(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
B67D 3/02 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B67D3/02 Z
(21)【出願番号】P 2018120836
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 賢二
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-193743(JP,A)
【文献】特開2010-228807(JP,A)
【文献】中国実用新案第203914543(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 3/00
B67D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に細長い筐体(2)と、
前記筐体(2)の上部に載置される交換式の水ボトル(4)と、
前記筐体(2)の内部に設けられ、前記水ボトル(4)から飲料水が供給される冷水タンク(20)と、
前記冷水タンク(20)内の飲料水の自重で前記冷水タンク(20)から前記筐体(2)の外部の冷水コック(5)に飲料水を注出する冷水注出管(21)と、を有し、
前記水ボトル(4)は、胴部(11)と、その胴部(11)の一端に肩部(12)を介して設けられた首部(13)と、その首部(13)の先端に取り付けられたキャップ(15)とを有し、前記胴部(11)は、残水量の減少に伴って収縮するように柔軟性をもたせて形成され、
前記筐体(2)の上部には、前記水ボトル(4)を前記筐体(2)の上部に載置したときに水ボトル(4)の首部(13)を受け入れるように上方に開口する有底筒状に形成されたカップ部(30)と、水ボトル(4)の肩部(12)を支持するように前記カップ部(30)の周囲に形成されたボトル載置面(3)とが設けられ、
前記カップ部(30)には、前記水ボトル(4)を前記筐体(2)の上部に載置したときに前記キャップ(15)の中央に形成された水出口(31)に嵌合するように前記カップ部(30)の内底面(32)から上向きに延びる筒状の突き刺し棒(33)が設けられているウォーターサーバーにおいて、
前記冷水タンク(20)は、前記カップ部(30)の径方向外側の領域に、前記カップ部(30)の内底面(32)よりも高い位置まで飲料水を収容可能に設けられ、
前記冷水タンク(20)の内部には、
前記突き刺し棒(33)から前記冷水タンク(20)内への飲料水の流路に設けられた弁体(39)と、前記冷水タンク(20)内の飲料水の水位の変動に応じて上下動するフロート(40)と、前記フロート(40)の動きを前記弁体(39)に伝えるアーム(41)とを有するフロートバルブ(38)であって、前記冷水タンク(20)内の飲料水の水位が前記カップ部(30)の内底面(32)よりも高い所定のバルブ作動水位に達したときに、前記水ボトル(4)から前記冷水タンク(20)への飲料水の流れを停止するフロートバルブ(38)が設けられていることを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項2】
前記突き刺し棒(33)の表面には、前記突き刺し棒(33)が前記キャップ(15)の水出口(31)に嵌合した状態で、前記水ボトル(4)内の飲料水を突き刺し棒(33)の内部に受け入れる通水孔(34)が開口し、
前記所定のバルブ作動水位が前記突き刺し棒(33)の通水孔(34)の高さよりも低くなるように前記フロートバルブ(38)が設置されている請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記冷水タンク(20)は、前記カップ部(30)の外周を180°以上取り囲むように形成されている請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記突き刺し棒(33)の内部と前記冷水タンク(20)の間を連通する原水導入管(35)を更に有し、
前記原水導入管(35)の冷水タンク(20)の側の端部は、前記原水導入管(35)の突き刺し棒(33)の側の端部よりも低い位置で前記冷水タンク(20)に接続されている請求項1から3のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項5】
前記冷水タンク(20)内の前記バルブ作動水位よりも高い位置から前記水ボトル(4)に空気を導入する吸気管(42)を更に有する請求項1から4のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミネラルウォーター等の飲料水を充填した交換式の水ボトルから飲料水を供給するウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。このようなウォーターサーバーとして、
図6、
図7に示すように、交換式の水ボトルを筐体の上部に載置して用いるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のウォーターサーバーは、
図7に示すように、上下に細長い筐体50と、その筐体50の上部に載置される交換式の水ボトル51と、筐体50の内部に設けられた冷水タンク52と、冷水タンク52内の飲料水の自重で冷水タンク52から、筐体50の外部の冷水コック53に飲料水を注出する冷水注出管54とを有する。
【0004】
ここで、水ボトル51は、胴部55と、その胴部55の一端に肩部56を介して設けられた首部57と、その首部57の先端に取り付けられたキャップ58とを有する。水ボトル51の胴部55は、残水量の減少に伴って収縮するように柔軟性をもたせて形成されている。
【0005】
筐体50の上部には、水ボトル51を筐体50の上部に載置したときに水ボトル51の首部57を受け入れるように上方に開口する有底筒状に形成されたカップ部59と、水ボトル51の肩部56を支持するようにカップ部59の周囲に形成されたボトル載置面60とが設けられている。カップ部59には、カップ部59の内底面から上向きに延びる筒状の突き刺し棒61が設けられ、水ボトル51を筐体50の上部に載置したときに、その突き刺し棒61が、水ボトル51の首部57の先端のキャップ58の中央に形成された水出口に嵌合する。
【0006】
筐体50の内部の冷水タンク52は、水ボトル51内の飲料水の自重で、水ボトル51から冷水タンク52に飲料水が落下するように、水ボトル51の首部57を受け入れるカップ部59よりも低い位置に配置されている。冷水タンク52の内部には、冷水タンク52内の飲料水の水位が所定水位に達したときに、水ボトル51から冷水タンク52への飲料水の流れを停止するフロートバルブ63が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願の発明者は、
図6、
図7に示すような従来のウォーターサーバーは、冷水コック53の位置が低く、冷水コック53から飲料水を注出するときに、カップ等で飲料水を受ける操作がしにくいという課題があることに着眼した。
【0009】
すなわち、交換用の水ボトル51は、通常10~12リットル程度の飲料水が収容され、相当の重量がある。そのため、水ボトル51を交換するときに、新品の水ボトル51をウォーターサーバーの筐体50の上部に載置する作業は、ウォーターサーバーのユーザー(特に女性や高齢者など)にとって負担が大きい。この水ボトル51の交換作業の負担を抑えるには、筐体50の上部のボトル載置面60の高さh1を、なるべく低く設定することが好ましい。
【0010】
一方、このウォーターサーバーは、筐体50の上部に載置した水ボトル51から冷水タンク52に飲料水を導入するために、ポンプを使用せずに飲料水の自重を利用している。同じく、筐体50の内部の冷水タンク52から筐体50の外部の冷水コック53に飲料水を注出するために、ポンプを使用せずに飲料水の自重を利用している。そのため、冷水コック53から注出される飲料水の流量を確保するには、筐体50の上部のボトル載置面60から、冷水コック53までの高低差h2を確保する必要がある。
【0011】
以上のように、水ボトル51の交換作業の負担を抑えるには、筐体50の上部のボトル載置面60の高さh1を低く設定する必要があり、一方、冷水コック53から注出される飲料水の流量を確保するには、筐体50の上部のボトル載置面60から、冷水コック53までの高低差h2を確保する必要がある。そのため、筐体50における冷水コック53の高さh3が低くならざるを得ず、冷水コック53から飲料水を注出するときに、カップ等で飲料水を受ける操作がしにくいという問題があった。
【0012】
この発明が解決しようとする課題は、筐体の上部のボトル載置面の高さを抑えながら、冷水コックの高さを高くすることが可能なウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明では、以下の構成のウォーターサーバーを提供する。
上下に細長い筐体と、
前記筐体の上部に載置される交換式の水ボトルと、
前記筐体の内部に設けられ、前記水ボトルから飲料水が供給される冷水タンクと、
前記冷水タンク内の飲料水の自重で前記冷水タンクから前記筐体の外部の冷水コックに飲料水を注出する冷水注出管と、を有し、
前記水ボトルは、胴部と、その胴部の一端に肩部を介して設けられた首部と、その首部の先端に取り付けられたキャップとを有し、前記胴部は、残水量の減少に伴って収縮するように柔軟性をもたせて形成され、
前記筐体の上部には、前記水ボトルを前記筐体の上部に載置したときに水ボトルの首部を受け入れるように上方に開口する有底筒状に形成されたカップ部と、水ボトルの肩部を支持するように前記カップ部の周囲に形成されたボトル載置面とが設けられ、
前記カップ部には、前記水ボトルを前記筐体の上部に載置したときに前記キャップの中央に形成された水出口に嵌合するように前記カップ部の内底面から上向きに延びる筒状の突き刺し棒が設けられているウォーターサーバーにおいて、
前記冷水タンクは、前記カップ部の径方向外側の領域に、前記カップ部の内底面よりも高い位置まで飲料水を収容可能に設けられ、
前記冷水タンクの内部には、冷水タンク内の飲料水の水位が前記カップ部の内底面よりも高い所定のバルブ作動水位に達したときに、前記水ボトルから前記冷水タンクへの飲料水の流れを停止するフロートバルブが設けられていることを特徴とするウォーターサーバー。
【0014】
このようにすると、冷水タンク内の水位がカップ部の内底面よりも高い位置にくるように冷水タンクおよびフロートバルブが設けられているので、ボトル載置面から冷水タンク内の水位までの高低差が小さい。そのため、冷水タンク内の飲料水の水面から冷水コックまでの高低差を確保しても、ボトル載置面から冷水コックまでの高低差を小さく抑えることができ、筐体の上部のボトル載置面の高さを抑えながら、冷水コックの高さを高くすることが可能となる。
【0015】
このウォーターサーバーは、次の構成を加えると好ましい。
前記突き刺し棒の表面には、前記突き刺し棒が前記キャップの水出口に嵌合した状態で、前記水ボトル内の飲料水を突き刺し棒の内部に導入する通水孔が開口し、
前記所定のバルブ作動水位が前記突き刺し棒の通水孔の高さよりも低くなるように前記フロートバルブが設置されている。
【0016】
このようにすると、フロートバルブのバルブ作動水位が突き刺し棒の通水孔の高さよりも低いので、水ボトルの残水量が少なくなったときにも、フロートバルブが確実に作動する。
【0017】
前記冷水タンクは、前記カップ部の外周を180°以上取り囲むように形成すると好ましい。
【0018】
このようにすると、冷水タンクの水平断面積を大きくとれるので、冷水タンクの容量を確保しながら、冷水タンクの底面を高く配置することができる。そのため、冷水タンク内の飲料水の量が少なくなったときにも、冷水コックから注出される飲料水の流量を確保することが可能となる。
【0019】
前記突き刺し棒の内部と前記冷水タンクの間を連通する原水導入管を更に有する場合、前記原水導入管の冷水タンクの側の端部は、前記原水導入管の突き刺し棒の側の端部よりも低い位置で前記冷水タンクに接続すると好ましい。
【0020】
このようにすると、原水導入管の突き刺し棒の側の端部よりも、原水導入管の冷水タンクの側の端部の方が低い位置にあるので、冷水タンクの飲料水を使い切ったときに、原水導入管の内部の飲料水を円滑に冷水タンクに排出することができ、原水導入管に飲料水が残るのを防止することができる。
【0021】
前記冷水タンク内の前記バルブ作動水位よりも高い位置から前記水ボトルに空気を導入する吸気管を更に設けると好ましい。
【0022】
このようにすると、水ボトルの飲料水が残り少なくなったときに、冷水タンクの内部の空気層から吸気管を通って水ボトルに空気が導入されるので、水ボトルの内部が負圧になるのを防止することができ、水ボトルの飲料水を円滑に使い切ることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
この発明のウォーターサーバーは、冷水タンク内の水位がカップ部の内底面よりも高い位置にくるように冷水タンクおよびフロートバルブが設けられているので、ボトル載置面から冷水タンク内の水位までの高低差が小さい。そのため、冷水タンク内の飲料水の水面から冷水コックまでの高低差を確保しても、ボトル載置面から冷水コックまでの高低差を小さく抑えることができ、筐体の上部のボトル載置面の高さを抑えながら、冷水コックの高さを高くすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の実施形態のウォーターサーバーを示す正面図
【
図4】
図3に示す水ボトルの飲料水を使い切り、冷水タンク内の飲料水の水位が下がった状態を示す図
【
図5】
図3に示す水ボトルに空気を導入する吸気管を追加した変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、この発明の実施形態のウォーターサーバー1を示す。このウォーターサーバー1は、水平な床面の上方に配置された上下に細長い筐体2と、筐体2の上部のボトル載置面3に載置される交換式の水ボトル4と、筐体2の外部に低温の飲料水を注出する冷水コック5と、筐体2の外部に高温の飲料水を注出する温水コック6とを有する。
【0026】
図2に示すように、筐体2は、上下方向に延びる筒壁7と、筒壁7の上端を閉じるように設けられた天板8と、筒壁7の下部に設けられた底板9とを有する。筐体2の上部には、水ボトル4を覆う化粧カバー10が取り付けられている。
【0027】
水ボトル4は、筒状の胴部11と、その胴部11の一端に肩部12を介して設けられた首部13と、胴部11の他端に設けられた底部14と、首部13の先端に取り付けられたキャップ15とを有する。水ボトル4の胴部11は、残水量の減少に伴って収縮するように柔軟性をもたせて形成されている。ここで、首部13は、胴部11の外周よりも小径の筒体であり、肩部12は、胴部11と首部13の間を接続する部分である。水ボトル4は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂のブロー成形によって形成することができる。水ボトル4の容量は、満水状態で12リットル程度である。
【0028】
筐体2の内部には、水ボトル4から飲料水が供給される冷水タンク20と、冷水タンク20内の飲料水の自重で冷水タンク20から筐体2の外部の冷水コック5に飲料水を注出する冷水注出管21と、冷水タンク20よりも低い位置に配置された温水タンク22と、冷水タンク20と温水タンク22の間を連通するタンク接続管23と、温水タンク22内の高温の飲料水を筐体2の外部の温水コック6に注出する温水注出管24とが設けられている。
【0029】
温水タンク22には、温水タンク22内に収容された飲料水を加熱する加熱装置25が取り付けられている。加熱装置25は、温水タンク22内の飲料水を高温(90℃程度)に保つ。温水注出管24の上流側の端部は、温水タンク22の上面に接続され、温水注出管24の下流側の端部は、温水コック6(
図1参照)に接続されている。温水コック6を開くと、温水タンク22内の高温の飲料水が温水注出管24を通って注出される。このとき、温水タンク22から注出した飲料水と同量の飲料水が、タンク接続管23を通って冷水タンク20から温水タンク22に流入し、温水タンク22は常に満水状態に保たれる。
【0030】
図3に示すように、筐体2の天板8は、水ボトル4を筐体2の上部に載置したときに水ボトル4の首部13を受け入れるように上方に開口する有底筒状に形成されたカップ部30と、水ボトル4の肩部12を支持するようにカップ部30の周囲に形成されたボトル載置面3とを有する。カップ部30には、水ボトル4を筐体2の上部に載置したときにキャップ15の中央に形成された水出口31に嵌合するようにカップ部30の内底面32から上向きに延びる筒状の突き刺し棒33が設けられている。
【0031】
突き刺し棒33は、水ボトル4の水出口31に締め代をもって嵌合するように鉛直に延びる中空の筒体である。突き刺し棒33の表面には、突き刺し棒33がキャップ15の水出口31に嵌合した状態で、水ボトル4内の飲料水を突き刺し棒33の内部に受け入れる通水孔34が開口している。突き刺し棒33と冷水タンク20は、原水導入管35を介して接続され、突き刺し棒33に水出口31を嵌合させた水ボトル4内の飲料水が、その自重で突き刺し棒33と原水導入管35を順に通って冷水タンク20に導入されるようになっている。原水導入管35の冷水タンク20の側の端部は、原水導入管35の突き刺し棒33の側の端部よりも低い位置で冷水タンク20に接続されている。
【0032】
冷水タンク20は、空気と飲料水を上下二層に収容している。冷水タンク20には、冷水タンク20内に収容された飲料水を冷却する冷却装置36が取り付けられている。冷却装置36は、冷水タンク20内の飲料水を低温(5℃程度)に保つ。冷水注出管21の上流側の端部は、冷水タンク20の下面に接続され、冷水注出管21の下流側の端部は、冷水コック5(
図1参照)に接続されている。冷水コック5を開くと、冷水タンク20内の低温の飲料水が冷水注出管21を通って注出される。
【0033】
冷水タンク20は、カップ部30の外周と筐体2の内周との間の環状空間を用いて飲料水を収容するように、カップ部30の径方向外側の領域に配置されている。そのような冷水タンク20として、カップ部30の外周を360°取り囲む円環状の部分をもつように形成されたタンクや、カップ部30の外周を180°以上360°未満の角度で取り囲むように半円環状または馬蹄形状に形成されたタンクを採用することができる。
【0034】
冷水タンク20は、カップ部30の内底面32よりも高い位置まで飲料水を収容することができるように、カップ部30と水平に並ぶ位置に配置されている。冷水タンク20の上面には、フィルタを介して空気が出入りする空気取り入れ口37が設けられている。
【0035】
冷水タンク20の内部には、冷水タンク20内の飲料水の水位に応じて、水ボトル4から冷水タンク20への飲料水の流れを停止する閉弁状態と、水ボトル4から冷水タンク20への飲料水の流れを許容する開弁状態とを切り換えるフロートバルブ38が設けられている。フロートバルブ38は、突き刺し棒33から冷水タンク20内への飲料水の流路に設けられた弁体39と、冷水タンク20内の飲料水の水位の変動に応じて上下動するフロート40と、フロート40の動きを弁体39に伝えるアーム41とを有する。アーム41は、弁体39の位置から上方に延びてフロート40に至る形状を有する。このフロートバルブ38は、冷水タンク20内の飲料水の水位がカップ部30の内底面32よりも高い所定のバルブ作動水位(
図3に示す水位)に達したときに、水ボトル4から冷水タンク20への飲料水の流れを停止する。
【0036】
フロートバルブ38は、フロートバルブ38が作動する所定のバルブ作動水位(
図3に示す冷水タンク20の水位)が、突き刺し棒33の通水孔34の高さ(
図4に示すように水ボトル4の飲料水を使い切ったときに水ボトル4内に残る飲料水の水位)よりも低くなるように設置されている。
【0037】
このウォーターサーバー1の動作例を説明する。
【0038】
図2に示す冷水コック5を操作すると、冷水タンク20内の低温の飲料水が、その自重で冷水注出管21を通って注出され、冷水タンク20内の水位が下がる。このとき、
図3に示す空気取り入れ口37を通って外部から冷水タンク20に空気が導入され、冷水タンク20の内部の圧力が大気圧に保たれるので、冷水タンク20内の低温の飲料水は円滑に注出される。冷水タンク20内の水位が下がると、フロートバルブ38が開き、水ボトル4から冷水タンク20に飲料水が供給され、冷水タンク20内の水位が上がる。そして、冷水タンク20内の水位が、バルブ作動水位(
図3に示す水位)に達すると、フロートバルブ38が閉じ、水ボトル4から冷水タンク20への飲料水の供給が停止する。そして、
図4に示すように、水ボトル4の飲料水を使い切ると、その後、フロートバルブ38は開弁状態のままとなり、水ボトル4の交換時期となる。
【0039】
このウォーターサーバー1は、
図3に示すように、冷水タンク20内の水位がカップ部30の内底面32よりも高い位置にくるように冷水タンク20およびフロートバルブ38が配置されているので、ボトル載置面3から冷水タンク20内の水位までの高低差が小さい。そのため、冷水タンク20内の飲料水の水面から冷水コック5までの高低差を確保しても、
図1に示すボトル載置面3から冷水コック5までの高低差H2を小さく抑えることができ、その結果、筐体2の上部のボトル載置面3の高さH1を抑えながら、冷水コック5の高さH3を高くすることが可能である。
【0040】
また、このウォーターサーバー1は、フロートバルブ38のバルブ作動水位(
図3に示す冷水タンク20内の飲料水の水位)が突き刺し棒33の通水孔34の高さ(
図4に示す水ボトル4内の飲料水の水位)よりも低いので、水ボトル4の残水量が少なくなったときにも、フロートバルブ38が確実に作動する。そのため、水ボトル4の残水量が少なくなったときにも、冷水タンク20内の飲料水が水ボトル4に逆流したり、水ボトル4を突き刺し棒33から取り外したときに、突き刺し棒33の通水孔34から飲料水が溢れ出したりするのを防止することが可能である。
【0041】
また、このウォーターサーバー1は、カップ部30の外周を180°以上取り囲むように冷水タンク20が形成されているので、冷水タンク20の水平断面積が大きい。そのため、冷水タンク20の容量を確保しながら、冷水タンク20の底面を高く配置することができる。その結果、冷水タンク20内の飲料水の量が少なくなったときにも、冷水コック5から注出される飲料水の流量を確保することが可能となっている。
【0042】
また、このウォーターサーバー1は、原水導入管35の突き刺し棒33の側の端部よりも、原水導入管35の冷水タンク20の側の端部の方が低い位置にあるので、冷水タンク20の飲料水を使い切ったときに、原水導入管35の内部の飲料水を円滑に冷水タンク20に排出することができ、原水導入管35に飲料水が残るのを防止することができる。
【0043】
図5に示すように、冷水タンク20内のバルブ作動水位よりも高い位置から水ボトル4に空気を導入する吸気管42を更に設けてもよい。このようにすると、水ボトル4の飲料水が残り少なくなったときに、冷水タンク20の内部の空気層から吸気管42を通って水ボトル4に空気が導入されるので、水ボトル4の内部が負圧になるのを防止することができ、水ボトル4の飲料水を円滑に使い切ることが可能となる。
図5において、吸気管42には、フロートバルブ38の作動水位と同じかそれよりも高い設定水位で吸気管42の端部を開放し、その設定水位よりも低い水位で吸気管42の端部を閉鎖する第2のフロートバルブ43が設けられている。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1 ウォーターサーバー
2 筐体
3 ボトル載置面
4 水ボトル
11 胴部
12 肩部
13 首部
15 キャップ
20 冷水タンク
21 冷水注出管
30 カップ部
31 水出口
32 内底面
33 突き刺し棒
34 通水孔
35 原水導入管
38 フロートバルブ
42 吸気管