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特許7176769非経口栄養診断システム、装置、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】非経口栄養診断システム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20221115BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221115BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A61B6/03 370Z
A61B6/03 377
A61B6/03 360J
G06T7/00 612
A61M5/142 530
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019561758
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2018031093
(87)【国際公開番号】W WO2018208593
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】62/503,670
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(73)【特許権者】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】リップシュルツ, ステファン エー.
(72)【発明者】
【氏名】パーサッド, ナイジェル エム.
(72)【発明者】
【氏名】シルバースタイン, ジョナサン
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-081394(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0058673(US,A1)
【文献】特開2013-118914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055926(US,A1)
【文献】Olav Rooyackers et al.,Imaging opens possibilities both to target and to evaluatie nutrition in critical illness,Critical Care,2014年,1-3,http://ccforum.biomedcentral.com/articles/10.1186/cc138882
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00ー6/14、5/055、8/00ー8/15、5/00ー5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非経口栄養診断システムであって、
コンピュータ断層撮影撮像デバイスであり、該デバイスが、
患者の中央部に対してスキャンを実行し、
前記中央部の異なる断面の高さでのスライスの各々の2次元画像のセットを生成するように構成されており、各2次元画像が、前記患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含んでいる、コンピュータ断層撮影撮像デバイスと、
前記コンピュータ断層撮影撮像デバイスに通信によって結合されている軟組織解析サーバであり、該サーバが、
前記放射線濃度データを使用して、どの前記2次元画像が最低量の骨組織を含んでいるかを決定することによって、前記2次元画像のセットから対象の2次元画像を選択し、
前記対象の2次元画像を使用して、前記放射線濃度データに基づき組織の表面積を決定し、
ハウンスフィールド単位での前記放射線濃度データを用いて前記組織の表面積の分布プロットを作成し、
-50ハウンスフィールド単位及び80ハウンスフィールド単位の範囲内の局所ピークに対応する前記分布プロット内の軟組織のピークの位置を特定し、
前記軟組織のピークの指示を送信する、
ように構成されている、軟組織解析サーバと、
前記軟組織解析サーバに通信によって結合されている薬剤調合システムであり、該システムが、
前記軟組織のピークが既定のしきい値を下回る場合に、前記患者に対して医療処置を実行する前に非経口栄養治療を実行するべきであるということを決定し、
前記軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて前記非経口栄養治療の栄養指示パラメータを決定し、
前記非経口栄養治療の前記栄養指示パラメータを送信する、
ように構成されている、薬剤調合システムと、
前記薬剤調合システムに通信によって結合されている非経口栄養ポンプであり、該ポンプが、
前記非経口栄養治療の受信された前記栄養指示パラメータに基づいて非経口栄養注入療法をプログラムし、
前記非経口栄養注入療法を前記患者に提供する、
ように構成されている、非経口栄養ポンプと、
を備えている、システム。
【請求項2】
電子医療記録サーバであり、該サーバが、
前記軟組織のピークを受信して格納し、
前記軟組織のピークを前記既定のしきい値と比較し、
前記軟組織のピークが既定のしきい値を下回る場合に警報を送信し、
非経口栄養治療が実行されるべきであるということを示すメッセージを前記薬剤調合システムに送信する、
ように構成されている電子医療記録サーバをさらに含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記非経口栄養治療の前記栄養指示パラメータが、注入される栄養素の体積、注入される栄養液、注入速度、又は注入期間のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記栄養液が、炭水化物、脂質、タンパク質、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リン酸塩、酢酸塩、塩化物、葉酸、アミノ酸、オメガ3脂肪酸、ビタミン、及び栄養補給剤のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記薬剤調合システムが、
(i)前記軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて前記非経口栄養注入療法のための栄養物質を調合すること、又は
(ii)前記軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて前記非経口栄養注入療法のための予混合容器を選択すること
のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記薬剤調合システムが、前記患者の年齢、前記患者の性別、前記患者の体重、前記患者の病状、前記患者の生理的パラメータ、及び前記患者に対して実行される前記医療処置のうちの少なくとも1つにさらに基づいて、前記栄養指示パラメータを決定し、(i)及び(ii)のうちの少なくとも1つを実行するように、構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記非経口栄養ポンプが、大容量ポンプ又は重力式ポンプを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの撮像デバイスと共に動作可能な非経口栄養診断装置であって、
前記少なくとも1つの撮像デバイスに通信によって結合された画像インターフェイスであり、該画像インターフェイスが、医用画像のセットを受信するように構成されており、各医用画像が、(i)患者の異なる断面が撮影された画像であり、(ii)前記患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含んでいる、画像インターフェイスと、
少なくとも1つのプロセッサであり、該プロセッサが、
前記患者の望ましい領域に対応する前記医用画像のセットから対象の医用画像を選択し、
前記対象の医用画像内の質量中心を決定し、
対象領域の幾何学的中心が前記質量中心に揃うように、前記対象領域を前記対象の医用画像の上に決定し、
前記対象の医用画像を使用して、前記放射線濃度データに基づき前記対象領域内の組織の面積を決定し、
前記放射線濃度データを用いて前記対象領域内の前記組織の表面積の分布を決定し、
筋肉組織、臓器組織、及び筋肉内脂肪組織に関連する前記分布内の領域での局所ピークに対応する前記分布内で軟組織のピークの位置を特定し、
栄養的に不健康な患者に対応し、28ハウンスフィールド単位及び50ハウンスフィールド単位の間の値を含む既定のしきい値を下回る位置に前記軟組織のピークが生じるかどうかに基づいて前記患者の栄養状態を決定し、
前記患者の栄養状態を示す情報を提供する、
ように構成されているプロセッサと、
を備えている、装置。
【請求項9】
前記異なる断面が、前記患者の中央部の異なる横断面である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記患者の前記望ましい領域が、第3腰椎と第4腰椎の間にある、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサが
記栄養状態が前記既定のしきい値を超えているときに、別の医療処置の前に栄養治療が不要であるということを示すメッセージを送信し、
前記栄養状態が前記既定のしきい値未満であるときに、前記患者が前記栄養治療を受けるべきであるということを示すメッセージを送信する、
ようにさらに構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
-150ハウンスフィールド単位と150ハウンスフィールド単位の間に複数のビンを作成することであって、各ビンが放射線濃度の異なる値に対応する、ことと、
前記対象の医用画像からの各ピクセルを前記ビンのうちの1つに割り当てることと、
前記各ビンに割り当てられた前記ピクセルを合計してビンごとに組織の面積を決定することと
によって、前記放射線濃度データに基づき前記組織の面積を決定するようにさらに構成されている請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記ビンが、0.1ハウンスフィールド単位~2ハウンスフィールド単位の幅を有している、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記対象の医用画像内の前記ピクセルの各々が、前記ピクセル内で示された前記組織の前記放射線濃度に基づいて色分けされている、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記対象領域が、腰筋の視覚的指示を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
前記質量中心が第1の質量中心であり、前記対象領域が第1の対象領域であり、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1の対象領域内の骨組織を識別し、
前記骨組織のみを使用して前記第1の対象領域内の第2の質量中心を決定し、
第2の対象領域の幾何学的中心が前記第2の質量中心に揃うように、前記第2の対象領域を前記対象の医用画像の上に置いて前記第1の対象領域を置き換え、
前記第2の対象領域に対応する前記対象の医用画像の前記放射線濃度データに基づき第2の組織の面積を決定する
ようにさらに構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項17】
非経口栄養診断装置の作動方法であって、
前記非経口栄養診断装置の少なくとも1つのプロセッサにおいて、前記非経口栄養診断装置と共に動作可能である撮像デバイスから、患者の異なる断面でのスライスの各々の医用画像のセットを取得するステップであり、各画像が、前記患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含んでいる、ステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記医用画像のセットを解析して、前記患者の指定された領域に対応する骨組織の総面積を決定する、解析するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、最低の骨組織の総面積を有する対象の医用画像を、前記解析された医用画像のセットから選択するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記対象の医用画像から前記放射線濃度データの分布を決定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、筋肉組織、臓器組織、又は筋肉内脂肪組織のうちの少なくとも1つに関連する、前記放射線濃度データの前記分布内の領域で局所ピークを識別するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記局所ピークの放射線濃度値が第1の放射線濃度の範囲内にある場合、前記患者の第1の栄養状態を評価するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記局所ピークの放射線濃度値が第2の放射線濃度の範囲内にある場合、前記患者の第2の栄養状態を評価するステップと、
を含んでいる、作動方法。
【請求項18】
Savitzky-Golayデジタルフィルタ、移動平均フィルタ、マルチパスフィルタ、又は畳み込みフィルタのうちの少なくとも1つを使用して前記放射線濃度データの前記分布を平滑化するステップをさらに含んでいる、請求項17に記載の作動方法。
【請求項19】
前記放射線濃度データの前記分布が、(i)前記放射線濃度データに基づく前記対象の医用画像のピクセルの数、又は(ii)前記放射線濃度データに基づく前記対象の医用画像内で提供される組織の表面積のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項17に記載の作動方法。
【請求項20】
前記第1の放射線濃度の範囲が40ハウンスフィールド単位~80ハウンスフィールド単位であり、
前記第2の放射線濃度の範囲が0ハウンスフィールド単位~40ハウンスフィールド単位である、請求項17に記載の作動方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記患者が前記第2の栄養状態にあるということに基づいて、警報又は警告のうちの少なくとも1つが生成されるべきであるということを決定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記警報又は警告のうちの前記少なくとも1つを、臨床医のデバイス、薬剤調合システム、及び電子医療記録サーバのうちの少なくとも1つに送信するステップと、
をさらに含んでいる、請求項17に記載の作動方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、(i)栄養液の成分又は組成、及び(ii)患者が前記第2の栄養状態にあるということ及び前記患者の少なくとも1つの人口統計の特徴に基づいて投与される前記栄養液の全体積、を決定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記栄養液を調合するために(i)及び(ii)を薬剤調合システムに提供するステップと、
をさらに含んでいる、請求項17に記載の作動方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、(i)及び(ii)に基づいて注入ポンプ用の投与パラメータを決定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記投与パラメータ及び前記患者の識別子を含んでいる投与メッセージを作成するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記投与メッセージを前記注入ポンプに送信して、前記投与パラメータに従って、栄養療法が、前記識別子によって識別された前記患者に施行される、送信するステップと、
をさらに含んでいる、請求項22に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
[0001]手術、がん治療、けが、感染、又は早産に対する体の代謝反応は、多くの場合、除脂肪体重の貯蔵場所から活性タンパク質合成の場所へのアミノ酸の移動によって決まる。加えて、がん治療用の一部の化学療法薬の毒性は、脂肪と除脂肪体重の組織の間の薬剤の分布によって決まることがある。おそらくアミノ酸の予備の不足を示す全身の筋肉量の不足が、治療の供給ラインを損ない、以て、手術部位又は損傷部位におけるタンパク質合成の十分な速度を維持する体の能力を妨げることがあるということが、研究によって発見された。アミノ酸の不足は、筋肉量を減少させ、手術、治療、又はけがに対する体の代謝反応を損ない、回復時間の長期化及び合併症の発症、感染などの、手術後(又は術後)のリスクの増加につながる可能性がある。結局、アミノ酸の不足が、病院の再訪の増加、入院の長期化、及び/又は良好でない転帰につながることがある。
【0002】
[0002]現在、臨床医は、患者の栄養状態を定量的且つ客観的に定義することができない。多くの場合、医療処置が実行される前に、臨床医は、目視観察から患者の全体的な栄養状態が決定される、「目視検査」又は半主観的評価を実行する。例えば、臨床医は、特定の皮膚領域をつまみ、脱水症及び脂肪含量を決定することがある。また、臨床医は、患者の胸郭の周囲の脂肪量を観察し、栄養不良又は飢餓を判断するか、或いは体重及び身長に基づいて患者の肥満度指数(BMI:body mass index)(患者のキログラム単位の体重をメートル単位の身長の二乗で割った値)を計算する。患者の外観に加えて、臨床医は、体重、体温、及び心拍数などの重要な生理的パラメータを調べることもある。場合によっては、臨床医は、どのように感じているか(例えば、自己申告の疲労)について患者にさらに質問し、おおよその栄養状態を決定することがある。
【0003】
[0003]しかし、目視検査及びBMI計算は、これらの評価が全身の体脂肪量による影響を大きく受けるため、医学的に確実な患者の栄養状態を提供せず、筋肉量又は筋肉の質を正確に評価することができない。さらに、これらの評価は、両方とも、骨格筋及び結合組織を簡単に観察することができないため、患者の筋肉量でも筋肉の質でもなく、脂肪含量を決定することに依存する。したがって、これらの既知の評価は、両方とも、実際には患者の筋肉量が大幅に減少している可能性がある場合に、患者が許容できる栄養状態にあるという誤った印象を与えることがある。さらに、目視検査は、臨床医の主観的評価に基づいているため、異なる臨床医間で一貫しない適用結果をもたらすことがある。既知の評価方法の別の欠点は、時間的制約のある特定の状況において、重要な医療処置が実行される前に、臨床医が目視検査又は半主観的評価を実行する機会が存在しないことがあるということである。
【概要】
【0004】
[0004]本明細書において開示される例示的なシステム、装置、及び方法は、患者の栄養状態の内部指標を自動的に決定又は評価して、集中的な医療処置を受ける前又は直後に、患者の栄養療法(例えば、非経口栄養療法)を検討するべきかどうかを確認するように構成される。本明細書において開示される例示的なシステム、装置、及び方法は、全身のタンパク質貯蔵の指標として、体の筋肉量の測定値を生成する。筋肉量測定値は、アミノ酸の貯蔵の不足の結果として術後の合併症を被る患者の個別のリスクを評価するために使用される、客観的な指標、値、又は兆候を提供する。
【0005】
[0005]例示的なシステム、装置、及び方法は、患者の腹部又は中央部の断面スライスを解析することによって、筋肉量測定値(複数可)を生成する。この断面スライスは、コンピュータ断層撮影(CT:computed tomography)撮像デバイスによって記録された2次元画像を含んでよい。この画像は、例えば、組織の放射線濃度レベルを示す。本明細書において開示される例示的なシステム、装置、及び方法は、放射線濃度レベルを使用して、骨組織、筋肉組織、脂肪組織(例えば、内臓脂肪組織及び/又は皮下脂肪組織)、過渡的な軟組織(例えば、移行上皮、筋肉内脂肪組織、脂肪組織が浸潤した筋肉組織)、及び臓器組織を含む、区別できる組織の種類の表面積を決定する。例示的なシステム、装置、及び方法は、異なる組織の種類の総断面積を決定し、脂肪及び過渡的な軟組織と相対的な筋肉組織の量を決定する。例示的なシステム、装置、及び方法は、脂肪又は過渡的な軟組織と相対的な筋肉組織の量が、指定されたしきい値を下回っている場合に、栄養的な不足の可能性があるとして、患者を識別してもよい。場合によっては、このしきい値は、患者の人口統計、病状、及び/又は生理的パラメータに基づいて調整されてもよい。したがって、本明細書において開示される例示的なシステム、装置、及び方法は、患者の栄養状態を素早く効率的に決定又は評価するための診断システムを提供し、この診断システムは、外科的処置又は化学療法の前又は後の栄養不良状態を治療するために使用されてもよい。
【0006】
[0006]患者の栄養状態を評価することに加えて、本明細書において開示される例示的なシステム、装置、及び方法は、脂肪又は過渡的な軟組織と相対的な筋肉組織の量に基づいて非経口栄養治療を決定、推奨、又は選択するように構成される。例示的なシステム、装置、及び方法は、非経口栄養ポンプをプログラムするための栄養投与パラメータを選択することによって、非経口栄養治療を推奨してもよい。加えて、例示的なシステム、装置、及び方法は、他の情報の中でも特に、脂肪又は過渡的な軟組織と相対的な筋肉組織の量に基づいて、栄養物質の調合を実行又は推奨してもよい(或いは、前もって混合された栄養物質を選択してもよい)。
【0007】
[0007]一実施形態例では、非経口栄養診断システムは、患者の中央部に対してスキャンを実行して、中央部の異なる断面高さでのスライスの各々の2次元画像のセットを生成するように構成されたCT撮像デバイスを含んでおり、各2次元画像は、患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含む。例示的なシステムは、CT撮像デバイスに通信によって結合された軟組織解析サーバも含む。軟組織解析サーバは、放射線濃度データを使用して、どの2次元画像が最低量の骨組織を含んでいるかを決定することによって、2次元画像のセットから対象の2次元画像を選択し、この対象の2次元画像を使用して、放射線濃度の異なる値又はレベルごとに、組織の表面積又は断面積を決定するように、構成される。軟組織解析サーバは、ハウンスフィールド単位(HU:Hounsfield Units)での放射線濃度値ごとに、組織の表面積又は断面積の分布プロットをさらに作成して、-50HU及び80HUの範囲内の局所ピークに対応する分布プロット内の軟組織のピークの位置を特定し、この軟組織のピークの指示を送信してもよい。
【0008】
[0008]実施形態例のシステムは、軟組織解析サーバに通信によって結合された薬剤調合システムをさらに含む。薬剤調合システムは、軟組織のピークに関連するデータが既定のしきい値を下回る場合に、患者に対して医療処置を実行する前に非経口栄養治療を実行するべきかどうかを推奨し、軟組織のピークに関連するデータに少なくとも部分的に基づいて非経口栄養治療の栄養指示パラメータを推奨し、非経口栄養治療の推奨される栄養指示パラメータを送信するように、構成される。さらに、例示的なシステムは、薬剤調合システムに通信によって結合された非経口栄養ポンプを含む。非経口栄養ポンプは、非経口栄養治療の受信された推奨される栄養指示パラメータに基づいて非経口栄養注入療法をプログラムし、この非経口栄養注入療法を患者に提供するように構成される。
【0009】
[0009]別の実施形態例では、非経口栄養診断装置が、少なくとも1つの撮像デバイスに通信によって結合された画像インターフェイスを含む。この画像インターフェイスは、患者の中央部の異なる断面でのスライスの各々の2次元画像のセットを受信するように構成される。各2次元画像は、患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含む。例示的な装置は、患者の望ましい領域(例えば、第3腰椎と第4腰椎の間の領域)に対応する2次元画像のセットから対象の2次元画像を選択するように構成された少なくとも1つのプロセッサも含む。少なくとも1つのプロセッサは、対象の2次元画像を使用して、放射線濃度の異なるレベル又は値ごとに組織の面積を決定し、放射線濃度値ごとの組織の表面積又は断面積の分布を決定するようにも構成される。少なくとも1つのプロセッサは、筋肉組織及び筋肉内脂肪組織に関連する領域内の局所ピークに対応する分布内で軟組織のピークの位置を特定して、軟組織のピーク及び可能性のあるその他の情報に基づいて患者の栄養状態を決定又は推奨するようにも構成される。
【0010】
[0010]本明細書に記載された対象の態様は、単独で、又は本明細書に記載された1つ又は複数の他の態様と組み合わせて、有用であってもよい。前述の説明を制限せずに、本開示の第1の態様では、非経口栄養診断システムは、患者の中央部に対してスキャンを実行して、中央部の異なる断面高さでのスライスの各々の2次元画像のセットを生成するように構成されたコンピュータ断層撮影(CT)撮像デバイスを含んでおり、各2次元画像は、患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含む。非経口栄養診断システムは、CT撮像デバイスに通信によって結合され、放射線濃度データを使用して、どの2次元画像が最低量の骨組織を含んでいるかを決定することによって、2次元画像のセットから対象の2次元画像を選択し、この対象の2次元画像を使用して、放射線濃度の異なる値ごとに、組織の表面積を決定し、ハウンスフィールド単位(HU)での放射線濃度値ごとに、組織の表面積の分布プロットを作成して、-50HU及び80HUの範囲内の局所ピークに対応する分布プロット内の軟組織のピークの位置を特定し、この軟組織のピークの指示を送信するように構成された、軟組織解析サーバも含む。非経口栄養診断システムは、軟組織解析サーバに通信によって結合され、軟組織のピークが既定のしきい値を下回る場合に、患者に対して医療処置を実行する前に非経口栄養治療を実行するべきであるということを決定し、軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて非経口栄養治療の栄養指示パラメータを決定し、非経口栄養治療の栄養指示パラメータを送信するように構成された、薬剤調合システムをさらに含む。非経口栄養診断システムは、薬剤調合システムに通信によって結合され、非経口栄養治療の受信された栄養指示パラメータに基づいて非経口栄養注入療法をプログラムし、この非経口栄養注入療法を患者に提供するように構成された、非経口栄養ポンプをさらに含む。
【0011】
[0011]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第2の態様に従って、非経口栄養診断システムは、軟組織のピークを受信して格納し、軟組織のピークを既定のしきい値と比較し、軟組織のピークが既定のしきい値を下回る場合に警告を送信し、非経口栄養治療が実行されるべきであるということを示すメッセージを薬剤調合システムに送信するように構成された、電子医療記録サーバをさらに含む。
【0012】
[0012]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第3の態様に従って、非経口栄養治療の栄養指示パラメータは、注入される栄養素の体積、注入される栄養液、注入速度、又は注入期間のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
[0013]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第4の態様に従って、栄養液は、炭水化物、脂質、タンパク質、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リン酸塩、酢酸塩、塩化物、葉酸、アミノ酸、オメガ3脂肪酸、ビタミン、及び栄養補助食品のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
[0014]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第5の態様に従って、薬剤調合システムは、(i)軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて非経口栄養注入療法のための栄養物質を調合すること、又は(ii)軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて非経口栄養注入療法のための予混合容器を選択することのうちの少なくとも1つを実行するように、構成される。
【0015】
[0015]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第6の態様に従って、薬剤調合システムは、患者の年齢、患者の性別、患者の体重、患者の病状、患者の生理的パラメータ、及び患者に対して実行される医療処置のうちの少なくとも1つにさらに基づいて、栄養指示パラメータを決定し、(i)及び(ii)のうちの少なくとも1つを実行するように、構成される。
【0016】
[0016]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第7の態様に従って、非経口栄養ポンプは、大容量ポンプ又は重力式ポンプを含む。
【0017】
[0017]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第8の態様に従って、少なくとも1つの撮像デバイスと共に動作可能な非経口栄養診断装置は、少なくとも1つの撮像デバイスに通信によって結合された画像インターフェイスを含み、この画像インターフェイスは、医用画像のセットを受信するように構成され、各医用画像は、(i)患者の異なる断面が撮影された画像であり、(ii)患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含む。非経口栄養診断装置は、患者の望ましい領域に対応する医用画像のセットから対象の医用画像を選択し、対象の医用画像を使用して、放射線濃度の異なる値ごとに組織の面積を決定し、放射線濃度値ごとに組織の表面積の分布を決定し、筋肉組織、臓器組織、及び筋肉内脂肪組織に関連する分布内の領域で局所ピークに対応する分布内の軟組織のピークの位置を特定し、患者の栄養状態を評価するための軟組織のピーク情報を提供するように構成された、少なくとも1つのプロセッサも含む。
【0018】
[0018]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第9の態様に従って、異なる断面は、患者の中央部の異なる横断面である。
【0019】
[0019]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第10の態様に従って、患者の望ましい領域は、第3腰椎と第4腰椎の間にある。
【0020】
[0020]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第11の態様に従って、少なくとも1つのプロセッサは、患者の栄養状態を既定のしきい値と比較し、栄養状態が既定のしきい値を超えている場合に、別の医療処置の前に栄養治療が不要であるということを示すメッセージを送信し、栄養状態が既定のしきい値未満である場合に、患者が栄養治療を受けるべきであるということを示すメッセージを送信するように、さらに構成される。
【0021】
[0021]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第12の態様に従って、少なくとも1つのプロセッサは、-150HUと150HUの間に複数のビンを作成することであって、各ビンが放射線濃度の異なる値に対応する、ことと、対象の医用画像からの各ピクセルをビンのうちの1つに割り当てることと、各ビンに割り当てられたピクセルを合計してビンごとに組織の面積を決定することとによって、放射線濃度の異なる値ごとに組織の面積を決定するように、さらに構成される。
【0022】
[0022]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第13の態様に従って、ビンは、0.1HU~2HUの幅を有する。
【0023】
[0023]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第14の態様に従って、対象の医用画像内のピクセルの各々は、ピクセル内で示された組織の放射線濃度に基づいて色分けされる。
【0024】
[0024]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第15の態様に従って、少なくとも1つのプロセッサは、対象の医用画像内の質量中心を決定し、対象領域の幾何学的中心が質量中心に揃うように、対象領域を対象の医用画像の上に置き、対象領域に対応する対象の医用画像の放射線濃度の異なる値ごとに、第1の組織の面積を決定するように、さらに構成される。
【0025】
[0025]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第16の態様に従って、質量中心が第1の質量中心であり、対象領域が第1の対象領域であり、少なくとも1つのプロセッサは、第1の対象領域内の骨組織を識別し、骨組織のみを使用して第1の対象領域内の第2の質量中心を決定し、第2の対象領域の幾何学的中心が第2の質量中心に揃うように、第2の対象領域を対象の医用画像の上に置いて第1の対象領域を置き換え、第2の対象領域に対応する対象の医用画像の放射線濃度の異なる値ごとに、第2の組織の面積を決定するように、構成される。
【0026】
[0026]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第17の態様に従って、少なくとも1つの撮像デバイスと共に動作可能な非経口栄養診断方法は、少なくとも1つのプロセッサにおいて、撮像デバイスから、患者の異なる断面でのスライスの各々の医用画像のセットを取得するステップを含み、各画像が、患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含む。
例示的な非経口栄養診断方法は、
少なくとも1つのプロセッサを介して医用画像のセットを解析して、患者の指定された領域に対応する骨組織の総面積を決定する、解析するステップと、
少なくとも1つのプロセッサを介して、最低の骨組織の総面積を有する対象の医用画像を、解析された医用画像のセットから選択するステップと、
少なくとも1つのプロセッサを介して、対象の医用画像から放射線濃度値の分布を決定するステップとも含む。
非経口栄養診断方法は、
少なくとも1つのプロセッサを介して、筋肉組織、臓器組織、又は筋肉内脂肪組織のうちの少なくとも1つに関連する放射線濃度値の分布内の領域で局所ピークを識別するステップと、
少なくとも1つのプロセッサを介して、軟組織のピークの放射線濃度値が第1の放射線濃度の範囲内にあるかどうかについて患者の第1の栄養状態を評価するステップと、
少なくとも1つのプロセッサを介して、軟組織のピークの放射線濃度値が第2の放射線濃度の範囲内にあるかどうかについて患者の第2の栄養状態を評価するステップと
をさらに含む。
【0027】
[0027]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第18の態様に従って、非経口栄養診断方法は、Savitzky-Golayデジタルフィルタ、移動平均フィルタ、マルチパスフィルタ、又は畳み込みフィルタのうちの少なくとも1つを使用して放射線濃度値の分布を平滑化するステップをさらに含む。
【0028】
[0028]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第19の態様に従って、放射線濃度値の分布は、(i)放射線濃度値ごとの対象の医用画像のピクセルの数、又は(ii)放射線濃度値ごとに対象の医用画像内で提供される組織の表面積のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
[0029]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第20の態様に従って、第1の放射線濃度の範囲は40HU~80HUであり、第2の放射線濃度の範囲は0HU~40HUである。
【0030】
[0030]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第21の態様に従って、非経口栄養診断方法は、少なくとも1つのプロセッサを介して、患者が第2の栄養状態にあるということに基づいて、警報又は警告のうちの少なくとも1つが生成されるべきであるということを決定するステップと、少なくとも1つのプロセッサを介して、警報又は警告のうちの少なくとも1つを、臨床医のデバイス、薬剤調合システム、及び電子医療記録サーバのうちの少なくとも1つに送信するステップとをさらに含む。
【0031】
[0031]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第22の態様に従って、非経口栄養診断方法は、少なくとも1つのプロセッサを介して、(i)栄養液の成分又は組成、及び(ii)患者が第2の栄養状態にあるということ及び患者の少なくとも1つの人口統計の特徴に基づいて投与される栄養液の全体積、を決定するステップと、少なくとも1つのプロセッサを介して、栄養液を調合するために(i)及び(ii)を薬剤調合システムに提供するステップとをさらに含む。
【0032】
[0032]特に明記されない限り本明細書に示された任意の他の態様と組み合わせて使用されてもよい本開示の第23の態様に従って、非経口栄養診断方法は、少なくとも1つのプロセッサを介して、(i)及び(ii)に基づいて注入ポンプ用の投与パラメータを決定するステップと、少なくとも1つのプロセッサを介して、投与パラメータ及び患者の識別子を含んでいる投与メッセージを作成するステップと、少なくとも1つのプロセッサを介して、投与メッセージを注入ポンプに送信して、投与パラメータに従って、栄養療法が、識別子によって識別された患者に施行される、送信することと、をさらに含む。
【0033】
[0033]本開示の第24の態様に従って、図1~25に関連して示されて説明された構造及び機能のいずれかが、図1~25の他のいずれかに関連して示されて説明された構造及び機能のいずれか、及び先行する態様のうちのいずれか1つ又は複数と組み合わせて使用されてもよい。
【0034】
[0034]したがって、前述の態様及び本明細書における開示を考慮すると、本開示の利点は、患者の栄養状態の内部指標を決定又は評価して、集中的な医療処置を受ける前に、患者の栄養療法を検討するべきかどうかを確認する、システムを提供することである。
【0035】
[0035]本開示の別の利点は、アミノ酸の貯蔵の不足の結果として術後の合併症を被る患者の個別のリスクを評価するために、全身のタンパク質貯蔵の指標として体の筋肉量の測定値を生成し、患者の栄養状態を決定する、システムを提供することである。
【0036】
[0036]開示されるシステム、方法、及び装置のその他の特徴及び利点が、以下の発明を実施するための形態及び図面において説明され、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】[0037]図1は、筋肉の質と術後の問題の間の関係を概念的に示すグラフの図である。
【0038】
図2】[0038]図2及び3は、患者の筋肉の劣化を示す2次元断面CT画像の図である。
図3】[0038]図2及び3は、患者の筋肉の劣化を示す2次元断面CT画像の図である。
【0039】
図4】[0039]図4及び5は、本開示の実施形態例に従って、筋肉の質及び筋肉量に基づいて患者の栄養状態を決定し、患者の栄養治療を作成/投与するように構成された解析サーバを含んでいる病院環境の図である。
図5】[0039]図4及び5は、本開示の実施形態例に従って、筋肉の質及び筋肉量に基づいて患者の栄養状態を決定し、患者の栄養治療を作成/投与するように構成された解析サーバを含んでいる病院環境の図である。
【0040】
図6】[0040]図6は、本開示の実施形態例に従って、図4及び5の解析サーバに含まれる軟組織エンジンの図である。
【0041】
図7】[0041]図7は、本開示の実施形態例に従って、筋肉の質及び筋肉量を解析するための医用画像を決定するために、患者の腰部における骨の表面積を平方センチメートル単位で示すグラフである。
【0042】
図8】[0042]図8及び9は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジンによって決定された医用画像内の質量中心を示す図である。
図9】[0042]図8及び9は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジンによって決定された医用画像内の質量中心を示す図である。
【0043】
図10】[0043]図10及び13は、本開示の実施形態例に従って、筋肉組織の量を決定するために図6の軟組織エンジンによって解析できる対象の医用画像を示す図である。
【0044】
図11】[0044]図11及び14は、本開示の実施形態例に従って、図10及び13の各対象の医用画像からの、HU単位の放射線濃度値ごとに組織の合計ピクセル数を示す分布グラフである。
【0045】
図12】[0045]図12は、本開示の実施形態例に従って、図11及び14の分布グラフに基づいて図6の軟組織エンジンによって決定、格納、及び送信することができる筋肉の質及び/又は量のデータを表す図である。
【0046】
図13】[0043]図10及び13は、本開示の実施形態例に従って、筋肉組織の量を決定するために図6の軟組織エンジンによって解析できる対象の医用画像を示す図である。
図14】[0044]図11及び14は、本開示の実施形態例に従って、図10及び13の各対象の医用画像からの、HU単位の放射線濃度値ごとに組織の合計ピクセル数を示す分布グラフである。
図15】[0046]図15は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジンによって作成できる例示的な栄養状態レコードを示す図である。
【0047】
図16】[0047]図16及び18は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジンによって図10及び13の各医用画像に対して実行できるセグメント化の例を示す分布グラフである。
【0048】
図17】[0048]図17及び19は、本開示の実施形態例に従って、図16及び18の各セグメント化された医用画像に基づいて図6の軟組織エンジンによって作成された分布グラフである。
【0049】
図18】[0047]図16及び18は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジンによって図10及び13の各医用画像に対して実行できるセグメント化の例を示す分布グラフである。
図19】[0048]図17及び19は、本開示の実施形態例に従って、図16及び18の各セグメント化された医用画像に基づいて図6の軟組織エンジンによって作成された分布グラフである。
図20】[0049]図20は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジンによる質量中心手法を使用してセグメント化された例示的な医用画像を示す図である。
【0050】
図21】[0050]図21は、本開示の実施形態例に従って、1つ又は複数の医用画像から取得された筋肉の質及び筋肉量のデータから患者の栄養状態を決定するための例示的な手順を表すフロー図である。
【0051】
図22】[0051]図22は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジンを使用した筋肉の質の実験結果を示す表の図である。
【0052】
図23】[0052]図23は、本開示の実施形態例に従って、図4及び5の解析サーバと連動して動作する栄養解析エンジンの図である。
【0053】
図24】[0053]図24は、本開示の実施形態例に従って、筋肉の質データ及び/又は筋肉量データに基づいて警報及び/又は警告が生成されるべきであるかどうかを判定するために図23の栄養解析エンジンによって実行可能な例示的なアルゴリズムを表す図である。
【0054】
図25】[0054]図25は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジンによって決定された患者の栄養状態に基づいて栄養注入ポンプをプログラムするための例示的な手順を示すフロー図である。
【詳細な説明】
【0055】
[0055]本明細書で開示される例示的なシステム、装置、及び方法は、患者の栄養状態を診断によって決定又は評価することに関連している。より詳細には、例示的なシステム、装置、及び方法は、少なくとも1つの医用画像から筋肉の質及び筋肉量を評価して、医療処置を受ける前又は後に患者の処置後のリスクを評価することを対象にする。場合によっては、例示的なシステム、装置、及び方法は、患者が、医療処置の開始前又は開始直後の非経口栄養療法などの、栄養療法を受けるべきであるという推奨を提供するために使用されてもよい。例示的なシステム、装置、及び方法は、筋肉の質及び/又は筋肉量のデータに基づいて、栄養療法に関する推奨を提供してもよく、又は栄養療法のパラメータを決定するために使用されてもよい。
【0056】
[0056]体組成(すなわち、脂肪及び筋肉組織の比率)が、医学的状態に関連付けられた危険因子に関連しているということが、研究によって示された。相対的に少ない筋肉組織を含む体は、通常、手術、けが、治療、又は病気に対する体の反応を促進するために使用されるタンパク質又はアミノ酸の予備が不足している。体内の低レベルの筋肉量は、回復時間を長引かせ、及び/又は合併症を増やすということが分かっている。加えて、予備が水溶性薬物の分布の体積を決定するため、低レベルのアミノ酸(又はさらに一般的には、筋肉量)は、化学療法からの毒性を増やすことにも関連していた。より少ない筋肉量は、標準的な化学療法の投薬が組織の毒性レベルに達する結果を引き起こすことがある。筋肉減少症(筋肉組織の喪失を伴う筋肉衰弱症候群)を患う高齢の患者は、術後の合併症の影響を特に受けやすい。さらに、乳児及び栄養不良状態、虚弱状態、又は拒食症の患者は、通常、アミノ酸の予備が少ない。
【0057】
[0057]図1は、筋肉の質と術後の問題の間の概念的関係を示すグラフ100の図を示している。詳細には、グラフ100は、術後の合併症を発症する患者の確率と、放射線減衰の単位であるハウンスフィールド単位(HU)で測定された筋肉密度(すなわち、放射線濃度)との間の一般的関係を示している。グラフ100は、筋肉密度と合併症を発症する患者の確率との間の有意な相関関係を決定した既知の研究の一般化に基づいている。筋肉は、一般に、40HU~80HUの放射線濃度を有する。移行上皮、筋肉内脂肪、及び/又は脂肪組織が浸潤した筋肉組織などの過渡的な軟組織は、-50HU~40HUの放射線濃度を有する。比較すると、脂肪(例えば、内臓脂肪組織及び/又は皮下脂肪組織)は、-190HU~-50HUの放射線濃度を有する。
【0058】
[0058]グラフ100は、筋肉の放射線濃度が減少するにつれて合併症の確率が増加することを示している。言い換えると、筋肉組織(腰筋など)が劣化するか、又は筋肉組織に脂肪が染み込むと、術後の合併症の可能性が著しく増加する。さらに、組織の放射線濃度が減少するにつれて、アミノ酸に使用できる貯蔵量が減少する。これに対して、55HUを超える放射線濃度を有する筋肉組織(他の軟組織と比較して著しく多い筋肉量が存在する)は、合併症を発症する患者の相対的に低い確率に関連付けられる。
【0059】
[0059]しかし、身体検査のみによってアミノ酸の予備又は筋肉の質を客観的に定量化するための既知の方法は、存在しない。前述したように、臨床医は、目視検査を行って、患者の栄養状態を判断することがある。米国外科医学校国立外科的品質改善プログラム(ACS NSQIP:American College of Surgeons National Surgical Quality Improvement Program)サージカルカリキュレータ(surgical calculator)などの、術前のリスク層別化ツールもいくつか存在する。これらのリスクツールは、さまざまな要因から合併症の割合を推定するのに役立つ。しかし、このデータは、患者がヘルスケア提供者に与える、既往歴に関する情報に基づいて推定され、脆弱性、虚弱、又は全体的な栄養状態についての患者固有の測定値を考慮しない。
【0060】
[0060]主観的方法とは対照的に、体組成解析を実行するための、時間のかかる手動の客観的方法が存在する。例えば、研究者は、第3腰椎(L3)及び/又は第4胸椎(T4)のいずれかで撮影された2次元CT画像を手動で選択できる。これらの特定の骨格の目印は、全身の筋肉と脂肪の比率と密接に関連していることが分かっている。画像を選択した後に、研究者は、例えばトモビジョン(TomoVision)社(登録商標)が提供するスライスオマティック(SliceOmatic)(商標)などの利用可能なソフトウェア製品を使用して、筋肉組織及び脂肪組織の領域を苦労してセグメント化する。このソフトウェアでは、ユーザは、かなり複雑な形状を有する目的の領域の境界上を、カーソルを使用して手動でトレースする必要がある。この手動のプロセスは、相対的に正確であるが、1つの画像につき、おおよそ10~20分かかる。医療的な緊急事態の緊急性及び現在の病院の撮影部門の作業負荷を考えると、患者の体組成を決定するために要する長い時間は、通常、手動の筋肉定量化解析が省略されるか、又は検討すらされないことにつながる。
【0061】
[0061]筋肉組織を脂肪組織から自動的にセグメント化しようとする実験的方法も知られている。それらの方法は、重複する放射線濃度特性の結果として、臓器組織又は過渡的な軟組織から筋肉組織を区別することができないという問題を克服しようと試みる。前述したように、筋肉組織は40~80HUの放射線濃度を有し、一方、臓器組織は30~60HUの放射線濃度を有する。筋肉組織と臓器組織の間の重複は、臓器組織内のある程度の筋肉組織の含有に起因する。それらの実験的方法は、統計的形状照合、形状変形、及び/又はテンプレート変形を使用して筋肉組織と臓器組織の間でセグメント化し、筋肉組織の界面を識別しようと試みる。しかし、それらの既知の方法は、形状のモデル化を使用し、筋肉の形状が異なる患者間で一貫していることを仮定する。この仮定は、健康な患者の場合には正確であることがあるが、骨格の筋肉量の低下が通常は筋肉の形状における非対称又はランダムな変化(この変化は、2次元画像において、さらにいっそう顕著になる可能性がある)をもたらす栄養不良の患者の場合の誤りが、研究によって示されている。その結果、栄養不良の患者の実際の筋肉の形状は、事前に定義された形状又はテンプレートに一致しないことがある。
【0062】
[0062]加えて、既知の研究は、腰筋組織などの筋肉組織のみをセグメント化することに主に重点を置いていた。それらの研究は、過渡的な軟組織又は脂肪組織が浸潤した筋肉組織を十分に定量化しなかった。過渡的な軟組織は、筋肉組織の周囲で不均一に分布することがあり、いかなる種類の形状に基づくセグメント化も、不可能ではないとしても困難にする。さらに、脂肪組織が浸潤した筋肉組織は、純粋な筋肉組織として誤って識別されることがある。一部の既知の研究は、筋肉組織の外部の境界間のセグメント化に重点を置いており、形状の内部が筋肉を排他的には含まないことがあるという状況を考慮しない。その結果、既知の研究の一部は、筋肉組織が著しい脂肪の浸潤を含んでいる場合に、筋肉量を多く見積もり過ぎることがある。したがって、それらの既知の手法は、著しく劣化した筋肉又は脂肪の浸潤を有する栄養不良状態又は虚弱状態の患者に関して、不十分であることがある。
【0063】
[0063]図2及び3は、患者の筋肉の劣化を示す2次元断面CT画像200及び300の図を示している。2次元断面CT画像200及び300は、肺がんを患う患者のL3領域で記録された。画像200は、患者が死亡する390日前に記録された。それに対して、図3は、死亡する58日前に記録された。画像200及び300は、骨格腰筋204に加えて、L3での患者の背骨202を示している。画像200及び300は、それ自体が筋肉組織又は筋細胞を含むことがある内臓212に加えて、内臓脂肪組織206、皮下脂肪組織208、及び筋肉内脂肪組織210(脂肪が浸潤した筋肉及び/又は結合組織)も示している。画像200が記録されたときと画像300が記録されたときの間に、173cmから86.7cmへの骨格筋の減少が患者に発生した。この間に、患者において、筋肉内脂肪組織210及び内臓脂肪組織206の量の増加も発生した。
【0064】
[0064]筋肉内脂肪組織210の少なくとも一部が筋肉組織204の外部の境界内に存在するため、形状又はテンプレートの照合を使用する前述の既知の研究が、筋肉内脂肪組織210を筋肉組織204と見なすことがあるということに、注意するべきである。言い換えると、固形パターンのテンプレート形状は、境界を有するすべてのものが筋肉組織であると仮定する。テンプレートは、筋肉組織の間の空間を占める脂肪組織を考慮しない。既知の筋肉セグメント化方法を使用すると、図2及び3に示された例は、筋肉領域におけるわずかな減少を示しているように見える。しかし、筋肉内脂肪組織210を考慮した場合、筋肉の喪失量が相対的にさらに顕著になる。
【0065】
[0065]加えて、既知の研究は、筋肉組織の定量化について説明するが、患者の全体的な栄養状態の相関関係においては限定的である。患者の筋肉量を知ることは、有益であるが、追加情報なしでは、状況をあまり示さない。例えば、低身長の患者は、一般に、高身長の患者より少ない骨格筋を有することがある。別の例では、筋肉減少症を発症している高齢の患者は、当然、若年の患者と比較して少ない骨格筋を有する。異なる患者間での筋肉量の差異は、別の指標がない場合、既知の研究によって決定された筋肉量を、類似する患者の母集団の筋肉量と比較し、その患者が、類似する人口学的特性を有する患者と比べて栄養的に健康であるかどうかを判断する必要がある、ということを意味する。
【0066】
[0066]本明細書において開示される例示的なシステム、装置、及び方法は、筋肉内脂肪組織と筋肉組織(例えば、図2及び3の組織204と210)を区別して筋肉の質を決定することによって、既知の研究の前述の制限を克服しようと試みる。言い換えると、例示的なシステム、装置、及び方法は、患者の筋肉量を定量化するだけでなく、その患者の相対的な筋肉の質も決定する。場合によっては、患者の筋肉の質が母集団データと比較され、類似する人口学的特性を有する患者の既知の栄養状態に対して、患者の栄養状態を決定又は評価してもよい。全体を通じて骨格筋の定量化及び定性が説明されるが、場合によっては、例示的なシステム、装置、及び方法は、骨格結合組織を定量化及び/又は定性してもよい。
【0067】
[0067]下で詳細に説明されるように、筋肉の質は、筋肉組織と筋肉内脂肪組織の間の関係として決定される。筋肉量のハウンスフィールド値の分布に、局所的な軟組織のピークが存在することが、実験によって示された。軟組織のピークの位置は、患者の栄養状態に関連するか、又は患者の栄養状態を示す。例えば、筋肉量が不足している患者が40HU未満の軟組織のピーク(すなわち、筋肉組織に関連付けられたハウンスフィールド値の範囲外のピーク)を有していることが、実験によって示された。比較すると、正常な筋肉量を有する患者が40HUを超える軟組織のピーク(すなわち、筋肉組織に関連付けられたハウンスフィールド値の範囲内のピーク)を有していることが、実験によって示された。ハウンスフィールド値の分布での軟組織のピークの位置は、患者の栄養状態を示す。加えて、ピーク高さ、ピーク高さからの標準偏差、軟組織のピークのゆがみ、軟組織のピークの右にあるピクセル又は軟組織のパーセンテージ、筋肉の高さに対するピーク高さの比率、及び/又は筋肉量などの、軟組織のピークに関連する情報が、患者の栄養状態に関する情報をさらに提供することがある。下で示されるように、一部の実施形態では、軟組織のピーク及び関連する情報が、栄養療法のパラメータ及び/又は栄養液の組成を決定又は推奨するために使用されてもよい。
【0068】
[0068]本開示全体を通じて、特定の用語が使用されている。本明細書において使用されるとき、栄養状態は、指定された領域内の筋肉の量及び/又は質から決定された、患者の全体的栄養状態のことを指すことがある。栄養状態は、例えば、患者が正常な筋肉量を有しているかどうかを示す。さらに一般的には、栄養状態は、患者が栄養不良状態、栄養不足状態、飢餓状態、又は健康であるかどうかを示す。本明細書において開示されているように、患者の栄養状態は、患者がその後の合併症の過度のリスクを伴わずに集中的な医療処置を受けるための十分なアミノ酸の予備(及び/又はエネルギーの予備)を有しているかどうかに関する、指標として使用される。栄養状態は、軟組織のピーク値及び/又は軟組織のピーク情報に基づくか、或いはその他の方法で軟組織のピーク値及び/又は軟組織のピーク情報を含む。栄養状態は、軟組織のピーク値及び/又は軟組織のピーク情報に基づいて、数値スコア(例えば、0~100)又はテキスト記述(例えば、栄養不良状態、飢餓状態など)として指定されてもよい。
【0069】
[0069]全体を通じて、軟組織、軟組織のピーク、及び軟組織のピーク情報に対する参照が行われる。下で説明されているように、軟組織(又は過渡的な組織)は、-50HU~40HUの放射線濃度を有する筋肉内脂肪組織、結合組織、及びその他の種類の脂肪組織を含む。一般に、軟組織は、-50HU未満の放射線濃度を有する内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織を含まない。
【0070】
[0070]軟組織のピークは、医用画像(例えば、2次元CTスキャン画像)内の組織の定義された量の放射線濃度を示すハウンスフィールド値の分布内の局所的なピークのことを指すことがある。このピークは、医用画像の定義された領域又はセグメント化された領域内の筋肉組織、脂肪組織、及び筋肉内脂肪組織を含む軟組織の中央値の放射線濃度レベルを識別する。加えて、軟組織のピークは、患者の軟組織の大部分又はかなりの部分が筋肉組織、筋肉内脂肪組織、又はこれらの組み合わせを含んでいるかどうかに関して示す。
【0071】
[0071]一般に、軟組織のピークは、患者の健康状態に応じて、-10HU~60HUの範囲内に存在する。筋肉組織は40HU~80HUの放射線濃度を有し、一方、筋肉内脂肪組織は-50HU~40HUの放射線濃度を有する。結合組織は、10HU~40HUの放射線濃度を有する。栄養不良状態、飢餓状態、又は虚弱として分類される患者は、通常、-10HU~40HUの軟組織のピークを有し、これは、筋肉のかなりの部分に筋肉内脂肪組織が浸潤しているか、又は筋肉組織と比較して、より多くの結合組織及び脂肪組織が存在することを示す。言い換えると、影響を受けやすい患者は、少ない筋肉量又は脂肪に置き換えられた筋肉量(例えば、質の低い筋肉)を有しており、これは、それらの患者の、回復を支援するためのアミノ酸の予備が、著しく少ないということを意味する。これに対して、栄養的に正常であるとして分類される患者は、40HUを超える軟組織のピークを有し、これは、筋肉組織が、筋肉内脂肪組織を(あったとしても)多く含んでいないことを示す。相対的に質の高い筋肉は、通常、患者の回復を支援するための十分なアミノ酸の予備を含んでいる。
【0072】
[0072]軟組織のピーク情報は、軟組織のピークから決定できるデータ又は情報のことを指すことがある。一般に、軟組織のピークは、ハウンスフィールド尺度に基づくガウス型分布を有する。典型的分布では、軟組織のピークは、筋肉(軟組織)量値(例えば、特定のHU値を有する医用画像内のピクセルの数及び/又は面積)に加えて、HU値を有する。軟組織のピークは、ピークの横に、標準偏差を考慮する傾きも有する。場合によっては、軟組織のピークは、筋肉組織又は脂肪組織に向かってゆがんでいることがある。ピーク若しくは中心に関連付けられたHU値、ピークからの第1及び第2の標準偏差に関連付けられたHU値、及び/又はピークに関連付けられた筋肉量若しくは軟組織量、ピークの標準偏差に関連付けられた筋肉量若しくは軟組織量を含む、特定の情報が、軟組織のピークから決定され得る。加えて、軟組織のピーク情報は、分布に沿った軟組織の谷(例えば、脂肪又はシンテール)の値に対する軟組織のピークの比率を含んでもよい。さらに、軟組織のピークは、ゆがみの量又は筋肉の範囲(例えば、ピークの右にある軟組織のパーセンテージ)を示してもよい。
【0073】
[0073]本明細書において使用されるとき、軟組織情報は、患者の栄養状態を決定又は評価するために、軟組織のピークと共に使用されることがある。軟組織情報及び軟組織のピークは、非経口栄養療法のパラメータ及び/又は非経口栄養液の内容を決定又は推奨するために使用されてもよい。例えば、軟組織のピークと40HUの間の差が、注入期間又は非経口栄養液に追加されるアミノ酸の量を決定するために使用されてもよい。一部の実施形態では、例示的なシステム、装置、及び方法は、軟組織のピーク及び関連する情報を使用して、著しい栄養不良状態であるとして識別された患者が、より長い期間の非経口栄養療法を受けるべきであり、25%~40%以上のアミノ酸又はタンパク質を含有する溶液が患者に提供されるべきであるということを、決定してもよい。
【0074】
[0074]例示的なシステム、装置、及び方法は、本明細書では、骨格筋の質及び量を決定することとして説明される。前述したように、骨格筋は、通常、40HU~80HUの放射線濃度を有する。腰筋(又は胸筋)の断面積が、一般に体の他の部分における骨格筋の質を表すため、本開示は全体を通じて、腰筋を例として使用する。アミノ酸の予備が、通常は骨格筋及び結合組織に存在するため、大腰骨格筋の定量化は、患者の全体的なアミノ酸の予備(及び患者の手術後のリスク)を示す。本開示は腰筋に重点を置いているが、例示的なシステム、装置、及び方法が、例えば三頭筋、二頭筋、三角筋、斜紋筋、腹筋、胸骨筋、恥骨筋、内転筋、縫工筋、胸筋などを含む、その他の骨格筋の筋肉の質及び/又は量を評価してもよいということが、理解されるべきである。例示的なシステム、装置、及び方法が、患者の筋肉量と栄養状態の間の立証された相関関係を有する医用画像(複数可)の大部分において、筋肉のグループ及び筋肉量に関して、筋肉の質及び/又は量を評価してもよいということが、さらに理解されるべきである。
【0075】
[0075]例示的なシステム、装置、及び方法が、多くの種類の医療処置のリスクを決定又は評価するために使用されてもよいということが、理解されるべきである。例えば、以下の例は、化学療法、放射線、及び/又は外傷の治療に関するリスクを決定又は評価するための患者の栄養状態の使用について説明する。システム、装置、及び方法は、膵臓がん治療、前立腺がん治療、卵巣がん又は乳がん治療、臓器移植、股関節又は関節置換手術、遺伝子治療、輸血、血液透析治療、腹膜透析治療などを含む、その他の治療に使用されてもよい。さらに、システム、装置、及び方法は、患者の栄養状態を使用して、早産、拒食症、栄養不良、又は病気などの状態の患者を治療してもよい。したがって、本明細書で開示される例示的なシステム、装置、及び方法は、処置後のリスクを管理し、患者の転帰を改善するために、患者の治療計画、医療管理、及び/又は医療ワークフローに組み込まれてもよい。
医療環境の実施形態
【0076】
[0076]図4は、患者の栄養状態を決定及び/又は評価し、患者の栄養治療を推奨/作成/投与するように構成された本開示の医療環境400の一実施形態を示している。例示的な環境400は、栄養状態診断構成要素402及び栄養療法構成要素404という2つの主要構成要素を含んでいる。構成要素402及び404の両方、並びにさらに一般的には、医療環境400は、病院、病院システム、診療所、医師の診療室、救急医療施設などの一部であってもよい。場合によっては、構成要素402及び404は、物理的に分離されていてもよい。例えば、栄養状態構成要素402は、画像撮影センターに配置されてもよく、一方、栄養療法構成要素404(又は構成要素404の一部)は、病院、診療所、又は患者の自宅に配置される。
【0077】
[0077]例示的な栄養状態診断構成要素402は、1つ又は複数の医用画像から患者の栄養状態を決定及び/又は評価するように構成される。構成要素402は、ネットワーク410を介して解析サーバ408に通信によって結合された撮像デバイス406a及び406b(本明細書では、撮像デバイス406と総称されるか、又は一般に、個別に撮像デバイス406と呼ばれる)を含んでいる。図4は2つの医用撮像デバイス406a及び406bを示しているが、より少ない又は追加の撮像デバイスが存在してもよいということが、理解されるべきである。
【0078】
[0078]撮像デバイス406は、医用画像412を解析サーバ408に送信するように構成される。画像412は、例えば、画像内の各ピクセルに関連付けられた、測定された放射線濃度データを含んでもよい。解析サーバ408は、医用画像412を使用して患者の栄養状態を決定及び/又は評価するように構成されてもよい。この栄養状態は、1つ又は複数のメッセージ(複数可)414で、解析サーバ408から栄養療法構成要素404に送信される。場合によっては、メッセージ(複数可)414は、軟組織のピークを示してもよく、及び/又は軟組織のピーク情報を含む決定された軟組織のピークに関連するデータを含んでもよい。
【0079】
[0079]例示的な栄養療法構成要素404は、一実施形態では、栄養状態診断構成要素402で決定された栄養状態に基づいて、別の医療処置を受ける前に患者に栄養療法を提供するべきかどうかを判定する(又は推奨する)ように構成される。栄養療法構成要素404は、患者の決定された栄養状態に少なくとも部分的に基づいて、栄養ポンプのパラメータを決定してもよい。これらのパラメータは、栄養療法ポンプの処方メッセージ425に含まれてもよく、処方メッセージ425は、栄養ポンプ422をプログラムするために電子的に送信されてもよい。栄養状態診断構成要素402は、患者の決定された栄養状態に少なくとも部分的に基づいて、栄養液の成分をさらに決定してもよい(又は、前もって混合された栄養液を推奨してもよい)。
【0080】
[0080]図4に示されているように、栄養療法構成要素404は、少なくとも1つの薬剤調合システム420及び少なくとも1つの栄養注入ポンプ422を含んでもよい。下でさらに詳細に示されるように、薬剤調合システム420は、一実施形態では、特に、患者に投与するための栄養液を調合するように構成される。例示的な注入ポンプ422は、栄養液(又は任意のその他の液体)を患者に投与するように構成される。薬剤調合システム420及び少なくとも1つの注入ポンプ422は、ネットワーク410を介して通信によって相互に結合される。
【0081】
[0081]薬剤調合システム420及び注入ポンプ422に加えて、例示的な栄養療法構成要素404は、1つ又は複数の臨床医のデバイス424及び電子医療記録(EMR:electronic medical record)サーバ426も含んでいる。臨床医のデバイス424は、任意のスマートフォン、タブレットコンピュータ、ワークステーション(例えば、ナースステーションのコンピュータ又はベッドのそばのコンピュータ)、ラップトップコンピュータ、サーバ、プロセッサなどを含んでもよい。臨床医のデバイス424は、栄養状態診断構成要素402及び/又は栄養療法構成要素404によって決定された患者の栄養状態(及び任意の関連する警告/警報)を含む、患者データを取得して表示するように構成された1つ又は複数のアプリケーション(複数可)を操作するように、構成されてもよい。臨床医のデバイス424は、栄養の処方を作成し、薬剤調合システム420に送信できるようにするアプリケーションを含んでもよい。
【0082】
[0082]例示的なEMRサーバ426は、栄養状態診断構成要素402によって決定された患者の栄養状態を含む、患者の医療記録を格納するように構成される。一部の実施形態では、EMRサーバ426は、患者の栄養状態に関する、解析サーバ408によって生成された警報及び/又は警告を受信して格納するように構成される。他の実施形態では、EMRサーバ426は、軟組織のピークデータ及び/又は関連する軟組織のピーク情報と共に患者の受信された栄養状態を使用して、1つ又は複数の警報/警告を決定する。EMRサーバ426は、1つ又は複数のメッセージ430内の警報/警告を、ネットワーク410を介して臨床医のデバイス424及び/又は薬剤調合システム420に送信するように構成されてもよい。
【0083】
[0083]一部の実施形態では、解析サーバ408は、栄養療法構成要素404と栄養状態診断構成要素402の間で、論理的及び/又は物理的に共有される。これらの実施形態では、解析サーバ408は、両方の構成要素402及び404の一部であってもよい。例えば、解析サーバ408は、患者の栄養状態を決定及び/又は評価するように構成された軟組織エンジン440と、患者が栄養療法を受けるべきかどうか、及び受けるべきである場合、栄養療法のパラメータ及び/又は溶液の成分を決定及び/又は推奨するように構成された栄養解析エンジン442とを含んでもよい。これらの例では、栄養解析エンジン442は、決定された栄養状態に基づいて、患者が栄養療法を受けるべきかどうかを判定(又は推奨)する。栄養解析エンジン442は、栄養療法のパラメータ及び/又は栄養液の成分を決定及び/又は推奨してもよく、栄養療法のパラメータ及び/又は栄養液の成分が、1つ又は複数のメッセージ(複数可)で薬剤調合システム420に送信される。栄養療法のパラメータは、薬剤調合システム420によって栄養療法ポンプの処方メッセージ425に組み込まれてもよい。さらに、薬剤調合システム420は、栄養解析エンジン442によって提供された成分又は栄養療法のパラメータに基づいて、栄養液を調合してもよい。
【0084】
[0084]図5は、図4の医療環境400の代替の実施形態を示している。図5では、本開示の実施形態例に従って、解析サーバ408が、軟組織エンジン440のみを含むように構成されている。この代替の実施形態では、栄養解析エンジン442が、薬剤調合システム420の薬剤コンピュータ460内で構成されるか、又はその他の方法で提供される。栄養解析エンジン442のこの配置は、栄養パラメータが、解析サーバ408ではなく薬剤調合システム420で決定されるということを意味する。図4の環境400と同様に、解析サーバ408は、1つ又は複数のメッセージ(複数可)414で患者の栄養状態(及び/又は軟組織のピーク情報)を提供するように構成される。しかし、図5の環境400では、薬剤調合システム420は、メッセージ414内の情報を使用して、ポンプのパラメータ及び/又は栄養液の成分を決定する。
【0085】
[0085]さらに代替の実施形態では、栄養解析エンジン442は、EMRサーバ426に含まれてもよい。その場合、解析サーバ408は、1つ又は複数のメッセージ(複数可)414で患者の栄養状態(及び/又は軟組織のピーク情報)をEMRサーバ426に提供するように構成される。データの受信後に、EMRサーバ426の栄養解析エンジン442は、患者が栄養療法を受ける候補であるかどうかを判定及び/又は評価し、候補である場合、適切なポンプのパラメータ及び/又は溶液の成分を決定及び/又は推奨する。次に、EMRサーバ426は、ポンプ422をプログラムし、溶液を調合するために、ポンプ又は溶液の情報を薬剤調合システム420に提供する。場合によっては、EMRサーバ426は、(臨床医のデバイス424又は薬剤調合システム420から承認を受信した後に)パラメータをポンプ422に直接送信してもよく、以て、薬剤調合システム420を介した栄養療法ポンプの処方メッセージ425の送信を回避する。パラメータの送信は、EMRサーバ426が、ポンプ422に送信するための栄養療法ポンプの処方メッセージ425を作成するように構成されることを、含んでもよい。
【0086】
[0086]図4及び5の医療環境400は、病院情報システム(HIS:hospital information system)450も含んでいる。例示的なHIS450は、医療、管理、財務、及び法的問題などの病院の業務の側面、並びにサービスの処理を管理するように構成される。HIS450は、構成要素402及び404の少なくとも一部が病院のローカルネットワークの外部にある場合に、極秘医療データを伝達するためのセキュリティで保護されたトンネル又は経路を管理又は作成してもよい。例えば、HIS450は、外部の臨床医のデバイス424がEMRサーバ426に格納された患者データを表示できるようにするために、仮想プライベートネットワークを作成してもよい。HIS450は、医療環境400のさまざまな部門又は機能領域との、医療記録に格納された患者データの交換を容易にしてもよい。
【0087】
[0087]図4及び5に示されたネットワーク410は、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN:wide area network)を含んでもよい。ネットワーク410は、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)及び/又は無線LANを含んでもよい。一部の実施形態では、ネットワーク410は、WAN及びLANの組み合わせを含んでもよい。さらに、ネットワーク410は、デバイス406、408、420、422、424、及び426間で通信をルーティングするために、1つ又は複数のファイアウォール、ゲートウェイ、ルータ、スイッチなどを含んでもよい。ネットワーク410は、セキュリティで保護された医療ネットワークの外部にあるデバイスが、セキュリティで保護された医療ネットワーク内のデバイスとの間でメッセージを送受信できるようにするために、HIS450がセキュリティで保護された接続を作成できるように、構成されてもよい。
I.栄養状態診断構成要素の実施形態
【0088】
[0088]前述したように、図4及び5の医療環境400は、1つ又は複数の医用画像412から患者の栄養状態を決定及び/又は評価するための栄養状態構成要素402を含む。下で説明されるように、軟組織エンジン440を含んでいる栄養状態構成要素402は、合計除脂肪体重(本明細書では、患者の栄養状態と呼ばれる)の測定値又は特性を生成するように構成される。患者の栄養状態を決定するために、栄養状態構成要素402は、患者の筋肉組織の質及び量を決定及び/又は評価してもよい。多くの実施形態では、栄養状態構成要素402は、全身のタンパク質又はアミノ酸の貯蔵の指標を提供する、骨格筋(例えば、腰筋)の質及び量を決定する。体内のアミノ酸の貯蔵と術後の成功率及び合併症との間の関係(図1のグラフ100に示されている)を前提として、患者の栄養状態の測定値は、術後のリスクの客観的指標を提供する。栄養状態の指示は、利用可能なアミノ酸を増やし、患者の術後の転帰を改善するための少なくとも1つの栄養療法を決定及び/又は推奨するために、栄養療法構成要素404によって使用されてもよい。以下のセクションでは、本開示に従って少なくとも1つの医用画像412を使用して患者の栄養状態を決定及び/又は評価する方法に関する詳細について説明する。
【0089】
[0089]例示的な撮像デバイス406は、患者の少なくとも1つの医用画像412を取得するように構成される。患者の栄養状態を決定及び/又は評価するために、少なくとも1つの画像412が解析サーバ408の軟組織エンジン440によって使用される。撮像、したがって栄養状態の決定は、患者が化学療法などの医療処置を受ける前に行われてもよい。場合によっては、撮像は、患者が外傷を経験した後、又は重病を発症した後に、病院又は診療所に運ばれたときに、行われてもよい。
【0090】
[0090]一部の実施形態では、撮像デバイス406は、フィリップス(Phillips)(登録商標)によって製造されたIqonスペクトラル(Iqon Spectral)(商標)又はインジェニュイティフレックス(Ingenuity Flex)(商標)CTスキャナー、或いはゼネラルエレクトリック社(General Electric Company)(登録商標)によって製造されたレボリューション(Revolution)(商標)、オプティマ(Optima)(商標)、又はブライトスピード(BrightSpeed)(商標)CTスキャナーなどの、CTスキャナーである。その場合、撮像デバイス406は、1つ又は複数の角度(複数可)からX線画像の組み合わせを撮影して、患者の生体構造の断面(例えば、断層撮影)画像又は仮想スライスを生成するように構成される。胸部、腹部、骨盤部などの、患者の生体構造の特定の部分の画像412が記録される。断面画像412は、異なる南北方向の高度で患者の生体構造を示す、横方向又は軸方向であってもよい。断面画像412は、代替的又は追加的に、異なる東西方向の断面で患者の生体構造を示す、縦方向であってもよい。
【0091】
[0091]撮像デバイス406は、本明細書ではX線式CTスキャナーと呼ばれるが、その他の医用撮像デバイスが使用されてもよいということが、理解されるべきである。例えば、撮像デバイス406は、陽電子放射断層撮影(PET:positron emission tomography)スキャナー、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT:single-photon emission computed tomography)スキャナー、コンピュータ横断断層撮影(CAT:computed axial tomography)スキャナー、及びコンピュータ支援断層撮影スキャナーを含んでもよい。場合によっては、撮像デバイス406は、磁気共鳴断層撮影(MRI:magnetic resonance imaging)スキャナーを含んでもよい。
【0092】
[0092]撮像デバイス406は、追加的又は代替的に、造影剤(例えば、静脈内に注入される放射線造影剤)を使用して、又は造影剤を使用せずに、患者の組織に対して放射線濃度測定を実行するように構成されてもよい。場合によっては、軟組織エンジン440に提供される医用画像412は、造影剤を使用した画像と造影剤を使用しない画像の組み合わせを含んでもよい。これらの例では、撮像デバイス406は、同じ領域の造影剤を使用した医用画像及び造影剤を使用しない医用画像412を使用して、患者の栄養状態を決定及び/又は評価してもよい。これらの例では、造影剤を使用した画像及び造影剤を使用しない画像から決定された軟組織のピークデータ及び軟組織情報が、平均化されるか、又はその他の方法で結合されてもよい。
【0093】
[0093]例示的な医用画像412の各々は、患者の組織の放射線濃度レベルを示す。医用画像412は、2次元断面スライス(図2及び3の画像200及び300など)を含んでもよい。各画像412は、例えば、256×256ピクセル~2040×2040ピクセルのサイズを有してもよい。各2次元画像は、1ピクセル当たり2バイトの色データを含む、512×512ピクセルを含むのが好ましい。したがって、各2次元画像412は、約3.3ギガバイト(GB:gigabytes)の放射線濃度データを含んでもよい。医用画像412の各ピクセルは、放射線濃度レベルによって色分けされてもよい。さらに、医用画像412は、ピクセルごとに放射線濃度レベルを指定するメタデータを含んでもよい。このメタデータは、患者、スキャンが実行された時間/日付、及びスキャンを実行した撮像デバイス406の識別子を識別してもよい。
【0094】
[0094]医用画像412の各々は、ファイルに格納されてもよい。例えば、各医用画像412は、医用におけるデジタル画像と通信(DICOM:Digital Imaging and Communications in Medicine)画像として格納されてもよい。その場合、放射線濃度値を指定するメタデータは、ファイルのヘッダー内に格納されてもよく、一方、画像情報は、ファイルのペイロードセクション内に格納される。他の実施形態では、医用画像412は、NIfTI(Neuroimaging Informatics Technology Initiative)ファイル、Mincファイル、及び/又はAnalyzeファイルなどの、別のファイルタイプを含んでもよい。
【0095】
[0095]撮像デバイス406は、患者の1回のスキャンにつき約50~約150の画像を記録するように構成されてもよい。腹部のスキャンは、通常、約75の画像を生成する。しかし、画像の正確な数は、撮像デバイス406を操作する技術者によって設定される。場合によっては、栄養状態解析が、例えばL3又はL4領域内の腰筋の、単一の画像に対して実行されることがあるため、1つ又は少数の画像のみが必要であってもよい。記録される画像の数を減らすと、患者の放射線被ばくが減少する。
【0096】
[0096]例示的な軟組織エンジン440は、患者の栄養状態を近似するために、医用画像412を解析して筋肉の質及び/又は量を決定及び/又は評価するように構成される。図6は、本開示の実施形態例に従って、図4及び5の軟組織エンジン440の図を示している。図6に示されたブロックは、軟組織エンジン440内で動作するソフトウェアモジュール、アプリケーション、アルゴリズム、及び/又はルーチンとして実装されてもよい。セグメント化プロセッサ622などのように、ブロックの一部が結合されてもよく、及び/又は省略されてもよいということが、理解されるべきである。さらに、ブロックの一部は、解析サーバ408上の異なる物理的位置で実装されてもよい。例えば、解析サーバ408は、クラウドコンピューティング環境などのコンピューティング環境全体に分散されたブレードサーバ又はプロセッサを含んでもよい。それに応じて、図6に示されたブロックの各々は、分散環境内の異なる物理的位置及び/又は仮想的位置でホストされるか、又は実装されてもよい。したがって、図6に示されたブロックの各々は、別々の(又は同じ)プロセッサによって実施されるか、又は操作されてもよい。さらに、ブロックの各々の別々のインスタンスが、解析される画像412のセットごとに開始されてもよい。
a.画像インターフェイス
【0097】
[0097]医用画像412を撮像デバイス406から受信するために、図6の例示的な軟組織エンジン440は画像インターフェイス602を含んでいる。例示的な画像インターフェイス602は、医用画像412を撮像デバイス406から受動的に受信するように構成されてもよい。例えば、スキャンが完了した後に、撮像デバイス406は、医用画像412を画像インターフェイス602に送信する。代替として、画像インターフェイス602は、撮像デバイス406を定期的にポーリングして、新しい画像が利用可能であるかどうかを判定してもよい。場合によっては、撮像デバイス406は、医用画像412をワークステーションに送信してもよい。その場合、オペレータは、医用画像を再検討して、それらが視覚的に明瞭であること、及び患者がスキャン中に移動しなかったことを確認する。画像412が許容可能であることが示された後に、ワークステーションが画像を画像インターフェイス602に送信する。
【0098】
[0098]画像インターフェイス602は、一実施形態では、医用画像412に対して解析及び/又は処理を実行するまで、医用画像412を待ち行列に入れるように構成される。画像インターフェイス602は、状態情報をユーザインターフェイス604に提供してもよい。状態は、どの医用画像412が解析を待っているか、解析をスケジューリングされているか、及び/又は解析の実行中であるかに関する指示を含んでもよい。例えば、技術者は、ユーザインターフェイス604を介して医用画像412の状態を確認してもよい。
b.ユーザインターフェイス
【0099】
[0099]例示的なユーザインターフェイス604は、医用画像412を処理及び解析するための管理アクセス及び制御を提供するように構成される。ユーザインターフェイス604は、要求された情報を表示用の形式で描画するように構成されてもよい。そのような情報は、医用画像412の状態、軟組織のピーク情報、ハウンスフィールド値の分布データ、画像のセグメント化情報、及び/又は画像の放射線濃度情報を含むことができる。ユーザインターフェイス604は、表示のために医用画像412を描画するように構成されたビューアーを含んでもよい。ユーザインターフェイス604は、技術者が画像を手動で処理及び解析して筋肉の質及び/又は量を決定できるようにする機能を含んでもよい。しかし、ユーザインターフェイス604は手動による処理を可能にするが、本明細書に記載された軟組織エンジン440の機能がユーザの介入なしで実行されるということが、理解されるべきである。
【0100】
[00100]一部の実施形態では、臨床医のデバイス424は、ユーザインターフェイス604にアクセスして、医用画像412及び対象の医用画像609を表示してもよい。加えて、臨床医のデバイス424は、ユーザインターフェイス604にアクセスして、医用画像から決定された筋肉の質及び/又は量のデータ(及び/又は患者の栄養状態)を表示してもよい。これらの例では、ユーザインターフェイス604は、選択のための患者のリストを提示してもよい。臨床医のデバイスから選択を受信するときに、ユーザインターフェイス604は、どの画像及び/又はデータが軟組織エンジン440内で利用可能であるかを決定してもよい。臨床医は、臨床医のデバイス424上で画像及び/又はデータを確認してもよい。さらに、ユーザインターフェイス604は、臨床医のデバイス424と情報をやりとりして、臨床医が、画像及び/又はデータに対して、変更、修正、及び/又は注釈の付加を実行できるようにしてもよい。
c.コントローラ
【0101】
[00101]図6の例示的な軟組織エンジン440は、命令を撮像デバイス406に提供するように構成されたコントローラ606を含む。場合によっては、患者の栄養状態を決定するために、単一の医用画像(又は少数の医用画像)のみが必要である。患者にX線を受けさせて約100の画像を取得して、望ましい画像を選択する代わりに、例示的なコントローラ606は、患者のどの特定の位置が撮像に必要であるかについて、撮像デバイス406に指示する。このような構成によって、患者が被ばくする放射線量が減少する。
【0102】
[00102]例では、軟組織エンジン440が、例えばユーザインターフェイス604を介して、患者の栄養状態を決定するためのCTスキャンを受ける特定の患者の指示を受信してもよい。コントローラ606は、CTスキャンが実行される患者の特定の領域を決定する。この特定の領域は、例えば、L3椎骨とL4椎骨の間の患者の腰筋のスキャンを含んでもよい。コントローラ606は、どの撮像デバイス406が患者を撮像するかに関する指示を受信してもよい。例えば、撮像デバイスの識別子がユーザインターフェイス604に入力されてもよい。代替として、コントローラ606は、EMRサーバ426によってアクセス可能なデータベースに格納された患者の医療記録にアクセスしてもよい。コントローラ606は、患者を撮像する撮像デバイス406を決定した後に、撮像される患者の領域を示すメッセージ607を撮像デバイス406に送信する。
【0103】
[00103]一部の例では、コントローラ606は、省略されるか、又は使用されなくてもよい。例えば、多くの場合、救急医療エリアに入るとき、又は重要な医療処置の前に、標準的な習慣として、患者はCTスキャンを受ける。そのような状況では、医療診断のために、対象領域全体がスキャンされる。ここで、画像インターフェイス602が、医用画像412のコピーを受信する。このようにして、患者の栄養状態を決定するために、別のCTスキャンを実行する必要がない。代わりに、他の目的ですでに取得されている医用画像が、患者の栄養状態を決定するために使用されてもよい。
d.画像セレクタ
【0104】
[00104]軟組織エンジン440は、2つ以上の医用画像412が画像インターフェイス602で受信される場合のために、画像セレクタ608を含んでいる。ここで、画像セレクタ608は、さらに解析するために、対象の医用画像609を決定又は識別する。詳細には、画像セレクタ608は、複数の医用画像412を解析して、どの医用画像が十分な患者の生体構造を含んでいるかを決定し、骨格筋の質及び/又は量を決定するように構成されてもよい。例えば、画像セレクタ608は、腰筋又は胸筋を含んでいる医用画像を識別してもよい。
【0105】
[00105]例示的な画像セレクタ608は、骨組織の位置及び量を識別することによって、対象の画像609を決定する。例えば、画像セレクタ608は、肋骨組織及び寛骨組織の位置を識別して、L3椎骨とL4椎骨の間の位置を決定してもよい。一部の実施形態では、画像セレクタ608は、各2次元画像内で、300HUを超える放射線濃度(骨組織に関連付けられた放射線濃度)に対応するピクセルを識別するように構成される。300HUを超える放射線濃度を有するピクセルを数えることによって、2次元医用画像ごとの、骨組織の表面積又は断面積の相対的に正確な推定を可能にする。
【0106】
[00106]図7は、患者の腰部に関して、骨の表面積又は断面積を平方センチメートル(cm)単位で示すグラフ700を示している。各ピクセルがセンチメートル単位の既知の表面積を有するピクセルの総数を合計することによって、センチメートル単位の表面積又は断面積が決定されてもよい。グラフ700は、例えば1~80の範囲の医用画像のセットのうちの医用画像36(左端)~48(右端)に制限されていることを示している。例示的なグラフ700では、画像36及び37は、約14cmの大きい骨の表面積に対応するL3椎骨及び最後の浮遊肋骨を含む。画像42及び43は、約9cmの少ない骨の表面積を含んでいるL3椎骨とL4椎骨の間の領域を含む。画像44及び46は、L4椎骨を含み、約11cmへの骨の表面積の増加を示す。画像48は、通常はL4椎骨と同一平面上にある骨盤翼の上部を含む。骨盤翼の含有は、約12cmへの骨の表面積の増加を引き起こす。
【0107】
[00107]図7の例では、例示的な画像セレクタ608は、医用画像412を進んでL3椎骨とL4椎骨の間の腰部を決定するように構成される。次に、画像セレクタ608は、医用画像36~48の各々において、300HUを超える放射線濃度を有するピクセルの数を数えることによって、骨の表面積又は断面積を決定する。画像セレクタ608は、腰部において最低の骨組織の表面積を有する医用画像を、対象の医用画像として識別する。言い換えると、画像セレクタ608は、グラフ700内で表された医用画像のうちのどれが最小の組織の表面積を有するかを決定する。
【0108】
[00108]例示的な画像セレクタ608は、医用画像間の関係に基づいて腰部を識別するように構成される。例えば、画像セレクタ608は、患者の中央部のCTスキャンの場合に、事実上すべての患者の腰部に通常は対応する、25~45の番号が付けられた医用画像を解析するように構成されてもよい。他の例では、画像セレクタ608は、骨盤翼の先端及び/又は最後の浮遊肋骨を識別するように構成され、この部分は、患者の中央部の医用画像のセット内で識別するのが相対的に容易である。例えば、画像セレクタ608は、一連の画像412において(骨盤翼の先端の位置に対応する)特定の解剖学的領域を検索して、それらの領域内で約300HUの放射線濃度値を有する画像を決定してもよい。骨盤翼の先端が識別された後に、画像セレクタ608は、前の10~15の医用画像(すなわち、骨盤翼の先端から約7.5cm上)を識別して、骨の表面積又は断面積に関して解析されるべき医用画像を決定する。
【0109】
[00109]一部の例では、画像セレクタ608は、各医用画像の指定された部分をセグメント化するか、又はその他の方法で識別して、対象の医用画像を識別してもよい。それらの例では、画像セレクタ608は、患者の腰部における質量中心を決定する。例えば、画像セレクタ608は、(すべてではないとしても)ほとんどの患者の腰部に通常は対応する、25~50の番号が付けられたいずれかの医用画像を選択してもよい。画像セレクタ608は、選択された画像に関して、選択された医用画像内で示された患者の生体構造内の中心又はほぼ中心を決定することによって、質量中心を決定する。
【0110】
[00110]例えば、図8及び9の医用画像800及び900は、それぞれ、本開示の実施形態例に従って決定された質量中心802(又は重心)を示している。質量中心802は、画像800などの1つの医用画像に対して決定されてから、医用画像900などの、その後の医用画像に適用されてもよい。他の例では、画像セレクタ608は、画像ごとに質量中心を決定するように構成される。医用画像800及び900は、2つの異なる断面スライスでの、同じ患者の画像である。図8の医用画像800は、最後の浮遊肋骨801の端部を示している。比較すると、図9の医用画像900は、骨盤翼901の出現を示している。
【0111】
[00111]画像セレクタ608は、図8及び9の質量中心802を、基準点として使用する。画像セレクタ608は、質量中心802から外側に向かって水平方向にずれて定義された距離に左上隅が配置された、多角形領域804を作成する。この定義された距離は、1cm~8cmの範囲内であってもよい。場合によっては、画像セレクタ608は、患者の身長に基づいて定義された距離を決定してもよく、より大きい患者に対しては、より長い距離が選択される。このずれの目的は、骨の表面積又は断面積の解析から、背骨及び椎骨を除外するためである。
【0112】
[00112]図8及び9の多角形領域804のサイズは、患者の右側の肋骨及び骨盤翼を包含するように決定されてもよい。前述したように、図8の医用画像800は、最後の浮遊肋骨806の端部を示しており、図9の医用画像900は、骨盤翼902の出現を示している。医用画像800と900の間の番号内の医用画像は、多角形領域804内で骨組織を含んでいないはずである。これは、この領域内の最後の浮遊肋骨806と骨盤翼902の上部の間には、通常、(椎骨以外の)骨が存在しないためである。
【0113】
[00113]画像セレクタ608は、同じ多角形領域804を、腰部に関連付けられた医用画像(例えば、L3椎骨とL4椎骨の間のスライスの医用画像)に適用するように構成される。次に、画像セレクタ608は、多角形領域804内のピクセルに関して、組織の放射線濃度を決定する。実質的に骨組織を含んでいない医用画像(例えば、多角形領域804内で300HUを超える放射線濃度を実質的に含まない画像)は、さらに解析するために選択されてもよい画像(例えば、対象の医用画像)に対応する。背骨のさらに下にある腰筋808のサイズが必然的に減少するため(医用画像800及び900において示されている)、画像セレクタ608は、多角形領域804内に骨組織を含んでいない最高のシーケンス番号を有する医用画像(例えば、最後の浮遊肋骨の直後の医用画像)を選択するように構成される。
【0114】
[00114]対象の医用画像609の識別後に、画像セレクタ608は、さらに処理するために、この画像を自動的に提供又は送信するように構成される。場合によっては、医用画像全体が解析されて、筋肉の質及び量を決定してもよい。他の例では、医用画像の指定された部分のみが解析されて、筋肉の質及び量を決定する。画像セレクタ608は、上では1つの対象の画像609を選択することとして開示されているが、画像セレクタ608が解析用の複数の画像を選択してもよいということが理解されるべきである。例えば、画像セレクタ608は、L3椎骨とL4椎骨の間の複数の画像を提供してもよい。さらに、画像セレクタ608は、造影剤を使用しない医用画像及び造影剤を使用した医用画像を提供してもよい。
【0115】
[00115]場合によっては、画像セレクタ608は、選択された対象の画像(複数可)609を示すメッセージをユーザインターフェイス604に送信してもよい。ユーザインターフェイス604は、識別された画像(複数可)609を含むメッセージを技術者に表示してもよい。次に技術者は、医用画像(複数可)609を再検討し、筋肉の質及び/又は量を決定するために、画像が許容可能であるかどうかを判定してもよい。画像セレクタ608は、承認の指示をユーザインターフェイス604から受信した後に、さらに解析するために医用画像を送信する。不承認の指示が受信された場合(技術者が選択された画像と異なる画像を望んだ場合、又は選択された画像に不良を見つけた場合)、画像セレクタ608は、前述の方法を使用して別の画像を選択してもよく、承認されなかった画像が検討から除外される。追加的又は代替的に、画像セレクタ608は、筋肉の質及び/又は量を決定するために、医用画像の少量のサブセットを選択して技術者に提供してもよい。
e.画像アナライザ
【0116】
[00116]図6の例示的な軟組織エンジン440は、画像セレクタ608によって提供された対象の医用画像609のピクセルで示された組織に関して、放射線濃度の分布を決定するように構成された、画像アナライザ610を含んでいる。例示的な画像アナライザ610は、画像内のピクセルデータ及び/又はメタデータ内の放射線濃度データを解析することによって、対象の医用画像609内で提供された筋肉及び/又は組織の量を決定するようにも構成される。画像アナライザ610は、異なるレベル又はビンで放射線濃度の分布を生成して、筋肉の質を決定できるように構成される。
【0117】
[00117]図10は、組織の量を決定するために画像アナライザ610によって解析されてもよい対象の医用画像609aの図を示している。対象の医用画像609aは、患者の対応する領域内で検出された放射線濃度値に基づいて色分けされたピクセルを含んでいる。対象の医用画像609aは、同じ放射線濃度値又は放射線濃度レベルを有するピクセルの総数を数える。次に画像アナライザ610は、各ピクセルの既知の寸法に基づいて、ピクセル数を平方センチメートル単位の表面積又は断面積に変換してもよい。その後、画像アナライザ610は、放射線濃度値又は放射線濃度レベルごとに、組織の合計表面積の分布を作成する。512×512ピクセルの医用画像は、約262,000ピクセルのデータを含み、組織の量を適切に決定するための十分な解像度を提供する。
【0118】
[00118]図11は、本開示の実施形態例に従って、図10の対象の医用画像609aの放射線濃度値(HU単位)ごとの組織の合計ピクセル数を示す、分布グラフ1100(例えば、軟組織栄養ヒストグラム(ニュートリショングラム(nutrition-gram)))の図を示している。したがって、この分布グラフ又はニュートリショングラム1100は、ハウンスフィールド値の分布又はデータ分布612aと呼ばれることがある。他の実施形態では、表面積又は断面積が平方センチメートル単位で表されてもよいということが理解されるべきである。ニュートリショングラム1100は、画像アナライザは、画像アナライザ610によって作成された分布の単なる例示であってもよい。例えば、画像アナライザ610は、使用中に、放射線濃度レベルごとに、ファイル又はデータベースに格納された一連の数を含む分布を計算してもよい。各行は、異なる放射線濃度値を表し、対応するピクセルの数及び/又は計算された表面積を含んでもよい。
【0119】
[00119]図10及び11に関連して説明された例では、画像アナライザ610は、指定された範囲(例えば、-150HU~150HUなど)内の放射線濃度値を有するピクセルを識別する。この例の範囲は、すべての筋肉及び脂肪組織を包含する。しかし、この範囲は、暗いピクセル1008として図10に示されている骨組織及び一部の臓器組織を除外する。解析を特定の放射線濃度の範囲に限定することによって、結果に影響を与えることなく、解析又は集計に必要なピクセルの量を減らす。
【0120】
[00120]図10及び11に関連して説明された例では、ピクセルの色分けが、読みやすくするために簡略化されており、指定された領域1002が脂肪組織(すなわち、内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織)に対応し、指定された領域1004が過渡的な組織(すなわち、筋肉内脂肪組織)に対応し、指定された領域1006が筋肉組織に対応する。しかし、多くの実施形態では、ピクセルの陰影又は色が、2バイトの複雑さであってもよいということが理解されるべきである。
【0121】
[00121]一部の実施形態では、画像アナライザ610は、ビンを使用して、図11のニュートリショングラム1100に示された分布612aを作成するように構成される。例えば、画像アナライザ610は、0.1HU~2HUの範囲内の幅を有する放射線濃度のビンを作成してもよい。画像アナライザ610は、どの放射線濃度値が各ビンに含まれるかを決定する。次に画像アナライザ610は、各ビン内のピクセルの数を数えて、分布を作成する。
【0122】
[00122]一部の実施形態では、画像アナライザ610は、1つ又は複数のフィルタ(複数可)を使用して分布データ612aを平滑化するように構成される。例えば、画像アナライザ610は、Savitzky-Golayデジタルフィルタを適用してニュートリショングラム1100のデータ612aを平滑化するように構成されてもよい。他の例では、画像アナライザ610は、移動平均フィルタ、マルチパスフィルタ、又は畳み込みフィルタの他のタイプを使用してもよい。分布データの平滑化によって、データの解析が容易になり、軟組織のピークなどの局所的なピークを検索できるようになる。データの平滑化を行わない場合、高周波数の小型のピークが存在し、より大きい局所ピークの検索が困難になる。したがって、フィルタは、ノイズ要素をデータから除去し、下流のより効率的なデータ処理を可能にする。フィルタの使用は、軟組織のピークを識別する可能性も増やす。
【0123】
[00123]例示的な画像アナライザ610は、さらに処理して、例えば軟組織のピーク及び関連する情報を決定するために、特定の分布データ612を出力するように構成される。図12は、画像アナライザ610によって決定、格納、及び送信されてもよい、例示的な筋肉の質及び/又は量の分布データ612の図を示している。分布データ612は、メモリ614の1つ又は複数のファイルに格納されてもよい。例えば、対象の医用画像609は第1のファイルに格納されてもよく、一方、組織のピクセルデータ1202及び表面積データ1204は第2のファイルに格納される。場合によっては、組織のピクセルデータ1202及び表面積データ1204を格納する第2のファイルは、第1のファイルに格納された対象の医用画像609へのリンク又は参照を含んでもよい。画像アナライザ610によって決定されてもよい分布データ612は、例えば、対象の医用画像609内のすべての組織の種類(又は、指定された範囲内のすべての組織)に関する組織のピクセルデータ1202、組織の合計表面積1204a、筋肉の表面積1204b、及び/又は過渡的な組織の表面積1204cを含む。表面積は、ピクセル数又は平方センチメートルとして表されてもよい。さらに、データ612は、ニュートリショングラム1100などの分布グラフ内にビン化及び/又は格納されてもよい。
【0124】
[00124]例示的なユーザインターフェイス604は、分布データ612を表示に使用できるようにするように構成される。例えば、ユーザインターフェイス604は、医用画像609aと共にニュートリショングラム1100を表示してもよい。さらに、表面積データ1204は、指定されたフィールドに表示されてもよい。そのような情報は、技術者が、解析されたデータを、処理されているとき又は処理された後に、表示できるようにする。
【0125】
[00125]図13は、本開示の実施形態例に従って、異なる患者に関する別の対象の医用画像609bを示している。さらに、図14は、本開示の実施形態例に従って、図12の対象の医用画像609bの放射線濃度値(HU単位)ごとの組織の合計ピクセル数を示す、データ分布612bを含む分布グラフ又はニュートリショングラム1400の図を示している。図13及び14に関連して説明された例では、画像アナライザ610は、図10及び11と共に上で説明された方法と同様に、医用画像609bを解析して分布ニュートリショングラム1400を作成する。
【0126】
[00126]図10及び11を図13及び14と比較すると、CTスキャンの前に、医用画像609aに関連付けられた患者は、虚弱であると医学的に診断されており、一方、医用画像609bに関連付けられた患者は、健康であると医学的に診断されている。図10及び11と図13及び14の間のデータ612における差異は、患者間の実際の物理的差異を裏付けており、虚弱な患者がより少ない筋肉及び/又は筋肉内脂肪組織による筋肉のより大きい置換を確かに有していたことを示している。例えば、脂肪組織1002、1302の量は、2人の患者間でほぼ同じであり、医用画像609aに関連付けられた患者は、著しく少ない筋肉組織1006及び多い過渡的な組織1004(例えば、筋肉内脂肪組織)を有している。特に、過渡的な組織1004として示されている、筋肉組織への著しい脂肪の浸潤が存在する。これに対して、図13の医用画像609bに関連付けられた患者は、より多い筋肉組織1306及びより少ない過渡的な組織1304(例えば、脂肪組織が浸潤した筋肉組織)を有している。したがって、図10及び11並びに図13及び14に示された例は、放射線濃度値及び軟組織のピークの分布が、脂肪組織による筋肉組織への浸潤と相関していることを実証しており、このことを、正確な解析のために自動的に定量化することができる。
f.データアナライザ
【0127】
[00127]図6の例示的な軟組織エンジン440は、分布データ612から軟組織のピーク及び関連する情報を決定するために、データアナライザ616を含んでいる。例示的なデータアナライザ616は、分布データ612を画像アナライザ610から受信するか、又はメモリ414の分布データにアクセスするように構成される。軟組織のピークを決定するために、例示的なデータアナライザ616は、データ分布612において-50HU~100HUの範囲内に存在するデータの局所ピークを検索するように構成される。データアナライザ616は、軟組織のピークが(40HU~80HUの範囲内の放射線濃度を有する)筋肉又は(-50HU~40HUの範囲内の放射線濃度を有する)筋肉内脂肪組織の放射線濃度特性のみを有するため、分布全体のサブセットのみを検索するように構成される。このサブセットは、軟組織のピークと比較してより高いピークを有することがある内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織(すなわち、脂肪組織)も無視する。加えて、脂肪組織のピークを解析に含めることは、軟組織のピークの検索を複雑にすることがある。
【0128】
[00128]データアナライザ616は、軟組織のピークを特定した後に、軟組織のピークの放射線濃度値を栄養状態レコード618に格納する。データアナライザ616は、軟組織のピークに対応するピクセルの数又は組織の表面積を決定してもよい。一部の外れ値の例では、分布データ612は、二峰性の軟組織のピークを含むことがある。その場合、データアナライザ616は、両方のピークを記録してもよい。追加的又は代替的に、データアナライザ616は、二峰性の分布を平均化して平均ピークを決定してから、記録してもよい。
【0129】
[00129]1つの例では、データアナライザ616は、図11のニュートリショングラム1100に示されたデータ分布612aを解析するように構成される。この例では、データアナライザ616は、-50HU~100HUの範囲内の分布データを解析する。データアナライザ616は、軟組織のピークが約20HUに存在することを決定し、この値は、組織の他の量と比較して相対的に緊密な放射線濃度の範囲内の大量の過渡的な組織又は筋肉組織に対応しており、組織の他の量は、この範囲より大きいか、又は小さい放射線濃度値を有する。データアナライザ616は、軟組織のピークに関連付けられた表面積又は断面積或いはピクセル数の値も決定する。この例では、20HUでの軟組織のピークは、約1000ピクセルのピクセル数に対応する。
【0130】
[00130]図14は、データアナライザ616によって解析されてもよいデータ分布ニュートリショングラム1400で、別のデータ分布612bを示している。この例では、データアナライザ616は、軟組織のピークが約55HUに存在するということを決定する。さらに、データアナライザ616は、軟組織のピークが約600ピクセルのピクセル数に対応するということを決定する。
【0131】
[00131]軟組織のピークに加えて、データアナライザ616は、軟組織のピークに関連する情報を決定してもよい。例えば、軟組織のピークが通常はガウス型分布であるため、データアナライザ616は、ピークからの第1及び/又は第2の偏差の範囲内で組織の表面積又は断面積を決定してもよい。ピークがゆがんでいる場合、データアナライザ616は、ピークから定義された放射線濃度の距離の範囲(例えば、軟組織の範囲)内の組織の量及び/又はピクセルの数を決定してもよい。この決定することは、軟組織のピークの右にある組織若しくはピクセルのパーセンテージ及び/又は筋肉に対応する放射線濃度を有する組織若しくはピクセルのパーセンテージを決定することを含んでもよい。そのような情報は、ピークの幅を示し、以て、軟組織のピークに類似する放射線濃度を有する軟組織の量を示す。データアナライザ616は、第1若しくは第2の標準偏差での放射線濃度値及び/又は第1の偏差と第2の偏差の間の平均放射線濃度値を決定してもよい。
【0132】
[00132]例示的なデータアナライザ616は、軟組織のピークと隣接する谷(例えば、脂肪又はシンテール)との間の比率を決定してもよい。例えば、図11のニュートリショングラム1100を参照すると、データアナライザ616は、-30HUでの過渡的な組織の組織の表面積若しくは断面積又はピクセル数、及び80HUでの筋肉組織の組織の表面積又はピクセル数を決定してもよい。次にデータアナライザ616は、ピークでの組織の表面積又はピクセル数を、谷での組織の表面積又はピクセル数と比較することによって、比率を作成する。この比率は、例えば、他の放射線濃度での組織と比較した、軟組織のピークで凝集されている組織の量を示してもよい。例えば、図11に示されているデータ分布612aは、筋肉組織の大部分が脂肪組織に浸潤されていることを示す、組織の谷に対するピークの有意な比率を含んでいる。データ分布612aは、軟組織のピークが左にゆがんでおり、ピークの右にあるピクセルのパーセンテージが少ないことも示している。このゆがみは、筋肉組織の大部分が脂肪組織に浸潤されていることも示している。比較すると、図14に示されているデータ分布612bは、相対的に筋肉内脂肪組織ないことを示す、軟組織の谷に対するピークのより低い比率を含んでいる。データ分布612bは、組織の放射線濃度値がより均一に配置されていることも示している。加えて、軟組織のピークにおけるゆがみが、あるとしても、少ない。ゆがみがないということは、ピークの右にある軟組織のパーセンテージがより大きいということを意味し、筋肉組織が相対的に健康であることを示す。
【0133】
[00133]図15は、本開示の実施形態例に従って、データアナライザ616によって作成できる例示的な栄養状態レコード618の図を示している。データアナライザ616は、軟組織のピークを決定した後に、軟組織のピークをレコード618に格納する。上で示したように、レコード618は、軟組織のピークの放射線濃度データ1502及び組織の表面積1504を含んでいる。さらに、データアナライザ616は、標準偏差データ1506(軟組織、ゆがみ、範囲、及び/又はピークの右にある軟組織のパーセンテージを含む)及び比率データ1508を格納するように構成されてもよい。場合によっては、データアナライザ616は、組織の表面積データ1204を含む、分布データ612からの情報の少なくとも一部をレコード618に格納してもよい。
【0134】
[00134]レコード618に格納されたデータは、患者の栄養状態を示す。詳細には、軟組織のピーク、標準偏差データ1506(軟組織、ゆがみ、範囲、及び/又はピークの右にある軟組織のパーセンテージを含む)、及び比率データ1508は、筋肉内脂肪組織に関して、患者の筋肉の量及び質に関する指示を提供する。臨床医は、レコード618に格納されたデータを使用して、患者が栄養的に健康であるかどうか、又は栄養療法が必要であるかどうかを判定及び/又は推奨してもよい。追加的又は代替的に、図4及び5の栄養療法構成要素404は、レコード618内のデータに基づいて、栄養療法が投与されるべきであるかどうかを判定してもよい。
【0135】
[00135]場合によっては、データアナライザ616は、軟組織のピーク1502の放射線濃度値、軟組織のピーク1504の組織の面積、標準偏差データ1506(軟組織、ゆがみ、範囲、及び/又はピークの右にある軟組織のパーセンテージを含む)、及び/又は比率データ1508に基づいて、患者の栄養状態の数値スコア又はテキスト指示(栄養状態値1510と呼ばれる)を決定するように構成される。例えば、データアナライザ616は、軟組織のピーク1502の放射線濃度値を、既定のしきい値(例えば、40HU、45HU、50HUなど)と比較してもよい。データアナライザ616は、軟組織のピークが既定のしきい値を下回る場合に、患者が栄養的に不健康であるということを決定及び/又は推奨するように構成されてもよい。他の例では、栄養不良レベルに対応する複数のしきい値が存在してもよい。例えば、35HU~45HUの軟組織のピークは「軽度の栄養不良状態」として分類されてもよく、28HU~35HUの軟組織のピークは「中程度の栄養不良状態」として分類されてもよく、28HU未満の軟組織のピークは「重度の栄養不良状態」として分類されてもよい。他の例では、軟組織のピークの放射線濃度値に基づいて栄養スコアが(例えば、1~100の段階で)決定されてもよい。例えば、軟組織のピークの-50~80の放射線濃度値が、1~100のスコアに大きさを変更されてもよい。その後、データアナライザ616は、大きさを変更されたスコアに基づいて、テキストの栄養特性を決定するように構成されてもよい。データアナライザ616は、大きさを変更されたスコア及び/又はテキストの特性を栄養状態値1510としてレコードに格納する。
【0136】
[00136]栄養状態値1510は、軟組織のピーク1502から決定されると説明されたが、他の軟組織情報1504、1506、及び/又は1508が栄養状態を決定及び/又は評価するために使用されてもよいということが、理解されるべきである。例えば、栄養状態値1510は、軟組織のピークの患者の第1の標準偏差1506(軟組織、ゆがみ、範囲、及び/又はピークの右にある軟組織のパーセンテージを含む)、筋肉の表面積、軟組織のピークに関連付けられた表面積、及び軟組織のピークの放射線濃度値の組み合わせに基づいて決定されてもよい。異なるデータタイプの各々に加重が割り当てられてもよく、それらの値は、正規化され、大きさを変更され、及び/又は組み合わせられた場合に、栄養状態を決定するために1つ又は複数の既定のしきい値と比較される。1つの例では、患者が、40HUで軟組織のピークを有することがあり、これは、単独では、患者が「軽度の栄養不良状態」であることを示すことがある。しかし、第1の標準偏差内の組織の表面積が、組織のかなりの量が筋肉である広い分布を示すことがある。データアナライザ616は、標準偏差データを使用して、患者が「健康な」栄養状態を有するということを代わりに決定する。
【0137】
[00137]栄養状態値1510は、軟組織のピーク1502並びに/或いは関連する軟組織のピーク情報612、1504、1506、及び/又は1508を、患者の人口統計情報に基づいて調整されたしきい値と比較することによって決定されてもよい。例えば、患者が年を取るにつれて、筋肉組織が退化し、筋肉内脂肪組織に置き換えられる傾向がある。一部の実施形態では、データアナライザ616は、患者の年齢に基づいて1つ又は複数のしきい値を調整するように構成される。上の例では、「35HU」の値が、軽度の栄養不良状態と中程度の栄養不良状態の間のしきい値であると説明された。例示的なデータアナライザ616は、中程度の栄養不良状態の検出がより低い放射線濃度で発生するように、このしきい値(及びその他のしきい値)を調整してもよい。データアナライザ616は、「45HU」の基準値から患者の現在の年齢が引かれた値を10で割ることを指定するアルゴリズムを使用して、プログラムされてもよい。次に、35HUでの放射線濃度のしきい値から、この計算の結果が引かれる。65歳の患者の場合、データアナライザ616は、2HU((65HU-45HU)/10)の調整を計算する。したがって、中程度の栄養不良状態と軽度の栄養不良状態の間のしきい値は、35HUの代わりに33HUになる。
【0138】
[00138]他の例では、データアナライザ616は、身長、人種、性別、病気の苦痛、けがの種類、その後のスケジューリングされた医療処置の種類などの、他の患者の人口統計情報に基づいて、しきい値(複数可)を調整してもよい。例えば、データアナライザ616は、患者の医療記録にアクセスし、その患者が、相対的に集中的な処置として特徴付けられる化学療法を受けるべきであるということを、決定してもよい。したがって、データアナライザ616は、医療処置の種類に基づいてしきい値(複数可)を調整し、患者ががん治療に対応するための十分なアミノ酸の予備を有していることを保証してもよい。そのような実施形態では、データアナライザ616は、例えば、患者が化学療法(及び/又は特定のクラスの医療処置)に関して栄養的に許容できることの指示を、レコード618に格納してもよい。加えて、データアナライザ616は、患者が栄養不良状態であると見なされる処置(例えば、手術)又は医療処置分類の指示を決定し、レコード618に格納してもよい。
【0139】
[00139]一部の実施形態では、データアナライザ616によって解析されるデータは、対象の医用画像609から決定できる筋肉の質及び/又は量のデータに自己完結していると理解されるべきである。それらの実施形態では、患者のデータは、栄養状態を決定するために、他の患者の母集団データと比較されない。これは、母集団データが完全ではないか、又は栄養解析を受ける患者を表していないことがあるため、有益であることがある。加えて、母集団データを使用する必要がないことは、特徴のない患者が、データアナライザ616による患者の栄養状態の誤認を引き起こす可能性を減らす。
【0140】
[00140]例示的な軟組織エンジン440は母集団データなしで動作することができるが、一部の実施形態では、データアナライザ616は、栄養状態を決定及び/又は評価するために、患者の母集団データを使用するように構成されてもよい。母集団データの使用は、現在の患者が、類似する人口統計及び筋肉の質の指標を有する他の患者にどのように関連しているか、及びそれらの他の比較可能な患者が栄養的に健康だったかどうかの指示を提供してもよい。1つの例では、データアナライザ616は、母集団データのプールから、解析対象の患者に類似する人口統計の特徴(例えば、身長、体重、年齢、性別など)を有する個人を決定するように構成される。次に、データアナライザ616は、軟組織のピーク1502並びに/或いは軟組織のピーク情報612、1504、1506、及び/又は1508を、識別された個人の軟組織のピーク及び/又は関連する情報と比較する。データアナライザ616は、例えば、患者と識別された個人との間の軟組織のピーク1502の放射線濃度値が既定のしきい値の範囲内にある場合に、一致が存在するということを決定する。データアナライザ616は、一致する個人の栄養状態を決定し、この栄養状態をレコード618に格納する。場合によっては、データアナライザ616は、一致する個人の間で栄養状態を平均化し、平均化された値をレコード618に格納してもよい。その場合、データアナライザ616は、患者の軟組織のピーク1502との一致する個人の軟組織のピークの近さ、及びそれらの人口統計の特徴の近さに基づいて、異なる栄養状態に重みを付けてもよい。
【0141】
[00141]上記の開示は単一の医用画像の処理に重点を置いているが、データアナライザ616が、2つ以上の医用画像から患者の栄養状態を決定するように構成されてもよいということが、理解されるべきである。例えば、データアナライザ616(及び画像アナライザ610)は、2つ以上の医用画像の1つ又は複数のデータ分布(複数可)612から、軟組織のピーク1502並びに関連する情報1504、1506、及び/又は1508を決定してもよい。データアナライザ616は、分布ごとに軟組織のピークを決定するように構成される。次に、データアナライザ616は、軟組織のピークを平均化するか、又はその他の方法で結合する。さらに、データアナライザ616は、平均化及び/又は結合された軟組織のピークに基づいて、患者の栄養状態を決定する。決定された栄養状態1510及び結合又は平均化された軟組織のピーク1502は、栄養状態レコード618に格納される。場合によっては、個人の軟組織のピークがレコード618に格納されてもよい。
【0142】
[00142]2つ以上の医用画像が処理される例では、データアナライザ616は、統計解析を用いて、軟組織のピーク及び/又は関連する情報が統計的外れ値であるかどうかを判定してもよい。例えば、一連の医用画像のうちの3つの医用画像が、45HU~48HUの範囲内の軟組織のピークに対応し、一方、同じ一連の医用画像の第4の医用画像が、32HUでの軟組織のピークに対応することがある。データアナライザ616は、この第4の医用画像の軟組織のピークが統計的外れ値であると決定する。その場合、データアナライザ616は、この第4の医用画像に関連する軟組織のピーク情報を破棄してもよい。
g.ネットワークインターフェイス
【0143】
[00143]図6の例示的な軟組織エンジン440は、例えば、栄養状態レコード618をHIS450、EMRサーバ426、薬剤調合システム420、少なくとも1つの栄養注入ポンプ422、及び/又は臨床医のデバイス424に送信するための、ネットワークインターフェイス620を含んでいる。軟組織エンジン440が栄養解析エンジン442を含んでいる場合、軟組織エンジン440は、レコードを内部で栄養解析エンジン442に送信する。その場合も、軟組織エンジン440は、栄養状態レコード618を、外部でHIS450、EMRサーバ426、薬剤調合システム420、少なくとも1つの栄養注入ポンプ422、及び/又は臨床医のデバイス424に送信してもよい。
【0144】
[00144]レコード618を送信するために、例示的なネットワークインターフェイス620は、レコード618内の情報を1つ又は複数のメッセージ(複数可)414に構造化するように構成される。一部の実施形態では、ネットワークインターフェイス620は、分布データ612及び/又は関連する医用画像609を1つ又は複数のメッセージ(複数可)414に構造化してもよい。ネットワークインターフェイス620は、メッセージ(複数可)414の送信先を、個別に、例えばEMRサーバ426及び/又は薬剤調合システム420にしてもよい。他の例では、メッセージ(複数可)414が、送信先の受信者を決定するゲートウェイサーバに送信されてもよい。例えば、臨床医のデバイス424は、特定の患者に関連する情報を受信するように、ゲートウェイに予約してもよい。ゲートウェイは、受信し、レコード618が予約された患者に関連付けられているということを決定して、そのレコードを臨床医のデバイス424に送信する。下でさらに詳細に説明されているように、栄養状態レコード618の送信は、例えば、栄養療法及び/又は栄養液の成分の自動的な決定を可能にする。栄養状態レコード618(又は、栄養状態値1510などの、レコード618内の個別の情報)の送信は、臨床医が、患者のおおよその除脂肪体重又は栄養的健康状態を決定できるようにもし、それによって臨床医は、患者が集中的な医療処置を受けることができるかどうかを判断できる。少なくとも、栄養状態値1510は、処置後のリスク指標を提供する。場合によっては、臨床医は、処置前及び/又は処置後の栄養摂取をスケジューリングすることによって、患者のリスクを低減し、処置の転帰を改善しようと試みることができる。
h.セグメント化プロセッサ
【0145】
[00145]本明細書では、例示的な軟組織エンジン440は、2次元医用画像全体から筋肉の質を決定することとして説明された。一部の実施形態では、軟組織エンジン440は、医用画像の一部(例えば、セグメント)を選択して筋肉の質及び/又は量を決定するように構成されたセグメント化プロセッサ622を使用してもよい。セグメント化は、内臓、腹筋、内臓脂肪組織、及び/又は皮下脂肪組織を無視しながら、特定の領域(例えば、骨格腰筋)の筋肉の質及び量の定量化に焦点を合わせる。例えば、一部の内臓は、30HU~60HUの放射線濃度を有し、この放射線濃度は、40HU~80HUの筋肉の放射線濃度と重複する。その結果、場合によっては、画像アナライザ610は、画像全体が解析される場合、臓器組織を筋肉組織の定量化に含めることがある。
【0146】
[00146]特定の筋肉組織をセグメント化するために使用されてもよい複数の方法が存在する。本明細書に記載されたセグメント化プロセッサ622は、それらの方法のうちの1つ又は複数を使用して特定の組織を分離するように構成される。筋肉組織をセグメント化するために、例えば、セグメント化プロセッサ622は、1つ又は複数の対象の医用画像609を画像セレクタ608から受信するように構成される。セグメント化プロセッサ622が使用される実施形態では、画像セレクタ608は、画像を、画像アナライザ610に直接送信する代わりに、セグメント化プロセッサ622に送信するようにプログラムされてもよい。他の実施形態では、技術者は、1つ又は複数の対象の医用画像609がセグメント化されるべきであるということの指示を、ユーザインターフェイス604を介して提供してもよい。それらの実施形態では、技術者は、2つ以上のセグメント化方法を使用できる場合に、セグメント化方法を選択してもよい。さらに、ユーザインターフェイス604は、セグメント化後に画像を表示し、技術者がセグメント化の境界を調整できるように構成されてもよい。
【0147】
[00147]セグメント化プロセッサ622は、セグメント化の完了後に、セグメント化された画像を画像アナライザ610に送信するように構成される。データ分布612は、画像アナライザ610に関する説明と共に上で説明された手法と同じ手法を使用して、セグメント化された画像から決定される。しかし、それらの実施形態では、画像アナライザ610は、セグメント化された境界内のピクセルを解析し、他のピクセルを無視するように構成される。セグメント化プロセッサ622は、下で説明される方法のうちのいずれか1つを個別に、又は組み合わせて使用してもよい。
1.内臓のセグメント化
【0148】
[00148]1つの方法では、例示的なセグメント化プロセッサ622は、内臓及び組織を1つ又は複数の対象の医用画像(複数可)609から除去するように構成される。体幹筋又は骨格筋とは対照的に、腹腔の臓器及び脈管構造は、軸方向のCT画像内の矢状面に対して、相対的に低い対称性を有する。セグメント化プロセッサ622は、2次元医用画像内の解剖学的構造の統計的類似性の定量化を実行する(例えば、SSIM指標を決定する)ように構成されてもよい。セグメント化プロセッサ622は、生体構造の統計的類似性の定量化をしきい値と比較する。そのとき、セグメント化プロセッサ622は、医用画像を半分に分割し、半分の各々の上の同じ位置で組織の形状を比較してもよい。各半分の形状間の相関関係に基づいて、セグメント化プロセッサ622は、類似性の値をピクセルの各々に割り当てる。しきい値を下回る生体構造又はピクセルは、セグメント化プロセッサ622によって除去されるか、無視されるか、又はセグメント化される。これに対して、しきい値を超える生体構造又はピクセルは、画像アナライザ610によって処理するために、医用画像内に維持される。
【0149】
[00149]図16は、セグメント化プロセッサ622によって図10の医用画像609aに対して実行され得るセグメント化の例を示している。明確にするために、示されているセグメント化は手動で実行された。しかし、示されているセグメント化は、セグメント化プロセッサ622によって実行されてもよい組織のセグメント化を表している。図16の医用画像609aは、内部組織(及び骨組織)が除去され、黒色のピクセルに置き換えられた領域1602を示している。図10の事前にセグメント化された医用画像609aに示されているように、内臓及び周囲の脂肪組織は、相対的に非対称的である。比較すると、領域1004及び1006内の骨格筋組織及び腹筋組織、並びに領域1002内の周囲の脂肪組織は、相対的に対称的である。したがって、セグメント化は、脂肪組織(すなわち、内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織)に対応する指定された領域1002、過渡的な組織(すなわち、筋肉内脂肪組織)に対応する指定された領域1004、及び骨格筋組織及び腹筋組織に対応する指定された領域1006が医用画像609a内で維持されることを引き起こす(図15を参照)。
【0150】
[00150]図17は、図16のセグメント化された医用画像609aに基づいて画像アナライザ610によって作成された分布グラフ又はニュートリショングラム1700を示している。図11のニュートリショングラム1100と比較して、ニュートリショングラム1700は、著しく少ない脂肪組織、過渡的な組織、及び筋肉組織を含んでいる。しかし、ニュートリショングラム1700に残っている組織は、骨格筋及び関連する筋肉内脂肪組織に対応しており、患者のアミノ酸の予備及び全体的な栄養的健康状態をより明確に示している。図17に示された軟組織のピークが、図11のニュートリショングラム1100に示された軟組織のピークの放射線濃度を超える約10HUの放射線濃度を有しているということに、注意するべきである。この違いは、臓器の放射線濃度が筋肉内脂肪組織の放射線濃度と重複しているため、臓器の定量化が結果をゆがめ、患者が実際よりも不健康であると誤って示すことがあるということを示している。したがって、セグメント化プロセッサ622によって実行されたセグメント化は、筋肉の質に関するより正確な結果を提供する。さらに、セグメント化は、画像アナライザ610によって解析する必要があるピクセルの数を減らす。
【0151】
[00151]図18は、セグメント化プロセッサ622によって図13の医用画像609bに対して実行され得るセグメント化の例を示している。図16と同様に、明確にするために、示されているセグメント化は手動で実行された。しかし、示されているセグメント化は、セグメント化プロセッサ622によって実行されてもよい組織のセグメント化を表している。図19は、図18のセグメント化された医用画像609bに基づいて画像アナライザ610によって作成された分布グラフ又はニュートリショングラム1900を示している。図18及び19に関連して説明される例では、指定された領域1802がセグメント化されている。図16及び17に示された結果と同様に、図18の医用画像609b及び図19のニュートリショングラム1900は、セグメント化が重要でない解析される組織の量を減らすということを示している。図13の医用画像609b及び図14のニュートリショングラム1400と比較して、ニュートリショングラム1900内の軟組織のピークは、相対的に変化していない。これは、患者が、セグメント化によって除去されないより多くの骨格筋を有していることの結果である。
2.質量中心のセグメント化
【0152】
[00152]セグメント化プロセッサ622は、質量中心又は重心ルーチン又はアルゴリズムを使用して、1つ又は複数の医用画像(複数可)をセグメント化するように構成されてもよい。ここで、セグメント化プロセッサ622は、対象の医用画像609の質量中心を計算又は決定するように構成される。質量中心を決定するために、セグメント化プロセッサ622は、2次元医用画像609内の組織のピクセルのすべてを解析して、横方向の中心及び縦方向の中心を決定する。例えば、セグメント化プロセッサ622は、医用画像内の患者の生体構造の幅を決定し、この幅を半分に分割する。横方向の中心は、この幅の中央に対応する。横方向の中心及び縦方向の中心の交差が、質量中心である。その他の質量中心の方法が使用されてもよいということが、理解されるべきである。例えば、医用画像609内のピクセルの2次元座標の加重平均が解析されて、中心又は原点を決定してもよい。
【0153】
[00153]質量中心が決定された後に、例示的なセグメント化プロセッサ622は、質量中心に中心が配置された多角形に対応する対象領域を決定するように構成される。例えば、セグメント化プロセッサ622は、指定された長さ及び幅を有する長方形の対象領域を作成するように構成されてもよい。他の例では、対象領域は、正方形、三角形、長円形、円形、五角形、六角形などを含んでもよい。
【0154】
[00154]セグメント化プロセッサ622の位置は、対象領域の中心を決定された質量中心に揃えることによって、対象領域を対象の医用画像609に配置するか、重ね合わせるか、又はその他の方法で対象の医用画像609の上に置く。セグメント化プロセッサ622は、対象領域内の組織を、画像アナライザ610によって解析されるセグメント化された組織として指定する。セグメント化プロセッサ622によって、対象領域外の組織がセグメント化されて解析から除外される。
【0155】
[00155]場合によっては、セグメント化プロセッサ622は、例えば腰筋をさらに正確に含めるために、対象の医用画像609を反復的にセグメント化するように構成される。例えば、セグメント化プロセッサ622は、前述の方法を使用してセグメント化した後に、骨組織のみを使用して対象領域内の新しい質量中心を決定する。質量中心解析において骨組織のみを使用すると、質量中心がL3椎骨又は脊椎に向かって下にシフトする。次に、第2の対象領域が新しい質量中心に作成されてもよい。第2の対象領域は、長方形を有してもよい。しかし、第2の対象領域は、腰筋にさらに焦点を合わせるため、又は腰筋を分離するために、より小さい寸法を有してもよい。
【0156】
[00156]セグメント化プロセッサ622は、領域内のすべての組織を使用して、第2の対象領域内の第3の質量中心を計算することによって、第2の対象領域に対して、もう1回の反復を実行してもよい。この追加の反復は、質量中心を腰筋の中心に移動してもよい。一部の実施形態では、骨組織は、第3の質量中心解析において無視されてもよい。第3の質量中心が決定された後に、セグメント化プロセッサ622は、主に腰筋を含むように寸法が決定された第3の対象領域を作成する。次に、セグメント化プロセッサ622は、筋肉の質及び量を決定するために、セグメント化された医用画像を画像アナライザ610に送信する。
【0157】
[00157]図20は、質量中心手法を使用してセグメント化された例示的な医用画像609cの図を示している。示された例は、第3の反復後の対象領域2002を示している。対象領域2002は、腰筋2006内に配置された質量中心2004を有している。このセグメント化は、筋肉の質及び量の解析を、全身のアミノ酸の予備(及び全体的な患者の栄養状態)の正確な指標である腰筋のみに分離する。このセグメント化方法は、けが或いは年齢又は病気に伴う筋肉の劣化に起因して筋肉の形状が非対称であるか、変形している場合に、患者における異常も考慮する。さらに、質量中心の計算は、下で説明されるパターン又はテンプレートの照合と比較して、相対的に計算効率が高い。
3.形状及びテンプレートの照合によるセグメント化
【0158】
[00158]図6の例示的なセグメント化プロセッサ622は、1つ又は複数の形状照合又はテンプレート照合の方法(複数可)を使用してセグメント化を実行してもよい。一部の実施形態では、セグメント化プロセッサ622は、下で開示される方法を、前述のセグメント化方法と組み合わせて、特定の筋肉組織をさらにセグメント化してもよい。例えば、対象領域が決定された後に、セグメント化プロセッサ622は、1つ又は複数の形状照合手法又はテンプレート照合手法を適用して、筋肉組織をさらにセグメント化してもよい。
【0159】
[00159]参照によって本明細書に組み込まれている、Chung他による「Automated Segmentation of Muscle and Adipose Tissue on CT Images for Human Body Composition Analysis」というタイトルのホワイトペーパーに記載された第1の方法は、形状変形モデル及び出現確率モデルを使用した脂肪及び臓器組織からの筋肉組織のセグメント化を開示する。出現モデルにおいて、Chung他は、筋肉組織に対応する2次元画像(又は2次元画像のグレースケール変換)内のピクセルの確率を割り当てることによって、筋肉のセグメント化が実行されるということを開示する。特定のしきい値を超える確率は、筋肉組織を表すピクセルに対応すると見なされる。Chung他は、次に形状変形モデルを使用して、筋肉組織を表すピクセルが解析され、表面積を近似することを開示する。特に、筋肉のピクセル画像内の画像変形が、規則的な格子点のB-スプラインキュービック補間で構成される自由形状変形(FFD:Free Form Deformation)モデルを使用して、パラメータ化される。格子点の変形が、トレーニング画像のセットから推定された平均形状に対してコード化される。手動でセグメント化された画像から筋肉の形状パラメータを計算するためのステップは、(1)アフィン整列及び平均形状計算を実行することと、(2)FFDモデルを使用して非剛体整列を実行することと、(3)主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)を使用して増分変形をエンコードすることとを含んでいた。
【0160】
[00160]参照によって本明細書に組み込まれている、Popuri他による「Body Composition Assessment in Axial CT Images using FEM-based Automatic Segmentation of Skeletal Muscle」というタイトルのホワイトペーパーに記載された第2の方法は、変形解析が必要になることがある複雑なセグメント化の境界を制限することによって、Chung他の手法から構築する。Popuri他は、初期形状を定義するバイナリテンプレートが、非剛体又は変形可能な登録を介して、2次元画像内の筋肉組織に一致するように変形される、テンプレートに基づくセグメント化手法の使用を開示する。Popuri他は、テンプレートの初期形状の輪郭を形成するように構成された不均一なメッシュを使用する有限要素法(FEM:finite element method)を使用して、変形フィールドをパラメータ化する。2次元画像の場合、Popuri他は、テンプレートが2次元画像に実質的に一致するようにテンプレートを最適に変形することにより、最適なセグメント化の境界を計算することによって、筋肉のセグメント化が実行されることを開示する。テンプレートに基づくセグメント化に適しているFEMに基づく変形可能な登録フレームワークを使用して、画像変形が定義される。
i.母集団プロセッサ
【0161】
[00161]図6の栄養状態診断構成要素402の例示的な軟組織エンジン440は、倉庫又は長期ストレージに格納された1つ又は複数の医用画像412を解析して、母集団の人口統計と筋肉量又は筋肉の質との間の相関関係を作成するように構成された、母集団プロセッサ630を含んでもよい。例示的な母集団プロセッサ630は、EMRサーバ426、HIS450を介してアクセスできる医療倉庫、メモリ614、又は患者の医療記録を格納するように構成された任意のその他の永続的記憶媒体に格納された医用画像412にアクセスするか、又はその他の方法で医用画像412を取得するように構成される。場合によっては、ユーザは、ユーザインターフェイス604を介して、解析される患者の情報のディレクトリ又は電子的アドレスを指定してもよい。医療記録に加えて、母集団プロセッサ630は、対応する患者の人口統計情報、生理的情報、疾患情報、治療情報、及び/又は治療コスト情報を受信してもよい。
【0162】
[00162]母集団プロセッサ630は、受信された情報内の医用画像412を識別し、それらの画像を処理するために画像セレクタ608に送信する。前述したように、画像プロセッサ608、画像アナライザ610、データアナライザ616、及び/又はセグメント化プロセッサ622は、記録が利用可能な患者ごとに、筋肉の質及び/又は栄養状態を決定するように構成される。医用画像が治療の異なる時点で記録されている場合、母集団プロセッサ630は、医用画像のセットごとに筋肉の質及び/又は栄養状態を決定することを要求するように構成される。医用画像から筋肉の質及び/又は栄養状態を決定するためのプロセスは、患者ごとに数ミリ秒かかることがある。したがって、例示的な軟組織エンジン440は、数十万又は数百万の患者の筋肉の質及び/又は栄養状態(例えば、分布データ612)を、わずか数分以内又は少なくとも1時間未満で決定することができる。
【0163】
[00163]例示的な母集団プロセッサ430は、筋肉の質及び/又は栄養状態を決定した後に、筋肉の質及び/又は栄養状態を、人口統計、治療計画、及び/又はコストなどの、他の患者の情報に関連付けるように構成される。この相関関係は、将来の患者の栄養状態栄又は養療法を推奨するための条件を決定するために使用されてもよい、意味のあるデータを提供する。場合によっては、すべての患者の分布データ612が解析されて、栄養状態のラベル又は値を作成するためのしきい値を決定してもよい。例えば、軟組織のピークの分布グラフ又はニュートリショングラムは、患者の健康状態に関連して作成されてもよい。母集団プロセッサ430(又は統計学者)は、医療診断、半主観的解析、BMI指標、医師のメモ、及び/又はこれらの組み合わせなどの、筋肉の質に関連している医療記録内の患者の特性を識別してもよい。正常な筋肉量を有する健康な患者に関連付けられた軟組織のピークは、通常、45HU~60HUの範囲内に集まるが、減少した筋肉量を有する患者(筋肉減少症など)に関連付けられた軟組織のピークは、通常、30HU~40HUの範囲内に集まる。さらに、筋機能が低下した患者(すなわち、重度の筋肉減少症を患う患者)の軟組織のピークは、通常、15HU~25HUの範囲内に集まる。そのようなクラスターが母集団プロセッサ430によって解析され、栄養状態の値又は指示を決定するためのしきい値を決定してもよい。
【0164】
[00164]加えて、例示的な母集団プロセッサ430は、治療ミス又は遅延した栄養療法に関連付けられたコストを決定するように構成されてもよい。例えば、母集団プロセッサ430は、減少した筋肉量及び/又は低下した筋機能を示す軟組織のピークを有する患者を識別してもよい。それらの患者に関して、母集団プロセッサ430は、どの医療処置又は治療が実行されたかを決定してもよい。前述したように、減少した筋肉量を有する患者は、回復に役立つアミノ酸の貯蔵量が少ない。母集団プロセッサ430は、処置後に必要とされた入院日数、合併症に対処するために実行された処置後の医療処置、及び/又は栄養療法が開始されたかどうか(又は、いつ開始されたか)に基づいて、それらの患者の長期化した回復に関連付けられたコストを定量化することができる。従来、栄養療法がいつ開始されるかに関して、米国静脈経腸栄養学会(ASPEN:American Society for Parenteral and Enteral Nutrition)は、患者が、処置後7~14日が経過するまで非経口栄養を摂取するべきではないということを規定するガイドラインを提供している。しかし、このガイドラインに従う場合、患者は、処置前に栄養不良状態であることがあり、したがって、処置後も、栄養療法が開始されるまで、1~2週間にわたって引き続き栄養不良状態になる。母集団プロセッサ430は、医療処置及び患者の医療記録内のコストに基づいて、発生する医療コストを決定し、患者及び病院が負担することになる栄養療法の遅延によるコストを決定することができる。患者のこの長期化した回復時間の間に別のCTスキャンが実行された場合、母集団プロセッサ430は、医療処置に起因する筋肉量の減少と処置後の治療を関連付けてもよい。
【0165】
[00165]例示的な母集団プロセッサ630は、患者の筋肉の質及び/又は栄養状態を、処置後の長期間の治療又は生活の質に関連付けるように構成されてもよい。患者の医療記録は、例えば、医療処置後に退院したことを示すことがある。例えば、健康な患者は、追加治療なしで、自宅に退院することがある。比較すると、処置から合併症を発症した患者は、在宅治療又は理学療法を処方されて自宅に退院することがある。さらに重症の合併症を発症した患者は、養護施設又は集中治療室(ICU:intensive care unit)に入ることがある。例示的な母集団プロセッサ630は、長期治療の種類、期間、及びコストを決定するように構成される。次に母集団プロセッサ630は、長期治療の種類、期間、及びコストを、患者の筋肉の質及び/又は栄養状態に関連付ける。それらの相関関係は、栄養療法を、重症の合併症を発症するリスクがある患者(例えば、相当な処置後の治療を受けた類似する人口統計を有する患者の筋肉量に類似する筋肉量を有する患者)に処方するのに役立ち、以て、退院の見通しを改善し、回復時間を改善する。
【0166】
[00166]例示的な母集団プロセッサ630は、解析される患者の筋肉の質及び/又は栄養状態を含んでいる1つ又は複数のメッセージ(複数可)632をEMRサーバ426及び/又はHIS450に送信するように構成される。メッセージ632は、栄養状態並びに/或いは患者情報と筋肉の質及び/又は栄養状態との間の相関関係を決定するためのしきい値を含んでもよい。メッセージ632は、筋肉の質と、処置後の合併症及び関連するコストとの間の相関関係をさらに含んでもよい。場合によっては、解析サーバ408及び/又はEMRサーバ426は、メッセージ432内の情報を使用して、栄養療法治療の推奨及び/又はガイドラインを決定してもよい。
j.患者の栄養状態を決定又は評価するための例示的なプロセス
【0167】
[00167]図21は、本開示の実施形態例に従って、1つ又は複数の医用画像から取得された筋肉の質及び筋肉量のデータから患者の栄養状態を決定及び/又は評価するための例示的な手順2100を説明するフロー図を示している。例示的な手順2100は、例えば、図4~20と共に説明された解析サーバ408の軟組織エンジン440によって実行されてもよい。手順2100は図21に示されたフロー図を参照して説明されているが、手順2100に関連付けられた機能を実行する多くのその他の方法が使用されてもよいということが、理解されるべきである。例えば、ブロックの多くの順序が変更されてもよく、特定のブロックが他のブロックと結合されてもよく、説明されるブロックの多くが任意選択的である。例えば、軟組織エンジン440がセグメント化プロセッサ622を含んでいない場合、セグメント化のステップが省略されてもよい。
【0168】
[00168]軟組織エンジン440によって患者の1つ又は複数の医用画像(複数可)412が取得及び/又は受信された(ブロック2102)ときに、手順2100が開始する。医用画像412は、例えば、患者の中央部のCTスライスを含んでもよい。医用画像412は、画像412内で示された組織の放射線濃度を含んでいる。軟組織エンジン440は、画像を取得した後に、取得された画像から対象の医用画像609を選択する(ブロック2104)ように構成される。図6に関連して上でさらに詳細に説明されているように、軟組織エンジン440は、患者のL3椎骨及びL4椎骨に対応する領域間で最小の(又はより少ない)骨組織を含んでいる画像を識別することによって、画像を選択してもよい。
【0169】
[00169]少なくとも1つの対象の画像609が識別された後に、例示的な軟組織エンジン440は、対象の画像(複数可)がセグメント化されるべきであるかどうかを判定する(ブロック2106)。画像がセグメント化されるべきである場合、軟組織エンジン440は、1つ又は複数のルーチン及び/又はアルゴリズムを使用して、さらに解析するために対象の画像(複数可)の一部をセグメント化する(ブロック2108)。前述したように、軟組織エンジン440は、対称性ルーチンを使用して、内臓をセグメント化して除去してもよい。軟組織エンジン440は、放射線濃度値に基づいてピクセルをフィルタリングすることによって、骨組織をセグメント化してもよい。さらに、軟組織エンジン440は、さらに解析するために、反復質量中心ルーチン及び/又は1つ又は複数の形状/テンプレート照合ルーチンを使用して、特定の筋肉組織(例えば、骨格筋組織)を分離してもよい。
【0170】
[00170]セグメント化後に、軟組織エンジン440は、セグメント化された対象の医用画像(複数可)を解析し、セグメント化された領域内の組織の放射線濃度分布を作成する(ブロック2110)。セグメント化が実行されない場合、軟組織エンジン440は、対象の医用画像(複数可)全体の放射線濃度分布を作成する。一部の実施形態では、軟組織エンジン440は、特定の事前に定義された放射線濃度の範囲(例えば、-150HU~150HU又は-100HU~100HU)内のピクセルのみの分布を作成してもよい。次に軟組織エンジン440は、放射線濃度分布を解析して、軟組織のピークを特定又は識別する(ブロック2112)。軟組織エンジン440は、例えば標準偏差又は筋肉組織領域などの、軟組織のピークに関連する情報を決定してもよい(ブロック2114)。
【0171】
[00171]軟組織エンジン440は、軟組織のピーク及び関連する情報を栄養状態レコード618に格納する。加えて、軟組織エンジン440は、レコード618内の情報の少なくとも一部を使用して、患者の栄養状態を決定及び/又は評価する(ブロック2116)。栄養状態は、数値的指標、テキストの指標、又はさらに一般的には、軟組織のピークの放射線濃度値であってもよい。軟組織エンジン440は、患者の栄養状態をレコード618に格納する。さらに、軟組織エンジン440は、レコード618、又はさらに一般的には、1つ又は複数のメッセージ414内の患者の栄養状態を、例えば、栄養解析エンジン442、HIS450、EMRサーバ426、臨床医のデバイス424、及び/又は薬剤調合システム420に送信する。次に例示的な手順2100は、次の患者を処理するために、ブロック2102に戻ってもよい。
k.例示的な結果
【0172】
[00172]図22は、本開示の実施形態例に従って、図4~21と共に説明された軟組織エンジン440を使用した実験結果を示す表2200の図である。実験において、76人の患者からのCT医用画像が解析されて、筋肉の質及び量を決定した。これらの患者は、64.3歳の平均年齢を有しており、年齢の標準偏差は+/-11.4年である。患者のうちの32人が男性、44人が女性であった。これらのCT画像は、患者の各々の中央部をスキャンすることによって取得された。
【0173】
[00173]制御として、L3椎骨とL4椎骨の間の領域を表すスライスを検索するために、患者ごとの医用画像が手動で再調査された。次に技術者が、腰筋組織を手動でセグメント化した。セグメント化された筋肉組織が解析され、軟組織のピークを決定した。この手動の方法を通じて、患者が平均で15.6cmの腰筋の表面積を有するということが決定され、腰筋の表面積の標準偏差が5.7cmだった。この表面積は、約2927+/-997ピクセルに換算される。これらの患者の軟組織のピークの平均が、約42HU+/-8HUであるということが決定された。
【0174】
[00174]次に、軟組織エンジン440を使用して同じ医用画像が解析された。患者ごとに、軟組織エンジン440は、骨組織の放射線濃度データを使用して、解析用の対象の画像を自動的に決定した。第1の実行において、画像はセグメント化されなかった。第1の実行では、各画像内に、262.3+/-69.5cmの組織の平均全表面積が存在するということが決定された。この値は、49,365+/-12,593ピクセルの合計ピクセル数に対応する。第1の実行で画像全体から決定された軟組織のピークの平均は、約39.9+/-10.1HUと計算された。
【0175】
[00175]第2の実行では、質量中心反復ルーチンを使用して対象の医用画像がセグメント化された。セグメント化された対象領域は、39.7+/-9.3cmの平均面積を含んでいた。この値は、対象領域内の約8,397+/-1,278ピクセルに対応する。セグメント化された対象領域内の組織は、42+/-10.2HUの軟組織のピークの平均を有していた。
【0176】
[00176]結果の再検討において、セグメント化が、手動で筋肉組織を定量化する方法に近い結果を引き起こしたということが断定された。しかし、手動による集計と比較して、セグメント化の実行には、わずかに多い変動性が存在した。この変動性は、自動化された手法を使用した筋肉及び過渡的な組織のピクセルのより正確な定量化から生じた可能性がある。第1の実行における画像全体の解析は、より低い軟組織のピークを生成したが、手動による方法とのピークの近さは、セグメント化のための計算処理を必要としないこの方法が、実際には許容されてもよいということを示している。第1の実行からのデータは、解析された画像が、手動又は自動でセグメント化された画像と比較して、特に腰筋において、より多くの脂肪又は脂肪が浸潤した筋肉組織(より低い放射線濃度を有する)を含んでいたため、組織全体の組成に対応する。したがって、この実験は、軟組織エンジン440が、筋肉の質及び量を自動的に決定し、患者の栄養状態を決定できるということを示した。
II.医学的応用の実施形態
【0177】
[00177]患者の決定された栄養状態を組み込んで、転帰を改善するか、又は合併症のリスクを低減することができる、多くの医学的応用が存在する。以下のセクションでは、患者の栄養状態又は筋肉量の定量化を組み込むことができる医学的応用例について説明する。下で説明される例は、腫瘍評価、腫瘍治療、処置前の治療、処置後の治療、及び栄養療法の投与位置の決定を含んでいる。加えて、患者の栄養状態及び/又は筋肉の質が、疾病管理を含むその他の応用において使用されてもよいということが、理解されるべきである。
a.腫瘍評価の例
【0178】
[00178]患者が不運にもがんを発症していると診断された場合、医師は、通常、予後解析を実行して、患者の退院後の5年間の予後を決定する。標準的な予後は、患者の年齢、全体的な健康、がんの種類、及びがんの病期を考慮することを含む。各評価は、確率を予後に割り当てるがんのC統計量を含む。そのような情報は、治療の選択肢の評価において、医師及び患者によって使用される。通常、がんの予後は、60%~75%の範囲内のC統計量を含む。この範囲の中央のパーセンテージは、いずれかの特定の予後が、正確ではなく、大幅な逸脱の余地を残している可能性が高いということを意味している。そのため、余命が1年以下しかないと言われている患者が、結局、有意義な複数の年数を生きることになる物語が存在するのである。
【0179】
[00179]例示的な解析サーバ408及び/又は臨床医は、患者の栄養状態、筋肉の質、及び/又は軟組織のピーク情報を使用して、より正確な予後を決定することができる。例えば、患者が有する筋肉が健康であるほど、がん治療に対する反応が良好である傾向がある。比較すると、脂肪が浸潤した筋肉を有する患者は、がん治療に対する反応があまり良くない傾向がある。解析サーバ408及び/又は臨床医は、患者の栄養状態を使用して、C統計量の値を改善することができる。言い換えると、患者の筋肉の質を知ることによって、予後が正確である確率を改善する。一部の例では、患者の栄養状態を知ることによって、約90%のC統計量が生成される。したがって、筋肉の質及び/又は栄養状態は、患者のがん評価の信頼性を改善するために使用されてもよい。
b.腫瘍治療の例
【0180】
[00180]化学療法などの標準的な腫瘍治療は、薬剤を患者に注入する。それらの薬剤は、多くの場合、水溶性であるか、又は脂溶性である。水溶性の薬剤は、筋肉組織によって吸収される。薬剤の配分の体積は、患者の身長及び体重を考慮して、患者の推定された除脂肪体重又は体表面積に基づいて決定される。薬剤の配分の既知の計算は、患者の身長及び体重に基づいて、すべての患者が脂肪組織と筋肉組織の間で一定の分布を有しているということを仮定する。しかし、前述したように、患者は同じ筋肉と脂肪の比率を有していない。一部の患者(特に高齢の患者)は、筋肉が変性している。
【0181】
[00181]患者間の筋肉と脂肪の比率の違いは、患者が吸収する化学療法の薬剤の量が異なるということを意味する。例えば、2人の患者が、同一であるか、又は非常に類似する身長及び体重を有していることがある。しかし、これらの患者のうちの1人が健康な筋肉を有し、もう1人の患者が著しく劣化した筋肉を有していることがある。これらの患者が同じ身長及び体重を有しているため、既知の計算は、各患者に対して、同じ化学療法の投薬量を推奨するであろう。しかし、不健康な患者は、薬剤を吸収するための筋肉量が少ない。つまり、そこに存在する筋肉が、意図された量よりも多くの薬剤を吸収する。その結果、不健康な患者の筋肉は、より高い濃度の薬剤を含むことになる。この濃度が特定のレベルを超えた場合、過剰摂取と見なされ、患者が毒性の影響を受けるリスクをもたらす。比較すると、健康な患者は、薬剤の同じ投薬量を吸収するための筋肉をより多く有しており、これは、筋肉の1平方センチメートル当たりの薬剤の濃度が低いということを意味する。
【0182】
[00182]例示的な解析サーバ408及び/又は臨床医は、患者の栄養状態、筋肉の質、及び/又は軟組織のピーク情報を使用して、化学療法の薬剤のより少ない(又はより多い)投薬量がより有益であることがあるということを決定できる。例えば、解析サーバ408は、毒性を防ぐために、より少ない筋肉量を有する患者が、他の方法で推奨される量より10%~20%少ない化学療法の薬剤を処方されるべきであるということを決定してもよい。他の例では、解析サーバ408は、患者の筋肉量及び/又は栄養状態を考慮して、化学療法の投薬量を再検討するべきであるということを示す警告及び/又は警報を臨床医に提供してもよい。したがって、筋肉の質及び/又は栄養状態は、化学療法の治療を改善するために使用されてもよい。
c.処置前及び処置後の例
【0183】
[00183]多くの場合、開腹手術又は大動脈心臓弁置換などの集中的な医療処置を受ける前、或いは病気の治療を開始する前に、臨床医は、患者が転帰を改善するために取ることができる行動を処方又は推奨する。この行動は、運動すること、健康的な食事をすること、及び喫煙及び飲酒を控えることを含む。例示的な解析サーバ408及び/又は臨床医は、患者の栄養状態、筋肉の質、及び/又は軟組織のピーク情報を使用して、処置又は疾患治療の前、最中、又は後に、栄養療法を患者に処方するべきかどうかを判定し、患者の転帰を改善することができる。
【0184】
[00184]現在、ASPENは、患者が自分で食べることができなくなった後、又は医療処置後、少なくとも7~14日が経過するまで、栄養療法を投与するべきではないと推奨している。その間に、患者の代謝が増加し、患者が処置又は治療から回復するのを助ける。加えて、処置又は治療からの炎症が、通常は筋肉組織を消費し、脂肪の浸潤につながる。つまり、現在、栄養不良状態の患者又は栄養不良状態になる患者は、処置後、少なくとも1週間が経過するまで栄養療法が与えられない。この遅延は、栄養不良を悪化させ、以て、患者の代謝及び回復する能力を遅らせる。
【0185】
[00185]例示的な解析サーバ408及び/又は臨床医は、患者の栄養状態、筋肉の質、及び/又は軟組織のピーク情報を使用して、患者の栄養不良状態の程度に基づいて、栄養療法が必要であるかどうか(及び必要な量)を判定できる。例えば、初期評価中に、患者の運動を推奨することに加えて、解析サーバ408及び/又は臨床医は、患者の栄養状態から、患者が何らかのレベルの栄養療法を受けるべきであるということを決定してもよい。この栄養療法は、経口で消費される栄養補給剤、並びに/或いは皮下、腸内、及び/又は非経口で提供される栄養補給剤を含むことができる。この目標は、適切な栄養治療を積極的に処方して、後で合併症を発症する可能性を減らすことができるように、患者の栄養状態を確立することである。
【0186】
[00186]栄養療法を決定するために、解析サーバ408は、患者の人口統計、病状、及び栄養状態を、母集団データと比較してもよい。解析サーバ408は、類似する状況にある患者の医療履歴に基づいて、可能性のある転帰を決定してもよい。患者の転帰が合併症又は栄養不良状態に関連する低レベルの回復をもたらす場合、解析サーバ408は、患者が栄養療法を受けるべきであるということを決定してもよい。栄養療法のパラメータは、処置、病状、及び患者の人口統計と共に、軟組織のピークに基づいて推奨されてもよい。
【0187】
[00187]加えて、解析サーバ408は、患者の栄養状態及び/又は筋肉量に基づいて、処置後の治療を決定又は推奨してもよい。例えば、解析サーバ408は、重度の栄養不良状態にある患者に対して、ICUでの治療又は養護施設での治療を推奨してもよい。これに対して、解析サーバ408は、中程度の栄養不良状態にある患者に対して、自宅での治療を推奨してもよい。そのような推奨は、臨床医及び患者が、最も可能性の高い処置後の治療の選択肢及び処置後の生活の質を認識するように、処置の前に決定されてもよい。栄養に関する情報は、臨床医及び/又は患者が、この治療を設定するために、適切な測定をあらかじめ準備して実行できるようにしてもよい。したがって、患者の栄養状態を知ることは、患者が処置後の合併症を回避する(又は合併症の影響を減らす)のを、臨床医がより積極的に支援できるようにする。
d.栄養療法の投与位置の決定の例
【0188】
[00188]多くの場合、非経口で投与されない栄養治療が患者に処方されることがある。例えば、IV又はカテーテルを使用せずに、栄養物が皮下に供給されることがある。さらに、栄養物は、栄養補助食品を介して経口で投与されることがある。例示的な解析サーバ408は、患者の栄養状態、筋肉量、病状、及び/又は人口統計情報に基づいて、投与位置の推奨及び/又は決定を行うように構成されてもよい。例えば、解析サーバ408は、患者の皮下に栄養物が供給される皮下治療を、中程度の栄養不良状態の患者に処方してもよいということを、決定してもよい。皮下治療は、投与できる栄養液の体積に関して、非経口又は腸内に匹敵することはできないが、大幅に侵襲性が少なく、患者の自宅又は養護施設において、熟練度の低い専門職によって投与することができる。
【0189】
[00189]他の例では、解析サーバ408は、母集団データを解析して、解析対象の患者に類似する状況にある患者の予想される退院の条件を決定してもよい。解析サーバ408は、例えば、同じ人口統計及び病状を有する患者が、通常は、自分で食べる能力を取り戻す前に、少なくとも3日間、ICUに留まる必要があるということを決定する。解析サーバ408は、ICU内でより容易に投与できる非経口又は腸内などの栄養療法を推奨してもよい。したがって、患者の栄養状態を知ることは、臨床医が、栄養療法の投与方法をより積極的に決定できるようにする。
III.栄養療法構成要素の実施形態
【0190】
[00190]一部の実施形態では、栄養状態診断構成要素402によって決定された患者の栄養状態に基づいて、警報、警告、及び/又は推奨が生成されてもよい。加えて、患者の人口統計情報、生理的情報、病状などの他の情報と共に、患者の栄養状態に基づいて、栄養療法パラメータ及び/又は栄養液の成分が決定及び/又は推奨されてもよい。図4及び5の医療環境400の例示的な栄養療法構成要素404は、患者の決定された栄養状態に少なくとも部分的に基づいて、患者への栄養療法の投与を自動的に管理するように構成される。栄養療法構成要素404は、栄養状態レコード618(及び/又は分布データ612)内の患者の栄養状態、軟組織のピーク、及び/又は関連する軟組織のピーク情報を使用して、患者の栄養療法を決定するように構成されてもよい、栄養解析エンジン442を含んでいる。栄養解析エンジン442は、解析サーバ408、EMRサーバ426、及び/又は薬剤調合システム420内に配置され、及び/又はこれらと連動してもよい。
【0191】
[00191]図4及び5を再び参照すると、図4及び5に示されている実施形態では、栄養療法構成要素404は、1つ又は複数の注入ポンプ422を含んでいる。例示的な注入ポンプ422は、1つ又は複数のラインのセットを介して静脈内及び/又は栄養(例えば、完全非経口栄養(TPN:total parenteral nutrition))療法を患者に供給できる任意のポンプを含んでもよい。例としては、注射器ポンプ、リニア蠕動ポンプ、大容量ポンプ(LVP:large volume pump)、携帯型ポンプ、マルチチャネルポンプなどが挙げられる。注射器ポンプは、駆動アームに接続されたモーターを使用して、注射器内のプランジャーを作動させる。リニア蠕動ポンプは、回転子を使用して、回転しながらチューブの一部を圧縮する。多くの場合、1/2回転の間、回転子の1つ又は複数のローラーがチューブに接触する。圧縮回転によって、規定された量の液体がチューブを通過する。LPVは、通常、1つ又は複数の指又はアームを使用して、静脈内療法(IV:intravenous therapy)チューブの一部を圧縮する。チューブでの指の作動のタイミングが、チューブを通る液体の一定又はほぼ一定の移動を引き起こす。
【0192】
[00192]例示的な注入ポンプ422の例としては、図4及び5に示されているバクスター(Baxter)(登録商標)シグマスペクトラム(SIGMA Spectrum)(商標)ポンプが挙げられる。注入ポンプ422は、臨床医が注入又は栄養療法を指定又はプログラムできるようにする、ディスプレイ451及びインターフェイス452を含んでいる。ディスプレイ451は、グラフィック(例えば、クイックレスポンス(QR:quick response))コードを提示してもよく、このグラフィックコードが臨床医によってスキャンされ、ポンプ422を、EMRサーバ426、薬剤調合システム420、及び/又は解析サーバ408で、栄養療法ポンプの処方メッセージ425に関連付けてもよい。インターフェイス452は、臨床医が栄養療法ポンプの処方メッセージ425からポンプ422へのパラメータをプログラムできるように構成されてもよい。注入ポンプのその他の例としては、米国特許出願公開第2013/0336814号に記載されたリニアボリューム非経口ポンプ、米国特許出願公開第2015/0157791号に記載された注射器ポンプ、米国特許第7,059,840号に記載された携帯型注入ポンプ、米国特許第5,395,320号に記載された注入ポンプ、及び米国特許第5,764,034号に記載された注入ポンプが挙げられ、これらの各々の全体が、参照によって本明細書に組み込まれている。注入ポンプ422は、バクスター(登録商標)コリーグ(Colleague)(商標)容量注入ポンプを含んでもよい。
【0193】
[00193]例示的な薬剤調合システム420は、患者に投与するための化合物溶液(例えば、TPN溶液及びその他の複数の原料の溶液)を管理し、調合するように構成された、任意のシステムを含む。例えば、薬剤調合システム420は、複数の無菌原料を、1つ又は複数の患者のバッグ内の完成した溶液に混ぜ合わせる自動化されたポンプシステムである、バクスター(登録商標)EXACTAMIX(商標)コンパウンダを含んでもよい。薬剤調合システム420は、例えば、個別の患者の処方が決定された後に、3リットルの患者にすぐに使用できるTPNバッグを約4分で生成できる。調合は、例えば、特定の量の水、アミノ酸、脂質、ブドウ糖、溶解塩、トリグリセリド、微量元素、ビタミン、及び/又は栄養補給剤を選択して一緒に混ぜ合わせることによって、栄養液を作成することを含む。場合によっては、薬剤調合システム420は、複数の使用可能な予混合溶液(バクスター(登録商標)によって製造されたクリニミックス(Clinimix)(商標)及びクリニミックスE(商標)など)から、前もって混合された溶液を選択してもよい(又は、前もって混合された溶液を修正してもよい)。
【0194】
[00194]例示的な薬剤調合システム420は、コンパウンダによって調合される栄養液の調合に関する、ルーティング、調合、検査、追跡、及び報告のプロセスを自動化するように構成された、薬剤ワークフローマネージャ460を含んでもよい。一部の実施形態では、薬剤ワークフローマネージャ460は、バクスター(登録商標)によって提供されるドーズエッジ(DoseEdge)(商標)薬剤ワークフローマネージャを含んでもよい。栄養解析エンジン442又は栄養解析エンジン442の構成要素は、薬剤ワークフローマネージャ460に含まれてもよい。例えば、マネージャ460での栄養解析エンジン442は、患者がTPN療法を受けるべきであるということを決定した(又は、そのことの指示を受け取った)後に、投与パラメータを決定して、注入ポンプ422並びに/或いはTPN溶液の成分、組成、及び/又は濃度をプログラムしてもよい。投与パラメータは、栄養療法ポンプの処方メッセージ425で、ポンプ422に提供されてもよい。
【0195】
[00195]例示的な栄養解析エンジン442は、患者の栄養状態を解析して、1つ又は複数の警報(複数可)又は警告(複数可)が生成されるべきであるかどうかを判定するように構成される。警報又は警告は、患者の栄養状態を臨床医に通知するために、臨床医のデバイス424に送信されてもよい。それに応じて、臨床医は、臨床医のデバイス424を使用して栄養療法を処方してもよい。警報又は警告は、EMRサーバ426に送信されてもよく、これによって、その後の医療処置を防ぐか、又は少なくともその後の医療処置に関する警告を生成する。栄養解析エンジン442は、栄養状態に関連付けられた情報及び/又は患者の人口統計情報をさらに使用して、栄養療法を決定(又は推奨)してもよい。この決定は、例えば、注入される体積、注入速度、及び/又は注入期間などの、投与パラメータを決定(又は推奨)することを含んでもよい。この決定は、栄養液の成分を決定(又は推奨)することを含んでもよい。
【0196】
[00196]図23は、本開示の実施形態例に従って、図4及び5の栄養解析エンジン4427の図を示している。図23に示されたブロックは、栄養解析エンジン442内で動作するソフトウェアモジュール、アプリケーション、アルゴリズム、及び/又はルーチンとして実装されてもよい。ブロックの一部が結合されてもよく、及び/又は省略されてもよいということが、理解されるべきである。さらに、ブロックの一部は、解析サーバ408上の異なる物理的位置で実装されてもよい。例えば、解析サーバ408は、クラウドコンピューティング環境などのコンピューティング環境全体に分散されたブレードサーバ又はプロセッサを含んでもよい。栄養解析エンジン442は、解析サーバ408、EMRサーバ426、及び/又は薬剤調合システム420を含む、栄養療法構成要素404内の1つ又は複数のデバイス全体に分散されてもよい。したがって、図23に示されたブロックの各々は、別々の(又は同じ)プロセッサによって実施されるか、又は操作されてもよい。さらに、ブロックの各々の別々のインスタンスが、レコード618及び/又は患者ごとに開始されてもよい。
a.ネットワークインターフェイス
【0197】
[00197]図23の例示的な栄養解析エンジン442は、例えば、栄養状態レコード618を含んでいるメッセージ414を受信するために、ネットワークインターフェイス2302を含んでいる。場合によっては、ネットワークインターフェイス2302は、メッセージ414を受信するようにアドレス指定可能であってもよい。他の例では、ネットワークインターフェイス2302は、栄養状態レコード618を含んでいるメッセージ414を受信するように、ゲートウェイ(EMRサーバ426及び/又はHIS450に配置されているか、又はそれらと連動するように構成されている)に予約してもよい。さまざまな例では、メッセージ414は、メッセージの種類の指示を提供する特定の識別子を、ヘッダーに含めてもよい。一実施形態では、メッセージ414を受信するために、ネットワークインターフェイス2302は、特定の識別子を含むメッセージ414を送信するように、ゲートウェイに対して要求する。ネットワークインターフェイス2302は、患者識別子に基づいて予約してもよい。代替の実施形態では、ネットワークインターフェイス2302は、例えば、新しく作成された栄養状態レコード618を要求して、軟組織エンジン440及び/又はEMRサーバ426をポーリングしてもよい。
【0198】
[00198]栄養解析エンジン442が薬剤調合システム420の一部である場合などの、一部の例では、ネットワークインターフェイス2303は、臨床医のデバイス424及び/又はEMRサーバ426から処方情報を受信してもよい。例えば、臨床医は、レコード618内の情報を介して、患者が栄養不良状態であることを決定してもよい。それに応じて、臨床医は、臨床医のデバイス424で栄養の処方を作成してもよく、この処方が、ネットワークインターフェイス2302及び/又はEMRサーバ426に送信される。栄養解析エンジン442は、薬剤調合システム420と連動して、処方内の情報を使用して、栄養液を作成し、及び/又は投与パラメータを作成し、栄養療法ポンプの処方メッセージ425を介して注入ポンプ422を自動的にプログラムする。
【0199】
[00199]例示的なネットワークインターフェイス2302は、情報を栄養療法構成要素404内の他のデバイスに送信するようにも構成される。例えば、ネットワークインターフェイス2302は、1つ又は複数のメッセージ(複数可)444(HL7に準拠するメッセージなど)で、栄養療法のパラメータ及び/又は栄養液の成分を送信してもよい。この送信は、例えば、栄養療法ポンプの処方メッセージ425を含んでもよい。メッセージ444及び/又は425が、薬剤調合システム420に送信されてもよく、これによってシステム420に、1つ又は複数の栄養液を調合させる。メッセージ444及び/又は425は、自動的にプログラムするために、注入ポンプ422に送信されてもよい。メッセージ444及び/又は425は、文書化及び再検討のために、臨床医のデバイス424及び/又はEMRサーバ426に送信されてもよい。
【0200】
[00200]ネットワークインターフェイス2302は、警告及び/又は警報を1つ又は複数のメッセージ430で送信してもよい。例えば、警告及び/又は警報が送信されるべきであるということが決定された後に、ネットワークインターフェイス2302は、メッセージ430の受信者を識別してもよい。受信者は、患者の栄養状態に関する警報及び/又は警告の受信を予約した臨床医のデバイス424、並びに/或いは特定の患者に関連する警報及び/又は警告の受信を予約した臨床医のデバイス424を含んでもよい。ネットワークインターフェイス2302は、警報/警告を、文書化のためにEMRサーバ426に送信してもよい。場合によっては、臨床医のデバイス424への警報/警告の送信は、ネットワークインターフェイス2302から警報/警告を受信した後に、EMRサーバ426によって提供されてもよい。場合によっては、EMRサーバ426へのメッセージ430の送信は、EMRサーバ426による、患者が栄養療法を受けるまでその後の医療処置が遅延されるべきであるという通知の生成を、引き起こしてもよい。メッセージ430は、患者の栄養不良が治療されるまで、EMRサーバ426によって、できる限りその後の医療処置が実行されないようにすることを、引き起こしてもよい。
【0201】
[00201]ネットワークインターフェイス2302は、栄養解析エンジン442がEMRサーバ426及び/又は解析サーバ408に配置されている場合に、メッセージ430を薬剤調合システム420に送信してもよい。メッセージ430は、栄養液が調合されるべきであるという指示を調剤師に提供してもよい。メッセージ430は、栄養状態レコード618内の情報、患者の人口統計の特徴、その後の医療処置、及び/又は患者の病気/けが/状態に基づいて栄養療法を決定するように、薬剤師又は臨床医に促してもよい。
b.警報/警告生成器
【0202】
[00202]図23の例示的な栄養解析エンジン442は、栄養状態レコード618及び/又は分布データ612内の情報に基づいて警報及び/又は警告が作成されるべきであるかどうかを判定するように構成された、警報/警告生成器2304を含んでいる。例示的な警報/警告生成器2304は、例えば、1つ又は複数のルーチン及び/又はアルゴリズムを使用して栄養状態レコード618内の情報を解析し、警報及び/又は警告が生成されるべきであるかどうかを判定するように構成される。一部の実施形態では、警報/警告生成器2304は、患者の人口統計データ、母集団データ、医療履歴データ、及び/又は生理的データを、レコード618内の筋肉の質及び/又は量データと共に使用して、警告及び/又は警報が生成されるべきであるかどうかを判定してもよい。さらに、警報/警告生成器2304は、患者の病状、治療の部位、及び/又はその後のスケジューリングされている医療処置を考慮して、警報及び/又は警告が生成されるべきであるかどうかを判定してもよい。
【0203】
[00203]警報及び/又は警告が生成されるべきであるかどうかを判定するために、警報/警告生成器2304は、外部ソース(EMRサーバ426など)からの特定のデータにアクセスするように構成されてもよい。例えば、警報/警告生成器2304は、EMRサーバ426にアクセスして、患者のEMRは、医療履歴、人口統計データ、生理的データ、及び/又は医療処置スケジュールを含むことができる患者のEMRにアクセスしてもよい。特定のレコードにアクセスするために、警報/警告生成器2304は、要求メッセージで、メッセージ414に含まれていた患者識別子を、EMRサーバ426に送信してもよい。それに応じて、警報/警告生成器2304は、要求された患者のEMR(又はEMRの特定の要求された部分)を受信する。他の実施形態では、警報及び/又は警告が生成されるべきであるかどうかを判定するための情報が、受信されたメッセージ414に含まれてもよい。
【0204】
[00204]警告は、決定された栄養状態に基づいて、臨床医が患者の栄養状態を再検討するべきであるということの指示である。言い換えると、警告は、栄養療法が患者にとって正当である可能性があるということの勧告を提供する。多くの場合、警告は、栄養療法が不要になるように、臨床医によって無効にされてもよい。しかし、場合によっては、臨床医は、栄養療法を進めることを決定してもよい。一部の実施形態では、栄養解析エンジン442は、溶液の成分及び/又はポンプの投与パラメータを自動的に決定する前に、臨床医による確認を待ってもよい。
【0205】
[00205]警告と比較すると、警報は、決定された栄養状態に基づいて、臨床医が患者の医学的状態を再検討する必要があるということを示す。多くの場合、警報の生成は、無効にする指示が臨床医から特に受信されない限り、状況が許す場合に、患者が栄養療法を受けることを要求する。栄養解析エンジン442は、警報を生成した後に、溶液の組成及び/又は投与パラメータの決定を開始してもよい。他の例では、栄養解析エンジン442は、臨床医からの処方又は指示を待つように構成されてもよい。そのような他の例では、栄養解析エンジン442は、応答が受信されるまで、警報を定期的に送信するか、又は警報の状態を高める。さらに、警報の生成は、警報が対処されるまで、患者がその後の医療処置を受けることを妨げてもよい。
【0206】
[00206]警報及び/又は警告を生成するために、警報/警告生成器2304は、警報及び/又は警告を示す1つ又は複数のメッセージ(複数可)430を生成するように構成される。メッセージ430は、HL7に準拠し、例えば、作成時刻/日付、患者識別子、並びに警報及び/又は警告が生成された理由を示すコード又はテキストを含んでもよい。メッセージ430は、栄養の処方を作成するためにデバイス424を使用している臨床医によって選択可能なリンクを含む、応答するための選択肢を含んでもよい。メッセージ430は、レコード618及び/又は分布データ612からの情報の少なくとも一部をさらに含んでもよい。例えば、メッセージ430は、栄養状態値、軟組織のピーク、筋肉組織の表面積、及び/又は対象の医用画像609へのリンク(又は画像自体)を含んでもよい。
【0207】
[00207]図24は、本開示の実施形態例に従って、筋肉の質データ及び/又は筋肉量データに基づいて警報及び/又は警告が生成されるべきであるかどうかを判定するために警報/警告生成器2304によって実行可能な例示的なアルゴリズム2400を示す図である。アルゴリズム2400は、警報/警告生成器2304によって使用されてもよいルーチン及び/又はアルゴリズムの例にすぎない。他の例では、アルゴリズム2400は、生理的データ、母集団データ、治療の部位、及び患者の履歴データなどの、追加的要因を含んでもよい。さらに他の例では、アルゴリズムは、患者の決定された軟組織のピーク及び/又は栄養状態のみを使用するなど、より少ない要因を含んでもよい。
【0208】
[00208]図24に示されたアルゴリズム2400は、警報及び/又は警告を生成するための3つの異なる条件2402、2404、及び2406を含んでもよい。条件2402は、(i)軟組織のピークの放射線濃度値が25~40HUの範囲内であり、及び/又は栄養状態が「中程度」の栄養不良状態を示しており、(ii)その後の処置が、クラス2以下の分類を有する場合に、警告が生成されることを指定する。一部の実施形態では、患者のリスク、実質的価値、及び/又は侵襲性に基づいて、医療処置にクラスが割り当てられてもよい。より集中的な処置は、より低い数値に対応する。クラス2の処置は、ACL修復又は関節修復などの、中程度の手術を含んでもよい。比較すると、クラス1の処置は、化学療法、広範囲の手術(開腹手術など)、又は重大な外傷関連の手術を含んでもよい。その後の医療処置がスケジューリングされていない場合、アルゴリズム2400は、患者の現在の病状又は状態に基づいてもよい。
【0209】
[00209]一部の例では、アルゴリズム2400は、患者の人口統計を考慮するように構成されてもよい。例えば、軟組織のピークの範囲が、患者の年齢及び/又は性別に基づいて調整されてもよい。この調整は、誤った警告の生成を減らすために、類似する正常な個人の自然な筋肉の劣化を考慮してもよい。例えば、アルゴリズム2400は、患者が40歳又は45歳を超える場合に、5年ごとに1HUだけ範囲を下にシフトしてもよい。さらに、患者が男性又は女性のどちらであるかに基づいて範囲が調整されてもよく、女性の場合、わずかに低い範囲が使用されてもよい。警告を生成するときに筋肉組織の表面積が考慮される場合、アルゴリズム2400は、患者の身長に基づいてしきい値を調整するように構成されてもよい。通常、患者の身長が高いほど、筋肉組織が多い。これを考慮するために、アルゴリズム2400は、身長に基づいて筋肉組織の面積を正規化してもよい。
【0210】
[00210]条件2404及び2406は、警報がいつ生成されるべきかを指定する。条件2404の場合、アルゴリズム2400は、(i)軟組織のピークの放射線濃度値が0~25HUの範囲内であり、及び/又は栄養状態が「重度」の栄養不良状態を示しており、(ii)その後の処置が、クラス2以下の分類を有する場合に、警報が生成されるべきであるということを決定してもよい。条件2406の場合、アルゴリズムは、(i)軟組織のピークの放射線濃度値が25~40HUの範囲内であり、及び/又は栄養状態が「中程度」の栄養不良状態を示しており、(ii)その後の処置が、クラス1以下の分類を有する場合に、警報が生成されるべきであるということを決定する。条件2404と2406の間の違いは、その後の医療処置の分類にある。条件2406では、その後の医療処置がより集中的なクラス1の処置であるため、警報を生成するためのしきい値が非常に低い(例えば、軟組織のピークの範囲が、25HU~40HUのみである必要がある)。言い換えると、アルゴリズム2400は、患者がより実質的な医療処置を受ける前に、十分なアミノ酸の予備を有することを保証するために(そうしないと、患者はより厳しい状態又は病気に苦しむことになる)、警報を使用して、より危機的な応答を提供する。
【0211】
[00211]図23の例示的な警報/警告生成器2304は、警報又は警告が生成されるべきであるということを決定した後に、警報及び/又は警告を示す1つ又は複数のメッセージ(複数可)430を生成するように構成される。メッセージ(複数可)430は、適切なデバイス420、424、及び426に送信するために、ネットワークインターフェイス2302に送信される。さらに、警報/警告生成器2304は、溶液の組成及び/又は投与パラメータを決定するプロセスを開始するように構成され、以下では、これについてさらに詳細に説明する。
c.溶液プロセッサ
【0212】
[00212]図23の例示的な栄養解析エンジン442は、例えば患者の栄養状態に基づいて、栄養液の組成、成分、及び/又は濃度を決定するように構成された、溶液プロセッサ2306を含んでいる。例示的な溶液プロセッサ2306は、警報/警告生成器2304から指示を受信した後に、溶液の組成を決定するように構成される。追加的又は代替的に、溶液プロセッサ2306は、栄養液が調合されるべきであるということの指示を提供するメッセージを、EMRサーバ426及び/又は臨床医のデバイス424から受信するように構成されてもよい。この指示は、溶液プロセッサ2306が栄養液を決定又は推奨することの承認を含んでもよい。この指示は、栄養療法の処方又は指示を含んでもよく、例えば、投与される栄養物の総量、投与されるアミノ酸、脂質、及び/又はブドウ糖の望ましいレベル、並びに/或いは投与される栄養液の種類又は名前を指定してもよい。
【0213】
[00213]処方又は指示が特定の特性又はパラメータを指定する場合、溶液プロセッサ2306は、薬剤ライブラ又は栄養ライブラリに対して、それらの特性又はパラメータの値をチェックするように構成される。溶液プロセッサ2306は、値のいずれかがライブラリの制限を超える場合に、警告及び/又は警報を生成してもよい。例えば、溶液プロセッサ2306は、例えば、溶液プロセッサ2306は、溶液1リットル(l)当たり200グラム(g)のアミノ酸が供給されるべきであるということを指定する指示を受信することがある。しかし、栄養ライブラリは、125g/lの制限を含むことがある。アミノ酸パラメータの値が制限を超えているということの決定に応答して、溶液プロセッサ2306は、警告及び/又は警報を臨床医のデバイス424に送信する。それに応じて、臨床医は、指示を修正するか、又は制限を無効にしてもよい。
【0214】
[00214]一部の例では、溶液プロセッサ2306は、注入される溶液の全体積などのより一般的なパラメータを提供する、パラメータ又は処方の指示を受信してもよい。それらの例では、溶液プロセッサ2306は、下で説明されるルーチン又はアルゴリズムのうちの1つ又は複数を使用して、栄養状態レコード618及び/又は分布データ612内の筋肉の質及び/又は量のデータに基づいて、アミノ酸、脂質、及び/又はブドウ糖の組成を決定してもよい。溶液プロセッサ2306は、身長、体重、及び/又は性別などの患者の1つ又は複数の人口統計の特徴を使用して、溶液の組成の決定を改善してもよい。さらに、溶液プロセッサ2306は、病状、治療の部位、母集団データ、及び/又は生理的パラメータを使用して、溶液の組成の決定を改善してもよい。
【0215】
[00215]下記の例は、患者の溶液の組成を決定するために溶液プロセッサ2306が実行してもよい1つの例示的なルーチン及び/又はアルゴリズムを開示している。最初に、溶液プロセッサ2306は、患者のセンチメートル単位の身長を使用して、患者の理想体重(IBW:ideal body weight)をキログラム(kg)単位で決定するように構成される。例えば、溶液プロセッサ2306は、男性患者用の下の方程式(1)及び女性患者用の下の方程式(2)を使用して、IBWを決定してもよい。
【数1】
【0216】
[00216]例示的な溶液プロセッサ2306は、IBWに基づいて、基礎投与計画又は1日当たりに注入される溶液の全体積を決定するように構成される。例えば、ルーチンは、患者の身長及び/又はIBWを、投与される溶液の基礎レベルに関連付けるか、又は結び付けてもよい。1つの例では、85kgのIBWは2400mlの基礎溶液に対応し、75kgのIBWは2100mlの基礎溶液に対応し、65kgのIBWは1800mlの基礎溶液に対応し、55kgのIBWは1500mlの基礎溶液に対応し、45kgのIBWは1200mlの基礎溶液に対応する。
【0217】
[00217]溶液の基礎量を決定した後に、例示的な溶液プロセッサ2306は、筋肉の質及び/又は量のデータに従って基礎溶液を調整するように構成される。一部の例では、軟組織のピークの放射線濃度が使用されてもよい。他の例では、筋肉組織の表面積及び/又は軟組織のピークの標準偏差が使用されてもよい。下の方程式(3)は、基礎溶液の体積に適用されてもよい例示的な調整を示している。下記の例では、軟組織のピーク(STP:soft tissue peak)の放射線濃度値から定数値「45」が引かれる。次に、この差が正規化定数(f)で割られ、この正規化定数(f)は、例えば、軟組織のピークと栄養不良の治療との間の決定された相関関係に基づいて、30~100の範囲内の任意の値を含んでもよい。その後、この結果(調整と呼ばれる)に基礎溶液の体積を掛けた値が、基礎溶液量に追加されて、調整された溶液量を決定する。言い換えると、この調整は、基礎溶液量における増加(パーセンテージ)に対応する。
【数2】
【0218】
[00218]1つの例では、75kgのIBWを有する患者が、中程度の栄養不良に対応する37HUの放射線濃度値を伴う軟組織のピークを有している。この例では、fの値は「60」である。この患者の基礎溶液の体積は、75kgのIBWに基づいて、2100mlである。溶液プロセッサ2306は、方程式(3)を使用して、基礎量を13.3%増やす必要があるということを決定する。それに応じて、溶液プロセッサ2306は、患者の中程度の栄養不良状態を治療するために、患者が2380mlの栄養液を受け取るべきであるということを決定する。
【0219】
[00219]例示的な溶液プロセッサ2306は、1日当たりに投与される全容液を決定した後に、溶液に含まれるアミノ酸、脂質、及び/又はブドウ糖の量を決定する。溶液プロセッサ2306が、患者のアミノ酸の予備の回復を助けるために、相対的にアミノ酸が豊富な栄養液を作成するように構成されてもよいということが、理解されるべきである。上の例では、栄養液で提供されるアミノ酸の量は、50g/l~83g/lの範囲内である。さらに、ブドウ糖の量は、67g/l~112g/lの範囲内であり、脂質の量は、17g/l~30g/lの範囲内である。各成分の量を決定するために、溶液プロセッサ2306は、方程式(3)に関連して説明された調整に類似する調整を行ってもよい。例えば、方程式(4)が、溶液プロセッサ2306によって使用されてもよい。
【数3】
【0220】
[00220]方程式(3)と同様に、方程式(4)は、45HUから軟組織の放射線濃度を引く。次に、この差が正規化定数(c)で割られ、この正規化定数(c)は、10~100の範囲内の任意の値であってもよい。場合によっては、正規化定数cは、fの値の2分の1であってもよい。例えば、方程式(3)に関連して上で説明された例では、定数fの値は60である。したがって、定数cは30である。同じ患者の場合、アミノ酸含有量の調整が26.6%であると決定され、この調整が50g/lのアミノ酸の基礎量に適用される。したがって、溶液プロセッサ2306は、患者が溶液内の63.3g/lのアミノ酸を受け取るべきであるということを決定する。つまり、患者が1日当たり2380mlの溶液を受け取ることになるため、溶液が、1日当たり合計で150g(2.380l*63.3g/l)のアミノ酸を含むことになるということである。
【0221】
[00221]患者がより重度の栄養不良状態にあるときに、溶液プロセッサ2306が患者に投与される溶液の量を増やすだけでなく、溶液内のアミノ酸の濃度も増やすというこが、理解されるべきである。そのような構成によって、患者が相対的に高いレベルのアミノ酸を受け取るため、必要な栄養療法の合計日数を減らすことができる。代替の実施形態では、溶液プロセッサ2306は、溶液の全体積を維持するが、アミノ酸の濃度を増やしてもよい。これらの代替の実施形態は、さらに多い体積の溶液を処理できないが、アミノ酸の投与を増やす必要がある患者に使用されてもよい。
【0222】
[00222]例示的な溶液プロセッサ2306は、ブドウ糖及び脂質の成分に対して、同様の計算を実行してもよい。この調整が、各々の基礎量(ブドウ糖の場合は67g/l、脂質の場合は17g/l)に適用されるということが、理解されるべきである。さらに、脂質及びブドウ糖の成分が患者にとってアミノ酸ほど重要でないことがあるため、脂質及びブドウ糖に対して異なる正規化定数が使用されてもよい。他の例では、決定されたアミノ酸の量を使用して脂質及びブドウ糖の量を決定できるように、ブドウ糖及び脂質の量が、アミノ酸の濃度に対する比率として指定されてもよい。さらに他の例では、溶液プロセッサ2306によって使用されるルーチン又はアルゴリズムは、アミノ酸の濃度を脂質及びブドウ糖の濃度に関連付けるテーブルを指定してもよい。
【0223】
[00223]アミノ酸、脂質、及びブドウ糖の量が決定された後に、例示的な溶液プロセッサ2306は、特定の成分組成を決定し、決定された量のアミノ酸、脂質、及びブドウ糖を生成してもよい。例えば、ルーチン又はアルゴリズムは、50g/lのアミノ酸を生成するために、5gのイソロイシン、7.4gのロイシン、9.31gのL-リジン(6.6gのリジンに対応する)、4.3gのメチオニン、5.1gのフェニルアラニン、4.4gのトレオニン、2gのトリプトファン、6.2gのバリン、12gのアルギニン、3gのヒスチジン、14gのアラニン、11gのグリシン、11.2gのプロリン、6.5gのセリン、0.4gのチロシン、及び1gのタウリンを含んでいる溶液を調合するべきであるということを指定してもよい。溶液プロセッサ2306は、アミノ酸の調整された量に基づいて、これらの量を調整するように構成される。例えば、アミノ酸の量が10%増やされた場合、成分の各々が10%増やされてもよい。脂質の場合も同様に、ルーチン又はアルゴリズムは、17g/lの脂質を生成するために、60gの大豆油、60gのMCT、50gのオリーブ油、及び30gの魚油を含んでいる溶液を調合するべきであるということを指定してもよい。溶液プロセッサ2306は、脂質の調整された量に基づいて、これらの量を調整するように構成されてもよい。
【0224】
[00224]加えて、溶液プロセッサ2306は、栄養液に含める微量栄養素の量を決定してもよい。例えば、溶液プロセッサ2306は、ビタミン、微量元素、電解質、及び/又はジペプチドの量を決定してもよい。ビタミンの例としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミン12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKなどが挙げられる。微量元素の例としては、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ヨウ素(I)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、セレン(Se)、及び亜鉛(Zn)などが挙げられる。場合によっては、溶液プロセッサ2306は、患者の性別及び年齢に基づいて、微量元素及び/又はビタミンの毎日の推奨される量に関連付けられる量を決定してもよい。一部の実施形態では、毎日の推奨される量は、基準値を構成してもよい。これらの実施形態では、溶液プロセッサ2306は、例えば上の方程式(3)及び(4)に類似する方程式を使用して、基準値に対する調整を決定するように構成される。他の例では、溶液プロセッサ2306は、推奨される量を単純に2倍にしてもよい(又は、何らかのその他の係数を適用してもよい)。
【0225】
[00225]電解質に関しては、例示的な溶液プロセッサ2306は、上の方程式(3)及び(4)に類似する方程式に基づいて種類及び量を決定するように構成される。例えば、溶液プロセッサ2306によって使用されるアルゴリズム又はルーチンは、投与される溶液1000ml当たり、電解質が、約32.8ミリモルのナトリウム~約48ミリモルのナトリウム、約24ミリモルのカリウム~約36ミリモルのカリウム、約4.1ミリモルのマグネシウム~約6.1ミリモルのマグネシウム、約2ミリモルのカルシウム~約3ミリモルのカルシウム、約8.2ミリモルのリン酸塩~約15.6ミリモルのリン酸塩、約0.032ミリモルの亜鉛~約0.048ミリモル亜鉛、約4.1ミリモルの硫酸塩~約6.1ミリモルの硫酸塩、約28.8ミリモルの塩化物~約43.2ミリモルの塩化物、及び約84.8ミリモルの酢酸塩~約127.2ミリモルの酢酸塩を含むべきであるということを指定してもよい。
【0226】
[00226]ジペプチドに関しては、例示的な溶液プロセッサ2306は、上の方程式(3)及び(4)に類似する方程式に基づいてジペプチドの種類及び量を決定するように構成される。例えば、溶液プロセッサ2306によって使用されるアルゴリズム又はルーチンは、投与される溶液1ml当たり、ジペプチドが、0.01g~0.04gのジペプチドを含むべきであるということを指定してもよい。
【0227】
[00227]図23の例示的な溶液プロセッサ2306は、1つ又は複数のパック又はバッグ内で栄養液が調合されるべきであるということを決定してもよい。一部の実施形態では、溶液プロセッサ2306は、アミノ酸、ブドウ糖、及び脂質の成分が同じバッグに含まれるべきであるということを決定してもよい。他の例では、溶液プロセッサ2306は、アミノ酸、ブドウ糖、及び脂質の成分の各々が個別のバッグに含まれるべきであるということを決定又は推奨してもよい。各成分が分離されるべきかどうかに関する決定は、患者の栄養状態に基づいてもよく、より栄養不良である患者には、別々のバッグが投与されてもよい。
【0228】
[00228]上記の説明は新しい溶液を作成することに関連しているが、一部の実施形態では、溶液プロセッサ2306は、筋肉の質及び/又は量のデータを使用して、前もって混合された栄養液を選択するか、又は事前に定義された処方のグループから選択してもよい。それらの例では、溶液プロセッサ2306は、最適なアミノ酸の濃度及び/又は溶液の体積を決定する。次に、溶液プロセッサ2306は、最適なアミノ酸の濃度及び/又は体積を、予混合溶液又は事前に定義された溶液のデータベースと比較する。その後、溶液プロセッサ2306は、最も良く一致する予混合溶液及び/又は事前に定義された溶液を選択する。さらに、一部の実施形態では、溶液プロセッサ2306は、予混合溶液又は事前に定義された溶液に適用するための修正又は補完を決定してもよい。この修正又は補完は、予混合溶液及び/又は事前に定義された溶液を、理想的なアミノ酸溶液にさらに近づけるように構成される。例えば、溶液プロセッサ2306は、アミノ酸の濃度を増やすために、事前に定義された溶液に追加する複数の成分又は原料の濃度を指定してもよい。
【0229】
[00229]図23の例示的な溶液プロセッサ2306は、溶液が投与される合計日数又は投与される溶液の全体積を決定してもよい。場合によっては、溶液プロセッサ2306は、上の方程式(3)及び(4)に類似する方程式を使用するように構成され、軟組織のピークが、治療日数を決定するための基準として使用される。その場合、定数は、0.25~10の範囲内であってよい。したがって、患者の軟組織のピークが45HU(又はその他の選択された放射線濃度値)から離れるほど、多くの日数が治療に追加される。上記の例では、「45HU」の値が、例示的な基準放射線濃度値として選択されているということが、理解されるべきである。他の例では、栄養不良の1つ又は複数のしきい値に基づいて、この基準がより高いか、又はより低くてよい(例えば、40HU、38HU、35HUなど)。
【0230】
[00230]例示的な溶液プロセッサ2306は、栄養液の成分を溶液組成レコード2307に格納するように構成される。レコード2307は、1つ又は複数のメッセージ444で、例えば、EMRサーバ426及び/又は薬剤調合システム420に送信される。場合によっては、薬剤調合システム420は、レコード2307内で指定された組成に基づいて栄養液を調合するように構成される。他の例では、レコード2307は、推奨として臨床医及び/又は薬剤師に提供されてもよい。その場合、レコード2307は、栄養液が調合される前に承認されるか、又は修正されてもよい。
【0231】
[00231]例示的な溶液プロセッサ2306が、現在利用可能な研究データ及び/又は専門家の合意/意見/ガイドラインに基づいて修正又は調整されてもよいということが、理解されるべきである。例えば、研究データは、異なる臨床環境内の異なる体組成に対して、新しい最適な炭水化物/アミノ酸/脂肪の投与を決定することがある。それに応じて、溶液プロセッサ2306は、新しい研究データを反映するように変数、定数値、及び/又は方程式を変更することによって、更新されてもよい。
d.投与プロセッサ
【0232】
[00232]図23の例示的な栄養解析エンジン442は、例えば、栄養療法ポンプの処方メッセージ425のポンプパラメータを決定するように構成された、投与プロセッサ2308も含んでいる。投与プロセッサ2308は、例えば、臨床医から受信された処方及び/又は溶液プロセッサ2306から受信された組成レコード2307に基づいてポンプパラメータを生成又は決定するように構成されてもよい。一部の例では、投与プロセッサ2308は、薬剤調合システム420から、指定された溶液が調合されたことを示す指示を受信してもよい。この指示は、処方を生成するために投与プロセッサ2308によって使用される成分又は溶液の特性を指定してもよい。代替の実施形態では、投与プロセッサ2308は、薬剤調合システム420に配置され、栄養液が調合されることに連動してポンプ422をプログラムするためのポンプの処方メッセージ425の処方パラメータを生成してもよい。
【0233】
[00233]一部の実施形態では、投与プロセッサ2308は、人口統計データ、生理的値、及び/又は病気/状態情報を取得するために、患者のEMRにアクセスしてもよい。投与プロセッサ2308は、ポンプ422を自動的にプログラムできるようにするために、ポンプの処方メッセージ425を作成するように構成されてもよい。したがって、投与プロセッサ2308は、例えば、ポンプ422をプログラムして栄養療法を実行するために必要なポンプパラメータ値を指定する、1つ又は複数のHL7メッセージを作成するように構成されてもよい。
【0234】
[00234]投与プロセッサ2308によって指定されるポンプの処方メッセージ425は、例えば、患者識別子パラメータ、患者体重パラメータ、ポンプ識別子パラメータ、及び投与の日付/時刻パラメータを含んでもよい。日付/時刻パラメータに関しては、処方が、投与の1日の間の特定の期間(例えば、2つの個別の6時間の期間)を指定してもよい。ポンプの処方メッセージ425は、栄養液の名前のパラメータ及び/又は溶液内の成分の識別子(複数可)(アミノ酸の濃度など)を含んでもよい。ポンプの処方メッセージ425は、注入される全体積及び/又はバッグ、容器、若しくはパックごとの注入される体積のパラメータをさらに含んでもよい。さらに、ポンプの処方メッセージ425は、注入速度及び/又はボーラス量のパラメータを含んでもよい。投与プロセッサ2308は、1日当たりの全容液を1日の分数又は投与に対して指定された分数で割ることによって、速度パラメータを決定してもよい。例示的な投与プロセッサ2308は、前述のパラメータを、ポンプの処方メッセージ425内で定義されたフィールド又はラベルに構造化するように構成される。例示的なポンプ422は、パラメータの値をポンプの対応する動作設定にプログラムするために、特定のフィールド又はラベルを検索するように構成される。複数のバッグ又はパックが使用される場合、投与プロセッサ2308は、バッグ又はパックごとにチャネル又はポンプを指定してもよい。
e.患者の栄養状態に基づいて栄養ポンプをプログラムするための例示的なプロセス
【0235】
[00235]図25は、本開示の実施形態例に従って、図6の軟組織エンジン440によって決定された患者の栄養状態に基づいて栄養注入ポンプ422をプログラムするための例示的な手順2500を示すフロー図である。例示的な手順2500は、例えば、図4、5、及び22~24と共に説明された解析サーバ408の栄養解析エンジン442によって実行されてもよい。手順2500は図25に示されたフロー図を参照して説明されているが、手順2500に関連付けられた機能を実行する多くのその他の方法が使用されてもよいということが、理解されるべきである。例えば、ブロックの多くの順序が変更されてもよく、特定のブロックが他のブロックと結合されてもよく、説明されるブロックの多くが任意選択的である。
【0236】
[00236]手順2500は、栄養解析エンジン442が、栄養状態レコード618及び/又はデータ分布データ612を含んでいる1つ又は複数のメッセージ414を受信したとき(ブロック2502)に開始する。栄養解析エンジン442は、1つ(又は複数)の警報又は警告が生成されるべきであるかどうかを判定する(ブロック2504)。例えば、図23の警報/警告生成器2304と共に説明されたように、栄養状態レコード618及び/又はデータ分布データ612内の情報が解析されるか、又は1つ又は複数の既定のしきい値及び/又は範囲と比較される。患者の栄養状態が、患者が健康であることを示している(例えば、患者が十分な筋肉の質及び/又は量を有している)場合、栄養解析エンジン442は、警報又は警告が不要であるということを決定する。この時点で、栄養解析エンジン442は、警報又は警告を生成することを抑制し、ブロック2502に戻って別の患者の栄養状態を受信する。
【0237】
[00237]しかし、栄養解析エンジン442が、警報又は警告が生成されるべきであるということを決定した場合、栄養解析エンジン442は、警報及び/又は警告を作成し、警報及び/又は警告を示す1つ(又は複数)のメッセージ(複数可)430を送信する(ブロック2506)。警報及び/又は警告メッセージ430は、患者及び患者の栄養状態を識別してもよい。警報及び/又は警告は、臨床医が、無効化、処方が調合されるべきであるという指示、及び/又は処方指示情報で応答できるようにする、リンク又はフィールドを含んでもよい。次に、例示的な栄養解析エンジン442は、栄養の処方の指示が臨床医のデバイス424及び/又はEMRサーバ426から受信されたかどうかを判定する。例えば、臨床医は、警告又は警報の受信時に、栄養療法のための処方の指示を作成してもよい。この処方の指示は、栄養液を調合するために、薬剤調合システム420によって使用されてもよい。処方の指示は、ポンプ422のうちの1つをプログラムするために使用されてもよい。
【0238】
[00238]処方の指示が提供された場合、栄養解析エンジン442は、栄養液を調合するための命令を薬剤調合システム420に提供する薬剤の指示を作成する(ブロック2510)。この作成は、薬剤調合システム420内の配合システムをプログラムするために使用される溶液組成レコード2307を作成することを含む。場合によっては、栄養解析エンジン442は、処方に基づいて、溶液の特定の成分を決定してもよい。例えば、処方は、患者が、アミノ酸によって強化された非経口栄養液を4日間受け取るべきであるということを指定してもよい。この処方は、例えば、1日当たり2200mlの溶液が投与されるべきであるということを示してもよく、例えば、55g/lのアミノ酸を含んでもよい。栄養解析エンジン442は、溶液の一部である成分の濃度又量に加えて、プロリンなどの特定の成分又は原料を識別することによって、処方に基づいてレコード2307を作成する。栄養解析エンジン442は、薬剤調合システム420に送信するために、成分及び量をレコード2307に格納する。
【0239】
[00239]処方の指示が提供されない場合、栄養解析エンジン442は、1つ又は複数のアルゴリズム又はルーチンに従って、栄養液を最初から決定する(ブロック2511)。例示的な栄養解析エンジン442は、患者の栄養状態、軟組織のピーク、及び/又は軟組織のピーク情報を使用して、1日当たり(又は指定された期間)に投与される溶液の体積を決定する。例示的な栄養解析エンジン442は、アミノ酸の濃度、脂質の濃度、及び/又はブドウ糖の濃度を決定してもよい。さらに、栄養解析エンジン442は、溶液に取り入れるための微量栄養素添加物を決定する。場合によっては、栄養解析エンジン442は、患者の軟組織のピーク及び/又は関連する情報を、溶液の組成に関連付けられた母集団と比較してもよい。栄養解析エンジン442は、母集団内の個人の軟組織のピーク及び/又は関連する情報に最も一致する溶液の組成を選択してもよい。
【0240】
[00240]例示的な栄養解析エンジン442は、栄養療法ポンプの処方メッセージ425の投与パラメータの値を決定してもよい(ブロック2512)。それらのパラメータの例としては、注入速度、注入される全体積、溶液の名前及び/又は識別子、溶液(アミノ酸)の濃度、患者の名前及び/又は識別子、ポンプの名前及び/又は識別子、並びに/或いは患者の体重などが挙げられる。場合によっては、栄養解析エンジン442は、患者のEMRにアクセスして、栄養療法ポンプの処方メッセージ425の値の少なくとも一部を決定してもよい。例えば、患者のEMRは、溶液を患者に投与するポンプ422の識別子に加えて、患者情報を含んでもよい。他の例では、栄養解析エンジン442は、ポンプ識別子フィールドを空白のままにする。このフィールドは、EMRサーバ426が、ポンプ上及び患者上の電子バーコード又は印刷されたバーコードを読み取るバーコードスキャナーから識別子を受信した後に、EMRサーバ426によって決定されてもよい。栄養解析エンジン442は、投与パラメータの値を決定するために、レコード2307内の情報を使用してもよい。例えば、注入速度、溶液名、及び溶液の濃度が、レコード2307から決定されてもよい。
【0241】
[00241]栄養解析エンジン442は、投与パラメータの値を決定した後に、注入ポンプ422の栄養療法ポンプの処方メッセージ425を作成する(ブロック2514)。この作成は、HL7に準拠するメッセージ内のパラメータ値を構造化することを含んでもよい。メッセージ425内の適切なラベル又はフィールドと共に、パラメータごとの値が格納されてもよい。栄養解析エンジン442は、栄養療法ポンプの処方メッセージ425を、例えば、注入ポンプ422(又は注入ポンプ422にルーティングするために、EMRサーバ426)に送信する。注入ポンプ422は、ラベル及び/又はフィールドに基づいてパラメータ値を識別し、アプリケーション又はルーチンにパラメータ値を入力する。次に、注入ポンプ422は、指定されたパラメータに基づいて栄養療法を投与し、動作する。この時点で、例示的な手順2500は、次の患者を処理するために、ブロック2502に戻る。
結論
【0242】
[00242]本明細書に記載されている、開示された方法及び手順のすべてが、1つ又は複数のコンピュータプログラム又は構成要素を使用して実装されてもよいということが、理解されるであろう。それらの構成要素は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、磁気ディスク若しくは光ディスク、光メモリ、又はその他の記憶媒体を含む、任意の従来のコンピュータ可読媒体上の一連のコンピュータ命令として、提供されてもよい。それらの命令は、プロセッサによって実行されるように構成されてもよく、このプロセッサは、一連のコンピュータ命令を実行した場合に、開示された方法及び手順のすべて又は一部を実行するか、又はそれらの性能を促進する。
【0243】
[00243]本明細書に記載された実施形態例に対するさまざまな変更及び修正が当業者にとって明らかであるということが、理解されるべきである。そのような変更及び修正が、本対象の思想及び範囲を逸脱することなく、且つ意図された優位性を損なうことなく、行われ得る。したがって、そのような変更及び修正が添付の特許請求の範囲によってカバーされるということが意図される。
【0244】
[00244]特許請求の範囲において「手段」又は「ステップ」という用語が明示的に示されない限り、35 U.S.C. 112(f)又は旧米国特許法35 U.S.C 112の段落6が行使されるよう意図されないということが、理解されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本明細書又は本明細書と同等のものに記載された対応する構造、材料、又は動作に制限されるよう意図されていない。
[発明の項目]
[項目1]
非経口栄養診断システムであって、
コンピュータ断層撮影撮像デバイスであり、該デバイスが、
患者の中央部に対してスキャンを実行し、
前記中央部の異なる断面の高さでのスライスの各々の2次元画像のセットを生成するように構成されており、各2次元画像が、前記患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含んでいる、コンピュータ断層撮影撮像デバイスと、
前記コンピュータ断層撮影撮像デバイスに通信によって結合されている軟組織解析サーバであり、該サーバが、
前記放射線濃度データを使用して、どの前記2次元画像が最低量の骨組織を含んでいるかを決定することによって、前記2次元画像のセットから対象の2次元画像を選択し、
前記対象の2次元画像を使用して、放射線濃度の異なる値ごとに、組織の表面積を決定し、
ハウンスフィールド単位での放射線濃度値ごとに、前記組織の表面積の分布プロットを作成し、
-50ハウンスフィールド単位及び80ハウンスフィールド単位の範囲内の局所ピークに対応する前記分布プロット内の軟組織のピークの位置を特定し、
前記軟組織のピークの指示を送信する、
ように構成されている、軟組織解析サーバと、
前記軟組織解析サーバに通信によって結合されている薬剤調合システムであり、該システムが、
前記軟組織のピークが既定のしきい値を下回る場合に、前記患者に対して医療処置を実行する前に非経口栄養治療を実行するべきであるということを決定し、
前記軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて前記非経口栄養治療の栄養指示パラメータを決定し、
前記非経口栄養治療の前記栄養指示パラメータを送信する、
ように構成されている、薬剤調合システムと、
前記薬剤調合システムに通信によって結合されている非経口栄養ポンプであり、該ポンプが、
前記非経口栄養治療の受信された前記栄養指示パラメータに基づいて非経口栄養注入療法をプログラムし、
前記非経口栄養注入療法を前記患者に提供する、
ように構成されている、非経口栄養ポンプと、
を備えている、システム。
[項目2]
電子医療記録サーバであり、該サーバが、
前記軟組織のピークを受信して格納し、
前記軟組織のピークを前記既定のしきい値と比較し、
前記軟組織のピークが既定のしきい値を下回る場合に警報を送信し、
非経口栄養治療が実行されるべきであるということを示すメッセージを前記薬剤調合システムに送信する、
ように構成されている電子医療記録サーバをさらに含んでいる、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記非経口栄養治療の前記栄養指示パラメータが、注入される栄養素の体積、注入される栄養液、注入速度、又は注入期間のうちの少なくとも1つを含んでいる、項目1に記載のシステム。
[項目4]
前記栄養液が、炭水化物、脂質、タンパク質、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リン酸塩、酢酸塩、塩化物、葉酸、アミノ酸、オメガ3脂肪酸、ビタミン、及び栄養補給剤のうちの少なくとも1つを含んでいる、項目3に記載のシステム。
[項目5]
前記薬剤調合システムが、
(i)前記軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて前記非経口栄養注入療法のための栄養物質を調合すること、又は
(ii)前記軟組織のピークに少なくとも部分的に基づいて前記非経口栄養注入療法のための予混合容器を選択すること
のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、項目1又は4に記載のシステム。
[項目6]
前記薬剤調合システムが、前記患者の年齢、前記患者の性別、前記患者の体重、前記患者の病状、前記患者の生理的パラメータ、及び前記患者に対して実行される前記医療処置のうちの少なくとも1つにさらに基づいて、前記栄養指示パラメータを決定し、(i)及び(ii)のうちの少なくとも1つを実行するように、構成されている、項目5に記載のシステム。
[項目7]
前記非経口栄養ポンプが、大容量ポンプ又は重力式ポンプを含んでいる、項目1又は6に記載のシステム。
[項目8]
少なくとも1つの撮像デバイスと共に動作可能な非経口栄養診断装置であって、
前記少なくとも1つの撮像デバイスに通信によって結合された画像インターフェイスであり、該画像インターフェイスが、医用画像のセットを受信するように構成されており、各医用画像が、(i)患者の異なる断面が撮影された画像であり、(ii)前記患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含んでいる、画像インターフェイスと、
少なくとも1つのプロセッサであり、該プロセッサが、
前記患者の望ましい領域に対応する前記医用画像のセットから対象の医用画像を選択し、
前記対象の医用画像を使用して、放射線濃度の異なる値ごとに組織の面積を決定し、
放射線濃度値ごとに前記組織の表面積の分布を決定し、
筋肉組織、臓器組織、及び筋肉内脂肪組織に関連する前記分布内の領域での局所ピークに対応する前記分布内で軟組織のピークの位置を特定し、
患者の栄養状態を評価するための軟組織のピーク情報を提供する、
ように構成されているプロセッサと、
を備えている、装置。
[項目9]
前記異なる断面が、前記患者の中央部の異なる横断面である、項目8に記載の装置。
[項目10]
前記患者の前記望ましい領域が、第3腰椎と第4腰椎の間にある、項目8又は9に記載の装置。
[項目11]
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記患者の前記栄養状態を既定のしきい値と比較し、
前記栄養状態が前記既定のしきい値を超えている場合に、別の医療処置の前に栄養治療が不要であるということを示すメッセージを送信し、
前記栄養状態が前記既定のしきい値未満である場合に、前記患者が前記栄養治療を受けるべきであるということを示すメッセージを送信する、
ようにさらに構成されている、項目8又は10に記載の装置。
[項目12]
前記少なくとも1つのプロセッサが、
-150ハウンスフィールド単位と150ハウンスフィールド単位の間に複数のビンを作成することであって、各ビンが放射線濃度の異なる値に対応する、ことと、
前記対象の医用画像からの各ピクセルを前記ビンのうちの1つに割り当てることと、
前記各ビンに割り当てられた前記ピクセルを合計してビンごとに組織の面積を決定することと
によって、放射線濃度の異なる値ごとに前記組織の面積を決定するようにさらに構成されている項目8又は11に記載の装置。
[項目13]
前記ビンが、0.1ハウンスフィールド単位~2ハウンスフィールド単位の幅を有している、項目12に記載の装置。
[項目14]
前記対象の医用画像内の前記ピクセルの各々が、前記ピクセル内で示された前記組織の前記放射線濃度に基づいて色分けされている、項目12に記載の装置。
[項目15]
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記対象の医用画像内の質量中心を決定し、
対象領域の幾何学的中心が前記質量中心に揃うように、前記対象領域を前記対象の医用画像の上に置き、
前記対象領域に対応する前記対象の医用画像の放射線濃度の異なる値ごとに、第1の組織の面積を決定するように、さらに構成されている、項目8又は12に記載の装置。
[項目16]
前記質量中心が第1の質量中心であり、前記対象領域が第1の対象領域であり、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1の対象領域内の骨組織を識別し、
前記骨組織のみを使用して前記第1の対象領域内の第2の質量中心を決定し、
第2の対象領域の幾何学的中心が前記第2の質量中心に揃うように、前記第2の対象領域を前記対象の医用画像の上に置いて前記第1の対象領域を置き換え、
前記第2の対象領域に対応する前記対象の医用画像の放射線濃度の異なる値ごとに、第2の組織の面積を決定する
ようにさらに構成されている、項目15に記載の装置。
[項目17]
非経口栄養診断方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにおいて、撮像デバイスから、患者の異なる断面でのスライスの各々の医用画像のセットを取得するステップであり、各画像が、前記患者の画像化された組織に関連する放射線濃度データを含んでいる、ステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記医用画像のセットを解析して、前記患者の指定された領域に対応する骨組織の総面積を決定する、解析するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、最低の骨組織の総面積を有する対象の医用画像を、前記解析された医用画像のセットから選択するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記対象の医用画像から放射線濃度値の分布を決定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、筋肉組織、臓器組織、又は筋肉内脂肪組織のうちの少なくとも1つに関連する、放射線濃度値の前記分布内の領域で局所ピークを識別するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記軟組織のピークの放射線濃度値が第1の放射線濃度の範囲内にある場合、前記患者の第1の栄養状態を評価するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記軟組織のピークの放射線濃度値が第2の放射線濃度の範囲内にある場合、前記患者の第2の栄養状態を評価するステップと、
を含んでいる、方法。
[項目18]
Savitzky-Golayデジタルフィルタ、移動平均フィルタ、マルチパスフィルタ、又は畳み込みフィルタのうちの少なくとも1つを使用して放射線濃度値の前記分布を平滑化するステップをさらに含んでいる、項目17に記載の方法。
[項目19]
放射線濃度値の前記分布が、(i)放射線濃度値ごとの前記対象の医用画像のピクセルの数、又は(ii)放射線濃度値ごとに前記対象の医用画像内で提供される組織の表面積のうちの少なくとも1つを含んでいる、項目17又は18に記載の方法。
[項目20]
前記第1の放射線濃度の範囲が40ハウンスフィールド単位~80ハウンスフィールド単位であり、
前記第2の放射線濃度の範囲が0ハウンスフィールド単位~40ハウンスフィールド単位である、項目17又は18に記載の方法。
[項目21]
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記患者が前記第2の栄養状態にあるということに基づいて、警報又は警告のうちの少なくとも1つが生成されるべきであるということを決定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記警報又は警告のうちの前記少なくとも1つを、臨床医のデバイス、薬剤調合システム、及び電子医療記録サーバのうちの少なくとも1つに送信するステップと、
をさらに含んでいる、項目17又は20に記載の方法。
[項目22]
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、(i)栄養液の成分又は組成、及び(ii)患者が前記第2の栄養状態にあるということ及び前記患者の少なくとも1つの人口統計の特徴に基づいて投与される前記栄養液の全体積、を決定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記栄養液を調合するために(i)及び(ii)を薬剤調合システムに提供するステップと、
をさらに含んでいる、項目17又は21に記載の方法。
[項目23]
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、(i)及び(ii)に基づいて注入ポンプ用の投与パラメータを決定するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記投与パラメータ及び前記患者の識別子を含んでいる投与メッセージを作成するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを介して、前記投与メッセージを前記注入ポンプに送信して、前記投与パラメータに従って、栄養療法が、前記識別子によって識別された前記患者に施行される、送信するステップと、
をさらに含んでいる、項目22に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【図 】
図12
図14
図15
図17
図19
図20
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図25