(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/31 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B65G47/31 D
(21)【出願番号】P 2019106490
(22)【出願日】2019-06-06
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】角 貴樹
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-086922(JP,U)
【文献】米国特許第09051132(US,B2)
【文献】実公昭51-021502(JP,Y1)
【文献】特開2017-105501(JP,A)
【文献】実開平04-042119(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された物品を搬送する搬送面を構成する第一エンドレスベルトを備えるベルトコンベアと、
そのベルトコンベアの搬送面の上方の搬送方向に対する左右に配置される一対の第一サイドガイド部と、
一対の前記第一サイドガイド部の間に進入可能なフィンガー部と、そのフィンガー部を前記搬送方向に沿って移動する移動手段とを備えたフィンガー装置とを備え、
前記第一エンドレスベルトは、その搬送面を構成する部分が前記搬送方向と同一方向に移動するようにし、
前記フィンガー部の移動速度は、前記第一エンドレスベルトからの搬送力を受けて移動する前記物品の移動速度よりも速くし、前記物品が前記搬送面上に供給された際には前記物品は前記フィンガー部と非接触で前記第一エンドレスベルトからの搬送力を受けて前進移動し、その前進移動中に後方側に位置する前記フィンガー部が前記物品に接触して前方に向けて搬送するようにしたことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記物品は、細棒状の本体を有し、その本体の一端に設けたノックボタンの操作により前記本体の他端から芯が出没する機能を備える筆記用具であり、
前記ベルトコンベアは、前記ノックボタンを搬送方向の後側に位置する姿勢で前記物品を搬送するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記物品は、本体の側面に突起部を有するものであり、
前記ベルトコンベアの下流側に、前記突起部の位置を搬送方向
左側または搬送方向右側に揃える揃え装置を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記揃え装置は、前記ベルトコンベアの下流側に配置され、前記搬送方向に対して交差する方向に移動する第二エンドレスベルトと、その第二エンドレスベルトの搬送面の上方の前記搬送方向に対する左右両側に配置される一対の第二サイドガイド部を備え、
前記突起部を揃える側の前記第二サイドガイド部を、同じ側の前記第一サイドガイド部よりも外側に配置し、反対側の前記第二サイドガイド部は同じ側の前記第一サイドガイド部の延長線上に配置することを特徴とする請求項3に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
一対の前記第二サイドガイド部の間を通過し、前記第二エンドレスベルト上の前記物品を前方に付勢するフィンガーと、そのフィンガーを搬送方向に沿って前進移動する機構を備えるコヤグラコンベア装置を備え、
前記コヤグラコンベア装置は、前記ベルトコンベアの搬出側上方空間にも配置し、前記フィンガーは、前記第一サイドガイド部の搬出側の区間から前記物品を押送するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記揃え装置の下流側に、搬出コンベアを備え、
前記搬出コンベアは、前記物品の搬送方向に沿って移動する第三エンドレスベルトを備え、
一対の前記第二サイドガイド部は、その第三エンドレスベルト上にも延長形成されることを特徴とする請求項4または5に記載の物品搬送装置。
【請求項7】
前記物品を、前記ベルトコンベア上に落下供給する物品供給装置を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば包装機本体に物品を搬送供給する物品搬送装置は、例えば、製品を一定間隔で搬送するフィンガーコンベアが用いられる。この種の物品搬送装置は、下流側に向けて移動するフィンガーの左右両側に搬送面を構成する一対の上板を配置した構成をとる。
【0003】
この物品搬送装置に対し、製品を自動供給する装置として、例えば特許文献1に開示される物品供給装置がある。この特許文献1に開示された装置は、搬送面の上方から棒状の物品を前後のフィンガーの間に1個ずつ落下供給するようにしている。落下供給された物品は、そのまま搬送面の上に乗り待機する。そして、進行方向の後方に位置するフィンガーが前進移動して物品に接触し、移動に伴い当該物品を前方に向けて付勢する。これにより、物品は、フィンガーと共に前進移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、物品がボールペンその他の筆記用具のように、比較的軽量で滑りやすいものの場合、搬送面上で待機している状態で後方からフィンガーが接触すると、接触時の付勢力により物品が前方に飛び出るおそれがある。また、ノック式のボールペンやシャープペンシル等の場合、一般にペン先を進行方向前側に配置することから、フィンガーが待機しているボールペン等のノックボタンに接触して前方に強く押すことから、芯が出てしまうおそれがある。係る事態を避けるために、ノックボタンを下流側に位置させた姿勢とすると、フィンガーがペン先に衝突し、当該ペン先を損傷するおそれがあるので好ましくない。特に、単位時間あたりの製造個数を増やすために高速搬送すると、フィンガーの移動速度が増加し、接触時の付勢力も大きくなるのでより顕著に表れる。
【0006】
また、例えば、搬送対象の物品が1種類のように専用機とした場合、フィンガーが接触しても上記の問題が生じないように上板の材質や接触抵抗並びにフィンガーの移動速度等を調整することも可能となる。これに対し、例えば、同一の物品搬送装置が、多品種に対応するようにすると、個々の物品に合わせた調整は難しいか、仮にできたとしても物品を替える都度、設定を変えるのは煩雑となる。
【0007】
また、フィンガーコンベアの場合、フィンガーを取り付けるエンドレスチェーンを掛け渡すスプロケットの径がある程度の寸法が必要となり、フィンガーコンベアの搬出端と包装機本体との間に隙間が生じてしまい、その隙間に搬送中のボールペン等の物品が前倒れになって落ち込んだり、引っ掛かったりしてスムーズな受け渡しができないおそれがある。
【0008】
また、物品が例えば、ゴム等の弾性部材のグリップが設けられたボールペンの場合、フィンガーコンベアの搬送面を構成する一対の上板(例えばフィンガーの左右両側に配置)との滑り性が悪い場合がある。また、フィンガーコンベアの一対の上板によって形成されるスリットに、自動供給装置から供給されたボールペンが嵌まってしまうことがある。このような状態でフィンガーコンベアのフィンガーで物品を付勢した場合、ノックボタンが押されてしまうことがある。またはフィンガーコンベアのフィンガーに乗り上げてしまうことがある。
【0009】
上記の問題への対策として、例えばフィンガーコンベアのスリットを埋めるアタッチメントが設けられることがある。しかしながら、多品種を兼用した場合、ボールペンの本体2には、デザイン上などにより様々な形状をしたものがあるため、クリップ等の突起や、またはボールペンの本体の一部がアタッチメントの隙間や段差等にひっかかり、スムーズな搬送ができないことがある。
【0010】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の物品搬送装置は、(1)供給された物品を搬送する搬送面を構成する第一エンドレスベルトを備えるベルトコンベアと、そのベルトコンベアの搬送面の上方の搬送方向に対する左右に配置される一対のサイドガイド部と、一対の前記第一サイドガイド部の間に進入可能なフィンガー部と、そのフィンガー部を前記搬送方向に沿って移動する移動手段とを備えたフィンガー装置とを備え、前記第一エンドレスベルトは、その搬送面を構成する部分が前記搬送方向と同一方向に移動するようにし、前記フィンガー部の移動速度は、前記第一エンドレスベルトからの搬送力を受けて移動する前記物品の移動速度よりも速くし、前記物品が前記搬送面上に供給された際には前記物品は前記フィンガー部と非接触で前記第一エンドレスベルトからの搬送力を受けて前進移動し、その前進移動中に後方側に位置する前記フィンガー部が前記物品に接触して前方に向けて搬送するようにした。
【0012】
このようにすると、ベルトコンベア上を移動する物品に対してフィンガー部が接触した際の付勢力を小さく抑えることができ、物品を安定した姿勢でスムーズに搬送することができる。
【0013】
(2)前記物品は、細棒状の本体を有し、その本体の一端に設けたノックボタンの操作により前記本体の他端から芯が出没する機能を備える筆記用具であり、前記ベルトコンベアは、前記ノックボタンを搬送方向の後側に位置する姿勢で前記物品を搬送するようにするとよい。フィンガー部がノックボタンに接触した際の当該ノックボタンに与える付勢力が小さくなり、ノックボタンの押下により芯が飛び出すことを可及的に抑制できる。
【0014】
(3)前記物品は、本体の側面に突起部を有するものであり、前記ベルトコンベアの下流側に、前記突起部の位置を搬送方向左側または搬送方向右側に揃える揃え装置を備えるようにするとよい。このようにすると、突起部の位置が揃うので、物品の本体の中心位置を個々の物品毎に同じにすることができる。よって、例えば下流側に包装機本体を配置した場合に、包装機本体に対して物品を供給する際の、幅方向の本体の位置を同じにし、包装体の所望位置に収納させることができる。突起部は、実施形態ではクリップであるが、各種のボタンその他のクリップ以外のものでもよい。本体は、例えば円柱或いは円筒状の物体とするとよい。
【0015】
(4)前記揃え装置は、前記ベルトコンベアの下流側に配置され、前記搬送方向に対して交差する方向に移動する第二エンドレスベルトと、その第二エンドレスベルトの搬送面の上方の左右両側に配置される一対の第二サイドガイド部を備え、前記突起部を揃える側の前記第二サイドガイド部を、同じ側の前記第一サイドガイド部よりも外側に配置し、反対側の前記第二サイドガイド部は同じ側の前記第一サイドガイド部の延長線上に配置するとよい。このようにすると、揃え装置で突起部の位置を合わせた際に、例えば、ベルトコンベア上を搬送される物品の本体の位置が、揃え装置で横にずれることを可及的に抑制できる。
【0016】
(5)一対の前記第二サイドガイド部の間を通過し、前記第二エンドレスベルト上の前記物品を前方に付勢するフィンガーと、そのフィンガーを搬送方向に沿って前進移動する機構を備えるコヤグラコンベア装置を備え、前記コヤグラコンベア装置は、前記ベルトコンベアの搬出側上方空間にも配置し、前記フィンガーは、前記第一サイドガイド部の搬出側の区間から前記物品を押送するようにようにするとよい。このようにすると、コヤグラコンベア装置のフィンガーにて物品を移動しながら、突起部の向きを揃えることができる。
【0017】
(6)前記揃え装置の下流側に、搬出コンベアを備え、前記搬出コンベアは、前記物品の搬送方向に沿って移動する第三エンドレスベルトを備え、一対の前記第二サイドガイド部は、その第三エンドレスベルト上にも延長形成されるようにするとよい。第三エンドレスベルトを用いたベルトコンベアにすることで、搬出コンベアの搬出端と、次段の装置との隙間を狭くし、物品のスムーズな引き渡しが可能となる。また、第二サイドガイドを搬出コンベアの第三エンドレスベルト上に延長形成することで、揃え装置で揃った物品の姿勢、位置を崩すことなく搬出コンベアで移動できる。
【0018】
(7)前記物品を、前記ベルトコンベア上に落下供給する物品供給装置を備えるようにするとよい。このようにすると、ベルトコンベア上の所望位置に、物品を順次供給することができる。物品の落下位置は、ベルト面であるため衝撃が吸収されるのでよい。また、例えばフィンガーコンベアと相違し、フィンガーが移動するための隙間を設ける必要が無く、落下した物品或いは例えば上述した突起部他の物品の一部等が当該隙間に入り込んだりすることもないのでよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フィンガー部が物品に接触した際に物品に与える付勢力を小さくし、物品を安定した姿勢でスムーズに搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る物品搬送装置の好適な一実施形態を示す平面図である。
【
図2】物品供給装置と物品搬送装置の搬入側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
本実施形態の物品搬送装置10は、例えば横ピロー包装機における包装機本体9の上流側に配置されるものであり、包装機本体9の製袋器内に物品1を一定間隔で供給するものである。本形態の搬送対象の物品1は、例えばボールペンのように細棒状の物品であり、
図3等に示すように、本体2の上端にノックボタン3を有し、そのノックボタン3を押すことで、芯の出没を制御する。さらに本体2の側面上方付近には、外側に突出するクリップ4を備える。
【0023】
物品搬送装置10は、上流側から順に、供給された物品1を搬送するベルトコンベア11と、クリップの向きを揃える揃え装置12と、揃え装置12でクリップ4の向きが揃った物品1を順次搬送・搬出する搬出コンベア13を備える。それらベルトコンベア11,揃え装置12並びに搬出コンベア13の搬送面は、同一直線上に形成され、この物品搬送装置10は、細棒状の物品1を長手方向が搬送方向に沿った縦長の姿勢で搬送する。
【0024】
ベルトコンベア11の搬入側近傍には、物品供給装置20を配置し、その物品供給装置20から物品1を1本ずつベルトコンベア11上に供給する。物品供給装置20は、物品搬送装置10の搬送方向に対して直交する方向に物品1を横長の姿勢で搬送し、先頭の物品1を1本ずつ物品搬送装置10に落下供給するものであり、具体的には以下のように構成する。搬送方向の左右に一対のスプロケット(図示省略)を所定位置に複数組を配置し、左右それぞれに配置した複数のスプロケットにエンドレスチェーン22を掛け渡す。左右一対のスプロケットは、同一の回転軸に装着され、一体に回転する。これにより、左右一対のエンドレスチェーン22は、所定の軌跡で、同一速度で回転移動する。そして、この左右一対のエンドレスチェーン22間に掛け渡すように、多数のローラ23を装着する。前後に配置されるローラ23の間隔は、物品1の幅に対応するものとし、ローラ23間に1本の物品1が挿入配置され、複数本の物品1が入らない間隔に設定している。さらに、エンドレスチェーン22は、垂直平面内で回転し、エンドレスチェーン22の上側の移動区間の直下に、搬送路を構成する板部材24を配置する。これにより、各物品1は、前後のローラ23間の板部材24の上に置かれ、進行方向後方側のローラ23により前方に付勢され、板部材24上を前進移動する。
【0025】
さらに
図2に示すように、物品搬送装置10のベルトコンベア11側に位置するスプロケットに沿って移動するエンドレスチェーン22の周回する軌跡の外側に、円弧状のカバー部材25を配置する。このカバー部材25は、例えば
図1に示すように、所定幅の帯状の板部材を湾曲させたものを、幅方向に複数本(本形態では、3本)を配置する。さらに、板部材24の下流端側部位と、カバー部材25の上流端側部位は、一定区間オーバーラップさせ、そのオーバーラップしている区間では、物品1の上下にカバー部材25と板部材24が存在する。図示省略するが、板部材24の下流端側には、一対のスプロケットの間の適宜位置にカバー部材25と適宜の間隔をおいて対向するようにガイド部材21を設けるとよい。
【0026】
これにより、後方側のローラ23で付勢されて板部材24上を移動してきた物品1は、その板部材24の下流端から搬出されると、前後のローラ23で1本ずつ区分けされた状態でカバー部材25とガイド部材21の間の通路を通り(
図2参照)、下方に位置するベルトコンベア11の搬送面上に落下供給される。また、物品供給装置20は、ノックボタン3が搬送方向の左側に位置する状態で搬送する。これにより、物品供給装置20から搬出される物品1は、ノックボタン3が上流側に向いた姿勢で縦長の姿勢で物品搬送装置10に供給され、その姿勢で搬送される。
【0027】
物品搬送装置10を構成するベルトコンベア11と搬出コンベア13は、搬送面を構成するベルト部分の回転方向・移動方向が物品1の搬送方向と同一方向を向くとともに、ベルトコンベア11の延長線上に搬出コンベア13を配置する。すなわち、ベルトコンベア11は、搬送方向の前後に配置される一対のプーリ11aと、そのプーリ11a間に掛け渡した第一エンドレスベルト11bを備える。同様に搬出コンベア13は、搬送方向の前後に配置される一対のプーリ13aと、そのプーリ13a間に掛け渡した第三エンドレスベルト13bを備える。搬送面を構成する第一エンドレスベルト11b,第三エンドレスベルト13bのベルト面は、搬送方向と同一方向に移動するように当該第一エンドレスベルト11b,第三エンドレスベルト13bが回転する。よって、物品1がベルトコンベア11或いは搬出コンベア13の搬送面の上に置かれた場合、当該物品1は、第一エンドレスベルト11b,第三エンドレスベルト13bから搬送方向への搬送力を受け、他の部材と接触しない状態では第一エンドレスベルト11b,第三エンドレスベルト13bから搬送力に基づき前進移動する。
【0028】
上述したように、物品供給装置20は、物品搬送装置10のベルトコンベア11に対して物品1を落下供給する構成を採る。そして本形態では、落下供給された物品1を受けるのが、ベルトコンベア11の第一エンドレスベルト11bのベルト面であるため、弾力性があり、物品1に与えるダメージを少なくすることができる。
【0029】
また、通常、ベルトコンベア11の第一エンドレスベルト11bの搬送面を構成するベルト部分の下側に、そのベルトの下面を支持する部材を配置する。当該部材により、例えば第一エンドレスベルト11bのベルト面上に物品が載っても、例えばベルトが大きく弛むことなく回転移動し物品を安定して搬送するようにしている。係る部材を備えたタイプにおいて、当該部材の、物品供給装置20から落下供給される地点を含む前後の所定距離を切り欠くようにするとよい。こうすることで、当該箇所の第一エンドレスベルト11bの弾力性が増し、物品1に与えるダメージを更に少なくすることができる。
【0030】
また、
図1,
図2等に示すように、ベルトコンベア11は、第一エンドレスベルト11bの搬送面の上方の左右両側に一対の第一サイドガイド31を備える。
図2等に示すように、一対の第一サイドガイド31は、対向面31aが上端に行くほど離反するテーパー面・傾斜面となり、物品1の本体2が、一対の第一サイドガイド31間から露出する第一エンドレスベルト11bに接触して搬送力を受け得るように構成する。また、通常、クリップ4は、左右のいずれかの第一サイドガイド31の対向面31aに接触した状態で搬送され、何れの第一サイドガイド31に接触するかは、落下供給された際の姿勢等による。また、何れの対向面31aにも非接触の状態で搬送されるものもある。さらに本形態では、物品1の本体2は、一対の第一サイドガイド31のそれぞれの対向面31aに接触した姿勢で搬送される。これにより、対向面31aを同一傾斜角度のテーパーとしたことも相まって、本体2の中心は、一対の第一サイドガイド31間から露出す第一エンドレスベルト11bの搬送面の幅方向中心位置に位置する。
【0031】
ベルトコンベア11の搬送方向に沿って、サイドフィンガー装置40が配置される。サイドフィンガー装置40は、ベルトコンベア11の搬送方向の前後に配置される一対のスプロケット41と、そのスプロケット41に掛け渡されるエンドレスチェーン42と、エンドレスチェーン42に一定間隔で取り付けられるサイドフィンガー43を備える。エンドレスチェーン42は、ベルトコンベア11の第一エンドレスベルト11bの搬送面と平行な水平面であって、その搬送面よりも上方の所定位置で回転移動する。
【0032】
サイドフィンガー43は、エンドレスチェーン42に回転自在に連結される支持軸43aと、その支持軸43aの先端に取り付けられたフィンガー部43bを備える。支持軸43aは、その軸周りに自転可能にエンドレスチェーン42に取り付けられ、各支持軸43aは、エンドレスチェーン42の移動方向と直交する水平方向の外側に延びるように配置される。また、支持軸43aは、図示省略するガイド機構により回転角度が制御され、ベルトコンベア11上を移動する区間では、フィンガー部43bが下方に向けて垂下した姿勢を維持するようにし、下流側の所定位置で支持軸43aが回転しフィンガー部43bが跳ね上がって進行方向後方を向いた状態に変位し、その状態のままベルトコンベア11上を離れ、外側領域を上流側に向けて移動し、その上流側領域にて再びベルトコンベア11上に進入し、物品供給装置20による物品供給領域の上流側で支持軸43aが回転しフィンガー部43bが垂下した姿勢に変位するように構成する。そして、フィンガー部43bが垂下した姿勢の時、当該フィンガー部43bは、一対の第一サイドガイド31間の空間内に進入し、物品1に接触可能になる。またフィンガー部43bの配置ピッチ、すなわち、前後のフィンガー部43bの間隔は、物品1の長さよりも長い設定としている。
【0033】
さらに本実施形態では、第一エンドレスベルト11bの回転に伴う物品1の移動速度よりも、フィンガー部43bの移動速度を速くしている。これにより、物品供給装置20は、前後のフィンガー部43b間に物品1を落下供給すると、当該物品1は、供給当初はフィンガー部43bに非接触のため、第一エンドレスベルト11bの回転移動に追従して前進移動する(
図3(a)参照)。このとき、搬送面上で物品1の滑りが発生しない場合、物品1は第一エンドレスベルト11bの移動速度と同じ速度でベルトコンベア11上を移動する。そして、当該物品1の移動速度よりもフィンガー部43bの移動速度が速いため、物品1の後方に位置するフィンガー部43bは物品1に追いつき、物品1の搬送姿勢の後端であるノックボタン3に接触し、前方に向けて付勢する(
図3(b)参照)。以後、物品1は、フィンガー部43bに付勢されて第一エンドレスベルト11bの搬送面上を移動する。
【0034】
本実施形態では、ベルトコンベア11上に供給された物品1は、第一エンドレスベルト11bからの搬送力を受けて前進移動している状態で、フィンガー部43bが接触する。そのため、フィンガー部43bが接触した際に与える物品1へ付勢力は、停止している物品1に対してフィンガー部43bが接触した際に与える物品1への付勢力に比べて小さい。このようにフィンガー部43bが接触した際に生じる物品1への付勢力が小さいため、接触した際に物品1がフィンガー部43bから離れて前方に飛び出ることもなく、また、ノックボタン3が押されて芯が飛び出ることも無く、物品1はフィンガー部43bの移動に追従して安定した姿勢のままベルトコンベア11上を移動する。
【0035】
一方、揃え装置12は、搬送面を構成するベルト部分の回転方向・移動方向が物品1の搬送方向に対して直交する方向となるように構成される。つまり、物品1の搬送経路の左右両外側にそれぞれ配置される一対のプーリ12aと、そのプーリ12a間に掛け渡した第二エンドレスベルト12bを備える。
【0036】
また、揃え装置12は、第二エンドレスベルト12bの搬送面の上方の左右両側に一対の第二サイドガイド32を備える。
図4等に示すように、一対の第二サイドガイド32は、対向面32aが上端に行くほど離反するテーパー面・傾斜面となり、物品1の本体2が、一対の第二サイドガイド32間から露出する第二エンドレスベルト12bに接触し、ベルト面の移動方向に対する付勢力を受け得るように構成する。さらに、一対の第二サイドガイド32の間隔は、一対の第一サイドガイド31の間隔よりも広くしている。より具体的には、左右の片側(本実施形態では、左側)の第二サイドガイド32を第一サイドガイド31よりも外側に配置し、反対側(本実施形態では、右側)の第二サイドガイド32は、上流側に配置した同じ側の第一サイドガイド31の延長線上に配置することで、間隔を広くする。外側に配置する第二サイドガイド32は、後述する位置を揃えるクリップ4が位置する側とするとよい。
【0037】
さらにこの左右一対の第二サイドガイド32は、それぞれ搬出コンベア13の搬送面上まで延長形成される。
【0038】
そして、本実施形態では、揃え装置12の上方に、コヤグラコンベア装置15を配置し、そのコヤグラコンベア装置15が揃え装置12上に置かれた物品1に対して搬送力を与え、下流側の搬出コンベア13に向けて搬送するように構成する。
【0039】
コヤグラコンベア装置15は、揃え装置12の第二エンドレスベルト12bの移動方向に対して直交するベルトの幅方向を横断し、ベルトコンベア11の搬出側上方と、搬出コンベア13の上方を覆うように配置される。すなわち、ベルトコンベアの上方所定位置と搬出コンベア13の上方所定位置にそれぞれ配置された前後一対のスプロケット16と、そのスプロケット16に掛け渡すエンドレスチェーン17と、そのエンドレスチェーン17に一定間隔で取付けたフィンガー18を備える。エンドレスチェーン17は、垂直平面内で回転移動し、物品1の搬送方向に沿った下側を移動する区間が、当該物品1の搬送方向と同一方向に移動するとともに、その下側を移動する区間ではエンドレスチェーン17に取付けられたフィンガー18は垂下した姿勢で移動し、その移動中、物品1の後面に接触し、前方に向けて物品1を搬送する。このフィンガー18の移動速度、すなわち、エンドレスチェーン17の回転速度は、例えば搬出コンベア13の移動速度と等しいか速くすると良い。
【0040】
このようにすると、上述したようにフィンガー部43bは、ベルトコンベア11の搬出端側に至ると後方に向けて跳ね上がり物品1から離反するため、その後は、物品1は第一エンドレスベルト11bからの搬送力を受けて前進移動する。そしてかかるベルトコンベア11の搬出端側に位置する物品1は、コヤグラコンベア装置15のフィンガー18からの搬送力を受け、揃え装置12上に移動し、さらに揃え装置12の第二エンドレスベルト12b上を横断するように移動して搬出コンベア13上に移動する。
【0041】
揃え装置12の第二エンドレスベルト12bは、物品1の搬送方向に対して直交する方向に回転移動するように構成しているため、揃え装置12の搬送面上を移動する物品1の本体2に対し、横向きの付勢力を与える。この横向きの付勢力を受けた物品1は、軸周りに回転・自転し、クリップ4の角度位置も回転移動する。これにより、クリップ4の位置が進行方向に対して同一の片側(本形態では、進行方向左側)に揃う。
【0042】
さらに、上述したように、左側の第二サイドガイド32を第一サイドガイド31に比べて所定距離だけ外側に配置したため、回転移動したクリップ4は、
図4(b)に示すように、左側の第二サイドガイド32並びに第二エンドレスベルト12bに接触する。そして、本体2は当該左側の第二サイドガイド32とは非接触で、右側の第二サイドガイド32の対向面32aに接触した状態となる。これにより、ベルトコンベア11上を移動する物品1の本体2の中心位置と、揃え装置12上を移動する物品1の本体2の中心位置は、搬送方向に沿った同一直線上を通ることになり、揃え装置12でクリップ4の位置を揃えるために物品1の本体2が回転している際も同様である。よって、サイドフィンガー装置40のフィンガー部43b並びにコヤグラコンベア装置15のフィンガー18は、搬送面上で当該同一直線上を移動するように設定するとよく、係る設定にすることで、物品1を真後ろから安定して前方に向けて搬送することができる。
【0043】
そして、コヤグラコンベア装置15により揃え装置12上を搬送される物品1は、クリップ4の向きが揃った状態で、順次、次段の搬出コンベア13上に移動する。そして、搬出コンベア13の搬出端の下流側には、包装機本体9を配置しており、搬出コンベア13から順次搬出する物品1を包装機本体9に供給する。この搬出コンベア13上を物品1が移動する際も、
図4(c)に示すように、クリップ4は、左側の第二サイドガイド32並びに第三エンドレスベルト13bに接触し、本体2は当該左側の第二サイドガイド32とは非接触で、右側の第二サイドガイド32の対向面32aに接触した状態を維持する。つまり、搬出コンベア13上を移動する物品1の本体2の中心位置も、ベルトコンベア11並びに揃え装置12上を移動する物品1の本体2の中心位置の延長線上を、搬送方向に沿った同一直線上を通ることになる。よって、コヤグラコンベア装置15にて、物品1は本体2の中心が揃った状態で、安定して物品1を搬送し、包装機本体9に供給することができる。そして、物品1の本体2の中心が揃っているので、包装機本体9における搬送中心をあわせることで、物品1を適切な位置に供給することができる。
【0044】
さらに搬出コンベア13の搬送方向の前後に配置される一対のプーリ13aのうち、少なくとも下流側(包装機側)に配置するプーリ13aに小径ローラを用いると良い。このようにすると、搬出コンベア13と包装機本体9との間の隙間を少なくでき、スムーズに物品の受け渡しが行えるのでよい。
【0045】
以上のように、本実施形態では、ベルトコンベア11では、落下供給される物品1へのダメージが少なく済む。また、ベルトコンベア11上を移動する物品1に対してサイドフィンガー装置40のフィンガー部43bが接触した際の付勢力を小さく抑えることができ、物品1を安定した姿勢でスムーズに搬送することができる。さらに揃え装置12を通過することで、クリップ4の向きを揃えた状態にすることができる。そして、搬出コンベア13の搬出端と、包装機本体9との離反距離を小さくすることができるので、搬出コンベア13と包装機本体9との隙間に搬送中のボールペン等の物品1が前倒れになって落ち込んだり、引っ掛かったりすることなく、スムーズな受け渡しができる。
【0046】
上述した実施形態では、物品1はノック式のボールペンとしたが、本発明は必ずしも係るボールペンに限る必要は無く、ノック式でないものでもよいし、ボールポン以外の筆記用具でもよいし、筆記用具以外の物品でもよい。但し、ノック式のボールペンの場合、ノックボタン3が押されて芯が出るという事態を生じないのでより好ましい。また、物品1が滑りやすいものの場合、ベルトコンベアで搬送しながら速度差の少ない状態で後方からフィンガー部43bが接触させることで、衝突時に前方に飛び出ることを可及的に抑制できるのでよい。また、必ずしもクリップを備える必要は無く、クリップがないものでもよく、クリップ等の突起部がない場合には、揃え装置12のように向きを揃える機能を設けなくてもよい。
【0047】
ベルトコンベア11の第一エンドレスベルト11bに基づく物品の移動速度と、サイドフィンガー装置40のフィンガー部43bの移動速度の少なくとも一方を変更調整可能にするとよく、物品1と第一エンドレスベルト11bのベルト面の接触抵抗等に応じて両移動速度の速度差を調整できるようにすると良い。
【0048】
物品供給装置20は、上述した実施例にものに限ることはなく、例えば、特許文献1に開示したものその他の物品を落下供給する装置や、人手による手供給など各種のものを用いることができる。
【0049】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0050】
1 :物品
2 :本体
3 :ノックボタン
4 :クリップ
9 :包装機本体
10 :物品搬送装置
11 :ベルトコンベア
11b :第一エンドレスベルト
12 :揃え装置
12b :第二エンドレスベルト
13 :搬出コンベア
13b :第三エンドレスベルト
15 :コヤグラコンベア装置
18 :フィンガー
20 :物品供給装置
31 :第一サイドガイド
32 :第二サイドガイド
40 :サイドフィンガー装置
43 :サイドフィンガー
43b :フィンガー部