(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】睡眠改善・記憶力向上のための組成物及びその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/36 20150101AFI20221115BHJP
A61K 36/74 20060101ALI20221115BHJP
A61K 36/906 20060101ALI20221115BHJP
A61K 36/484 20060101ALI20221115BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20221115BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221115BHJP
A61K 36/725 20060101ALI20221115BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20221115BHJP
A61K 36/8967 20060101ALI20221115BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20221115BHJP
A61K 38/01 20060101ALI20221115BHJP
A61K 31/7012 20060101ALI20221115BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20221115BHJP
A61K 31/685 20060101ALI20221115BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20221115BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20221115BHJP
【FI】
A61K35/36
A61K36/74
A61K36/906
A61K36/484
A61P25/20
A61P25/28
A61K36/725
A61K36/185
A61K36/8967
A61K31/198
A61K38/01
A61K31/7012
A61K31/4415
A61K31/685
A23L33/105
A23L33/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021133376
(22)【出願日】2021-08-18
【審査請求日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】202110851643.7
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508143513
【氏名又は名称】和漢シンカ研究所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 権
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107737319(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102845749(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106135914(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113197304(CN,A)
【文献】和漢メディカホームページ サプリメント一覧 ねむリラ, 和漢メディカ, [retrieved on 2022.04.21], retrieved from the internet: <URL: https://wakan-medica.jp/nemurira/nemurira30.html>,https://wakan-medica.jp/nemurira/nemurira30.html
【文献】J. Ethnopharmacology, 2021.03, Vol.267, Article No.113491, pp.1-11
【文献】J. Ethnopharmacology, 2017, Vol.196, pp.225-235
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00-35/768
A61K 36/00-36/9068
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
日経テレコン
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梔子粉14~18部、乾姜粉7~11部、甘草7~11部を取り、粉砕し、重量で5~9倍量の水を加え、80~100℃の水温で0.5~3時間抽出し、ろ過して抽出液を得、上記の抽出を2~4回繰り返し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮して流エキスを得、得られた流エキスを熱いうちに鹿皮膠20~30部と均一に混合し、乾燥させ、抽出物を得るステップを含むことを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法。
【請求項2】
梔子粉14~18部、乾姜粉7~11部、甘草7~11部を取り、粉砕し、それぞれ重量で5~9倍量の水を加え、80~100℃の水温で0.5~3時間抽出し、ろ過して抽出液を得、上記の抽出を2~4回繰り返し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮して流エキスを得、得られた梔子粉の流エキス、乾姜粉の流エキス、甘草の流エキスを真空乾燥又は噴霧乾燥させ、得られた梔子粉の流エキス乾燥粉末、乾姜粉の流エキス乾燥粉末及び甘草の流エキス乾燥粉末を、鹿皮膠20~30部と混合し、粉砕し、篩にかけて、均一に混合し、抽出物を得るステップを含むことを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法。
【請求項3】
梔子粉14~16部、乾姜粉8~10部、甘草8~10部を取り、粉砕し、重量で5~9倍量の水を加え、80~100℃の水温で0.5~3時間抽出し、ろ過して抽出液を得、上記の抽出を2~4回繰り返し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮して流エキスを得、得られた流エキスを熱いうちに鹿皮膠26~30部と均一に混合し、乾燥させ、抽出物を得るステップを含むことを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法。
【請求項4】
梔子粉14~16部、乾姜粉8~10部、甘草8~10部を取り、粉砕し、それぞれ重量で5~9倍量の水を加え、80~100℃の水温で0.5~3時間抽出し、ろ過して抽出液を得、上記の抽出を2~4回繰り返し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮して流エキスを得、得られた梔子粉の流エキス、乾姜粉の流エキス、甘草の流エキスを真空乾燥又は噴霧乾燥させ、得られた梔子粉の流エキス乾燥粉末、乾姜粉の流エキス乾燥粉末及び甘草の流エキス乾燥粉末を、鹿皮膠26~30部と混合し、粉砕し、篩にかけて、均一に混合し、抽出物を得るステップを含むことを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法。
【請求項5】
梔子粉15部、乾姜粉9部、甘草9部を取り、粉砕し、重量で5~9倍量の水を加え、80~100℃の水温で0.5~3時間抽出し、ろ過して抽出液を得、上記の抽出を2~4回繰り返し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮して流エキスを得、得られた流エキスを熱いうちに鹿皮膠28部と均一に混合し、乾燥させ、抽出物を得るステップを含むことを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法。
【請求項6】
梔子粉15部、乾姜粉9部、甘草9部を取り、粉砕し、それぞれ重量で5~9倍量の水を加え、80~100℃の水温で0.5~3時間抽出し、ろ過して抽出液を得、上記の抽出を2~4回繰り返し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮して流エキスを得、得られた梔子粉の流エキス、乾姜粉の流エキス、甘草の流エキスを真空乾燥又は噴霧乾燥させ、得られた梔子粉の流エキス乾燥粉末、乾姜粉の流エキス乾燥粉末及び甘草の流エキス乾燥粉末を、鹿皮膠28部と混合し、粉砕し、篩にかけて、均一に混合し、抽出物を得るステップを含むことを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法
に、さらに、酸棗仁、蓮子、百合の少なくとも一種の漢方薬成分を加えることを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法
に、さらに、テアニン、カゼイン酵素分解物、N-アセチルノイラミン酸、ビタミンB6、及びホスファチジルセリンから選択される成分の少なくとも一種を加えることを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法
に、さらに、薬学的に許容できる補助材料を加えて睡眠改善・記憶力向上のための薬物製剤を調製する方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の睡眠改善・記憶力向上のための組成物の調製方法
に、さらに、食用可能な補助材料を加えて機能性食品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠改善・記憶力向上のための組成物及びその調製方法と応用に関し、特に、鹿皮膠、梔子を主成分とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物及びその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の都市の速いペースでの生活、及び仕事、家庭、生活からのプレッシャーに伴い、多くの人が、深夜に眠りにくい、夢を見すぎて目が覚めやすい、睡眠の質が低いといった一連の問題を抱えている。世界保健機関(WHO)及び中国医師協会睡眠医学専門委員会が公表したデータによると、世界では約27%の人が睡眠に悩み、そのうち成人の60%以上が睡眠問題を抱えているが、中国では睡眠問題がある人は24.6%を占め、そのうち成人が57%に達し、さらに94.1%の住民は睡眠が良いレベルとギャップがあることを感じている。不眠症の主な原因は、順に、気分のむら、生活のストレス、仕事のストレスであり、若い世代ほど、感情、ストレス、情緒などの自己原因で不眠になりやすい。2018年中国睡眠研究会が発表した「中国睡眠診療現状調査報告」及び「2018中国インターネットユーザー睡眠白書」のデータによると、重度の不眠患者の6割以上は90年代以降生まれで、子供やティーンエイジャーも大きな割合を占めており、睡眠問題は全年齢の健康問題となっている。
【0003】
短期的な不眠は、やせ細り、老衰を加速するが、重度の場合、疲労やめまい、記憶力の低下、パニックや発汗、気分の変化などの一連の病的反応を引き起こし、最終的には脳内の興奮と抑制の正常なリズムが乱れて、神経衰弱などの神経機能性障害を引き起こす可能性がある。
【0004】
西洋医学では、睡眠を改善するために、ベンゾジアゼピン、バルビツール、メラトニン受容体アゴニスト、抗ヒスタミン薬などの鎮静催眠薬がよく使われ、これらの薬物は、即効性がある反面、副作用をもたらすこともあり、ほとんどすべての前記睡眠薬を長時間使用した場合、耐受性と依頼性が生じる。突然薬を中止すると、薬の要望、怒りやすい、不眠、体の震え、発汗、心拍の上昇などの症状が現れる。催眠鎮静剤を長時間使用した場合、使用後に、翌朝のめまい、倦怠感、元気のなさ、眠気などの継続効果があることが多い。心理テストでは、患者の翌日の反応速度が著しく低下し、本人がその損害の存在を自覚していないため、事故を起こりやすいことが表明された。西洋の催眠薬は、子供には知能への副作用があるので使用してはいけない。高齢患者には、薬を使用後に意識が錯乱する恐れがあるので、慎重に使用すべきである。授乳中の方や妊婦にはさらに適していない。これらの理由から、より安全な睡眠改善薬の開発が強く求められている。
【0005】
中国の伝統医学理論では、不眠の特徴によって、心火旺タイプの不眠症には、朱砂安神丸で治療し、肝火上炎タイプの不眠症には、竜胆瀉肝湯で治療し、痰熱内擾タイプの不眠症には、温胆湯で治療し、陰虚火旺タイプの不眠症には、六味丸合黄連阿膠湯で治療し、心脾両虚タイプの不眠症には、帰脾湯で治療し、肝鬱血虚タイプの不眠症には、安神定志丸合酸棗仁湯で治療する。市場で有望視されているため、伝統的な漢方薬に基づく安神催眠類組成物が多く研究され、中国で不眠症治療によく用いられる多くの薬品、例えば、以下の表1に示すような製品が臨床使用されている。
【0006】
【0007】
また、従来特許技術でも、睡眠補助効果のある漢方薬組成物が多く開示され、例えばZL201210344369.5「睡眠改善および記憶力補助改善の効果を有する保健組成物」では、何首烏、益智仁、酸棗仁、高麗人参、紅景天、五味子を原料とする漢方薬処方の睡眠と記憶力を補助改善する保健組成物が開示され、上記の漢方薬成分は、患者の睡眠補助用西洋薬の長期間使用による薬を止めにくい、めまい、リバウンドしやすいなどの副作用を緩和した。
【0008】
しかし、これらの中成薬も、長期的に服用すれば効果が低下する耐薬性問題がある。さらに重要なことは、上記の一般的な漢方薬において、多くの薬物にはある程度微毒性成分(例えば、何首烏、朱砂など)が含まれ、長期的に服用する場合、一定の安全性リスクもある。
【0009】
そのため、薬食同源の睡眠補助漢方薬は常に研究の焦点となっている。例えば、中国特許CN201710229655.X「睡眠改善補助の漢方薬組成物及びその調製方法と応用」では、核桃仁、酸棗仁、丹参、刺五加、夜交藤、黄耆、蓮子、棗、クコ、ゴマ、ブドウ皮、梅、山査子を原料とする組成物が開示され、マウスのバルビタールナトリウムの睡眠時間を補助延長し、マウスのバルビタールナトリウムの睡眠潜時を有意に短縮できるが、動物の睡眠を直接誘発することはできない。中国特許201310685106.5「睡眠補助食品、保健品又は薬物組成物及びその調製方法と応用」では、百合、棗、茯苓、益智仁を原料とする睡眠補助組成物が開示され、中国特許201410472944.9「睡眠補助食品、保健品又は薬物組成物」では、梔子、百合、茯苓、益智仁、牡蠣、蓮子を原料とする睡眠補助用組成物が開示されている。しかし、これらの組成物の睡眠補助効果は顕著ではなく、効果的に確実な、安全性が納得できる薬食同源の睡眠改善組成物の開発が求められている。
【0010】
記憶は、人間の中枢神経系の高次機能であり、脳の最も基本的で最も重要な高次神経機能の一つであり、人間の知能発育を評価する重要な指標である。記憶は、心理過程であり、人々が経験したことや起こったことに対する印象であり、加工保存により脳に保存され、必要な時に抽出して思い出せる。成人の記憶は加齢とともに変化し、これは生理的な変化であり、記憶の正常な老化である。記憶力の低下は、臨床的に40~60歳の年齢層では最も多く見られる。その主な誘発要因は、加齢、身体全体の衰え、認知症の初期症状、脳の過労などである。また、記憶は体の健康状態とも関係し、例えば、脳腫瘍、糖尿病、アルコール中毒、甲状腺機能低下、神経性梅毒などの病気は記憶力の低下を引き起こす可能性がある。有名な漢方専門家は多くの研究を行った結果、記憶力の減退は、漢方の「健忘」、「喜忘」、「多忘」、「好忘」などの範囲に入ることが分かり、古代中国医学では、善忘と喜忘は、思慮過度、脳不全によると考えられ、心臓と腎臓を滋養することが好適である。主に、「人の神は心に宅し、心の精は腎臓に依る」、脳は元神の府、精髄の海で、実に記性の凭るところである。不眠は記憶力低下の非常に重要な原因であり、睡眠を改善する薬物は記憶力向上にもかなり効果がある可能性が高く、漢方薬から学習記憶機能を有する製品の開発は期待されている。不眠を治療するための有効成分は、学習記憶を改善する機能もあれば、患者の適応性を高める上で非常に有利であり、市場としても期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、長期使用に適し、不眠症を治療又は改善する需要に応えるために、薬食同源の理論に基づく、効果が確実な、安全性が納得できる睡眠を改善する組成物を開発することにある。もう一方、学習記憶機能を改善する組成物の開発も期待されている。
【0012】
本発明の発明者は、研究を重ねた結果、保健用食品、機能性食品又は薬品に用いられる、東洋医学の清養理論を原則とする安神睡眠補助組成物を開発した。本発明は薬食同源の天然原料を配合してなる組成物である。
【0013】
具体的に、鹿皮膠20~30部、梔子粉14~18部、乾姜粉7~11部、甘草7~11部からなる原料薬から調製されることを特徴とする睡眠改善・記憶力向上のための組成物である。
本発明の上記の原料組成は、表1の一般的な中成薬成分とは大きくなり、その処方は発明者が東洋医学の「清養」理論に基づいて研究して確定した処方である。
東洋医学の「清」とは、鎮静と睡眠補助により、体内の睡眠を影響する有害物質要素を除去し、梔子を君薬とする。
【0014】
梔子は、あかね科植物梔子Gardenia jasminoides Ellisの成熟した果実であり、果実が熟したときに摘み取り、茎や不純物を取り除いて、天日干し又は乾燥させたものである。梔子の果実は伝統的な漢方薬であり、性味が苦、寒性であり、心、肺、三焦経に作用する。効能は、瀉火除煩、清熱利湿、涼血解毒であり、中華人民共和国衛生部が公表した薬食両用資源の第一陣であり、肝臓保護、胆汁促進、血圧降下、鎮静、止血、腫れの軽減などの作用を持つ。漢方臨床では、黄疸性肝炎、捻挫、高血圧、糖尿病などの治療によく使われている。本発明者は、梔子を本発明の組成物の主成分として睡眠補助の役割を果たす原因が、肝臓、心臓、腎臓の熱気を取り除き、イライラ、憂鬱な状態を和らげることで、眠りの浅い人に覚醒しやすい状況を改善することができることであることを発見し、漢方理論によれば、気分が落ち込むストレス型の不眠症患者に特に適している。
漢方の「養」の原則は、補中益気により、主に五臓を調理し、本発明において主に鹿皮膠を君薬とする。
【0015】
鹿皮膠はニホンジカ(Cervus nippon)又はマゲジカ(Cervus elaphus)の皮を材料とし、煮詰める加工により調合され、「北京市漢方薬炮製規範」によれば、鹿皮膠は塩味で、温性であり、肝臓、腎臓に作用し、主な効能は補中益気、強精、強筋骨であり、衰弱やせ細り、腰痛耳鳴、めまい、虚損で慢性の咳、痰に血がまじる、気喘気短、女性の月経不調、崩漏帯下に用いられ、筋骨を強化し、虚損や亜健康に良い滋養効果があり、また、やや性温であるため、補陽だけではなく、気血を補養し止血することもできる。そして、鹿皮膠は様々なアミノ酸と微量元素を豊富に含んでおり、それ自体も非常に優れた天然サプリメントである。本発明者は、鹿皮膠と梔子を合わせて処方することで、本発明の組成物の主成分として睡眠補助の作用を果たせることを発見した。
また、本発明において、東洋医学の「清養」の理論を原則とすること以外、梔子と鹿皮膠を「君薬」とし、この2つの薬は本発明の核心薬味である。
【0016】
発明者は、「清養」の伝統的な古典処方である「黄連阿膠湯」、「梔子乾姜湯」、「甘草瀉心湯」などのいくつかの煎じ薬を参照し、乾姜、甘草を組み合わせることで、治療効果を増強し、治療範囲を拡大し、様々なタイプの不眠症患者に適応し、睡眠不足による記憶力減退の改善にも有利である。この配合は以下の通りである。
【0017】
乾姜:ショウガ科植物ショウガZingiber oj-jicinale Rosc.の乾燥根茎である。冬に収穫し、周皮と泥を去り、天日干し又は低温乾燥させる。性味:辛、温。帰経:脾、胃、心、腎、肺。効能:温中散寒、回陽通脈、温肺化痰。辛温解表薬である。
【0018】
甘草:マメ科植物甘草Glycyrrhiza uralensis Fisch.、脹果甘草Glycyrrhiza inflata Bat.又はスペイン甘草Glycyrrhiza glabra L.の乾燥根と根茎である。秋に収穫し、濡れているうちに根元、房、枝、周皮などを去り、乾燥した場所で風乾する。性味:平、甘。帰経:心、胃、脾、肺。効能:補脾益気、潤肺止咳、緩和止痛、調和薬性。補虚薬に分類される補気薬である。
乾姜と甘草はいずれも健脾和胃、益気和中できる。
【0019】
上記の薬物原料は、いずれも一般的な漢方薬であり、市場から容易に入手できる。本発明の組成物の原料は、いずれも薬食同源の原料であり、薬物の間の組み合わせは「相悪、相反者」がないため、現市場の一般的な中枢神経抑制類の薬物に比べて、副作用と副反応がほとんどない。伝統的な漢方薬複方に比べて、より温和で安全であり、適用範囲が広い。
【0020】
本発明の組成物の各原料薬剤の重量比は、鹿皮膠20~30部、梔子粉14~18部、乾姜粉7~11部、甘草7~11部であり、鹿皮膠23~30部、梔子粉14~17部、乾姜粉7~10部、甘草7~10部であることがより好ましく、鹿皮膠26~30部、梔子粉14~16部、乾姜粉8~10部、甘草8~10部であることがさらに好ましい。
典型的な本発明の組成物の各原料の配合比として、鹿皮膠28部、梔子粉15部、乾姜粉9部、甘草9部の配合が挙げられる。
本発明の組み合わせには、さらに他の漢方薬睡眠補助成分、例えば、酸棗仁、蓮子、百合などを添加してもよいが、これらは必須ではない。
【0021】
本発明の睡眠改善・記憶改善のための漢方薬組成物は、従来の睡眠補助用、神経滋養類の他の食品添加成分、例えば、効果が公認されているγ-アミノ酪酸(GABA)、テアニン、カゼイン酵素分解物、N-アセチルノイラミン酸、ビタミンB6、及びホスファチジルセリンから選択される成分と併用できるが、これらの物質に限定されるものではなく、他の様々な睡眠補助物質であってもよい。
γ-アミノ酪酸(GABA)は、哺乳類の中枢神経系における重要な抑制性神経伝達物質であることがよく知られており、約30%の中枢神経の突出部位はGABAを伝達物質として使用する。十分なGABAは、鎮静安神、神経をリラックスさせる効果がある。L-トリプトファンは精神安定剤として、精神のリズムを調節し、睡眠を改善し、この2つのアミノ酸は「甘睡アミノ酸」と呼ばれている。ビタミンB6は、特定な神経媒体の合成に関与し、脳部機能の正常に必須な物質であり、抗ストレスビタミンでもある。テアニンは、脳興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸とその受容体の結合を阻害し、GABAの分泌を促進し、神経を落ち着かせ、不安を和らげ、鎮静安神の役割を果たし、睡眠率を加速し、睡眠の質を高めることができる。N-アセチルノイラミン酸は、脳の発育を促進し、脳内でガングリオシドを仲介する役割を果たし、実験より、それはラットの行動を変化させ、記憶力を向上させることができることを証明し、母乳で育てた乳児と粉ミルクで育てた乳児の間を比較したところ、前頭皮質の灰白質におけるガングリオシドタンパク質とN-アセチルノイラミン酸が結合する濃度はそれぞれ32%と22%であり、N-アセチルノイラミン酸はシナプスの形成を増やし、神経発育を促進することができることを示す。カゼイン酵素分解物は、チロシン、アルギニン、トリプトファンを含み、その中の特殊なalpha-sl-チロシンは、リラックス効果があり、感情を和らげ、睡眠を補助し、不安を解消する効果があると公認されている。ホスファチジルセリンは、細胞膜の活性物質であり、特に脳細胞に存在し、その機能は主に神経細胞の機能の改善、神経パルスの伝導の調節、脳の記憶機能の向上であり、強い親油性があるため、吸収後に速やかに血液脳関門を通って脳に入ることができ、大脳皮質における神経伝達物質であるアセチルコリンの産生を増加させることもでき、アセチルコリンは、思考、推理、集中力に関連しているため、脳機能向上、集中力や記憶力向上の効果がある。
【0022】
本発明において、効果の向上と安全性を考慮し、より優れた不眠症を治療改善する効果を得るために、本発明の睡眠改善の漢方薬組成物が、γ-アミノ酪酸、テアニン、カゼイン酵素分解物、N-アセチルノイラミン酸、ビタミンB6及びホスファチジルセリンから選ばれる睡眠補助成分の少なくとも一種を配合することが好ましい。ここで、γ-アミノ酪酸、テアニン、L-トリプトファン、ビタミンB6は、いずれも食品グレードの安全成分であり、補助睡眠効果又は神経滋養効果を有することが公認され、副作用がないため、本発明の組成物と併用することが好ましく、これにより組成物全体が食品グレードの安全要求を満たし、長期に使用できる。
【0023】
本発明では、本発明の前記組成物は主な成分であり、上記の他の助眠成分を補助成分として加えることが好ましい。
本発明の組成物の原料薬材は、いずれも直接食用可能な食品であり、直接原料を粉末に研磨して食用してもよいが、加工してより食用しやすい抽出物を得ることが好ましい。本発明の組成物の抽出物の調製方法は特に限定されず、公知の方法を使用でき、例えば、上記の重量比の原料を粉砕して直接食用してもよく、水抽出/エタノール抽出して乾燥後にその抽出物を使用してもよい。溶解性のより高い有機溶剤、例えば、トリクロロメタン、ジクロロメタン、酢酸エチルなどで抽出することも可能であるが、有機溶剤残留による食品安全性問題があるため好ましくない。
【0024】
本発明の好ましい調製方法として、上記の重量比の原料を水で煎じてから水煎液を得、さらに濃縮して抽出物を本発明の漢方薬組成物として得ることが好ましい。代表的な本発明の漢方薬組成物の調製方法は、梔子粉14~18部、乾姜粉7~11部、甘草7~11部を取り、重量で6~8倍量の水を加え、80~100℃の水温で0.5~3時間抽出し、数回(例えば2~4回)繰り返し抽出し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮、乾燥させ、鹿皮膠20~30部と均一に混合し、本発明の漢方薬組成物の流エキスを得る。ここでの乾燥は任意の常例的な方法を使用でき、できるだけ有効成分を破壊しない観点から、熱履歴の短い又は高温履歴の少ない乾燥方法、例えば真空乾燥、冷凍乾燥が好ましく、コストや設備の入手のしやすい観点から、低温(例えば40~70℃)のヒーター(例えばオーブン)で1~3日間乾燥する方法を使用できる。
【0025】
工業的に、本発明の組成物の原料は、次の製剤工程のために、上記の本発明の漢方薬組成物の流エキスを乾燥粒子に調製することが好ましく、造粒の好ましい条件は、上記の漢方薬組成物の流エキスを水に溶解した後に噴霧造粒し、材料の温度を45~55℃、ファンの周波数を20~35HZ、噴霧圧力を0.2~0.3Mpaにし、粒子を40~100メッシュに制御し、本発明の漢方薬組成物の粒子原料を得る。直接錠剤に圧縮するかカプセルに充填してもよい。
【0026】
乾燥粉末を得るために、以下の調製方法が考えられる。梔子粉14~18部、乾姜粉7~11部、甘草7~11部を粉砕し、それぞれ5~9重量倍の水を加え、80~100℃の水温で0.5~3時間抽出し、ろ過して抽出液を得て、上記の抽出を2~4回繰り返し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮して流エキスが得られ、得られた梔子粉の流エキス、乾姜粉の流エキス、甘草の流エキスを真空乾燥又は噴霧乾燥させ、得られた梔子粉の流エキスの乾燥粉末、乾姜粉の流エキス乾燥粉末及び甘草の流エキス乾燥粉末を、鹿皮膠20~30部と混合し、粉砕し、篩にかけて均一に混合し、抽出物を得る。
【0027】
上記の抽出調製方法は単に例示であり、従来の抽出分離方法で得られた本発明の抽出物は、いずれも効果の類似する混合物を得ることができる。上記の抽出方法では、有機溶剤の残留を考慮して水のみを使用したが、本発明の抽出過程では有機溶剤、例えば、好ましくはエタノールを使用することもできる。
【0028】
本発明の組成物は、原料が完全に食用可能であるため、機能性食品に開発することに非常に適しており、例えば、トローチ、飴、固体飲料、液体飲料の形態の機能性食品に調製することが可能である。本発明の機能性食品は、本発明の前記組成物及び食用可能な補助材料を含む。
【0029】
本発明の機能性食品の好ましい形態として、トローチが挙げられる。本発明の組成物をトローチに調製する方法は特に制限なく、公知の方法、例えば、本発明の漢方薬組成物の流エキスを乾燥させた後に粉末又は粒子に調製し、食用可能な補助材料などを加えて混合し、打錠する方法を採用できる。食用可能な補助材料として、澱粉、蔗糖、メチルセルロース、フラクトオリゴ糖、食品調味剤、食塩、ステビオール配糖体、ソルビトール、ビタミンCなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、中華人民共和国GB2760-2014標準に準拠した補助材料であれば、適当添加することができる。
【0030】
本発明の好ましい形態のトローチとして、本発明の組成物の原料が全て食品であり、刺激的な味はなく、また鹿皮膠が君薬であり、自体が適度な味を持っているため、トローチにしても好ましくない味にはならず、コーティングする必要はない。しかし、食べやすい、味を増やし、吸湿を防ぐなどの目的で、コーティングしてもよい。食品の観点から、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ゼラチン、アラビアガムなどの食品規格に準拠した補助材料でコーティングすることが好ましい。
【0031】
本発明の機能性食品の好ましい形態として、食品化の外観が良い、受け入れやすい観点から、本発明の組成物は、食品経口液の形態に調製してもよい。経口の液体製剤の剤形として、溶液、シロップ又は懸濁液がある。これらの液体製剤の調製方法では、関連基準に準拠した食品添加剤、例えば中華人民共和国GB2760-2014標準に準拠した食品添加剤を使用することができる。
【0032】
本発明の組成物は、治療効果が確実であり、安全性が高いため、不眠症の治療、又は記憶力向上の治療のための薬物製剤とすることができる。薬物製剤として、一般的な経口製剤が好ましく挙げられる。本発明の漢方薬組成物の流エキス、任意に他の睡眠補助成分、及び製剤的に許容できるキャリア、例えば賦形剤や補助材料を混合した後、錠剤、丸剤、粉剤、カプセル又は顆粒剤などに調製してもよく、経口液に調製してもよい。
【0033】
いわゆる製剤的に許容できるキャリア、例えば賦形剤や補助材料は、水、葡萄糖、乳糖、アラビアガム、ゼラチン、マンニトール、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、及び任意の通常の食品用の調製固体、半固体又は液体形態製剤のキャリアを含み、また、補助剤、安定剤、増粘剤、着色剤、香料などの助剤も使用できる。
【0034】
本発明の漢方薬組成物を使用するとき、経口投与の固体剤形に調製する場合、経口投与のための固体剤形として、カプセル、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤を含む。これらの固体剤形では、漢方薬組成物を少なくとも一種の従来の不活性賦形剤(又はキャリア)、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムと混合し、又は下記の成分:(a)フィラー又は相溶化剤、例えば、澱粉、乳糖、蔗糖、葡萄糖、マンニトール及びケイ酸;(b)結合剤、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖及びアラビアガム;(c)保湿剤、例えば、グリセリン;(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯澱粉又はタピオカ澱粉、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩及び炭酸ナトリウム;(e)遅延溶剤、例えば、パラフィン;(f)吸収促進剤、例えば、第四級アミン化合物;(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリン;(h)吸着剤、例えば、カオリン;及び(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、又はそれらの混合物と混合する。カプセル、錠剤、丸剤でも、剤形が緩衝剤を含んでもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、顆粒剤などの固体剤形は、コーティング剤やシェル材、例えば、腸溶性コーティング剤及び他の本分野で公知の材料で調製してもよい。それらは不透明な薬剤を含んでもよく、且つ、このような漢方薬組成物において活性化合物は遅延の方式で消化管内の特定の部分で放出できる。使用可能な埋込成分の例としては、重合物質やワックス類の物質が挙げられる。漢方薬組成物は上記の賦形剤の一種又は複数種とマイクロカプセル状を形成してもよい。
【0035】
本発明の漢方薬組成物は経口投与用の液体剤形に調製してもよい。経口投与用の液体剤形として、薬学的に許容できる乳液、溶液、懸濁液、シロップ、チンキ剤を含む。本発明の漢方薬組成物に加えて、液体剤形は、本分野で一般的に使われている水又は他の溶剤、可溶化剤、乳化剤のような不活性希釈剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、及び油、特に綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚芽油、オリーブオイル、ヒマシ油、ゴマ油、又はこれらの混合物などを含んでもよい。本発明の液体製剤の調製方法において、分散媒は通常水であり、非水溶性の賦形剤は例えばアーモンドオイル、油脂であり、薬剤学的に許容できる添加剤として、ソルビトール、水素添加食用油、メチルセルロース、メチル又はプロピルフェノールのような防腐剤、レシチン、アラビアガムのような乳化剤、人工色素又は甘味剤も含む。これらの不活性希釈剤に加えて、漢方薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、調味剤及び香料などの助剤を含んでもよい。経口製剤が懸濁液である場合、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル無水物、微結晶セルロース、アルミニウムメトキシド、寒天、又はこれらの物質の混合物などを含んでもよい。適切な含水及び非水性のキャリア、希釈剤、溶剤又は賦形剤には、水、エタノール、ポリオール及び適切な混合物が含まれる。
【0036】
本発明の組成物を含む錠剤又は丸剤は、薬効延長効果を達成する剤形を提供するために、コーティング又は複合されてもよい。例えば、この錠剤又は丸剤は、内剤量(delivered dose)組分と外剤量組分を含んでもよく、後者が前者を完全に被覆する。この2つの組分は、胃での分解を防ぎ、当該内組分が影響を受けずに十二指腸に入る又は放出を遅らせるための腸溶層によって分離することができる。様々な薬材はこのような腸溶層又はコーティングとして用いられ、様々な重合酸又は重合酸の混合物、例えば、シェラック、セチルアルコール、酢酸セルロースなどを含む。
本発明の組成物の最も好ましい服用形態は、錠剤及びカプセルである。
【0037】
投与量として、患者の年齢、体重、健康状態及び剤形によって決められる。本発明の原料成分はいずれも安全性が高く、当業者は個体の需要に応じて、有効用量の最適範囲を決定でき、一般的に、本発明の推奨成人使用剤量(漢方薬流エキス)は10~100mg/kgである。
【0038】
本発明の発明者は、実験動物モデルと臨床服用実験により、本発明の漢方薬組成物の睡眠改善の薬効を検証し、実験動物モデル実験により記憶力向上の薬効も検証した。
【0039】
その中で、睡眠改善の実験動物モデルは、人間の概日リズムに類似したゼブラフィッシュを新しい不眠症研究モデルとして使用した。近年、ゼブラフィッシュは、人間疾病モデルの確立、薬理学および毒理学実験の実施、薬物選択などの生物医学研究でますます多く応用されている。現在、抗不安薬、鎮静薬、抗うつ薬など神経システムに作用する薬物及び低分子化合物のゼブラフィッシュ成魚に対する影響が多く研究観察され、ゼブラフィッシュ睡眠モデルの研究観察評価も行われている。
【0040】
本発明の薬効検証試験では、受精後5日目の野生型AB系統ゼブラフィッシュ180匹を6ウェルプレートにランダムに選び、1ウェルあたり30匹、本発明の漢方薬組成物を水溶液で与え、陽性対照組オキサゼパムの濃度は29μg/mLであり、正常対照組(標準希釈水処理ゼブラフィッシュ)とモデル対照組も設置し、正常対照組以外の他の実験組は691μg/mLペンチレンテトラゾール(PTZ)でゼブラフィッシュを誘導して、不眠症モデルを確立し、各実験組にゼブラフィッシュ12匹をランダムに選び、行動アナライザーでゼブラフィッシュの覚醒活動量、覚醒総時間、休憩回数、及び休憩時期の長さを分析し、覚醒活動量、覚醒総時間、休憩回数、及び休憩時期の長さで、本発明の漢方薬組成物のPTZに誘導されたゼブラフィッシュ不眠症の睡眠改善効果を評価した結果、覚醒活動量、覚醒総時間がいずれも顕著に改善されたことがわかり、具体的に後述する実施例の内容を参照できる。
【0041】
ゼブラフィッシュの遺伝子と人間の遺伝子の類似性は87%に達し、ゼブラフィッシュを用いた薬物実験で得られた結果は多くの場合に適用でき、発明者はさらにゼブラフィッシュモデルを用いて、睡眠関連遺伝子の発現探究を行い、この組成物の治療効果により強固な基礎を築いた。睡眠改善相関のgabra1、mtnr1aa遺伝子を指標とし、本発明の漢方薬組成物の可能な睡眠改善の相関メカニズムを深く探究した。その中で、gabra1(アミノ酪酸A型受容体サブユニット-1)は、天然に存在する非タンパク質アミノ酸であり、哺乳類の中枢神経系における重要な抑制性神経伝達物質である。多くの文献によれば、gabra1発現量の上昇は、抑制性伝達物質を増加し、身体の興奮性を低下し、睡眠を促進することが報告されている。mtnr1aa(メラトニン受容体1Aa)の主な機能は人体の生体リズムを調節し、昼間の覚醒と夜間の睡眠「睡眠一覚醒サイクル」を維持することであり、鎮静催眠効果がある。多くの文献によれば、mtnr1aa発現量の上昇は、夜間覚醒回数の減少、睡眠潜時の短縮と関係あることが報告されている。本発明の試験結果より、本発明の漢方薬組成物がgabra1遺伝子、mtnr1aa遺伝子の発現を顕著に上昇させるできることを実証し、特にmtnr1aa遺伝子の発現は本発明組成物との強い用量相関性も示している。
【0042】
本発明は臨床服用試験において、青年中年の不眠患者に対して、顕著な睡眠改善の効果を示し、具体的に後述する実施例を参照できる。
【0043】
本発明は動物記憶力改善試験において、マウスを実験対象とし、ステップダウンテスト及び水迷路実験により、記憶力改善状況を評価した。実験より、この組成物は動物の長期記憶力改善に良い効果を示すことがわかり、具体的に後述する実施例を参照できる。
【0044】
本発明の漢方薬組成物は従来技術に比べて、以下の明らかなメリットを有する。
本発明で開発された漢方薬組成物は、薬食同源の理論に基づく、効果が確実な、安全性が納得できる睡眠改善の組成物であり、本発明の漢方薬組成物は科学的な動物表現型を採用し、メカニズム探究及び臨床服用結果より確実な効果を検証しており、その効果はベンゾジアゼピン西洋薬の薬効より弱いが、信頼できる安全性を考慮すると、特に不眠症の長期服用、治療又は改善の需要を満たすのに適している。本発明の組成物は、原料の理論基礎がより充実であり、現在市販されている一般的な中枢神経抑制類薬物に比べて、副作用が少なく、副反応がない。伝統的な漢方薬処方に比べて、即効性があり、安全性が高い。東洋医学の「清養」理論に基づいているため、本発明は特に仕事ストレスによる不眠症に適用できる。基礎原料はすべて薬食同源の食品であるため、適用範囲が広く、使用上の禁忌が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】実施例2における漢方薬組成物粉末N(本発明の組成物)のゼブラフィッシュ不眠症の覚醒活動量に対する影響の統計図である。
【
図2】実施例2における漢方薬組成物粉末N(本発明の組成物)のゼブラフィッシュ不眠症の覚醒活動量に対する改善効能の統計図である。
【
図3】実施例2における漢方薬組成物粉末N(本発明の組成物)のゼブラフィッシュ不眠症の覚醒総時間に対する影響の統計図である。
【
図4】実施例2における漢方薬組成物粉末N(本発明の組成物)のゼブラフィッシュ不眠症の覚醒総時間に対する改善効能の統計図である。
【
図5】実施例3における漢方薬組成物粉末N(本発明の組成物)のゼブラフィッシュgabra1遺伝子相対発現量に対する影響の図である。
【
図6】実施例3における漢方薬組成物粉末N(本発明の組成物)のゼブラフィッシュmtnr1aa遺伝子相対発現量に対する影響の図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳しく説明し、実施例は単に本発明の技術形態を説明するための実例であり、本発明の保護範囲を何ら限定するものではない。
【0047】
<実施例1> 本発明の組成物の抽出物の典型的な調製方法
梔子167g(ロット番号:2012021-W、産地:福建、供給元:安徽省亳州市中西薬株式会社)、乾姜100g(ロット番号:1910008-W、産地:山東、供給元:安徽省亳州市中西薬株式会社)、甘草100g(ロット番号:2012011-W、産地:内モンゴル、供給元:安徽潤邦中薬飲片株式会社)を適当に粉砕し、6倍量の水を加えて100℃水温で1時間抽出し、ろ過して抽出液を得、上記の抽出を3回繰り返し、抽出液を合わせ、ろ過、濃縮して流エキスを得、得られた流エキスを熱いうちに鹿皮膠310gと均一に混合し、70℃のオーブンで2日間乾燥させ、漢方薬組成物粉末N405gを得た。
【0048】
<実施例2> ゼブラフィッシュ睡眠改善効果の評価
2.1 実験動物
野生型AB系統ゼブラフィッシュ(杭州環特生物提供)、自然交配繁殖の方法で行い、計180匹、各実験組30匹、年齢は受精後5日目(5dpf)であった。ゼブラフィッシュはいずれも28℃の魚養殖用水(水質:逆浸透水1Lあたりに200mgインスタント海塩を加え、導電率450~550μS/cm、pH6.5~8.5、硬度50~100 mg/L CaCO3)で飼育され、実験動物使用許可証番号はSYXK(浙)2012-0171である。飼育管理は国際AAALAC認証の要求に従う。
【0049】
2.2 実験方法
【0050】
1)最大検測濃度(MTC)の測定:5 dpf野生型AB系統ゼブラフィッシュ180匹を6ウェルプレートにランダムに選び、各ウェル30匹処理し、実施例1で調製された漢方薬組成物粉末Nを125、250、500、1000、2000μg/mLの濃度で水溶液で与え、同時に正常対照組(標準希釈水処理ゼブラフィッシュ)を設け、各ウェルの容量が3mLであった。28℃のインキュベーターで24hインキュベートした後、ゼブラフィッシュの毒性表現型と死亡状況を観察記録した。
【0051】
2)睡眠改善効果の評価:5 dpf野生型AB系統ゼブラフィッシュ180匹を6ウェルプレートにランダムに選び、各ウェル30匹処理し、漢方薬組成物粉末Nを500、1000、2000μg/mLの濃度で水溶液で与え、陽性対照組オキサゼパムの濃度は29μg/mLであり、同時に正常対照組及びモデル対照組を設け、各ウェルの容量が3 mLであった。28℃のインキュベーターで24hインキュベートした後、ゼブラフィッシュを96ウェルプレートに移し、1ウェルあたり1匹、200μL/ウェル、正常対照組以外の他の実験組は691μg/mL PTZでゼブラフィッシュを誘導し、不眠症モデルを確立し、各実験組はゼブラフィッシュ12匹をランダムに選び、行動アナライザーでゼブラフィッシュの覚醒活動量(D)、覚醒総時間(T)を分析し、覚醒活動量、覚醒総時間で漢方薬組成物粉末NのPTZに誘導されたゼブラフィッシュ不眠症の睡眠改善効果を評価した。漢方薬組成物粉末Nの不眠症ゼブラフィッシュの覚醒活動量、覚醒総時間、休憩回数、及び休憩時期の長さに対する改善効果の計算式は以下の通りである。
分散分析及びDunnett’s T-テストにより統計学分析を行い、p<0.05は有意差ありを示し、代表的な実験プロットを提供する。
【0052】
2.3 実験結果
毒理学及び最大検出濃度(MTC)の測定
実験終了時に、漢方薬組成物粉末N の125~2000μg/mL濃度組のいずれも顕著な異常は認められなかった。よって、漢方薬組成物粉末Nの不眠症ゼブラフィッシュに対するMTCは2000μg/mLであると確定した。詳細は表1に示されている。
【0053】
【0054】
睡眠改善効果の評価
漢方薬組成物粉末Nは、500、1000、2000μg/mLの濃度組の条件で、PTZに誘発されたゼブラフィッシュ不眠症における覚醒活動量、覚醒総時間のいずれに対しても明らかに改善効果を示し、詳細は
図1~4に示されている。
【0055】
覚醒活動量の改善状況:漢方薬組成物粉末N の500、1000、2000μg/mL濃度組のゼブラフィッシュ覚醒活動量はそれぞれ1367、1386、1093mmであり、覚醒活動量の改善効果はそれぞれ34%、33%、48%であり、モデル対照組(2066mm)に比べて、p<0.05 & p<0.05 & p<0.001であった。
【0056】
覚醒総時間の改善状況:漢方薬組成物粉末N の500、1000、2000μg/mL濃度組のゼブラフィッシュ覚醒総時間はそれぞれ37.0、38.0、34.1sであり、覚醒総時間の改善効果はそれぞれ37%、35%、42%であり、モデル対照組(57.1s)に比べて、p<0.01& p<0.01 & p<0.001であった。
具体的な結果の統計図は
図1~4に参照し、モデル対照組に比べて、*はp<0.05、**はp<0.01、***はp<0.001を示している。
【0057】
<実施例3>ゼブラフィッシュの睡眠改善相関メカニズムの初歩的探究
3.1 実験動物
野生型AB系統ゼブラフィッシュ(杭州環特生物提供)、自然交配繁殖の方法で行い、計360匹、各実験組は30匹、年齢は5dpfであった。
【0058】
3.2 実験方法
5dpf野生型AB系統ゼブラフィッシュ360匹を6ウェルプレートにランダムに選び、各ウェル30匹処理し、漢方薬組成物粉末Nを500、1000μg/mL濃度で水溶液で与え、陽性対照組のオキサゼパムの濃度は29μg/mLであり、同時に正常対照組及びモデル対照組を設け、各ウェルの容量は3mLであった。28℃のインキュベーターで24hインキュベートした後、正常対照組以外の他の実験組は691μg/mL PTZでゼブラフィッシュを誘導し、不眠症モデルを確立し、3つの並行実験を行った。実験終点になった後、RNA快速抽出キットを用いて各実験組のゼブラフィッシュの全RNAを抽出し、紫外-可視光分光光度計で総RNA濃度と純度を測定した。ゼブラフィッシュサンプルの全RNAを2μg取り、cDNA第一鎖合成キットの説明に従って操作し、20μLのcDNAを合成して-20℃で保存し、q-PCRによりβ-actin、gabra1、mtnr1aa遺伝子のRNA相対発現量を検測した。β-actinを遺伝子発現の内部参照として、gabra1とmtnr1aa遺伝子のRNA相対発現量を計算した。
分散分析及びDunnett’s T-テストにより統計学分析を行い、p<0.05は有意差ありを示す。
【0059】
3.3 実験結果
遺伝子相対発現量の公式計算によれば、モデル対照組のgabra1相対発現量は1.00であり、正常対照組(1.21)に比べてp<0.01であり、モデル確立の成功を示す。陽性対照組のオキサゼパムの29μg/mL gabra1相対発現量は1.23であり、モデル対照組(1.00)に比べてp<0.01であり、オキサゼパムがgabra1遺伝子の発現を顕著に増加できることを示す。漢方薬組成物粉末Nが500と1000μg/mL濃度であるとき、gabra1相対発現量はそれぞれ1.25、1.14であり、モデル対照組(1.00)に比べて、p<0.01 & p<0.05である。漢方薬組成物粉末Nはgabra1遺伝子の発現を顕著に増加できることを示す。
【0060】
遺伝子相対発現量の公式計算によれば、モデル対照組のmtnr1aa相対発現量が1.00であり、正常対照組(1.64)に比べてp<0.01であり、モデル確立の成功を示す。陽性対照組のオキサゼパムの29μg/mL mtnr1aa相対発現量は2.26であり、モデル対照組(1.00)に比べてp<0.01であり、オキサゼパムはmtnr1aa遺伝子の発現を顕著に増加できることを示す。漢方薬組成物粉末Nが500と1000μg/mL濃度であるとき、mtnr1aa相対発現量はそれぞれ3.64、3.96であり、モデル対照組(1.00)に比べて、いずれもp<0.001である。漢方薬組成物粉末Nはmtnr1aa遺伝子の発現を顕著に増加できることを示す。詳しくは表2、
図5と
図6に示されている。
【0061】
【0062】
以上の遺伝子検測データ分析より、当該組成物の睡眠改善のメカニズムは、gabra1遺伝子およびmtnr1aa遺伝子の発現上昇に関係している可能性があり、特にmtnr1aa遺伝子の発現上昇は非常に顕著である。
【0063】
<実施例4>睡眠改善臨床服用試験
4.1 被験者と診断基準
中国精神疾病分類方案および診断基準第二版(CCMD-2-R)の不眠症の診断基準に従って、睡眠障碍を有する20~45歳の被験者60人を選び、前記被験者の症状は以下の基準を満たす。(1)身体疾患又は精神障害に継発する症状のいずれでもない。(2)睡眠障害が最も重要な症状であり、他の症状はすべて不眠症に継発し、これらの症状は、夢が多い、早朝覚醒、目覚めやすい、寝つきが悪い、睡眠が浅い、目が覚めると寝付けない、目が覚めても気分が悪い、倦怠感又は日中の眠気を含む。(3)上記の睡眠障害の症状は週に少なくとも3回発生し、30日以上続く。(4)不眠症により気分のイライラ又は憂鬱が著しく、精神活動の効率が低下し、日常生活と仕事に支障をきたす。
【0064】
4.2 服用方法及び試験方法
被験者をランダムに3組に分け、各組に被験者20人とした。ビタミンCを空白とし、メラトニンを陽性対象として比較を行い、それぞれ就寝前の30分間~1時間に服用し、空白組は1錠/回、対照組は1錠/回(3mg/粒)、実験組は漢方薬組成物粉末N 3g/回服用した。就寝前の眠りの改善状況、深い睡眠の長さ、睡眠の長さ、及び目覚め後の精神状態、体力状況の評価結果を記録することで統計を行った。
【0065】
4.3 治療効果の評価方法及びデータの概要
眠りの改善状況は、通常と比べて、顕著に改善した場合、わずかに改善した場合、改善しなかった場合に分けられる。睡眠状況は連続睡眠時間を評価レベルとし、目覚めた後の精神状態はエネルギーが満ちているかどうかを評価レベルとし、体力状況は気力が欠如しているかどうかを評価レベルとし、それぞれ優、中、悪の3つのレベルを設け、いずれも優のレベルに達する場合、睡眠質を一級と判定し、2つが優のレベルに達する場合、二級と判定し、1つ又はそれ以下が優のレベルに達する場合、三級と判定する。結果は表3にまとめた。
【0066】
結果より、本発明の組成物は、眠りにつく時間を短縮し、睡眠の質を向上させることができる。
【0067】
<実施例5>記憶力向上の動物実験
実施例1で得られた漢方薬組成物粉末Nは、それぞれヒトの推奨量の5倍、10倍、20倍で動物実験用量を設定し、即ち、空白対照組を83mg/kg、167mg/kg、333mg/kgとし、連続的にサンプルを14日間強制経口投与した後に水迷路実験を行い、空白組に同体積の生理食塩水を投与した。
【0068】
【0069】
一回目の訓練前にマウスをはしごの近くに置き、自分で3回登らせた。実験は段階的に行われ、動物の学習成績に応じて徐々に距離を増やした。一回目の訓練時に、ストッパーでAをブロックし、Aから訓練しはじめ、A点から終点までの時間を記録した。二回目の訓練で距離を増やし、Bから始まり、動物数の80%以上が2min以内に終点に到達してから、さらに距離を増やし、それぞれのマウスの毎回のB点から終点までの時間および間違えた回数(いずれかのブラインドエンドに一回入ったら一回のミスとする)をそれぞれ記録した。最終テストでは、スタート地点から行い、マウスをスタート地点C点に置き、スタート地点から終点までの時間および間違えた回数を記録した。毎回訓練するとき、2min以内に終点に到達しなかったマウスは、終点まで誘導され、終点のはしごから上がり、訓練の目的を達する。毎回訓練又はテストするとき、頭をスタート地点に向かって置かれ、以上の実験ステップは記憶獲得過程である。訓練を中止してから5日間後に、再びA、B点の訓練とC点テストを行い、以上の実験ステップは記憶再現過程である。一日目と五日目にマウスが水迷路実験において測定点Cでの水泳時間および間違えたターミナルに入った回数をそれぞれ比較した。
実験結果は以下の通りである。
【0070】
【0071】
表4からわかるように、空白対照組、各剤量組の五日目の水泳時間と間違えた回数はいずれも一日目の訓練とテスト結果より優れている。五日目のC点テスト成績では、サンプル組の訓練時間は空白対照組と同じで、間違えたターミナルに入った回数はやや低下した。
【0072】
以上の実験結果より、本発明で開発された漢方薬組成物の効果は確実であると同時に、それが完全に薬食同源理論に基づいているので、安全性は信頼できることが分かる。
【0073】
本発明の漢方薬組成物は、科学的な動物の表現型、メカニズム探究、及び臨床服用結果を用いて確実な効果を検証しており、その効果はベンゾジアゼピン西洋薬の薬効より弱いが、その信頼できる安全性を考慮すると、長期服用、治療又は改善に適した不眠症状の需要に特に適している。
【0074】
本発明の組成物は、原料の有効性理論の基礎は非常に充実である。現在市販している中枢神経抑制類薬物に比べて、副作用が小さく、副反応がない。伝統的な漢方薬処方に比べて、即効性があり、安全性が高い。漢方の「清養」理論に基づいているので、本発明は特に仕事ストレスによる不眠に適している。本発明組成物はある程度の記憶力向上効果も示す。
【0075】
最後に説明すべきなのは、上記の各実施例は単に本発明の技術形態を説明するものであり、制限するものではない。前記実施例を参照し本発明を詳しく説明したが、当業者は、前記実施例に記載されている技術形態を変更すること、又は一部又は全部の技術特徴を均等に置き換えることが可能であり、これらの変更又は置き換えは、対応する技術形態の本質を本発明の各実施例の技術形態の範囲から逸脱させないことを理解すべきである。
本明細書で引用されたすべての出版物及び特許文献は、各出版物又は特許がそれぞれ明確に本願に参照により引用されるように、参照により本願に引用される。本願に開示された実質と範囲を逸脱しない場合、本願に開示された各実施形態に対して様々な変更および均等物の置き換えを行うことができる。文中に特に説明しない限り、本開示の実施形態のすべての特徴、ステップ又は実施形態は、他の任意の特徴、ステップ又は実施形態と組み合わせて使用することができる。
【要約】 (修正有)
【課題】薬食同源の理論に基づく、効果が確実な、安全性が納得できる睡眠改善・記憶力向上のための組成物、その調製方法、および応用を提供する。
【解決手段】薬物組成物は、鹿皮膠20~30部、梔子粉14~18部、乾姜粉7~11部、甘草7~11部からなる原料薬から調製される。
【効果】現在市販している中枢神経抑制類薬物に比べて、副作用が小さく、副反応がない。伝統的な漢方薬処方に比べて、即効性があり、適用範囲が広く、漢方の「清養」理論に基づいているので、特にストレス又は感情的な理由による不眠、及び不眠による記憶力減退に適している。
【選択図】
図1