(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】パーキンソン病を処置するためのウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
C12N 15/867 20060101AFI20221115BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20221115BHJP
C12N 15/49 20060101ALI20221115BHJP
C12N 15/47 20060101ALI20221115BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20221115BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20221115BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20221115BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20221115BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221115BHJP
C12N 5/0793 20100101ALN20221115BHJP
【FI】
C12N15/867 Z ZNA
C12N15/113 130Z
C12N15/49
C12N15/47
C12N15/33
C12N7/01
A61K35/76
A61P25/16
A61P43/00 121
C12N5/0793
(21)【出願番号】P 2019502170
(86)(22)【出願日】2017-07-20
(86)【国際出願番号】 US2017043157
(87)【国際公開番号】W WO2018017882
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-17
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517428713
【氏名又は名称】アメリカン ジーン テクノロジーズ インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラフーゼン, テイラー
(72)【発明者】
【氏名】パウザ, チャールズ デイビッド
【審査官】小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0069372(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0114607(US,A1)
【文献】Erdelyi, K. et al.,Dual role of poly(ADP-ribose) glycohydrolase in the regulation of cell death in oxidatively stressed A549 cells,FASEB J.,2009年,Vol. 23(10),pp. 3553-3563
【文献】Nie, J.,DNA repair proteins Metnase and PARP1 regulate DNA integration,2000-2019 - CSU Theses and Dissertations[online] ,2015年,CHAPTER 3,pp. 95-141,URL:http://hdl.handle.net/10217/166898
【文献】Liu, F. et al.,Effects of poly (ADP-ribose) polymerase-1 (PARP-1) inhibition on sulfur mustard-induced cutaneous injuries in vitro and in vivo,PeerJ.,2016年,Vol. 4:e1890,pp. 1-28
【文献】Martin, K. A.,Global Transcriptome Analysis Reveals That Poly(ADP-Ribose) Polymerase 1 Regulates Gene Expression through EZH2,Mol. Cell Biol.,2015年,Vol. 35(23),pp. 3934-3944
【文献】Lee, Y. et al.,Poly (ADP-ribose) in the pathogenesis of Parkinson's disease,BMB Rep.,2014年,Vol. 47(8),pp. 424-432
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチウイルス粒子を発現させるためのレンチウイルスベクター系であって、
a.PARPの発現を阻害するためのshRNAを含む治療用ベクターであって、前記shRNAがPARP1特異的shRNAを含み、かつ、配列番号6~
7、10および16~20のいずれか1つに少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、治療用ベクター、
b.前記shRNAをニューロンに標的化するためのニューロン特異的配列を含む、エンベローププラスミド、ならびに
c.gag、pol、およびrev遺伝子を含む、少なくとも1つのヘルパープラスミドを含み、
前記治療用ベクター、前記エンベローププラスミド、および前記少なくとも1つのヘルパープラスミドがパッケージング細胞株にトランスフェクトされると、PARPの発現を阻害できるニューロン特異的レンチウイルス粒子が、前記パッケージング細胞株によって産生される、レンチウイルスベクター系。
【請求項2】
前記shRNAが、配列番号6~
7および10のうちのいずれか1つに、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、請求項1に記載のレンチウイルスベクター系。
【請求項3】
前記shRNAが、配列番号6~
7および10のうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載のレンチウイルスベクター系。
【請求項4】
前記ニューロン特異的配列が、VSV-G、FUG-C、もしくはgp64をコードする、請求項1に記載のレンチウイルスベクター系。
【請求項5】
前記ニューロン特異的配列が、VSV-Gをコードする、請求項1に記載のレンチウイルスベクター系。
【請求項6】
前記ニューロン特異的配列が、ニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードする、請求項1に記載のレンチウイルスベクター系。
【請求項7】
前記ニューロン特異的配列が、TH+ニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードする、請求項1に記載のレンチウイルスベクター系。
【請求項8】
パッケージング細胞によって産生され、細胞への感染が可能なレンチウイルス粒子であって、
a.前記細胞への感染が可能なエンベロープタンパク質、および
b.PARPの発現を阻害するためのshRNAであって、PARP1特異的shRNAを含み、かつ、配列番号6~
7、10および16~20のいずれか1つに少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、shRNA
を含む、レンチウイルス粒子。
【請求項9】
前記細胞が、ニューロンを含む、請求項8に記載のレンチウイルス粒子。
【請求項10】
前記細胞が、TH+ニューロンを含む、請求項8に記載のレンチウイルス粒子。
【請求項11】
前記shRNAが、配列番号6~
7および10のうちのいずれか1つに、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、請求項8に記載のレンチウイルス粒子。
【請求項12】
前記shRNAが、配列番号6~
7および10のうちのいずれか1つを含む、請求項8に記載のレンチウイルス粒子。
【請求項13】
パーキンソン病に罹患している被験体を処置する方法において使用するための、レンチウイルス粒子を含む組成物であって、前記方法が、前記被験体に、前記組成物を投与することを含み、前記レンチウイルス粒子が、
a.前記被験体の細胞への感染が可能なエンベロープタンパク質、および
b.PARPの発現を阻害するためのshRNAであって、PARP1特異的shRNAを含み、かつ、配列番号6~
7、10および16~20のいずれか1つに少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、shRNA
を含む、組成物。
【請求項14】
前記細胞が、ニューロンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記細胞が、TH+ニューロンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記shRNAが、配列番号6~
7および10のうちのいずれか1つに、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記shRNAが、配列番号6~
7および10のうちのいずれか1つを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記方法が、第2の治療レジメンをさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
前記方法が、第2の治療レジメンをさらに含み、前記第2の治療レジメンが、外科的介入による切除、神経刺激、L-DOPAの投与、またはドーパミンアゴニストの投与を含む、請求項13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「VIRAL VECTORS FOR TREATING PARKINSON’S DISEASE」の表題で2016年7月21日に出願された米国仮特許出願第62/365,316号の優先権を主張し、その開示は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明の態様は、パーキンソン病を処置するためにベクターを使用することに関する。より具体的には、本発明の態様は、パーキンソン病を処置するために、PARPを含有するレンチウイルスベクターを含む、レンチウイルスベクターを使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
パーキンソン病(「PD」)は、米国で2番目に一般的な神経変性障害である。およそ100万人のアメリカ人が、PDを患っており、毎年60,000を上回る新しい症例が診断される。例えば、Fahn,S.、991巻 Ann.N.Y.Acad.Sci.、1~14頁(2003年)を参照されたい。発生数は、2030年までに2倍となることが予測される。例えば、Dorsey,E.R.ら、68巻(5号)、Neurology、384~6頁(2007年)を参照されたい。PDは、一般的には晩年に見られる慢性進行性状態である。PDは、脳幹神経節の黒質領域におけるドーパミン産生ニューロンの変性および死滅によって引き起こされる。劣化したニューロンおよび低減されたドーパミンにより、異常な神経活動および運動機能制御の慢性進行性劣化がもたらされる。PDを有する患者は、運動緩徐、硬直、振戦、および不安定な姿勢を含む症状に起因して、重大な生活の質の問題に苦しむ。PDに起因する追加の併発症としては、非運動性の症状、例えば、嚥下障害、および精神神経系の作用が挙げられる。例えば、Weintraub, D.ら、14巻(2補遺)、Am. J. Manag. Care、S40~8頁(2008年)を参照されたい。
【0004】
PDは、L-DOPAまたはドーパミンアゴニストを用いて処置することができるが、重大な副作用があり、継続的なニューロン死は、L-DOPAまたはドーパミンアゴニストの要件の増加をもたらす。遺伝子療法は、黒質におけるニューロンの挙動を修飾する可能性を有する。結果として、遺伝子療法は、PDを有効に処置する見込みがあると考えられている。
【0005】
PD遺伝子療法に関する初期の臨床研究では、ドーパミン合成酵素、特に、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)のレベルを上昇させることによって、黒質におけるドーパミン産生を増加させることが試みられた。AADCに対する相補的DNA配列を保持するアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)が、PDを患う患者の黒質に注射された。一研究では、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用したAADCの送達は、良好な耐容性を示したが、臨床転帰は、ほんの軽度の改善である傾向があった。例えば、Eberlingら、70巻(21号)、Neurology、1989~93頁(2008年)を参照されたい。長期(例えば、4年間)の追跡の後には、臨床上の影響は、大部分が失われ、投薬が、持続的な臨床上の改善には不十分であったと結論付けられた。
【0006】
PDを処置するために、遺伝子療法を使用して黒質における神経栄養増殖因子であるニュールツリンの発現を増加させる代替的なアプローチが探求された。PDを患う患者の脳へのニュールツリン遺伝子のAAV送達により得られた結果では、偽対照にまさる改善は見られなかった。例えば、Marks Jr.ら、9巻(12号)、Lancet Neurol.、1164~72頁(2010年)を参照されたい。
【0007】
ドーパミン産生を増加させるか、または神経栄養増殖因子を提供するように設計された遺伝子療法治験では、PDを有する患者において、有意で持続的な客観的臨床応答は得られなかった。例えば、Eberlingら(上記)を参照されたい。疾患の進行が、ドーパミン作動性ニューロンの死滅の加速に起因し、これにより、最終的に、ドーパミンが生存可能に満たないレベルまで低減されることが、PDの処置が複雑かつ困難である原因の一部である。
【0008】
したがって、PDの症状の現在の処置としては、薬物、外科的介入による切除、および神経刺激が挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Eberlingら、Neurology(2008年)70巻(21号)1989~93頁
【文献】Marks Jr.ら、Lancet Neurol.(2010年)、9巻(12号)1164~72頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の態様では、レンチウイルス粒子を発現させるためのレンチウイルスベクター系が、提供される。この系は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(「PARP」)の発現を阻害するためのショートヘアピンRNA(「shRNA」)をコードする治療用ベクターを含む。この系はまた、shRNAをニューロンに標的化するためのニューロン特異的配列を含むエンベローププラスミド、ならびにgag、pol、およびrev遺伝子を含む少なくとも1つのヘルパープラスミドを含む。治療用ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドがパッケージング細胞株にトランスフェクトされると、PARPの発現を阻害するように最適化されたニューロン特異的レンチウイルス粒子が、パッケージング細胞株によって産生される。
【0011】
実施形態では、shRNAは、PARP特異的shRNAを含む。実施形態では、shRNAは、PARP1特異的shRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性を含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに少なくとも85%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つを含む。
【0012】
実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに少なくとも85%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つを含む。実施形態では、ニューロン特異的配列は、VSV-G、FUG-C、もしくはgp64、またはそれらのバリアントをコードする。任意選択で、ニューロン特異的配列は、VSV-Gまたはそのバリアントのみをコードする。ニューロン特異的配列は、ニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードし得る。ニューロン特異的配列は、チロシンヒドロキシラーゼ(TH+)を発現するニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードし得る。
【0013】
別の態様では、パーキンソン病に罹患している被験体を処置する方法が開示される。本方法は、被験体に、PARPの発現を阻害するためのshRNAを含む治療用ベクター、shRNAをニューロンに標的化するためのニューロン特異的配列を含むエンベローププラスミド、ならびにgag、pol、およびrev遺伝子を含む少なくとも1つのヘルパープラスミドを投与することを含む。治療用ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドが、少なくとも1つのパッケージング細胞にトランスフェクトされると、PARPの発現を阻害するように最適化されたニューロン特異的レンチウイルス粒子が、パッケージング細胞によって産生され、レンチウイルス粒子が、それを必要とする被験体に投与される。実施形態では、レンチウイルス粒子は、PARP shRNAを送達するために宿主細胞に形質導入される。実施形態では、shRNAは、PARP特異的shRNAを含む。実施形態では、shRNAは、PARP1特異的shRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに少なくとも85%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに少なくとも85%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つを含む。ニューロン特異的配列は、VSV-G、FUG-C、もしくはgp64、またはそれらのバリアントをコードし得る。ニューロン特異的配列は、VSV-Gまたはそのバリアントのみをコードし得る。ニューロン特異的配列は、被験体のニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードし得る。ニューロン特異的配列は、被験体のチロシン(tyrosing)ヒドロキシラーゼ(TH+)を発現するニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードし得る。
【0014】
別の態様では、パーキンソン病に罹患している被験体を処置する方法が開示される。本方法は、被験体に、本明細書において記載されるレンチウイルスベクター系によって発現される、治療有効量のレンチウイルス粒子を投与することを含む。本方法はまた、第2の治療レジメンも含み得る。第2の治療レジメンには、外科的介入による切除、神経刺激、L-DOPAの投与、またはドーパミンアゴニストの投与が含まれ得る。
【0015】
PARPレベルを抑制することによって、本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、ニューロン死の速度を低減させ、正常なドーパミン産生能力を保存し、かつパーキンソン病の発症を遅延または予防する。本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、AAVとは異なり、休止細胞に形質導入するための高い能力を有し、ニューロンに効率的に形質導入するように最適化することができ、導入遺伝子を細胞DNAに挿入することによって恒久的な修飾をもたらすことができる。加えて、本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、AAVよりも炎症性が低く、そのため、より高い用量漸増が可能であり、別のエンベロープ糖タンパク質、ベクター組成、用量、および関連する送達方法を試験する場合、ベクター設計におけるより高い柔軟性が可能となる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
レンチウイルス粒子を発現させるためのレンチウイルスベクター系であって、
a.PARPの発現を阻害するためのshRNAを含む治療用ベクター、
b.前記shRNAをニューロンに標的化するためのニューロン特異的配列を含む、エンベローププラスミド、ならびに
c.gag、pol、およびrev遺伝子を含む、少なくとも1つのヘルパープラスミド
を含み、
前記治療用ベクター、前記エンベローププラスミド、および前記少なくとも1つのヘルパープラスミドがパッケージング細胞株にトランスフェクトされると、PARPの発現を阻害できるニューロン特異的レンチウイルス粒子が、前記パッケージング細胞株によって産生される、レンチウイルスベクター系。
(項目2)
前記shRNAが、PARP特異的shRNAを含む、項目1に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目3)
前記shRNAが、PARP1特異的shRNAを含む、項目1に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目4)
前記shRNAが、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、項目1に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目5)
前記shRNAが、配列番号6~10のうちのいずれか1つを含む、項目1に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目6)
前記ニューロン特異的配列が、VSV-G、FUG-C、もしくはgp64、またはそれらのバリアントをコードする、項目1に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目7)
前記ニューロン特異的配列が、VSV-Gまたはそのバリアントをコードする、項目1に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目8)
前記ニューロン特異的配列が、ニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードする、項目1に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目9)
前記ニューロン特異的配列が、TH+ニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードする、項目1に記載のレンチウイルスベクター系。
(項目10)
パッケージング細胞によって産生され、細胞への感染が可能なレンチウイルス粒子であって、
a.前記細胞への感染が可能なエンベロープタンパク質、および
b.PARPの発現を阻害するためのshRNA
を含む、レンチウイルス粒子。
(項目11)
前記細胞が、ニューロンを含む、項目10に記載のレンチウイルス粒子。
(項目12)
前記細胞が、TH+ニューロンを含む、項目10に記載のレンチウイルス粒子。
(項目13)
前記shRNAが、PARP特異的shRNAを含む、項目10に記載のレンチウイルス粒子。
(項目14)
前記shRNAが、PARP1特異的shRNAを含む、項目10に記載のレンチウイルス粒子。
(項目15)
前記shRNAが、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、項目10に記載のレンチウイルス粒子。
(項目16)
前記shRNAが、配列番号6~10のうちのいずれか1つを含む、項目10に記載のレンチウイルス粒子。
(項目17)
パーキンソン病に罹患している被験体を処置する方法であって、前記被験体に、レンチウイルス粒子を投与することを含み、前記レンチウイルス粒子が、
a.前記被験体の細胞への感染が可能なエンベロープタンパク質、および
b.PARPの発現を阻害するためのshRNA
を含む、方法。
(項目18)
前記細胞が、ニューロンを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記細胞が、TH+ニューロンを含む、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記shRNAが、PARP特異的shRNAを含む、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記shRNAが、PARP1特異的shRNAを含む、項目17に記載の方法。
(項目22)
前記shRNAが、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するshRNAを含む、項目17に記載の方法。
(項目23)
前記shRNAが、配列番号6~10のうちのいずれか1つを含む、項目17に記載の方法。
(項目24)
第2の治療レジメンをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目25)
第2の治療レジメンをさらに含み、前記第2の治療レジメンが、外科的介入による切除、神経刺激、L-DOPAの投与、またはドーパミンアゴニストの投与を含む、項目17に記載の方法。
【0016】
PARPレベルを抑制することによって、本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、ニューロン死の速度を低減させ、正常なドーパミン産生能力を保存し、かつパーキンソン病の発症を遅延または予防する。本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、AAVとは異なり、休止細胞に形質導入するための高い能力を有し、ニューロンに効率的に形質導入するように最適化することができ、導入遺伝子を細胞DNAに挿入することによって恒久的な修飾をもたらすことができる。加えて、本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、AAVよりも炎症性が低く、そのため、より高い用量漸増が可能であり、別のエンベロープ糖タンパク質、ベクター組成、用量、および関連する送達方法を試験する場合、ベクター設計におけるより高い柔軟性が可能となる。
【0017】
本明細書において記載される本発明の他の態様および利点は、本発明の態様を例として図示する添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0018】
特許出願または出願書類は、少なくとも1つのカラー図面を含む。該当する場合、カラー図面を有するこの特許または特許出願公開のコピーは、必要に応じて、かつ必要な費用の支払いに応じて、当局により提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】
図1Aは、実験用治療用ベクター、エンベローププラスミド、およびヘルパープラスミドから構成される、例示的なレンチウイルスベクター系を示す。
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターは、GFPを含有する。
図1Bは、PDを患う患者の黒質ニューロンにおけるPARP1の発現を低減するように設計された例示的な治療用ベクターを示す。
図1Bに詳細に示される治療用ベクターは、GFPを含有しない。
図1Cは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Dは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Eは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Fは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
【
図1B】
図1Aは、実験用治療用ベクター、エンベローププラスミド、およびヘルパープラスミドから構成される、例示的なレンチウイルスベクター系を示す。
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターは、GFPを含有する。
図1Bは、PDを患う患者の黒質ニューロンにおけるPARP1の発現を低減するように設計された例示的な治療用ベクターを示す。
図1Bに詳細に示される治療用ベクターは、GFPを含有しない。
図1Cは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Dは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Eは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Fは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
【
図1C】
図1Aは、実験用治療用ベクター、エンベローププラスミド、およびヘルパープラスミドから構成される、例示的なレンチウイルスベクター系を示す。
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターは、GFPを含有する。
図1Bは、PDを患う患者の黒質ニューロンにおけるPARP1の発現を低減するように設計された例示的な治療用ベクターを示す。
図1Bに詳細に示される治療用ベクターは、GFPを含有しない。
図1Cは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Dは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Eは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Fは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
【
図1D】
図1Aは、実験用治療用ベクター、エンベローププラスミド、およびヘルパープラスミドから構成される、例示的なレンチウイルスベクター系を示す。
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターは、GFPを含有する。
図1Bは、PDを患う患者の黒質ニューロンにおけるPARP1の発現を低減するように設計された例示的な治療用ベクターを示す。
図1Bに詳細に示される治療用ベクターは、GFPを含有しない。
図1Cは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Dは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Eは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Fは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
【
図1E】
図1Aは、実験用治療用ベクター、エンベローププラスミド、およびヘルパープラスミドから構成される、例示的なレンチウイルスベクター系を示す。
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターは、GFPを含有する。
図1Bは、PDを患う患者の黒質ニューロンにおけるPARP1の発現を低減するように設計された例示的な治療用ベクターを示す。
図1Bに詳細に示される治療用ベクターは、GFPを含有しない。
図1Cは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Dは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Eは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Fは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
【
図1F】
図1Aは、実験用治療用ベクター、エンベローププラスミド、およびヘルパープラスミドから構成される、例示的なレンチウイルスベクター系を示す。
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターは、GFPを含有する。
図1Bは、PDを患う患者の黒質ニューロンにおけるPARP1の発現を低減するように設計された例示的な治療用ベクターを示す。
図1Bに詳細に示される治療用ベクターは、GFPを含有しない。
図1Cは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Dは、
図1Aに詳細に示される実験用治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Eは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な3ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
図1Fは、
図1Bに詳細に示される治療用ベクターを含む、環状の例示的な4ベクターのレンチウイルスベクター系を示す。
【0020】
【
図2】
図2は、ヒト細胞におけるPARP1に関するノックダウン実験により得られた結果を示す。
【0021】
【
図3】
図3は、マウス細胞におけるPARP1に関するノックダウン実験により得られた結果を示す。
【0022】
【
図4】
図4は、例示的なレンチウイルスベクターを形質導入したニューロンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の概要
本発明の態様は、PDを処置するためのレンチウイルスベクター系の開発について記載する。レンチウイルスベクター系は、PARPの発現を低減させるための阻害性RNA構築物を含む治療用ベクターを含む。PARP1タンパク質は、PDにおけるその役割が関係付けられている。
【0024】
定義および解釈
本明細書において別途定義されない限り、本開示と関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈によって別途必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。一般に、本明細書において記載される細胞および組織の培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝子学、ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションと関連して使用される命名法ならびにこれらの技法は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。本開示の方法および技法は、一般に、別途示されない限り、当該技術分野において周知であり、また様々な一般文書ならびに本明細書を通じて引用および考察されるより具体的な参考文献に記載されている、従来的な方法に従って行われる。例えば、Sambrook J.およびRussell D. Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(2000年);Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, John & Sons, Inc.(2002年);HarlowおよびLane Using Antibodies: A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1998年);およびColiganら、Short Protocols in Protein Science, Wiley, John & Sons, Inc.(2003年)を参照されたい。いずれの酵素反応および精製技法も、製造業者の仕様書に従って、当該技術分野において一般に行われているようにまたは本明細書において記載されるように、行われる。本明細書において記載される解析化学、合成有機化学、ならびに薬化学および医薬化学と関連して使用される命名法ならびにこれらの実験室手順および技法は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。
【0025】
「含む」という用語は、本明細書で使用される場合、限定されることなく含むことを意味する。
【0026】
「レンチウイルスベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、「治療用ベクター」という用語と同義である。「実験用治療用ベクター」という用語は、GFPなどの実験上の特徴を含む治療用ベクターを意味する。
【0027】
「miRNA」という用語は、本明細書で使用される場合、マイクロRNAを意味する。
【0028】
「パッケージング細胞株」という用語は、本明細書で使用される場合、レンチウイルス粒子を発現させるために使用することができる任意の細胞株を指す。
【0029】
本明細書において「PD」とも称される「パーキンソン病」という用語は、本明細書で使用される場合、公知の神経変性疾患、ならびにそれに関連するすべての症状を指す。「パーキンソン病」の処置は、したがって、パーキンソン病と関連する症状のすべてまたは一部の処置と関連し得る。
【0030】
「PARP」という用語は、本明細書で使用される場合、ポリADPリボースポリメラーゼを表し、すべてのPARPファミリーのメンバーを含み、特定のPARPファミリーのメンバーであるPARP1(受託番号NM_001618.3)およびそのバリアントを含む。
【0031】
本明細書において「配列同一性」とも称される「同一性パーセント」という用語は、2つまたはそれよりも多い核酸またはポリペプチド配列の文脈において、以下に記載される配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTNもしくは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを使用して、または目視検査によって測定したときに、最大の一致に関して比較およびアラインメントした場合に、指定された百分率の同じヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する、2つまたはそれよりも多い配列または部分配列を指す。適用に応じて、「同一性パーセント」は、比較されている配列の領域、例えば、機能的ドメインに存在してもよく、または代替として、比較しようとする2つの配列の全長にわたって存在してもよい。配列の比較に関して、典型的に1つの配列が参照配列としての機能を果たし、それに対して、試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列を、コンピュータに入力し、必要であれば部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムのプログラムパラメーターを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムが、指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0032】
比較に最適な配列のアラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman、Adv. Appl. Math.、2巻:482頁(1981年)の局所的相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.、48巻:443頁(1970年)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、85巻:2444頁(1988年)の類似性の検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実装(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.における、GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または目視検査(概して、Ausubelら(上述)を参照されたい)によって、行うことができる。
【0033】
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するのに好適であるアルゴリズムの1つの例は、BLASTアルゴリズムであり、これは、Altschulら、J. Mol. Biol.、215巻:403~410頁(1990年)に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトを通じて公的に入手可能である。
【0034】
2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)内のGAPプログラムを使用して、NWSgapdna.CMPマトリクスおよび40、50、60、70または80のギャップ加重および1、2、3、4、5または6の長さ加重を使用して決定することができる。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の同一性パーセントはまた、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. MeyersおよびW. Millerのアルゴリズム(CABIOS、4巻:11~17頁(1989年))を使用し、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティーおよび4のギャップペナルティーを使用して決定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)内のGAPプログラムに組み込まれているNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol.、(48巻):444~453頁(1970年))アルゴリズムを使用し、Blossum 62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれかおよび16、14、12、10、8、6または4のギャップ加重および1、2、3、4、5または6の長さ加重を使用して決定することができる。
【0035】
本開示の核酸および/タンパク質配列は、さらに、例えば、関連配列を特定するための公的データベースに対する検索を実行するための「クエリー配列」として使用することができる。このような検索は、Altschulら、(1990年)、J. Mol. Biol.、215巻:403~10頁のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行することができる。本開示において提供される核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実行することができる。本開示のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実行することができる。比較目的でギャップ付きアラインメントを得るために、Altschulら、(1997年)、Nucleic Acids Res.、25巻(17号):3389~3402頁に記載されるようなギャップ付きBLASTを利用することができる。BLASTおよびギャップ付きBLASTプログラムを利用する場合には、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0036】
「プラスミド」という用語は、本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語と同義である。
【0037】
「配列番号(SEQ ID NO)」という用語は、本明細書で使用される場合、「配列番号(Sequence ID No)」という用語と同義である。
【0038】
「shRNA」という用語は、本明細書で使用される場合、ショートヘアピンRNAを指す。
【0039】
「被験体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト患者を含むが、他の哺乳動物もまた含む。
【0040】
「TH」という用語は、本明細書で使用される場合、チロシンヒドロキシラーゼを指す。
【0041】
本開示の態様の説明
本開示の態様では、本開示は、レンチウイルス粒子を発現させるためのレンチウイルスベクター系を提供する。この系は、PARPファミリーメンバーの発現を阻害するためのshRNAを含む、治療用ベクターを含む。多数のPARPファミリーメンバーが存在し、本開示は、いずれか1つの特定のPARPファミリーメンバーに限定されない。しかしながら、実施形態では、レンチウイルスベクター系は、PARP1を特異的に阻害する。
【0042】
系は、gag、pol、またはrev遺伝子のうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つのヘルパープラスミドを含む。gag、pol、およびrev遺伝子のそれぞれは、個々のプラスミドに提供されてもよく、または1つもしくは複数の遺伝子が、同じプラスミドに一緒に提供されてもよい。実施形態では、gag、pol、およびrev遺伝子は、同じプラスミドに提供される(例えば、
図1C)。実施形態では、gagおよびpol遺伝子が、第1のプラスミドに提供され、rev遺伝子が、第2のプラスミドに提供される(例えば、
図1D)。さらなる実施形態では、3ベクターおよび4ベクターの系が、本明細書において提供される。
【0043】
本明細書において詳述されるように、治療用ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドは、パッケージング細胞株にトランスフェクトされる。パッケージング細胞株の非限定的な例は、293T/17 HEK細胞株である。治療用ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドがパッケージング細胞株にトランスフェクトされると、レンチウイルス粒子が、産生される。本明細書において記載される実験条件下において、レンチウイルスベクター系によって産生されるレンチウイルス粒子は、PARPの発現を阻害するように最適化されたニューロン特異的レンチウイルス粒子であり得る。
【0044】
実施形態では、shRNAは、PARP特異的shRNAを含む。実施形態では、shRNAは、PARP1特異的shRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも80%、または少なくとも81%、または少なくとも82%、または少なくとも83%、または少なくとも84%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも85%、または少なくとも86%、または少なくとも87%、または少なくとも88%、または少なくとも89%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つを含む。
【0045】
実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに、少なくとも80%、または少なくとも81%、または少なくとも82%、または少なくとも83%、または少なくとも84%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに、少なくとも85%、または少なくとも86%、または少なくとも87%、または少なくとも88%、または少なくとも89%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに、少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに、少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つを含む。実施形態では、前述のshRNAのいずれも、好適なmiRNAで置き換えられ得る。実施形態では、ニューロン特異的配列は、ニューロン細胞に指向的な特異性を付与する、VSV-G、FUG-C、もしくはgp64または任意の他の配列をコードする。任意選択で、ニューロン特異的配列は、VSV-Gのみをコードする。実施形態では、ニューロン特異的配列は、ニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードする。実施形態では、ニューロン特異的配列は、TH+ニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードする。
【0046】
本開示の別の態様では、PDに罹患している被験体を処置する方法が開示される。実施形態では、被験体は、軽度、中等度、または重度のPDを患っているヒトである。実施形態では、被験体は、PDに一般的にまたは稀に付随する任意の症状を患っているヒトである。
【0047】
本方法は、被験体に、PARPの発現を阻害するためのshRNAを含むレンチウイルス治療用ベクターを投与することを含む。実施形態では、レンチウイルスベクターは、PARP shRNAを送達するために宿主細胞に形質導入される、レンチウイルス粒子としてパッケージングされる。
【0048】
実施形態では、shRNAは、PARP特異的shRNAを含む。実施形態では、shRNAは、PARP1特異的shRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも80%、または少なくとも81%、または少なくとも82%、または少なくとも83%、または少なくとも84%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも85%、または少なくとも86%、または少なくとも87%、または少なくとも88%、または少なくとも89%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つに、少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号6~10のうちのいずれか1つを含む。
【0049】
実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに、少なくとも80%、または少なくとも81%、または少なくとも82%、または少なくとも83%、または少なくとも84%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに、少なくとも85%、または少なくとも86%、または少なくとも87%、または少なくとも88%、または少なくとも89%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに、少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つに、少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するshRNAを含む。実施形態では、shRNAは、配列番号16~20のうちのいずれか1つを含む。実施形態では、前述のshRNAのいずれも、好適なmiRNAで置き換えられ得る。実施形態では、ニューロン特異的配列は、ニューロン細胞に指向的な特異性を付与する、VSV-G、FUG-C、もしくはgp64または任意の他の配列をコードする。任意選択で、ニューロン特異的配列は、VSV-Gのみをコードする。実施形態では、ニューロン特異的配列は、被験体のニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードする。実施形態では、ニューロン特異的配列は、被験体のTH+ニューロンへの形質導入を改善するタンパク質をコードする。
【0050】
別の態様では、PDに罹患している被験体を処置する方法が開示される。本方法は、被験体に、本明細書において記載されるレンチウイルスベクター系によって発現される、治療有効量のレンチウイルス粒子を投与することを含む。実施形態では、本方法は、第2の治療レジメンを含む。実施形態では、第2の治療レジメンには、外科的介入による切除、神経刺激、L-DOPAの投与、ドーパミンアゴニストの投与、または任意の他の公知のパーキンソン病処置が含まれるが、これらに限定されない。実施形態では、本明細書において開示される系は、PDを処置し、同時に、L-DOPAの用量を増加させる必要性を排除するために、使用することができる。
【0051】
レンチウイルスベクター系
レンチウイルスビリオン(粒子)は、ビリオン(ウイルス粒子)を産生するために必要なウイルスタンパク質をコードするベクター系によって発現される。プロモーターに作動可能に連結した、逆転写および組込みに必要なレンチウイルスpolタンパク質をコードする核酸配列を含有する少なくとも1つのベクターが存在する。別の実施形態では、polタンパク質は、複数のベクターによって発現される。
【0052】
別の態様では、PDに罹患している被験体を処置するための、治療用ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドの使用が開示される。治療用ベクターは、PARPの発現を阻害するためのshRNAを含む。実施形態では、エンベローププラスミドは、shRNAをニューロンに標的化するためのニューロン特異的配列、ならびにgag、pol、およびrev遺伝子を含む、少なくとも1つのヘルパープラスミドを含む。
【0053】
PARPレベルを抑制することによって、本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、ニューロン死の速度を低減させ、正常なドーパミン産生能を保存し、かつPDの発症を遅延および/または予防するであろう。本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、当該技術分野において公知のAAV系とは異なり、休止細胞に形質導入するための高い能力を有し、ニューロンに効率的に形質導入するように最適化することができ、導入遺伝子を細胞DNAに挿入することによって恒久的な修飾をもたらすことができる。加えて、本明細書において開示されるレンチウイルスベクター系は、AAV系よりも炎症性が低く、そのため、より高い用量漸増が可能であり、別のエンベロープ糖タンパク質、ベクター組成、用量、および関連する送達方法を試験する場合、ベクター設計におけるより高い柔軟性が可能となる。
【0054】
開示されるレンチウイルスベクター系は、PDを患う被験体におけるPARP発現の短期、中期、または長期の抑制のために最適化され得る。したがって、投薬レジメンは、PDまたは関連するPD症状の重症度に基づいて変動し得る。本明細書において開示されるレンチウイルス粒子は、それを必要とする被験体に、様々な用量で投与され得る。被験体には、106以上の形質導入単位のレンチウイルス粒子懸濁物(標的細胞1個に形質導入を行うために、平均で1用量が必要である場合)が投与され得る。被験体には、106以上、107以上、108以上、109以上、または1010以上の形質導入単位が投与され得る。投薬の上限は、当業者によって理解される様々な要因によって決定されるであろう。
【0055】
レンチウイルス粒子を形成するベクターは、好ましくは、エンベロープタンパク質を発現するレンチウイルスゲノムに由来する核酸配列を含有しない。好ましくは、プロモーターに作動可能に連結したエンベロープタンパク質をコードする核酸配列を含有する別個のベクターが、使用される。このenvベクターもまた、レンチウイルスパッケージング配列を含有しない。一実施形態では、env核酸配列は、レンチウイルスエンベロープタンパク質をコードする。
【0056】
別の実施形態では、エンベロープタンパク質は、レンチウイルス由来ではなく、異なるウイルスに由来する。結果として得られる粒子は、偽型粒子と称される。エンベロープの適切な選択によって、事実上あらゆる細胞に「感染する」ことができる。例えば、インフルエンザウイルス、VSV-G、アルファウイルス(セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス)、アレナウイルス(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、フラビウイルス(ダニ媒介性脳炎ウイルス、デングウイルス、C型肝炎ウイルス、GBウイルス)、ラブドウイルス(水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス)、パラミクソウイルス(流行性耳下腺炎または麻疹)、ピコルナウイルス(メンゴ、ポリオ、およびコクサッキー)、ならびにオルソミクソウイルス(インフルエンザウイルス)のものなど、エンドサイトーシスコンパートメントを標的化するエンベロープタンパク質をコードする、env遺伝子を使用することができる。好ましく使用することができる他のエンベロープは、モロニー白血病ウイルス、例えば、MLV-E、MLV-A、およびGALVに由来するものが挙げられる。これらの後者のエンベロープは、宿主細胞が初代細胞である場合に特に好ましい。他のエンベロープタンパク質は、所望される宿主細胞に応じて選択することができる。例えば、特定の受容体、例えば、ドーパミン受容体を標的化することが、脳への送達のために使用され得る。別の標的は、血管内皮であり得る。これらの細胞は、フィロウイルスエンベロープを使用して、標的化され得る。例えば、エボラのGP(転写後修飾によりGPとなる)およびGP2糖タンパク質。別の実施形態では、偽型エンベロープを有する様々なレンチウイルスキャプシドを使用することができる(例えば、FIVまたはSHIV[米国特許第5,654,195号])。SHIV偽型ベクターは、動物モデル、例えば、サルにおいて、容易に使用することができる。
【0057】
本明細書に詳述されるように、レンチウイルスベクター系は、典型的に、gag、pol、またはrev遺伝子のうちの少なくとも1つを含む、少なくとも1つのヘルパープラスミドを含む。gag、pol、およびrev遺伝子のそれぞれは、個々のプラスミドに提供されてもよく、または1つもしくは複数の遺伝子が、同じプラスミドに一緒に提供されてもよい。一実施形態では、gag、pol、およびrev遺伝子は、同じプラスミドに提供される(例えば、
図1C)。別の実施形態では、gagおよびpol遺伝子が、第1のプラスミドに提供され、rev遺伝子が、第2のプラスミドに提供される(例えば、
図1D)。したがって、3ベクターおよび4ベクターの系の両方を使用して、実施例の節および本明細書の他の箇所に記載されるように、レンチウイルスを産生することができる。治療用ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドは、パッケージング細胞株にトランスフェクトされる。パッケージング細胞株の非限定的な例は、293T/17 HEK細胞株である。治療用ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドがパッケージング細胞株にトランスフェクトされると、レンチウイルス粒子が、産生される。
【0058】
別の態様では、レンチウイルス粒子を発現させるためのレンチウイルスベクター系が開示される。この系は、本明細書において記載されるレンチウイルスベクター、細胞に感染するように最適化されたエンベロープタンパク質を発現させるためのエンベローププラスミド、ならびにgag、pol、およびrev遺伝子を発現させるための少なくとも1つのヘルパープラスミドを含み、ここで、レンチウイルスベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドがパッケージング細胞株にトランスフェクトされると、レンチウイルス粒子が、パッケージング細胞株によって産生され、このレンチウイルス粒子は、PARP1の産生を阻害できる。
【0059】
別の態様では、
図1Cに詳細に示されるように、本明細書において治療用ベクターとも称されるレンチウイルスベクターは、以下のエレメントを含む:ハイブリッド5’末端反復配列(long terminal repeat)(RSV/5’LTR)(配列番号21~22)、HIV gag(配列番号23)、RRE(Rev応答エレメント)(配列番号24)、Envエレメント(配列番号25)、cPPT(配列番号26)、H1プロモーター(配列番号27)、PARP1を標的化するshRNA(shPARP1)(配列番号6~10)、EF1プロモーター(配列番号28)、GFPエレメント(配列番号29)、ウッドチャック転写後制御エレメント(WPRE)(配列番号30)、および3’LTRデルタU3(配列番号31)。別の態様では、配列の変化、例として、置換、欠失、付加、または変異を使用して、本明細書における参照配列を修飾することができる。
【0060】
別の態様では、本明細書において、例えば、
図1Cに詳細に示されるように、ヘルパープラスミドは、以下のエレメントを含むように設計されている:CMVエンハンサー(配列番号32)、ニワトリベータアクチンプロモーター(配列番号33)、ニワトリベータアクチンイントロン(配列番号34)、HIV gag(配列番号23)、HIV Pol(配列番号35)、HIV Int(配列番号36)、HIV RRE(配列番号24)、HIV Rev(配列番号37)、およびウサギベータグロビンポリA(配列番号38)。別の態様では、ヘルパープラスミドは、gagおよびpol遺伝子を発現させるための第1のヘルパープラスミド、ならびにrev遺伝子を発現させるための第2かつ別個のプラスミドを含むように修飾され得る。別の態様では、配列の変化、例として、置換、欠失、付加、または変異を使用して、本明細書における参照配列を修飾することができる。
【0061】
別の態様では、本明細書において、例えば、
図1Cに詳細に示されるように、エンベローププラスミドは、左から右の方向に、以下のエレメントを含むように設計されている:CMVプロモーター(配列番号39)、ベータグロビンイントロン(配列番号40)、VSV-G(配列番号25)、およびウサギベータグロビンポリA(配列番号38)。別の態様では、配列の変化、例として、置換、欠失、付加、または変異を使用して、本明細書における参照配列を修飾することができる。
【0062】
別の態様では、レンチウイルスのパッケージングに使用されるプラスミドは、類似のエレメントで修飾することができ、イントロン配列は、ベクター機能を損なうことなく、潜在的に除去されていてもよい。例えば、以下のエレメントは、パッケージング系を構成するプラスミドにおいて類似のエレメントと置き換えてもよい:伸長因子-1(EF-1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、およびユビキチンC(UbC)プロモーターは、CMVまたはCAGプロモーターと置き換えてもよい。SV40ポリAおよびbGHポリAは、ウサギベータグロビンポリAと置き換えてもよい。ヘルパープラスミドにおけるHIV配列は、異なるHIV株またはクレードから構築され得る。VSV-G糖タンパク質は、ネコ内在性ウイルス(RD114)、テナガザル白血病ウイルス(GALV)、狂犬病(FUG)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、A型インフルエンザトリペストウイルス(FPV)、ロスリバーアルファウイルス(RRV)、マウス白血病ウイルス10A1(MLV)、またはエボラウイルス(EboV)に由来する膜糖タンパク質と置換され得る。
【0063】
注目すべきことには、レンチウイルスパッケージング系は、市販で入手することができ(例えば、OriGene Technologies,Inc.、Rockville、MDからのLenti-vpakパッケージングキット)、また、本明細書において記載されるように設計することもできる。さらに、レンチウイルス粒子の産生効率を含め、任意の数の関連する因子を改善するように、レンチウイルスパッケージング系の態様を置換または修飾することは、当業者の技能の範囲内である。
【0064】
用量および剤形
投薬は、1日1回であってもよく、または1日数回であってもよい。投薬は、投薬間に間隔をあけて行ってもよい。例えば、被験体は、初日に処置を受け、次いで、1日おきに、または2日に1回、または3日に1回、または4日に1回、または5日に1回、または6日に1回、または7日に1回、または2週間に1回、または1カ月に1回など、処置を受けてもよい。しかしながら、投薬は、1年に1回、2回、または数回であってもよく、そのような投薬スケジュールが、年基準で繰り返されてもよい。レンチウイルス粒子は、PDと関連する症状を処置するのに好適な任意の方法によって送達することができる。例えば、投薬は、ガイドされたニードルを使用した、脳幹への直接的な注射によって行われてもよい。これは、脳深部刺激と併せて行われる可能性が高いであろう。
【0065】
別の態様では、本明細書において記載されるレンチウイルス粒子を含む医薬組成物は、固形剤形で製剤化され得る。固形剤形は、当業者に公知の賦形剤を含み得る。本明細書において記載されるレンチウイルス粒子は、ゲル形態、泡沫体形態、生体分解性カプセル形態、ナノ粒子形態で製剤化されてもよく、またはリポソームもしくは当業者に公知の他の構造体で製剤化されてもよい。固形剤形は、即時放出または調節放出(modified release)のために製剤化され得る。調節放出剤形には、制御放出形態または長期放出形態が含まれる。
【0066】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例証する目的で提供されるものであり、決して本発明を制限することを意味するものではない。本実施例は、本明細書において記載される方法とともに、現在、好ましい実施形態を表すものであり、例示であり、本発明の範囲に対する制限として意図されるものではない。そこになされる変更、および特許請求の範囲によって定められる本発明の趣旨に包含されるその他の使用が、当業者には想起されるであろう。
【実施例】
【0067】
(実施例1 レンチウイルスベクター系の開発)
レンチウイルスベクター系を、概して
図1に要約されるように、開発した。レンチウイルス粒子は、293T/17 HEK細胞(American Type Culture Collection、Manassas、VAから購入)において、治療用ベクター、エンベローププラスミド、およびヘルパープラスミドのトランスフェクションの後に、産生させた。機能的ウイルス粒子を産生した293T/17 HEK細胞のトランスフェクションには、プラスミドDNAの取込み効率を増加させるために、試薬ポリ(エチレンイミン)(PEI)を利用した。プラスミドおよびDNAは、まず、3:1の比(PEI対DNAの質量比)で、血清不含の培養培地に、別個に添加した。2~3日後に、細胞培地を採取し、レンチウイルス粒子を、高速遠心分離および/または濾過、続いて、アニオン交換クロマトグラフィーによって精製した。レンチウイルス粒子の濃度は、形質導入単位/ml(TU/ml)の単位で表すことができる。TUの決定は、培養液中のHIV p24のレベルを測定し(p24タンパク質は、レンチウイルス粒子に組み込まれる)、定量的PCR、または細胞に感染して光を使用すること(ベクターがルシフェラーゼもしくは蛍光タンパク質マーカーをコードする場合)により、細胞1個当たりのウイルスDNAコピー数を測定することによって達成した。
【0068】
3ベクターの系(すなわち、2ベクターのレンチウイルスパッケージング系)を、レンチウイルス粒子の産生のために設計した。3ベクターの系の概要は、
図1A、1C、および1Eに示されている。簡単に述べると、また
図1Cおよび1Eを参照すると、一番上のベクターは、ヘルパープラスミドであり、この事例では、Revを含む。
図1Cおよび1Eの中央に示されているベクターは、エンベローププラスミドである。一番下のベクターは、本明細書において記載される治療用ベクターである。
【0069】
図1Cおよび1Eを参照すると、ヘルパー+Revプラスミドは、CMVエンハンサー(配列番号32)、ニワトリベータアクチンプロモーター(配列番号33)、ニワトリベータアクチンイントロン(配列番号34)、HIV gag(配列番号23)、HIV Pol(配列番号35)、HIV Int(配列番号36)、HIV RRE(配列番号24)、HIV Rev(配列番号37)、およびウサギベータグロビンポリA(配列番号38)を含む。ヘルパー+Revプラスミドはまた、
図1Aにおいて線形形態でも示されている。
【0070】
図1Cおよび1Eを参照すると、エンベローププラスミドは、CMVプロモーター(配列番号39)、ベータグロビンイントロン(配列番号40)、VSV-G(配列番号25)、およびウサギベータグロビンポリA(配列番号38)を含む。エンベローププラスミドはまた、
図1Aにおいて線形形態でも示されている。
【0071】
ヘルパー(+Rev)およびエンベローププラスミドを含む、2ベクターのレンチウイルスパッケージング系の合成
材料および方法:
ヘルパープラスミドの構築:ヘルパープラスミドを、まずは、Gag、Pol、およびインテグラーゼ遺伝子を含有するpNL4-3 HIVプラスミド(NIH Aids Reagent Program)に由来するDNA断片のPCR増幅によって、構築した。プライマーは、pCDNA3プラスミド(Invitrogen)において同じ部位に挿入するために使用することができる、EcoRIおよびNotI制限部位を有する断片を増幅するように設計した。フォワードプライマーは、(5’-TAAGCAGAATTC ATGAATTTGCCAGGAAGAT-3’)(配列番号41)であり、リバースプライマーは、(5’-CCATACAATGAATGGACACTAGGCGGCCGCACGAAT-3’)(配列番号42)であった。
【0072】
Gag、Pol、インテグラーゼ断片の配列は、以下の通りであった。
【化1】
【化2】
【0073】
次いで、隣接するXbaIおよびXmaI制限部位を用いてRev、RRE、およびウサギベータグロビンポリA配列を含有するDNA断片を、MWG Operonによって合成した。DNA断片を、次いで、プラスミドのXbaIおよびXmaI制限部位に挿入した。DNA配列は、以下の通りであった。
【化3】
【0074】
最後に、pCDNA3.1のCMVプロモーターを、CAGエンハンサー/プロモーターに加えてニワトリベータアクチンイントロン配列と置き換えた。隣接するMluIおよびEcoRI制限部位を用いてCAGエンハンサー/プロモーター/イントロン配列を含有するDNA断片を、MWG Operonによって合成した。DNA断片を、次いで、プラスミドのMluIおよびEcoRI制限部位に挿入した。DNA配列は、以下の通りであった。
【化4】
【0075】
VSV-Gエンベローププラスミドの構築:
水疱性口内炎Indianaウイルス糖タンパク質(VSV-G)配列を、隣接するEcoRI制限部位を用いて、MWG Operonによって合成した。次いで、DNA断片を、pCDNA3.1プラスミド(Invitrogen)のEcoRI制限部位に挿入し、正しい配向を、CMV特異的プライマーを使用したシーケンシングによって決定した。DNA配列は、以下の通りであった。
【化5】
【0076】
4ベクターの系(すなわち、3ベクターのレンチウイルスパッケージング系)もまた設計し、本明細書において記載される方法および材料を使用して、産生させた。4ベクターの系の概要は、
図1Dおよび1Fに示されている。簡単に述べると、
図1Dおよび1Fを参照すると、一番上のベクターは、ヘルパープラスミドであり、この事例では、Revを含まない。頁の左側にある上から2番目のベクターは、別個のRevプラスミドである。頁の右側にある下から2番目のベクターは、エンベローププラスミドである。一番下のベクターは、実験用治療用ベクターである。
【0077】
図1Dおよび1Fを参照すると、ヘルパープラスミドは、CMVエンハンサー(配列番号32)、ニワトリベータアクチンプロモーター(配列番号33)、ニワトリベータアクチンイントロン(配列番号34)、HIV gag(配列番号23)、HIV Pol(配列番号35)、HIV Int(配列番号36)、HIV RRE(配列番号24)、およびウサギベータグロビンポリA(配列番号38)を含む。
【0078】
図1Dおよび1Fを参照すると、Revプラスミドは、RSVプロモーター(配列番号47)、HIV Rev(配列番号37)、およびウサギベータグロビンポリA(配列番号38)を含む。
【0079】
図1Dおよび1Fを参照すると、エンベローププラスミドは、CMVプロモーター(配列番号39)、ベータグロビンイントロン(配列番号40)、VSV-G(配列番号25)、およびウサギベータグロビンポリA(配列番号38)を含む。エンベローププラスミドはまた、
図1Aにおいて線形形態でも示されている。
【0080】
ヘルパー、Rev、およびエンベローププラスミドを含む、3ベクターのレンチウイルスパッケージング系の合成
材料および方法:
Revを有さないヘルパープラスミドの構築:
Revを有さないヘルパープラスミドを、RREおよびウサギベータグロビンポリA配列を含有するDNA断片を挿入することによって、構築した。この配列は、隣接するXbaIおよびXmaI制限部位を用いて、MWG Operonによって合成した。RRE/ウサギポリAベータグロビン配列を、次いで、ヘルパープラスミドのXbaIおよびXmaI制限部位に挿入した。DNA配列は、次の通りである。
【化6】
【0081】
Revプラスミドの構築:
RSVプロモーターおよびHIV Rev配列を、隣接するMfeIおよびXbaI制限部位を用いて、MWG Operonによって、単一のDNA断片として合成した。DNA断片を、次いで、CMVプロモーターがRSVプロモーターと置き換えられているpCDNA3.1プラスミド(Invitrogen)のMfeIおよびXbaI制限部位に挿入した。DNA配列は、以下の通りであった。
【化7】
【0082】
3ベクターおよび4ベクターのパッケージング系のプラスミドは、類似のエレメントを有するように修飾することができ、イントロン配列は、ベクター機能を損なうことなく、潜在的に除去されていてもよい。例えば、以下のエレメントは、3ベクターおよび4ベクターのパッケージング系において、類似のエレメントと置き換えることができる。
【0083】
プロモーター:伸長因子-1(EF-1)(配列番号28)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)(配列番号49)、およびユビキチンC(UbC)(配列番号50)は、CMVまたはCAGプロモーター(配列番号39)と置き換えてもよい。これらの配列はまた、付加、置換、欠失、または変異によって、さらに変更され得る。
【0084】
ポリA配列:SV40ポリA(配列番号51)およびbGHポリA(配列番号52)は、ウサギベータグロビンポリA(配列番号38)と置き換えてもよい。これらの配列はまた、付加、置換、欠失、または変異によって、さらに変更され得る。
【0085】
HIV Gag、Pol、およびインテグラーゼ配列:ヘルパープラスミドにおけるHIV配列は、異なるHIV株またはクレードから構築してもよい。例えば、Bal株に由来するHIV Gag(配列番号23)、HIV Pol(配列番号35)、およびHIV Int(配列番号36)は、本明細書において概説されるヘルパー/ヘルパー+Revプラスミドに含まれるgag、pol、およびint配列と互換可能である。これらの配列はまた、付加、置換、欠失、または変異によって、さらに変更され得る。
【0086】
エンベロープ:VSV-G糖タンパク質は、ネコ内在性ウイルス(RD114)(配列番号53)、テナガザル白血病ウイルス(GALV)(配列番号54)、狂犬病(FUG)(配列番号55)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)(配列番号56)、A型インフルエンザトリペストウイルス(FPV)(配列番号57)、ロスリバーアルファウイルス(RRV)(配列番号58)、マウス白血病ウイルス10A1(MLV)(配列番号59)、またはエボラウイルス(EboV)(配列番号60)に由来する膜糖タンパク質と置換され得る。これらのエンベロープの配列は、本明細書の配列の部分において特定される。さらに、これらの配列はまた、付加、置換、欠失、または変異によって、さらに変更され得る。
【0087】
要約すると、3ベクター系 対 4ベクター系を、比較して、部分的には、次のように対比させることができる。3ベクターのレンチウイルスベクター系は、次のものを含む:1.ヘルパープラスミド:HIV Gag、Pol、インテグラーゼ、およびRev/Tat;2.エンベローププラスミド:VSV-Gエンベロープ;ならびに3.治療用ベクター:RSV/5’LTR、HIV Gag、RRE、Env、cPPT、H1、shPARP1、EF1、GFP、WPRE、および3’LTRΔU3。4ベクターのレンチウイルス系は、次のものを含む:1.ヘルパープラスミド:HIV Gag、Pol、およびインテグラーゼ;2.Revプラスミド:Rev;3.エンベローププラスミド:VSV-Gエンベロープ;ならびに4.治療用ベクター:RSV/5’LTR、HIV Gag、RRE、Env、cPPT、H1エレメント、shPARP1、EF1、GFP、WPRE、および3’ΔLTR。上述のエレメントに対応する配列は、本明細書の配列表の部分において特定される。
【0088】
(実施例2 レンチウイルスベクター系のレンチウイルスベクターにおいて使用するためのPARP1阻害性RNAの開発)
この実施例の目的は、PARP1阻害剤RNAレンチウイルスベクターを開発することであった。
【0089】
阻害性RNAの設計。Homo sapiensポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP1)mRNA(NM_001618)またはMus musculus Parp1 mRNA(NM_007415)の配列を使用して、ヒトまたはマウスの細胞においてPARP1レベルをノックダウンする潜在的なsiRNAまたはshRNA候補を探求した。可能性のあるRNA干渉配列を、siRNAまたはshRNA設計プログラム、例えば、Broad Institute(MIT)Genetic Perturbation Platform(GPP)Web PortalからのものまたはThermoFisher ScientificからのBLOCK-iT(商標)RNAi Designerによって、選択した候補から選択した。可能性のあるRNA干渉配列を、siRNAまたはshRNA設計プログラム、例えば、Broad Instituteによって主催されるGPP Web Portal(http://portals.broadinstitute.org/gpp/public/)からのものまたはThermo ScientificのBLOCK-iT RNAi Designer(https://rnaidesigner.thermofisher.com/rnaiexpress/)によって選択した候補から選択した。
【0090】
ベクターの構築。PARP1 shRNAについて、BamHIおよびEcoRI制限部位を含有するオリゴヌクレオチド配列を、MWG operonによって合成した。オリゴヌクレオチド配列を、摂氏70度でインキュベートし、室温に冷却することによって、アニーリングした。アニーリングしたオリゴヌクレオチドを、摂氏37度で1時間、制限酵素BamHIおよびEcoRIで消化させた後、酵素を、摂氏70度で20分間、熱不活化した。並行して、レンチウイルスベクターを、摂氏37度で1時間、制限酵素BamHIおよびEcoRIで消化させた。消化させたレンチウイルスベクターを、アガロースゲル電気泳動によって精製し、InvitrogenからのDNAゲル抽出キットを使用して、ゲルから抽出した。DNA濃度を、260nmの吸光波長で、分光光度法によって決定した。ベクターおよびオリゴヌクレオチド配列を、3:1の比(インサート対ベクター)で、ライゲートした。ライゲーション反応は、T4 DNAリガーゼを用いて、室温で30分間行った。2.5マイクロリットルのライゲーション混合物を、25マイクロリットルのSTBL3コンピテント細菌細胞に添加した。形質転換を、摂氏42度での熱ショックによって行った。細菌細胞を、アンピシリンを含有する寒天プレートに画線し、次いで、コロニーを、LBブロスで増殖させた。オリゴ配列の挿入の確認のために、プラスミドDNAを、Invitrogen DNAミニプレップキットを用いて、採取した細菌培養物から抽出した。レンチウイルスベクターへのshRNA配列の挿入は、shRNA発現を制御するために使用されるいずれかのプロモーターに特異的なプライマーを使用して、DNAシーケンシングによって検証した。次いで、正しいPARP1配列を含有するレンチウイルスベクターを使用して、レンチウイルス粒子をパッケージングして、PARP1をノックダウンするそれらの能力について試験した。哺乳動物細胞に、ポリブレンの存在下または非存在下のいずれかにおいて、レンチウイルス粒子を形質導入した。細胞を、2~4日後に採取し、タンパク質を、PARP1の発現に関して、ウエスタンブロットによって分析した。
【0091】
表1に要約されるHomo sapiens PARP1標的配列が、これらの実験に関連して特定され、shRNAオリゴヌクレオチド配列に関しては、本明細書の表2に概説される。
【表1】
【0092】
表2に要約される以下のHomo sapiens PARP1 shRNAオリゴヌクレオチド配列を、これらの実験に使用した。
【表2】
【0093】
表3に要約されるMus musculus PARP1標的配列が、これらの実験に関連して特定され、shRNAオリゴヌクレオチド配列に関しては、本明細書の表4に概説される。
【表3】
【0094】
表4に要約される以下のMus musculus PARP1 shRNAオリゴヌクレオチド配列を、これらの実験に使用した。
【表4】
【0095】
この実施例に概説されるHomo sapiensおよびMus musculusPARP1 shRNAオリゴヌクレオチド配列を、本明細書において考察されるレンチウイルスベクター系と併せて使用した。
【0096】
実験用治療用ベクターを、
図1A(線形形態)、ならびに
図1Cおよび1D(環状形態)に示されるように、設計した。
図1Cおよび1Dに示される環状ベクターマップを参照すると、実験用治療用ベクターは、以下のものを含む:ハイブリッド5’末端反復配列(RSV/5’LTR)(配列番号21~22)、HIV gag(配列番号23)、RRE(Rev応答エレメント)(配列番号24)、Envエレメント(配列番号25)、cPPT(配列番号26)、H1プロモーター(配列番号27)、PARP1標的化shRNA(shPARP1)(配列番号6~10)、EF1プロモーター(配列番号28)、GFPエレメント(配列番号29)、ウッドチャック転写後制御エレメント(WPRE)(配列番号30)、および3’LTRデルタU3(配列番号31)。GFPの存在は、in vitroおよびin vivoのモデル系において、形質導入を示すことにおけるその有用性のため、実験目的のものである。
【0097】
さらに、
図1Eおよび1Fに示される環状ベクターマップを参照すると、以下のものを含む治療用またはレンチウイルスベクターを、設計した:ハイブリッド5’末端反復配列(RSV/5’LTR)(配列番号21~22)、HIV gag(配列番号23)、RRE(Rev応答エレメント)(配列番号24)、Envエレメント(配列番号25)、cPPT(配列番号26)、H1プロモーター(配列番号27)、PARP1標的化shRNA(shPARP1)(配列番号6~10)、ウッドチャック転写後制御エレメント(WPRE)(配列番号30)、および3’LTRデルタU3(配列番号31)。
図1Eおよび1Fに詳細に示される治療用またはレンチウイルスベクターは、GFPを含有しない。
【0098】
(実施例3 PARP1タンパク質発現のshRNA媒介性減少)
Homo sapiens PARP1に対して設計されたshRNAを、PARP1遺伝子の発現を下方制御するそれらの能力に関して試験した。ヒトPARP1 shRNAを含有するレンチウイルスベクターを、レンチウイルス粒子としてパッケージングした。1~10のMOIのレンチウイルス粒子を、ヒトU251膠芽腫細胞に添加した。48時間後に、細胞を溶解させ、PARP1の発現を、PARP1特異的抗体を用いた免疫ブロット分析によって、測定した。
【0099】
以下の表5に示されるように、PARP1に対して設計したshRNAのうちの5つが、PARP1タンパク質の発現を下方制御する能力を示した。対照shRNA配列の100%と比較すると、配列6(配列番号6)は、57.1%のPARP1タンパク質発現をもたらし、配列7(配列番号7)は、45.8%のPARP1タンパク質発現をもたらし、配列8(配列番号8)は、47.2%のPARP1タンパク質発現をもたらし、配列9(配列番号9)は、48.8%のPARP1タンパク質発現をもたらし、配列10(配列番号10)は、27.1%のPARP1タンパク質発現をもたらした。
【表5】
【0100】
Mus musculus PARP1に対して設計されたshRNAを、PARP1遺伝子の発現を下方制御するそれらの能力に関して試験した。マウスPARP1 shRNAを含有するレンチウイルスベクターを、レンチウイルス粒子としてパッケージングした。1~10のMOIのレンチウイルス粒子を、マウスHepa1-6肝細胞がん細胞に添加した。48時間後に、細胞を溶解させ、PARP1の発現を、PARP1特異的抗体を用いた免疫ブロット分析によって、測定した。以下の表6に示されるように、PARP1に対して設計したshRNAのうちの5つが、PARP1タンパク質の発現を下方制御する能力を示した。対照shRNA配列の100%と比較すると、配列16(配列番号16)は、22.8%のPARP1タンパク質発現をもたらし、配列17(配列番号17)は、47.7%のPARP1タンパク質発現をもたらし、配列18(配列番号18)は、2%のPARP1タンパク質発現をもたらし、配列19(配列番号19)は、0.2%のPARP1タンパク質発現をもたらし、配列20(配列番号20)は、2%のPARP1タンパク質発現をもたらした。
【表6】
【0101】
PARP1タンパク質の発現は、shRNAの投与の後に、ヒトおよびマウス細胞において、低減されることが見出された。まず、
図2を参照すると、shRNAを発現するレンチウイルスベクターでの処置の後に、U251ヒト膠芽腫細胞株におけるPARP1タンパク質の低減が、示される。細胞株U251は、shCon(すなわち、PARP1タンパク質の発現に影響を及ぼさない無関係のshRNA配列を含有するレンチウイルスベクター)として特定されるレーンに示されるように、細胞溶解物中に、測定可能なPARP1タンパク質を含有している。個々のshRNA配列6~10(本明細書の表2において参照される)を、レンチウイルスベクターにクローニングし、感染性ウイルス粒子として発現させ、これを使用してU251細胞に形質導入した。形質導入の48時間後に、細胞を溶解させ、タンパク質を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離させ、抗PARP1抗体(Cell Signaling Technology)を使用する免疫ブロットアッセイによって検出した。
【0102】
なおも
図2を参照すると、配列6は、レーンshPARP1-1に対応し、配列7は、レーンshPARP1-2に対応し、配列8は、レーンshPARP1-3に対応し、配列9は、レーンshPARP1-4に対応し、配列10は、レーンshPARP1-5に対応する。ハウスキーピングタンパク質であるアクチンを、抗アクチン抗体(Sigma-Aldrich)を用いて検出し、類似の量のタンパク質が、ゲルのそれぞれのレーンにおいて分析されたことを確認した。配列10を、ヒトU251細胞において、PARP1を低減するのに最も有効であるとして特定した。
【0103】
マウス細胞での実験に移り、
図3を参照すると、shRNAを発現するレンチウイルスベクターの投与後に、Hepa1-6マウス肝細胞がん細胞におけるPARP1タンパク質レベルの低減が、観察された。細胞株Hepa1-6は、感染なし(レンチウイルスを使用していない)またはshCon(PARP1タンパク質の発現に影響を及ぼさない無関係のshRNA配列を含有するレンチウイルスベクター)として特定されるレーンに示されるように、細胞溶解物中に、測定可能なPARP1タンパク質を含有している。個々のshRNA構築物16~20(本明細書の表4において参照される)を、レンチウイルスベクターにクローニングし、感染性ウイルス粒子として発現させ、これを使用してHepa1-6細胞に形質導入した。形質導入の48時間後に、細胞を溶解させ、タンパク質を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離させ、抗PARP1抗体(Cell Signaling Technology)を使用する免疫ブロットアッセイによって検出した。なおも
図3を参照すると、配列16は、レーンshPARP1-1に対応し、配列17は、レーンshPARP1-2に対応し、配列18は、レーンshPARP1-3に対応し、配列19は、レーンshPARP1-4に対応し、配列20は、レーンshPARP1-5に対応する。ハウスキーピングタンパク質であるアクチンまたはチューブリンを、ゲルのそれぞれのレーンにロードされたタンパク質の量に関して、対照として、抗体試薬(Sigma-Aldrich)を用いて検出した。shRNA 16、17、および18は、PARP1タンパク質の発現を阻害することに関して、強力であった。配列19を、マウスHepa1-6において、PARP1を低減するのに最も有効であるとして特定した。
【0104】
(実施例4 マウスニューロンにおけるレンチウイルスベクターの形質導入)
本明細書において概説されるレンチウイルスベクター系は、マウスニューロンにおける形質導入が可能であることが見出されている。
図4を参照すると、野生型マウスに、マウスの脳の黒質領域に挿入したスチール製のニードルを介して、顕微鏡写真の左列では模擬(レンチウイルスなし)を注射し、顕微鏡写真の右列では緑色蛍光タンパク質も発現するLV-shPARP1を注射した。LV-shPARP1-GFPは、およそ1×10
8形質導入単位を含有する0.1mlで投薬した。14日後に、マウスを殺処分し、黒質領域を脳から切除し、ホルムアルデヒド中に固定し、パラフィンに包埋した。薄切片を、スライドガラスに載せ、蛍光顕微鏡で可視化した。TH+ニューロン(高いレベルのチロシンヒドロキシラーゼを発現する)は、概して黒質領域を特定し、
図4において赤色(またはグレースケール写真では白色)に見える。中央のパネルは、模擬(左列)またはLV-shPARP1-GFP(右列における緑色[またはグレースケール写真では白色]の染色を参照されたい)を形質導入した細胞を示す。効率的な形質導入および導入遺伝子の発現を示すGFPによって放出される高い強度の光のため、陽性に形質導入されたニューロンはこの図では黒色に見え、予測した通り、偽対照(左列)には存在していなかった。下のパネルは、レンチウイルス形質導入に由来するTH+ニューロンの染色およびGFP+ニューロンの染色の合体であり、TH+ニューロン内を含め、黒質内の形質導入された細胞の存在を示す。
【0105】
(実施例5 レンチウイルスベクター系を使用したニューロン死の治療的処置)
化学的な神経毒素1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)は、マウスにおいて重度かつ不可逆的な運動異常を引き起こし、ヒトPDをモデリングするために広く使用されている。例えば、KopinおよびMarkey、11巻、Annu. Rev. Neurosci、81~96頁(1988年)を参照されたい。MPTPでマウスを処置することにより、線条体ドーパミンおよびその代謝産物のレベルが低下するが、これは、薬物の神経毒性により、黒質におけるドーパミン産生細胞の数が低減するためである。このモデルは、MPTP曝露後のニューロン死を予防する、一酸化窒素を含む化合物の保護効果を試験するために使用されている。例えば、Przedborskiら、93巻、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、44565~4571頁(1996年)を参照されたい。このモデルを使用して、PARPのニューロン細胞での発現を低減させるであろうショートヘアピンRNA配列(sh)を発現するように設計された、レンチウイルスベクター(LV-shPARP)で、マウスを事前処置することによって、ドーパミン作動性ニューロンの死滅を予防する能力を測定することができる。このベクターは、形質導入された細胞を特定する緑色蛍光タンパク質マーカーを発現するように、さらに修飾されてもよく(LV-shPARP-GFP)、shPARPを発現しないベクター(LV-GFP)と比較される。
【0106】
LV-shPARP-GFPまたはLV-GFPの懸濁物を、健常な成体マウスの黒質に注射する。用量は、重度の運動障害またはマウスの死亡をもたらす毒性レベルに到達するまで、漸増させる。最大耐容量を使用して、マウスを、LV-shPARP-GFPまたは対照ベクターで処置する。2週間後に、それぞれの群から歩哨動物を殺処分して、黒質におけるニューロンの形質導入を確認する。残りの動物(10匹の群)を、生理食塩水中20mg/kgの用量のMPTP-HClで、2時間間隔で4回、腹腔内注射により、処置した。2~7日後に、マウスの群を殺処分し、脳を摘出し、固定し、そして切片作製のためにパラフィンに包埋した。黒質領域を、チロシンヒドロキシラーゼを発現するニューロン(TH+)の染色によって特定し、形質導入されたニューロンを、GFPの発現によって特定する。LV-shPARP-GFPの治療的影響は、LV-shPARP-GFPまたは対照ベクターで処置したマウスに由来する黒質におけるTH+またはGFP+ニューロンの数を計数することによって、決定する。MPTPは、黒質TH+細胞の多くを破壊することが予測され、LV-shPARP-GFPは、これらの細胞を保護し、黒質の正常な外見を保存することが予測される。LVベクターおよびMPTPの両方で同様に処置したマウスのさらなる群では、脳を、MPTP投薬の7日後に摘出し、黒質領域を、切開によって単離し、組織を、摂氏-80度で凍結させる。続いて、組織標本を解凍し、ドーパミンを、公開されている方法に従って抽出する(Przedborskiら(上述)を参照されたい)。LV-shPARP-GFPは、MPTP処置後に、正常なレベルのドーパミン産生を保存すると予測され、ドーパミンレベルは、LV-shPARP-GFPで処置したマウスでは、対照ベクターで処置したマウスよりも有意に高くなる。
【0107】
(実施例6 エンベロープ糖タンパク質のバリアントを使用した、レンチウイルスのニューロンへの標的化)
個々のエンベロープ糖タンパク質の特性は、組織の指向性および疾患の部位への治療用遺伝子の送達の効率に影響を及ぼす。PDを処置するために、遺伝子療法の標的は、黒質のTH+細胞である。TH+細胞への標的化を最適化するために、様々なエンベロープ糖タンパク質を、マウス黒質のTH+細胞への形質導入効率を改善するそれらの役割に関して、比較する。実施例1において上述のように、水疱性口内炎ウイルスG糖タンパク質(VSV-G)を含有するエンベローププラスミドを設計し、産生させた。このエンベローププラスミドを、VSV-Gの代わりに、FUG-C(狂犬病ウイルス糖タンパク質のN末端領域)、バキュロウイルスに由来するgp64エンベロープ糖タンパク質、ヒヒ内在性ウイルスに由来するエンベロープ糖タンパク質、またはレンチウイルス粒子をパッケージングするのに好適な他の代替物を含む、設計された他のエンベローププラスミドと比較することができる。それぞれの事例において、エンベローププラスミドのバリアントを使用して、レンチウイルスベクターストックを産生させ、マウスの脳に注射し、マウス黒質のTH+細胞への形質導入の効率性を、試験する。
【0108】
(実施例7 PDの治療効果に関するPARP遺伝子の試験)
本明細書において記載される研究には、PARP1、およびその調節をどのようにしてPDを治療的に処置するために使用することができるかに焦点を当てたものが含まれる。しかしながら、PARP1は、同様の機能を有するおよそ16個の緊密に関連するPARP遺伝子のうちの1つに過ぎない。本明細書において記載される、標的の特定、shRNAの産生およびレンチウイルスにより送達されるmiRNAへの変換のための技法を使用して、他のPARP遺伝子を、PDを処置することに有効な治療用ベクターとなり得るそれらの能力に関して、試験することができる。簡単に述べると、他のPARP遺伝子を含有するレンチウイルスベクターを、マウスに注射して、本明細書において記載される方法、技法、および材料を使用して、PDの補正に関して試験することができる。
【0109】
(実施例8 レンチウイルスベクター系への挿入のための合成miRNAを設計する方法)
19~22ヌクレオチドの長さである、標的ショートヘアピン配列を、shRNA設計プログラム、例えば、例として、InvitrogenのBlock-iT RNAi designerまたはBroad InstituteからのRNAi設計プログラム(MIT)から選択する。数個の配列を、特定の遺伝子、例えば、例として、PARPの効率的なノックダウンに関して試験する。標的遺伝子の発現を少なくとも80%減少させるshRNA配列を、次いで、規定のマイクロRNAヘアピン骨格内に挿入する。マイクロRNA(miRNA)ヘアピン構造はmiRBase.orgのウェブサイトから入手することができる。
【0110】
選択したshRNA配列を、次いで、ヘアピン構造内に挿入するが、ループ配列は、変更せずに残す。アンチセンスshRNA配列を、miRNAヘアピンの5-プライム配列内に挿入して、遺伝子標的化のためのシード配列にする。センスshRNA配列を、選択された特定のmiRNAヘアピン構造に応じて修飾する。例として、センス鎖のヌクレオチド9および10を、miR30ヘアピン構造については除去する。標的配列、例えば、PARPを含有するmiR配列および骨格配列を、MWG OperonまたはIDTのいずれかによって、BsrGIおよびNotI制限部位を用いて合成する。この配列を、miRアクセプターレンチウイルスベクターのBsrG1およびNotI部位に挿入する。
【0111】
(実施例9 PDを有するヒト患者の処置)
PDの初期診断から少なくとも5年後に、年齢が35~75歳の12人の患者に、用量漸増研究において、本明細書において記載される(cGMPグレード)LV-shPARP組成物(例えば、
図1Bに示されるレンチウイルス構築物に基づく)を、両側定位的被殻内(intraputaminal)注射で受容させた。可能性の高い用量範囲は、5mlの滅菌生理食塩水中、10
8形質導入単位のLV-shPARPである[1形質導入単位が、平均で、単一の標的細胞の染色体に1コピーの導入遺伝子が組み込まれるのを達成するのに必要なLV-shPARPの量である]。範囲の上限は、およそ10
10形質導入単位のLV-shPARPであることが予測される。処置した患者を、少なくとも1年間から最長5年間、自発運動状態の変化に関して追跡する。
【0112】
臨床状態の変化は、統一パーキンソン病評定スケールを使用して決定し、PDを有する対応する患者の群について、LVで処置したものを、薬物処置なしの状態と比較して、決定する。患者はまた、困難な運動障害がない時間に関する臨床状態を記録することも求められ、また、手先の器用さに関するパーデューペグボード試験および日常生活の活動スコアでの試験を受ける場合がある。例えば、Marks Jr.ら、9巻(12号)、Lancet Neurol.、1164~72頁(2010年)を参照されたい。LV-shPARP療法の後の患者の転帰を、これまでのL-DOPA産生を増加させるためのグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子もしくは芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼのアデノ随伴ウイルス送達を試験する遺伝子療法治験、または神経栄養増殖因子ニュールツリンのアデノ随伴ウイルス送達を使用した研究と、比較する。例えば、Kaplittら、369巻(9579号)、Lancet Neurol.、2097~105頁(2007年)を参照されたく、またChristineら、73巻(20号)、Neurology、1662~9頁(2009年)も参照されたい。LV-shPARP組成物を受容した被験体は、PDおよびPD関連症状の改善を示すことが、論理的に予測される。
【0113】
上述の実施例の実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲において記載される本発明の範囲およびそれらの均等物の例証であることが意図されるものであり、制限を意図するものではない。本発明の例示的な実施形態が、理解の明確さの目的でいくらか詳細に記載されているが、ある特定の変更および修正が、以下の特許請求の範囲内で実施され得ることは、明らかであろう。以下の特許請求の範囲、要素、および/またはステップは、特許請求の範囲において明示的に言及されるかまたは本開示によって暗に必要とされない限り、任意の特定の実行順序を暗示するものではない。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【表7-9】
【表7-10】
【表7-11】
【表7-12】
【表7-13】
【表7-14】
【表7-15】
【表7-16】
【表7-17】
【表7-18】
【表7-19】
【表7-20】
【表7-21】
【表7-22】
【配列表】