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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】波長変換素子及び光源モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21V 29/502 20150101AFI20221115BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20221115BHJP
   F21V 7/26 20180101ALI20221115BHJP
   F21V 29/60 20150101ALI20221115BHJP
   F21V 29/78 20150101ALI20221115BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20221115BHJP
   F21V 29/89 20150101ALI20221115BHJP
   F21V 29/85 20150101ALI20221115BHJP
   F21V 9/35 20180101ALI20221115BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20221115BHJP
【FI】
F21V29/502 100
G03B21/14 A
F21V7/26
F21V29/60
F21V29/78
F21V29/83
F21V29/89
F21V29/85
F21V9/35
F21Y115:30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021066147
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022035966
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】202010843029.1
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周▲彦▼伊
(72)【発明者】
【氏名】李日▲チィー▼
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼文政
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/125611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 9/35
G03B 21/14
F21V 7/26
F21V 29/502
F21V 29/60
F21V 29/78
F21V 29/83
F21V 29/89
F21V 29/85
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の周りに回動するように配置される基板と、
前記基板に設けられる蛍光粉層と、
前記基板に設けられ、10ppi~500ppiの間にある気孔密度を有し、又は5%~95%の間にある体積気孔率を有する通気孔性ブレードと、
を含み、
前記蛍光粉層と前記通気孔性ブレードは、前記基板の同じ側に位置し、互いに離隔されている、
波長変換素子。
【請求項2】
前記蛍光粉層と前記通気孔性ブレードは、それぞれ前記基板の反対する両側に位置する請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項3】
前記蛍光粉層と前記通気孔性ブレードのそれぞれの前記基板への正投影は、少なくとも部分的に重なり合う請求項1又は2に記載の波長変換素子。
【請求項4】
前記通気孔性ブレードの材料は、金属、セラミック及びガラスの少なくとも1つを含む請求項1~の何れか1項に記載の波長変換素子。
【請求項5】
前記基板は、Al、Ag、Cu、Fe及びMoの少なくとも1つを含む金属材料を含む請求項1~の何れか1項に記載の波長変換素子。
【請求項6】
前記基板は、AlN、BN、SiC又はAlを含むセラミック材料を含む請求項1~の何れか1項に記載の波長変換素子。
【請求項7】
前記基板は、Si、Ge、GaAs、InP、GaN、InAs、ZnSe、ZnS又はInSeを含む半導体材料を含む請求項1~の何れか1項に記載の波長変換素子。
【請求項8】
前記基板の材料は、ガラス、石英、サファイア又はCaFを含む請求項1~の何れか1項に記載の波長変換素子。
【請求項9】
前記通気孔性ブレードの代わりに非通気孔性ブレードを含み、前記非通気孔性ブレードは、5μm~1.25mmの間にある粗さを有し、又は、その比表面積が前記非通気孔性ブレードの幾何学面積の10%以上よりも大きい請求項1~の何れか1項に記載の波長変換素子。
【請求項10】
光を発するように配置される光源と、
前記光を受光するように配置される請求項1~の何れか1項に記載の波長変換素子と、
前記波長変換素子に接続され、前記波長変換素子を駆動させて前記軸線の周りに回動させるように配置される駆動ユニットと、
を含み、
前記通気孔性ブレードは、全体的な幾何学形状を有し、前記駆動ユニットによって前記基板を駆動させて回動させる場合、前記全体的な幾何学形状によって乱流が発生し、且つ前記通気孔性ブレードの通気孔は同時にマイクロ渦流を導き出す光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換素子及び光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学プロジェクタは、既に多くの分野に適用され、例えば、消費製品からハイテク機器にかけて、適用範囲も益々大きくなっている。様々な光学プロジェクタも、信号源により提供された表示パターンを拡大して、投影スクリーンに表示するように、学校、家庭及び商業の場合に広く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学プロジェクタの光源の配置としては、固体レーザ光源によって蛍光材料を発光させてよい。これに対して、蛍光材料をホイールに塗布し、モータによってホイールを高速回転するように連動させることで、蛍光材料が単位時間内に受光したレーザ光源エネルギーを低下させて、放熱の目的を達成することができる。しかしながら、光学プロジェクタの輝度に対する要求が益々高くなっているため、蛍光材料の放熱に対する要求も益々厳しくなっている。従って、如何にホイール及びその上の蛍光材料に更に好ましく放熱させるかは、現在、重要な研究課題の1つになっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これを鑑み、本発明の1つの目的は、上記した問題を解決可能な波長変換素子及び光源モジュールを提供することにある。
【0005】
上記した目的を達成するには、本発明の一実施形態によれば、波長変換素子は、軸線の周りに回動するように配置される基板と、基板に設けられる蛍光粉層と、基板に設けられ、10ppi~500ppiの間にある気孔密度を有し、又は5%~95%の間にある体積気孔率を有する通気孔性ブレードと、を含む。
【0006】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、蛍光粉層と通気孔性ブレードは、それぞれ基板の反対する両側に位置する。
【0007】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、蛍光粉層と通気孔性ブレードのそれぞれの基板への正投影は、少なくとも部分的に重なり合う。
【0008】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、蛍光粉層と通気孔性ブレードは、基板の同じ側に位置する。
【0009】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、波長変換素子は、2つの通気孔性ブレードを更に含む。通気孔性ブレードは、それぞれ基板の反対する両側に位置する。
【0010】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、通気孔性ブレードの材料は、金属、セラミック及びガラスの少なくとも1つを含む。
【0011】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、基板は、金属材料を含む。金属材料は、Al、Ag、Cu、Fe及びMoの少なくとも1つを含む。
【0012】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、基板は、セラミック材料を含む。セラミック材料は、AlN、BN、SiC又はAlを含む。
【0013】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、基板は、半導体材料を含む。半導体材料は、Si、Ge、GaAs、InP、GaN、InAs、ZnSe、ZnS又はInSeを含む。
【0014】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、基板の材料は、ガラス、石英、サファイア又はCaFを含む。
【0015】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、波長変換素子は、通気孔性ブレードの代わりに非通気孔性ブレードを含む。非通気孔性ブレードは、5μm~1.25mmの間にある粗さを有し、又は非通気孔性ブレードの比表面積は、非通気孔性ブレードの幾何学面積の10%以上よりも大きい。
【0016】
上記した目的を達成するには、本発明の一実施形態によれば、光源モジュールは、光を発するように配置される光源と、光を受光するように配置される前記波長変換素子と、波長変換素子に接続され、波長変換素子を駆動させて軸線の周りに回動させるように配置される駆動ユニットと、を含み、通気孔性ブレードは、全体的な幾何学形状を有し、駆動ユニットによって基板を駆動させて回動させる場合、全体的な幾何学形状によって乱流が発生し、且つ通気孔性ブレードの通気孔は、同時にマイクロ渦流を導き出す。
【発明の効果】
【0017】
以上を纏めると、本発明の波長変換素子において、基板に設けられるブレードの局所領域は、渦流発生機能を有する。ブレードの全体的な幾何学形状による乱流メカニズム以外に、ブレード材料又は機構設計によって、更にマイクロ渦流効果を導き出し、投影装置全体の内部キャビティ内のガスの乱流作用を加速して高めることができるため、ブレードの寸法と重量を大幅に低減させて、駆動ユニットの負荷電力を軽減することができる。ブレードは、高速気流が通気孔を通した後で渦流発生効果を発生させることのできる通気孔性ブレードであってもよい。ブレードは、高い粗さ又は高い比表面積の非通気孔性ブレードであってもよく、高速気流が表面構造に衝突した後で渦流発生効果を発生させることができる。
【0018】
以上の記載は、本発明が解決しようとする技術課題、課題を解決するための技術手段、及び発明の効果等を説明するためのものに過ぎず、本発明の具体的な詳細については、後述の発明を実施するための形態及び関連する図面において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
下記の添付図面についての説明は、本発明の上記及び他の目的、特徴、メリットと実施例を更に分かりやすくするためのものである。
図1】投影装置内に適用される光源モジュールを示す斜視図である。
図2図1における波長変換素子を示す底面図である。
図3図1における波長変換素子の線分3-3に沿う断面図である。
図4】従来の波長変換素子を示す底面図である。
図5】本発明の波長変換素子と従来の波長変換素子の光源パワー-光スポット温度曲線図である。
図6】本発明の波長変換素子と従来の波長変換素子の光源パワー-発光効率曲線図である。
図7】本発明の別の実施形態による波長変換素子を示す断面図である。
図8】本発明の別の実施形態による波長変換素子を示す断面図である。
図9】本発明の別の実施形態による波長変換素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面で本発明の複数の実施形態を開示し、明確に説明するために、多くの実際的な細部を下記叙述で合わせて説明する。しかしながら、理解すべきなのは、これらの実際的な細部が、本発明を制限するように適用されるものではない。つまり、本発明の実施例において、これらの実際的な細部は必要なものではない。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造及び素子は、図面において簡単で模式的に示される。
【0021】
図1を参照されたい。図1は、投影装置内に適用され、波長変換素子120、駆動ユニット130及び光源140を含む光源モジュールである。波長変換素子120は、基板121を含む。基板121は、軸孔121aを有する。駆動ユニット130は、波長変換素子120に接続され、波長変換素子120を駆動させて軸線Aの周りに回動させるように配置される。具体的には、駆動ユニット130は、例えば回転軸131を有するモータである。回転軸131は、軸孔121aの内縁に係合される。回転軸131の中心軸は、軸線Aである。モータの回転軸131を回動させることで、波長変換素子120を駆動させて軸線Aの周りに回動させることができる。光源140は、光を発するように配置され、且つ光スポットを形成して基板121に固定的に照射する。いくつかの実施形態において、光源140は、固体レーザ光源140であるが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
波長変換素子120は、蛍光粉層122を更に含む。蛍光粉層122は、基板121に設けられ、且つ光源140からの光を受光するように配置される。具体的には、光源140からの光は、特定に設計された光路(例えば、反射鏡、ビームスプリッタ等)を介して、蛍光粉層122に到達するとともに、蛍光粉層122に光スポットを発生させることができる。蛍光粉層122は、実質的に、環状経路に沿って基板121に設けられる。これにより、波長変換素子120が軸線Aの周りに回動する時、光源140の発生した光スポットは、蛍光粉層122に持続的に照射することができる。
【0023】
図2及び図3を参照されたい。図2は、図1における波長変換素子120を示す底面図である。図3は、図1における波長変換素子120の線分3-3に沿う断面図である。図2図3に示すように、本実施形態において、波長変換素子120は、通気孔性ブレード123を更に含む。通気孔性ブレード123は、基板121に密着し、10ppi~500ppiの間にある気孔密度を有し、又は5%~95%の間にある体積気孔率を有する。なお、上記の密着とは、通気孔性ブレード123と基板121の間に中間物質が存在する場合、例えばサーマルインターフェース、固定部材又は接着剤等が存在する場合を排除すべきではなく、主に、通気孔性ブレード123を基板121に固定することで、基板121からの熱を伝達すると共に、基板121に伴って移動できるものである。
【0024】
いくつかの実施形態において、通気孔性ブレード123の材料としては、金属、セラミック及びガラスの少なくとも1つを含む。例としては、通気孔性ブレード123は、通気孔を有する発泡金属構造(例えば、発泡銅)であってもよく、又は巻き付けられるような金属線構造(例えば、銅線又は鋼線)であってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
前記構造配置により、通気孔性ブレード123自体が優れた導熱材料であり、蛍光粉層122から基板121に伝達した熱を伝導するために用いられる一方、基板121がモータにより駆動された後で、通気孔性ブレード123の局所領域に渦流発生機能を有するようになる。更に、通気孔性ブレード123の全体的な幾何学形状による乱流メカニズム以外に、通気孔性ブレード123の通気孔は、更にマイクロ渦流効果を導き出す(回転時に、高速気流に伴って通気孔を通す)ことができ、このようなマイクロ渦流により、投影装置全体の内部キャビティ内のガスの乱流作用を更に加速して高めることができる。また、通気孔性ブレード123の寸法と重量を大幅に低減させて、駆動ユニット130の負荷電力を軽減することができる。なお、通気孔性ブレード123の全体的な幾何学形状は、カット、配列又は繋ぎ合わせ等によって、ブレード形状に形成されてもよいし、又は例えば複数のストリップ状の散乱型配列形態のような、ブレード以外の形状に形成されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、反射型の非光透過性基板121は、金属材料を含む。金属材料は、例えば、Al、Ag、Cu、Fe、Mo又は任意の組み合わせの合金を含むが、本発明はこれに限定されない。
【0027】
いくつかの実施形態において、反射型の非光透過性基板121は、セラミック材料を含む。セラミック材料は、例えば、AlN、BN、SiC、Al等の一連の材料を含むが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
いくつかの実施形態において、反射型の非光透過性基板121は、半導体材料を含む。半導体材料は、例えば、単一元素半導体材料(例えば、Si、Ge)、二元半導体材料(例えば、GaAs、InP、GaN、InAs、ZnSe、ZnS、InSe等)又は他の二元以上の多元化合物半導体等の一連の材料を含むが、本発明はこれに限定されない。
【0029】
いくつかの実施形態において、透過型の光透過性基板121の材料は、ガラス、石英、サファイア又はCaFを含むが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
いくつかの実施形態において、通気孔性ブレード123の厚さは、約0.5mm~約50mmであるが、本発明はこれに限定されない。
【0031】
いくつかの実施形態において、蛍光粉層122の材料は、アルミン酸塩(YAG)、ケイ酸塩、窒化物又は量子ドットを含むが、本発明はこれに限定されない。
【0032】
いくつかの実施形態において、蛍光粉層122に使用されるバインダーの材料は、有機材料又は無機材料であってよく、有機材料は、例えば、シリカゲル、エポキシ樹脂等であり、無機材料は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等であるが、本発明はこれに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態において、通気孔性ブレード123は、機械的な形態で(例えば、ネジによる締結又は構造による係合)基板121と互いに固定される。いくつかの実施形態において、通気孔性ブレード123は、接着剤材料(例えば、放熱グリス)によって基板121と互いに固定される。
【0034】
図4図6を参照されたい。図4は、従来の波長変換素子900を示す底面図である。図5は、本発明の波長変換素子120と従来の波長変換素子900の光源パワー-光スポット温度曲線図である。図6は、本発明の波長変換素子120と従来の波長変換素子900の光源パワー-発光効率曲線図である。図4に示すように、従来の波長変換素子900の基板は、複数の矢状穴を有する。図5図6において、本発明では、この従来の波長変換素子900と比較するために採用された波長変換素子120は、その通気孔性ブレード123が約95ppiの気孔密度及び約2mmの厚さを有する。また、図5図6における曲線は、本発明の波長変換素子120と従来の波長変換素子900が5000rpmの同じ回転数を採用して測定されたものである。
【0035】
図5から明らかに分かるように、本発明の波長変換素子120の光スポットにおいて測定した温度は、従来の波長変換素子900の光スポットにおける温度と比べて、少なくとも50℃降下する。従って、蛍光粉層122の高温による熱減衰現象を効果的に回避することができる。また、図6から明らかに分かるように、本発明の波長変換素子120では、蛍光粉層122の発光効率は、光源パワーの増加につれて激しく悪化することはない(即ち、熱減衰現象はない)。従って、本発明の波長変換素子120を採用した投影装置について、その光源140の最高の動作電力は、効果的に高められることができる。
【0036】
図3に示すように、蛍光粉層122と通気孔性ブレード123は、それぞれ基板121の反対する両側に位置し、好ましくは、蛍光粉層122と通気孔性ブレード123のそれぞれの基板121への正投影は、少なくとも部分的に重なり合うが、本発明はこれに限定されない。
【0037】
本発明の別の実施形態による波長変換素子120Aを示す断面図である図7を参照されたい。本実施形態において、蛍光粉層122と通気孔性ブレード123aは、基板121の同じ側に位置する。通気孔性ブレード123aは、同樣に、波長変換素子120Aが回動する場合、高速気流が通気孔を通すことで、マイクロ渦流効果を導き出すことができる。
【0038】
本発明の他の実施形態による波長変換素子120Bを示す断面図である図8を参照されたい。本実施形態において、波長変換素子120Bは、2つの通気孔性ブレード123b1、123b2を含む。通気孔性ブレード123b1、123b2は、それぞれ基板121の反対する両側に位置し、通気孔性ブレード123b1と蛍光粉層122は基板121の同じ側に位置するが、通気孔性ブレード123b2は基板121の他側に位置する。通気孔性ブレード123b1、123b2は、波長変換素子120Bが回動する場合、高速気流が通気孔を通すことで、それぞれ基板121の反対する両側においてマイクロ渦流効果を導き出すことができる。
【0039】
本発明の別の実施形態による波長変換素子220を示す断面図である図9を参照されたい。本実施形態において、波長変換素子220は、基板121、蛍光粉層122及び非通気孔性ブレード223を含み、基板121と蛍光粉層122は、図3に示す実施形態と同じであるか又は類似するため、前述した関連内容を参照することができ、ここで繰り返して説明しない。具体的には、本実施形態の波長変換素子220は、図3に示される通気孔性ブレード123の代わりに非通気孔性ブレード223を用いる。非通気孔性ブレード223は、5μm~1.25mmの間にある粗さを有し、又は非通気孔性ブレード223の比表面積は、非通気孔性ブレード223の幾何学面積の10%以上よりも大きい。前記比表面積は、単位質量の非通気孔性ブレード223が有する総表面積である。比表面積の測定は、低温窒素吸着法又は静的容量法(static volumetric principle-V-Sorb 2800)を採用することができるが、本発明はこれに限定されない。前記幾何学面積とは、非通気孔性ブレード223の粗さを考慮しない場合の総面積である。幾何学面積は、非通気孔性ブレード223の各表面の正投影面積を加算して得られてよい。
【0040】
前記構造配置によって、非通気孔性ブレード223の局所領域も、渦流発生機能を有するようになることもできる。非通気孔性ブレード223の全体的な幾何学形状による乱流メカニズム以外に、非通気孔性ブレード223の粗い表面によって、更にマイクロ渦流効果(高速気流が粗い表面に衝突する)を導き出し、更に、投影装置全体の内部キャビティ内の乱流作用を加速して高めることができる。
【0041】
非通気孔性ブレード223のブレード形状、材料及びその基板121に対する設置位置は、図2図3図7及び図8に示す通気孔性ブレード123、123a、123b1、123b2の何れと同じであるか類似してよいが、ここで繰り返して説明しない。
【0042】
以上の本発明の具体的な実施形態についての詳しい説明から、本発明の波長変換素子において、基板に設けられるブレードの局所領域は、渦流発生機能を有することが明らかに分かる。ブレードの全体的な幾何学形状による乱流メカニズム以外に、ブレード材料又は機構設計によって、更にマイクロ渦流効果を導き出し、投影装置全体の内部キャビティ内のガスの乱流作用を加速して高めることができるため、ブレードの寸法と重量を大幅に低減させて、駆動ユニットの負荷電力を軽減することができる。ブレードは、高速気流が通気孔を通した後で渦流発生効果を発生させることのできる通気孔性ブレードであってもよい。ブレードは、高い粗さ又は高い比表面積の非通気孔性ブレードであってもよく、高速気流が表面構造に衝突した後で渦流発生効果を発生させることができる。
【0043】
本発明を実施形態で以上のように開示されたが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な変更と修飾を行うことができる。従って、本発明の保護範囲は、後に添付される特許請求の範囲により限定されたものを基準とする。
[項目1]
軸線の周りに回動するように配置される基板と、
前記基板に設けられる蛍光粉層と、
前記基板に設けられ、10ppi~500ppiの間にある気孔密度を有し、又は5%~95%の間にある体積気孔率を有する通気孔性ブレードと、
を含む波長変換素子。
[項目2]
前記蛍光粉層と前記通気孔性ブレードは、それぞれ前記基板の反対する両側に位置する項目1に記載の波長変換素子。
[項目3]
前記蛍光粉層と前記通気孔性ブレードのそれぞれの前記基板への正投影は、少なくとも部分的に重なり合う項目1又は2に記載の波長変換素子。
[項目4]
前記蛍光粉層と前記通気孔性ブレードは、前記基板の同じ側に位置する項目1に記載の波長変換素子。
[項目5]
それぞれ前記基板の反対する両側に位置する2つの前記通気孔性ブレードを更に含む項目1に記載の波長変換素子。
[項目6]
前記通気孔性ブレードの材料は、金属、セラミック及びガラスの少なくとも1つを含む項目1~5の何れか1項に記載の波長変換素子。
[項目7]
前記基板は、Al、Ag、Cu、Fe及びMoの少なくとも1つを含む金属材料を含む項目1~6の何れか1項に記載の波長変換素子。
[項目8]
前記基板は、AlN、BN、SiC又はAl を含むセラミック材料を含む項目1~6の何れか1項に記載の波長変換素子。
[項目9]
前記基板は、Si、Ge、GaAs、InP、GaN、InAs、ZnSe、ZnS又はInSeを含む半導体材料を含む項目1~6の何れか1項に記載の波長変換素子。
[項目10]
前記基板の材料は、ガラス、石英、サファイア又はCaF を含む項目1~6の何れか1項に記載の波長変換素子。
[項目11]
前記通気孔性ブレードの代わりに非通気孔性ブレードを含み、前記非通気孔性ブレードは、5μm~1.25mmの間にある粗さを有し、又は、その比表面積が前記非通気孔性ブレードの幾何学面積の10%以上よりも大きい項目1~10の何れか1項に記載の波長変換素子。
[項目12]
光を発するように配置される光源と、
前記光を受光するように配置される項目1~11の何れか1項に記載の波長変換素子と、
前記波長変換素子に接続され、前記波長変換素子を駆動させて前記軸線の周りに回動させるように配置される駆動ユニットと、
を含み、
前記通気孔性ブレードは、全体的な幾何学形状を有し、前記駆動ユニットによって前記基板を駆動させて回動させる場合、前記全体的な幾何学形状によって乱流が発生し、且つ前記通気孔性ブレードの通気孔は同時にマイクロ渦流を導き出す光源モジュール。
【符号の説明】
【0044】
120、120A、120B、220、900 波長変換素子
121 基板
121a 軸孔
122 蛍光粉層
123、123a、123b1、123b2 通気孔性ブレード
130 駆動ユニット
131 回転軸
140 光源
223 非通気孔性ブレード
A 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9