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  • 特許-充電機能を有する櫛歯式駐車装置 図1
  • 特許-充電機能を有する櫛歯式駐車装置 図2
  • 特許-充電機能を有する櫛歯式駐車装置 図3
  • 特許-充電機能を有する櫛歯式駐車装置 図4
  • 特許-充電機能を有する櫛歯式駐車装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】充電機能を有する櫛歯式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20221115BHJP
   E04H 6/22 20060101ALI20221115BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/42 H
E04H6/22 B
E04H6/18 606D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018101981
(22)【出願日】2018-05-29
(65)【公開番号】P2019206823
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】大川 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】伊波 泰
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-149209(JP,A)
【文献】特開2012-167502(JP,A)
【文献】特開2013-079556(JP,A)
【文献】特開昭62-086272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
E04H 6/22
E04H 6/18
E04H 6/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を搭載して搬送路内を鉛直方向に移動する櫛歯形状のケージと、前記搬送路に隣接して設けられた複数の駐車室及び電気自動車の充電を行う充電駐車室と、前記駐車室及び前記充電駐車室に配置され前記ージの移動方向に対して直交方向へ横行移動する櫛形状の格納トレイと、前記駐車室及び前記充電駐車室に固設され、前記格納トレイの前部及び後部を支持する第一横行レールと、該第一横行レールの長手方向延長線上で前記搬送路内に固設された第二横行レールと、前側及び後側の該第二横行レールの両端部に前記格納トレイを横行移動させる横行装置と、該格納トレイと前記ケージとが上下にすれ違うことにより前記格納トレイと前記ケージとの間で前記車両を受け渡す櫛歯式駐車装置において、
前記充電駐車室に備えた給電ユニットと、該給電ユニットに接続して電力を供給される充電パレットと、該充電パレットの長手方向両側部に設けられ、前記給電ユニットと電気的に接触される受電接点と、前記充電パレットの長手方向両側縁部の上面に設けられ、前記受電接点及び前記電気自動車と電気的に接触されるコンセントを備え、
前記充電パレットは、該充電パレットの長手方向両側に配置された前記受電接点と前記コンセントとの距離が、左右で異なる距離で配置され、
前記櫛歯式駐車装置は、前記充電パレットに前記電気自動車を搭載して前記充電パレットと前記電気自動車とを電気的に接続し、前記充電パレットと前記電気自動車とが前記格納トレイに載置された状態で、前記第二横行レールに設けられた前記横行装置によって、前記充電パレットと前記電気自動車とを前記第一横行レールと前記第二横行レールに沿って、前記充電駐車室に搬送し格納することにより、前記充電パレットに設けられた前記受電接点と前記充電駐車室に設けられた前記給電ユニットが電気的に接触することで前記電気自動車の充電を行うことを特徴とする充電機能を有する櫛歯式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納した電気自動車の充電を行うことのできる、充電機能を有する櫛歯式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体駐車装置は、スペースの少ない土地に多数の車両を効率よく駐車できる駐車設備として住宅密集地等において広く利用されており、利用する土地の広狭や経済性などを考慮した種々の構造のものが提供されている。
【0003】
一方、近時、環境問題への関心の高まりから内燃機関の車両に替わるものとして電気自動車が注目されるとともに、目覚ましく一般社会へ普及してきている。この電気自動車は排気ガスを排出しないために環境の保全には優れているが、液体燃料に替えて電気自動車に搭載したバッテリーに電気を供給して充電する必要がある。したがって、この電気自動車が世間一般にひろく普及してゆくためには、街中や高速道路のサービスエリアなどにバッテリーを充電するための多くの設備が必要とされる。このようなことから、従来、格納中の電気自動車に対して充電が可能となるように構成した立体駐車装置が各種提案され、また実用化されている。
【0004】
このように電気自動車の充電が可能な立体駐車装置としての一般的な構成は、電気自動車へ接続して電力を供給する給電ケーブルやコンセントを車両を搭載するパレットに備え、パレット及び電気自動車が駐車室に格納されると駐車室の電源接点とパレットの受電接点とが接続され、受電接点から給電ケーブルを介して電気自動車の充電を行うように構成されている。そして、このような充電機能を有するパレットにおいては、パレットの駐車室への格納方向が左右いずれの方向であっても充電可能となるように、受電接点をパレットの左右両側に備えたり、また、種々の電気自動車における給電口位置の相違に対応するために、複数の給電ケーブルやコンセントをパレットに備えた構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、パレットを用いない櫛歯式の立体駐車装置における充電装置としては、以下のような構成が知られている。この構成においては、まず、電気自動車に接続して充電するためのプラグと、プラグへ通電するリード線と、駐車室に設置してリード線を巻回し、リード線を繰り出し及び巻取する巻取ドラムとを備えている。駐車室には、駐車室と昇降空間との間を伸縮するパンタグラフを備えており、これによりプラグないしリード線を支持するとともに、駐車室と昇降空間との間でプラグを移動させる。
【0006】
電気自動車の入出庫時には、駐車室に配置されたプラグがパンタグラフが伸長するとともに、巻取りドラムがリード線を送り出すことによって駐車室から昇降空間に移動し、そして、巻取りドラムの駆動回転によってリード線を延出することにより、昇降空間に移動したプラグが乗込場に降下する。この後、利用者がプラグを電気自動車に接続し、乗込場から利用者が退出すると、電気自動車が昇降空間を搬送されて駐車室に格納される。このときプラグないしリード線は、電気自動車の移動に同期して巻取りドラムによって巻き取られ、また、パンタグラフも同様に駐車室内へ収縮する。そして駐車室においてリード線に通電することにより、電気自動車の充電を行う(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-196338号公報
【文献】特開2013-079556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に記載された駐車装置は、プラグないしリード線がパンタグラフの先端から吊下されて揺動自在な状態であるので、プラグないしリード線が降下するときや乗込場に位置するときに不安定な状態である。また、プラグないしリード線の移動は、電気自動車の移動に同期して行う必要があり、リード線の巻取制御やパンタグラフの機構が複雑になってしまう。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、櫛歯式の立体駐車装置において、簡易な構成により電気自動車の充電を行うことのできる充電機能を有する櫛歯式駐車装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、車両を搭載して搬送路内を鉛直方向に移動する櫛歯形状のケージと、前記搬送路に隣接して設けられた複数の駐車室及び電気自動車の充電を行う充電駐車室と、前記駐車室及び前記充電駐車室に配置され前記ケージの移動方向に対して直交方向へ横行移動する櫛形状の格納トレイと、前記駐車室及び前記充電駐車室に固設され、前記格納トレイの前部及び後部を支持する第一横行レールと、該第一横行レールの長手方向延長線上で前記搬送路内に固設された第二横行レールと、前側及び後側の該第二横行レールの両端部に前記格納トレイを横行移動させる横行装置と、該格納トレイと前記ケージとが上下にすれ違うことにより前記格納トレイと前記ケージとの間で前記車両を受け渡す櫛歯式駐車装置において、
前記充電駐車室に備えた給電ユニットと、該給電ユニットに接続して電力を供給される充電パレットと、該充電パレットの長手方向両側部に設けられ、前記給電ユニットと電気的に接触される受電接点と、前記充電パレットの長手方向両側縁部の上面に設けられ、前記受電接点及び前記電気自動車と電気的に接触されるコンセントを備え、前記充電パレットは、該充電パレットの長手方向両側に配置された前記受電接点と前記コンセントとの距離が、左右で異なる距離で配置され、前記櫛歯式駐車装置は、前記充電パレットに前記電気自動車を搭載して前記充電パレットと前記電気自動車とを電気的に接続し、前記充電パレットと前記電気自動車とが前記格納トレイに載置された状態で、前記第二横行レールに設けられた前記横行装置によって、前記充電パレットと前記電気自動車とを前記第一横行レールと前記第二横行レールに沿って、前記充電駐車室に搬送し格納することにより、前記充電パレットに設けられた前記受電接点と前記充電駐車室に設けられた前記給電ユニットが電気的に接触することで前記電気自動車の充電を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通常の櫛歯式駐車装置に充電パレットと給電ユニットを備える簡易な構成により電気自動車の充電を行うことができ、既存の櫛歯式駐車装置にも容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】櫛歯式駐車装置の概略を示す正面図
図2】櫛歯式駐車装置の概略を示す平面図
図3】充電パレットの斜視図
図4】入庫時の動作説明図
図5】格納時の動作説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、櫛歯式駐車装置の概略を示す正面図及び平面図である。尚、以降の説明においては、特に説明の無いかぎり、駐車する車両の前後方向を装置の前後方向とし、車両の左右方向を装置の左右方向として説明する。
【0014】
櫛歯式駐車装置10の内部には、中央を上下に貫通する搬送路11が形成されており、この搬送路11内には車両16を搭載して昇降するケージ12を備えている。搬送路11の四隅には、ケージ12を案内するガイドレール13が立設されており、ケージ12はこれに沿って垂直方向へ昇降する。搬送路11の両側方には、複数の駐車室14が上下多段に形成されており、各駐車室14には、車両16を搭載して格納するための格納トレイ15をそれぞれ備えている。
【0015】
図2に示すように格納トレイ15は、前端部と後端部において水平横方向へ延びる横フレーム20と、両横フレーム20の中央部間を連結する縦フレーム21とを有しており、この縦フレーム21の前部および後部には、両側方に向けて櫛歯形状のトレイフォーク22が形成されている。横フレーム20には、複数の横行ローラー23を回転自在に備えており、この横行ローラ23を介して格納トレイ15は、駐車室14に固設した第1横行レール24上に横行自在に支持されている。
【0016】
前記ケージ12は、左右一対で構成されており、左右各々の両端部で前後方向へ延びるサイドフレーム17と、これらのサイドフレーム17の内側方向へ櫛歯形状に一体形成されて、車両16の前後の車輪を支持するケージフォーク18とを備えている。このケージフォーク18の櫛歯と前記格納トレイ15に形成されたトレイフォーク22の櫛歯とは、平面視において重なり合ったときに互い違いとなるように形成されており、互いに上下方向へすれ違うことが可能となっている。前記各サイドフレーム17の前後端部は、垂直方向に張架された四本の索条25に連結されており(図1参照)、この索条25を搬送路11の上部に備えたケージ駆動装置26によって同期して駆動することにより、ケージ12が搬送路11内を昇降移動する。また、各サイドフレーム17の前後端部には、それぞれガイドローラー19を回転自在に軸支し、このガイドローラー19がガイドレール13に案内されてケージ12が搬送路11内を昇降する。
【0017】
搬送路11には、前記第1横行レール24の長手方向延長線上に位置して第2横行レール27が固設されており、これにより搬送路11内で格納トレイ15が支持される。第2横行レール27の両外側には、格納トレイ15を横行移動させる横行装置28を備えている。横行装置28の左右上部にはチェーン29が連結されており(図1参照)、このチェーン29を搬送路11の上部に設けた昇降駆動装置30で駆動することにより、前側及び後側の横行装置28は搬送路11内を同期して昇降する。車両16の入庫時及び出庫時には、該当する駐車室14の位置へ横行装置28が移動し、駐車室14から格納トレイ15を搬送路11内へ移動させ、この後ケージ12が昇降して格納トレイ15と上下にすれ違うことにより、ケージ12と格納トレイ15との間で車両16の受け渡しが行われる。この受け渡しが終了すると格納トレイ15は、横行装置28により再び駐車室14に格納される。
【0018】
上記駐車室14のうち特定の駐車室14は、電気自動車の充電を行う充電駐車室14aとなっている。充電駐車室14aにおいては、格納トレイ15上に充電パレット40が載置されており、また、この充電パレット40に電力を供給する給電ユニット43が充電駐車室14aに備えられている。
【0019】
図3は、電気自動車を搭載して充電を行う充電パレット40の斜視図である。充電パレット40には、受電接点41a及び41bを長手方向両側部に備えるとともに、側縁部の上面にコンセント42a及び42bを備えており、受電接点41a及び41bとコンセント42a及び42bとは電気的に接続されている。コンセント42a又は42bには、電気自動車に付属の充電ケーブルの一端を接続し、他端を電気自動車に接続することによりコンセント42a及び42bと電気自動車とが電気的に接続される。このようにコンセント42a及び42bと電気自動車とが接続された状態で充電パレット40が充電駐車室14aに格納されると、上記したように充電駐車室14aの給電ユニット43からいずれかの受電接点41a、41bへ電力が供給され、コンセント42a又は42b及び充電ケーブルを介して電気自動車の充電が行われる。
【0020】
以上の構成により、次のようにして電気自動車の充電を行う。図4は、入庫時の動作説明図である。利用者が運転操作盤を操作して、電気自動車を充電する選択をした後運転を開始すると、図4(a)に示すように充電パレット40を載置した格納トレイ15が充電駐車室14aから搬送路11へ横行するとともに、入出庫室32に停止していたケージ12が上昇する。次いで、図4(b)に示すように、ケージ12と格納トレイ15がすれ違って充電パレット40がケージ12へ受け渡される。続いて、図4(c)に示すように、格納トレイ15が充電駐車室14aへ横行した後、図4(d)に示すようにケージ12及び充電パレット40が下降して入出庫室32に停止する。この後、電気自動車が入出庫室32に進行し、充電パレット40上に停止する。
【0021】
続いて、図5は、電気自動車の格納時の動作説明図である。図5(a)に示すように、電気自動車45を充電パレット40上に停止させて降車した利用者は、電気自動車45の充電口と充電パレット40のコンセント42a又は42bとを充電ケーブル44により接続する。この後、利用者は入出庫室32から退出し、外部の運転操作盤を操作して運転を開始すると、ケージ12ないし電気自動車45が搬送路11を上昇する。次いで、図5(b)に示すように、ケージ12ないし電気自動車45は充電駐車室14aの格納トレイ15よりも若干高い位置で停止し、この後、格納トレイ15が充電駐車室14aから搬送路11内へ横行する。続いて、図5(c)に示すように、ケージ12ないし電気自動車45が下降し、ケージ12と格納トレイ15がすれ違うとともに、充電パレット40及び電気自動車45が格納トレイ15に受け渡される。この後、図5(d)に示すように、ケージ12は下降して入出庫室32で停止し、格納トレイ15ないし電気自動車45は横行して充電駐車室14a内で停止する。このときに、入出庫室32に備えた給電ユニット43と充電パレット40の受電接点41a又は41bとが電気的に接続され、充電パレット40のコンセント42a又は42b及び充電ケーブル44を介して電気自動車45へ電力が供給されて電気自動車45の充電が行われる。
【0022】
尚、以上の説明では、駐車室を上下方向に配置したエレベータ方式の櫛歯式駐車装置で説明を行ったが、上記の充電パレット40を採用する構成は、駐車室を平面方向に配置した、いわゆる平面往復方式の櫛歯式駐車装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0023】
10 櫛歯式駐車装置
11 搬送路
12 ケージ
13 ガイドレール
14 駐車室
14a 充電駐車室
15 格納トレイ
16 車両
17 サイドフレーム
18 ケージフォーク
19 ガイドローラー
20 横フレーム
21 縦フレーム
22 トレイフォーク
23 横行ローラー
24 第1横行レール
25 索条
26 ケージ駆動装置
27 第2横行レール
28 横行装置
29 チェーン
30 昇降駆動装置
32 入出庫室
40 充電パレット
41a 受電接点
41b 受電接点
42a コンセント
42b コンセント
43 給電ユニット
44 充電ケーブル
45 電気自動車
図1
図2
図3
図4
図5