(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】コイン処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 1/00 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
G07D1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020018642
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】美留町 直史
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-071013(JP,A)
【文献】実開平02-067467(JP,U)
【文献】特開2015-026249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインをばら積みして収納する収納部と、
前記収納部の下方に配置され、前記収納部に収納されている前記コインを一枚ずつ排出すると共に計数するコイン払出ユニット
と、
前記コイン払出ユニットに向かうに従って漸次お互いの水平方向の間隔が狭くなるように対向させて前記収納部に配置された第1斜面と第2斜面の間に収納される前記コインの重量の一部を支持する圧力緩和手段と、を備えるコイン処理装置において、
前記収納部の上方に配置された前記コインを投入するコイン投入口と、
前記コイン投入口から投入された前記コインを前記圧力緩和手段の方向に案内するスライダーと、を有し、
前記圧力緩和手段は、上端から前記第1斜面の方向と前記第2斜面の方向に向かい下端が低くなるようにそれぞれの方向に傾斜面を有する圧力緩和バーを複数備え、
それぞれの前記圧力緩和バーは、上面視で一部が重なると共に上下に離れた位置に配置され、かつ前記第1斜面と前記第2斜面の間であると共に前記第1斜面と前記第2斜面から離れた位置に配置されており、
前記スライダーは、前記コイン投入口の下方に配置され、前記スライダーの下端は、前記第1斜面と前記第2斜面の上端より高い位置に配置されていることを特徴とするコイン処理装置。
【請求項2】
投入された前記コインを一枚ずつに分離して排出するとともに計数するコイン計数ユニットを備え、前記コイン計数ユニットから排出された前記コインは、前記コイン投入口を介して前記収納部に収納されることを特徴とする請求項1に記載のコイン処理装置。
【請求項3】
それぞれの前記圧力緩和バーは、同形状であり、
前記圧力緩和バーは、上端を中心に両側に折り曲げられると共に、前記傾斜面の下端を折り返して下端部を厚くしており、
上方に配置された前記圧力緩和バーは、上面視で前記スライダーと重ならず、かつ下方に配置された前記圧力緩和バーは、上面視で上方に配置された前記圧力緩和バーよりも前記スライダー側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコイン処理装置。
【請求項4】
前記コイン払出ユニットは、前記コインを貯留する貯留容器と前記コインを一枚ずつ分離し、該分離した前記コインを排出するとともに計数する分離部とを有するコインホッパを有し、
前記貯留容器は、前記貯留容器の最下部に配置された前記貯留容器の開口部と、該開口部に前記コインを案内する傾斜した底面を有し、
前記開口部の上方に前記第2斜面が配置され、前記底面の上方に前記圧力緩和手段が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のコイン処理装置。
【請求項5】
前記第1斜面または前記第2斜面の傾斜より前記底面の傾斜が緩やかであることを特徴とする請求項4に記載のコイン処理装置。
【請求項6】
前記第1斜面の上部に、前記収納部の内外に連通する前記収納部の開口部と、該開口部を開閉する扉を有し、
前記収納部の開口部は、前記扉を開けたときに前記収納部を介して前記コイン払出ユニットの前記貯留容器に連通することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のコイン処理装置。
【請求項7】
筐体と、前記筐体に設けられたドアと、前記ドアを閉めた状態で施錠または解錠する第1ロックシステムと、ICカードを読み取るカードリーダと、前記カードリーダと前記第1ロックシステムを制御し、前記ICカードを前記カードリーダで読み取った場合に前記第1ロックシステムを解錠する制御手段と、前記扉を施錠または解錠する第2ロックシステムと、を有し、前記筐体に前記コイン処理装置が収納されていることを特徴とする請求項6に記載のコイン処理装置。
【請求項8】
前記コイン払出ユニットが、一つの前記収納部に対して前記コインホッパを複数台列状に配置し、前記圧力緩和手段の長手方向が前記コインホッパの列方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項4から請求項7の何れか1項に記載のコイン処理装置。
【請求項9】
前記第1斜面の上端は、前記第2斜面の上端より低い位置に配置されており、前記第1斜面の上方であって前記スライダーの直上に前記コイン投入口が配置されており、前記コインは前記コイン投入口から前記スライダーの上に落とされた後に前記スライダーを滑り落ちて前記収納部に収納されることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載のコイン処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインを貯留、計数、払出す装置を有するコイン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙幣や硬貨等の貨幣の入金処理や出金処理を行う貨幣処理装置として様々なタイプのものが用いられている。例えば、商業施設に設置され、投入する貨幣に対して等価の他の金種の貨幣を払出す両替機が知られている。またこの様な装置では、コインは通貨としての硬貨ばかりで無くメダルやトークン等の代用硬貨であっても良い。
【0003】
例えば、貨幣処理装置として、特許文献1に開示されている両替機が知られている。特許文献1に開示される貨幣処理装置では、投入された貨幣の金種を識別し、その金額に応じて収納部から払出す金種と枚数を演算し、それに対応したコインを出金口に排出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収納部が小さく、格納できるコインの枚数が少ないと、頻繁に補充しなければならないという問題があった。そのため、収納部を大型化して補充頻度を少なくする装置が提案されている。また、この様な装置では、収納部が大型化してしまうので、一度に大量のコインを扱うことになる。コインが多くなれば、重量もかなり重くなり、取扱いが大変になり、また、取扱いづらくなる。
【0006】
この様な装置では、一度に多くのコインを投入口に入れ、また、収納部に収納するので、収納部やそれに接続される部品は、大型化、堅牢化する必要がある。
【0007】
一度に多くのコインを取り扱っても、円滑かつ適切に収納等の取扱いが可能なコイン処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコイン処理装置は、コインをばら積みして収納する収納部と、前記収納部の下方に配置され、前記収納部に収納されている前記コインを一枚ずつ排出すると共に計数するコイン払出ユニットと、前記コイン払出ユニットに向かうに従って漸次お互いの水平方向の間隔が狭くなるように対向させて前記収納部に配置された第1斜面と第2斜面の間に収納される前記コインの重量の一部を支持する圧力緩和手段と、を備えるコイン処理装置において、前記収納部の上方に配置された前記コインを投入するコイン投入口と、前記コイン投入口から投入された前記コインを前記圧力緩和手段の方向に案内するスライダーと、を有し、前記圧力緩和手段は、上端から前記第1斜面の方向と前記第2斜面の方向に向かい下端が低くなるようにそれぞれの方向に傾斜面を有する圧力緩和バーを複数備え、それぞれの前記圧力緩和バーは、上面視で一部が重なると共に上下に離れた位置に配置され、かつ前記第1斜面と前記第2斜面の間であると共に前記第1斜面と前記第2斜面から離れた位置に配置されており、前記スライダーは、前記コイン投入口の下方に配置され、前記スライダーの下端は、前記第1斜面と前記第2斜面の上端より高い位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコイン処理装置によれば、一度に多くのコインを取り扱っても、コインを円滑かつ適切に収納でき、容易に取扱いできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、両替機のドアを開けた状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、両替機の側方から見た場合の主要部の概要を説明する図である。
【
図5】
図5は、コインホッパの動作を説明する図である。
【
図6】
図6は、両替機の硬貨貯留ユニットの主要部の斜視図である。
【
図7】
図7は、両替機の硬貨貯留ユニットを側方から見た場合の主要部の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。またコイン処理装置のコインとして硬貨を用いる両替機を例にして説明する。
【0012】
図1は、両替機の斜視図である。本実施形態の両替機1は、例えばゲーム場や商店などに設置され、投入された貨幣と異なる金種の貨幣に交換する機器である。
【0013】
両替機には硬貨などのコインを処理するコイン処理装置と、紙幣を処理する紙幣処理装置が搭載されている。例えば、硬貨と紙幣の両方を処理する貨幣処理装置である両替機では、紙幣を投入すると、投入した紙幣に等価の別金種の紙幣やコインが排出される。
【0014】
両替機1は、箱形の筐体2と、筐体2の正面に開閉可能に取り付けられたドア3を備える。ドア3は、筐体2の上下に取り付けられた1対のヒンジ16によって、開閉可能に取り付けられている。
【0015】
筐体2の下部には、両替機1が設置された場合に容易に転倒しないように、1対の転倒防止板4が取り付けられている。筐体2の裏面に、略角部のそれぞれに突出して設けられた脚がある。転倒防止板4は筐体2の側面に沿って左右に2枚配置されている。筐体2の前後に配置された2本の脚に転倒防止板4がそれぞれ固定されている。転倒防止板4が、筐体2の上方から見た場合に、筐体2から突出して設けられているので、筐体が転倒し難くい構成となっている。
【0016】
筐体2の側面に取手5が備わり、筐体2を移動させるときに取手5を把持して移動させることができる。また、筐体2の上部前方に監視カメラ15が配置されている。監視カメラ15は、両替機1を操作している者や、ドア3を開けて作業をしている者を撮像できるように、撮像方向が斜め下方に向けられている。また、操作している者以外にも、両替機1の前方近傍の所定範囲における画像も撮影できるように配置されている。
【0017】
ドア3には、硬貨入金口6、硬貨払出口7、返却レバー8、紙幣入金口9、紙幣払出口10、カードリーダ11、タッチパネル式表示装置12、スピーカ13、ロック装置14が配置されている。
【0018】
硬貨入金口6は、例えば、両替対象の500円硬貨が投入される。硬貨払出口7は、両替機1から払出された硬貨を受ける皿状の容器を備える。返却レバー8は、硬貨入金口6に投入された硬貨を返却するレバーである。返却レバー8を操作することで、硬貨入金口6に投入された硬貨が硬貨払出口7へ返却される。
【0019】
紙幣入金口9は、両替対象紙幣が投入される。紙幣払出口10からは両替紙幣が払い出される。
【0020】
カードリーダ11は、非接触式のICカードを読み取る装置である。カードリーダ11にICカードをかざすことで、ICカードの情報を読み取ることが出来る。
【0021】
タッチパネル式表示装置12は、ドア3の上部に位置し、操作する者が立位で目視でき、操作できるように配置されている。タッチパネル式表示装置12は、液晶表示パネル等の表示部および表示部に重ね合わされたタッチパネルを有する。タッチパネル式表示装置12は、文字記号を含む画像を表示できる表示手段である。また、触れる位置に応じた操作信号が出力される入力手段でもある。タッチパネル式表示装置12は、表示装置と入力装置の機能とを兼ね備える。
【0022】
スピーカ13は、音声などの音を出力する。ロック装置14はドア3を施解錠する。監視カメラ15は、撮像方向が斜め下方に向けられているので、両替機1の前方近傍の所定範囲を撮影することができる。
【0023】
図2は、両替機のドアを開けた状態の斜視図である。
図2を用いて両替機1の内部構成について説明する。
【0024】
筐体2の上方には、両替機1の全体を制御する制御ユニット20が配置されている。制御ユニット20には、ユニット入力スイッチ21、ユニット表示装置22が備わり、データの入力及び文字記号などのデータの表示ができる。
【0025】
制御ユニット20の下方に紙幣入出金ユニット31が配置されている。紙幣入出金ユニット31において上方に紙幣入金口9、紙幣払出口10が配置され、その下方に不図示の紙幣識別部、金種毎に紙幣を収納する紙幣収納部、紙幣を搬送する紙幣搬送部等が内蔵されている。紙幣入出金ユニット31は、紙幣入金口9に投入された紙幣の真偽および金種を紙幣識別部で識別し、10,000円、5,000円、1,000円紙幣を紙幣収納部に収納する。1,000円、5,000円紙幣を両替紙幣として紙幣払出口10に払い出す。
【0026】
第1硬貨払出ユニット23と第2硬貨払出ユニット25の2つの硬貨払出ユニットが配置されている。第1硬貨払出ユニット23は、例えば100円硬貨を払出し、第2硬貨払出ユニット25は、例えば500円硬貨を払出す。第1硬貨払出ユニット23は一度の取扱量が多い100円硬貨を扱うので2台のコインホッパを備える。3台など複数台も良いが、その分大型化かしてしまう。第1硬貨払出ユニット23と第2硬貨払出ユニット25は、コインの一種である硬貨を払出すコイン払出ユニットとも言える。
【0027】
第1硬貨払出ユニット23の上方には100円硬貨を貯留する第1硬貨貯留ユニット24が配置されている。第1硬貨払出ユニット23の下方には第1硬貨通路32が配置されている。第1硬貨通路32の下方には第1硬貨振分ユニット33が配置されている。第1硬貨振分ユニット33の下方には、第1硬貨回収通路34と第1硬貨排出開口部36が配置されている。第1硬貨回収通路34の下方には、第1硬貨回収袋35が配置されている。ドア3が閉められた状態で、第1硬貨排出開口部36はドア3に設けられた第1硬貨受け口37に接続される。
【0028】
第1硬貨払出ユニット23は、第1硬貨貯留ユニット24に格納されている100円硬貨を、2台のコインホッパを用いて一枚ずつ分離して排出する。排出された硬貨は、不図示の硬貨払出センサで検知し、制御ユニット20の制御により計数する。第1硬貨払出ユニット23から排出された硬貨は第1硬貨通路32を介して第1硬貨振分ユニット33へ送られる。第1硬貨振分ユニット33は、硬貨を硬貨返却ユニット51か第1硬貨回収袋35のどちらか排出するように制御ユニット20の制御により振り分ける。硬貨返却ユニット51へ排出するように制御されれば、第1硬貨振分ユニット33から第1硬貨排出開口部36、第1硬貨受け口37を通り、硬貨返却ユニット51へ送られ、硬貨払出口7へ排出される。
【0029】
第1硬貨貯留ユニット24の上方には、第1硬貨計数ユニット27が配置されている。第1硬貨計数ユニット27の上方には、第1硬貨投入ユニット28が配置されている。第1硬貨投入ユニット28に硬貨を投入すると、例えば100円硬貨を投入すると、その硬貨を第1硬貨計数ユニット27が一枚ずつ分離し、排出する。コイン投入ユニットについては、投入する硬貨を100円硬貨とする第1硬貨投入ユニット28を例にして説明するが、金種はこれに限るわけではない。
【0030】
排出された硬貨は不図示のセンサにより計数される。排出された硬貨は、第1硬貨貯留ユニット24に収納される。第1硬貨計数ユニット27によって、硬貨を一枚ずつ計数しながら第1硬貨貯留ユニット24に収納することができる。第1硬貨貯留ユニット24に収納された硬貨は第1硬貨払出ユニット23によって一枚ずつ計数しながら排出されるので、第1硬貨貯留ユニット24に収納されている硬貨の枚数が制御ユニット20によって取得され、演算可能に把握できる。
【0031】
第2硬貨払出ユニット25の上方には500円硬貨を貯留する第2硬貨貯留ユニット26が配置されている。第2硬貨払出ユニット25の下方には第2硬貨通路38が配置されている。第2硬貨通路38の下方には第2硬貨振分ユニット39が配置されている。第2硬貨振分ユニット39の下方には、第2硬貨回収通路40と第2硬貨排出開口部42が配置されている。第2硬貨回収通路40の下方には、第2硬貨回収袋41が配置されている。ドア3が閉められた状態で、第2硬貨排出開口部42はドア3に設けられた第2硬貨受け口43に接続される。
【0032】
第2硬貨払出ユニット25は、第2硬貨貯留ユニット26に格納されている500円硬貨を、1台のコインホッパを用いて一枚ずつ分離して排出する。排出された硬貨は、不図示の硬貨払出センサで検知し、制御ユニット20の制御により計数する。第2硬貨払出ユニット25から排出された硬貨は第2硬貨通路38を介して第2硬貨振分ユニット39へ送られる。第2硬貨振分ユニット39は、硬貨を硬貨返却ユニット51か第2硬貨回収袋41のどちらか排出するように制御ユニット20の制御により振り分ける。硬貨返却ユニット51へ排出するように制御されれば、第2硬貨振分ユニット39から第2硬貨排出開口部42、第2硬貨受け口43を通り、硬貨返却ユニット51へ送られ、硬貨払出口7へ排出される。
【0033】
筐体2の下方には、電源ユニット52が配置され、制御ユニット20及び制御ユニット20で制御される各種装置、ユニットに電源を供給する。
【0034】
ドア3の裏面側において、上部にはタッチパネル式表示装置12、スピーカ13が固定されている。その下側には、紙幣入金口9と紙幣払出口10に対応する位置に紙幣入出開口44が設けられている。また、ドア3の裏面側には、カードリーダ11の制御部、ロック装置14が取り付けられている。
【0035】
硬貨入金口6に接続された硬貨入金通路45が設けられ、投入された硬貨を硬貨識別ユニット46へ案内する。硬貨識別ユニット46では、投入された硬貨の真偽および金種を判別し、硬貨入金振分ユニット48へ送る。硬貨入金振分ユニット48では、硬貨識別ユニット46が、100円正貨と識別した硬貨を第1硬貨ドア金庫49排出し、500円正貨と識別した硬貨を第2硬貨ドア金庫50へ排出する。また、硬貨識別ユニット46が偽貨または100円、500円以外の硬貨と識別した場合は、投入された硬貨を硬貨返却通路47へ送る。硬貨返却通路47に送られた硬貨は硬貨返却ユニット51へ送られ、硬貨払出口7へ排出される。
【0036】
第1硬貨ドア金庫49は硬貨入金口6から投入された100円硬貨を、第2硬貨ドア金庫50は硬貨入金口6から投入された500円硬貨を、それぞれ収納する。
【0037】
硬貨返却ユニット51は、硬貨払出口7へ接続されている。また、硬貨返却ユニット51は、第1硬貨受け口37、第2硬貨受け口43が設けられている。第1硬貨受け口37、第2硬貨受け口43に入った硬貨を硬貨払出口7へ排出する。
【0038】
第2硬貨貯留ユニット26の上方には、第2硬貨計数ユニット29が配置されている。第2硬貨計数ユニット29の上方には、第2硬貨投入ユニット30が配置されている。第2硬貨投入ユニット30に硬貨を投入すると、例えば500円硬貨を投入すると、その硬貨を第2硬貨計数ユニット29が一枚ずつ分離し、排出する。排出された硬貨は不図示のセンサにより計数される。排出された硬貨は、第2硬貨貯留ユニット26に収納される。第2硬貨計数ユニット29によって、硬貨を一枚ずつ計数しながら第2硬貨貯留ユニット26に収納することができる。第2硬貨貯留ユニット26に収納された硬貨は第2硬貨払出ユニット25によって一枚ずつ計数しながら排出されるので、第2硬貨貯留ユニット26に収納されている硬貨の枚数が制御ユニット20によって取得され、演算可能に把握できる。
【0039】
第1硬貨貯留ユニット24の扉には第1ロック、第2硬貨貯留ユニット26の扉には第2ロックが設置されている。これに合う鍵を用いなければ、メンテナンス用の扉を開けることはできない。この中には、硬貨が収納されているので、誰にでも扉を開けさせるわけにはいかない。ドア3を開けることのできる者が誰でも、第1硬貨貯留ユニット24あるいは第2硬貨貯留ユニット26を開けることができると、硬貨を自由に取ることができてしまい、セキュリティ上好ましくない。
【0040】
第1硬貨貯留ユニット24あるいは第2硬貨貯留ユニット26の内部に不具合があった場合などに、開けてメンテナンスを行うことができる。第1メンテナンス扉53あるいは第2メンテナンス扉54を開けると、開口部があり、そこから内部に手や道具を入れて修繕して不具合を解消する。硬貨を収納する収納部の内外に連通すると共に扉により開閉することができる。通常は鍵をかけてあり、特定の者しか開けることができないように運用されている。
【0041】
第1硬貨貯留ユニット24の第1メンテナンス扉53には第1ロック、第2硬貨貯留ユニット26の第2メンテナンス扉54には第2ロックが設置されている。これに合う鍵を用いなければ、メンテナンス用の扉を開けることはできない。この中には、硬貨が収納されているので、誰にでも扉を開けさせるわけにはいかない。ドア3を開けることのできる者が誰でも、第1硬貨貯留ユニット24あるいは第2硬貨貯留ユニット26を開けることができると、硬貨を自由に取ることができてしまい、セキュリティ上好ましくない。
【0042】
ロック装置14は、ドア3を開けることが許可されている者が、すなわち、ICカードを持つ者が、ICカードをカードリーダ11にかざすことで、ロック装置14を解錠する。そして、ドア3を開けることができる。ロック装置14は、例えば電磁式ロックであり、モータやソレノイドなどの駆動装置によって錠のバー等を移動させ、施錠、解錠を行うことができる。ICカードの紛失時などは、システム上で直ぐにICカードの効力を無効にできる。また、錠部分がドア3内部に配置されるので、外部からアクセスしにくく、破壊されにくい。また、紙幣入出金ユニット31にも不図示のロックシステムが備わる。鍵によってロックシステムを解錠し、内部に収納されている紙幣にアクセスが可能となる。通常の運用では、ICカードの認証によって連動するロック装置14と、ドア3を開けたときに操作する第1ロック、第2ロックあるいは紙幣入出金ユニット31のロックシステムとの2重のロックを用いている。これら2重のロックによって両替機1の内部あるいは収納している貨幣への不正アクセスから守ることができる。
【0043】
カードリーダ11、ロック装置14は、制御ユニット20に接続され、制御される。制御ユニット20すなわち制御手段の制御により、ICカードをカードリーダ11によって読み取り、認証し、解錠できる権限のあることを認識できれば、ロック装置14を解錠する制御を行う。ICカードの固有番号と、そのICカードの権限を予め制御ユニット20に記憶し、ICカードを読み取ったときにデータを比較し、一致すれば正規の権限があると認識し、ロック装置14を制御する。
【0044】
第1硬貨貯留ユニット24あるいは第2硬貨貯留ユニット26の扉を開けようとする者は、ロック装置14と第1ロックまたは第2ロックなどのロックを解錠しなければならい。2種類の異なる種類の鍵が必要となり、不正に開けにくい。また、第1ロック、第2ロック、紙幣入出金ユニット31のロックの鍵を異なものにすれば、全てを解錠するのに時間がかかる。このように、全てのロックを解錠するのに、あるいはそのいくつかのロックを解錠するのに、複数箇所の作業が必要となり、その作業に時間がかかる。その間に警備員などを手配するなど対応を実施することも可能であり、また、監視カメラ15による撮影時間も長くなり、不正者を長時間撮影できるので、人物を特定しやすくなる。
【0045】
このように、第1ロックシステムとして電子的なロックと、第2ロックシステムとしてメカ的な鍵を用いたロックとを使用している。電子的なロックとメカ的なロックの種類の異なる2種類のロックを用いて、不正をしにくくしている。また、外部のロック、すなわちドア3のロックシステムは、内部に配置したロックシステムよりも、解錠しにくいロックを用いる。外部のロックを解錠しにくくして、内部を守る。また、一度開けてしまえば、作業性を良くするために、複雑なロックシステムは好ましくない。また、ドア3内には、他の装置などもあり、それらに対しても、破壊や盗難などから防ぐ必要があり、安全を考えなければならない。そのため、外部に使用するロックを、内部に使用するロックより解錠しにくく、破壊されにくいものを用いるのが好ましい。この様に、不正を低減乃至防止できるので、不正の抑止にもなる。
【0046】
第1硬貨投入ユニット28、第2硬貨投入ユニット30は、両替機1の上部に配置されている。第1硬貨投入ユニット28、第2硬貨投入ユニット30が配置されている高さは、タッチパネル式表示装置12の配置されている高さに大凡等しくしている。タッチパネル式表示装置12は利用者が立位で目視、操作し易い位置なので、上下の中央が地上から110~160cm程度になることが好まし。高い位置に配置された扉まで、重い両替準備金を持ち上げ、投入することになる。そのため、扉の強度を強くし、投入しやすく、また投入した両替準備金が途中で引っ掛かるなどの問題が生じない様にし、投入後に不具合があればメンテナンスし易くする必要がある。上部に配置するのは、両替準備金の補充が、両替機1の運用上の上流処理になるからである。投入する位置を格納する位置よりも高い位置にし、格納する位置を払出す位置よりも高い位置にすることで、下から上にコインを搬送する機構を省くことが可能となり、この様な構成が好まし面がある。また、ここでは、タッチパネル式表示装置12と同等の位置に第1硬貨投入ユニット28、第2硬貨投入ユニット30が配置されている例を説明した。投入口の高さが、入力や表示装置以下であることが好まし。
【0047】
図3は、両替機の側方から見た場合の主要部を説明する図である。
【0048】
第1硬貨貯留ユニット24の上方には、第1硬貨計数ユニット27が配置されている。第1硬貨計数ユニット27の上方には、第1硬貨投入ユニット28が配置されている。
【0049】
第1硬貨投入ユニット28の下部には第1硬貨計数ユニット27に連通している開口部がある。第1硬貨投入ユニット28に硬貨を投入すると、その硬貨はその開口部を通り第1硬貨計数ユニット27に渡される。第1硬貨計数ユニット27が一枚ずつ硬貨を分離し、硬貨落口60から第1硬貨貯留ユニット24に排出される。硬貨落口60は、第1硬貨貯留ユニット24のコインを収納する収納部への硬貨投入口とも言える。硬貨落口60から落とされた硬貨は、第1スライダー部64の斜面を滑り、第1硬貨貯留ユニット24内に貯まる。第1硬貨貯留ユニット24内では、硬貨を第1硬貨払出ユニット23に案内するために、第1硬貨払出ユニット23方向に向かって第1斜面65、第2斜面66を含む傾斜部を設けてある。硬貨は、この傾斜部を伝って、第1硬貨払出ユニット23の貯留容器61に入る。第1斜面65と第2斜面66は対向した位置にあり、その距離は、下側に行くほど、すなわち第1硬貨払出ユニット23に近づくほど漸次距離が狭くなっている。また、第1スライダー部64の斜面の下端部は、第1斜面65、第2斜面66の上端部より高い位置にあり、内部空間を広く使えるようにしている。
【0050】
貯留容器61の最下部に硬貨を一枚ずつ分離する分離部62が配置されている。また、ホッパ本体63には、分離部62を駆動するモータ、モータの駆動回路、硬貨を計数するセンサが配置されている。分離部62によって一枚ずつ分離された硬貨は、第1硬貨通路32へ排出される。第1硬貨通路32へ排出された硬貨は、前述の通り、第1硬貨回収袋35または硬貨払出口7へ排出される。第2硬貨投入ユニット30、第2硬貨計数ユニット29、第2硬貨貯留ユニット26、第2硬貨払出ユニット25の内部についても、これと同様の構成となっている。
【0051】
例えば、第1硬貨投入ユニット28には2,000枚の100円硬貨が、第2硬貨投入ユニット30には500毎の500円硬貨が投入される。投入された硬貨が、途中で詰まらないように第1硬貨計数ユニット27あるいは第2硬貨計数ユニット29に案内する必要がある。
【0052】
第1硬貨貯留ユニット24内には硬貨を収納したときに、第1硬貨払出ユニット23の分離部62にかかる硬貨の重さを分散する第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68が備わる。第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68は、上端を頂点として、両側に傾斜する傾斜面を備える形状である。この第1硬貨貯留ユニット24の内部には10,000枚の100円硬貨が収納できる。10,000枚の100円硬貨が入ると、第1斜面65の上端位までばら積みされる。約48kgの重さがあり、好適な圧力分散機構を備えない場合は、分離部62に多大な負荷がかかり、駆動部で駆動ができないなどの誤動作を引き起こす恐れがある。また、同様に第2硬貨貯留ユニット26にも第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68に相当する圧力緩和バーが備わる。第1硬貨払出ユニット23には2台のコインホッパが備わり、第2硬貨払出ユニット25には1台のコインホッパが備わる。単純に計算すると、第1硬貨払出ユニット23に100円硬貨が10,000枚入った場合に、コインホッパ1台当たり5,000枚の硬貨の圧がかかる。第2硬貨貯留ユニット26では500円硬貨を2,000枚収納し、約14kgの重さとなる。コインホッパが誤動作を生じないように、第1硬貨払出ユニット23と同様の圧力緩和機構を備える。
【0053】
図4は、コインホッパの斜視図である。
図5は、コインホッパの動作を説明する図である。
図4、
図5を用いてコインホッパについて説明する。
【0054】
第1コインホッパ70は、硬貨を1枚ずつ分離し、一枚ずつ払出し、払出した硬貨の枚数を計数することができる。第1コインホッパ70の主要部としてホッパ本体63、分離部62、貯留容器61を備えている。
図5では、貯留容器61やカバー等を外し、硬貨71の移動が分かる様にした状態の図であり、ホッパ本体63の上方から見た図である。
【0055】
第1硬貨払出ユニット23にはコインホッパが2台装着されている。コインホッパは貯留容器61に収納されている硬貨を分離部62で一枚ずつ分離して排出する装置である。この装置の動作について説明する。また、第1硬貨払出ユニット23の他に、第2硬貨払出ユニット25に1台、第1硬貨計数ユニット27に2台、第2硬貨計数ユニット29に1台のコインホッパが用いられ、硬貨を一枚ずつ排出しながら、硬貨の枚数を計数している。
【0056】
貯留容器61は投入された硬貨をばら積みすることができ、最下部であるディスク73に対応した位置に開口を備えている。ホッパ本体63の上面には貯留容器61の最下部を含む部分と分離部を接続するための枠72が備わっている。ホッパ本体63の上面には、硬貨71を一枚ずつ保持する保持開口74が五つ設けられたディスク73と、分離された硬貨71を排出口77に一枚ずつ分けて移動させるホイール76が配置されている。硬貨71は、ディスク73とホイール76の動作に伴いホッパ本体63の上面の保持ベース75上を摺動する。排出口77に移動させたら硬貨71は、計数センサ78によって検出され、制御ユニット20によって計数される。硬貨71はディスク73側からホイール76側に、破線で示された矢印79で示された移動方向に移動する。ピンによって硬貨71を案内して移動させる。
【0057】
貯留容器61の下部にある硬貨71は、ディスク73を反時計回りに回転させることで、1枚ずつ保持開口74に入り、保持ベース75上を摺動する。不図示のピンにより、硬貨71は、破線で示された矢印79で示された移動方向に移動させられ、ディスク73と連動して逆方向に回転するホイール76のアームに拾われて排出口77へ導かれる。ホイール76には5本のアームがあり、ディスク73の保持開口74と連動して回転する。ディスク73、ホイール76は、ホッパ本体63に設けられたモータによって駆動される。動作は制御ユニット20によって制御される。貯留容器61内にばら積みされた硬貨71を一枚ずつ分離し、計数しながら排出することができる。
【0058】
図6は、両替機の硬貨貯留ユニットの主要部の斜視図である。両替機内部に配置された硬貨貯留ユニットと硬貨払出ユニットの斜視図である。
【0059】
仕切板86は一部のみを図示し、奥が見えるように図示されている。本来は塞がり、完全に分離される。第1硬貨貯留ユニット24と第2硬貨貯留ユニット26の間に仕切板86を配置し、投入されている硬貨が混じらないようにしている。仕切板86は投入された硬貨を収納する収納部を構成する側壁でもある。例えば、第1硬貨貯留ユニット24は、硬貨を収納する収納部に100円硬貨を10,000枚収納でき、第2硬貨貯留ユニット26は、硬貨を収納する収納部に500円硬貨を2,000枚収納できる。100円硬貨は10,000枚で約48kg、500円硬貨は2,000枚で約14kgにもなる。第1硬貨払出ユニット23は、第1コインホッパ70と第2コインホッパ88の2台のコインホッパを用いることで、一台当たり24kgとなる。硬貨を収納する収納部は重さに耐えられ、歪みが生じないように十分な強度が必要となる。またコインホッパはこの重量のコインを収納しても正確に硬貨を一枚ずつ分離し排出できる必要がある。コインホッパの台数を増やすことで硬貨の重さによる負荷を分散し、軽減することもできる。しかし、あまり増やすとサイズの大型化、コスト増などデメリットも生じる。
【0060】
第1硬貨貯留ユニット24には、第1スライダー部64、第1斜面65、第2斜面66、第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68が含まれる。第2硬貨貯留ユニット26には、第2スライダー部83、第3斜面81、第4斜面82、第3圧力緩和バー84、第4圧力緩和バー85が含まれる。第1硬貨払出ユニット23は、第1コインホッパ70、第2コインホッパ88が含まれる。第2硬貨払出ユニット25は、第3コインホッパ80が含まれる。第1コインホッパ70、第2コインホッパ88から排出された硬貨は第1硬貨通路32へ送られる。第1硬貨払出ユニット23の第1コインホッパ70と第2コインホッパ88は、複数台列状に、ここでは2台が一列に配置され、第2硬貨払出ユニット25の第3コインホッパ80も含め3台が一列に列状に配置されている。これ列の列方向は、両替機1の幅方向、すなわち第1圧力緩和バー67の長手方向に沿って並んでいる。
【0061】
第1硬貨計数ユニット27から第1スライダー部64に排出された硬貨は滑り落ち、第1圧力緩和バー67または第2圧力緩和バー68に当たり、跳ね飛び、または斜面に沿って移動し、第1斜面65か第2斜面66の方向に落ちる。すなわち、第1スライダー部64によって、硬貨を第1斜面65と第2斜面66の先端間の略中央方向に案内している。硬貨の落ち方は個別に異なるので、どの方向に向かうか正確にはコントロールできるわけではないが、第1スライダー部64によって、第1圧力緩和バー67方向に硬貨を案内するように落とす。このように、第1スライダー部64、第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68の配置することにより、分離部62に硬貨が直接落下することを防止できる。
【0062】
第1斜面65にはリブ87が設けられている。このリブ87は、第1斜面65の中央に配置され、硬貨を第1コインホッパ70側か第2コインホッパ88側のどちらかに移動するように仕切っている。また第2斜面66にこのリブ87に相当するリブが設けられている。また、第1斜面65の強度の向上にも寄与している。硬貨が一方のコインホッパに偏って流れないように、硬貨が滑り落ちるときの整流板としても寄与している。
【0063】
第1硬貨貯留ユニット24に大量の硬貨が収納されると、硬貨の重さでコインホッパが正常に動作しない恐れがある。そこで、コインホッパにかかる重量を減らすため第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68を備えている。
【0064】
第1メンテナンス扉53は、第1斜面65の上端より上側に配置されたヒンジ89に固定され、ヒンジ89によって第1メンテナンス扉53が開閉する。通常の利用時には第1メンテナンス扉53を開けることは無く、不具合が生じた場合に開き、内部の作業を行う。第1メンテナンス扉53が開けられたときに、第1硬貨貯留ユニット24の奥まで容易に作業が出来るようにしている。例えば貯留容器61やディスク73を目視や触ることができる。すなわち、第1メンテナンス扉53を開けた開口部から、貯留容器61まで連通することになる。そのため、あまり複雑な圧力緩和機構を備えると、かえってメンテナンスが困難になる。容易に作業者の手が入るようにスペースを確保する必要がある。また第2メンテナンス扉54についても同様である。
【0065】
第1斜面65、第2斜面66、第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68の両側に板状体が配置され、固定されている。その板状体の一方は仕切板86である。第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68は、両側になる板状体の壁に固定される。そのため、両替準備金が収納される部分の容積が大きくなり、収納される硬貨の重さによる圧にも十分に耐えられる構成でもある。第1斜面65、第2斜面66、板状体で周囲が覆われた部分が硬貨の収納部となる。また、第1斜面65、第2斜面66も板状であり、斜面を硬貨が滑り落ちやすくしている。
【0066】
第2スライダー部83に排出された硬貨は滑り落ち、第3圧力緩和バー84または第4圧力緩和バー85に当たり、第3斜面81か第4斜面82の方向に落ちる。すなわち、第2スライダー部83によって、硬貨を第3斜面81と第4斜面82の先端間の略中央に案内する。第3斜面81あるいは第4斜面82に落ちた硬貨は、滑り落ちて第2硬貨払出ユニット25の第3コインホッパ80へ案内される。
【0067】
第2硬貨貯留ユニット26に大量の硬貨が収納されると、硬貨の重さでコインホッパが正常に動作しない恐れがある。そこで、コインホッパにかかる重量を減らすため第3圧力緩和バー84、第4圧力緩和バー85を備えている。
【0068】
第2メンテナンス扉54は、第3斜面81の上端より上側に配置された不図示のヒンジに固定され、ヒンジによって第2メンテナンス扉54が開閉する。通常の利用時には第2メンテナンス扉54を開けることは無く、不具合が生じた場合に開き、内部の作業を行う。第2メンテナンス扉54が開けられたときに、第2硬貨貯留ユニット26の奥まで容易に作業が出来るようにしている。そのため、あまり複雑な圧力緩和機構を備えると、かえってメンテナンスが困難になる。容易に作業者の手が入るようにスペースを確保する必要がある。第1メンテナンス扉53と同様である。
【0069】
また、第3斜面81、第4斜面82、第3圧力緩和バー84、第4圧力緩和バー85の両側に板状体が配置され、固定されている。その板状体の一方は仕切板86である。第3斜面81、第4斜面82、板状体で周囲が覆われた部分が硬貨の収納部となる。また、第3斜面81、第4斜面82も板状である。
【0070】
図7は、両替機の硬貨貯留ユニットを側方から見た場合の主要部の概要を説明する図である。第1硬貨貯留ユニット24側から見た硬貨貯留ユニットの要部の断面図である。
【0071】
第1硬貨計数ユニット27から排出された硬貨は、硬貨落口60から第1硬貨貯留ユニット24に落とされる。第1硬貨貯留ユニット24には、第1スライダー部64が設けられ、硬貨落口60から落ちた硬貨は、これを滑り落ちることになる。また第1硬貨貯留ユニット24の下方には、2台のコインホッパが配置されている。図ではその内の1の第1コインホッパ70が図示され、その奥に第2コインホッパ88が配置されている。貯留容器61に、第1硬貨貯留ユニット24内の硬貨を案内するため、第1斜面65および第2斜面66が貯留容器61の開口方向に向けられている。奥行き方向についても側面が貯留容器61の開口に向けられている。硬貨落口60は、第1硬貨貯留ユニット24にとっては、コイン投入口とも言える。
【0072】
第1硬貨貯留ユニット24には、例えば100円硬貨が10,000枚貯留される。おおよそ48kgになる。10,000枚の100円硬貨は、ばら積みされてならされたときに一点鎖線で示されたフルライン92程度にまで積まれる。第1メンテナンス扉53はこのフルライン92より上方に配置され、開けたときにこぼれ落ちないようにしている。
【0073】
硬貨が第1硬貨貯留ユニット24に無い場合は、硬貨落口60から落とされた硬貨は第1スライダー部64を滑り落ち、第1圧力緩和バー67あるいは第2圧力緩和バー68方向に落下する。第1圧力緩和バー67あるいは第2圧力緩和バー68に当接した硬貨は、跳ね返り、あるいは滑り落ち、第1斜面65、第2斜面66に落ち、貯留容器61の貯留容器底面90に向けて案内される。また、貯留容器61に直接落ちる硬貨もある。場合により、第1圧力緩和バー67あるいは第2圧力緩和バー68に当接しないで落下する場合もある。
【0074】
貯留容器底面90は、傾斜しており、貯留容器61の最下部へ硬貨を案内する。最下部には貯留容器開口部91が配置され、分離部62のディスク73が開口に対向し配置されている。すなわち、この開口にディスク73が臨んでいる。このディスク73の回転が、硬貨の重みで、阻害されることを防止する必要がある。
【0075】
破線で示している斜面終端ライン93は、第2斜面66の終端の鉛直方向に沿った位置を破線で示している。
【0076】
破線で示している圧力緩和バー終端ライン94、第1圧力緩和バー67の斜面終端ライン93に近い側の終端の鉛直方向に沿った位置を破線で示している。
【0077】
破線で示しているスライダー部終端ライン95は、第1スライダー部64の終端の鉛直方向に沿った位置を破線で示している。
【0078】
第1圧力緩和バー67と第2圧力緩和バー68の2本を、水平方向にずらして鉛直方向に配置している。このとき、フルライン92より下方に配置される。また圧力緩和バー終端ライン94に第2圧力緩和バー68の端部が重ならない。第2圧力緩和バー68の第1斜面65側の端部は、スライダー部終端ライン95と略同一の位置にある。すなわち、第1圧力緩和バー67と第2圧力緩和バー68は、斜面終端ライン93とスライダー部終端ライン95の間にあり、貯留容器底面90の真上方に配置されている。すなわち、第1圧力緩和バー67と第2圧力緩和バー68の鉛直方向に貯留容器底面90が配置されている。
【0079】
貯留容器61の上方は開口されている。貯留容器61を上方から見た場合に、ディスク73が臨む貯留容器開口部91の部分と、そこへ硬貨を案内する貯留容器底面90の部分に分けることが出来る。硬貨を多く収納するために、第1スライダー部64から貯留容器開口部91は距離が離れている。そのため、第1スライダー部64から落ちた硬貨がディスク73に直接、または保持ベース75に直接当たることを防止する必要がある。勢いよく数多くの硬貨が当たった場合に、傷や回転阻害など予期せぬ不具合を生じる可能性があるためである。第2斜面66の縁と貯留容器底面90の縁は斜面終端ライン93と略同一の位置にあり、上方から見た場合に、第2斜面66によって覆われ、直接当たることを防止している。
【0080】
第1圧力緩和バー67と第2圧力緩和バー68の2本を用いているが、1本でも代替が可能である。しかし、1本にする場合は、サイズを大きくする必要がある。また、サイズが大きくなれば、第1メンテナンス扉53を開けてメンテナンスするときに、影になる部分が多くなり邪魔になる恐れがある。サイズの小さな第1圧力緩和バー67と第2圧力緩和バー68の2本を用いることで、メンテナンスをし易くしている。
【0081】
第1圧力緩和バー67と第2圧力緩和バー68の2本を、水平方向にずらすことで水平方向の面積を大きくし、更に上下に配置することでばら積みされる硬貨の鉛直方向の各所で硬貨を支え、ディスク73にかかる圧力を緩和することが出来る。第2圧力緩和バー68を第1斜面65側に配置する。圧力緩和以外にも、落下するコインのクッションとしても機能するので、第2斜面66側だと、第1圧力緩和バー67によって第1スライダー部64から滑り落ちたコインが、当たらないことが多く発生するからである。
【0082】
第1圧力緩和バー67と第2圧力緩和バー68は、第1硬貨貯留ユニット24の硬貨を貯留する部分の
図7の紙面奥行き方向の側板間に固定されるので、容器の強度の向上にも寄与する。
【0083】
第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68、第1スライダー部64、第1斜面65、第2斜面66の各面は、水平方向に対して略45度の角度で固定されている。好ましくは水平方向に対して45度プラスマイナス15度の範囲である。さらに好ましくはプラスマイナス5度の範囲である。硬貨を滑り落ちやすくしなければならず、緩い角度にしすぎると硬貨が摩擦で留まってしまう恐れがあり、急すぎれば、ディスク73にかかる圧力が高くなりすぎてしまう。
【0084】
また、貯留容器底面90の水平方向に対する角度を、第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68、第1スライダー部64、第1斜面65、第2斜面66の各面の水平方向に対する角度より緩やか、すなわち小さい角度にしている。第1硬貨貯留ユニット24と貯留容器内61内の硬貨を貯留容器開口部91へ案内する場合に、貯留容器開口部91方向にかかるよりも貯留容器底面90にかかる圧が大きくなるようにしている。硬貨の重さによる圧力を緩和することで、ディスク73の回転阻害を防止できる。
【0085】
例えば、第1圧力緩和バー67を1枚のみ使用する場合は、貯留容器61と第1圧力緩和バー67間の距離が大きくなる。第1斜面65側の硬貨によって、ディスク73方向に向かい大きな負荷を掛けることになり、最悪の場合にはディスク73の回転が阻害されて動かない現象が発生する。ディスク73を回転させ量とすると、より大出力のモータが必要となり、高性能の磁石を使ったり、電流を多く流したりなど、サイズやコストなどでデメリットを生じる。第2圧力緩和バー68を設けることで、圧力を更に分散し、ディスク73にかかる力を減らすことができる。
【0086】
また、第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68の斜面の長さを短くして面積を小さくすると、受ける負荷が小さくなり、好適に圧力を分散することが出来なくなる。好ましくは、投入する硬貨の直径よりも幅広くする。また、斜面を長くすれば、ディスク73にダイレクトに硬貨が流れない様にでき、負荷を減らすことができるが、第1メンテナンス扉53を開けてのメンテナンス性が悪くなってしまう。好ましくは、投入する硬貨の直径の3倍よりも幅を狭くする。ただし、圧力緩和板が1枚だとディスクへの負荷の軽減が足りない恐れがあるので、2枚上設けることが好ましい。多く設ければそれだけディスク73への負荷を小さく出来るが、メンテナンス性が悪くなる。また、第1圧力緩和バー67と第2圧力緩和バー68の幅は、上方から見た場合に、貯留容器底面90を全て隠すことがない幅であることが好ましい。あまり幅を広くするとメンテナンス時に障害となりやすい。
【0087】
第1斜面65、第2斜面66と同様の斜面を更に多く設けたり、第1斜面65、第2斜面66の長さを長くしたりすればディスク73への負荷を小さくできる。しかし、第1メンテナンス扉53を開けてメンテナンスをするときに、手や道具を入れにくくなり、メンテナンス性が悪くなる。負荷は無論であるが、メンテナンス性も考慮する必要がある。第1斜面65と第2斜面66の間に適当な間隔を設け、その上方に圧力を緩和する板を設けることが好ましい。好適に負荷を小さく出来れば、駆動部を小型化できる。
【0088】
第1斜面65の最下部の縁より、第2斜面66の最下部の縁の方が低い位置にある。第1メンテナンス扉53を開け、貯留容器開口部91にアクセスできるようにしている。第1斜面65の裏側には硬貨が入らない構造となっている。
【0089】
図8は、圧力緩和バーを説明する図である。硬貨の収納部において硬貨の重さによる圧を分散し、一カ所にかかる圧を緩和する圧力緩和手段である第1圧力緩和バー67、第2圧力緩和バー68は同形状のものを用いている。また第3圧力緩和バー84、第4圧力緩和バー85は第1圧力緩和バー67の長手方向の寸法を短くした形状である。ここでは第1圧力緩和バー67を説明する。頂部99を中心に両側に折り曲げ、両側に傾斜面を設ける。さらに、斜面部96の端を折り曲げ、折り曲げ部98を設ける。折り曲げ部98、頂部99を設けることで第1圧力緩和バー67の強度が増す。第1圧力緩和バー67の長手方向の両端部の一部を突出させ、さらに曲げることで取り付け部97が設けられている。取り付け部97の中心にはネジ孔が設けられ、ネジにより取り付けることができる。一枚の板を折り曲げて、互いに直交する2面を水平方向に対して45度の角度で配置することで、ばら積みされた硬貨の一部を支持する構成となっている。
【0090】
また、圧力緩和手段として、この様な形状にこだわるわけではなく、好適に圧力を緩和できれば形状にはこだわらない。例えば、円柱状あるいは楕円柱状の形状であってもよい。1回の折曲げでは無く複数回折り曲げた形状であっても良い。メンテナンス性を考えた場合に、裏側にアクセスし易いように単純な形状のほうが好ましい。
【符号の説明】
【0091】
1 両替機
2 筐体
3 ドア
4 転倒防止板
5 取手
6 硬貨入金口
7 硬貨払出口
8 返却レバー
9 紙幣入金口
10 紙幣払出口
11 カードリーダ
12 タッチパネル式表示装置
13 スピーカ13
14 ロック装置
15 監視カメラ
16 ヒンジ
20 制御ユニット
21 ユニット入力スイッチ
22 ユニット表示装置
23 第1硬貨払出ユニット
24 第1硬貨貯留ユニット
25 第2硬貨払出ユニット
26 第2硬貨貯留ユニット
27 第1硬貨計数ユニット
28 第1硬貨投入ユニット
29 第2硬貨計数ユニット
30 第2硬貨投入ユニット
31 紙幣入出金ユニット
32 第1硬貨通路
33 第1硬貨振分ユニット
34 第1硬貨回収通路
35 第1硬貨回収袋
36 第1硬貨排出開口部
37 第1硬貨受け口
38 第2硬貨通路
39 第2硬貨振分ユニット
40 第2硬貨回収通路
41 第2硬貨回収袋
42 第2硬貨排出開口部
43 第2硬貨受け口
44 紙幣入出開口
45 硬貨入金通路
46 硬貨識別ユニット
47 硬貨返却通路
48 硬貨入金振分ユニット
49 第1硬貨ドア金庫
50 第2硬貨ドア金庫
51 硬貨返却ユニット
52 電源ユニット
53 第1メンテナンス扉
54 第2メンテナンス扉
60 硬貨落口
61 貯留容器
62 分離部
63 ホッパ本体
64 第1スライダー部
65 第1斜面
66 第2斜面
67 第1圧力緩和バー
68 第2圧力緩和バー
70 第1コインホッパ
71 硬貨
72 枠
73 ディスク
74 保持開口
75 保持ベース
76 ホイール
77 排出口
78 計数センサ
79 移動方向を示す矢印
80 第3コインホッパ
81 第3斜面
82 第4斜面
83 第2スライダー部
84 第3圧力緩和バー
85 第4圧力緩和バー
86 仕切板
87 リブ
88 第2コインホッパ
89 ヒンジ
90 貯留容器底面
91 貯留容器開口部
92 フルライン
93 斜面終端ライン
94 圧力緩和バー終端ライン
95 スライダー部終端ライン
96 斜面部
97 取り付け部
98 折り曲げ部
99 頂部