(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】生産設備情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20221115BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20221115BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20221115BHJP
【FI】
G06F21/62
G06F21/31
G06F21/32
(21)【出願番号】P 2022100310
(22)【出願日】2022-06-22
【審査請求日】2022-06-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522250482
【氏名又は名称】株式会社MEDIUS
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】久米 隆司
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-199095(JP,A)
【文献】特開2018-026147(JP,A)
【文献】特開2019-003339(JP,A)
【文献】特開2019-106158(JP,A)
【文献】特開2007-258881(JP,A)
【文献】特開2015-179348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
G06F 21/31
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産設備を特定させる機器ID表示手段と、可搬式情報端末と、生産設備情報を管理させるサーバと、通信手段とを含んだ生産設備情報管理システムにおいて、
前記機器ID表示手段が、非接触式の機器ID表示手段とされ、
前記可搬式情報端末が、前記機器ID表示手段から非接触の状態で機器IDを取得する機器ID取得手段と、ユーザを認証するユーザ認証手段と、表示手段として機能され、
前記サーバが、ログイン情報記憶手段と、表示案内手段として機能され、
前記ユーザ認証手段により認証されたユーザが、前記生産設備に係る製造者と使用者とを含んだ複数企業の一団に属するいずれかのユーザとされ、
前記ログイン情報記憶手段が、前記ユーザの生産設備についての管理権限と、前記生産設備に係る企業ごとに分類された生産設備情報表示の群とを記憶し、
前記生産設備情報表示が、前記ユーザが属する企業ごとに分類された管理画面とされ、
前記通信手段により前記可搬式情報端末と前記サーバとがオンライン状態とされ、
前記機器ID取得手段により取得された前記機器IDと、前記ユーザ認証手段により認証された前記ユーザが属する企業をなす組織の組織IDとユーザの個人IDとが、前記サーバに送信され、
前記サーバがなす前記表示案内手段が、生産設備情報抽出手段と、表示誘導手段として機能され、
前記生産設備情報抽出手段が、前記機器IDと前記組織IDに応じた前記ユーザが属する企業用に分類された前記生産設備情報表示の群を抽出し、
前記表示誘導手段が、前記個人IDを有する前記ユーザの管理権限に応じた最新の前記生産設備情報表示を、前記群の中から絞り込んで、前記可搬式情報端末の前記表示手段に誘導し、
前記ユーザが、オンライン状態のままで、前記生産設備情報の閲覧から編集までが可能である、
ことを特徴とする生産設備情報管理システム。
【請求項2】
前記機器ID表示手段が、機器IDを多次元コードで表示する機器ID表示、又は、機器IDを記録したRFIDタグとされ、
前記機器ID表示については、前記機器ID取得手段が撮影により機器IDを取得し、
前記RFIDタグについては、前記機器ID取得手段が近距離無線通信により機器IDを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の生産設備情報管理システム。
【請求項3】
前記可搬式情報端末が、指紋認証手段と顔認証手段と脈波認証手段とからなる生体認証手段のうちの、少なくともいずれかの生体認証手段を備えている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生産設備情報管理システム。
【請求項4】
前記生産設備と前記サーバとがインターネット通信されていない、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生産設備情報管理システム。
【請求項5】
前記生産設備と前記サーバとがインターネット通信され、
前記生産設備から前記サーバに生産重要情報が送信されると共に、前記サーバから前記生産設備には生産設備情報が通信されない、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生産設備情報管理システム。
【請求項6】
前記表示手段が、入力手段としても機能され、
可搬式情報端末に表示された、ユーザの管理権限に応じた生産設備情報表示から、生産設備の駆動情報の設定変更が入力可能とされている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生産設備情報管理システム。
【請求項7】
更に、使用者、製造者、販売仲介者のいずれかに係る生産設備の前記機器ID表示が収録された冊子が含まれ、
前記機器ID表示が、生産設備の属性に応じて分類して登録されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の生産設備情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産設備がネットワーク管理されているか否か、又は、生産設備の設置場所にユーザが居るか否かに拘わらず、ユーザ自らが管理権限を有する生産設備情報サイト(以下、生産設備情報表示という)に直接かつ容易にアクセスでき、生産設備情報を管理することができる生産設備情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産事業者の工場においては、複数の異なる製造者により提供された多くの生産設備が使用されている。一方、生産設備の製造者は、複数の異なる生産事業者に生産設備を提供している。特許文献1には、生産設備が、どの製造者に提供された物であるか、又は、どの生産事業者に使用されている物であるかに拘わらず、生産設備情報について、生産事業者、製造者又は販売仲介者の立場から、齟齬がない管理をすることができる生産設備情報共有システムの技術が、本願の出願人により開示されている。
【0003】
生産工場の多くの生産設備を、ネットワークを通してサーバにおいて管理させると、各生産設備に係る情報を円滑に、齟齬なく管理できる利点がある反面、ネットワークがインターネットに接続されていると、外部の侵入者により生産設備情報が閲覧・窃盗・改ざんされるおそれが近年高まっている。
【0004】
そのため生産設備をインターネットから切り離して、生産設備情報を設置場所で管理したいというニーズがある。一方、生産設備情報を設置場所だけで管理すると、多くの生産設備について夫々の設置場所で管理しなければならず面倒であると共に、類似機能の生産設備が複数ある場合でも、それらの生産設備情報を対比しながら管理できないという課題があった。
【0005】
特許文献2には、生産設備をネットワークから切り離して管理する技術が開示されている。この技術によれば、生産設備を特定する二次元コード(例えばQRコード(登録商標))を、生産設備に表示しておき、可搬式情報端末により二次元コードを撮影して管理サーバに通信して、管理サーバで管理している電子マニュアルを可搬式情報端末にダウンロードするとされている。
【0006】
特許文献3には、生産設備に表示させたQRコード(登録商標)により、特許文献2の技術と同様にして、部品情報をサーバから取得して、可搬式情報端末に表示・更新可能にし、メーカ、販売元、ユーザの間で管理できるとする技術が開示されている。
【0007】
これらの技術によれば、可搬式携帯端末により二次元コードを取得した者が、管理権限を有しているか否かに拘わらず、その生産設備情報にアクセスすることができる。管理権限のない者、例えば工場見学者にその二次元コードが撮影されて、生産設備情報が漏洩するという可能性があった。
【0008】
特許文献4には、電力系統設備等の現場にある監視制御装置において、製品情報を確認しやすくする情報管理システムが開示されている。ユーザは、監視制御装置のバーコード等の装置ID情報を、ネットワーク端末装置のIDリーダにより読み取って、クラウドの製品情報DBに登録されている製品情報セットを取得するとされている。
【0009】
ユーザは、製品情報の追加、編集、削除等の権限に応じて、製品情報が更新可能とされている。無権限者については、クラウドへのアクセスができないようにセキュリティ処理により対応するとされている。しかし情報管理システムは、ユーザ用のシステムであるため、メーカや販売仲介者は、現地で情報の閲覧・更新をすることはできず、三者間で生産設備情報を共有することはできなかった。
【0010】
また、特許文献5には、電気自動車(以下、EVという)充電機をネットワークに接続させていない状態で、充電利用者がEVに充電する際に、EV充電機において発生したエラー情報を充電利用者の利用情報・支払情報と共に、EV充電機に表示させたQRコード(登録商標)を撮影して、充電利用者の携帯式情報端末により、サーバに伝達する技術が開示されている。
【0011】
この技術によれば、サーバには、予め充電利用者は利用権限を有する者として登録されている。しかし充電利用者は、EV充電機の利用権限を有しているに過ぎず、EV充電機の管理権限を有していない不特定者である。そのため、管理権限が限定されている生産設備には適用できなかった。
【0012】
特許文献4又は特許文献5に記載の技術とは異なり、生産設備情報は、特許文献1に示されているように、生産事業者、製造者、販売仲介者のいずれかに属するユーザを、それぞれ異なる各自の利用権限に基づいて、そのユーザ用に表示される生産設備情報表示だけにアクセスさせて、生産設備情報を管理させるようにすることが好適である。
【0013】
従来は、多くの生産設備の夫々の設置場所で、前記ユーザに認められた管理権限に応じた、そのユーザ用の生産設備情報表示を直接表示させて、生産設備の状況に応じて管理することはできなかった。更に、類似機能の生産設備が複数ある場合には、それらの生産設備情報表示を対比しながら管理することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特許7075640号公報
【文献】国開2019-053899号公報
【文献】特開2021-176067号公報
【文献】特開2018-073114号公報
【文献】特開2021-015410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、生産設備情報が外部の侵入者により閲覧・窃盗・改ざんされない状態で、生産者、製造者、販売仲介者のいずれかに属するユーザが、その権限の範囲で、個々の生産設備情報表示に容易にアクセスでき、閲覧・更新できることを課題とした。
【0016】
具体的には、ネットワークから切り離して独立させた生産設備について、その生産設備の設置場所であるか否かに拘わらず、生産者、製造者、販売仲介者のいずれかに属するユーザが、容易に自己の権限の範囲だけの情報が表示される生産設備情報表示に至り、その情報を閲覧・更新可能とするようにログインできる生産設備情報管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の発明は、生産設備を特定させる機器ID表示手段と、可搬式情報端末と、生産設備情報を管理させるサーバと、通信手段とを含んだ生産設備情報管理システムにおいて、前記機器ID表示手段が、非接触式の機器ID表示手段とされ、前記可搬式情報端末が、前記機器ID表示手段から非接触の状態で機器IDを取得する機器ID取得手段と、ユーザを認証するユーザ認証手段と、表示手段として機能され、前記サーバが、ログイン情報記憶手段と、表示案内手段として機能され、前記ユーザ認証手段により認証されたユーザが、前記生産設備に係る製造者と使用者とを含んだ複数企業の一団に属するいずれかのユーザとされ、前記ログイン情報記憶手段が、前記ユーザの生産設備についての管理権限と、前記生産設備に係る企業ごとに分類された生産設備情報表示の群とを記憶し、前記生産設備情報表示が、前記ユーザが属する企業ごとに分類された管理画面とされ、前記通信手段により前記可搬式情報端末と前記サーバとがオンライン状態とされ、前記機器ID取得手段により取得された前記機器IDと、前記ユーザ認証手段により認証された前記ユーザが属する企業をなす組織の組織IDとユーザの個人IDとが、前記サーバに送信され、前記サーバがなす前記表示案内手段が、生産設備情報抽出手段と、表示誘導手段として機能され、前記生産設備情報抽出手段が、前記機器IDと前記組織IDに応じた前記ユーザが属する企業用に分類された前記生産設備情報表示の群を抽出し、前記表示誘導手段が、前記個人IDを有する前記ユーザの管理権限に応じた最新の前記生産設備情報表示を、前記群の中から絞り込んで、前記可搬式情報端末の前記表示手段に誘導し、前記ユーザが、オンライン状態のままで、前記生産設備情報の閲覧から編集までが可能であることを特徴としている。
【0018】
ここで、機器IDとは、機器を特定させる、機器番号、バーコード、多次元コード等であればよく限定されない。機器ID表示手段は、生産設備ごとのRFIDタグ又は多次元コード等であればよい。バーコード、多次元コードの場合には、機器に添着、表示装置に表示、冊子に印刷され等、表示の形態は限定されない。類似した機能を有する複数の機器ID表示がシートに印刷され、冊子に綴りこまれていれば、設置場所を離れていても、生産設備情報を対比して管理しやすい。
【0019】
可搬式情報端末は、RFIDタグ読取手段、又は情報読取カメラ(以下、読取カメラという)を有する多機能情報端末機が好適であるが限定されない。ユーザが機器IDを入力する必要がないため、生産設備機器の特定が容易である。可搬式情報端末は、サーバと通信手段により通信されればよく、生産設備との通信は任意である。可搬式情報端末がサーバから取得した生産設備の駆動仕様を変更する情報は、USBメモリ等の情報伝達媒体、有線又は無線通信等により、生産設備に取得させればよい。
【0020】
サーバには、製造者、使用者等に属する個々のユーザの管理権限に応じた生産設備情報表示、換言すれば群をなす複数のユーザ用の異なる管理画面のいずれか、が表示されるように、生産設備情報とユーザ用の管理画面とが記憶されている。まず、生産設備情報抽出手段により、その機器IDに係る生産設備情報表示の群を抽出しておいてから、更に、可搬式情報端末により認証されたユーザに係る生産設備情報表示を絞り込んで、可搬式情報端末に誘導して表示させている。生産情報表示は、単一のページに限定されず、タブにより選択可能なようにページが重なっていてもよい。
【0021】
ユーザの認証は、生体情報認証により特定個人を認証することが好適であるが、パスワード入力又はパターン入力により可搬式情報端末を操作している者を、管理権限を有する者として、可搬式情報端末IDにより認証してもよい。生産設備情報とは、生産設備を駆動させる速度、温度などの機器情報に限定されず、部品番号、製造者、仲介代理店、メンテナンス時期等の管理情報であってもよい。
【0022】
第1の発明によれば、可搬式情報端末によりユーザと生産設備を特定して、サーバから、ユーザの管理権限で認められた生産設備情報表示を、ダイレクトに可搬式情報端末に誘導して表示させているため、ユーザは生産設備の設置場所において、情報漏洩の恐れがない状態で、面倒な操作をしないで、自己の権限に係る生産設備情報を閲覧し、又は生産設備情報の更新をする等をし、生産設備情報を管理しやすいという従来にない有利な効果を奏する。
【0023】
また、ユーザを単に使用者のユーザに限定しないで、製造者のユーザ、更に別の製造者、別の使用者のユーザをも対象として生産設備情報が管理できる。製造者の中に販売仲介者を含めて生産設備情報を管理させてもよい。これにより、複数の異なる製造者により提供された多くの生産設備を使用する使用者、又は、複数の異なる生産事業者に生産設備を提供した製造者でも、自己に係る生産設備の管理が容易であるという効果を奏する。
【0024】
本発明の第2の発明は、第1の発明の生産設備情報管理システムにおいて、前記機器ID表示手段が、機器IDを多次元コードで表示する機器ID表示、又は、機器IDを記録したRFIDタグとされ、前記機器ID表示については、前記機器ID取得手段が撮影により機器IDを取得し、前記RFIDタグについては、前記機器ID取得手段が近距離無線通信により機器IDを取得することを特徴としている。
【0025】
第2の発明によれば、機器ID表示手段が、多次元コード又はRFIDのいずれかであればよいため、汎用性を高くすることができる。更に、機器ID表示手段に記録できる情報量が多くなり、単に機器番号に限定しないで、機器の設置場所、機器の種類、生産設備の製造者、使用者、販売仲介者等の情報を複合した情報として示すことができるため、生産設備情報表示の群に至りやすいという効果を奏する。
【0026】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の生産設備情報管理システムにおいて、前記可搬式情報端末が、指紋認証手段と顔認証手段と脈波認証手段とからなる生体認証手段のうちの、少なくともいずれかの生体認証手段を備えていることを特徴としている。
【0027】
第3の発明によれば、信頼性が高く、普及しているいずれかの生体認証により、可搬式情報端末を操作している特定個人を認証でき、ユーザの管理権限の真正性が保証されるという効果を奏する。複数種類の生体認証方法を組み合わせて、ユーザを認証すればより真正性が高く保証されることは勿論のことである。
【0028】
本発明の第4の発明は、第1又は第2の発明の生産設備情報管理システムにおいて、前記生産設備と前記サーバとがインターネット通信されていないことを特徴としている。ここでインターネット通信されていないとは、生産設備が、通信手段を備えていても、その通信手段の電源をオフにし、通信機能を停止させ、又はインターネット通信をブロックしている等の場合を含む。第4の発明では、生産設備とサーバとがインターネット通信されていないため、侵入者により不正に生産設備情報が閲覧・窃盗・改ざんされるおそれがないという効果を奏する。
【0029】
本発明の第5の発明は、第1又は第2の発明の生産設備情報管理システムにおいて、前記生産設備と前記サーバとがインターネット通信され、前記生産設備から前記サーバに生産重要情報が送信されると共に、前記サーバから前記生産設備には生産設備情報が通信されないことを特徴としている。第5の発明によれば、生産設備の駆動に伴う、温度、湿度、速度、商品欠陥発見等の生産重要情報が、生産設備により発生されたタイミングで管理できるという効果を奏する。
【0030】
本発明の第6の発明は、第1又は第2の発明の生産設備情報管理システムにおいて、前記表示手段が、入力手段としても機能され、可搬式情報端末に表示された、ユーザの管理権限に応じた生産設備情報表示から、生産設備の駆動情報の設定変更が入力可能とされていることを特徴としている。
【0031】
第6の発明によれば、可搬式情報端末により生産設備の駆動情報の設定が変更できるため、生産設備の設置場所で生産設備の駆動状態を確認しながら、生産設備に適するように駆動情報の設定を変更することができるという効果を奏する。
【0032】
本発明の第7の発明は、第2の発明の生産設備情報管理システムにおいて、更に、使用者、製造者、販売仲介者のいずれかに係る生産設備の前記機器ID表示が収録された冊子が含まれ、前記機器ID表示が、生産設備の属性に応じて分類して登録されていることを特徴としている。
【0033】
第7の発明によれば、冊子に表示された機器ID表示を可搬式情報端末により撮影して、サーバにアクセスすることにより、使用者は、自己が使用する複数の生産設備の生産設備情報を、設置場所とは異なる場所で、生産設備とサーバとを通信させない状態で管理することができる。製造者又は販売仲介者は、自社に係る複数の生産設備情報を自社において管理することが容易である。
【0034】
ここで生産設備の属性とは、生産物の種類、設置ライン、生産設備機能、生産環境等であればよく限定されず、冊子を使用する者の便宜に応じて分類されればよい。一つの機器ID表示が、2つの分類に属していてもよいことは勿論のことである。機器ID表示が、属性に応じて分類して登録されていることにより、同一属性の生産設備の生産設備情報を対比して管理することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0035】
・本発明の第1の発明によれば、ユーザは生産設備の設置場所において、情報漏洩の恐れがない状態で、面倒な操作をしないで、自己の権限に係る生産設備情報を閲覧し、又は生産設備情報の更新をする等をし、生産設備情報を管理しやすいという従来にない有利な効果を奏する。また、複数の異なる製造者により提供された多くの生産設備を使用する使用者、又は、複数の異なる生産事業者に生産設備を提供した製造者でも、自己に係る生産設備の管理が容易であるという効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、機器ID表示手段が、多次元コード又はRFIDのいずれかであればよく、汎用性を高くすることができる。更に、機器ID表示手段に記録できる情報量が多くなり、単に機器番号に限定しないで、機器の設置場所、機器の種類、生産設備の製造者、使用者、販売仲介者等の情報を複合した情報として示すことができるため、生産設備情報表示の群に至りやすいという効果を奏する。
【0036】
・本発明の第3の発明によれば、信頼性が高く、普及しているいずれかの生体認証により、可搬式情報端末を操作している特定個人を認証でき、ユーザの管理権限の真正性が保証されるという効果を奏する。
・本発明の第4の発明によれば、生産設備とサーバとがインターネット通信されていないため、侵入者により不正に生産設備情報が閲覧・窃盗・改ざんされるおそれがないという効果を奏する。
【0037】
・本発明の第5の発明によれば、生産設備の駆動に伴う、温度、湿度、速度、商品欠陥発見等の生産重要情報が、生産設備により発生されたタイミングで管理できるという効果を奏する。
・本発明の第6の発明によれば、可搬式情報端末により生産設備の駆動情報の設定が変更できるため、生産設備の設置場所で生産設備の駆動状態を確認しながら、生産設備に適するように駆動情報の設定を変更することができるという効果を奏する。
・本発明の第7の発明によれば、機器ID表示が、属性に応じて分類して登録されていることにより、同一属性の生産設備の生産設備情報を対比して管理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】生産設備情報管理システムの説明図(実施例1)。
【
図2】生産設備情報管理システムのブロック図(実施例1)。
【
図5】生産設備情報表示を表示させるまでのフロー(実施例1)。
【
図6】ユーザの管理権限の特定フロー(実施例1)。
【
図7】使用者ユーザの生産設備情報表示の具体例(実施例1)。
【
図8】製造者ユーザの生産設備情報表示の具体例(実施例1)。
【
図9】販売仲介者ユーザの生産設備情報表示の具体例(実施例1)。
【
図11】生産設備の駆動情報を比較検討する具体例(実施例1)。
【
図12】生産設備情報管理システムのブロック図(実施例2)。
【
図14】可搬式情報端末による駆動変更の説明図(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
可搬式情報端末(以下、端末という)がユーザを認証し、機器IDを取得し、サーバが機器IDに係る生産設備情報表示の群を抽出し、更に、ユーザに係る生産設備情報表示を絞り込み、端末の表示手段に誘導し、ユーザの管理権限に応じた生産設備情報表示のみが表示されるようにした。
【実施例1】
【0040】
実施例1では、
図1から
図11を参照して、スタンドアロンとされている生産設備の生産設備情報管理システム1を説明する。
図1(A)図は、生産設備情報管理システムの概要図を示し、
図1(B)図は、生産設備情報表示の取得の説明図を示している。
図2は、生産設備情報管理システムのブロック図を示している。
図3は、複数企業の一団の組織構成図を示している。
図4は、各ユーザの管理権限の具体例を示している。
【0041】
図5は、生産設備情報表示を表示させるまでのフローを示している。
図6は、端末においてユーザIDを特定させるフローを示している。
図7から
図9は、使用者ユーザ、製造者ユーザ、販売仲介者ユーザの生産設備情報表示の具体例を示している。
図10は、機器ID表示を示した冊子の具体例を示している。
図11は、生産設備情報表示を対比して設定変更する具体例を示している。
【0042】
生産設備情報管理システム1は、生産設備10を特定させる機器ID表示100と、RFIDタグ120と、夫々のユーザに操作される端末200と、生産設備情報を管理させるサーバ300と、通信手段400とを含んでいる(
図1参照)。機器ID表示手段をなす機器ID表示100は、数字、文字、バーコード、多次元コード等であればよく限定されない。機器ID表示手段をなすRFIDタグは、近距離無線通信により機器IDを取得できればよい。機器ID表示から取得される情報は、サーバが機器を特定できる情報であればよく、その生産設備情報表示にダイレクトに到達するURLであってもよい。なお、機器ID表示とRFIDタグは、いずれかのみに統一されてもよい。
【0043】
可搬式情報端末200は、タブレット端末、スマートフォン、ノートパソコン等であればよいが限定されず、キャスター付きの移動式操作盤であってもよい。複数企業の一団に属するユーザが端末を操作し、無線ネットワークを通してサーバとインターネット通信されると好適であるが、ユーザの数は限定されない。
【0044】
複数企業の一団とは、生産設備に係る、少なくとも使用者500と製造者600とを含み、販売仲介者700が含まれていてもよい(
図3参照)。
図3では、理解を容易にするために、使用者のみが2社、製造者が1社、販売仲介者が1社の例を示しているが、その数が限定されないことは勿論のことである。
【0045】
以下、使用者を「P1,P2…」とし、製造者を「M1,…」とし、販売仲介者を「S1,…」として説明する。また、P1に属する担当者(以下、ユーザという)を「P1a,P1b…」とし、M1に属するユーザを「M1a,…」とし、S1に属するユーザを「S1a,…」と示している。P2以下も同様である。
【0046】
生産設備10には、使用者の使用者IDと、製造者の製造者IDが付され、生産設備の番号を示す機番IDが付されている。具体的には、「xyz」で示される生産設備は、使用者(x)が使用し、製造者(y)が製造し、機番(z)の生産設備を示し、機器IDをKxyzとしておくと、分類しやすく好適であるが限定されない。また生産設備10は、事業者別の統括管理手段により夫々の事業者が使用・製造・販売した生産設備Kをグループ分けして群「G」とし、並べ替え又は抽出可能に統括管理させると好適である。
【0047】
「G-P1」は、使用者別の統括管理手段を示している。「G-P1」は、個々の生産設備に付された使用者IDにより、使用者P1が使用している生産設備Kの群「G」を抽出・並び替え可能に統括管理し、その群「G」に属する個々の生産設備「K」の情報について、使用者P1の立場から管理を容易にさせている。これと同様に、製造者別の統括管理手段「G-M1」は、製造者M1の立場から、販売仲介者別の統括管理手段「G-S1」は販売仲介者S1の立場から管理を容易にしている。
【0048】
生産設備10が設置されている場所にユーザが居る場合には、可搬式情報端末200の機器ID取得手段201(
図2参照)をなす端末の読取カメラで、機器ID表示100を撮影し、端末の通信手段202(
図2参照)を通してサーバ300にアクセスする(
図1(A)図、
図1(B)図参照)。機器ID表示100は、生産設備10に貼付させていてもよく、生産設備10をなす入出力手段の表示画面に表示させてもよい。機器ID表示手段がRFIDタグ120の場合には、端末200の機器ID取得手段201をなすRFIDタグリーダにより、RFIDタグから近距離無線通信により機器IDを取得すればよい。
【0049】
生産設備が設置されている場所から離れた場所にユーザが居る場合、又は、一つの生産設備が設置された場所で、類似機能の生産設備情報を対比して参照したい場合には、機器ID表示100が表示された冊子110を持参して、その機器ID表示を撮影し、サーバ300から生産設備情報を取得すればよい。生産設備の特性に応じて、機器ID表示を分類して、冊子に登録しておけば、生産設備と離れた管理事務所において、複数の生産設備情報表示を対比しながら生産設備情報を検討することが容易である(
図1(A)図参照)。
【0050】
サーバ300をなす記憶手段302には、各生産設備に係るユーザの管理権限と、生産設備情報表示の群が記憶されている(
図2参照)。例えば、使用者P1、製造者M1、販売仲介者S1に係る生産設備K111であれば、P1、M1、S1の夫々の組織に管理される生産設備情報表示が群をなすように記憶される(
図4の破線参照)。そして、ユーザは前記群の中から、自己用の生産設備情報表示にアクセスして、自己に認められた、閲覧・編集・削除の管理権限の範囲で、生産設備情報表示に接することができる。
【0051】
サーバ300が、端末200から機器ID「K111」と、ユーザ認証によるユーザID情報とを取得すると、サーバをなす生産設備情報抽出手段310(
図2参照)が、記憶手段302をなすログイン情報記憶手段304に記憶された、機器ID「K111」に係る前記生産設備情報表示の群を抽出させ、更に、サーバをなす表示誘導手段320が、前記群の中から認証されたユーザIDの管理権限に応じた生産設備情報表示を絞り込む(
図1(B)図、
図2参照)。
【0052】
例えば、
図4の破線で示した使用者P1に属するユーザP1aには、機器ID「K111」の生産設備情報表示の群の中から、P1aの管理権限に応じた生産設備情報表示のみが絞り込まれ、その生産設備情報表示が通信手段を通してP1aの端末に誘導される。これにより、端末の表示手段には、P1aの権限に応じた生産設備情報表示20のみがダイレクトに表示される(
図1(B)図参照)。
【0053】
生産設備10は、生産設備を駆動させる制御手段11と記憶手段12、生産設備を操作する入出力手段13を備え、機器ID表示が表示される。冊子110には、複数の機器ID表示100,100…、が生産設備の属性ごとに分類されて表示される。生産設備の属性は、生産ライン、生産設備の種類、生産機能、導入年度、設置場所等に応じて分類されればよい。
【0054】
端末200は、制御手段203と、記憶手段204と、入力・表示手段205と、機器ID取得手段201と、インターネット通信される通信手段202とを備えている(
図2参照)。制御手段203は中央演算処理装置(以下、CPUという)であればよく、記憶手段204はハードディスク、SSD、RAM、ROM等であればよい。入力・表示手段205は、タッチパネルであればよい。機器ID取得手段201は、機器IDを撮影により取得する読取カメラ、RFIDタグリーダ等であればよい。
【0055】
端末の制御手段203は、ユーザ認証手段として機能される。端末に生産設備情報管理用のアプリケーションがインストールされ、そのアプリケーションへのログインによりユーザIDを取得させてもよく、生体認証により端末に認証されることによりユーザIDを取得させてもよい。端末の記憶手段204には、ユーザを認証するための認証判定用情報と、認証されたユーザのユーザIDが予め記憶されている。
【0056】
ここでユーザIDとは、少なくとも個人IDを含み、好適には個人IDと組織IDとからなるユーザIDをいう。生体認証による場合には、個人IDのみであってもよいが、パスワード入力又はパターン入力によるログインの場合には、個人IDと組織IDとからユーザIDを構成させておくとよい。端末の操作者が、ユーザ認証されたときには、ユーザID情報と、取得した機器ID情報とが、サーバ300に通信される。
【0057】
ユーザIDは、記憶手段204に予め記憶させておけばよいが、端末200とサーバ300との通信より発生されたワンタイムパスワードを使って、ユーザIDのセキュリティの強化を図ってもよい。ユーザIDをなす組織IDは、その組織構造に応じて、階層化されていてもよい。なお、ユーザ認証手段は、RFIDタグの読み取り等によってもよいことは勿論のことである。
【0058】
サーバ300は、制御手段301と記憶手段302とを含み、インターネットにより端末と通信可能であればよい。制御手段301は、CPUであればよく、記憶手段302はハードディスク、SSD等であればよい。制御手段が表示案内手段303として機能され、記憶手段がログイン情報記憶手段304として機能される。ログイン情報記憶手段304には、各ユーザの管理権限と、生産設備情報表示の群が記憶される。
【0059】
また、記憶手段302には、機器ID毎の生産設備情報表示の群と、ユーザの管理権限と、ユーザIDとが対応付けられて記憶されている(
図2,
図3参照)。生産設備情報が更新される毎に、その生産設備情報に係る製造者、使用者等のユーザに表示される生産設備情報表示が更新され、各ユーザが取り扱う生産設備情報が食い違った内容とはならない。一つの生産設備に対して、単一の機器ID表示が付与され、取得した機器ID表示に基づいて、全てのユーザが、自己の権限の範囲の最新の生産設備情報表示に誘導される。
【0060】
表示案内手段303は、生産設備情報抽出手段310と表示誘導手段320として機能される。生産設備情報抽出手段320が、ログイン情報記憶手段304に記憶された生産設備情報表示の群の中から、その機器IDに係る生産設備情報表示を抽出させる。そして、表示誘導手段303が、抽出させた前記群の中から、ユーザIDに応じた生産設備情報表示に絞り込み、絞り込んだ情報を通信手段400により端末200に誘導させる。
【0061】
ここで、具体的にユーザの管理権限について、
図4に示す権限一覧表330を参照して説明する。権限一覧表においては、横列に各機器IDを示し、縦列に組織とユーザを示している。各ユーザの管理権限レベルは、閲覧・編集権限を記号「〇」で示し、閲覧権限を記号「△」で示し、閲覧・編集のいずれの権限も有さないことを記号「×」で示している。各生産設備について、管理権限を設定させる必要がない組織については、権限一覧表において網掛して示している。
【0062】
図4においては、機器ID「Kxyz」の生産設備の生産設備情報を、その生産設備に係る使用者P、製造者M、販売仲介者Sの組織IDと、ユーザの個人IDとにより管理している例を示している。ユーザを生体認証により特定し、ユーザの真正性が高い場合には、組織IDと個人IDを使用しないで、ユーザIDだけで管理してもよいことは勿論のことである。
【0063】
具体的には、使用者、製造者、販売仲介者の夫々に係る生産設備情報表示は、機器IDにより分類されて、前記生産設備情報表示の群をなしている(
図4の破線参照)。生産設備情報抽出手段は、機器IDに基づいて、サーバに記憶された前記群を抽出させる。
【0064】
夫々のユーザには、自己に係る生産設備毎に、閲覧・編集可能、閲覧のみの権限に応じて、レベル分けされた生産設備情報表示の群が設定されている。表示誘導手段は、そのユーザの管理権限に応じて、前記群の中から生産設備情報表示を一つに絞り込み、通信手段を通して生産設備情報表示をユーザの端末に誘導させる。
【0065】
例えば、生産設備K111であれば、ユーザ「P1a」に、閲覧・編集の管理権限が設定されているため、閲覧・編集が可能な生産設備情報表示に誘導される。ユーザ「P1b」は、閲覧のみの管理権限が設定されているため、閲覧のみが可能な生産設備情報表示に誘導される。一方、生産設備K113については、ユーザ「P1b」は、閲覧・編集のいずれの管理権限も付与されていないため、生産設備K113に係る使用者「P1」に属するユーザであっても、生産設備情報表示が表示されない。
【0066】
生産設備情報管理システムのフローを、
図5と
図6を参照して説明する。まず、ステップ100で、端末において、ユーザがパスワード入力、パターン入力、生体認証等によりユーザ認証がされ、端末が操作可能となりユーザIDが取得される。次に、ステップ110で、機器ID取得手段をなす読取カメラにより機器IDが取得される。そしてステップ120で、端末の通信手段を通して、機器IDとユーザIDとがサーバに通信される。
【0067】
サーバにおいては、ステップ130で、生産設備情報抽出手段が、機器IDにより生産設備情報表示の群を抽出させる(S130)。次に、ステップ140で、取得されたユーザIDが、権限を有するユーザのユーザIDであるか否かが判定される。この有権限ユーザの判定については、
図6のフローを参照して説明する。
【0068】
まずステップ141で、ステップ100において取得されたユーザIDが、生体認証によるユーザIDかが判定される。生体認証による場合には、特定個人本人である真正性が高いユーザであるため、そのまま権限ユーザとしてユーザIDが特定される。生体認証によりログインされていない場合には、ステップ142で、生産設備情報管理用アプリケーションにおいて、パスワード認証又はパターン認証により特定されたユーザIDか否かが判定される。
【0069】
ステップ142で、NOの場合には、可搬式情報端末を操作しているが、無権限者であるとして、ステップ145に進み、ユーザIDを特定しない。ステップ142で、YESの場合には、ステップ143に進み、ユーザIDの一部に組織IDがあるか否かが判定される。NOの場合には、使用者、製造者、販売仲介者のいずれにも属していないとして、ユーザIDを特定しない。YESの場合にはステップ144に進み、ユーザIDに個人IDがあるかが判定される。
【0070】
ステップ144で、YESの場合には権限ユーザとしてユーザIDを特定する。ステップ144で個人IDがない場合には、組織に属するユーザであっても権限がないユーザとして、ステップ145に進み、ユーザIDを特定しない。
【0071】
ステップ140において、有権限ユーザIDか否かが判定され、NOの場合には、権限がないユーザIDであるとしてステップ190に進み、生産設備情報表示をさせない。YESの場合には、ステップ150に進み、ユーザIDの権限を特定し、ステップ160に進む。ステップ160では、ステップ130で抽出された生産設備情報表示の群のなかからユーザIDのユーザの管理権限に応じた生産設備情報表示を絞り込み、ステップ170に進む。
【0072】
そして、ステップ170では、サーバが、その生産設備情報表示を可搬式情報端末に通信し、ステップ180に進む。ステップ180では、可搬式情報端末の表示手段に、権限を有するユーザIDに表示される生産設備情報が表示される。ステップ170とステップ180が、通信手段を通した生産設備情報表示の誘導に該当する。
【0073】
ユーザが使用者ユーザである場合には、端末200の表示手段には、使用者用の生産設備情報表示20が表示される(
図7参照)。使用者用の生産設備情報表示には、画面上部に組織ID21とユーザの個人ID22が表示され、画面中央部に情報の性質毎にタブ23により選択される生産設備情報が表示される。この画面構成は製造者の場合、販売仲介者の場合であっても共通にさせておけばよい。
【0074】
生産設備情報表示20は、生産設備の基本情報、使用者、製造者、販売仲介者で情報共有するための連絡掲示板、部品、メンテナンス、消耗品、駆動情報等がタブにより分類されるとよい。使用者ユーザの場合には、基本情報の情報表示の例(
図7参照)を示す。基本情報タブ24が選択された場合には、生産設備ID、生産設備の種別、導入年月日、設置場所情報、生産設備姿図が表示されるとよい。このほか、仕様書、設計図等を閲覧できるようにしてもよい。
【0075】
製造者の場合には、基本情報、製造者ユーザ用の連絡掲示板、部品、メンテナンス、消耗品、不具合履歴情報等がタブにより分類されて表示されるとよい。製造者ユーザの場合には、部品管理用の情報表示の例を示している(
図8参照)。部品タブ25を選択すると、部品名称、種類、概要図、製造元等の情報が一覧表として表示されるとよい。
【0076】
販売仲介者の場合には(
図9参照)、基本情報、部品、メンテナンス、消耗品等がタブにより分類されて表示されるとよい。販売仲介者ユーザの場合には、消耗品情報表示26の例を示す。消耗品タブ27を選択すると、消耗品の名称、使用数、交換周期、前回交換日、次回交換日、連絡済等の対応状況が表示されるとよい。交換が実施された場合等には次回交換日等の情報を、編集権限を有するユーザが更新する。
【0077】
ここで販売仲介者用の消耗品情報表示26を使い(
図9参照)、生産設備情報の更新について簡単に説明する。消耗品タブ27を選択すると、消耗品である、ヒータ刃、受ゴム、サーボバッテリ、PLCバッテリ、タッチパネルバッテリ等が示され、その型番、使用数、交換周期、前回交換日、次回交換日、交換実施ボタン、発注数、発送状態表示等が示される。この消耗品情報表示26を使って、消耗品の発注・発送管理が更新されればよい。
【0078】
この消耗品情報表示26は、販売仲介者だけでなく、使用者、製造者にも必要な情報を示す管理表示を示し、使用者、製造者からもアクセスが必要な生産設備情報表示である。使用者、製造者、販売仲介者はいずれも、機器IDに係る生産設備情報表示の基本情報のページに最初に至るとよいが、前回閲覧したページに最初に至るようにすると好適である。それからタブの選択により、当該機器IDに係る各種ページに移動し、閲覧・編集・削除等の更新操作をすればよい。
【0079】
次に、使用者ユーザ向けの冊子110の具体例と、駆動仕様の変更について
図10と
図11を参照して説明する。
図10は、生産設備を種別属性に応じて分類した冊子110の例を示している。
図11は、2つの生産設備情報表示の対比を示している。冊子110には、機器の機番「K11n1」,「K11n2」と、機器ID表示100,101と、種別、使用者や納入日、設置場所等の基本表示が示されている。
【0080】
また、冊子110には、生産ラインにおける他の生産設備との関係の概要が示される。例えば、上流側にPTPシート製造機14が配置され、下流側にPTPシートを箱詰めする包装機15が配置された、工場配置図が表示されている。冊子110に示された2次元コードからなる機器ID表示100,101をタブレット等の読取カメラにより撮影して、各機器の生産設備情報表示に至る。
【0081】
図11には、例えば、PTPシートの帯掛け機をなすK11n1の駆動情報と、K11n2の駆動情報とを対比させた状態を示している。駆動仕様の変更を検討するときには、冊子の機器ID表示をタブレット等の読取カメラにより撮影し、K11n1とK11n2の生産設備情報表示を閲覧し、駆動情報タブ28を選択する(
図11参照)。
【0082】
駆動情報タブ28を選択して表示される生産設備情報サイト30,31には、駆動仕様の情報として、結束強さ、熱溶着温度等、生産された製品のバンド外れ率、反りの程度等が表示される。バンド外れ率等は、ユーザが編集してもよいが、サーバに生産重要情報から演算させて表示させてもよい。
【0083】
駆動情報タブを選択して表示された生産設備情報サイト30,31の情報を対比すると、K11n1の駆動仕様の場合には、バンド外れが0.1%発生するが、反りが小さい(
図11(A)図参照)、K11n2の駆動仕様の場合には、バンド外れが約0.05%に低減されるが、反りが大きくなる(
図11(B)図参照)。
【0084】
ユーザは、これらの情報を比較し、反りを小さくしつつバンド外れが起きにくいように、K11n1の結束強さ、熱溶着温度等を、設定変更前のK11n1とK11n2の中間値に設定すればよい。設定した中間値は、生産設備の操作盤でユーザが直接入力してもよく、端末と生産設備とを有線又は無線により通信させて、端末から生産設備が操作可能であれば、端末で生産設備の設定を変更すればよい。または、設定変更した駆動仕様を、端末を使ってUSBメモリに記憶させ、USBメモリを介して生産設備の駆動仕様を変更してもよい。
【実施例2】
【0085】
実施例2では、生産設備情報管理システム2を、
図12から
図14を参照して説明する。
図12は、生産設備情報管理システム2のブロック図を示している。
図13は、生産重要情報が表示された生産設備情報表示の例を示している。
図14は、生産設備情報表示から生産設備の駆動仕様を変更する例を示している。実施例1と共通する構成については、図に同一の符号を付して説明を省略している。
【0086】
生産設備情報管理システム2においては、サーバ300と生産設備16とを通信させ、ユーザが管理権限を認められた生産設備情報表示において、生産設備の駆動情報だけでなく生産重要情報も管理できるようにしている(
図12参照)。サーバの記憶手段302に、ユーザの管理権限と生産設備情報表示の群に加えて、生産重要情報と、駆動情報とを、生産設備の機器ID毎に記憶させている。
【0087】
生産重要情報の閲覧、コメント記入等の管理権限が認められたユーザには、生産設備情報表示20に、基本情報タブ等と並んで生産重要情報タブ32も表示される(
図13参照)。生産重要情報タブを選択して表示される生産設備情報サイト33には、生産重要情報の内容、その発生時、操作者情報等が、時系列順に表示される。サーバが各生産設備から生産重要情報を取得すると、生産重要情報の管理権限が認められたユーザの生産設備情報表示だけが更新される。
【0088】
生産重要情報の内容欄には、生産重要情報としての温度管理情報、湿度管理情報、不良品発生情報、駆動仕様、その変更操作をしたユーザ情報等が記録される。生産重要情報の管理権限が認められたユーザが、例えば駆動仕様を変更した場合には、その理由等をコメント欄34に記録しておけば、後で変更の効果を評価しやすくなる。
【0089】
駆動仕様の変更権限が認められたユーザには、生産設備情報表示20に基本情報タブ24等と並んで駆動情報タブ35も表示される(
図14参照)。駆動情報タブを選択して表示される生産設備情報サイト36には、例えば生産設備がPTPシートの帯掛機である場合には、結束強さ、熱溶着温度等の生産設備に応じた駆動仕様の一覧37が表示されればよい。前記一覧37は、生産設備情報表示から駆動仕様を変更できるように、結束強さ等の個々の項目毎に入力欄38を備えている。
【0090】
生産設備16には、生産重要情報を取得する生産重要情報取得手段17と、取得した生産重要情報をサーバに送信させる通信手段18とが含まれる(
図12参照)。生産重要情報取得手段17は、温度センサー、湿度センサー、監視カメラ等であり、生産設備の駆動により発生する温度管理情報、湿度管理情報、駆動仕様の変更情報等からなる生産重要情報を取得している。
【0091】
生産設備の通信手段18は、サーバ300に対しては一方向の通信手段として機能され、生産設備16からサーバ300に生産重要情報を通信させ、生産設備にサーバから生産設備情報を通信させないようにする。前記通信手段18は、インターネット等の双方向通信手段において、各生産設備についてはサーバからの情報通信をブロックさせることにより、一方向の通信手段として機能させればよい。生産重要情報の送信タイミングは限定されず、所定時間毎に送信されてもよく、生産重要情報が発生される毎に送信されてもよい。
【0092】
端末200は、機器ID取得手段201等として機能されるほか、入力・表示手段205が、生産設備情報表示を表示させる表示手段と駆動仕様の変更を入力させる入力手段として機能される(
図12,
図14参照)。管理権限が認められたユーザにより、端末200に表示させた生産設備情報表示20から生産設備の駆動仕様が変更されると、生産設備において、変更前の駆動仕様が、新たな駆動仕様に変更される。
【0093】
以下、駆動仕様の変更について、PTPシートの帯掛機K11n1を例に具体的に説明する(
図14参照)。管理権限が認められたユーザが、生産設備16の設置場所において、端末に表示される生産設備情報表示の駆動情報タブ35を選択して表示された生産設備情報サイト36において、好適な駆動仕様を入力する。例えば、結束強さを僅かに小さくした方が好適であると判断されるときには、生産設備情報表示20に表示された前記入力欄37において、結束強さを小さくさせるように、入力すればよい。
【0094】
端末200に表示させた生産設備情報表示20により、生産設備の駆動仕様が変更される。変更方法は、実施例1と同様に、有線・無線通信・USBメモリを使用する等して、駆動仕様が変更されればよい。また、端末200からサーバ300に、変更した駆動仕様を通信させることにより、生産設備の駆動仕様がサーバの記憶手段にも反映され、駆動情報が最新の情報に更新される。これにより、生産設備とサーバとの通信が一方向通信に限られていても、生産設備情報表示に表示される駆動仕様の情報と、生産設備の記憶手段に記憶された駆動仕様の情報とが食い違うことがなく、駆動仕様の情報が最新の状態で管理される。
【0095】
生産設備16とサーバ300をインターネット通信させる通信手段は、有線通信手段に限定されず、無線通信手段であってもよく、Wi-fi、Bluetooth(登録商標)等であってもよく、生産設備16と端末200との通信手段は赤外線通信等の近距離無線通信手段であってもよい。
【0096】
(その他)
・本実施例においては、理解を容易にするため、実施例1ではサーバと通信させない生産設備を説明し、実施例2ではサーバと通信させる通信手段を備えた生産設備を説明したが、これらの生産設備が混在していてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
1,2…生産設備情報管理システム、
100…機器ID表示、200…端末、300…サーバ、400…通信手段、
110…冊子、120…RFIDタグ、500…使用者、600…製造者、
700…販売仲介者、201…機器ID取得手段、301…制御手段、
302…記憶手段、303…表示案内手段、304…ログイン情報記憶手段、
310…生産設備情報抽出手段、320…表示誘導手段、330…権限一覧表、
10…生産設備、11…制御手段、12…記憶手段、13…入出力手段、
14…PTPシート製造機、15…包装機、
16…生産設備、17…生産重要情報取得手段、18…通信手段、
20…生産設備情報表示、21…組織ID、22…個人ID、23…タブ、
24…基本情報タブ、25…部品タブ、26…消耗品情報表示、27…消耗品タブ、
28…駆動情報タブ、30,31…生産設備情報サイト、
32…生産重要情報タブ、33,36…生産設備情報サイト、34…コメント欄、
35…駆動情報タブ、37…一覧、38…入力欄、
202…通信手段、203…制御手段、204…記憶手段、205…入力・表示手段
【要約】 (修正有)
【課題】生産設備情報が外部の侵入者により閲覧・窃盗・改ざんされない状態で、生産者、製造者、販売仲介者のいずれかに属するユーザが、その権限の範囲で、個々の生産設備情報サイトに容易にアクセスでき、閲覧・更新できる生産設備情報管理システムを提供する。
【解決手段】生産設備情報管理システムは、可搬式情報端末(端末)、生産設備及びサーバを備える。端末は、制御手段、機器ID取得手段及び表示手段を有する。制御手段は、ユーザを認証する。機器ID取得手段は、生産設備の非接触式の機器ID表示から、機器IDを取得し、取得した機器IDは、端末によりサーバへ送信される。サーバは、機器IDにかかる生産設備情報表示の群を抽出し、ユーザの管理権限に応じた生産設備情報表示を絞り込み、絞り込んだ生産設備情報表示を端末の表示手段に誘導する。端末の表示手段には、ユーザの管理権限に応じた生産設備情報サイトのみが表示される。
【選択図】
図5