(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】洗浄装置、及び、対象物の洗浄及び乾燥方法
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B08B3/02 A
(21)【出願番号】P 2018190658
(22)【出願日】2018-10-09
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】國友 大輔
(72)【発明者】
【氏名】光江 豊彰
(72)【発明者】
【氏名】山内 豊大
(72)【発明者】
【氏名】小濱 篤
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤史
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0006363(US,A1)
【文献】特開平10-005704(JP,A)
【文献】特開2011-025358(JP,A)
【文献】特開2002-326063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室と乾燥室とを内部に有するカバーであって、前記洗浄室の壁面に形成された搬入口と、前記乾燥室の壁面に形成された搬出口とを有するカバーと、
中間搬送口を有し、前記カバー内部の空間を、前記洗浄室と前記乾燥室とに仕切る仕切り板と、
前記中間搬送口を開閉する中間扉と、
前記乾燥室に配置され、対象物を把持する第1の把持装置を有し、前記中間搬送口を介して前記対象物を受け取るドロップ位置、前記対象物を乾燥する乾燥位置、及び、前記搬出口を介して前記対象物を払い出す払出し位置に旋回するターンテーブルと、
前記洗浄室に配置され、前記搬入口を介して前記対象物を把持する第2の把持装置を有し、前記中間搬送口を介して前記対象物を前記第1の把持装置に搬送する移動装置と、
を有し、
前記第1の把持装置は、前記ターンテーブルに配置された回転軸の端部に固定される回転プレートを有し、
前記ターンテーブルは、
前記第1の把持装置が把持した前記対象物を前記中間搬送口に向けたときに前記中間搬送口から前記対象物がはみ出し、
前記第1の把持装置が把持した前記対象物を前記搬出口に向けたときに前記搬出口から前記対象物がはみ出すように構成される、
洗浄機。
【請求項2】
前記移動装置は、前記搬入口の外部から前記対象物を把持して、前記搬入口から前記カバー内に搬入する、
請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
洗浄液を吐出するポンプと、
前記洗浄室内において、前記対象物を移動させたときに、前記対象物の複数の洗浄箇所が通過する軌跡上にそれぞれ配置され、前記ポンプと接続されて前記洗浄液を噴出する複数のノズルと、
を更に有する請求項1又は2に記載の洗浄機。
【請求項4】
前記搬入口と前記搬出口が前記洗浄機の前面及び両側面のいずれかに設けられた、
請求項1~3のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項5】
前記第1の把持装置は、前記ターンテーブルに回転可能に設けられ、
前記ターンテーブルに設けられ、前記第1の把持装置を回転させるモータと、
を更に有する請求項1~4のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項6】
第1の対象物を移動装置が搬入口から搬入し、
洗浄液を噴射するノズルに前記第1の対象物を対向させて洗浄し、
第1の把持装置を有するターンテーブルに配置された回転軸の端部に固定される回転プレートが第2の対象物を把持した状態で
、前記ターンテーブルが乾燥位置へ旋回し、
前記回転プレートが前記第2の対象物を回転し、前記第2の対象物に付着した洗浄液を振り払い、
前記ターンテーブルが払出し位置に旋回し、
搬出口から前記
第2の対象物がはみ出した状態で
前記第1の把持装置が把持した前記第2の対象物を
開放し、
前記ターンテーブルがドロップ位置に旋回し、
前記移動装置が洗浄後の前記第1の対象物を中間搬送口を介して、前記中間搬送口から前記第1の対象物がはみ出した状態で
前記第1の把持装置が前記第1の対象物を把持するように
、前記
第1の把持装置へ
前記第1の対象物を装着する、
対象物の洗浄及び乾燥方法。
【請求項7】
前記第1の対象物を
前記移動装置が搬入し、前記ターンテーブルが前記乾燥位置へ旋回した後で、かつ、前記ノズルが前記第1の対象物を洗浄する前に、前記搬入口、前記中間搬送口、前記搬出口を閉じる、
請求項6の対象物の洗浄及び乾燥方法。
【請求項8】
前記第1の対象物を洗浄し、前記第2の対象物に付着した前記洗浄液を振り払った後で、かつ、前記ターンテーブルが払出し位置に旋回し、前記移動装置が第1の対象物を前記
第1の把持装置へ装着する前に、前記搬入口、前記中間搬送口、前記搬出口を開く、
請求項6又は7に記載の対象物の洗浄及び乾燥方法。
【請求項9】
更に、
回転している前記第2の対象物を固定ノズルからエアブローする、
請求項6~8のいずれかに記載の対象物の洗浄及び乾燥方法。
【請求項10】
前記第1の対象物の洗浄と、前記第2の対象物の乾燥とを、同時に行う、
請求項6~9のいずれかに記載の対象物の洗浄及び乾燥方法。
【請求項11】
前記第1の対象物の搬入と、前記ターンテーブルの乾燥位置への旋回とを、同時に行う、
請求項6~9のいずれかに記載の対象物の洗浄及び乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置と、対象物の洗浄及び乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄領域と、把持装置と、洗浄領域に臨むようにワークを保持して移動させる送り台装置と、カバー装置を備え、送り台装置によってワークを洗浄領域に移動して洗浄する洗浄機が提案されている(特許第6227496号)。洗浄機に利用される送り台装置(特許第6196588号(以下、「特許文献1」という。))、特開2018-12079号公報(以下、「特許文献2」という。)が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
汎用性の高いセル型の洗浄機とセル型の乾燥機をコンパクトに設置する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の側面は、洗浄機であって、
洗浄室と乾燥室とを内部に有するカバーであって、前記洗浄室の壁面に形成された搬入口と、前記乾燥室の壁面に形成された搬出口とを有するカバーと、
中間搬送口を有し、前記カバー内部の空間を、前記洗浄室と前記乾燥室とに仕切る仕切り板と、
前記中間搬送口を開閉する中間扉と、
前記乾燥室に配置され、対象物を把持する第1の把持装置を有し、前記中間搬送口を介して前記対象物を受け取るドロップ位置、前記対象物を乾燥する乾燥位置、及び、前記搬出口を介して前記対象物を払い出す払出し位置に旋回するターンテーブルと、
前記洗浄室に配置され、前記搬入口を介して前記対象物を把持する第2の把持装置を有し、前記対象物を把持したまま前記洗浄室内で前記対象物を洗浄し、前記中間搬送口を介して前記対象物を前記第1の把持装置に搬送する移動装置と、
を有する。
本発明の第二の側面は、対象物の洗浄及び乾燥方法であって、
第1の対象物を移動装置が搬入口から搬入し、
洗浄液を噴射するノズルに前記第1の対象物を対向させて洗浄し、
回転プレートが第2の対象物を把持した状態でターンテーブルが乾燥位置へ旋回し、
前記回転プレートが前記第2の対象物を回転し、前記第2の対象物に付着した洗浄液を振り払い、
前記ターンテーブルが払出し位置に旋回し、
前記回転プレートが搬出口を介して前記第2の対象物を払出し、
前記ターンテーブルがドロップ位置に旋回し、
前記移動装置が洗浄後の前記第1の対象物を中間搬送口を介して前記回転プレートへ装着する、
方法である。
【0005】
洗浄機は、2つの対象物を同時に扱える。第1の対象物は運転時に第2の把持装置に装着され、運転中に洗浄される。第1の対象物は、次回の運転において、第2の対象物として扱われる。運転開始時において、第2の対象物は第1の把持装置に装着されている。第2の対象物は運転により乾燥され、払い出される。つまり、洗浄機に搬入された対象物は、2回の運転後に、洗浄及び乾燥が終了して洗浄機から払い出される。第1の対象物及び第2の対象物は異なる種類でも良い。
【0006】
スプラッシュカバー(以下、単に「カバー」という。)は、洗浄液Lの外部への漏出を防ぐ。カバーは、安全カバーを兼ねる。
【0007】
移動装置は、例えば垂直多関節ロボット、直交軸ロボットである。垂直多関節ロボットは、例えば6軸垂直多関節ロボットである。直交軸ロボットは例えば3軸の直線軸と1軸又は2軸の回転軸を有する。好ましくは、回転軸のうち少なくとも一軸は垂直方向の回りに回転する。直行軸ロボットは、例えば特許文献1、特許文献2に記載の送り台装置が利用できる。移動装置は、搬入口付近の搬入位置にある対象物を、第2の把持装置によって掴み、カバー内に搬入する。第2の把持装置は対象物を繰り返して同じ位置に把持する。例えば第2の把持装置は位置決めピンとクランプを有する。搬入位置にある対象物は、その一部が搬入口からカバー内に侵入しても良い。移動装置は、対象物を把持したまま、洗浄室内で洗浄する。
【0008】
洗浄室は洗浄領域を有する。洗浄領域は対象物と洗浄液が接触する領域である。洗浄領域には、例えば複数の洗浄用ノズルが固定される。移動装置は、複数の洗浄用ノズルに対象物の洗浄箇所を対向させて移動する。洗浄用ノズルから噴射された洗浄液が洗浄箇所に衝突する。ここで、洗浄箇所は、対象物の洗浄すべき位置である。洗浄箇所は、例えば雌ねじ、油穴、ピン穴、水穴、削り面である。
【0009】
中間搬送口を通して、移動装置は第1の把持装置へ対象物を装着する。このとき、中間搬送口及び中間扉と第2の把持装置は干渉しない。第1の把持装置に装着された対象物の一部が洗浄室側にはみ出しても良い。
中間搬送口は、ターンテーブルが旋回したときに、ターンテーブル、第1の把持装置及び対象物が仕切り板と衝突しないように設けられる。言い換えると、中間搬送口は、ターンテーブル、第1の把持装置及び対象物を、旋回軸を中心に回転して得られる回転体と仕切り板との交差部を含み、交差部よりも広い閉領域を有する。
【0010】
好ましくは、ターンテーブルが搬出位置に旋回されたときにおいて、第1の把持装置に装着された対象物の一部がカバーの外部にはみ出す。これにより、洗浄機の横幅を短縮できる。対象物の一部がカバーの外部にはみ出すため、次工程の装置(例えば払出し装置や組み立て装置)が乾燥後の対象物を受け取りやすい。
搬出口は、ターンテーブルが旋回したときに、ターンテーブル、第1の把持装置及び対象物がカバーと衝突しないように設けられる。言い換えると、搬出口は、ターンテーブル、第1の把持装置及び対象物を、旋回軸を中心に回転して得られる回転体とカバーとの交差部を含み、交差部よりも広い閉領域を有する。
【0011】
搬入口には搬入扉が設けられる。搬入扉は例えばスライド扉である。搬入扉は搬入口を開閉する。
中間搬送口に中間搬送扉が設けられる。中間搬送扉は例えばスライド扉である。中間搬送扉は中間搬送口を開閉する。
搬出口に搬出扉が設けられる。搬出扉は例えばスライド扉である。搬出扉は搬出口を開閉する。
【0012】
ターンテーブルは、ドロップ位置、乾燥位置、払出し位置の間を旋回する。ドロップ位置では、第1の把持装置が中間搬送口を向く。ドロップ位置において、移動装置は第1の対象物を第1の把持装置へ装着する。好ましくは、ドロップ位置において、第1の把持装置に装着された対象物は、中間搬送口から洗浄室側にはみ出している。乾燥位置において、回転プレートを回転させて第2の対象物を脱水する。払出し位置において、第1の把持装置が搬出口を向く。払出し位置において、次工程へ第2の対象物を払い出す。好ましくは、払出し位置において、第1の把持装置に装着された対象物は、搬出口からカバーの外部にはみ出している。好ましくは、ターンテーブルはサーボモータにより旋回する。ターンテーブルは、カムユニットにより旋回及び位置決めされても良い。
ターンテーブルによって、洗浄室側にはみ出した状態で対象物を第1の把持装置が容易に受け取り、搬出口にはみ出した状態で対象物を第1の把持装置が容易に払い出せる。
ターンテーブルと遠心力による対象物の脱水の組合せが好適である。回転プレートの中心軸線を中間搬送口に向けて移動装置が第1の把持装置に対象物をドロップし、ターンテーブルが旋回して中心軸線を搬出口に向けて第1の把持装置が対象物を解放して次工程に払い出せる。
【0013】
回転可能に支持された回転軸がターンテーブルに配置される。ターンテーブルに支持筒を配置しても良い。回転軸は支持筒に軸受で支持される。回転軸の一方に回転プレートを固定できる。回転プレートは第1の把持装置の一部をなす。回転プレート上にクランプが配置される。回転プレートに位置決めピン、着座ピンが設けられてよい。
【0014】
洗浄機はブロアーを含んでも良い。ブロアーは内側固定ノズル又は外側固定ノズルと共に利用できる。ブロアーは乾燥空気を送り出す。内側固定ノズル又は外側固定ノズルは乾燥空気を噴出する。
【0015】
内側固定ノズルと固定軸は組み合わせて利用される。内側固定ノズルが利用される場合、回転軸は中空円筒状である。回転軸の内部に固定軸が貫通して設けられる。固定軸の一方端側に内側固定ノズルを配置できる。固定軸の内部に乾燥空気の内側通路が設けられる。内側通路はブロアーと内側固定ノズルとを接続する。
好ましくは、内側固定ノズルは、回転軸の軸線に沿って延びる。内側固定ノズルは、半径方向外側に向けて乾燥空気を噴出する。内側固定ノズルはスリットノズルでも良い。中空軸の回転軸と、回転軸の内部の固定軸、内側固定ノズルは組み合わせて利用される。内側固定ノズルは、対象物の内部をブローする。内側固定ノズルからの乾燥空気噴流は、対象物の回転に伴って、対象物の内面に接触する。対象物の内面に付着した洗浄液等は、内側固定ノズルからの乾燥空気噴流によって吹き飛ばされる。
【0016】
外側固定ノズルは、軸線を通る設置平面上に配置される。外側固定ノズルは、第1の把持装置と対象物が回転する軌跡の外側に配置される。外側固定ノズルは、回転する第1の把持装置及び対象物と干渉しない。外側固定ノズルは、第1の把持装置及び対象物を回転軸の回りに回転させて得られる形状の外形に添って設けられる。外側固定ノズルは複数設けられても良い。好ましくは、外側固定ノズルは、外形の外周から回転中心軸までの半周にわたって、隙間なく設けられる。多数の外側固定ノズルに替えて、スリットノズルを設けても良い。外側固定ノズルは外側通路を介してブロアーと接続する。
外側固定ノズルは内側固定ノズルと共に配置しても良い。内側固定ノズルを配置せず、外側固定ノズルのみを配置しても良い。椀状の対象物に対しては、外側固定ノズルと内側固定ノズルの両方の利用が好適である。
【0017】
第1の把持装置は、流体シリンダを含むクランプを有しても良い。流体シリンダの駆動流体は、圧縮空気を利用できる。回転軸の他方端部に回転流体継手を配置しても良い。回転流体継手は、回転軸の外面である円筒面と回転方向に摺接する固定ハウジングを有する。固定ハウジングは中空円筒状である。固定ハウジングと回転軸との間に環状通路が配置される。第一通路は固定ハウジングに配置される。第一通路は圧縮空気源と環状通路とを接続する。第二通路は回転軸に配置される。第二通路は環状通路と流体シリンダとを接続する。
【0018】
歯付ベルト機構に替えて、歯車機構を利用できる。歯付ベルト機構を用いれば、バックラッシがないため正確に回転プレートの回転位相を制御できる。歯車機構は例えばノンバックラッシ歯車機構である。
【0019】
洗浄機は高い汎用性を有する。洗浄機は、複数の種類の対象物を次々に搬入し、対象物の種類に応じたプログラムで洗浄する。洗浄後の対象物は乾燥室に搬送される。洗浄機は対象物の種類に応じて最適に乾燥する。乾燥後の対象物は搬出口から搬出される。
【0020】
移動装置が搬入口から搬入された対象物を把持し、自在に移動させながら洗浄室に取り込み、把持した状態で洗浄し、洗浄後そのまま乾燥機に装着する。洗浄機と乾燥機の間に搬送装置を含まない。移動装置は対象物をノズルに対して自在に移動でき、姿勢を変更できるため、高い汎用性を持つ。搬送装置を介さずに乾燥機に装着できるため、接地面積を低減できる。搬送装置を介さずに乾燥機に装着できるため、洗浄後の対象物に異物が付着しにくい。乾燥機の把持装置が汚染されにくい。乾燥機の把持装置を介して洗浄後の対象物が汚染することを抑制できる。洗浄機と乾燥機を一体として含み、かつ、セル型の洗浄機とセル型の乾燥機の二台分の設置面積しか必要としない複合装置は従前になかった。
【0021】
対象物を搬入口から半分程度はみ出した状態で搬入できるため、前工程において、直接対象物を洗浄機に投入できる。例えば、搬送装置を介さずに、前工程で加工後の対象物を直接洗浄機に投入できる。
【0022】
対象物を搬出口から半分程度はみ出して搬出するため、次工程は、搬出された対象物を容易に受け取れる。例えば、次工程の装置はその安全カバーを本願のカバーと接触するように設け、次工程の装置内部で受け取れる。
【0023】
移動装置による第1の対象物の搬入口からの搬入は、ターンテーブルの乾燥位置への旋回と同時に実行されて良い。好ましくは、移動装置による第1の対象物の洗浄は、回転プレートによる第2の対象物の回転、つまり第2の対象物の脱水と同時に実行される。好ましくは、第1の対象物を洗浄する時間と第2の対象物を脱水する時間とが実質的に同一である。
【0024】
ターンテーブルが払出し位置に旋回し、回転プレートが第2の対象物を払出し、ターンテーブルがドロップ位置に旋回し、移動装置が洗浄後の第1の対象物を回転プレートに装着する動作は、順に実行される。
【0025】
搬入扉は、第1の対象物を搬入した後、かつ、ノズルが洗浄液を噴射する前に閉じる。中間搬送扉は、ターンテーブルが乾燥位置へ旋回した後で、かつ、ノズルが洗浄液を噴射する前に閉じる。搬出扉は、ターンテーブルがドロップ位置に旋回した後に閉じてよい。搬出扉は、運転を開始してから対象物の回転を始める前に閉じて良い。搬入扉と中間搬送扉は同時に閉じて良い。
対象物を搬入し、ターンテーブルが乾燥位置に旋回した後、かつ、移動装置が対象物を洗浄し、対象物を回転させて乾燥する前に、搬入扉、中間搬送扉および搬出扉を同時に閉じてよい。3つの扉を同時に閉じると手順が簡略である。好ましくは、搬入扉、中間搬送扉および搬出扉が開く時間は実質的に同一である。
【0026】
搬入扉は洗浄液の噴射を停止した後に開けて良い。中間搬送扉も洗浄液の噴射を停止した後に開けてよい。搬出扉はターンテーブルが払出し位置に旋回する前、かつ、対象物の回転及びエアブローの停止後に開ける。中間搬送扉と搬入扉は同時に開けて良い。
対象物が洗浄し、対象物が乾燥した後で、かつ、ターンテーブルが払出し位置に旋回する前に、搬入扉、中間搬送扉および搬出扉を同時に開けて良い。3つの扉を同時に開けると手順が簡略である。好ましくは、搬入扉、中間搬送扉および搬出扉が閉じる時間は実質的に同一である。
【0027】
固定ノズルからのブローは、対象物の内側に行ってよい。回転軸の中心軸に設けられた内側固定ノズルから半径方向外側に向けて乾燥空気を噴出しても良い。対象物の内側から固定した方向へ乾燥空気を噴出する。対象物は回転軸を中心に回転しているため、対象物の回転に伴って、対象物の内側の全周方向にブローできる。
固定ノズルからのブローは対象物の外側に行ってよい。回転軸の中心軸を含む設置平面に設けられた外側固定ノズルから半径方向内側に向けて乾燥空気を噴出しても良い。設置平面に設けられた外側固定ノズルから中心軸の軸方向であって対象物表面に向けて乾燥空気を噴出しても良い。対象物は回転軸を中心に回転しているため、対象物の回転に伴って、対象物の外側の全周方向にブローできる。
内側からの固定ブローと外側からの固定ブローを組み合わせて実施しても良い。
【0028】
好ましくは、乾燥室内の空気を乾燥室外へ排気する。対象物の乾燥中に洗浄液ミストが乾燥室内に充満する。また、中間搬送扉を開けたときに、洗浄室内のミストが乾燥室内に入る。乾燥室内のミストの排気により、乾燥が促進する。好ましくは、洗浄室内の空気も洗浄室外へ排気する。ノズルから洗浄液を噴射して、対象物に衝突させるときに、洗浄液のミストが生成し、洗浄室内に充満する。ミストの排気により、清浄度が向上しやすい。
【0029】
第1の対象物の洗浄は、搬入が終了した対象物を洗浄領域に投入し始めてから、洗浄を終了するまでの動作をいう。洗浄液を噴出できる時間は、最長で、搬入扉及び中間搬送扉の両方を閉じ終わってから、搬入扉及び中間搬送扉のいずれかを開け始めるまでの時間となる。この洗浄時間の間に、対象物を洗浄液噴流に衝突させる。
第2の対象物の乾燥は、対象物の回転を始めてから、回転を停止するまでの動作をいう。同時に第2の対象物に対してエアブローを行っても良い。第2の対象物に対するブローは、対象物の回転開始から回転停止の間に行う。第2の対象物を乾燥できる時間は、最長で、ターンテーブルが乾燥位置にあり、中間搬送扉が閉じ、かつ、搬出扉が閉じている時間である。好ましくは、第1の対象物を洗浄する時間と、第2の対象物を乾燥する時間が実質的に同一である。
【0030】
好ましくは、第2の対象物の回転を停止するときに、予め設定された回転位相にあわせて、回転プレートを停止させる。好ましくは、ターンテーブルが旋回するときに、回転プレートの回転位相は保持される。
【0031】
洗浄機で洗浄後の対象物は把持装置やコンベアと接触しないことが望ましい。本願の洗浄方法は、対象物をピックアップしたまま洗浄し、直接乾燥装置の把持装置に挟持させる。そのため、洗浄後の対象物を他の把持装置が挟持したり、コンベアと触れたりすることによる異物が付着を抑制できる。そして、乾燥した対象物を把持装置が解放するだけで、直接搬出する。次工程は乾燥が終了した状態で、なにも触れることなく、対象物を直接受け取る。洗浄機が対象物を搬入口からはみ出して搬出するため、次工程は容易に対象物を受け取れる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、洗浄機と乾燥機との間に搬送機を別途設けることなく、汎用性が高く、コンパクトな洗浄機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図6A】ドロップ位置にあるターンテーブルを示す実施形態の洗浄機の部分平面図
【
図6B】乾燥位置にあるターンテーブルを示す実施形態の洗浄機の部分平面図
【
図6C】搬出位置にあるターンテーブルを示す実施形態の洗浄機の部分平面図
【
図8】実施形態の移動装置が対象物をピックアップする状況を示す部分平面図
【
図9】実施形態の移動装置が対象物をドロップする状況を示す部分平面図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、実施形態の洗浄機10について説明する。以下、第1の把持装置をジグという。第2の把持装置をハンドという。ハンド及びジグとの読み分けは便宜を図るためであって、実質上の違いはない。
【0035】
図1に示すように、洗浄機10は、カバー11、搬入口19、仕切り板13、中間搬送口(以下、「搬送口21」という。)、搬出口23、移動装置であるクイル25、ハンド27、ターンテーブル(以下、「テーブル41」という。)及び乾燥ユニット40を含む。乾燥ユニット40はジグ43を含む。洗浄機10は、搬入扉(以下、「扉20」という。)、中間扉(以下、「扉22」という。)、搬出扉(以下、「扉24」という。)、ノズルブロック(以下、「ブロック35a,35b,5c」という。)及びノズル37a,37b,37cを有しても良い。
【0036】
図2に示すように、第1の対象物1A、第2の対象物1Bの各々は、ピン穴1Aa,1Acと、座面1Ab,1Adを有する。ピン穴1Aa及び座面1Abはハンド27に適合する。ピン穴1Ac及び座面1Adはジグ43に適合する。以後、第1の対象物1A、第2の対象物1Bを総称して対象物1とすることがある。
【0037】
カバー11は、洗浄機10全体を囲む。カバー11は平面視L字状である。カバー11は架台12を有する。
【0038】
仕切り板13は、カバー11を洗浄室15と乾燥室17に区切る。洗浄室15、乾燥室17はそれぞれ、例えば、平面視矩形である。仕切り板13は、洗浄液Lの乾燥室17への侵入を防ぐ。
【0039】
仕切り板13は、搬送口21を有する。対象物1Bは、搬送口21を通って洗浄室15から乾燥室17へ移動する。搬送口21は、テーブル41が旋回したときに、対象物1B、ジグ43が仕切り板13と衝突しないだけの大きさを有する。
【0040】
扉22は搬送口21に設けられる。本実施形態の扉22は上下方向にスライドする。扉22は、下方に移動したときに搬送口21を閉じ、上方に移動したときに搬送口21を開く。
【0041】
カバー11は、洗浄室15に搬入口19を有する。搬入口19は、洗浄室15の壁面に形成される。好ましくは、搬入口19は洗浄機10の正面(
図1の手前側)又は側面(
図1の左側)に設けられる。対象物1Aは、洗浄室15の外部から搬入口19を通って洗浄室15の内部へ移動する。
なお、洗浄室15の壁面の形状は特に限定されるものではなく、例えば、壁面は曲面でもよい。また、搬入口19の位置も特に限定されるものではなく、例えば、搬入口19は洗浄機10の背面(
図1の後側)に設けられてもよい。
【0042】
扉20は搬入口19に設けられる。本実施形態の扉20は上下方向にスライドする。扉20は、下方に移動したときに搬入口19を閉じ、上方に移動したときに搬入口19を開く。
【0043】
カバー11は、乾燥室17に搬出口23を有する。搬出口23は、乾燥室17の壁面に形成される。好ましくは、搬出口23は洗浄機10の正面又は側面(
図1の右側)に設けられる。搬出口23は、テーブル41が旋回したときに、対象物1B、ジグ43がカバー11と衝突しないだけの大きさを有する。対象物1Bは、乾燥室17から搬出口23を通って乾燥室17の外部へ移動する。
なお、乾燥室17の壁面の形状は特に限定されるものではなく、例えば、壁面は曲面でもよい。また、搬出口23の位置も特に限定されるものではなく、例えば、搬出口23は洗浄機10の背面(
図1の後側)に設けられてもよい。
また、搬入口19と搬出口23は必ずしも対向する壁面にそれぞれ形成される必要はなく、例えば、隣接する壁面に搬入口19と搬出口23がそれぞれ形成されてもよい。また、搬入口19や搬出口23は、隣接する壁面を含むように、角部に形成されても良い。
【0044】
扉24は搬出口23に設けられる。本実施形態の扉24は上下方向にスライドする。扉24は、下方に移動したときに搬出口23を閉じ、上方に移動したときに搬出口23を開く。
【0045】
移動装置は、例えば、ハンド27を有するクイル25である。クイル25は、前後方向(Y方向)、左右方向(X方向)及び上下方向(Z方向)に自在に移動する。クイル25は、上下方向に延びる回転軸3を中心にハンド27を自在に回転し、回転方向(C-方向,C+方向)に位置決めする。ハンド27は、クイル25の先端部に設けられる。ハンド27は、対象物1Aを把持する。クイル25は、前後方向又は左右方向に延びる回転軸(不図示)を中心にハンド27を回転しても良い。軸名称(X,Y,Z,C,V)は変更しても良い。
【0046】
図2に示すように、ハンド27は、プレート27a、クランプ27b、着座ピン27c及び位置決めピン27dを有する。好ましくは、プレート27aは開口部27e(
図1参照)を有する。開口部27eは、対象物1Aを露出する。ピン27cは座面1Abと当接する。ピン27cは対象物1Aをプレート27aに安定して支持する。ピン27cは対象物1Aをプレート27aの垂直方向に対して位置決めする。クランプ27bは対象物1Aをプレート27aに固定する。ピン27dはピン穴1Aaに嵌合する。ピン27dは対象物1Aをプレート27aの平面に沿った方向に位置決めする。クランプ27bは、空気圧シリンダ、リンク及びアームを有しもよい。
【0047】
図1及び
図2に示すように、洗浄室15は前方に、洗浄領域33を有する。ブロック35aは領域33の後方で左右方向に延びる。ブロック35aは前面に、前方向きに洗浄液を噴射する複数のノズル37aを有する。ブロック35bは領域33の左方で前後方向に延びる。ブロック35bは右側面に、右向きに洗浄液を噴射する複数のノズル37bを有する。ブロック35cは領域33の前方で左右方向に延びる。ブロック35cは後面に、後向きに洗浄液を噴射する複数のノズル37cを有する。
なお、領域33の右方、上方、下方にそれぞれノズルブロックを設けても良い。右方のブロックの左面に、左向きに噴射するノズルを設けてもよい。上方のブロックの下面に、下向きに噴射するノズルを設けてもよい。下方のブロックの上面に、上向きに噴射するノズルを設けてもよい。
【0048】
図3に示すように、洗浄機10は、ポンプ29を有する。洗浄機10は、ブロック35a~35cと同数のオンオフバルブ31a~31cを有する。ブロック35a~35cは、バルブ31a~31cを介して、ポンプ29とそれぞれ接続する。バルブ31a~31cは互いに異なるタイミングで開閉できる。例えばバルブ31aが開くときは、バルブ31b、31cは閉じてよい。
【0049】
図4Aに示すように、対象物1Aは、複数の洗浄箇所2を有する。
図4Aのブロック35aは、実際には断面線IV-IVの背面にあるため、二点鎖線で示す。好ましくは、ノズル37aは、洗浄箇所2に対応する位置に一次元的に配置される。例えば、クイル25は、矢印59に沿って対象物1Aを移動する。このとき、洗浄箇所2aの軌跡61a上にノズル37aaが配置される。同様に、洗浄箇所2bの軌跡61b上にノズル37abが配置される。対象物1Aが軌跡59に沿って移動したときに、洗浄箇所2の軌跡61上にノズル37aが配置される。
【0050】
ブロック35aに替えて、
図4Bに示すブロック135aを用いてよい。
図4Bは
図3の断面線IV-IVにおける断面図であり、クイル25が対象物1Aを洗浄位置まで移動させた状態を表す。ブロック135aの外形は、二点鎖線で示す。ブロック135aには、複数の洗浄箇所2に一致するように、ノズル137aが二次元的に配置される。全てのノズル137aがバルブ31aに接続され、同時に洗浄液を噴射する。ブロック135aによれば、対象物1AのY軸正方向側に配置された全ての洗浄箇所2が同時に洗浄されるため、洗浄時間を更に短縮できる。また、対象物1Aを単にブロック135aに一致させればよく、対象物1Aをノズル37aに合わせて移動させる必要がないため、洗浄室15を更にコンパクトに構成できる。
【0051】
ノズル37b,37cの配置は、ノズル37aと実質的に同一である。つまり、それぞれのノズルが洗浄対象とする対象物1Aの面上の洗浄箇所2の配置と対象物1Aの移動軌跡に従って、ノズルが配置される。
ノズル37a~37cが洗浄箇所の軌跡上に配置されると、複数の洗浄箇所を同時に洗浄できる。そのため、洗浄機10は洗浄時間を短縮できる。
【0052】
図5は、乾燥位置67に配置される乾燥ユニット40を示す。
図5に示すように、乾燥ユニット40は、テーブル41、回転軸45、モータ63及び歯付ベルト機構65を有する。乾燥ユニット40は、流体回転継手(以下、「回転継手47」という。)、固定軸48、ブロアー55、内側固定ブローノズル(以下、「ノズル49」という。)、外側ノズルパイプ(以下、「パイプ51」という。)、外側ブローノズル(以下、「ノズル51a」という。)、背面ノズル(以下、「ノズル53a」という。)及び背面ノズルパイプ(以下、「パイプ53」という。)を有しても良い。
【0053】
テーブル41は、底面プレート41a、立プレート41b及び支持筒41cを有する。底面プレート41aは、架台12に旋回自在に支持される。立プレート41bは複数枚のプレートで折れ曲るように配置されてよい。支持筒41cは水平方向に配置される。支持筒41cは中空円筒状である。
【0054】
図5に示すように、回転軸45は支持筒41cの内部に軸受で支持される。回転軸45は支持筒41cを貫通する。回転軸45は、水平方向に配置される中心軸5を中心として回転可能に支持される。
【0055】
ジグ43は、回転プレート43a、クランプ43b、着座ピン43c及び位置決めピン43dを有する。
回転プレート43aは回転軸45の第1端部に固定される。ここで、第1端部とは、ドロップ位置71にあるときの、搬送口21方向(
図2の左方向、
図5の下斜め左方向)をいう。回転プレート43aは、回転軸45と一体に回転する。プレート43aは、中央板43e及び複数の延長板43fを有しても良い。中央板43eは、中心軸5の中央に設けられる。本実施形態の中央板43eは、三角形である。延長板43fは、細長い棒状であり、中央板43eの頂点から放射状に延びる。中央板43e及び延長板43fは一体に形成されてよい。
クランプ43b、ピン43c及びピン43dは、延長板43fの先端部に設けられる。クランプ43b、ピン43c及びピン43dは、ドロップ位置71にあるときに、搬送口21を向くように配置される。クランプ43bは対象物1Bを挟持する。ピン43cは対象物1Bの座面1Adに当接する。ピン43dは対象物1Bのピン穴1Acに嵌合する。
回転継手47は、回転軸45の第2端部に設けられる。回転継手47は、クランプ27bの駆動流体(例えば圧縮空気)をその外面側から回転軸45を通して供給する。
【0056】
モータ63は立プレート41bに固定される。モータ63は好ましくはサーボモータである。モータ63の出力軸63aは中心軸5と平行である。モータ63と回転軸45は歯付ベルト機構65で接続する。歯付ベルト機構65は、駆動歯付プーリ65a、従動歯付プーリ65b及び無端歯付ベルト65cを含む。プーリ65aは軸63aに固定される。プーリ65bは回転軸45に固定される。歯付ベルト機構65は減速機構である。テーブル41が乾燥位置67にあるときにのみ、モータ63は回転する。モータ63は、歯付ベルト機構65を介してジグ43をV+又はV-方向へ回転させる。モータ63は、V+又はV-のいずれか一方向にのみ回転しても良い。
【0057】
回転軸45はその内側を固定軸48に軸受で支持される。固定軸48は回転軸45と同軸に固定される。好ましくは、固定軸48は回転継手47を貫通する。
ノズル49は固定軸48の先端部に固定される。ノズル49は、中心軸5に沿って延びる。好ましくは、ノズル49はスリット49aを有する。固定軸48は内部に、中心軸5に沿って通路50dを有する。通路50dは、ノズル49と接続する。通路50aは外部配管である。通路50aはブロアー55と通路50dを接続する。
固定軸48又はノズル49はプレート43aを貫通する。
【0058】
パイプ51及びノズル51aは、中心軸5を通る設置平面上に配置される。パイプ51及びノズル51aは、対象物1B及びジグ43が回転したときに衝突しないように配置される。つまり、パイプ51及びノズル51aは、対象物1B及びジグ43が回転して得られる閉領域の外側に配置される。好ましくは、パイプ51は、対象物1Bの外面に沿って配置される。本実施形態のパイプ51は、L字状である。パイプ51は、中心軸5から半径方向の片側に延びて、外側で折れ曲がり、中心軸5の軸方向に延びる。パイプ51は、テーブル41又は架台12に固定される。
ノズル51aは、パイプ51に沿って複数設けられる。ノズル51aは対象物1Bに向けて配置される。
【0059】
パイプ53は、プレート43aの背面に設けられる。パイプ53は中心軸5の半径方向に延びる。
図5では、パイプ53は上下方向に延びる。パイプ53はテーブル41又は架台12に固定される。パイプ53の一方寄りにノズル53aが設けられる。ノズル53aはパイプ53及び通路50bを介してブロアー55と接続する。ノズル53aはプレート43aの背面から対象物1Bをブローする。
【0060】
図2、
図5及び
図6A~
図6Cに示すように、テーブル41は旋回軸7を中心に旋回する。テーブル41は、ドロップ位置71、乾燥位置67及び払出し位置69の間を旋回する。
図6Aに示すように、ドロップ位置71では、ジグ43が搬送口21に向く。ドロップ位置71にあるジグ43に対象物1Bが装着されたとき、対象物1Bは搬送口21からはみ出す。ドロップ位置71は、クイル25が対象物1Bをジグ43に挿入する位置である。
図6Bに示すように、乾燥位置67は、対象物1Bを乾燥する位置である。例えば、乾燥位置67は上から見てドロップ位置から時計回りに90°旋回した位置である。乾燥位置67において、ジグ43は対象物1Bと共に回転し、対象物1Bに付着した洗浄液を遠心力によって跳ね飛ばす。
図6Cに示すように、払出し位置69は、対象物1Bを次工程へ払い出す位置である。例えば払出し位置69はドロップ位置71から180°回転した位置である。払出し位置69では、対象物1Bは搬出口23に向く。払出し位置69にあるとき、対象物1Bは搬出口23からはみ出す。払出し位置69は、プレート43aが次工程の装置の移動軸と平行にしても良い。
【0061】
図7Aを参照して、洗浄機10による洗浄方法を説明する。
クイル25は対象物1を把持し、洗浄室15内に搬入する(S11)。
図8に示すように、搬入口19に半分程度挿入された状態で、前工程の装置(不図示)は対象物1を洗浄機10に差し入れる。クイル25はハンド27をピックアップ直前位置72に移動する。位置72において、位置決めピン27dはピン穴1Aaと揃っている。クイル25は対象物1を矢印73に沿って移動する。位置決めピン27dをピン穴1Aaに挿入する。着座ピン27cを座面1Abに接触させる。クランプ27bは対象物1を挟持する。対象物1を把持した状態のまま、クイル25は、対象物1を完全に洗浄室15に収容する。
【0062】
次に、搬入扉20を閉じる(S12)。中間搬送扉22を閉じる(S13)。これにより、洗浄室15が閉じられる。ステップS12、S13は同時に実行されてよい。
【0063】
対象物1の洗浄(S14)は、ブロック35a~35c毎に実行する。ブロック35a~35cの数だけ、ステップS14を繰り返す(S15)。
【0064】
ポンプ29を駆動し、バルブ31aを開く。ブロック35aに洗浄液が供給される。ノズル37aは洗浄液を噴射する。クイル25は、プログラムされた経路59に沿って、対象物1を移動させる。複数の洗浄箇所2はいずれかのノズル37aに対向する。洗浄箇所2にノズル37aから噴出した洗浄液が衝突し、洗浄箇所2内の異物が洗い流される。洗浄後、バルブ31aを閉じる。ノズル37aは洗浄液の噴射を停止する(S14)。
【0065】
続いて、バルブ31bを開く。ノズル37bは洗浄液を噴射する。クイル25は、プログラムされた経路(不図示)に沿って、対象物1を移動させる。洗浄箇所2にノズル37bから噴出した洗浄液が衝突し、洗浄箇所2が洗浄される。その後、バルブ31bを閉じ、ノズル37bは洗浄液の噴射を停止する(S14)。
続いて、バルブ31cを開く。ノズル37cは洗浄液を噴射する。クイル25は、プログラムされた経路(不図示)に沿って、対象物1を移動させる。洗浄箇所2にノズル37cから噴出した洗浄液が衝突し、洗浄箇所2が洗浄される。その後、バルブ31cを閉じ、ノズル37cは洗浄液の噴射を停止する(S14)。
ノズル37a、37b、37cによる洗浄の順番は、変更できる。
【0066】
次に、搬入扉20を開く(S16)。そして、中間搬送扉22を開く(S17)。ステップS16はステップS17と同時に実行してもよい。そして、対象物1を乾燥室17へ移動する(S18)。その後、次に洗浄する対象物1を洗浄室15に搬入する際は、再びステップS11に戻り、上記ステップを繰り返す。
【0067】
続いて、
図7Bを参照して、乾燥方法を説明する。
まず、テーブル41がジグ43をドロップ位置71へ旋回する(S21)。
次いで、クイル25が洗浄後の対象物1をジグ43へ装着する(S22)。
図9に示すように、クイル25はドロップ直前位置75までハンド27を移動する。クイル25は、ハンド27の位置および姿勢を対象物1に一致させる。クイル25は、位置決めピン27dをピン穴1Acに挿入するように矢印77に沿って移動する。着座ピン43cが座面1Adに接触する。クランプ43bは対象物1をクランプする。その後、ハンド27は、対象物1を解放する。クイル25は、ハンド27をドロップ直前位置75まで戻す。
【0068】
テーブル41が対象物1を乾燥位置67へ旋回する(S23)。中間搬送扉22を閉じる(S24)。搬出扉24を閉じる(S25)。ステップS24、S25は同時に実行してもよい。
モータ63は回転軸45、ジグ43及び対象物1を回転する(S26)。好ましくは、対象物1は、回転数200~500rpmで回転する。対象物1に付着した洗浄液は遠心力によって振り払われる。回転数が200rpm以上になると、対象物1の脱水効果が高まる。
【0069】
ブロアー55はパイプ51へ乾燥空気を送る。ノズル51aは乾燥空気を対象物1の外面に噴出する。対象物1の外面に付着した洗浄液は乾燥空気により吹き飛ばされる。
ブロアー55はノズル49へ乾燥空気を送る。ノズル49は乾燥空気を対象物1の内面に噴出する。対象物1の内面に付着した洗浄液は乾燥空気により吹き飛ばされる。
ブロアー55はパイプ53へ乾燥空気を送る。ノズル53aは乾燥空気を対象物1の背面に噴出する。対象物1の背面に付着した洗浄液は乾燥空気により吹き飛ばされる。(S27)。
【0070】
ステップS27はステップS26と同時に実行してもよい。対象物1が回転するため、ノズル49、51a、53aから噴出した乾燥空気は対象物1のほぼ全周に吹き付けられる。
【0071】
乾燥室17は洗浄室15と仕切り板13及び扉22で分かれている。洗浄室15内で噴出する洗浄液は乾燥室17に侵入しない。先に洗浄された対象物1に対するステップS26、S27と、後に洗浄される対象物1に対するステップS14、S15は、同時に実行してもよい。好ましくは、洗浄時間と乾燥時間は実質的に同一とする。
【0072】
次に、中間搬送扉22を開く(S28)。そして、搬出扉24を開く(S29)。ステップS28はステップS29と同時に実行しても良い。
テーブル41が払出し位置へ旋回する(S30)。ステップS30はステップS29の後に実行される。ステップS30によって、テーブル41が払出し位置69へ旋回できるためである。
【0073】
ジグ43は、乾燥後の対象物1を払い出す(S31)。具体的には、クランプ43bが対象物1を解放する。次工程の装置(不図示)が対象物1をピックアップする。次工程の装置は、例えば組み立て装置、搬出ロボット等である。次工程の装置は対象物1をピックアップし、テーブル41の旋回に支障のない領域に移動する。次工程の装置はピックアップ完了信号を洗浄機10へ送ってもよい。洗浄機10は、払出しの終了を確認する。
その後、次に乾燥する対象物1を乾燥室17に移動する際、再びステップS21に戻り、上記ステップを繰り返す。
【0074】
なお、複数の対象物1の洗浄、乾燥を順次行う場合、ステップS13とS24、ステップS17とS28、ステップS18とS22は同一工程となる。
【0075】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 対象物
10 洗浄機
13 仕切り板
15 洗浄室
17 乾燥室
19 搬入口
20 搬入扉
21 中間搬送口
22 中間搬送扉
23 搬出口
24 搬出扉
25 クイル(移動装置)
27 ハンド(把持装置)
37a、37b、37c 洗浄ノズル
41 テーブル(ターンテーブル)
43 ジグ(把持装置)