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特許7176796N,N’-ジアリール尿素誘導体及びそれを用いた感熱記録材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】N,N’-ジアリール尿素誘導体及びそれを用いた感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
   C07C 309/72 20060101AFI20221115BHJP
   B41M 5/333 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C07C309/72 CSP
B41M5/333 220
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021515971
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2020015936
(87)【国際公開番号】W WO2020218003
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2019085913
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391052574
【氏名又は名称】三光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】木西 良一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 良三
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-048411(JP,A)
【文献】特開2019-043005(JP,A)
【文献】特表平09-510457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるN,N’-ジアリール尿素誘導体。
【化1】
(Zは、単環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、多環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、単結合で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、飽和若しくは不飽和のC1~C8脂肪族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、または、ヘテロ元素を含む連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基である。
Rは、C1~C12のアルキル基、C2~C12のアルケニル基、C3~C12のアルキルオキシアルキル基、C3~C12のポリオキシアルキレンアルキル基、C7~C12のアラルキル基、C6~C14のアリール基、C1~C12のアルキルスルファニル基、C7~C12のアラルキルスルファニル基、C6~C14のアリールスルファニル基、C1~C12のアルキルスルホニル基、C7~C12のアラルキルスルホニル基、C6~C15のアリールスルホニル基、C7~C12のアラルキルスルホニルアミノ基、C6~C15のアリールスルホニルアミノ基、C2~C10のアシル基、C2~C10のアシルアミノ基、(C2~C10のアシル)オキシカルボニルアミノ基、(C1~C12のアルキル)オキシカルボニルアミノ基、(C7~C12のアラルキル)オキシカルボニルアミノ基、又は、(C6~C15のアリール)オキシカルボニルアミノ基を表し、隣接する2つのRは互いに結合してそれぞれが結合している炭素原子とともに芳香環または非芳香環を形成してもよい。
A,Bは、メチル基を表す。
a,b,cは、独立して、0~4の整数であり、nは0又は1である。ただし、a+cは、0~5の整数である。)
【請求項2】
一般式(1)中、nが0である、下記一般式(1-1)で表される、請求項1に記載のN,N’-ジアリール尿素誘導体。
【化2】
(Z、R、A、B、a、b、cは、式(1)で定義したものと同様である。)
【請求項3】
下記式(2)、(3)、(4)、又は(5)で表される、請求項2に記載のN,N’-ジアリール誘導体。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
(Zは、式(1-1)で定義したものと同様である。)
【請求項4】
Zは、単環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、単結合で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、または、ヘテロ元素を含む連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基である、請求項1~3のいずれか一項に記載のN,N’-ジアリール誘導体。
【請求項5】
常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、顕色剤として、請求項1~のいずれか一項に記載のN,N’-ジアリール尿素誘導体を含有する感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N,N’-ジアリール尿素誘導体及びそれを用いた感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録材料は常温で無色ないし淡色の塩基性染料と有機顕色剤とをそれぞれ微細な粒子に粉砕分散した後、両者を混合し、これと増感剤、バインダ-、滑剤、その他各種添加剤等を添加して得た塗工液を、紙、プラスティックフィルム、加工紙等の支持体上に塗工して感熱記録層を形成したものであり、感熱ヘッド、熱ペン等の熱エネルギー(ジユール熱)を加えることにより発色記録が得られるものである。このような感熱記録材料はすでに広く実用化されている。
【0003】
その感熱記録材料に求められる性能として、未印字部の白色度と種々の環境条件における未印字部の白色度、印字部の発色濃度とその印字部の保存性などが挙げられる。特に印字部の保存性に関しては、種々の耐性試験、例えば耐湿熱性、耐水性、耐光性、耐油性および耐可塑剤性等が求められる。
【0004】
これまで感熱記録材料の顕色剤として数多くの顕色剤が提案されてきた。例えば、4,4’-イソプロピリデンジフェノ-ル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシ-ジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロピルオキシ-ジフェニルスルホン(特許文献1)などのフェノ-ル系顕色剤、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(特許文献2)、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(特許文献3)などの非フェノ-ル系顕色剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-052842号公報
【文献】特表2002-532441号公報
【文献】国際公開第2014/080615号
【非特許文献】
【0006】
【文献】大饗茂編著、「有機硫黄化学」、化学同人社、1982年9月、p349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、フェノ-ル系顕色剤は印字部、非印字部の各種保存安定性が十分でなく、非フェノ-ル系顕色剤であるN-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(特許文献2)は発色感度や保存性は改善されているものの、十分なものでなく、更に改善が求められている。加えて、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素 はトルエンスルホニルイソシナネ-トから誘導されるトルエンスルホニル尿素基およびトルエンスルホニルクロライドから誘導される芳香族スルホン酸アリールエステル基の2つの官能基を有し、芳香族スルホン酸アリールエステル基は水に対して安定であるものの(非特許文献1)、一方のトルエンスルホニル尿素基は元来アミノ基等の保護基として活用されてきたものであるが、水によって容易に加水分解される欠点がある。
【0008】
一方、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(特許文献3)は未だ記録部の保存性に課題があり、感熱記録材料としての要求性能に関しては充分満足できるものでなく、特に印字部の保存性に更なる向上が求められている。
更に近年は4,4’-イソプロピリデンジフェノ-ルや4,4’-ビスフェノ-ルスルホンなどは、環境ホルモンや変異原性などの環境衛生上の問題が指摘されているため、これらの問題のない非フェノ-ル系顕色剤が求められているのが実情である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、感熱記録材料の顕色剤として好適なN,N’-ジフェニル尿素誘導体、及び、それを顕色剤として用いた感熱記録材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1]下記一般式(1)で表されるN,N’-ジアリール尿素誘導体。
【0011】
【化1】
(Zは、2価の有機基である。
Rは、C1~C12のアルキル基、C2~C12のアルケニル基、C3~C12のアルキルオキシアルキル基、C3~C12のポリオキシアルキレンアルキル基、C7~C12のアラルキル基、C6~C14のアリール基、C1~C12のアルキルスルファニル基、C7~C12のアラルキルスルファニル基、C6~C14のアリールスルファニル基、C1~C12のアルキルスルホニル基、C7~C12のアラルキルスルホニル基、C6~C15のアリールスルホニル基、C7~C12のアラルキルスルホニルアミノ基、C6~C15のアリールスルホニルアミノ基、C2~C10のアシル基、C2~C10のアシルアミノ基、(C2~C10のアシル)オキシカルボニルアミノ基、(C1~C12のアルキル)オキシカルボニルアミノ基、(C7~C12のアラルキル)オキシカルボニルアミノ基、又は、(C6~C15のアリール)オキシカルボニルアミノ基を表し、隣接する2つのRは互いに結合してそれぞれが結合している炭素原子とともに芳香環または非芳香環を形成してもよい。
A,Bは、メチル基を表す。
a,b,cは、独立して、0~4の整数であり、nは0又は1である。ただし、a+cは、0~5の整数である。)
【0012】
[2] 一般式(1)中、nが0である、下記一般式(1-1)で表される、前記[1]に記載のN,N’-ジアリール尿素誘導体。
【0013】
【化2】
(Z、R、A、B、a、b、cは、式(1)で定義したものと同様である。)
【0014】
[3]下記式(2)、(3)、(4)又は(5)で表される、前記[2]に記載のN,N’-ジアリール誘導体。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
(Zは、式(1-1)で定義したものと同様である。)
【0019】
[4]式(1)、(1-1)、(2)、(3)、(4)または(5)中、Zは、飽和若しくは不飽和のC1~C8脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、ヘテロ元素を含む連結基で連結されたC1~C8脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、単環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、多環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、単結合で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、飽和若しくは不飽和のC1~C8脂肪族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、または、ヘテロ元素を含む連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基である、前記[1]ないし[3]のいずれか一つに記載のN,N’-ジアリール誘導体。
[5]式(1)、(1-1)、(2)、(3)、(4)または(5)中のZは、単環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、単結合で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、または、ヘテロ元素を含む連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基である、前記[4]に記載のN,N’-ジアリール誘導体。
[6]常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、顕色剤として、前記[1]~[5]のいずれか一つに記載のN,N’-ジアリール尿素誘導体を含有する感熱記録材料。
【発明の効果】
【0020】
本発明のN,N’-ジアリール尿素誘導体を顕色剤として用いることにより、非印字部の白色度が高く、良好な発色濃度を示し、印字部の保存性が高い感熱記録材料が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)のIRチャ-トを示す。
図2】本発明に係る1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)のH-NMRスペクトルを示す。
図3】本発明に係る1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)のFDマススペクトルを示す。
図4】本発明に1,3-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例2)のIRチャ-トを示す。
図5】本発明に係る1,3-ビス-(4-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例3)のIRチャ-トを示す。
図6】本発明に係る4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル(合成例4)のIRチャ-トを示す。
図7】本発明に係る4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル(合成例5)のIRチャ-トを示す。
図8】本発明に係る4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル(合成例6)のIRチャ-トを示す。
図9】本発明に係る4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル(合成例7)のIRチャ-トを示す。
図10】本発明に係る1,3-ビス-(3-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例8)のIRチャ-トを示す。
図11】本発明に係る1,3-ビス-(3-[3-{1-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例9)のIRチャ-トを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(N,N’-ジアリール尿素誘導体)
本発明のN,N’-ジアリール尿素誘導体は、前記一般式(1)で表される。また、本発明のN,N’-ジアリール尿素誘導体は、前記一般式(2)~(5)で表されるものであってもよい。
【0023】
一般式(1)~(5)中、Zは、2価の有機基である。
【0024】
Zとしては、飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、ヘテロ元素を含む連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、単環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、多環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、単結合で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、ヘテロ元素を含む連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基などが挙げられる。
【0025】
好ましいZとしては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキサンジイル基、ビニレン基、プロペニレン基、1-ブテニレン基などのC1~C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基;
【0026】
-COC-基、-COCOC-基、-CSC-基、-C-SO-C-基、-CCOC-基などの-O-、-S-、-SO-、-C(=O)-などのヘテロ元素を含む連結基で連結されたC1~C8の脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンジル、エチルベンゼンなどの単環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基;
【0027】
ナフタレンジイル基、2,6-ナフタレンジイル基、1,8-ナフタレンジイル基、2,3-ナフタレンジイル基などの、ナフタレン、置換ナフタレンなどの多環芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基;
【0028】
ビフェニルジイル基などの、ビフェニル、置換ビフェニルなどの単結合で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基;ジフェニルメタン、2,2-ジフェニルプロパンなどのC1~C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基;ジフェニルエ-テル、ジフェノキシエタン、ジ(フェノキシエチル)エ-テル、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホンなどのヘテロ元素を含む連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基;などが挙げられる。
【0029】
より好ましいZは、フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,2-フェニレン基、ビフェニル基、4,4’-ビフェニル基、3,4’-ビフェニル基、3,3’-ビフェニル基、オキシジフェニル基、4,4’-オキシジフェニル基、3,4’-オキシジフェニル基、3,3’-オキシジフェニル基、などの単環若しくは多環の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、単結合で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基、およびヘテロ元素を含む連結基で連結された複数の芳香族炭化水素から2個の水素原子を取り除いてできる2価の有機基である。
【0030】
Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ラウリル基などのC1~C12のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基などのC2~C12のアルケニル基;CO-C-、CO-C-などのC3~C12のアルキルオキシアルキル基;HO-(CO)-C-(n=1~3)、HO-(CO)-C-(n=1~3)などのC3~C12のポリオキシアルキレンアルキル基;ベンジル基、p-メチルベンジル基、p-イソプロピルベンジル基、p-tert-ブチルベンジル基、p-クロロベンジル基、p-メトキシベンジル基、m-メトキシベンジル基、m, p-ジメトキシベンジル基、フェネチル基、α-フェネチル基、フェニルプロピル基などのC7~C12のアラルキル基;フェニル基、トリル基、p-エチルフェニル基、p-キシリル基、m-キシリル基、1,2,3-トリメチルフェニル基、1,3,5-トリメチルフェニル基(メシチレン基)、1,2,4-トリメチルフェニル基(プソイドクメン基)、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビフェニル基、ジメチルビフェニル基などのC6~C14のアリール基;
【0031】
メチルスルファニル基、ブチルスルファニル基などのC1~C12のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基などのC6~C14のアリールスルファニル基;メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基などのC1~C12のアルキルスルホニル基;ベンジルスルホニル基などのC7~C12のアラルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、2-p-キシレンスルホニル基、メシチレンスルホニル基、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニル基、1-ナフタレンスルホニル基、2-ナフタレンスルホニル基、4-ビフェニルスルホニル基などのC6~C15のアリールスルホニル基;
【0032】
ベンジルスルホニルアミノ基などのC7~C12のアラルキルスルホニルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基などのC6~C15のアリールスルホニルアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、メタロイル基、ベンゾイル基、トルオイル基、2-ナフトイル基などのC2~C10のアシル基;アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基などのC2~C10のアシルアミノ基;アセチルオキシカルボニルアミノ基、プロピオニルオキシカルボニルアミノ基、ベンゾイルオキシカルボニルアミノ基、トルオイルオキシカルボニルアミノ基などの(C2~C10アシル)オキシカルボニルアミノ基;メトキシカルボニルアミノ基、ブトキシカルボニルアミノ基などの(C1~C12アルキル)オキシカルボニルアミノ基;ベンジルオキシカルボニルアミノ基などのアラルキルオキシカルボニルアミノ基;フェノキシカルボニルアミノ基、トリルオキシカルボニルアミノ基などの(C7~C12アリール)オキシカルボニルアミノ基;を表し、式中の隣接する2つのRは互いに結合してそれぞれのRが結合している炭素原子とともに芳香環または非芳香環を形成してもよく、好ましくは芳香環、たとえば、Rが結合している芳香環とともにナフタレン環を形成してもよい。
【0033】
好ましいRは、C1~C4のアルキル基である。
また、隣接する2つのRは互いに結合してそれぞれのRが結合している炭素原子とともに芳香環を形成する場合には、好ましくは、Rが結合している芳香環とともにナフタレン環が形成される。
【0034】
A,Bはメチル基を表す。
【0035】
nは0または1を表わし、nは0が最も好適である。
【0036】
a,b,cは、独立して、0~4の整数である。ただし、a+cは、0~5の整数である。a、bは、0が最も好適である。cは、0又は1が好適である。
【0037】
本発明の一般式(1)で表されるN,N’-ジアリール尿素誘導体として、下記一般式(1-1)で表される、N,N’-ジアリール尿素誘導体が挙げられる。
【0038】
【化7】
【0039】
本発明の一般式(1)で表されるN,N’-ジアリール尿素誘導体として、下記一般式(1-2)、(1-3)又は(1-4)で表される、N,N’-ジアリール尿素誘導体が挙げられる。
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
本発明のN,N’-ジアリール尿素誘導体として、以下に、具体例を挙げるがこれらに限定するものではない。
【0044】
1,2-ビス-(3-[3-ベンジルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{p-メチルベンジル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{p-クロロベンジル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0045】
1,2-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-{3-[o-トリル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{m-エチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{p-イソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{p-tert-ブチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{2,5-ジメチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{2,4-ジイソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{3,5-ジイソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-{3-[2,4,6-トリメチルフェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{4-ビニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{4-アリルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{4-イソプロペニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{1-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{2-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0046】
1,2-ビス-(3-[3-{4-アセチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{4-ベンゾイルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{4-(アセチルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{4-(エタンスルホニル)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{4-(フェニルスルホニル)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,2-ビス-(3-[3-{2-メチル-5-(フェノキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0047】
1,3-ビス-(3-[3-ベンジルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{p-メチルベンジル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{p-クロロベンジル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0048】
1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{o-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{p-エチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{p-イソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-{3-[p-tert-ブチルフェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{2,5-ジメチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{2,4-ジイソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{3,5-ジイソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{2,5-ジメチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{2,4,6-トリメチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-ビニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-アリルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-イソプロペニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{1-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{2-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0049】
1,3-ビス-(3-[3-{4-(メチルチオ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-(ベンジルチオ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-(フェニルチオ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-(メタンスルホニル)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-(ベンゼンスルホニル)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-(メタンスルホニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-(ベンゼンスルホニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0050】
1,3-ビス-(3-[3-{4-アセチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-ベンゾイルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-(アセチルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{4-(ベンゾイルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{2-メチル-5-(フェノキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(3-[3-{2-メチル-5-(p-トリルオキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
4,4’-ビス(3-[3-ベンジルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル,4,4’-ビス(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4、4’-ビス(3-[3-{p-イソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-[3-{p-プロペニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-[3-{4-ベンゾイルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-[3-{4-(ベンゾイルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-[3-{4-(p-トルエンスルホニル)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-[3-{4-(p-トルエンスルホニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-[3-{4-(フェノキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、
【0051】
4,4’-ビス(4-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、
【0052】
4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス-(3-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス-(3-[3-{o-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス-(3-[3-{1-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、
【0053】
4,4’-ビス-(4-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス-(4-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス-(4-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス-(4-[3-{2-メチル-5-(フェノキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス-(4-[3-{2-メチル-5-(m-トリルオキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル、
【0054】
1,3-ビス-(4-{3-ベンジルウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-{3-[p-メチルベンジル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ジ-(3-{3-[p-クロロベンジル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0055】
1,3-ビス-(4-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{o-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{p-エチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{p-イソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{p-tert-ブチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{2,5-ジメチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{2,4-ジイソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{3,5-ジイソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{2,5-ジメチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{2,4,6-トリメチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{4-ビニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{4-アリルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{4-イソプロペニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{1-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン1,3-ビス-(4-[3-{2-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0056】
1,3-ビス-(4-[3-{4-アセチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{4-ベンゾイルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{4-アセチルアミノフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{4-エタンスルホニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{4-ベンゼンスルホニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(4-[3-{4-(フェノキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
【0057】
1,3-ビス-(2-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、
1,3-ビス-(2-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{o-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{p-エチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{p-イソプロピルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{p-tert-ブチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{2,4,6-トリメチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{4-アセチルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{4-ベンゾイルフェニル}ウレイレン]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{4-アセチルアミノフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{4-ベンゼンスルホニルフェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス-(2-[3-{4-(フェノキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、などが挙げられる。
【0058】
(N,N’-ジアリール尿素誘導体の製造方法)
本発明の一般式(1)で表されるN,N’-ジアリール尿素誘導体は、下記式(7)で表される尿素化合物と下記式(8)で表されるジハロゲン化スルホニル化合物を塩基の存在下に反応させることによって容易に得ることができる。
【0059】
【化11】
(R,A,B,a,b,c,nは前記と同じである。)
【0060】
【化12】
(Zは前記と同じであり、XはF,Cl,Br,Iなどのハロゲン原子を表す。)
【0061】
式(7)で表される尿素化合物としては、下記式(7-1)で表される尿素化合物が好ましい。
【0062】
【化13】
(R,A,B,a,b,cは前記と同じである。)
【0063】
式(7)又は式(7-1)で表される尿素化合物としては、例えば、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-フェニル-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-(p-トリル)-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-(m-トリル)-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-(o-トリル)-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-エチルフェニル)-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-ベンジル-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-(1-ナフチル)-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-(2-ナフチル)-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-プロピルスルホニルフェニル)-尿素、N-(2-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-フェニルスルホニルフェニル)-尿素、
【0064】
N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-フェニル-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(p-トリル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(m-トリル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(o-トリル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-エチルフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-イソプロピルフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-プロペニルフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-ベンジル-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(β-フェネチル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(1-ナフチル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(2-ナフチル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-プロピルスルホニルフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-フェニルスルホニルフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-アセチルフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-アセチルアミノフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-メチルスルフィドフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-ベンゾイルアミノフェニル)-尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-フェノキシカルボニルアミノフェニル)-尿素、
【0065】
N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-フェニル-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-(p-トリル)-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-(m-トリル)-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-(o-トリル)-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-ベンジル-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-(β-フェネチル)-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-(1-ナフチル)-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-(2-ナフチル)-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-イソプロピルフェニル)-尿素、N-(4-ヒドロキシフェニル)-N’-(4-エチルフェニル)-尿素などが挙げられる。
【0066】
式(8)で表されるジハロゲン化スルホニル化合物としては、例えば、1,2-エタンジスルホニルクロライド、1,4-ブタンジスルホニルクロライド、ヘプタン-1,5-ジスルホニルクロライド、ベンゼン-1,2-ジスルホニルクロライド、ベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド、クロロベンゼン-2,4-ジスルホニルクロライド、メシチレン-2,4-ジスルホニルクロライド、キシレン-2,5-ジスルホニルクロライド、4,4’-ビフェニルジスルホニルクロライド、1,5-ナフタレンジスルホニルクロライド、4,4’-メチレンビス(ベンゼンスルホニルクロライド)、4,4'-チオビス(ベンゼンスルホニルクロライド)、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルクロライド)、4,4’-スルホニルビス(ベンゼンスルホニルクロライド)、4,4’-ジフェニルエ-テルジスルホニルクロライドなどのジスルホン酸クロライドが挙げられる。
【0067】
(感熱記録材料)
本発明の感熱記録材料は、常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記顕色剤が、前記のN,N’-ジアリール尿素誘導体を含有する。顕色剤として2種以上の化合物を併用して用いてもよく、既存の顕色剤を併用して用いてもよい。
【0068】
既存の顕色剤として、例えば、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(商品名:PF-201)、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]-ベンゼンスルホンアミド(商品名:NKK-1304)、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(フェニル)-尿素などの公知の非フェノ-ル顕色剤、4,4’-イソプロピリデンジフェノ-ル(BPA)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(BPS)、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン(商品名:BPS-MAE)、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名:TGSA)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシスルホン(商品名:D-8)、ジ-[3-メチル-N-{5-(フェノキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルスルホン(商品名:顕色剤UU)、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンおよびN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N,N’-ジ(3-p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素などが挙げられる。これらの公知の顕色剤と併用して用いることにより、これら公知の顕色剤の課題である保存性を更に向上させることが可能となる。
【0069】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層は、例えば、前記塩基性染料と前記式(1)~式(5)で表されるN,N’-ジアリール尿素誘導体を微細な粒子に粉砕分散し、バインダ-、増感剤、充填剤、滑剤、その他各種添加剤等を添加して得た塗工液を調製し、これを紙、プラスティックフィルム、加工紙等の支持体上に塗工して形成される。
【0070】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層に使用される、常温で無色ないし淡色の塩基性染料としてトリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、スピロ系、フルオレン系、チアジン系化合物が挙げられ、従来公知のロイコ染料から選ぶことができる。
【0071】
ロイコ染料として、例えば、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)-4-アザフタリド、3,3-ビス(p-メチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
【0072】
3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノベンゾ[α]フルオラン、3-(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-n-ヘキシルオキシフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)フタリド、3-(2-メチル-1-n-オクチルインド-ル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、
【0073】
3-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-[N-(3-エトキシプロピル)-N-エチルアミノ]6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ヘキシル-N-エチルアミノ)-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-2-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
【0074】
2,2-ビス{4-[6’-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-3’-メチルスピロ[フタリド-3,9’-キサンテン]-2’-イルアミノ]フェニル}プロパン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-ピロリジノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ジベンゾフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,7-ジメチルフルオラン、3-(N-メチル-p-トルイジノ)-7-メチルフルオラン、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7,8-ベンゾフルオラン、3,3’-ビス(1-n-アミル-2-メチルインド-ル-3-イル)フタリド、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7-フェノキシフルオラン、3,3’-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインド-ル-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-7-(N-フェニル-N-メチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-ジベンジルアミノフルオランなどからも選ぶことができ、本発明はこれらに限定されるものではなく、又2種類以上を併用してもよい。
【0075】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層において、必要に応じ増感剤を使用することができ、増感剤としては従来公知の増感剤が使用できる。
【0076】
増感剤として、例えば、ステアリン酸アミド、ビスステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、p-トルエンスルホンアミド、ステアリン酸、ベヘン酸やパルミチン酸などのカルシウム、亜鉛あるいはアルミニウムなどの脂肪酸金属塩、p-ベンジルビフェニル、ジフェニルスルホン、ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2-ベンジルオキシナフタレン、1,2-ビス(p-トリルオキシ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,3-ビス(フェノキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸p-メチルベンジル、m-ターフェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸などが挙げられる。
【0077】
特に1,2-ビス(p-トリルオキシ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタンが感度の面で好適である。
【0078】
本発明のN,N’-ジアリール尿素誘導体は特に耐油性が良好であり、従来公知の顕色剤の保存安定剤としても使用ができる。
【0079】
公知の顕色剤としては、例えば、4,4’-イソプロピリデンジフェノ-ル、4,4’-シクロヘキシリデンジフェニル、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェノキシエタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2’-ビス(4-(4-ヒドロキシジフェニル)フェノキシ)ジエチルエ-テル、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、N-p-トルエンスルホニル-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、N,N-ジ-m-クロロフェニルチオウレア、N-p-トリルスルホニル-N’-フェニルウレア、4,4’-ビス-[p-トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ]ジフェニルメタン、4-[2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸亜鉛、4-[3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸亜鉛、5-[2-(p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸亜鉛塩、4-(n-オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸の亜鉛塩等が挙げられる。
【0080】
更に、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-バリン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルグリシン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、N,N’-ビス[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ビス[3-(フェニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ビス[3-(メシチレンフェスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-[3-(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(3-[2’,4’,6’-トリメチルベンゼンスルホニルオキシ]フェニル)尿素、N-(3-ヒドロキシフェニル)-N’-(3-[ベンジルスルホニルオキシ]フェニル)尿素、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(フェニル)-尿素、N-3-[(ベンゼンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(フェニル)-尿素等が挙げられる。
【0081】
更に、本発明の感熱記録材料の感熱記録層には、従来公知の保存安定剤を併用することもできる。
【0082】
保存安定剤として、例えば、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノ-ル)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノ-ル)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノ-ル)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノ-ル)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチルm-クレゾ-ル)、1,1、3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1、3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、トリス(2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレ-ト、4,4’-チオビス(3-メチルフェノ-ル)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダ-ドフェノ-ル化合物、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸グリシジル、ビスフェノ-ルA型エポキシ樹脂型、クレゾ-ルノボラック型エポキシ樹脂、フェノ-ルノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウム塩または多価金属塩、ビス(4-エチレンイミンカルボニルアミノフェニル)メタン、更に、一般式(10)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。
【0083】
特に、1,1、3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1、3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホンおよび一般式(10)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物が更なる保存性改良に好適である。
【0084】
【化14】
(式中、nは1~7の整数を表す。)
【0085】
また、本発明の感熱記録材料の感熱記録層において、必要に応じ助剤を使用することができ、助剤としては、例えばジオクチオルコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコ-ル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよび高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、カスタ-ワックス、エステルワックス等のワックス類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、グリオキザ-ル、ホウ酸、ジアルデヒドスタ-チ、メチロ-ル尿素、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料、蛍光染料、および顔料等が挙げられる。
【0086】
本発明で感熱記録層に使用されるバインダ-としては、酸化澱粉、エステル化澱粉、エ-テル化澱粉等の澱粉類、メチルセルロ-ス、カルボキシメチルセルロ-ス、メトキシセルロ-ス、ヒドロキシエチルセルロ-ス等のセルロ-ス類、カゼイン、ゼラチン、完全(または部分)鹸化ポリビニルアルコ-ル、カルボキシ変性ポリビニルアルコ-ル、アセトアセチル変性ポリビニルアルコ-ル、珪素変性ポリビニルアルコ-ル、アミド変性ポリビニルアルコ-ル、スルホン酸変性ポリビニルアルコ-ル、ブチラ-ル変性ポリビニルアルコ-ル等のポリビニルアルコ-ル類、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体樹脂ならびに、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルアミド樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ビニルブチラ-ル・スチロ-ルおよびそれらの共重合体樹脂、アミド樹脂、シリコ-ン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クロマン樹脂などが挙げられる。これらのバインダ-は単独または2種以上を使用でき、溶剤に溶解して使用するほか、水または他の媒体中に乳化あるいはペ-スト状に分散した状態で使用することもできる。
【0087】
感熱記録層に配合される顔料としては、非晶性シリカ、非晶性珪酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカ、ポリスチレンパウダ-、ナイロンパウダ-、尿素-ホルマリン樹脂フィラ-、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体や中空プラスチックピグメント等の無機あるいは有機顔料等が挙げられる。
【0088】
本発明において感熱記録層に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤、バインダ-、顔料およびその他助剤等の添加剤の種類や使用量は、感熱記録層に要求される品質性能に応じて適宜決定される。
【0089】
本発明における感熱記録層において、顕色剤として前記式(1)~(5)で表されるN,N’-ジアリール尿素誘導体の含有量は、発色濃度の観点から、感熱記録層の塩基性染料1質量部に対して、0.3~5質量部が好ましく、更には0.4~3質量部がより好ましい。
【0090】
更に、増感剤は塩基性染料1部に対し0.2~4質量部、バインダ-は感熱記録層の全固形分中5~50質量%が適当である。支持体としては、紙、再生紙、合成紙、プラスティックフィルム、不織布、金属箔等が使用可能である。また、これらを組み合せた複合シ-トも使用可能である。
【0091】
また、保存性を高める目的で有機顔料を含有する高分子物質からなるオーバーコート層を設けても良い。さらにサーマルヘッドヘの粕付着を防止、印字画質向上、感度を向上させる目的で有機顔料、無機顔料、中空微粒子および発泡粒子などを含有するアンダーコート層を設けても良い。
【0092】
本発明において感熱記録層に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤および必要により保存安定剤等は、例えば水を分散媒体として、ボールミル、アトライター、サンドミル等の攪拌粉砕機によって平均粒子径が2μm以下になるように微分散され使用される。
このように微分散された分散液に、必要により顔料、バインダー、助剤等を混合撹拌することで感熱記録層塗料は調製される。
【0093】
このようにして得られた感熱記録層塗料を、乾燥後の塗布量が1.0~20g/m程度、好ましくは1.5~12g/m程度、より好ましくは2.0~7.0g/m程度、特に好ましくは3~7g/m程度になるように、支持体上に塗布し、乾燥することで感熱記録層は形成される。
【0094】
感熱層を形成するための塗工方法は特に限定されるものではなく、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、スライドビロードコーティング、オフセットグラビアコーティング、5本ロールコーティング等の適当な塗工方式により塗工することができる。
【0095】
このようにして調製される感熱記録層用塗料を、支持体上に直接塗工することにより、支持体上に感熱記録層を積層してもよいし、支持体上にまず下塗り層を形成し、形成された下塗り層上に感熱記録層を形成してもよい。下塗り層の設けることにより、感度、画質の改善、印字粕吸収機能の改善ができる。
下塗り層の組成は、目的により適宜選択すればよいが、一般に、バインダー、顔料などが含まれる。
【0096】
下塗り層に用いられるバインダーは感熱記録層で使用するような樹脂を用いることができる。すなわち、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、メトキシセルロ-ス、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース樹脂、カゼイン、ゼラチン、完全(または部分)鹸化ポリビニアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコ-ル、珪素変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、スチレン-無水マレイン酸共重合体系ラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体系ラテックス、酢酸ビニル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス及びアクリル樹脂系ラテックス等を用いることができる。
【0097】
下塗り層に含有される無機顔料としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物、金属水酸化物、硫酸塩、炭酸塩などの金属化合物、無定形シリカ、焼成カオリン、タルク等の無機白色顔料などが挙げられる。これらのうち、特に焼成カオリンは発色感度および粕吸収性に優れていることから、好ましく用いられる。尚、無機顔料の粒子径としては0.5~3.0μm程度のものが好ましい。
【0098】
また、下塗り層に含有される有機顔料としては、球状樹脂粒子(所謂、密実型樹脂粒子)、中空粒子、貫通孔を有する樹脂粒子、中空樹脂粒子の一部を変面で裁断して得られるような開口部を有する樹脂等が挙げられる。記録濃度を高めるには中空樹脂が好ましく使用される。
【0099】
発色感度、画質の改善とサーマルヘッドへの粕付着の改善を両立させるため、無機顔料系と有機樹脂系を併用することが一般的に行われ、無機顔料と有機顔料の使用比率が、質量比で90:10~30:70程度が好ましく、更には70:30~50:50がより好ましい。
【0100】
更に、感度の向上を図るため、発泡系樹脂を使用することもできる。
【0101】
下塗り層は、一般に水を分散媒体とし、無機顔料、有機顔料から選ばれる少なくとも1種とバインダ-を混合攪拌して得られる下塗り層塗料を、支持体上に乾燥後の塗布量が1~20g/m、好ましくは5~15g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。前記バインダ-及び顔料の使用量としては、下塗り層全固形分に対してバインダ-が5~40質量%程度、顔料が10~95質量%程度が好ましい。更に下塗り層用塗料には、必要に応じて、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の滑剤、蛍光染料、着色染料、界面活性剤、架橋剤等の各種助剤を添加することもできる。
【0102】
下塗り層は1層でも良く、場合によっては2層以上設けてもよい。
【0103】
感熱記録層上に、成膜性を有するバインダ-を主成分とする保護層を設けてもよい。保護層用塗料は、例えば水を媒体とし、バインダ-成分、顔料、及び、更に必要により助剤とを混合攪拌して調製される。
保護層に用いられるバインダ-、顔料、助剤としては、上記の感熱記録層で用いられるものが使用される。
【0104】
更にまた、保護層上に光沢層を設けてもよい。光沢層としては、例えば電子線または紫外線硬化性化合物を主成分とする塗液を塗布後、電子線や紫外線を照射して硬化させる方法や超微粒子のコアシェル型アクリル樹脂を使用する方法等が挙げられる。または更に、支持体の裏面側に帯電防止層を設けてもよい。
【0105】
下塗り層、保護層、光沢層等を形成するための塗料は、感熱記録層と同様に、ピュア-ブレ-ドコ-ティング、ロッドブレ-ドコ-ティング、カ-テンコ-ティング、オフセットグラビアコ-ティング等の適当な塗工方式により塗工することができ、乾燥により各層が形成される。
【0106】
各層を形成した後、ス-パ-キャレンダ-処理する等の感熱記録材料製造分野における各種の公知処理技術を適宜付加してもよい。
【実施例
【0107】
以下、合成例、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例中、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表わす。
【0108】
(合成例1)
1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
【0109】
【化15】
【0110】
温度計、攪拌機を付した四ツ口フラスコにN-3-ヒドロキシフェニル-N'-フェニル尿素9.1g、酢酸エチル80g、トリエチルアミン4.5gを仕込み40℃に加温した後、酢酸エチルに溶解したベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド5.8gを滴下し4時間反応させた。反応終了後、有機層を塩酸水溶液、重曹水溶液で水洗した。溶媒を留去した後、メタノ-ルで結晶化させた。
【0111】
この結晶は、1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンであることを確認した。図1にIRチャ-トを示す。図2H-NMRスペクトルを示す。図3にFDマススペクトルを示す。
【0112】
(合成例2)
1,3-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
【0113】
【化16】
【0114】
合成例1のN-3-ヒドロキシフェニル-N'-フェニル尿素9.1gをN-3-ヒドロキシフェニル-N'-m-トリル尿素9.6gに代える以外、合成例1と同様にして1,3-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを合成した。図4にIRチャ-トを示す。
【0115】
(合成例3)
1,3-ビス-(4-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
【0116】
【化17】
【0117】
合成例2のN-3-ヒドロキシフェニル-N'-m-トリル尿素9.6gをN-4-ヒドロキシフェニル-N'-m-トリル尿素9.6gに代える以外、合成例2と同様にして1,3-ビス-(4-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを合成した。図5にIRチャ-トを示す。
【0118】
(合成例4)
4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニルの合成
【0119】
【化18】
【0120】
合成例2において、ベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド5.8gを4,4’-ビフェニルジスルホニルクロライド7.0gに代える以外、合成例2と同様にして4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニルを合成した。図6にIRチャ-トを示す。
【0121】
(合成例5)
4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テルの合成
【0122】
【化19】
【0123】
合成例4の4,4’-ビフェニルジスルホニルクロライド7.0gを4,4’-ジフェニルエ-テルジスルホニルクロライド7.3gに代える以外、合成例4と同様にして4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テルを合成した。図7にIRチャ-トを示す。
【0124】
(合成例6)
4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テルの合成
【0125】
【化20】
【0126】
合成例5において、N-3-ヒドロキシフェニル-N'-m-トリル尿素9.6gをN-3-ヒドロキシフェニル-N'-フェニル尿素9.1gに代える以外、合成例5と同様にして4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テルを合成した。図8にIRチャ-トを示す。
【0127】
(合成例7)
4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニルの合成
【0128】
【化21】
【0129】
合成例4において、N-3-ヒドロキシフェニル-N'-m-トリル尿素9.6gをN-3-ヒドロキシフェニル-N'-フェニル尿素9.1gに代える以外、合成例4と同様にして4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニルを合成した。図9にIRチャートを示す。
【0130】
(合成例8)
1,3-ビス-(3-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
【0131】
【化22】
【0132】
合成例2のN-3-ヒドロキシフェニル-N'-m-トリル尿素9.6gをN-3-ヒドロキシフェニル-N'-p-トリル尿素9.6gに代える以外、合成例2と同様にして1,3-ビス-(3-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを合成した。図10にIRチャートを示す。
【0133】
(合成例9)
1,3-ビス-(3-[3-{1-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
【0134】
【化23】
【0135】
合成例2において、N-3-ヒドロキシフェニル-N'-m-トリル尿素9.6gをN-3-ヒドロキシフェニル-N'-1-ナフチル尿素8.4gに、ベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド5.8gを4.2gに、トリエチルアミン4.5gを3.9gに代える以外、合成例2と同様にして1,3-ビス-(3-[3-{1-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを合成した。図11にIRチャートを示す。
【0136】
[アンダーコート用塗料の調製]
プラスチック中空粒子(商品名:ローペイクSN-1055:中空率:55%、固形分26.5%)100部、焼成カオリンの50%分散液100部、スチレン-ブタジエン系ラテックス(商品名:L-1571 固形分48%)25部、酸化澱粉の10%水溶液50部および水20部を混合して、アンダーコート用塗料を作成した。
【0137】
(実施例1)
[感熱記録用塗料の作成]
A液(染料分散液の調製)
3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン
10部
10%ポリビニルアルコ-ル水溶液 10部
水 16.7部
【0138】
B液(顕色剤分散液の調製)
1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1) 20部
10%ポリビニルアルコ-ル水溶液 20部
水 33.3部
【0139】
C液(増感剤分散液の調製)
1,2-ビス(m-トリルオキシ)エタン 15部
10%ポリビニルアルコ-ル水溶液 15部
水 25部
【0140】
上記A液、B液およびC液の分散液をサンドグラインダーで平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕し、下記割合で分散液を混合して塗布液とした。
A液(染料剤分散液) 36.7部
B液(顕色剤分散液) 73.3部
C液(増感剤分散液) 55.0部
【0141】
水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH-42)27部、無定形シリカ(商品名:ミズカシルP-527)10部、酸化澱粉の10%溶解物100部、ステアリン酸亜鉛分散液:(商品名:ハイドリンZ-8-36)19.4部および水50部からなる組成分を混合して感熱記録用塗料を作製した。
【0142】
[感熱記録材料の作成]
支持体として坪量が53gの上質紙(酸性紙)にアンダーコート用塗料を乾燥後の面積当たりの質量が6g/mとなるように塗布および乾燥し、その後、感熱記録層用塗料を、乾燥後の面積当たりの質量が3.8g/mになるように塗布乾燥した。
このシ-トをス-パ-カレンダ-で平滑度(JISP8155:2010)が900~1200sになるように処理して感熱記録材料を作成した。
【0143】
[各種試験]
1.感熱記録性試験(発色試験)
作成した感熱記録材料について、感熱記録紙印字試験機(大倉電気社製TH-PMD)を用い、印加エネルギー0.38mJ/dotで印加した。記録部の印字濃度はマクベス反射濃度計RD-914で測定した。これを試験前サンプル(ブランク)とした。
【0144】
2.耐湿熱性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を試験温度40℃、90%RHの環境下に24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0145】
3.耐熱性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を試験温度60℃の恒温環境下に24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0146】
4.耐光性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を5000Luxに100時間暴露しその後、画像濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0147】
5.耐水性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を水中に15時間浸漬しその後、試験片を風乾させ、画像濃度と未印字部をマクベス反射濃度計で測定した。
【0148】
6.耐油性試験-1
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料にサラダオイル中に10分間浸漬しその後、試験片の油をふき取り、画像濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0149】
7.耐油性試験-2
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料にサラダオイル中に3時間浸漬しその後、試験片の油をふき取り、画像濃度をマクベス反射濃度計で測定した。この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった
【0150】
(実施例2)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を1,3-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例2)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0151】
(実施例3)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を1,3-ビス-(4-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例3)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0152】
(実施例4)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル(合成例4)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0153】
(実施例5)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を4,4’-ビス-(3-[3-{m-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル(合成例5)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0154】
(実施例6)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエ-テル(合成例6)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0155】
(実施例7)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を4,4’-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ビフェニル(合成例7)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0156】
(実施例8)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を1,3-ビス-(3-[3-{p-トリル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例8)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
【0157】
(実施例9)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を1,3-ビス-(3-[3-{1-ナフチル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例9)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
【0158】
(比較例1)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を4,4’-イソプロピリデンジフェノ-ル(ビスフェノ-ルA)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0159】
(比較例2)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノ-ルS)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0160】
(比較例3)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホンに代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0161】
(比較例4)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を4-ヒドロキシ-4’-イソプロピルオキシ-ジフェニルスルホンに代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0162】
(比較例5)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)をN-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0163】
(比較例6)
実施例1のB液の1,3-ビス-(3-[3-フェニルウレイド]フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)をN-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)-ベンゼンスルホンアミドに代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0164】
【表1】
【0165】
実施例および表より明らかなように、本発明のN,N’-ジアリール尿素誘導体から作製される感熱記録材料は、非印字部の白色度が高く、良好な発色濃度を示し、印字部の耐湿熱性、耐熱性、耐光性、耐水性、耐油性の全ての保存性試験に於いても良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明のN,N’-ジアリール尿素誘導体から作製される感熱記録材料は、使用する顕色剤が、一般式(1)で表されるN,N’-ジアリール尿素誘導体であるため、非印字部の白色度が高く、良好な発色濃度を示し、更に全ての保存性試験で良好な保存性が得られ、従来の感熱記録材料に代わるものとして産業上の利用可能性は極めて有望である。
図1
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