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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ローリング機構付き搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B65G47/52 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018147060
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020019650
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】前川 和寛
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第3384666(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0114447(US,A1)
【文献】特開平02-033026(JP,A)
【文献】特表2016-526517(JP,A)
【文献】特開2001-208137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G B65G 47/52,47/56-47/62,47/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤラインに設けられ、物品の搬送方向を向く軸線に対してローリングする機能を有するローリング機構付き搬送装置であって、
固定部と、可動部と、駆動源と、物品の搬送方向を向く軸を有し、
可動部は、前記軸を介して固定部に支持されていると共に、物品を搬送する搬送面を構成し、
前記駆動源を駆動すると、可動部が前記軸を中心にローリングするものであり、
駆動源と可動部が、巻掛け媒介節を介して接続され、
可動部と巻掛け媒介節を接続するヒンジ部材を有し、
前記ヒンジ部材は、前記可動部に固定される固定部と、前記巻掛け媒介節の端部に固定される固定部とが軸部を介して相対回転可能に連結されるものであり、
従動プーリを有し、前記従動プーリは、前記巻掛け媒介節の途中の部位であって、前記巻掛け媒介節の前記駆動源と係合している部分と端部との間の部位と係合しており、自身の回転軸ごと上下移動が可能な状態で取り付けられていることを特徴とするローリング機構付き搬送装置。
【請求項2】
コンベヤラインに設けられ、物品の搬送方向を向く軸線に対してローリングする機能を有するローリング機構付き搬送装置であって、
固定部と可動部を有し、
固定部には駆動源が配置されており、
可動部は、固定部に対してローリング可能に支持されていると共に、物品を搬送する搬送面を構成し、
可動部における物品の搬送方向と交差する方向であって、駆動源の両側に離間した部位が、巻掛け媒介節で接続されており、
前記巻掛け媒介節の途中の部位が駆動源と係合しており、
可動部と巻掛け媒介節を接続するヒンジ部材を有し、
前記ヒンジ部材は、前記可動部に固定される固定部と、前記巻掛け媒介節の端部に固定される固定部とが軸部を介して相対回転可能に連結されるものであり、
従動プーリを有し、前記従動プーリは、前記巻掛け媒介節の途中の部位であって、前記巻掛け媒介節の前記駆動源と係合している部分と端部との間の部位と係合しており、自身の回転軸ごと上下移動が可能な状態で取り付けられていることを特徴とするローリング機構付き搬送装置。
【請求項3】
固定部と可動部の少なくともいずれか一方に、
搬送面が水平姿勢になったときに当接するストッパと、搬送面が特定の傾斜姿勢になったときに当接するストッパを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のローリング機構付き搬送装置。
【請求項4】
可動部と巻掛け媒介節を接続するヒンジ部材を有し、
前記ヒンジ部材は、可動部と巻掛け媒介節の成す角度を変更できることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のローリング機構付き搬送装置。
【請求項5】
駆動源は回転体を備えたモータを有し、巻掛け媒介節はベルト部材であり、
回転体とベルト部材が摩擦で動力伝達されることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のローリング機構付き搬送装置。
【請求項6】
固定部が台車を構成することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のローリング機構付き搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤラインの一部を構成するローリング機構を備えた搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、様々なコンベヤラインによって物品が搬送されている。物品が載置されるコンベヤラインの搬送面は、必ずしも水平であるとは限らず、敢えて傾斜させている場合もある。搬送面を傾斜させると、作業者が搬送面上の物品にアクセスし易くなり、物品の仕分け作業が容易になる。すなわちコンベヤラインには、ストレートライン(水平ライン)と呼ばれる水平状態の搬送面と、ピッキングライン(傾斜ライン)と呼ばれる傾斜状態の搬送面とが混在するものが存在する。
【0003】
水平ラインと傾斜ラインの間で物品を移動させるには、従来は、水平ラインと傾斜ラインを直交するように配置し、両ラインの交差部に移載装置を配置する必要があった。移載装置とは、直交する二つの方向のいずれの方向にも選択的に物品を移動させることができる搬送装置である。すなわち、物品を水平ラインから傾斜ラインに移動させる場合には、装置が大掛かりになる上にコンベヤラインのレイアウトも複雑化してしまう。
【0004】
そこで、物品を載置して搬送する搬送面を水平状態から傾斜状態に変更したり、傾斜状態から水平状態に変更することができる機構があれば、水平ラインと傾斜ラインを直線上に配置することができ、コンベヤラインを簡素化することができる。
【0005】
このような搬送装置が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている基板移載部(搬送装置)は、基板(物品)の搬送方向と直交する方向の一方側に移載部傾動手段を有する。移載部傾動手段は、空圧式又は油圧式のシリンダで構成されており、ロッドを伸張させたり退入させることにより、搬送面の一方側を持ち上げたり元の位置に戻すことにより、搬送面の水平姿勢と傾斜姿勢とを切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3384666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1のような搬送装置では、搬送装置の一方側を支点として他方側を持ち上げなければならないため、エアシリンダ又は油圧シリンダを備えた大掛かりな装置構成となる。また、エアシリンダ又は油圧シリンダを使用するため、工場等の限られた空間内で配管設備の取り回しに配慮しなければならない。さらに、装置が大掛かりになるため、コンベヤラインのレイアウトを変更しにくいという不満があった。
【0008】
そこで本発明は、簡単な構成によって比較的小さな力で搬送面の水平姿勢と傾斜姿勢とを切り替えることができるローリング機構付き搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第一の様相は、コンベヤラインに設けられ、物品の搬送方向を向く軸線に対してローリングする機能を有するローリング機構付き搬送装置であって、固定部と、可動部と、駆動源と、物品の搬送方向を向く軸を有し、可動部は、前記軸を介して固定部に支持されていると共に、物品を搬送する搬送面を構成し、前記駆動源を駆動すると、可動部が前記軸を中心にローリングするものであり、駆動源と可動部が、巻掛け媒介節を介して接続され、可動部と巻掛け媒介節を接続するヒンジ部材を有し、前記ヒンジ部材は、前記可動部に固定される固定部と、前記巻掛け媒介節の端部に固定される固定部とが軸部を介して相対回転可能に連結されるものであり、従動プーリを有し、前記従動プーリは、前記巻掛け媒介節の途中の部位であって、前記巻掛け媒介節の前記駆動源と係合している部分と端部との間の部位と係合しており、自身の回転軸ごと上下移動が可能な状態で取り付けられていることを特徴とするローリング機構付き搬送装置である。
【0010】
本様相では、可動部は、軸を介して固定部に支持されているので、物品を搬送する搬送面を構成する可動部は、固定部に対して水平姿勢と傾斜姿勢をとることができる。また、駆動源を駆動すると可動部が軸を中心にローリングするので、簡単な構成で搬送面の水平姿勢と傾斜姿勢を切り替えることができる。ここでローリングとは、固定部に対して可動部が所定の角度範囲で正方向と逆方向に回動する揺動を意味している。すなわち、本様相の搬送装置の可動部(搬送面)は、物品の搬送方向にのびる軸を中心に揺動する。
本様相では、駆動源を駆動すると、可動部が軸を中心にローリングする。ここで、軸が駆動源によって回転駆動され、その結果、可動部がローリングする場合を含む。
【0011】
本様相では、駆動源と可動部が、巻掛け媒介節を介して接続されている。
【0012】
また、本様相に関連する様相は、コンベヤラインに設けられ、物品の搬送方向を向く軸線に対してローリングする機能を有するローリング機構付き搬送装置であって、固定部と可動部を有し、固定部には駆動源が設けられており、可動部は、固定部に対してローリング可能に支持されていると共に、物品を搬送する搬送面を構成し、前記駆動源を駆動すると可動部がローリングするように、駆動源と可動部が巻掛け媒介節を介して接続されていることを特徴とするローリング機構付き搬送装置である。
可動部は、固定部に対してローリング可能に支持されているので、可動部は、固定部に対して水平姿勢と傾斜姿勢をとることができる。また、駆動源を駆動すると可動部がローリングするように、駆動源と可動部が巻掛け媒介節を介して接続されているので、簡単な構成で搬送面の水平姿勢と傾斜姿勢を切り替えることができる。
【0013】
本発明の第二の様相は、コンベヤラインに設けられ、物品の搬送方向を向く軸線に対してローリングする機能を有するローリング機構付き搬送装置であって、固定部と可動部を有し、固定部には駆動源が配置されており、可動部は、固定部に対してローリング可能に支持されていると共に、物品を搬送する搬送面を構成し、可動部における物品の搬送方向と交差する方向であって、駆動源の両側に離間した部位が、巻掛け媒介節で接続されており、前記巻掛け媒介節の途中の部位が駆動源と係合しており、可動部と巻掛け媒介節を接続するヒンジ部材を有し、前記ヒンジ部材は、前記可動部に固定される固定部と、前記巻掛け媒介節の端部に固定される固定部とが軸部を介して相対回転可能に連結されるものであり、従動プーリを有し、前記従動プーリは、前記巻掛け媒介節の途中の部位であって、前記巻掛け媒介節の前記駆動源と係合している部分と端部との間の部位と係合しており、自身の回転軸ごと上下移動が可能な状態で取り付けられていることを特徴とするローリング機構付き搬送装置である。
【0014】
本発明の第二の様相では、可動部は、固定部に対してローリング可能に支持されているので、可動部は、固定部に対して水平姿勢と傾斜姿勢をとることができる。
また、可動部における物品の搬送方向と交差する方向であって、駆動源の両側に離間した部位が、巻掛け媒介節で接続されており、巻掛け媒介節の途中の部位が駆動源と係合している。そのため、駆動源を駆動すると、巻掛け媒介節と駆動源の相対位置が変化し、可動部が巻掛け媒介節に牽引されて搬送面の姿勢が変化する。すなわち、可動部の搬送面の水平姿勢と傾斜姿勢を容易に切り替えることができる。
ここでローリングとは、固定部に対して可動部が所定の角度範囲で正方向と逆方向に回動する揺動を意味している。すなわち、本様相の搬送装置は、物品の搬送方向にのびる軸線に対して揺動する。
【0015】
固定部と可動部の少なくともいずれか一方に、搬送面が水平姿勢になったときに当接するストッパと、搬送面が特定の傾斜姿勢になったときに当接するストッパを設けるのが好ましい。
【0016】
この構成によると、固定部と可動部の少なくともいずれか一方に、搬送面が水平姿勢になったときに当接するストッパと、搬送面が特定の傾斜姿勢になったときに当接するストッパを設けたので、水平姿勢と特定の傾斜姿勢とを切り替え易い。
【0017】
可動部と巻掛け媒介節を接続するヒンジ部材を有し、前記ヒンジ部材は、可動部と巻掛け媒介節の成す角度を変更できるのが好ましい。
【0018】
この構成によると、可動部と巻掛け媒介節を接続するヒンジ部材を有し、ヒンジ部材は、可動部と巻掛け媒介節の成す角度を変更できるので、可動部と巻掛け媒介節の間で無理なく力が伝達され易い。
【0019】
駆動源が回転体を備えたモータを有し、巻掛け媒介節をベルト部材とし、回転体とベルト部材が摩擦で動力伝達されてもよい。
【0020】
固定部が台車を構成するのが好ましい。
【0021】
この構成によると、固定部が台車を構成するので、ローリング機構付き搬送装置を所望する場所へ容易に移動させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るローリング機構付き搬送装置では、物品を搬送する搬送面の水平姿勢と傾斜姿勢を、簡単な構成で切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係るローリング機構付き搬送装置を備えたコンベヤラインの斜視図である。
図2図1において、ローリング機構付き搬送装置が傾斜姿勢となった状態を示すコンベヤラインの斜視図である。
図3】本実施形態に係るローリング機構付き搬送装置の斜視図であり、水平姿勢時の状態を示す。
図4】本実施形態に係るローリング機構付き搬送装置の斜視図であり、傾斜姿勢時の状態を示す。
図5】本実施形態に係るローリング機構付き搬送装置の分解斜視図である。
図6】上流側水平ライン上の物品が、搬送装置に移動する直前の状態を示すコンベヤラインの斜視図である。
図7図6に続き、物品が水平姿勢の搬送装置に移動した状態を示すコンベヤラインの斜視図である。
図8図7に続き、搬送装置が水平状態から傾斜状態に姿勢を変更した状態を示すコンベヤラインの斜視図である。
図9図8に続き、物品が搬送装置から下流側傾斜ラインに移動した状態を示すコンベヤラインの斜視図である。
図10】駆動機構部の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、コンベヤライン1は、上流側水平ライン2(ストレートライン)、下流側傾斜ライン3(ピッキングライン)、本実施形態に係るローリング機構付き搬送装置4(以下、単に搬送装置4と呼ぶ。)を有する。
【0025】
上流側水平ライン2は、コンベヤライン1の物品P(図6)の搬送方向の上流側に配置されたローラコンベヤ装置である。上流側水平ライン2は、物品Pを載置して搬送する搬送面D1が水平姿勢で固定されている。すなわち、上流側水平ライン2は、水平面である搬送面D1上に物品Pを載置して下流側へ搬送する。
【0026】
下流側傾斜ライン3は、コンベヤライン1の物品Pの搬送方向の下流側に配置されたローラコンベヤ装置である。下流側傾斜ライン3は、物品Pを載置して搬送する搬送面D2が傾斜姿勢で固定されている。すなわち、下流側傾斜ライン3では、傾斜面である搬送面D2上に物品Pを載置し、作業者がピッキング(仕分け作業)を行うことができる。そして、下流側傾斜ライン3は、ピッキングの後、物品Pをさらに下流側へ搬送する。
【0027】
搬送装置4は、上流側水平ライン2と下流側傾斜ライン3の間に配置されている。搬送装置4は、上流側水平ライン2から搬送されてきた物品Pを受け入れ、受け入れた物品Pを下流側傾斜ライン3へ排出する機能を有する。すなわち、上流側水平ライン2から搬送装置4に物品Pが移動するときの搬送装置4の姿勢は水平状態(図1)であるが、搬送装置4から下流側傾斜ライン3に物品Pを排出するときの搬送装置4の姿勢は傾斜状態(図2)である。
【0028】
このように搬送装置4は、水平姿勢の上流側水平ライン2と傾斜姿勢の下流側傾斜ライン3の間に配置されていて、物品Pを上流側水平ライン2から下流側傾斜ライン3へ円滑に移動させる機能を有している。
【0029】
以下、搬送装置4の構造について説明する。
図3図5に示すように、搬送装置4は、基台5(固定部)、ローラコンベヤ部6(可動部)、駆動モータ27(駆動源)を備えた駆動機構部7を有している。
【0030】
図1図5に示すように、ローラコンベヤ部6(可動部)は、フレーム部材18a、18bと、複数のローラ19を有する。ただし、図3及び図4では、都合上、各ローラ19は、軸芯(回転中心)のみを一点鎖線で示し、図5では、ローラ19の途中の部位を破断して両端付近の部位のみを描写している。
【0031】
フレーム部材18a、18bは、長尺状の部材であり、鉛直壁部30a、30bと、上面壁部31a、31bと、下面壁部32a、32bを有している。上面壁部31a、31bと下面壁部32a、32bは水平面であり、鉛直壁部30a、30bは水平面に対して垂直である。フレーム部材18a、18bは、互いに鉛直壁部30a、30bが向き合うように所定の間隔を置いて平行に対向配置されている。なお、図3図4では、ローラコンベヤ部6の内部を描写するために、フレーム部材18bの一部の描写を省略している。
【0032】
鉛直壁部30a、30bは、複数のローラ19の両端を支持している。すなわち、複数のローラ19が、互いに平行に所定の間隔を置いてフレーム部材18a、18b(鉛直壁部30a、30b)に回転可能に取り付けられている。各ローラ19の最上端の部位は、物品Pを載置して搬送する搬送面D3(図1図2)を構成している。
【0033】
図1図2に示すように、各ローラ19同士は、ベルトで動力伝達が可能に連結されている。また、複数のローラ19のうちの一つが駆動ローラ(モータ内蔵ローラ)であり、その他が従動ローラである。そして、これらの各ローラ19が同期して動作する。
【0034】
フレーム部材18a、18bの鉛直壁部30a、30bにおける、各ローラ19の取付位置よりも低い位置であって、フレーム部材18a、18bの長手方向の中央部分には、それぞれ同様のヒンジ部材20が取り付けられている。フレーム部材18bに取り付けられたヒンジ部材20は図示していないが、フレーム部材18a、18bに取り付けられたヒンジ部材20同士は、互いに対向する位置関係にある。
【0035】
各ヒンジ部材20は、軸部21、フレーム部材側固定部22、ベルト側固定部23を有している。フレーム部材側固定部22とベルト側固定部23は、軸部21を介して相対回転可能に連結されている。
【0036】
フレーム部材側固定部22は、フレーム部材18a、18bの鉛直壁部30a、30bにそれぞれ固定されている。また、ベルト側固定部23には、後述のベルト部材29(巻掛け媒介節)の端部が固定されている。すなわち、後述のベルト部材29の両端は、一対のベルト側固定部23に固定されている。
【0037】
次に、基台5(固定部)について説明する。
図3図5に示すように、基台5(固定部)は、直方体形状のフレーム構造体であり、ローラコンベヤ部6(可動部)を支持する機能を備えている。基台5の上部には、後述の駆動機構部7を設置する設置板43が取り付けられている。また、基台5の下部には複数の車輪8が設けられている。各車輪8には、図示しないストッパが設けられている。よって、基台5は、車輪8によって任意の場所へ移動が可能であり、さらに図示しないストッパによって車輪8を回転不能状態とし、基台5の移動を阻止することもできる。すなわち、基台5は、台車として機能する。
【0038】
基台5の上面における、物品Pの搬送方向に平行な一方側の辺の縁付近には、弾性素材で形成されたストッパ部材24が取り付けられている。ストッパ部材24の上部には傾斜した当接面24aが形成されている。本実施形態では、二つのストッパ部材24が、互いに間隔を置いて設けられている。
【0039】
また、図3図5に示すように、基台5の上面における物品Pの搬送方向と直交する一対の辺の縁には、それぞれ支持部材9a、9bが設けられている。支持部材9aは、起立部10、揺動部11、支承部12を有している。
起立部10は、直方体の箱状の外形を有し、起立姿勢で基台5の上面に一体固着されている。
箱状の起立部10における一方の側面10aには、ストッパ支持台13が取り付けられている。ストッパ支持台13は、基台5に設けたストッパ部材24とは反対側の側面10aに設けられている。ストッパ支持台13は、弾性を有するストッパ部材14が固定された水平面13aを有する。水平面13aは、基台5の上面から所定の高さ位置に配置されている。
【0040】
また、起立部10の上面には、支承部12が固定されている。
支承部12は、軸部15、起立部側固定部16、揺動部側固定部17を有する。
起立部側固定部16と揺動部側固定部17は、軸部15を介して相対回転可能に接続されている。また、起立部側固定部16は、起立部10に固定されており、揺動部側固定部17は、後述の揺動部11に固定されている。軸部15は、物品Pの搬送方向と平行な水平軸である。軸部15は、物品Pの搬送方向を向く軸線(すなわち、搬送方向にのびる軸線)を構成する。
【0041】
揺動部11は、本体部材25と固定部材26を有する。
本体部材25は、横断面が四角形の剛性を有する長尺状の部材である。
本体部材25の中央部分には、支承部12の揺動部側固定部17が取り付けられている。
また、本体部材25の両端には、それぞれ固定部材26が固定されている。固定部材26は、平板状の部材であり、本体部材25の横断面よりも大きい面積を有する。
揺動部11は、フレーム部材18a、18bの間隔に相当する長さを有し、互いに平行に対向したフレーム部材18a、18bの間に配置されている。そして、各固定部材26が、それぞれフレーム部材18a、18bの鉛直壁部30a、30bにネジ止め等の固定手段で固定されている。
【0042】
支持部材9bは、支持部材9aと左右対称形であるが、支持部材9aと同様の構造を有しており、重複する説明は省略する。
【0043】
支持部材9a、9bは、ローラコンベヤ部6の各ローラ19の並び方向(物品Pの搬送方向)の両端付近に取り付けられている。支持部材9a、9bのそれぞれの支承部12の軸部15同士は、同一直線上(物品Pの搬送方向を向く軸線上)に配置されている。
【0044】
両支承部12の軸部15は、ローラコンベヤ部6の揺動中心である軸線を構成し、ローラコンベヤ部6は、この軸線を中心に揺動(ローリング)することができる。すなわち、ローラコンベヤ部6(可動部)は、基台5(固定部)に対して、支持部材9a、9bを介して揺動可能(ローリング可能)に支持されている。換言すると、ローラコンベヤ部6の重量は、支持部材9a、9bを介して基台5で支持されている。ローラコンベヤ部6は、自然状態では各ローラ19の上部によって形成された搬送面D3が水平状態となっており、フレーム部材18bの下面壁部32bがストッパ部材14に当接(接触)している。
【0045】
基台5上の設置板43(図5)には、鉛直方向を向く起立軸39a、39b、40a、40bが固定されている。起立軸39a、39bは、互いに近接して平行に配された一対の軸である。起立軸40a、40bも、起立軸39a、39bと同様に互いに近接して平行に配された一対の軸である。起立軸39a、39b、40a、40bの上端にはそれぞれフランジ部41a、41b、42a、42bが設けられている。また、起立軸39a、39b、40a、40bには、それぞれバネ35a、35b、36a、36bが装着されている。
【0046】
また、図示していないが、ストッパ部材14、24付近には、近接センサが設けられている。近接センサは、フレーム部材18a、18bの下面壁部32a、23bが、ストッパ部材24、14に当接したことを検出するセンサである。さらに、近接センサによる検出信号は、駆動機構部7の動作を制御する図示しない制御装置に送信される。
【0047】
次に、駆動機構部7について説明する。
駆動機構部7は、駆動プーリ27a(回転体)を備えた駆動モータ27(駆動源)、従動プーリ28a、28b、ベルト部材29(巻掛け媒介節)を有する。
【0048】
駆動モータ27は、離間して対向したローラコンベヤ部6のフレーム部材18a、18bの間に配置されており、基台5に固定されている。駆動モータ27の回転軸は、ローラ19の並び方向(物品Pの搬送方向)を向いており、フレーム部材18a、18bの長手方向と平行である。
【0049】
駆動モータ27(駆動源)としては、周知のステッピングモータやサーボモータ等を採用することができる。駆動モータ27の出力軸には駆動プーリ27a(回転体)が装着されている。駆動プーリ27aには、平ベルトであるベルト部材29(巻掛け媒介節)が巻掛けられている。すなわち、ベルト部材29の途中の部位が、駆動プーリ27aに係合している。
【0050】
ベルト部材29(巻掛け媒介節)は、ローラコンベヤ部6の各ローラ19による物品Pの搬送方向と交差するように配され、ベルト部材29の両端は、それぞれフレーム部材18a、18bに取り付けられたヒンジ部材20のベルト側固定部23に固定されている。すなわち、ベルト部材29の両端は、それぞれヒンジ部材20を介して駆動モータ27の両側に離間して配されたフレーム部材18a、18bに接続されている。
【0051】
従動プーリ28a、28bは、駆動プーリ27aの両側に配置されていて、基台5側の起立軸39a、39b、40a、40bに取り付けられている。
具体的には、従動プーリ28aは、自身の回転軸を支持する保持部38aを備えている。保持部38aには、鉛直方向を向く貫通孔が設けられており、この貫通孔に起立軸39a、39bが挿通されている。すなわち、従動プーリ28a(保持部38a)は、起立軸39a、39bに沿って上下移動が可能である。また、保持部38aの上面には、起立軸39a、39bに設けられたバネ35a、35bの下端が当接している。バネ35a、35bは、圧縮バネであり、起立軸39a、39bの上端のフランジ部41a、41bと保持部38aの上面の間に縮設されている。そのため、従動プーリ28aは、バネ35a、35bの弾性力によって、常時下方(基台5側)に押圧されている。
【0052】
従動プーリ28bも、従動プーリ28aと同様であり、保持部38bの貫通孔を起立軸40a、40bが貫通しており、従動プーリ28b(保持部38b)はバネ36a、36bの押圧力によって下方(基台5側)に押圧されている。
【0053】
両端がフレーム部材18a、18bに取り付けられたベルト部材29の途中の部位が、駆動プーリ27aと従動プーリ28a、28bに巻掛けられている。図5に示すように、ベルト部材29は、従動プーリ28a、28bの下側に係合し、駆動プーリ27aの上側に係合するように巻掛けられている。
【0054】
従動プーリ28a、28bは、ベルト部材29を押圧してベルト部材29に張力を付与するテンションプーリとして機能する。また、従動プーリ28a、28bは、ベルト部材29に牽引されて、バネ35a、35b、36a、36bの押圧力に抗して若干上昇することができる。
【0055】
次に、搬送装置4の動作について説明する。
図1に示すように、搬送装置4は、コンベヤライン1の上流側水平ライン2と下流側傾斜ライン3の間に配置されている。また、搬送装置4の搬送面D3は、図1に示すように、上流側水平ライン2の搬送面D1と同一面内(水平面内)に配置されている。すなわち、搬送装置4の姿勢は、図3に示すような水平状態である。
【0056】
この状態で、図6に示すように、コンベヤライン1よりも上流側の図示しない別のコンベヤからコンベヤライン1の上流側水平ライン2に物品Pが搬送され、物品Pは上流側水平ライン2の搬送面D1上に載置される。
【0057】
物品Pは、上流側水平ライン2によって下流側へ搬送され、図7に示すように、下流側に配置された搬送装置4の搬送面D3上に移載される。このとき、搬送装置4の搬送面D3は、上流側水平ライン2の搬送面D1と同一面内にあるため、搬送面D1上の物品Pは、円滑に搬送面D3上に移動する。
【0058】
物品Pが搬送装置4の搬送面D3上に載置されると、搬送装置4の駆動機構部7の駆動モータ27が駆動され、駆動プーリ27aが回転し、ベルト部材29が駆動プーリ27aの周面に沿って移動する。その際、従動プーリ28a、28bは、ベルト部材29に牽引されて、バネ35a、35b、36a、36bの押圧力に抗して若干上昇する。これにより、ベルト部材29は、回転する駆動プーリ27aに追従して円滑に走行することができる。そして、従動プーリ28a、28bは、走行するベルト部材29に追従して回転する。すなわち、従動プーリ28a、28bは、ベルト部材29に所定の張力を付与しながら若干上昇しながら回転する。換言すると、従動プーリ28a、28bの位置が固定されていると、ベルト部材29は、回転する駆動プーリ27aに追従して走行することができない。
【0059】
ベルト部材29の両端が、ローラコンベヤ部6の対向する一対のフレーム部材18a、18bに固定されているため、ベルト部材29の走行に伴って、ローラコンベヤ部6が支承部12の軸部15を中心に揺動(ローリング)し、図2図4図8に示すように傾斜姿勢になる。すなわち、搬送装置4の搬送面D3は、水平面に対して傾斜した下流側傾斜ライン3の搬送面D2と同一面内に配置される。
【0060】
搬送装置4が水平状態から傾斜状態に姿勢を変更する際、駆動プーリ27aよりもフレーム部材18a側のベルト部材29の長さが短くなり、フレーム部材18b側のベルト部材29の長さが長くなる。すなわち、駆動モータ27が駆動されたことにより、フレーム部材18a側のベルトの一部がフレーム部材18b側に移動する。その結果、中央の駆動プーリ27aに対して、両側のベルト部材29の長さが非対称となり、フレーム部材18a側が下降しフレーム部材18b側が上昇するように、ローラコンベヤ部6は、各支承部12の軸部15を中心に揺動(ローリング)する。
【0061】
その際、駆動モータ27の出力軸に作用する力は比較的小さい。すなわち、ローラコンベヤ部6は支承部12の軸部15で水平姿勢を保つように支持されている。すなわち、ローラコンベヤ部6は、軸部15を中心にバランスが保たれ、水平姿勢が維持されている。
【0062】
また、ローラコンベヤ部6は、軸部15周りに揺動(ローリング)が可能である。そのため、ローラコンベヤ部6に比較的小さな力(トルク)が作用しても、ローラコンベヤ部6は容易に揺動し、傾斜姿勢になる。
【0063】
このローラコンベヤ部6を傾斜させる力(トルク)は、駆動モータ27の出力軸に取り付けられた駆動プーリ27aからベルト部材29を介して伝達される。
具体的には、駆動モータ27が駆動され、フレーム部材18aが、ベルト部材29(巻掛け媒介節)を介して駆動モータ27側に牽引されると、フレーム部材18aが下降するようにローラコンベヤ部6が軸部15を中心にローリングする。その結果、図4図8に示すようにローラコンベヤ部6は傾斜した状態となり、搬送面D3が傾斜面になる。
【0064】
すなわち、ローラコンベヤ部6を水平姿勢から傾斜姿勢に変更する際に必要な駆動モータ27の出力は小さくて済む。換言すると、軸部15を中心にバランスよく支持されたローラコンベヤ部6を傾斜させるのに必要な力(トルク)は比較的小さい。
【0065】
従来(特許文献1)の装置では、ローラコンベヤの一端側が水平軸で支持されており、ローラコンベヤの他端側が移載部傾動手段(エアシリンダ又は油圧シリンダ)で支持されており、移載部傾動手段は、ローラコンベヤの略半分の重量を常時支持している。また、ローラコンベヤを水平姿勢から傾斜姿勢に変更する際には、移載部傾動手段はさらにローラコンベヤを持ち上げなければならない。そのため、移載部傾動手段は、ローラコンベヤの重量を支持しながらさらにローラコンベヤを押し上げなければならず、相当に大きな荷重を支持し続けなければならない。
【0066】
一方、本実施形態に係る搬送装置4では、ローラコンベヤ部6の重量は軸部15によって支持されており、駆動機構部7はローラコンベヤ部6の重量を支持する必要がない。そして、ローラコンベヤ部6は、中央の軸部15を中心にバランスして水平姿勢を保っている。そのため、搬送装置4では、駆動機構部7は、ローラコンベヤ部6の重量と比較して十分に小さい力(例えば、ローラコンベヤ部6の重量の10分の1~30分の1程度)でローラコンベヤ部6を傾斜させることができる。
【0067】
駆動機構部7が駆動されると、ローラコンベヤ部6は、フレーム部材18aの下面壁部32aが弾性素材で形成されたストッパ部材24の当接面24aに当接して停止する。ローラコンベヤ部6が特定の傾斜姿勢になると、フレーム部材18aの下面壁部32aも水平面に対して傾斜しており、ストッパ部材24の当接面24aは、フレーム部材18aの傾斜した下面壁部32aに平行な傾斜面を構成し、両者は面で当接する。
【0068】
フレーム部材18aの下面壁部32aがストッパ部材24の当接面24aに当接すると、ローラコンベヤ部6のローリングは停止し、ローラコンベヤ部6(搬送面D3)が傾斜した姿勢を呈する。
【0069】
その際、フレーム部材18aの下面壁部32aがストッパ部材24の当接面24aに当接したことが、図示しない近接センサによって検出される。すなわち、近接センサは、ローラコンベヤ部6の特定の部位(例えばフレーム部材18a)が、予め設定した位置に移動したことを検出する。近接センサから検出信号を受信した駆動機構部7の図示しない制御装置は、駆動モータ27を停止させる。
【0070】
また、このときベルト部材29には、ローラコンベヤ部6が傾斜姿勢を維持するのに必要な程度の大きさの張力が作用している。
ベルト部材29の両端は、それぞれフレーム部材18a、18bに固定されたヒンジ部材20のベルト側固定部23に固定されている。それぞれのヒンジ部材20のベルト側固定部23とフレーム部材側固定部22は、軸部21を介して回転可能に連結されている。そのため、ローラコンベヤ部6が、ローラコンベヤ部6の中央の支持部材9a(軸部15)を中心にローリングしてローラコンベヤ部6の姿勢が水平状態から傾斜状態に変化する際に、ベルト部材29とローラコンベヤ部6(フレーム部材18a、18b)の成す角度が変化する。すなわち、ベルト部材29は、姿勢が変化するローラコンベヤ部6のフレーム部材18a、18bを、常時最適な方向から牽引することができる。そのため、ベルト部材29は、無理なく最適な方向から両フレーム部材18a、18bを牽引することができる。
【0071】
傾斜状態のローラコンベヤ部6の搬送面D3は、下流側傾斜ライン3の搬送面D2と同一面内に配置されている。すなわち、搬送面D3と搬送面D2は、図8に示すように、平行状態になる。そして、図9に示すように、搬送面D3上の物品Pは、下流側傾斜ライン3の搬送面D2に移動し、搬送面D2に沿ってさらに下流側へ搬送される。
【0072】
搬送面D3上の物品Pが下流側傾斜ライン3側に移動すると、今度は上昇位置にあるローラコンベヤ部6のフレーム部材18bを水平位置まで下降させる。すなわち、駆動機構部7の図示しない制御装置は、駆動モータ27を逆方向に回転させ、ベルト部材29(巻掛け媒介節)を介してフレーム部材18bを牽引する。また、従動プーリ28a、28bが、バネ35a、35b、36a、36bの押圧力によって下方へ移動し、ベルト部材29を押し下げる。これにより、ベルト部材29の張力が維持され、駆動モータ27の動力がベルト部材29を介してフレーム部材18a、18bに確実に伝達される。
【0073】
その結果、フレーム部材18bが下降し、フレーム部材18aが上昇するようにローラコンベヤ部6は揺動し、ローラコンベヤ部6(搬送面D3)は水平姿勢に戻る。ローラコンベヤ部6は、フレーム部材18bの下面が弾性素材で形成されたストッパ部材14に当接するとローリングが停止し、水平姿勢になる。
【0074】
その際、フレーム部材18bの下面壁部32bがストッパ部材14に当接したことが、図示しない近接センサによって検出される。すなわち、近接センサは、ローラコンベヤ部6の特定の部位(フレーム部材18b)が、予め設定した位置に移動したことを検出する。近接センサから検出信号を受信した駆動機構部7の図示しない制御装置は、駆動モータ27を停止させる。
【0075】
ローラコンベヤ部6(搬送面D3)が水平姿勢に戻ると、上流側水平ライン2の搬送面D1上の後続の物品が、搬送装置4の搬送面D3上に移動することができるようになる。
【0076】
ローラコンベヤ部6のローリング動作(水平姿勢から傾斜姿勢になる動作と、傾斜姿勢から水平姿勢になる動作)は、作業者が手動で駆動機構部7(駆動モータ27)をON・OFF操作することによって実施してもよいが、図示しない制御装置によって制御するようにしてもよい。すなわち、コンベヤライン1の物品Pの移動方向に沿った複数の位置に物品Pを検出するセンサを設け、各センサがそれぞれ物品Pを検出したタイミングで、駆動機構部7を適宜作動させる。そして、コンベヤライン1に沿って物品Pを円滑に移動させる。
【0077】
搬送装置4の基台5には車輪8が設けられている。車輪8を備えた基台5は、ローラコンベヤ部6を載置する台車として機能する。そのため、搬送装置4は、容易に移動することができる。すなわち、コンベヤライン1のレイアウトを変更する際に、搬送装置4の位置を変更し易い。
【0078】
本実施形態では、巻掛け媒介節として平ベルトのベルト部材29を採用する例を示した。ベルト部材29と駆動プーリ27a及び従動プーリ28a、28bの間には摩擦力が作用し、駆動プーリ27aが回転すると、駆動プーリ27aに巻掛けられたベルト部材29が走行する。また、ベルト部材29と駆動プーリ27aを、ピン止め等の固定手段によって部分的に固定し、回転する駆動プーリ27aに追従するようにベルト部材29を走行させてもよい。
【0079】
ここで、巻掛け媒介節として、ベルト部材29の代わりに伸縮しにくい素材で形成されたロープ(紐)を採用することもできる。すなわち、図10に示すように、駆動源として駆動ローラ34(モータ内蔵ローラ)を採用し、ロープ33(紐)を駆動ローラ34の周囲に周回するように巻掛けて駆動機構部37を構成する。駆動機構部37は、ロープ33と駆動ローラ34の間の摩擦力が大きく、両者間で確実に動力が伝達される。
【0080】
また、巻掛け媒介節として歯付きベルトやチェーンを使用することもできる。その場合には、駆動機構部7の駆動プーリ27a及び従動プーリ28a、28bの代わりに、歯付きベルトやチェーンに対応するギヤやスプロケット等を採用する。
【0081】
さらに、基台5(固定部)に対してローラコンベヤ部6(可動部)を揺動させる機構として、軸部15とローラコンベヤ部6を一体化させ、軸部15を駆動モータ27で回転駆動させてもよい。すなわち、基台5に固定された駆動モータ27によって、軸部15を所定の角度範囲で回転駆動すると、軸部15と一体のローラコンベヤ部6がローリングする。この場合においても、軸部15はローラコンベヤ部6(可動部)の重量を支持しており、ローラコンベヤ部6をローリングさせるのに必要なトルクは比較的小さくて済む。
【0082】
本実施形態では、ローラコンベヤ部6(可動部)がローリングし、フレーム部材18a、18bが、ストッパ部材24、14に当接したことを、図示しない近接センサで検出する例を示した。しかし、本発明はこれに限らず、近接センサを設ける代わりに、駆動モータ27の回転数や出力パルス数を図示しない制御装置(記憶手段)に予め登録しておき、所定の回転数又はパルス数になると、駆動モータ27を停止させるようにしてもよい。すなわち、ローラコンベヤ部6の姿勢が水平状態から傾斜状態に変化する際のローラコンベヤ部6の回転角度(その逆の動作時のローラコンベヤ部6の回転角度)と、駆動モータ27の回転数又は出力パルス数とを対応させ、その対応関係を図示しない制御装置に登録する。そして、駆動モータ27の回転数又は出力パルス数が、所定値に達したことによって、ローラコンベヤ部6が傾斜状態に姿勢変更されたこと、又は水平状態に姿勢変更されたことを間接的に検出してもよい。
【0083】
本実施形態では物品Pが上流側水平ライン2から搬送装置4に移載され、さらに搬送装置4から下流側傾斜ライン3へ移載する場合について説明した。すなわち、本実施形態では、搬送装置4は、ローラコンベヤ部6が水平姿勢で物品Pを受け入れ、傾斜姿勢で物品Pを排出していた。逆に、搬送装置4は、傾斜姿勢で物品Pを受け入れ、水平姿勢で物品Pを排出することもできる。すなわち、物品Pが、コンベヤライン1に沿って下流側から上流側へ逆方向に移動する場合においても搬送装置4を使用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 コンベヤライン
4 搬送装置
5 基台(固定部)
6 ローラコンベヤ部(可動部)
7 駆動機構部(駆動源)
8 車輪(台車)
14 ストッパ部材(搬送面が水平姿勢になったときに当接するストッパ)
18a、18b フレーム部材(可動部における駆動源の両側に離間した部位)
20 ヒンジ部材
24 ストッパ部材(搬送面が傾斜姿勢になったときに当接するストッパ)
27 駆動モータ
27a 駆動プーリ(駆動モータに備えた回転体)
29 ベルト(巻掛け媒介節)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10