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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】浄水ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019056541
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020158124
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-136384(JP,A)
【文献】特開平10-043736(JP,A)
【文献】特開2018-115003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換式の浄水フィルタカートリッジ(3)と、
原水を貯留する原水タンク(2)と、
前記原水タンク(2)と前記浄水フィルタカートリッジ(3)の間を連通する原水管(4)と、
前記原水管(4)の途中に設けられ、前記原水タンク(2)の側から前記浄水フィルタカートリッジ(3)の側に原水を移送する電動ポンプ(5)と、
前記浄水フィルタカートリッジ(3)で濾過した浄水を収容する冷水タンク(7)と、
前記冷水タンク(7)を内部に収容し、筐体底板(11)を下端にもつ筐体(1)と、
前記冷水タンク(7)内の浄水を冷却する冷却装置(33)と、
前記冷水タンク(7)から低温の浄水を前記筐体(1)の外部に注出する冷水注出管(39)と、
前記筐体底板(11)に形成され、前記筐体(1)の内部で水漏れが生じたときにその漏れ出た水を溜める水溜凹部(50)と、
前記水溜凹部(50)に溜まった水を検出する水漏れセンサ(51)と、
前記浄水フィルタカートリッジ(3)を収容するカートリッジ収容空間(22)と、前記水溜凹部(50)および前記水漏れセンサ(51)が配置された本体空間(23)とを区画する隔壁パネル(24)と、を有し、
前記隔壁パネル(24)は、前記浄水フィルタカートリッジ(3)と水平に対向する垂直壁(54)と、前記浄水フィルタカートリッジ(3)の下側に対向するように前記垂直壁(54)の下端から水平に延び、前記垂直壁(54)と継ぎ目の無い一体に形成された水平壁(55)と、前記水平壁(55)の周縁から下方に延び、前記水平壁(55)と継ぎ目の無い一体に形成された垂下壁(56)とを有し、
前記筐体底板(11)は、前記垂下壁(56)に対して前記本体空間(23)の側に、前記垂下壁(56)と水平に対向する起立壁(53)を有する、
浄水ウォーターサーバー。
【請求項2】
前記浄水フィルタカートリッジ(3)は、上端が開口し、下端が閉塞した有底筒状に形成され、
前記カートリッジ収容空間(22)には、前記浄水フィルタカートリッジ(3)の上端が着脱可能に接続される下向きに開口するカートリッジ装着口(27)をもつカートリッジヘッド(26)が設けられている請求項1に記載の浄水ウォーターサーバー。
【請求項3】
前記水平壁(55)の上面に取り外し可能に設けられた水受けトレー(57)を更に有する請求項1または2に記載の浄水ウォーターサーバー。
【請求項4】
前記水漏れセンサ(51)が水を検出したときに前記電動ポンプ(5)の作動を停止する安全装置(61)を更に有する請求項1から3のいずれかに記載の浄水ウォーターサーバー。
【請求項5】
前記冷却装置(33)は、前記筐体底板(11)に固定されたコンプレッサ(34)と、そのコンプレッサ(34)から吐出された冷媒と外気との間で熱交換を行なう熱交換器(35)とを有し、
前記熱交換器(35)は、前記筐体(1)の後面に沿って設けられ、前記筐体(1)の内外を連通する隙間(38)をもつ金属製のサーペンタインチューブであり、
前記水漏れセンサ(51)は、前記水平壁(55)と上下に対向する位置に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の浄水ウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交換式の浄水フィルタカートリッジで水道水などの原水を濾過して使用する浄水ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。ウォーターサーバーは、一般に、筐体と、筐体にセットされる交換式の水ボトルと、その水ボトルから水を導入して収容する冷水タンクと、その冷水タンクから筐体の外部に低温の水を注出する冷水注出管とを有し、冷水注出管に設けられた冷水注出バルブを開くことで、いつでもすぐに美味しい冷水を利用することができ、優れた利便性をもつ(例えば、特許文献1)。
【0003】
ウォーターサーバーの水ボトルは、通常10~12リットル程度の飲料水が収容されており、10kg以上の重量がある。近年、この水ボトルを配送するための配送コストが上昇しており、ウォーターサーバーを利用するユーザーの経済的負担が大きくなる傾向にある。
【0004】
そこで、本願の発明者は、ウォーターサーバーの水ボトルの配送コストの問題を解決するため、交換式の浄水フィルタカートリッジで水道水などの原水を濾過して使用する浄水ウォーターサーバーの開発を開始した。具体的には、家庭の水道水を原水として貯留する原水タンクと、交換式の浄水フィルタカートリッジと、原水タンクと浄水フィルタカートリッジの間を連通する原水管と、原水管の途中に設けた電動ポンプと、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を収容する冷水タンクと、冷水タンク内の浄水を冷却する冷却装置と、冷水タンクから低温の浄水を筐体の外部に注出する冷水注出管とを有する浄水ウォーターサーバーの開発を開始した。
【0005】
浄水ウォーターサーバーは、家庭の水道水を、浄水フィルタカートリッジで濾過して使用するので、水ボトルの配送コストがかからず、ユーザーの経済的負担を抑えることが可能である。
【0006】
ここで、家庭の水道水を、浄水フィルタカートリッジで濾過して使用する方法として、水道の蛇口に一般的な浄水器を直結するという方法が考えられるが、一般的な水道直結型の浄水器は、水道のある場所(台所や給湯室)かその近傍に設置することが前提となるため、設置場所の選定に大きな制約を受ける。また、浄水を低温に冷却する冷却機能が無いため、利便性に劣る。
【0007】
これに対し、浄水ウォーターサーバーは、原水としての水道水をいったん原水タンクに貯留し、その原水タンクから浄水フィルタカートリッジに電動ポンプで原水を送り込むので、水道のある場所(台所や給湯室)に限らず、水道から遠い場所(居間や待合室など)にも設置することができる。しかも、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を、いつでも低温に冷却した状態で利用することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-228807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、一般のウォーターサーバーは、フローリング等の床面に設置されることが多い。そして、万一、筐体の内部で水漏れが生じ、その水が筐体から流出し、床面が濡れると、床面が腐食したり変色したりする原因となる。
【0010】
そこで、発明者は、上記の浄水ウォーターサーバーを開発するにあたり、万一、筐体の内部で水漏れが生じたときに、その水漏れを早期に検出し、かつ、水漏れの量を最小限に抑えるため、筐体底板に、筐体の内部で水漏れが生じたときにその漏れ出た水を溜める水溜凹部を形成するとともに、その水溜凹部に溜まった水を検出する水漏れセンサを設置することを検討した。このようにすると、筐体の内部で水漏れが生じたときに、水漏れセンサで水漏れを早期に検出することが可能となる。また、水漏れセンサで水漏れを検出したときに、浄水フィルタカートリッジへの送水用の電動ポンプの作動を停止する安全装置を設けることで、水漏れの量を最小限に抑えることが可能となる。
【0011】
しかしながら、水漏れセンサを浄水ウォーターサーバーに設けた場合、ユーザーが浄水フィルタカートリッジの交換作業をするときに、水漏れセンサが誤作動するおそれがあることが分かった。
【0012】
すなわち、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口から浄水フィルタカートリッジを取り外したときに、浄水フィルタカートリッジの内部に満たされた水が、浄水フィルタカートリッジの開口部分からこぼれ落ちたり、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口から水が流れ出たりすることがある。このとき、浄水フィルタカートリッジの開口部分やカートリッジ装着口から流れ出た水が、筐体の内部に浸入すると、その水を水漏れセンサが検出してしまい、電動ポンプの作動を停止する安全装置が作動するおそれがあることが分かった。安全装置がいったん作動すると、安全が確認できるまで浄水ウォーターサーバーを使用することができず、無用のコストと時間が必要となる。
【0013】
この発明が解決しようとする課題は、万一、筐体の内部で水漏れが生じたときに、その水漏れを早期に検出することができ、かつ、浄水フィルタカートリッジの交換作業をするときに、水漏れセンサが誤作動しにくい浄水ウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成の浄水ウォーターサーバーを提供する。
交換式の浄水フィルタカートリッジと、
原水を貯留する原水タンクと、
前記原水タンクと前記浄水フィルタカートリッジの間を連通する原水管と、
前記原水管の途中に設けられ、前記原水タンクの側から前記浄水フィルタカートリッジの側に原水を移送する電動ポンプと、
前記浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を収容する冷水タンクと、
前記冷水タンクを内部に収容し、筐体底板を下端にもつ筐体と、
前記冷水タンク内の浄水を冷却する冷却装置と、
前記冷水タンクから低温の浄水を前記筐体の外部に注出する冷水注出管と、
前記筐体底板に形成され、前記筐体の内部で水漏れが生じたときにその漏れ出た水を溜める水溜凹部と、
前記水溜凹部に溜まった水を検出する水漏れセンサと、
前記浄水フィルタカートリッジを収容するカートリッジ収容空間と、前記水溜凹部および前記水漏れセンサが配置された本体空間とを区画する隔壁パネルと、を有し、
前記隔壁パネルは、前記浄水フィルタカートリッジと水平に対向する垂直壁と、前記浄水フィルタカートリッジの下側に対向するように前記垂直壁の下端から水平に延び、前記垂直壁と継ぎ目の無い一体に形成された水平壁と、前記水平壁の周縁から下方に延び、前記水平壁と継ぎ目の無い一体に形成された垂下壁とを有し、
前記筐体底板は、前記垂下壁に対して前記本体空間の側に、前記垂下壁と水平に対向する起立壁を有する、
浄水ウォーターサーバー。
【0015】
このようにすると、筐体の内部で水漏れが生じたときに、その漏れ出た水が筐体底板の水溜凹部に溜まり、その溜まった水を水漏れセンサで検出するので、早期に水漏れを検出することが可能である。また、浄水フィルタカートリッジを収容するカートリッジ収容空間と、水溜凹部および水漏れセンサが配置された本体空間とが隔壁パネルで区画されるとともに、その隔壁パネルの垂直壁と水平壁と垂下壁とが継ぎ目の無い一体に形成されているので、カートリッジ収容空間から本体空間への水が浸入しにくい。さらに、筐体底板が、隔壁パネルの垂下壁に対して本体空間の側に、垂下壁と水平に対向する起立壁を有するので、カートリッジ収容空間から本体空間への水の浸入を、特に効果的に防止することが可能となっている。そのため、ユーザーが、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口から浄水フィルタカートリッジを取り外したときに、浄水フィルタカートリッジの内部に満たされた水が、浄水フィルタカートリッジの開口部分からこぼれ落ちたり、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口から水が流れ出たりしても、浄水フィルタカートリッジの開口部分やカートリッジ装着口から流れ出た水が、水溜凹部および水漏れセンサが配置された本体空間に浸入しにくく、水漏れセンサが誤作動しにくい。
【0016】
前記浄水フィルタカートリッジは、上端が開口し、下端が閉塞した有底筒状に形成され、前記カートリッジ収容空間には、前記浄水フィルタカートリッジの上端が着脱可能に接続される下向きに開口するカートリッジ装着口をもつカートリッジヘッドが設けられている構成の浄水ウォーターサーバーを採用する場合、浄水フィルタカートリッジを取り外したときに、カートリッジヘッドの下向きのカートリッジ装着口から水が流れ出るおそれが高い。そのため、この場合は特に、上述の構成(すなわち、浄水フィルタカートリッジを収容するカートリッジ収容空間と、水溜凹部および水漏れセンサが配置された本体空間とが隔壁パネルで区画されるとともに、その隔壁パネルの垂直壁と水平壁と垂下壁とが継ぎ目の無い一体に形成され、さらに、筐体底板が、隔壁パネルの垂下壁に対して本体空間の側に、垂下壁と水平に対向する起立壁を有する構成)を採用すると好適である。
【0017】
前記水平壁の上面に水受けトレーを取り外し可能に設けると好ましい。
【0018】
このようにすると、ユーザーが、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口から浄水フィルタカートリッジを取り外したときに、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口から水が流れ出ても、その水を水受けトレーで受け止めることができる。そのため、カートリッジ装着口から流れ出た水が、本体空間に浸入して水漏れセンサが誤作動するのを、きわめて効果的に防止することが可能となる。また、水受けトレーに溜まった水は、水受けトレーを取り外すことで、筐体を濡らさずに確実に捨てることが可能である。
【0019】
前記水漏れセンサが水を検出したときに前記電動ポンプの作動を停止する安全装置を更に設けると好ましい。
【0020】
このようにすると、筐体の内部で水漏れが生じたときに、安全装置によって電動ポンプの作動が停止するので、水漏れの量を最小限に抑えることが可能となる。
【0021】
前記冷却装置が、前記筐体底板に固定されたコンプレッサと、そのコンプレッサから吐出された冷媒と外気との間で熱交換を行なう熱交換器とを有し、
前記熱交換器が、前記筐体の後面に沿って設けられ、前記筐体の内外を連通する隙間をもつ金属製のサーペンタインチューブである場合、
前記水漏れセンサは、前記水平壁と上下に対向する位置に配置すると好ましい。
【0022】
このようにすると、水平壁が水漏れセンサの上方を覆う構成となるため、筐体の外部から、何らかの原因でサーペンタインチューブに水が跳ねかかったときに、その水が、水漏れセンサに付着するのが防止され、筐体の内部の水漏れ以外の原因で水漏れセンサが作動するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明の浄水ウォーターサーバーは、筐体の内部で水漏れが生じたときに、その漏れ出た水が筐体底板の水溜凹部に溜まり、その溜まった水を水漏れセンサで検出するので、早期に水漏れを検出することが可能である。また、浄水フィルタカートリッジを収容するカートリッジ収容空間と、水溜凹部および水漏れセンサが配置された本体空間とが隔壁パネルで区画されるとともに、その隔壁パネルの垂直壁と水平壁と垂下壁とが継ぎ目の無い一体に形成されているので、カートリッジ収容空間から本体空間への水が浸入しにくい。さらに、筐体底板が、隔壁パネルの垂下壁に対して本体空間の側に、垂下壁と水平に対向する起立壁を有するので、カートリッジ収容空間から本体空間への水の浸入を、特に効果的に防止することが可能となっている。そのため、ユーザーが、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口から浄水フィルタカートリッジを取り外したときに、浄水フィルタカートリッジの内部に満たされた水が、浄水フィルタカートリッジの開口部分からこぼれ落ちたり、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口から水が流れ出たりしても、浄水フィルタカートリッジの開口部分やカートリッジ装着口から流れ出た水が、水溜凹部および水漏れセンサが配置された本体空間に浸入しにくく、水漏れセンサが誤作動しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の実施形態の浄水ウォーターサーバーを前側から見た図
図2図1のII-II線に沿った断面図
図3図2の浄水フィルタカートリッジをカートリッジ交換位置に揺動させた状態を示すカートリッジヘッド近傍の図
図4図3の浄水フィルタカートリッジをカートリッジヘッドから取り外した状態を示すカートリッジヘッド近傍の図
図5図2に示すウォーターサーバーの常温水タンク、冷水タンク、温水タンクを前側から見た断面図
図6図5のVI-VI線に沿った断面図
図7図5のVII-VII線に沿った断面図
図8図2の水漏れセンサの近傍の拡大図
図9図8の垂下壁の下端部の近傍を前側から見た図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図2に、この発明の実施形態の浄水ウォーターサーバーを示す。このウォーターサーバーは、筐体1と、原水を貯留する原水タンク2と、交換式の浄水フィルタカートリッジ3と、原水タンク2と浄水フィルタカートリッジ3の間を連通する原水管4と、原水管4の途中に設けられた電動ポンプ5と、筐体1の内部に収容された常温水タンク6および冷水タンク7および温水タンク8(図5参照)とを有する。
【0026】
図2に示すように、原水タンク2は、筐体1に着脱可能に取り付けられている。筐体1は、上下方向に延びる筒部9と、筒部9の上端に設けられた天板10と、筒部9の下端に設けられた筐体底板11とを有する。筒部9は、左右一対の側面板12と、側面板12の前縁同士を連結する前面板13と、側面板12の後縁同士を連結する後面板14とで構成されている。筐体1の天板10には、原水タンク2を収容するタンク収容凹部15が設けられている。タンク収容凹部15の内面には、原水管4の上流側の端部の原水導入口16が設けられている。
【0027】
原水タンク2は、原水を収容するタンク本体17と、タンク本体17に形成された給水用の開口を開閉する蓋体18とからなる。タンク本体17は、原水タンク2をタンク収容凹部15に取り付けたときに原水導入口16に対応する位置にタンク開閉弁19を有する。タンク開閉弁19は、原水タンク2をタンク収容凹部15から取り外した状態では、原水タンク2の内部と外部の連通を遮断し、原水タンク2をタンク収容凹部15に取り付けた状態では、原水タンク2の内部を原水導入口16に連通させる開閉弁である。
【0028】
電動ポンプ5は、電動モータ20と、電動モータ20で駆動されるポンプ部分21とで構成されている。ポンプ部分21は、例えば、ギヤポンプやダイヤフラムポンプを採用することができる。電動ポンプ5は、原水タンク2の側から原水を吸い込み、その原水を浄水フィルタカートリッジ3の側に吐出することで、原水管4内の原水を、原水タンク2の側から浄水フィルタカートリッジ3の側に移送する。
【0029】
浄水フィルタカートリッジ3は、筐体1の前面に開放するカートリッジ収容空間22に収容されている。カートリッジ収容空間22は、筐体1の内部の本体空間23(冷水タンク7等を収容する空間)から隔壁パネル24で区画された空間である。カートリッジ収容空間22は、カバー部材25で覆われている。カバー部材25は、ここでは、筐体1に回動可能に支持されたカバー扉であるが、筐体1にビスで取り外し可能に取り付けたカバー蓋を採用することも可能である。
【0030】
浄水フィルタカートリッジ3は、上端が開口し、下端が閉塞した有底筒状に形成されている。浄水フィルタカートリッジ3には、図示しない中空糸膜フィルタと活性炭フィルタとが組み込まれている。
【0031】
図3図4に示すように、浄水フィルタカートリッジ3の上端は、カートリッジ収容空間22に配置されたカートリッジヘッド26のカートリッジ装着口27に着脱可能に接続されている。具体的には、浄水フィルタカートリッジ3をその中心軸まわりに回転させ、浄水フィルタカートリッジ3の上端をカートリッジヘッド26から引き抜く操作により、浄水フィルタカートリッジ3の上端をカートリッジヘッド26から取り外すことが可能となっている。ここで、カートリッジ装着口27は、下向きに開口している。カートリッジヘッド26には、原水管4の下流側の端部と、浄水管28の上流側の端部とがそれぞれ接続されている。
【0032】
図2に示すように、常温水タンク6には、空気と、浄水フィルタカートリッジ3で濾過された浄水とが、上下二層に収容されている。常温水タンク6の上面には、浄水管28の下流側の端部が接続され、浄水フィルタカートリッジ3で濾過された浄水が常温水タンク6に流れ込むようになっている。常温水タンク6には、常温水タンク6内の水位を検知する水位センサ29が取り付けられている。
【0033】
図6に示すように、常温水タンク6の底面には、常温水注出管30が接続されている。常温水注出管30には、常温水タンク6内の浄水を筐体1の外部に注出する常温水注出弁31が設けられている。
【0034】
図2に示すように、冷水タンク7は、常温水タンク6の下方に配置されている。冷水タンク7と常温水タンク6は、冷水タンク接続管32を介して接続されている。冷水タンク接続管32の上端は常温水タンク6の下面に接続し、冷水タンク接続管32の下端は冷水タンク7の上面に接続している。冷水タンク7は、浄水フィルタカートリッジ3で濾過した浄水を、常温水タンク6から冷水タンク接続管32を介して導入して収容している。
【0035】
冷水タンク7内の浄水は、冷却装置33によって所定の低温(例えば10℃以下)に保たれている。冷却装置33は、コンプレッサ34と熱交換器35と膨張弁36と冷却管37とを有する。コンプレッサ34は、筐体底板11に固定されている。熱交換器35は、筐体1の後面に沿って設けられ、筐体1の内外を連通する隙間38をもつ金属製のサーペンタインチューブである。サーペンタインチューブは、筐体1の後面に沿って左右に往復しながら上方から下方に冷媒を移動させるように折り曲げて形成された熱交換用の配管であり、往復する配管の隣り合う部分の間に放熱用の隙間38(筐体1の内外を連通する隙間38)が設けられている。コンプレッサ34と熱交換器35と膨張弁36と冷却管37は、順に冷媒が通過して循環するように冷媒用の配管で接続されている。冷却管37は、冷水タンク7の外周に螺旋状に巻き付けられている。冷却管37は、冷水タンク7の内部を通るように冷水タンク7の壁面を貫通して設けてもよい。
【0036】
コンプレッサ34は、冷却管37から冷媒を吸引し、その冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させ、高温高圧となった冷媒を熱交換器35の側に吐出する。熱交換器35は、コンプレッサ34から高温高圧の冷媒を受け入れ、その冷媒と外気との間で熱交換を行なう。膨張弁36は、熱交換器35を通過した冷媒を受け入れ、その冷媒を減圧して温度を低下させる。冷却管37は、膨張弁36で低温低圧になった冷媒を受け入れ、その冷媒と冷水タンク7の間で熱交換を行なう。
【0037】
冷水タンク7の底面には、冷水注出管39が接続されている。冷水注出管39には、冷水タンク7内の低温の浄水を筐体1の外部に注出する冷水注出弁40が設けられている。冷水注出弁40を開弁して低温の浄水を注出すると、その浄水と同量の浄水が、冷水タンク接続管32を通って常温水タンク6から冷水タンク7に流入し、冷水タンク7は常に満水状態に保たれる。
【0038】
図7に示すように、温水タンク8は、常温水タンク6の下方に配置されている。温水タンク8と常温水タンク6は、温水タンク接続管41を介して接続されている。温水タンク接続管41の上端は常温水タンク6の下面に接続し、温水タンク8の下部に開口するように温水タンク8に接続している。温水タンク8は、浄水フィルタカートリッジ3で濾過した浄水を、常温水タンク6から温水タンク接続管41を介して導入して収容している。温水タンク8内の浄水は、加熱用ヒータ42によって所定の高温(例えば80℃以上)に保たれている。
【0039】
温水タンク8の上面には、温水注出管43が接続されている。温水注出管43には、温水タンク8内の高温の浄水を筐体1の外部に注出する温水注出弁44が設けられている。温水注出弁44を開弁して高温の浄水を注出すると、その浄水と同量の浄水が、温水タンク接続管41を通って常温水タンク6から温水タンク8に流入し、温水タンク8は常に満水状態に保たれる。
【0040】
冷水注出弁40(図2参照)、温水注出弁44(図7参照)、常温水注出弁31(図6参照)の出口はそれぞれ、筐体1の外部に臨んで開口する浄水注出口45(図1参照)に連通している。図1に示すように、筐体1の外部には、冷水注出操作部46、温水注出操作部47、常温水注出操作部48が設けられている。ユーザーが冷水注出操作部46、温水注出操作部47、常温水注出操作部48を操作すると、その操作に応じて、冷水注出弁40(図2参照)、温水注出弁44(図7参照)、常温水注出弁31(図6参照)が開弁する。
【0041】
図2に示すように、筐体底板11には、筐体1の内部で水漏れが生じたときにその漏れ出た水を溜める水溜凹部50が形成されている。筐体底板11には、水溜凹部50に溜まった水を検出する水漏れセンサ51が取り付けられている。水漏れセンサ51は、水溜凹部50の内部に離間して配置された図示しない2つの電極を有し、その2つの電極間の電気抵抗の変化に基づいて水の有無を検知する。
【0042】
ここで、筐体底板11の上面は、コンプレッサ34が固定される平坦なコンプレッサ固定面52と、コンプレッサ固定面52に対して下方に窪んだ水溜凹部50と、コンプレッサ固定面52に対して上方に立ち上がる起立壁53とを有する。起立壁53は、水溜凹部50に隣接して配置され、この起立壁53に水漏れセンサ51が取り付けられている。また、水溜凹部50および水漏れセンサ51は、隔壁パネル24で区画されたカートリッジ収容空間22と本体空間23のうち、本体空間23に配置されている。
【0043】
隔壁パネル24は、浄水フィルタカートリッジ3と水平に対向する垂直壁54と、浄水フィルタカートリッジ3の下側に対向するように垂直壁54の下端から水平に延びる水平壁55と、水平壁55の周縁から下方に延びる垂下壁56とを有する。垂直壁54と水平壁55と垂下壁56は、樹脂により継ぎ目の無い一体に形成されている。水平壁55の上面には、水受けトレー57が取り外し可能に設けられている。
【0044】
図8に示すように、水受けトレー57は、トレー底58と、トレー底58の周縁から上方に立ち上がる筒壁59とを有する。筒壁59の上端は開放しており、水受けトレー57の上方から落下する水を受け入れて内部に溜めることができるようになっている。水受けトレー57は、樹脂で一体成形されている。
【0045】
図8図9に示すように、筐体底板11の起立壁53は、垂下壁56に対して本体空間23の側に、垂下壁56と水平に対向して配置されている。すなわち、垂下壁56の下端部と筐体底板11の起立壁53は、垂下壁56の下端部がカートリッジ収容空間22の側、筐体底板11の起立壁53が本体空間23の側となる向きで、水平に対向している。
【0046】
図8に示すように、垂下壁56の下端部には、垂下壁56と起立壁53とが上下に重なる部分を有するように、起立壁53の一部を収容するL形断面の段部60が形成されている。段部60は、垂下壁56の本体空間23の側の面を、上側から下側に向かってカートリッジ収容空間22の側に後退させる形状を有する。垂下壁56と起立壁53の間の水平方向の間隔の大きさは、0mm~1.0mmの間の範囲で設定すると、水がカートリッジ収容空間22から垂下壁56と起立壁53の間を通過して本体空間23に浸入するのを効果的に防止することができ、好ましい。水漏れセンサ51は、水平壁55と上下に対向する位置に配置されている。この浄水ウォーターサーバーは、水漏れセンサ51が水を検出したときに電動ポンプ5の作動を停止する安全装置61(図2参照)を有する。
【0047】
図9に示すように、隔壁パネル24は、筐体1の側面板12の前端に沿って内側に折り曲げて形成されたフランジ62(図9参照)に、ビス63で固定されている。
【0048】
この浄水ウォーターサーバーは、筐体1の内部で水漏れが生じたときに、その漏れ出た水が筐体底板11の水溜凹部50に溜まり、その溜まった水を水漏れセンサ51で検出するので、早期に水漏れを検出することが可能である。
【0049】
ところで、上記のウォーターサーバーを使用する際、何らかのトラブルが原因で、常温水タンク6に浄水が過剰に導入され、その浄水が常温水タンク6からオーバーフローするおそれがある。例えば、何らかの原因で、常温水タンク6内の水位が上限水位に達したことを水位センサ29で検知できず、その結果、電動ポンプ5が停止せずに作動し続ける場合が考えられる。また例えば、何らかの原因で、原水管4の接続部や浄水管28の接続部などから水漏れする可能性もある。そして、その水が筐体1から流出し、筐体底板11の下側の床面が濡れると、床面が腐食したり変色したりする原因となる。
【0050】
この問題に対し、この浄水ウォーターサーバーでは、筐体1の内部で水漏れが生じたときに、その漏れ出た水が筐体底板11の水溜凹部50に溜まり、その溜まった水を水漏れセンサ51で検出するので、早期に水漏れを検出することが可能である。
【0051】
ところで、図4に示すように、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口27から浄水フィルタカートリッジ3を取り外したときに、浄水フィルタカートリッジ3の内部に満たされた水が、浄水フィルタカートリッジ3の上端の開口部分からこぼれ落ちたり、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口27から水が流れ出たりすることがある。このとき、浄水フィルタカートリッジ3の開口部分やカートリッジ装着口27から流れ出た水が、筐体1の内部に浸入すると、その水を水漏れセンサ51が検出してしまい、安全装置61が作動するおそれがある。安全装置61がいったん作動すると、安全が確認できるまで浄水ウォーターサーバーを使用することができず、無用のコストと時間が必要となる。
【0052】
この問題に対し、この浄水ウォーターサーバーでは、浄水フィルタカートリッジ3を収容するカートリッジ収容空間22と、水溜凹部50および水漏れセンサ51が配置された本体空間23とが隔壁パネル24で区画されるとともに、その隔壁パネル24の垂直壁54と水平壁55と垂下壁56とが継ぎ目の無い一体に形成されているので、カートリッジ収容空間22から本体空間23へ水が浸入しにくい。さらに、図8に示すように、筐体底板11が、隔壁パネル24の垂下壁56に対して本体空間23の側に、垂下壁56と水平に対向する起立壁53を有するので、カートリッジ収容空間22から本体空間23への水の浸入を、特に効果的に防止することが可能となっている。
【0053】
そのため、図4に示すように、ユーザーが、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口27から浄水フィルタカートリッジ3を取り外したときに、浄水フィルタカートリッジ3の内部に満たされた水が、浄水フィルタカートリッジ3の開口部分からこぼれ落ちたり、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口27から水が流れ出たりしても、浄水フィルタカートリッジ3の開口部分やカートリッジ装着口27から流れ出た水が、水溜凹部50および水漏れセンサ51が配置された本体空間23に浸入しにくく、水漏れセンサ51が誤作動しにくい。
【0054】
また、この浄水ウォーターサーバーは、図4に示すように、ユーザーが、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口27から浄水フィルタカートリッジ3を取り外したときに、浄水ウォーターサーバーのカートリッジ装着口27から水が流れ出ても、その水を水受けトレー57で受け止めることができる。そのため、カートリッジ装着口27から流れ出た水が、本体空間23に浸入して水漏れセンサ51が誤作動するのを、きわめて効果的に防止することが可能となっている。また、水受けトレー57に溜まった水は、水受けトレー57を取り外すことで、筐体1を濡らさずに確実に捨てることが可能である。
【0055】
また、この浄水ウォーターサーバーは、筐体1の内部で水漏れが生じたときに、安全装置61によって電動ポンプ5の作動が停止するので、水漏れの量を最小限に抑えることが可能である。
【0056】
また、この浄水ウォーターサーバーは、図8に示すように、水平壁55が水漏れセンサ51の上方を覆う構成となっているため、筐体1の外部から、何らかの原因で熱交換器35としてのサーペンタインチューブ(図2参照)に水が跳ねかかったときに、その水が、水漏れセンサ51に付着するのが防止され、筐体1の内部の水漏れ以外の原因で水漏れセンサ51が作動するのを防止することが可能となっている。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 筐体
2 原水タンク
3 浄水フィルタカートリッジ
4 原水管
5 電動ポンプ
7 冷水タンク
11 筐体底板
22 カートリッジ収容空間
23 本体空間
24 隔壁パネル
26 カートリッジヘッド
27 カートリッジ装着口
33 冷却装置
34 コンプレッサ
35 熱交換器
38 隙間
39 冷水注出管
50 水溜凹部
51 水漏れセンサ
53 起立壁
54 垂直壁
55 水平壁
56 垂下壁
57 水受けトレー
61 安全装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9