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特許7176835分散体、好ましくはエマルション、より好ましくはピッカリングエマルションの形態の組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-14
(45)【発行日】2022-11-22
(54)【発明の名称】分散体、好ましくはエマルション、より好ましくはピッカリングエマルションの形態の組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/02 20060101AFI20221115BHJP
   C08K 5/101 20060101ALI20221115BHJP
   C08K 5/109 20060101ALI20221115BHJP
   C08K 3/014 20180101ALI20221115BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20221115BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20221115BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20221115BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C08L83/02
C08K5/101
C08K5/109
C08K3/014
A61K8/06
A61Q1/00
A61Q17/04
A61Q19/00
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017089526
(22)【出願日】2017-04-28
(65)【公開番号】P2018188497
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】杜 ▲ヤオ▼
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-178768(JP,A)
【文献】特開2000-309520(JP,A)
【文献】特表2015-509925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
W/O型分散体の形態、好ましくはW/O型エマルションの形態、より好ましくはW/O型ピッカリングエマルションの形態の組成物であって、
(a)連続相、
(b)前記(a)連続相中の、成分(c)とは異なる、少なくとも1つの分散相、及び
(c)少なくとも1種の非水溶性粒子
を含み、
前記(a)連続相が極性油から選択される少なくとも1種の脂肪物質を含み、前記(b)分散相が水を含み、
前記(c)非水溶性粒子が、少なくとも1つの弯曲部及び前記弯曲部の曲率の少なくとも1つの不連続点を有し、
前記(c)非水溶性粒子が、メチルシラノール/シリケート架橋ポリマーを含み、
前記組成物が、任意選択により、少なくとも1種の界面活性剤を、前記組成物の総質量に対して1質量%以下の量で含む、組成物。
【請求項2】
前記脂肪物質が、室温及び大気圧下で液体の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記極性油が、安息香酸C12~C15アルコール、セバシン酸ジイソプロピル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、安息香酸2-フェニルエチル、サリチル酸ブチルオクチル、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、ジカプリリルエーテル、ステアリン酸イソセチル、ネオペンタン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ベヘン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、トリメリト酸トリデシル及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記脂肪物質の量が、前記組成物の総質量に対して、30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(c)非水溶性粒子が、1つ又は複数の曲率を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(c)非水溶性粒子が、中空半球の形状を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(c)非水溶性粒子の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01~20質量%、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
水の量が、前記組成物の総質量に対して、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の有機UVフィルターを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記有機UVフィルターが、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ベンゾフェノン-3、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル、4-メチルベンジリデンカンファー、ビス(エチルヘキシルオキシフェニル)メトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[4-[5-(1,1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル]フェニルイミノ]-6-[(2-エチルヘキシル)-イミノ]-1,3,5-トリアジン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記有機UVフィルターの量が、前記組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
ケラチン物質のための美容方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質上へ適用する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散体の形態、好ましくはエマルションの形態、より好ましくはピッカリングエマルションの形態の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エマルションの形態の組成物は、W/O、O/W、W/O/W及びO/W/O等のさまざまな形態をとることができる。ほとんどの場合、エマルション形態を安定化するために乳化剤又は界面活性剤が必要である。しかし、乳化剤には、皮膚への刺激等の潜在的な問題がある。
【0003】
ピッカリングは、粉末粒子によって安定化されたエマルションを報告した(J. Chem. Soc. 1907、9、2001)。これ以来、粉末粒子によって安定化され、界面活性剤を全く又は少量しか含有しないエマルション、いわゆるピッカリングエマルションが、幾つか提案されてきた。例えば、WO98/42300は、粒径が200nm未満でありシリコーン等で被覆された微粒子を含むピッカリングエマルションを開示している。
【0004】
しかし、場合によっては、このようなピッカリングエマルションの安定性は損なわれており、したがって、ピッカリングエマルションを安定化する新規の設計が望まれている。加えて、このようなピッカリングエマルションの化粧用途では、皮膚等のケラチン物質に適用する場合、良好な質感が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO98/42300
【文献】FR 0 853 634
【文献】EP-A-0 955 039
【文献】US 2004-175 338
【文献】JP-A-2003-128 788
【文献】FR 2 902 654
【文献】JP-A-2000-191 789
【文献】USP 5240975
【文献】EP-669,323
【文献】米国特許第2,463,264号
【文献】米国特許第5,237,071号
【文献】米国特許第5,166,355号
【文献】GB-2,303,549
【文献】DE-197,26,184
【文献】EP-893,119
【文献】WO 93/04665
【文献】DE-19855649
【文献】US 4 077 441
【文献】US 4 850 517
【非特許文献】
【0006】
【文献】Pickering、J. Chem. Soc. 1907、9、2001
【文献】C.M. Hansen:「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol. 39、105 (1967)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、組成物が界面活性剤を全く又はごく少量しか含有しない場合でも、安定性であることができ、良好な質感をもたらすことができる、分散体の形態、好ましくはエマルションの形態、より好ましくはピッカリングエマルションの形態の組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、分散体の形態、好ましくはエマルションの形態、より好ましくはピッカリングエマルションの形態の組成物であって、
(a)連続相、
(b)連続相中の、成分(c)とは異なる、少なくとも1つの分散相、及び
(c)少なくとも1種の非水溶性粒子
を含み、
(c)非水溶性粒子が、少なくとも1つの弯曲部及び前記弯曲部の曲率の少なくとも1つの不連続点を有し、
組成物が、任意選択により、少なくとも1種の界面活性剤を、組成物の総質量に対して1質量%以下の量で含む、組成物によって実現することができる。
【0009】
本発明による組成物中の(a)連続相は、少なくとも1種の脂肪物質を含んでよく、本発明による組成物の(b)分散相は水を含んでよい。
【0010】
脂肪物質は、室温及び大気圧下で液体の形態であり得る。
【0011】
脂肪物質は、極性油から選択してよい。
【0012】
極性油は、安息香酸C12~C15アルコール、セバシン酸ジイソプロピル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、安息香酸2-フェニルエチル、サリチル酸ブチルオクチル、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、ジカプリリルエーテル、ステアリン酸イソセチル、ネオペンタン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ベヘン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、トリメリト酸トリデシル、親油性UVフィルター、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。
【0013】
本発明による組成物中の脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上でよい。
【0014】
(c)非水溶性粒子は、1つ又は複数の曲率を有し得る。
【0015】
(c)非水溶性粒子は、中空半球の形状を有し得る。
【0016】
(c)非水溶性粒子は、メチルシラノール/シリケート架橋ポリマーを含んでよい。
【0017】
本発明による組成物中の非水溶性粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01~20質量%、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%であり得る。
【0018】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下でよい。
【0019】
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機UVフィルターを更に含んでよい。
【0020】
有機UVフィルターは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ベンゾフェノン-3、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル、4-メチルベンジリデンカンファー、ビス(エチルヘキシルオキシフェニル)メトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[4-[5-(1,1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル]フェニルイミノ]-6-[(2-エチルヘキシル)イミノ]-1,3,5-トリアジン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0021】
本発明による組成物中の有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下でよい。
【0022】
本発明はまた、ケラチン物質のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質上へ適用する工程を含む、方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
鋭意検討の結果、本発明者らは、組成物が界面活性剤を全く又はごく少量しか含有しない場合でも、安定性であることができ、良好な質感をもたらすことができる、分散体の形態、好ましくはエマルションの形態、より好ましくはピッカリングエマルションの形態の組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0024】
したがって、本発明による組成物は、分散体の形態、好ましくはエマルションの形態、より好ましくはピッカリングエマルションの形態であり、
(a)連続相、
(b)連続相中の、成分(c)とは異なる、少なくとも1つの分散相、及び
(c)少なくとも1種の非水溶性粒子
を含み、
(c)非水溶性粒子は、少なくとも1つの弯曲部及び前記弯曲部の曲率の少なくとも1つの不連続点を有し、
組成物は、任意選択により、少なくとも1種の界面活性剤を、組成物の総質量に対して1質量%以下の量で含む。
【0025】
本発明は、好ましくはエマルションの形態、より好ましくはピッカリングエマルションの形態、更により好ましくはW/O型ピッカリングエマルションの形態の分散体を調製するための、少なくとも1つの弯曲部及び前記弯曲部の曲率の少なくとも1つの不連続点を有する(c)少なくとも1種の非水溶性粒子の使用によって特徴付けることができる。
【0026】
(c)非水溶性粒子は、(a)連続相と(b)分散相との間の界面に存在し得る。
【0027】
本発明による組成物は、組成物が界面活性剤を全く又はごく少量しか含まない場合でも、優れた効果を有することができる。
【0028】
例えば、本発明による組成物は、調製された直後だけでなく、長時間の間も、更にはさまざまな温度条件下でも、安定性であることができる。
【0029】
更に、本発明による組成物は、良好な皮膚親和性及び非粘着性の感触等の良好な質感をもたらすことができる。
【0030】
更に、本発明による組成物は、界面活性剤を全く含まない又は少量しか含まなくてもよいため、皮膚を刺激すること等のいかなる不利益をも回避又は低減することができる。
【0031】
典型的には、ピッカリングエマルションは、少なくとも1種の両親媒性物質で表面処理しておいた非水溶性粒子を必要とする。しかし、本発明は、好ましくはエマルションの形態、より好ましくはピッカリングエマルションの形態の分散体を形成するために該粒子を使用する必要がない。
【0032】
以下に、本発明による組成物を、更に詳細に説明する。
【0033】
[組成物]
(分散体の形態)
本発明による組成物は、(a)連続相及び(b)少なくとも1つの分散相を含む。(b)分散相は、(a)連続相中に存在する。(b)分散相は、以下に説明する(c)非水溶性粒子とは異なる。
【0034】
(a)連続相が油性相であり、(b)分散相が水性相である場合、これはW/O型エマルションの形態である。一方、(a)連続相が水性相であり、(b)分散相が油性相である場合、これはO/W型エマルションの形態である。
【0035】
本発明による組成物は、W/O型エマルションの形態であることが好ましい。この好ましい実施形態において、典型的には、(a)連続相は少なくとも1種の脂肪物質を含み、(b)分散相は水を含む。
【0036】
用語「W/O型エマルション」又は「油中水型エマルション」は、連続的油性相(少なくとも1種の脂肪物質が含まれる)、及び前記油性相中に分散された液滴形態の水性相を含む、任意の巨視的に均質な組成物を意味する。
【0037】
本発明による組成物は、ピッカリングエマルションの形態であることがより好ましい。本発明による組成物は、W/O型ピッカリングエマルションの形態であることが更により好ましい。
【0038】
(脂肪物質)
用語「脂肪物質」は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において水に不溶性(溶解度が5質量%未満、好ましくは1質量%未満、更により好ましくは0.1質量%未満)である有機化合物を意味する。脂肪物質は、その構造の中に、連続した少なくとも2つのシロキサン基、又は少なくとも6個の炭素原子を含有する少なくとも1つの炭化水素系鎖を含有することができる。加えて、脂肪物質は、同じ温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例えば、クロロホルム、エタノール、ベンゼン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性であってもよい。
【0039】
本発明の範囲では、脂肪物質は、C2~C3オキシアルキレン単位も、グリセロール化単位も、一切含まないことに留意すべきである。
【0040】
本発明によれば、2種以上の脂肪物質を組み合わせて使用することができる。このため、単一の種類の脂肪物質、又は異なる種類の脂肪物質の組合せを使用することができる。脂肪物質は、以下に説明する親油性又は油溶性UVフィルターから選択することができる。
【0041】
脂肪物質は、液体又は固体の形態であってよい。ここで、「液体」及び「固体」はそれぞれ、室温(25℃)、大気圧(760mmHg又は105Pa)下で、脂肪物質が液体若しくはペースト(非固体)又は固体の形態であることを意味する。脂肪物質は、室温及び大気圧下で、液体若しくはペーストの形態、より好ましくは液体の形態であることが好ましい。
【0042】
脂肪物質は、動物由来又は植物由来の油、鉱油、合成グリセリド、動物油又は植物油及び合成グリセリド以外の脂肪エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸、シリコーン油、並びに脂肪族炭化水素からなる群から選択することができる。これらの脂肪物質は、揮発性でも不揮発性でもよい。好ましくは、脂肪物質は、脂肪族炭化水素、植物油、脂肪族アルコール、動物油若しくは植物油及び合成グリセリド以外の脂肪エステル、又はこれらの混合物から、より好ましくは脂肪族炭化水素から選択することができる。
【0043】
脂肪族炭化水素の例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばParleam、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0044】
他の脂肪族炭化水素の例としては、直鎖状若しくは分枝状、又は場合によって環状のC6~C16低級アルカンも挙げることができる。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、並びにイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン及びイソデカンが含まれる。
【0045】
合成グリセリドの例として、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社によって販売されているもの、又はDynamit Nobel社によってMiglyol(登録商標)810、812及び818の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0046】
シリコーン油の例として、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状オルガノポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン;及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0047】
植物油の例として、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、アンズ油、ダイズ油、アララ油(arara oil)、ヘーゼルナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ブドウ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0048】
動物油の例として、例えば、スクワレン、ペルヒドロスクワレン及びスクワランを挙げることができる。
【0049】
有利には上述の動物又は植物油及び合成グリセリドとは異なる、脂肪酸及び/又は脂肪族アルコールのエステルの例としては、とりわけ、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族モノ-又はポリアルコールとのエステルを挙げることができ、エステルの総炭素数は、10以上である。
【0050】
モノエステルの中でも、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸セチル、乳酸C12~C15アルキル、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸(イソ)ステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、リシノール酸メチルアセチル、ステアリン酸ミリスチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、ペラルゴン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチル及びパルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル又はミリスチン酸ステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、及びラウリン酸2-ヘキシルデシルを挙げることができる。
【0051】
更に、この変形形態と関連して、C4~C22のジカルボン酸又はトリカルボン酸及びC1~C22アルコールのエステル、並びにモノ-、ジ-又はトリカルボン酸及びC2~C26のジ-、トリ-、テトラ-、又はペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用することができる。
【0052】
以下を特に挙げることができる:セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ジオクチル、ウンデシレン酸グリセリル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、モノリシノール酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、エルカ酸トリデシル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール及びジステアリン酸ポリエチレングリコール。
【0053】
上記のエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、又はパルミチン酸ステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル若しくはミリスチン酸2-オクチルドデシル等)、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル若しくはステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、又はオクタン酸セチルを使用することが好ましい場合がある。
【0054】
本発明による組成物はまた、脂肪エステルとして、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルも含んでよい。用語「糖」は、いくつかのアルコール官能基を有してアルデヒド官能基又はケトン官能基を有していてもいなくてもよく、少なくとも4個の炭素原子を有する、酸素を保持している炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であってよい。
【0055】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにこれらの誘導体、特に、メチル誘導体等のアルキル誘導体、例えばメチルグルコースが含まれる。
【0056】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と直鎖状若しくは分枝状、飽和若しくは不飽和C6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から特に選択することができる。脂肪酸が不飽和の場合、これらの化合物は1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0057】
この変形形態によるエステルは、モノ-、ジ-、トリ-、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0058】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特に、オレオ-パルミチン酸、オレオ-ステアリン酸及びパルミト-ステアリン酸混合エステルから選択することができる。
【0059】
モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノ-又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルを使用することがより好ましい場合がある。
【0060】
挙げることができる例として、Amerchol社によってGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品があり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0061】
更に挙げることができる糖と脂肪酸とのエステル又はエステル混合物の例には、以下のものが含まれる。
- Croda Inc.社によってCrodesta F160、F140、F110、F90、F70及びSL40の名称で販売されている製品で、それぞれ、モノエステル73%並びにジエステル及びトリエステル27%から、モノエステル61%並びにジエステル、トリエステル及びテトラエステル39%から、モノエステル52%並びにジエステル、トリエステル及びテトラエステル48%から、モノエステル45%並びにジエステル、トリエステル及びテトラエステル55%から、モノエステル39%並びにジエステル、トリエステル及びテトラエステル61%から形成されたパルミトステアリン酸スクロース、並びにモノラウリン酸スクロースを示すもの、
- 例えば、参照番号B370で、モノエステル20%及びジ-、トリ-、ポリエステル80%から形成されたベヘン酸スクロースに相当する、Ryoto Sugar Estersの名称で販売されている製品、
- Goldschmidt社からTegosoft(登録商標)PSEの名称で販売されているスクロースのモノ-ジパルミト-ステアリン酸エステル。
【0062】
脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪酸であってよく、2種以上の脂肪酸を使用することができる。脂肪酸は、酸性形態(即ち、石けんを回避するため、塩化されていない)であるべきであり、飽和でも不飽和でもよく、6~30個の炭素原子、特に9~30個の炭素原子を含有し、任意選択により、特に1つ又は複数(特に1~4個)のヒドロキシル基で置換されている。脂肪酸が不飽和の場合、これらの化合物は1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。脂肪酸は、より特定すれば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びイソステアリン酸から選択される。好ましくは、脂肪物質は脂肪酸ではない。
【0063】
脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪族アルコールであってよく、2種以上の脂肪族アルコールを使用することができる。
【0064】
「脂肪族アルコール」という用語は、本明細書において、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、任意のC8~C30脂肪族アルコールを意味し、これは、任意選択により、特に1つ又は複数(特に1~4個)のヒドロキシル基で置換されている。脂肪酸が不飽和の場合、これらの化合物は1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0065】
C8~C30脂肪族アルコールの中でも、例えば、C12~C22脂肪族アルコールを使用することができる。これらのうち、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、リノレニルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキドニルアルコール、及びエルシルアルコール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)、及びミリスチルアルコールを、固体脂肪物質として使用することができる。別の実施形態では、イソステアリルアルコールを、液体脂肪物質として使用することができる。
【0066】
脂肪物質は、ワックスであってもよい。本明細書において「ワックス」とは、脂肪物質が室温(25℃)において大気圧(760mmHg)下で実質的に固体の形態であり、一般に35℃以上の融点を有するものを意味する。ワックス状の脂肪物質としては、化粧料において一般に使用されるワックスを、単独で又はそれらを組み合わせて使用することができる。
【0067】
例えば、ワックスは、カルナウバワックス、微晶ワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、New Phase Technologies社によって「Performalene 400 Polyethylene」の名称で販売されているワックス等のポリエチレンワックス、シリコーンワックス、例えば、Goldschmidt社によって「Abil Wax 9810」の名称で販売されている製品等のポリ(C24~C28)アルキルメチルジメチルシロキサン、パームバター、Koster Keunen社によって「Kester Wax K82H」の名称で販売されているステアリン酸C20~C40アルキル、安息香酸ステアリル、セラックワックス、及びこれらの混合物から選択することができる。例えば、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、及びポリエチレンワックスから選択されるワックスを使用することができる。少なくとも一実施形態では、ワックスは、好ましくは、キャンデリラワックス及びオゾケライト、並びにこれらの混合物から選択される。
【0068】
脂肪物質は、極性油から選択されることが好ましい。
【0069】
用語「極性油」は、25℃で、分散相互作用に特徴的な溶解度パラメータδdが16を超え、極性相互作用に特徴的な溶解度パラメータδpが厳密に0を超える任意の親油性化合物を意味する。溶解度パラメータδd及びδpは、ハンセン(Hansen)分類に従って定義される。例えば、これらの極性油は、エステル、トリグリセリド、及びエーテルから選択され得る。
【0070】
ハンセン三次元溶解度空間の溶解度パラメータの定義及び計算は、論文C.M. Hansen:「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol. 39、105 (1967)に記載されている。
【0071】
このハンセン空間によれば、
- δdは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴づけ、
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力、更に誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴づけ、
- δhは、特定の相互作用力(例えば水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴づけ、
- δaは、式δa=(δp 2h 2)1/2によって求められる。パラメータδp、δh、δd及びδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0072】
極性油は、揮発性又は不揮発性の炭化水素系油であり得る。
【0073】
これらの油は植物、無機物又は合成起源であってよい。
【0074】
用語「極性炭化水素系油」は、炭素原子及び水素原子、並びに任意選択で酸素原子及び窒素原子から基本的に形成され、又は更にこれらによって構成され、ケイ素原子又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。極性炭化水素系油は、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含有し得る。
【0075】
優先的には、本発明による極性油は、25℃及び大気圧で10mN/mを超える表面張力を有する。
【0076】
表面活性は、デュヌイ(Du Nouy)リング法を使用して、静的な張力測定法によって測定される。
【0077】
測定の原理は、以下の通りである(25℃、大気圧で実施される測定):
【0078】
リングの質量を、風袋によって中立化させる。リングを評価しようとする液体に完全に浸漬させ、次いで力が最大になるまで非常にゆっくり引き出す。この最大力Fmaxから、表面張力を次式によって計算する。
【0079】
σ=Fmax/4πR fcorr (r, R,ρ)
(式中、fcorrは、リングのジオメトリ及び密度ρに依存するリングの補正係数である)
【0080】
パラメータr及びRは、それぞれリングの内部半径及び外部半径を表す。
【0081】
第1の実施形態によれば、極性油は不揮発性油であってもよい。特に、不揮発性極性油は、以下の油の列挙、及びこれらの混合物から選択することができる。
- 炭化水素系極性油、例えばフィトステアリルエステル、例えば、オレイン酸フィトステアリル、イソステアリン酸フィトステアリル、及びグルタミン酸ラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリル(Ajinomoto社、Eldew PS203)、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド、特にC4~C36、特にC18~C36の範囲の鎖長を有し得る脂肪酸のトリグリセリド[これらの油は場合により直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和であり;これらの油は、特にヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、小麦胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ油(820.6g/mol)、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア脂、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、スイートアーモンド油、ヤシ油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、パンプキン油、骨髄油、クロフサスグリ油、月見草油、キビ油(millet oil)、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイ油、パッションフラワー油、又はマスクローズ油;シアバター;或いはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されているもの又はDynamit Nobel社によってMiglyol810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているものでよい]、
- 10~40個の炭素原子を含有する合成エーテル、例えばジカプリリルエーテル、
- 式RCOOR'(式中、RCOOは2~40個の炭素原子を含むカルボン酸残基を表し、R'は1~40個の炭素原子を含む炭化水素系鎖を表す)の炭化水素系エステル、例えばオクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はパルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸若しくはイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸エステル、とりわけヘプタン酸イソステアリル、オクタン酸、デカン酸若しくはリシノール酸アルコール若しくはポリアルコール、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、4-ジヘプタン酸及びパルミチン酸2-エチルヘキシル、安息香酸アルキル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、2-ジエチルヘキサン酸プロピレングリコール、並びにこれらの混合物、安息香酸C12~C15アルコール、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、及びネオペンタン酸2-オクチルドデシル、イソノナン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、及びイソノナン酸オクチル、エルカ酸オレイル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、ステアリン酸イソセチル、ネオペンタン酸イソデシル、ベヘン酸イソステアリル、及びミリスチン酸ミリスチル、
- 不飽和脂肪酸二量体及び/又は三量体とジオールとの縮合により得られるポリエステル、例えば特許出願FR 0 853 634に記載のもの、特に、例えばジリノール酸と1,4-ブタンジオールとの縮合により得られるポリエステル。このポリマーに関しては、Biosynthis社によってViscoplast 14436H(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)の名称で販売されているポリマー、又は他にポリオールと二量体化二酸とのコポリマー及びそれらのエステル、例えばHailuscent ISDAを特に挙げることができる。
- ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばテトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、
- 12~26個の炭素原子を含有する脂肪族アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、及びオレイルアルコール、
- C12~C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸、並びにこれらの混合物、
- 任意選択で一部が炭化水素系及び/又はシリコーン系のフッ素化油、
- 12~26個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばオレイン酸、
- 2つのアルキル鎖が場合により同一である又は異なる炭酸ジアルキル、例えばCognis社によってCetiol CC(登録商標)の名称で販売されている炭酸ジカプリリル、並びに
- 高分子量の、例えば400から10000g/molの間の、特定すると650から10000g/molの間の不揮発性油、例えば:
i)ビニルピロリドンコポリマー、例えばビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、ISP社によって販売され又は製造されているAntaron V-216(MW=7300g/mol)、
ii)エステル、例えば:
a)合計炭素数が35~70個の範囲である直鎖状脂肪酸エステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル(MW=697.05g/mol)、
b)ヒドロキシル化されているエステル、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセロール-2(MW=965.58g/mol)、
c)芳香族エステル、例えばトリメリト酸トリデシル(MW=757.19g/mol)、C12~C15安息香酸アルコール、安息香酸2-フェニルエチル、及びサリチル酸ブチルオクチル、
d)C24~C28分枝状脂肪酸又は脂肪族アルコールのエステル、例えば、特許出願EP-A-0 955 039に記載されているエステル、特に、クエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697.05g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MW=891.51g/mol)、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル(MW=1143.98g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202.02g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232.04g/mol)又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル(MW=1538.66g/mol)、
e)二量体ジオールとモノカルボン酸若しくはジカルボン酸とのエステル及びポリエステル、例えば二量体ジオールと脂肪酸とのエステル及び二量体ジオールと二量体ジカルボン酸とのエステル、例えば日本精化株式会社によって販売され、参照によりその内容が本出願に組み込まれる特許出願US 2004-175 338に記載されたLusplan DD-DA5(登録商標)及びLusplan DD-DA7(登録商標)、
並びに
- これらの混合物。
【0082】
極性油は、安息香酸C12~C15アルコール、セバシン酸ジイソプロピル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、安息香酸2-フェニルエチル、サリチル酸ブチルオクチル、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、ジカプリリルエーテル、ステアリン酸イソセチル、ネオペンタン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ベヘン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、トリメリト酸トリデシル、及びこれらの混合物からなる群から選択されることがより好ましい。
【0083】
本発明による組成物中の脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下でよい。本発明による組成物中の脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、55質量%以下であることがより一層好ましいことがある。
【0084】
本発明による組成物中の脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上でよい。本発明による組成物中の脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、48質量%以上であることがより一層好ましいことがある。
【0085】
これに応じて、本発明による組成物中の脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、30質量%~80質量%、好ましくは40質量%~70質量%、より好ましくは45質量%~60質量%の範囲であり得る。本発明による組成物中の脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、48質量%~55質量%であることがより一層好ましいことがある。
【0086】
(非水溶性粒子)
本発明による組成物は、前述の成分(b)とは異なる(c)少なくとも1種の非水溶性粒子を含む。本発明の目的では、用語「非水溶性粒子」は、25℃での水への溶解度が、粒子の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満であり、最も好ましくは溶解度がない粒子を意味する。
【0087】
本発明によれば、2種以上の非水溶性粒子を組み合わせて使用することができる。このため、単一の種類の非水溶性粒子、又は異なる種類の非水溶性粒子の組合せを使用することができる。
【0088】
(c)非水溶性粒子は、好ましくは固体の形態である。より好ましくは、(c)非水溶性粒子は、粉末でもよい。
【0089】
本発明による組成物中の(c)非水溶性粒子は、少なくとも1つの弯曲部及び前記弯曲部の曲率の少なくとも1つの不連続点を有する。(c)非水溶性粒子は、好ましくは、少なくとも2つの弯曲部を有することができる。
【0090】
好ましい変形形態によれば、本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、1つ又は複数の(いくつかの)曲率を含む。用語「いくつかの曲率」は、異なる半径曲率を意味する。
【0091】
本発明の目的では、用語「曲率半径」は、「無限」値の「∞」を包含せず、したがって本発明において使用される(c)の非水溶性粒子は、小板状又は小葉状の形態ではない。
【0092】
特に、本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、少なくとも1つの凹部及び少なくとも1つの凸部を含んでよい。
【0093】
より詳細には、この変形形態による(c)非水溶性粒子は、「ボウル」、「ゴルフボール」及び「多面体」タイプの形態から選択される形態を有してよい。
【0094】
好ましい第2の変形形態によれば、本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、曲率を1つのみ含んでいてもよい。
【0095】
本発明の目的では、用語「1つのみの曲率」は、(c)非水溶性粒子がいくつかのカーブを含む場合、これらのカーブが同じ半径の曲率を有することを意味する。
【0096】
これらは、とりわけ半球、紡錘形微粒子から選択され、例えば「ラグビーボール」のタイプである。
【0097】
本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、無機であっても有機であってもよい。
【0098】
(c)非水溶性粒子の粒径は限定されない。
【0099】
一般に、本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、その最大寸法が0.1~100μm、好ましくは0.2~50μm、より好ましくは0.5~20μmの範囲になるものでよい。
【0100】
(c)非水溶性粒子は、500nm以上の平均粒径(最大寸法の平均)を有することが好ましい場合がある。粒子の平均粒径は、好ましくは750nm以上、より好ましくは1μm以上、より一層好ましくは2μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、より一層好ましくは3μm以下であってよい。平均粒径は、動的光散乱法により、例えばNicomp Z380で測定することができる。
【0101】
有利には、本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、0.5~2.8、好ましくは0.8~1.5の範囲の密度を有することができる。
【0102】
本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、一般に、ラジカル重合によって又は重縮合によって得ることができる。
【0103】
用語「ラジカル重合」は、少なくとも1種のエチレン性モノマーの重合を意味する。この場合、好ましくは、本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリスチレンから選択されるポリマーを含有するか、又は更に該ポリマーから形成される。
【0104】
用語「重縮合」は、小分子の排除による2種のモノマー間の重合を意味する。この場合、好ましくは、本発明に従って使用することができる(c)非水溶性粒子は、ポリシリコーン、ポリウレタン及びポリエステルから選択されるポリマーを含有するか、又は更に該ポリマーから形成される。
【0105】
ボウル
本発明の第1変形形態によれば、(c)非水溶性粒子は、少なくとも1つの凹部及び少なくとも1つの凸部を含んでよく、特に(c)非水溶性粒子は、中空半球の形状、すなわち「ボウル」タイプの形状を有し得る。
【0106】
「ボウル」形状の粒子は、シリコーン物質を含んでもよく又はシリコーン物質から形成されてよく、好ましくはシリコーン物質を含む又はシリコーン物質から形成される。
【0107】
後者の好ましい実施形態を、「シリコーン物質の凹形粒子」という名称で以下に詳述する。
【0108】
シリコーン物質の凹形粒子
本発明による組成物中に存在し得る凹形粒子は、シリコーン粒子、特にシリコーン物質から形成された中空球状部である。
【0109】
前記粒子は、好ましくは、平均径が、0.1μm~20μm、優先的には0.5~15μmの範囲である。用語「平均径」は、粒子の最大寸法を意味する。
【0110】
本発明による組成物に使用可能な中空球状部は、中心腔につながる開口を1つのみ有し、馬蹄形状又はボウル形状の断面を有する、切頭中空球の形態を有する。
【0111】
シリコーン物質は、三次元構造の架橋ポリシロキサンであり、好ましくは式(I)SiO2の単位及び式(II)R1SiO1.5の単位(式中、R1は、ケイ素原子に直接結合された炭素原子を有する有機基を示す)を含む、又は更にこれらから形成される。
【0112】
有利には、(c)非水溶性粒子は、ボウルの形態であり、式(I)SiO2の単位及び式(II)R1SiO1.5の単位(式中、R1は、ケイ素原子に直接結合された炭素原子を有する有機基を示す)を含む、又は更にこれらから形成される。
【0113】
有機基R1は、反応性有機基であり得、R1は、より特定するとエポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基若しくはハロアルキル基、グリセロキシ基、ウレイド基、シアノ基、好ましくは、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、アルケニル基又はメルカプトアルキル基若しくはアミノアルキル基でよい。これらの基は一般に、2~6個の炭素原子、とりわけ2~4個の炭素原子を含有する。
【0114】
有機基R1はまた、非反応性有機基であってもよく、R1は、より特定するとC1~C4アルキル基、とりわけメチル基、エチル基、プロピル基若しくはブチル基、又はフェニル基であってよく、好ましくはメチル基である。
【0115】
挙げることができるエポキシ基には、2-グリシドキシエチル基、3-グリシドキシプロピル基、及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基が含まれる。
【0116】
挙げることができる(メタ)アクリルオキシ基には、3-メタクリルオキシプロピル基及び3-アクリルオキシプロピル基が含まれる。
【0117】
挙げることができるアルケニル基には、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。
【0118】
挙げることができるメルカプトアルキル基には、メルカプトプロピル基及びメルカプトエチル基が含まれる。
【0119】
挙げることができるアミノアルキル基には、3-(2-アミノエチル)アミノプロピル基、3-アミノプロピル基及びN,N-ジメチルアミノプロピル基が含まれる。
【0120】
挙げることができるハロアルキル基には、3-クロロプロピル基及びトリフルオロプロピル基が含まれる。
【0121】
挙げることができるグリセロキシ基には、3-グリセロキシプロピル基及び2-グリセロキシエチル基が含まれる。
【0122】
挙げることができるウレイド基には、2-ウレイドエチル基がある。
【0123】
挙げることができるシアノ基には、シアノプロピル基及びシアノエチル基が含まれる。
【0124】
好ましくは、式(II)の単位中、R1は、メチル基を表す。
【0125】
有利には、シリコーン物質は、30/70~50/50の範囲、好ましくは35/65~45/55の範囲の単位(I)/単位(II)モル比で、単位(I)及び(II)を含む。
【0126】
シリコーン物質の粒子は、とりわけ、以下を含むプロセスに従って得ることができる:
(a)少なくとも1種の加水分解触媒及び任意選択の少なくとも1種の界面活性剤の存在下、水性媒質に、式SiX4の化合物(III)及び式RSiY3の化合物(IV)[式中、X及びYは、互いに独立に、C1~C4アルコキシ基、C1~C4アルコキシ基を含むアルコキシエトキシ基、C2~C4アシルオキシ基、C1~C4アルキル基を含むN,N-ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、Rは、ケイ素原子に直接結合している炭素原子を含む有機基を表す]を導入する工程と、
(b)工程(a)の結果得られる混合物を、30℃~85℃の間の温度で、少なくとも1種の重合触媒及び任意選択の少なくとも1種の界面活性剤を含有する水溶液と少なくとも2時間接触させる工程。
【0127】
工程(a)は、加水分解反応に相当し、工程(b)は、縮合反応に相当する。
【0128】
工程(a)中、化合物(III)の化合物(IV)に対するモル比は、通常、30/70~50/50、有利には35/65~45/45の範囲であり、優先的には40/60である。水の化合物(III)及び(IV)の合計に対する質量比は、好ましくは、10/90~70/30の範囲である。化合物(III)及び(IV)を導入する順序は、一般に、その加水分解の速度に応じて決まる。加水分解反応の温度は、一般に0~40℃の範囲であり、化合物の時期尚早な縮合を防ぐために、30℃を超えないことが普通である。
【0129】
化合物(III)及び(IV)の基X及びYについて:
挙げることができるC1~C4アルコキシ基には、メトキシ基及びエトキシ基が含まれ、
C1~C4アルコキシ基を含有するアルコキシエトキシ基としては、メトキシエトキシ基及びブトキシエトキシ基を挙げることができ、
挙げることができるC2~C4アルコキシ基には、アセトキシ基及びプロピオキシ基が含まれ、
C1~C4アルキル基を含有するN,N-ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基及びジエチルアミノ基を挙げることができ、
挙げることができるハロゲン原子には、塩素原子及び臭素原子が含まれる。
【0130】
挙げることができる式(III)の化合物には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン、トリブトキシエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラ(ジメチルアミノ)シラン、テトラ(ジエチルアミノ)シラン、シランテトラオール、クロロシラントリオール、ジクロロジシラノール、テトラクロロシラン及びクロロトリハイドロジェノシランが含まれる。好ましくは、式(III)の化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトラブトキシシラン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0131】
式(III)の化合物からは、重合反応の後、式(I)の単位が形成される。
【0132】
式(IV)の化合物からは、重合反応の後、式(II)の単位が形成される。
【0133】
式(IV)の化合物におけるR基は、式(II)の化合物のR1基について述べた意味を有する。
【0134】
非反応性有機基Rを含む式(IV)の化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリブトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリ(ジメチルアミノ)シラン、メチルトリ(ジエチルアミノ)シラン、メチルシラントリオール、メチルクロロジシラノール、メチルトリクロロシラン、及びメチルトリヒドロゲノシランを挙げることができる。
【0135】
反応性有機基Rを含む式(IV)の化合物の例として、以下のものを挙げることができる:
- エポキシ基を含有するシラン、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン及び2-グリシドキシエチルジメチルメトキシシラン、
- (メタ)アクリルオキシ基を含有するシラン、例えば3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、
- アルケニル基を含有するシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン及びイソプロペニルトリメトキシシラン、
- メルカプト基を含有するシラン、例えばメルカプトプロピルトリメトキシシラン及びメルカプトエチルトリメトキシシラン、
- アミノアルキル基を含有するシラン、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン及びN,N-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、
- ハロアルキル基を含有するシラン、例えば3-クロロプロピルトリメトキシシラン及びトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
- グリセロキシ基を含有するシラン、例えば3-グリセロキシプロピルトリメトキシシラン及びビス(3-グリセロキシプロピル)ジメトキシシラン、
- ウレイド基を含有するシラン、例えば3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン及び3-ウレイドプロピルジメチルメトキシシラン、
- シアノ基を含有するシラン、例えばシアノプロピルトリメトキシシラン、シアノプロピルメチルジメトキシシラン及びシアノプロピルジメチルメトキシシラン。
【0136】
好ましくは、反応性有機基Rを含む式(IV)の化合物は、エポキシ基を含有するシラン、(メタ)アクリルオキシ基を含有するシラン、アルケニル基を含有するシラン、メルカプト基を含有するシラン及びアミノアルキル基を含有するシランから選択される。
【0137】
本発明の実施に好ましい化合物(III)及び(IV)の例は、それぞれ、テトラエトキシシラン及びメチルトリメトキシシランである。
【0138】
独立に使用可能な加水分解触媒及び重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及びアンモニア水、又はアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン若しくは水酸化テトラメチルアンモニウム等)等の塩基性触媒、或いは有機酸、例えば、クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸若しくはドデシルスルホン酸、又は塩酸、硫酸若しくはリン酸等の無機酸等の酸性触媒が挙げられる。
【0139】
存在する場合、使用する界面活性剤は、好ましくは、非イオン性若しくは陰イオン性界面活性剤又はこれらの混合物である。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを陰イオン性界面活性剤として使用することができる。加水分解の終了は、非水溶性である生成物(III)及び(IV)の消失並びに均質な液体層の生成によって示される。
【0140】
縮合工程(b)は、加水分解工程と同じ触媒、又は上述のものから選択される別の触媒を使用することができる。
【0141】
このプロセスの後、微細オルガノシリコーン粒子の水懸濁液が得られ、次いでこれを任意選択により、その媒質から分離してもよい。したがって、上述のプロセスは、液体媒質から粒子を分離することを目的とした、工程(b)から得られる生成物を例えば膜フィルターで濾過する追加の工程、任意選択により後続して濾液を遠心分離する工程、次いで粒子を乾燥させる工程を含んでよい。当然ながら他の分離方法を使用してもよい。
【0142】
上記のプロセスによって得られる中空球状部の形態及びそのサイズは、特に、工程(b)の生成物の接触法によって決まる。
【0143】
やや塩基性のpHで、工程(a)で得られた混合物に低温の重合触媒を投入すると、底が丸い「ボウル」形状の中空球状部がもたらされ、一方で、やや酸性のpHで、高温の重合触媒に工程(a)で得られた混合物を滴下で投入すると、断面が「馬蹄」形状の中空球状部がもたらされる。
【0144】
本発明の好ましい一実施形態によれば、「ボウル」形の中空球状部が使用される。これらは、特許出願JP-A-2003-128 788又はFR 2 902 654に記載される通りに得ることができる。これらの特許出願の一部は、「ボウル」形状の粒子及びその調製方法に焦点が絞られ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
馬蹄形状の中空球状部は、特許出願JP-A-2000-191 789に記載されている。
【0146】
FR 2 902 654の図1は、ボウル形状の断面を有する球状部の形態における凹形粒子を例示する。幅W2は、粒子の直径に相当する。
【0147】
この図から明らかなように、これらの凹部(中空球状部で区切られたアパーチャの面に対して垂直な断面)は、小型内弧(11)、大型外弧(21)及びそれぞれの弧の端を連結するセグメント(31)、平均して0.01~8μm、好ましくは0.02~6μmの範囲の小型内弧(11)の2端間の幅(W1)、平均して0.05~10μm、好ましくは0.06~8μmの範囲の大型外弧(21)の2端間の幅(W2)、及び平均して0.015~8μm、好ましくは0.03~6μmの範囲の大型外弧(21)の高さ(H)で構成される。
【0148】
上述のサイズは、走査型電子顕微鏡を使用して得られた画像から選択した100個の粒子のサイズの平均を計算することにより得られる。
【0149】
本発明に従って使用することができる球状部の形態の凹形粒子として、以下の例を挙げることができる:
- 幅2.5μm、高さ1.2μm、厚さ150nmの、竹本油脂株式会社製の架橋オルガノシリコーンTak-1 10(メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)から形成されるボウル形の粒子(竹本油脂株式会社によってNLK-506の名称で販売されている粒子)、
- 幅0.8μm、高さ0.4μm、厚さ130nmの、竹本油脂株式会社製の架橋オルガノシリコーンTak-1 10(メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)から形成されるボウル形の粒子(竹本油脂株式会社によってNLK-515の名称で販売されている粒子)、
- 幅7μm、高さ3.5μm、厚さ200nmの、竹本油脂株式会社製の架橋オルガノシリコーンTak-1 10(メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)から形成されるボウル形の粒子(竹本油脂株式会社によってNLK-510の名称で販売されている粒子)。
【0150】
好ましくは、本発明において使用可能な(c)非水溶性粒子は、メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー(INCI名:メチルシラノール/シリケート架橋ポリマー)を含む、又はこれから形成される。
【0151】
有利には、凹形シリコーン粒子、特にボウルは、5μm以下、とりわけ0.1μm~5μmの範囲、優先的には0.2~5μmの範囲、より優先的には0.5~4μmの範囲、更により好ましくは0.5~3μmの範囲の平均径を有する。
【0152】
本発明による組成物中の(c)非水溶性粒子の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でよい。本発明による組成物中の(c)非水溶性粒子の量が、組成物の総質量に対して、4質量%以下であることが更により好ましい場合がある。
【0153】
本発明による組成物中の(c)非水溶性粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上でよい。本発明による組成物中の(c)非水溶性粒子の量が、組成物の総質量に対して、1質量%以上であることが更により好ましい場合がある。
【0154】
これに応じて、本発明による組成物中の(c)非水溶性粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%の範囲であり得る。本発明による組成物中の(c)非水溶性粒子の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~4質量%であることが更により好ましい場合がある。
【0155】
(水)
本発明による組成物は、水を含むことができる。
【0156】
本発明による組成物は、エマルションの形態であってもよい。
【0157】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり得る。本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下でよい。したがって、本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、1~50質量%、好ましくは5~45質量%、より好ましくは10~40質量%であってよい。
【0158】
(有機UVフィルター)
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機UVフィルターを含むことができる。2種以上の有機UVフィルターを使用する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。有機UVフィルターは、親油性又は油溶性有機UVフィルター、親水性又は水溶性有機UVフィルター、及びこれらの混合物から選択できる。
【0159】
本発明による組成物中の有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上でよい。
【0160】
本発明による組成物中の有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下でよい。
【0161】
これに応じて、本発明による組成物中の有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.1質量%~40質量%、より好ましくは1質量%~30質量%の範囲であってよい。
【0162】
(親油性又は油溶性有機UVフィルター)
本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性又は油溶性有機UVフィルターを含んでよい。2種以上の親油性又は油溶性有機UVフィルターを使用する場合、それらは、同じであっても異なっていてもよい。
【0163】
本明細書で使用する「親油性又は油溶性有機UVフィルター」という用語は、UV照射を遮断し、且つ油性相中に分子状態で完全に溶解するか、又は油性相中にコロイド形態で(例えばミセル形態で)分散することができる、任意の作用物質を意味すると理解される。「親油性又は油溶性有機UVフィルター」は、イソドデカン100ml当たり0.5g以上の油溶性を有する。本発明に使用される親油性又は油溶性有機UVフィルターは、UV-A及び/又はUV-B領域において活性であってよい。親油性又は油溶性有機UVフィルターは、疎水性又は非水溶性であってもよい。
【0164】
親油性又は油溶性有機UVフィルターは、固体又は液体であってよい。用語「固体」及び「液体」は、それぞれ、1気圧下、25℃での固体及び液体を意味する。
【0165】
全ての種類の親油性又は油溶性有機UVフィルターを、本発明による組成物中で使用することができる。好ましくは、親油性又は油溶性有機UVフィルターは、アントラニル酸化合物;ジベンゾイルメタン化合物;ケイヒ酸化合物;サリチル酸化合物;カンファー化合物;ベンゾフェノン化合物;β,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン化合物;ベンゾトリアゾール化合物;ベンザルマロン酸化合物;ベンゾイミダゾール化合物;イミダゾリン化合物;ビス-ベンゾアゾリル化合物;p-アミノ安息香酸(PABA)化合物;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物;ベンゾオキサゾール化合物;遮断ポリマー及び遮断シリコーン;α-アルキルスチレンに由来する二量体;4,4-ジアリールブタジエン化合物;グアイアズレン及びその誘導体;ルチン及びその誘導体;並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0166】
親油性又は油溶性有機UVフィルターの例として、下記にそのINCI名で示すもの、及びこれらの混合物を挙げることができる。
- アントラニル酸化合物:Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan MA」の商標名で市販されているアントラニル酸メンチル。
- ジベンゾイルメタン化合物:特にHoffmann-La Roche社によって「Parsol 1789」の商標名で市販されているブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びイソプロピルジベンゾイルメタン。
- ケイヒ酸化合物:特にBASF社によって「Parsol MCX」の商標名で市販されているメトキシケイヒ酸エチルヘキシル;メトキシケイヒ酸イソプロピル;メトキシケイヒ酸イソプロポキシ;Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan E 1000」の商標名で市販されているメトキシケイヒ酸イソアミル;シノキセート(4-メトキシケイヒ酸2-エトキシエチル);メトキシケイヒ酸DEA;メチルケイヒ酸ジイソプロピル;及びジメトキシケイヒ酸エチルヘキサン酸グリセリル。
- サリチル酸化合物:Rona/EM Industries社によって「Eusolex HMS」の商標名で市販されているホモサレート(サリチル酸ホモメンチル);Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan OS」の商標名で市販されているサリチル酸エチルヘキシル;サリチル酸グリコール;サリチル酸ブチルオクチル;サリチル酸フェニル;Scher社によって「Dipsal」の商標名で市販されているサリチル酸ジプロピレングリコール;及びHaarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan TS」の商標名で市販されているサリチル酸TEA。
- カンファー化合物、特にベンジリデンカンファー誘導体:Chimex社によって「Mexoryl SD」の商標名で製造されている3-ベンジリデンカンファー;Merck社によって「Eusolex 6300」の商標名で市販されている4-メチルベンジリデンカンファー;Chimex社によって「Mexoryl SL」の商標名で製造されているベンジリデンカンファースルホン酸;Chimex社によって「Mexoryl SO」の商標名で製造されているカンファーベンザルコニウムメトスルフェート;及びChimex社によって「Mexoryl SW」の商標名で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
- ベンゾフェノン化合物:BASF社によって「Uvinul 400」の商標名で市販されているベンゾフェノン-1(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン);BASF社によって「Uvinul D50」の商標名で市販されているベンゾフェノン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン);BASF社によって「Uvinul M40」の商標名で市販されているベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)又はオキシベンゾン;BASF社によって「Uvinul MS40」の商標名で市販されているベンゾフェノン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸);ベンゾフェノン-5(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム);Norquay社によって「Helisorb 11」の商標名で市販されているベンゾフェノン-6(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン);American Cyanamid社によって「Spectra-Sorb UV-24」の商標名で市販されているベンゾフェノン-8;BASF社によって「Uvinul DS-49」の商標名で市販されているベンゾフェノン-9(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸二ナトリウム);ベンゾフェノン-12、及び2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル(BASF社によるUVINUL A+)。
- β,β-ジフェニルアクリレート化合物:特にBASF社によって「Uvinul N539」の商標名で市販されているオクトクリレン;及び特にBASF社によって「Uvinul N35」の商標名で市販されているエトクリレン。
- トリアジン化合物:Sigma 3V社によって「Uvasorb HEB」の商標名で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、CIBA GEIGY社によって「TINOSORB S」の商標名で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びBASF社によって「UVINUL T150」の商標名で市販されているエチルヘキシルトリアゾン。
- ベンゾトリアゾール化合物、特にフェニルベンゾトリアゾール誘導体:分枝状及び直鎖状の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノ、及びUSP 5240975に記載のもの。
- ベンザルマロネート化合物:4'-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、及びベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えば、Hoffmann-LaRoche社によって「Parsol SLX」の商標名で市販されているポリシリコーン-15。
- ベンゾイミダゾール化合物、特にフェニルベンゾイミダゾール誘導体。
- イミダゾリン化合物:ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル。
- ビスベンゾアゾリル化合物:EP-669,323及び米国特許第2,463,264号に記載されているような誘導体。
- パラアミノ安息香酸化合物:PABA(p-アミノ安息香酸)、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ペンチルジメチルPABA、特にISP社によって「Escalol 507」の商標名で市販されているエチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、及びBASF社によって「Uvinul P25」の商標名で市販されているPEG-25 PABA。
- メチレンビス-(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、例えばFairmount Chemical社によって「Mixxim BB/200」の商標名で固体形態で市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール]、BASF社によって「Tinosorb M」の商標名で、又はFairmount Chemical社によって「Mixxim BB/100」の商標名で水性分散体中の微粉化形態で市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、並びに米国特許第5,237,071号、同第5,166,355号、GB-2,303,549、DE-197,26,184及びEP-893,119に記載されている誘導体、並びに
下記に示すような、Rhodia Chimie社によって「Silatrizole」の商標名で、又はL'Oreal社によって「Mexoryl XL」の商標名で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン。
【0167】
【化1】
【0168】
- ベンゾオキサゾール化合物:Sigma 3V社によってUvasorb K2Aの商標名で市販されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
- 遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン:WO 93/04665に記載のシリコーン。
- α-アルキルスチレン由来の二量体:DE-19855649に記載の二量体。
- 4,4-ジアリールブタジエン化合物:1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0169】
親油性又は油溶性有機UVフィルターは、以下からなる群から選択されることが好ましい:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン、4-メチルベンジリデンカンファー、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス-(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジフェニル)-トリアジン、2,4,6-トリス-(ターフェニル)-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、4'-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、カンファーベンジルコニウムメトスルフェート及びこれらの混合物。
【0170】
本発明による組成物中の親油性又は油溶性有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、1~50質量%、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~30質量%であってよい。
【0171】
(親水性又は水溶性有機UVフィルター)
本発明による組成物は、少なくとも1種の親水性又は水溶性有機UVフィルターを含んでもよい。2種以上の親水性又は水溶性有機UVフィルターを使用する場合、それらは同じでも異なっていてもよい。
【0172】
本明細書で使用する「親水性又は水溶性有機UVフィルター」という用語は、UV照射を遮断し、且つ水性相中に分子状態で完全に溶解するか、又は水性相中にコロイド形態で(例えばミセル形態で)分散することができる、任意の作用物質を意味すると理解される。「親水性又は水溶性有機UVフィルター」は、水100ml当たり0.5g以上の油溶性を有する。本発明に使用される親水性又は水溶性有機UVフィルターは、UV-A及び/又はUV-B領域において活性であってよい。
【0173】
親水性又は水溶性有機UVフィルターは、固体でも液体であってもよい。用語「固体」及び「液体」は、それぞれ、1気圧下、25℃での固体及び液体を意味する。
【0174】
親水性又は水溶性有機UVフィルターの種類は限定されない。全ての種類の親水性又は水溶性有機UVフィルターを、組成物中で使用することができる。2つ以上の異なる種類の親水性又は水溶性有機UVフィルターを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一の種類の親水性若しくは水溶性有機UVフィルター、又は異なる種類の親水性若しくは水溶性有機UVフィルターの組合せを使用することができる。
【0175】
親水性又は水溶性有機UVフィルターには、以下が含まれるがこれらに限定されない:
テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩、例えばChimex社によって「Mexoryl SX」の名称で製造されているもの、
ビスベンゾオキサゾリル誘導体、例えば特許EP 669 323及びUS 2,463,264に記載されているもの、より特定するとHaarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan AP」の商標名で販売されている化合物フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム及びその塩、
p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体、例えばPABA、PABAグリセリル及びPABA PEG-25及びこれらの塩、例えばBASF社によって「Uvinul P25」の名称で販売されているもの、
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸及びその塩、例えば特にMerck社によって「Eusolex 232」の商標名で販売されているもの、
フェルラ酸及びその塩、
サリチル酸及びその塩、
メトキシケイヒ酸DEA及びその塩、
ベンジリデンカンファースルホン酸及びその塩、例えばChimex社によって「Mexoryl SL」の名称で製造されているもの、
カンファーベンザルコニウムメトスルフェート及びその塩、例えばChimex社によって「Mexoryl SO」の名称で製造されているもの、
ベンゾフェノン-4及びその塩、例えばBASF社によって「Uvinul MS40」の商標名で販売されているもの、
ベンゾフェノン-5及びその塩、
ベンゾフェノン-9及びその塩、
(+)-10-カンファースルホン酸及びその塩、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸及びその塩、並びに
フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム及びその塩。
【0176】
親水性又は水溶性有機UVフィルターは、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸及びその塩、(+)-10-カンファースルホン酸及びその塩、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸及びその塩、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0177】
本発明による組成物中の親水性又は水溶性有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、0.1~15質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%であってよい。
【0178】
(界面活性剤)
本発明による組成物は、ピッカリングエマルションの形態であることが好ましい。
【0179】
本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下の量で、任意選択で含んでもよく、最も好ましくは界面活性剤を含まなくてもよい。
【0180】
一実施形態において、本発明による組成物は、界面活性剤を実質的に含まない。用語「界面活性剤を実質的に含まない」は、本発明による組成物が、界面活性剤を含まない、又は少なくとも1種の界面活性剤を、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下の量で含むことを意味する。
【0181】
界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択することができる。2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用することができる。このため、単一の種類の界面活性剤、又は異なる種類の界面活性剤の組合せを使用することができる。好ましくは、本発明によれば、「界面活性剤」は、添加剤なしに、水で泡沫を形成することが可能である。
【0182】
(任意選択の成分)
本発明による組成物はまた、以前から別のところで美白用組成物中又は着色用組成物中で公知である他の有効量の作用物質、例えば(c)の非水溶性粒子以外のフィラー及び顔料、酸及び塩基等のpH調整剤、EDTA及びエチドロン酸等の金属イオン封鎖剤、無機UV遮断剤、シリコーン油等の前述のもの以外のシリコーン、防腐剤、ビタミン又はプロビタミン、例えば、パンテノール、不透明化剤、香料、植物抽出物、陽イオン性ポリマー等を含んでもよい。
【0183】
本発明による組成物は、水性媒体を含むことができる。本発明による組成物中の水性媒体は、水を含む。水性相は、少なくとも1種の有機溶媒を更に含むことができる。したがって、有機溶媒は、好ましくは水混和性である。有機溶媒として、例えば、C1~C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール、ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、グリセロール、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールのモノエチルエーテル及びモノメチルエーテル、並びに芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール及びフェノキシエタノール、類似の生成物、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0184】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、1~40質量%、好ましくは1~30質量%、より好ましくは5~20質量%の範囲の量で存在することができる。
【0185】
本発明による組成物のpHは、一般に、例えば4~12とすることができる。pHは、5~11、好ましくは6~10の範囲とすることができ、従来技術において周知のpH調整剤を使用して所望の値に調整してもよい。
【0186】
本発明による組成物の粘度は、特に限定されない。粘度は、粘度計又はレオメーターで、好ましくは円錐平板型ジオメトリで、25℃にて測定することができる。好ましくは、本発明による組成物の粘度は、例えば、25℃及び1s-1で、1~2000Pa.s、好ましくは1~1000Pa.sの範囲であり得る。
【0187】
[調製]
本発明による組成物は、上述の必須成分及び任意選択の成分を、従来の方法で混合することによって調製することができる。
【0188】
例えば、本発明による組成物は、
(a)連続相の成分と、
(b)分散相の成分と、
少なくとも1つの弯曲部及び前記弯曲部の曲率の少なくとも1つの不連続点を有する(c)非水溶性粒子と、
任意選択の少なくとも1種の界面活性剤とを混合する工程であって、但し界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して1質量%以下であるとする工程を含む方法によって調製可能である。
【0189】
界面活性剤以外の任意選択の成分のうちの任意のものを更に混合することが可能である。
【0190】
(a)連続相の成分は、上記で説明したように少なくとも1種の脂肪物質を含むことが好ましいことがある。
【0191】
(b)分散相の成分は、上記で説明したように水を含むことが好ましいことがある。
【0192】
(a)連続相の成分及び(c)非水溶性粒子を混合して予混合物を調製し、この予混合物を(b)分散相の成分と更に混合することが好ましいことがある。
【0193】
混合は、任意の温度、好ましくは55℃以上、好ましくは65℃以上、より好ましくは75℃以上の温度で実施することができる。上述の任意選択の成分のいずれかと更に混合することが可能である。
【0194】
本発明による組成物は、液体、好ましくはエマルション、より好ましくは油中水型エマルション、更により好ましくはW/O型ピッカリングエマルションの形態であることが好ましい。
【0195】
[化粧用途及び方法]
本発明による組成物は、ケラチン物質のための美容処置法に使用される化粧用組成物であってよい。
【0196】
したがって、本発明はまた、ケラチン物質のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質上へ適用する工程を含む、方法にも関する。
【0197】
ケラチン物質は、皮膚、口唇、爪、毛髪、睫毛、眉毛、及び/又は頭皮、好ましくは皮膚であってよい。
【0198】
本発明による組成物は、例えばメーキャップ製品として使用することができる。
【0199】
本発明による組成物は、例えば、顔及び/又は身体用の、液体から半液体の粘稠度の、例えば、乳液、幾分リッチなクリーム、クリームゲル及びペースト状のケア製品及び/又は日焼け防止製品として使用することもできる。これらは、任意選択により、エアロゾル形態でパッケージ化されてもよく、ムース又はスプレーの形態であってもよい。
【0200】
本発明による蒸発性の流体ローションの形態の本発明による組成物は、加圧装置によって微粒子の形態で皮膚又は毛髪に適用する。本発明による装置は、当業者に周知であり、非エアロゾルポンプ又は「アトマイザー」、噴射剤を含むエアロゾル容器、及び噴射剤として圧縮空気を使用するエアロゾルポンプを含む。これらの装置は特許US 4 077 441及びUS 4 850 517に記載されている。
【0201】
エアロゾルとしてパッケージ化される組成物は一般に、従来の噴射剤、例えば、フッ化水素処理した化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパン又はトリクロロフルオロメタン等を含む。それらは、好ましくは、組成物の総質量に対して15質量%~50質量%を範囲とする量で存在する。
【0202】
本発明による組成物が、少なくとも1種の有機UVフィルターを含む場合、有機UVフィルターによって与えられるUVフィルタリング効果によって、本発明による組成物及び美容方法は、皮膚、特に顔の皮膚等のケラチン物質に美容効果をもたらすことができる。
【0203】
UVフィルタリング効果は、皮膚等のケラチン物質のケア及び/又はメーキャップの基礎となり得る。ケラチン物質上に実質的に均一又は均質な膜を形成することにより、均一又は一様なUVフィルタリング効果がもたらされ得る。美容効果としては、皮膚の黒化の抑制、色の改善、及び肌艶(complexion)の均一化並びに/又は皮膚の老化の処置を挙げることができる。
【0204】
本発明の別の主題は、分散体、好ましくはエマルション、より好ましくはピッカリングエマルション、更により好ましくはW/O型ピッカリングエマルションの形態の組成物であって、
(a)連続相、及び
(b)連続相中の、成分(c)とは異なる、少なくとも1つの分散相
を含む、
任意選択により、少なくとも1種の界面活性剤を、組成物の総質量に対して1質量%以下の量で含む、組成物
を製造するための、少なくとも1つの弯曲部及び前記弯曲部の曲率の少なくとも1つの不連続点を有する(c)の少なくとも1種の非水溶性粒子の使用であってよい。
【実施例
【0205】
本発明を、実施例によってより詳細に記述するが、これは本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0206】
(実施例1~3及び比較例1~7)
表1に示す配合の組成物を、表1に示す成分を混合することによって調製した。表1に示す成分の量の数値は全て、活性原料として「質量%」に基づく。
【0207】
表1の相Aの成分を均一に混合し、75~80℃で溶解し、室温に冷却して、相Aを調製した。表1の相Eの成分を相Aに室温で添加し、均一に混合して、相A+Eの混合物を調製した。表1の相Bの成分を均一に混合し、75~80℃で溶解し、室温に冷却して、相Bを調製した。表1の相Cの成分を相Bに室温で添加し、均一に混合して、相B+Cの混合物を調製した。表1の相Dの成分を相B+Cの混合物に添加し、室温で混合して、相B+C+Dの混合物を調製した。相A+Eを相B+C+Dの混合物に添加し、混合して、ピッカリングエマルションを調製した。
【0208】
【表1A】
【0209】
【表1B】
【0210】
[評価]
実施例1~3及び比較例1~7による組成物について、安定性及び質感を次のように評価した。
【0211】
1.安定性
(1)調製直後
実施例1~3及び比較例1~7による各組成物を、組成物の調製直後に、以下の基準に従って目視で評価した。
○:良好(W/O型ピッカリングエマルションが観察された。30分後に分離又は合体が観察されなかった。)
×:普通(一部で分離又は合体が観察された。)
××:不良(W/O型ピッカリングエマルションは観察されなかった。)
【0212】
結果を表1に示す。
【0213】
(2)2ヶ月後
実施例1~3及び比較例1~7による各組成物を、5つの試料に分けた。各試料を透明なガラス瓶に満たし、4℃、25℃、40℃、45℃及び50℃の条件下で2ヶ月間保持した。2ヶ月後、各試料を、以下の基準に従って目視で評価した。
○:良好(全ての試料が、分離直後とほぼ同じであった。分離又は合体が観察されなかった。)
×:普通(一部で分離又は合体が観察された。)
××:不良(W/O型ピッカリングエマルションは観察されなかった。)
【0214】
結果を表1に示す。
【0215】
2.質感
(1)皮膚親和性
5名の専門の判定士が、実施例1~3及び比較例1~7による各組成物の皮膚親和性を評価した。一人一人の判定士が、各組成物を手にとり、次いで自分の顔に塗布して皮膚親和性を評価し、1(不良)から5(良好)まで採点し、次いで採点の平均に基づいて、次の3つのカテゴリーに分類した。
○○:良好(5.0~3.5)
×:やや不良(3.5~2.0)
××:不良(1.9~1.0)
【0216】
結果を表1に示す。
【0217】
(2)非粘着性の感触
5名の専門の判定士が、実施例1~3及び比較例1~7による各組成物の非粘着性の感触を評価した。一人一人の判定士が、各組成物を手にとり、次いで自分の顔に塗布して粘着性の感触を評価し、1(不良)から5(良好)まで採点し、次いで採点の平均に基づいて、次の3つのカテゴリーに分類した。
○○:非粘着性の感触(5.0~3.5)
×:やや粘着性の感触(3.5~2.0)
××:粘着性の感触(1.9~1.0)
【0218】
結果を表1に示す。
【0219】
3.概要
実施例1は、実施例2及び比較例1~5と対比可能である。
【0220】
実施例1による組成物は、メチルシラノール/シリケートクロスポリマーを含み、ピッカリングエマルションの形態であった。実施例1による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、安定性であった。実施例1による組成物はまた、優れた皮膚親和性及び非粘着性感触等の良好な質感も示した。
【0221】
実施例2による組成物の配合は、実施例1による組成物のそれとは若干異なっていたが、実施例2による組成物もまた、メチルシラノール/シリケートクロスポリマーを含み、ピッカリングエマルションの形態であった。実施例2による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、安定性であった。実施例2による組成物はまた、優れた皮膚親和性及び非粘着性感触等の良好な質感も示した。
【0222】
比較例1による組成物は、実施例1による組成物中のメチルシラノール/シリケートクロスポリマーの代わりに、シリル化シリカを含んでいた。比較例1による組成物は、ピッカリングエマルションの形態ではなかった。比較例1による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、不安定性であったが、一方で比較例1による組成物は、優れた皮膚親和性及び非粘着性感触等の良好な質感を示した。
【0223】
比較例2による組成物は、実施例1による組成物中のメチルシラノール/シリケートクロスポリマーの代わりに、二酸化チタンを含んでいた。比較例2による組成物は、ピッカリングエマルションの形態であった。比較例2による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、安定性であったが、一方で比較例2による組成物は、優れた皮膚親和性及び非粘着性感触等の良好な質感を示さなかった。
【0224】
比較例3による組成物は、実施例1による組成物中のメチルシラノール/シリケートクロスポリマーの代わりに、ポリメチルシルセスキオキサンを含んでいた。比較例3による組成物は、ピッカリングエマルションの形態であった。比較例3による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、安定性であったが、一方で比較例3による組成物は、非粘着性感触を示さなかった。
【0225】
比較例4による組成物は、実施例1による組成物中のメチルシラノール/シリケートクロスポリマーの代わりに、両親媒性物質(ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム)で処置しておいた酸化チタンを含んでいた。比較例4による組成物は、ピッカリングエマルションの形態ではなかった。比較例4による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、不安定性であったが、一方で比較例4による組成物は、優れた皮膚親和性及び非粘着性感触等の良好な質感を示した。
【0226】
比較例5による組成物は、実施例1による組成物中のメチルシラノール/シリケートクロスポリマーを含んでおらず、非水溶性粒子を一切含んでいなかった。比較例5による組成物は、ピッカリングエマルションの形態ではなかった。比較例5による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、不安定性であり、同時に比較例5による組成物は、優れた皮膚親和性を示さなかった。
【0227】
実施例3は、比較例6及び7と対比可能である。
【0228】
実施例3による組成物は、極性油(炭酸ジカプリリル)及びメチルシラノール/シリケートクロスポリマーを含み、ピッカリングエマルションの形態であった。実施例3による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、安定性であった。実施例3による組成物はまた、優れた皮膚親和性及び非粘着性感触等の良好な質感も示した。
【0229】
比較例6による組成物は、非極性油(スクアラン)及びメチルシラノール/シリケートクロスポリマーを含んでいた。比較例6による組成物は、ピッカリングエマルションの形態ではなかった。比較例6による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、不安定性であったが、一方で比較例6による組成物は、優れた皮膚親和性及び非粘着性感触等の良好な質感を示した。
【0230】
比較例7による組成物は、非極性油(イソヘキサデカン)及びメチルシラノール/シリケートクロスポリマーを含んでいた。比較例7による組成物は、ピッカリングエマルションの形態ではなかった。比較例7による組成物は、4℃、25℃、40℃、45℃、及び50℃のさまざまな温度条件で、調製直後及び2ヶ月後、不安定性であったが、一方で比較例7による組成物は、優れた皮膚親和性及び非粘着性感触等の良好な質感を示した。