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特許7176761植物処理用化学品のためのアジュバント組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】植物処理用化学品のためのアジュバント組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/30 20060101AFI20221115BHJP
   A01N 43/42 20060101ALI20221115BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20221115BHJP
   A01N 43/84 20060101ALI20221115BHJP
   A01N 47/04 20060101ALI20221115BHJP
   A01N 47/14 20060101ALI20221115BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20221115BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A01N25/30
A01N43/42 101
A01N43/653 C
A01N43/84 101
A01N47/04 101
A01N47/14 C
A01N59/16 Z
A01P3/00
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2019544784
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2017058476
(87)【国際公開番号】W WO2018085106
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】62/440,794
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/445,124
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/606,130
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519155044
【氏名又は名称】パラマウント プロダクツ 1 リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】レファイルズ ジェイムズ ホルト
(72)【発明者】
【氏名】デイビス ビル
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-529428(JP,A)
【文献】特開2002-249403(JP,A)
【文献】特表2012-514643(JP,A)
【文献】特開昭56-133202(JP,A)
【文献】特表2015-535531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 疎水的に改変されたエトキシル化ウレタンレオロジー(HEUR)ポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性エマルション(HASE)ポリマー、疎水的に改変されたポリエーテル(HMPE)、疎水的に改変されたヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、疎水的に改変されたエトキシル化アミノプラスト(HEAT)ポリマー、アルカリ可溶性エマルション(ASE)ポリマー、及びセルロースエーテルからなる群より選択される、30~60重量%の増粘剤と、
(ii) バリウム、カルシウム、コバルト(II)、銅(II)、鉄(II)、マグネシウム、マンガン(II)、ストロンチウム、亜鉛(II)、クロム(II)、スズ(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される2価カチオンから形成されている、0.5~5重量%の水溶性2価塩と
(iii) ポリアクリル酸アルキル、脂肪酸、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、シリコーン系泡制御剤、及びそれらの混合物からなる群より選択される、0.5~5重量%の泡制御剤と、
(iv) 30~60重量%の金属イオン錯化剤と、
(v) 0.5~5重量%のフィルム形成剤と
を含む、植物処理用化学品と共に用いるためのアジュバントプレミックス組成物であって、
該アジュバントプレミックス組成物が、植物処理用化学品と共に植物種子または成長中の植物の表面に施用され、該植物種子または該成長中の植物の表面上で乾燥した被覆材料として乾燥して該表面に固着した場合に、該植物種子または該成長中の植物からの水分の損失または植物処理用化学品の損失を最小限に抑えつつ該植物種子または該成長中の植物への水性材料の浸透を可能にする、
アジュバントプレミックス組成物。
【請求項2】
前記増粘剤がアニオン性増粘剤である、請求項1に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項3】
前記泡制御剤がシリコーン系泡制御剤である、請求項1または2に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項4】
前記水溶性2価塩が、酢酸亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)、塩素酸亜鉛(II)、塩化亜鉛(II)、フッ化亜鉛(II)、ギ酸亜鉛(II)、ヨウ化亜鉛(II)、硝酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)一水和物、硫酸亜鉛(II)七水和物、硫酸亜鉛(II)六水和物、無水硫酸亜鉛(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項5】
前記水溶性2価塩が硫酸亜鉛である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項6】
前記錯化剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジニトリロ四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項7】
前記錯化剤がトリエタノールアミンである、請求項6に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項8】
前記フィルム形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項9】
前記フィルム形成剤が、分子量25,000~175,000を有するポリビニルアルコールである、請求項1~7のいずれか一項に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項10】
45~55重量%の前記増粘剤と、
1.8~2.8重量%の前記水溶性2価塩と、
1.8~2.8重量%の前記泡制御剤と、
45~55重量%の前記錯化剤と、
1.8~2.8重量%のフィルム形成剤と
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のアジュバントプレミックス組成物。
【請求項11】
(a) 請求項1~10のいずれか一項に記載のアジュバントプレミックス組成物と、
(b) 水と
を含む、植物処理用化学品と共に用いるためのアジュバント組成物。
【請求項12】
1.00~3.00重量%の前記増粘剤と、
0.05~0.15重量%の前記水溶性2価塩と、
0.05~0.15重量%の前記泡制御剤と、
1.00~3.00重量%の前記錯化剤と、
0.05~0.15重量%のフィルム形成剤と、
90.00~99.00重量%の水と
を含む、請求項11に記載のアジュバント組成物。
【請求項13】
(I) 請求項11~12のいずれか一項に記載のアジュバント組成物と、
(II) 1種類または複数種類の植物処理用化学品と
を含む、植物処理用化学品製剤。
【請求項14】
前記植物処理用化学品が、駆除剤、肥料、及び成長調節剤からなる群より選択される、請求項13に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項15】
前記植物処理用化学品が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、及び殺線虫剤からなる群より選択される駆除剤である、請求項14に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項16】
前記植物処理用化学品が、アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害物質(ACCアーゼ)、アセト乳酸合成酵素阻害物質(ALS)、微小管集合阻害物質(MT)、成長調節物質(GR)、光合成II、結合部位A阻害物質(PSII(A))、光合成II、結合部位B阻害物質(PSII(B))、光合成II、結合部位C阻害物質(PSII(C))、シュート阻害物質(SHT)、エノールピルビル-シキミ酸-リン酸合成酵素阻害物質(EPSP)、グルタミン合成酵素阻害物質(GS)、フィトエン不飽和化酵素合成酵素阻害物質(PDS)、ジテルペン阻害物質(DITERP)、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害物質(PPO)、シュート及び根阻害物質(SHT/RT)、光化学系1電子ダイバーター(ED)、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ合成阻害物質(HPPD)、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される除草剤である、請求項15に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項17】
前記植物処理用化学品が、カルバマート、有機塩素化合物(organochlorine)、ニコチノイド、ホスホルアミドチオエート、有機リン酸化合物、ピレスロイド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺虫剤である、請求項15に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項18】
前記植物処理用化学品が、脂肪族窒素化合物(aliphatic nitrogen)、ベンゾイミダゾール、ジカルボキシイミド、ジチオカルバマート、イミダゾール、ストロビン、アニリド、芳香族化合物、イオウ誘導体、銅誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺菌剤である、請求項15に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項19】
前記植物処理用化学品が、カルバマート、カルバザート、ジフェニルオキサゾリン、グリシド、大環状化合物、METI-ダニ駆除薬、ナフトキノン誘導体、有機塩素化合物、有機リン酸化合物、有機スズ、油分、ピレスロイド、ピリダジノン、ピロール、石ケン、イオウ、テトラジン、テトロン酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺ダニ剤である、請求項15に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項20】
前記植物処理用化学品が、カルバマート、有機リン酸化合物、ハロゲン化炭化水素、メチルイソチオシアナート遊離促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺線虫剤である、請求項15に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項21】
前記植物処理用化学品が、イオウ、リン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、窒素、モリブデン、銅、亜鉛、マンガン、鉄、ホウ素、コバルト、塩素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される植物栄養素を含有する肥料である、請求項14に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項22】
前記植物処理用化学品が、オーキシン、サイトカイニン、枯葉剤、エチレン放出物質、ジベレリン、成長阻害物質、成長遅延物質、成長促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される成長調節剤である、請求項14に記載の植物処理用化学品製剤。
【請求項23】
植物種子または成長中の植物を提供する段階と、
請求項1322のいずれか一項に記載の植物処理用化学品製剤を前記植物種子または前記成長中の植物に施用する段階と
を含む、植物または植物種子を処理する方法。
【請求項24】
成長中の植物が処理される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
植物種子が生育培地に播かれる前に処理される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記成長中の植物または前記植物種子が、キャノーラ、アルファルファ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ワタ、ヒマワリ、ピーナッツ、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、マメ、エンドウ、チコリ、レタス、エンダイブ、キャベツ、メキャベツ、ビート、パースニップ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、タマネギ、ニンニク、ナス、コショウ、セロリ、ニンジン、カボチャ、パンプキン、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、ナシ、メロン、柑橘類、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、パイナップル、ダイズ、タバコ、トマト、ソルガム、及びサトウキビからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記成長中の植物または前記植物種子が、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、セントポーリア、ペチュニア、ペラルゴニウム(pelargonium)、ポインセチア、キク、カーネーション、及びヒャクニチソウからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体が参照により本明細書に援用される、2016年11月2日出願の米国仮特許出願第62/606,130号、2016年12月30日出願の同第62/440,794号、及び2017年1月11日出願の同第62/445,124号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本出願は植物処理用化学品のためのアジュバント組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺ダニ剤、及び植物成長調節物質などの農学的剤は、多くの場合液体組成物の形態で植物に施用される。農学的剤の分布または分散を促進するために、かかる液体組成物は一般的に、当該液体組成物についての1つまたは複数の特性を改善するように企図された1種類または複数種類のアジュバント化合物を含む。
【0004】
アジュバントは、貯蔵安定性が向上した、取り扱いが容易な、または効能が改善された、最終製品をもたらす、当該液体組成物の物理的特性を高めることができる。アジュバントは、農学的活性成分製剤と共に使用される場合、当該農学的製品の有効性を向上させるように、または当該駆除剤の施用特性を改善するように設計されている。したがって、アジュバントは、噴霧中の液滴の「湿潤」を改善するよう、当該噴霧混合物の揮発性を変化させるよう、植物における除草剤の耐雨性を改善するよう、活性成分の浸透または分布を改善するよう、当該噴霧混合物のpHを調整するよう、混合タンク中での種々の成分の相溶性を改善するよう、且つ噴霧中に吹き流されるのを低減するように設計されてきた。アジュバントは何らかの様式で作用して活性成分の有効性を向上させることから、多くの場合に、有効性を損なうことなく、有効であるために必要な活性成分の量を削減することができる。
【0005】
しかしながら、用いられる農学的成分の種類に応じて、異なるアジュバントは、当該農学的成分が植物を効率的に処理する能力に対して異なる効果を及ぼす。必要とされるのは、植物の表面上での農学的成分の分散の改良を可能にし、且つ当該農学的成分の分布を促進する、植物の被覆を改善するアジュバントである。更に、当技術分野で必要とされるのは、アジュバント及び活性成分を含有し、植物の表面に施用したときに前記活性成分の有効性を改善する、組成物である。
【0006】
本発明は、当技術分野における上記の欠点を克服することを対象とする。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様は、植物処理用化学品と共に用いるためのアジュバントプレミックス組成物を対象とする。前記アジュバントプレミックス組成物は、増粘剤と、水溶性2価塩と、泡制御剤と、錯化剤と、フィルム形成剤とを含む。
【0008】
本発明の更なる態様は、植物処理用化学品と共に用いるためのアジュバント組成物に関する。この組成物は、本発明のアジュバントプレミックス組成物と水とを含む。
【0009】
本発明は植物処理用化学品製剤にも関する。この製剤は、本発明のアジュバント組成物と1種類または複数種類の植物処理用化学品とを含む。
【0010】
本発明の別の態様は、植物または植物種子を処理する方法に関する。この方法は、植物種子または成長中の植物を提供する段階と、本発明の植物処理用化学品製剤を前記植物種子または前記成長中の植物に施用する段階とを含む。
【0011】
本発明の更に別の態様は、植物種子または成長中の植物を処理する方法に関する。この方法は、植物種子または成長中の植物を提供する段階を含む。この方法は更に、植物処理用化学品と被覆材料との混合物を前記植物種子または前記植物の表面に施用する段階であって、施用された前記被覆材料が前記植物種子または前記成長中の植物の表面上で乾燥した後に、乾燥した前記被覆材料が、前記植物種子または前記成長中の植物の表面に固着して、前記植物種子もしくは前記成長中の植物からの水分の損失または植物処理用化学品の損失を最小限に抑えつつ前記植物種子または前記成長中の植物への水性材料の浸透を可能にすることを特徴とする、段階を含む。
【0012】
本発明のアジュバント組成物は多くの利点をもたらす。アジュバントを含む駆除剤製剤で植物を処理することにより、駆除剤単独での処理と比較して病害防御が向上した。アジュバントを含む低強度除草剤製剤で植物を処理することにより、希釈なしの除草剤製剤単独の使用と比較して除草効果が向上した。種々の駆除剤製剤においてアジュバントを用いることによって、販売可能な果実の収量も増加し、特定の効果を得るために必要な駆除剤の量及び/または駆除剤の施用回数も低下した。
【0013】
本発明のアジュバント組成物は、(i)噴霧効率の向上によって、(ii)化学的及び栄養学的有効性の向上によって、(iii)噴霧プログラムコストの削減によって、(iv)より効率的な水分の保持によって、(v)流出及び排出の低減により、より長期間にわたる製品の残存を可能にすることによって、(vi)凍害が生じる閾値を下げることによる凍結の防止によって、及び(vii)長期間の固着によって、農学的製品の効率を向上させる、ポリマーベースの植物保護剤である。
【0014】
本発明のアジュバント組成物は、(i)施用と施用の間の持続期間を増大させ、それによって必要な施用の回数を削減することによって、(ii)駆除剤及び植物成長調節物質の有効性を最大化し、より低い表示施用量及びより長い噴霧間隔を用いることを可能にすることによって、ならびに(iii)葉面施用肥料の取り込みを増大させ、その結果、「流出」を低減することで植物の健康及び活力を向上させることによって、化学品使用の効率を改善する。
【0015】
本発明のアジュバント組成物はまた、水分を引きつけて保持する、蒸散防止剤及び湿潤剤の特性を付与し、それによって給水の必要性を低減し、且つ撒いた水の保持率を向上させる。本発明のアジュバント組成物を植物の葉に施用することによって、当該植物を環境から保護する「ワックス様」被覆が付与され、該被覆はまさにその化学的性質によって水に対する親和性を有する。本発明のアジュバント組成物の「pH平衡化」特性によってこの被覆が厚化し、より多くの空間がその空間自体に水分を引き寄せることが可能になる。換言すれば、本アジュバント組成物は、該組成物が湿気、露、雨、または灌漑水と接触する度に水分を捕捉する。
[本発明1001]
増粘剤と、
水溶性2価塩と、
泡制御剤と、
錯化剤と、
フィルム形成剤と
を含む、植物処理用化学品と共に用いるためのアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1002]
前記増粘剤が会合型アニオン性増粘剤である、本発明1001のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1003]
前記増粘剤が、疎水的に改変されたアルカリポリマー、アルカリ可溶性エマルションポリマー、疎水的に改変されたエトキシル化ウレタンポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1002のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1004]
前記泡制御剤が、ポリアクリル酸アルキル、脂肪酸、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、シリコーン系泡制御剤、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1001のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1005]
前記泡制御剤がシリコーン系泡制御剤である、本発明1004のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1006]
前記水溶性2価塩が、バリウム、カルシウム、クロム(II)、コバルト(II)、銅(II)、鉄(II)、鉛(II)、マグネシウム、マンガン(II)、ストロンチウム、亜鉛(II)、スズ(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される2価カチオンから形成されている、本発明1001のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1007]
前記水溶性2価塩が、酢酸亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)、塩素酸亜鉛(II)、塩化亜鉛(II)、フッ化亜鉛(II)、ギ酸亜鉛(II)、ヨウ化亜鉛(II)、硝酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)一水和物、硫酸亜鉛(II)七水和物、硫酸亜鉛(II)六水和物、無水硫酸亜鉛(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1006のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1008]
前記水溶性2価塩が硫酸亜鉛である、本発明1006のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1009]
前記錯化剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジニトリロ四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1001のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1010]
前記錯化剤がトリエタノールアミンである、本発明1009のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1011]
前記フィルム形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1001のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1012]
前記フィルム形成剤が、分子量25,000~175,000を有するポリビニルアルコールである、本発明1001のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1013]
30~60重量%の前記増粘剤と、
0.5~5重量%の前記水溶性2価塩と、
0.5~5重量%の前記泡制御剤と、
30~60重量%の前記錯化剤と、
0.5~5重量%のフィルム形成剤と
を含む、本発明1001のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1014]
45~55重量%の前記増粘剤と、
1.8~2.8重量%の前記水溶性2価塩と、
1.8~2.8重量%の前記泡制御剤と、
45~55重量%の前記錯化剤と、
1.8~2.8重量%のフィルム形成剤と
を含む、本発明1001のアジュバントプレミックス組成物。
[本発明1015]
本発明1001のアジュバントプレミックス組成物と、
水と
を含む、植物処理用化学品と共に用いるためのアジュバント組成物。
[本発明1016]
前記増粘剤が、疎水的に改変されたアルカリポリマー、アルカリ可溶性エマルションポリマー、疎水的に改変されたエトキシル化ウレタンポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1015のアジュバント組成物。
[本発明1017]
前記泡制御剤が、ポリアクリル酸アルキル、脂肪酸、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、シリコーン系泡制御剤、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1015のアジュバント組成物。
[本発明1018]
前記水溶性2価塩が、バリウム、カルシウム、クロム(II)、コバルト(II)、銅(II)、鉄(II)、鉛(II)、マグネシウム、マンガン(II)、ストロンチウム、亜鉛(II)、スズ(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される2価カチオンから形成されている、本発明1015のアジュバント組成物。
[本発明1019]
前記錯化剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジニトリロ四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1015のアジュバント組成物。
[本発明1020]
前記フィルム形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1015のアジュバント組成物。
[本発明1021]
1.00~3.00重量%の前記増粘剤と、
0.05~0.15重量%の前記水溶性2価塩と、
0.05~0.15重量%の前記泡制御剤と、
1.00~3.00重量%の前記錯化剤と、
0.05~0.15重量%のフィルム形成剤と、
90.00~99.00重量%の水と
を含む、本発明1015のアジュバント組成物。
[本発明1022]
1.60~2.40重量%の前記増粘剤と、
0.08~0.12重量%の前記水溶性2価塩と、
0.08~0.12重量%の前記泡制御剤と、
1.60~2.40重量%の前記錯化剤と、
0.08~0.12重量%のフィルム形成剤と、
97.60~98.40重量%の水と
を含む、本発明1015のアジュバント組成物。
[本発明1023]
本発明1015のアジュバント組成物と、
1種類または複数種類の植物処理用化学品と
を含む、植物処理用化学品製剤。
[本発明1024]
前記増粘剤が、疎水的に改変されたアルカリポリマー、アルカリ可溶性エマルションポリマー、疎水的に改変されたエトキシル化ウレタンポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1023の植物処理用化学品製剤。
[本発明1025]
前記泡制御剤が、ポリアクリル酸アルキル、脂肪酸、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、シリコーン系泡制御剤、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1023の植物処理用化学品製剤。
[本発明1026]
前記水溶性2価塩が、バリウム、カルシウム、クロム(II)、コバルト(II)、銅(II)、鉄(II)、鉛(II)、マグネシウム、マンガン(II)、ストロンチウム、亜鉛(II)、スズ(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される2価カチオンから形成されている、本発明1023の植物処理用化学品製剤。
[本発明1027]
前記錯化剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジニトリロ四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1023の植物処理用化学品製剤。
[本発明1028]
前記フィルム形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1023の植物処理用化学品製剤。
[本発明1029]
前記植物処理用化学品が、駆除剤、肥料、及び成長調節剤からなる群より選択される、本発明1023の植物処理用化学品製剤。
[本発明1030]
前記植物処理用化学品が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、及び殺線虫剤からなる群より選択される駆除剤である、本発明1029の植物処理用化学品製剤。
[本発明1031]
前記植物処理用化学品が、アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害物質(ACCアーゼ)、アセト乳酸合成酵素阻害物質(ALS)、微小管集合阻害物質(MT)、成長調節物質(GR)、光合成II、結合部位A阻害物質(PSII(A))、光合成II、結合部位B阻害物質(PSII(B))、光合成II、結合部位C阻害物質(PSII(C))、シュート阻害物質(SHT)、エノールピルビル-シキミ酸-リン酸合成酵素阻害物質(EPSP)、グルタミン合成酵素阻害物質(GS)、フィトエン不飽和化酵素合成酵素阻害物質(PDS)、ジテルペン阻害物質(DITERP)、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害物質(PPO)、シュート及び根阻害物質(SHT/RT)、光化学系1電子ダイバーター(ED)、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ合成阻害物質(HPPD)、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される除草剤である、本発明1030の植物処理用化学品製剤。
[本発明1032]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、有機塩素化合物(organochlorine)、ニコチノイド、ホスホルアミドチオエート、有機リン酸化合物、ピレスロイド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺虫剤である、本発明1030の植物処理用化学品製剤。
[本発明1033]
前記植物処理用化学品が、脂肪族窒素化合物(aliphatic nitrogen)、ベンゾイミダゾール、ジカルボキシイミド、ジチオカルバマート、イミダゾール、ストロビン、アニリド、芳香族化合物、イオウ誘導体、銅誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺菌剤である、本発明1030の植物処理用化学品製剤。
[本発明1034]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、カルバザート、ジフェニルオキサゾリン、グリシド、大環状化合物、METI-ダニ駆除薬、ナフトキノン誘導体、有機塩素化合物、有機リン酸化合物、有機スズ、油分、ピレスロイド、ピリダジノン、ピロール、石ケン、イオウ、テトラジン、テトロン酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺ダニ剤である、本発明1030の植物処理用化学品製剤。
[本発明1035]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、有機リン酸化合物、ハロゲン化炭化水素、メチルイソチオシアナート遊離促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺線虫剤である、本発明1030の植物処理用化学品製剤。
[本発明1036]
前記植物処理用化学品が、イオウ、リン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、窒素、モリブデン、銅、亜鉛、マンガン、鉄、ホウ素、コバルト、塩素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される植物栄養素を含有する肥料である、本発明1029の植物処理用化学品製剤。
[本発明1037]
前記植物処理用化学品が、オーキシン、サイトカイニン、枯葉剤、エチレン放出物質、ジベレリン、成長阻害物質、成長遅延物質、成長促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される成長調節剤である、本発明1029の植物処理用化学品製剤。
[本発明1038]
1.00~3.00重量%の前記増粘剤と、
0.05~0.15重量%の前記水溶性2価塩と、
0.05~0.15重量%の前記泡制御剤と、
1.00~3.00重量%の前記錯化剤と、
0.05~0.15重量%のフィルム形成剤と、
90.00~99.00重量%の水と、
0.10~1.00重量%の植物処理用化学品と
を含む、本発明1023の植物処理用化学品製剤。
[本発明1039]
1.60~2.40重量%の前記増粘剤と、
0.08~0.12重量%の前記水溶性2価塩と、
0.08~0.12重量%の前記泡制御剤と、
1.60~2.40重量%の前記錯化剤と、
0.08~0.12重量%のフィルム形成剤と、
97.60~98.40重量%の水と、
0.1~1.00重量%の植物処理用化学品と
を含む、本発明1023の植物処理用化学品製剤。
[本発明1040]
植物種子または成長中の植物を提供する段階と、
本発明1023の植物処理用化学品製剤を前記植物種子または前記成長中の植物に施用する段階と
を含む、植物または植物種子を処理する方法。
[本発明1041]
前記増粘剤が、疎水的に改変されたアルカリポリマー、アルカリ可溶性エマルションポリマー、疎水的に改変されたエトキシル化ウレタンポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1040の方法。
[本発明1042]
前記泡制御剤が、ポリアクリル酸アルキル、脂肪酸、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、シリコーン系泡制御剤、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1040の方法。
[本発明1043]
前記水溶性2価塩が、バリウム、カルシウム、クロム(II)、コバルト(II)、銅(II)、鉄(II)、鉛(II)、マグネシウム、マンガン(II)、ストロンチウム、亜鉛(II)、スズ(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される2価カチオンから形成されている、本発明1040の方法。
[本発明1044]
前記錯化剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジニトリロ四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1040の方法。
[本発明1045]
前記フィルム形成剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、及びそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1040の方法。
[本発明1046]
前記植物処理用化学品が、駆除剤、肥料、及び成長調節剤からなる群より選択される、本発明1040の方法。
[本発明1047]
前記植物処理用化学品が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、及び殺線虫剤からなる群より選択される駆除剤である、本発明1046の方法。
[本発明1048]
前記植物処理用化学品が、アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害物質(ACCアーゼ)、アセト乳酸合成酵素阻害物質(ALS)、微小管集合阻害物質(MT)、成長調節物質(GR)、光合成II、結合部位A阻害物質(PSII(A))、光合成II、結合部位B阻害物質(PSII(B))、光合成II、結合部位C阻害物質(PSII(C))、シュート阻害物質(SHT)、エノールピルビル-シキミ酸-リン酸合成酵素阻害物質(EPSP)、グルタミン合成酵素阻害物質(GS)、フィトエン不飽和化酵素合成酵素阻害物質(PDS)、ジテルペン阻害物質(DITERP)、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害物質(PPO)、シュート及び根阻害物質(SHT/RT)、光化学系1電子ダイバーター(ED)、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ合成阻害物質(HPPD)、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される除草剤である、本発明1047の方法。
[本発明1049]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、有機塩素化合物、ニコチノイド、ホスホルアミドチオエート、有機リン酸化合物、ピレスロイド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺虫剤である、本発明1047の方法。
[本発明1050]
前記植物処理用化学品が、脂肪族窒素化合物、ベンゾイミダゾール、ジカルボキシイミド、ジチオカルバマート、イミダゾール、ストロビン、アニリド、芳香族化合物、イオウ誘導体、銅誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺菌剤である、本発明1047の方法。
[本発明1051]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、カルバザート、ジフェニルオキサゾリン、グリシド、大環状化合物、METI-ダニ駆除薬、ナフトキノン誘導体、有機塩素化合物、有機リン酸化合物、有機スズ、油分、ピレスロイド、ピリダジノン、ピロール、石ケン、イオウ、テトラジン、テトロン酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺ダニ剤である、本発明1047の方法。
[本発明1052]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、有機リン酸化合物、ハロゲン化炭化水素、メチルイソチオシアナート遊離促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺線虫剤である、本発明1047の方法。
[本発明1053]
前記植物処理用化学品が、イオウ、リン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、窒素、モリブデン、銅、亜鉛、マンガン、鉄、ホウ素、コバルト、塩素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される植物栄養素を含有する肥料である、本発明1046の方法。
[本発明1054]
前記植物処理用化学品が、オーキシン、サイトカイニン、枯葉剤、エチレン放出物質、ジベレリン、成長阻害物質、成長遅延物質、成長促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される成長調節剤である、本発明1046の方法。
[本発明1055]
前記製剤が、
1.00~3.00重量%の前記増粘剤と、
0.05~0.15重量%の前記水溶性2価塩と、
0.05~0.15重量%の前記泡制御剤と、
1.00~3.00重量%の前記錯化剤と、
0.05~0.15重量%のフィルム形成剤と、
90.00~99.00重量%の水と、
0.10~1.00重量%の植物処理用化学品と
を含む、本発明1046の方法。
[本発明1056]
前記製剤が、
1.60~2.40重量%の前記増粘剤と、
0.08~0.12重量%の前記水溶性2価塩と、
0.08~0.12重量%の前記泡制御剤と、
1.60~2.40重量%の前記錯化剤と、
0.08~0.12重量%のフィルム形成剤と、
97.60~98.40重量%の水と、
0.1~1.00重量%の植物処理用化学品と
を含む、本発明1046の方法。
[本発明1057]
成長中の植物が処理される、本発明1046の方法。
[本発明1058]
植物種子が生育培地に播かれる前に処理される、本発明1040の方法。
[本発明1059]
前記成長中の植物または前記植物種子が、キャノーラ、アルファルファ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ワタ、ヒマワリ、ピーナッツ、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、マメ、エンドウ、チコリ、レタス、エンダイブ、キャベツ、メキャベツ、ビート、パースニップ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、タマネギ、ニンニク、ナス、コショウ、セロリ、ニンジン、カボチャ、パンプキン、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、ナシ、メロン、柑橘類、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、パイナップル、ダイズ、タバコ、トマト、ソルガム、及びサトウキビからなる群より選択される、本発明1040の方法。
[本発明1060]
前記成長中の植物または前記植物種子が、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、セントポーリア、ペチュニア、ペラルゴニウム(pelargonium)、ポインセチア、キク、カーネーション、及びヒャクニチソウからなる群より選択される、本発明1040の方法。
[本発明1061]
植物種子または成長中の植物を提供する段階と、
植物処理用化学品と被覆材料との混合物を前記植物種子または前記成長中の植物の表面に施用する段階であって、施用された前記被覆材料が前記植物種子または前記成長中の植物の表面上で乾燥した後に、乾燥した前記被覆材料が、前記植物種子または前記成長中の植物の表面に固着して、前記植物種子もしくは前記成長中の植物からの水分の損失または植物処理用化学品の損失を最小限に抑えつつ前記植物種子または前記成長中の植物への水性材料の浸透を可能にすることを特徴とする、段階と
を含む、植物種子または成長中の植物を処理する方法。
[本発明1062]
前記植物処理用化学品が、駆除剤、肥料、及び成長調節剤からなる群より選択される、本発明1061の方法。
[本発明1063]
前記植物処理用化学品が、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、及び殺線虫剤からなる群より選択される駆除剤である、本発明1062の方法。
[本発明1064]
前記植物処理用化学品が、アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害物質(ACCアーゼ)、アセト乳酸合成酵素阻害物質(ALS)、微小管集合阻害物質(MT)、成長調節物質(GR)、光合成II、結合部位A阻害物質(PSII(A))、光合成II、結合部位B阻害物質(PSII(B))、光合成II、結合部位C阻害物質(PSII(C))、シュート阻害物質(SHT)、エノールピルビル-シキミ酸-リン酸合成酵素阻害物質(EPSP)、グルタミン合成酵素阻害物質(GS)、フィトエン不飽和化酵素合成酵素阻害物質(PDS)、ジテルペン阻害物質(DITERP)、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害物質(PPO)、シュート及び根阻害物質(SHT/RT)、光化学系1電子ダイバーター(ED)、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ合成阻害物質(HPPD)、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される除草剤である、本発明1063の方法。
[本発明1065]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、有機塩素化合物、ニコチノイド、ホスホルアミドチオエート、有機リン酸化合物、ピレスロイド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺虫剤である、本発明1063の方法。
[本発明1066]
前記植物処理用化学品が、脂肪族窒素化合物、ベンゾイミダゾール、ジカルボキシイミド、ジチオカルバマート、イミダゾール、ストロビン、アニリド、芳香族化合物、イオウ誘導体、銅誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺菌剤である、本発明1063の方法。
[本発明1067]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、カルバザート、ジフェニルオキサゾリン、グリシド、大環状化合物、METI-ダニ駆除薬、ナフトキノン誘導体、有機塩素化合物、有機リン酸化合物、有機スズ、油分、ピレスロイド、ピリダジノン、ピロール、石ケン、イオウ、テトラジン、テトロン酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺ダニ剤である、本発明1063の方法。
[本発明1068]
前記植物処理用化学品が、カルバマート、有機リン酸化合物、ハロゲン化炭化水素、メチルイソチオシアナート遊離促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺線虫剤である、本発明1063の方法。
[本発明1069]
前記植物処理用化学品が、イオウ、リン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、窒素、モリブデン、銅、亜鉛、マンガン、鉄、ホウ素、コバルト、塩素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される植物栄養素を含有する肥料である、本発明1062の方法。
[本発明1070]
前記植物処理用化学品が、オーキシン、サイトカイニン、枯葉剤、エチレン放出物質、ジベレリン、成長阻害物質、成長遅延物質、成長促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される成長調節剤である、本発明1062の方法。
[本発明1071]
成長中の植物が処理される、本発明1061の方法。
[本発明1072]
植物種子が生育培地に播かれる前に処理される、本発明1061の方法。
[本発明1073]
前記成長中の植物または前記植物種子が、キャノーラ、アルファルファ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ワタ、ヒマワリ、ピーナッツ、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、マメ、エンドウ、チコリ、レタス、エンダイブ、キャベツ、メキャベツ、ビート、パースニップ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、タマネギ、ニンニク、ナス、コショウ、セロリ、ニンジン、カボチャ、パンプキン、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、ナシ、メロン、柑橘類、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、パイナップル、ダイズ、タバコ、トマト、ソルガム、及びサトウキビからなる群より選択される、本発明1061の方法。
[本発明1074]
前記成長中の植物または前記植物種子が、シロイヌナズナ、セントポーリア、ペチュニア、ペラルゴニウム、ポインセチア、キク、カーネーション、及びヒャクニチソウからなる群より選択される、本発明1061の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1A及び1Bは、66日目にケイ素及びアジュバントを含む化学品製剤(図1A)またはケイ素単独(図1B)で処理したコショウの画像である。
図2図2A~2Hは、30%削減した量の除草剤を含むアジュバント強化トリクロピル及びイマザピル製剤で処理した木本低木(図2A)及び混合草本(図2B)、15%削減した量の除草剤を含む強化トリクロピル及びイマザピル製剤で処理した木本低木(図2C)及び混合草本(図2D)、通常の量の除草剤を含む強化トリクロピル及びイマザピル製剤で処理した木本低木(図2E)及び混合草本(図2F)、ならびに通常の量の除草剤を含むトリクロピル及びイマザピル製剤で処理した木本低木(図2G)及び混合草本(図2H)の83日目の画像である。
図3】一般的なプロトコールならびにアジュバント及び一般的な製品の67%を含むアジュバント強化プロトコールで処理した植物から収穫した、販売可能なイチゴの累積重量を比較したグラフである。
図4】野外試験実施中の気候条件を示す図である。
図5図5A~5Cは、各処理群におけるバナナの葉(図5A)、最も若い感染葉(図5B)、及び斑点のある最も若い葉(図5C)の総数を示す図である。
図6図6A及び6Bは、経時的な空間分布及び処理を示す図である(「DA1A」=最初の施用からの日数)。
図7図7A及び7Bは、グランドナイン(Grand Naine)バナナにおけるブラックシガトカ病(マイコスファエレラ フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis))の防除の評価を示す図である。
図8】9種類の処理条件のそれぞれに関する、最初の施用の75日後、最後の保護剤殺菌剤施用の20日後、及び最後の浸透性殺菌剤施用の5日後のバナナの木の画像である。
図9図9A及び9Bは、最後の施用の30日後の、アジュバントを含む(図9A、左側)及びアジュバントを含まない(図9A、右側)処理剤の、斑点及び壊死組織に対する効果を示すバナナの葉の画像、ならびに処理群3及び4のバナナの葉で検出された斑点及び壊死のグラフ(図9B)である。
図10図10A~10Gは、バナナの葉に対する種々の植物処理剤製剤の施用の結果を示す図である。図10Aは、湿ったバナナの葉に、Banazeb(登録商標)60SC単独(左上の四角)、Banazeb(登録商標)60SC+アジュバント(右上の四角)、及びVondozeb(登録商標)62SC(下の四角)を施用した効果を示す。Banazeb(登録商標)60SC+アジュバント(図10B)及びアジュバントの非存在下でのBanazeb(登録商標)60SC(図10C)で処理した葉の詳細画像も示す。Banazeb(登録商標)60SC+アジュバント(図10D)及びアジュバントの非存在下でのBanazeb(登録商標)60SC(図10E)の施用に対する洗浄水の影響も示す。図10F及び10Gは、日焼けしたバナナの葉へのBanazeb(登録商標)60SC(図10F)及びBanazeb(登録商標)60SC+アジュバント(図10G)の使用に対する洗浄水の影響を示す。
図11図11A及び11Bは、油分とアジュバントの混合物(A)及び水とアジュバントの混合物(図11B)の画像である。
図12図12A及び12Bは、施用18日後(図12A)及び施用32日後(図12B)の、バナナの葉及びシガトカ病防除に対するアジュバント施用の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明の一態様は、植物処理用化学品と共に用いるためのアジュバントプレミックス組成物を対象とする。前記アジュバントプレミックス組成物は、増粘剤、水溶性2価塩、泡制御剤、錯化剤、及びフィルム形成剤を含む。
【0018】
種々の増粘剤が当技術分野において周知であり、前記増粘剤としては、例えば、会合型及び非会合型増粘剤(全体が参照により本明細書に援用される、Gregory D. Shay, Chapter 25, “Alkali-Swellable and Alkali-Soluble Thickener Technology A Review”, Polymers in Aqueous Media - Performance Through Association, Advances in Chemistry Series 223, J. Edward Glass (ed.), ACS, pp. 457-494, Division Polymeric Materials, Washington, DC (1989);Chassenieux et al., “Rheology of Associative Polymer Solutions,” Current Opinion in Colloid & Interface Science 16(1):18-26 (2011);Winnik et al., “Associative Polymers in Aqueous Solution,” Current Opinion in Colloid & Interface Science 2(4):424-36 (1997);及びAntunes et al., “Gelation of Charged Bio-Nanocompartments Induced by Associative and Non-Associative Polysaccharides,” Colloids Surf B Biointerfaces. 66(1):134-40 (2008)を参照されたい)が挙げられる。
【0019】
本明細書において使用する場合、用語「会合型増粘剤」とは、互いに及び当該組成物の他の成分と相互作用して三次元ネットワークを生じる疎水性基を含有する水溶性ポリマーをいう。例示的な会合型増粘剤としては、疎水的に改変されたエトキシル化ウレタンレオロジー(HEUR)ポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性エマルション(HASE)ポリマー、疎水的に改変されたポリエーテル(HMPE)、疎水的に改変されたヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、及び疎水的に改変されたエトキシル化アミノプラスト(HEAT)ポリマーが挙げられる。
【0020】
本明細書において使用する場合、用語「非会合型増粘剤」とは、互いに相互作用して三次元ネットワークを生じる疎水性基を含有する高分子量の水溶性ポリマーをいう。好適な非会合型増粘剤としては、アルカリ可溶性エマルション(ASE)ポリマー及びセルロースエーテルが挙げられる。
【0021】
一実施形態において、前記増粘剤は会合型アニオン性増粘剤である。例示的な会合型アニオン性増粘剤は、Nguyen et al.による欧州特許公報2542598A1に記載され、該特許文献は参照によりその全体が本明細書に援用される。一例において、前記会合型アニオン性増粘剤は、疎水的に改変されたアルカリ膨潤性エマルション(HASE)ポリマー、アルカリ可溶性エマルション(ASE)ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0022】
あるいは、前記増粘剤は、疎水的に改変されたエトキシル化ウレタンレオロジー(HEUR)ポリマー、疎水的に改変されたエトキシル化アミノプラスト(HEAT)ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される会合型非イオン性増粘剤である。
【0023】
一実施形態において、前記増粘剤は、疎水的に改変されたアルカリポリマー、アルカリ可溶性エマルションポリマー、疎水的に改変されたエトキシル化ウレタンポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される。例示的な会合型増粘剤としては、ACUSOL(登録商標)801S、ACUSOL(登録商標)805S、ACUSOL(登録商標)810A、ACUSOL(登録商標)820、ACUSOL(登録商標)823、ACUSOL(登録商標)830、ACUSOL(登録商標)835、ACUSOL(登録商標)842、ACUSOL(登録商標)880、及びACUSOL(登録商標)882が挙げられるが、これらに限定はされない。ACUSOLはRohm and Hass Company, Philadelphia, Pennsylvaniaの商標である。
【0024】
前記泡制御剤は、ポリアクリル酸アルキル、脂肪酸、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、シリコーン系泡制御剤、及びそれらの混合物からなる群より選択してもよい。
【0025】
脂肪酸または脂肪アルコールは、それらのアルキル鎖中に10~20個の炭素を有する種である。好適な脂肪酸は飽和または不飽和であり、天然の供給源(例えば、パーム油、ココナッツ油、ババス油、ベニバナ油、トール油、ヒマシ油、獣脂及び魚油、グリース、ならびにそれらの混合物)から得るか、または合成により製造することができる。本発明における使用に好適な脂肪酸の例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸が挙げられる。
【0026】
上記脂肪酸から誘導される脂肪アルコールは、本発明の泡制御剤に好適である。例示的な脂肪アルコールとしては、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、及びベヘニルアルコールが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0027】
本明細書において使用する場合、用語「グリセリド」とは、グリセリンの-OH基の1、2、または3つがエステル化されたエステルをいう。モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドは、上記の任意の脂肪酸のエステルを含んでいてよい。
【0028】
本明細書において使用する場合、用語「シリコーン系泡制御剤」とは、ケイ素骨格を有するポリマーをいう。一実施形態において、前記泡制御剤はシリコーン系泡制御剤である。好適なシリコーン系泡制御剤としては、ポリジメチルシロキサン流体及びポリジメチルシロキサン処理シリカが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0029】
前記水溶性2価塩は、バリウム、カルシウム、クロム(II)、コバルト(II)、銅(II)、鉄(II)、鉛(II)、マグネシウム、マンガン(II)、ストロンチウム、亜鉛(II)、スズ(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される2価カチオンから形成されてもよい。一実施形態において、前記水溶性2価塩は、酢酸亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)、塩素酸亜鉛(II)、塩化亜鉛(II)、フッ化亜鉛(II)、ギ酸亜鉛(II)、ヨウ化亜鉛(II)、硝酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)一水和物、硫酸亜鉛(II)七水和物、硫酸亜鉛(II)六水和物、無水硫酸亜鉛(II)、及びそれらの混合物からなる群より選択される。別の実施形態において、前記水溶性2価塩は硫酸亜鉛である。
【0030】
本明細書において使用する場合、用語「錯化剤」とは、金属イオンを錯化することができる物質をいう。前記錯化剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジニトリロ四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、及びそれらの混合物からなる群より選択してもよい。
【0031】
一実施形態において、前記錯化剤はトリエタノールアミン(TEA)である。別の実施形態において、前記錯化剤はトリエタノールアミン(TEA)とジエタノールアミン(DEA)の混合物である。
【0032】
本明細書において使用する場合、用語「フィルム形成剤」とは、フィルム形成を高めるように機能する薬剤をいう。フィルム形成剤は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、及びそれらの混合物からなる群より選択してもよい。一実施形態において、前記フィルム形成剤は、分子量25,000~175,000を有するポリビニルアルコールである。あるいは、前記フィルム形成剤は、分子量80,000~150,000を有するポリビニルアルコールである。例えば、前記フィルム形成剤は、分子量100,000を有するポリビニルアルコールであってもよい。
【0033】
本アジュバントプレミックス組成物は、30~60重量%、35~60重量%、40~60重量%、40~55重量%、45~60重量%、50~60重量%、55~60重量%の増粘剤と、0.5~10重量%、0.5~15重量%、0.5~5重量%、0.5~1.5重量%、1.0~4.0重量%、または2.0~3.0重量%の水溶性2価塩と、0.5~10重量%、0.5~15重量%、0.5~5、0.5~1.5重量%、1.0~4.0、1.5~3.5重量%、2.0~3.0重量%の泡制御剤と、30~60重量%、35~60重量%、40~60重量%、45~60重量%、50~60重量%、55~60重量%の錯化剤と、0.5~10重量%、0.5~15重量%。0.5~5、0.5~1.5重量%、1.0~4.0、2.0~3.0重量%のフィルム形成剤とを含んでいてもよい。
【0034】
一実施形態において、本アジュバントプレミックス組成物は、30~60重量%の前記増粘剤と、0.5~5重量%の前記水溶性2価塩と、0.5~5重量%の前記泡制御剤と、30~60重量%の前記錯化剤と、0.5~5重量%の前記フィルム形成剤とを含む。
【0035】
別の実施形態において、本アジュバントプレミックス組成物は、45~55重量%の前記増粘剤と、1.8~2.8重量%の前記水溶性2価塩と、1.8~2.8重量%の前記泡制御剤と、45~55重量%の前記錯化剤と、1.8~2.8重量%の前記フィルム形成剤とを含む。
【0036】
あるいは、本アジュバントプレミックス組成物は、42~50重量%の前記増粘剤と、2.1~2.6重量%の前記水溶性2価塩と、2.1~2.6重量%の前記泡制御剤と、42~50重量%の前記錯化剤と、2.1~2.6重量%の前記フィルム形成剤とを含む。
【0037】
本発明の更なる態様は、植物処理用化学品と共に用いるためのアジュバント組成物に関する。この組成物は、本発明のアジュバントプレミックス組成物と水とを含む。
【0038】
本発明のこの態様によれば、本発明のアジュバントプレミックス組成物の増粘剤、泡制御剤、水溶性2価塩、錯化剤、及びフィルム形成剤は、上述のように選択される。
【0039】
植物処理用化学品と共に用いるための本アジュバント組成物は、1.00~3.00重量%、1.00~2.50重量%、1.00~2.00重量%、1.50~2.00重量%、または1.50~2.50重量%の増粘剤と、0.05~0.10重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.50重量%、0.05~0.35重量%、0.10~0.40重量%、0.15~0.35重量%、0.20~0.30重量%の水溶性2価塩と、0.05~0.10重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.50重量%、0.05~0.35重量%、0.10~0.40重量%、0.15~0.35重量%、0.20~0.30重量%の泡制御剤と、1.00~3.00重量%、1.00~2.50重量%、1.00~2.00重量%、1.50~2.00重量%、または1.50~2.50重量%の錯化剤と、0.05~0.10重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.50重量%、0.05~0.35重量%、0.10~0.40重量%、0.15~0.35重量%、0.20~0.30重量%のフィルム形成剤と、90~99重量%、92~99重量%、94~99重量%、96~99重量%、97~99重量%、または98~99重量%の水とを含んでいてもよい。
【0040】
一実施形態において、植物処理用化学品と共に用いるための本アジュバント組成物は、1.00~3.00重量%の前記増粘剤と、0.05~0.15重量%の前記水溶性2価塩と、0.05~0.15重量%の前記泡制御剤と、1.00~3.00重量%の前記錯化剤と、0.05~0.15重量%のフィルム形成剤と、90~99重量%の水とを含む。
【0041】
別の実施形態において、植物処理用化学品と共に用いるための本アジュバント組成物は、1.6~2.4重量%の前記増粘剤と、0.08~0.12重量%の前記水溶性2価塩と、0.08~0.12重量%の前記泡制御剤と、1.6~2.4重量%の前記錯化剤と、0.8~0.12重量%のフィルム形成剤と、97.6~98.4重量%の水とを含む。
【0042】
あるいは、植物処理用化学品と共に用いるための本アジュバント組成物は、1.8~2.2重量%の前記増粘剤と、0.09~0.11重量%の前記水溶性2価塩と、0.09~0.11重量%の前記泡制御剤と、1.8~2.2重量%の前記錯化剤と、0.09~0.11重量%のフィルム形成剤と、97.8~98.2重量%の水とを含む。
【0043】
本発明は植物処理用化学品製剤にも関する。この製剤は、本発明のアジュバントプレミックス組成物と1種類または複数種類の植物処理用化学品とを含む。
【0044】
本発明のこの態様によれば、本発明のアジュバントプレミックス組成物の増粘剤、泡制御剤、水溶性2価塩、錯化剤、及びフィルム形成剤は、上述のように選択される。
【0045】
前記植物処理用化学品は、駆除剤、肥料、及び成長調節剤からなる群より選択されてもよい。
【0046】
本明細書において使用する場合、用語「駆除剤」とは、有害生物または生物を防除及び/または殺すために用いることができる薬剤をいう。駆除剤は当技術分野において周知であり、該駆除剤としては、例えば、有害な雑草及び植物の防除を企図する除草剤、昆虫の防除を企図する殺虫剤、真菌の防除を企図する殺菌剤、ダニの防除を企図する殺ダニ剤、線虫の防除を企図する殺線虫剤、クモ形類またはクモの防除を企図するダニ駆除剤、ウイルスの防除を企図する殺ウイルス剤が挙げられる。前記植物処理用化学品は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、及び殺線虫剤からなる群より選択される駆除剤であってよい。
【0047】
一実施形態において、前記植物処理用化学品は、アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害物質(ACCアーゼ)、アセト乳酸合成酵素阻害物質(ALS)、微小管集合阻害物質(MT)、成長調節物質(GR)、光合成II、結合部位A阻害物質(PSII(A))、光合成II、結合部位B阻害物質(PSII(B))、光合成II、結合部位C阻害物質(PSII(C))、シュート阻害物質(SHT)、エノールピルビル-シキミ酸-リン酸合成酵素阻害物質(EPSP)、グルタミン合成酵素阻害物質(GS)、フィトエン不飽和化酵素合成酵素阻害物質(PDS)、ジテルペン阻害物質(DITERP)、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害物質(PPO)、シュート及び根阻害物質(SHT/RT)、光化学系1電子ダイバーター(ED)、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ合成阻害物質(HPPD)、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される除草剤である。
【0048】
好適な除草剤としては、表1に列挙されるものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0049】
(表1)例示的な除草剤
【0050】
別の実施形態において、前記植物処理用化学品は、カルバマート、有機塩素化合物(organochlorine)、ニコチノイド、ホスホルアミドチオエート、有機リン酸化合物、ピレスロイド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺虫剤である。
【0051】
好適な殺虫剤としては、表2に列挙されるものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0052】
(表2)例示的な殺虫剤
【0053】
前記植物処理用化学品は、脂肪族窒素化合物(aliphatic nitrogen)、ベンゾイミダゾール、ジカルボキシイミド、ジチオカルバマート、イミダゾール、ストロビン、アニリド、芳香族化合物、イオウ誘導体、銅誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺菌剤であってよい。
【0054】
好適な殺菌剤としては、表3に列挙されるものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0055】
(表3)例示的な殺菌剤
【0056】
前記植物処理用化学品は、カルバマート、カルバザート、ジフェニルオキサゾリン、グリシド、大環状化合物、METI-ダニ駆除薬、ナフトキノン誘導体、有機塩素化合物、有機リン酸化合物、有機スズ、油分、ピレスロイド、ピリダジノン、ピロール、石ケン、イオウ、テトラジン、テトロン酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺ダニ剤であってよい。
【0057】
好適な殺ダニ剤としては、表4に列挙されるものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0058】
(表4)例示的な殺ダニ剤
【0059】
前記植物処理用化学品は、カルバマート、有機リン酸化合物、ハロゲン化炭化水素、メチルイソチオシアナート遊離促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される殺線虫剤であってよい。
【0060】
好適な殺線虫剤としては、表5に列挙されるものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0061】
(表5)例示的な殺線虫剤
【0062】
一実施形態において、前記植物処理用化学品は、イオウ、リン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、窒素、モリブデン、銅、亜鉛、マンガン、鉄、ホウ素、コバルト、塩素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される植物栄養素を含有する肥料である。
【0063】
更なる実施形態において、前記植物処理用化学品は、オーキシン、サイトカイニン、枯葉剤、エチレン放出物質、ジベレリン、成長阻害物質、成長遅延物質、成長促進物質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される成長調節剤である。
【0064】
好適な成長調節物質としては、表6に列挙されるものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0065】
(表6)例示的な成長調節物質
【0066】
植物処理用化学品と共に用いるための本アジュバント組成物は、1.00~3.00重量%、1.00~2.50重量%、1.00~2.00重量%、1.50~2.00重量%、または1.50~2.50重量%の増粘剤と、0.05~0.10重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.50重量%、0.05~0.35重量%、0.10~0.40重量%、0.15~0.35重量%、0.20~0.30重量%の水溶性2価塩と、0.05~0.10重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.50重量%、0.05~0.35重量%、0.10~0.40重量%、0.15~0.35重量%、0.20~0.30重量%の泡制御剤と、1.00~3.00重量%、1.00~2.50重量%、1.00~2.00重量%、1.50~2.00重量%、または1.50~2.50重量%の錯化剤と、0.05~0.10重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.50重量%、0.05~0.35重量%、0.10~0.40重量%、0.15~0.35重量%、0.20~0.30重量%のフィルム形成剤と、90~99重量%、92~99重量%、94~99重量%、96~99重量%、97~99重量%、または98~99重量%の水とを含んでいてもよい。連邦及び州の規制に従って、前記植物処理剤製剤は、0.1~1.00重量%、0.1~0.50重量%、または0.10~0.25重量%の前記植物処理用化学品を含んでいてもよい。
【0067】
一実施形態において、本植物処理用化学品製剤は、1.00~3.0重量%の前記増粘剤と、0.05~0.15重量%の前記水溶性2価塩と、0.05~0.15重量%の前記泡制御剤と、3.00~6.00重量%の前記錯化剤と、0.05~0.15重量%のフィルム形成剤と、90~99重量%の水と、0.1~1.00重量%の植物処理用化学品とを含む。
【0068】
別の実施形態において、本植物処理用化学品製剤は、1.6~2.4重量%の前記増粘剤と、0.08~0.12重量%の前記水溶性2価塩と、0.08~0.12重量%の前記泡制御剤と、1.6~2.4重量%の前記錯化剤と、0.8~0.12重量%のフィルム形成剤と、97.6~98.4重量%の水と、0.10~1.00重量%の植物処理用化学品とを含む。
【0069】
あるいは、本植物処理用化学品製剤は、1.8~2.2重量%の前記増粘剤と、0.09~0.11重量%の前記水溶性2価塩と、0.09~0.11重量%の前記泡制御剤と、1.8~2.2重量%の前記錯化剤と、0.09~0.11重量%のフィルム形成剤と、97.8~98.2重量%の水と、0.10~1.00重量%の植物処理用化学品とを含む。
【0070】
本発明の別の態様は、植物または植物種子を処理する方法に関する。この方法は、植物種子または成長中の植物を提供する段階と、本発明の植物処理用化学品製剤を前記植物種子または前記成長中の植物に施用する段階とを含む。
【0071】
本発明のこの態様によれば、本発明の植物処理用化学品製剤の増粘剤、泡制御剤、水溶性2価塩、錯化剤、及びフィルム形成剤は、上述のように選択される。
【0072】
前記植物処理用化学品は、上述の駆除剤、肥料、及び成長調節剤からなる群より選択してもよい。
【0073】
一実施形態において、本植物処理用化学品製剤は、1.00~3.00重量%の前記増粘剤と、0.05~0.15重量%の前記水溶性2価塩と、0.05~0.15重量%の前記泡制御剤と、1.00~3.00重量%の前記錯化剤と、0.05~0.15重量%のフィルム形成剤と、90~99重量%の水と、0.1~1.00重量%の植物処理用化学品とを含む。
【0074】
別の実施形態において、本植物処理用化学品製剤は、1.6~2.4重量%の前記増粘剤と、0.08~0.12重量%の前記水溶性2価塩と、0.08~0.12重量%の前記泡制御剤と、1.6~2.4重量%の前記錯化剤と、0.8~0.12重量%のフィルム形成剤と、97.6~98.4重量%の水と、0.10~1.00重量%の植物処理用化学品とを含む。
【0075】
あるいは、本植物処理用化学品製剤は、1.8~2.2重量%の前記増粘剤と、0.09~0.11重量%の前記水溶性2価塩と、0.09~0.11重量%の前記泡制御剤と、1.8~2.2重量%の前記錯化剤と、0.09~0.11重量%のフィルム形成剤と、97.8~98.2重量%の水と、0.10~1.00重量%の植物処理用化学品とを含む。
【0076】
本明細書において使用する場合、用語「植物」とは、樹木、薬草、灌木、草、及びつる植物を含むが、これらに限定されない、植物界に属する任意の生物をいう。この用語は単子葉植物及び双子葉植物の両方をいう。例示的な植物としては、トウモロコシ、ジャガイモ、バラ、リンゴの木、ヒマワリ、コムギ、イネ、バナナ、トマト、パンプキン、カボチャ、レタス、キャベツ、オーク、グズマニア、ゼラニウム、ハイビスカス、クレマチス、ポインセチア、サトウキビ、タロイモ、アオウキクサ、マツ、ケンタッキーブルーグラス、シバ、ヤシ、アブラナ属葉野菜(例えば、ブロッコリー、ブロッコリーラーブ、メキャベツ、キャベツ、ハクサイ(Chinese cabbage)(例えば、チンゲンサイ、ハクサイ(Napa))、カリフラワー、カーボロ、コラード、ケール、コールラビ、マスタードグリーン、レイプグリーン、及びその他のアブラナ属葉野菜作物)、根菜(例えば、ニンニク、西洋ネギ、タマネギ(乾燥タマネギ、ネギ(green)、ネギ(Welch))、エシャロット、及びその他の根菜作物)、柑橘類(例えば、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ、タンジェリン、柑橘類交雑種、ブンタン、及びその他の柑橘類作物)、ウリ科野菜(例えば、キュウリ、シトロンメロン、食用ヒョウタン、ガーキン、マスクメロン(ククミス属メロン(cucumis melon)の交雑種及び/または栽培品種を含む)、スイカ、カンタロープメロン、及びその他のウリ科野菜作物)、結実野菜(ナス、ホオズキ、ペピーノ、コショウ、トマト、オオブドウホオズキ、及びその他の結実野菜作物を含む)、ブドウ、葉野菜(例えばロメインレタス)、根菜/塊茎及び球茎野菜(例えばジャガイモ)、ならびに木の実(例えば、アーモンド、ペカン、ピスタチオ、及びクルミ)、液果(例えば、トマト、メギ、スグリ(currant)、アメリカニワトコ、スグリ(gooseberry)、スイカズラ、アメリカミヤオソウ、ナニーベリー、ヒイラギメギ、シーバックソーン、エノキ、クマコケモモ、コケモモ、イチゴ、ハマベブドウ、ブラックベリー、ホロムイイチゴ、ローガンベリー、ラズベリー、サーモンベリー、シンブルベリー、及びエビガライチゴ)、穀物(例えば、トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ソルガム、雑穀、オート麦、ライムギ、ライコムギ、ソバ、フォニオ、及びキノア)、仁果類(例えば、りんご、ナシ)、核果類(例えば、コーヒー、ナツメ、マンゴー、オリーブ、ココナッツ、アブラヤシ、ピスタチオ、アーモンド、アプリコット、サクラ、インシチチアスモモ、ネクタリン、モモ、及びプラム)、ブドウ(例えば、食用ブドウ及びワイン用ブドウ)、繊維作物(例えば、アサ及びワタ)、観賞植物などが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0077】
本明細書において使用する場合、用語「成長中の植物」とは、質量または細胞数が増加している植物をいう。植物は、土壌中、水耕栽培(例えば水耕法で)、培地中、砂耕栽培、礫耕栽培、及び吸着栄養素栽培(例えば、McCall WW, Nakagawa Y. 1970. Growing plants without soil. Honolulu (HI): University of Hawaii. 22 p. (Circular;440)を参照されたく、該文献はその全体が参照により本明細書に援用される)を含む、当技術分野において公知の任意の手段によって栽培してもよい。一実施形態において、成長中の植物が処理される。
【0078】
本明細書において使用する場合、用語「種子」とは、種子そのもの、種子片、吸枝、球茎、球根、果実、塊茎、穀物、切り枝、切ったシュートなどを含む植物繁殖体をいう。一実施形態において、植物種子が処理される。
【0079】
前記成長中の植物または前記種子は、キャノーラ、アルファルファ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ワタ、ヒマワリ、ピーナッツ、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、マメ、エンドウ、チコリ、レタス、エンダイブ、キャベツ、メキャベツ、ビート、パースニップ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、タマネギ、ニンニク、ナス、コショウ、セロリ、ニンジン、カボチャ、パンプキン、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、ナシ、メロン、柑橘類、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、パイナップル、ダイズ、タバコ、トマト、ソルガム、及びサトウキビからなる群より選択されてもよい。
【0080】
一実施形態において、前記成長中の植物または前記植物種子は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、セントポーリア、ペチュニア、ペラルゴニウム(pelargonium)、ポインセチア、キク、カーネーション、及びヒャクニチソウからなる群より選択される。
【0081】
本植物処理用化学品製剤を成長中の植物に施用する方法は当技術分野において周知であり、該方法としては、噴霧化、ウェッティング、ディッピング、ミスティング、ドレンチング、シャワリング、煙霧化、ソーキング、湿し法、ドリズリング、ドージング、及びスプラッシングが挙げられるが、これらに限定はされない(例えば、全体が参照により本明細書に援用されるMatthews, G. A. (2000) Pesticide Application Methods, Third Edition, Blackwell Science Ltd, Oxford, UKを参照されたい)。
【0082】
一実施形態において、前記植物種子は生育培地に播かれる前に処理される。
【0083】
種子を生育培地に植える前に該種子に植物処理用化学品製剤を施用する方法としては、散粉、被覆、及び噴霧が挙げられる(例えば、全体が参照により本明細書に援用されるMatthews, G. A. (2000) Pesticide Application Methods, Third Edition, Blackwell Science Ltd, Oxford, UKを参照されたい)。
【0084】
本発明の方法は、成長中の植物及び播かれるべき種子の収穫前の処理を対象とする。用語「収穫前」とは、販売、貿易、消費、またはその他の人間による使用のために収穫される(例えば、樹木、低木、もしくは開花植物から切り離される、または地面から掘り起こされる、または軸、茎、つるなどから切り離される、切断される、もしくはそうでなければ取り外される)前の任意の時点で、依然として樹木、低木、開花植物などにくっついている(例えば、花もしくは種子)か、または依然として地中に存在する(例えば、ニンジンもしくは塊茎)、植物、植物産物などの農産物をいう。
【0085】
本発明の収穫前の処理は、収穫後の処理(これは本発明の主題ではない)とは異なる。本明細書において使用する場合、用語「収穫後」とは、農産物が販売、貿易、消費、またはその他の人間による使用のために収穫される時点をいう。摘み取られた、果実及び野菜などの食用商品、または例えば花などの非食用商品に関して、前記商品は摘み取り後に「収穫後」としての存在が始まる。非食用商品、例えば樹木、低木、開花植物、及び/または植え付け用の種子等の場合、収穫後とは、当該商品が包装された、当該商品収穫された、またはそうでなければ当該商品の販売の準備が整った時点である。
【0086】
いくつかの実施形態において、前記成長中の植物または前記植物種子は、収穫前の成長中の植物または植物種子である。したがって、前記成長中の植物または前記植物種子は、収穫後の植物または収穫後の種子(例えば、収穫された果実)ではない。
【0087】
本発明の更に別の態様は、植物種子または成長中の植物を処理する方法に関する。この方法は、植物種子または成長中の植物を提供する段階を含む。この方法は更に、植物処理用化学品と被覆材料との混合物を前記植物種子または前記植物の表面に施用する段階であって、施用された前記被覆材料が前記植物種子または前記成長中の植物の表面上で乾燥した後に、乾燥した前記被覆材料が、前記植物種子または前記成長中の植物の表面に固着して、前記植物種子もしくは前記成長中の植物からの水分の損失または植物処理用化学品の損失を最小限に抑えつつ前記植物種子または前記成長中の植物への水性材料の浸透を可能にすることを特徴とする、段階を含む。
【0088】
本発明のこの態様によれば、前記被覆材料は、上述の増粘剤、泡制御剤、水溶性2価塩、錯化剤、フィルム形成剤、及び水を含む混合物から製造される。前記混合物は、上述のように、製剤化され且つ植物種子及び成長中の植物に施用される。
【0089】
前記植物処理用化学品は、上述の駆除剤、肥料、及び成長調節剤からなる群より選択される。
【実施例
【0090】
実施例1及び2の材料及び方法
実験の立地 野外試験をthe University of Florida, Southwest Florida Research and Education Center, Immokalee, Floridaで実施した。コショウの試験に関しては、月毎の平均の最高気温及び最低気温は、一ヶ月目が98°F及び70°F、二ヶ月目が94°F及び63°F、三ヶ月目が94°F及び51°Fであり、同一の期間の月毎の合計降水量はそれぞれ11.02インチ、0.95インチ、及び2.41インチであった。カボチャの試験に関しては、月毎の平均の最高気温及び最低気温は、一ヶ月目が93°F及び45°F、二ヶ月目が96°F及び55°F、三ヶ月目が96°F及び55°Fであり、同一の期間の月毎の合計降水量はそれぞれ2.00インチ、3.35インチ、及び5.59インチであった。
【0091】
野外試験用の移植植物の定着 全ての試験において、0日目に実生苗をイモカリー細砂に移植した。処理を、4回の繰り返し試験での完全無作為化ブロック処理の設計で設定した。コショウの試験に関しては、「カピストラノ(Capistrano)」実生苗を、36インチの幅の列内に、単一の列中に10インチ間隔で10株を備え、列と列との間が列の中心から中心までで12フィートであり、各区画間が5フィートである区画に配置した。カボチャの試験に関しては、4週齢の「ディキシー(Dixie)」植物を、27フィートの列中に3フィート間隔で8株を備え、各区画間が10フィートである区画に配置した。
【0092】
処理剤の施用 各処理剤製剤を噴霧により施用した。コショウの試験に関しては、1基のホローコーンノズルを備えた、40psiの背負い型CO噴霧器を用い、30gal/Aで処理剤製剤を施用した。ケイ素をメタケイ酸ナトリウム九水和物(NaSiO・9HO)として施用した。カボチャの試験に関しては、高クリアランス噴霧器を用い、2mph及び200psiで処理剤製剤を施用した。6基のノズルを備えたダブルドロップブーム(double drop boom)から、トマトに関しては90gal/A、カボチャ植物に関しては80gal/Aの噴霧量を放出した。
【0093】
細菌接種 コショウの試験に関して、22日目にいくつかのレースの株を含有する斑点細菌病の接種源の懸濁液を施用し、且つ新たな接種源を試験の残りの期間を通して定期的に導入した。
【0094】
データ収集及び解析 各試験に関して、病害の症状を有する葉の割合を目視により推定することによって、病害重症度を評価した。コショウの試験に関しては、植物の斑点細菌病の症状を調査した。カボチャの試験に関しては、植物のうどんこ病を調査した。病勢進展曲線下面積(AUDPC)を病害重症度等級から算出した。いくつかの試験においては、果実を収穫し、区画当りの産生された販売可能な果実の量を評価した。データを、ARM9.1(コショウの試験)またはARM9.0(トマト及びカボチャの試験)の統計プログラム内で、ANOVA及びLSD法によって分離した平均値によって解析した。
【0095】
実施例1 コショウにおける斑点細菌病の管理のための化学品製剤の評価
移植したトウガラシ(Capsicum annuum)「カピストラノ」コショウ実生苗を6群の処理群のうちの1群に分けた。群1は未処理対照であった。残りの5群を化学組成が異なる製剤で噴霧処理した(表7)。14、21、28、35、42、49、56、64、71、77、及び84日目に、表7に示した化学品配合物を植物に施用した。22日目及び試験の残りの期間を通して定期的に、細菌懸濁液(キサントモナス・ユーベシカトリア(Xanthomonas euvesicatoria))を植物に接種した。19、25、36、39、及び49日目に、症状のある葉の割合を推定することによって病害重症度を評価した。
【0096】
(表7)コショウにおける斑点細菌病
施用日:A=14日目、B=21日目、C=28日目、D=35日目、E=42日目、F=49日目、G=56日目、H=64日目、I=71日目、J=77日、K=84日目に実施された処理剤施用の日。
病害重症度は症状のある葉の割合の推定値である。
病勢進展曲線下面積。
同一の文字が後に記載される平均値は、欄に示されたP値で有意差がない。
アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0097】
表7に示すように、アジュバント及びケイ素を含む化学品製剤で処理した植物(群6)は、未処理対照(群1)、市販の化合物の種々の組み合わせで処理した植物(群2及び群3)、アジュバント単独で処理した植物(群4)、ならびにケイ素単独で処理した植物(群5)と比較して、病害重症度の有意な低下を示した。群6の植物はまた、ケイ素単独の群(群5)の植物と比較して、成長の向上を示した(図1のA及びB)。
【0098】
果実を61日目及び83日目に収穫した。以下の表8に示すように、アジュバント及びケイ素で処理した植物(群6)は、未処理対照群(群1)の植物、Kocide(登録商標)3000DF及びManzate(登録商標)Pro-Stik 75DFで処理した植物(群2)、Kocide(登録商標)3000DF、アジュバント、及びManzate(登録商標)Pro-Stik 75DFで処理した植物(群3)、アジュバント単独で処理した植物(群4)、及びケイ素単独で処理した植物(群5)と比較して、区画当りのポンドで表した販売可能な果実に関して最良の結果、ならびに区画当りの販売不可の果実の数及びポンドで表した販売不可の果実の両方に関して最良の結果を得た。
【0099】
(表8)コショウの収穫データ
【0100】
実施例2 カボチャにおけるうどんこ病の管理のための化学品製剤の評価
移植したペポカボチャ(Cucurbita pepo)「ディキシー」種カボチャ植物を9群の処理群のうちの1群に分けた。群1は未処理対照であり、残りの8群を化学組成が異なる製剤で噴霧処理した(表9)。植物を24、30、37、44、及び49日目に、表9に示すように処理した。31日目及び42日目に、症状のある葉の割合を推定することによって病害重症度を評価した。
【0101】
(表9)うどんこ病病害重症度のANOVA平均値の表
1つの欄において同一の文字が後に記載されるまたは後に文字のない平均値は、示されたP値で有意差がない。施用は、A=24日目、B=30日目、C=37日目、D=44日目、E=49日目に実施した。
アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0102】
果実を44日目と53日目に収穫した。以下の表10に示すように、群6の植物は、44日目において、他のいずれの処理群または対照群の植物と比較して、区画当りの販売可能な果実の数及び区画当りのポンドで表した販売可能な果実が増大した。
【0103】
(表10)カボチャ収穫量のANOVA平均値の表
1つの欄において同一の文字が後に記載されるまたは後に文字のない平均値は、示されたP値で有意差がない。施用は、A=24日目、B=30日目、C=37日目、D=44日目、E=49日目に実施した。アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0104】
カボチャにおけるうどんこ病の防除を、アジュバントを含むまたはアジュバントを含まないRally(登録商標)及びQuintec(登録商標)の種々の製剤を用いて測定した。5oz/ガロンのRally(登録商標)及び6oz/ガロンのQuintec(登録商標)を単独で、または0.25oz/ガロンのアジュバントと組み合わせた使用を測定した。毎週Rally(登録商標)及びQuintec(登録商標)を追加施用することにより、対照と比較して、うどんこ病菌で覆われた葉の割合が効果的に35%低下した。アジュバントを添加し、施用の間隔を14日にすることにより、対照と比較して約30%の低下で殺菌剤単独を凌駕した。アジュバントの添加により、殺菌剤の施用量が33%減少し、且つ表示施用量どおりの場合よりも、防除が、対照と比較したうどんこ病菌で覆われた葉の割合で30%優れていた。
【0105】
実施例3の材料及び方法
実験の立地 野外試験をthe University of Florida, Southwest Florida Research and Education Center (“SWFREC”), Immokalee, Floridaで実施した。現場は3年齢のグレープフルーツの木があるAdams Ranch Block #1であった。
【0106】
処理剤の施用 栽培装置を用い、前記の樹木の溝側及び中央側に各処理剤製剤を噴霧により施用した。
【0107】
データ収集及び解析 各試験に関して、個々の樹木の全体から大きさと位置が均一になるように葉を選択した。1本の樹木からプラスチック袋に約10枚の葉を採取した。葉を氷上に載置し、SWFREC, Immokaleeの研究室に輸送した。次いで葉を脱イオン水で逐次的に3回洗浄した。穴開け器を用いて、いくつかの葉から中心の葉脈付近の組織を取り出し、合計1グラムの組織をまとめてエッペンドルフチューブに入れ、終夜凍結乾燥した。種々の食品からオキシテトラサイクリンを検出するための市販のELISAキット(Oxytetracycline ELISA Test Kit, Bioo Sientific Corp., Austin, TX)を、メーカーのキット取り扱い説明書を用い、この試験に適合させて使用した。各試料を2回の繰り返しで測定し、キット中に付属する適宜の陽性及び陰性対照をELISAプレート中に含有させた。結果をELISAプレートリーダーで読み取った。
【0108】
実施例3 柑橘類の葉への噴霧施用後のオキシテトラサイクリンの検出
0日目に各処理剤製剤を噴霧施用した。実験設計は、4回の繰り返し試験での無作為化ブロックであった。1列全体の樹木を繰り返し試験として機能させ、樹木の両側(溝側及び中央側)に施用した。処理剤製剤を以下の表11に示す。処理の48時間後に、木から葉を採取した。各繰り返し試験内で、各処理群から3本の木、計12本の木を採取した。1列内の3本の樹木(繰り返し試験)は、ほぼ均質な樹木の健康状態及び列の東部分、中央部分、及び西部分付近の位置に基づいて選択した。表11に示すように、群2(Mycoshield(登録商標)+アジュバント)の樹木由来の葉のオキシテトラサイクリン取り込みのレベルは、群1(Mycoshield(登録商標)単独)及び群3(Mycoshield(登録商標)+Spread(登録商標)R)の樹木から採取した葉と比較してより高かった。
【0109】
(表11)柑橘類の葉におけるオキシテトラサイクリンの測定
xアジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0110】
実施例3における結果は、Mycoshield(登録商標)を本出願のアジュバント組成物と併用することによって、アジュバントの非存在下でMycoshield(登録商標)を施用した場合よりも約11.5%多いオキシテトラサイクリンの「葉の取り込み」、及びSpread(登録商標)Rとの併用でMycoshield(登録商標)を施用した場合よりも約7%多いオキシテトラサイクリンの「葉の取り込み」が誘導されたことを示す。これらの結果は、本願のアジュバント組成物が植物処理用化学品の送達を高めることができることを示唆している。
【0111】
実施例4 木本低木及び混合草本における強化除草剤の削減試験
除草剤のイマザピルとトリクロピルとを含む植物処理用化学品製剤を、フェンスで囲まれた木本低木及び混合草本のフィールドに空中散布した。前記フィールドに、除草剤製剤、または、表示どおりの強度の除草剤量、30%削減した除草剤量、もしくは15%削減した除草剤量を含むアジュバント強化除草剤製剤を施用した。施用3ヶ月後に、強化除草剤製剤(表示どおりの強度、30%削減した強度、及び30%削減した強度)を噴霧した木本低木は、アジュバントを含まない通常の除草剤混合物を噴霧した植物と比較して、削減した除草剤量であっても、施用した除草剤に対してより速い応答を示した(図2A~2H)。イマザピルは通常、草本植物に対する効果が見え始めるのに2~5ヶ月を要する。83日目に、アジュバント製剤で処理した混合草本は黄変及び劣化を示した。木本低木及び混合草本の両方におけるこの有効性ならびに作用速度は、アジュバント組成物中のポリマーに起因すると考えられる(図2A~2H)。
【0112】
実施例4の結果は、アジュバントを、表示どおりの強度及び低強度の除草剤製剤と併用すると、施用した除草剤に対する応答がより迅速になったことを実証している。
【0113】
実施例5 一年生イチゴにおいて複数の病害を防除するための殺菌剤の評価
0日目に、カナダ産のフラガリア x アナナッサ(Fragaria x ananassa)「ストロベリー・フェスティバル(Strawberry Festival)」の走行枝を、プラスチックマルチでマルチングしたレイズドベッド中の臭化メチル:クロルピクリン(50:50)で燻蒸した土壌に移植した。頭上式スプリンクラーによって移植植物に10日間散水して定着を促し、次いでドリップテープにより注水及び施肥を行った。前記ベッドの幅は4フィートの中心部で28インチであった。それぞれのベッドには、複数の列内で15インチ及び列と列の間で12インチの間隔で配置した植物のジグザグ状の2つの列が備えられていた。それぞれ別個のベッド中の4ブロックでの、無作為化完全ブロック処理の設計で、処理を設定した。殺菌剤の施用は、12インチ間隔の2基のTeeJetホローコーンノズルを備えたブームを通して、40psiで100gal/Aを放出するように較正した背負い型CO噴霧器を用いて、67日目~162日目の間に毎週1回(計15回)施用した。実験用の製品は、単独で、タンク内混合物で、または他の製品とのブロック化プログラムで施用した。イチゴの果実を92日目~172日目の間、毎週2回(計24回)収穫した。販売可能な果実を計数及び秤量して、収量を測定した。重量が10gに満たない小さな果実、炭疽病(コレトトリカム・アクタツム(Colletotrichum acutatum))及び灰色カビ病に罹った果実、ならびに他の販売不可の果実も計数した。発病率を、販売可能な果実及び販売不可の果実の合計数に対する割合として表した。シーズン終了時に、選択した処理剤において、区画当り6株の中央部の植物を検査することによって、角斑病(ALS;キサントモナス・フラガリエ(Xanthomonas fragariae))の重症度を測定した。ALSによって枯れたかまたは部分的にしおれた葉の数を、植物1つ当りの葉の総数に対する割合として表した。実験変数を二元配置分散分析によって解析した。
【0114】
開花期(6週目~9週目)及び本シーズンの後期(10週目~15週目)の異常に乾燥した天候が、今シーズンの果実腐敗の発生率の低下に寄与した。灰色カビ病による果実腐敗は全ての処理剤において1.0%未満であった。炭疽病による果実腐敗の発生率は低く、Actinovate(登録商標)単独及びFree-Flow(登録商標)土壌灌注剤単独を除いて、全ての処理剤が炭疽病発生率を低下させた。しかしながら、標準的なキャプタン単独での処理、または開花中にCaptevate(登録商標)とSwitchを交互に用い、その後のシーズン後半にAbound(登録商標)とキャプタンを交互に用いることから構成される標準的な処理よりも、良好に炭疽病を防除した処理剤はなかった(表12)。ALSの重症度は、凍結防止のために頻繁に頭上からの散水を行ったことに起因して高かった。ALSはいずれの処理剤によっても低下せず、実際にはMOI-10及びInduce(登録商標)アジュバントを含有する処理剤によって増大した。いくつかの処理剤は未処理対照と比較して販売可能な果実の収量を増加させたが、標準的な処理と比較した場合には、販売可能な果実の収量を有意に増加させた処理剤はなかった。Actinovate(登録商標)+Induce(登録商標)による処理、及び開花期におけるScala(登録商標)、続いてFlint(登録商標)による処理においては、標準的なキャプタン処理よりも販売可能な果実の収量が低下した。アジュバント処理における販売可能な果実の収量及び炭疽病の発生率は対応する標準的な処理と同様ではあったが、用いた各殺菌剤の量は標準的な処理よりも3分の1少なかった。
【0115】
(表12)イチゴの病害重症度
プラス「+」記号で示す製品のタンク内混合物;「alt」で示す製品の交互使用。
施用する週。毎週1回の連続15回の施用。
ALS=角斑病;AFR=炭疽病果実腐敗。
1つの欄内で同一の文字が後に記載される平均値は、フィッシャーの制約付きLSD検定(P≦0.05)では有意差がない。
この処理剤中の全ての殺菌剤は、1:250 w:vの最終的な溶液で、アジュバントとタンク内混合した。アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含んでいた。
【0116】
実施例5は、一般的な噴霧プロトコールよりも1/3少ない量の駆除剤を含み且つアジュバントが存在する、植物処理用化学品製剤を使用することによって、収量がわずかに高くなり(販売可能な果実が約2%多い)、病害防除において有意差がないことを示す(図3)。より迅速な応答に加えて、対象となる雑草及び低木密生林をより完全に乾燥させ、枯らす。前記アジュバントにより、施用量を15%及び30%削減して、防除が困難な雑草及び低木密生林を商業的に防除することが可能になる。
【0117】
実施例6 トマトの生育チャンバーアッセイ
5週齢のトマト植物18株に、手持ち式噴霧器を用いて化学品処理剤を施用し、完全に風乾した。未処理対照として9株を更に加えた。前記化学品処理剤が乾燥した後、各処理群中の植物を洗浄群及び非洗浄群として9株の2群に分けた。非洗浄群は一時的に片づけた。耐雨性を試験するために、洗浄群の個々の植物を、水を交換するために連続的に流した、個別の5ガロン容量の水に1秒間隔で4回完全に浸漬した。洗浄群の植物が乾燥した後、両群の植物及び全ての処理剤を完全に無作為化した設計で設定し、1×106cfu/mlのX. ペルフォランス(X. perforans)の懸濁液の噴霧施用を接種した。接種に続いて植物を風乾し、その後25℃、相対湿度100%で48時間インキュベートし、次いで更に25℃、相対湿度65%で4~6日間維持して、感染及び病徴発現を促進させた。病害重症度を、LICORリーフメーターを用いて測定した、葉面積1cm当りの葉の病変の総数として評価した。
【0118】
前記接種操作により、葉面積1cm当り6.9~60.9の病変の範囲である申し分のない病害圧(disease pressure)が生じた。この実験に関するP値は0.0001未満であり、処理剤間に有意差があった。洗浄有り及び洗浄なしのアジュバント単独処理では、未処理対照と比較して斑点細菌病が統計的に低下した(表13)。有意ではないが、銅の量が多いことと、葉面積当りの病変の減少によって判定されるより良好な斑点細菌病の抑制とが一致した。銅処理に関して、洗浄処理と非洗浄処理との間に有意差が観測された。葉を洗浄したか否かにかかわらず、アジュバントは銅処理において斑点細菌病に有意な効果はなかった。しかしながら、洗浄処理において、アジュバントを伴う場合はどちらの量の銅も、銅単独の場合よりも数値的により良好な結果であった。経時的に見れば、この差は潜在的には野外条件下において増幅される可能性がある。
【0119】
(表13)Cuprofix(硫酸銅)の耐雨性に対する及びキサントモナス・ペルフォランス(Xanthomonas perforans)に起因する斑点細菌病(BLS)の重症度に対するPDSの効果
アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0120】
銅処理において、葉を洗浄したか否かにかかわらず、前記アジュバントは斑点細菌病に有意な効果はなかった。しかしながら、洗浄処理において、アジュバントを伴う場合はどちらの量の銅も、銅単独の場合よりも数値的により良好な結果であった。経時的に見れば、この差は潜在的には野外条件下において増幅される可能性がある。
【0121】
実施例7 柑橘類病害の野外試験
Vero Beach/Fort Pierce地区の一人の栽培家が管理するグレープフルーツ及びオレンジの栽培面積の約70%に対して、アジュバントを噴霧プログラムに組み入れた。更に、グリホサートと共にアジュバントを用いて、横並びでの野外噴霧試験を実施した。この試験に関与した合計2,105エーカーの内のおおよそ1,485エーカー(70%)に対して、アジュバントを通常の噴霧プログラムに追加した。果樹園の全ての領域における噴霧作業は、アジュバントを用いること以外の全ての面(すなわち、使用した器具、人員、噴霧した材料、噴霧の時期など)で同一であった。アジュバント処理していない果実と比較した、アジュバント処理した果実に見られた差異としては、(i)がん腫病、黒点病、潜葉性昆虫、及びアルテルナリア属(Alternaria)の防除の有意な向上、(ii)噴霧した製品を果実及び葉の上により長期間維持し、栽培家が噴霧の間隔をより長くすること及び/または何らかの使用する製品(例えば銅)の量を削減することを可能にするアジュバント製剤の能力、(iii)約20%高いアジュバント処理した果樹からの収率(表14)が挙げられる。
【0122】
(表14)収穫した柑橘類果実の収率
アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0123】
種々の希釈度のグリホサートと共にアジュバント用いて、横並びでの野外試験を実施した。種々のレベルのグリホサートを、一般的な希釈率から始め、これをその基準の89%~44%の範囲のより低い5レベルと比較して、噴霧し且つ観察した。16週間の観察及び「枯らす」結果に基づいて、アジュバントを用いることにより、栽培家が将来的にグリホサート材料の量を50%削減することが可能になると考えられる(これは、昨今栽培家にとってのグリホサート材料のコストが倍増していることを考慮すると重要である)。
【0124】
実施例8の材料及び方法
実験設計 この実験設計には、表15に明示した種々の処理剤の施用が含まれる。殺菌剤を10日の間隔で8回施用した一方、保護剤の処理剤は5日の間隔で12回施用した。各処理群には個々の区画のバナナ植物が含まれていた。試験は3回の繰り返しで実施した。
【0125】
(表15)処理群
アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0126】
各処理において施用した油分の量 各処理中に施用した油分の量を表16に示す。
【0127】
(表16)施用した油分の量
アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0128】
施用時の装置及び気象条件 表17及び18に示すように、処理剤をバナナの木に施用した。野外試験時の気候条件は図4に示すとおりであった。
【0129】
(表17)処理剤の施用
【0130】
(表18)処理剤の施用
野外試験は図4に示した。
【0131】
データ収集及び解析 最も若い感染葉(YLI)、斑点のある最も若い葉(YLS)、感染指数、及び総葉数を15日毎に評価した。変数の曲線下の解析を用いて解析を行った。
【0132】
実施例8 バナナの野外試験
表18に記載した種々の植物処理剤製剤を用いてバナナの木を処理した。この野外試験全体を通して、木の全葉数(図5のA)、最も若い感染葉(図5のB)、及び斑点のある最も若い葉(図5のC)を評価した。経時的な処理剤の分布を図6のA及びBに示す。図7のAは、種々の化学品製剤(表19)で処理したバナナ植物におけるブラックシガトカ病(マイコスファエレラ フィジエンシス)の防除を示す。
【0133】
(表19)ブラックシガトカ病の防除
同一の文字が後に記載される平均値は有意差がない(P=0.5、LSD)。
アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0134】
各処理群におけるブラックシガトカ病の防除を図7のBに示す。各殺菌剤処理剤に関する感染指数(II)、YLI、YLS、及び全葉数(HT)の分散及び平均値分離の解析を表20に示す。
【0135】
(表20)平均値の表
同一の欄における同一の文字のついた平均値は有意差がない(P>0.01)。検定:フィッシャーLSD α=0.01。
アジュバント製剤は、95.70重量%の水、2.00重量%のACUSOL(登録商標)823、0.10重量%のPVA(分子量100,000)、0.10重量%のZnSO一水和物、0.10重量%のAntifoam(登録商標)8810、及び2.00重量%のTEAを含む。
【0136】
図8は、最初の施用の75日後、最後の保護剤殺菌剤施用の20日後、及び最後の浸透性殺菌剤施用の5日後のバナナ植物を示す。TPS有り及びなしの斑点及び壊死組織に対する処理剤の効果(最後の施用の30日後)を図9のA及びBに示す。
【0137】
湿ったバナナの葉にアジュバントを施用する効果を図10のA~Gに示す。
図10のAは、湿ったバナナの葉に、Banazeb(登録商標)60SC単独(左上の四角)、Banazeb(登録商標)60SC+アジュバント(右上の四角)、及びVondozeb(登録商標)62SC(下の四角)を施用した効果を示す。Banazeb(登録商標)60SC+アジュバント(図10のB)及びアジュバントの非存在下でのBanazeb(登録商標)60SC(図10のC)で処理した葉の詳細画像も示す。
【0138】
Banazeb(登録商標)60SC+アジュバント(図10のD)及びアジュバントの非存在下でのBanazeb(登録商標)60SC(図10のE)の施用に対する洗浄水の影響も示す。図10のF及びGは、日焼けしたバナナの葉へのBanazeb(登録商標)60SC(図10のF)及びBanazeb(登録商標)60SC+アジュバント(図10のG)の使用に対する洗浄水の影響を示す。
【0139】
代表的な油分とアジュバントとの混合物を図11のAに示し、一方図11のBは水とアジュバントとの混合物を示す。
【0140】
アジュバント製剤をバナナの葉に施用する効果を、施用後18日目の時点で図12のAに、及び施用後32日目の時点で図12のBに示す。
【0141】
実施例8の結果は、感染前または感染後のいずれにおいても、アジュバントにはシガトカ病に対する直接的な殺菌効果はないことを示している。これらの結果はまた、前記アジュバントが作物油(crop oil)とうまく混和しないことも示している。したがって、確実に均質な混合物を得るためには乳化剤が必要になる。前記アジュバントは、乾燥した後では容易に洗い流されないことから、強い「耐雨性」効果を有する。前記アジュバントはまた、湿った葉への活性成分の再分配も改善し、これは保護剤にとって特に有効である。アジュバント組成物による処理により、作物油の量を50%削減して、満足のいく防除が維持された。したがって、前記アジュバントは低用量の油分でより良好に機能する。野外試験における施用は、非常に雨の多い年で、626.2mmの降雨量の下で行われた。前記アジュバントにより、浸透性殺菌剤及び接触殺菌剤の両方の量を30%削減して同等の防除が得られた。
【0142】
本明細書において、好ましい実施形態を詳細に図示及び説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく種々の修正、追加、置換などをなし得ることは当業者には明らかであろう。したがって、これらの修正、追加、置換などは添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内であると見なされる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A-1】
図6A-2】
図6A-3】
図6A-4】
図6B-1】
図6B-2】
図6B-3】
図6B-4】
図6B-5】
図6B-6】
図6B-7】
図6B-8】
図7A
図7B
図8
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図10A
図10B
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図10F
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図11
図12