被係合部46は、第2連結梁40B側に切り欠かれた構成とされている。そして、係合爪42は、被係合部46内の側面に沿って屈曲されている。
【0045】
第2連結梁40Bにも、第1連結梁40Aと同様に係合爪42が形成されている。緩衝部材44は、第2連結梁40Bの係合爪42に対応した部位にも前述した被係合部46が形成されており、第2連結梁40Bの係合爪42は、緩衝部材44における第2連結梁40B側の被係合部46内の側面に沿って屈曲されている。なお、第1連結梁40Aの係合爪42と第2連結梁40Bの係合爪42とは、板厚方向視にて重ならない位置に設定されている。
【0046】
(第3実施形態の作用・効果)
次に、第3実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0047】
上記構成によっても、第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとが係合爪42により接合された緩衝部材44を介して連結されている点以外は第1実施形態の連結梁20と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとは、係合爪42により第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとに係合された緩衝部材44を介して連結されていることから、第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとの連結時に締結具の締結作業が不要となる。したがって、緩衝部材44を介して第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとを連結させる作業が容易となる。これにより、さらに作業工数を削減することができる。
【0048】
なお、上述した係合爪42は、緩衝部材44側に向かって屈曲された形状とされているが、これに限らず、緩衝部材44と離れる方向に向かって屈曲しかつ当該係合爪と当接するような突起を緩衝部材44に設ける構成としてもよいし、それ以外の構成としてもよい。
【0049】
(第4実施形態)
次に、図8を用いて、本発明の第4実施形態に係る連結梁50について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0050】
この第4実施形態に係る連結梁50は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、緩衝部材52の係合部としての突出部56が、第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとに形成された被係合部としての貫通孔54にそれぞれ嵌合されている点に特徴がある。
【0051】
すなわち、図8に示されるように、連結梁50は、第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとを有している。第2連結梁50Bは、第1連結梁50Aを外方側から覆うように設けられており、この第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとは緩衝部材52の板厚分離間されている。
【0052】
第1連結梁50Aと第2連結梁50Bには、板厚方向に貫通された貫通孔54がそれぞれ形成されている。なお、それぞれの貫通孔54は、互いに対向する位置に配置されている。
【0053】
緩衝部材52は、弾性部材により構成されており、一例としてゴムにより構成されている。また、緩衝部材52における第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとのそれぞれの貫通孔54に対応した部位には、突出部56が形成されている。突出部56は、一例として貫通孔54と略相似形かつ若干小さい形状に形成されており、複数の貫通孔54内にそれぞれ挿入されている。なお、第1連結梁50A側の突出部56は、先端が第1連結梁50Aにおける緩衝部材52と反対側の側面と略同一面上に位置している。同様に、第2連結梁50B側の突出部56は、先端が第2連結梁50Bにおける緩衝部材52と反対側の側面と略同一面上に位置している。
【0054】
(第4実施形態の作用・効果)
次に、第4実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0055】
上記構成によっても、緩衝部材52の係合部としての突出部56が、第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとに形成された被係合部としての貫通孔54にそれぞれ嵌合されている点以外は第1実施形態の連結梁20と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとに形成された貫通孔54には、緩衝部材52に形成された突出部56が嵌合されている。したがって、第1連結梁50A及び第2連結梁50Bに対する緩衝部材52の位置決めが容易となると共に、緩衝部材52を介して第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとを連結させる作業が容易となる。これにより、一層作業工数を削減することができる。
【0056】
なお、上述した構成では、第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとの貫通孔54に緩衝部材52に形成された突出部56が嵌合する構成とされているが、これに限らず、第1連結梁50Aと第2連結梁50Bとに突起を設けてこの突起に嵌合する係合孔を緩衝部材52に設ける構成としてもよいし、その他の構成としてもよい。
【0057】
また、上述した第1~第4実施形態では、第1連結梁20A、40A、50A及び第2連結梁20B、40B、50Bとは、断面コ字形のチャンネル鋼とされているが、これに限らず、角型鋼やその他の形状とされてもよい。
【0058】
さらに、第2連結梁20B、40B、50Bの連結壁部20BFと上側壁部20BD及び下側壁部20BEとが、第1連結梁20Aの連結壁部20AFと上側壁部20AD及び下側壁部20AEとを板厚方向にて覆っていると共に、第1連結梁20A、40A、50Aと第2連結梁20B、40B、50Bとの間に緩衝部材22、24、44、52が設けられた構成とされているが、これに限らず、第1連結梁20A、40A、50Aと第2連結梁20B、40B、50Bとを対向して突き合わせると共に、突き合わせた先端部同士の間に緩衝部材を設ける構成としてもよいし、その他の構成としてもよい。
【0059】
さらにまた、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは、第1連結梁20A、第2連結梁20B及び緩衝部材22、24内を挿通されたボルト26とナット28により連結されているが、これに限らず、緩衝部材22、24を上述した接着剤32、係合爪42及び貫通孔54の少なくとも一方を含めて第1連結梁20A、第2連結梁20Bに取り付けた上で、ボルト26とナット28により第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとを連結させてもよい。
【0060】
また、第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとは、接着剤32により第1連結梁20A及び第2連結梁20Bに接合された緩衝部材22、24を介して連結されているが、これに限らず、緩衝部材22、24を上述した係合爪42及び貫通孔54の少なくとも一方を含めて第1連結梁20A、第2連結梁20Bに取り付けた上で、ボルト26とナット28により第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとを連結させてもよい。
【0061】
さらに、第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとは、係合爪42により第1連結梁40Aと第2連結梁40Bとに係合された緩衝部材44を介して連結されているが、これに限らず、緩衝部材22、24を上述した貫通孔54を含めて第1連結梁20A、第2連結梁20Bに取り付けた上で、ボルト26とナット28により第1連結梁20Aと第2連結梁20Bとを連結させてもよい。
【0062】
さらにまた、連結梁20は、隣り合う建物ユニット12の天井梁16同士を連結する構成とされているが、これに限らず、床梁同士を連結する構成としてもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
12 建物ユニット
20 連結梁
20A 第1連結梁
20AA 一端部(一端側)
20AD 上側壁部(フランジ)
20AE 下側壁部(フランジ)
20AF 連結壁部(ウェブ)
20AG 他端部(他端側)
20B 第2連結梁
20BA 一端部(一端側)
20BD 上側壁部(フランジ)
20BE 下側壁部(フランジ)
20BF 連結壁部(ウェブ)
20BJ 他端部(他端側)
22 緩衝部材
24 緩衝部材
26 ボルト(締結具)
32 接着剤
42 係合爪
54 貫通孔(被係合部)
56 突出部(係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8