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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】非常用標識灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20221115BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20221115BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20221115BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20221115BHJP
   F21W 111/06 20060101ALN20221115BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221115BHJP
【FI】
F21S2/00 664
F21S9/02 200
F21V23/04 500
B64F1/36
F21W111:06
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018137240
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020013764
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.平成30年3月30日東京航空局東京空港事務所へ「非常用滑走路灯、低光度滑走路灯」及び「非常用滑走路末端灯」の販売 2.平成30年5月25日石川県山代温泉「瑠璃光」内コンベンションホール「花離宮」において開催された第39回西日本地区空港メンテナンス会総会にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】598155759
【氏名又は名称】日本光機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】仲野 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】青木 謙児
(72)【発明者】
【氏名】福田 真哲
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0050996(US,A1)
【文献】特開2013-059188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0302766(US,A1)
【文献】特開2016-129104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 9/02
F21V 23/04
B64F 1/36
F21W 111/06
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に立設された棒、筒状又はブロック状の取付部材に取り付けられる非常用標識灯であって、
地面に載置される平板状の底面と、前記底面の上側に設けられた肉厚板状の灯体部であって、内部が空洞の灯体部と、を有する筐体と、
前記灯体部の側面に設けられた1又は複数の発光部と、
前記灯体部の内部に設けられ、前記発光部に電力供給を行うバッテリと、
を備え、
前記底面には、前記取付部材が挿入される孔が形成されており、
平面視において、前記灯体部と前記孔との位置が異なる
ことを特徴とする非常用標識灯。
【請求項2】
請求項1に記載の非常用標識灯であって、
前記底面は、前記灯体部の下側に設けられた主底面と、前記主底面と同一平面上に設けられた平板状の可動部と、を有し、
前記主底面には、第1孔が形成され、前記可動部には、第2孔が形成され、
前記底面には、前記主底面に対して前記可動部を回動可能に取り付けるヒンジと、前記主底面と前記可動部とが対向し、かつ前記第1孔及び前記第2孔が一体となり前記孔を構成する閉状態にあるときに前記主底面と前記可動部とを固定する固定部と、が設けられている
ことを特徴とする非常用標識灯。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非常用標識灯であって、
前記孔は円形状であり、前記孔の側面には、複数の連続した凹凸が形成されている
ことを特徴とする非常用標識灯。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の非常用標識灯であって、
前記発光部は、第1発光部と第2発光部を有し、
前記灯体部は、平面視における形状が円形形状であり、
前記第1発光部及び前記第2発光部は、平面視において、前記孔の中心点と前記灯体部の中心点とを結んだ線を対象軸とする線対称の位置に配置されている
ことを特徴とする非常用標識灯。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の非常用標識灯であって、
前記灯体部には、外部からの光又は電波を受信する受信部と、前記受信部における受信結果に基づいて前記発光部の点灯と消灯とを切り替える制御部と、が設けられている
ことを特徴とする非常用標識灯。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の非常用標識灯であって、
前記取付部材は、一定以上の荷重が加わったとき切断溝から上部が破損するように構成された可折接手であり、
前記孔の内部には、前記可折接手のうちの前記切断溝より下側に設けられた平面視六角形状の六角部が挿入される
ことを特徴とする非常用標識灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用標識灯に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、頂部に光源部が取り付けられた灯体が可折接手の上側に設けられた航空標識灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-103187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可折接手は、事故やトラブルなどにより航空機が接触し灯体に一定以上の荷重が加わった場合に、航空機機体の安全確保のため、切断溝で折れるように構成されている。また、津波など被災した場合も同様に折れる。特許文献1に記載の航空標識灯は、可折接手の切断溝より上側に灯体が取り付けられているため、可折接手が切断溝で折れた場合には、可折接手と共に灯体が倒れてしまう。言い換えれば、特許文献1に記載の航空標識灯は、可折接手が折れるような非常時には使用できないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、非常時に使用することができ、かつ平常時に標識灯の機能を妨げることがない非常用標識灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る非常用標識灯は、例えば、地面に立設された略棒状、略筒状又はブロック状の取付部材に取り付けられる非常用標識灯であって、地面に載置される略平板状の底面と、前記底面の上側に設けられた肉厚板状の灯体部であって、内部が空洞の灯体部と、を有する筐体と、前記灯体部の側面に設けられた1又は複数の発光部と、前記灯体部の内部に設けられ、前記発光部に電力供給を行うバッテリと、を備え、前記底面には、前記取付部材が挿入される略円形状の孔が形成されており、平面視において、前記灯体部と前記孔との位置が異なることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る標識用灯器によれば、灯体部の内部にバッテリが設けられており、灯体部の側面に発光部が設けられている。これにより、非常時に使用することができる。また、灯体部は肉厚板状であり、略平板状の底面には、地面に立設された取付部材が挿入される孔が、平面視において灯体部と異なる位置に形成される。これにより、平常時に標識灯の機能を妨げることはない。
【0008】
ここで、前記底面は、前記灯体部の下側に設けられた主底面と、前記主底面と略同一平面上に設けられた略平板状の可動部と、を有し、前記主底面には、第1孔が形成され、前記可動部には、第2孔が形成され、前記底面には、前記主底面に対して前記可動部を回動可能に取り付けるヒンジと、前記主底面と前記可動部とが対向し、かつ前記第1孔及び前記第2孔が一体となり前記孔を構成する閉状態にあるときに前記主底面と前記可動部とを固定する固定部と、が設けられていてもよい。これにより、非常用標識灯を載置したまま、取付部材の載置面近傍に非常用標識灯を取り付けることができる
【0009】
ここで、前記孔は略円形状であり、前記孔の側面には、複数の連続した凹凸が形成されていてもよい。これにより、略円形状の穴に平面視略矩形形状の取付部材を取り付けることができる。また、非常用標識灯が取付部材に対して回転方向に動かなくなる。
【0010】
ここで、前記発光部は、第1発光部と第2発光部を有し、前記灯体部は、平面視における形状が略円形形状であり、前記第1発光部及び前記第2発光部は、平面視において、前記孔の中心点と前記灯体部の中心点とを結んだ線を対象軸とする線対称の位置に配置されていてもよい。これにより、広範囲に光を照射することができる。
【0011】
ここで、前記発光部は、仰角の中心が略2.5度~略5度となり、仰角の最小値が0度以下となるように設けられていてもよい。これにより、載置面が傾いている場合でも既定の光度を満足することができる。
【0012】
ここで、前記灯体部には、外部からの光又は電波を受信する受信部と、前記受信部における受信結果に基づいて前記発光部の点灯と消灯とを切り替える制御部と、が設けられていてもよい。これにより、非常時に容易に点灯可能である。また、複数の非常用標識灯を一度に操作することができる。
【0013】
ここで、前記取付部材は、一定以上の荷重が加わったとき切断溝から上部が破損するように構成された可折接手であり、前記孔の内部には、前記可折接手のうちの前記切断溝より下側に設けられた平面視略六角形状の六角部が挿入されていてもよい。これにより、可折接手の切断溝から上部が破損するような非常時に非常用標識灯を使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非常時に使用することができ、かつ平常時に標識灯の機能を妨げることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る非常用標識灯1の概略を示す斜視図である。
図2】非常用標識灯1の概略構成を示す6面図であり、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は背面図である。
図3】筐体蓋14を開けた状態における非常用標識灯1の概略を示す斜視図であり、要部を分解して表示した図である。
図4】発光部21、22、23の仰角を示す図であり、(A)は非常用標識灯1を非常用滑走路灯として用いる場合を示し、(B)は非常用標識灯1を低光度滑走路灯として用いる場合を示す。
図5】非常用標識灯1の可折接手100への取り付けについて説明する図であり(A)は取付中の様子を示し、(B)は取付後の様子を示す。
図6】非常用標識灯1の電気的な構成を示すブロック図である。
図7】地面に穴が形成されている場合の非常用標識灯1の取り付けについて説明する図であり、(A)は取付部材120を示し、(B)、(C)は穴131、132に取付部材120を設けた様子を示し、(D)は取付部材120に非常用標識灯1を取り付けた様子を示す。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る非常用標識灯2の概略を示す斜視図である。
図9】非常用標識灯2の概略構成を示す6面図であり、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は背面図である。
図10】発光部24、25の仰角を示す図であり、(A)は非常用標識灯2を滑走路の進入端に設置する場合を示し、(B)は非常用標識灯2を滑走路の終端に設置する場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の非常用標識灯は、地面に立設された略棒状又は略筒状の取付部材に取り付けられるものである。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る非常用標識灯1の概略を示す斜視図である。図2は、非常用標識灯1の概略構成を示す6面図であり、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は背面図である。図3は、筐体蓋14(後に詳述)を開けた状態における非常用標識灯1の概略を示す斜視図であり、要部を分解して表示した図である。
【0018】
以下、非常用標識灯1が載置される地面(載置面)と略直交する方向(鉛直方向)をz方向とし、孔15の中心点c1と灯体部12の中心点c2とを結んだ線ax(後に詳述)と略平行な方向をy方向とし、y方向及びz方向と略直交する方向をx方向とする。
【0019】
非常用標識灯1は、滑走路に設置して非常時に使用するものであり、主として、筐体10と、発光部21、22、23と、ヒンジ31と、固定部32と、を有する。
【0020】
筐体10は、主として、地面に載置される略平板状の底面11と、底面11の上側に設けられた灯体部12と、を有する。筐体10は載置時に、略90m/秒程度の風速に耐えられるように、鉄、アルミニウム合金等の金属で形成されており、重さは略5kg以上であり、載置面から高さH(図2参照)は略45mm~略70mmである。
【0021】
底面11には、略円形形状の孔15が形成されている。孔15は、平面視における位置(z方向から見た位置)が、灯体部12の位置と異なるように配置されている。孔15には、取付部材である可折接手100(図5参照)が挿入される。非常用標識灯1は、孔15を介して可折接手100に取り付けられる。可折接手100と灯体部12とが干渉しないように、孔15と灯体部12とはできるだけ離すことが望ましい。本実施の形態では、孔15の中心c1と灯体部12の中心c2との距離L(図1参照)は略200mm~略230mmとする。非常用標識灯1の可折接手100への取り付けについては後に詳述する。
【0022】
底面11は、主として、主底面11aと、可動部11bと、を有する。主底面11aは、略板状であり、灯体部12の下側に設けられている。可動部11bは、略板状であり、主底面11aと略同一平面上に設けられている。
【0023】
主底面11aには略半円形状の第1孔15aが形成され、可動部11bには略半円形状の第2孔15bが形成されている。図1~3では、主底面11aと可動部11bとが対向し、第1孔15a及び第2孔15bが一体となり孔15を構成する閉状態を図示している。
【0024】
第1孔15aの側面には、複数の連続した凹凸15cが形成されている。ただし、凹凸15cは孔15の側面に設けられていればよく、凹凸15cの位置及び数はこれに限られない。
【0025】
底面11には、主底面11aに対して可動部11bを回動可能に取り付けるヒンジ31と、閉状態で主底面11aと可動部11bとを固定する固定部32と、が設けられている。ヒンジ31により、可動部11bは、z方向と略直交する平面内で略180度回動可能である。固定部32は、片方を突起に引っ掛けてレバーを倒すことにより固定を行ういわゆるパチン錠(スナップ錠)である。ただし、固定部32はパチン錠に限られない。
【0026】
灯体部12は、側面視における形状が肉厚板状であり、平面視における形状が略円形形状である。言い換えれば、灯体部12は肉厚円板状である。ここで肉厚板状とは、側面視において、高さに比べて幅が大きい板状の部材であり、幅(又は直径)が厚さの略4倍以上のものとする。
【0027】
灯体部12は、主として、略円筒形状の側面13と、上端面を覆う筐体蓋14と、を有し、内部は空洞である。筐体蓋14は、側面13に対してヒンジ33を中心に回動可能である。側面13と筐体蓋14とはパチン錠34により固定される。
【0028】
側面13には、発光部21、22、23が設けられる。発光部21、22、23は、側面13の外周面に設けられており、灯体部12の径方向外側に向けて光を照射する。発光部21、22は、平面視において(z方向から見て)、孔15の中心点c1と灯体部12の中心点c2とを結んだ線axを対象軸とする線対称の位置に配置されている。また、平面視において、発光部21、22と中心点c2とを結ぶ線と線axとのなす角度は鋭角である。発光部23は、線ax上に配置されている。つまり、発光部21、22、23は、略60度おきに設けられている。これにより、水平方向の全方向に投光可能である。
【0029】
発光部21、22、23は同一の構成を有するため、発光部21、22、23について発光部23を例に説明する。図3に示すように、発光部23は、主として、LED23aと、レンズ23bと、レンズパッキン23cと、を有する。LED23aは、基板上に設けられた発光素子であり、例えば白色の光を照射する。レンズ23bは、LED23aから照射された光を拡散する。
【0030】
灯体部12の内部には、発光部21、22、23に電力供給を行うバッテリ43が設けられる。バッテリ43は、乾電池、充電池等の各種電池である。バッテリ43は、電池ボックス42に入れた状態で灯体部12の内部に設けられる。バッテリ43は、基板46と電気的に接続される。また、基板46と発光部21、22、23とは、孔13aを介して、図示しない配線により接続される。
【0031】
LED23aは側面13の外周面に設けられており、レンズ23bはLED23aを覆うように側面13の外周面に設けられている。レンズ23bの背面にはレンズパッキン23cが設けられており、レンズ23bが側面13の外周面に設けられることで、レンズ23bの内部(LED23aの周囲)に水等が入らないようにする。
【0032】
図4は、発光部21、22、23の仰角を示す図であり、(A)は非常用標識灯1を非常用滑走路灯として用いる場合を示し、(B)は非常用標識灯1を低光度滑走路灯として用いる場合を示す。図4では、発光部22の仰角を図示しているが、発光部21、22、23の仰角は同一である。
【0033】
図4(A)に示すように非常用標識灯1を非常用滑走路灯として用いる場合には、発光部21、22、23の仰角は略-5度~略15度であり、仰角の中心は略5度である。
【0034】
図4(B)に示すように非常用標識灯1を低光度滑走路灯として用いる場合には、発光部21、22、23の仰角は略0度~略7度であり、仰角の中心は略3.5度である。
【0035】
非常用標識灯1を非常用滑走路灯として用いる場合でも、低光度滑走路灯として用いる場合でも、仰角の中心は0度より大きい。そのため、載置面が傾いていても既定の光度を満足する。本実施の形態では、載置面が数度傾いていても既定の光度を満足する。
【0036】
図1の説明に戻る。筐体蓋14の上面には、外部からの光又は電波を受信する受信部41が設けられている。受信部41の位置及び形状は図示した形態に限られないため、図1では受信部41を二点鎖線で示している。また、側面13には、点灯、消灯を切り替える切り替えスイッチ45が設けられている。
【0037】
図5は、非常用標識灯1の可折接手100への取り付けについて説明する図であり(A)は取付中の様子を示し、(B)は取付後の様子を示す。可折接手100は、一定以上の荷重が加わったとき切断溝101から上部(円筒部103)が破損するように構成されている。孔15の内部には、可折接手100の切断溝101より下側に設けられた平面視略六角形状の六角部102が挿入される。
【0038】
図5(A)に示すように、固定部32を外し、ヒンジ31を中心に可動部11bを閉状態から回動させて、孔15を第1孔15aと第2孔15bとに分離する。その後、第1孔15aに六角部102を押し当て、ヒンジ31を中心に可動部11bを回動させて閉状態に戻し、固定部32を止めて主底面11aと可動部11bとを固定する。これにより、重い非常用標識灯1を載置したまま、載置面近傍に位置する六角部102に非常用標識灯1を取り付けることができる。また、非常用標識灯1の取り付けに工具を用いる必要がなく、取り付けが容易である。
【0039】
第1孔15aには複数の凹凸15cが形成されているため、六角部102の角が凹凸15cにより保持される。これにより、非常用標識灯1が六角部102に対して回転方向に動かなくなる。
【0040】
図5(B)に示すように、非常用標識灯1を可折接手100に取り付けた状態では、可折接手100には標識灯110が設けられる。標識灯110は、円筒部103に取り付けられる。非常用標識灯1は、平面視において灯体部12と孔15との位置が異なり、かつ、灯体部12の載置面(地面)から高さが略45mm~略70mmであるため、標識灯110と灯体部12とが干渉せず、非常用標識灯1が標識灯110の機能を妨げない。
【0041】
また、孔15に六角部102が挿入されるため、標識灯110が円筒部103と共に破損するような非常時においても、非常用標識灯1は可折接手100に取り付けられたまま残る。したがって、非常用標識灯1を非常時に使用することができる。
【0042】
図6は、非常用標識灯1の電気的な構成を示すブロック図である。非常用標識灯1は、受信部41及び切り替えスイッチ45と電気的に接続される制御部44を有する。受信部41は、例えばリモートコントローラ49から送信される情報(例えば、光)を受信して制御部44に出力する。制御部44は、発光部21、22、23と電気的に接続されており、受信部41における受信結果に基づいて発光部21、22、23の点灯と消灯とを切り替える。また制御部44は、受信部41における受信結果に基づいて発光部21、22、23の発光形態(非常用滑走路灯又は低光度滑走路灯)を切り替える。これにより、非常時に容易に発光部21、22、23を点灯可能である。また、複数の非常用標識灯1を一度に操作することができる。
【0043】
本実施の形態によれば、可折接手100の切断溝101からより下の六角部102に非常用標識灯1を設けることで、可折接手100の切断溝101から上部(円筒部103)が破損するような非常時にも非常用標識灯1を使用することができる。また、標識灯110と灯体部12とが干渉しないため、平常時に非常用標識灯1が標識灯110の機能を妨げることがない。
【0044】
なお、本実施の形態では、発光部21、22、23は3つであるが、発光部の数はこれに限られない。非常用標識灯1は、1又は複数の発光部を有していればよい。ただし、広範囲に光を照射するためには、2つの発光部が線axを対象軸とする線対称の位置に配置されていることが望ましい。また、水平方向の全方向に投光するためには、非常用標識灯1は、図1、2等に示すように少なくとも3つの発光部を有し、そのうちの2つの発光部を線axを対象軸とする線対称の位置に配置し、これらの発光部と中心点c2とを結ぶ線と線axとのなす角度を鋭角とし、残りの1つを線axに配置することが望ましい。
【0045】
また、本実施の形態では、可折接手100に非常用標識灯1が設けられたが、非常用標識灯1は可折接手100以外の取付部材に取り付けることも可能である。図7は、地面に穴が形成されている場合の非常用標識灯1の取り付けについて説明する図であり、(A)は取付部材120を示し、(B)、(C)は穴131、132に取付部材120を設けた様子を示し、(D)は取付部材120に非常用標識灯1を取り付けた様子を示す。
【0046】
図7(A)に示すように取付部材120は、取付具121と、ボルト122、123とを有する。取付具121は、全体としてブロック状であり、穴131,132の内部に設けられる土台部121aと、穴131,132の上側に突出する突出部121bと、を有する。
【0047】
図7(B)に示すように、直径が110mm程度の穴131には、ボルト122を用いて土台部121aを穴131の内部に設ける。図7(B)に示すように、直径が110mm程度の穴131には、ボルト123を用いて土台部121aを穴131の内部に設ける。これにより、取付部材120が地面に立設される。
【0048】
図7(D)に示すように、面121cが主底面11aと対向し、面121dが可動部11bと対向するように、孔15に突出部121bを挿入することで、非常用標識灯1が取付部材120に設けられる。
【0049】
なお、図7では、ブロック状の取付部材120を例示したが、取付部材120の形状はこれに限られない。例えば、取付部材は略棒状や略筒状でもよい。
【0050】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、3個の発光部21、22、23を有したが、発光部の数及び配置はこれに限られない。以下、第2の実施の形態にかかる非常用標識灯2について説明する。非常用標識灯1と非常用標識灯2との差異は発光部の数及び配置のみである。第1の実施の形態にかかる非常用標識灯1と同一の部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0051】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る非常用標識灯2の概略を示す斜視図である。図9は、非常用標識灯2の概略構成を示す6面図であり、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は背面図である。
【0052】
非常用標識灯1は、非常時に滑走路の末端(進入端又は終端)に設置して使用するものであり、主として、筐体10Aと、発光部24、25と、ヒンジ31と、固定部32と、を有する。
【0053】
筐体10Aは、主として、地面に載置される略平板状の底面11と、底面11の上側に設けられた灯体部12Aと、を有する。灯体部12Aは、側面視における形状が略厚板形状であり、平面視における形状が略円形形状である。灯体部12Aは、主として、略円筒形状の側面13Aと、上端面を覆う筐体蓋14と、を有する。なお、側面13Aと側面13との差異は、発光部用の孔13aの位置のみである。
【0054】
側面13Aには、発光部24、25が設けられる。発光部24、25は、側面13Aの外周面に設けられており、灯体部12の径方向外側に向けて光を照射する。発光部24、25は、平面視において線axを対象軸とする線対称の位置に配置されている。また、平面視において発光部24、25と中心点c2とを結ぶ線と線axとのなす角度は略直角である。
【0055】
発光部24、25の構成は、発光部21、22、23と略同一である。発光部24、25は、緑色又は赤色の光を照射する。
【0056】
図10は、発光部24、25の仰角を示す図であり、(A)は非常用標識灯2を滑走路の進入端に設置する場合を示し、(B)は非常用標識灯2を滑走路の終端に設置する場合を示す。図10では、発光部25の仰角を図示しているが、発光部24、25の仰角は同一である。
【0057】
図10(A)に示すように非常用標識灯2を滑走路の進入端に設置する場合には、発光部24、25の仰角は略-3度~略13度であり、仰角の中心は略5度である。このときの発光部24、25の色は緑色である。
【0058】
図10(B)に示すように非常用標識灯2を滑走路の終端に設置する場合には、発光部24、25の仰角は略-3.75度~略8.75度であり、仰角の中心は略2.5度である。このときの発光部24、25の色は赤色である。
【0059】
非常用標識灯2を滑走路の進入端に設置する場合も、滑走路の終端に設置する場合も、仰角の中心は0度より大きい。そのため、載置面が傾いている場合にも既定の光度を満足する。
【0060】
制御部44は、発光部24、25と電気的に接続されており、受信部41における受信結果に基づいて発光部24、25の点灯と消灯とを切り替える。また制御部44は、受信部41における受信結果に基づいて発光部24、25の発光形態(色及び仰角)を切り替える。
【0061】
本実施の形態によれば、滑走路の末端において、非常時に使用でき、かつ平常時に非常用標識灯1が標識灯110の機能を妨げない非常用標識灯2を提供することができる。
【0062】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。
【符号の説明】
【0063】
1、2 :非常用標識灯
10、10A:筐体
11 :底面
11a :主底面
11b :可動部
12、12A:灯体部
13、13A:側面
13a :孔
14 :筐体蓋
15 :孔
15a :第1孔
15b :第2孔
15c :凹凸
21、22、23、24、25:発光部
23a :LED
23b :レンズ
23c :レンズパッキン
31、33:ヒンジ
32 :固定部
34 :パチン錠
41 :受信部
42 :電池ボックス
43 :バッテリ
44 :制御部
45 :切り替えスイッチ
46 :基板
49 :リモートコントローラ
100 :可折接手
101 :切断溝
102 :六角部
103 :円筒部
110 :標識灯
120 :取付部材
121 :取付具
121a :土台部
121b :突出部
121c、121d :面
122、123:ボルト
131、132:穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10