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  • 特許-キッチンシンク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】キッチンシンク
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/18 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
E03C1/18
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2015148110
(22)【出願日】2015-07-27
(65)【公開番号】P2017025666
(43)【公開日】2017-02-02
【審査請求日】2018-05-30
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物の発行日 平成27年2月3日 添付した刊行物を配布した。
(73)【特許権者】
【識別番号】508290390
【氏名又は名称】株式会社矢島
(74)【代理人】
【識別番号】100120226
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 知浩
(72)【発明者】
【氏名】矢島 慶太
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】住田 秀弘
【審判官】土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-64049(JP,U)
【文献】特開2010-285753(JP,A)
【文献】特開昭61-113936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0204343(US,A1)
【文献】特開2010-24680(JP,A)
【文献】実開昭55-110580(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/18- 1/186
A47B 77/00
A47B 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向の途中に複数の段部が形成された凹部を有するキッチンシンクであって、
前記凹部は、底部と第1長辺部と第2長辺部と第1短辺部と第2短辺部とが形成された一体部材を、前記第1長辺部と前記第2長辺部が相対する側部及び前記第1短辺部と前記第2短辺部が相対する側部となるように折り曲げて形成されたものであり、
前記段部は、前記第1長辺部及び前記第2長辺部で、かつ前記凹部の内面側の異なる高さの部位に設けられた複数の段差部であり、
前記段差部は、第1段差部と、前記第1段差部よりも低い位置の第2段差部と、を有し、
前記第1長辺部の第1段差部と前記第2長辺部の第1段差部とが同じ高さに形成されており、
前記第1長辺部の第2段差部と前記第2長辺部の第2段差部とが同じ高さに形成されており、
前記第2段差部は、前記底部から前記第2段差部に至る側部よりも平面視にて前記凹部の開口面方向の外側に向かって延在した第2平面部を有し、
前記第1段差部は、前記第2平面部から前記第1段差部に至る側部よりも平面視にて前記凹部の開口面方向の外側に向かって延在した第1平面部を有し、
前記第1平面部と前記第2平面部の延在長さがそれぞれ異なるものであり、
前記第1平面部は、その延在方向に直交する前記第1長辺部の長手方向の長さと同じ長さになるように前記第1長辺部の長手方向に沿って連続して形成され、
前記第2平面部は、その延在方向に直交する前記第2長辺部の長手方向の長さと同じ長さになるように前記第2長辺部の長手方向に沿って連続して形成され、
前記第1長辺部と前記底部との境界部、及び前記第2長辺部と前記底部との境界部にそれぞれ傾斜部が形成され
前記各傾斜部は、前記第1長辺部と前記底部とを接続する平面状の傾斜面、及び前記第2長辺部と前記底部とを接続する平面状の傾斜面をそれぞれ有する、
ッチンシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンの構成要素となり得るキッチンシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキッチンシンクには、その内面に段差部が設けられているタイプのものがある。この段差部を利用してプレート状部材を掛け渡し、例えばプレート状部材上の食材を切断する。これにより、キッチンシンクの開口部のスペースを作業場として有効に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-342360号公報
【文献】特開平08-68087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単に段差部にプレート状部材を掛け渡すだけの構成では、調理や作業の数が多くなる場合に、スペースが不足する問題が生じる。例えば、食材を切断したり、あるいは水切りプレートとして利用する場合には大きな加重あるいは圧力が発生するものの、単に食材や調理器具等を載置しておくだけの用途として利用する場合には概して大きな加重あるいは圧力は発生しない。
【0005】
このような状況において、複数の用途に利用する場合の段差部の設計上の工夫がされておらず、また加重あるいは圧力の違いに基づいた段差部の設計上の工夫もされていない。このため、実用性に乏しいキッチンシンクであった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、多用途に対応でき、開口部のスペースを有効に利用可能なキッチンシンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明は、高さ方向の途中に複数の段部が形成された凹部を有するキッチンシンクであって、前記凹部は、底部と第1長辺部と第2長辺部と第1短辺部と第2短辺部とが形成された一体部材を、前記第1長辺部と前記第2長辺部が相対する側部及び前記第1短辺部と前記第2短辺部が相対する側部となるように折り曲げて形成されたものであり、前記段部は、前記第1長辺部及び前記第2長辺部で、かつ前記凹部の内面側の異なる高さの部位に設けられた複数の段差部であり、前記段差部は、第1段差部と、前記第1段差部よりも低い位置の第2段差部と、を有し、前記第1長辺部の第1段差部と前記第2長辺部の第1段差部とが同じ高さに形成されており、前記第1長辺部の第2段差部と前記第2長辺部の第2段差部とが同じ高さに形成されており、前記第2段差部は、前記底部から前記第2段差部に至る側部よりも平面視にて前記凹部の開口面方向の外側に向かって延在した第2平面部を有し、前記第1段差部は、前記第2平面部から前記第1段差部に至る側部よりも平面視にて前記凹部の開口面方向の外側に向かって延在した第1平面部を有し、前記第1平面部と前記第2平面部の延在長さがそれぞれ異なるものであり、前記第1平面部は、その延在方向に直交する前記第1長辺部の長手方向の長さと同じ長さになるように前記第1長辺部の長手方向に沿って連続して形成され、前記第2平面部は、その延在方向に直交する前記第2長辺部の長手方向の長さと同じ長さになるように前記第2長辺部の長手方向に沿って連続して形成され、前記第1長辺部と前記底部との境界部、及び前記第2長辺部と前記底部との境界部にそれぞれ傾斜部が形成され、前記各傾斜部は、前記第1長辺部と前記底部とを接続する平面状の傾斜面、及び前記第2長辺部と前記底部とを接続する平面状の傾斜面をそれぞれ有する、キッチンシンク。
【0008】
複数の段差部のそれぞれは、突出方向に延在する平面部を有し、当該平面部の突出方向に沿った延在長さがそれぞれ異なることにより、用途に最適な平面部が選択可能になる。そして、平面部に例えばプレート状部材を掛け渡すことにより、複数の用途に対応できるキッチンシンクになる。
【0010】
平面部の突出方向に沿った延在長さが長い方の段差部は、平面部の突出方向に沿った延在長さが短い方の段差部よりも高さ方向に沿って高い位置に設けられていることにより、力作業が必要なときには上方の段差部を選択する。例えば、平面部にプレート状部材を掛け渡し、プレート状部材上に作業対象物を載せることにより、作業者の手に近い位置に作業対象物を位置させることができる。この結果、作業効率が向上する。また平面部の突出方向に沿った延在長さが短い方の段差部は下方に位置し、その平面部に例えばプレート状部材を掛け渡し、プレート状部材上に食器類や食材を載せることにより、食器類や食材を載置しておくための用途として利用できる。
【0012】
凹部は底部と側部を有し、底部と側部との境界部に傾斜部を有することにより、底部と側部との境界部が直角にならない。傾斜部には傾斜面を有しているため、傾斜面の清掃がし易くなり、キッチンシンクを清潔な状態で維持でき、ひいては製品寿命が向上し得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多用途に対応でき、開口部のスペースを有効に利用可能なキッチンシンクを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態のキッチンシンクの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態のキッチンシンクの平面図である。
図3図2のA-A間で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るキッチンシンクについて、図面を参照して説明する。なお、本実施形態で説明した具体的な数値、寸法、材料、加工方法等については、あくまでも例示であり、本発明を限定するものではない。
【0016】
図1乃至図3に示すように、キッチンシンク10は、底部12と、第1長辺部14Aと、第2長辺部14Bと、第1短辺部14Cと、第2短辺部14Dと、が組み合わされて構成されている。各構成要素は例えば一体部材に形成され、各構成要素を折り曲げて組み合わしたものであるが、各構成要素を別部材にしてそれぞれ組み付けて構成してもよい。
【0017】
なお、第1長辺部14A、第2長辺部14B、第1短辺部14Cおよび第2短辺部14Dは、本発明の側部14として機能する。
【0018】
キッチンシンク10は、第1長辺部14Aと第2長辺部14Bとが相互に対向し、かつ第1短辺部14Cと第2短辺部14Dとが相互に対向しており、全体として凹部16を構成している。
【0019】
凹部16の内面には、複数の段差部18が形成されている。複数の段差部18は、凹部16の内面の異なる高さの部位から突出して設けられ、かつ前記突出方向(図1中矢印Y方向)に対して略直交する方向(図1中矢印X方向)に延在している。
【0020】
各段差部18は、前記突出方向に延在する平面部20を有している。当該平面部20には、例えば、プレート状部材あるいはかご状部材などの何らかの部材が載置され得る。
【0021】
なお、段差部18は、例えば、第1長辺部14Aと第2長辺部14Bの各内面の相対向する位置に形成されている。しかしながら、この構成に限らず、段差部18は、例えば、第1短辺部14Cと第2短辺部14Dの各内面に相対向する位置に形成されていてもよく、各長辺部14A、14Bと各短辺部14C、14Dの両方に形成されていてもよい。
【0022】
ここで、段差部18は、例えば、大きさが異なる2種類のものが設けられている。例えば、第1段差部18Aは、第1平面部20Aの突出方向(図1中矢印Y方向)に沿った延在長さが長くなるように構成されている。第2段差部18Bは、第2平面部20Bの突出方向(図1中矢印Y方向)に沿った延在長さが短くなるように設定されている。このため、第1段差部18Aの第1平面部20Aの平面上の面積が、第2段差部18Bの第2平面部20B上の面積よりも大きくなる。
【0023】
図3に示すように、第1段差部18Aを構成する第1平面部20Aの突出方向に沿った延在長さをLと、第2段差部18Bを構成する第2平面部20Bの突出方向に沿った延在長さをMとすると、L>Mの関係が成立する。
【0024】
なお、第1長辺部14Aに形成された第1段差部18Aと第2長辺部14Bに形成された第1段差部18Aとは、略同じ高さとなるように形成されている。同様にして、第1長辺部14Aに形成された第2段差部18Bと第2長辺部14Bに形成された第2段差部18Bとは、略同じ高さとなるように形成されている。また、各段差部18A、18Bが第1短辺部14Cと第2短辺部14Dに形成されている構成においても同様である。
【0025】
第1平面部20Aの突出方向に沿った延在長さが長い第1段差部18Aが、第2平面部20Bの突出方向に沿った延在長さが短い第2段差部18Bよりも凹部16の高さ方向(図3中矢印Z方向)に沿って高い位置に形成されている。
【0026】
凹部16を構成する底部12と第1長辺部14Aとの境界部、および凹部16を構成する底部12と第2長辺部14Bとの境界部には、段差部18の延在方向(図1中矢印X方向)に対して略平行に延在する傾斜部22がそれぞれ形成されている。このため、底部12と第1長辺部14Aとの境界部、および底部12と第2長辺部14Bとの境界部は、直角部が形成されていない。
【0027】
特に、傾斜部22は平面状の傾斜面24を有しているため、傾斜部22の掃除がし易くなる。このため、傾斜部22をいつも清潔な状態に維持しておくことができる。これにより、キッチンシンク10の製品寿命が向上する。
【0028】
次に、本発明の一実施形態のキッチンシンク10の作用について説明する。
【0029】
図1乃至図3に示すように、複数の段差部18のそれぞれは、突出方向(図1中矢印Y方向)に延在する平面部20を有し、当該平面部20の突出方向(図1中矢印Y方向)に沿った延在長さが異なることにより、用途に最適な平面部20が選択可能になる。例えば、平面部20にプレート状部材等の何らかの部材を掛け渡すことにより、プレート状部材に食材や食器類を載置でき、複数の用途に対応できるキッチンシンク10になる。
【0030】
特に、段差部18の平面部20上に載せたプレート状部材を段差部18の延在方向(図1中矢印X方向)に沿ってスライドさせることにより、プレート状部材に載置させた物を移動させることができ、作業効率が向上する。また、複数の段差部18を設けたことにより、それぞれ段差部18に掛け渡される部材を異ならせることにより、複数の作業を同時に行うことができるキッチンシンク10を提供できる。
【0031】
複数の段差部18を形成することにより、用途別に段差部18を使い分けることが可能になる。これにより、例えば、洗浄前の食器類と洗浄後の食器類の位置を異ならせることも可能であり、作業効率が向上する。
【0032】
第1平面部20Aの突出方向(図3中矢印Y方向)に沿った延在長さが長い方の第1段差部18Aは、第2平面部20Bの突出方向(図3中矢印Y方向)に沿った延在長さが短い方の第2段差部18Bよりも高さ方向(図3中矢印Z方向)に沿って高い位置に設けられていることにより、力作業が必要なときには第1段差部18Aを選択する。これにより、第1段差部18Aの第1平面部20Aに例えばプレート状部材を掛け渡し、プレート状部材上に作業対象物を載せることにより、作業者の手に近い位置に作業対象物を位置させることができる。この結果、作業効率が向上する。
【0033】
また、第2平面部20Bの突出方向(図3中矢印Y方向)に沿った延在長さが短い方の第2段差部18Bは下方に位置し、第2平面部20Bに例えばプレート状部材を掛け渡し、プレート状部材上に食器類や食材を載せることにより、食器類や食材を載置しておくための用途として利用できる。
【0034】
凹部16を構成する底部12と第1長辺部14Aとの境界部、および底部12と第2長辺部14Bとの境界部には、段差部18の延在方向(図1中矢印X方向)に対して略平行に延在する傾斜部22が形成されているため、底部12と各長辺部14A、14Bとの境界部が直角にならない。傾斜部22の傾斜面24が平面であるため、清掃がし易くなり、キッチンシンク10を清潔な状態で維持でき、ひいては製品寿命が向上し得る。
【0035】
なお、凹部16には2種類の段差部18A、18Bを形成した構成を例示したが、2種類に限定されない。例えば、大きさや形状の異なる又は同じである3種類以上の段差部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 キッチンシンク
12 底部
14 側部
14A 第1長辺部
14B 第2長辺部
14C 第1短辺部
14D 第2短辺部
16 凹部
18 段差部
18A 第1段差部
18B 第2段差部
20 平面部
20A 第1平面部
20B 第2平面部
22 傾斜部
24 傾斜面
図1
図2
図3