IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クレオ・メディカル・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-電気外科器具 図1
  • 特許-電気外科器具 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】電気外科器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
A61B18/18 100
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019515521
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2018058092
(87)【国際公開番号】W WO2018178244
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】1705172.3
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】バーン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,マルコム
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504720(JP,A)
【文献】特開2010-088884(JP,A)
【文献】特表平04-503907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0282319(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/18
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波電磁(EM)エネルギーを生体組織内に送達するための電気外科器具であって、
マイクロ波EMエネルギーを第1の周波数及び第2の周波数で伝えるための同軸ケーブルであって、前記第2の周波数が前記第1の周波数より高い、前記同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルからのマイクロ波EMエネルギーを受け取るように前記同軸ケーブルの遠位端に配置される放射先端部であって、前記第1の周波数で第1の実効比透磁率を有し、前記第2の周波数で第2の実効比透磁率を有する、前記放射先端部とを含み、
前記第1の実効比透磁率及び前記第2の実効比透磁率は、前記放射先端部の電気的長さが共振を前記第1の周波数及び前記第2の周波数それぞれで持続させるように選択される、前記電気外科器具。
【請求項2】
前記放射先端部が、前記同軸ケーブルの第1の誘電材料とは異なる第2の誘電材料を含む、請求項1に記載の電気外科器具。
【請求項3】
前記第2の誘電材料がフェリ磁性である、請求項2に記載の電気外科器具。
【請求項4】
前記放射先端部が、前記第2の誘電材料にバイアス磁界を印加するための磁化要素を備える、請求項2または3に記載の電気外科器具。
【請求項5】
前記磁化要素が、前記第2の誘電材料の周りに配置された電磁コイルである、請求項4に記載の電気外科器具。
【請求項6】
前記磁化要素が、前記バイアス磁界を調整するように制御可能である、請求項4または5に記載の電気外科器具。
【請求項7】
マイクロ波電磁(EM)エネルギーを生体組織内に送達するための電気外科器具であって、
マイクロ波EMエネルギーを第1の周波数及び第2の周波数で伝えるための同軸ケーブルであって、前記第2の周波数が前記第1の周波数より高い、前記同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルからのマイクロ波EMエネルギーを受け取るように前記同軸ケーブルの遠位端に配置される放射先端部であって、前記第1の周波数で第1の実効比誘電率を有し、前記第2の周波数で第2の実効比誘電率を有する、前記放射先端部とを含み、
前記第1の実効比誘電率及び前記第2の実効比誘電率は、前記放射先端部の電気的長さが共振を前記第1の周波数及び前記第2の周波数それぞれで持続させるように選択される、前記電気外科器具。
【請求項8】
マイクロ波電磁(EM)エネルギーを生体組織内に送達するための電気外科手術装置であって、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気外科器具と、
前記第1の周波数及び前記第2の周波数でマイクロ波EMエネルギーを発生するように構成された発生装置とを含み、
前記同軸ケーブルが、マイクロ波EMエネルギーを受け取るように前記発生装置に接続される近位端を有する、前記電気外科手術装置。
【請求項9】
治療部位への非侵襲的な挿入のための可撓性器具コードを有する外科用スコープ機器を含み、
前記器具コードが器具チャネルを含み、前記電気外科器具が前記器具チャネル内に挿入可能であるように寸法決めされる、請求項8に記載の電気外科手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電磁(EM)エネルギーを複数の周波数で生体組織に送達するための電気外科器具に関する。
【背景技術】
【0002】
身体組織にEMエネルギーを供給するための電気外科器具及び装置は公知である。
典型的には、身体組織にEMエネルギーを送達するための装置は、エネルギーを組織に送達するための、EMエネルギーの供給源を含む発生装置と発生装置に接続された電気外科器具とを含む。
【0003】
EMエネルギー、特にマイクロ波及び高周波(RF)エネルギーは、身体組織を切断、凝固、及び焼灼することができるため、電気外科手術において有用であることが見出されてきた。
【0004】
さらに、肺の様々な状態を治療するためにマイクロ波放射プローブを使用することが公知である。例えば、マイクロ波放射は、喘息を治療したり、肺の腫瘍または病変を焼灼したりするために使用できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
異なる周波数のマイクロ波EMエネルギーは、生体組織内に異なる深さまで浸透する。さらに、生体組織へ高い周波数のEMエネルギーを適用すると、一般に、より低い周波数よりもより速く、より局所的な加熱が生じる。実際には、治療の深さ/量(低いマイクロ波周波数で改善)と治療の速度(高いマイクロ波周波数で改善)の間にはトレードオフがある。
【0006】
マイクロ波周波数でエネルギーが生体組織に伝達される通常のメカニズムは誘電加熱であり、その場合マイクロ波EMエネルギーが組織で分子の振動を駆動する。しかし、誘電加熱ゾーンに隣接する生体組織もまた典型的には温度の上昇を経る。この機序は伝導、すなわち、誘電加熱ゾーンから外側に消散する熱エネルギーである。本発明者らは、2つ以上のマイクロ波周波数でこれら2つの加熱の機序を組み合わせることにより、マイクロ波EMエネルギーが単一周波数のマイクロ波エネルギーに典型的に関連するよりも大きな治療ゾーンで、温度の急速な上昇を生じさせ得ることに気付いた。さらに、より低い周波数(すなわち、非マイクロ波)EMエネルギーを使用する場合に可能であるよりも、短い時間の枠で、加熱を達成することができる。
【0007】
また、2つ以上の周波数を使用することで、電気外科器具により送達されるEMエネルギーを、加熱により生じる生体組織の物理的特性及び誘電特性の変化を反映するよう適合させるようにし得るということを、本発明者らは見出した。特に、誘電特性の変化は、電気外科器具とそれが挿入される組織との間の相対的なインピーダンス整合に影響を及ぼし得る。本発明者らは、より高いマイクロ波周波数での最初の治療期間と、続く後続的なより低いマイクロ波周波数での治療期間とを設けることによって、生体組織へのエネルギー送達の効率を最大限のものにできることを見出した。
【0008】
2つ以上のマイクロ波周波数で組織にエネルギーを送達できる器具を提供することによって、本発明者らは体積の大きな組織を比較的迅速に加熱することができた。
【0009】
最も概略的には、本発明は、選択された2つ以上の周波数で、それに供給されるマイクロ波EMエネルギーの生体組織への効果的な送達を可能にする放射先端部の電気的長さを提供するように選択される比透磁率及び/または比誘電率を有する放射先端部を有する電気外科器具を提供する。
【0010】
本明細書で言及する比透磁率は、比透磁率(μ)、すなわち自由空間/真空の透磁率(μ)に対する当該の媒体の透磁率(μ)の比を意味する。したがって、比透磁率は自由空間に対する透磁率の無次元の測定値である。
【0011】
本明細書で言及する比誘電率は、比誘電率(ε)、すなわち自由空間の誘電率(ε)に対する当該の媒体の誘電率(ε)の比を意味する。したがって、比誘電率は自由空間に対する比誘電率の無次元の測定値である。
【0012】
本明細書で言及する電気的長さは、EMエネルギーによる「見られる」放射先端の長さ、すなわちEMエネルギーが振動/共振する放射先端の有効な長さを意味する。
【0013】
第1の態様において、本発明は、マイクロ波電磁(EM)エネルギーを生体組織内に送達するための電気外科器具であって、マイクロ波EMエネルギーを第1の周波数及び第2の周波数で伝えるための同軸ケーブルであって、第2の周波数が第1の周波数より高い同軸ケーブルと、同軸ケーブルからのマイクロ波EMエネルギーを受け取るように同軸ケーブルの遠位端に配置される放射先端部であって、第1の周波数で第1の実効比透磁率を有し、第2の周波数で第2の実効比透磁率を有する放射先端部とを含み、第1の実効比透磁率及び第2の実効比透磁率が、放射先端部の電気的長さが共振ならびに第1の周波数及び第2の周波数をそれぞれ持続させるように選択される、電気外科器具を提供する。
【0014】
放射先端部は、感磁材料、例えば、その特性が、実効比透磁率の値が第1の周波数と第2の周波数で異なる値を有するように選択される強磁性材料を含み得る。特に、強磁性材料がマイクロ波範囲にわたる周波数(例えば200MHz~2GHzの範囲)にわたって比透磁率の著しい変動を示すことが知られている。US2013/0292602 A1に例が開示されている。通常、これらの変動は望ましくなく、したがってそのような材料の意図された動作周波数外である。しかし、本発明では、この変動は、同じ物理的構造が異なるマイクロ波周波数で共振できるようにするために使用される。
【0015】
外部バイアス磁界を器具に印加して、感磁材料に所望の比透磁率の値を生じさせることができる。磁界は、放射先端部内の誘導コイルにより生じてもよく、器具の外側の別個の供給源から印加されてもよい。いくつかの例では、感磁材料は自己磁化フェライトのことがある。
【0016】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数の範囲を示すために広く使用できるが、好ましくは400MHz~10GHzの範囲で使用される。考慮した特定の周波数は、433MHz、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzである。
【0017】
本明細書で言及する本明細書における「導体(conductor)」または「導電性(conductive)」材料は、文脈が他の意味を意図することを明らかにしていない限り、導電性(electrically conductive)を意味すると解するべきである。
【0018】
本明細書で言及する「軸方向」は、同軸ケーブルの長手方向軸に平行な方向を示す。
本明細書で言及する同軸ケーブルの遠位端(及び器具の他の任意の構成部分)は、EMエネルギーを同軸ケーブルに供給する概念上の発生装置から遠位である、すなわち、発生装置からEMエネルギーを受け取るように構成されている同軸ケーブルの端部から遠位の端を意味する。
【0019】
EMエネルギーの共振が電気外科器具の放射先端部において持続しているとき、より多くのエネルギーが放射先端部に蓄えられ、同軸ケーブルに戻るエネルギーの反射(すなわち放射先端部が挿入される治療領域から離れる)が減少し、より多くのエネルギーが、放射先端部を囲む身体組織に送達される。言い換えれば、身体組織内へのエネルギーの効果的な送達は、共振が放射先端部で持続されるときに実現される。
【0020】
本願の目的に対し、共振は、放射先端部で反射される電力(すなわち、同軸ケーブルの近位端で測定されたときの反射電力S1,1)が-10dB以上である状況として定義されている。放射先端部で反射される電力は、-12dB以上であることが好ましい。より好ましくは、放射先端部で反射される電力は、-15dB以上である。
【0021】
したがって、複数のマイクロ波周波数での共振を持続させることによって、エネルギーが組織に効果的に送達され、体積の大きな組織を比較的迅速に加熱することができる。
【0022】
肺の腫瘍は、直径数センチメートルにまで増殖することがある。サブGHz周波数のマイクロ波EMエネルギー(すなわち、300MHz~1GHzの周波数を有するEMエネルギー)が組織内に最も深く浸透することを考えると、この大きさの腫瘍を治療するための1つのアプローチは、この範囲の周波数を含む2つ以上の周波数で共振を持続させることができる放射先端部を有する器具を提供することである。そのような器具を使用して、深い侵入の深さであるマイクロ波エネルギーを使用して、この大きさの腫瘍を効果的に加熱及び焼灼することができる。しかし、以下で明らかになるように、サブGHz周波数でマイクロ波エネルギーの共振を持続させることに関する困難に、放射先端部が必ず軸方向に相対的に大きな電気的長さを備えなければならないという点がある。従来の構成では、この要件により典型的に、物理的に長い器具に至ったが、それは体内で操縦しづらいことがあり、また肺の個々の腫瘍などで、組織の特定の領域における目的の加熱作用を困難にし得る。
【0023】
特に、放射先端部が長くなり過ぎると、それを経皮での用途で操縦することが非常に困難になり、非経皮的な用途で(すなわち、気管支鏡を使用して、生得の気道を介して肺腫瘍に接近させるべき場合)それを操縦することが不可能になる。
【0024】
波が振動する腔部の電気的長さが、腔部を伝播する波の波長の半分の整数倍、または4分の1波長の奇数倍にほぼ等しいときに共振が起こり、それによって定常波が、腔部の各端部に変位の節または最大量で存在することが可能になる。そのため、器具の放射先端部が共振を持続させるためには、それは実質的に以下を満たす電気的長さを有さなければならない。
【0025】
【数1】
【0026】
式中、nは正の整数であり、λは、マイクロ波EMエネルギーの2つ以上の周波数の1つで放射先端部を伝播するマイクロ波EMエネルギーの波長である。上の式が満たされると、腔部の各端部に変位の節が確立され、したがって(共振)定在波が確立される。本発明では、放射先端部はEMエネルギーが振動する腔部と見なすことができ、そのため放射先端部の軸方向の長さが上の式をほぼ満たすときに、共振が認められる。
【0027】
実際には、放射先端部の長さは、上の式で定義された長さと最大10%異なる長さを有することができる。好ましくは、長さは上で定義した長さと最大5%異なるだけである。
【0028】
波長λと周波数(f)の関係を因子とすると、
【0029】
【数2】
【0030】
式中、Cは真空中の光速、μは比透磁率、εは比誘電率であり、放射先端部の長さLは、次の式を実質的に満たす必要があることが見て取れる。
【0031】
【数3】
【0032】
医療用器具の放射先端部に一般的に使用される誘電材料の場合、比透磁率μは関連する治療周波数において実質的に一定であり得る。
【0033】
放射先端部の材料の比透磁率が周波数と共にいかに変化するかに関する知識を利用することによって、本発明は、放射先端部が異なる周波数で異なる電気的長さを有することを可能にする実効比透磁率である放射先端を有する器具を提供する。材料を適切に選択することにより、放射先端部が異なる周波数で共振する構造であることを確実にすることができる。そのような磁性材料を含むことによって、相対的に低い(例えば、サブGHz)周波数での共振は、物理的により短い放射先端部で持続させることができる。したがって、体内の放射先端部の操作性を維持しながら、また組織の特定の領域を目標とすることを可能にしながら、低い(例えば、サブGHz)周波数のEMエネルギーを効果的に身体組織に送達することができる。
【0034】
本発明の背後にある原理は、(i)第1の周波数fと第1の実効比透磁率μr1、及び(ii)第2の周波数fと第2の実効比透磁率μr2において同じ電気的長さで、例えば次のように共振を達成できることである。
【0035】
【数4】
【0036】
εが周波数間で変化しないと仮定すると、この式は次のように単純化される。
【0037】
【数5】
【0038】
一例では、第1の実効比透磁率は、500MHz未満(例えば433MHz)に等しい第1の周波数に対して5以上であり得る。第1の実効比透磁率は10以上であってもよい。それは、500MHz以下の周波数で20以上であってもよい。第2の実効比透磁率は、500MHzより大きい第2の周波数(例えば、915MHz、または2.45GHz)に対して5未満であり得る。第2の実効比透磁率は2以下であってよい。それは、1.5以下であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、比透磁率の周波数依存性は、同じオーダーの共振(すなわち、対応する定在波が同じnの値を有する共振)がEMエネルギーの2つの周波数で実現されるように選択される。例えば、当業者が理解するように、1GHzでのEMエネルギーの共振を持続させ、500MHzでの放射先端部の比透磁率が1GHzでの比透磁率の4倍である放射先端部を設けることによって、同じオーダーの共振も500MHzで放射先端部で持続される(放射先端部の比誘電率εの無視できる変動を仮定する)。
【0040】
同軸ケーブルは、内側導体と、外側導体と、内側導体と外側導体とを隔てる第1の誘電材料とを含み得る。放射先端部は、同軸ケーブルの第1の誘電材料とは異なる第2の誘電材料を含んでもよい。
【0041】
第2の誘電材料は、マイクロ波EMエネルギーの2つ以上の周波数の各々において、第1の誘電材料よりも低いインピーダンスを有し得る。さらに、第2の誘電材料は、ケーブルのインピーダンス(典型的には50Ω)と先端が挿入される組織のインピーダンス(典型的には体組織の場合50Ωよりはるかに低い)との間にあるインピーダンスを有し得る。特定の長さでは、放射先端部は、放射先端部からの反射をさらに防止し、したがって組織内へのエネルギーの送達をさらに促進するために、共振を持続させるとともにインピーダンス変成器として作働することができる。
【0042】
本発明の他の態様では、放射先端部の実効比誘電率を変えることによって同じ効果を達成することができる。この態様によれば、マイクロ波電磁(EM)エネルギーを生体組織内に送達するための電気外科器具であって、マイクロ波EMエネルギーを第1の周波数及び第2の周波数で伝えるための同軸ケーブルであって、第2の周波数が第1の周波数より高い同軸ケーブルと、同軸ケーブルからのマイクロ波EMエネルギーを受け取るように同軸ケーブルの遠位端に配置される放射先端部であって、第1の周波数で第1の実効比誘電率を有し、第2の周波数で第2の実効比誘電率を有する放射先端部とを含み、第1の実効比誘電率及び第2の実効比誘電率が、放射先端部の電気的長さが共振ならびに第1の周波数及び第2の周波数をそれぞれ持続させるように選択される、電気外科器具が提供できる。他の例では、本発明の利点を提供するために、比透磁率と比誘電率の変動の組み合わせを使用することができる。
【0043】
比透磁率と同様に、放射先端部の比誘電率は、放射する上部の長さの短縮を促すように選択してもよい。
【0044】
比誘電率は、2つ以上の周波数の各々において5以上であり得る。好ましくは、比誘電率は、2つ以上の周波数の各々において10以上である。より好ましくは、比誘電率は、2つ以上の周波数の各々において20以上である。例えば、第2の誘電材料は、マイクロ波周波数で最大30の比誘電率を有するEccostock(登録商標)HiK500Fであり得る。
【0045】
2つ以上の周波数のうちの1つは800MHz以下であってよい。好ましくは、2つ以上の周波数のうちの1つは500MHz以下であってよい。例えば、2つ以上の周波数は、433MHz及び915MHzのうちの少なくとも1つを含み得る。これらのEMエネルギーの周波数は、特に腫瘍を焼灼するために、特に望ましい加熱作用を生じることが知られている。
【0046】
(サブGHzの周波数がもたらす深部組織の加熱に加えて)高いマイクロ波周波数がもたらす速い組織加熱作用からさらに利益を得るために、2つ以上の周波数は、さらに1GHz以上の周波数を含み得る。好ましくは、2つ以上の周波数は、2.45GHz、5.8GHz、及び14.5GHzの1つ以上をさらに含む。これらの周波数のEMエネルギーは、特に腫瘍を焼灼するために、特に望ましい加熱作用を生じることが知られている。
【0047】
好ましくは、本発明の放射先端部は、侵入の深さを最大にし、治療時間を最短にするために、可能な限り広い周波数の範囲にわたって共振を持続させる。500MHz以下から1GHz以上までの範囲の2つ以上の周波数での共振を持続させるように放射先端部を設計することによって、大型の腫瘍、例えば、直径数cmまでの腫瘍の特に迅速な治療を達成することができることが見出された。
【0048】
本発明者らはまた、(腫瘍に加えて)痔核及び/または瘻の治療に有効である加熱作用をもたらすために、上記の周波数を組み合わせることができることを見出しており、そのため、本発明はさらに、同様に大きな大きさになり得る痔核や瘻を治療するのに使用できると考えられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、共振が持続される2つ以上の周波数は、放射先端部の比透磁率を制御することによって動的に調整可能であり得る。
【0050】
放射先端部の比透磁率は、磁性材料の磁化(及び/または消磁)によって制御可能であり得る。特に、磁性材料の磁化(したがってB/Hの比)を変えることによって、比透磁率が変えられる。
【0051】
【数6】
【0052】
式中、Bは磁束密度、Hは磁界強度である。
磁性材料は、放射先端部において電磁コイル/ソレノイドによって磁化(及び/または消磁)してもよい。
【0053】
放射先端部は、同軸ケーブルから遠位方向に延びる細長いプローブを備えてもよく、細長いプローブは、同軸ケーブルの直径以下の直径を備える円筒形状を有する。
【0054】
放射先端部の外径は、同軸ケーブルの外径と実質的に等しくてもよい。
放射先端部の遠位端は、経皮による身体組織への接近を補助するように、ある点まで先細にしてもよい。また、先が尖っていてもよい。鋭い/先細の端部を有することが、身体への経皮による挿入をさらに促す。
【0055】
あるいは、同軸ケーブル及び放射先端部は、例えば患者の体内の生得の開口部/経路を通して身体組織へ非経皮的に接近できるようにするよう寸法決めしてもよい。器具が非経皮的に使用される実施形態では、放射先端部の遠位端は丸くてもよく、すなわち器具が通ることになる身体内の気道または他の自然な経路を貫くのを防ぐようにする。
【0056】
同軸ケーブル及び放射先端部は、気管支鏡または内視鏡の器具チャネルの下に挿入可能であるように構成できる。特に、そのような実施形態では、同軸ケーブルは、挿入すること、例えば気道に入ることを補助するために、可撓性であることが好ましい。
【0057】
放射先端部の外径は、同軸ケーブルの外径と実質的に等しくてもよい。
いくつかの実施形態では、同軸ケーブルは、それを通る、すなわち同軸ケーブルの長手方向軸と平行に進む、中空の内腔を有することができる。そのような中空の内腔は、放射先端部を囲む空間から流体を送達及び/または除去するために使用できる。
【0058】
別の態様では、マイクロ波電磁(EM)エネルギーを生体組織に送達するための電気外科装置が提供されており、装置は、2つ以上の異なる周波数でマイクロ波EMエネルギーを発生させるよう構成される発生装置と、上記の電気外科装置とを含み、同軸ケーブルは、マイクロ波EMエネルギーを受け取るように発生装置に接続される近位端を有する。
【0059】
発生装置は、2つ以上の異なる周波数の個々の1つでマイクロ波EMエネルギーを発生させるための、2つ以上の別個のマイクロ波源を備えることができる。発生装置は、同軸ケーブルに接続された共通の信号経路に各信号を伝えるように構成された信号コンバイナをさらに含み得る。信号コンバイナはマルチプレクサとすることができる。マルチプレクサは、共通の信号経路で伝える信号を選択するためのスイッチユニットとして動作可能であり得る。代替的にまたは追加的に、マルチプレクサは、同時または同時に近い様式で共通の信号経路の2つ以上の信号を伝えるように動作可能であってよい。例えば、マルチプレクサは、時間領域マルチプレクサまたはフィルタマルチプレクサであり得る。
【0060】
装置は、治療部位への非侵襲的な挿入のための可撓性の器具コードを有する外科用スコープ機器(例えば、気管支鏡など)を含むことができ、器具コードは器具チャネルを含み、電気外科器具は器具チャネルの内部に挿入可能に寸法決めされる。
【0061】
発生装置は、所定のエネルギー送達プロファイルに従って2つ以上の異なる周波数でマイクロ波EMエネルギーを送達するように動作可能であり得る。エネルギー送達プロファイルは、所望の焼灼の深さ、及び/または所望の焼灼ゾーンの形状に従って選択できる。いくつかの実施形態では、エネルギー送達プロファイルは、放射先端部から反射されたエネルギーの測定された特性に基づいて選択してもよい。
【0062】
一例では、発生装置は、所定のエネルギー送達プロファイルの下で動作可能であってよく、第1の焼灼周期中に第1の信号を送達し、第1の信号が、主に第1の周波数を有するマイクロ波EMエネルギーを含み、また、第2の焼灼周期中に第2の信号を送達し、第2の信号は、主に第2の周波数を有するマイクロ波EMエネルギーを含み、それは第1の周波数より低い。発生装置は、3つの周期の間で切り替わるか交番し得る。特に、エネルギーは、3つの周波数の間で(急速に)交番し得る。あるいは、エネルギーは3つの周波数で同時に供給してもよい。発生装置が3つの周期の間で切り替わる場合、第2の周期は第1の周期の後に続き得る。
【0063】
第1の周波数は、2.45GHz、5.8GHz、または14.5GHzのいずれかであり得る。第2の周波数は433MHzまたは915MHzのいずれかであり得る。
【0064】
発生装置は、追加の焼灼周期、例えば上記の周波数を有するが第1または第2の周期には使用されない第3の信号を送達するための第3の焼灼周期をさらに含んでもよい。
【0065】
上に概説した送達プロファイルのうちの1つを使用してEMエネルギーを供給することによって、体積の大きな組織を比較的迅速に加熱することができる。
【0066】
発生装置は、患者の呼吸の周期に合わせてマイクロ波エネルギーのパルスを送達するように構成してもよい。したがって、同軸ケーブル、放射先端部、及び組織の間でのより良好な相対インピーダンス整合をもたらすように、肺が収縮したときにエネルギーを供給することができる。
【0067】
発生装置は、同軸ケーブルから戻って受け取った反射電力を検出するように構成された検出器を含むことができ、検出された反射電力に基づいて、1つの焼灼周期から次の焼灼周期に切り換えるように構成できる。
【0068】
本発明の例は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明の実施形態である電気外科装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態である電気外科器具による概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
さらなる選択肢および選択
図1は、本発明の実施形態である電気外科装置100の概略図である。装置100は、局所的に、複数の周波数を有するEMエネルギーを、治療部位の生体組織内に選択的に供給するように動作可能である。装置100は、複数の周波数を有するEMエネルギーを発生するための発生装置102を含む。発生装置102は、同軸ケーブル104が接続される出力ポート120を有する。同軸ケーブル104は、EMエネルギーを発生装置102から電気外科器具118に向かって伝える。この実施形態では、同軸ケーブル104は気管支鏡114の挿入ケーブル106内にある器具チャネルを通って挿入される。挿入ケーブル106は、患者の肺への非侵襲的な挿入が可能な可撓性の操縦可能シャフトである。したがって、この実施形態により、器具118の非経皮的な挿入が可能になる。しかし、他の実施形態では、器具118は、経皮的な挿入、すなわち患者の身体に作られた切開を通して肺組織に接近するように構成される遠位の先端を有し得る。そのような例では、器具は組織内に直接または適切なカテーテルを介して挿入することができる。
【0071】
発生装置102は3つの別個のマイクロ波源122a、122b、122cを含む。別個のマイクロ波源122a、122b、122cのそれぞれは、異なる周波数を有する信号を生成する。この例では、周波数は433MHz、915MHz、及び5.8GHzである。別個のマイクロ波源122a、122b、122cはそれぞれ、各々の信号を使用に適した電力レベルに増幅するための対応する電力増幅器を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、3つの供給源は単一の構成要素、例えば窒化ガリウム(GaN)パワーデバイスに統合することができる。GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)ベースのデバイスなどのGaNパワーデバイスを使用することで、発生装置の構成を小型化できる場合がある。他方、別個の供給源を使用することで発生装置のコストを最小に保つことが可能になる。したがって、別個の光源を使用すること、またはGaNパワーデバイスを使用することは、用途に基づいて選択することができる。
【0073】
発生装置102は、別個のマイクロ波源122a、122b、122cの各々から出力信号を受信するように接続されたマルチプレクサ124を含む。マルチプレクサ124は、出力ポート120に接続された共通の出力経路125に別個の信号を伝達するように動作する。マルチプレクサ124は、別個のマイクロ波源122a、122b、122cの出力間で切り替えてもよく、それらが同時に送信されるように出力の2つ以上を組み合わせてもよい。マルチプレクサ124は、スイッチ及び信号コンバイナの両方として動作可能であり得る。
【0074】
発生装置102は、マルチプレクサ124、及び別個のマイクロ波源122a、122b、122cの各々に動作可能に接続された制御装置126を含む。制御装置126は、発生装置102の動作を制御して所望の信号を出力することができる。以下に論じるように、所望の出力信号は、例えば、治療部位の性質(形状または大きさ)に応じて所定のフォーマットまたはプロファイルを有することができる。制御装置126は、1つ以上の送達プロファイルに従ってEMエネルギーを送達するように動作し得る。使用者は、複数の記憶されたプロファイルから、例えば発電装置102と接続されたユーザインターフェース128を介して、所望のプロファイルを選択できるようにし得る。例えば、発生装置は、WO2012/076844に類似した様式で構成できる。それはフィードバック情報に基づいて設定及び自動制御できるエネルギー送達プロファイルに従って、RF及びマイクロ波エネルギーが同じ器具の下の組織に送達される電気外科装置を開示している。
【0075】
ユーザインターフェース128は、選択されたプロファイル及び/または段階または治療、または治療されている組織の特性を示すためのディスプレイ130を含み得る。
【0076】
マルチプレクサ124がスイッチユニットとして動作する場合、発生装置102は、所望のエネルギー送達プロファイルに従って、3つの周波数間で器具に供給されるエネルギーを切り替えることができる。例えば、スイッチは最初に2.45GHzの供給源を選択し、それによりエネルギーが2.45GHzで送達され、次に915MHzの供給源に切り換えられ、その結果エネルギーが915MHzで送達され、次に5.8GHzの供給源に切り換えられ、その結果エネルギーは5.8GHzで送達される。
【0077】
マルチプレクサ124は時間領域マルチプレクサとすることができる。この場合、マルチプレクサは、所望のエネルギー送達プロファイルに従って、3つの周波数の間で器具に供給されるエネルギーを迅速に換えることができる。あるいは、マルチプレクサ124はフィルタマルチプレクサであってもよく、それによってそれは3つの周波数を器具に同時に、すなわち所望の混合比を有するエネルギー送達プロファイルに従って供給することができる。
【0078】
したがって、エネルギーが送達されるエネルギー送達プロファイルは、マルチプレクサ124の動作の状態を制御することと、別個のマイクロ波源122a、122b、122cの出力を制御することとの組み合わせによって制御できる。
【0079】
いくつかの実施形態では、発生装置102は、器具118の放射先端から戻ってきた反射電力を測定するように構成された、1つ以上の反射信号検出器を含むことができる。反射信号を、発生装置から放射先端部まで送達させる信号と比較することで、発生装置は器具118と接する物質(例えば、生体組織)の誘電特性を判定できる。制御装置は、検出された反射電力に基づいて、マルチプレクサ124及び別個のマイクロ波源122a、122b、122cの動作を調整することができる可能性がある。したがって、発生装置102は、治療されている最中の組織の検出された誘電特性に基づいて、エネルギー送達を動的に制御することができる。
【0080】
器具が放射先端部を磁化及び/または消磁するためのソレノイドを含む実施形態(下記参照)において、制御装置はまたソレノイド電源132に動作可能に接続させてもよい。それによって、制御装置126はソレノイド電源132の出力を制御し、それによって、所望の量だけソレノイドに電力供給をする、すなわち、磁性材料を所望の量だけ磁化または消磁し、したがって放射先端部の共振周波数を所望の量だけ変化させ得る。
【0081】
図2は、本発明の実施形態である電気外科器具200の遠位端の断面図である。電気外科器具200は、マイクロ波エネルギーを伝えるためにその近位端で電気外科用発生装置(図示せず)に接続される同軸ケーブル202を備える。同軸ケーブル202は内側導体206を備え、それは第1の誘電材料210により外側導体208から隔てられている。同軸ケーブル202は、マイクロ波エネルギーに対して低損失であることが好ましい。遠位端から反射されたマイクロ波エネルギーの逆方向への伝播を抑制するためにチョーク(図示せず)を同軸ケーブルに設けることができ、したがって装置に沿った後方の加熱を制限することができる。
【0082】
同軸ケーブル202は、その遠位端が放射先端セクション204で終端している。この実施形態では、放射先端セクション204は内側導体206の遠位導電セクション212を含み、これは外側導体208の遠位端209を越えて延びる。遠位導電セクション212は、第1の誘電材料210とは異なる第2の誘電材料から形成された誘電体先端214で、遠位端にて囲まれている。誘電体先端214の長さは、遠位導電セクション212の長さよりも短い。中間誘電体スリーブ216は、同軸ケーブル202の遠位端と誘電体先端214の近位端との間で遠位導電セクション212を取り囲む。中間誘電体スリープ216は、第3の誘電材料で形成され、これは第1の誘電材料210と異なっているが、第2の誘電材料214と同じでもよい。
【0083】
この実施形態では、同軸ケーブル202及び放射先端セクション204は、それらの最表面を覆って形成された外側シース218を有する。外側シース218は生体適合性材料から形成することができる。外側シース218は、それが放射先端セクション204によって放射されるマイクロ波エネルギー(すなわち放射パターン及びリターンロス)を著しく妨げないことを確実にするほど十分に小さい厚さを有する。実施形態では、シースはPTFEから作られるが、他の材料も適切である。
【0084】
誘電体先端214は、放射エネルギーの形状を変えるように構成してもよい。第2の誘電材料はアンテナからの放射を減衰させるように選択し、その結果、より球形に近い放射パターンとなる。このようにするために、第2の誘電材料は大きな誘電率(比誘電率ε)を有することが好ましい。第2の誘電材料の誘電率は、それが第2の誘電材料を通って伝播するときにマイクロ波エネルギーの波長の無視できない部分を依然として構成しながら、誘電体先端214の長さを最小にできるように選択されることが好ましい。特に第2の誘電材料が剛性である場合には、装置に可撓性を保持するために誘電体先端ができるだけ短いことが望ましい。実施形態では、誘電体先端は2mm以下の長さを有することができる。第2の誘電材料の誘電率は80より大きくてもよく、好ましくは100以上である。第2の誘電材料はTiO(二酸化チタン)であり得る。
【0085】
材料の放射の波長は、材料の誘電率が増加するにつれて短くなる。したがって、より大きな誘電率を有する誘電体先端214は、放射パターンに対してより大きな影響を与えることになる。誘電率が大きい場合ほど、放射パターンの形状に実質的な影響を依然として与えながらも、誘電体先端214を小さくすることができる。大きな誘電率を有する誘電体先端214を使用することは、アンテナを小さくすることができ、そのため器具を可撓性に保つことができることを意味している。例えば、TiOの誘電率は約100である。5.8GHzの周波数を有するマイクロ波放射の波長は、PTFE(第1及び/または第3の誘電材料に使用する材料であってよい)の約36mmと比較して、TiOでは約6mmである。この配置では、放射パターンの形状に対する顕著な効果を、約1mmの誘電体先端214を用いて生み出すことができる。誘電体先端214が短いので、剛性材料から製造しながらも、アンテナ全体の可撓性をなおも維持することができる。
【0086】
誘電体先端214は、任意の適切な遠位の形状を有し得る。図2ではそれはドーム型をしているが、このことは必ずしも本質的ではない。例えば、それは円筒形、円錐形などであってもよい。しかし、滑らかなドーム形が好ましい場合がある。小さいチャネルを通して操作されるときにアンテナの移動度を増加させるからである。
【0087】
一方、中間誘電体スリーブ216の特性は、放射先端セクション204が複数(例えば2つ以上)の周波数でマイクロ波EMエネルギーを効率的に送達できるように選択可能である。特に、中間誘電体スリーブ216は、第1の周波数と第2の周波数とで異なる値の比透磁率μを示すことができるように選択された材料で作り、その結果、放射先端セクション204の電気的長さは、第1の周波数と第2の周波数の両方における共振の長さとなる。
【0088】
この例では、中間誘電体スリーブ216は、その比透磁率μが外部の(バイアス)磁界の存在によって影響を受けるフェリ磁性材料から作られる。この例では、放射先端セクション204は、同軸ケーブルの適切な給電部(図示せず)を介して、例えば発生装置のソレノイドから電流を受け取るように構成される導電コイル220を含む。コイル220の電流は中間誘電体スリーブ216を横切って磁界を誘導する。このようにバイアスされたフェリ磁性材料の比透磁率は、周波数に依存することが知られている。高い周波数ほど、典型的には1GHz以上の場合では、比透磁率が1になる傾向がある。しかし、低い周波数ほど、それは高くなり得、例えばいくつかのケースでは桁が多くなっている。
【0089】
図2に示す配置では、放射先端セクション204の実効比透磁率は、第1の周波数fで第1の値μr2を、第2の周波数fで第2の値μr2を有するように制御することができ、放射先端セクション204の電気的長さLが以下の関係を満たすようにする。
【0090】
【数7】
【0091】
さらに、コイル220からのバイアス磁界は、第1の周波数f及び第2の周波数fを変化し得るように制御できる。
図1
図2